JP2016089154A - 液晶性ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた成形品 - Google Patents

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Tomoshi Matsubara
知史 松原
剛士 嶋田
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剛士 嶋田
立川 浩司
Koji Tachikawa
浩司 立川
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【課題】高い流動性を維持しながら高温時の剛性に優れ、ブリスターの発生を低減することのできる液晶性ポリエステル樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)板状充填材を10〜80重量部含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物であって、液晶性ポリエステル樹脂組成物中での液晶性ポリエステル樹脂の融点が300℃以上330℃未満かつ、液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品の、ASTM D648に準拠して測定した荷重たわみ温度が260℃以上285℃未満である、液晶性ポリエステル樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、液晶性ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた成形品に関する。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され、市場に供されている。中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性樹脂は、優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、機械部品、電気・電子部品などに用途が拡大されつつある。特に、良流動性を必要とするコネクターなどの電気・電子部品に好適に用いられている。
これら機械部品、電気・電子部品は、近年の機器の小型化や軽量化に伴い、薄肉化や形状の複雑化が進みつつあり、また小型化、薄肉化に伴い、さらに高い流動性と寸法安定性が要求されてきている。また、近年では、環境面の配慮から鉛フリーはんだ対応の製品が数多く見られるようになった。鉛フリーはんだは、はんだ付けに必要な温度が従来のはんだよりも非常に高く、樹脂組成物から得られる成形品にも、高温でのリフロー処理が行われる。リフロー処理により生じるそり量が大きいと、はんだ密着不良の原因となる。そのため、特にリフロー処理において、高温下に曝される電気・電子部品においては、高温処理後の高い寸法安定性が要求されている。このような要求を達成するために、特定の融点の液晶性ポリエステルに対して、無機板状充填材や無機繊維状充填材を配合する手法(例えば、特許文献1)や、繊維状無機フィラーの繊維長、繊維径を制御する手法(例えば、特許文献2)などが開示されている。しかしながらこれら手法で得られる樹脂組成物は高温時の剛性による低そり性、およびブリスターの低減に関して不十分であった。
特開2010−138228号公報 特開2008−280478号公報
本発明は、高い流動性を維持しながら高温時の剛性に優れ、ブリスターの発生を低減することのできる液晶性ポリエステル樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。
(1)(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)板状充填材を10〜80重量部含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物であって、
液晶性ポリエステル樹脂組成物中の、液晶性ポリエステル樹脂の融点が300℃以上330℃未満であり、かつ、
液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品の、ASTM D648に準拠して測定した荷重たわみ温度が260℃以上285℃未満である、液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(2)前記(B)板状充填材の体積平均粒子径が5μm〜50μmである、(1)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(3)前記(B)板状充填材の体積累積粒度分布曲線における累積度10%粒子径(D10)と累積度90%粒子径(D90)の比(D90/D10)が3.50〜6.00である、(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(4)前記(A)液晶性ポリエステル樹脂の、式1で定義されるΔS(融解エントロピー)が2.0〜3.5×10−3J/g・Kである、(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) [1]
(ただしΔHmは融解熱量、Tmは融点を示す。)
(5)前記(A)液晶性ポリエステルが下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される、(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
Figure 2016089154
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は高い流動性、具体的には、射出成形時の薄肉流動性に優れており、高温時の剛性に優れ、ブリスターの発生の少ない成形品を得ることができる。本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物から得られる成形品は、形状が複雑で薄肉の電気・電子部品や機械部品に好適に用いられる。
実施例において作製したコネクター成形品の斜視図およびそり量の測定部位を示す概念図である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)板状充填材を10〜80重量部含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物であって、液晶性ポリエステル樹脂組成物中の、液晶性ポリエステル樹脂の融点が300℃以上330℃未満であり、かつ、液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品の、ASTM D648に準拠して測定した荷重たわみ温度が260℃以上285℃未満である、液晶性ポリエステル樹脂組成物である。
