JPH05230343A - 潤滑性媒体含浸成形体 - Google Patents

潤滑性媒体含浸成形体

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JPH05230343A
JPH05230343A JP7289892A JP7289892A JPH05230343A JP H05230343 A JPH05230343 A JP H05230343A JP 7289892 A JP7289892 A JP 7289892A JP 7289892 A JP7289892 A JP 7289892A JP H05230343 A JPH05230343 A JP H05230343A
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acid
lubricating medium
impregnated
liquid crystal
aromatic
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JP7289892A
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Shuji Kanazawa
修治 金沢
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定の無機フィラーを加えることなく、耐摩
耗性に優れ、相手材を傷つけず、かつ耐熱性にも優れて
おり、高負荷で高速の摺動部位に用いることができる潤
滑性媒体含浸成形体を提供する。 【構成】 下記一般式化1で表わされるモノマー単位を
含む重合体または共重合体からなるサーモトロピック液
晶ポリマーの成形体に潤滑性媒体を含浸させる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高荷重、高速領域にお
ける摺動部位にも使用することのできる潤滑性媒体含浸
成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】摺動性に優れている樹脂組成物として、
ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリ四フッ化エチレン等の樹脂に、固体潤滑剤、潤
滑油等の摺動特性を改良するための添加剤を加えたもの
が使用されてきた。これらは比較的低荷重、低速領域に
おいては特に問題なく使用できるが、高荷重、高速領域
では摩耗し易く、また摩擦熱により焼付きや溶融を起こ
すため使用できない。このため、耐摩耗性、耐熱性の向
上を目的として、ガラス繊維、炭素繊維、各種ウィスカ
ー等を添加するが、これらのフィラーは摺動部に使用さ
れる相手の金属や樹脂を摩耗させる点が問題となる。
【0003】また、高荷重、高速領域で使用することが
できる摺動材としては、特願平2−105273号公報
に、サーモトロピック液晶ポリマー、ガラス状炭素およ
び黒鉛からなる摺動性樹脂組成物が開示されている。し
かし、この樹脂組成物の特性は特定の無機フィラーを特
定の混合範囲で用いることによりはじめて得られるもの
である。更に、特開昭63−297453号公報には、
特定の粘度を有する2種の潤滑油を熱可塑性ポリエステ
ル樹脂に配合し、溶融混練してなる樹脂組成物が開示さ
れている。しかし、例えば300℃以上の高融点を有す
る樹脂などでは、溶融混練する際に潤滑油が分解するお
それがあり問題となる。分解した油は得られた成形体の
機械的特性のみならず、摺動特性にも悪影響を及ぼすこ
とがある。更に、ポリマーが高粘度であるため、低粘度
の液体を配合することは難しく、均一な組成物が得難い
という欠点もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の無機フィラーを加えることなく、耐摩耗性に優れ、相
手材を傷つけず、かつ耐熱性にも優れた潤滑性媒体含浸
成形体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式化
2で表わされるモノマー単位を含む重合体または共重合
体からなるサーモトロピック液晶ポリマーの成形体に、
潤滑性媒体を含浸させたことを特徴とする潤滑性媒体含
浸成形体に関する。
【化2】
【0006】以下に本発明の詳細を述べる。本発明でい
うサーモトロピック液晶ポリマーとは、溶融時に光学的
異方性を示し、かつ熱可塑性を有するポリマーである。
このように溶融時に光学的異方性を示すポリマーは、溶
融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質
を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利
用した通常の偏光検査法により確認することができる。
上記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶性ポリエステ
ル、液晶性ポリカーボネート、液晶性ポリエステルイミ
ド等、具体的には、(全)芳香族ポリエステル、ポリエス
テルアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルカーボネ
ート、ポリアゾメチン等が挙げられる。サーモトロピッ
ク液晶ポリマーは、一般に細長く、偏平な分子構造から
なり、分子の長鎖に沿って剛性が高く、同軸または平行
のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有してい
る。本発明において用いるサーモトロピック液晶ポリマ
ーには、一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成す
るポリマーのセグメントで構成され、残りの部分が異方
性溶融相を形成しないポリマーのセグメントから構成さ
れるポリマーも含まれる。また、複数のサーモトロピッ
ク液晶ポリマーを複合したものも含まれる。
【0007】サーモトロピック液晶ポリマーを構成する
モノマーの代表例としては(A)芳香族ジカルボン酸の
少なくとも1種、(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系
化合物の少なくとも1種、(C)芳香族ジオール系化合
物の少なくとも1種、(D)(D1)芳香族ジチオー
ル、(D2)芳香族チオフェノール、(D3)芳香族チオ
ールカルボン酸化合物の少なくとも1種、(E)芳香族
ヒドロキシアミン、 芳香族ジアミン系化合物の少なく
とも1種等の芳香族化合物が挙げられる。これらは単独
で用いられる場合もあるが、 多くは(A)と(C);
(A)と(D); (A)、(B)と(C); (A)、
(B)と(E); あるいは(A)、(B)、(C)と
(E)等のように組合せて構成される。
【0008】上記(A)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン
酸、4,4'−トリフェニルジカルボン酸、 2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、 ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、 ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボ
ン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジ
カルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、 1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、
またはクロロテレフタル酸、 ジクロロテレフタル酸、
ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテ
レフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル
酸、エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0009】(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、 3−メトキシ−4−
ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフ
トエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、 2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、 3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒド
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、 6−ヒドロキシ−5,7
−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0010】(C)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシジフェニル、3,3'−ジヒドロキシジフェ
ニル、 4,4'−ジヒドロキシトリフェニル、 ハイドロ
キノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、
4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−
ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシ
ジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、
またはクロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、
tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノ
ン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノ
ン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の
芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン
置換体が挙げられる。
【0011】(D1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、 2,7−ナフタ
レン−ジチオール等が挙げられる。 (D2)芳香族チオフェノールとしては、 4−メルカプ
トフエノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。 (D3)芳香族チオールカルボン酸としては、 4−メル
カプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカ
プト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0012】(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N−
メチル−4−アミノフェノール、 1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,
N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミ
ノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2
−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナ
フトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル、
4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテル、4
−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、4−ア
ミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'
−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、
4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミ
ノトルエン、4,4'−エチレンジアニリン、4,4'−ジ
アミノジフェノキシエタン、 4,4'−ジアミノジフェ
ニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられ
る。
【0013】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリ
ー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造する
ことができる。これらのモノマーから得られるサーモト
ロピック液晶ポリマーのうち、一般式化3で表わされる
モノマー単位を必須成分として含む重合体または共重合
体である芳香族ポリエステルが好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】本発明の特に好ましい全芳香族ポリエステ
ルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェ
ノールの3種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単
