WO2023176816A1 - 全芳香族ポリエステル、樹脂組成物、成形品及び全芳香族ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
流動開始温度が従来よりも低い液晶性全芳香族ポリエステルを提供する。 必須の構成成分として、下記構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV): を含み、構成単位(I)の含有量は、全構成単位に対して17.5~26モル%であり、構成単位(II)の含有量は、全構成単位に対して24~32.5モル%であり、構成単位(III)の含有量は、全構成単位に対して17.5~26モル%であり、構成単位(IV)の含有量は、全構成単位に対して24~32.5モル%であり、全構成単位に対して構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルとする。
Description
本発明は、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステル、樹脂組成物、成形品及び全芳香族ポリエステルの製造方法に関する。
全芳香族ポリエステル等の液晶性樹脂は、優れた流動性、機械強度、耐熱性、耐薬品性、電気的性質等をバランス良く有するため、高機能エンジニアリングプラスチックスとして種々の分野において広く利用されている。
全芳香族ポリエステルとして現在市販されているものの多くは、4-ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸が主成分である。しかし、芳香族ヒドロキシカルボン酸を主成分とする液晶性樹脂は、成形加工温度が350℃を超える高温であるため、汎用の装置にて溶融加工を行うには高すぎる。
特許文献1には、p-ヒドロキシ安息香酸を用いずに、所定の一般式で表される各構成単位を所定の含有量で含むことを特徴とする芳香族ポリエステルが記載されている。
全芳香族ポリエステルとして現在市販されているものの多くは、4-ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸が主成分である。しかし、芳香族ヒドロキシカルボン酸を主成分とする液晶性樹脂は、成形加工温度が350℃を超える高温であるため、汎用の装置にて溶融加工を行うには高すぎる。
特許文献1には、p-ヒドロキシ安息香酸を用いずに、所定の一般式で表される各構成単位を所定の含有量で含むことを特徴とする芳香族ポリエステルが記載されている。
本発明は、流動開始温度が従来よりも低い液晶性全芳香族ポリエステルを提供することを課題とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]必須の構成成分として、下記構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV):
を含み、
構成単位(I)の含有量が、全構成単位に対して17.5~26モル%であり、
構成単位(II)の含有量が、全構成単位に対して24~32.5モル%であり、
構成単位(III)の含有量が、全構成単位に対して17.5~26モル%であり、
構成単位(IV)の含有量が、全構成単位に対して24~32.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステル。
[2]流動開始温度が310℃以下である、[1]に記載の全芳香族ポリエステル。
[3][1]又は[2]に記載の全芳香族ポリエステルを含有する、樹脂組成物。
[4][1]又は[2]に記載の全芳香族ポリエステルを含有する、成形品。
[5]溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルの製造方法であって、
4,4’-ジヒドロキシビフェニル及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを、脂肪酸無水物を用いてアシル化させた後、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸と重縮合させることを含み、
1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを含む全モノマーに対し、
1,4-フェニレンジカルボン酸の使用量が17.5~26モル%であり、
2,6-ナフタレンジカルボン酸の使用量が24~32.5モル%であり、
4,4’-ジヒドロキシビフェニルの使用量が17.5~26モル%であり、
1,4-ジヒドロキシベンゼンの使用量が24~32.5モル%であり、
1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンの合計の使用量が100モル%である、全芳香族ポリエステルの製造方法。
[6]前記脂肪酸無水物が無水酢酸を含む、[5]に記載の方法。
[1]必須の構成成分として、下記構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV):
を含み、
構成単位(I)の含有量が、全構成単位に対して17.5~26モル%であり、
構成単位(II)の含有量が、全構成単位に対して24~32.5モル%であり、
構成単位(III)の含有量が、全構成単位に対して17.5~26モル%であり、
構成単位(IV)の含有量が、全構成単位に対して24~32.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステル。
[2]流動開始温度が310℃以下である、[1]に記載の全芳香族ポリエステル。
[3][1]又は[2]に記載の全芳香族ポリエステルを含有する、樹脂組成物。
[4][1]又は[2]に記載の全芳香族ポリエステルを含有する、成形品。
[5]溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルの製造方法であって、
4,4’-ジヒドロキシビフェニル及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを、脂肪酸無水物を用いてアシル化させた後、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸と重縮合させることを含み、
