JP3111593B2 - 液晶ポリマ組成物 - Google Patents

液晶ポリマ組成物

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JP3111593B2
JP3111593B2 JP04036050A JP3605092A JP3111593B2 JP 3111593 B2 JP3111593 B2 JP 3111593B2 JP 04036050 A JP04036050 A JP 04036050A JP 3605092 A JP3605092 A JP 3605092A JP 3111593 B2 JP3111593 B2 JP 3111593B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた耐熱性、成形性、
寸法精度、耐摩耗性、耐加水分解性、耐ヒートエージン
グ性および機械特性に優れた成形品を与え得る液晶ポリ
マ組成物に関する。更に詳しくは耐加水分解性、耐ヒー
トエージング性が改善され、異方性が小さく、かつ、高
い限界PV値を有し、かつ、アルミニウム合金のような
軟質金属の損傷度が極めて小さい優れた摩耗特性を有す
る液晶ポリマ組成物に関し、電気・電子・電装関係部
品、自動車関係部品、精密機械関連部品、音響関係部
品、光ファイバー関係部品、OA機器関係部品、化学装
置関連部品などの用途に好適に使用される液晶ポリマ組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖
の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリマが優
れた流動性と機械的性質を有する点で注目されている。
これら異方性溶融相を形成するポリマとしては、例えば
p−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレフタレート
を共重合した液晶ポリエステル (特開昭49−7239
3号公報) 、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸を共重合した液晶ポリエステル (特開
昭54−77691号公報) 、また、p−ヒドロキシ安
息香酸に4, 4'−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル
酸、イソフタル酸を共重合した液晶ポリエステル (特公
昭57−24407号公報) などが知られている。
【0003】しかしながらこれらの液晶ポリマは、異方
性が大きく、流動方向に直角の方向の成形時の収縮によ
る寸法変動が大きいことや機械的強度が低いことなども
知られている。これらの欠点を改良する方法としては例
えばガラス繊維などの強化剤や充填剤を添加することに
より異方性が小さくなることがよく知られている (ラバ
ーダイジェスト27巻, 8号, 7〜14頁、1975)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
異方性減少に有効な充填剤として知られているものを液
晶ポリマに充填せしめた樹脂組成物は、多くの場合、衝
撃強度の低下や外観不良をきたすばかりか、耐摩耗性に
おいては限界PV値はある程度向上するものの、相手材
の損傷はかえって大きくなり摩擦摩耗特性が必要とされ
る用途には実用的に使用することが難しいことがわかっ
た。さらに、充填剤と液晶ポリマの界面の親和性が必ず
しも十分でないために、例えば特開昭49−72393
号公報に開示されているようなエチレンジオキシ単位を
含む液晶ポリマの場合には、耐加水分解性および耐ヒー
トエージング性が不良であるという問題があることも判
った。
【0005】よって本発明は、上述の問題を解消し、耐
熱性、成形性、機械的特性に優れ、異方性が小さく、と
りわけ優れた耐摩耗特性を有し、かつ、耐ヒートエージ
ング性および耐加水分解性が均衡して優れた成形品を与
え得る液晶ポリマ組成物を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は (A) 異方性溶融相を形成する液晶ポリ
エステルおよび/または液晶ポリエステルアミド100
重量部に対して、 (B) 無水硫酸カルシウムウィスカお
よび (C) 硼酸アルミニウムウィスカを合計量で3〜3
00重量部配合してなる樹脂組成物であって (B) /
(C) の比率が98/2〜20/80であることを特徴
とする液晶ポリマ組成物および前記 (A) の液晶ポリエ
ステルが下記 (I)、 (II)、 (IV) または (I)、 (II)、
(III)、 (IV)の構造単位からなる液晶ポリエステルであ
る前記の液晶ポリマ組成物を提供するものである。
【0007】 (ただし式中のR1
【0008】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2
【0009】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および
(III)の合計と構造単位(IV)は実質的に等モル
である。)本発明においては、液晶ポリエステルおよび
/または液晶ポリエステルアミドに対し、無水硫酸カル
シウムウィスカおよび硼酸アルミニウムウィスカを併用
配合することが重要であり、これにより、耐摩耗特性、
耐加水分解性および耐ヒートエージング性が均衡して優
れた異方性の小さい液晶ポリマ組成物が得られるのであ
る。
【0010】本発明でいう液晶ポリエステルとは、異方
性溶融相を形成するポリエステルであり、芳香族オキシ
カルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボ
ニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造
単位からなるポリエステルであり、液晶ポリエステルア
