JP6206174B2 - 液晶性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Description
(1)下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を有する液晶性ポリエステル(A)100重量部に対し、充填材(B)を10〜200重量部含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物であって、前記液晶性ポリエステルのポリマー当たりの融解熱量(ΔHm)が0.1〜0.6J/gであり、前記樹脂組成物を成形してなる成形品の、ASTM D648に準じて荷重1.82MPaで測定した荷重たわみ温度が250〜300℃であることを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物。
36<Tm−Tc<40 −[1]
(Tcは、示差熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂組成物を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)を指す。Tmは、Tcを観測し室温まで降温させた後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指す。)
(3)液晶性ポリエステル(A)が、(A−1)成分と(A−2)成分を配合してなる液晶性ポリエステルであって、
前記(A−1)成分は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を有し、
下式[2]で定義されるΔS(融解エントロピー)が1.0×10−3〜3.0×10−3J/g・Kである液晶性ポリエステルであり、
前記(A−2)成分は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を有し、
下式[2]で定義されるΔS(融解エントロピー)が0.1×10−3〜0.9×10−3J/g・Kである液晶性ポリエステルであり、
前記(A−1)成分と前記(A−2)成分の合計を100重量%としたときに、
前記(A)成分50〜95重量%に対して、前記(A−2)成分を5〜50重量%含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) −[2]
(Tmは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指し、ΔHmは該吸熱ピーク温度の吸熱ピーク面積である。)
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明の実施形態における液晶性ポリエステル(A)は、溶融時に光学的異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) −[2]
(Tmは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指し、ΔHmは該吸熱ピーク温度の吸熱ピーク面積である。)
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合することによって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸フェニルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
本発明の実施形態における充填材(B)は、特に限定されるものではないが、例えば、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を挙げることができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、針状酸化チタンなどの繊維状またはウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。
36<Tm−Tc<40 −[1]
(Tcは、示差熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂組成物を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度を指す。Tmは、Tcを観測し室温まで降温させた後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指す。)
液晶性ポリエステルの組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶性ポリエステルをNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、液晶性ポリエステルを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を融点(Tm)とし、その吸熱ピーク面積を融解熱量(ΔHm)とした。TmとΔHmとから下式[2]によってΔS(J/g・K)を算出した。以下の製造例においては、融点をTm、融解エントロピーをΔSと記載する。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) −[2]
高化式フローテスターCFT−500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)を用い、温度は液晶性ポリエステルの融点+10℃、剪断速度は1000/秒で測定した。
製造例1 液晶性ポリエステル樹脂(A−1)
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル251重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸284重量部、イソフタル酸90重量部および無水酢酸1252重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から350℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−1)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル302重量部、ハイドロキノン119重量部、テレフタル酸247重量部、イソフタル酸202重量部および無水酢酸1302重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から330℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−2)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸907重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル262重量部、ハイドロキノン112重量部、テレフタル酸283重量部、イソフタル酸121重量部および無水酢酸1272重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から340℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を340℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−3)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸833重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル359重量部、ハイドロキノン114重量部、テレフタル酸286重量部、イソフタル酸207重量部および無水酢酸1332重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から320℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−4)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル208重量部、ハイドロキノン75重量部、テレフタル酸233重量部、イソフタル酸66重量部および無水酢酸1202重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から365℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を365℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−5)を得た。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸895重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル272重量部、ハイドロキノン117重量部、テレフタル酸272重量部、イソフタル酸147重量部および無水酢酸1282重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から335℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を335℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−6)を得た。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート216重量部および無水酢酸960重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1時間反応させた後、145℃から320℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−7)を得た。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸25重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を813重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル419重量部、テレフタル酸374重量部および無水酢酸965重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1時間反応させた後、145℃から360℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル(A−8)を得た。
