JP3365448B2 - 液晶性ポリエステル(アミド)及びそれを用いた電気・電子部品並びに自動車用電装部品 - Google Patents
液晶性ポリエステル(アミド)及びそれを用いた電気・電子部品並びに自動車用電装部品Info
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- JP3365448B2 JP3365448B2 JP12892094A JP12892094A JP3365448B2 JP 3365448 B2 JP3365448 B2 JP 3365448B2 JP 12892094 A JP12892094 A JP 12892094A JP 12892094 A JP12892094 A JP 12892094A JP 3365448 B2 JP3365448 B2 JP 3365448B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い絶縁破壊電圧を有
する液晶性ポリエステル(アミド)に関する。詳しく
は、本発明は、特定の構成成分及び末端構造を規定する
ことにより得られる全芳香族液晶性ポリエステル(アミ
ド)に関する。本発明の液晶性ポリエステル(アミド)
は、絶縁破壊電圧が非常に高く、そのためこのポリマー
を射出成形して得られた成形物は、コイルボビン、リレ
ー部品、電気・電子部品の封止成形品、コネクター等の
接続器部品、センサー等の電装部品、スイッチ部品、変
圧器部品、電動器部品、ブラウン管部品、整流器部品、
コンデンサー、等の電気・電子部品及び/又は自動車用
電装部品等に特に好適に利用できる。
する液晶性ポリエステル(アミド)に関する。詳しく
は、本発明は、特定の構成成分及び末端構造を規定する
ことにより得られる全芳香族液晶性ポリエステル(アミ
ド)に関する。本発明の液晶性ポリエステル(アミド)
は、絶縁破壊電圧が非常に高く、そのためこのポリマー
を射出成形して得られた成形物は、コイルボビン、リレ
ー部品、電気・電子部品の封止成形品、コネクター等の
接続器部品、センサー等の電装部品、スイッチ部品、変
圧器部品、電動器部品、ブラウン管部品、整流器部品、
コンデンサー、等の電気・電子部品及び/又は自動車用
電装部品等に特に好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】液晶性ポリエステル(アミド)は、高流
動性、高弾性率、高強度、低線膨張係数、良好な寸法精
度等の特徴を生かし、個性的なエンジニアリングプラス
チックスとして市場を伸ばしつつある。特に、全芳香族
系の液晶性ポリエステル(アミド)は、これらの特徴に
加えて耐熱性が付与され、SMT対応の電子材料分野や
IC等の半導体の封止分野へも進出しつつある。
動性、高弾性率、高強度、低線膨張係数、良好な寸法精
度等の特徴を生かし、個性的なエンジニアリングプラス
チックスとして市場を伸ばしつつある。特に、全芳香族
系の液晶性ポリエステル(アミド)は、これらの特徴に
加えて耐熱性が付与され、SMT対応の電子材料分野や
IC等の半導体の封止分野へも進出しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】液晶性ポリエステル
(アミド)は、一般のエンジニアリングプラスチックス
に比べて絶縁破壊電圧(強さ)が高いため、コイルボビ
ン等に好適に使用されるが、自動車用電装部品等につい
て使用する場合は、さらに高絶縁破壊電圧、高絶縁破壊
強さが要求される場合があり、従来の液晶性ポリエステ
ル(アミド)ではかかる要求に答えられる程の十分な絶
縁破壊電圧、絶縁破壊強さを満足することができないと
いう問題があった。また、リレー等の部品に使用する場
合、液晶性ポリエステル(アミド)は、多くのガスを発
生し、電気系統に異常を起こしたり、腐食を起こしたり
するという問題があった。
(アミド)は、一般のエンジニアリングプラスチックス
に比べて絶縁破壊電圧(強さ)が高いため、コイルボビ
ン等に好適に使用されるが、自動車用電装部品等につい
て使用する場合は、さらに高絶縁破壊電圧、高絶縁破壊
強さが要求される場合があり、従来の液晶性ポリエステ
ル(アミド)ではかかる要求に答えられる程の十分な絶
縁破壊電圧、絶縁破壊強さを満足することができないと
いう問題があった。また、リレー等の部品に使用する場
合、液晶性ポリエステル(アミド)は、多くのガスを発
生し、電気系統に異常を起こしたり、腐食を起こしたり
するという問題があった。
【0004】また、封止分野においては、ポリエステル
ゆえの問題である耐加水分解性に劣り、例えば、PCT
(プレッシャクッカーテスト)評価に耐えられないとい
う問題があった。従来の液晶性ポリエステル(アミド)
における絶縁破壊電圧強さは高いものでも45KV/m
m程度である。また、これら樹脂はガラスファイバーを
フィラーとして配合することが多いが、この場合、例え
ば、20重量%程度以上のガラスファイバーを配合した
ものでは絶縁破壊強さは更に低いものとなる。
ゆえの問題である耐加水分解性に劣り、例えば、PCT
(プレッシャクッカーテスト)評価に耐えられないとい
う問題があった。従来の液晶性ポリエステル(アミド)
における絶縁破壊電圧強さは高いものでも45KV/m
m程度である。また、これら樹脂はガラスファイバーを
フィラーとして配合することが多いが、この場合、例え
ば、20重量%程度以上のガラスファイバーを配合した
ものでは絶縁破壊強さは更に低いものとなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、絶縁破壊
電圧(強さ)が高く、かつガスの発生量が少なく、しか
も耐加水分解性に優れる液晶性ポリエステル(アミド)
について鋭意検討した結果、特定の構造をもつ液晶性ポ
リエステル(アミド)がそれらを満足し、そうした液晶
性ポリエステル(アミド)は電気・電子部品及び/又は
自動車用電装部品に好適に利用できることを見いだし、
本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、絶縁破
壊電圧強さが60KV/mm以上である液晶性ポリエス
テル(アミド)、又はガラスファイバー等のフィラーを
20重量%以上含む液晶性ポリエステル(アミド)であ
って絶縁破壊電圧強さが50KV/mm以上である液晶