1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを含む全モノマーに対し、
1,4-フェニレンジカルボン酸の使用量が17.5~26モル%であり、
2,6-ナフタレンジカルボン酸の使用量が24~32.5モル%であり、
4,4’-ジヒドロキシビフェニルの使用量が17.5~26モル%であり、
1,4-ジヒドロキシベンゼンの使用量が24~32.5モル%であり、
1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンの合計の使用量が100モル%である、全芳香族ポリエステルの製造方法。
[6]前記脂肪酸無水物が無水酢酸を含む、[5]に記載の方法。
本発明によれば、流動開始温度が従来よりも低い液晶性全芳香族ポリエステルを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。一実施形態について記載した特定の説明が他の実施形態についても当てはまる場合には、他の実施形態においてはその説明を省略している場合がある。本開示において数値範囲についての「X~Y」との表現は、「X以上Y以下」であることを意味している。また、特定のパラメータについて、複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値の内、任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
[全芳香族ポリエステル]
本実施形態に係る全芳香族ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、必須の構成成分として、下記構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV):
を含み、各構成単位の含有量は、後述する所定の範囲である。
このような特徴を有する全芳香族ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示すとともに、樹脂の流動開始温度が低く、従来よりも低温での溶融加工が可能である。加えて、従来の芳香族ヒドロキシカルボン酸を主成分とする全芳香族ポリエステルは、成形品の靭性が低く硬くて脆いという問題があったが、本実施形態に係る全芳香族ポリエステルは、靭性も優れているので成形品に歪が加えられても破壊されにくい。また、本開示において、各構成単位の含有量(モル%)は、重合する際のモノマーの仕込み比からも算出することができる。あるいは、各構成単位の割合(モル%)は、Polymer Degradation and Stability vol.76(2002),85-94に記載の、熱分解ガスクロマトグラフィー法によっても算出することができる。
本実施形態に係る全芳香族ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、必須の構成成分として、下記構成単位(I)、(II)、(III)及び(IV):
を含み、各構成単位の含有量は、後述する所定の範囲である。
このような特徴を有する全芳香族ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示すとともに、樹脂の流動開始温度が低く、従来よりも低温での溶融加工が可能である。加えて、従来の芳香族ヒドロキシカルボン酸を主成分とする全芳香族ポリエステルは、成形品の靭性が低く硬くて脆いという問題があったが、本実施形態に係る全芳香族ポリエステルは、靭性も優れているので成形品に歪が加えられても破壊されにくい。また、本開示において、各構成単位の含有量(モル%)は、重合する際のモノマーの仕込み比からも算出することができる。あるいは、各構成単位の割合(モル%)は、Polymer Degradation and Stability vol.76(2002),85-94に記載の、熱分解ガスクロマトグラフィー法によっても算出することができる。
構成単位(I)は、1,4-フェニレンジカルボン酸(以下、「TA」ともいう。)及びその重合可能な誘導体から誘導される。重合可能な誘導体としては、1,4-フェニレンジカルボン酸のアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等が挙げられる。全芳香族ポリエステルは、構成単位(I)を全構成単位に対して17.5~26モル%含む。構成単位(I)の含有量が17.5モル%未満、又は26モル%を超えると、流動開始温度の低下効果が十分ではなく低温加工性が不十分となりやすい。低温加工性と靭性との両立の観点から、構成単位(I)の含有量は、全構成単位に対して、好ましくは18~26モル%であり、より好ましくは19~25.5モル%であり、さらに好ましくは20~25モル%である。
特許文献1では、所定の一般式で示される芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを所定量含むことを特徴としているが、融点Tmを310℃以下まで低くすることができる組成物は、芳香族ジカルボン酸として、2,6-ナフタレンジカルボン酸に加えて、1,4-フェニレンジカルボン酸と1,3-フェニレンジカルボン酸とを併用する組成物だけである。本実施形態においては、芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いず、かつ芳香族ジカルボン酸として2,6-ナフタレンジカルボン酸と1,4-フェニレンジカルボン酸とのみを用いた場合でも、構成単位(I)~(IV)を満たしかつ各構成単位の含有量を所定の範囲にすることで、樹脂の流動開始温度を従来よりも低くすることができる。
構成単位(II)は、2,6-ナフタレンジカルボン酸(以下、「NDA」ともいう。)及びその重合可能な誘導体から誘導される。重合可能な誘導体としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸のアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等が挙げられる。全芳香族ポリエステルは、構成単位(II)を全構成単位に対して24~32.5モル%含む。構成単位(II)の含有量が24モル%未満、又は32.5モル%を超えると、低温加工性及び靭性の少なくとも一方が不十分となりやすい。低温加工性と靭性との両立の観点から、構成単位(II)の含有量は、全構成単位に対して、好ましくは24.5~32モル%であり、より好ましくは24.5~31モル%であり、さらに好ましくは25~30モル%である。
