JPH05320483A - 液晶ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂組成物

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JPH05320483A
JPH05320483A JP12638092A JP12638092A JPH05320483A JP H05320483 A JPH05320483 A JP H05320483A JP 12638092 A JP12638092 A JP 12638092A JP 12638092 A JP12638092 A JP 12638092A JP H05320483 A JPH05320483 A JP H05320483A
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JP
Japan
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liquid crystal
crystal polyester
potassium titanate
parts
resin composition
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JP12638092A
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Seiichi Nakamura
清一 中村
Noriaki Goto
典明 後藤
Shunei Inoue
俊英 井上
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】典型的な例として例えば(A)下記式 【化1】 k/l/m/n=80/7.5/12.5/20 で示される液晶性ポリエステル100重量部 (B)p
Hが6〜8のチタン酸カリウムウィスカおよびタルクを
合計量で5〜300重量部を配合した液晶性ポリエステ
ル樹脂組成物であって該組成物の溶融粘度が15〜80
Pa・secであるポリエステル樹脂組成物。 【効果】本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は異方
性が小さく、寸法精度、摺動性、薄肉成形性、耐熱性、
機械的特性が均衡して優れているので電気・電子部品、
自動車部品、音響部品、各種機械部品、特に、摺動性か
必要とされる軸受用材料として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は機械的特性、耐熱性、薄
肉成形性、寸法精度および摺動性に優れ、かつ良好な成
形品外観を与え得る均衡した性能を有する液晶ポリマ樹
脂組成物に関する。更に詳しくは薄肉成形品の強度およ
び寸法精度が改善され、かつ、摺動時にアルミニウム合
金のような軟質金属の損傷度が極めて小さい優れた摺動
特性を有する液晶ポリエステル樹脂組成物に関し、電気
・電子・電装関係部品、自動車関係部品、精密機械関連
部品、音響関係部品、光ファイバ−関係部品、OA機器
関係部品、化学装置関連部品などの用途に好適に使用さ
れる液晶ポリステル樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されている。なかでも分子鎖
の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリマが優
れた流動性と機械的性質を有する点で注目されている。
これら異方性溶融相を形成するポリマとしては、例えば
p−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレフタレート
を共重合した液晶ポリエステル(特開昭49−7239
3号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸を共重合した液晶ポリエステル(特開
昭54−77691号公報)、また、p−ヒドロキシ安
息香酸に4,4’−ジヒドロキシビフェニルとテレフタ
ル酸、イソフタル酸を共重合した液晶ポリエステル(特
公昭57−24407号公報)などが開示されている。
【0003】しかしながらこれらの液晶ポリマは流動方
向に直角の方向の機械的強度が低くまた、成形収縮率が
大きいこと、即ち機械的異方性および寸法異方性が非常
に大きいなどの欠点を有することもよく知られている。
特に、液晶ポリマは流動性と機械的性質が優れているの
で薄肉の成形品として多く用いられるが成形品が薄肉に
なるほど異方性は大きくなるという問題点があった。こ
れらの欠点を改良する方法としては例えば液晶ポリマに
ガラス繊維を添加することにより異方性を小さくする方
法(ラバーダイジェスト27巻,8号,7〜14頁、1
975)、また、全芳香族コポリエステルやサーモトロ
ピック液晶にチタン酸カリウム繊維を配合し機械強度お
よび異方性を改良する方法(特開昭61−195156
号公報、特開昭62−81448号公報、特開平2−1
4246号公報)、また、異方性溶融相を形成しうる溶
融加工性ポリエステルに板状粉末および繊維状物質を配
合し、異方性と強度のバランスをとる方法(特開昭63
−146959号公報)などが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
繊維を添加する方法では異方性の減少には効果があるも
のの衝撃強度の低下や外観不良をきたすばかりか、流動
性が損なわれ、また耐摩耗性も限界PV値は向上するも
のの、相手材の損傷はかえって大きく、摺動性が必要と
される用途には実用的に使用することがはなはだ難しい
という致命的な欠点があることがわかった。チタン酸カ
リウム繊維を配合する方法においては成形品外観と耐摩
耗性にはある程度効果があるものの機械的性能および薄
肉成形品の異方性は前者の方法に比較して劣り、実用的
に使用することができない。また、板状粉末および繊維
状物質を単に併用配合する方法では両者を単独に配合し
た場合の中間的な特性が得られるだけで両者の特徴が失
われ、薄肉成形性や耐摩耗性も十分でないことが判明し
た。そこで本発明者らは、これらの問題点を解消する目
的で、既に、特定の構造を有する液晶ポリエステルにp
Hが6〜8のチタン酸カリウムウィスカを配合すること
により機械的特性に優れ、異方性が小さく、薄肉成形性
および摺動性が良好な液晶ポリエステル組成物を提案し
たが、更に厳しい寸法精度および摺動性が要求される超
精密成形品の分野においては、その程度は必ずしも十分
といえないことがわかった。
【0005】よって本発明は、上述の問題を解消し、機
械的特性、耐熱性、薄肉成形性、寸法精度および摺動性
に優れ、かつ優れた成形品外観を与え得る均衡した性能
を有する液晶ポリエステル樹脂組成物を得ることを課題
