JP5155769B2 - 全芳香族ポリエステル及びポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

全芳香族ポリエステル及びポリエステル樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性に優れ、通常の重合装置で製造可能で、且つ溶融成形が容易であり、特に放熱性を要求される各種自動車部品・電気電子部品等に好適に用いられる熱伝導性の良好な、4−ヒドロキシ安息香酸が含まれない全芳香族ポリエステル及びその組成物に関するものである。
従来、各種の高分子材料は、電気部品、例えば、プリント配線基板、パワートランス基板、サイリスタモジュール用基板等の電気部品用基板類、素子ケース類、電気部品用封止剤、電気部品用絶縁性接合剤、或いは機械部品(例えば、軸受け等)等に使用されている。近年、これらの部品が軽薄短小化され、部品等の内部の放熱が問題となってきており、放熱性を付与した材料の要求が出てきている。本来、高分子材料は一般に熱伝導率が低く、その断熱性を利用した用途が多い。しかし、その易成形性、軽量性等の特色が捨てがたく、伝熱性の悪さを無理して使用している面も多い。例えば、上記の電気部品や機械部品は、放熱が小さいと蓄熱し、変形することもあり、特に電子部品と関連する電気部品では電子部品の損傷を招く致命的な事故に繋がる。これを解消すべく、多少温度が上昇しても変形が生じない耐熱性の高い高分子材料、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されてきたが、成形加工性が良くなく、生産性が悪いため改善が求められていた。
そこで、熱硬化性樹脂の成形加工性、生産性等の欠点を改善するために、耐熱性および寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂として、全芳香族ポリエステルに代表される液晶性ポリマーを使用する試みがなされている。
全芳香族ポリエステルとして現在市販されているものは4−ヒドロキシ安息香酸が主成分である。しかしながら、4−ヒドロキシ安息香酸を主成分としたジオール成分、ジカルボン酸成分を組み合わせた全芳香族ポリエステルは熱伝導率が低く、放熱性を要求される部品への使用が困難である。また、4−ヒドロキシ安息香酸はフェノールガスの発生原因となるため、分解ガスによる成形品の膨れ(ブリスター変形)、成形品の色相悪化(縞模様の発生)、成形機の腐食等の問題点がある。
この問題を解決するため、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を主成分とし、ジオール成分、ジカルボン酸成分を組み合わせた全芳香族ポリエステルが提案されている(特許文献1)。この全芳香族ポリエステルは、耐熱性、寸法安定性、低発生ガスには優れているが、熱伝導率が低く、放熱性を要求される部品への使用が困難である。
従って、成形品の膨れの要因となるフェノールガスの発生原因である4−ヒドロキシ安息香酸が含まれておらず、熱伝導率が高い全芳香族ポリエステルが求められていた。
特開2004−196930号公報
本発明は、上記問題点を解決し、耐熱性等の性能に優れると共に、特に放熱性を要求される各種自動車部品・電気電子部品等に好適に用いられる熱伝導性の良好な全芳香族ポリエステルの提供を目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意研究した結果、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位、ジオール成分単位、ジカルボン酸成分単位で構成されるポリマーにおいて、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸と特定の芳香族ジカルボン酸単位及び/又は芳香族ジオール単位を特定の限定された比率で組み合わせることが上記目的達成のために有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、必須の構成成分として下記一般式(I),(II),(III),(IV)で表される構成単位からなり、全構成単位に対して(I)の構成単位が45〜75モル%、(II)の構成単位が2.5〜27.5モル%、(III)の構成単位が0〜10モル%、(IV)の構成単位が12.5〜27.5モル%であることを特徴とする溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルである。
Figure 0005155769
本発明で得られる特定の構成単位よりなる溶融時に異方性を示す全芳香族ポリエステル及びその組成物は、熱伝導性に優れており、各種成形法により、種々の立体成形品、繊維、フィルム等に加工出来る。特に、熱伝導性に優れているという利点を活かして熱交換器、放熱板、光ピックアップ等といった内部で発生した熱を外部に放熱する部品に好適に用いることができる。
また、その他の用途として、例えばLED、センサー、コネクター、ソケット、端子台、プリント基板、ECUケース等の電気・電子部品、照明部品、テレビ部品、炊飯器部品、電子レンジ部品、アイロン部品、複写機関連部品、プリンター関連部品、ファクシミリ関連部品、ヒーター、エアコン用部品等の家庭・事務電気製品部品に用いることができる。