構成単位(III)は、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(以下、「BP」ともいう。)及びその重合可能な誘導体から誘導される。重合可能な誘導体としては、4,4’-ジヒドロキシビフェニルのアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等が挙げられる。全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(III)を17.5~26モル%含む。構成単位(III)の含有量が17.5モル%未満、又は26モル%を超えると、低温加工性及び靭性の少なくとも一方が不十分となりやすい。低温加工性と靭性との両立の観点から、構成単位(III)の含有量は、全構成単位に対して、好ましくは18~26モル%であり、より好ましくは19~25.5モル%であり、さらに好ましくは20~25モル%である。
構成単位(IV)は、1,4-ジヒドロキシベンゼン(以下、「HQ」ともいう。)及びその重合可能な誘導体から誘導される。重合可能な誘導体としては、1,4-ジヒドロキシベンゼンのアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等が挙げられる。全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(IV)を24~32.5モル%含む。構成単位(IV)の含有量が24モル%未満、又は32.5モル%を超えると、低温加工性及び靭性の少なくとも一方が不十分となりやすい。低温加工性と靭性との両立の観点から、構成単位(IV)の含有量は、好ましくは24.5~32モル%であり、より好ましくは24.5~31モル%であり、さらに好ましくは25~30モル%である。
全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(I)~(IV)を合計で100モル%含む。
「溶融時に光学的異方性を示す」とは、全芳香族ポリエステルが液晶性ポリマーであることを意味する。全芳香族ポリエステルが液晶性ポリマーであることにより、低温加工性と靭性とを併せ持つことができる。
溶融時に光学的異方性を示すことは、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査方法により確認することができる。より具体的には溶融異方性の確認は、オリンパス社製偏光顕微鏡を使用しリンカム社製ホットステージにのせた試料を溶融し、窒素雰囲気下で150倍の倍率で観察することにより実施できる。液晶性ポリマーは光学的に異方性であり、直交偏光子間に挿入したとき光を透過させる。試料が光学的に異方性であると、例えば溶融静止液状態であっても偏光は透過する。
ネマチックな液晶性ポリマーは融点以上で著しく粘性低下を生じるので、一般的に融点又はそれ以上の温度で液晶性を示すことが加工性の指標となる。
全芳香族ポリエステルの融点より10~40℃高い温度、かつ、剪断速度1000/秒における前記全芳香族ポリエステルの溶融粘度は、好ましくは1000Pa・s以下であり、より好ましくは4~500Pa・sであり、さらにより好ましくは4~250Pa・sであり、特に好ましくは5~100Pa・sである。上記溶融粘度が上記範囲内であると、前記全芳香族ポリエステルそのもの、又は、前記全芳香族ポリエステルを含有する組成物は、その成形時において、流動性が確保されやすく、充填圧力が過度になりにくい。なお、本開示において、溶融粘度とは、ISO11443に準拠して測定した溶融粘度をいう。
全芳香族ポリエステルは、流動開始温度が、好ましくは310℃以下であり、より好ましくは300℃以下であり、さらに好ましくは295℃以下である。流動開始温度を310℃以下にすることで、低温での溶融加工性に優れた液晶性全芳香族ポリエステルとすることができる。一実施形態において、全芳香族ポリエステルは、流動開始温度が292℃以下であり得る。一実施形態において、全芳香族ポリエステルは、流動開始温度が290℃以下又は280℃以下にすることもできる。
流動開始温度とは、全芳香族ポリエステルを加熱昇温させていった際に、外力によって流動性を示す温度であり、以下の方法により測定することができる。すなわち、流動開始温度は、毛細管型レオメーター(例えば株式会社島津製作所製フローテスターCFT-500型)を用い、4℃/minの昇温速度で加熱溶融されたサンプル樹脂を100kg/cm2の加重下で、内径1mm、長さ10mmのノズルから押出した時に、溶融粘度が48000ポイズを示す温度(℃)として測定する。
[全芳香族ポリエステルの製造方法]
本実施形態に係る全芳香族ポリエステルの製造方法は、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルの製造方法であって、4,4’-ジヒドロキシビフェニル及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを、脂肪酸無水物を用いてアシル化させた後、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸と重縮合させることを含む。1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンは、それぞれ、その重合可能な誘導体を含み得る。重合可能な誘導体としては、例えば、アルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等が挙げられる。
