JP2935052B2 - 摺動性樹脂組成物 - Google Patents

摺動性樹脂組成物

Info

Publication number
JP2935052B2
JP2935052B2 JP10527390A JP10527390A JP2935052B2 JP 2935052 B2 JP2935052 B2 JP 2935052B2 JP 10527390 A JP10527390 A JP 10527390A JP 10527390 A JP10527390 A JP 10527390A JP 2935052 B2 JP2935052 B2 JP 2935052B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
weight
liquid crystal
aromatic
thermotropic liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10527390A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH044296A (ja
Inventor
修治 金沢
徹男 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Petrochemicals Co Ltd filed Critical Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority to JP10527390A priority Critical patent/JP2935052B2/ja
Priority to US07/687,311 priority patent/US5124397A/en
Publication of JPH044296A publication Critical patent/JPH044296A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2935052B2 publication Critical patent/JP2935052B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、すぐれた摺動性を有する樹脂組成物に関す
るものである。特に相手材が金属であって、高速で高荷
重の摺動部位(当然摩擦熱により高温となる)にも用い
られるという、過酷な条件下において使用できる摺動性
樹脂組成物に関する。
[従来の技術] 近年、機械の軽量化、製品コストの低減のため合成樹
脂製品が機械部品として、数多く用いられるようになり
摺動性を要求される部品にも合成樹脂製品が多く利用さ
れている。
従来摺動性のよい樹脂組成物として、ポリアミド、ポ
リアセタール、ポリフェニレンスルファイド、ポリ4フ
ッ化エチレン等の樹脂に、固体潤滑剤、潤滑油等の摺動
特性を改良するための添加剤を加えたものが利用されて
きた。
これらは比較的低荷重、低速領域においては特に問題
なく使用されるが、高荷重、高速になるに従い、摩耗し
やすくなり、また、摩擦熱のため焼き付いたり、溶融を
起こしたりして使用できなくなる。このため耐摩耗性、
耐熱性を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維、各
種ウイスカ等を添加するが、これらのフィラーは、摺動
部に使用される相手材の金属、樹脂を摩耗させてしまう
という問題点がある。
すなわち、高荷重で高速の摺動部位のために要求され
る摺動特性は、従来のそれとは異なり摩擦係数などより
も耐摩耗性や耐熱性、そのほかの物性であるため、今ま
での摺動部材とは全く異なる観点から材料を選択しなけ
ればならないのである。
一方、高融点のサーモトロピック液晶ポリマーは数多
くのプラスチックの中でも耐熱性が高く、そのため摩擦
熱により焼き付いたり溶融したりすることが少ない。
しかしながら、通常、摺動部位の相手材はアルミニウ
ム合金、鋼などの金属材から構成されているが、サーモ
トロピック液晶ポリマーそれ自身では、これら金属に対
して耐摩耗性が劣るため、従来上記のような摺動材に使
用される例はなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、上記従来技術有している課題を解決
することにあり、特に耐摩耗性にすぐれ、相手材を傷つ
けず、耐熱性にもすぐれた射出成形可能な摺動性樹脂組
成物を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の摺動性樹脂組成物は、少なくとも下記式で表
わされるモノマー単位を含む(共)重合体であるサーモ
トロピック液晶ポリマー(a)87〜40重量%、および熱
硬化性樹脂を420℃以上の温度で炭素化して得られる球
状のガラス状炭素(b)10〜50重量%、および黒鉛
(c)3〜40重量%(a,bおよびcの合計を100重量%と
する)よりなるものである。
一般式 以下に本発明の詳細を述べる。
本発明で言うサーモトロピック液晶ポリマーとは、溶
融時に光学的異方性を示す熱可塑性溶融可能なポリマー
である。このような溶融時に光学的異方性を示すポリマ
ーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列を
とる性質を有している。光学的異方性溶融相の性質は、
直交偏光子を利用した通常の偏光検査法により確認でき
る。
サーモトロピック液晶ポリマーは、一般に細長く、偏
平で、分子の長鎖に沿って剛性が高く同軸または平行の
いずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有している
ようなモノマーから製造される。
本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリマーには、
一つの高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマ
ーのセグメントで構成され、残りの部分が異方性溶融相
を形成しない熱可塑性樹脂のセグメントから構成される
ポリマーも含まれる。また、複数のサーモトロピック液
晶ポリマーを複合したものも含まれる。
本発明においては、サーモトロピック液晶ポリマーの
うち前記式であらわされるオキシベンゾイル基をモノマ
ー単位として含む重合体または共重合体を用いる。この
ものは、耐熱性が特に高く摺動材として好ましい。
さらに好ましいのは上記(共)重合体の中でも、オキ
シベンゾイル基を含む全芳香族ポリエステルである。
上記のような光学的異方性溶融相を形成する全芳香族
ポリエステルの構成成分としては (A)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸系化合
物の少なくとも1種、 (B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくと
も1種、 (C)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオー
ル系化合物の少なくとも1種、 (D)芳香族ジチオール、芳香族チオフェノール、芳香
族チオールカルボン酸系化合物の少なくとも1種、 (E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物の少なくとも1種等があげられる。これ等は単独で構
成される場合もあるが、多くは(A)と(C)、(A)
と(D)、(A)(B)と(C)、(A)(B)と
(E)、あるいは(A)(B)(C)と(E)等の様に
組合せて構成される。
上記(A1)芳香族ジカルボン酸系化合物としては、テ
レフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−
トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルエーテル4,4′−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタン−4,4′ジカルボン酸、ジフェ
ノキシブタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタ
ン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニル
エーテル3,3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
3,3′ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカル
ボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族
ジカルボン酸またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレ
フタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、
ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシ
テレフタル酸、エトキシテレフタル酸等、上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
(A2)脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸
等の脂環族ジカルボン酸またはトランス−1,4−(2−
メチル)シクロヘキサンジカルボン酸、トランス−1,4
−(2−クロル)シクロヘキサンジカルボン酸等、上記
脂環族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体等が挙げられる。
(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物としては、
4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−
ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸または3−
メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒドロキ
シ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒド
ロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ
−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ
クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安
息香酸、6−ヒドキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、
6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒ
ドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族
ヒドロキシカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハ
ロゲン置換体が挙げられる。
(C1)芳香族ジオールとしては、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−
ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)
エタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6
−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン等の芳香族ジオールまたはクロロハイドロキノン、メ
チルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェ
ニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノ
キシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチ
ルレゾルシン等の芳香族ジオールのアルキル、アルコキ
シまたはハロゲン置換体が挙げられる。
(C2)脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シク
ロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオ
ール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、
シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−
1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキ
サンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタ
ノールのような脂環族ジオールまたはトランス−1,4−
(2−メチル)シクロヘキサンジオール、トランス−1,
4−(2−クロロ)シクロヘキサンジオールのような脂
環族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置
換体が挙げられる。
(C3)脂環族ジオールとしては、エチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール等の直鎖状または分岐状脂肪族ジオー
ルが挙げられる。
(D1)芳香族ジチオールとしては、ベンゼン−1,4−ジ
チオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレ
ン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙
げられる。
(D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプト
フェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプ
トフェノール等が挙げられる。
(D3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メルカ
プト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプ
ト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸
等が挙げられる。
(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン系化合
物としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−
アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メ
チル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,
4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノール、3−
メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミ
ノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミ
ノ−4′−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4′−
ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒ
ドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロ
キシジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノフェニル
スルフィド(チオジアニリン)、4,4′ジアミノジフェ
ニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−エチレ
ンジアニリン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、
4,4′−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリ
ン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジ
アニリン)等が挙げられる。
なお、全芳香族ポリエステルとは芳香族カルボン酸と
芳香族アルコールとから実質的に得られるポリエステル
を一般には示すが、本発明の全芳香族ポリエステルは、
前述の異方性溶融相を形成しないセグメント部分は脂肪
族、脂環族の酸またはアルコールによるエステルで構成
されるものも包含される。さらに、ポリエステルそれ自
体または異方性溶融相を形成するセグメントにおいて
も、これらが異方性溶融相を形成する限りそれらが脂肪
族あるいは脂環族の酸またはアルコールとのエステルか
らなるものも包含される。
具体的な全芳香族ポリエステルとしては、 等がある。
本発明における組成物中にサーモトロピック液晶ポリ
マーの占める割合は、87〜30重量%であり、好ましくは
77〜40重量%である。サーモトロピック液晶ポリマーが
87重量%を超える場合では耐摩耗性が不充分であり、30
重量%未満では、得られる成形品の強度が充分ではな
い。
また本発明におけるガラス状炭素とは、結晶寸法のき
わめて小さい乱層構造を基本構造にもち、微細組織とし
ては無配向組織を取っているものであって、たとえば、
フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキッ
ド樹脂、キシレン樹脂などの熱硬化性樹脂を高温下に炭
素化することにより製造される。
このガラス状炭素は、その破断面がガラス状光沢を有
することにより特徴付けられるが、そのほかにも通所の
X線回折法におけるスペクトルの回折角(2θ)23〜25
度付近に幅広いピークを有することによっても確認され
る。なお、×線回折法は常法に従い、Cu−Kα線(二重
線)により測定される。
従来の炭素材たとえば黒鉛はこのような幅広いピーク
は有せず他の回折角(2θ=26.4°)において結晶性に
起因する鋭いd002ピークを示す。本発明のガラス状炭素
としてはこの黒鉛に特徴的なピークは実質的に有しない
ものが好ましい。また、単なる有機物の炭素化物は、そ
の破断面がガラス状光沢を有することはなく、もちろん
その×線回折スペクトルにおいて上記ガラス状炭素はも
ちろん黒鉛に特徴的な特定回折角のピークも有しない。
本発明においては、420℃以上、好ましくは550℃以上
の温度において炭素化した、球状のガラス状炭素が使用
される。
420℃未満の温度で炭素化したものは、未炭素化の樹
脂が残留しやすく、高融点のサーモトロピック液晶ポリ
マーを溶融混合するための加熱の際にこの未炭素化の熱
硬化性樹脂が分解し、組成物に悪影響を与えるので好ま
しくない。
ガラス状炭素の形状としては、球状が好ましく、真球
に近いほうがより好ましい。不定形などの非球状の場合
は、例えば摺動部に使用される相手材の金属、樹脂を摩
耗させるため好ましくない。
また球状のガラス状炭素の添加量は、10〜50重量%で
あり、好ましくは20〜40重量%である。この範囲では、
耐摩耗性等が充分であり、本発明の効果を発揮すること
ができる。
球状のガラス状炭素の添加量が10重量%未満では、耐
摩耗性が不充分であり、50重量%を越える量を添加して
もそれ以上の耐摩耗性の向上は望めず、また機械強度の
低下をもたらす。
黒鉛は、人造黒鉛・天然黒鉛の種類、土状・鱗片状等
の形状、および粒径によらず、いずれも良好な効果を示
す。添加量は3〜40重量%であり、好ましくは3〜20重
量%である。3%未満では相手材の摩耗を防ぐ効果でな
く、40重量%を越えてもそれ以上の改良効果はなく、ま
た機械強度の低下をもたらす。
さらに摺動部には潤滑剤として潤滑油などが使用され
る例が多く、これらは常温では不活性であるが、摩擦熱
による高温下では意外にも接触部材に対する腐蝕性を示
すことがある。そのほか、圧縮機ではフロンガス等の薬
剤にもさらされるためこれら薬剤に対する耐性も問題で
ある。
しかしながら本発明におけるサーモトロピック液晶ポ
リマー、球状のガラス状炭素および黒鉛よりなる樹脂組
成物は、高温下における耐薬品性が充分であるので、摺
動部に潤滑油が使用される場合の高温雰囲気下でも潤滑
油、そのほかの薬剤により侵されることがない。
ここで、本発明の組成物には種々の添加物を配合する
こともできる。
添加物には、無機充填剤、有機充填剤、安定剤、紫外
線吸収剤、顔料、染料、改質剤等があげられる。このう
ち特に無機充填材が重要で、加工性、物性等の改良のた
めにしばしば用いられる。
無機充填材としては、二硫化モリブテン、ブロンズ、
タルク、マイカ、クレー、セリサイト、炭酸カルシウ
ム、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カ
ルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水
酸化カルシウム、フッ化黒鉛、チタン酸カリウム、リン
酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等があげられ、ま
たガラス繊維、炭素繊維、各種ウィスカー等について
も、本発明の効果を損なわない範囲で添加することが可
能である。
また有機充填材としては、各種の熱可塑性および熱硬
化性の樹脂があげられ、とくにフッ素樹脂が好ましく用
いられる。
サーモトロピック液晶ポリマーと球状のガラス状炭
素、および黒鉛、あるいは、これに添加される上記添加
物の混合方法は、特に制限されることなく、種々の手段
が適用できる。
たとえば、それぞれ別々に押出機に供給して溶融混合
してもよいし、あらかじめヘンシェルミキサー、タンブ
ラー等の混合機で予備混合した後に押出機に供給しても
よい。
このようにして得られた本発明の組成物は、射出、圧
縮、押出などの方法によって成形されるが、圧縮成形の
場合には、それぞれを粉状のままドライブレンドし、成
形してもよい。
本発明の組成物は、すぐれた摺動性、耐摩耗性を有す
るため、電気用品・事務機器・動力機器の軸・軸受け、
各種ギア、カム、ベアリング、ビデオテープ・カセット
テープのガイドロール、メカニカルシールの端面材・バ
ルブ等の弁座・Vリング・ロッドパッキン・ピストンリ
ング・ライダーリング等のシール部材、圧縮機の回転軸
・回転スリーブ・ピストン・インペラー・ベーン・ロー
ター・ローラー等に使用されることができる。
[発明の効果] 本発明の組成物は、次のような特徴を有するために相
手材が金属である、高荷重で高速の摺動部位に用いる摺
動用材料として最適である。
(1)従来のプラスチックの中でも特に融点の高いポリ
マーを用いているために摩擦熱により融解、焼き付きな
どを起こすことが少ない。
(2)特定のガラス状炭素を用いるために摩耗の少ない
ものが得られ、また黒鉛を含むため摺動の相手部材であ
る鋼などの鉄材をはじめとする金属材を傷つけることが
少ない。
(3)本発明の組成物の射出成形においては、サーモト
ロピック液晶ポリマーを用いているために、高融点では
あるが溶融時の流動性がよいので成形することが容易で
ある。
(4)摩擦熱による高温下では、通常不活性であるはず
の潤滑油、フロンガスなどがこれと接触する部材に対し
腐蝕性を示すことがある。しかし、本発明の組成物はこ
れらに対しても安定であるので摺動用材料として好適の
組成物である。
