JP6412329B2 - 熱硬化性芳香族エステルの製造方法 - Google Patents

熱硬化性芳香族エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性芳香族エステルの製造方法、及び新規な熱硬化性芳香族エステルに関する。
液晶ポリエステルに代表される液晶ポリマーは、耐熱性、成形性、耐薬品性、機械強度等の各種特性に優れるため、電気・電子部品、自動車部品等の様々な用途に使用されている。近年、特に、加熱により硬化させることによって非常に高い耐熱性を有する硬化物を形成できる熱硬化性液晶ポリマー材料に注目が集められている。
液晶ポリエステルの製造方法としては、モノマーをアセチル化及び脱アセチル化を伴う、エステル交換反応による方法が知られている。また、熱硬化性液晶ポリエステルの製造方法として、液晶ポリエステルに熱硬化剤などの硬化剤を加えて、溶融混合する方法が知られている。半導体の封止技術として、トランスファー成形が知られている。
熱硬化性液晶ポリマー材料としては、例えば、主鎖サーモトロピック液晶エステル等の液晶オリゴマーをフェニルアセチレン、フェニルマレイミド、ナジイミド反応性末端基でエンドキャップした材料が知られている(特許文献1〜3参照)。また、主鎖に一つ以上の可溶性構造単位を有し且つ主鎖の末端の一つ以上に熱硬化性基を有する熱硬化性液晶オリゴマーと特定のフッ素化合物とを反応させて得られる材料(特許文献4参照)、上記熱硬化性液晶オリゴマーとアルコキシド金属化合物で表面を置換したナノ充填剤とを反応させて得られる材料が知られている(特許文献5参照)。
熱硬化性液晶ポリマー材料としては、例えば、液晶ポリマーの末端にスペーサー単位を介して重合性官能基が結合した材料も知られている(特許文献6参照)。また、液晶ポリエステルの両末端に、無置換又は置換マレイミド、無置換又は置換ナジイミド、エチニル、ベンゾシクロブテンなどのラジカル重合性基を有する材料も知られている(特許文献7参照)。
特表2004−509190号公報 米国特許第6939940号明細書 米国特許第7507784号明細書 特開2011−111619号公報 特開2011−084707号公報 特表2002−521354号公報 米国特許第5114612号明細書
これらの重合性官能基を有する液晶ポリエステル等の熱硬化性芳香族ポリエステルは、硬化反応させることにより、優れた耐熱性などの物性を有する硬化物が得られる。しかしながら、芳香族ポリエステルに重合性官能基を導入するには、非常に高温(例えば、300〜350℃)で芳香族ポリエステルを合成した後、さらに、芳香族ポリエステルに重合性官能基を有する化合物を加え反応させる必要があり、製造工程が煩雑である。また、上記の芳香族ポリエステルの合成と重合性官能基を有する化合物との反応を、同一系内で連続的に進行させると、芳香族ポリエステルの合成中に重合性官能基を有する化合物の硬化(重合)反応が進行することがある。これにより、系内の粘度が増し、トランスファー成形などの成形が困難となり、また、得られる硬化物の物性が低下する場合がある。
従って、本発明の目的は、重合性官能基を有する化合物の重合性官能基を熱的性質により選択することにより、簡便で生産性に優れる重合性官能基を有する熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、硬化することにより得られる硬化物が、耐熱性等の物性に優れる分子鎖末端に重合性官能基を有する新規な熱硬化性芳香族エステルを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸と、分子内に反応性官能基及び熱重合性官能基を有する化合物と、を溶融重合させることにより、熱硬化性芳香族エステルを簡便に且つ生産性良く製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルである成分(A)と芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)とを少なくとも含むモノマー成分と、分子内に水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する反応性官能基及び下記式(c1)〜(c6)で表される熱重合性官能基のいずれかを有する化合物である成分(C)と、を溶融重合させることを特徴とする下記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
Figure 0006412329
[各式において、n1〜n7は、それぞれ0以上の整数を表し、R1〜R7は、置換基であって、それぞれC1-6アルキル基、C6-10アリール基、C1-6アルコキシ基、C6-10アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、n1〜n7が2以上の場合、それぞれR1〜R7は、同一又は異なっていてもよい]
Figure 0006412329
Figure 0006412329
[上記式(I)中のLは、芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルである成分(A)由来の構成単位と、芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)由来の構成単位を含む芳香族エステル骨格を表し、RA及びRA'は、同一又は異なっていてもよく、上記式(II)で表される基、水酸基、アシルオキシ基、又は他の有機基であり、上記式(II)で表される基、水酸基及びアシルオキシ基の合計の割合がRA+RA'の70%以上であり、上記式(II)中のDは、単結合又は連結基を表し、Raは、上記式(c1)〜(c6)で表される基のいずれかを表す]
さらに、本発明は、前記成分(C)における熱重合性官能基の硬化開始温度が350℃以上である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記成分(C)が、下記式(III)で表される化合物である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
Figure 0006412329
[上記式(III)中のRは、水酸基又はハロゲン原子を表し、Dは、単結合又は連結基を表し、Raは、上記式(c1)〜(c6)で表される基のいずれかを表す]
さらに、本発明は、前記成分(C)が、フェニルエチニル安息香酸、4−スチルベンカルボン酸、及びけい皮酸からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記成分(A)が、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジオール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、(フェニルスルホニル)ベンゼン、[1,1'−ビフェニル]−2,5−ジオール、又はこれらのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルである前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4'−ヒドロキシ[1,1'−ビフェニル]−4−カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記成分(A)と前記成分(B)の全化合物において、水酸基とカルボキシル基との官能基比(前者/後者)が、1.02以上である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記成分(A)と前記成分(B)の総量に対する成分(A)の割合が、3〜25モル%である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記溶融重合時の温度が250〜400℃である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記熱硬化性芳香族エステルの平均重合度が、1〜50である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、前記熱硬化性芳香族エステルの融点が250℃以下である前記の熱硬化性芳香族エステルの製造方法を提供する。
また、本発明は、下記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステルを提供する。
Figure 0006412329
Figure 0006412329
[上記式(I)中のLは、芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルである成分(A)由来の構成単位と、芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)由来の構成単位を含む芳香族エステル骨格を表し、RA及びRA'は、同一又は異なっていてもよく、上記式(II)で表される基、水酸基、脂肪族アシルオキシ基、又は他の有機基であり、上記式(II)で表される基、水酸基及び脂肪族アシルオキシ基の合計の割合がRA+RA'の70%以上であり、上記式(II)中のDは、単結合又は連結基を表し、Raは、下記式(c1)〜(c6)で表される基のいずれかを表す]
Figure 0006412329
