JP3453255B2 - 液晶性ポリエステルアミドの製造法 - Google Patents

液晶性ポリエステルアミドの製造法

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JP3453255B2 JP19530796A JP19530796A JP3453255B2 JP 3453255 B2 JP3453255 B2 JP 3453255B2 JP 19530796 A JP19530796 A JP 19530796A JP 19530796 A JP19530796 A JP 19530796A JP 3453255 B2 JP3453255 B2 JP 3453255B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液晶性ポリエステ
ルアミドの製造法に関し、詳しくは、ガラス繊維、炭素
繊維などのフィラー類の添加がなくとも、それ自体で流
動方向のみならず流動方向に垂直な方向においても高弾
性率および高強度を有し、線膨張係数が低く、且つ、加
工性に優れた寸法安定性良好な成形体を与えることが出
来る新規な液晶性ポリエステルアミドに関する。なお、
以下、上記の流動方向(Machine Direct
ion)を「MD方向」、上記の流動方向に垂直な方向
(Transverse Direction)を「T
D方向」と略記する。 【0002】 【従来の技術】サーモトロピックな液晶性ポリマーとし
て多くのポリマーが開発され上市される様になって来
た。しかしながら、これらの液晶性ポリマーは、繊維形
状においては高弾性率を有するが、三次元形状、例え
ば、成形体(特に射出成形体)においてはポリマーの流
動方向に分子鎖が高度に配向するため、流動方向の弾性
率は高いものの、流動方向に垂直な方向の弾性率は、液
晶性を示さない他のポリマーの弾性率と同程度である。
そのため、ガラス繊維(GF)や炭素繊維(CF)の添
加により補強しなければならない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、GFや
CFを添加すると流動性が低下し表面粗度が悪化する上
に、これらが無機化合物であるため、リサイクル時の選
別などに問題が生じる。そこで、以前からMD方向、T
D方向の何れにも高弾性率を有する液晶性ポリマーの開
発が試みられて来た。例えば、特開昭59−12492
5号公報、特開昭61−19627号公報、特開平1−
261418号公報、特開平2−64123号公報、特
開平3−188124号公報などには、種々の全芳香族
ポリエステルが提案されている。 【0004】また、全芳香族ポリエステルに多官能成分
を共重合してMD方向およびTD方向の物性を高める試
みとしては、特開平2−227428号公報、特開平2
−238052号公報、特開平3−152123号公
報、特開平3−152124号公報、特開平3−168
213号公報などが挙げられる。また、特開平2−53
819号公報および特開平3−47829号公報は、光
学活性基を導入することによって異方性を緩和しようと
している。 【0005】しかしながら、これらの液晶性ポリエステ
ルは、次の(1)〜(4)の問題点を有する。(1)M
D方向およびTD方向の強度が依然として低い。(2)
液晶性ポリエステルの特徴である流動性が低下する。
(3)融点が非常に高いので相当な高温でなければ成形
できない。(4)従来のポリエステル製造用の縦型重合
装置では固化して反応器からの抜き出しが極めて困難と
なる。 【0006】本発明は、上記の実情に鑑みなされたもの
であり、その目的は、MD方向およびTD方向の弾性率
および強度が高く、且つ、加工性に優れた成形体を与え
ることが出来る液晶性ポリエステルアミドの製造法を提
供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため鋭意検討した結果、流動方向に沿って
形成される秩序組織と溶融流動パターンとの間に相関関
係があることに着目し、その溶融流動パターンを特定す
ることが重要であることを見出し、本発明を完成するに
至った。 【0008】すなわち、本発明の要旨は、下記の化学式
(1)〜(6)で示される芳香族化合物と無水酢酸とか
ら液晶性ポリエステルアミドを製造する方法であって、
溶融粘度が下記(V)及び(VI)の式を満足する液晶性ポ
リエステルアミドを製造するに当たり、前記芳香族化合
物のモル数をそれぞれ[1]〜[6]、芳香族化合物中
の芳香族性水酸基の総モル数を[A]、無水酢酸のモル
数を[B]で表した場合、芳香族化合物の合計モル数に
対する[5]と[6]の各値がそれぞれ添付の図1にお
けるABCDEG点で囲まれた領域内にあり、[2]〜