性ポリエステル(アミド)、及び該液晶性ポリエステル
(アミド)を射出成形することによって得られる電気・
電子部品及び/又は自動車用電装部品、に存する。以
下、本発明を詳細に説明する。本発明の液晶性ポリエス
テル(アミド)は全芳香族系のものが好ましい。これら
は一般に、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表わ
される構成単位のいずれかを含むものである。
電圧(強さ)が高く、かつガスの発生量が少なく、しか
も耐加水分解性に優れる液晶性ポリエステル(アミド)
について鋭意検討した結果、特定の構造をもつ液晶性ポ
リエステル(アミド)がそれらを満足し、そうした液晶
性ポリエステル(アミド)は電気・電子部品及び/又は
自動車用電装部品に好適に利用できることを見いだし、
本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、絶縁破
壊電圧強さが60KV/mm以上である液晶性ポリエス
テル(アミド)、又はガラスファイバー等のフィラーを
20重量%以上含む液晶性ポリエステル(アミド)であ
って絶縁破壊電圧強さが50KV/mm以上である液晶
性ポリエステル(アミド)、及び該液晶性ポリエステル
(アミド)を射出成形することによって得られる電気・
電子部品及び/又は自動車用電装部品、に存する。以
下、本発明を詳細に説明する。本発明の液晶性ポリエス
テル(アミド)は全芳香族系のものが好ましい。これら
は一般に、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表わ
される構成単位のいずれかを含むものである。
【0006】
【化2】
【0007】更に、下記一般式(4)で表わされる構成
単位を一部含んでいてもよい。
単位を一部含んでいてもよい。
【0008】
【化3】
−Z1 −Ar4 −Z2 − (4)
【0009】ここで、式中−Z1 −、−Z2 −は各々−
NH−、−O−、−CO−のいずれかからなり、少なく
とも一方は−NH−を表す。Ar4 は上記Ar1 〜Ar
3 に用いられる芳香族残基のいずれかを表すが、好まし
くは
NH−、−O−、−CO−のいずれかからなり、少なく
とも一方は−NH−を表す。Ar4 は上記Ar1 〜Ar
3 に用いられる芳香族残基のいずれかを表すが、好まし
くは
【0010】
【化4】
【0011】である。本発明の液晶性ポリエステル(ア
ミド)は、上記(1)で表わされる構成単位(以下、単
に(1)という。)の1つとしてメチルヒドロキノン単
位(以下、(1−1)という。)、又は(2)で表わさ
れる構成単位(以下、単に(2)という。)の1つとし
て2,6−ナフタレンジカルボン酸単位(以下、(2−
1)という。)のいずれかを含むことが絶縁破壊電圧、
絶縁破壊電圧強さを向上させる上で重要である。特に、
両方を含んでいることが絶縁破壊電圧、絶縁破壊電圧強
さをより向上させる上でより好ましい。
ミド)は、上記(1)で表わされる構成単位(以下、単
に(1)という。)の1つとしてメチルヒドロキノン単
位(以下、(1−1)という。)、又は(2)で表わさ
れる構成単位(以下、単に(2)という。)の1つとし
て2,6−ナフタレンジカルボン酸単位(以下、(2−
1)という。)のいずれかを含むことが絶縁破壊電圧、
絶縁破壊電圧強さを向上させる上で重要である。特に、
両方を含んでいることが絶縁破壊電圧、絶縁破壊電圧強
さをより向上させる上でより好ましい。
【0012】(1)としては、メチルヒドロキノン単位
の他、ヒドロキノン単位、4,4′−ビフェノール単
位、レゾルシノール単位、フェニルヒドロキノン単位、
3,4′−ビスフェノール−A単位等を含んでもよい。
特に4,4′−ビフェノール単位、ヒドロキノン単位が
好ましく、4,4′−ビフェノール単位を含むことは力
学特性や、耐熱性、流動性の点で好ましい。 (2)としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位
の他、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、4,4′
−ビフェニルジカルボン酸単位、3,3′−ビフェニル
ジカルボン酸単位を含んでもよい。特にテレフタル酸単
位、イソフタル酸単位が好ましく、テレフタル酸単位を
含むことは、コスト低減化に大きく寄与する。
の他、ヒドロキノン単位、4,4′−ビフェノール単
位、レゾルシノール単位、フェニルヒドロキノン単位、
3,4′−ビスフェノール−A単位等を含んでもよい。
特に4,4′−ビフェノール単位、ヒドロキノン単位が
好ましく、4,4′−ビフェノール単位を含むことは力
学特性や、耐熱性、流動性の点で好ましい。 (2)としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位
の他、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、4,4′
−ビフェニルジカルボン酸単位、3,3′−ビフェニル
ジカルボン酸単位を含んでもよい。特にテレフタル酸単
位、イソフタル酸単位が好ましく、テレフタル酸単位を
含むことは、コスト低減化に大きく寄与する。
【0013】(3)で表わされる構成単位(以下、単に
(3)という。)としては、p−オキシ安息香酸単位、
m−オキシ安息香酸単位、2,6−ナフトエ酸単位、4
−オキシ−4′−カルボキシビフェニル単位、等を含ん
でもよい。特にp−オキシ安息香酸単位、2,6−ナフ
トエ酸単位が好ましく、p−オキシ安息香酸単位を含む
ことは、力学特性や、耐熱性、流動性の点で好ましい。 (4)で表わされる構成単位(以下、単に(4)とい
う。)は特に含む必要はないが、必要に応じ、含んでも
よい。具体的には、p−アミノフェノール単位、p−ア
ミノ安息香酸単位等を挙げることができる。
(3)という。)としては、p−オキシ安息香酸単位、
m−オキシ安息香酸単位、2,6−ナフトエ酸単位、4
−オキシ−4′−カルボキシビフェニル単位、等を含ん
でもよい。特にp−オキシ安息香酸単位、2,6−ナフ
トエ酸単位が好ましく、p−オキシ安息香酸単位を含む
ことは、力学特性や、耐熱性、流動性の点で好ましい。 (4)で表わされる構成単位(以下、単に(4)とい