ミドとは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単
位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位など
から選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成する
ポリエステルアミドである。
【0011】液晶ポリエステルの好ましい例としては、
好ましくは上記の (I)、 (II)、 (IV) または (I)、 (I
I)、 (III)、 (IV)の構造単位からなるポリエステルであ
る。上記構造単位 (I) はp−ヒドロキシ安息香酸から
生成したポリエステルの構造単位であり、構造単位 (I
I) は4, 4'−ジヒドロキシビフェニル、3, 3'、5,
5'−テトラメチル−4, 4'−ジヒドロキシビフェニル、
ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニル
ハイドロキノン、2, 6−ジヒドロキシナフタレン、
2, 7−ジヒドロキシナフタレン、2, 2−ビス (4−
ヒドロキシフェニル) プロパンおよび4, 4'−ジヒドロ
キシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキ
シ化合物から生成した構造単位である。
【0012】構造単位 (III)はエチレングリコールから
生成した構造単位である。構造単位 (IV) はテレフタル
酸、イソフタル酸、4, 4'−ジフェニルカルボン酸、
2, 6−ナフタレンジカルボン酸、1, 2−ビス (フェ
ノキシ) エタン−4, 4'−ジカルボン酸、1, 2−ビス
(2−クロルフェノキシ) エタン−4, 4'−ジカルボン
酸およびジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた
芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
これらのうちR1
【0013】 であり、R2
【0014】 であるものが特に好ましい。また、液晶ポリエステルア
ミドポリマとしては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ
酸、p−アミノフェノールとテレフタル酸から生成した
液晶ポリエステルアミド (特開昭57−172921号
公報) 、p−ヒドロキシ安息香酸、4, 4'−ジヒドロキ
シビフェニルとテレフタル酸、p−アミノ安息香酸およ
びポリエチレンテレフタレートから生成した液晶ポリエ
ステルアミド (特開昭64−33123号公報) などが
挙げられる。
【0015】本発明に好ましく使用できる液晶ポリエス
テルは上記構造単位(I)、(II)、(IV)または
(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重
合体であり、上記構造単位(I)、(II)、(II
I)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、
流動性の点から次の共重合量であることが好ましい。す
なわち、上記構造単位(III)を含む場合は、耐熱
性、難燃性および機械的特性の点から上記構造単位
(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(I
I)および(III)の合計に対して60〜95モル%
が好ましく、82〜93モル%がより好ましい。また、
構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および
(III)の合計に対して40〜5モル%が好ましく、
18〜7モル%がより好ましい。
【0016】また、構造単位(I)(II)のモル比
〔(I)/(II)〕は耐熱性と流動性のバランスの点
から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ま
しくは78/22〜93/7である。また、構造単位
(IV)は構造単位(II)および(III)の合計
実質的に等モルである。一方、上記構造単位(III)
を含まない場合は、流動性の点から上記構造単位(I)
構造単位(I)および(II)の合計に対して40〜
90モル%であることが好ましく、60〜88モル%で
あることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位
(II)と実質的に等モルである。
【0017】なお、本発明で好ましく使用できる上記液
晶ポリエステルを重縮合する際には上記構造単位 (I)
〜 (IV) を構成する成分以外に3, 3'−ジフェニルジカ
ルボン酸、2, 2'−ジフェニルジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキ
サヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロ
ルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4, 4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、4, 4'−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフィド、4, 4'−ジヒドロキシベンゾフ
ェノン等の芳香族ジオール、1, 4−ブタンジオール、
1, 6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
1, 4−シクロヘキサンジオール、1, 4−シクロヘキ
サンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm
−ヒドロキシ安息香酸、2, 6−ヒドロキシナフトエ酸
などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフ
ェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損
なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめるこ
とができる。
【0018】本発明において好ましく使用できる上記液
晶ポリエステルおよび/または液晶ポリエステルアミド
の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルま
たはポリエステルアミドの重縮合法に準じて製造でき
る。例えば、上記の好ましく用いられる液晶ポリエステ
ルの製造において、上記構造単位 (III)を含まない場合
は下記 (1) および (2) 、構造単位 (III)を含む場合
は下記 (3) の製造方法が好ましく挙げられる。
【0019】(1) p−アセトキシ安息香酸および4,
4'−ジアセトキシビフェニル、パラジアセトキシベンゼ
ンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテ
レフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合
反応によって製造する方法。 (2) p−ヒドロキシ安息香酸および4, 4'−ジヒドロ
キシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロ
キシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に
無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化
した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0020】(3) ポリエチレンテレフタレートなどの
ポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス (β−ヒド
ロキシエチル) テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸
のビス(β−ヒドロキシエチル) エステルの存在下で上
記 (1) または (2) の方法により製造する方法。これ
らの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、
テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナト
リウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金
属化合物を添加した方が好ましいときもある。
【0021】本発明における液晶ポリエステルおよび/
または液晶ポリエステルアミドは、ペンタフルオロフェ
ノール中で対数粘度を測定することが可能なものもあ
り、その際には0.1g/dlの濃度で60℃で測定した値
で0.5dl/g 以上のものが好ましく、特に上記構造単位
(III)を含む場合は1.0〜3.0dl/g のものが好まし
く、上記構造単位 (III)を含まない場合は2.0〜10.0
dl/g のものが好ましい。
【0022】また、本発明における液晶ポリエステルお
よび/または液晶ポリエステルアミドの溶融粘度は10
〜20,000ポイズが好ましく、特に20〜10,000
ポイズがより好ましい。なお、この溶融粘度は上記構造
単位 (III)を含む場合には融点 (Tm) +10℃の条件
で、上記構造単位 (III)を含まない場合には液晶開始温
度+40℃で、いずれもずり速度1,000 (1/秒) の
条件下で高化式フローテスターによって測定した値であ
る。
【0023】ここで、融点 (Tm) とは示差熱量測定にお
いて、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇
温条件で測定した際に観察される吸熱ピーク温度 (Tm1)
の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、
20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度
20℃/分の昇温条件で測定した際に観察される吸熱ピ
ーク温度 (Tm2) を指す。
【0024】また、液晶開始温度とは偏光顕微鏡の試料
台にのせて、昇温加熱し、ずり応力下で乳白光を発する
温度である。本発明に使用する無水硫酸カルシウムウィ
スカとは、硫酸カルシウムの2水和物から合成される無
水の硫酸カルシウムウィスカである。無水硫酸カルシウ
ムウィスカの製造方法は特に限定されるものではない
が、通常、硫酸カルシウム・2水和物を水熱合成により
微小なウィスカ状に調製するなどの方法で製造される。
硫酸カルシウムウィスカはその焼成温度によって半水塩
型と無水塩型の2種類に分類されるが本発明の組成に使
用されるウィスカは高温で焼成された無水硫酸カルシウ
ムウィスカである。
【0025】半水塩型硫酸カルシウムウィスカは結晶水
を含有するが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニルのような汎用熱可塑性樹脂や不飽和ポリ
エステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹
脂などの熱硬化樹脂の補強用充填剤として有用に用いる
ことができる。しかしながら、本発明の樹脂組成物は高
い加工温度が必要なため、半水塩型硫酸カルシウムウィ
スカを用いると加工時に結晶水の放出による発泡や加水
分解による成形品の外観不良や機械的特性の低下のみな
らず、液晶ポリマの異方性の減少効果が著しく小さく、
また耐摩耗性が著しく不良になるという欠点を示す。
【0026】本発明に使用する無水硫酸カルシウムウィ
スカの平均繊維径 (D) は0.2〜8μm、好ましくは0.