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は(A)下記構造単位
[(I)、(II)および(IV)]または[(I)、(I
I)、(III) および(IV)]からなり、液晶開始温度が
330℃以下の異方性溶融相を形成する液晶ポリエステ
ル100重量部に対して(B)pHが6〜8のチタン酸
カリウムウィスカおよび平均粒子径が2.0〜6.0μ
mのタルクを合計量で5〜300重量部を配合してなる
樹脂組成物であって溶融粘度が15〜80Pa・sec
の範囲であることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組
成物、上記(B)のpHが6〜8のチタン酸カリウムウ
ィスカとタルクの重量比率が30/70〜95/5であ
る液晶ポリエステル樹脂組成物および(B)のpHが6
〜8のチタン酸カリウムウィスカがKTi13
る化学式で示される6−チタン酸カリウムである液晶ポ
リエステル樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【化4】 (ただし式中のR1 は
【化5】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は
【化6】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III)
]と構造単位(IV)は実質的に等モルである)。
【0009】本発明でいう液晶ポリエステルとは、異方
性溶融相を形成するポリエステルであり、芳香族オキシ
カルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボ
ニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造
単位からなるポリエステルである。
【0010】上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息
香酸から生成したポリエステルの構造単位であり、構造
単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキ
ノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシ
ナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳
香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造
単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位
を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、
4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフ
ェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,
4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳
香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。こ
れらのうちR1 が
【化7】 であり、R2 が
【化8】 であるものが特に好ましい。
【0011】本発明に好ましく使用できる液晶ポリエス
テルは上記構造単位[(I)、(II)および(IV)]ま
たは[(I)、(II)、(III) および(IV)]からなる
共重合体であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)
および(IV)の共重合量は任意である。しかし、流動性
の点から次の共重合量であることが好ましい。
【0012】すなわち、上記構造単位(III) を含む場合
は、耐熱性、難燃性および機械的特性の点から上記構造
単位[(I)+(II)]は[(I)+(II)+(III) ]
の60〜95モル%が好ましく、82〜93モル%がよ
り好ましい。また、構造単位(III) は[(I)+(II)
+(III) ]の40〜5モル%が好ましく、18〜7モル
%がより好ましい。
【0013】また、構造単位(I)/(II)のモル比は
耐熱性と流動性のバランスの点から好ましくは75/2
5〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93
/7である。また、構造単位(IV)は構造単位[(II)
+(III) ]と実質的に等モルである。
【0014】一方、上記構造単位(III) を含まない場合
は流動性の点から上記構造単位(I)は[(I)+(I
I)]の40〜90モル%であることが好ましく、60
〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)
は構造単位(II)と実質的に等モルである。
【0015】なお、本発明で好ましく使用できる上記液
晶ポリエステルを重縮合する際には上記構造単位(I)
〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジ
カルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの
芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、
クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロ
キシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオ
ールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキ
シナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸および
p−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発
明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重
合せしめることができる。
【0016】本発明において好ましく使用できる上記液
晶ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知の
ポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0017】例えば、上記構造単位(III) を含まない場
合は(1)〜(4)、構造単位(III) を含む場合は
