JP5098168B2 - 全芳香族液晶性ポリエステルおよびその組成物 - Google Patents

全芳香族液晶性ポリエステルおよびその組成物 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性と加工性および金型充填特性がバランスされた、薄肉で溶着もしくは接合部分を有する自動車の外板材料などに好適な全芳香族液晶性ポリエステルおよびその組成物に関するものである。
液晶性ポリエステルは、その優れた耐熱性、流動性、電気特性などを活かして、電気・電子用途の小型精密成形品を中心に需要が拡大している。また、近年、その軽量性、薄肉剛性、耐候性、熱安定性や寸法安定性に着目して、アロイなども含めて構造部品やバイクカウル、自動車外板材料などに用いる検討がなされている。
このような用途では薄肉流動性が要求されており、これまでにも様々な検討がされている(例えば、特許文献1〜4)。
特許文献1では流動温度に差のある2種類の全芳香族液晶性ポリエステルを配合することで、薄肉流動性の改良を行っており、特許文献2、3ではそれぞれベンゾオキサゾル化合物やシリコーン樹脂などを配合することで薄肉流動性を改良している。
また、特許文献4では、液晶ポリエステルの特定組成のものが薄肉流動性に優れることが記載されている。
しかし、これらの方法は、0.2〜1mm厚程度の従来の全芳香族液晶性ポリエステルの中心用途である小型成形品において要求される、最大でも10cm程度の流動性に対しては、射出速度を大きくすることで充填が可能であるため充分であっても、2〜5mm程度の従来よりも肉厚は大きいが20cm〜数mまでの長大な流動性が要求される本発明が目指す用途においては、射出速度、射出圧を上げても、金型との接触による冷却距離が長いために、末端に充填不足が生じてしまい不十分である。また、バイクカウルなどの用途では、表面平滑性、光沢などが求められるために、長大な成形品における金型転写性において、これらの特許文献記載の方法では不十分であった。
更に、大型成形品では、金型内もしくは金型外において、樹脂の接合がなされるために、高いレベルの溶着強度が求められるが、これまでの全芳香族液晶性ポリエステルは、0.2〜1mm程度の極薄肉の成形品においては、例えばウェルドにおいては、接合面での樹脂流動相の相互勘合が起こるためにある程度の強度が得られるが、2〜5mm程度の肉厚の成形品では、接合面に水平に樹脂流が界面を作るために強度が得られない。これは溶着においても同様であり、薄肉成形品では接合時の界面流動が少ないために、接合面に水平方向に配向する界面の生成が少ないが、2〜5mm程度の肉厚の成形品では、接合時に界面に中心から外側に向かって押し出される界面流動が生じつつ固化するために、接合面に新たな界面が生じて全く強度が得られない。
特開平10−219085号公報(第1〜2頁、5頁、表1) 特開平10−316873号公報(第1頁、11頁、表1、3) 特開2003−306598号公報(第1頁、11頁、表1) 特開2004−256656号公報(第1、16頁、表3)
そこで本発明は、これらの要求に対して、大型の2〜5mm程度の肉厚の大型成形品を成形する際に、充填性、金型転写性に優れ、かつ溶着などの接合強度を改良した全芳香族液晶性ポリエステルおよびその組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、溶融温度と固化温度との差が一定の値となる全芳香族液晶性ポリエステルが、液晶性ポリエステルの特徴である耐熱性を損なうことなく、これらの課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなり、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜75モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して65〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して75〜80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルであって、融点Tmと降温結晶化温度Tcとが下式〔1〕の範囲となることを特徴とする全芳香族液晶性ポリエステル、
42<Tm−Tc<45 −〔1〕
(Tmは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)の観測後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。)
Figure 0005098168
(2)融点Tmと降温結晶化温度Tcとが下式〔2〕の範囲となることを特徴とする(1)に記載の全芳香族液晶性ポリエステル、
43≦Tm−Tc≦44 −〔2〕
)上記(1)または(2)のいずれかに記載の全芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対して、充填材30〜200重量部を配合してなる全芳香族液晶性ポリエステル組成物、
)全芳香族液晶性ポリエステル原料中のフェノール性水酸基を無水酢酸中135℃以上150℃以下の温度で1.5〜3時間反応させアセチル化した後、重縮合して全芳香族液晶性ポリエステルを製造する方法であって、無水酢酸をフェノール性水酸基の合計に対して1.08〜1.12モル当量用いることを特徴とする、(1)〜(2)のいずれかに記載の全芳香族液晶性ポリエステルの製造方法、
に関するものである。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルおよびその組成物は耐熱性と加工性および金型充填特性がバランスされており、薄肉で溶着もしくは接合部分を有する自動車の外板材料などに最適である。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルは、融点Tmと降温結晶化温度Tcとが下式〔1〕の範囲となるものである。
42<Tm−Tc<45 −〔1〕
ここで、Tmは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)の観測後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
より好ましくは下式〔2〕の範囲となるものである。
43≦Tm−Tc≦44 −〔2〕
Tm−Tcの値が上記範囲にある場合には、溶融状態から金型内で冷却を受けた際に固化するまでに充分に充填ができ、かつ離型までには充分に固化することができるため、金型充填性と加工性とりわけサイクルタイムを低下することのない大型部品の製造の両立が可能である。
Tm−Tcが上記範囲よりも大きい場合には、固化までの時間が長くなるために、金型充填性は良好でも、冷却時間が長くかかりサイクルタイムが長くなって製造効率が低下し、またTcはDTULと密接な関係があるため、TcがTmに対して小さくなりすぎると、加工に必要な温度が高くなる割に、DTULが低くなるため好ましくない。
Tm−Tcが上記範囲より小さい場合には、金型との接触による固化が速やかに起こるために、2〜5mm厚の大型成形品では未充填となりやすく、また接合部分の強度もウェルド、溶着のいずれでも低くなり好ましくない。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルは、全芳香族成分からなる異方性溶融相を形成し得るポリエステルであり、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルである。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位、芳香族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどから生成した構造単位、芳香族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などから生成した構造単位が挙げられる。
全芳香族液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
特に好ましいのは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される全芳香族液晶性ポリエステルである。
Figure 0005098168