[4]がそれぞれ下記(I)〜(III)の式を満足し、しか
も、[B]/[A]が下記(IV)の式を満足する様に仕
込み、アセチル化反応を行った後、減圧下において重縮
合を行うことを特徴とする液晶性ポリエステルアミドの
製造方法に存する。 【0009】 【化2】 【0010】 【数2】 0.04≦([2]/[1]+[2])≦0.36 (I) 0.5≦([3]/[3]+[4]+[5])≦0.9 (II) 0.05≦([4]/[3]+[4]+[5])≦0.35 (III) 1.01≦([B]/[A])≦1.20 (IV) η50≦104 (V) log(η100 /η1000)≦0.25 (VI) (但し、(V) 及び(VI)式中、η50、η100 及びη1000
は、それぞれ、温度300℃における、剪断速度50、
100及び1000sec -1の溶融粘度(単位:ポアズ)
を表す。) 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明が目的とする液晶性ポリエステルアミド
は、温度300℃、剪断速度50、100及び1000
sec -1における各溶融粘度η50、η100 及びη1000が前
記(V)及び(VI)式を満足するものである。 【0012】η50の値が104 ポアズを超える場合は、
重縮合の観点から著しく不利である。すなわち、熱液晶
性ポリマーは、従来、縦型の重合装置、例えば、繊維便
覧(原料編)P−808の図7.11に記載されてる様
なポリエステル製造用装置を使用して製造されてきた。
ところが、η50の値が104 ポアズを超える場合には、
必然的に300℃以下における重縮合が不可能となるた
め、熱媒系などの仕様に大巾な変更を余儀なくされる。
このことは、熱液晶性ポリマーの製造形態を一般の重縮
合とは異なる特殊なものとし、生産上の工業的優位性を
損なう。 【0013】これに対し、本発明の製造法は、従来のポ
リエステル製造用重合装置を使用し、300℃以下にお
いて重縮合を行うことが十分可能となる。η50の値は、
重縮合および液晶性ポリエステルアミドの抜き出しをよ
り円滑にする観点から、8000ポアズ以下が好まし
い。しかし、このことは、本発明の液晶性ポリエステル
アミドの重合形態を限定するものではなく、斯かる装置
上の制約が解消される場合、300℃を超える重合温度
において製造することは何ら差し支えはない。 【0014】log( η100 /η1000) の値が0.25
を超える場合は、TD方向の力学的物性、特に弾性率の
向上、例えば、9×104kgf/cm2 以上の弾性率が期待
出来ない。log( η100 /η1000) の値は、好ましく
は0.15以下の値である。 【0015】上記の粘度特性を満足する液晶製ポリエス
テルアミドを製造するためには、前記の化学式(1)〜
(6)で示される芳香族化合物のモル数をそれぞれ
[1]〜[6]で表した場合、芳香族化合物の合計モル
数に対する[5]と[6]の各値がそれぞれ添付の図1
におけるABCDEG点で囲まれた領域内にあり、
[2]〜[4]がそれぞれ前記(I)〜(III)式を満足
する仕込み条件を採用する必要がある。[2]及び
[4]の好ましい範囲は、次の(VII)及び(VIII)式の
通りである。 【0016】 【数3】 0.05≦([2]/[1]+[2])≦0.30 (VII) 0.05≦([4]/[3]+[4]+[5])≦0.30 (VIII) 【0017】本発明の目的物である液晶性ポリエステル
アミドとしては、具体的には、後述の実施例に示される
様なポリエステルアミドを挙げることが出来るが、本発
明はこれらの例に限定されるものではなく、本発明の要
件を満足する範囲内で組成比を適宜変更すること、また
は、他の芳香族アミノフェノール、アミノカルボン酸、
芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジヒドロ
キシカルボン酸などを、例えば、前記の化学式(1)〜
(6)で示される芳香族化合物の合計に対して10%程
度まで加えて共重合させることは何ら差し支えない。 【0018】本発明の製造法は、界面重合、溶液重合、
溶融重合などの従来の重合方法を採用することが出来る
が、溶融重合は、高重合物が得られる点および安価で製
造出来る点で好ましい方法である。製造装置は、従来の
ポリエステル製造用縦型重合装置を使用することが出来
る。 【0019】反応の第1段階では、前記化学式(1)〜
(6)で示される芳香族化合物に無水酢酸を加えてアセ
チル化が行われる。なお、アセチル化に関与しないジカ
ルボン酸はアセチル化反応終了後に別途仕込んでもよ
い。アセチル化反応温度は、通常100〜170℃、反
応時間は、通常5分〜3時間、好ましくは20分〜1.
5時間の範囲から選択される。 【0020】アセチル化反応は、無触媒の状態で行うこ
とを原則とするが、必要に応じて触媒の存在下で行う。
その際、エステル交換触媒、重縮合触媒、アルミ触媒な
どが使用される。具体的には、例えば、Ti(OBu)
4 、Sb2 3 、Fe(AcAc)3 、Zn(OAc)
2 、Co(oAc)2 、NaOAc等が挙げられる。そ
の使用量は、液晶性ポリエステルアミドに対して、通常
5〜5000ppm、好ましく150〜5000ppm
の範囲である。 【0021】本発明においては、上記のアセチル化反応
の際、芳香族化合物中の芳香族性水酸基の総モル数を
[A]、無水酢酸のモル数を[B]で表した場合、
[B]/[A]が前記(IV)式を満足する様に無水酢酸
の仕込みを行うことが重要である。すなわち、[B]/
[A]が1.01未満の場合は、無水酢酸によるアセチ
ル化が完了せず、その結果、未反応芳香族化合物の昇華
を招き、配管系閉塞などの支障を来す。 【0022】また、[B]/[A]が1.20を超える
場合は、後述の減圧重合反応の速度が著しく速くなり、
その結果、減圧が不十分な状態で反応系内が所定の溶液
粘度に達する。このことは、樹脂内に酢酸を残存させる
ことであり、経時劣化、品質低下の原因ともなり、工業
的安定な生産に支障を来す。[B]/[A]の好ましい
範囲は、次の(IX)式の通りである。 【0023】 【数4】 0.01≦([B]/[A])≦1.15 (IX) 【0024】ジカルボン酸化合物以外の芳香族化合物を
先に仕込んだ場合は、アセチル化反応終了後から減圧重
縮合の開始前までの任意の段階において、常圧条件下、
270〜325℃において10分から2時間熟成させた
後、ジカルボン酸化合物を仕込むならば、仕込み組成と
ポリマー組成とを近似させることが出来るので好まし
い。 【0025】重縮合は、200〜350℃、特に275
〜325℃で行うのが好ましい。その際、760mmH
gから1mmHg付近に至るまで30分以上の時間をか
けて徐々に減圧するのが好ましい。また、仕込みに当た
っては、[3]〜[5]の合計モル数に対する[1]と
[2]の合計モル数の比が1から大幅にずれる場合は、
好ましい重合度の液晶性ポリエステルアミドが得られな
い。従って、上記の比が次の(X)式を満足する様に仕
込みを行うのが好ましい。 【0026】 【数5】 0.8≦([1]+[2]/[3]+[4]+[5])≦1.2 (X) 【0027】本発明で得られる液晶性ポリエステルアミ
ドの特徴は、前述した様に、溶融流動パターンを特定す
ることにより、従来の熱液晶性ポリエステルアミドには
見られない下記の特性を発現させることが可能となる点
にある。 【0028】第1の特徴は、溶融流動性が極めて良好で
ある点にある。すなわち、η50が104 ポアズ以下の範
囲にあり、適切に組成を選択するならば8000ポイズ
以下の範囲に調節することも可能である。このことによ
り、重縮合における装置的形態の自由度が大いに緩和さ
れ、従来のポリエステル製造用縦型重合装置を使用して
300℃以下の温度において安定に液晶性ポリエステル
アミドを抜き出すことが出来る。 【0029】勿論、高融点および高粘度の熱液晶性ポリ
エステルの製造に使用されるニーダー型反応装置や重縮
合後に更に固相重合により高重合度化する方法を適用す
ることは何ら差支えない。上記の様な良好な溶融流動性
は、押出成形、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形など
の一般的な溶融成形により、成形体、フィルム、繊維な
どを安定して生産するのに必要欠くべからざる要件であ
るが、特に、極薄成形体の製造にその効果を如何なく発
揮させる要件である。 【0030】第2の特徴は、成形体において、MD方向
のみならずTD方向の弾性率および強度が高いことであ
る。例えば、TD方向の曲げ弾性率しては、9×104
kgf/cm2 以上の高弾性率が得られる。加えて、M
D方向の曲げ弾性率に対するTD方向の曲げ弾性率を1
以上にすることが出来る。このことは、両方向に寸法安
定性が高いことをも意味している。従来、斯かる材料を
得るためには、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維類、タ