5〜5μm、より好ましくは0.1〜4μmの範囲であ
り、平均繊維長 (L) は3〜300μm、好ましくは1
0〜100μm、より好ましくは30〜80μmの範囲
である。またアスペクト比 (L/D) は3〜300、好
ましくは5〜200の範囲のものを用いることが有効で
ある。
【0027】平均繊維径 (D) が0.2μm未満または平
均繊維長 (L) が3μm未満では液晶ポリマ組成物の異
方性改良効果が乏しく好ましくない。平均繊維径 (D)
が8μmを越える場合は成形品の外観が損なわれ、平均
繊維長 (L) が300μmを越える場合は成形時の流動
性が不良になり、いずれも好ましくない。
【0028】また、アスペクト比 (L/D) が3未満で
は本発明の効果が顕著でなく、アスペクト比 (L/D)
が300を越えると液晶ポリマに該ウィスカを配合する
ことが困難となりいずれも好ましくない。本発明に好ま
しく用いられる硼酸アルミニウムウィスカとは水熱反応
で合成される nAl2O3 ・ mB2O3 の一般式で表わされる人
工合成のウィスカ状鉱物である。その合成方法は特に限
定されるものではないが、原料としてAl2O3 とH3BO3
(または B2O3 ) を混合し、2,100℃の温度で溶解さ
せた後冷却してウィスカ状に成長させる溶融法 (USP
2,118,143) 、気体状態 (1,000〜1,400
℃) の AlF3 と B2O3 に水蒸気と接触せしめて硼酸アル
ミニウムウィスカを析出させる気相法 (USP 3,35
0,166) 、Al2O3 または高温でAl2O3 を発生する化
合物に1,200〜1,400℃でフラックス成分とウィス
カの原料成分を兼ねる B2O3 やNa2B4O7 などを混合し、
硼酸アルミニウムウィスカを合成させる内部フラックス
法 (USP 3,080,242) 、1,000℃以上の高温
でAl2O3 および B2O3 を発生しうる原料にアルカリ金属
の塩化物、硫酸塩または炭酸塩をフラックス成分として
添加し、800〜1,200℃でウィスカを生成させる外
部フラックス法などで合成された硼酸アルミニウムウィ
スカが有効に使用できる。具体的な硼酸アルミニウムウ
ィスカとしては 2Al2O3 ・ B2O3 および 9Al2O3・2B2O3
で示される構造を有したウィスカが挙げられ、特に 9Al
2O3 ・ 2B2O3 で示される構造を有するウィスカが高強
度、高弾性ですぐれた耐熱性、耐薬品性を有するので好
ましい。
【0029】本発明に用いる硼酸アルミニウムウィスカ
の平均繊維径 (D) は0.2〜5.0μm、好ましくは0.3
〜2.0μmの範囲のものが有効であり、平均繊維長は2
〜200μm、好ましくは5〜100μm、より好まし
くは8〜80μmの範囲のものが有効である。またアス
ペクト比 (L/D) は3〜300、好ましくは5〜20
0の範囲のものを用いることが有効である。
【0030】平均繊維径 (D) が0.2μ未満または平均
繊維長 (L) が2μm未満では液晶ポリマ組成物の異方
性改良効果が乏しく好ましくない。平均繊維径 (D) が
5.0μmを越える場合は成形品の外観が損なわれ、平均
繊維長 (L) が200μmを越える場合は成形時の流動
性が不良になりいずれも好ましくない。
【0031】またアスペクト比 (L/D) が3未満では
本発明の効果が顕著でなく、300を越えると該ウィス
カを配合することが困難となりいずれも好ましくない。
無水硫酸カルシウムウィスカおよび硼酸アルミニウムウ
ィスカの配合量は液晶ポリマ100重量部に対し合計量
で3〜300重量部、好ましくは5〜200重量部、特
に10〜120重量部が好適である。配合量が3重量部
未満では本発明の効果が顕著でなく、300重量部を越
えると成形品の外観が損なわれるばかりか機械的特性が
低下する。
【0032】また (B) / (C) の比率 (重量比) は9
8/2〜20/80、好ましくは95/5〜40/6
0、特に90/10〜50/50の範囲が好適に使用さ
れる。(B) / (C) の比率が98/2を越えると本発
明の効果が不十分であるばかりか、異方性改良効果も乏
しく使用できない。また (B) / (C) の比率が20/
80未満では耐摩耗特性において限界PVは高いものの
相手材の損傷度が大きくなり不適である。
【0033】本発明に使用する無水硫酸カルシウムウィ
スカおよび硼酸アルミニウムウィスカはその表面を公知
のカップリング剤 (例えば、シラン系カップリング剤、
チタネート系カップリング剤) などで処理して用いるこ
ともでき、カップリング剤で処理することにより、本発
明の効果がより効率良く達成できる。なお、本発明の組
成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の強化
剤、充填剤を併用することもできる。他の充填剤、強化