(5)の製造方法が好ましく挙げられる。
【0018】(1)p−アセトキシ安息香酸および4,
4’−ジアセトキシビフェニル、パラジアセトキシベン
ゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と
テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮
合反応によって製造する方法。
【0019】(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの
芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族
ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水
酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造
する方法。
【0020】(3)p−ヒドロキシ安息香酸および4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの
芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族
ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重
縮合反応によって製造する方法。
【0021】(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレ
フタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所望料のジフェニ
ルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエス
テルとしたのち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加
え、脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
【0022】(5)ポリエチレンテレフタレートなどの
ポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)
テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒ
ドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または
(2)の方法により製造する方法。
【0023】また、これらの重縮合反応時には必要にお
いて触媒を使用してもよい。重縮合反応に使用する触媒
としては酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カ
リウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属
マグネシウムなどの金属化合物が代表的であり、とりわ
け、脱フェノール重縮合の際に有効である。
【0024】本発明における液晶ポリエステル(A)は
ペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定すること
が可能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度
で60℃で測定した値で0.5dl/g以上が好まし
く、特に上記構造単位(III) を含む場合は1.0〜3.
0dl/gが好ましく、上記構造単位(III) を含まない
場合は2.0〜10.0dl/gが好ましい。
【0025】また、本発明における液晶ポリエステル
(A)の溶融粘度は15〜100Pa・secが好まし
く、特に20〜80Pa・secがより好ましい。
【0026】溶融粘度は15Pa・sec未満では機械
的特性が不十分となるばかりか摺動性も不良となる。ま
た、100Pa・secを越えると、成形時の流動性が
不良になるばかりか、液晶ポリエステルにチタン酸カリ
ウムウィスカおよびタルクを配合する時、チタン酸カリ
ウム繊維の折損が生じ機械的特性の低下、および摺動性
が不良となるのでいずれも好ましくない。
【0027】なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10
℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)、ノズルサ
イズは直径0.5mmφ×長さ1.0mmの条件下で高
化式フローテスターによって測定した値である。
【0028】ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定に
おいて、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の
昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(T
m1)の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持し
た後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した
後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測され
る吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0029】また、本発明における液晶ポリエステル
(A)の液晶開始温度は330℃以下であることが必須
であり、流動性と耐熱性の点から240〜330℃であ
ることが好ましい。液晶開始温度が330℃を越えると
溶融混練時や成形時の温度を高くする必要が生じ機械的
特性の低下、異方性の増大、および摺動性が不良となる
のでいずれも好ましくない。
【0030】ここで、液晶開始温度は偏光顕微鏡の試料
台にのせて、昇温加熱し、ずり応力下で乳白光を発する
温度である。
【0031】本発明に使用するチタン酸カリウムウイス
カは例えばK2とTiOを出発原料として焼成法、
溶融法、水熱法およびフラックス法などにより製造され
るウィスカであって、例えば、KTiO、KTi
、KTi、KTi13、KTi
17、KTi1613の化学式で示されるチタ
ン酸カリウムウィスカなどが挙げられる。特に、K
13なる化学式で示される6−チタン酸カリウム
ウィスカは補強効果が優れ最も好適である。
【0032】これらチタン酸カリウムウィスカのpHは
6〜8の範囲であることが必要でありpHが6未満では
機械的強度が低下するのみならず摺動性が不良となり、
また、pHが8越えると液晶ポリエステルとチタン酸カ