ルク、マイカ、炭酸カルシウム等のフィラー類を相当量
添加することを余儀なくされ、成形性の低下は必然であ
った。 【0031】本発明で得られる液晶性ポリエステルアミ
ドは、上記の従来技術の課題を大幅に克服し、例えば、
自動車の垂直外板、水平外板、電気機器のハウジング、
大型容器、精密成形品、情報機器の機構部品を成形する
のに極めて適切である。勿論、本発明で得られる液晶性
ポリエステルアミドに対し、従来のエンジニアリング樹
脂の業界において通常採用される強化処方、核剤、顔
料、酸化防止剤、滑剤などの添加処方、または、他のポ
リマーとのブレンド、アロイ等の処方を施し、熱液晶性
ポリエステルアミドとしての長所を有効に利用すること
は、何ら差支えない。 【0032】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。なお、実施例中の溶融粘
度測定には、キャピログラフ1C(東洋精機製作所製)
を使用し、その際、シリンダノズルの直径に対する長さ
は30とした。成形は、射出成形機(東芝機械社製「I
S−45P、2.5 Oz」)を使用して行った。得ら
れた縦80mm、横80mm、厚さ2mmの平板から、
長さ80mm、巾6mm、厚さ2mmの試料をMD又は
TD方向に各々切り出し機械的物性測定用に供した。 【0033】実施例1 攪拌翼、窒素導入管および冷却管を取付けたステンレス
製重合反応容器にメチルハイドロキノン1854.9g
(14.94モル)、アセトアミドフェノール579.
1g(3.83モル)、テレフタル酸1909.4g
(11.49モル)、1,4−ナフタレンジカルボン酸
828.3g(3.83モル)、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸828.3g(3.83モル)及び無水酢酸
3614.0g(35.40モル)を一括して仕込ん
だ。無水酢酸の上記の仕込み量のモル数は、芳香族化合
物中の芳香族水酸基の総モル数に対して1.05に相当
する。 【0034】次いで、窒素雰囲気下、下記の温度条件で
加熱攪拌を行い、酢酸および過剰の無水酢酸4080g
を溜去した。すなわち、140℃で1時間反応後、24
0℃に1時間30分間で昇温して30分間保持した。次
いで、280℃に40分間で昇温して30分間保持し
た。 【0035】得られた予備重縮合物を減圧系に接続した
同種の反応容器に移送し、下記の温度および減圧条件で
重縮合反応を継続した。すなわち、280℃から300
℃に常圧下、20分間で昇温し、次いで、760mmH
gから50mmHgに35分で減圧した。所定の攪拌動
力(60rpm×650w)に達したことを確認した
後、攪拌を停止し復圧を行った。3608gの液晶性ポ
リエステルアミドを安定に抜き出すことが出来た。抜き
出しの際、酢酸臭は無かった。図2は、この液晶性ポリ
エステルアミドの300℃におけるキャピログラフによ
る溶融流動パターンを示す。η50は3000ポアズであ
り、log( η100 /η1000) は0.06であった。 【0036】実施例2 実施例1と同様の装置において、メチルハイドロキノン
1414.5g(11.39モル)、アセトアミドフェ
ノール593.9g(3.93モル)、テレフタル酸1
631.9g(9.82モル)、1,4−ナフタレンジ
カルボン酸424.7g(1.96モル)、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸849.5g(3.96モル)、
パラーヒドロキシ安息香酸1085.4g(7.86モ
ル)、無水酢酸3706.5g(36.31モル)を一
括して仕込んだ。無水酢酸の上記の仕込み量のモル数
は、芳香族化合物中の芳香族水酸基の総モル数に対して
1.05に相当する。そして、窒素雰囲気下、加熱反応
は、140℃で1時間反応後、240℃に1時間30分
間で昇温して30分間保持し、そして、280℃に40
分間で昇温して30分間保持しすることによって行い、
酢酸および過剰の無水酢酸4172gを溜去して予備重
縮合物を得た。 【0037】得られた予備重縮合物を減圧系に接続した