剤の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリア
ミド繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレ
ス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、マイカ、タル
ク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフ
レーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナ
イト、酸化チタン等の繊維状、粉状、粒状あるいは板状
の無機フィラーが挙げられる。また、これらの充填剤、
強化剤についてもシラン系、チタネート系などのカップ
リング剤、その他の表面処理剤で処理されたものを用い
てもよい。
【0034】また、本発明の液晶ポリマ樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤およ
び熱安定剤 (たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキ
ノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など) 、紫
外線吸収剤 (たとえばレゾルシノール、サリシレート、
ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど) 、滑剤およ
び離型剤 (モンタン酸およびその塩、そのエステル、そ
のハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミ
ドおよびポリエチレンワックスなど) 、染料 (たとえば
ニグロシンなど) および顔料 (たとえば硫化カドミウ
ム、フタロシアニン、カーボンブラックなど) を含む着
色剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通
常の添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加して、所定の特性
を付与することができる。
【0035】本発明の液晶ポリマ樹脂組成物の製造方法
は特に限定されるものではないが溶融混練により製造す
ることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いるこ
とができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロー
ル機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、
200〜400℃の温度で溶融混練して組成物とするこ
とが推奨される。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳述す
る。 参考例1 p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4'−ジヒド
ロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重
量部および固有粘度が約0.6dl/g のポリエチレンテレ
フタレート216重量部を攪拌翼、留出管を備えた反応
容器に仕込み、次の条件で脱酢酸重縮合を行った。
【0037】まず、窒素ガス雰囲気下に100〜250
℃で5時間、250〜300℃で1.5時間反応させた
後、315℃、1時間で0.5mmHgに減圧し、さらに2.2
5時間反応させ、重縮合を完結させたところ、ほぼ理論
量の酢酸が留出し、下記の理論構造式を有する樹脂
(a) を得た。
【0038】
【0039】また、このポリエステルを偏光顕微鏡の試
料台にのせ、昇温して、光学異方性の確認を行なった結
果、液晶開始温度は293℃であり、良好な光学異方性
を示した。また、融点 (Tm) は314℃であった。この
ポリエステルの対数粘度(0.1g/dlの濃度でペンタフル
オロフェノール中、60℃で測定) は1.98dl/g であ
り、324℃、ずり速度1,000/秒での溶融粘度は7
80ポイズであった。
【0040】参考例2 p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4, 4'−ジヒド
ロキシビフェニル222重量部、2, 6−ジアセトキシ
ナフタレン147重量部、無水酢酸1078重量部およ
びテレフタル酸299重量部を攪拌翼、留出管を備えた
反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に100〜250
℃で5時間、250〜330℃で2.5時間反応させた
後、330℃、1.5時間で1.0mmHgに減圧し、さらに0.