本発明の(A)液晶性ポリエステル樹脂は異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有する。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。また液晶性ポリエステル樹脂は、上記構造単位に加えて、芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位を含有しても良い。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が挙げられ、p−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられ、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンが好ましい。芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられ、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
具体的な液晶性ポリエステル樹脂としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂が好ましく用いられ、なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステル樹脂が特に好ましく用いられる。
中でも下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶性ポリエステル樹脂が好ましい。かかる液晶性ポリエステル樹脂は、流動性および高温時の剛性に優れていることから、板状充填材を配合した組成物は射出時の薄肉流動性に優れており、また、得られる成形品はリフロー後のそりおよびブリスターの発生率が少ないという効果を奏する。
下記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位を、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
Figure 2016089154
構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%が好ましく、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%が好ましく、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%が好ましく、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計が実質的に等モルであることが好ましい。
構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であることが好ましく、70モル〜78モル%が耐熱性の特性が良好に得られより好ましく、73〜78モル%においては所望の荷重たわみ温度を有する液晶性ポリエステル樹脂組成物が得られるため特に好ましい。
構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%が好ましく、58〜75モル%が靭性の特性が良好に得られより好ましく、58〜70モル%においては高温時の剛性が更に良好に得られるため特に好ましい。
構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%が好ましく、65〜85モル%が耐熱性の特性が良好に得られより好ましく、70〜80モル%が所望の荷重たわみ温度を有する液晶性ポリエステル樹脂組成物が得られるため特に好ましい。
また構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルであることが好ましい。ここでいう「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位が等モルであることを示す。このため、末端を構成する構造単位まで含めた場合には必ずしも等モルとはならない態様も、「実質的に等モル」の要件を満たしうる。
本発明の実施形態において各構造単位の含有量は液晶性ポリエステル樹脂をNMR(核磁気共鳴)試験管に量りとり、液晶性ポリエステル樹脂が可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン−d混合溶媒)に溶解して、H−NMRスペクトル測定を行い、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
上記構造単位(I)〜(V)の含有量が上記範囲内である場合、流動性に優れ、リフロー後の優れた低そり性、高温時剛性を発現する液晶性ポリエステル樹脂組成物を容易に得ることができる。
また本発明の実施形態における液晶性ポリエステル樹脂は、下式[1]で定義されるΔS(融解エントロピー)が2.0〜3.5×10−3J/g・Kであることが好ましい。このような液晶性ポリエステル樹脂は結晶状態が良好に制御されており、樹脂組成物を成形した際に、本発明の効果であるリフロー後の低そり性、曲げ特性および高温時の剛性を高度にバランス良く発現することができるため好ましい。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) [1]
ここでTm(融点)とは示差走査熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)を指す。ΔHmは該Tmの吸熱ピーク面積(ΔHm)である。
通常、TmとTm、またその吸熱ピーク面積(ΔHmとΔHm)は同等の値となるが、ポリマーの重合後、繊維やフィルム等に加工する際に溶融後延伸がかけられると、必ずしも同等とはならない場合がある。上記溶融後延伸がかけられると、ポリマーの分子が強く配向し、示差走査熱量測定における二度目の昇温時にも十分に配向緩和せず、TmおよびΔHmが本来のポリマーの特性を現さず、TmとTm、およびΔHmとΔHmとが変化することがあるためである。そのため、ポリマーの正確なΔS(融解エントロピー)を求める際は、外因がないTmおよびΔHmを用いて算出する必要がある。
ΔS(融解エントロピー)は、より好ましくは2.2×10−3J/g・K以上であり、特に好ましくは2.4×10−3J/g・K以上である。また3.3×10−3J/g・K以下がより好ましく、3.0×10−3J/g・K以下が特に好ましい。ΔS(融解エントロピー)がこのような範囲にある場合には、得られる液晶性ポリエステル樹脂組成物のリフロー後の低そり性や優れた流動性が発現するため好ましい。
一方で、ΔSを3.0×10−3J/g・Kより大きく3.5×10−3J/g・K以下にすることで、分子同士のパッキング性が向上し高結晶化するので曲げ弾性率が大きくなり、また荷重たわみ温度を上げることができるため好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂の4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位(II)と、ハイドロキノンから生成した構造単位(III)において、構造単位(II)が構造単位(II)および(III)の合計に対して80〜85モル%であり、かつ液晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量が5,000〜10,000の範囲にしたときΔSを3.0×10−3J/g・Kより大きく3.5×10−3J/g・K以下範囲にすることができ、好ましい。
