JP2017066353A - 液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】流動性や耐熱性を維持しながら、エポキシ接着性、引張強度および耐ブリスター性に優れた液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品の提供。
【解決手段】原料材料として、典型的には、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸から製造され、ヒドロキシ末端基量(a−1)と、ヒドロキシ末端基量(a−1)とアセチル末端基量(a−2)の合計との比(a−1)/[(a−1)+(a−2)]が0.70〜1.00である液晶ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、α−オレフィン類(b−1)およびα、β−不飽和酸のグリシジルエステル(b−2)を共重合した共重合体(B)1〜5重量部未満、および充填材(C)10〜200重量部を配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】原料材料として、典型的には、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸から製造され、ヒドロキシ末端基量(a−1)と、ヒドロキシ末端基量(a−1)とアセチル末端基量(a−2)の合計との比(a−1)/[(a−1)+(a−2)]が0.70〜1.00である液晶ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、α−オレフィン類(b−1)およびα、β−不飽和酸のグリシジルエステル(b−2)を共重合した共重合体(B)1〜5重量部未満、および充填材(C)10〜200重量部を配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。より詳しくは、流動性や耐熱性を維持しながら、エポキシ接着性、引張強度および耐ブリスター性に優れた液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
液晶ポリエステルは、その液晶構造のため、耐熱性、流動性、寸法安定性に優れる。このため、それらの特性が要求されるコネクターやリレーなどの電気・電子部品を中心に需要が拡大している。特にリレー用途では、エポキシ樹脂などの接着剤に対する十分な接着性が要求されるが、液晶ポリエステルは耐薬品性に優れるため、エポキシ樹脂への接着性が低く、接着性を改善する検討がなされてきた。例えば、液晶ポリエステルにオレフィン系共重合体や反応性を有する官能基を有するゴムを配合した樹脂組成物や(例えば、特許文献1、2参照)、上記のような樹脂組成物から構成されるリレー(例えば、特許文献3参照)が提案されている。また、オレフィン系共重合体に加え、繊維状充填材および鱗片状充填材を配合した液晶ポリエステル樹脂組成物や(例えば、特許文献4参照)、エポキシ基を3個以上有するビスフェノール型エポキシ化合物を配合した液晶ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献5参照)、末端基が一定の範囲である液晶ポリエステルにマイカを配合した樹脂組成物(例えば、特許文献6参照)、融解熱量および荷重たわみ温度が一定の範囲である液晶ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献7参照)が提案されている。
しかしながら、かかる従来技術においては、オレフィン系共重合体などのエラストマーやゴムの配合量が多く、成形品のリフロー処理時に熱劣化し、成形品表面が変形しふくれが発生する点で改良の余地があった。また、例えば、前記特許文献2、3、5に開示される樹脂組成物は、引張強度などの機械物性について不十分であり、エポキシ接着性についても改良の余地があり、前記特許文献6、7に開示される樹脂組成物は、それぞれ機械強度やスナップフィット耐久性に優れる一方でエポキシ接着性には改良の余地があった。
本発明は、液晶ポリエステルの有する優れた耐熱性や流動性を維持しながら、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制し、エポキシ接着性および引張強度に優れる液晶ポリエステル樹脂組成物、およびそれからなる成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造単位および末端基を有する液晶ポリエステルに、特定の構造を有する共重合体、および充填材を配合する液晶ポリエステル樹脂組成物により、優れた耐熱性や流動性を維持しながら、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制し、エポキシ接着性および引張強度に優れる成形品を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を有し、
ヒドロキシ末端基量(a−1)と、ヒドロキシ末端基量(a−1)とアセチル末端基量(a−2)の合計との比(a−1)/[(a−1)+(a−2)]が0.70〜1.00である液晶ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、α−オレフィン類(b−1)およびα、β−不飽和酸のグリシジルエステル(b−2)を共重合した共重合体(B)1重量部以上5重量部未満、および充填材(C)10〜200重量部を配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物。
(1)下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を有し、
ヒドロキシ末端基量(a−1)と、ヒドロキシ末端基量(a−1)とアセチル末端基量(a−2)の合計との比(a−1)/[(a−1)+(a−2)]が0.70〜1.00である液晶ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、α−オレフィン類(b−1)およびα、β−不飽和酸のグリシジルエステル(b−2)を共重合した共重合体(B)1重量部以上5重量部未満、および充填材(C)10〜200重量部を配合してなる液晶ポリエステル樹脂組成物。
(2)前記樹脂組成物の融解熱量が0.01J/g以上1.0J/g以下である(1)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(3)前記共重合体(B)中の(b−2)の共重合量が、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、1重量%以上10重量%以下である(1)または(2)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記共重合体(B)中の(b−1)の共重合量が、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、80重量%以上97重量%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(5)前記共重合体(B)が、前記(b−1)および前記(b−2)に加え、さらにα、β−不飽和酸エステル(b−3)を共重合した共重合体であり、共重合体(B)中の(b−3)の共重合量は、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、20重量%以上35重量%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(6)ASTM D790に準拠して測定した曲げ強度が140〜250MPaである(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
(8)エポキシ樹脂との接着部位を有する(7)に記載の成形品。
(3)前記共重合体(B)中の(b−2)の共重合量が、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、1重量%以上10重量%以下である(1)または(2)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記共重合体(B)中の(b−1)の共重合量が、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、80重量%以上97重量%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(5)前記共重合体(B)が、前記(b−1)および前記(b−2)に加え、さらにα、β−不飽和酸エステル(b−3)を共重合した共重合体であり、共重合体(B)中の(b−3)の共重合量は、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、20重量%以上35重量%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(6)ASTM D790に準拠して測定した曲げ強度が140〜250MPaである(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
(8)エポキシ樹脂との接着部位を有する(7)に記載の成形品。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物によれば、優れた耐熱性や流動性を維持しながら、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制し、エポキシ接着性および引張強度に優れる成形品を得ることができる。かかる樹脂組成物は、特にリレーなどの電気・電子部品や機械部品に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明でいう重量は質量を意味する。