[各式において、n1〜n7は、それぞれ0以上の整数を表し、R1〜R7は、置換基であって、それぞれC1-6アルキル基、C6-10アリール基、C1-6アルコキシ基、C6-10アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、n1〜n7が2以上の場合、それぞれR1〜R7は、同一又は異なっていてもよい]
さらに、本発明は、上記式(II)中の前記連結基が、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合、これらが複数個連結した基である前記の熱硬化性芳香族エステルを提供する。
さらに、本発明は、上記式(II)中のRaが、(c1)又は(c2)である前記の熱硬化性芳香族エステルを提供する。
さらに、本発明は、上記式(I)中の芳香族エステル骨格Lの平均重合度が、1〜50である前記の熱硬化性芳香族エステルを提供する。
さらに、本発明は、熱硬化開始温度が、350℃以上である前記の熱硬化性芳香族エステルを提供する。
さらに、本発明は、融点が250℃以下である前記の熱硬化性芳香族エステルを提供する。
本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法は、上記構成を有するため、簡便に且つ生産性良く熱硬化性芳香族エステルを製造できる。また、芳香族エステルを必須の構成要素として含むため、得られる硬化物は、加工性、寸法安定性、低線膨張、高熱伝導、低吸湿性及び誘電特性にも優れる。また、本発明の熱硬化性芳香族エステルは、上記構成を有するため、得られる硬化物は、加工性、寸法安定性、低線膨張、高熱伝導、低吸湿性及び誘電特性にも優れる。
[熱硬化性芳香族エステルの製造方法]
本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法は、下記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステルの製造方法であり、芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルである成分(A)と芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)とを少なくとも含むモノマー成分と、分子内に水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する反応性官能基及び下記式(c1)〜(c6)で表される熱重合性官能基のいずれかを有する化合物である成分(C)と、を溶融重合させることを特徴とする。
Figure 0006412329
[各式において、n1〜n7は、それぞれ0以上の整数を表し、R1〜R7は、置換基であって、それぞれC1-6アルキル基、C6-10アリール基、C1-6アルコキシ基、C6-10アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、n1〜n7が2以上の場合、それぞれR1〜R7は、同一又は異なっていてもよい]
Figure 0006412329
Figure 0006412329
[上記式(I)中のLは、芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルである成分(A)由来の構成単位と、芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)由来の構成単位を含む芳香族エステル骨格を表し、RA及びRA'は、同一又は異なっていてもよく、上記式(II)で表される基、水酸基、アシルオキシ基、又は他の有機基であり、上記式(II)で表される基、水酸基及びアシルオキシ基の合計の割合がRA+RA'の70%以上であり、上記式(II)中のDは、単結合又は連結基を表し、Raは、上記式(c1)〜(c6)で表される基のいずれかを表す]
上記他の有機基とは、特に制限されないが、アリール基、カルボキシ基、アルキル基、これらが複数個連結した基などが挙げられる。上記他の有機基の割合は、特に制限されないが、RA+RA'(末端基全体)の0〜30%が好ましく、0〜15%がより好ましい。
上記連結基としては、特に制限されないが、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合、これらが複数個連結した基などが挙げられる。上記の2価の炭化水素としては、アリーレン基、アルキレン基、シクロヘキシレン基又はこれらが2以上結合した基などが挙げられる。上記アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。また、上記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基などが挙げられる。
芳香族エステルは、エステル構造を有する重合体(例えば、ポリマー又はオリゴマー)であって、その溶融体(例えば、450℃以下における溶融体)が光学的異方性を示す液晶エステル(サーモトロピック液晶ポリマー)である場合が多い。なお、上記「水酸基及び/又はアシルオキシ基」とは、「水酸基及びアシルオキシ基のいずれか一方又は両方」を意味し、他についても同様である。
[成分(A)]
本発明の成分(A)である芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルは、芳香族ジオール、芳香族ジオールのモノカルボン酸モノエステル、芳香族ジオールのモノカルボン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である。
上記芳香族ジオールとしては、例えば、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジオール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、(フェニルスルホニル)ベンゼン、[1,1'−ビフェニル]−2,5−ジオール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。上記誘導体としては、例えば、上記芳香族ジオールの芳香環に、カルボキシル基及びエステル基を除く、炭素数0〜20(好ましくは炭素数0〜10)の置換基が置換した化合物などが挙げられる。中でも、芳香族ジオールとしては、硬化物としたときに耐熱性等の物性に優れる点から、4,4'−ジヒドロキシビフェニルなどのビフェニル構造を有するものが好ましい。
上記置換基としては、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基など];アルケニル基[例えば、ビニル基、アリル基など];アルキニル基[例えば、エチニル基、プロピニル基など];ハロゲン原子[例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子];ヒドロキシル基;アルコキシ基[例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のC1-6アルコキシ基(好ましくはC1-4アルコキシ基)など];アルケニルオキシ基[例えば、アリルオキシ基等のC2-6アルケニルオキシ基(好ましくはC2-4アルケニルオキシ基)など];アリールオキシ基[例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシ基など];アラルキルオキシ基[例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のC7-18アラルキルオキシ基など];アシルオキシ基[例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のC1-12アシルオキシ基など];メルカプト基;アルキルチオ基[例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等のC1-6アルキルチオ基(好ましくはC1-4アルキルチオ基)など];アルケニルチオ基[例えば、アリールチオ基等のC2-6アルケニルチオ基(好ましくはC2-4アルケニルチオ基)など];アリールチオ基[例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基、ナフチルチオ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいC6-14アリールチオ基など];アラルキルチオ基[例えば、ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のC7-18アラルキルチオ基など];カルボキシル基;アルコキシカルボニル基[例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のC1-6アルコキシ−カルボニル基など];アリールオキシカルボニル基[例えば、フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のC6-14アリールオキシ−カルボニル基など];アラルキルオキシカルボニル基[例えば、ベンジルオキシカルボニル基などのC7-18アラルキルオキシ−カルボニル基など];アミノ基;モノ又はジアルキルアミノ基[例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノ又はジ−C1-6アルキルアミノ基など];モノ又はジフェニルアミノ基[例えば、フェニルアミノ基など];アシルアミノ基[例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のC1-11アシルアミノ基など];エポキシ基含有基[例えば、グリシジル基、グリシジルオキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基など];オキセタニル基含有基[例えば、エチルオキセタニルオキシ基など];アシル基[例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基など];オキソ基;イソシアネート基;これらの2以上が必要に応じてC1-6アルキレン基を介して結合した基などが挙げられる。なお、成分(A)は、芳香族ジオール由来の構成単位の1種を有するものであってもよいし、2種以上を有するものであってもよい。