本実施形態に係る全芳香族ポリエステルの製造方法は、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルの製造方法であって、4,4’-ジヒドロキシビフェニル及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを、脂肪酸無水物を用いてアシル化させた後、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸と重縮合させることを含む。1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンは、それぞれ、その重合可能な誘導体を含み得る。重合可能な誘導体としては、例えば、アルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等が挙げられる。
(アシル化)
脂肪酸無水物は、アシル化剤としての作用を有する。脂肪酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2-エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β-ブロモプロピオン酸等が挙げられる。脂肪酸無水物は、これらから選択される1以上を用いることが好ましい。
脂肪酸無水物は、アシル化剤としての作用を有する。脂肪酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2-エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β-ブロモプロピオン酸等が挙げられる。脂肪酸無水物は、これらから選択される1以上を用いることが好ましい。
価格と取り扱い性の観点から好適なものとしては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸等の無水カルボン酸等を挙げることができ、これらから選択される1以上を用いることが好ましい。中でも、入手の容易さの点で、脂肪酸無水物は無水酢酸を含むことが好ましい。
脂肪酸無水物の使用量は、反応制御の容易さの点で、4,4’-ジヒドロキシビフェニル及び1,4-ジヒドロキシベンゼンの水酸基総量に対して、1.0~1.1当量であることが好ましく、1.01~1.05当量であることがより好ましい。
4,4’-ジヒドロキシビフェニルの使用量は、1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを含む全モノマーに対して、17.5~26モル%であり、好ましくは18~26モル%であり、より好ましくは19~25.5モル%であり、さらに好ましくは20~25モル%である。
1,4-ジヒドロキシベンゼンの使用量は、1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを含む全モノマーに対して、24~32.5モル%であり、好ましくは24.5~32モル%であり、より好ましくは24.5~31モル%であり、さらに好ましくは25~30モル%である。
アシル化は、公知の方法により行うことができる。例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを、脂肪酸無水物と混合し、120~160℃の温度範囲で、0.5~5時間程度加熱してアシル化反応させ、アシル化物を含む反応生成物を得る。
(重縮合反応)
次いで、上記アシル化により得られたアシル化物と、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸とを重縮合させる。
次いで、上記アシル化により得られたアシル化物と、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸とを重縮合させる。
1,4-フェニレンジカルボン酸の使用量は、1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを含む全モノマーに対して、17.5~26モル%であり、好ましくは18~26モル%であり、より好ましくは19~25.5モル%であり、さらに好ましくは20~25モル%である。
2,6-ナフタレンジカルボン酸の使用量は、1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを含む全モノマーに対して、24~32.5モル%であり、好ましくは24.5~32モル%であり、より好ましくは24.5~31モル%であり、さらに好ましくは25~30モル%である。
重縮合反応は、公知の方法により行うことができる。例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニルのアシル化物及び1,4-ジヒドロキシベンゼンのアシル化物と、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸とを混合し、200~400℃の温度範囲で、2~12時間程度加熱して重縮合させる。
本実施形態に係る全芳香族ポリエステルの製造方法において、1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンの合計の使用量は、100モル%である。
重縮合反応に際しては、溶融重合法、溶液重合法、スラリー重合法、固相重合法等、又はこれらの2種以上の組み合わせが用いられ、溶融重合法、又は溶融重合法と固相重合法との組み合わせが好ましく用いられる。
上記重縮合反応により製造された全芳香族ポリエステルは、さらに常圧又は減圧下で、不活性ガス中で加熱する固相重合により分子量の増加を図ることができる。
固相重合は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、減圧又は真空下、窒素ガス等の不活性ガス気流中で、原料樹脂(重縮合反応により得られた全芳香族ポリエステル)の液晶形成温度よりも10~120℃低い温度で加熱することにより行うことができる。なお、全芳香族ポリエステルは固相重合が進むにしたがってその融点も上昇するので、原料樹脂の元の融点以上で固相重合することも可能である。固相重合は、一定の温度で実施してもよいし段階的に高温にしてもよい。加熱方法は、特に限定されず、マイクロ波加熱、ヒータ加熱等を用いることができる。