本発明で使用される液晶ポリエステル樹脂(A)は、異方性溶融相を形成するポリエステルであり、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される。
上記構造単位(I)を構成する原料モノマーは、構造単位(I)を形成しうる構造であれば特に限定されないが、p−ヒドロキシ安息香酸やその水酸基のアシル化物、カルボキシル基のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物などのカルボン酸誘導体などが挙げられ、p−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。構造単位(II)を構成する原料モノマーは、構造単位(II)を形成しうる構造であれば特に限定されないが、4,4’−ジヒドロキシビフェニルやその水酸基のアシル化物などが挙げられ、4,4’−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。構造単位(III)を構成する原料モノマーは、構造単位(III)を形成しうる構造であれば特に限定されないが、ハイドロキノンやその水酸基のアシル化物などが挙げられ、ハイドロキノンが好ましい。構造単位(IV)を構成する原料モノマーは、構造単位(IV)を形成しうる構造であれば特に限定されないが、テレフタル酸やそのカルボキシル基のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物などのカルボン酸誘導体などが挙げられ、テレフタル酸が好ましい。構造単位(V)を構成する原料モノマーは、構造単位(V)を形成しうる構造であれば特に限定されないが、イソフタル酸やそのカルボキシル基のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物などのカルボン酸誘導体などが挙げられ、イソフタル酸が好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂(A)が、上記の構造単位を有さない場合は、成形品のエポキシ接着性が低下する。加えて、耐熱性の低下、または液晶ポリエステル樹脂の融点の増加によって液晶ポリエステル樹脂組成物の成形加工温度が高くなることで、成形加工時に共重合体(B)が熱劣化し、成形品の熱処理時にふくれが発生する。
本発明の液晶ポリエステル樹脂(A)における構造単位(I)の含有量は、構造単位(I)、(II)および(III)の含有量の合計に対して65モル%以上が好ましく、68モル%以上がより好ましい。一方、構造単位(I)の含有量は、樹脂組成物とした場合の融解熱量を0.01J/g以上1.0J/g以下の範囲に制御する観点から、構造単位(I)、(II)および(III)の含有量の合計に対して80モル%以下が好ましく、78モル%以下がより好ましい。また、構造単位(II)の含有量は、構造単位(II)および(III)の含有量の合計に対して55モル%以上が好ましく、58モル%以上がより好ましい。一方、構造単位(II)の含有量は、構造単位(II)および(III)の含有量の合計に対して85モル%以下が好ましく、78モル%以下がより好ましく、73モル%以下がさらに好ましい。また、構造単位(IV)の含有量は、構造単位(IV)および(V)の含有量の合計に対して50モル%以上が好ましく、55モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましい。一方、構造単位(IV)の含有量は、構造単位(IV)および(V)の含有量の合計に対して95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下がさらに好ましい。
上記構造単位(I)〜(V)の含有量を上記範囲とすることにより、耐熱性、流動性、機械的特性および低ガス性に優れた液晶ポリエステル樹脂が容易に得られるため好ましい。また、それを用いた液晶ポリエステル樹脂組成物は、融解熱量を0.01J/g以上1.0J/g以下の範囲に制御することが容易であり、成形品のエポキシ接着性が向上し、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制することができるため好ましい。
また、構造単位(II)および(III)の合計と、構造単位(IV)および(V)の合計とは実質的に等モルである。ここでいう「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位が等モルであることを示す。このため、末端を構成する構造単位まで含めた場合には必ずしも等モルとはならない態様も、「実質的に等モル」の要件を満たしうる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂(A)について、各構造単位の含有量の算出法を以下に示す。まず、液晶ポリエステル樹脂をNMR(核磁気共鳴)試験管に量りとり、液晶ポリエステルが可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン−d2混合溶媒)に溶解する。次に、溶液について、1H−NMRスペクトル測定を行い、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂の末端基は、ヒドロキシ末端基、アセチル末端基、カルボキシ末端基が挙げられる。そのうちヒドロキシ末端基量(a−1)〔単位:当量/(g・10−6)〕と、ヒドロキシ末端基量(a−1)〔単位:当量/(g・10−6)〕とアセチル末端基量(a−2)〔単位:当量/(g・10−6)〕の合計との比(a−1)/[(a−1)+(a−2)]が0.70〜1.00である。(a−1)/[(a−1)+(a−2)]が0.70よりも小さい場合には、成形品のエポキシ接着性、引張強度および曲げ強度が低下し、成形品の熱処理時のふくれ発生が増加する。エポキシ接着性をより向上させる観点から、(a−1)/[(a−1)+(a−2)]は0.82以上がより好ましく、0.90以上が特に好ましい。(a−1)/[(a−1)+(a−2)]の最大値は1である。
液晶ポリエステル樹脂の末端基量は、液晶ポリエステル樹脂をNMR試料管に量りとり、液晶ポリエステル樹脂が可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2混合溶媒)に溶解して、アセチル末端基については1H−NMR測定、ヒドロキシ末端基およびカルボキシ末端基については13C−NMR測定を行うことにより、各末端由来のピークとポリマー主鎖骨格由来のピークとの面積比から算出することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、ヒドロキシ末端基量(a−1)〔単位:当量/(g・10−6)〕とアセチル末端基量(a−2)〔単位:当量/(g・10−6)〕の合計と、カルボキシ末端基量(a−3)〔単位:当量/(g・10−6)〕との比[(a−1)+(a−2)]/(a−3)が1.10〜2.00であることが好ましい。[(a−1)+(a−2)]/(a−3)が1.10以上であれば、成形品のエポキシ接着性、引張強度および曲げ強度をより向上させることができるほか、さらに成形品の熱処理時のふくれ発生を抑制することができ好ましい。より好ましくは1.30以上であり、1.40以上がさらに好ましい。また、[(a−1)+(a−2)]/(a−3)が2.00以下であれば、成形品のエポキシ接着性、引張強度および曲げ強度をより向上させることができる。1.80以下がより好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)は、耐熱性の観点から220℃以上が好ましく、270℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。一方、加工性の観点から、350℃以下が好ましく、345℃以下がより好ましく、340℃以下がさらに好ましい。
融点(Tm)の測定は、示差走査熱量測定により行う。具体的には、まず、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で加熱することにより吸熱ピーク温度(Tm1)を観測する。吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、吸熱ピーク温度(Tm1)+20℃の温度でポリマーを5分間保持する。その後、20℃/分の降温条件で室温までポリマーを冷却する。そして、20℃/分の昇温条件でポリマーを加熱することにより吸熱ピーク温度を観測する。融点(Tm)とは、該吸熱ピーク温度を指す。
本発明で使用される液晶ポリエステル樹脂(A)の溶融粘度は、樹脂組成物とする場合に融解熱量を1.0J/g以下に制御する観点、および成形品の引張強度や曲げ強度などの機械強度の観点から1Pa・s以上が好ましく、5Pa・s以上がより好ましく、15Pa・s以上がさらに好ましい。一方、成形品のエポキシ接着強度向上および流動性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度は、200Pa・s以下が好ましく、100Pa・s以下がより好ましく、50Pa・s以下がさらに好ましい。
