JP5742706B2 - 液晶性ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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本発明は、脱酢酸重縮合時に、ヒドロキノンによる泡立ち、液面上昇を抑制することができ、ヒドロキノンの昇華と反応液の撹拌翼上部への付着を抑制し、かつ連続バッチ生産性と品質を改善することができる、液晶性ポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。
液晶性ポリエステル樹脂は、その優れた耐熱性、流動性、電気特性などを活かして、電気・電子用途の小型精密成形品を中心に需要が拡大している。また、近年、その熱安定性や高熱寸法精度に着目して、発熱部品の支持基材としてOA機器や携帯電話の液晶ディスプレイ支持基材やランプの構造部品などに用いる検討がなされている。
液晶性ポリエステル樹脂の原料としては、p−ヒドロキシ安息香酸や6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を主成分とし、共重合成分としてヒドロキノン,4,4’−ジヒドロキシビフェニル,2,6−ナフタレンジオール,脂肪族ジオールなどのジオールや、テレフタル酸,イソフタル酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸,脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸、p−アミノ安息香酸,アミノフェノールなどのアミノ基含有モノマーが用いられる。 ヒドロキノンを用いた系では、原料モノマーと無水酢酸のスラリー混合方法を改善することで、ヒドロキノンとp−ヒドロキシ安息香酸由来のコンプレックスを抑制し、重合昇温過程でのヒドロキノンの発熱による昇華を抑制する方法が検討されている(特許文献1、2参照)。
一方で、重合撹拌翼の改善や撹拌剪断速度を規定することで、重縮合反応中の昇華物の抑制や洗浄周期を長くしたり、反応液を移行する際に酢酸の留出率を規定することでフィルターを用いることができるなどの方法が提案されている(特許文献3〜7参照)。
さらに、重縮合反応中の液面より上の部分の装置温度を規定温度に保つことで、昇華物の付着を抑制し、留出管の閉塞を防ぐ方法が提案されている(特許文献8参照)。
特開2008−74899号公報(特許請求の範囲) 特開2009−57402号公報(特許請求の範囲) 特開平4−225022号公報(特許請求の範囲) 特開平4−225023号公報(特許請求の範囲) 特開平10−7780号公報(特許請求の範囲) 特開平8−151448号公報(特許請求の範囲) 特開2001−278988号公報(特許請求の範囲) 国際公開第2003/062299号(特許請求の範囲)
これらの特許文献に記載の通り、ヒドロキノンを含むモノマーと無水酢酸のスラリー混合方法を改善することで、ヒドロキノンとp−ヒドロキシ安息香酸および無水酢酸のコンプレックス生成を抑制し、重合昇温過程でのヒドロキノンの急激な発熱や昇華を抑制することが知られているが、これらの方法では、重縮合反応の撹拌状態や酢酸の留出度合いによっては、減圧を開始した後に、ヒドロキノンによる泡立ちや昇華が起こり、重合速度が低下したり、製品の収率が低下したり、連続バッチ生産性が低下するという問題がある。
本発明は、重合昇温過程および減圧過程でのヒドロキノンによる泡立ちや昇華を抑制し、反応液の昇華と反応液の撹拌翼上部への付着を抑制し、かつ収率を向上でき、連続バッチ生産性と品質を改善することができる、液晶性ポリエステル樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヘリカルリボン翼を用いて撹拌し、かつ脱酢酸重縮合を行うに際し、一定以上の酢酸留出率になってから減圧を開始することで、連続バッチ生産性と品質を改善できることを見いだした。
すなわち、本発明は、少なくともヒドロキノンを含む原料モノマーを、無水酢酸によりアセチル化し、ヘリカルリボン翼を用いて撹拌することにより脱酢酸重縮合する液晶性ポリエステル樹脂の製造方法であって、脱酢酸重縮合する工程において、酢酸留出率90%以上で減圧を開始する液晶性ポリエステル樹脂の製造方法である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂の製造方法によれば、脱酢酸重縮合時のヒドロキノンによる泡立ち、液面上昇を抑制することができ、かつ製品収率を向上でき、連続バッチ生産性と品質を改善することができる。
図1は、中心軸を有さないヘリカルリボン翼を例示する概略図である。 図2は、中心軸を有するヘリカルリボン翼を例示する概略図である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂とは、異方性溶融相を形成する樹脂であり,例えば、液晶性ポリエステルや液晶性ポリエステルアミドなどエステル結合を有する液晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
液晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位,4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位,ヒドロキノンから生成した構造単位,テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位,エチレングリコールから生成した構造単位,4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位,ヒドロキノンから生成した構造単位,テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位,ヒドロキノンから生成した構造単位,4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位,2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位,テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられ、中でも、好ましい組み合わせとして、p−ヒドロキシ安息香酸,ヒドロキノン,4,4’−ジヒドロキシビフェニル,テレフタル酸および/またはイソフタル酸が例示される。
ヒドロキノンとp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸、イソフタル酸以外に用いるモノマーとしては、芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などが、それぞれ挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えばレゾルシノール、t−ブチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、クロロヒドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどが挙げられる。アミノ基を有するモノマーとしては、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノールなどが挙げられる。
異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂の好ましい例としては、下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
Figure 0005742706
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はヒドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
以下、この液晶性ポリエステル樹脂を例に挙げて説明する。
上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の共重合量は任意である。しかし、本発明で規定する範囲とし、その特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
すなわち、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であることが好ましい。より好ましくは68〜78モル%である。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%であることが好ましい。より好ましくは55〜78モル%であり、最も好ましくは58〜73モル%である。また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%であることが好ましい。より好ましくは55〜90モル%であり、最も好ましくは60〜85モル%である。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである。ここでいう「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成する構造単位が等モルであることを示す。このため、末端を構成する構造単位まで含めた場合には必ずしも等モルとはならない態様も、「実質的に等モル」の要件を満たしうる。
上記好ましく用いられる液晶性ポリエステル樹脂は、上記構造単位(I)〜(V)を構成する成分以外に、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸などを、液晶性や特性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
なお、本発明の実施形態において、液晶性ポリエステル樹脂における各構造単位の含有量は、以下の処理によって算出することができる。すなわち、液晶性ポリエステルをNMR(核磁気共鳴)試験管に量りとり、液晶性ポリエステルが可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン−d混合溶媒)に溶解して、H−NMRスペクトル測定を行う。各構造単位の含有量は、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
例えば、上記液晶性ポリエステル樹脂の製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。なお下記は、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ヒドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸からなる液晶性ポリエステル樹脂の合成を例にとり説明したものであるが、共重合組成としてはこれらに限定されるものではなく、それぞれをその他のヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールあるいは芳香族ジカルボン酸に置き換え、下記の方法に準じて製造することができる。
以下、本発明の液晶性ポリエステル樹脂の製造方法について詳述する。