う。)は特に含む必要はないが、必要に応じ、含んでも
よい。具体的には、p−アミノフェノール単位、p−ア
ミノ安息香酸単位等を挙げることができる。
【0014】上記各構成単位(1)、(1−1)、
(2)、(2−1)、(3)、(4)のモル数をそれぞ
れ〔1〕〔1−1〕〔2〕〔2−1〕〔3〕〔4〕とす
ると、本発明の液晶性ポリエステルは、
(2)、(2−1)、(3)、(4)のモル数をそれぞ
れ〔1〕〔1−1〕〔2〕〔2−1〕〔3〕〔4〕とす
ると、本発明の液晶性ポリエステルは、
【0015】
【数1】{〔1−1〕+〔2−1〕}/{〔1〕+
〔2〕+〔3〕+〔4〕}≧0.05
〔2〕+〔3〕+〔4〕}≧0.05
【0016】を満たすことが好ましい(尚、〔1−1〕
は〔1〕に含まれ、〔2−1〕は〔2〕に含まれる)。
この値が0.05未満のときは、絶縁破壊電圧、絶縁破
壊電圧強度が低下して好ましくない。上記数式の値は、
好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上
0.5以下である。また、本発明の液晶性ポリエステル
(アミド)は、末端基が主としてCH3 COO−基及び
−COOH基からなり、且つCH3 COO−基の濃度を
〔CH3 COO−〕、−COOH基の濃度を〔−COO
H〕と表わすと、〔CH3 COO−〕が60eq/to
n以下、〔−COOH〕基が120eq/ton以上で
あることが好ましい。
は〔1〕に含まれ、〔2−1〕は〔2〕に含まれる)。
この値が0.05未満のときは、絶縁破壊電圧、絶縁破
壊電圧強度が低下して好ましくない。上記数式の値は、
好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上
0.5以下である。また、本発明の液晶性ポリエステル
(アミド)は、末端基が主としてCH3 COO−基及び
−COOH基からなり、且つCH3 COO−基の濃度を
〔CH3 COO−〕、−COOH基の濃度を〔−COO
H〕と表わすと、〔CH3 COO−〕が60eq/to
n以下、〔−COOH〕基が120eq/ton以上で
あることが好ましい。
【0017】すなわち、基本的にCH3 COO−基が少
なく−COOH基が多いことが、絶縁破壊電圧、絶縁破
壊電圧強度を向上させる上で、また耐加水分解性の向
上、低ガス化、さらに密着性や接着性向上の点で必要で
ある。〔CH3 COO−〕は好ましくは40eq/to
n以下、さらに好ましくは20eq/ton以下であ
る。〔−COOH〕は好ましくは150eq/ton以
上、さらに好ましくは200eq/ton以上である。
尚、末端基は後述する末端基定量法により求められる。
なく−COOH基が多いことが、絶縁破壊電圧、絶縁破
壊電圧強度を向上させる上で、また耐加水分解性の向
上、低ガス化、さらに密着性や接着性向上の点で必要で
ある。〔CH3 COO−〕は好ましくは40eq/to
n以下、さらに好ましくは20eq/ton以下であ
る。〔−COOH〕は好ましくは150eq/ton以
上、さらに好ましくは200eq/ton以上である。
尚、末端基は後述する末端基定量法により求められる。
【0018】本発明の液晶性ポリエステル(アミド)に
おける絶縁破壊電圧強さは60KV/mm以上、好まし
くは60〜80KV/mmである。従って、電気・電子
部品、自動車電装部品として特に適したものである。ま
た、ガラスファイバーのフィラーを使用すると、絶縁破
壊電圧強さは低下するが、本発明の場合、それでも50
KV/mm以上、好ましくは50〜70KV/mmを維
持することができる。尚、この場合のガラスファイバー
のフィラーの使用量は20重量%以上であり、好ましく
は25〜50重量%である。
おける絶縁破壊電圧強さは60KV/mm以上、好まし
くは60〜80KV/mmである。従って、電気・電子
部品、自動車電装部品として特に適したものである。ま
た、ガラスファイバーのフィラーを使用すると、絶縁破
壊電圧強さは低下するが、本発明の場合、それでも50
KV/mm以上、好ましくは50〜70KV/mmを維
持することができる。尚、この場合のガラスファイバー
のフィラーの使用量は20重量%以上であり、好ましく
は25〜50重量%である。
【0019】本発明の液晶性ポリエステル(アミド)を
製造するためには、特に、上述した原料成分の選定並び
にその使用割合を調整すること、及び後述する重合条件
などを調節することが重要である。本発明の液晶性ポリ
エステル(アミド)の製造においては、重合形式は特に
限定されず、例えば界面重合法、溶液重合法、溶融重合
法等を適宜採用し得るが、界面重合法や溶液重合法では
原料成分の溶解性が悪いため高重合度の液晶性ポリエス
テルは得られ難い。従って、特に溶融重合法が推奨され
る。本発明において好適な製造方法としては、溶融重合
法による次の(A)〜(C)の方法が挙げられる。
製造するためには、特に、上述した原料成分の選定並び
にその使用割合を調整すること、及び後述する重合条件
などを調節することが重要である。本発明の液晶性ポリ
エステル(アミド)の製造においては、重合形式は特に
限定されず、例えば界面重合法、溶液重合法、溶融重合
法等を適宜採用し得るが、界面重合法や溶液重合法では
原料成分の溶解性が悪いため高重合度の液晶性ポリエス
テルは得られ難い。従って、特に溶融重合法が推奨され
る。本発明において好適な製造方法としては、溶融重合
法による次の(A)〜(C)の方法が挙げられる。
【0020】(A)アセテート化合物と酸化合物から脱
酢酸重縮合反応により製造する方法。 (B)フェノール性化合物と酸化合物に無水酢酸を加え
て反応させた後、脱酢酸重縮合反応により製造する方
法。 (C)フェノール性化合物と酸のフェニルエステル化合
物から脱フェノール重縮合反応により製造する方法。 但し、上述の各溶融重合法のうち、(C)はフェノール
末端ができ、そのためフェノールガス発生が起こり易
い。フェノールガスの発生は、液晶性ポリエステルの電
子部品材料としての使用において接点不良を惹起させ、
又絶縁破壊電圧や絶縁破壊電圧強さを低下させるため、
好ましくない。
酢酸重縮合反応により製造する方法。 (B)フェノール性化合物と酸化合物に無水酢酸を加え
て反応させた後、脱酢酸重縮合反応により製造する方
法。 (C)フェノール性化合物と酸のフェニルエステル化合