なお、この溶融粘度は、液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)+20℃の温度で、かつ、せん断速度1000/秒の条件下で、高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明の実施形態の液晶ポリエステル樹脂は、公知のポリエステルの脱酢酸重合法により得ることができる。例えば、所定量の芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールのフェノール性水酸基を、無水酢酸を用いてアセチル化した後、脱酢酸重縮合する方法が挙げられる。なお、本発明の実施形態において、芳香族ヒドロキシカルボン酸はp−ヒドロキシ安息香酸、芳香族ジオールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンである。
アセチル化する工程においては、例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、および無水酢酸を、反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱して水酸基をアセチル化することが好ましい。上記のアセチル化工程により、(a−1)/[(a−1)+(a−2)]を0.70〜1.00に制御し、樹脂組成物とした場合の融解熱量を0.01J/g以上1.0J/g以下の範囲に制御でき、成形品のエポキシ接着性、引張強度および曲げ強度をより向上させることができる。アセチル化工程は、130〜150℃の範囲で1〜3時間であることが好ましい。
無水酢酸の使用量は、アセチル化率制御の観点から、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.00モル当量以上であることが好ましい。より好ましくは1.02モル当量以上、特に好ましくは1.04モル当量以上である。また、成形品の引張強度および曲げ強度の向上、熱処理時のふくれ発生の抑制の観点から、1.15モル当量以下であることが好ましい。より好ましくは1.12モル当量以下、特に好ましくは1.10モル当量以下である。
また脱酢酸重縮合する工程としては、液晶ポリエステル樹脂が溶融する温度で減圧下反応させ、重合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。より具体的には、アセチル化後、酢酸を留去させながら反応を進行させるために液晶ポリエステル樹脂の溶融温度以上に昇温し、減圧により脱酢酸重縮合することが好ましい。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、(a−1)/[(a−1)+(a−2)]を0.70〜1.00に制御し、成形品のエポキシ接着性、引張強度および曲げ強度に優れた液晶ポリエステル樹脂およびその樹脂組成物を得ることができ好ましい。
脱酢酸重縮合させる温度は、液晶ポリエステル樹脂の一般的な溶融温度、例えば、250〜365℃の範囲であり、好ましくは液晶ポリエステル樹脂の融点+10℃以上の温度である。
特に本発明の実施形態においては、脱酢酸重縮合する工程における重合缶ジャケット温度を、270℃から重合最高温度までの間の平均昇温速度が1.0〜1.6℃/分となるように昇温することが好ましい。平均昇温速度が1.0/分以上であれば、重合を速やかに進行させてp−ヒドロキシ安息香酸を適度にブロック化でき、モノマーの反応性を適切に制御できるほか、溶融滞留時間の増加に伴うエステル交換反応による末端基のずれを抑制できるため、(a−1)/[(a−1)+(a−2)]を0.70〜1.00の範囲に容易に制御できる。1.2℃/分以上が好ましく、1.4℃/分以上がより好ましい。一方、270℃から重合最高温度までの平均昇温速度を1.6℃/分以下とすることにより、モノマーの反応性を適切に制御でき、モノマーの重合時の昇華を抑制でき、樹脂組成物とした場合の融解熱量を1.0J/g以下に容易に制御でき、(a−1)/[(a−1)+(a−2)]を0.70〜1.00の範囲に容易に制御できる。また、重合缶ジャケット温度上昇に対して内温が追随しやすく、生産性も向上する。なお、重合缶ジャケットの平均昇温速度について、アセチル化されたモノマーのオリゴマー化反応が、270℃付近から進行し始めることから、重合缶ジャケット温度270℃から重合最高温度までの平均昇温速度に着目した。
減圧下反応させる場合は、成形品の引張強度および曲げ強度向上の観点から、740〜780mmHgの減圧開始圧力から、最大減圧度0.1〜20mmHgまで0.5〜3時間で減圧することが好ましい。最大減圧度は、より好ましくは10mmHg以下、特に好ましくは5mmHg以下である。また、成形品の引張強度および曲げ強度向上の観点から、最大減圧度到達後1分〜1時間反応を行うことが好ましい。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行ってもよいし、異なる反応容器で行ってもよい。
重合終了後、得られたポリマーを反応容器から取り出す方法としては、ポリマーが溶融する温度で反応容器内を加圧し、反応容器に設けられた吐出口よりポリマーを吐出させ、吐出されたポリマーを冷却水中で冷却する方法を挙げることができる。上記反応容器内の加圧は、例えば、0.02〜0.5MPaとすればよい。上記吐出口は、反応容器下部に設ければよい。また、ポリマーは、吐出口からストランド状に吐出させればよい。冷却液中で冷却したポリマーをペレット状に切断することで、樹脂ペレットを得ることができる。
本発明の実施形態における液晶ポリエステル樹脂の製造方法においては、減圧重縮合反応の後に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、固相重合法としては、液晶ポリエステル樹脂を粉砕機で粉砕し、窒素気流下または減圧下、液晶ポリエステル樹脂の液晶開始温度−10〜−20℃(例えば、100〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
本発明の実施形態の液晶ポリエステル樹脂の製造工程におけるアセチル化、脱酢酸重縮合反応および減圧下反応は無触媒でも進行するが、メタンスルホン酸などのスルホン酸、塩化水素などのブレンステッド酸や、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物などの触媒存在下で実施してもよい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、α−オレフィン類(b−1)およびα、β−不飽和酸のグリシジルエステル(b−2)を共重合した共重合体(B)を1重量部以上5重量部未満配合してなる。共重合体(B)の含有量が1重量部未満であると、成形品のエポキシ接着性の向上効果が得られない。成形品のエポキシ接着性および引張強度の向上の点から、2重量部以上が好ましい。また、共重合体(B)の含有量が5重量部以上であると、成形品のエポキシ接着性向上効果、曲げ強度、流動性が低下するほか、成形品の熱処理時のふくれの発生が増加する。成形品のエポキシ接着性の向上や、曲げ強度の維持、成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制の点から、4.5重量部以下が好ましい。
ここで、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、(A)成分の末端基と(B)成分のグリシジル基とが反応した反応物を含むが、当該反応物は高分子同士の複雑な反応により生成されたものであるから、その構造を特定することは実際的でない事情が存在する。したがって、本発明は配合する成分により発明を特定するものである。
上記共重合体(B)において、α−オレフィン類としては炭素数2〜4のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテンなどが挙げられ、中でもエチレンが好ましく使用できる。また、α、β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、下記一般式
(式中、Rは水素原子または炭素数1から6のアルキル基である。)で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどであり、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。α、β−不飽和酸のグリシジルエステル(b−2)の共重合量は、成形品のエポキシ接着性および引張強度向上や、成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制の観点から、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、1重量%以上が好ましい。より好ましくは3重量%以上である。また、α、β−不飽和酸のグリシジルエステル(b−2)の共重合量は、成形品のエポキシ接着性の向上や流動性の観点から20重量%以下が好ましい。より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは8重量%以下である。
共重合体(B)中におけるα−オレフィン類(b−1)の共重合量は、成形品のエポキシ接着性、曲げ強度および引張強度向上や、成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制の観点から、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、80重量%以上であることが好ましい。より好ましくは90重量%以上である。また、成形品のエポキシ接着性および引張強度向上や、成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制の観点から、α−オレフィン類(b−1)の共重合量は、97重量%以下が好ましい。より好ましくは95重量%以下である。
