JP6823760B2 - 耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた耐ボールベアリング摺動摩耗部材 - Google Patents

耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた耐ボールベアリング摺動摩耗部材 Download PDF

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Description

本発明は、耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた耐ボールベアリング摺動摩耗部材に関する。
液晶性ポリエステル樹脂に代表される液晶性樹脂は、優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性、電気的性質等をバランス良く有し、優れた寸法安定性も有するため高機能エンジニアリングプラスチックとして広く利用されている。最近では、液晶性樹脂は、これらの特長を生かして、精密機器部品に使用されるようになっている。
液晶性樹脂が使用される部品としては、例えば、FPCコネクター等のコネクター;メモリーカードソケット等のソケット;レンズホルダー等のカメラモジュール用部品;リレーが挙げられる。これらの部品は、表面白化抑制、低そり性、ウェルド強度、及び低発塵性に優れることが求められ、また、2つ以上の部材が動的に接触するような形態で用いられる場合があるため、摺動摩耗性(即ち、2つ以上の部材が動的に接触したときの摩耗のしやすさ)が低減されていることも求められる。例えば、特許文献1には、表面外観に優れかつ摺動性に優れた液晶性樹脂組成物からなる成形品を提供することを課題として、液晶性樹脂と特定の体積平均粒子径を有するタルクとを特定の比で含有する液晶性樹脂組成物が開示されている。
上述した部品の中でも、液晶性樹脂組成物からなる成形体とボールベアリングとが動的に接するような形態で用いられる部品の場合には、特に、ボールベアリング摺動摩耗性(即ち、ボールベアリングと動的に接触したときの摩耗のしやすさ)が低減されていることが求められる。なお、特許文献2には、ボールベアリングと動的に接するような形態で用いられるカメラモジュール用部品が記載されている。
特許第5087958号公報 欧州特許第2938063号明細書
しかし、本発明者らの検討によれば、従来の液晶性樹脂組成物では、ボールベアリング摺動摩耗性の低減が不十分である。本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、表面白化抑制、低そり性、ウェルド強度、及び低発塵性にバランスよく優れ、かつ、ボールベアリング摺動摩耗性が低減された耐ボールベアリング摺動摩耗部材を製造するために用いられる耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物並びにそれを用いた耐ボールベアリング摺動摩耗部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、液晶性樹脂と特定のメディアン径を有する粒状充填剤と板状充填剤とを含有し、粒状充填剤、板状充填剤、及びこれらの合計の各々の含有量が所定の範囲である液晶性樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1) (A)液晶性樹脂、(B)粒状充填剤、及び(C)板状充填剤を含有し、前記(B)粒状充填剤のメディアン径は、1.3〜5.0μmであり、前記(B)粒状充填剤の含有量は、7.5〜22.5質量%であり、前記(C)板状充填剤の含有量は、2.5〜27.5質量%であり、前記(B)粒状充填剤と前記(C)板状充填剤との合計の含有量は、22.5〜37.5質量%である耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物。
(2) 前記(B)粒状充填剤は、シリカであり、前記(C)板状充填剤は、タルクである(1)に記載の組成物。
(3) 更に(D)エポキシ基含有共重合体を含有する(1)又は(2)に記載の組成物であって、前記(D)エポキシ基含有共重合体の含有量は、1〜5質量%である組成物。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の組成物からなる耐ボールベアリング摺動摩耗部材。
本発明の耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物を原料として、耐ボールベアリング摺動摩耗部材を製造すれば、表面白化抑制、低そり性、ウェルド強度、及び低発塵性にバランスよく優れ、かつ、ボールベアリング摺動摩耗性が低減された耐ボールベアリング摺動摩耗部材が得られる。
図1は、摺動摩耗量評価の方法を説明するための図である。 図2(a)は、そり変形評価に使用したカメラモジュール型成形品を示す図であり、図2(b)は、そり変形評価における測定箇所を示す図である。なお、図中の数値の単位はmmである。 図3は、ウェルド強度評価で用いた成形品を示す図である。なお、図中の数値の単位はmmである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物>