ΔS(融解エントロピー)を上記範囲とすることにより、液晶性ポリエステル樹脂の結晶性が制御されるため、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形した場合に、分子内にひずみを生じない状態で成形品を得ることができる。その結果、リフロー後のそり量が低減し、また優れた曲げ特性を有する成形品が得られる。
また、ΔHm(融解熱量)および融点(Tm)の測定において、吸熱ピークが得られない場合にはΔSを算出することができない。そのため、このようなピークの観測されない液晶性ポリエステル樹脂では、耐熱性が低くなり好ましくない。
本発明の実施形態の(A)液晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物中の、液晶性ポリエステル樹脂の融点が300℃以上330℃未満になるために、より好ましくは310℃以上330℃未満、更に好ましくは317℃以上327℃以下である。
本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、3,000〜50,000が好ましく、より好ましくは4,000〜20,000、さらに好ましくは5,000〜10,000の範囲である。
本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量を数平均分子量で除した値である分散度が2.5以下であることが好ましい。分散度が2.5以下である場合には、分子量分布がシャープであるため溶融性および結晶性が良好となり本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形した成形品の強度がより向上する。分散度を2.5以下にすることによる強度の向上は、高結晶化により成形品の表面硬度が高くなるためと推察される。分散度は好ましくは2.2以下であり、より好ましくは2.0以下である。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、液晶性ポリエステル樹脂が可溶な溶媒を溶離液として使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。液晶性ポリエステル樹脂が可溶な溶媒としては、例えば、ハロゲン化フェノール類、ハロゲン化フェノールと一般有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。好ましくはペンタフルオロフェノール、およびペンタフルオロフェノールとクロロホルムの混合溶媒であり、なかでもハンドリング性の観点からペンタフルオロフェノール/クロロホルム混合溶媒が好ましい。
本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度は、1〜50Pa・sが好ましく、4〜20Pa・sがより好ましく、さらには5〜10Pa・sが特に好ましい。なお、溶融粘度は、液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃の条件で、剪断速度1,000/秒の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステルの脱酢酸重合法により得ることができる。ポリエステルの脱酢酸重合法として、例えば、所定量の芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールのフェノール性水酸基を、無水酢酸を用いてアセチル化した後、脱酢酸重合する方法が挙げられる。なお、本発明の実施形態において、芳香族ヒドロキシカルボン酸はp−ヒドロキシ安息香酸が好ましく、芳香族ジオールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンが好ましい。
アセチル化する工程においては、例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、および無水酢酸を、反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱して水酸基をアセチル化することが好ましい。上記反応容器は、撹拌翼を備えることとしてもよく、また、留出管を備えることとしても良く、また、下部に吐出口を備えることとしてもよい。アセチル化する条件は、通常130〜150℃の温度で1〜3時間が好ましい。
無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.15モル当量以下であることが好ましく、1.12モル当量以下がより好ましい。一方、フェノール性水酸基の合計の1.00モル当量以上であることが好ましく、1.05モル当量以上がより好ましく、1.07モル当量以上がさらに好ましい。無水酢酸の使用量を上記範囲にすることにより、アセチル化反応速度の小さいハイドロキノンのアセチル化率を容易に制御し、ガス発生量がより少ない優れた液晶性ポリエステル樹脂およびその樹脂組成物を得ることができる。
また脱酢酸重合する工程としては、液晶性ポリエステル樹脂が溶融する温度において減圧下で反応させ、重合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。溶融重合法としてより具体的には、アセチル化後、酢酸を留去させながら反応を進行させるために、液晶性ポリエステル樹脂の溶融温度以上に昇温し、減圧により脱酢酸重合することが好ましい。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れた液晶性ポリエステル樹脂およびその樹脂組成物を得ることができ、好ましい。
脱酢酸重合させる温度は、液晶性ポリエステル樹脂の一般的な溶融温度、例えば、250〜365℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃以上の温度である。重合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重合は同一の反応容器で連続して行ってもよいし、異なる反応容器で行ってもよい。
特に本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂のΔS(融解エントロピー)を前記所望の範囲に容易に制御するためには、脱酢酸重合する工程における重合缶ジャケット温度を、270℃から重合最高温度までの間の平均昇温速度が1.0〜1.6℃/分となるように昇温することが好ましい。270℃から重合最高温度までの平均昇温速度を1.0〜1.6℃/分とすることにより、脱酢酸重合工程におけるモノマーの反応性を適切に制御することができ、また、アセチル化されたモノマーのオリゴマー化反応を制御できるため、ポリマーの分子量分布や、ブロック化しやすいp−ヒドロキシ安息香酸の反応性を制御し、ΔS(融解エントロピー)が2.0〜3.5×10−3J/g・Kとなる液晶性ポリエステル樹脂を容易に得ることができる。