また、共重合体(B)は、成形品のエポキシ接着性および引張強度向上、成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制および流動性維持の観点からは、(b−1)成分および(b−2)成分に加え、さらにα、β−不飽和酸エステル(b−3)を共重合したものであることが好ましい。(b−3)は、(b−2)成分であるα、β−不飽和酸のグリシジルエステル以外のα、β−不飽和酸エステルであれば何でもよいが、成形品のエポキシ接着性および引張強度向上、成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制および流動性維持の観点から、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ターシャリーブチル等のアクリル酸およびメタクリル酸のエステル類であることが好ましい。また、成形品のエポキシ接着性および引張強度向上、成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制および流動性維持の観点から、共重合体(B)中の(b−3)成分の含有量は、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、20重量%以上であることが好ましい。より好ましくは23重量%以上である。また、成形品のエポキシ接着性向上や成形品の熱処理時のふくれ発生の抑制、および耐衝撃性維持の観点から、共重合体(B)中の(b−3)の含有量は35重量%以下であることが好ましい。より好ましくは33重量%以下である。
上記共重合体(B)に加え、液晶ポリエステル樹脂の末端基と反応性を有する化合物を加えてもよい。液晶ポリエステル樹脂の末端基と反応性を有する化合物としては、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物などのエポキシ化合物やオキサゾリン化合物が、成形品のエポキシ接着性を向上させる点から好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、充填材(C)を10〜200重量部含有する。充填材含有量が10重量部未満であると、成形品のエポキシ接着性、耐熱性、引張強度および曲げ強度が不十分であり、成形品の熱処理時のふくれの発生が増加する。融解熱量を1.0J/g以下に容易に制御し、成形品のエポキシ接着性、耐熱性、引張強度および曲げ強度を向上し、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制する観点から、充填材の配合量は、15重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましい。また、充填材含有量が200重量部以上であると、流動性や柔軟性が低下する。流動性および柔軟性を向上させる観点から、充填材の配合量は、150重量部以下が好ましく、100重量部以下がより好ましい。
本発明で使用される充填材(C)は、特に限定されるものではないが、例えば、繊維状、ウィスカー状、板状、粉末状、粒状などの充填材を挙げることができる。具体的には、繊維状、ウィスカー状充填材としては、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、および針状酸化チタンなどが挙げられる。板状充填材としては、マイカ、タルク、カオリン、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、およびワラステナイトなどが挙げられる。粉状、粒状の充填材としては、シリカ、ガラスビーズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などが挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。また、本発明に使用される上記の充填材は、2種以上を併用してもよい。
これら充填材のなかで、特に引張強度や曲げ強度などの機械的強度、耐熱性の点からガラス繊維を使用することが好ましい。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で好ましい。特に酸化ケイ素含有量が50〜80重量%のガラス繊維が好ましく用いられ、より好ましくは酸化ケイ素含有量が65〜77重量%のガラス繊維である。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤;シラン系、チタネート系などのカップリング剤;その他表面処理剤;α−オレフィン類重合体などの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
また、充填材のなかで、特に融解熱量を1.0J/g以下に容易に制御し、エポキシ接着性を向上させる点から、マイカ、タルクを使用することが好ましく、さらにはタルクを使用することが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でさらに酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ハイドロキノン、ホスファイト、チオエーテル類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料または顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤から選択される通常の添加剤を配合することができる。溶融加工時の共重合体(B)の熱劣化による、成形品の引張強度や曲げ強度低下の抑制、および熱処理時のふくれ発生を抑制する観点から、熱安定剤を使用するのが好ましく、中でもヒンダードフェノール類を使用するのが好ましい。あるいは、液晶ポリエステル樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂に、充填材、共重合体(B)、および他の添加剤等を配合する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、液晶ポリエステル樹脂に固体状の充填材、共重合体(B)、およびその他の添加剤等を配合するドライブレンド法や、液晶ポリエステル樹脂、充填材に共重合体(B)、その他の液状添加剤等を配合する溶液配合法、また、充填材、共重合体(B)、およびその他の添加剤を液晶ポリエステル樹脂の重合時に添加する方法や、液晶ポリエステル樹脂と充填材、共重合体(B)、およびその他の添加剤を溶融混練する方法などを用いることができ、なかでも溶融混練が好ましい。溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶ポリエステル樹脂の融点以上融点+50℃以下で溶融混練して液晶ポリエステル樹脂組成物とすることができる。なかでも二軸押出機が好ましい。溶融混練する場合、共重合体(B)の熱劣化による、成形品の引張強度や曲げ強度低下の抑制、および熱処理時のふくれ発生を抑制する観点から、370℃以下で溶融混練するのが好ましく、360℃以下がより好ましい。
二軸押出機については、液晶ポリエステル樹脂と充填材との分散性や、液晶ポリエステル樹脂の末端基と共重合体(B)の反応性を向上させ、成形品のエポキシ接着性を向上させる点から、ニーディング部を1箇所以上設けていることが好ましく、2箇所以上設けていることがより好ましい。ニーディング部の設置箇所は、例えば、充填材をサイドフィーダーから添加する場合、液晶ポリエステル樹脂の可塑化を促進させるために、充填材のサイドフィーダーより上流側に1箇所以上、液晶ポリエステル樹脂と充填材との分散性を向上させるため、サイドフィーダーよりも下流側に1箇所以上の計2箇所以上設置することが好ましい。
スクリュー回転数は、液晶ポリエステル樹脂と共重合体(B)の分散性を向上させ、成形品のエポキシ接着性を向上させる点から、100rpm以上が好ましく、200rpm以上がより好ましく、300rpm以上が特に好ましい。また、曲げ強度、引張強度、耐熱性の点から、1000rpm以下が好ましく、800rpm以下がより好ましい。
混練方法としては、1)液晶ポリエステル樹脂(A)、共重合体(B)、充填材(C)、およびその他の添加剤を元込めフィーダーから一括で投入して混練する方法(一括混練法)、2)液晶ポリエステル樹脂(A)、共重合体(B)、およびその他の添加剤を元込めフィーダーから投入して混練した後、充填材(C)およびその他添加剤をサイドフィーダーから添加して混練する方法(サイドフィード法)、3)液晶ポリエステル樹脂(A)と共重合体(B)、その他の添加剤を高濃度に含むマスターペレットを作製し、次いで規定の濃度になるようにマスターペレットを液晶ポリエステル樹脂(A)および充填材(C)と混練する方法(マスターペレット法)など、どの方法を用いてもかまわない。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの公知の溶融成形を行うことによって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品に加工することが可能である。ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムなどの各種フィルム、未延伸糸、超延伸糸などの各種繊維などが挙げられる。特に加工性の観点から射出成形であることが好ましい。溶融成形する場合、共重合体(B)の熱劣化による、成形品の引張強度や曲げ強度低下の抑制、および熱処理時のふくれ発生を抑制する観点から、370℃以下で溶融混練するのが好ましく、360℃以下がより好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成形品のエポキシ接着強度向上、および成形時の糸引き抑制の点から、液晶ポリエステル樹脂組成物の融解熱量が0.01J/g以上であることが好ましい。より好ましくは0.05J/gである。また、成形品のエポキシ接着強度向上の点から1.0J/g以下であることが好ましい。より好ましくは0.7J/g以下、さらに好ましくは0.5J/g以下である。融解熱量は、示差熱量測定において、液晶ポリエステル樹脂組成物を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク面積を指し、得られる吸熱ピーク(J)を、測定した液晶ポリエステル樹脂組成物の重量(g)で除した値を用いる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成形品のエポキシ接着強度向上や、成形品の熱処理時のふくれ発生抑制の点から、ASTMD790に準拠して測定した曲げ強度が140MPa以上であることが好ましい。より好ましくは145MPa以上、さらに好ましくは150MPa以上である。また、成形品のエポキシ接着強度向上の点から、250MPa以下が好ましい。より好ましくは、240MPa以下である。
