JP3092233B2 - 液晶性ポリエステルアミド - Google Patents

液晶性ポリエステルアミド

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JP3092233B2
JP3092233B2 JP03224406A JP22440691A JP3092233B2 JP 3092233 B2 JP3092233 B2 JP 3092233B2 JP 03224406 A JP03224406 A JP 03224406A JP 22440691 A JP22440691 A JP 22440691A JP 3092233 B2 JP3092233 B2 JP 3092233B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シークェンスがより交
互的に制御された新規な液晶性ポリエステルアミドに関
するものである。本発明は、高弾性率であり、引張強
度、曲げ強度、衝撃強度等が高く、さらに高伸度である
ため靭性があり、かつ同一組成、同一組成比において
は、従来のものに比べ力学特性だけでなく、耐熱性にも
すぐれている液晶性ポリエステルアミドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、繊維、フィルムまたは成形品の何
れかを問わず剛性、強度、伸度、耐熱性の優れた素材に
対する要望が高まっている。ポリエステルは、一般成形
品の用途を広く認められるに至っているが多くのポリエ
ルテルは曲げ弾性率、曲げ強度が劣るため、高弾性率、
高強度を要求される用途には適していなかった。
【0003】高弾性率、高強度が要求される用途に適し
ているポリエステルとして近年では液晶性ポリエステル
が注目されるようになった。特に注目を集めるようにな
つたのは、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・
ポリマー・ケミストリー・エディション14巻(197
6年)2043頁、USP3,778,410、USP
3,804,805及び特公昭56−18016号公報
にW.J.ジャクソンらがポリエチレンテレフタレート
とアセトキシ安息香酸とからなる熱液晶高分子を発表し
てからである。この中でジャクソンらは、この液晶高分
子がポリエチレンテレフタレートの5倍以上の剛性、4
倍以上の強度、25倍以上の衝撃強度を発揮することを
報告し、高性能樹脂への新しい可能性を示した。
【0004】しかしながら、このジャクソンらによるポ
リマーは非常にもろく、強度、伸度が低いという欠点が
あった。これは下記式で示されるp−オキシ安息香酸残
基の連鎖割合が非常に多いことが主原因になっていると
考えられる。
【0005】
【化3】
【0006】又、p−オキシ安息香酸残基の連鎖の割合
によって融点、軟化点等が変動するものと考えられる。
この連鎖の割合が多いということは、シークエンス及び
その分布、並びに組成分布が広範にわたって分布してい
る、すなわち不均一性が大きいことを意味する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は以前に耐熱
性及び流動性に優れたポリエステルアミドを開示してい
る(特願平2−41817号)。しかしながら特願平2
−41817号の製法ではp−オキシ安息香酸残基の連
鎖が後述するような意味でのランダム的な共重合体しか
得られず、強度、伸度がやや劣るものであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは下記
化学式(1)、(2)、(3)、(4)の構造単位から
なる液晶性ポリエステルアミドであって、さらに引張強
度、曲げ強度、衝撃強度等が高く、かつ耐熱性に優れて
いる系について検討し、シークエンスや組成分布を制御
すること、即ち交互的なシークエンスにすることに着目
し鋭意検討した結果本発明に到達した。
【0009】
【化4】
【0010】(上記化学式(1)中のRは炭素数6〜1
8の2価の芳香族炭化水素基を示す。)すなわち、本発
明は上記式(1)〜(4)からなり、下記条件(a)〜
(c)を満足する液晶性ポリエステルアミドに存する。
【0011】(a)上記化学式(1)、(2)、
(3)、(4)の各々のモル数を[1]、[2]、
[3]、[4]としたとき、
【0012】
【数3】
【0013】である。 (b)上記式(3)で表わされるp−オキシ安息香酸残
基であって式(2)で表わされるジオール残基と直接連
結した残基を(3−1)とし、(3−1)のモル数を
[3−1]としたとき、下記式(I)より求められるr
が0≦r≦0.88である。
【0014】
【化5】
【0015】(下線部に相当する単位が(3−1)単位
である。)
【0016】
【数4】
【0017】(c)300°Cで測定した溶融粘度(剪
断速度1000sec-1における)が50ポイズ以上で
ある。 以下、本発明について更に詳述する。本発明の第1の特
徴は式(3)の連鎖である下記式(3−2)の構成単位
をより少なくし、上記(3−1)の構成単位をより多く
することにある。
【0018】
【化6】
【0019】このためには上記(I)式で定められるパ
ラメーターr(シークエンス生成性比)が0≦r≦0.