すなわち、270℃から重合最高温度までの平均昇温速度を1.0℃/分以上とすることにより、重合を速やかに進行させてp−ヒドロキシ安息香酸を適度にブロック化させ、また、溶融滞留時間の増加に伴う液晶性ポリエステル樹脂の組成ずれを抑制することができる。組成ずれを抑制することができるため、ΔS(融解エントロピー)が2.0×10−3J/g・K以上の液晶性ポリエステル樹脂を容易に得ることができる。平均昇温速度は1.2℃/分以上が好ましく、1.4℃/分以上がより好ましい。
一方、270℃から重合最高温度までの平均昇温速度を1.6℃/分以下とすることにより、モノマーの重合時の昇華による組成ずれを抑制することができ、またp−ヒドロキシ安息香酸の反応性を適度に抑えてブロック化を適度に抑制することができ、ΔS(融解エントロピー)が3.5×10−3J/g・K以下の液晶性ポリエステル樹脂を容易に得ることができる。また、重合缶ジャケット温度上昇に対して内温が追随しやすく、生産性も向上する。なお、重合缶ジャケットの平均昇温速度について、アセチル化されたモノマーのオリゴマー化反応が、270℃付近から進行し始めることから、重合缶ジャケット温度270℃から重合最高温度までの平均昇温速度に着目した。
また、本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度を前記所望の範囲に容易に制御するためには、重合時の撹拌に要するトルクが5〜20kg・cmに到達したところで重合を完了させることが好ましい。好ましくは、8〜16kg・cmである。また、本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量を前記所望の範囲に容易に制御するために、重合時の撹拌に要するトルクを前記範囲にすることは有効である。
重合終了後、得られたポリマーを反応容器から取り出す方法としては、ポリマーが溶融する温度で反応容器内を加圧することにより、反応容器に設けられた吐出口よりポリマーを吐出させ、吐出されたポリマーを冷却水中で冷却する方法を挙げることができる。上記反応容器内の加圧は、例えば、0.02〜0.5MPaとしてもよい。上記吐出口は、反応容器下部に設けてもよい。また、ポリマーは、吐出口からストランド状に吐出させてもよい。冷却液中で冷却したポリマーをペレット状に切断することで、樹脂ペレットを得ることができる。
液晶性ポリエステル樹脂の重合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を触媒として使用することもできる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)板状充填材を10〜80重量部含有する。板状充填材の含有量が10重量部未満であると、成形品の異方性も大きくなるため寸法安定性が低下し、樹脂の流れ方向(MD方向)と樹脂の流れ方向と直行する方向(TD方向)の線膨張率の差が大きくなり低ソリ性が著しく低下する。15重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましい。一方、板状充填材が80重量部を超えると、流動性が著しく低下する。75重量部以下が好ましく、70重量部以下がより好ましい。
本発明の(B)板状充填材の体積平均粒子径は、板状充填材の補強効果により成形品の低ソリ性をより向上させる観点から、5μm以上が好ましく、10μmがより好ましく、15μmがより好ましい。一方、薄肉流動時の流動ばらつきを抑える観点から、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がより好ましい。
本発明の(B)板状充填材の体積累積粒度分布曲線における累積度10%粒子径(D10)と累積度90%粒子径(D90)の比(D90/D10)は、粒子径の大きい板状充填材と、より粒子径の小さい板状充填材の分布を示しており、D90/D10の値が大きいと粒子径の小さい板状充填材を多く含み、逆に値が小さいと粒子径の小さい板状充填材が少ないと言える。D90/D10は、液晶性ポリエステル樹脂と板状充填材の間に発生する摩擦を抑制して流動性をより向上させる観点から、3.50以上が好ましく、3.70以上がより好ましく、3.90以上がより好ましい。一方、薄肉成形品を成形する際に、薄肉部を流動するときの流動ばらつきを抑える観点から、6.00以下が好ましく、5.80以下がより好ましく、5.60以下がより好ましい。
本発明の(B)板状充填材の重量平均厚みは、成形品の低ソリ性をより向上させる観点から、0.10μm以上が好ましく、0.20μm以上がより好ましく、0.30μm以上がより好ましい。一方、板状充填材を均等に分散させ、成形品の流動バラツキをより低減させる観点から、1.0μm以下が好ましく、0.70μm以下がより好ましく、0.50μm以下がより好ましい。
板状充填材の体積平均粒子径は、板状充填材を100mg秤量し、水中に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製“LA−300”)を用いて測定する。累積度10%粒子径(D10)と累積度90%粒子径(D90)の比(D90/D10)は、体積平均粒子径を測定して得られる体積累積粒度分布曲線から算出する。また、板状充填材の重量平均厚みは、電子顕微鏡を用いて倍率1200倍にて観察し、無作為に選択した500個以上の板状充填材の厚みを測定する。重量平均厚みは(Σni・Ti)/(Σni・Ti)で示される。ここで、Tiとは板状充填材1枚の厚みであり、niとは(厚みがTiである板状充填材の枚数)/(測定した板状充填材の全枚数)で算出される。
(B)板状充填材としては、マイカ、タルク、ガラスフレーク、層状ケイ酸塩などが挙げられるが、特に成形品の高温時の剛性が向上するため、マイカを用いることが好ましい。
マイカは天然に産出される白雲母、黒雲母、金雲母、人工的に製造される合成マイカのいずれでもよい。これらを2種以上含んでもよい。
マイカの製造方法としては、例えば、水流式ジェット粉砕、石臼による湿式摩砕等の湿式粉砕や、乾式ボールミル粉砕、加圧ローラーミル粉砕、気流式ジェットミル粉砕、アトマイザー等の衝撃粉砕機による乾式粉砕などが挙げられる。
また、本発明においては、マイカと液晶性ポリエステル樹脂との濡れ性を向上させる目的で、マイカの表面をシランカップリング剤などで処理してもよい。また、不純物の除去、マイカの硬質化を目的に熱処理加工をしたマイカを用いてもよい。
また、本発明の充填材としては、液晶性ポリエステル樹脂組成物の特性を損なわない範囲でガラス繊維などの繊維状充填材や、粒状あるいは粉状充填材を含有してもよい。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、ボロンウィスカー繊維、アスベスト繊維などを挙げることができる。また粒状あるいは粉状充填材としてグラファイト、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナイト、酸化チタン、二硫化モリブデンなどの無機フィラーを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。