物から脱フェノール重縮合反応により製造する方法。 但し、上述の各溶融重合法のうち、(C)はフェノール
末端ができ、そのためフェノールガス発生が起こり易
い。フェノールガスの発生は、液晶性ポリエステルの電
子部品材料としての使用において接点不良を惹起させ、
又絶縁破壊電圧や絶縁破壊電圧強さを低下させるため、
好ましくない。
【0021】従って、このような観点から(C)法より
も(A)または(B)法が好適であり、特に、重合速度
と原料のコスト面からして(B)の方法が推奨される。
これら(A)または(B)の製造法に関しては、特に次
の(a)又は(b)に示す方法を採用するのが好まし
い。 (a)原料として、下記一般式(6)、(7)、(8)
で示される化合物を用いる。
も(A)または(B)法が好適であり、特に、重合速度
と原料のコスト面からして(B)の方法が推奨される。
これら(A)または(B)の製造法に関しては、特に次
の(a)又は(b)に示す方法を採用するのが好まし
い。 (a)原料として、下記一般式(6)、(7)、(8)
で示される化合物を用いる。
【0022】
【化5】
MO−Ar1 −OM (6)
HOOC−Ar2 −COOH (7)
MO−Ar3 −COOH (8)
【0023】(MはH−及び/又はCH3 CO−を示
し、Ar1 、Ar2 、Ar3 は、上述した式(1)〜
(3)におけるのと同義である。) また、必要に応じて下記一般式(9)で示される化合物
を使用することもできる。
し、Ar1 、Ar2 、Ar3 は、上述した式(1)〜
(3)におけるのと同義である。) また、必要に応じて下記一般式(9)で示される化合物
を使用することもできる。
【0024】
【化6】
MHN−Ar4 −Z3 (9)
【0025】(MはH−及び/又はCH3 CO−を示
し、Z3 は−NHM、−COOH、又は−OMを示す。
Ar4 は上述した式(4)におけるAr4 と同義であ
る。) (6)、(7)、(8)、(9)のモル数を〔6〕、
〔7〕、〔8〕、
し、Z3 は−NHM、−COOH、又は−OMを示す。
Ar4 は上述した式(4)におけるAr4 と同義であ
る。) (6)、(7)、(8)、(9)のモル数を〔6〕、
〔7〕、〔8〕、
〔9〕とすると、(9)で示される化
合物を使用しないときは、仕込み時に〔6〕/〔7〕の
値を1未満、好ましくは0.97以下、特に好ましくは
0.95以下としておくのがよい。
合物を使用しないときは、仕込み時に〔6〕/〔7〕の
値を1未満、好ましくは0.97以下、特に好ましくは
0.95以下としておくのがよい。
【0026】(9)を使用するときは、(〔6〕+
〔9〕)/〔7〕の値を1未満、好ましくは0.97以
下、特に好ましくは0.95以下としておくのがよい。 (b)上記(a)の方法と同様に、原料として(6)、
(7)、(8)、(9)を用いるが、(6)の一部を、
昇温時及び/又は重合時に意図的に留出させる。この場
合は〔6〕/〔7〕≒1又は(〔6〕+
下、特に好ましくは0.95以下としておくのがよい。 (b)上記(a)の方法と同様に、原料として(6)、
(7)、(8)、(9)を用いるが、(6)の一部を、
昇温時及び/又は重合時に意図的に留出させる。この場
合は〔6〕/〔7〕≒1又は(〔6〕+
〔9〕)/
〔7〕≒1としておけばよい。 これら(a)、(b)の方法を採用することにより、
〔−COOH〕が多く、〔CH3 COO−〕が少ないポ
リエステルを製造することができる。(b)の方法の場
合に、(6)の中でも
〔7〕≒1としておけばよい。 これら(a)、(b)の方法を採用することにより、
〔−COOH〕が多く、〔CH3 COO−〕が少ないポ
リエステルを製造することができる。(b)の方法の場
合に、(6)の中でも
【0027】
【化7】
【0028】を積極的に留出させることは、アセチル化
後の昇温工程の時間を短縮したり、昇温の際に、窒素ガ
スを流通したりすることによって行うことができる。
又、減圧重合の初期の減圧速度を高めることも好まし
い。この場合(6)は一般にジアセテート物、すなわ
ち、
後の昇温工程の時間を短縮したり、昇温の際に、窒素ガ
スを流通したりすることによって行うことができる。
又、減圧重合の初期の減圧速度を高めることも好まし
い。この場合(6)は一般にジアセテート物、すなわ
ち、
【0029】
【化8】CH3 COO−Ar1 −OCOCH3
【0030】の形になっている。この場合Ar1 の少な
くとも1つは
くとも1つは
【0031】
【化9】
【0032】であり、このジアセテート物の融点が低い
ために、系外に固体でなく液体で留出するので、配管の
閉塞等の問題をおこさない点が好ましく、前述で規定し
た範囲内で用いると物性上も製造上も好ましいものとな
る。尚、従来公知の方法では、末端カルボキシル基と末
端アセトキシ基は実質的に同量であるが、本願では、末
端カルボキシル基の量を末端アセトキシ基量に比べて多
くすること、好ましくは末端カルボキシル基の量を末端
アセトキシ基量に比べてはるかに多くすることとするこ
とにより、驚くべきことに絶縁破壊電圧、絶縁破壊電圧
強さを向上させ、かつ耐加水分解性を向上させ、しかも
発生ガスを大幅に低減することができた。
ために、系外に固体でなく液体で留出するので、配管の
閉塞等の問題をおこさない点が好ましく、前述で規定し
た範囲内で用いると物性上も製造上も好ましいものとな
る。尚、従来公知の方法では、末端カルボキシル基と末
端アセトキシ基は実質的に同量であるが、本願では、末
端カルボキシル基の量を末端アセトキシ基量に比べて多
くすること、好ましくは末端カルボキシル基の量を末端
アセトキシ基量に比べてはるかに多くすることとするこ
とにより、驚くべきことに絶縁破壊電圧、絶縁破壊電圧
強さを向上させ、かつ耐加水分解性を向上させ、しかも
発生ガスを大幅に低減することができた。
【0033】次に、本発明の液晶ポリエステルの製造法
について上記(B)の方法を採用した場合は、原料
(6)、(7)、(8)、(9)を加え、次いで無水酢
酸(以下(10)と表す)を加え、100〜170℃で
まずアセチル化を行う。反応時間は5分ないし3時間、
好ましくは20分ないし1.5時間である。そして無水
酢酸のモル数〔10〕は、
について上記(B)の方法を採用した場合は、原料
(6)、(7)、(8)、(9)を加え、次いで無水酢