[実施例] 本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、こ
れらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではな
く、本発明の好適な態様を示すものである。
まず、実施例および比較例に使用した原材料を一括し
て示す。
サーモトロピック液晶ポリマー A:テレフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、および4,
4′−ジヒドロキシジフェニルの三元共重合体であるサ
ーモトロピック液晶ポリマー、(商品名:ザイダー、米
国アモコパフォーマンスプロダクツ社製)の粉状物。融
点420℃。
B:テレフタル酸、イソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香
酸、および4,4′−ジヒドロキシジフェニルの四元共重
合体であるサーモトロピック液晶ポリマー、(商品名:
ザイダー、米国アモコパフォーマンスプロダクツ社製)
の粉状物。融点350℃。
球状のガラス炭素 A〜Cは、フェノール系熱硬化性樹脂を原料とし、窒
素雰囲気下で420℃以上の炭素化温度で焼成して得たも
のである。
いずれも、炭素粒子破断面は明瞭にガラス状光沢を有
することが確認され、Cu−Kα線(二重線)により測定
された×線回折スペクトルには回折角(2θ)23〜25度
付近に同じく明瞭に幅広いピークを有するものであっ
た。またAおよびBのガラス状炭素粒子では、黒鉛特有
の鋭いピークは実質的に認められなかったが、Cの炭素
粒子には回折角2θ=26.4°において黒鉛のd002ピーク
がショルダー的に認められた。
黒鉛 日本黒鉛社製ACP(商品名)鱗片状黒鉛平均粒径10ミ
クロンメートル 実施例1〜3 上記の諸原料を第1表に示した割合で配合し、ヘンシ
ェルミキサーで混合したのち、二軸押出機(池貝鉄工社
製:PCM−30型)で溶融混練し(温度420℃、スクリュー
回転数200rpm)、ペレット状に造粒した。
次にこのペレットを射出成形機(住友重機械工業社
製:ネスタールSG 25型)で、シリンダー温度400℃、射
出圧力1000kgf/cm2、金型温度150℃の条件で、直径5c
m、厚み3mmの円板を成形した。得られた試験片を鈴木式
摩擦摩耗試験機で、圧力6kgf/cm2、速度120m/分、1時
間の条件で、相手材に外径25.6mm、内径20mmのリング状
のS45C鋼、アルミニウムを用いて摩耗係数、相手材の摩
耗量を測定した。
さらに前述の射出成形機を用い、同じ条件で、曲げ試
験片を成形し、得られた試験片を用いてASTM D−790に
より、曲げ強度を測定した。
実施例4 前記の諸原料を第1表に示した割合で配合し、ヘンシ
ェルミキサーで混合したのち、二軸押出機(池貝鉄工社
製:PCM−30型)で溶融混練し(温度350℃、スクリュー
回転数200rpm)、ペレット状に造粒した。
次にこのペレットを射出成形機(住友重機械工業社
製:ネスタールSG 25型)で、シリンダー温度340℃、射
出圧力1000kgf/cm2、金型温度80℃の条件で、直径5cm、
厚み3mmの円板を成形し、実施例1〜4と同様に摩耗特
性を測定した。さらに前述の射出成形機を用い、同じ条
件で、曲げ試験片を成形し、得られた試験片を用いてAS
TM D−790により、曲げ強度を測定した。
実施例5 前記の諸原料を第1表に示した割合で配合し、ヘンシ
ェルミキサーで混合したのち、二軸押出機(池貝鉄工社
製:PCM−30型)で溶融混練し(温度420℃、スクリュー
回転数200rpm)、ペレット状に造粒した。
次にこのペレットを温度420℃、圧力200kgf/cm2で圧
縮成形し、厚さ3mm、大きさ50×50mmの試験片を作成
し、同様に摩耗特性を評価した。また、厚さ3mm、大き
さ100×100mmの平板を作成し、これから幅12.7mm、長さ
100mmの試験片を切り出し、ASTM D−790により曲げ強度
を測定した。
実施例6,7 前記の諸原料を第1表に示した割合で配合し、ヘンシ
ェルミキサーで混合したのち、二軸押出機(池貝鉄工社
製:PCM−30型)で溶融混練し(温度350℃、スクリュー
回転数200rpm)、ペレット状に造粒した。
次にこのペレットを温度360℃、圧力200kgf/cm2で圧
縮成形し、厚さ3mm、大きさ50×50mmの試験片を作成
し、同様に摩耗特性を評価した。また、厚さ3mm、大き
さ100×100mmの平板を作成し、これから幅12.7mm、長さ
100mmの試験片を切り出し、ASTM D−790により曲げ強度
を測定した。
以上の結果を表1にまとめて示した。
また、実施例1〜7で得られた曲げ試験片を500ccの
耐圧容器に、スニソ4Gオイル150mlとともに入れ密封
し、さらに冷却しながらフロンガスS−3を500g注入し
た。この耐圧容器を165℃のシリコンオイル中に48時間
浸漬し、4時間冷却後ガス抜き、サンプルを取り出し、
長さ方向の寸法変化、重量変化を測定した。
いずれの曲げ試験片も寸法変化、重量変化がなく、サ
ーモトロピック液晶ポリマー、ガラス状炭素、黒鉛から
なる組成物がすぐれた耐薬品性をもつことを示した。
比較例1,2 前記諸原料を第2表に示した割合で配合し、実施例1
〜3と同様にペレット造粒、円板、曲げ試験片の成形を
行ない評価した。結果を第2表に示した。
比較例3 前記諸原料を第2表に示した割合で配合し、実施例4
と同様にペレット造粒、円板、曲げ試験片の成形を行な
い評価した。結果を第2表に示した。
比較例,4,5,6 前記諸原料を第2表に示した割合で配合し、実施例6,
7と同様にペレット造粒、平板の成形を行ない評価し
た。結果を第2表に示した。
ここで実施例1〜7では、サーモトロピック液晶ポリ
マーと球状のガラス状炭素、黒鉛の割合がすべて望まし
い範囲にあるため、摩耗特性、機械強度、ともにすぐれ
ている。
これに対して、比較例1,2,4,5では、黒鉛を含んでい
ないため摩擦係数が大きくなり、また相手材の摩耗量の
値も大きくなっている。特に相手材が軟質のアルミニウ