上記の芳香族ジオールのモノカルボン酸モノエステルとは、芳香族ジオールの置換基として、上記置換基と共に置換基としてエステル基を1つ有するものであり、上記の芳香族ジオールのモノカルボン酸ジエステルとは、芳香族ジオールの置換基として、上記置換基と共に置換基としてエステル基を2つ有するものである。上記モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等の炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の炭素数3〜12の脂環式カルボン酸;安息香酸等の炭素数6〜12の芳香族カルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸が好ましく、炭素数2〜4の脂肪族カルボン酸がより好ましく、酢酸が特に好ましい。
[成分(B)]
本発明の成分(B)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸である。上記芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4'−ヒドロキシ[1,1'−ビフェニル]−4−カルボン酸、及びこれらの誘導体などが挙げられる。上記誘導体としては、例えば、上記芳香族ヒドロキシカルボン酸の芳香環(芳香族環)に、炭素数0〜20(好ましくは炭素数0〜10)の置換基が置換した化合物等が挙げられる。上記置換基としては、芳香族ジオールにおける置換基と同様のものが例示される。なお、成分(B)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸を1種有するものであってもよいし、2種以上を有するものであってもよい。
[その他のモノマー成分]
本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法では、上記成分(A)及び成分(B)以外にも、その他のモノマー成分を含んでもよい。その他のモノマー成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアミン及びフェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族アミドなどが挙げられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジカルボン酸、4,4'−オキシビス(安息香酸)、4,4'−チオビス(安息香酸)、4−[2−(4−カルボキシフェノキシ)エトキシ]安息香酸、及びこれらの誘導体などが挙げられる。上記誘導体としては、例えば、上記芳香族ジカルボン酸の芳香環に、炭素数0〜20(好ましくは炭素数0〜10)の置換基が置換した化合物などが挙げられる。上記置換基としては、芳香族ジオールにおける置換基と同様のものが例示される。なお、芳香族エステルは、芳香族ジカルボン酸由来の構成単位の1種を有するものであってもよいし、2種以上を有するものであってもよい。
上記芳香族ジアミンとしては、例えば、1,4−ベンゼンジアミン、1,3−ベンゼンジアミン、4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、4−(4−アミノベンジル)フェニルアミン、4−(4−アミノフェノキシ)フェニルアミン、3−(4−アミノフェノキシ)フェニルアミン、4'−アミノ−3,3'−ジメチル[1,1'−ビフェニル]−4−イルアミン、4'−アミノ−3,3'−ビス(トリフルオロメチル)[1,1'−ビフェニル]−4−イルアミン、4−アミノ−N−(4−アミノフェニル)ベンズアミド、4−[(4−アミノフェニル)スルホニル]フェニルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタノン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。上記誘導体としては、例えば、上記芳香族ジアミンの芳香環に、炭素数0〜20(好ましくは炭素数0〜10)の置換基が置換した化合物などが挙げられる。上記置換基としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸における置換基と同様のものが例示される。なお、芳香族エステルは、芳香族ジアミン由来の構成単位の1種を有するものであってもよいし、2種以上を有するものであってもよい。
上記フェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族アミドとしては、例えば、4−アミノフェノール、4−アセトアミドフェノール、3−アミノフェノール、3−アセトアミドフェノール、6−アミノ−2−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、4'−ヒドロキシ−[1,1'−ビフェニル]−4−アミン、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。上記誘導体としては、例えば、上記フェノール性水酸基を有する芳香族アミンの芳香環に、炭素数0〜20(好ましくは炭素数0〜10)の置換基が置換した化合物などが挙げられる。上記置換基としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸における置換基と同様のものが例示される。なお、芳香族エステルとしては、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族アミド由来の構成単位の1種を有するものであってもよいし、2種以上を有するものであってもよい。
上述の芳香族化合物(芳香族ジアミン、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族アミド)の、芳香族エステルを構成する全構成単位に対する割合(上記構成単位が2種以上の場合は、それらの総量の割合)は、特に限定されないが、30重量%以下(例えば、0〜30重量%)が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。上記割合が30重量%以下であると、硬化物の耐吸湿性(耐加水分解性)が低下しにくい。
成分(B)とその他のモノマー成分の配合割合(配合量)は、特に制限されないが、成分(B)100重量部に対して、その他のモノマー成分の配合量は、0〜100重量部が好ましく、0〜50重量部がより好ましく、0〜30重量部がさらに好ましい。
[成分(C)]
本発明の成分(C)は、分子内(一分子中)に、水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する反応性官能基及び熱重合性官能基を有する化合物である。成分(C)は、分子内(一分子中)に、上記反応性官能基を1つ以上と上記熱重合性官能基(熱硬化性官能基)を1つ以上有する化合物である。成分(C)の反応性官能基と反応する上記の水酸基及び/又はアシルオキシ基は、成分(A)又は成分(B)由来のものである。
上記反応性官能基としては、水酸基又はアシルオキシ基と反応し得る官能基であればよく、特に限定されないが、上記反応が進行する温度の観点で、例えば、α,β−不飽和カルボニル基(例えば、カルボニル炭素のα位とβ位の間に炭素−炭素不飽和結合を有するケトン基、カルボニル炭素のα位とβ位の間に炭素−炭素不飽和結合を有するエステル基、カルボニル炭素のα位とβ位の間に炭素−炭素不飽和結合を有するアミド基、カルボニル炭素のα位とβ位の間に炭素−炭素不飽和結合を有するイミド基など);エポキシ基;マレイミド基;エステル基;酸無水物基(例えば、マレイン酸無水物基など);カルボキシル基などが挙げられる。なお、成分(C)は、上記反応性官能基の1種を有するものであってもよいし、2種以上を有するものであってもよい。
なお、上記で例示した反応性官能基のうち、α,β−不飽和カルボニル基、エポキシ基、マレイミド基、エステル基、酸無水物基、カルボキシル基は、水酸基と反応する反応性官能基(対水酸基反応性官能基)である。また、上記で例示した反応性官能基のうち、カルボキシル基は、アシルオキシ基と反応する反応性官能基(対アシルオキシ基反応性官能基)である。さらに、上記で例示した反応性官能基のうち、マレイミド基、酸無水物基(特に、マレイン酸無水物基)は、芳香族環と反応(環化付加反応)する反応性官能基、及び/又は、共役ジエン構造と反応(環化付加反応)する反応性官能基である。中でも反応性官能基としては、水酸基と反応し、エステル結合を生成できる点より、カルボキシル基が好ましい。