上記(I)〜(IV)の構成単位を具現化するには通常のエステル形成能を有する種々の化合物が使用される。以下に本発明を構成する全芳香族ポリエステルを形成するために必要な原料化合物について順を追って詳しく説明する。
構成単位(I)は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から導入される。
構成単位(II)は、テレフタル酸から導入される。
構成単位(III) は、イソフタル酸から導入される。
また、構成単位(IV)は、4,4'−ジヒドロキシビフェニルから導入される。
本発明では、上記構成単位(I)〜(IV)を含み、全構成単位に対して(I)の構成単位が45〜75モル%(好ましくは50〜70モル%)、(II)の構成単位が2.5〜27.5モル%(好ましくは10〜25モル%)、(III)の構成単位が0〜10モル%、(IV)の構成単位が12.5〜27.5モル%(好ましくは15〜25モル%)の範囲にあることが必要である。
(I)の構成単位が45モル%未満では、融点が著しく高くなり、場合によっては製造時にポリマーがリアクター内で固化し、所望の分子量のポリマーを製造することができなくなるため好ましくない。また、75モル%より多くなっても製造時にポリマーがリアクター内で固化し、所望の分子量のポリマーを製造することができなくなるため好ましくない。
(II)の構成単位が2.5モル%未満では、製造時にポリマーがリアクター内で固化し、所望の分子量のポリマーを製造することができなくなるため好ましくない。また、27.5モル%より多くなると融点が著しく高くなり、場合によっては製造時にポリマーがリアクター内で固化し、所望の分子量のポリマーを製造することができなくなるため好ましくない。
(III)の構成単位が10モル%より多くなると熱伝導率が低くなるため好ましくない。
また、(IV)の構成単位が12.5モル%未満では、製造時にポリマーがリアクター内で固化し、所望の分子量のポリマーを製造することができなくなるため好ましくない。また、27.5モル%より多くなると融点が著しく高くなり、場合によっては製造時にポリマーがリアクター内で固化し、所望の分子量のポリマーを製造することができなくなるため好ましくない。
尚、本発明の全芳香族ポリエステルには、本発明の目的を阻害しない範囲で少量の公知の、4−ヒドロキシ安息香酸以外の他の構成単位を導入することもできる。
本発明の全芳香族ポリエステルは、直接重合法やエステル交換法を用いて重合され、重合に際しては、溶融重合法、溶液重合法、スラリー重合法、固相重合法等が用いられる。
本発明では、重合に際し、重合モノマーに対するアシル化剤や、酸塩化物誘導体として末端を活性化したモノマーを使用できる。アシル化剤としては、無水酢酸等の酸無水物等が挙げられる。
これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であり、代表的なものはジアルキル錫酸化物、ジアリール錫酸化物、二酸化チタン、アルコキシチタンけい酸塩類、チタンアルコラート類、カルボン酸のアルカリ及びアルカリ土類金属塩類、BF3 の如きルイス酸塩等が挙げられる。触媒の使用量は一般にはモノマーの全重量に基いて約0.001乃至1重量%、特に約0.003乃至0.2重量%が好ましい。
また、溶液重合又はスラリー重合を行う場合、溶媒としては流動パラフィン、高耐熱性合成油、不活性鉱物油等が用いられる。
反応条件としては、反応温度200〜380℃、最終到達圧力0.1〜760Torr(即ち、13〜101,080Pa)である。特に溶融反応では、反応温度260〜380℃、好ましくは300〜360℃、最終到達圧力1〜100Torr(即ち、133〜13,300Pa)、好ましくは1〜50Torr(即ち、133〜6,670Pa)である。
反応は、全原料モノマー、アシル化剤及び触媒を同一反応容器に仕込んで反応を開始させる(一段方式)こともできるし、原料モノマー(I)及び(IV)のヒドロキシル基をアシル化剤によりアシル化させた後、(II)及び(III)のカルボキシル基と反応させる(二段方式)こともできる。
溶融重合は、反応系内が所定温度に達した後、減圧を開始して所定の減圧度にして行う。撹拌機のトルクが所定値に達した後、不活性ガスを導入し、減圧状態から常圧を経て、所定の加圧状態にして反応系からポリマーを排出する。
上記重合方法により製造されたポリマーは更に常圧又は減圧、不活性ガス中で加熱する固相重合により分子量の増加を図ることができる。固相重合反応の好ましい条件は、反応温度230〜350℃、好ましくは260〜330℃、最終到達圧力10〜760Torr(即ち、1,330〜101,080Pa)である。
溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマーであることは、本発明において熱安定性と易加工性を併せ持つ上で不可欠な要素である。上記構成単位(I)〜(IV)からなる全芳香族ポリエステルは、構成成分およびポリマー中のシーケンス分布によっては、異方性溶融相を形成しないものも存在するが、本発明に係わるポリマーは溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルに限られる。