酸(以下(10)と表す)を加え、100〜170℃で
まずアセチル化を行う。反応時間は5分ないし3時間、
好ましくは20分ないし1.5時間である。そして無水
酢酸のモル数〔10〕は、
【0034】
【数2】
1.0≦〔10〕/{2×〔6〕+〔8〕}≦1.5
である。(9)としてH2 N−Ar4 −OHやH2 N−
Ar4 −NH2 を使用する場合は、
Ar4 −NH2 を使用する場合は、
【0035】
【数3】1.0≦〔10〕/{2×〔6〕+〔8〕+2
×
×
〔9〕}≦1.5
又、H2 N−Ar4 −COOHを使用する場合は
【0036】
【数4】1.0≦〔10〕/{2×〔6〕+〔8〕+
〔9〕}≦1.5
【0037】である。この場合、好ましい下限値及び上
限値は、それぞれ1.1及び1.4である。又、反応は
無触媒でも可能であるし、必要に応じて触媒を添加して
もよい。本方法においては、次いで重合温度までに昇温
するが、上述した(a)の方法を行う場合は、ゆっくり
昇温するのが好ましく、特に200〜260℃の時点
で、1〜3時間程度の温度の保持(熟成工程)を1〜数
回入れるのが好ましい。一方、(b)の方法を行う場合
は、逆にできるだけ早く昇温するのが好ましい。
限値は、それぞれ1.1及び1.4である。又、反応は
無触媒でも可能であるし、必要に応じて触媒を添加して
もよい。本方法においては、次いで重合温度までに昇温
するが、上述した(a)の方法を行う場合は、ゆっくり
昇温するのが好ましく、特に200〜260℃の時点
で、1〜3時間程度の温度の保持(熟成工程)を1〜数
回入れるのが好ましい。一方、(b)の方法を行う場合
は、逆にできるだけ早く昇温するのが好ましい。
【0038】アセチル化反応終了後、昇温して重合反応
を行う。重合温度は270〜340℃、好ましくは29
0〜320℃、最も好ましくは290〜305℃であ
る。重合反応を減圧下に行う場合、例えば、760mm
Hgから1mmHgまで徐々に減圧にする場合、これに
要する時間は、(a)の方法を行うときは60分以上好
ましくは2時間以上とするのがよく、特に50mmHg
から1mmHgまでの減圧を徐々に行うのがよい。
を行う。重合温度は270〜340℃、好ましくは29
0〜320℃、最も好ましくは290〜305℃であ
る。重合反応を減圧下に行う場合、例えば、760mm
Hgから1mmHgまで徐々に減圧にする場合、これに
要する時間は、(a)の方法を行うときは60分以上好
ましくは2時間以上とするのがよく、特に50mmHg
から1mmHgまでの減圧を徐々に行うのがよい。
【0039】一方(b)の方法を採用するときは、逆に
2時間以内、特に60分以内とするのがよく、50mm
Hgから1mmHgまでの減圧をできるだけ速く行うこ
とが好ましい。又、いずれの場合も重合反応終了後、必
要に応じて固相重合を行い、重合度をあげることもでき
る。又、横型重合反応機を用いて、重合度をあげること
もできる。
2時間以内、特に60分以内とするのがよく、50mm
Hgから1mmHgまでの減圧をできるだけ速く行うこ
とが好ましい。又、いずれの場合も重合反応終了後、必
要に応じて固相重合を行い、重合度をあげることもでき
る。又、横型重合反応機を用いて、重合度をあげること
もできる。
【0040】重合反応は、無触媒でも可能であるが、必
要に応じ触媒の存在下で実施してもよい。触媒として
は、エステル交換触媒、重縮合触媒、アシル化触媒が使
用されこれらは混合して使用してもかまわない。好まし
い触媒としては、Ti(OBu)4 、BuSnOOH、
Sn(OAc)2 、Sb2 O3 、Fe(acac)3 、
Zn(OAc)2 、Co(OAc)2 、Mn(OAc)
2 、KOAc、Fe(acac)2 等が挙げられる。
要に応じ触媒の存在下で実施してもよい。触媒として
は、エステル交換触媒、重縮合触媒、アシル化触媒が使
用されこれらは混合して使用してもかまわない。好まし
い触媒としては、Ti(OBu)4 、BuSnOOH、
Sn(OAc)2 、Sb2 O3 、Fe(acac)3 、
Zn(OAc)2 、Co(OAc)2 、Mn(OAc)
2 、KOAc、Fe(acac)2 等が挙げられる。
【0041】触媒の使用量は、生成するポリマーに対
し、0〜5000ppm、好ましくは0〜1000pp
m、さらに好ましくは、0〜300ppmである。触媒
を用いない方が、絶縁性等の電気特性がよくなり好まし
いが、重合速度を速くする場合は、触媒を用いた方が好
ましい。本発明の液晶性ポリエステルの溶融粘度は、温
度320℃、剪断速度1000sec-1の条件下で測定
した場合、30ポイズ以上であることが必要である。
し、0〜5000ppm、好ましくは0〜1000pp
m、さらに好ましくは、0〜300ppmである。触媒
を用いない方が、絶縁性等の電気特性がよくなり好まし
いが、重合速度を速くする場合は、触媒を用いた方が好
ましい。本発明の液晶性ポリエステルの溶融粘度は、温
度320℃、剪断速度1000sec-1の条件下で測定
した場合、30ポイズ以上であることが必要である。
【0042】しかしながら、本発明のポリエステルは、
液晶性を示すことにより、その溶融粘度が一般に低い。
例えば、上記の条件下で測定した溶融粘度は、5000
ポイズ以下である。従って、本発明の液晶ポリエステル
の溶融粘度は、好ましくは50〜3000ポイズ、更に
好ましくは100〜2500ポイズである。最も好まし
くは100〜1500ポイズである。本願のポリエステ
ルは前述のような特徴(高流動性も含めて)をもつた
め、成形性が良好であり、押出成形、射出成形、圧縮成
形等の一般的な溶融成形を行うことが可能である。従っ
て、成形品、フィルム、繊維等に容易に加工することが
できる。
液晶性を示すことにより、その溶融粘度が一般に低い。
例えば、上記の条件下で測定した溶融粘度は、5000
ポイズ以下である。従って、本発明の液晶ポリエステル
の溶融粘度は、好ましくは50〜3000ポイズ、更に
好ましくは100〜2500ポイズである。最も好まし
くは100〜1500ポイズである。本願のポリエステ
ルは前述のような特徴(高流動性も含めて)をもつた
め、成形性が良好であり、押出成形、射出成形、圧縮成
形等の一般的な溶融成形を行うことが可能である。従っ
て、成形品、フィルム、繊維等に容易に加工することが
できる。
【0043】特に、射出成形を行う場合、流動性が良