リウムウィスカの配合時および成形加工時に液晶ポリエ
ステルの加水分解が促進され、機械的特性、特に耐衝撃
性が低下するのでいずれも好ましくない。
【0033】ここで、pHとはチタン酸カリウムウイス
カ1gをイオン交換水100mlに加えて、10分間攪
拌して懸濁液を作成し、該懸濁液を20℃で測定した値
である。
【0034】また、pH6〜8のチタン酸カリウムウィ
スカの繊維径は0.02〜2μm、好ましくは0.05
〜1μmの範囲のものが望ましく使用できる。繊維長は
2〜400μm、好ましくは5〜100μmの範囲のも
のが望ましく使用できる。
【0035】本発明に使用するタルクは平均粒子径が
2.0〜6.0μmであることが必須であり、特に、
2.5〜4.0μmが好適である。平均粒子径が2.0
μm未満ではチタン酸カリウムウィスカを併用しても強
度、弾性率の改良効果、異方性抑制効果および寸法精度
が十分とはいえず好ましくない。また、平均粒子径が
6.0μmを越えると耐衝撃性の低下、摺動性不良、流
動性不良、外観不良が生じ好ましくない。
【0036】ここでいう、タルクの平均粒子径は沈降法
で測定した累積重量が50%時の粒子径で示される値で
ある。
【0037】pH6〜8のチタン酸カリウムウィスカお
よび平均粒子径が2.0〜6.0μmのタルクの配合量
はその合計量で液晶ポリエステル100重量部に対して
5〜300重量部、8〜200重量部、特に10〜15
0重量部が好適である。配合量が5重量部未満では本発
明の効果が顕著でなく、300重量部を越えると、成形
品の外観が損なわれるばかりか、成形時の流動性が不良
となり、また機械的特性が低下し好ましくない。
【0038】pH6〜8のチタン酸カリウムウィスカと
タルクの重量比率は30/70〜95/5、好ましくは
40/60〜80/20、特に、好ましくは45/55
〜70/30の範囲が好適である。上記比率が30/7
0未満では異方性改良効果が乏しいばかりか、耐衝撃
性、剛性が低下し好ましくない。また、比率が95/5
を越えると異方性が大きくなり、寸法精度が不良になる
ばかりか耐衝撃性も低下し好ましくない。
【0039】本発明においては、pH6〜8のチタン酸
カリウムウィスカおよび平均粒子径が2.0〜6.0μ
mのタルクを特定比率で併用配合することが必須であ
り、両者を併用配合することにより、はじめて、相乗的
に機械的特性を低下させることなく、優れた寸法精度、
摺動性が得られる。
【0040】本発明に使用するpH6〜8のチタン酸カ
リウムウィスカおよび平均粒子径が2.0〜6.0μm
のタルクはその表面をカップリング剤(例えば、シラン
系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アル
ミニウム系カップリング剤およびジルコアルミネ−ト系
カップリング剤)などで処理して用いることもでき、カ
ップリング剤で処理することにより、本発明の効果がよ
り効率良く達成できる。カップリング剤の具体例として
はγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ヒド
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロ
ピルトリエトキシシラン、ビニルアセトキシシランなど
のシランカップリング剤、また、イソプロピルトリスイ
ソステアロイルチタネート、イソプピルトリス(ジオク
チルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルト
リ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テ
トラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)エチレ
ンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェ
ート)チタネートなどのチタネート系カップリング剤、
また、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレー
トなどのアルミネート系カップリング剤などが好適に使
用できる。
【0041】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の溶
融粘度は15〜80Pa・secであることが重要であ
り、好ましくは20〜60Pa・sec、特に好ましく
は25〜50Pa・secが望ましい。溶融粘度が該範
囲にある液晶ポリエステル樹脂組成物は流動性が優れ外
観が良好な薄肉成形品が得られるのみならず、特に、薄
肉成形品では高弾性率を有する成形品が得られるという
特異的な性質を示す。溶融粘度が80Pa・secを越
えると薄肉成形品の成形加工性が不良となり満足な成形
品が得られないばかりか寸法精度も不十分であり、ま
た、摺動性の改良効果がなく好ましくない。15Pa・
sec未満では機械的特性が低下し好ましくない。
【0042】なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10
℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)、ノズルサ
イズは直径1.0mmφ×長さ10mmの条件下で高化
式フローテスターによって測定した値である。ここにお
ける、Tmおよび液晶開始温度は先に記載した液晶ポリ
エステル(A)と同様である。
【0043】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の製
造方法は溶融混練により製造することが好ましく、例え
ば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単
軸もしくは二軸押出機などを用い、200〜350℃の
温度で溶融混練して組成物とすることが推奨される。単
軸および二軸押出機を用いる方法が特に好ましい。
【0044】また、本発明の液晶ポリマ樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤およ
び熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキ
ノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫
外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、
ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤およ
び離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そ
のハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミ
ドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえば
ニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウ
ム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着
色剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通
常の添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加して、所定の特性
を付与することができる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳述す
る。
【0046】参考例1 p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112
重量部および固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレ
ンテレフタレート216重量部を撹拌翼、留出管を備え
た反応容器に仕込み、次の条件で脱酢酸重縮合を行っ
た。
【0047】まず、窒素ガス雰囲気下に100〜250
℃で5時間、250〜300℃で2.25時間反応させ
た後、315℃、1時間で0.5mmHgに減圧し、さ
らに0.50〜3.00時間反応を行い重縮合を完結さ
せ、溶融粘度12〜150Pa・secの下記の理論構
造式を有する液晶ポリエステル(a)を得た。
【0048】
【化9】 k/l/m/n=80/7.5/12.5/20 これらの液晶ポリエステルの液晶開始温度は293℃、
融点(Tm)は314℃であった。
【0049】参考例2 p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル222重量部、2,6−ジアセトキ
シナフタレン147重量部、無水酢酸1078重量部お
よびテレフタル酸299重量部を撹拌翼、留出管を備え
た反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に100〜25
0℃で5時間、250〜330℃で2.5時間反応させ
た後、330℃、1.5時間で1.0mmHgに減圧
し、さらに0.50〜3.00時間反応を行い重縮合を
完結させ、溶融粘度40Pa・secの下記理論構造式
を有する液晶ポリエステル(b)を得た。
【0050】
【化10】 K/l/m/n=80/13.3/6.7/20 これらの液晶ポリエステルの液晶開始温度は303℃、
融点(Tm)は323℃であった。
【0051】参考例3 ベクトラA950(ヘキストセラニーズ社製)(c) 上記の液晶ポリエステルの液晶開始温度は251℃、融
点(Tm)は283℃であった。また、溶融粘度は18
0Pa・secであった。
【0052】参考例4 本発明に用いたチタン酸カリウムウィスカAおよびBの
構造とpHを示す。
【0053】 構 造 pH (A) 2−チタン酸カリウム(KTi) 9.2 (B) 6−チタン酸カリウム(KTi13) 6.9 実施例1〜6、比較例1〜8 参考例1で得た液晶ポリエステル(a)を310〜32
5℃に設定した40mmφの2軸押出機に供給して溶融
し、次いで、これにサイドフィダーを用いて参考例4で
示したチタン酸カリウムウィスカおよび第1表に示した
タルクを第1表の割合に供給して更に溶融混練してペレ
ットとした。このペレットを住友ネスタ−ル射出成形機
プロマット40/25(住友重機械工業(株)製)に供
し、シリンダー温度325℃、金型温度90℃の条件
で、衝撃試験片(1/4”(幅)×1/2”(厚さ)×
2・1/2”)および30×30×3.2mmの角板を
成形した。得られた衝撃試験片号のIzod衝撃強度を
測定した。
【0054】また、30×30×3.2の角板を用いス
ラスト摩耗試験機(鈴木式摩耗試験機)で次の条件で摩
耗試験を行い、摺動性を評価した。
【0055】P=5kgf/cm ,V=20 m/
min 相手材:アルミニウム合金5056 また、シリンダー温度325℃、金型温度90℃の条件
で、角板の一辺にフィルゲートを有した70×70×2
(厚み)mmの角板を成形し、成形後、角板の流動方向
(MD)および直角方向(TD)の成形収縮率を測定
し、|直角方向(TD)の成形収縮率|−|流動方向
(MD)の成形収縮率|を求め異方性を評価した。
【0056】また、シリンダー温度325℃、金型温度
90℃、の条件で、厚み2mm×直径32mmの薄肉の
歯車成形品を成形し、同歯車成形品の真円度を真円度計
を用いて測定し寸法精度を評価した。
【0057】なお、参考例2の液晶ポリエステル(b)
を使用の場合は押出機温度325〜340℃、成形温度
を340℃として同様に評価した。
【0058】なお、参考例3のベクトラA950(ヘキ
ストセラニーズ社製)(c)を使用の場合は押出機温度
280〜290℃、成形温度を290℃として同様に評
価した。
【0059】これらの結果を併せて第1表に示した。
【0060】
【表1】 本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物から得られる成形
品は異方性が小さく、寸法精度および薄肉成形性に優
れ、かつ、耐衝撃性、摺動性および成形品外観が比較例
に比べ優れていることが明らかである。
【0061】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は
機械的特性、耐熱性にすぐれ、特に、摺動性に優れ、か
つ、異方性が小さく寸法精度に優れるのでエンジニアリ
ングプラスチックとして例えば、各種ギヤー、センサー
LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレー
ケーススイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコ
ンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成
器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、
マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘ
ッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDD
キャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホル
ダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品など