また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、酸化防止剤および熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(例えば、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(例えば、ニトロシンなど)および顔料(例えば、硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、帯電防止剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない程度の範囲で含有して、所定の特性を付与することができる。帯電防止剤としては特にエステル系ワックスやスルホン酸塩、導電性カーボン、金属石鹸などを用いることができる。特に、エステル系ワックスやスルホン酸塩は液晶性樹脂や充填材と相溶性を上げることで成形時に適度に成形品にブリードアウトさせることが可能であり、表面抵抗値を適切に制御することが容易になることから、好ましい。
エステル系ワックスとしてはグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステルなどが市販されているが相溶性の観点からソルビタン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
スルホン酸塩としては熱的安定性の点でトリフルオロメタンスルホン酸塩が好ましく用いられる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、例えば、上記液晶性ポリエステル樹脂、板状充填材と必要により他の成分を溶融混練することにより得ることができる。溶融混練する方法としては、例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法を挙げることができる。板状充填材を均質に分散性良く混練するため、押出機を用いることが好ましく、二軸押出機を用いることがより好ましく、中間供給口を有する二軸押出機を用いることがより好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物中の、液晶性ポリエステル樹脂の融点は300℃以上330℃未満である。なお、液晶性ポリエステル樹脂と板状充填材の溶融混練時に、樹脂の末端基同士が反応するため、あるいは、板状充填材が液晶性ポリエステル樹脂の配向に影響を与えるため、必ずしも液晶性ポリエステル樹脂組成物中の、液晶性ポリエステル樹脂の融点が、液晶性ポリエステル樹脂の融点と同じになるとは限らない。液晶性ポリエステル樹脂組成物中の、液晶性ポリエステル樹脂の融点は305℃以上がより好ましく、310℃以上が最も好ましい。成形加工性の観点からは330℃以下が好ましく、328℃以下がより好ましい。300℃未満であると成形品の高温時の剛性が低下してしまう。330℃以上であると成形加工温度が高くなり成形加工性が低下する。本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物の融点は、示唆操作熱量測定において測定する。測定方法は、先述した液晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)と同様である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品の荷重たわみ温度は260℃以上285℃未満である。265℃以上がより好ましい。また、280℃以下が好ましく、275℃以下がより好ましい。260℃未満であると高温時の剛性が低下してしまう。285℃以上であると成形品が変形する際に応力集中しやすくなりソリが大きくなってしまう。
荷重たわみ温度は液晶性ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる曲げ試験片を用いて、ASTM D648に準拠して測定することができる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品の曲げ弾性率は、成形品の高温時の剛性をより向上させる観点から14GPa以上が好ましく、14.5GPa以上がより好ましい。また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品の曲げ歪み量は、成形品の高温時の剛性をより向上させる観点から3.0mm以下が好ましく、2.6mm以下がより好ましい。
曲げ弾性率、曲げ歪みは液晶性ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる曲げ試験片を用いて、ASTM D790に準拠して測定することができる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LED用部品、液晶バックライトボビン、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、リレー用スプールおよびベース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品(プラズマ、有機EL、液晶)、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ECUコネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、シート用途としてはドアトリム、バンパーやサイドフレームの緩衝材、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブなどを挙げることができる。また、カメラモジュール部品、光ピックアップレンズホルダ、オートフォーカスカメラレンズモジュールなどの摺動性部品にも好適に用いることができる。
特に、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は精密射出成形用途に最適であり、センサー、ボビン、コネクター、ソケット、リレー部品、スイッチなどで、特に0.2mm以下の薄肉部を有するような部品に好ましく用いることができ、特にコネクターに最適である。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。各実施例および比較例に用いた液晶性ポリエステル樹脂と板状充填材を以下に示す。
なお、液晶性ポリエステル樹脂の組成分析および融点の測定は以下の方法により行なった。
(1)液晶性ポリエステル樹脂の融点および液晶性ポリエステル樹脂組成物中の液晶性ポリエステル樹脂の融点測定、ならびに液晶性ポリエステル樹脂の融解エントロピー(ΔS)の測定
Tm(融点)は示差走査熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂または液晶性ポリエステル樹脂組成物を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)とした。
融点とその吸熱ピーク面積(ΔHm)から下式[1]によってΔS(J/g・K)を算出した。以下の製造例においては、融点をTm、融解エントロピーをΔSと記載した。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) [1]
(2)液晶性ポリエステル樹脂の組成分析