75時間反応させ、重縮合を完結させたところ、ほぼ理
論量の酢酸が留出し、下記構造式を有する樹脂 (b) を
得た。
【0041】
【0042】また、このポリエステルを偏光顕微鏡の試
料台にのせ、昇温して光学異方性の確認を行なったとこ
ろ、液晶開始温度は296℃であり、良好な光学異方性
を示した。このポリエステルの対数粘度 (参考例1と同
一の条件で測定) は5.8であった。また、336℃、ず
り速度1,000/秒での溶融粘度は920ポイズであっ
た。 参考例3 特開昭54−77691号公報に従って、p−アセトキ
シ安息香酸921重量部と6−アセトキシ−2−ナフト
エ酸435重量部を反応容器に仕込み重縮合を行い、下
記理論構造式を有する樹脂 (C) を得た。
【0043】
【0044】実施例1〜8、比較例1〜11 参考例1〜3で得た液晶ポリマ、無水硫酸カルシウムウ
ィスカ、硼酸アルミニウムウィスカおよびその他の添加
剤を表1の割合でドライブレンドした後、30mmφの2
軸押出機を用いて290〜330℃で溶融混練してペレ
ットとした。このペレットを住友ネスタール射出成形機
プロマット40/25 (住友重機械工業(株) 製) に供
し、シリンダー温度320〜340℃、金型温度90℃
で、ASTM1号ダンベル成形品、30×30×3.2mm
および70×70×2mmの角板成形品を成形した。
【0045】得られたASTM1号ダンベル成形品を2
00℃に保ったオーブン中で60日間熱処理した後、引
張強度を測定し、処理前の引張強度に対する保持率
(%) を求め耐ヒートエージング性を評価した。また、
ASTM1号ダンベル成形品をイオン交換水の入った3
3 の耐圧容器に入れ、100℃に保ったオーブン中で
60日間処理した後引張強度を測定し、処理前の引張強
度に対する保持率 (%) を求め耐加水分解性を評価し
た。
【0046】また、30×30×3.2mmの角板成形品を
下記条件においてスラスト摩耗試験機 (鈴木式摩耗試験
機) に供して摩耗試験を実施し摩耗特性を評価した。 P=5kgf/cm2 V=20m/min 相手材:鋼S−45C および アルミニウム合金505
6 さらに、70×70×1.5mmの角板成形品から樹脂の流
動方向 (MD) および直角方向 (TD) に各々1/2"
幅に切り出し、ASTM D−790規格に従って曲げ
弾性率を測定し、MD/TDの曲げ弾性率の比を機械的
異方比として求め異方性を評価した。これらの結果を併
せて表1に示した。
【0047】 表1から液晶ポリマに無水硫酸カルシウムウィスカおよ
び硼酸アルミニウムウィスカを配合した本発明の樹脂組
成物から得られる成形品は異方性が小さく、耐摩耗性、
耐ヒートエージング性および耐加水分解性が比較例に比
べて優れている事が明らかである。
【0048】
【発明の効果】本発明の液晶ポリマ組成物は異方性が小
さく、耐熱性、成形性、流動性、機械的特性に優れ、特
に、耐摩耗特性、耐ヒートエージング性および耐加水分
解性などの長期特性に優れるのでエンジニアリングプラ
スチックとして例えばセンサー、LEDランプ、コネク
ター、ソケット、抵抗器、リレーケーススイッチ、コイ
ルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックア
ップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント
基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッ
ドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモ
ジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシ
ャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテ
ナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子
部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードラ
イヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オー
ディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音
声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タ
イプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表さ
れる家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター
関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複
写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、
タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微
鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精
密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネ
ーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤ
ー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各
種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エア
ーインテークノズルスノーケル、インテークマニホール
ド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレ
ターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガ
スセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキ
バットウェアーセンサー、スロットルポジジョンセンサ
ー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフロ
ーメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用
サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバ
ルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウ
ォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパー
モーター関係部品、デュストリビューター、スターター
スイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワ
イヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコ
ンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒ
ューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁
板、ステップモーターローター、ランプソケット、ラン
プリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピスト
ン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点
火装置ケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用
途に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−281656(JP,A) 特開 平2−166134(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/04 C08L 77/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 異方性溶融相を形成する液晶ポリ
    エステルおよび/または液晶ポリエステルアミド100
    重量部に対して、(B) 無水硫酸カルシウムウィスカお
    よび (C) 硼酸アルミニウムウィスカを合計量で3〜3
    00重量部を配合してなる樹脂組成物であって (B) /
    (C) の比率が98/2〜20/80であることを特徴
    とする液晶ポリマ組成物。
  2. 【請求項2】 (A)の液晶ポリエステルが下記
    (I)、(II)、(IV)または(I)、(II)、
    (III)、(IV)の構造単位からなる液晶ポリエス
    テルである請求項1記載の液晶ポリマ組成物。 (ただし、式中Rから選ばれた一種以上の基を示し、Rから選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
    原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および
    (III)の合計と構造単位(IV)は実質的に等モル
    である。)
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