く、寸法安定性に優れるという特徴とともにバリの発生
が少なく、発生ガスも少ないため、外観及び寸法精度の
良好な成形品が得られる。また、得られた成形品は絶縁
破壊電圧(強さ)が高い上に耐加水分解性にも優れるの
で、電気・電子部品、自動車電装部品、薄肉成形品、精
密成形品に適しており、例えば、SMT対応の電子部品
材料、特にリレー部品やコネクター部品、ボビンに用い
られたり、半導体封止用やハイブリッドIC等に好適で
ある。
く、寸法安定性に優れるという特徴とともにバリの発生
が少なく、発生ガスも少ないため、外観及び寸法精度の
良好な成形品が得られる。また、得られた成形品は絶縁
破壊電圧(強さ)が高い上に耐加水分解性にも優れるの
で、電気・電子部品、自動車電装部品、薄肉成形品、精
密成形品に適しており、例えば、SMT対応の電子部品
材料、特にリレー部品やコネクター部品、ボビンに用い
られたり、半導体封止用やハイブリッドIC等に好適で
ある。
【0044】また、本発明の液晶性ポリエステルは、ガ
ラス繊維、炭素繊維等の繊維類、タルク、マイカ、炭酸
カルシウム等のフィラー類、核剤、顔料、酸化防止剤、
滑剤、その他安定剤、難燃剤等の充填剤や添加剤、熱可
塑性樹脂等を添加することにより、成形品に所望の特性
を付与することも可能である。更にまた、他のポリマー
とのブレンドやアロイ化を行うことにより、本発明の液
晶性ポリエステルと他のポリマーとの両者の長所を合わ
せ持つ組成物にすることも可能である。
ラス繊維、炭素繊維等の繊維類、タルク、マイカ、炭酸
カルシウム等のフィラー類、核剤、顔料、酸化防止剤、
滑剤、その他安定剤、難燃剤等の充填剤や添加剤、熱可
塑性樹脂等を添加することにより、成形品に所望の特性
を付与することも可能である。更にまた、他のポリマー
とのブレンドやアロイ化を行うことにより、本発明の液
晶性ポリエステルと他のポリマーとの両者の長所を合わ
せ持つ組成物にすることも可能である。
【0045】特に寸法精度においては、ガラス繊維等の
繊維類を20〜50重量部添加したときに本願のポリエ
ステル(アミド)は優れた効果を発揮しうる。フィラー
類を加えると一般に絶縁破壊電圧は低下するが、本発明
のものは50KV/mm以上の絶縁破壊電圧強さを保つ
ことができる。ここで、フィラーの量は20重量%以上
あることが、寸法精度や線膨張係数及び力学特性の異方
性の低減の面から有効である。特に25重量%以上が好
ましく、この場合でも本発明のものは50KV/mm以
上の絶縁破壊電圧強さを有する。
繊維類を20〜50重量部添加したときに本願のポリエ
ステル(アミド)は優れた効果を発揮しうる。フィラー
類を加えると一般に絶縁破壊電圧は低下するが、本発明
のものは50KV/mm以上の絶縁破壊電圧強さを保つ
ことができる。ここで、フィラーの量は20重量%以上
あることが、寸法精度や線膨張係数及び力学特性の異方
性の低減の面から有効である。特に25重量%以上が好
ましく、この場合でも本発明のものは50KV/mm以
上の絶縁破壊電圧強さを有する。
【0046】本発明のポリエステル(アミド)はフィラ
ー類の有無にかかわらず、絶縁破壊電圧(強さ)が非常
に高く、かつ発生するガス量が非常に少なく、又耐加水
分解性に優れるため、このポリマーを射出成形して得ら
れた成形物はコイルボビン、リレー部品、電気・電子部
品の封止成形品、コネクター等の接続器部品、センサー
等の電装部品、スイッチ部品、変圧器部品、電動器部
品、ブラウン管部品、整流器部品、コンデンサー、等の
電気・電子部品及び/又は自動車用電装部品に利用する
ことができる。
ー類の有無にかかわらず、絶縁破壊電圧(強さ)が非常
に高く、かつ発生するガス量が非常に少なく、又耐加水
分解性に優れるため、このポリマーを射出成形して得ら
れた成形物はコイルボビン、リレー部品、電気・電子部
品の封止成形品、コネクター等の接続器部品、センサー
等の電装部品、スイッチ部品、変圧器部品、電動器部
品、ブラウン管部品、整流器部品、コンデンサー、等の
電気・電子部品及び/又は自動車用電装部品に利用する
ことができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の例におい
ては、次の方法により物性測定や成形を行った。 (1)溶融粘度 測定には、島津製作所フローテスター(シリンダーノズ
ルの長さ/直径=20を用い、320℃剪断速度100
0sec-1とした。 (2)光学異方性(液晶性) ホットステージ付偏光顕微鏡を用いて観察した。 (3)末端基定量法 まず本発明の液晶性ポリエステルを粉砕し、その粉砕試
料に大過剰のn−プロピルアミンを加え、室温で24時
間処理する。主鎖からは、
するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の例におい
ては、次の方法により物性測定や成形を行った。 (1)溶融粘度 測定には、島津製作所フローテスター(シリンダーノズ
ルの長さ/直径=20を用い、320℃剪断速度100
0sec-1とした。 (2)光学異方性(液晶性) ホットステージ付偏光顕微鏡を用いて観察した。 (3)末端基定量法 まず本発明の液晶性ポリエステルを粉砕し、その粉砕試
料に大過剰のn−プロピルアミンを加え、室温で24時
間処理する。主鎖からは、
【0048】
【化10】HO−Ar1 −OH、7
H 3Cn−NH−CO−Ar2 −CO−NH−nC3
H7 、 HO−Ar3 −CO−NH−nC3 H7
H7 、 HO−Ar3 −CO−NH−nC3 H7
【0049】等が生成し、アセテート末端からはn−プ
ロピルアセトアミドが、カルボン酸末端からは、
ロピルアセトアミドが、カルボン酸末端からは、
【0050】
【化11】
HOOC−Ar2 −CO−NH−nC3 H7 、
HO−Ar3 −COOH
【0051】が生成する。そこで、液晶性ポリエステル
をn−プロピルアミンを用いて分解し、GC法及びHP
LC法により、末端から生じた分解生成物を主鎖由来の
分解生成物と分離し、そのピーク強度より末端基を定量
することが可能である。アセテート末端の定量にはGC
法を用いる。アセテート末端の分解生成物n−プロピル
アセトアミドはGCにより他の成分と分離して検出され
る。標品のn−プロピルアセトアミドを用いて検量線を
作成し、絶対検量法により定量した。