固相重合は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、減圧又は真空下、窒素ガス等の不活性ガス気流中で、原料樹脂(重縮合反応により得られた全芳香族ポリエステル)の液晶形成温度よりも10~120℃低い温度で加熱することにより行うことができる。なお、全芳香族ポリエステルは固相重合が進むにしたがってその融点も上昇するので、原料樹脂の元の融点以上で固相重合することも可能である。固相重合は、一定の温度で実施してもよいし段階的に高温にしてもよい。加熱方法は、特に限定されず、マイクロ波加熱、ヒータ加熱等を用いることができる。
上記各反応に際しては、公知の触媒を用いることができる。代表的なものとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(III)等の金属塩系触媒、1-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン等の有機化合物系触媒を挙げることができる。触媒は、これらから選択される1以上を含むことが好ましい。触媒は、アシル化反応、重縮合反応(必要に応じて固相重合反応)において同じ触媒を使用してもよい。
上記各反応は、全原料モノマー(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸)、脂肪酸無水物及び触媒を、同一反応容器に仕込んで反応を開始させることもできるし(一段方式)、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、1,4-ジヒドロキシベンゼンを脂肪酸無水物によりアシル化させた後、別途、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸のカルボキシル基と反応させることもできる(二段方式)。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記した全芳香族ポリエステルを含む。上記した全芳香族ポリエステルを含むので従来よりも流動開始温度が低く、より低温で溶融加工することができる。一実施形態において、樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂中の、好ましくは80質量%以上、より好ましく90質量%以上が全芳香族ポリエステルであり得る。一実施形態において、樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、上記した全芳香族ポリエステルのみからなるように構成することができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記した全芳香族ポリエステルを含む。上記した全芳香族ポリエステルを含むので従来よりも流動開始温度が低く、より低温で溶融加工することができる。一実施形態において、樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂中の、好ましくは80質量%以上、より好ましく90質量%以上が全芳香族ポリエステルであり得る。一実施形態において、樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、上記した全芳香族ポリエステルのみからなるように構成することができる。
樹脂組成物は、使用目的に応じて各種の繊維状、粉粒状、板状の無機及び有機の充填剤を配合することができる。
繊維状無機充填剤としては、ガラス繊維、ミルドガラスファイバー、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイトなどの珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等の無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。
繊維状有機充填剤としては、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質が挙げられる。
繊維状無機充填剤としては、ガラス繊維、ミルドガラスファイバー、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイトなどの珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等の無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。
繊維状有機充填剤としては、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質が挙げられる。
粉粒状無機充填剤としては、カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラス粉、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイトなどの珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナなどの金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
板状無機充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、タルク、各種の金属箔等が挙げられる。
板状無機充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、タルク、各種の金属箔等が挙げられる。
充填剤の配合量は、全芳香族ポリエステル100質量部に対して、好ましくは5~150質量部であり、より好ましくは20~80質量部である。
上記充填剤の使用にあたっては必要に応じて収束剤又は表面処理剤を使用することができる。
上記充填剤の使用にあたっては必要に応じて収束剤又は表面処理剤を使用することができる。
樹脂組成物は、本発明の効果を害さない範囲で、その他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては例えば、その他の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、安定剤、顔料、結晶核剤等の添加剤を挙げることができる。
樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法で調製することができる。例えば、各成分を配合して、これらを1軸又は2軸押出機を用いて溶融混練処理することで、樹脂組成物を調製することができる。
樹脂組成物は、流動開始温度が、好ましくは310℃以下であり、より好ましくは300℃以下であり、さらに好ましくは295℃以下である。一実施形態において、樹脂組成物は、流動開始温度が292℃以下であり得る。一実施形態において、樹脂組成物は、流動開始温度が290℃以下又は280℃以下にすることもできる。流動開始温度が310℃以下である樹脂組成物は、従来よりも低温で溶融加工することができる。
[成形品]
本実施形態に係る成形品は、上記した全芳香族ポリエステル、又は上記した樹脂組成物を用いて成形された成形品であり、上記した全芳香族ポリエステルを含む。上記した全芳香族ポリエステルを含むので、靭性に優れており、変形しても破壊されにくい。
本実施形態に係る成形品は、上記した全芳香族ポリエステル、又は上記した樹脂組成物を用いて成形された成形品であり、上記した全芳香族ポリエステルを含む。上記した全芳香族ポリエステルを含むので、靭性に優れており、変形しても破壊されにくい。
成形品の製造方法は、特に限定されず一般的な成形方法を採用することができる。一般的な成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形、回転成形、ガスインジェクション成形、インフレーション成形等を例示することができる。
本実施形態に係る成形品は、成形性に優れるため、種々の立体成形品、繊維、フィルム等に容易に加工できる。好ましい用途の例としては、コネクター、CPUソケット、リレースイッチ部品、ボビン、アクチュエータ、ノイズ低減フィルターケース、電子回路基板又はOA機器の加熱定着ロール等が挙げられる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
[実施例1]
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及び脂肪酸無水物を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.5モル(25モル%)
(II)2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA) 0.5モル(25モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.5モル(25モル%)
(IV)1,4-ジヒドロキシベンゼン(HQ) 0.5モル(25モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 2.08モル(BP及びHQの水酸基総量に対して1.04当量)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及び脂肪酸無水物を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.5モル(25モル%)
(II)2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA) 0.5モル(25モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.5モル(25モル%)
(IV)1,4-ジヒドロキシベンゼン(HQ) 0.5モル(25モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 2.08モル(BP及びHQの水酸基総量に対して1.04当量)
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、さらに360℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら重縮合を行った(重縮合反応工程)。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして全芳香族ポリエステルペレットを得た。
[実施例2~4、比較例3~5]
原料モノマー及びその配合量を表1に記載のとおりとした以外は、実施例1と同じ方法で全芳香族ポリエステルペレットを得た。
原料モノマー及びその配合量を表1に記載のとおりとした以外は、実施例1と同じ方法で全芳香族ポリエステルペレットを得た。
[比較例1]
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及び脂肪酸無水物を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.46モル(25モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.46モル(25モル%)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA) 0.037モル(2モル%)
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA) 0.883モル(48モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 1.914モル(BP、HBA及びHNAの水酸基総量に対して1.04当量)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及び脂肪酸無水物を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.46モル(25モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.46モル(25モル%)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA) 0.037モル(2モル%)