成分(C)における反応性官能基の数は、1個以上であればよく、特に限定されないが、1〜10個が好ましく、より好ましくは1〜5個である。
上記熱重合性官能基は、上記式で表される、フェニルエチニル基(c1)、スチリル基(c2)、ベンゾシクロブテン構造(c3)、ビフェニレン構造(c4)、ナジイミド構造(c5)、フェニルマレイミド構造(c6)である。中でも、熱硬化性に優れ、芳香族エステル合成時の温度(例えば、300〜350℃)で重合(硬化)反応を起さない点で、フェニルエチニル基(c1)又はスチリル基(c2)が好ましい。なお、成分(C)は、熱重合性官能基を1種有するものであってもよいし、2種以上を有するものであってもよい。
成分(C)としては、具体的には、例えば、下記式(III)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006412329
[上記式(III)中のRは、水酸基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表し、Dは、単結合又は連結基を表し、Raは、上記式(c1)〜(c6)で表される基のいずれかを表す]
上記連結基は、上記式(II)中のDと同様のものが挙げられる。中でも、式(III)中のDとしては、硬化物としたときの耐熱性等の物性に優れる点から、単結合、又は連結基として、アリーレン基(特に、フェニレン基)が好ましい。
成分(C)としては、例えば、4−フェニルエチニル安息香酸、4−スチルベンカルボン酸、けい皮酸、1,2−ジヒドロベンゾシクロブテン−1−カルボン酸、4−カルボキシベンゾシクロブテン、2−ビフェニレンカルボン酸、4−ナジイミド安息香酸、4−フェニルマレイミド安息香酸などが挙げられる。中でも芳香族エステル合成時の温度(例えば、250〜320℃)で架橋反応を起こしにくい点で、4−フェニルエチニル安息香酸、4−スチルベンカルボン酸、けい皮酸が好ましい。
上記成分(C)の熱硬化開始温度は、特に制限されないが、350℃以上(350〜450℃)が好ましく、360℃以上がより好ましく、370℃以上がさらに好ましい。熱硬化開始温度が350℃以上であると、芳香族エステル合成時の温度(例えば、300〜350℃)で重合(硬化)反応が起きにくい。
本発明における熱硬化性芳香族エステルは、上記成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分、及び成分(C)を溶融重合することにより得られる。上記溶融重合では、成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分の重合反応(例えば、縮重合)により、芳香族エステル骨格を有し、少なくとも一方の分子鎖末端に水酸基又はアシルオキシ基を有する芳香族エステルが得られる反応と、得られた芳香族エステルの水酸基又はアシルオキシ基と成分(C)の反応(例えば、付加反応)により、分子鎖末端に熱重合性官能基を有する芳香族エステルが得られる。上記の成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分の重合反応と、芳香族エステルの水酸基又はアシルオキシ基と成分(C)の反応は、成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分、及び成分(C)を溶融させた状態で同時に反応を行うことが好ましい。
成分(A)と成分(B)の配合割合(配合量)は、特に制限されないが、成分(A)100重量部に対して、成分(B)の配合量は、50〜2000重量部が好ましく、100〜1500重量部がより好ましく、200〜1000重量部がさらに好ましい。成分(B)の配合量が上記範囲であると、分子鎖末端に水酸基を有する芳香族エステルの割合が多くなり、成分(C)との反応量が向上する。
成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分の総量(合計モル量100モル%)に対する成分(A)の割合は、特に制限されないが、3〜25モル%が好ましく、4〜20モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。成分(A)の割合が上記範囲であると、分子鎖末端に水酸基を有する芳香族エステルの割合が多くなり、成分(C)との反応量が向上する。
成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分の全化合物(全化合物の分子鎖末端基)において、水酸基とカルボキシル基との官能基比(前者/後者)は、特に制限されないが、1.02以上が好ましく、1.04以上がより好ましく、1.10以上がさらに好ましい。水酸基とカルボキシル基との官能基比が、1.02以上であると、全化合物中の分子鎖末端基において、水酸基の割合が大きくなり、成分(C)との反応量が向上する。
成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分、と成分(C)の配合割合(配合量)は、特に制限されないが、成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分の総量(合計量)100重量部に対して、成分(C)の配合量は、5〜300重量部が好ましく、7〜250重量部がより好ましく、10〜100重量部がさらに好ましい。成分(C)の配合量が上記範囲であると、硬化物の物性に悪影響を与えず、硬化性に優れた熱硬化性エステルが得られる。
成分(A)と成分(B)を少なくとも含むモノマー成分、と成分(C)の総量(合計モル量100モル%)に対する成分(C)の割合は、特に制限されないが、2〜60モル%が好ましく、3〜50モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましい。成分(C)の割合が上記範囲であると、硬化物の物性に悪影響を与えず、硬化性に優れた熱硬化性エステルが得られる。
上記溶融重合時の温度(加熱温度)は、特に制限されないが、250〜400℃が好ましく、270〜380℃がより好ましく、290〜360℃がさらに好ましい。温度が上記範囲であると、芳香族エステルを十分に溶融し、重合反応を進行することができる。なお、温度は、加熱する間一定となるように制御することもできるし、段階的又は連続的に変動するように制御することもできる。
上記溶融重合時の時間(加熱時間)は、特に制限されないが、200〜1000分が好ましく、400〜600分がより好ましい。時間が上記範囲であると、生産性が低下せず、分子鎖末端に熱重合性官能基を有する芳香族エステルが得られる。
本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法では、特に制限されないが、簡便に熱硬化性芳香族エステルが得られる点から、溶融重合を一つの反応器中で行い、途中で単離や精製、溶剤の留去などを行なわず、反応温度を変化させることにより連続的に反応を行うことが好ましい。なお、上記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステルは、反応完了後、反応に用いた溶剤などを留去することにより得られる。
本発明の熱硬化性芳香族エステル製造方法により得られる熱硬化性芳香族エステルは、芳香族エステルの1以上と熱重合性官能基を有する化合物の1以上とが反応(例えば、付加反応)により結合した化合物(例えば、ポリマー又はオリゴマー)であり、上記式(I)で表される。
上述のように、本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法は、重合性官能基を有する化合物の重合性官能基を熱的性質により選択することにより、簡便で生産性に優れた方法で熱硬化性芳香族エステルが得られる。また、本発明で得られた熱硬化性芳香族エステルを硬化させることにより得られる硬化物は、優れた耐熱性を有し、また、優れた加工性、寸法安定性、低線膨張、高熱伝導性、低吸湿性、誘電特性を有する。
[熱硬化性芳香族エステル]
本発明の熱硬化性芳香族エステルは、下記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステルであることを特徴とする。
Figure 0006412329
Figure 0006412329
[上記式(I)中のLは、芳香族ジオール又はそのモノカルボン酸(モノ又はジ)エステルである成分(A)由来の構成単位と、芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)由来の構成単位を含む芳香族エステル骨格を表し、RA及びRA'は、同一又は異なっていてもよく、上記式(II)で表される基、水酸基、アシルオキシ基、又は他の有機基であり、上記式(II)で表される基、水酸基及びアシルオキシ基の合計の割合がRA+RA'の70%以上であり、上記式(II)中のDは、単結合又は連結基を表し、Raは、上記式(c1)〜(c6)で表される基のいずれかを表す]