位を有する化4で表わされるポリエステル、またはp−
ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の2種
の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単位を有する化
5で表わされるポリエステルである。
【0016】
【化4】
【化5】
【0017】本発明に用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、300℃以上の融点を有するものが好ましい。
高負荷、高速領域の摺動部材における摺動面は、かなり
高い温度、例えば200℃以上に達することもある。従
って、このような温度に耐え得るような高い融点を有す
るサーモトロピック液晶ポリマーを用いることが好まし
い。
【0018】また、本発明のサーモトロピック液晶ポリ
マーには添加剤を配合することが好ましい。添加剤とし
ては、無機充填剤、有機充填剤、安定剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、顔料、染料、改質剤等が挙げられる。添
加剤のうち特に無機充填剤および有機充填剤が重要であ
り、加工性、物性等の改良のためにしばしば用いられ
る。
【0019】無機充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊
維、グラファイト繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、ス
チール繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アル
ミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ
素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維等の無機繊
維、ガラス状炭素(例えば、フェノール系熱硬化性樹脂
を炭素化して得られるガラス状炭素)、ガラスビーズ、
ガラスフレーク、ガラス粉、石英粉末、ガラスマイクロ
バルーン、黒鉛(例えば鱗片状黒鉛)、二硫化モリブデ
ン、ブロンズ粉、カオリン、 タルク、 マイカ、クレ
ー、ウォラストナイト、セリサイト、酸化チタン、酸化
アンチモン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン
酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、シリカ、アルミ
ナ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、フッ化黒
鉛、チタン酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム
等が挙げられる。これらの中で、特にガラス状炭素、黒
鉛等が好ましく用いられる。有機充填剤としては、芳香
族ポリエステル繊維、芳香族ポリイミド繊維、芳香族ポ
リアミド繊維等の有機繊維が挙げられる。これらを用い
ることにより、潤滑性媒体との相乗効果によって摺動性
能を向上させることが可能となる。
【0020】また、適宜選択した添加剤を配合すること
により、十分な潤滑性媒体の含浸量を確保することが容
易になる。その理由については明かでないが、添加剤を
配合することによりサーモトロピック液晶ポリマーの表
面が粗くなり、潤滑性媒体がポリマー中に含浸しやすく
なること、あるいはサーモトロピック液晶ポリマーと添
加剤との界面を通じて潤滑性媒体の含浸が行われ、潤滑
性媒体が保持されやすくなるため、摺動材としての長期
間の使用に耐える量の潤滑性媒体を確保し得るようにな
ることなどが考えられる。添加剤の配合割合は、サーモ
トロピック液晶ポリマー100重量部当り200重量部
以下、好ましくは150重量部以下である。
【0021】本発明の成形体には上記の添加剤のほか
に、更に他の樹脂または高分子物質を添加することもで
きる。これらの樹脂または高分子物質としてはポリオレ
フィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中
で、特にフッ素樹脂が摺動性を付与し得る樹脂として好
ましく用いられる。
【0022】本発明の潤滑性媒体含浸成形体を製造する
には、サーモトロピック液晶ポリマーを好ましくは添加
剤と共に、射出、圧縮、押出等の任意の方法により成形
し、その成形体を潤滑性媒体中に浸し、常温であるいは
加温して、好ましくは加圧下で含浸を行う。加圧するこ
とにより、潤滑性媒体の含浸を均一にかつ短時間で行う
ことができ、また高負荷、高速領域においても安定した
摩擦係数を示す製品が得られる。加圧しない場合には、
潤滑性媒体の含浸に長時間を要し、また含浸の状態も不
均一、不十分になり易い。その結果、特に高負荷、高速
用に用いる場合に摩擦係数が不安定になる欠点があり好
ましくない。加圧する際の圧力は、十分な量の潤滑性媒
体が含浸し得る範囲であればよく、特に限定されない
が、 通常は3,000kgf/cm2 以下が好ましい。更に好
ましくは100〜3,000kgf/cm2 の範囲である。3,
000kgf/cm2 を超える場合には、加圧設備の費用が大
きくなるのに対して含浸量はあまり増大しない。加圧に
要する時間は圧力などによっても異なるが、通常5分〜
12時間の範囲である。
【0023】含浸させる潤滑性媒体の量は、 含浸前の
成形体の重量に対して0.001重量%以上であり、好
ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.03重
量%以上である。 少なくとも0.001重量%の潤滑性
媒体が含浸していれば、本発明の潤滑性媒体含浸成形体
は良好な摺動特性を示す。通常は、成形体に含浸操作を
施すことによって、 0.5重量%を超える量の潤滑性媒
体を含浸させることは困難であるが、可能であればこれ
を超えて含浸させてもよい。
【0024】加圧して含浸を行う方法としては特に制限
はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、オ
ートクレーブに成形体および潤滑性媒体を入れて成形体
を潤滑性媒体に浸し、オートクレーブ内を所定の圧力に
加圧することにより含浸させることができる。この際、
あらかじめ成形体のみをオートクレーブに入れてオート
クレーブ内を真空にした後、潤滑性媒体を導入して成形
体と潤滑性媒体を接触させ、オートクレーブ内を加圧し
て含浸操作を行うことが好ましい。このようにすること
により、成形体の細孔内のガスがあらかじめ脱気される
ため、潤滑性媒体の含浸がより効果的に行われる。
【0025】本発明に用いられる潤滑性媒体としては、
サーモトロピック液晶ポリマー成形体に潤滑性を付与す
ることが可能な物質であれば特に制限はなく、通常市販
されている潤滑油が用いられるが、特に高負荷、高速用
に用いる場合には耐熱性の高いものが好ましい。また、
含浸操作のし易さの点では、一般に粘度は低いほうが好
ましく、ペースト状あるいはグリース状のものなどは、
含浸を十分に行うことが容易でないため好ましくない。
【0026】潤滑性媒体としては、合成油、鉱油、動植
物油等の種類が挙げられる。合成油の例としてはシリコ
ーンオイル、有機エステルオイル、リン酸エステルオイ
ル、合成炭化水素油、 ポリアルキレングリコールオイ
ル、 ポリオールエステルオイル、ポリフェニレンオイ
ル、ジエステルオイル、ポリオレフィンオイル等が挙げ
られ、また鉱油にはパラフィン系、芳香族系、ナフテン
系の各炭化水素を主成分とする潤滑油などがあり、その
例としてエンジン油、タービン油、ダイナモ油、マシン
油、スピンドル油、 ギヤー油等が挙げられる。 動植物
油の例としては大豆油、やし油、オリーブ油、パーム
油、綿実油、あまに油、 なたね油、 ひまし油、きり
油、スクアレン、スクアラン等が挙げられる。これらの
中で合成油および鉱油が好ましく用いられる。
【0027】本発明における潤滑性媒体には、潤滑油用
に通常用いられる各種添加剤を加えることができる。通
常用いられる添加剤としては、酸化防止剤、防錆剤、耐
摩耗剤、清浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、
消泡剤等が挙げられる。
【0028】本発明の潤滑性媒体含浸成形体は、優れた
摺動性、耐摩耗性を有するため、(1)電気用品、事務
機機、動力機器等の回転軸;軸受け;各種ギア;カム;
メカニカルシールの端面材、バルブなどの弁座、Vリン
グ、ロッドパッキン、ピストンリング、ライダーリング
等のシール部材、(2)圧縮機の回転軸、回転スリー
ブ、ピストン、インペラー、ローラー等に使用すること
ができる。
【0029】
【実施例】本発明を、実施例により更に詳細に説明す
る。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するもので
はなく、本発明の好適な態様を示すものである。まず、
実施例および比較例に使用した原材料を一括して示す。 (A)テレフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸および
4,4'−ジヒドロキシジフェニルからなるサーモトロピ
ック液晶コポリエステル(上記成分のモル比1:2:
1、DSCによる融点420℃)、(B)フェノール系
熱硬化性樹脂を炭素化させることにより得られた球状の
ガラス状炭素、(C)平均粒径10μm の鱗片状黒鉛A
CP(商品名、日本黒鉛社製)。
【0030】<実施例1〜6>上記諸材料を表1に示し
た割合で配合して得られたサーモトロピック液晶ポリマ
ー組成物から、直径5cm×厚み3mm の円板を常法によ
り射出成形した。 この成形体に、潤滑性媒体として潤
滑油スーパーハイランド32(商品名、日本石油(株)
製)を、オートクレーブ中で圧力2,000kgf/cm2、常
温で30分間含浸させた。成形体を取出し、アセトンで
表面の潤滑油を洗い流した後、成形体の重量を測定し
た。その結果、成形体重量の約0.03〜0.05重量%
の潤滑性媒体を含有する潤滑性媒体含浸成形体を得た。
潤滑性媒体含浸成形体を鈴木式摩擦摩耗試験機により、
相手材に外径25.6mm、内径20mm のリング状のS
45C鋼を用い、 表1に示す圧力、速度および時間の
条件において、摩耗係数、摩擦係数、相手材の摩耗量を
測定した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】<比較例1〜5>実施例1〜4、6と同様
にして円板を成形し、成形体に潤滑性媒体の含浸処理を
行わなかったほかは、実施例と同様にして摩擦摩耗試験
を行った。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】上記のように、実施例1〜6では潤滑性媒
体含浸の効果が表われ、特に相手材の摩耗量および摩擦
係数の点で優れている。これに対し、比較例1〜4で
は、潤滑性媒体を含浸させた実施例1〜4に比べて相手
材の摩耗量が多くなっている。 比較例5では、 実施例
6と比較して摩耗係数、摩擦係数が大きな値を示してい
る。
【0035】
【発明の効果】本発明の潤滑性媒体含浸成形体は、次の
ような特徴を有するために、高負荷で高速の摺動部位に
用いる摺動用材料として最適である。 (1)耐熱性の高いサーモトロピック液晶ポリマーを用
いているために、摩擦熱により融解、焼付き等を起こす
ことが少ない。 (2)潤滑性媒体、例えば潤滑油を含浸させたために、
無給油で長時間にわたり良好な摺動特性を示す。 (3)潤滑性媒体、例えば潤滑油を含浸させたために摩
耗が少なく、また、摺動部の相手材である鋼などの鉄材
その他の金属材料を傷つけることが少ない。 (4)更に、摩擦係数が小さく、摩擦熱の発生が抑えら
れるため、潤滑性媒体を含浸させない場合よりも高温雰
囲気下で使用することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式化1で表わされるモノマー単
    位を含む重合体または共重合体からなるサーモトロピッ
    ク液晶ポリマーの成形体に、潤滑性媒体を含浸させたこ
    とを特徴とする潤滑性媒体含浸成形体。 【化1】
  2. 【請求項2】 100〜3,000kgf/cm2の圧力下で前
    記潤滑性媒体を含浸させたことを特徴とする請求項1に
    記載の潤滑性媒体含浸成形体。
JP7289892A 1992-02-24 1992-02-24 潤滑性媒体含浸成形体 Pending JPH05230343A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020071495A1 (ja) * 2018-10-05 2020-04-09 ポリプラスチックス株式会社 耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた耐ボールベアリング摺動摩耗部材

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WO2020071495A1 (ja) * 2018-10-05 2020-04-09 ポリプラスチックス株式会社 耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた耐ボールベアリング摺動摩耗部材
JPWO2020071495A1 (ja) * 2018-10-05 2021-02-15 ポリプラスチックス株式会社 耐ボールベアリング摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた耐ボールベアリング摺動摩耗部材

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