88を満たす必要がある。rの下限値は好ましくは
([3]−2×[2])/[3]以上、より好ましくは
{([3]−2×[2])/[3]}+0.2×
{[2]/[3]}以上、さらに好ましくは{([3]
−2×[2])/[3]}+0.4×{[2]/
[3]}以上、である。最も好ましくは{([3]−2
×[2])/[3]}+0.6×{[2]/[3]}以
上、である。
【0020】rの上限値は好ましくは0.85以下、よ
り好ましくは0.83以下、さらに好ましくは0.80
以下、最も好ましくは0.75以下である。なお、上記
(I)式中、[3−1]を求めるとき、下記式の単位は
(3−1)の単位が2つあることに注意すべきである。
【0021】
【化7】
【0022】[3]が[2]の2倍を超える場合、必然
的に[3]−[3−1]>0となる。従ってr=0とは
なりえない。この場合、rの下限値(r≧0)は
([3]−2×[2])/[3]と読み替えるべきであ
る。ただし、計算上の誤差等を考慮すると {([3]−2×[2])/[3]}−0.03≦r とするのが好ましい。
【0023】次に上記式の意味について説明する。な
お、式(I)の導出においてはB.Vollmert編
Polymer Chemistry;Springe
r−Verlag:NY 1973 117〜123頁
の記載及び特願平3−73366号等を参照した。
【0024】式(3)で表わされるp−オキシ安息香酸
のシークエンスを考えると上記(3−1)、(3−2)
及び下記(3−3−a)、(3−3−b)の4種類が考
えられる。
【0025】
【化8】
【0026】ただし、以下、(3−3−a)と(3−3
−b)をあわせて(3−3)と表記する。ここで
(3)、(3−1)、(3−2)、(3−3)のモル数
をそれぞれ[3],[3−1],[3−2],[3−
3]とすると、未端基や酸無水物結合などのその他の連
鎖の影響は十分小さいので次式のようになる。
【0027】 [3]≒[3−1]+[3−2]+[3−3] ・・・・(II)
【0028】さて、一般に高分子の共重合体製造時にモ
ノマー反応性比という概念がある。3種のモノマー
1、M2、M3があり、活性種〜M1*のとなりにM1
はM2が入いる確率Wは下記式で表わされる。
【0029】
【数5】
【0030】ここでk11は〜M1*のとなりにM1が入る
反応速度定数、k12は〜M1*のとなりにM2が入る反応
速度定数k13は〜M1*のとなりにM3が入る反応速度定
数、R1=k11/13、2=k12/k13である。結局R1
は〜M1*のとなりにM1とM3が入る反応速度比、すな
わちM1−M1連鎖とM1−M3連鎖の生成しやすさの比と
いうことになる。
【0031】一方、本発明の系は逐次反応であり、かつ
エステル交換のような副反応も考えられるので上記モノ
マー反応性比が即ポリマーの組成やシークエンスを決定
するものではないが、同様の考え方をすることができ
る。即ち、構成単位M1のとなりに構成単位M1又は構成
単位M2がある割合をWとしたとき、式(III)のよ
うに考えられる。
【0032】
【数6】
【0033】以下、rをシークエンス生成性比と呼ぶ。
1を構造単位(3)、M2を構造単位(4)として、M
3を構造単位(2)として、(2)、(4)は両端で結
合を生成できることを考慮すると式(IV)となる。
【0034】
【数7】
【0035】一方、Wは(3)のとなりに(3)又は
(4)がある割合、即ち W=([3−2]+[3−3])/[3] である。分析で測定できるのは[3]と[3−1]なの
で、式(II)の関係を代入し、 W=([3]−[3−1])/[3] であり、上記式(I)が導出される。
【0036】次にシークエンス生成性比rの意味につい
て説明する。r>1のときは(3)のC=O側のとなり
が(2)である割合より(3)又は(4)である割合が
多いことを意味する。即ち、r>1では(3−1)の生
成する割合が低いことを意味する。rが大きくなるほど
(3)は(3)又は(4)との連鎖を生成しやすくな
り、(3−1)が生成しにくくなる。この場合をブロッ
ク的と表現する。
【0037】r≒1のときは(3)のC=O側のとなり
が(2)である割合と(3)又は(4)である割合が同
等であることを意味している。
【0038】即ちr≒1では[3−1]/[3]と
([3]+[4])/([3]+[4]+[2])が同
等である。この場合をランダム的と表現する。r<1で
は(3)のC=O側のとなりが(2)である割合が高い
ことを意味する。rが小さいほど(3−1)の生成比率
が高くなる。この場合を交互的と表現する。
【0039】r=0のときは(I)式の左辺=0である
から[3]=[3−1]である。即ち(3)のC=O側
のとなりは全て(2)であることを意味する。ただし上
述のように[3]が[2]の2倍を超える場合はr=0
とはなりえなず、rは実質上([3]−2×[2])/
[3]≦rであり、r=([3]−2×[2])/
[3]のとき、ある意味で理想的交互共重合体といえ
る。別の面から見ればr>1のときは(1)と(2)の
連鎖である下記式(1−1)のシークエンス分率が多い
ことを意味している。
【0040】
【化9】
【0041】r≒1のときは(1−1)のシークエンス
が続計的にランダムな分率だけ存在し、r<1のときは
(1−1)のシークエンスが減少していることを意味す
る。すなわち、本願発明のポリエステルアミドは(1−
1)のシークエンスが少ないと言い換えることもでき
る。
【0042】次に構成単位(1)〜(4)について説明
する。構成単位(1)で示されるジカルボン酸単位のR
としては炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示
し、具体的にはPh(1,4−フェニレン),Ph’
(1,3−フェニレン),2,6−ナフチル、Ph−P
h,Ph’−Ph’,Ph−X−Ph,Ph−X−P
h’(式中XはO,S,SO2,CH2,C(CH22
が挙がることができる)等が挙げられる。これからは単
独に用いられてもよいし、混合して共重合体となっても
よい。これらのうちPh,Ph’2,6−ナフチル、P
h−Ph、Ph’−Ph’が好ましい。単独で用いると
きはPh,2,6−ナフチル,Ph−Phが好ましい。
特にPh,2,6−ナフチルが好ましい。混合して用い
る場合においても少なくとも一単位はPh,2,6−ナ
フチル、Ph−Phの一つから選ばれることが好まし
く、又これらの合計がRのモル比で50%以上、より好
ましくは66%以上であるのがよい。
【0043】好ましい混合系の例としては、PhとP
h’,Phと2,6−ナフチル、PhとPh−Ph,P
h’とPh−Ph,Ph−Phと2、6ナフチル等挙げ
ることができる。これからもちろん3種以上を用いても
よいが、2種までが好ましい。構造単位(4)で示され
るアミノフェノール単位はパラアミノフェノール残基
(4−p)および/又はメタアミノフェノール残基(4
−m)である。(4−p)と(4−m)の量比は、パラ
アミノフェノール残基の比率が好ましくは5割を超えさ
らに好ましくは8割以上、特に好ましくは9割以上であ
る。
【0044】構造単位(1)と構造単位(3)のモル数
[1],[3]の比率は 0.65≦[3]/([1]+[3])≦0.88 を満たす必要がある。もしも0.65>[3]/
([1]+[3])であると耐熱性が低下して好ましく
ない。耐熱性の観点からは好ましくは、0.68≦
[3]/([1]+[3])更に好ましくは、0.70
≦[3]/([1]+[3])である。一方上限は
[3]/([1]+[3])≦0.88である。これ以
上[3]の量が多いと(3)の連鎖である(3−2)の
絶対量が多くなるため好ましくない。このうち0.68
≦[3]/([1]+[3])≦0.86が好ましく、
更に0.70≦[3]/([1]+[3])≦0.85
が特に好ましく更に0.75≦[3]/([1]+
[3])≦0.85が最も好ましい。
【0045】(2)のモル数を[2]とすると、[1]
と[2]の比率については重合度を高めるために0.8
0≦[1]/[2]≦1.2好ましくは0.85≦
[1]/[2]≦1.15更に好ましくは0.90≦
[1]/[2]≦1.10である。
【0046】また耐加水分解性を向上させるためには、
0.80≦[1]/[2]≦1.0が好ましく末端基を
封止するような場合には、逆に1.0≦[1]/[2]
≦1.2が好ましい。
【0047】(4)の比率については0.02≦[4]
/([3]+[4])≦0.30である。[4]の比率
が下限未満では耐熱性が低下したり、強度が低下したり
して好ましくない。上限を超えると溶融してうる温度が
高くなり、そのため成形温度が高くなり好ましくない。
【0048】より好ましい範囲は[4]/([3]+
[4])=Aとおくと好ましくは0.03≦A≦0.2
0、さらに好ましくは0.04≦A≦0.15である。
力学特性的には(1)のRを1.4−フェニレンとし、