をn−プロピルアミンを用いて分解し、GC法及びHP
LC法により、末端から生じた分解生成物を主鎖由来の
分解生成物と分離し、そのピーク強度より末端基を定量
することが可能である。アセテート末端の定量にはGC
法を用いる。アセテート末端の分解生成物n−プロピル
アセトアミドはGCにより他の成分と分離して検出され
る。標品のn−プロピルアセトアミドを用いて検量線を
作成し、絶対検量法により定量した。
【0052】カルボン酸末端の定量にはHPLC法を用
いる。カルボン酸末端の分解生成物p−ヒドロキシ安息
香酸、テレフタル酸モノn−プロピルアミド及び2,6
−ナフタレンジカルボン酸n−プロピルアミドはHPL
Cにより他の成分と分離して検出される。標品のp−ヒ
ドロキシ安息香酸、テレフタル酸モノn−プロピルアミ
ド及び2,6−ナフタレンジカルボン酸モノn−プロピ
ルアミドを用いて検量線を作成し、絶対検量法により定
量した。
いる。カルボン酸末端の分解生成物p−ヒドロキシ安息
香酸、テレフタル酸モノn−プロピルアミド及び2,6
−ナフタレンジカルボン酸n−プロピルアミドはHPL
Cにより他の成分と分離して検出される。標品のp−ヒ
ドロキシ安息香酸、テレフタル酸モノn−プロピルアミ
ド及び2,6−ナフタレンジカルボン酸モノn−プロピ
ルアミドを用いて検量線を作成し、絶対検量法により定
量した。
【0053】(4)成形
・耐加水分解性評価用サンプルの成形は日本製鋼所社製
J5S型0.1oz射出成形機を用いて行った。 ・又、絶縁破壊電圧(強さ)評価用サンプルの成形は日
本製鋼所社製J−100SA射出成形機を用いて成形し
た。 成形温度は実施例のものについては325℃で金型温度
については145℃とした。比較例のものはそれぞれの
樹脂に適した温度を用いた。成形片は100mm×10
0mm×1mm厚とした。
J5S型0.1oz射出成形機を用いて行った。 ・又、絶縁破壊電圧(強さ)評価用サンプルの成形は日
本製鋼所社製J−100SA射出成形機を用いて成形し
た。 成形温度は実施例のものについては325℃で金型温度
については145℃とした。比較例のものはそれぞれの
樹脂に適した温度を用いた。成形片は100mm×10
0mm×1mm厚とした。
【0054】(5)絶縁破壊電圧(強さ)の測定
JIS C2110固体電気絶縁材料の絶縁耐力試験方
法およびJIS K6911熱硬化性プラスチック一般
試験方法に従う絶縁破壊試験(短時間法)により行っ
た。電圧の印加は0から平均10〜20秒でその試料の
破壊が起こるような一定の速度で上昇させ、以下の条件
で測定した。
法およびJIS K6911熱硬化性プラスチック一般
試験方法に従う絶縁破壊試験(短時間法)により行っ
た。電圧の印加は0から平均10〜20秒でその試料の
破壊が起こるような一定の速度で上昇させ、以下の条件
で測定した。
【0055】
【表1】測定条件:油中試験
油 温:23℃
電 極:上部 20mmφ 球状電極
下部 25mmφ 柱状電極
【0056】(6)引張特性
引張強度は上記の成形機にて得られた0.1oz成形品
について、東洋ボールドウィン社製TENSILON/
UTM(III )Lを用いて測定した。 (7)耐加水分解性 0.1ozで成形したサンプルをプレッシャークッカー
テスト装置に入れ、121℃2気圧飽和水蒸気下100
時間テストを行った。テストサンプルについて、引張テ
ストの強度保持率の評価を行った。
について、東洋ボールドウィン社製TENSILON/
UTM(III )Lを用いて測定した。 (7)耐加水分解性 0.1ozで成形したサンプルをプレッシャークッカー
テスト装置に入れ、121℃2気圧飽和水蒸気下100
時間テストを行った。テストサンプルについて、引張テ
ストの強度保持率の評価を行った。
【0057】(8)ガス分析
洗浄したバイアル瓶に、チップ化したポリマーをいれ栓
をし、200℃のオーブン中で1時間加熱処理を行う。
このうち一部をGCに注入し、成分を定量した。 (9)組成比分析法 粉砕したポリマーにテトラメチルアンモニウムハイドロ
オキサイドのメタノール溶液を添加し熱分解GCを用い
てポリマーを熱分解し成分を定量した。
をし、200℃のオーブン中で1時間加熱処理を行う。
このうち一部をGCに注入し、成分を定量した。 (9)組成比分析法 粉砕したポリマーにテトラメチルアンモニウムハイドロ
オキサイドのメタノール溶液を添加し熱分解GCを用い
てポリマーを熱分解し成分を定量した。
【0058】実施例1
撹拌翼、減圧口及び窒素導入口を備えた反応器に、4,
4′−ジヒドロキシジフェニル5.59部(0.030
モル部)、メチルハイドロキノン17.13部(0.1
38モル部)、テレフタル酸14.95部(0.090
モル部)、2,6−ナフタレンジカルボン酸19.46
部(0.090モル部)及びp−ヒドロキシ安息香酸5
8.05部(0.420モル部)を仕込み、減圧下窒素
置換した後、窒素シールをし、無水酢酸96.48部
(0.945モル部)を投入した。撹拌下、重合管を1
45℃の油浴に浸漬して、1時間反応させた後、1.5
時間かけて240℃まで昇温し、ここで2時間保持した
後1時間かけて300℃まで昇温した。次いでその温度
で2.5時間かけて圧力を常圧から1mmHgまで減圧
しその後30分反応して重合反応を終了した。各評価結
果を表1に示した。
4′−ジヒドロキシジフェニル5.59部(0.030
モル部)、メチルハイドロキノン17.13部(0.1
38モル部)、テレフタル酸14.95部(0.090
モル部)、2,6−ナフタレンジカルボン酸19.46
部(0.090モル部)及びp−ヒドロキシ安息香酸5
8.05部(0.420モル部)を仕込み、減圧下窒素
置換した後、窒素シールをし、無水酢酸96.48部
(0.945モル部)を投入した。撹拌下、重合管を1
45℃の油浴に浸漬して、1時間反応させた後、1.5
時間かけて240℃まで昇温し、ここで2時間保持した
後1時間かけて300℃まで昇温した。次いでその温度
で2.5時間かけて圧力を常圧から1mmHgまで減圧
しその後30分反応して重合反応を終了した。各評価結
果を表1に示した。
【0059】実施例2
撹拌翼、減圧口、窒素導入口を備えた反応器に、4,
4′−ジヒドロキシジフェニル16.76部(0.09
0モル部)、メチルハイドロキノン9.68部(0.0