本発明の耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物は、(A)液晶性樹脂、(B)粒状充填剤、及び、(C)板状充填剤を含有する。
[(A)液晶性樹脂]
本発明で使用する(A)液晶性樹脂とは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性ポリマーを指す。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することが出来る。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本発明に適用できる液晶性ポリマーは直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
上記のような(A)液晶性樹脂の種類としては特に限定されず、芳香族ポリエステル及び/又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましい。また、芳香族ポリエステル及び/又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルもその範囲にある。(A)液晶性樹脂としては、60℃でペンタフルオロフェノールに濃度0.1質量%で溶解したときに、好ましくは少なくとも約2.0dl/g、更に好ましくは2.0〜10.0dl/gの対数粘度(I.V.)を有するものが好ましく使用される。
本発明に適用できる(A)液晶性樹脂としての芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドは、特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、及び芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する繰り返し単位を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドである。
より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する繰り返し単位、とからなるポリエステル;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位、とからなるポリエステルアミド;
(5)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する繰り返し単位、とからなるポリエステルアミド等が挙げられる。更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
本発明に適用できる(A)液晶性樹脂を構成する具体的化合物の好ましい例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(II)で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及び下記一般式(III)で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
Figure 0006823760
(X:アルキレン(C〜C)、アルキリデン、−O−、−SO−、−SO−、−S−、及び−CO−より選ばれる基である)
Figure 0006823760
Figure 0006823760
(Y:−(CH−(n=1〜4)及び−O(CHO−(n=1〜4)より選ばれる基である。)
本発明に用いられる(A)液晶性樹脂の調製は、上記のモノマー化合物(又はモノマーの混合物)から直接重合法やエステル交換法を用いて公知の方法で行うことができ、通常は溶融重合法、溶液重合法、スラリー重合法、固相重合法等、又はこれらの2種以上の組み合わせが用いられ、溶融重合法、又は溶融重合法と固相重合法との組み合わせが好ましく用いられる。エステル形成能を有する上記化合物類はそのままの形で重合に用いてもよく、また、重合の前段階で前駆体から該エステル形成能を有する誘導体に変性されたものでもよい。これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であり、代表的なものとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)等の金属塩系触媒、N−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン等の有機化合物系触媒が挙げられる。触媒の使用量は一般にはモノマーの全質量に対して約0.001〜1質量%、特に約0.01〜0.2質量%が好ましい。これらの重合方法により製造されたポリマーは更に必要があれば、減圧又は不活性ガス中で加熱する固相重合法により分子量の増加を図ることができる。
上記のような方法で得られた(A)液晶性樹脂の溶融粘度は特に限定されない。一般には成形温度での溶融粘度が剪断速度1000sec−1で3Pa・s以上500Pa・s以下のものが使用可能である。しかし、それ自体あまり高粘度のものは流動性が非常に悪化するため好ましくない。なお、上記(A)液晶性樹脂は2種以上の液晶性樹脂の混合物であってもよい。
本発明の液晶性樹脂組成物において、(A)液晶性樹脂の含有量は、好ましくは62.5〜77.5質量%又は61.5〜72.5質量%であり、より好ましくは65〜75質量%又は63.5〜72.5質量%である。(A)成分の含有量が上記範囲内であると、流動性、耐熱性等の点で好ましい。
[(B)粒状充填剤]
(B)成分は粒状充填剤であり、(B)成分のメディアン径が1.3〜5.0μmである。上記メディアン径が1.3μm以上であると、成形体のウェルド強度が高くなりやすい。上記メディアン径が5.0μm以下であると、成形体の表面白化抑制効果が高くなりやすい。上記メディアン径は、好ましくは1.5〜5.0μmであり、より好ましくは1.5〜4.0μmである。なお、本明細書において、メディアン径とは、レーザ回折/散乱式粒度分布測定法で測定した体積基準の中央値をいう。
(B)成分の粒状充填剤としては、例えば、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイト等の硅酸塩;酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;炭化硅素;窒化硅素;窒化硼素等が挙げられる。(B)成分は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、成形体の表面白化抑制、成形体の低発塵性、及び成形体のウェルド強度の観点から、(B)成分として、シリカを使用することがより好ましい。
(B)成分の含有量は、本発明の液晶性組成物において、7.5〜22.5質量%である。(B)成分の含有量が7.5質量%以上であると、ボールベアリング摺動摩耗性が低減された成形体を得やすく、22.5質量%以下であると、成形体の表面白化抑制効果が高くなりやすい。(B)成分の好ましい含有量は、10〜20質量%である。
[(C)板状充填剤]
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、板状充填剤が含まれる。板状充填剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の液晶性樹脂組成物において、(C)板状充填剤の含有量は、2.5〜27.5質量%である。(C)成分の含有量が2.5質量%以上であると、成形体の低そり性が高くなりやすい。(C)成分の含有量が27.5質量%以下であると、成形体の表面白化抑制効果及び成形体の低発塵性が高くなりやすい。(C)成分の含有量は、好ましくは5〜25質量%である。
本発明における板状充填剤としては、タルク、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。液晶性樹脂組成物の流動性を悪化させることなく、液晶性樹脂組成物から得られる成形体のそり変形を抑制させるという点で、タルクが好ましい。板状充填剤のメディアン径については、特に限定されず、液晶性樹脂組成物の流動性を考慮すると小さい方が望ましい。一方、液晶性樹脂組成物から得られる成形体のそり変形を小さくするためには、一定の大きさを維持している必要がある。具体的には、1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
〔タルク〕
本発明において使用できるタルクとしては、当該タルクの全固形分量に対して、Fe、Al及びCaOの合計含有量が2.5質量%以下であり、Fe及びAlの合計含有量が1.0質量%超2.0質量%以下であり、かつCaOの含有量が0.5質量%未満であるものが好ましい。即ち、本発明において使用できるタルクは、その主成分たるSiO及びMgOの他、Fe、Al及びCaOのうちの少なくとも1種を含有し、各成分が上記の含有量範囲で含有するものであってもよい。
上記タルクにおいて、Fe、Al及びCaOの合計含有量が2.5質量%以下であると、液晶性樹脂組成物の成形加工性及び当該液晶性樹脂組成物から成形されたコネクター等の成形体の耐熱性が悪化しにくい。そのため、Fe、Al及びCaOの合計含有量は、1.0質量%以上2.0質量%以下が好ましい。
また、上記タルクのうち、Fe及びAlの合計含有量が1.0質量%超のタルクは入手しやすい。また、上記タルクにおいて、Fe及びAlの合計含有量が2.0質量%以下であると、液晶性樹脂組成物の成形加工性及び当該液晶性樹脂組成物から成形されたコネクター等の成形体の耐熱性が悪化しにくい。そのため、Fe及びAlの合計含有量は、1.0質量%超1.7質量%以下が好ましい。
また、上記タルクにおいて、CaOの含有量が0.5質量%未満であると、液晶性樹脂組成物の成形加工性及び当該液晶性樹脂組成物から成形されたコネクター等の成形体の耐熱性が悪化しにくい。そのため、CaOの含有量は、0.01質量%以上0.4質量%以下が好ましい。
本発明におけるタルクのメディアン径は、成形体のそり変形の防止及び液晶性樹脂組成物の流動性の維持という観点から、4.0〜20.0μmであることが好ましく、10〜18μmであることがより好ましい。
更に、(B)成分と(C)成分との合計の含有量は、本発明の液晶性樹脂組成物において、22.5〜37.5質量%であり、好ましくは25〜35質量%である。上記合計の含有量が22.5質量%以上であると、成形体の低そり性が高くなりやすい。上記合計の含有量が37.5質量%以下であると、成形体の表面白化抑制効果及び成形体の低発塵性が高くなりやすい。
[(D)エポキシ基含有共重合体]
本発明の液晶性組成物は、(D)エポキシ基含有共重合体を含有してもよい。(D)エポキシ基含有共重合体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。(D)エポキシ基含有共重合体としては、特に限定されず、例えば、(D1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体及び(D2)エポキシ基含有スチレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。(D)エポキシ基含有共重合体は、本発明の液晶性樹脂組成物から得られる成形体のボールベアリング摺動摩耗性を低減させることに寄与する。
(D1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体としては、例えば、α−オレフィンに由来する繰り返し単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルに由来する繰り返し単位とから構成される共重合体が挙げられる。
α−オレフィンは特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等が挙げられ、中でもエチレンが好ましく用いられる。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルは下記一般式(IV)で示されるものである。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルは、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステル、イタコン酸グリシジルエステル等であり、特にメタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
Figure 0006823760
(D1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体において、α−オレフィンに由来する繰り返し単位の含有量は87〜98質量%であり、α,β−不飽和酸のグリシジルエステルに由来する繰り返し単位の含有量は13〜2質量%であることが好ましい。
本発明で用いる(D1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体は、本発明を損なわない範囲で上記2成分以外に第3成分としてアクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、α−メチルスチレン、無水マレイン酸等のオレフィン系不飽和エステルの1種又は2種以上に由来する繰り返し単位を、上記2成分100質量部に対し0〜48質量部含有してもよい。
本発明の(D1)成分であるエポキシ基含有オレフィン系共重合体は、各成分に対応するモノマー及びラジカル重合触媒を用いて通常のラジカル重合法により容易に調製することができる。より具体的には、通常、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下又は不存在下に共重合させる方法により製造できる。また、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステル及びラジカル発生剤とを混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造できる。
(D2)のエポキシ基含有スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン類に由来する繰り返し単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルに由来する繰り返し単位とから構成される共重合体が挙げられる。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルについては、(D1)成分で説明したものと同様であるため説明を省略する。
スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブロム化スチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、スチレンが好ましく用いられる。
本発明で用いる(D2)エポキシ基含有スチレン系共重合体は、上記2成分以外に第3成分として他のビニルモノマーの1種又は2種以上に由来する繰り返し単位を含有する多元共重合体であってもよい。第3成分として好適なものは、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等のオレフィン系不飽和エステルの1種又は2種以上に由来する繰り返し単位である。これらの繰り返し単位を共重合体中に40質量%以下含有するエポキシ基含有スチレン系共重合体が(D2)成分として好ましい。
(D2)エポキシ基含有スチレン系共重合体において、α,β−不飽和酸のグリシジルエステルに由来する繰り返し単位の含有量は2〜20質量%であり、スチレン類に由来する繰り返し単位の含有量は80〜98質量%であることが好ましい。
(D2)エポキシ基含有スチレン系共重合体は、各成分に対応するモノマー及びラジカル重合触媒を用いて通常のラジカル重合法により調製することができる。より具体的には、通常、スチレン類とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下又は不存在下に共重合させる方法により製造できる。また、スチレン類とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル及びラジカル発生剤とを混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造できる。
なお、(D)エポキシ基含有共重合体としては、(D1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体が耐熱性の点で好ましい。(D1)成分と(D2)成分とを併用する場合、これら成分同士の割合は、適宜、要求される特性に沿って選択することができる。
(D)エポキシ基含有共重合体の含有量は、本発明の液晶性樹脂組成物において、例えば、0〜5質量%でよく、好ましくは1〜5質量%である。(D)成分の含有量が上記範囲内であると、液晶性樹脂組成物の流動性を損なわず、ボールベアリング摺動摩耗性が低減された成形体を得やすい。より好ましい上記含有量は1.5〜2.5質量%である。
[(E)カーボンブラック]
本発明に任意成分として用いる(E)カーボンブラックは、樹脂着色に用いられる一般的に入手可能なものであれば、特に限定されるものではない。通常、(E)カーボンブラックには一次粒子が凝集して出来上がる塊状物が含まれているが、50μm以上の大きさの塊状物が著しく多く含まれていない限り、本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体の表面に多くのブツ(カーボンブラックが凝集した細かいブツブツ状突起物(細かい凹凸))は発生しにくい。上記塊状物粒子径が50μm以上の粒子の含有率が20ppm以下であると、成形体表面の起毛抑制効果が高くなりやすい。好ましい含有率は5ppm以下である。
(E)カーボンブラックの配合量としては、液晶性樹脂組成物において、例えば、0〜5質量%でよく、0.5〜5質量%の範囲が好ましい。カーボンブラックの配合量が0.5質量%以上であると、得られる樹脂組成物の漆黒性が低下しにくく、遮光性に不安が出にくい。カーボンブラックの配合量が5質量%以下であると不経済となりにくく、またブツが発生しにくい。
[(F)離型剤]
本発明に任意成分として用いる(F)離型剤としては、一般的に入手可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、脂肪酸エステル類、脂肪酸金属塩類、脂肪酸アミド類、低分子量ポリオレフィン等が挙げられ、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレート)が好ましい。
(F)離型剤の配合量としては、液晶性樹脂組成物において、例えば、0〜3質量%でよく、0.1〜3質量%の範囲が好ましい。離型剤の配合量が0.1質量%以上であると、成形時の離型性が向上するとともに、ボールベアリング摺動摩耗性が低減された成形体を得やすい。離型剤の配合量が3質量%以下であるとモールドデポジット(即ち、成形における金型への付着物をいう。以下、「MD」ともいう。)が低減しやすい。
[その他の成分]
本発明の液晶性樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の重合体、その他の充填剤、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、結晶化促進剤、結晶核剤等のその他の成分も要求性能に応じ適宜添加することができる。その他の成分は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の充填剤とは、(B)粒状充填剤、(C)板状充填剤、及び(E)カーボンブラック以外の充填剤をいい、例えば、ウィスカー等の繊維状充填剤が挙げられる。但し、成形体のウェルド強度等の観点から、本発明の液晶性樹脂組成物は、繊維状充填剤を含有しないことが好ましい。
[耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物の調製方法]
本発明の耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、上記(A)〜(C)成分、並びに、任意に、上記(D)〜(F)成分及びその他の成分の少なくとも1種を配合して、これらを1軸又は2軸押出機を用いて溶融混練処理することで、耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物の調製が行われる。
[耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物]
上記のようにして得られた本発明の液晶性樹脂組成物は、溶融時の流動性の観点、成形性の観点から、溶融粘度が90Pa・sec以下であることが好ましく、80Pa・sec以下であることがより好ましい。本明細書において、溶融粘度としては、液晶性樹脂の融点よりも10〜20℃高いシリンダー温度、せん断速度1000sec−1の条件で、ISO 11443に準拠した測定方法で得られた値を採用する。
<耐ボールベアリング摺動摩耗部材>
本発明の液晶性樹脂組成物を用いて、耐ボールベアリング摺動摩耗部材を製造する。本発明の耐ボールベアリング摺動摩耗部材は、表面白化抑制、低そり性、ウェルド強度、及び低発塵性にバランスよく優れ、かつ、ボールベアリング摺動摩耗性が低減されている。本発明の耐ボールベアリング摺動摩耗部材は、使用時にボールベアリングと動的に接触するような部品に用いることができ、具体的には、例えば、ボールベアリングと動的に接するような形態で用いられる、レンズホルダー等のカメラモジュール用部品等に用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<液晶性樹脂>
・液晶性ポリエステルアミド樹脂
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットについて、窒素気流下、300℃で2時間の熱処理を行って、目的のポリマーを得た。得られたポリマーの融点は336℃、350℃における溶融粘度は19.0Pa・sであった。なお、上記ポリマーの溶融粘度は、後述する溶融粘度の測定方法と同様にして測定した。
(I)4−ヒドロキシ安息香酸(HBA);1380g(60モル%)
(II)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(HNA);157g(5モル%)
(III)テレフタル酸(TA);484g(17.5モル%)
(IV)4,4’−ジヒドロキシビフェニル(BP);388g(12.5モル%)
(V)4−アセトキシアミノフェノール(APAP);126g(5モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1659g
<液晶性樹脂以外の材料>
・シリカ1:アドマファインSO−C4((株)アドマテックス製、シリカ、メディアン径1.0μm)
・シリカ2:アドマファインSO−C5((株)アドマテックス製、シリカ、メディアン径1.5μm)
・シリカ3:アドマファインSO−C6((株)アドマテックス製、シリカ、メディアン径2.0μm)
・シリカ4:デンカ溶融シリカFB−5SDC(電気化学工業(株)製、シリカ、メディアン径4.0μm)
・アルミナ:アドマファインAO−502((株)アドマテックス製、アルミナ、メディアン径0.7μm)
・ガラスビーズ:EGB731(ポッターズ・バロティーニ(株)製、ガラスビーズ、メディアン径20.0μm)
・タルク:クラウンタルクPP(松村産業(株)製、タルク、メディアン径14.6μm)
・チタン酸カリウム:ティスモN−102(大塚化学(株)製、チタン酸カリウム繊維、平均繊維径0.3〜0.6μm、平均繊維長10〜20μm)
・ウォラストナイト:NYGLOS 8(NYCO Materials社製、ケイ酸カルシウムウィスカー(ウォラストナイト)、数平均繊維長136μm、平均繊維径8μm)
・エポキシ基含有オレフィン系共重合体:ボンドファースト2C(住友化学(株)製、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレートの含有量6質量%)
・カーボンブラック:VULCAN XC305(キャボットジャパン(株)製、平均粒子径20nm、粒子径50μm以上の粒子の割合が20ppm以下)
・離型剤:ペンタエリスリトールテトラステアレート(エメリーオレオケミカルズジャパン(株)製)
<耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物の製造>
上記成分を、表1〜4に示す割合(単位:質量%)で二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α型)を用いて、シリンダー温度350℃にて溶融混練し、耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物ペレットを得た。
<表面白化>
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE30DUZ」)を用いて、以下の成形条件で成形し、測定用試験片(12.5mm×120mm×0.8mm)を得た。測定用試験片を3分間、室温の水中(80ml)で超音波洗浄機(出力300W、周波数45kHz)にかけた。その後、測定用試験片の表面を目視で観察した。測定用試験片の表面白化を下記の基準で評価した。結果を表1〜4に示す。
○(良好):試験片の全面で白化が認められない。
○−(やや良好):ゲート付近及び/又はエジェクタピン痕付近にわずかな白化が認められる。
×(不良):試験片の平滑部に明らかな白化が認められる。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 100mm/sec
<ボールベアリング摺動摩耗性>
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE100DU」)を用いて、以下の成形条件で成形し、測定用試験片(80mm×80mm×1mm)を得た。軽荷重往復動試験機を用いて、図1に示す通り、測定用試験片1上で、グリース2を介して、アーム3先端のボール4(直径5mm、SUS製)に荷重をかけ、下記の往復摺動条件で往復摺動試験を行った後、測定用試験片1に残ったボールベアリング摺動痕の幅を、実体顕微鏡を用いて計測し、ボールベアリング摺動摩耗性を下記の基準で評価した。結果を表1〜4に示す。
○(良好):ボールベアリング摺動痕の幅が540μm以下であった。
×(不良):ボールベアリング摺動痕の幅が540μm超であった。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 33mm/sec
〔往復摺動条件〕
すべり速度:5cm/sec
ストローク:20mm
荷重:29.6N(3kg重)
往復回数:1000回
グリース:東レ・ダウコーニング(株)製、モリコートEM−30L
<そり性>
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE30DUZ」)を用いて、以下の成形条件で成形し、図2(a)に示すような、10.0mm×10.0mm×1.0mmのカメラモジュール型成形品を得た。得られたカメラモジュール型成形品を水平な机の上に静置し、カメラモジュール型成形品の高さをミツトヨ製クイックビジョン404PROCNC画像測定機により測定した。その際、図2(b)において黒丸で示す複数の位置で高さを測定し、最小二乗平面からの最大高さと最小高さとの差をそり変形とした。そり性を下記の基準で評価した。結果を表1〜4に示す。
○(良好):そり変形が0.020mm以下であった。
△(やや良好):そり変形が0.020mm超0.025mm以下であった。
×(不良):そり変形が0.025mm超であった。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 100mm/sec
保圧: 50MPa
<ウェルド強度>
実施例及び比較例のペレットを下記成形条件で射出成形して、図3に示す通り、フィルムゲート11及び穴12を有する穴あき試験片10(穴あき平板30mm×30mm×0.3mm、穴径7mm)を得た。得られた穴あき試験片10から、穴12を挟んで、ゲート側4.5mm幅の部分と、反ゲート側4.5mm幅の部分とを切り出し、それぞれ測定用試験片13a及び13bとした。測定用試験片13a及び13b各々の曲げ強度を下記測定条件で測定し、反ゲート側の測定用試験片13bの曲げ強度をゲート側の測定用試験片13aの曲げ強度で除した値を、ウェルド強度保持率として、ウェルド強度を下記の基準で評価した。結果を表1〜4に示す。
○(良好):ウェルド強度保持率が55%以上であった。
△(やや良好):ウェルド強度保持率が45%以上55%未満であった。
×(不良):ウェルド強度保持率が45%未満であった。
[成形条件]
成形機;住友重機械工業SE30DUZ
シリンダー温度;350℃−350℃−350℃−340℃−330℃
金型温度;90℃
射出速度;200mm/sec
保圧力;50MPa
保圧時間;2sec
冷却時間;8sec
スクリュー回転数;150rpm
スクリュー背圧;1MPa
[測定条件]
測定機;オリエンテック社テンシロン万能試験機製RTM−100
ロードセル;100kg
スパン:4.8mm
曲げ速度:2mm/min
<ダスト発生数>
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE30DUZ」)を用いて、以下の成形条件で成形し、12.5mm×120mm×0.8mmの成形体を得た。この成形体を試験片として使用した。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 100mm/sec
〔評価〕
上記試験片を3分間、室温の水中(80ml)で超音波洗浄機(出力300W、周波数45kHz)にかけた。その後、パーティクルカウンター(RION(株)製 液中微粒子計数器KL−11A(PARTICLECOUNTER))にて、上記水中に存在する2μm以上の粒子数を測定し、ダスト発生数として評価した。結果を表1〜4に示す。
Figure 0006823760
Figure 0006823760
Figure 0006823760
Figure 0006823760
表1〜4に記載の結果から明らかなように、実施例の成形体は、表面白化抑制、低そり性、ウェルド強度、及び低発塵性にバランスよく優れ、かつ、ボールベアリング摺動摩耗性が低減されていることが確認された。
1 測定用試験片
2 グリース
3 アーム
4 ボール
10 穴あき試験片
11 フィルムゲート11
12 穴
13a、13b 測定用試験片

Claims (5)

  1. (A)液晶性樹脂、
    (B)粒状充填剤、及び
    (C)板状充填剤
    を含有し、
    前記(A)液晶性樹脂が、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであり、
    前記(B)粒状充填剤のメディアン径は、1.3〜5.0μmであり、
    前記(B)粒状充填剤の含有量は、7.5〜22.5質量%であり、
    前記(C)板状充填剤の含有量は、2.5〜27.5質量%であり、
    前記(B)粒状充填剤と前記(C)板状充填剤との合計の含有量は、22.5〜37.5質量%であり、
    繊維状充填剤を含有しない耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物。
  2. 前記(B)粒状充填剤は、シリカである請求項1に記載の組成物。
  3. 前記(C)板状充填剤は、タルクである請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 更に(D)エポキシ基含有共重合体を含有する請求項1から3のいずれかに記載の組成物であって、
    前記(D)エポキシ基含有共重合体の含有量は、1〜5質量%である組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の組成物からなる耐ボールベアリング摺動摩耗部材。
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