(B−1):日本電気硝子製チョップドストランド(T−747H)
(B−2):日本電気硝子製ガラスミルドファイバー(EPDE−40M−10A)
(B−3):ヤマグチマイカ製マイカ(A−21)
サイドフィーダーを備えた東芝機械製TEM35B型2軸押出機で、各製造例で得られた液晶性ポリエステル(A−1〜Aー8)を表1に示す配合量でホッパーから投入し、充填材(B−1〜B−3)を表1に示す配合量でサイドから投入し、シリンダー温度を液晶性ポリエステルの融点+10℃(2種の液晶性ポリエステルを配合している場合は、高い方の融点+10℃)に設定し、溶融混練してペレットとした。得られた液晶性ポリエステル樹脂組成物のペレットを熱風乾燥後、以下(1)〜(6)の評価を行った。結果は表1に示す。
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃で3時間乾燥した後、示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、ペレットを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク面積を測定した。この吸熱ピーク面積を融解熱量(ΔHm)として求めた。
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃で3時間乾燥した後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製、スクリュー径28mm)に供し、シリンダー温度を液晶性ポリエステルの融点+20℃(2種の液晶性ポリエステルを配合している場合は、高い方の融点+20℃)、金型温度を90℃として、127mm長×12.7mm幅×3.2mm厚の棒状試験片を作製した。得られた試験片について、ASTM D648に準拠し、HDT−500(安田精機製作所製)を用いて、荷重1.82MPaでの条件で荷重たわみ温度(DTUL)を測定した。
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃で3時間乾燥した後、示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、ペレットを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度を降温結晶化温度(Tc)とした。Tcを観測し室温まで降温させた後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。得られた融点(Tm)から降温結晶化温度(Tc)を引いた値(Tm−Tc)を求めた。
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃で3時間乾燥した後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製、スクリュー径28mm)に供し、シリンダー温度を液晶性ポリエステルの融点+20℃(2種の液晶性ポリエステルを配合している場合は、高い方の融点+20℃)、金型温度を90℃として、外径縦70mm×横70mm×高さ25mm×壁厚0.8mmの箱状で壁部外側の2面に縦5mm×横10mm×高さ2mmの突起のついた成形品と、上記と同寸法の箱状成形品であって、壁部外側2面から縦5mm×横10mm×厚さ2mmの開口部を有する板状部が、上記突起部を有する成形品の外側2面の突起部に勘合するよう設けられた成形品を成形した。これら成形品の2面の突起部と開口部をはめ込み合わせた後、開口部を有する板状部を変形させて成形品同士のはめ込みを取り外した。勘合部のはめ込み、取り外しを同一の成形品の組合せで50回繰り返し、成形品の変形、破損によりスナップフィットができなくなった時点の繰り返し数を求め、スナップフィット耐久性を評価した。繰り返し回数が多いほど、スナップフィット耐久性が優れると評価した。
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃で3時間乾燥した後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製、スクリュー径28mm)に供し、シリンダー温度を液晶性ポリエステルの融点+20℃(2種の液晶性ポリエステルを配合している場合は、高い方の融点+20℃)、金型温度を90℃とし、金型開き速度を300mm/s、成形サイクル時間10秒として、縦30mm×横30mm×厚さ0.5mmのプレートを成形した。100ショットの連続成形を行った際の、成形品スプルー先端から発生する糸引きの金型面への挟まれに対する処置のため連続成形を停止した回数を測定した。停止回数が少ないほど糸引きが少なく連続成形が可能であり、ハイサイクル成形性に優れると評価した。
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃で3時間乾燥した後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製、スクリュー径28mm)に供し、シリンダー温度を液晶性ポリエステルの融点+20℃、金型温度を90℃として、0.3mmピッチ70芯ファインピッチコネクター(壁厚0.2mm)を成形した。得られたファインピッチコネクターを、リフローシミュレーターcore9030c(株式会社コアーズ製)により、1.6℃/秒で200℃まで昇温して2分間プリヒートし、表面最高温度260℃で30秒間リフローさせた後に室温まで冷却させてリフロー処理を行い、リフロー処理後のそり量を評価した。なおそり量は、ファインピッチコネクターの長尺方向を水平な定盤の上に静置して、万能投影機(V−16A(Nikon製))を用いて、ファインピッチコネクター底面の水平定盤に対する最大変位量とした。図1は、そり量の測定部位を示す概念図である。測定したそり量の長さを、図1ではそり量3として示す。そり量が小さいほど、リフロー処理後の寸法安定性に優れると評価した。
Claims (4)
- 融点Tmと降温結晶化温度Tcが下式[1]の範囲となることを特徴とする請求項1に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
36<Tm−Tc<40 −[1]
(Tcは、示差熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂組成物を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)を指す。Tmは、Tcを観測し室温まで降温させた後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指す。) - 液晶性ポリエステル(A)が、(A−1)成分と(A−2)成分を配合してなる液晶性ポリエステルであって、
前記(A−1)成分は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を有し、
下式[2]で定義されるΔS(融解エントロピー)が1.0×10−3〜3.0×10−3J/g・Kである液晶性ポリエステルであり、
前記(A−2)成分は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)を有し、
下式[2]で定義されるΔS(融解エントロピー)が0.1×10−3〜0.9×10−3J/g・Kである液晶性ポリエステルであり、
前記(A−1)成分と前記(A−2)成分の合計を100重量%としたときに、
前記(A−1)成分50〜95重量%に対して、前記(A−2)成分を5〜50重量%配合してなることを特徴とする、請求項1または2に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/Tm(K) −[2]
(Tmは示差熱量測定において、液晶性ポリエステルを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指し、ΔHmは吸熱ピーク温度の吸熱ピーク面積である。) - 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
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