液晶性ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶性ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
(3)液晶性ポリエステル樹脂の分子量および分散度測定
液晶性ポリエステルの数平均分子量および重量平均分子量測定は、下記条件に示したゲル浸透クロマトグラフ(GPC)/LALLS法により測定した。また、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除して分散度(Mw/Mn)を算出した。
(GPC)
GPC装置:Waters製
検出器:示差屈折率検出器RI2410(Waters製)
カラム:Shodex K−806M(2本)、K−802(1本)(昭和電工製)
溶離液:ペンタフルオロフェノール/クロロホルム(35/65w/w%)
測定温度:23℃
流速:0.8mL/min
試料注入量:200μL (濃度:0.1%)
(LALLS)
装置:低角度レーザー光散乱光度計KMX−6(Chromatix製)
検出器波長:633nm(He−Ne)
検出器温度:23℃
(4)液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度
液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度は、液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃の条件で、剪断速度1,000/秒の条件下で高化式フローテスターCFT−500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)によって測定した。
(A)液晶性ポリエステル樹脂
[製造例1]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル251重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸284重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1252重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から270℃までを平均昇温速度0.68℃/分で昇温させ、270℃から350℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温させた。昇温時間は4時間であった。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(a−1)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(a−1)について組成分析を行なったところ、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))と4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対するp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))の割合は、75モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対する4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))の割合は、60モル%であった。テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))とイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計に対するテレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))の割合は、76モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))およびハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計と、テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))およびイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計とは、実質的に等モルであった。
また、液晶性ポリエステル樹脂(a−1)のΔS(融解エントロピー)が2.6×10−3J/g・Kであった。液晶性ポリエステル樹脂(a−1)の融点(Tm)は、325℃、数平均分子量は9000、分子量の分散度は1.98であった。
また、本液晶性ポリエステル樹脂(a−1)の溶融粘度は、8Pa・sであった。
[製造例2]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸 994.5g(7.2モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 446.9g(2.4モル)、テレフタル酸 239.2g(1.44モル)、イソフタル酸 159.5g(0.96モル)及び無水酢酸 1347.6g(13.2モル)を仕込んだ。窒素ガス気流下で30分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して30分間還流させた。ジャケット温度を150℃から270℃までを平均昇温速度0.68℃/分で昇温させ、270℃から320℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温させた。昇温時間は4時間であった。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが6kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(a−2)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(a−2)について組成分析を行なったところ、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))に対するp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))の割合は、75モル%であった。テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))とイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計に対するテレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))の割合は、68モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))と、テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))およびイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計とは、実質的に等モルであった。