同種の反応容器に移送し、下記の温度および減圧条件で
重縮合反応を継続した。すなわち、280℃から300
℃に常圧下、20分間で昇温し、次いで、760mmH
gから35mmHgに42分で減圧した。所定の攪拌動
力(60rpm×650w)に達したことを確認した
後、攪拌を停止し復圧を行った。重縮合罐の底から41
72gの液晶性ポリエステルアミドを安定に抜き出すこ
とが出来た。抜き出す際、酢酸臭はなかった。図3は、
この液晶性ポリエステルアミドの300℃におけるキャ
ピログラフによる溶融流動パターンを示す。η50は13
00ポアズであり、log( η100 /η1000) は0.0
6であった。 【0038】比較例1 実施例1と同様の装置において、メチルハイドロキノン
1887.5g(15.20モル)、アセトアミドフェ
ノール574.6g(3.80モル)、テレフタル酸1
894.4g(11.40モル)、1,4−ナフタレン
ジカルボン酸821.8g(3.80モル)、2,6−
ナフタレンジカルボン酸821.8g(3.80モ
ル)、無水酢酸4365.6g(42.76モル)を一
括して仕込んだ。無水酢酸の上記の仕込み量のモル数
は、芳香族化合物中の芳香族水酸基の総モル数に対して
1.25に相当する。そして、窒素雰囲気下、下記の温
度条件で加熱攪拌を行い、酢酸および過剰の無水酢酸4
479gを溜去した。すなわち、140℃で1時間反応
後、240℃に1時間30分間で昇温して30分間保持
した。次いで、280℃に40分間で昇温して30分間
保持して予備重縮合物を得た。 【0039】得られた予備重縮合物を減圧系に接続した
同種の反応容器に移送し、以下の温度および減圧条件で
重縮合反応を継続した。すなわち、280℃から300
℃に常圧下、20分間で昇温し、次いで、760mmH
gから110mmHgに27分間で減圧した。所定の攪
拌動力(60rpm×650w)に達したことを確認し
た後、直ちに攪拌を停止し復圧を行った。重縮合罐の底
から液晶性ポリエステルアミド3271gを安定に抜き
出すことが出来た。しかしながら、抜き出す際、酢酸臭
が感知された。図4は、この液晶性ポリエステルアミド
の300℃におけるキャピログラフによる溶融流動パタ
ーンを示す。η50は1250ポアズであり、log( η
100 /η1000) は0.04であった。 【0040】比較例2 実施例1と同様の装置において、メチルハイドロキノン
1726.1g(13.90モル)、セトアミドフェノ
ール738.5g(4.89モル)、テレフタル酸17
48.1g(10.52モル)、1,4−ナフタレンジ
カルボン酸406.2g(1.88モル)、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸1381.1g(6.39モル)
及び無水酢酸4316.1g(42.28モル)を一括
して仕込んだ。無水酢酸モル数/芳香族化合物中芳香族
水酸基総モル数は1.25に相当する。次いで、窒素雰
囲気下、下記の温度条件で加熱攪拌を行い、酢酸および
過剰の無水酢酸4510gを溜去した。すなわち、14
0℃で1時間反応後、240℃に1時間30分間で昇温
して30分間保持した。次いで、280℃に30分間で
昇温して30分間保持して予備重縮合物を得た。 【0041】得られた予備重縮合物を減圧系に接続した
同種の反応容器に移送し、以下の温度および減圧条件で
重縮合反応を継続した。すなわち、280℃から300
℃に常圧下、20分間で昇温し、次いで、760mmH
gから10mmHgに1時間で減圧した。所定の攪拌動
力(60rpm×650w)に達したことを確認した
後、直ちに攪拌を停止し復圧を行った。重縮合罐の底か
ら液晶性ポリエステルアミド4841g を安定に抜き出
すことが出来た。図5は、この液晶性ポリエステルアミ
ドの300℃におけるキャピログラフによる溶融流動パ
ターンを示す。η50は1200ポアズであり、log(
η100 /η1000) は、0.30であった。 【0042】実施例3 実施例1、実施例2及び比較例2で得られた液晶性ポリ
エステルアミドの射出成形を行って成形体を得、それぞ
れの成形体から試料を作製して曲げ弾性率および曲げ強
度を測定した。結果を表1に示す。本発明の液晶性ポリ
エステルアミド成形体は、TD方向の曲げ弾性率および
曲げ強度が優れていることが分かった。比較例2で得ら
れた液晶性ポリエステルアミド成形体は、実施例1及び
実施例2で得られたポリエステルアミド成形体に比較し
てTD方向の曲げ弾性率および曲げ強度が低いことが分
かった。 【0043】 【表1】 ──────────────────────────────────── 試料 成形温度 曲げ弾性率 曲げ強度 ℃ ×104 kgf/cm2 kgf/cm2 MD TD MD TD ──────────────────────────────────── 実施例1 300 9.4 15.6 1250 2260 実施例2 300 4.9 17.4 820 2250 比較例2 300 12.5 4.3 1911 1260 ──────────────────────────────────── 【0044】 【発明の効果】以上説明した本発明で得られる液晶性ポ
リエステルアミドは、従来の製造装置の使用により30
0℃以下の温度でトラブルなく製造出来るという特徴を
有するため大量生産が可能であり、また、溶融粘度が低
いため成形性に優れ、特に、薄肉成形に好適である。そ
して、得られる成形体は、MD及びTD方向に弾性率お
よび強度が高く且つ寸法安定性を有する。したがって、
本発明によれば、高い寸法精度が必要とされる材料を工
業的有利に提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】 【図1】化学式(1)〜(6)で示される芳香族化合物
のモル数をそれぞれ[1]〜[6]で表した場合、
[5]/[1]+[2]+[3]+[4]+[5]+
[6]及び[6]/[1]+[2]+[3]+[4]+
[5]+[6]の値をプロットした図 【図2】実施例1において得られた液晶性ポリエステル
アミドの300℃におけるキャピログラフによる溶融流
動パターン 【図3】実施例2において得られた液晶性ポリエステル
アミドの300℃におけるキャピログラフによる溶融流
動パターン 【図4】比較1において得られた液晶性ポリエステルア
ミドの300℃におけるキャピログラフによる溶融流動
パターン 【図5】比較2において得られた液晶性ポリエステルア
ミドの300℃におけるキャピログラフによる溶融流動
パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−126383(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の化学式(1)〜(6)で示される
    芳香族化合物と無水酢酸とから液晶性ポリエステルアミ
    ドを製造する方法であって、溶融粘度が下記(V)及び
    (VI)の式を満足する液晶性ポリエステルアミドを製造
    するに当たり、前記芳香族化合物のモル数をそれぞれ
    [1]〜[6]、芳香族化合物中の芳香族性水酸基の総
    モル数を[A]、無水酢酸のモル数を[B]で表した場
    合、芳香族化合物の合計モル数に対する[5]と[6]
    の各値がそれぞれ添付の図1におけるABCDEG点で
    囲まれた領域内にあり、[2]〜[4]がそれぞれ下記
    (I)〜(III)の式を満足し、しかも、[B]/[A]が
    下記(IV)の式を満足する様に仕込み、アセチル化反応
    を行った後、減圧下において重縮合を行うことを特徴と
    する液晶性ポリエステルアミドの製造方法。 【化1】【数1】 0.04≦([2]/[1]+[2])≦0.36 (I) 0.5≦([3]/[3]+[4]+[5])≦0.9 (II) 0.05≦([4]/[3]+[4]+[5])≦0.35 (III) 1.01≦([B]/[A])≦1.20 (IV) η50≦104 (V) log(η100 /η1000)≦0.25 (VI) (但し、(V)及び(VI)式中、η50、η100 及びη1000
    は、それぞれ、温度300℃における、剪断速度50、
    100及び1000sec -1の溶融粘度(単位:ポアズ)
    を表す。)
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