溶融異方性の性質は直交偏光子を利用した慣用の偏光検査方法により確認することができる。より具体的には溶融異方性の確認はオリンパス社製偏光顕微鏡を使用しリンカム社製ホットステージにのせた試料を溶融し、窒素雰囲気下で150倍の倍率で観察することにより実施できる。上記ポリマーは光学的に異方性であり、直交偏光子間に挿入したとき光を透過させる。試料が光学的に異方性であると、例えば溶融静止液状態であっても偏光は透過する。
本発明の加工性の指標としては液晶性及び融点(液晶性発現温度)が考えられる。液晶性を示すか否かは溶融時の流動性に深く係わり、本願のポリエステルは溶融状態で液晶性を示すことが不可欠である。
ネマチックな液晶性ポリマーは融点以上で著しく粘性低下を生じるので、一般的に融点またはそれ以上の温度で液晶性を示すことが加工性の指標となる。融点(液晶性発現温度)は、出来得る限り高い方が耐熱性の観点からは好ましいが、ポリマーの溶融加工時の熱劣化や成形機の加熱能力等を考慮すると、380℃以下であることが望ましい目安となる。
更に、融点より10〜40℃高い温度で、剪断速度1000sec-1における溶融粘度が1×105 Pa・s以下であることが好ましい。更に好ましくは5Pa・s以上で1×102 Pa・s以下である。これらの溶融粘度は液晶性を具備することで概ね実現される。
次に本発明のポリエステルは使用目的に応じて各種の繊維状、粉粒状、板状の無機及び有機の充填剤を配合することができる。
繊維状充填剤としてはガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイトの如き珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。尚、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することが出来る。
一方、粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土、ウォラストナイトの如き硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
又、板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、タルク、各種の金属箔等が挙げられる。
有機充填剤の例を示せば芳香族ポリエステル繊維、液晶性ポリマー繊維、芳香族ポリアミド、ポリイミド繊維等の耐熱性高強度合成繊維等である。
これらの無機及び有機充填剤は一種又は二種以上併用することが出来る。繊維状充填剤と粒状又は板状充填剤との併用は特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。無機充填剤の配合量は、全芳香族ポリエステル100重量部に対し、120重量部以下、好ましくは20〜80重量部である。
特に好ましくは、繊維状充填剤、特にガラス繊維であり、その配合量は、全芳香族ポリエステル100重量部に対し30〜80重量部である。また、その繊維長は、200μm以上であることが好ましい。このようなガラス繊維は上記配合量で含む組成物は、熱変形温度、機械的物性等の向上が特に顕著である。
これらの充填剤の使用にあたっては必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することができる。
また、特に絶縁性と熱伝導性が要求される場合には、上記の(A)全芳香族ポリエステル100重量部に対し、
(B)熱伝導率が3W/m・K以上、平均粒径が1〜300μmの板状フィラー10〜300重量部、
(C)熱伝導率が3W/m・K以上で、平均粒径が(B)板状フィラーの1/10〜1/200である粉粒状フィラー10〜300重量部を添加してなり、
(B)、(C)成分の総添加量が(A)全芳香族ポリエステル100重量部に対し20〜500重量部であり、(B)成分と(C)成分の添加比率が3:1〜1:3としたポリエステル樹脂組成物としての態様が好ましい。
本発明で用いる(B)板状フィラーであるが、その熱伝導率は重要である。熱伝導率が低いとフィラーを添加した樹脂組成物としての熱伝導率の向上がほとんど望めないため、(B)板状フィラーの熱伝導率としては3W/m・K以上であり、好ましくは10W/m・K以上である。また、その平均粒径も重要であり、小さすぎると樹脂が増粘し、著しく流動性が低下するという問題が発生し、逆に大きすぎると流動性は向上するものの、薄肉流動性が低下するという問題が発生する。
そのため、平均粒径は1〜300μmであることが必要であり、好ましくは2〜100μm、特に好ましくは5〜20μmである。
このような条件を満たし、且つ液晶性ポリマーに対し分解等の悪影響を与えず、また導電性を持たないものであれば、如何なる物質も(B)成分の板状フィラーとして使用できるが、窒化ホウ素、タルクの1種以上が好ましく、より好ましくはタルクである。
また、(B)板状フィラーの添加量であるが、添加量が少なすぎると樹脂組成物内の熱伝達経路が発達しないため、充分な熱伝導率が発揮されず、逆に多すぎるとフィラー同士の絡み合いが激しくなり、熱伝導率は高くなるものの、成形流動性が著しく低下する問題、混練時に押出機内圧力が上昇し混練性が極めて悪化する問題等が発生する。そのため、(B)板状フィラーの添加量は、(A)液晶性ポリマー100重量部に対し10〜300重量部であり、好ましくは50〜200重量部、更に好ましくは30〜150重量部である。