液晶性ポリエステル樹脂(a−2)の融点(Tm)は325℃、数平均分子量は7000、分子量の分散度は2.04、ΔSは4.0×10−3J/g・Kであった。溶融粘度は6Pa・sであった。
[製造例3]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.30モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327g(1.89モル)、ハイドロキノン89g(0.81モル)、テレフタル酸292g(1.76モル)、イソフタル酸157g(0.95モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から270℃までを平均昇温速度0.63℃/分で昇温させ、270℃から335℃までを平均昇温速度1.6℃/分で昇温させた。昇温時間は4時間であった。その後、重合温度を335℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(a−3)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(a−3)について組成分析を行なったところ、構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は、70モル%であった。構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は、70モル%であった。構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)割合は、65モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と、構造単位(IV)および構造単位(V)の合計とは、実質的に等モルであった。また、融点(Tm)は314℃、ΔSは0.9×10−3J/g・K、数平均分子量は10,900、分散度は2.0、溶融粘度は23Pa・sであった。
[製造例4]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル251重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸284重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1252重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から270℃までを平均昇温速度0.68℃/分で昇温させ、270℃から350℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温させた。昇温時間は4時間であった。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(a−4)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(a−4)について組成分析を行なったところ、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))と4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対するp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位(構造単位(I))の割合は、75モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))とハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計に対する4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))の割合は、60モル%であった。テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))とイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計に対するテレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))の割合は、76モル%であった。4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位(構造単位(II))およびハイドロキノン由来の構造単位(構造単位(III))の合計と、テレフタル酸由来の構造単位(構造単位(IV))およびイソフタル酸由来の構造単位(構造単位(V))の合計とは、実質的に等モルであった。また、融点(Tm)は330℃、ΔSは2.2×10−3J/g・K、数平均分子量は11,800、分散度は1.8、溶融粘度は28Pa・sであった。
[製造例5]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.30モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル402g(2.16モル)、ハイドロキノン59g(0.54モル)、テレフタル酸292g(1.76モル)、イソフタル酸157g(0.95モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から270℃までを平均昇温速度0.63℃/分で昇温させ、270℃から335℃までを平均昇温速度1.6℃/分で昇温させた。昇温時間は4時間であった。その後、重合温度を335℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(a−5)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(a−5)について組成分析を行なったところ、構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(I)の割合は、70モル%であった。構造単位(II)と構造単位(III)の合計に対する構造単位(II)の割合は、80モル%であった。構造単位(IV)と構造単位(V)の合計に対する構造単位(IV)割合は、65モル%であった。構造単位(II)および構造単位(III)の合計と、構造単位(IV)および構造単位(V)の合計とは、実質的に等モルであった。また、融点(Tm)は328℃、ΔSは3.2×10−3J/g・K、数平均分子量は7,500、分散度は2.05、溶融粘度は7Pa・sであった。
(B)板状充填材
(b−1)ヤマグチマイカ(株)製“AB−25s”(体積平均粒子径:23.8μm、D90/D10:5.15)
(b−2)ヤマグチマイカ(株)製“A−41”(体積平均粒子径 47μm、D90/D10:3.96)
(b−3)富士タルク(株)製“NK−64”(体積平均粒子径 47μm、D90/D10:7.54)