本発明の液晶ポリエステル樹脂または液晶ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、リレーベース、リレー用スプール、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、パワーウインド等の車載用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプベゼル、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品;シャンプー、リンス、液体石鹸、洗剤等の各種薬剤用ボトル;薬液保存用タンク、ガス保存用タンク、冷却液タンク、オイル移液用タンク、消毒液用タンク、輸血ポンプ用タンク、燃料タンク、キャニスター、ウォッシャー液タンク、オイルリザーバータンクなどの薬液・ガス保存用タンク;医療器具用途部品;醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌、食酢等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、清酒、ビール、みりん、ウィスキー、焼酎、ワイン等の酒類、炭酸飲料、ジュース、スポーツドリンク、牛乳、コーヒー飲料、ウーロン茶、紅茶、ミネラルウォーター等の清涼飲料水などの食品保存容器;および一般生活器具部品としてのタンク、ボトル状成形品やまたはそれらタンクなどの中空容器などに用いることができる。優れた耐熱性や流動性を維持しながら、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制し、エポキシ接着性および引張強度に優れることから、特にエポキシ樹脂との接着部位を有するリレーなどの電気・電子部品に有用である。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。実施例中、液晶ポリエステル樹脂の組成、末端基および特性評価は以下の方法により測定した。
(1)液晶ポリエステル樹脂の組成分析
液晶ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位に由来するピーク面積比から組成を分析した。
液晶ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位に由来するピーク面積比から組成を分析した。
(2)液晶ポリエステル樹脂の末端基
液晶ポリエステル樹脂の末端基について、ヒドロキシ末端基については13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)により測定した。液晶ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2(混合比率:65/35w/w%)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて、観測周波数126MHz、温度80℃で13C−NMR測定を実施し、115〜115.5ppm付近に観測されるヒドロキシ末端基隣接の炭素由来ピーク面積とポリマー主鎖骨格炭素由来のピーク面積との比からヒドロキシ末端基量を分析した。また164〜165ppm付近に観測されるカルボキシ末端基由来ピーク面積とポリマー主鎖骨格炭素由来のピーク面積との比からカルボキシ末端基量を分析した。
液晶ポリエステル樹脂の末端基について、ヒドロキシ末端基については13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)により測定した。液晶ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2(混合比率:65/35w/w%)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて、観測周波数126MHz、温度80℃で13C−NMR測定を実施し、115〜115.5ppm付近に観測されるヒドロキシ末端基隣接の炭素由来ピーク面積とポリマー主鎖骨格炭素由来のピーク面積との比からヒドロキシ末端基量を分析した。また164〜165ppm付近に観測されるカルボキシ末端基由来ピーク面積とポリマー主鎖骨格炭素由来のピーク面積との比からカルボキシ末端基量を分析した。
また、アセチル末端基は、液晶ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2(混合比率:65/35w/w%)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて、観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、2.5ppm付近に観測されるアセチル末端基由来のピーク面積とポリマー主鎖骨格由来のピーク面積との比から末端基量を分析した。
(3)液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、液晶ポリエステル樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温までいったん冷却し、再度20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。以下の製造例においては、融点(Tm2)をTmと記載する。
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、液晶ポリエステル樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温までいったん冷却し、再度20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。以下の製造例においては、融点(Tm2)をTmと記載する。
(4)液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度
高化式フローテスターCFT−500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)を用いて、Tm+20℃、せん断速度1000/sの条件で液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度を測定した。
高化式フローテスターCFT−500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)を用いて、Tm+20℃、せん断速度1000/sの条件で液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度を測定した。
[製造例1]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル231重量部、ハイドロキノン92重量部、テレフタル酸272重量部、イソフタル酸73重量部および無水酢酸1089重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から350℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から350℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温した。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に20分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル231重量部、ハイドロキノン92重量部、テレフタル酸272重量部、イソフタル酸73重量部および無水酢酸1089重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から350℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から350℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温した。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に20分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−1)のTmは333℃、溶融粘度は28Pa・sであった。
[製造例2]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸773重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル313重量部、ハイドロキノン79重量部、テレフタル酸259重量部、イソフタル酸140重量部および無水酢酸1136重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から325℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に15分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸773重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル313重量部、ハイドロキノン79重量部、テレフタル酸259重量部、イソフタル酸140重量部および無水酢酸1136重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から325℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に15分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−2)のTmは310℃、溶融粘度は25Pa・sであった。
[製造例3]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸773重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル313重量部、ハイドロキノン79重量部、テレフタル酸259重量部、イソフタル酸140重量部および無水酢酸1094重量部(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から325℃までを平均昇温速度0.8℃/分で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に120分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−3)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸773重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル313重量部、ハイドロキノン79重量部、テレフタル酸259重量部、イソフタル酸140重量部および無水酢酸1094重量部(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から325℃までを平均昇温速度0.8℃/分で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に120分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−3)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−3)のTmは315℃、溶融粘度は26Pa・sであった。
[製造例4]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル231重量部、ハイドロキノン92重量部、テレフタル酸272重量部、イソフタル酸73重量部および無水酢酸1089重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から350℃までを平均昇温速度1.8℃/分で昇温した。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に120分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−4)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル231重量部、ハイドロキノン92重量部、テレフタル酸272重量部、イソフタル酸73重量部および無水酢酸1089重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から350℃までを平均昇温速度1.8℃/分で昇温した。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に120分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−4)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−4)のTmは336℃、溶融粘度は29Pa・sであった。
[製造例5]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−アセトキシ安息香酸1082重量部、4,4’−ジアセトキシビフェニル368重量部、ハイドロキノンジアセテート124重量部、テレフタル酸248重量部、イソフタル酸84重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で250℃から360℃まで3時間で昇温した。その内、270℃から360℃までを平均昇温速度0.6℃/分で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に60分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−5)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−アセトキシ安息香酸1082重量部、4,4’−ジアセトキシビフェニル368重量部、ハイドロキノンジアセテート124重量部、テレフタル酸248重量部、イソフタル酸84重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で250℃から360℃まで3時間で昇温した。その内、270℃から360℃までを平均昇温速度0.6℃/分で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に60分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−5)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−5)のTmは340℃、溶融粘度は30Pa・sであった。
[製造例6]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル410重量部、テレフタル酸249重量部、イソフタル酸83重量部および無水酢酸1168重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から320℃まで3時間で昇温した。その内、270℃から320℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温し、プレポリマーを得た。得られたプレポリマーを室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、得られた粉末を窒素雰囲気下で室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、同温度で3時間保持して、固相重合を行い液晶ポリエステル樹脂(A−6)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル410重量部、テレフタル酸249重量部、イソフタル酸83重量部および無水酢酸1168重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から320℃まで3時間で昇温した。その内、270℃から320℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温し、プレポリマーを得た。得られたプレポリマーを室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、得られた粉末を窒素雰囲気下で室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、同温度で3時間保持して、固相重合を行い液晶ポリエステル樹脂(A−6)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−6)のTmは350℃、溶融粘度は34Pa・sであった。
[製造例7]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸62重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル343重量部、テレフタル酸306重量部、および無水酢酸1073重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から355℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から355℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温した。その後、重合温度を355℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に30分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−7)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸62重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル343重量部、テレフタル酸306重量部、および無水酢酸1073重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から355℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から355℃までを平均昇温速度1.4℃/分で昇温した。その後、重合温度を355℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に30分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−7)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−7)のTmは335℃、溶融粘度は30Pa・sであった。
[製造例8]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル168重量部、テレフタル酸150重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート173重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から330℃までを平均昇温速度0.8℃/分で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に15分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−8)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル168重量部、テレフタル酸150重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート173重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から325℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から330℃までを平均昇温速度0.8℃/分で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に15分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−8)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−8)のTmは314℃、溶融粘度は22Pa・sであった。
[製造例9]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル194重量部、ハイドロキノン70重量部、テレフタル酸226重量部、イソフタル酸53重量部および無水酢酸1132重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から350℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から360℃までを平均昇温速度1.5℃/分で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に25分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−9)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル194重量部、ハイドロキノン70重量部、テレフタル酸226重量部、イソフタル酸53重量部および無水酢酸1132重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、145℃から350℃まで4時間で昇温した。その内、270℃から360℃までを平均昇温速度1.5℃/分で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHgに減圧し、更に25分反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A−9)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A−9)のTmは342℃、溶融粘度は26Pa・sであった。
上記(1)(2)に従い、各製造例で得られた液晶ポリエステル樹脂の組成、末端基の分析を行った。結果を表1に示す。
各実施例および比較例において用いた、共重合体(B)、エポキシ化合物および添加剤を次に示す。
(B−1):住友化学(株)製“ボンドファースト7M”(エチレン−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体、エチレン含有量67重量%、グリシジルメタクリレート含有量6重量%、メチルアクリレート含有量27重量%)
(B−2):住友化学(株)製“ボンドファーストE”(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン含有量88重量%、グリシジルメタクリレート含有量12重量%)
(B’−3):日本化薬製“XD−1000”(ノボラック型エポキシ化合物、エポキシ当量:253g/当量)
(B−4):住友化学(株)製“ボンドファースト2C”(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン含有量94重量%、グリシジルメタクリレート含有量6重量%)
(B’−5):アデカ(株)製“アデカスタブAO−330”(ヒンダードフェノール類熱安定剤)。
(B−1):住友化学(株)製“ボンドファースト7M”(エチレン−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体、エチレン含有量67重量%、グリシジルメタクリレート含有量6重量%、メチルアクリレート含有量27重量%)
(B−2):住友化学(株)製“ボンドファーストE”(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン含有量88重量%、グリシジルメタクリレート含有量12重量%)
(B’−3):日本化薬製“XD−1000”(ノボラック型エポキシ化合物、エポキシ当量:253g/当量)
(B−4):住友化学(株)製“ボンドファースト2C”(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン含有量94重量%、グリシジルメタクリレート含有量6重量%)
(B’−5):アデカ(株)製“アデカスタブAO−330”(ヒンダードフェノール類熱安定剤)。
各実施例および比較例において用いた充填材(C)を次に示す。
(C−1):日本電気硝子(株)製 ミルドファイバー “EPG40M−10A”
(C−2):富士タルク工業(株)製 タルク “RL217”
(C−3):日本電気硝子(株)製 チョップドガラス繊維 “ECS03T−747H”
(C−4):山口雲母工業所製 マイカ “NJ−030”。
(C−1):日本電気硝子(株)製 ミルドファイバー “EPG40M−10A”
(C−2):富士タルク工業(株)製 タルク “RL217”
(C−3):日本電気硝子(株)製 チョップドガラス繊維 “ECS03T−747H”
(C−4):山口雲母工業所製 マイカ “NJ−030”。
実施例1〜14、比較例1〜13
サイドフィーダーを備えた東芝機械製TEM35B型2軸押出機で、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。ニーディングブロックをC2部、C4部に組み込んだスクリューアレンジを用い、各製造例で得られた液晶ポリエステル樹脂(A−1)〜(A−9)、共重合体、エポキシ化合物および添加剤(B−1)〜(B’−5)を表2に示す配合量で元込めフィーダーから投入し、充填材(C−1)〜(C−4)を表1に示す配合量でサイドフィーダーから投入し、シリンダー温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+10℃、スクリュー回転数を表2に示すように設定し、溶融混練してペレットとした。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットについて、各実施例および比較例により得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を、熱風乾燥機を用いて150℃3時間熱風乾燥した後、以下(5)〜(10)の評価を行った。結果は表2に示す。
サイドフィーダーを備えた東芝機械製TEM35B型2軸押出機で、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。ニーディングブロックをC2部、C4部に組み込んだスクリューアレンジを用い、各製造例で得られた液晶ポリエステル樹脂(A−1)〜(A−9)、共重合体、エポキシ化合物および添加剤(B−1)〜(B’−5)を表2に示す配合量で元込めフィーダーから投入し、充填材(C−1)〜(C−4)を表1に示す配合量でサイドフィーダーから投入し、シリンダー温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+10℃、スクリュー回転数を表2に示すように設定し、溶融混練してペレットとした。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットについて、各実施例および比較例により得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を、熱風乾燥機を用いて150℃3時間熱風乾燥した後、以下(5)〜(10)の評価を行った。結果は表2に示す。