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA) 0.883モル(48モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 1.914モル(BP、HBA及びHNAの水酸基総量に対して1.04当量)
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、さらに360℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら重縮合を行った(重縮合反応工程)。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして全芳香族ポリエステルペレットを得た。
[比較例2]
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及び脂肪酸無水物を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.8モル(40モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.4モル(20モル%)
(IV)1,4-ジヒドロキシベンゼン(HQ) 0.4モル(20モル%)
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA) 0.4モル(20モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 2.08モル(BP、HQ及びHNAの水酸基総量に対して1.04当量)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及び脂肪酸無水物を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.8モル(40モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.4モル(20モル%)
(IV)1,4-ジヒドロキシベンゼン(HQ) 0.4モル(20モル%)
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA) 0.4モル(20モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 2.08モル(BP、HQ及びHNAの水酸基総量に対して1.04当量)
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、さらに380℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら重縮合を行った(重縮合反応工程)。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして全芳香族ポリエステルペレットを得た。
[比較例6]
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.28モル(14モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.4モル(20モル%)
1,3-フェニレンジカルボン酸(IA) 0.12モル(6モル%)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA) 1.2モル(60モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 2.08モル(BP及びHBAの水酸基総量に対して1.04当量)
(I)1,4-フェニレンジカルボン酸(TA) 0.28モル(14モル%)
(III)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP) 0.4モル(20モル%)
1,3-フェニレンジカルボン酸(IA) 0.12モル(6モル%)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA) 1.2モル(60モル%)
酢酸カリウム触媒 150ppm
無水酢酸 2.08モル(BP及びHBAの水酸基総量に対して1.04当量)
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、さらに360℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら重縮合を行った(重縮合反応工程)。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして全芳香族ポリエステルペレットを得た。
(液晶性)
実施例及び比較例で得られた全芳香族ポリエステルを、オリンパス株式会社製偏光顕微鏡を使用し、リンカム社製ホットステージにのせて溶融させ、窒素雰囲気下で150倍の倍率で、クロスニコル下で観察した。光学異方性溶融相が形成されていたものを、表1中に「Y」で示した。
実施例及び比較例で得られた全芳香族ポリエステルを、オリンパス株式会社製偏光顕微鏡を使用し、リンカム社製ホットステージにのせて溶融させ、窒素雰囲気下で150倍の倍率で、クロスニコル下で観察した。光学異方性溶融相が形成されていたものを、表1中に「Y」で示した。
(流動開始温度)
実施例及び比較例で得られた全芳香族ポリエステルを、毛細管型レオメーター(株式会社島津製作所製フローテスターCFT-500型)を用い、4℃/minの昇温速度で加熱溶融し、9.8MPa(100kg/cm2)の加重下で、内径1mm、長さ10mmのノズルから押出した時に、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を測定した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得られた全芳香族ポリエステルを、毛細管型レオメーター(株式会社島津製作所製フローテスターCFT-500型)を用い、4℃/minの昇温速度で加熱溶融し、9.8MPa(100kg/cm2)の加重下で、内径1mm、長さ10mmのノズルから押出した時に、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を測定した。結果を表1に示す。