78モル部)、テレフタル酸6.98部(0.042モ
ル部)、2,6−ナフタレンジカルボン酸29.83部
(0.138モル部)及びp−ヒドロキシ安息香酸5
8.05部(0.420モル部)を仕込み、減圧下窒素
置換した後、窒素シールをし、無水酢酸96.48部
(0.945モル部)を投入した。撹拌下、反応器を1
45℃の油浴に浸漬して、1時間反応させた後、1.5
時間かけて240℃まで昇温し、ここで2時間保持した
後1時間かけて300℃まで昇温した。次いでその温度
で2.5時間かけて圧力を常圧から1mmHgまで減圧
し、その後3時間反応して重合反応を終了した。各評価
結果を表1に示した。
4′−ジヒドロキシジフェニル16.76部(0.09
0モル部)、メチルハイドロキノン9.68部(0.0
78モル部)、テレフタル酸6.98部(0.042モ
ル部)、2,6−ナフタレンジカルボン酸29.83部
(0.138モル部)及びp−ヒドロキシ安息香酸5
8.05部(0.420モル部)を仕込み、減圧下窒素
置換した後、窒素シールをし、無水酢酸96.48部
(0.945モル部)を投入した。撹拌下、反応器を1
45℃の油浴に浸漬して、1時間反応させた後、1.5
時間かけて240℃まで昇温し、ここで2時間保持した
後1時間かけて300℃まで昇温した。次いでその温度
で2.5時間かけて圧力を常圧から1mmHgまで減圧
し、その後3時間反応して重合反応を終了した。各評価
結果を表1に示した。
【0060】実施例3および4
実施例1および実施例2のポリエステル70重量部に対
し、30重量部のガラスファイバーを二軸押出機(35
mmφスクリュー)を用いて320℃(設定)で混練し
たものをそれぞれ実施例3、実施例4とする。各評価結
果を表1に示した。
し、30重量部のガラスファイバーを二軸押出機(35
mmφスクリュー)を用いて320℃(設定)で混練し
たものをそれぞれ実施例3、実施例4とする。各評価結
果を表1に示した。
【0061】実施例5
実施例1、2と同様にして2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、メチルハイドロキノン、p−アミノフェノール、
p−ヒドロキシ安息香酸と無水酢酸を用いて表1に示す
組成比及び末端基をもつポリエステルアミドを製造し
た。各評価結果を表1に示した。
ン酸、メチルハイドロキノン、p−アミノフェノール、
p−ヒドロキシ安息香酸と無水酢酸を用いて表1に示す
組成比及び末端基をもつポリエステルアミドを製造し
た。各評価結果を表1に示した。
【0062】比較例1〜4
市販品の液晶ポリエステル(比較例1〜3)とPBT
(ポリブチレンテレフタレート)(比較例4)を用い
た。それぞれの組成、組成比、末端基等については、本
発明者らによって分析した値を用いている。各評価結果
を表2に示した。
(ポリブチレンテレフタレート)(比較例4)を用い
た。それぞれの組成、組成比、末端基等については、本
発明者らによって分析した値を用いている。各評価結果
を表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】本発明の液晶性ポリエステル(アミド)
は、絶縁破壊電圧(強さ)が非常に高く、ガスの発生が
少なく、かつ耐加水分解性に優れるため、電気・電子部
品及び/又は自動車用電装部品に好適に用いられる。
は、絶縁破壊電圧(強さ)が非常に高く、ガスの発生が
少なく、かつ耐加水分解性に優れるため、電気・電子部
品及び/又は自動車用電装部品に好適に用いられる。
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平5−271465(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08G 63/00 - 63/91
C08G 69/44
C08L 67/00
C08L 77/12
Claims (7)
- 【請求項1】 絶縁破壊電圧強さが60KV/mm以上
であることを特徴とする、液晶性ポリエステル(アミ
ド)。 - 【請求項2】 ガラスファイバーを20重量%以上含
み、且つ絶縁破壊電圧強さが50KV/mm以上である
ことを特徴とする、液晶性ポリエステル(アミド)。 - 【請求項3】 構成単位中にメチルヒドロキノン単位及
び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の少くとも一方
を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の液晶性
ポリエステル(アミド)。 - 【請求項4】 下記一般式(1)、(2)、(3)で表
わされる構成単位のいずれかを含む全芳香族系ポリエス
テルであることを特徴とする、請求項3記載の液晶性ポ
リエステル(アミド)。 【化1】 - 【請求項5】 末端基が主としてCH3 COO−基及び
−COOH基からなり、CH3 COO−基の濃度〔CH
3 COO−〕が60eq/ton以下、かつ−COOH
基の濃度〔−COOH〕が120eq/ton以上であ
ることを特徴とする、請求項1乃至4記載の液晶性ポリ
エステル(アミド)。 - 【請求項6】 請求項1乃至5記載の液晶性ポリエステ
ル(アミド)を射出成形することによって得られる電気
・電子部品。 - 【請求項7】 請求項1乃至5記載の液晶性ポリエステ
ル(アミド)を射出成形することによって得られる自動
車用電装部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12892094A JP3365448B2 (ja) | 1994-06-10 | 1994-06-10 | 液晶性ポリエステル(アミド)及びそれを用いた電気・電子部品並びに自動車用電装部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12892094A JP3365448B2 (ja) | 1994-06-10 | 1994-06-10 | 液晶性ポリエステル(アミド)及びそれを用いた電気・電子部品並びに自動車用電装部品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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