上記式(I)中のRA及びRA'は、上記式(II)で表される基、水酸基、アシルオキシ基、又は他の有機基であり、上記式(II)で表される基、水酸基及びアシルオキシ基の合計の割合がRA+RA'(末端基全体)の70%以上であるが、上記式(II)で表される基、水酸基、アシルオキシ基、合計の割合は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、100%がさらに好ましい。この割合が70%以上であるため、硬化させたときの硬化物の物性に優れる。また、上記他の有機基の割合は、特に制限されないが、RA+RA'(末端基全体)の0〜30%が好ましく、0〜15%がより好ましい。上記他の有機基とは、特に制限されないが、アリール基、カルボキシ基、アルキル基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。上記式(II)中のDである連結基としては、上述のものが挙げられる。また、成分(A)及び成分(B)としては、上述のものが挙げられる。
これらの繰り返し構成単位の総量(合計量100%)に対する、上記成分(A)由来の構成単位の割合は、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。また、上記成分(B)由来の構成単位の割合は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。
上記構成単位(芳香族ジオール由来の構成単位、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構成単位)以外の構成単位(「その他のモノマー成分構成単位」と称する場合がある)を有していてもよく、上記その他のモノマー成分構成単位としては、例えば、芳香族ジカルボン酸由来の構成単位、芳香族ジアミン由来の構成単位、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族アミド由来の構成単位などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアミン、及びフェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族アミドとしては、上述のものが挙げられる。
上記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステルの芳香族エステル骨格Lの平均重合度は、特に限定されないが、1〜50が好ましく、2〜40がより好ましく、3〜30がさらに好ましい。平均重合度が上記範囲であると、溶融温度が比較的低く抑えられるため、成形時の取扱が容易になる。また、架橋密度も高くなるため、機械特性に優れた硬化物が得られる。特に、平均重合度が2以上の場合、本発明における熱硬化性芳香族エステルを熱硬化性芳香族ポリエステルと呼ぶことができる。なお、芳香族エステル骨格Lの平均重合度は、特開平5−271394号公報に記載のアミン分解HPLC法により求めることができる。
上記熱硬化性芳香族エステルの分子量は、特に制限されないが、500〜20000であることが好ましく、700〜15000がより好ましく、800〜10000がさらに好ましい。分子量が、上記範囲であると、硬化物の耐熱性に劣りにくい。なお、熱硬化性芳香族エステルの分子量は、例えば、GPC測定により求めることができる。
上記熱硬化性芳香族エステルのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、30〜150℃が好ましく、40〜120℃がより好ましく、50〜100℃がさらに好ましい。ガラス転移温度が上記範囲であると、硬化物の耐熱性に劣りにくい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSC、TGA等の熱分析や動的粘弾性測定により測定できる。
上記熱硬化性芳香族エステルの融点(Tm)は、明確に測定可能な融点としてあってもなくてもよく、ある場合は特に限定されないが、250℃以下(80〜250℃)が好ましく、220℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましく、180℃以下が特に好ましい。なお、融点(Tm)は、例えば、DSC、TGA等の熱分析や動的粘弾性測定により測定できる。
上記熱硬化性芳香族エステルの熱硬化開始温度は、特に制限されないが、350℃以上(350〜400℃)が好ましく、360℃以上がより好ましく、370℃以上がさらに好ましい。熱硬化開始温度が350℃以上であると、芳香族エステルの合成時に熱硬化せず、粘度の上昇を抑えることができる。
本発明の熱硬化性芳香族エステルは、特に制限されないが、上述の本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法により得ることができる。
本発明の熱硬化性芳香族エステルは、硬化することにより得られる硬化物が、耐熱性、加工性、寸法安定性、低線膨張、高熱伝導性、低吸湿性、誘電特性などの物性に優れる新規な熱硬化性芳香族エステルである。
[硬化物]
本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法により得られた熱硬化性芳香族エステルを加熱によって硬化させることにより、硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)が得られる。加熱によって主に熱重合性官能基同士の反応(架橋反応)が進行し、硬化物が形成される。熱硬化性芳香族エステルを加熱によって硬化させる際に、後述する金属触媒、硬化促進剤、架橋剤、添加剤などを添加してもよい。なお、加熱の手段としては、公知乃至慣用の手段を利用することができ、特に限定されない。
[金属触媒]
本発明の熱硬化性芳香族エステルを硬化する際には、熱重合性官能基の重合反応(硬化反応)の硬化開始温度を下げるために、金属触媒を添加してもよい。金属触媒は、特に芳香族エステルの熱重合性基としてフェニルエチニル基を導入した場合は、フェニルエチニル基の三重結合に作用し、硬化開始温度(硬化可能温度)を下げる働きが大きい。
金属触媒を添加したときの熱硬化性芳香族エステルの硬化開始温度(特に、フェニルエチニル基を導入した場合の硬化開始温度)は、特に制限されないが、280℃以下(200〜280℃)が好ましく、260℃以下がより好ましく、240℃以下がさらに好ましい。硬化開始温度が280℃以下であると、実用的な温度範囲で硬化させることができる。
上記金属触媒としては、金属化合物、例えば、遷移金属化合物やホウ素化合物などのような周期表13族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合物が含まれる。なお、反応混合物中の金属触媒成分は、金属触媒(金属化合物)が、イオン化した金属イオンなどであってもよい。これらの金属触媒は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記遷移金属の元素としては、例えば、周期表3族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウムYの他、ランタンLa、セリウムCe、サマリウムSmなどのランタノイド元素、アクチニウムAcなどのアクチノイド元素)、周期表4族元素(チタンTi、ジルコニウムZr、ハフニウムHfなど)、5族元素(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6族元素(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWなど)、7族元素(マンガンMnなど)、8族元素(鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムOsなど)、9族元素(コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIrなど)、10族元素(ニッケルNi、パラジウムPd、白金Ptなど)、11族元素(銅Cu、銀Ag、金Auなど)などが挙げられる。通常、金属触媒は、上記元素を含む金属酸化物、塩(有機酸塩、無機酸塩など)、ハロゲン化物、上記金属元素を含む配位化合物(錯体)やヘテロポリ酸又はその塩などである場合が多い。
上記金属触媒としては、前述の金属元素を含み、触媒能を有するものであれば特に限定されないが、具体的には、ニッケロセン、フェロセン、コバルトセン、ルテノセンなどのメタロセン;塩化ニオブ、塩化タンタル、塩化モリブデン、塩化タングステンなどの金属塩化物;テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズ、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物、オクチル酸亜鉛などの有機亜鉛化合物などが挙げられる。中でも金属触媒の安定性や熱硬化開始温度を下げる働きが大きい点から、ニッケロセン、塩化ニオブ、塩化タンタル、塩化モリブデン、塩化タングステンが好ましく、特に、ニッケロセンが好ましい。また、金属塩化物を使用する場合は、共触媒としてテトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズを用いることが好ましい。
上記金属触媒の配合量は、特に制限されないが、上記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステル100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.05〜3重量部がより好ましく、0.1〜2重量部がさらに好ましい。配合量が少なすぎると触媒の効果が不十分となる場合がある。
[硬化促進剤]
本発明の硬化物を製造する際には、硬化反応を促進し、熱硬化開始温度を下げるために、硬化促進剤を用いても良い。硬化促進剤には、後述するラジカル発生剤も含まれるものとする。
上記硬化促進剤としては、硬化反応を促進する機能を有する化合物であれば、特に制限されないが、ラジカル発生剤、イミダゾール誘導体、有機塩基及びその塩などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記ラジカル発生剤としては、光又は熱ラジカル発生剤として下記のものを用いることができる。
上記光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製 カヤキュアEPA等)、2,4−ジエチルチオキサンソン(日本化薬(株)製 カヤキュアDETX等)、2−メチル−1−[4−(メチル)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバガイギ−(株)製 イルガキュア907等)、2−ジメチルアミノ−2−(4−モルホリノ)ベンゾイル−1−フェニルプロパン等の2−アミノ−2−ベンゾイル−1−フェニルアルカン化合物、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゼン誘導体、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾ−ル(保土谷化学(株)製 B−CIM等)等のイミダゾール化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−1,3,5−トリアジン等のハロメチル化トリアジン化合物、2−トリクロロメチル−5−(2−ベンゾフラン2−イル−エテニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物などが挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、光増感剤を加えることができる。上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドのように、波長400nm付近の光で活性化するものが好ましい。
上記熱ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物類などが挙げられる。上記有機過酸化物類としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。その他のラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンが挙げられる。中でも、ジクミルパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンが好ましい。これらのラジカル発生剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
さらに、上記熱ラジカル発生剤とともに、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクテン酸コバルト等のナフテン酸やオクテン酸のコバルト、マンガン、鉛、亜鉛、バナジウムなどの金属塩を併用することができる。同様に、ジメチルアニリン等の3級アミンも使用することができる。
上記イミダゾール誘導体としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。これらのイミダゾール誘導体は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記有機塩基及びその塩としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、4級アンモニウム塩、ヨードニウム塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートなどのホスホニウム化合物などが挙げられる。これらの有機塩基及びその塩は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、上記有機塩基及びその塩としては、U−CAT SA 506、U−CAT SA 102、U−CAT 5003、U−CAT 18X(以上、サンアプロ(株)製)、TPP−K、TPP−MK(以上、北興化学工業(株)製)、PX−4ET(日本化学工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
上記硬化促進剤の配合量は、特に制限されないが、上記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステル100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。配合量が少なすぎると硬化促進効果が不十分となる場合があり、また多すぎると、硬化樹脂の色相が悪化する場合がある。
[架橋剤]
また、熱硬化開始温度を下げる働きをする架橋剤を用いてもよい。上記架橋剤としては、熱硬化性芳香族エステルの分子末端基である熱重合性官能基と加熱により反応し得る官能基(反応性官能基)と熱重合可能な官能基(熱重合性官能基)を有する化合物であればよく、特に限定されないが、マレイミド誘導体、無水マレイン酸誘導体などが挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
架橋剤を添加したときの熱硬化性芳香族エステルの硬化開始温度は、特に制限されないが、280℃以下(200〜280℃)が好ましく、260℃以下がより好ましく、240℃以下がさらに好ましい。硬化開始温度が280℃以下であると、実用的な温度範囲で硬化させることができる。
上記マレイミド誘導体としては、具体的には、例えば、N‐フェニルマレイミド、N‐エチルマレイミド、N−(2−オキシプロピル)マレイミド、N−(ジメチルアミノ)マレイミド、N‐(4−アミノフェニル)マレインイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マレインイミド、N−(1−ナフチル)マレイミド、N−(2−ナフチル)マレイミド、N−(1−フルオレニル)マレイミド、N‐(2‐ビフェニリル)マレインイミド、N‐(4‐メトキシフェニル)マレインイミドなどのマレイミド化合物;4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、エチレンビスマレイミド、o−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、m−トルイレンビスマレイミド、4,4'−ビフェニレンビスマレイミド、4,4'−[3,3'−ジメチル−ビフェニレン]ビスマレイミド、4,4'−[3,3'−ジメチルジフェニルメタン]ビスマレイミド、4,4'−[3,3'−ジエチルジフェニルメタン]ビスマレイミド、4,4'−ジフェニルプロパンビスマレイミド、4,4'−ジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3'−ジフェニルスルホンビスマレイミド、4,4'−ジフェニルスルホンビスマレイミドなどのビスマレイミド化合物などが挙げられる。
上記無水マレイン酸誘導体としては、無水マレイン酸、2,3‐ジメチルマレイン酸無水物、2−フェニルマレイン酸無水物、2−(ジフェニル)マレイン酸無水物、2−(1−ヒドロキシヘキシル)マレイン酸無水物、2−(4−メチルフェニル)マレイン酸無水物、2−[2−(ヘキシルオキシ)エチル]マレイン酸無水物、2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラン酢酸、2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソフラン−3−カルボン酸メチルなどが挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、特に制限されないが、上記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステル100重量部に対して、5〜95重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、10〜80重量部がさらに好ましい。
[添加剤]
本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法は、硬化物の性能を目的(用途)に応じて調整するため、無機フィラーなどの添加剤を含めることができる。中でも、添加剤としては、無機フィラーが好ましく用いられる。
上記無機フィラーとしては、公知乃至慣用の無機フィラーを使用することができ、特に限定されないが、例えば、シリカ(例えば、天然シリカ、合成シリカなど)、酸化アルミニウム(例えば、α−アルミナなど)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;マイカ、タルク、カオリン、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、ゼオライト、ハイドロタルサイト、フライアッシュ、脱水汚泥、ガラスビーズ、ガラスファイバー、ケイ藻土、ケイ砂、カーボンブラック、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、水和石膏、ミョウバン、三酸化アンチモン、マグネシウムオキシサルフェイト、シリコンカーバイド、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、銅、鉄などが挙げられる。上記無機フィラーは、中実構造、中空構造、多孔質構造等のいずれの構造を有していてもよい。また、上記無機フィラーは、例えば、オルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物などの周知の表面処理剤により表面処理されたものであってもよい。なお、本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法において無機フィラーは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、特に、本発明の熱硬化性芳香族エステル組成物を半導体封止材用に使用する場合には、シリカ(シリカフィラー)等を使用することが好ましく、硬化物の熱伝導性や放熱特性を調整する場合には、アルミナ(アルミナ微粒子)等を使用することが好ましい。
本発明の熱硬化性芳香族エステルの製造方法における上記無機フィラーの添加量は、特に限定されないが、上記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステル100重量部に対して、5〜500重量部が好ましく、より好ましくは10〜300重量部であり、さらに好ましくは30〜200重量部である。
上記無機フィラー以外の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ジアミノ化合物[例えば、ジアミノジフェニルメタンなど]、ジアリル化合物[ジアリルビスフェノールAなど]、トリアジン類[例えば、1,3,5−トリ−2−プロペニル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(2−メチル−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなど]などが挙げられる。
上記無機フィラー以外の添加剤としては、他にも本発明の効果を損なわない範囲で、公知乃至慣用の添加剤を使用でき、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂;溶剤;安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など);難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など);難燃助剤;補強材;核剤;カップリング剤;滑剤;ワックス;可塑剤;離型剤;耐衝撃性改良剤;色相改良剤;流動性改良剤;着色剤(染料、顔料など);分散剤;消泡剤;脱泡剤;抗菌剤;防腐剤;粘度調整剤;増粘剤などが使用できる。なお、上記添加剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記無機フィラー以外の添加剤の配合量は、特に限定されないが、上記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステル100重量部に対して、0〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。
上記熱硬化性芳香族エステルを硬化させる際の熱硬化開始温度(加熱温度)は、特に限定されないが、250℃以下(170〜250℃)が好ましく、より好ましくは210〜250℃、さらに好ましくは220〜250℃である。硬化温度が上記範囲であると、生産性が低下せず、硬化反応の進行が十分に進行し、物性の良い硬化物が得られる。なお、硬化温度は、硬化させる間一定となるように制御することもできるし、段階的又は連続的に変動するように制御することもできる。
上記熱硬化性芳香族エステルを硬化させる際の加熱時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、50〜480分がより好ましく、60〜360分がさらに好ましい。硬化時間が上記範囲であると、硬化物の生産性が低下せず、硬化反応が十分に進行し、硬化物の物性が低下しにくい。
上記熱硬化性芳香族エステルの硬化は、常圧下で行うこともできるし、減圧下又は加圧下で行うこともできる。また、上記硬化は、一段階で行うこともできるし、二段階以上の多段階に分けて行うこともできる。
本発明の硬化物の、昇温速度10℃/分(空気中)で測定される5%重量減少温度(Td5)は、特に限定されないが、350℃以上(350〜500℃)が好ましく、380℃以上がより好ましく、400℃以上がさらに好ましい。5%重量減少温度が350℃未満であると、用途によっては耐熱性が不十分となる場合がある。上記5%重量減少温度は、例えば、TG/DTA(示差熱・熱重量同時測定)などにより測定できる。
本発明の硬化物の空気中における熱分解反応の活性化エネルギーは、特に限定されないが、150kJ/mol以上(例えば、150〜350kJ/mol)が好ましく、180kJ/mol以上がより好ましく、200kJ/mol以上がさらに好ましい。上記活性化エネルギーが150kJ/mol未満であると、用途によっては耐熱性が不十分となる場合がある。なお、上記活性化エネルギーは、例えば、小沢法により算出することができる。小沢法とは、3種類以上の昇温速度でTG測定(熱重量測定)を行い、得られた熱重量減少のデータから熱分解反応の活性化エネルギーを算出する方法である。
本発明の硬化物は、本発明の熱硬化性芳香族エステル(化合物)を硬化させることにより得られる硬化物であるため、優れた耐熱性を有し、また、優れた加工性、寸法安定性、低線膨張、高熱伝導性、低吸湿性、誘電特性を有する。
本発明の硬化物は、各種部材や各種構造材等の種々の用途に使用することができる。特に、上述の各種特性に優れるため、フィルム、プリプレグ、プリント配線板、半導体封止材などの用途に好ましく使用できる。即ち、本発明の熱硬化芳香族エステル組成物は、特に、フィルム用熱硬化性組成物、プリプレグ用熱硬化性組成物、プリント配線板用熱硬化性組成物、半導体封止材用熱硬化性組成物などとして好ましく使用することができる。
実施例1
[末端の少なくとも一方にフェニルエチニル基を有する熱硬化性芳香族エステルE(10量体)の製造及びその硬化物の製造]
コンデンサーと攪拌機を取り付けた500mLのフラスコに、表1に示すように、4−ヒドロキシ安息香酸73.6g(0.533mol)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸80.3g(0.426mol)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル19.9g(0.107mol)、4−フェニルエチニル安息香酸47.4g(0.213mol)、無水酢酸122.1g(1.20mol)、及び酢酸カリウム10.0mg(0.10mol)を入れ、窒素雰囲気下で140℃まで徐々に温度を上げた後、温度を維持しながら3時間反応させてアセチル化反応を完結させた。次いで、0.8℃/分の速度で300℃まで昇温した後、温度を30分間維持しながら、酢酸及び未反応の無水酢酸を留去した。その後、フラスコ内を徐々に1Torrまで減圧して揮発成分を留去することで、芳香族ユニット(芳香族化合物に由来する構成単位)のみからなる分子鎖の末端の少なくとも一方にフェニルエチニル基を有する芳香族エステルEを得た。なお、得られた芳香族エステルEは、芳香族エステルEの末端数の算出(特開平5−271394号公報に記載のアミン分解HPLC法による)、及びGPC測定の結果、単量体の10量体であると見積もられた。
得られた熱硬化性芳香族エステルE100gに金属触媒として、ニッケロセン2.0gを加え、170℃で10分間溶融混合し均一な組成物を得た後、その組成物を金属板に挟んでホットプレスで240℃にて4時間圧縮加熱して硬化を進行させ、均一な硬化物を得た。得られた組成物の溶融粘度及び発熱ピーク温度、及び得られた硬化物のガラス転移温度、5%重量減少温度(Td5)及び固体粘弾性の結果は、表2に示す通りであった。
実施例2
[末端の少なくとも一方にスチリル基を有する熱硬化性芳香族エステルF(10量体)の製造及びその硬化物の製造]
コンデンサーと攪拌機を取り付けた500mLのフラスコに、表1に示すように、4−ヒドロキシ安息香酸73.5g(0.532mol)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸80.1g(0.426mol)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル19.8g(0.106mol)、4−スチルベンカルボン酸47.7g(0.213mol)、無水酢酸121.9g(1.19mol)、及び酢酸カリウム10.0mg(0.10mol)を入れ、窒素雰囲気下で140℃まで徐々に温度を上げた後、温度を維持しながら3時間反応させてアセチル化反応を完結させた。次いで、0.8℃/分の速度で340℃まで昇温しながら、酢酸及び未反応の無水酢酸を留去した。その後、フラスコ内を徐々に1Torrまで減圧して揮発成分を留去することで、芳香族ユニット(芳香族化合物に由来する構成単位)のみからなる分子鎖の末端の少なくとも一方にスチリル基を有する芳香族エステルFを得た。なお、得られた熱硬化性芳香族エステルFは、芳香族エステルFの末端数の算出(特開平5−271394号公報に記載のアミン分解HPLC法による)、及びGPC測定の結果、単量体の10量体であると見積もられた。