に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部
品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レ
ンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク、
コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷
蔵庫部品、エアコン部品、、タイプライター部品、ワー
ドプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製
品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話機関連
部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用
器具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各
種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなど
に代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、
時計、などに代表される光学機器、精密機械関連部品;
オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライ
トディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバル
ブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パ
イプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテーク
マニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイン
ト、キャブレターメインボディー、キャブレタースペン
サー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサ
ー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジ
ションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、ブレーキバット摩耗センサ
ー、エアコン用サーモスタットベース暖房温風フローコ
ントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュ
ホルダー、ウォターポンプインペラー、タービンベイ
ン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、
スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッ
ション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズ
ル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用
コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電
装部品絶縁板、ステップモーターローター、ソレノイド
ボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースな
どの自動車・車両関連部品、その他各種用途に有用であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)下記構造単位[(I)、(II)およ
    び(IV)]または[(I)、(II)、(III) および(I
    V)]からなり、液晶開始温度が330℃以下の異方性
    溶融相を形成する液晶ポリエステル100重量部に対し
    て、(B)pHが6〜8のチタン酸カリウムウィスカお
    よび平均粒子径が2.0〜6.0μmのタルクを合計量
    で5〜300重量部配合してなる樹脂組成物であって溶
    融粘度が15〜80Pa・secの範囲であることを特
    徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。 【化1】 (ただし式中のR1 は 【化2】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は 【化3】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
    原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III)
    ]と構造単位(IV)は実質的に等モルである)。
  2. 【請求項2】 請求項1において(B)のチタン酸カリ
    ウムウィスカとタルクとの比率が30/70〜95/5
    (重量比)である請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1おいて(B)のpHが6〜8の
    チタン酸カリウムウィスカがKTi13なる化学
    式で示される6−チタン酸カリウムである請求項1記載
    の液晶ポリエステル樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000273320A (ja) * 1999-03-19 2000-10-03 Polyplastics Co 光ピックアップ用液晶性ポリマー組成物および光ピックアップ
JP2003109700A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Sumitomo Chem Co Ltd コネクター用液晶性ポリエステル樹脂組成物、およびコネクター
US6833405B1 (en) 1998-07-31 2004-12-21 E. I. Du Pont De Nemours And Company Compositions containing liquid crystalline polymers
JP2011231159A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Kaneka Corp 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物

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