(曲げ試験)
実施例及び比較例で得られた全芳香族ポリエステルペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製「SE30DUZ」)を用いて、以下の成形条件で成形し、50mm×4mm×0.3mmの曲げ試験片を作製した。この試験片を用いて、以下の試験条件で、曲げ応力が最大になった際の曲げ歪みを測定した。結果を表1に示す。
〔成形条件〕
シリンダー温度:
実施例1~4、比較例6:350℃
比較例1、3~5:370℃
比較例2:380℃
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
保圧:50MPa
[試験条件]
試験速度:2.0mm/min
支点間距離4.8mm
圧子の半径:0.5mm
支持台の半径:0.5mm
弾性率:割線法
実施例及び比較例で得られた全芳香族ポリエステルペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製「SE30DUZ」)を用いて、以下の成形条件で成形し、50mm×4mm×0.3mmの曲げ試験片を作製した。この試験片を用いて、以下の試験条件で、曲げ応力が最大になった際の曲げ歪みを測定した。結果を表1に示す。
〔成形条件〕
シリンダー温度:
実施例1~4、比較例6:350℃
比較例1、3~5:370℃
比較例2:380℃
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
保圧:50MPa
[試験条件]
試験速度:2.0mm/min
支点間距離4.8mm
圧子の半径:0.5mm
支持台の半径:0.5mm
弾性率:割線法
表1に示すように、実施例1~4の全芳香族ポリエステルは、芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いておらず、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとのみで構成されている。これらの全芳香族ポリエステルは、流動開始温度が310℃以下であり、従来よりも低いため低温での溶融加工性に優れている。また、得られた成形品の曲げ歪みが9%以上であるので、変形しても破壊されにくい。
これに対して、比較例1~6の全芳香族ポリエステルは、いずれも流動開始温度が310℃を超えており高温での溶融加工が必要となる。加えて、比較例1,2,6の全芳香族ポリエステルは、得られた成形品は曲げ歪みが9%未満であり、変形した際に破壊されやすい。
これに対して、比較例1~6の全芳香族ポリエステルは、いずれも流動開始温度が310℃を超えており高温での溶融加工が必要となる。加えて、比較例1,2,6の全芳香族ポリエステルは、得られた成形品は曲げ歪みが9%未満であり、変形した際に破壊されやすい。
本実施形態に係る全芳香族ポリエステルは、流動開始温度を従来よりも低いので、低温での溶融加工性に優れた高機能エンジニアリングプラスチックスとして産業上の利用可能性を有している。
Claims (6)
- 流動開始温度が310℃以下である、請求項1に記載の全芳香族ポリエステル。
- 請求項1又は2に記載の全芳香族ポリエステルを含有する、樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の全芳香族ポリエステルを含有する、成形品。
- 溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルの製造方法であって、
4,4’-ジヒドロキシビフェニル及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを、脂肪酸無水物を用いてアシル化させた後、1,4-フェニレンジカルボン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸と重縮合させることを含み、
1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンを含む全モノマーに対し、
1,4-フェニレンジカルボン酸の使用量が17.5~26モル%であり、
2,6-ナフタレンジカルボン酸の使用量が24~32.5モル%であり、
4,4’-ジヒドロキシビフェニルの使用量が17.5~26モル%であり、
1,4-ジヒドロキシベンゼンの使用量が24~32.5モル%であり、
1,4-フェニレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、及び1,4-ジヒドロキシベンゼンの合計の使用量が100モル%である、全芳香族ポリエステルの製造方法。 - 前記脂肪酸無水物が無水酢酸を含む、請求項5に記載の方法。
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---|---|---|---|---|
JPH05117374A (ja) * | 1991-10-28 | 1993-05-14 | Polyplastics Co | 芳香族ポリエステル及びポリエステル樹脂組成物 |
JPH06502673A (ja) * | 1990-11-16 | 1994-03-24 | イーストマン ケミカル カンパニー | テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ハイドロキノン及び4,4’−ビフェノールからのポリエステル |
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2023
- 2023-03-14 WO PCT/JP2023/009805 patent/WO2023176816A1/ja unknown
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JPH05117374A (ja) * | 1991-10-28 | 1993-05-14 | Polyplastics Co | 芳香族ポリエステル及びポリエステル樹脂組成物 |
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