得られた熱硬化性芳香族エステルF100gに架橋剤として、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドを33.5g加え、170℃で60分間溶融混合し均一な組成物を得た後、その組成物を金属板に挟んでホットプレスで240℃にて4時間圧縮加熱して硬化を進行させ、均一な硬化物を得た。得られた組成物の溶融粘度及び発熱ピーク温度、及び得られた硬化物のガラス転移温度、5%重量減少温度(Td5)及び固体粘弾性の結果は、表2に示す通りであった。
実施例3
[末端の少なくとも一方にシンナモイル基を有する熱硬化性芳香族エステルG(10量体)の製造及びその硬化物の製造]
コンデンサーと攪拌機を取り付けた500mLのフラスコに、表1に示すように、4−ヒドロキシ安息香酸80.0g(0.579mol)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸87.1g(0.463mol)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル21.6g(0.116mol)、けい皮酸(3−フェニル−2−プロペン酸)34.3g(0.232mol)、無水酢酸132.60g(1.30mol)、酢酸カリウム10.0mg(0.10mol)としたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、芳香族ユニット(芳香族化合物に由来する構成単位)のみからなる分子鎖の末端の少なくとも一方にシンナモイル基を有する芳香族エステルGを得た。なお、得られた熱硬化性芳香族エステルGは、芳香族エステルの末端数の算出(特開平5−271394号公報に記載のアミン分解HPLC法による)、及びGPC測定の結果、単量体の10量体であると見積もられた。
得られた芳香族エステルG100gに架橋剤として、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドを33.5g加え、170℃で60分間溶融混合し均一な組成物を得た後、その組成物を金属板に挟んでホットプレスで240℃にて4時間圧縮加熱して硬化を進行させ、均一な硬化物を得た。得られた組成物の溶融粘度及び発熱ピーク温度、及び得られた硬化物のガラス転移温度、5%重量減少温度(Td5)及び固体粘弾性の結果は、表2に示す通りであった。
Figure 0006412329
表1における略語の意味は、以下の通りである。
BP : 4,4'−ジヒドロキシビフェニル
HBA : 4−ヒドロキシ安息香酸
HNA : 6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
PEBA : 4−フェニルエチニル安息香酸
SCA : 4−スチルベンカルボン酸
CNA : けい皮酸(3−フェニル−2−プロペン酸)
[溶融粘度]
レオメーター(粘弾性測定装置)(商品名「MCR−302」、アントンパール社製)を用い、試料を昇温温度20℃/分で加熱しながら溶融させ、溶融後、粘度が最低となったときの温度と粘度を測定した。
[発熱ピーク温度・ガラス転移温度(Tg)]
DSC(示差走査熱量測定)装置(商品名「DSC6200」、エスアイアイナノテクノロジー社製)を用い、窒素気流下(50ml/分)、昇温温度10℃/分にて、試料(5mg)を加熱して、発熱ピーク温度及びガラス転移温度(Tg)を測定した。
[5%重量減少温度(Td5)]
TG−DTA(熱重量測定・示差熱分析)装置(商品名「EXSTAR6300」、エスアイアイナノテクノロジー社製)を用い、窒素気流下(300ml/分)、昇温温度10℃/分にて、試料(約5mg)を加熱して、重量が5%減少したときの温度を測定した。なお、リファレンスには、アルミナを用いた。
[固体粘弾性・ゴム状平坦領域の有無]
DMA(動的粘弾性測定)装置(商品名「RSA−III」、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、固体粘弾性及びゴム状平坦領域の有無を測定した。
Figure 0006412329
表2に示すように、実施例で得られた熱硬化性芳香族エステルは、発熱ピーク温度が低く、架橋開始温度が低いため比較的低温で硬化(熱硬化)させることができ、なおかつ得られた硬化物は、5%重量減少温度が高く、非常に優れた耐熱性を有していた。

Claims (10)

  1. 芳香族ジオールである成分(A)と芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)とを少なくとも含み、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアミン、又は、フェノール性水酸基を有する芳香族アミン又は芳香族アミドを含んでもよいモノマー成分と、分子内に水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する反応性官能基及び下記式(c1)又は(c2)で表される熱重合性官能基を有する化合物である成分(C)と、を溶融重合させることを特徴とし、前記モノマー成分の全化合物において、水酸基とカルボキシル基との官能基比(前者/後者)が、1.02以上である下記式(I)で表される熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
    Figure 0006412329
    [各式において、n1〜n2は、それぞれ0以上の整数を表し、R1〜R2は、置換基であって、それぞれC1-6アルキル基、C6-10アリール基、C1-6アルコキシ基、C6-10アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、n1〜n2が2以上の場合、それぞれR1〜R2は、同一又は異なっていてもよい]
    Figure 0006412329
    Figure 0006412329
    [上記式(I)中のLは、芳香族ジオールである成分(A)由来の構成単位と、芳香族ヒドロキシカルボン酸である成分(B)由来の構成単位を少なくとも含む前記モノマー成分から構成される芳香族エステル骨格を表し、RA及びRA'は、同一又は異なっていてもよく、上記式(II)で表される基、水酸基、アシルオキシ基、又は他の有機基であり、上記式(II)で表される基、水酸基及びアシルオキシ基の合計の割合がRA+RA'の70%以上であり、上記式(II)中のDは、単結合又は連結基を表し、Raは、上記式(c1)又は(c2)で表される基のいずれかを表す]
  2. 前記成分(C)における熱重合性官能基の硬化開始温度が350℃以上である請求項1に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
  3. 前記成分(C)が、下記式(III)で表される化合物である請求項1又は2に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
    Figure 0006412329
    [上記式(III)中のRは、水酸基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表し、Dは、単結合又は連結基を表し、Raは、上記式(c1)又は(c2)で表される基のいずれかを表す]
  4. 前記成分(C)が、フェニルエチニル安息香酸、4−スチルベンカルボン酸、及びけい皮酸からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
  5. 前記成分(A)が、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジオール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、(フェニルスルホニル)ベンゼン、[1,1'−ビフェニル]−2,5−ジオールである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
  6. 前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4'−ヒドロキシ[1,1'−ビフェニル]−4−カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
  7. 前記成分(A)と前記成分(B)の総量に対する成分(A)の割合が、3〜25モル%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
  8. 前記溶融重合時の温度が250〜400℃である請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
  9. 前記熱硬化性芳香族エステルの平均重合度が、1〜50である請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
  10. 前記熱硬化性芳香族エステルの融点が250℃以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性芳香族エステルの製造方法。
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