ムの場合に差が顕著である。比較例3では、球状のガラ
ス状炭素が10重量%未満であるため耐摩耗性が不充分で
ある。
さらに比較例6では、サーモトロピック液晶ポリマー
の量が30重量%以上ないため機械強度が不充分である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C10N 40:02 50:08 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10M 111/04,107/32,103/02 C08L 67/00 C10N 40:02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも下記式で表されるモノマー単位
    を含む(共)重合体であるサーモトロピック液晶ポリマ
    ー(a)87〜30重量%、熱硬化性樹脂を420℃以上の温
    度で炭素化して得られた球状のガラス状炭素(b)10〜
    50重量%、および黒鉛(c)3〜40重量%(a,bおよび
    cの合計を100重量%とする)よりなる射出成形可能な
    摺動性樹脂組成物。 一般式
  2. 【請求項2】サーモトロピック液晶ポリマーが全芳香族
    ポリエステルである請求項1に記載の射出成形可能な摺
    動性樹脂組成物。
JP10527390A 1990-04-19 1990-04-23 摺動性樹脂組成物 Expired - Fee Related JP2935052B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10527390A JP2935052B2 (ja) 1990-04-23 1990-04-23 摺動性樹脂組成物
US07/687,311 US5124397A (en) 1990-04-19 1991-04-18 Resin composition for sliding movement and sealing member comprising same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10527390A JP2935052B2 (ja) 1990-04-23 1990-04-23 摺動性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH044296A JPH044296A (ja) 1992-01-08
JP2935052B2 true JP2935052B2 (ja) 1999-08-16

Family

ID=14403061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10527390A Expired - Fee Related JP2935052B2 (ja) 1990-04-19 1990-04-23 摺動性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2935052B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11326118B2 (en) 2018-08-06 2022-05-10 Eneos Corporation Lubrication method
CN112437804A (zh) 2018-08-06 2021-03-02 引能仕株式会社 润滑方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH044296A (ja) 1992-01-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5124397A (en) Resin composition for sliding movement and sealing member comprising same
US4777204A (en) Gear comprising fiber-reinforced anisotropic melt-forming polymer formed via injection molding under specified conditions
KR920003421B1 (ko) 전기전도성 수지 조성물
JP2505429B2 (ja) 射出成型用組成物
US5492946A (en) Liquid crystalline polymer blends and molded articles therefrom
JPS6336633B2 (ja)
EP0264291A2 (en) Polyester resin composition
KR910006133B1 (ko) 윤활성 조성물
JP2935051B2 (ja) 摺動性樹脂組成物
JP2935052B2 (ja) 摺動性樹脂組成物
JP3044468B2 (ja) 摺動性樹脂組成物
JP3204537B2 (ja) プラスチック用摺動部材
JPH0359068A (ja) 摺動性樹脂組成物
JP3044491B2 (ja) ベアリング
JP3182210B2 (ja) 軟質金属用摺動部材
JP2884363B2 (ja) スクロール型圧縮機または真空ポンプにおけるシール部材
JP2805348B2 (ja) スクロール型圧縮機または真空ポンプにおけるシール部材
JP2632803B2 (ja) 電動機ローター
JP3044492B2 (ja) 回転機構部品
JPH05105804A (ja) 摺動性樹脂組成物
JPH0571631B2 (ja)
JP2683337B2 (ja) 光ピツクアツプ
JPH03131689A (ja) 摺動性樹脂組成物
JP2935054B2 (ja) タルク配合サーモトロピック液晶ポリマー組成物およびその製造法
JPH04198256A (ja) サーモトロピック液晶ポリマー組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees