JP2015063641A - 液晶性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い計量安定性を有しながら、得られた成形品が高温環境下での発生ガス、フォギング性に優れた液晶性ポリエステル樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(1)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して下記式に示される高級脂肪酸金属塩を0.005重量部以上0.4重量部以下含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物。【化1】R1、R2:ヒドロキシ基を1つ含有する炭素数12〜40の脂肪族炭化水素基M:アルカリ土類金属【選択図】なし
Description
本発明は計量安定性、発生ガス量、フォギング性に優れる液晶性ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた成形品に関する。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性樹脂が優れた流動性、耐熱性、機械的性質を有する点で注目されている。液晶性ポリエステル樹脂組成物の高い耐熱性を活かし、その組成物をプロジェクターなどのランプケース部品、レンズホルダー部品などのランプ周り部品、シャーシ部品などへの適用が進んでいる。しかしながら、プロジェクター自体の小型化や光源の出力上昇に伴い、プロジェクター内部の温度環境が一段と厳しくなり、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品が、160℃近傍の温度環境下で使用されるようになってきた。この温度領域では、液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品からガスが発生するため、レンズやミラーに付着し曇りが発生することが問題となってきている。
例えば、成形物からの揮発分の少ない熱可塑性樹脂組成物として、熱可塑性樹脂に、脂肪酸金属塩を配合してなる低揮発性熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1には、ポリプロピレンを用いた実施例が記載されているが、ポリプロピレン組成物の成形温度は、液晶性ポリエステル樹脂組成物の成形温度と比較して非常に低温となるため、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物は、高温での発生ガス量が多く、フォギング性が不十分との課題があった。
また、成形加工性向上のために、高級脂肪酸塩を含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2)。しかし、計量安定性、発生ガス量および、フォギング性については未だ不十分であるとの課題があった。
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として鋭意検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明は、計量安定性を損なうことなく、160℃近傍の領域での発生ガス量による曇りが少ない液晶性ポリエステル樹脂組成物およびその成形体を提供する。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶性ポリエステル樹脂および特定の高級脂肪酸金属塩を含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物が、計量安定性、ガス発生、フォギング性(発生ガスによりガラスなどが曇るのを防ぐ効果)に優れることを見出し、本発明に到達した。本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成の少なくとも一部を含み得る。
即ち、本発明は上述の課題を解決させるためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成の少なくとも一部を含み得る。
(1)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して式1に示される高級脂肪酸金属塩を0.005重量部以上0.4重量部以下含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(1)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して式1に示される高級脂肪酸金属塩を0.005重量部以上0.4重量部以下含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物。
R1、R2:ヒドロキシ基を1つ含有する炭素数12〜40の脂肪族炭化水素基
M:アルカリ土類金属
(2)前記高級脂肪酸金属塩を0.01重量部以上0.03重量部未満含有することを特徴とする(1)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(3)式1のMがマグネシウムである(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記液晶性ポリエステル樹脂が、p−オキシベンゾエート単位、4,4’−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位、テレフタレート単位およびイソフタレート単位から構成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
(6)成形品が光学機器部品であることを特徴とする(5)に記載の成形品。
を提供するものである。
M:アルカリ土類金属
(2)前記高級脂肪酸金属塩を0.01重量部以上0.03重量部未満含有することを特徴とする(1)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(3)式1のMがマグネシウムである(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記液晶性ポリエステル樹脂が、p−オキシベンゾエート単位、4,4’−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位、テレフタレート単位およびイソフタレート単位から構成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
(6)成形品が光学機器部品であることを特徴とする(5)に記載の成形品。
を提供するものである。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物によれば、計量安定性に優れ、得られる成形品は、ガス発生、フォギング性に優れる。特に高温領域での発生ガス量およびフォギング性に優れるため、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、光学機器部品などに好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、式1で示す高級脂肪酸金属塩を0.005以上、4.0重量部以下含有する。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂は、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂である。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が挙げられ、p−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられ、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンが好ましい。芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられ、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
これら液晶性ポリエステル樹脂の中でも、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶性ポリエステル樹脂は低ガス、フォギング性において好ましい。
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位(p−オキシベンゾエート単位)を、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位(4,4’−ジオキシビフェニル単位)を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位(1,4−ジオキシベンゼン単位)を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位(テレフタレート単位)を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位(イソフタレート単位)を各々示す。
構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%が好ましい。発生ガス量が低下することから、より好ましくは68〜78モル%である。
また、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%が好ましい。特に発生ガス量が低下することから、より好ましくは55〜78モル%であり、最も好ましくは58〜73モル%である。
また、構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%が好ましい。特に発生ガス量が低下することから、より好ましくは55〜90モル%であり、最も好ましくは60〜85モル%である。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであることが好ましい。ここで、「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位として等モルであることを示し、末端を構成する構造単位としては必ずしも等モルとは限らない。ポリマーの末端基を調節するために、ジカルボン酸成分またはジヒドロキシ成分を過剰に加えてもよい。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステルの重縮合法により得ることができる。例えば、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
本発明において、液晶性ポリエステル樹脂を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステル樹脂が溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を撹拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱して水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステル樹脂の溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合して反応を完了させる方法が挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
本発明において、液晶性ポリエステル樹脂を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステル樹脂が溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を撹拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱して水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステル樹脂の溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合して反応を完了させる方法が挙げられる。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を、例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂における各構造単位の含有量は、以下の処理によって算出することができる。すなわち、液晶性ポリエステル樹脂をNMR(核磁気共鳴)試験管に量りとり、液晶性ポリエステル樹脂が可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン−d2混合溶媒)に溶解して、1H−NMRスペクトル測定を行う。各構造単位の含有量は、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
また、本発明における液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、10〜100Pa・sが特に好ましい。なお、溶融粘度は液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
なお、本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)とは、示差熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂を室温から40℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点(Tm)を指す。
本発明における高級脂肪酸金属塩における、式1中のR1およびR2とは、炭素数12〜40の脂肪族炭化水素基であり、炭素鎖上に一つのヒドロキシ基を有する。その中でも炭素数12〜24の脂肪族炭化水素基が好ましい。また、式1のMは、アルカリ土類金属である。具体的には、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
アルカリ土類金属以外の金属からなる高級脂肪酸金属塩を用いた場合の、液晶性ポリエステル樹脂組成物の成形品は、フォギング性が不十分である。アルカリ土類金属の中でも計量安定性が良好であるため、マグネシウムが好ましい。
本願発明における高級脂肪酸金属塩を用いない場合は、液晶性ポリエステル樹脂組成物中においてフォギングの原因となる低分子量化合物が増加するため、得られる成形品のフォギング性が劣ると推測される。また、計量安定性にも劣る。
本発明で用いる高級脂肪酸金属塩としては150℃以上の融点を有するものが好ましく、液晶性ポリエステル樹脂組成物の成形加工性の点から200℃以上の融点を有するものがより好ましい。なお、高級脂肪酸金属塩の融点は、示差熱量測定により室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度により測定することができる。
前記高級脂肪酸金属塩としては、“EMS−6(12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム:勝田化工株式会社)、“SC−120H”(12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム:堺化学工業株式会社)などが市販されている。
(3)本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記高級脂肪酸金属塩を0.005重量部以上0.4重量部以下含有する。0.005重量部未満では成形時にペレットの計量が安定しないため、0.005重量部以上が好ましい。また、0.4重量部を超えると、成形品を高温環境下で使用した際の発生ガス量が増加するため、曇りの増加、成形性が不安定になるため、0.4重量部以下が好ましい。成形加工性の向上効果が十分に得られ、なおかつ高温環境下での発生ガスが少ないため、0.01重量部以上0.03重量部未満が最も好ましい。
(4)本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物には本発明の目的を損なわない範囲で、繊維状充填材や、繊維状充填材以外の充填材を含有してもよい。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、ボロンウィスカー繊維、アスベスト繊維などを挙げることができる。繊維状充填材以外の充填材としては、例えば、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナイト、酸化チタン、二硫化モリブデン等の粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。さらには、本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂(フッ素樹脂など)を添加して、所定の特性を付与することができる。
充填材を添加する場合、その添加量は液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して5重量部以上が好ましく、15重量部以上がより好ましい。また、200重量部以下が好ましく、150重量部以下がより好ましい。充填材の添加量が上記範囲である場合、成形品の機械強度を向上させることができる。
(5)本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は溶融混練により製造することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いることができる。これらのうち、本発明の液晶性樹脂組成物は、繊維状充填材の数平均長さを制御する必要があることから、押出機を用いることが好ましく、二軸押出機を用いることがより好ましく、なかでも中間添加口を有する二軸押出機を用いることが特に好ましい。ただし、高級脂肪酸金属塩は、液晶性樹脂やその他の添加剤とともに二軸押出機中で溶融混練してもよいが、溶融混練押出後のペレットにブレンド(例えばタンブラーミキサ、リボンブレンダなど)するのが、成形加工性を飛躍的に向上させるにはより好ましい。
(6)本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、公知の成形法により各種成形品に成形されるが、計量安定性に優れるため、薄肉流動性を活かして、射出成形することが好ましい。
かくして得られる成形品は、発生ガス、フォギング性に優れることから光学機器部品に好適に用いることができる。光学機器部品としては、事務電気製品部品、複写機関連部品などがあり、具体的にはプロジェクターなどのランプケース部品、レンズホルダーや、ブラケットなどのランプ周り部品、シャーシ部品などが挙げられる。
その他には各種ギヤー、各種ケース、センサー、LED用部品、液晶バックライトボビン、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、リレー用スプールおよびベース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品(プラズマ、有機EL、液晶)、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品などに代表される家庭、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ECUコネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、シート用途としてはドアトリム、バンパーやサイドフレームの緩衝材、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブなどを挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
液晶性ポリエステル樹脂の組成分析および融点は、以下の方法により測定する。
(1)液晶性ポリエステル樹脂の組成分析
液晶性ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶性ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
液晶性ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶性ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
(2)液晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)の測定
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、液晶性ポリエステル樹脂を室温から40℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点(Tm)とした。
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、液晶性ポリエステル樹脂を室温から40℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点(Tm)とした。
実施例および比較例の液晶性ポリエステル樹脂組成物について行なった各特性の評価方法は以下の通りである。
(1)計量安定性
液晶性ポリエステル樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、ASTM1号ダンベル試験片を成形した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂組成物の融点Tm+10℃に設定し、金型温度を90℃に設定した。その際、成形に要する計量時間を測定した。20ショットについて捨てショットを実施後、続く100ショットの計量時間の算術平均値、標準偏差を求めた。
液晶性ポリエステル樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、ASTM1号ダンベル試験片を成形した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂組成物の融点Tm+10℃に設定し、金型温度を90℃に設定した。その際、成形に要する計量時間を測定した。20ショットについて捨てショットを実施後、続く100ショットの計量時間の算術平均値、標準偏差を求めた。
(2)発生ガス量
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ−温度を液晶性ポリエステルの融点+10℃に設定し、金型温度90℃の条件で射出成形を行い、ASTM1号ダンベル試験片を得た。ASTM1号ダンベル試験片を縦1cm、横2cmに切削し試験片を作成した。この試験片の重量を測定し、アルミカップに入れ、340℃の雰囲気下で1時間処理後、再度試験片重量を測定した。この時の重量減量を処理前の試験片の重量で徐してパーセント表示したのが加熱減量である。この加熱減量が少ない樹脂組成物ほど、低ガス性に優れる。
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ−温度を液晶性ポリエステルの融点+10℃に設定し、金型温度90℃の条件で射出成形を行い、ASTM1号ダンベル試験片を得た。ASTM1号ダンベル試験片を縦1cm、横2cmに切削し試験片を作成した。この試験片の重量を測定し、アルミカップに入れ、340℃の雰囲気下で1時間処理後、再度試験片重量を測定した。この時の重量減量を処理前の試験片の重量で徐してパーセント表示したのが加熱減量である。この加熱減量が少ない樹脂組成物ほど、低ガス性に優れる。
(3)フォギング性
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ−温度を液晶性ポリエステルの融点+10℃に設定し、金型温度90℃の条件で射出成形を行い、ASTM1号ダンベル試験片を得た。ASTM1号ダンベル試験片を縦1cm、横2cmに切削し試験片を作成した。この試験片を試験管(外径18.0mm×高さ105mm)に入れ、これをサンプルとした。穴径φ18.5mm×6個、深さ50mmのアルミブロックが2個入ったサイニクス社製ドライブロックバスに試験管を挿入し、サンプル上にスライドガラスを載せ、160℃×150hr加熱し、この際に発生したガスをスライドガラス上に付着させた。その後、スライドガラスを東洋精機社製直読ヘイズメーターにてヘイズ値(曇り)を測定した。ヘイズ値が小さいほど曇りが少ないことを示す。
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ−温度を液晶性ポリエステルの融点+10℃に設定し、金型温度90℃の条件で射出成形を行い、ASTM1号ダンベル試験片を得た。ASTM1号ダンベル試験片を縦1cm、横2cmに切削し試験片を作成した。この試験片を試験管(外径18.0mm×高さ105mm)に入れ、これをサンプルとした。穴径φ18.5mm×6個、深さ50mmのアルミブロックが2個入ったサイニクス社製ドライブロックバスに試験管を挿入し、サンプル上にスライドガラスを載せ、160℃×150hr加熱し、この際に発生したガスをスライドガラス上に付着させた。その後、スライドガラスを東洋精機社製直読ヘイズメーターにてヘイズ値(曇り)を測定した。ヘイズ値が小さいほど曇りが少ないことを示す。
(A)液晶性ポリエステル樹脂
[参考例1] 液晶性ポリエステル樹脂(A−1)の合成
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.30モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327g(1.89モル)、ハイドロキノン89g(0.81モル)、テレフタル酸292g(1.76モル)、イソフタル酸157g(0.95モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
[参考例1] 液晶性ポリエステル樹脂(A−1)の合成
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.30モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327g(1.89モル)、ハイドロキノン89g(0.81モル)、テレフタル酸292g(1.76モル)、イソフタル酸157g(0.95モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(A−1)は、構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(III)、構造単位(IV)および構造単位(V)からなり、構造単位(I)を構造単位(I)、構造単位(II)および構造単位(III)の合計に対して70モル%、構造単位(II)を構造単位(II)および構造単位(III)単位の合計に対して70モル%、構造単位(IV)を構造単位(IV)および構造単位(V)の合計に対して65モル%有する。また、構造単位(II)および構造単位(III)の合計は全構造単位に対して23モル%であり、構造単位(IV)および構造単位(V)の合計は全構造単位に対して23モル%であった。液晶性ポリエステル樹脂(A−1)の融点(Tm)は314℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は20Pa・sであった。
[参考例2] 液晶性ポリエステル樹脂(A−2)の合成
p−ヒドロキシ安息香酸994g(7.20モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル181g(0.97モル)、テレフタル酸161g(0.97モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート159g(0.83モル)および無水酢酸1026g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を重合容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、335℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を335℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱攪拌した。その後、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
p−ヒドロキシ安息香酸994g(7.20モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル181g(0.97モル)、テレフタル酸161g(0.97モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート159g(0.83モル)および無水酢酸1026g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を重合容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、335℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を335℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱攪拌した。その後、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂は、p−オキシベンゾエート単位80.0モル%、4,4’−ジオキシビフェニル単位10.8モル%、エチレンジオキシ単位9,2モル%、テレフタレート単位20.0モル%を有し、融点(Tm)は326℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度335℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は13Pa・sであった。
[参考例3] 液晶性ポリエステル樹脂(A−3)の合成
特開昭54−77691号公報に従って、p−アセトキシ安息香酸921重量部と6−アセトキシ−ナフトエ酸435重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行った。得られた液晶性ポリエステル樹脂(A−3)はp−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位57モル当量および6−アセトキシ−ナフトエ酸から生成した構造単位22モル当量からなり、融点(Tm)は283℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度293℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は30Pa・sであった。
特開昭54−77691号公報に従って、p−アセトキシ安息香酸921重量部と6−アセトキシ−ナフトエ酸435重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行った。得られた液晶性ポリエステル樹脂(A−3)はp−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位57モル当量および6−アセトキシ−ナフトエ酸から生成した構造単位22モル当量からなり、融点(Tm)は283℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度293℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は30Pa・sであった。
(B)ガラス繊維
(B−1)日本電気硝子(株)社製“ミルドファイバー EPG70M−01N”
(B−1)日本電気硝子(株)社製“ミルドファイバー EPG70M−01N”
各実施例および比較例において用いた高級脂肪酸金属塩を次に示す。
(C)高級脂肪酸金属塩
(C−1)12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム:勝田化工(株)社製“EMS−6”
(C−2)12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム:堺化学工業(株)社製“SC−120H”
(C−3)ステアリン酸マグネシウム:堺化学工業(株)社製“SM−P”
(C−4)ステアリン酸リチウム:勝田化工(株)社製“Li−St”
(C−5)12−ヒドロキシステアリン酸リチウム:勝田化工(株)社製“Li−StOH”
(C−1)12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム:勝田化工(株)社製“EMS−6”
(C−2)12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム:堺化学工業(株)社製“SC−120H”
(C−3)ステアリン酸マグネシウム:堺化学工業(株)社製“SM−P”
(C−4)ステアリン酸リチウム:勝田化工(株)社製“Li−St”
(C−5)12−ヒドロキシステアリン酸リチウム:勝田化工(株)社製“Li−StOH”
[実施例1〜6]
スクリュー径44mmの同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−44、空間部容積(V)1590cm3)を用いて液晶性ポリエステル樹脂(A)を表1に示す配合量でホッパーから投入し、ガラス繊維(B)を液晶性ポリエステル樹脂組成物の合計100重量部に対して表1に示す配合量で中間供給口から投入した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂(A)の融点+10℃に設定し、溶融混練して液晶性ポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。このペレットに対して、高級脂肪酸金属塩(C)をタンブラーブレンダーにより混合した。
スクリュー径44mmの同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−44、空間部容積(V)1590cm3)を用いて液晶性ポリエステル樹脂(A)を表1に示す配合量でホッパーから投入し、ガラス繊維(B)を液晶性ポリエステル樹脂組成物の合計100重量部に対して表1に示す配合量で中間供給口から投入した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂(A)の融点+10℃に設定し、溶融混練して液晶性ポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。このペレットに対して、高級脂肪酸金属塩(C)をタンブラーブレンダーにより混合した。
得られたペレットを熱風乾燥後、前記の方法により計量安定性、発生ガス量、フォギング性を評価した。表1にその結果を示した。
[比較例1〜6]
組成、高級脂肪酸金属塩を表1に示すとおり変更した以外は実施例1〜6と同様にして、計量安定性、発生ガス量、フォギング性を評価した。表1にその結果を示す。
組成、高級脂肪酸金属塩を表1に示すとおり変更した以外は実施例1〜6と同様にして、計量安定性、発生ガス量、フォギング性を評価した。表1にその結果を示す。
表1からも明らかなように、実施例1〜6の液晶性ポリエステル樹脂組成物は比較例に示した1〜6に示した液晶性ポリエステル樹脂組成物に比較して、計量安定性に優れ、さらに得られる成形品の発生ガス量に優れ、フォギング性が改善されていることがわかる。
Claims (6)
- 前記高級脂肪酸金属塩を0.01重量部以上、0.03重量部未満含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
- 式1のMがマグネシウムである請求項1または請求項2に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記液晶性ポリエステル樹脂が、p−オキシベンゾエート単位、4,4’−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位、テレフタレート単位およびイソフタレート単位から構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
- 成形品が光学機器部品であることを特徴とする請求項5に記載の成形品。
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-
2013
- 2013-09-26 JP JP2013199661A patent/JP2015063641A/ja active Pending
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