次に本発明で用いる(C)粉粒状フィラーであるが、粉粒状フィラーとは板状ではない、球状・不定形のフィラーである。(C)粉粒状フィラーを添加する理由は、(B)板状フィラーだけでは二次元平行方向の熱伝導は高くなるものの、直角方向の熱伝導率の向上が少なくなること、板状フィラーだけではフィラー同士の接触箇所が少なくなることから、板状フィラーと板状フィラーの間に入りフィラー同士の接触箇所を増やし、且つ板状フィラーと板状フィラーの接触を阻害しない大きさの方向性を持たないフィラーを添加することにより、樹脂組成物として均一な熱伝導性を与えることを可能とするためである。
以上の理由から、(C)粉粒状フィラーの熱伝導率も(B)板状フィラー同様重要である。熱伝導率が低いと(B)板状フィラーで伝えた熱を伝えづらくなり、その部分での熱伝達が律速になってしまう。そのため、(C)粉粒状フィラーの熱伝導率としては3W/m・K以上であり、好ましくは10W/m・K以上である。
また、(C)粉粒状フィラーの粒径は重要であり、大きすぎると(B)板状フィラー同士の接触を阻害してしまい熱伝導率の低下が起きてしまう。逆に小さすぎると(B)板状フィラー間に入りやすくなるものの接触しづらくなり、また、樹脂組成物としての粘度も増大し、成形性を著しく悪化させてしまう。添加量が多い場合は、その傾向が特に顕著である。そのため、(C)粉粒状フィラーの平均粒径は(B)板状フィラーの平均粒径に対し1/10〜1/200、好ましくは1/20〜1/100であることが必要である。
また、(C)粉粒状フィラーの添加量、(B)、(C)成分の総添加量及び(B)成分と(C)成分の添加比率は重要であり、(B)板状フィラーと同様に、(C)粉粒状フィラーの添加量が少なすぎると樹脂組成物内の熱伝達経路が発達しないため、充分な熱伝導率が発揮されず、逆に多すぎるとフィラー同士の絡み合いが激しくなり、成形流動性が著しく低下する問題、混練時に押出機内圧力が上昇し混練性が極めて悪化する問題等が発生する。そのため、(C)粉粒状フィラーの添加量は(A)液晶性ポリマー100重量部に対し10〜300重量部であり、好ましくは20〜200重量部、更に好ましくは30〜150重量部である。また、(B)、(C)成分の総添加量は(A)液晶性ポリマー100重量部に対し20〜500重量部であり、好ましくは100〜300重量部、更に好ましくは150〜250重量部である。
また、(B)板状フィラーとの添加比率は、(C)粉粒状フィラーが多すぎると(B)板状フィラー間に多く入り、(B)板状フィラー同士の接触を阻害し熱伝導性の低下が起こり、逆に少なすぎてもフィラー同士の接触箇所が増やせず熱伝導性の低下が起こる。従って、(C)粉粒状フィラーの添加効果を考慮すると、(B)成分と(C)成分の添加比率は3:1〜1:3であることが必要であり、好ましくは2:1〜1:2、更に好ましくは2:1〜1:1である。
本発明で使用することのできる(C)粉粒状フィラーは、上記の条件を満たす物質であれば如何なるものでも使用可能である。具体的な物質としては、酸化チタン、アルミナ、無水炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ベリリア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられるが、これらの中でもフィラーの毒性、経済性の点から酸化チタン、アルミナより選ばれる1種以上が好ましい。
尚、本発明で用いる(B)板状フィラーと(C)粉粒状フィラーの平均粒径は、レーザー散乱法により測定した値である。
更に本発明のポリエステルには、本発明の企図する目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を補助的に添加してもよい。
この場合に使用する熱可塑性樹脂の例を示すと、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とジオール等からなる芳香族ポリエステル、ポリアセタール(ホモ又はコポリマー)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂等を挙げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以上混合して使用することができる。
以下に実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中の物性測定の方法は以下の通りである。
[融点]
TAインスツルメント社製DSCにて測定した。
[溶融粘度]
表1に示す測定温度、剪断速度1000sec-1の条件で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて東洋精機製キャピログラフで測定した。
[熱伝導率]
直径45mm、厚さ2mmの円板状成形品を重ねたサンプルを用い、ホットディスク法にて熱伝導率を測定した。尚、円板状成形品は、得られたペレット状のポリマーを融点より10℃から20℃高い温度に加熱し、2MPaの圧力でホットプレスし、所定の大きさに加工したものである。
実施例1
攪拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、金属触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸172g(50モル%)(HNA)
(II)テレフタル酸76g(25モル%)(TA)
(III)4,4'−ジヒドロキシビフェニル85g(25モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒45mg
無水酢酸194g
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で2時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから20分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーをストランド状に排出した。ストランドをカッティングしてペレットにした。
得られたポリマーの融点は362℃、溶融粘度は17Pa・s、熱伝導率は0.45W/m・Kであった。
実施例2〜5
原料モノマーの種類、仕込み量を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーを得た。これら結果を表1に示す。使用した原料モノマーの略称は以下のものを示す。
IA:イソフタル酸
比較例1
攪拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、金属触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸237g(70モル%)(HNA)
(II)イソフタル酸45g(15モル%)(IA)
(III)4,4'−ジヒドロキシビフェニル50g(15モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒45mg
無水酢酸191g
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で2時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから20分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーをストランド状に排出した。ストランドをカッティングしてペレットにした。
得られたポリマーの融点は255℃、溶融粘度は74Pa・s、熱伝導率は0.36W/m・Kであった。
比較例2〜5
原料モノマーの種類、仕込み量を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーを得た。これら結果を表1に示す。尚、比較例4及び5については、製造時にポリマーがリアクター内で固化し、所望の分子量のポリマーを製造することができなかった。
Figure 0005155769

Claims (10)

  1. 下記一般式(I),(II),(III),(IV)で表される構成単位からなり、
    全構成単位に対して(I)の構成単位が45〜70モル%、(II)の構成単位が10〜27.5モル%、(III)の構成単位が5〜10モル%、(IV)の構成単位が15〜27.5モル%であることを特徴とする溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステル。
    Figure 0005155769
  2. 全芳香族ポリエステルの融点より10〜40℃高い温度で、剪断速度1000sec-1における溶融粘度が1×105 Pa・s以下である請求項1記載の全芳香族ポリエステル。
  3. 請求項1又は2記載の全芳香族ポリエステル100重量部に対し無機又は有機充填剤を120重量部以下配合してなるポリエステル樹脂組成物。
  4. 無機充填剤が繊維状充填剤であり、その配合量が全芳香族ポリエステル100重量部に対し20〜80重量部である請求項3記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1又は2記載の(A)全芳香族ポリエステル100重量部に対し、
    (B)熱伝導率が3W/m・K以上、平均粒径が1〜300μmの板状フィラー10〜300重量部、
    (C)熱伝導率が3W/m・K以上で、平均粒径が(B)板状フィラーの1/10〜1/200である粉粒状フィラー10〜300重量部を添加してなり、
    (B)、(C)成分の総添加量が(A)全芳香族ポリエステル100重量部に対し20〜500重量部であり、(B)成分と(C)成分の添加比率が3:1〜1:3であることを特徴とする絶縁性の熱伝導性ポリエステル樹脂組成物。
  6. (B)板状フィラーが窒化ホウ素及びタルクより選ばれる1種以上であり、(C)粉粒状フィラーが酸化チタン及びアルミナより選ばれる1種以上である請求項5記載の絶縁性の熱伝導性ポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1又は2記載の全芳香族ポリエステルもしくは請求項3〜6の何れか1項記載のポリエステル樹脂組成物を成形したポリエステル成形品。
  8. 成形品が、熱交換器、放熱板又は光ピックアップである請求項7記載のポリエステル成形品。
  9. 成形品が、ポリエステル繊維である請求項7記載のポリエステル成形品。
  10. 成形品が、ポリエステルフィルムである請求項7記載のポリエステル成形品。
JP2008203879A 2008-08-07 2008-08-07 全芳香族ポリエステル及びポリエステル樹脂組成物 Active JP5155769B2 (ja)

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