(5)曲げ強度
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、金型温度:90℃として、射出速度:120mm/秒、射出圧力:80MPaに設定して射出成形し、12.7mm幅×127mm長×3.2mm厚の曲げ試験片を作製した。試験片をASTMD790に準拠し、曲げ強度を試験n数3でその平均値として測定した。
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、金型温度:90℃として、射出速度:120mm/秒、射出圧力:80MPaに設定して射出成形し、12.7mm幅×127mm長×3.2mm厚の曲げ試験片を作製した。試験片をASTMD790に準拠し、曲げ強度を試験n数3でその平均値として測定した。
(6)引張強度
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、金型温度:90℃として、射出速度:120mm/秒、射出圧力:80MPaに設定して射出成形し、3.2mm厚×テスト部の幅6.4mm×127mm長のダンベル型試験片を得た。試験片をASTMD638−08に準拠し、引張強度を試験n数3でその平均値として測定した。
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、金型温度:90℃として、射出速度:120mm/秒、射出圧力:80MPaに設定して射出成形し、3.2mm厚×テスト部の幅6.4mm×127mm長のダンベル型試験片を得た。試験片をASTMD638−08に準拠し、引張強度を試験n数3でその平均値として測定した。
(7)荷重たわみ温度(DTUL)
(5)で作製した曲げ試験片を用いて、ASTM D648に準拠し、HDT−500(安田精機製作所製)を用いて、荷重1.82MPaでの条件で荷重たわみ温度(DTUL)を測定した。
(5)で作製した曲げ試験片を用いて、ASTM D648に準拠し、HDT−500(安田精機製作所製)を用いて、荷重1.82MPaでの条件で荷重たわみ温度(DTUL)を測定した。
(8)流動性
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、金型温度:90℃として、100mm長×12.7mm幅×0.5mm厚の棒状試験片を成形できる金型を用い、射出速度:120mm/秒、射出圧力:60MPaの成形条件で射出成形し、試験n数10で12.7mm幅×0.5mm厚の流動長を測定した。流動長が長いほど、流動性に優れる。
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、金型温度:90℃として、100mm長×12.7mm幅×0.5mm厚の棒状試験片を成形できる金型を用い、射出速度:120mm/秒、射出圧力:60MPaの成形条件で射出成形し、試験n数10で12.7mm幅×0.5mm厚の流動長を測定した。流動長が長いほど、流動性に優れる。
(9)耐ブリスター性
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステルの融点+20℃、金型温度:90℃として、射出速度:120mm/秒、射出圧力:120MPaに設定して射出成形し、100mm長×12.7mm幅×0.5mm厚の棒状試験片を100個成形した。得られた成形品を、熱風乾燥機を用いて260℃で10分間熱処理を行い、表面にふくれが発生した成形品の個数を求めた。ふくれが発生した成形品の数が少ないほど、耐ブリスター性に優れる。
ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)射出成形機で、樹脂温度を液晶ポリエステルの融点+20℃、金型温度:90℃として、射出速度:120mm/秒、射出圧力:120MPaに設定して射出成形し、100mm長×12.7mm幅×0.5mm厚の棒状試験片を100個成形した。得られた成形品を、熱風乾燥機を用いて260℃で10分間熱処理を行い、表面にふくれが発生した成形品の個数を求めた。ふくれが発生した成形品の数が少ないほど、耐ブリスター性に優れる。
(10)エポキシ接着性
(6)で作製した引張試験片を二等分となるように切削し、図1に示すようにエポキシ樹脂(住友ベークライト製“ECR−9250K”)を接着面積0.5cm2、2mm厚となるように塗布し、120℃で30分硬化して接着した。ついで引張試験機(AG500C、島津製作所製)を用いて、スパン間距離を114mm、クロスヘッドスピード1mm/分で引っ張り、該接着面が剥離した時の荷重を試験n数5で測定した。また、接着面が剥離せず、母材が破壊したものについては、そのときの値を測定した。エポキシ接着強度は該荷重を接着面積で除した値(MPa)として示した。エポキシ接着強度が高いほど、エポキシ接着性に優れる。
(6)で作製した引張試験片を二等分となるように切削し、図1に示すようにエポキシ樹脂(住友ベークライト製“ECR−9250K”)を接着面積0.5cm2、2mm厚となるように塗布し、120℃で30分硬化して接着した。ついで引張試験機(AG500C、島津製作所製)を用いて、スパン間距離を114mm、クロスヘッドスピード1mm/分で引っ張り、該接着面が剥離した時の荷重を試験n数5で測定した。また、接着面が剥離せず、母材が破壊したものについては、そのときの値を測定した。エポキシ接着強度は該荷重を接着面積で除した値(MPa)として示した。エポキシ接着強度が高いほど、エポキシ接着性に優れる。
(11)融解熱量
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、ペレットを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク面積を測定した。この吸熱ピーク面積を融解熱量として求めた。
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、ペレットを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク面積を測定した。この吸熱ピーク面積を融解熱量として求めた。
表2の結果から、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、優れた耐熱性や流動性を維持しながら、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制し、エポキシ接着性および引張強度に優れていることが分かる。そのため、リレーなどの電気・電子部品用途への使用に適しているといえる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、優れた耐熱性や流動性を維持しながら、成形品の熱処理時のふくれの発生を抑制し、エポキシ接着性および引張強度に優れるため、特にリレーなどの電気・電子部品や機械部品に好適である。
H 二等分に切削した引張試験片
E エポキシ樹脂
E エポキシ樹脂
Claims (8)
- 前記樹脂組成物の融解熱量が0.01J/g以上1.0J/g以下である請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 前記共重合体(B)中の(b−2)の共重合量が、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、1重量%以上10重量%以下である請求項1または2に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 前記共重合体(B)中の(b−1)の共重合量が、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、80重量%以上97重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 前記共重合体(B)が、前記(b−1)および前記(b−2)に加え、さらにα、β−不飽和酸エステル(b−3)を共重合した共重合体であり、共重合体(B)中の(b−3)の共重合量は、共重合体(B)を構成する全成分の合計を100重量%とした場合に、20重量%以上35重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- ASTM D790に準拠して測定した曲げ強度が140〜250MPaである請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
- エポキシ樹脂との接着部位を有する請求項7に記載の成形品。
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JP (1) | JP2017066353A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018203810A (ja) * | 2017-05-30 | 2018-12-27 | 上野製薬株式会社 | 液晶ポリマー組成物 |
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2016
- 2016-01-21 JP JP2016009394A patent/JP2017066353A/ja active Pending
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JP2018203810A (ja) * | 2017-05-30 | 2018-12-27 | 上野製薬株式会社 | 液晶ポリマー組成物 |
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