例えば、攪拌翼、精留塔、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に、所定量のモノマー混合物と無水酢酸を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し、還流しながら水酸基をアセチル化させる。次いで、還流経路を留出管へと切り替えて酢酸を留出させながら所定の温度まで昇温を行い、規定量まで酢酸を留出させる。次いで、反応容器を減圧し、重縮合反応によって発生した酢酸を留出させ、規定の撹拌トルクに到達すれば、脱酢酸重縮合反応を終了させる。重縮合反応が終了すれば、撹拌を停止し、反応容器を窒素にて加圧し、反応容器底部から口金を経由してストランド状にし、カッティング装置にてペレット化する。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、これらの脱酢酸重縮合によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する際に、ヘリカルリボン翼を用いて、脱酢酸重縮合により液晶性ポリエステル樹脂を製造するにあたり、原料モノマーとしてヒドロキノンを必須成分とし、無水酢酸を用いてアセチル化反応を行い、酢酸留出率90%以上で減圧を開始することを特徴とするものである。この酢酸留出率とは、下記(1)式から求められた値をいう。
・酢酸留出率(%)=留出液量(g)/[〔無水酢酸仕込みモル数−原料モノマー中の水酸基のモル数〕×無水酢酸分子量+原料モノマー中の水酸基のモル数×2×酢酸分子量+原料モノマー中のアセチル基のモル数×酢酸分子量](g)×100(%)・・・(1)。
本発明において、反応槽の数は特に制限は無く、1槽または2槽以上の反応槽で行うことができる。2槽で行う場合の好ましい方法例は次のとおりである。まず、反応槽1に原料モノマーと無水酢酸を仕込み、アセチル化反応を行った後、所定の温度と所定の酢酸留出量まで脱酢酸重縮合を行う。次いで、反応槽2に連結した移行管を通して反応槽1の反応液を反応槽2に移行し、さらに所定の温度と所定の酢酸留出量まで脱酢酸重縮合を行い、次いで反応槽2を減圧にしてさらに重縮合を進め、所定の撹拌トルクに到達すれば反応を終了させる。
無水酢酸の使用量は、用いる液晶性ポリエステル樹脂原料中のフェノール性水酸基の合計の1.00〜1.20モル当量であることが好ましい。より好ましくは1.03〜1.16モル当量である。アセチル化反応は125℃以上150℃以下の温度で還流しながら、芳香族ジオールのモノアセチル化物の残存量が特定範囲となるまで反応を行うことが好ましい。アセチル化反応の装置としては例えば還流管や精留塔、凝縮器を備えた反応容器を用いることができる。アセチル化の反応時間としては大まかには1〜5時間程度であるが、芳香族ジオールのモノアセチル化物の残存量が特定範囲となるまでの時間は、用いる液晶性ポリエステル樹脂原料や、反応温度によっても異なる。好ましくは、1.0〜2.5時間であり、反応温度が高い程短時間でよく、無水酢酸のフェノール性水酸基末端に対するモル比が大きい程短時間で行えるため好ましい。
酢酸を留出させながら所定の温度まで昇温を行う際には、精留塔の塔頂温度を115℃〜150℃の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは130℃〜145℃の範囲である。塔頂温度が低すぎると、未反応の無水酢酸が系内に多く残ってしまい、ポリマーの着色の原因や加熱滞留時のガス量の増加となるため好ましくない。また、塔頂温度が150℃より高くなると、モノマー類が系外に留出してしまい、組成のズレが起こったり重合速度が低下するため好ましくない。この場合、留出する酢酸中には、過剰な無水酢酸やモノマー類が含まれるが、酢酸と無水酢酸を除いたモノマー類の質量%は1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
本発明の製造方法は、攪拌翼としてヘリカルリボン翼を備えた反応容器を用いる。ヘリカルリボン翼とは、撹拌軸のフレームに螺旋状にリボン翼が取り付けられているものであり、例えば、図1、図2のようなものが挙げられる。図1のヘリカルリボン翼は、中心軸を有さないフレームにリボン翼が取り付けられているヘリカルリボン翼である(以下、中心軸を有さないヘリカルリボン翼とする)。この中心軸を有さないヘリカルリボン翼は、回転軸1と、回転軸1の末端に固定され長手方向が反応容器5の直径方向である固定棒6と、この固定棒の両端に固定され長手方向が反応容器5壁面に平行な2本以上のフレーム棒2と、これらフレーム棒2に螺旋状に巻き付きながら固定されたリボン翼3とで構成されている。各フレーム棒は反応容器5壁面からの距離が反応容器内径の0.2倍以内の所に位置している。そして、回転軸1の回転に伴い、回転軸1を中心として反応容器5の中でリボン翼3が回転する。図2のヘリカルリボン翼は、中心軸を兼ねた回転軸1と、回転軸1に固定され長手方向が反応容器5の直径方向である複数の固定棒6と、固定棒6の末端に固定され反応容器5壁面に沿って螺旋状に進むリボン翼3とで構成されている。ヘリカルリボン翼3の反応容器5壁面からのクリアランスは50mm以下が好ましい。さらに好ましくは20mm以下である。
ヒドロキノンの泡立ちや昇華による反応液の上昇を抑制するため、ヘリカルリボン翼の回転方向は掻き下げ方向であることがより好ましい。ここでいう掻き下げ方向とは、缶壁面付近の反応液がリボン翼の回転方向によって缶底部に向かって押し下げられることである。逆に、掻き上げ方向とは、缶壁面付近の反応液がリボン翼の回転方向によって上向きに押し上げられることを言う。
さらに、より効率の良い撹拌混合状態を達成するため、減圧前の撹拌剪断速度は150〜500(1/秒)の範囲であることが好ましい。攪拌剪断速度の下限は200(1/秒)以上がより好ましい。攪拌剪断速度の上限は350(1/秒)以下がより好ましい。この撹拌剪断速度とは、撹拌翼と缶壁面での剪断速度を下記(2)式で求められた値をいう。
・剪断速度(1/秒)=2×2×3.14×撹拌数(回転/秒)×缶内径×缶内径/(缶内径×缶内径−撹拌翼外径×撹拌翼外径)・・・(2)。
撹拌剪断速度の下限が150(1/秒)以上であれば、ハイドロキノンを含む反応液が均一に混合できるため好ましい。撹拌剪断速度の上限が500(1/秒)以下であれば、高速撹拌混合による反応液の飛散や昇華物の飛散を抑制できるため好ましい。
また、ヘリカルリボン翼としては、中心軸を有さないヘリカルリボン翼が好ましい。中心軸を有さないヘリカルリボン翼を用いると、剪断速度の小さい撹拌軸中心部へのポリマー付着量が少なく、缶残ポリマーを極力少なくすることができ、中心軸近傍の異常滞留がないので、反応液が均一に撹拌され、内温分布が小さく均一な反応液を得ることができ、良好な液晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
さらに、前記ヘリカルリボン翼で重縮合反応を行うに際し、ヒドロキノンを十分に反応させてから減圧を行う必要があるため、酢酸留出率が90%以上で減圧を開始することが好ましい。より好ましくは93%以上である。酢酸留出率が90%未満であると、ヒドロキノンの反応が不十分であるため、減圧を開始した後に減圧装置に向かって昇華物が飛散したり、ヒドロキノンの泡立ちが促進されるため好ましくない。酢酸留出率90%後の重縮合時の圧力としては、減圧して1333Pa以下とすることが好ましく、より好ましくは133Pa以下である。
最終重合温度は、融点+20℃程度が好ましく、370℃以下であることが好ましい。
重縮合反応終了後、得られたポリマーを反応容器から取り出すには、ポリマーが溶融する温度で反応容器内を、例えばおよそ0.02〜0.5MPaに加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出し、ストランドを冷却水中で冷却して、ペレット状に切断し、樹脂ペレットを得ることができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができるので好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂を製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステル樹脂のポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステル樹脂の融点−5℃〜融点−50℃の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
本発明における液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度は10〜500Pa・sが好ましい。より好ましくは12〜200Pa・sである。なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、剪断速度1000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明における液晶性ポリエステル樹脂の融点は特に限定されるものではないが、高耐熱用途に用いるために280℃以上となるよう共重合成分を組み合わせることが好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明においては、液晶性ポリエステル樹脂の機械強度その他の特性を付与するために、さらに充填材を配合することが可能である。充填材は特に限定されるものでないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、バサルト繊維、酸化チタンウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
これら充填材のなかで特にガラス繊維が入手性、機械的強度のバランスの点から好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
充填材の配合量は、液晶性ポリエステル樹脂100質量部に対し、通常30〜200質量部であり、好ましくは40〜150質量部である。
さらに、本発明の液晶性ポリエステル樹脂には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
これらの添加剤を配合する方法は、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、200〜370℃、より好ましくは270〜340℃の温度で溶融混練して液晶性ポリエステル樹脂組成物とすることができる。その際には、1)液晶性ポリエステル樹脂、任意成分である充填材およびその他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステル樹脂にその他の添加剤を高濃度に含む液晶性ポリエステル樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるようにその他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性ポリエステル樹脂とその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの充填材およびその他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂およびそれを含む液晶性ポリエステル樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する三次元成形品、シート、容器、パイプ、フィルムなどに加工することが可能である。なかでも射出成形により得られる電気・電子部品用途に適している。
このようにして得られた液晶性ポリエステル樹脂およびそれを含む液晶性ポリエステル樹脂組成物は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレイ部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、セパレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィルム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィルム、シート用途としては自動車内部天井、ドアトリム、インストロメントパネルのパッド材、バンパーやサイドフレームの緩衝材、ボンネット裏等の吸音パット、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブおよびそれらの周辺部品に有用である。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
実施例1〜6および比較例1〜5の重合工程をそれぞれ最大20回(20バッチ)行い、次の(1)〜(4)で示す評価を行った。
(1)減圧不良発生バッチ数
繰り返しバッチ反応を行い、減圧時のコントロール不良や真空度の振れが生じ始めたバッチ数を調べた。
(2)口金詰まり発生バッチ数
繰り返しバッチ反応を行い、吐出口の口金が詰まり始めたバッチ数を調べた。
(3)製品収率
試験バッチ毎に製品収率を求めた。そして、全ての試験バッチの平均値を各実施例と比較例の製品収率とした。なお、20バッチに満たないバッチで試験を終了した場合は、終了したバッチまでの平均値を求めた。
・製品収率(%)=ペレット質量(kg)/理論ポリマー質量(kg)×100。
(4)色調(L値)
試験バッチ毎に得られたペレットを、スガ試験器(株)製SMカラーコンピューター装置を用いて、明るみ(L値)を測定した。そして、全ての試験バッチの平均値を各実施例と比較例の色調(L値)とした。なお、20バッチに満たないバッチで試験を終了した場合は、終了したバッチまでの平均値を求めた。
(実施例1)
留出管を有し、容器内壁と中心軸の無いヘリカルリボン翼との隙間が10mmである5Lの反応容器を用い、次のように重合を行った。
反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸843質量部(54モル%)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル341質量部(16モル%)、ヒドロキノン86質量部(7モル%)、テレフタル酸282質量部(15モル%)、イソフタル酸152質量部(8モル%)および無水酢酸1272質量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で剪断速度285(1/秒)で掻き下げ方向に撹拌しながら145℃で1.5時間アセチル化反応させた後、酢酸を留出させながら335℃まで4時間で昇温した。このとき酢酸留出率が理論留出量の95%に達した時点で減圧を開始し、1時間かけて133Pa(1torr)まで減圧を行い、13.3kPa(100torr)に到達した時点で撹拌剪断速度を180(1/秒)に変更し、さらに減圧させながら重縮合反応を続け、規定の撹拌トルクに到達したところで重縮合反応を終了させた。次に反応容器内を0.1MPaに窒素で加圧し、直径10mmの円形吐出口を有する口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレット化した。前記の方法で繰り返し20バッチの重合を行った。
(実施例2)
酢酸留出率が90%に達した時点で減圧を開始した以外は、実施例1と同様に行った。実施例1に対し、17バッチ目で減圧時の真空度の振れが生じ始めたが、軽微であるため20バッチの連続運転は可能であった。
(実施例3)
減圧開始までの撹拌剪断速度を180(1/秒)にした以外は、実施例1と同様に行った。実施例1に対し、18バッチ目で口金詰まりが見られ始めたが、軽微であり、20バッチの連続運転は可能であった。
(実施例4)
ヘリカルリボン翼の回転方向を掻き上げ方向にした以外は、実施例1と同様に行った。実施例1に対し、18バッチ目で減圧時の真空度の振れが生じ始め、16バッチ目で口金詰まりが見られ始めたが、軽微であり、20バッチの連続運転は可能であった。20バッチ終了後に反応容器上部を解体し、内部点検を行うと、内壁の気相部にわずかにポリマーの付着が見られた。
(実施例5)
中心軸を有するヘリカルリボン翼を用いた以外は、実施例1と同様に行った。実施例1に対し、14バッチ目で口金詰まりが見られ始めたが、軽微であり、20バッチの連続運転は可能であった。20バッチ終了後に反応容器上部を解体し、反応容器内部を点検すると、撹拌翼の中心軸部にポリマーの付着が見られた。
(実施例6)
減圧開始までの撹拌剪断速度を450(1/秒)にした以外は、実施例1と同様に行った。実施例1に対し、15バッチ目で減圧時の真空度の振れが生じ始めたが、軽微であり、20バッチの連続運転は可能であった。実験終了後に減圧ラインを点検すると、配管の約1割が昇華物で閉塞していた。
(比較例1)
中心軸を有するアンカー型撹拌翼を用いた以外は、実施例1と同様に行った。繰り返し3バッチ目で口金詰まりが見られ始め、その後詰まりが酷くなってきたので、6バッチ目の吐出終了後に口金を交換した。また、繰り返し7バッチ目で減圧時の真空度の振れが生じ始め、その後も真空度の振れが大きくなり、10バッチ目の吐出後に減圧ラインを点検すると、配管の約半分が昇華物で閉塞していたので、このバッチで実験を中止した。真空度1333Pa到達後の重合時間は124分(10バッチの平均)と遅延した。
(比較例2)
酢酸留出率が85%に達した時点で減圧を開始した以外は、実施例1と同様に行った。1バッチ目から真空度に乱れが生じ始め、反応を終了するまで真空度の振れが大きかった。1バッチ目の吐出後に減圧ラインを点検すると、配管の約8割が昇華物で閉塞していたので、昇華物を除去し、2バッチ目の反応を行ったが、1バッチ目と同様に真空度の振れが大きかったので、2バッチ目で実験を終了した。2バッチ目の吐出後に減圧ラインを点検すると、配管のほとんどが昇華物で閉塞しており、さらに反応容器上部を解体し、反応容器内部を点検すると、撹拌翼と内壁の気相部に非常に多くの昇華物が付着していた。真空度1333Pa到達後の重合時間は261分(2バッチの平均)と大幅に遅延し、製品収率も85.3%と低く、ペレットも黒色を帯びていた。
(比較例3)
反応容器に仕込む成分を、下記のものに変更する以外は実施例1と同様に重合を行った。
・p−ヒドロキシ安息香酸1152質量部(74モル%)
・4,4’−ジヒドロキシビフェニル146質量部(7モル%)
・テレフタル酸130質量部(7モル%)
・ポリエチレンテレフタレート251質量部(12モル%)
・無水酢酸1113質量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)
3バッチ目で減圧時の真空度の振れが生じ始め、その後も真空度の振れが大きくなり、6バッチ目の吐出後に減圧ラインを点検すると、配管のほとんどが昇華物で閉塞しており、さらに反応容器上部を解体し、反応容器内部を点検すると、撹拌翼と内壁の気相部に非常に多くの昇華物が付着していたので、減圧ラインと反応容器上部の昇華物を除去し、連続運転を継続することとした。また、5バッチ目で口金詰まりも見られ始め、その後詰まりが激しくなり、真空度の振れも大きくなってきたので、8バッチ目の吐出終了後に実験を中止した。今回の吐出状態は、全てのバッチでストランドの発泡が激しく、カッターへの引き取りが困難であり、吐出を複数回中断する必要があった。また、ペレット表面は微細な気泡を帯びており、粉状ペレットが多く混入していた。真空度1333Pa到達後の重合時間は102分(8バッチの平均)と遅延した。
(比較例4)
酢酸留出率が89%に達した時点で減圧を開始した以外は、実施例1と同様に行った。10バッチ目から真空度の振れが生じ始め、15バッチ目で口金詰まりが見られ始めた。その後、減圧時の真空度の振れが徐々に大きくなってきたが、20バッチの連続運転は可能であった。20バッチ終了後に減圧ラインを点検すると、配管の約半分が昇華物で閉塞していた。
(比較例5)
減圧開始までの撹拌剪断速度を510(1/秒)とし、酢酸留出率が85%に達した時点で減圧を開始した以外は、比較例1と同様に行った。1バッチ目から真空度の乱れと口金詰まりが見られ、反応を終了するまで真空度の振れが大きかった。真空度1333Pa到達後の撹拌トルク上昇が遅いため、360分で重合を打ち切った。1バッチ目の吐出後に減圧ラインを点検すると、配管の約8割が昇華物で閉塞していたので、昇華物を除去し、2バッチ目の反応を行ったが、1バッチ目と同様に真空度の振れが大きく、口金詰まりも酷くなってきたので、2バッチ目で実験を終了した。2バッチ目の吐出後に減圧ラインを点検すると、配管のほとんどが昇華物で閉塞しており、さらに反応容器上部を解体し、反応容器内部を点検すると、撹拌翼と内壁の気相部に非常に多くの昇華物が付着していた。真空度1333Pa到達後の重合時間は360分(2バッチ共に360分で打ち切り)と大幅に遅延し、製品収率も77.1%と最も低く、ペレットも黒色を帯びていた。
各実施例、比較例の結果を表1、2にまとめた。
Figure 0005742706
Figure 0005742706
1 回転軸(中心軸)
2 フレーム棒
3 ヘリカルリボン翼
4 ボトム翼
5 反応容器
6 固定棒

Claims (5)

  1. 少なくともヒドロキノンを含む原料モノマーを、無水酢酸によりアセチル化し、ヘリカルリボン翼を用いて撹拌することにより脱酢酸重縮合する液晶性ポリエステル樹脂の製造方法であって、脱酢酸重縮合する工程において、酢酸留出率90%以上で減圧を開始する液晶性ポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 前記脱酢酸重縮合する工程において、減圧開始前の撹拌剪断速度を150〜500(1/秒)とする請求項1の液晶性ポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 前記ヘリカルリボン翼が、中心軸を有さないフレームに取り付けられたヘリカルリボン翼である請求項1または2の液晶性ポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 前記脱酢酸重縮合する工程において、ヘリカルリボン翼の回転方向が掻き下げ方向である請求項1〜3のいずれかの液晶性ポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 前記液晶ポリエステル樹脂が、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成され、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)が構造単位(II)および(III)の合計に対して55〜85モル%であり、構造単位(IV)が構造単位(IV)および(V)の合計に対して50〜95モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と構造単位(IV)および(V)の合計が実質的に等モルである液晶性ポリエステル樹脂である請求項1〜4のいずれかの液晶性ポリエステル樹脂の製造方法。
    Figure 0005742706
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