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルが上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される場合、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜75モル%が好ましく、より好ましくは68〜72モル%である。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して65〜75モル%が好ましく、より好ましくは68〜72モル%である。また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して75〜80モル%が好ましく、より好ましくは78〜80モル%である。上記組成範囲においては、本発明の特徴である流動特性、金型転写性、溶着強度が優れておりかつ、耐熱性とのバランスもよいため好ましい。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルであることが好ましいが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。重合系において、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである場合には、速やかに重合反応が進み、短時間で合成することができるために好ましい。
全芳香族液晶性ポリエステルの製造方法は、次の製造方法が挙げられる。
(1)全芳香族液晶性ポリエステルの原料から脱酢酸縮重合反応によって全芳香族液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)全芳香族液晶性ポリエステルの原料中のフェノール性水酸基に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反応によって全芳香族液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)芳香族カルボン酸エステルと、芳香族ジヒドロキシ化合物から脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)全芳香族液晶性ポリエステル原料のうち、芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
上記製造方法のなかでも、本発明の全芳香族液晶性ポリエステルの優れた金型転写性をより顕著に発揮させるために、フェノールのような高沸点ガスよりも酢酸の方が残存した場合にも悪影響をあたえにくいため、原料中のフェノール性水酸基に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が好ましい。
したがって、本発明の全芳香族液晶性ポリエステルが上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される場合は、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反応によって好ましく製造される。さらに、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、実質的に等モルである。
原料中のフェノール性水酸基をアセチル化する際の無水酢酸の使用量は、原料中のフェノール性水酸基の合計の1.08〜1.12当量であることが好ましく、より好ましくは1.09〜1.11当量であり、1.10当量が最も好ましい。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルは無水酢酸の当量比とアセチル化温度、アセチル化時間によって決まる初期シークエンスによって、Tm−Tcの値をより好ましい範囲とすることができ、上記無水酢酸の使用量において、135℃以上150℃以下の温度で1.5〜3時間反応させることによって、より好ましくは140〜145℃の温度で1.8時間〜2.2時間反応させることによってより好ましいTm−Tcの値の全芳香族液晶性ポリエステルを得ることができ好ましい。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば本発明の全芳香族液晶性ポリエステルが上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される場合、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、135℃以上150℃以下の範囲で1.5〜3時間反応させる。この際、生成する酢酸は反応缶の上部温度の制御や精留塔によって還留しても、留出管より適宜留出させてもどちらでも良いが、好ましくは、アセチル化の間は無水酢酸の留出を防ぐために還留させることが好ましく、アセチル化が終了した後は、反応缶上部もしくは精留塔の温度を上げて、酢酸を留去することが予備反応を進行させるために好ましい。重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜370℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上〜+20℃未満の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明の液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
上記好ましく用いられる液晶ポリエステルは、上記構造単位(I) 〜(V)を構成する成分、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、およびm−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノールなどを、液晶性や特性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
本発明の液晶性ポリエステルは、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明における液晶性ポリエステルの溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
なお、本発明では、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)の観測後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
本発明における全芳香族液晶性ポリエステルの融点は特に限定されるものではないが、高耐熱用途に用いるために300℃以上となるよう共重合成分を組み合わせることが好ましく、320℃以上となるよう組み合わせることがより好ましく、330℃以上となるよう組み合わせることがさらに好ましく、335℃以上となるよう組み合わせることが最も好ましい。上限としては全芳香族液晶性ポリエステルの分解温度―10℃以下であることが好ましく、前述したような液晶性ポリエステルの分解温度は370℃近辺であることから360℃以下となるよう組み合わせることが好ましい。
また、本発明における全芳香族液晶性ポリエステルのTcは、特に限定されるものではないが、280℃以上320℃以下が好ましく、より好ましくは290℃以上310℃以下である。
本発明においては、全芳香族液晶性ポリエステルの機械強度その他の特性を付与するために、さらに充填材を配合することが可能である。充填材は特に限定されるものでないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
これら充填材のなかで特にガラス繊維が入手性、機械的強度のバランスの点から好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
充填材の配合量は、液晶性ポリエステル100重量部に対し、通常30〜200重量部であり、好ましくは40〜150重量部である。充填量が上記範囲の場合には、流動性、金型転写性を充分に発揮でき、かつ耐熱性と溶着強度も高いため好ましい。充填量が多すぎると、流動性、金型転写性は低下する傾向があるため好ましくなく、少なすぎる場合には、充填材を配合することによる金型転写性の低下と、耐熱性や溶着強度の向上とのバランスがとれない場合がある。
さらに、本発明の全芳香族液晶性ポリエステルには、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
これらの添加剤を配合する方法は、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、180〜350℃、より好ましくは250〜320℃の温度で溶融混練して全芳香族液晶性ポリエステル組成物とすることができる。その際には、1)全芳香族液晶性ポリエステル、任意成分である充填材およびその他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステルにその他の添加剤を高濃度に含む全芳香族液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるようにその他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)全芳香族液晶性ポリエステルとその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの充填材およびその他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルおよびそれを含む全芳香族液晶性ポリエステル組成物は、大型成形品の成形時の金型充填性に優れており、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する三次元成形品、シート、容器、パイプ、フィルムなどに加工することが可能である。得られる成形品は、厚肉ウェルド強度だけでなく、溶着強度にも優れるため、バイクカウル、自動車外板などの用途に特に適している。
本発明の全芳香族液晶性ポリエステルおよびその組成物は、それ以外に、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレイ部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、セパレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィルム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィルム、シート用途としては自動車内部天井、ドアトリム、インストロメントパネルのパッド材、バンパーやサイドフレームの緩衝材、ボンネット裏等の吸音パット、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブおよびそれらの周辺部品に有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸869重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル352重量部、ハイドロキノン88重量部、テレフタル酸359重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1313重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に10分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(A−1)は、構造単位(I)が、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点Tmは339℃で、Tcは296℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が24Pa・sであった。
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)の観測後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
得られた樹脂ペレットは150℃で3時間乾燥した後、以下(1)〜(5)の評価を行った。
(1)流動性
ファナック社製ロボショットα30C電動射出成形機を用い、幅12.7mm×長さ150mm×2mm厚と0.3m厚の同時流入櫛型棒流動金型を用い、シリンダー温度を全芳香族液晶性ポリエステルの融点Tm+10℃、金型温度を80℃に設定して、射出速度300m/s、0.3mm厚の方が20mm流れる射出圧力に設定し、2mm厚の方の流動長を評価した。流動長が大きい程冷却固化による損失が小さいことを示す。
(2)金型転写性
ファナックロボショットα30C電動射出成形を用い、40×40×2mm厚の角板フィルゲート金型の固定面にゲートからの距離が均等になるように、長さ1mm、深さ0.1mm、幅が0.1mm、0.01mm、0.001mmと異なる3つの直方体の溝を設け、(1)と同様の温度条件で一速一圧の条件で成形し、えられた成形品の表面観察をSEMで行い、3つの溝について充填しているものを○、未充填のものを×として判定した。
(3)耐熱性
ファナックロボショットα30C電動射出成形機を用い、幅12.7mm×長さ127mm×1.6mm厚の棒状金型を用い、(1)と同様の温度条件で、射出速度120m/s、最低下限圧+1MPaの射出圧力で、棒状試験片を成形した。ASTM D648に準じた方法で高荷重でのDTULを測定した。
(4)溶着強度
上記(3)で成形した棒状試験片を長さ方向に垂直に2等分し、切断面を輻射熱溶着機を用い、窒素媒体で溶着部温度を融点+10℃以上で1分余熱した後、押し込み量0.2mm、押し込み力0.5MPa、押し込み時間2秒、戻し量0.02mmで溶着部への熱輻射を10秒続け、その後冷却固化時間1分で溶着した。ASTMD790に準じて、曲げ強度を測定した。
以下の実施例についても同様の評価を行った。
実施例2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸869重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル352重量部、ハイドロキノン88重量部、テレフタル酸359重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1337重量部(フェノール性水酸基合計の1.12当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に12分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(A−2)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は340℃で、Tcは295.5℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
実施例3
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸869重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル352重量部、ハイドロキノン88重量部、テレフタル酸359重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1289重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に25分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(A−3)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は339℃で、Tcは296.5℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
実施例4
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸845重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル364重量部、ハイドロキノン100重量部、テレフタル酸359重量部、イソフタル酸120重量部および無水酢酸1333重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に10分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(A−4)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して68モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して68モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく75モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は334℃で、Tcは291℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が24Pa・sであった。
実施例5
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸894重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル338重量部、ハイドロキノン76重量部、テレフタル酸326重量部、イソフタル酸92重量部および無水酢酸1293重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に9分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(A−5)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して72モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して72モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく78モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は338℃で、Tcは293.5℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
実施例6
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸820重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル398重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸406重量部、イソフタル酸102重量部および無水酢酸1402重量部(フェノール性水酸基合計の1.14当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に1分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(A−6)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して66モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は340℃で、Tcは295.5℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が24Pa・sであった。
実施例7
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸919重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル305重量部、ハイドロキノン76重量部、テレフタル酸311重量部、イソフタル酸78重量部および無水酢酸1226重量部(フェノール性水酸基合計の1.06当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に34分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(A−7)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して74モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は343℃で、Tcは300.5℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
比較例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸838重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル381重量部、ハイドロキノン95重量部、テレフタル酸291重量部、イソフタル酸194重量部および無水酢酸1337重量部(フェノール性水酸基合計の1.12当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に42分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−1)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して67.5モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく60モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は300℃で、Tcは259℃であり、高化式フローテスターを用い、温度320℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が24Pa・sであった。
比較例2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸795重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル422重量部、ハイドロキノン105重量部、テレフタル酸387重量部、イソフタル酸151重量部および無水酢酸1398重量部(フェノール性水酸基合計の1.12当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に12分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−2)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して64モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく72モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は342℃で、Tcは300℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
比較例3
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル293重量部、ハイドロキノン73重量部、テレフタル酸344重量部、イソフタル酸30重量部および無水酢酸1239重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2.5時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に35分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−3)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して75モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は348℃で、Tcは303℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が26Pa・sであった。
比較例4
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル293重量部、ハイドロキノン73重量部、テレフタル酸243重量部、イソフタル酸131重量部および無水酢酸1262重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に30分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−4)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して75モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく65モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は314℃で、Tcは267℃であり、高化式フローテスターを用い、温度330℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が22Pa・sであった。
比較例5
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸869重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル352重量部、ハイドロキノン87重量部、テレフタル酸350重量部、イソフタル酸99重量部および無水酢酸1253重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に45分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−5)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して70モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく78モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は340℃で、Tcは299℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
比較例6
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸907重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル344重量部、ハイドロキノン63重量部、テレフタル酸323重量部、イソフタル酸81重量部および無水酢酸1306重量部(フェノール性水酸基合計の1.12当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に9分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−6)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して73モル%であり、構造単位(II)が、構造単位(II)および(III)の合計に対して76モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は346℃で、Tcは300℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が26Pa・sであった。
比較例7
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル419重量部、テレフタル酸280重量部、イソフタル酸93重量部および無水酢酸1216重量部(フェノール性水酸基合計の1.06当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に38分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−7)は構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)の合計に対して75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して好ましく75モル%であり、構造単位(II)と、(IV)および(V)の合計は等モルであった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は350℃で、Tcは321℃であり、高化式フローテスターを用い、温度360℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が29Pa・sであった。
比較例8
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸907重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部および無水酢酸1010重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に5分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−8)は構造単位(I)は、構造単位(I)73モル%、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位27モル%であった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は283℃で、Tcは234℃であり、高化式フローテスターを用い、温度320℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
比較例9
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸914重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸67重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル377重量部、テレフタル酸336重量部、および無水酢酸1215重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら140℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、350℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を350℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に27分間反応を続け、トルクが20kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この全芳香族液晶性ポリエステル(B−9)は構造単位(I)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位の合計が、構造単位(I)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位および構造単位(IV)の合計に対して77.5モル%であり、構造単位(I)は構造単位(I)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位の合計に対して、94.9モル%であった。
この全芳香族液晶性ポリエステルの融点は336℃で、Tcは289℃であり、高化式フローテスターを用い、温度350℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が24Pa・sであった。
実施例8、比較例10
実施例1と比較例7の全芳香族液晶性ポリエステル(A−1、B−7)100重量部にガラス繊維(旭電気硝子製ECS03T−747H)を50重量部配合し、360℃で二軸押出機により混練し、ペレタイズした)。
Figure 0005098168
表1からも明らかなようにTm−Tcが本発明の範囲にある特定組成の全芳香族液晶性ポリエステルは、金型冷却による固化による損失を特異的受けにくく、2mm厚の金型での流動性が良好であり、また金型転写性にも優れている。
また、耐熱性とのバランスも良く、溶着強度も通常の液晶性ポリエステルに比較して優れていることがわかる。

Claims (4)

  1. 下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなり、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜75モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して65〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して75〜80モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルであって、融点Tmと降温結晶化温度Tcとが下式〔1〕の範囲となることを特徴とする全芳香族液晶性ポリエステル。
    42<Tm−Tc<45 −〔1〕
    (Tmは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)の観測後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。)
    Figure 0005098168
  2. 融点Tmと降温結晶化温度Tcとが下式〔2〕の範囲となることを特徴とする請求項1に記載の全芳香族液晶性ポリエステル。
    43≦Tm−Tc≦44 −〔2〕
  3. 請求項1または2に記載の全芳香族液晶性ポリエステル100重量部に対して、充填材30〜200重量部を配合してなる全芳香族液晶性ポリエステル組成物。
  4. 全芳香族液晶性ポリエステル原料中のフェノール性水酸基を無水酢酸中135℃以上150℃以下の温度で1.5〜3時間反応させアセチル化した後、重縮合して全芳香族液晶性ポリエステルを製造する方法であって、無水酢酸をフェノール性水酸基の合計に対して1.08〜1.12モル当量用いることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の全芳香族液晶性ポリエステルの製造方法。
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