JP2017082158A - 液晶性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】低発塵性、表面抵抗値に優れ、また薄肉流動性に優れる樹脂組成物により良好な成形性を有する成形品を得ることを目的とする。
【解決手段】(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に、(B)平均粒子径100μm未満のシリカを1〜45重量部、(C)帯電防止剤を0.5〜5.0重量部含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に、(B)平均粒子径100μm未満のシリカを1〜45重量部、(C)帯電防止剤を0.5〜5.0重量部含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は低発塵性、表面抵抗値、薄肉流動性に優れる液晶性ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた成形品に関する。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有する樹脂が数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性を有する液晶性樹脂が優れた流動性、耐熱性、機械的性質、寸法安定性を有する点で注目されている。そのような液晶性ポリエステル樹脂組成物の優れた流動性、寸法安定性を活かし、非常に小型な成形品や薄肉部を有する成形品などのほか精密機器部品に使用されるようになっている。特に光学部品のようにレンズがを有する機器の場合、わずかなゴミ、埃等が機器性能に大きく影響する。例えばカメラモジュールのような光学機器に用いられる部品はゴミ、埃等がレンズに付着すると光学特性が低下し、満足した性能が得られなくなるため、部品を超音波洗浄し、部品表面に付着しているゴミ、埃等を除去している。
しかしながら、液晶性樹脂は、分子配向が表面部分で特に大きいため表面が比較的フィブリル化しやすいため、超音波洗浄自体が液晶性樹脂成形品の表面をフィブリル化させ、新たな脱落物(ゴミ)の要因となる。また、樹脂は静電気を帯びやすく空気中の埃などを寄せ付け、成形品に付着してしまい、その埃が脱落するなどしてしまう。したがって、通常の超音波洗浄で表面がフィブリル化しないこと、また静電気を帯びない液晶性樹脂材料が求められている。
発塵を抑える手段としては、液晶性高分子と繊維状フィラーとを含む樹脂成形体であって、表面テープ剥離試験(JIS B0601−1994で規定されている測定方法に準拠)により求められる表面粗さRa値の上昇幅が0.4μm以下となる平面部を有する成形体(例えば、特許文献1参照)や液晶性ポリエステル49.5〜69.5質量部、モース硬度が5以上、かつ、一次粒子径が5μm以下の不定形あるいは球状粉体30.0〜50.0質量部、カーボンブラック0.5〜5.0質量部を含む液晶性ポリエステル組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、かかる特許文献1および2に記載の樹脂組成物を用いて得られる成形品は、表面のフィブリル化については改善されているものの、現在のさらに高性能な光学機器に求められる発塵量に対しては不十分であり、また静電気を帯びやすく、空気中の埃などを寄せ付けてしまう課題がある。
したがって本発明は、低発塵性、表面抵抗値に優れ、また薄肉流動性に優れる樹脂組成物により良好な成形性を有する成形品を得ることを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶性ポリエステル樹脂およびシリカと特定の帯電防止剤を含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物が、低発塵性、表面抵抗値、薄肉流動性に優れることを見出し、本発明に到達した。本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成の少なくとも一部を含み得る。
(1)(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に、(B)平均粒子径100μm未満のシリカを1〜45重量部、(C)帯電防止剤を0.5〜5.0重量部含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(2)前記(C)帯電防止剤がエステル系ワックス、スルホン酸塩、導電性カーボン、金属石鹸のいずれかであることを特徴とする(1)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(3)前記(C)帯電防止剤がトリフルオロメタンスルホン酸塩、ソルビタンステアレートのいずれかであることを特徴とする(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(4)前記(B)平均粒子径100μm未満のシリカが、円形度が0.90以上の球状シリカであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(5)(A)液晶性ポリエステル樹脂が下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成され、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対し65〜80モル%であり、構造単位(II)が構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%であり、構造単位(IV)が構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(1)(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に、(B)平均粒子径100μm未満のシリカを1〜45重量部、(C)帯電防止剤を0.5〜5.0重量部含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(2)前記(C)帯電防止剤がエステル系ワックス、スルホン酸塩、導電性カーボン、金属石鹸のいずれかであることを特徴とする(1)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(3)前記(C)帯電防止剤がトリフルオロメタンスルホン酸塩、ソルビタンステアレートのいずれかであることを特徴とする(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(4)前記(B)平均粒子径100μm未満のシリカが、円形度が0.90以上の球状シリカであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(5)(A)液晶性ポリエステル樹脂が下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成され、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対し65〜80モル%であり、構造単位(II)が構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%であり、構造単位(IV)が構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物、
(6)(1)〜(5)のいすれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品、
を提供するものである。
を提供するものである。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物によれば、低発塵性、表面抵抗値、薄肉流動性に優れる樹脂組成物およびそれからなる成形品を得ることができる。本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、低発塵性、表面抵抗値、薄肉流動性が要求される成形品、特に光学機器部品などに好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、(A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)平均粒径100μm未満のシリカを1〜45重量部と(C)帯電防止剤を0.5〜5重量部を含有する。
本発明の(A)液晶性ポリエステル樹脂は、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂である。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が挙げられ、p−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられ、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンが好ましい。芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられ、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
これら液晶性ポリエステル樹脂の中でも、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶性ポリエステル樹脂は低発塵性において好ましい。
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位を、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%が好ましい。発生ガス量が低下することから、より好ましくは68〜78モル%である。
また、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%が好ましい。特に発生ガス量が低下することから、より好ましくは55〜78モル%であり、最も好ましくは58〜73モル%である。
また、構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%が好ましい。特に発生ガス量が低下することから、より好ましくは55〜90モル%であり、最も好ましくは60〜85モル%である。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルであることが好ましい。ここで、「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位として等モルであることを示し、末端を構成する構造単位としては必ずしも等モルとは限らない。ポリマーの末端基を調節するために、ジカルボン酸成分またはジヒドロキシ成分を過剰に加えてもよい。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステルの重縮合法により得ることができる。例えば、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
本発明において、液晶性ポリエステル樹脂を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステル樹脂が溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を撹拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱して水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステル樹脂の溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合して反応を完了させる方法が挙げられる。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を、例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂における各構造単位の含有量は、以下の処理によって算出することができる。すなわち、液晶性ポリエステル樹脂をNMR(核磁気共鳴)試験管に量りとり、液晶性ポリエステル樹脂が可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン−d2混合溶媒)に溶解して、1H−NMRスペクトル測定を行う。各構造単位の含有量は、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は次の方法で測定した。示差熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂を室温から40℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点(Tm)とした。
また、本発明における液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、10〜100Pa・sが特に好ましい。なお、溶融粘度は液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明における(B)平均粒子径100μm未満のシリカとしては球状、粒状のものを用いることが可能であるが、球状のシリカであることが好ましい。所望の球状シリカを得るためには特に結晶粉砕シリカを溶融し、表面張力によって球状化する溶融法が好ましい。上記の方法で製造されたシリカは表面が平滑であり、円形度が高いことから樹脂に充填された場合、成形品の表面平滑性が向上し、低発塵性の効果が高まる。
円形度は値が1.0に近づくほど真円となる値であり、低発塵性の観点から0.90以上であり、0.95以上であることがより好ましく、0.97以上であることがさらに好ましい。
円形度はNikon社製“H550L”を用いてシリカ粒子の投影像を撮影し、三谷商事社製“WinRoof”を用いて投影像の周囲長および相当円の周囲長から算出することができる。円形度は下式によって算出される。
(円形度)=(相当円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(円形度)=(相当円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
前記溶融法によって得られる球状シリカとしては、“FEB75A(株式会社アドマテックス)、“FB−950”(電気化学工業株式会社)などが市販されている。
シリカの平均粒子径としては、低発塵性の観点から100μm未満であり、80μm未満がより好ましく、60μm未満がさらに好ましい。また、薄肉流動性の観点からシリカの平均粒子径は0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。
本発明において用いられるシリカは、溶融混練前後でその形状および平均粒子径に変化はない。したがって、樹脂組成物中に混練する前の球状シリカ特性を測定した際の形状および平均粒子径で、樹脂組成物中に含まれていると考えてよい。
シリカの数平均粒子径は、シリカを100mg秤量し、水中に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製“LA−300”)を用いて測定する。
本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記シリカを1〜45重量部含有する。1重量部未満では低発塵性が得られないため、1重量部以上が好ましく、より好ましくは3重量部以上であり、さらに好ましくは5重量部以上である。また、45重量部を超えると樹脂中のシリカ粒子数が増加し発塵が多くなる。40重量部以下がより好ましく、さらに好ましくは35重量部以下である。
本発明における(C)帯電防止剤としては、エステル系ワックスやスルホン酸塩、導電性カーボン、金属石鹸などを用いることができる。特に、エステル系ワックスやスルホン酸塩は液晶性樹脂やシリカと相溶性を上げることで成形時に適度に成形品にブリードアウトさせることが可能であり、表面抵抗値を適切に制御することが容易になることから、好ましい。上記帯電防止剤は単独で使用してしてもよく、これらを2種以上含有しても良い。
上記帯電防止剤の添加量としては0.5重量部未満では帯電防止効果が得られないため0.5重量部以上が好ましく、より好ましくは1重量部以上であり、さらに好ましくは1.5重量部以上である。また、5重量部を超えると帯電防止剤による発塵が発生するため低発塵性が損なわれるため5重量部以下が好ましく、より好ましくは4重量部以下であり、さらに好ましくは3重量部以下である。
エステル系ワックスとしては、グリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステルなどが市販されているが、相溶性の観点からソルビタン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
スルホン酸塩としては、熱的安定性の点でトリフルオロメタンスルホン酸塩が好ましく用いられる。
導電性カーボンとしてはケッチェンブラックやアセチレンブラックなど粒子径が小さく、比表面積が大きく、多孔性であり、二次凝集体であるアグリゲートが発達しやすいカーボンブラックが好ましい。
金属石鹸としては熱的安定性の観点からステアリン酸リチウムやステアリン酸カルシウムなどが好ましく用いられる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物には本発明の目的を損なわない範囲で、繊維状充填材や、繊維状充填材以外の充填材を含有してもよい。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミック繊維、ボロンウィスカー繊維、アスベスト繊維などを挙げることができる。繊維状充填材以外の充填材としては、例えば、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、ワラステナイト、酸化チタン、二硫化モリブデン等の粉状、粒状あるいは板状の無機フィラーを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。さらには、本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂(フッ素樹脂など)を添加して、所定の特性を付与することができる。
充填剤を添加する場合、その添加量は液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して200重量部以下が好ましく、15〜150重量部がより好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は溶融混練により製造することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いることができる。これらのうち、本発明の液晶性樹脂組成物は、シリカを溶融樹脂中に均一に分散させる必要があることから、押出機を用いることが好ましく、二軸押出機を用いることがより好ましく、なかでも中間添加口を有する二軸押出機を用いることが特に好ましい。ただし、高級脂肪酸金属塩は、液晶性樹脂やその他の添加剤とともに二軸押出機中で溶融混練してもよいが、溶融混練押出後のペレットにブレンド(例えばタンブラーミキサ、リボンブレンダなど)するのが、成形加工性を飛躍的に向上させるにはより好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、公知の成形法により各種成形品に成形されるが、その優れた薄肉流動性を活かして、射出成形することが好ましい。
かくして得られる成形品は、低発塵性、表面抵抗値、流動性に優れることから光学機器部品に好適に用いることができる。光学機器部品成形品の具体例としては、事務電気製品部品、複写機関連部品、カメラモジュール部品、光ピックアップレンズホルダ、オートフォーカスカメラレンズモジュールなどがある。
その他には各種ギヤー、各種ケース、センサー、LED用部品、液晶バックライトボビン、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、リレー用スプールおよびベース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品(プラズマ、有機EL、液晶)、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品などに代表される家庭、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ECUコネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、シート用途としてはドアトリム、バンパーやサイドフレームの緩衝材、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブなどを挙げることができる。
そのほか、上記金属との複合成形品に限らず、写真用フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィルム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィルムなどのフィルム用途、自動車内部天井、インストロメントパネルのパッド材、ボンネット裏等の吸音パットなどのシート用途に有用である。
特に、本発明は成形品が低発塵性に優れることから、カメラモジュール用途として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
各特性の評価方法は以下の通りである。
(1)液晶性ポリエステル樹脂の組成分析
液晶性ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶性ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITYINOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
液晶性ポリエステル樹脂の組成分析は、1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)測定により実施した。液晶性ポリエステル樹脂をNMR試料管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITYINOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H−NMR測定を実施し、7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から組成を分析した。
(2)液晶性ポリエステル樹脂の融点の測定
融点(Tm)は示差走査熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂または液晶性ポリエステル樹脂組成物を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点(Tm)とした。
融点(Tm)は示差走査熱量測定において、液晶性ポリエステル樹脂または液晶性ポリエステル樹脂組成物を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点(Tm)とした。
(3)シリカの平均粒子径
シリカの数平均粒子径は、シリカを100mg秤量し、水中に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製“LA−300”)を用いて測定した。
シリカの数平均粒子径は、シリカを100mg秤量し、水中に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製“LA−300”)を用いて測定した。
(4)シリカの円形度
シリカの円形度は、シリカを100mg秤量し、水中に分散させた後、分散液をプレパラート上に滴下し、水分が飛ぶまで乾燥させたものを準備し、Nikon社製“H550L”を用いて倍率2000倍でシリカ粒子の投影像を撮影し、三谷商事社製“WinRoof”を用いて求めた投影像の周囲長および相当円の周囲長から、下式を用いて求めた。
(円形度)=(相当円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
シリカの円形度は、シリカを100mg秤量し、水中に分散させた後、分散液をプレパラート上に滴下し、水分が飛ぶまで乾燥させたものを準備し、Nikon社製“H550L”を用いて倍率2000倍でシリカ粒子の投影像を撮影し、三谷商事社製“WinRoof”を用いて求めた投影像の周囲長および相当円の周囲長から、下式を用いて求めた。
(円形度)=(相当円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(5)発塵性
液晶性ポリエステル樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、ASTM曲げ試験片を成形した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂組成物の融点Tm+10℃に設定し、金型温度を90℃に設定した。
液晶性ポリエステル樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、ASTM曲げ試験片を成形した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂組成物の融点Tm+10℃に設定し、金型温度を90℃に設定した。
上記で得られた成形品をクラス1000のクリーンベンチ内でろ過水をかけて洗浄した後、予めろ過水で共洗いした容器に1Lのろ過水を入れ、試験片を投入して蓋をした。この容器を周波数40kHzの超音波洗浄を5分間行った。超音波洗浄後、成形品を取り出し、洗浄液を予めろ過水で共洗いした別の容器に移した。この洗浄液を個数カウント方式粒度分布計(アキュサイザー780SIS:Particle Sizing Systems社製)を用いて洗浄液中に含まれるパーティクルの個数をカウントした。パーティクルサイズは5μm以上のもの粒子をカウントした。
(6)表面抵抗値
各実施例および比較例で得られた液晶性樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点Tm+10℃に設定し、金型温度90℃、射出速度100mm/sの成形条件で射出成形を行い、縦80mm×横80mm×厚み3mmの角板を成形した。
各実施例および比較例で得られた液晶性樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点Tm+10℃に設定し、金型温度90℃、射出速度100mm/sの成形条件で射出成形を行い、縦80mm×横80mm×厚み3mmの角板を成形した。
表面抵抗値はJIS K6911(1995年制定)準処の二重リング法を用い、エレクトロメーター 6517A(ケースレーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。
(7)薄肉流動性
各実施例および比較例で得られた液晶性樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、幅5.0mm×長さ50mm×0.2mm厚みの成形品を成形できる金型を用い、シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点Tm+20℃に設定し、金型温度を130℃に設定して、射出速度100m/sの成形条件で射出成形を行い、幅5.0mm×0.2mm厚みの流動長を測定した。20ショット成形し、20ショット中の幅5.0mm×0.2mm厚みの最大流動長と最小流動長を測定した。最大流動長と最小流動長の差が小さいものほど流動バラツキが少ないことを示している。
各実施例および比較例で得られた液晶性樹脂組成物を、ファナックロボショットα−30C(ファナック(株)製)を用いて、幅5.0mm×長さ50mm×0.2mm厚みの成形品を成形できる金型を用い、シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点Tm+20℃に設定し、金型温度を130℃に設定して、射出速度100m/sの成形条件で射出成形を行い、幅5.0mm×0.2mm厚みの流動長を測定した。20ショット成形し、20ショット中の幅5.0mm×0.2mm厚みの最大流動長と最小流動長を測定した。最大流動長と最小流動長の差が小さいものほど流動バラツキが少ないことを示している。
(A)液晶性ポリエステル樹脂
[参考例1]液晶性ポリエステル樹脂(A−1)の合成
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.30モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327g(1.89モル)、ハイドロキノン89g(0.81モル)、テレフタル酸292g(1.76モル)、イソフタル酸157g(0.95モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
[参考例1]液晶性ポリエステル樹脂(A−1)の合成
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.30モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327g(1.89モル)、ハイドロキノン89g(0.81モル)、テレフタル酸292g(1.76モル)、イソフタル酸157g(0.95モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(A−1)は、構造式(I)、構造式(II)、構造式(III)、構造式(IV)および構造式(V)からなり、構造式(I)を構造式(I)、構造式(II)および構造式(III)の合計に対して70モル%、構造式(II)を構造式(II)および構造式(III)単位の合計に対して70モル%、構造式(IV)を構造式(IV)および構造式(V)の合計に対して65モル%有する。また、構造式(II)および構造式(III)の合計は全構造単位に対して23モル%であり、構造式(IV)および構造式(V)の合計は全構造単位に対して23モル%であった。液晶性ポリエステル樹脂(A−1)の融点(Tm)は314℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は20Pa・sであった。
[参考例2]液晶性ポリエステル樹脂(A−2)の合成
p−ヒドロキシ安息香酸994g(7.20モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル181g(0.97モル)、テレフタル酸161g(0.97モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート159g(0.83モル)および無水酢酸1026g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を重合容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、335℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を335℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
p−ヒドロキシ安息香酸994g(7.20モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル181g(0.97モル)、テレフタル酸161g(0.97モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート159g(0.83モル)および無水酢酸1026g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を重合容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた後、335℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を335℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズし、液晶性ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂は、p−オキシベンゾエート単位80.0モル%、4,4’−ジオキシビフェニル単位10.8モル%、エチレンジオキシ単位9.2モル%、テレフタレート単位20.0モル%を有し、融点(Tm)は326℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度335℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は13Pa・sであった。
[参考例3]液晶性ポリエステル樹脂(A−3)の合成
特開昭54−77691号公報に記載された方法に従って、p−アセトキシ安息香酸921重量部と6−アセトキシ−ナフトエ酸435重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行った。得られた液晶性ポリエステル樹脂(A−3)はp−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位57モル当量および6−アセトキシ−ナフトエ酸から生成した構造単位22モル当量からなり、融点(Tm)は283℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度293℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は30Pa・sであった。
特開昭54−77691号公報に記載された方法に従って、p−アセトキシ安息香酸921重量部と6−アセトキシ−ナフトエ酸435重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行った。得られた液晶性ポリエステル樹脂(A−3)はp−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位57モル当量および6−アセトキシ−ナフトエ酸から生成した構造単位22モル当量からなり、融点(Tm)は283℃であった。高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度293℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度は30Pa・sであった。
(B)シリカ
各実施例および比較例において用いたシリカを次に示す。
(B−1)(株)アドマテックス社製 “FEB75A”(平均粒子径 15μm、円形度:0.98、製法:溶融法、形状:球状のシリカ)
(B−2)(株)アドマテックス社製 “SO−C2” (平均粒子径 0.5μm、円形度:0.95、製法:VMC(Vaporized Metal Combustion)法、形状:球状のシリカ)。
各実施例および比較例において用いたシリカを次に示す。
(B−1)(株)アドマテックス社製 “FEB75A”(平均粒子径 15μm、円形度:0.98、製法:溶融法、形状:球状のシリカ)
(B−2)(株)アドマテックス社製 “SO−C2” (平均粒子径 0.5μm、円形度:0.95、製法:VMC(Vaporized Metal Combustion)法、形状:球状のシリカ)。
その他の充填材として、比較例において用いたガラス繊維を次に示す。
(B’−3)日本電気硝子(株)社製“ミルドファイバー EPG70M−01N”(数平均繊維長 70μm)。
(B’−3)日本電気硝子(株)社製“ミルドファイバー EPG70M−01N”(数平均繊維長 70μm)。
(C)帯電防止剤
(C−1)理研ビタミン(株)社製“ソルビタンステアレート ポエムS−60V”
(C−2)三菱マテリアル電子化成(株)社製“トリフルオロメタンスルホン酸カリウム”
(C−3)UniPetrol社製“アセチレンブラック AC−60”(導電性カーボン)
その他の添加剤として、比較例において用いた炭素繊維を次に示す。
(C’−4)日本ポリマー産業(株)社製“CF−N”(炭素繊維チョップドファイバー)。
(C−1)理研ビタミン(株)社製“ソルビタンステアレート ポエムS−60V”
(C−2)三菱マテリアル電子化成(株)社製“トリフルオロメタンスルホン酸カリウム”
(C−3)UniPetrol社製“アセチレンブラック AC−60”(導電性カーボン)
その他の添加剤として、比較例において用いた炭素繊維を次に示す。
(C’−4)日本ポリマー産業(株)社製“CF−N”(炭素繊維チョップドファイバー)。
[実施例1〜10、比較例1〜8]
スクリューの直径が45.8mmの噛み合い型同方向2軸押出機を用い、シリンダC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C12(ダイ側ヒーター)の、C6部に中間供給口を設置し、C8部に真空ベントを設置した。ニーディングディスクをC3部、C7部に組み込んだスクリューアレンジメントを用い、表1に示す(A)液晶性ポリエステル樹脂と(C)帯電防止剤またはその他添加剤を元込め部(供給口1)から添加し、(B)シリカまたはその他充填材を中間供給口(供給口2)から投入した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃に設定し、溶融混練した後、ストランドカッターによりペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを用いて試験片を作製し、評価した結果を表1に示す。
スクリューの直径が45.8mmの噛み合い型同方向2軸押出機を用い、シリンダC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C12(ダイ側ヒーター)の、C6部に中間供給口を設置し、C8部に真空ベントを設置した。ニーディングディスクをC3部、C7部に組み込んだスクリューアレンジメントを用い、表1に示す(A)液晶性ポリエステル樹脂と(C)帯電防止剤またはその他添加剤を元込め部(供給口1)から添加し、(B)シリカまたはその他充填材を中間供給口(供給口2)から投入した。シリンダ温度を液晶性ポリエステル樹脂の融点+10℃に設定し、溶融混練した後、ストランドカッターによりペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを用いて試験片を作製し、評価した結果を表1に示す。
Claims (6)
- (A)液晶性ポリエステル樹脂100重量部に、(B)平均粒子径100μm未満のシリカを1〜45重量部、(C)帯電防止剤を0.5〜5.0重量部含有することを特徴とする液晶性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記(C)帯電防止剤がエステル系ワックス、スルホン酸塩、導電性カーボン、金属石鹸から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記(C)帯電防止剤がトリフルオロメタンスルホン酸塩および/またはソルビタンステアレートのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
- 前記(B)平均粒子計100μm未満のシリカが、円形度が0.90以上の球状シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
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-
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- 2015-10-30 JP JP2015214365A patent/JP2017082158A/ja active Pending
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