板状充填材の体積平均粒子径は、板状充填材を100mg秤量し、水中に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製“LA−300”)を用いて測定した。累積度10%粒子径(D10)と累積度90%粒子径(D90)の比(D90/D10)は、体積平均粒子径を測定して得られる体積累積粒度分布曲線から算出した。
上記した(A)液晶性ポリエステル樹脂、(B)板状充填材を用いて、実施例および比較例の液晶性ポリエステル樹脂組成物を作製した。各々の液晶性ポリエステル樹脂組成物について行なった特性の評価方法は以下の通りである。
(1)荷重たわみ温度(DTUL)
各実施例および比較例で得られた液晶性ポリエステル樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃に設定し、金型温度90℃、射出速度100mm/sの条件で射出成形を行い、縦127mm×横12.5mm×厚み3mmの曲げ試験片を成形した。得られた曲げ試験片を用いて、ASTM D648に準拠して荷重たわみ温度を測定した。
(2)曲げ弾性率、曲げ歪み量
(1)で作製した曲げ試験片を用いて、スパン間距離50mmでASTM D790に準拠して測定した。
(3)ソリ量
各実施例および比較例で得られた液晶性樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)社製)を用いて、シリンダ−温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃に設定し、金型温度90℃の条件で射出成形を行い、図1aに示す端子間ピッチが0.4mm、製品の最小肉厚部(隔壁部3)が0.2mm、外形寸法が幅3mm×高さ2mm×長さ30mmのコネクター成形品を得た。図1aは上記コネクター成形品の斜視図である。コネクター成形品の片側の短尺面2に設置したピンゲートG1(ゲート径0.3mm)から液晶性ポリエステル樹脂組成物を充填し、成形品を得た。得られたコネクター成形品を用い、以下の方法でソリ量を測定した。
コネクター成形品のソリ量を熱処理前と熱処理後で測定した。熱処理は260℃に加熱されたオーブン中にコネクター成形品を3分間放置した。なお、ソリ量は長尺成形品の長尺方向の両端を直線で結んだ線を基準とし、そこからの寸法差を測定した。図1bは上記長尺成形品においてソリ量の測定部位を示す概念図であり、A−B面を基準面aとして、最大変形面bとの差をソリ量とした。
(4)薄肉流動性
各実施例および比較例で得られた液晶性樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、幅5.0mm×長さ50mm×0.2mm厚みの成形品を成形できる金型を用い、シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点Tm+20℃に設定し、金型温度を90℃に設定して、射出速度100m/sの成形条件で射出成形し、幅5.0mm×0.2mm厚みの流動長を測定した。20ショット成形し、20ショット中の幅5.0mm×0.2mm厚みの最大流動長と最小流動長を測定した。最大流動長と最小流動長の差が小さいものほど流動バラツキが少ないことを示している。
(5)ブリスター性
コネクター成形品のリフローテストを実施し、フクレの発生率を測定した。
・リフローテスト:250℃に加熱されたオーブン中に上記コネクター成形品200個を10分間放置し、ブリスター発生率を測定した。試験片表面に一個でもフクレが存在した場合にはブリスター発生とし、すなわち(ブリスター発生率)=((フクレが一個でも発生した試験片)/ 200)×100[%]である。
[実施例1〜6、比較例1〜5]
スクリューの直径が45.8mmの噛み合い型同方向2軸押出機を用い、シリンダC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C12(ダイ側ヒーター)の、C6部に中間供給口を設置し、C8部に真空ベントを設置した。ニーディングディスクをC3部、C7部に組み込んだスクリューアレンジメントを用い、表1に示す(A)液晶性ポリエステル樹脂を元込め部(供給口1)から添加し、(B)板状充填材を中間供給口(供給口2)から投入した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃に設定し、溶融混練した後、ストランドカッターによりペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを用いて試験片を作製し、評価した結果を表1に示す。
Figure 2016089154
表1からも明らかなように、本発明の液晶性樹脂組成物は比較例に比べ、曲げ特性に優れており低ソリ性、薄肉流動性、低ブリスター性に優れていることがわかる。
1 コネクター成形品
2 短尺面
3 隔壁部
G1 ピンゲート

Claims (6)

  1. (A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)板状充填材を10〜80重量部含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物であって、
    液晶性ポリエステル樹脂組成物中の、液晶性ポリエステル樹脂の融点が300℃以上330℃未満であり、かつ、
    液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品の、ASTM D648に準拠して測定した荷重たわみ温度が260℃以上285℃未満である、液晶性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記(B)板状充填材の体積平均粒子径が5μm〜50μmである、請求項1記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記(B)板状充填材の体積累積粒度分布曲線における累積度10%粒子径(D10)と累積度90%粒子径(D90)の比(D90/D10)が3.50〜6.00である、請求項1または2に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記(A)液晶性ポリエステル樹脂の、式1で定義されるΔS(融解エントロピー)が2.0〜3.5×10−3J/g・Kである、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
    ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) [1]
    (ただしΔHmは融解熱量、Tmは融点を示す。)
  5. 前記(A)液晶性ポリエステルが下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2016089154
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018168320A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 住友化学株式会社 液晶ポリエステル組成物および成形体

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