[1]/[3]=20/80の場合、本発明の液晶性ポ
リエステルアミドは従来の液晶性ポリエステルアミドに
比べて、破断伸度、強度(引っ張り、曲げ)が約20%
以上向上し、耐熱性も向上している。シークエンスが交
互的になっているため、構造(特に高次構造)が溶融後
に残っていないため溶融粘度が低く低温で形成できる。
また、均一な構造であるため溶媒にとけやすく、同一組
成比で比較すると結晶性が向上する。
【0049】次に、rの求め方について述べる。本発明
のポリマーは単純にNMRから求めることはできない。
そこで本発明者等は鋭意検討してrの求める方法を見い
出した。すなわち、本発明の液晶性ポリエステルアミド
を一級アミンと反応させると(3−1)のエステル結合
は選択的に切断されずに結合が残り、他のエステル結合
(例えば(3−2)のエステル結合)は切断される。こ
れを利用することにより本発明の液晶性ポリエステルア
ミドのシークエンスを解析することができる。
【0050】本測定方法をさらに詳して述べると、例え
ば、本発明の液晶性ポリエステルアミドを粉砕し、その
粉砕試料に大過剰のn−プロピルアミンで40℃で90
分間処理し、次に得られた分解物を1H−NMRで測定
することにより(3−1)の成分料を測定する。メタノ
ール分解によって求めた(1)、(2)、(3)、
(4)の比率と(3−1)の成分量よりrを算出するこ
とができる。この方法によると(3)の化合物のC=O
側のシークエンスの情報が得られることになる。
【0051】溶融粘度についていうと、本発明のポリエ
ステルアミドは液晶性を示すことより、溶融粘度は一般
に低い。例えば275℃、103sec-1での溶融粘度
は5000ポイズ以下、好ましくは30〜3000ポイ
ズ、更に好ましくは100〜2500ポイズである。最
も好ましくは200〜2000ポイズである。また、本
発明の液晶性ポリエステルアミドは275℃と295℃
における溶融粘度の比の値が小さいのも特徴のひとつで
ある。
【0052】なお、溶融粘度は溶媒としてp−クロロフ
ェノール/o−ジクロロベンゼン(1/1)を室温で溶
解し、濃度0.5g/dlとし、30℃で測定した値で
ある。次に本発明の液晶性ポリエステルアミドについて
説明する。本発明シークエンスの制御された液晶性ポリ
エステルアミドはいかなる方法で製造されてもよい。例
えば界面重縮合法、溶液重縮合法、溶融重縮合法等が考
えられる。
【0053】界面重縮合法では例えば酸クロライドを使
用した方法がある。溶液重縮合法では東らの方法すなわ
ち直接重縮合法が考えられる。溶融重縮合法としてはア
セテート法やフェニルエステル法等が考えられる。本報
では溶融重縮合法で構成単位(2)のエステル交換が高
温下で予想外に起こりにくいことを逆に利用して製造し
た。すなわち本発明者らは、rが上記範囲を満たすポリ
エステルを製造する方法として、(3−1)の連鎖を生
成しやすくするために、はじめからすなわち原料の時点
で(3−1)の構成単位を多くしておく。すなわち、下
記化学式(5)、(6)等の化合物を原料として用い
る。
【0054】
【化10】
【0055】(ここでZ1,Z2,Z3はそれぞれ水素原
子および/またはアセチル基である。)製造法の一例に
ついて更に説明すると、化合物(5)とHOOCRCO
OH (7)を加え、さらに、Z4X−Ph−COOH
(8)を加え(Z4はZ1と同義であり、Phは1.4
・フェンレン2価残基を示す)、必要に応じて無水酢酸
を加えて、100〜170℃でアセチル化を行なう。こ
れは5分〜3時間、好ましくは20分〜1.5時間であ
る。無水酢酸の量は原料のヒドロキシル基とアミノ基の
同量〜1.5倍量程度使用するのが好ましい。好ましく
はヒドロキシル基とアミノ基の量の1.1〜1.4倍で
ある。
【0056】また(5)と(7)の比率は0.85≦
[7]/[5]≦1.15が好ましく特に0.9≦
[7]/[5]≦1.1が好ましい。別の方法として上
記化合物(6)から出発することも可能である。すなわ
ち、 Z3O−Ph−COOCH2CH2OH (6) HOOCRCOOH (7) Z4O−PhCOOH (8)
【0057】に無水酢酸を加えて100〜170°Cで
アセチル化等を行う。これは5分〜3時間、好ましくは
20分〜1.5時間である。無水酢酸の量は、(6)の
3=Hのときを(6−1)、(8)のZ=Hのときを
(8−1)、無水酢酸(9)とし、各々のモル数を[7
−1]、[6−1][9]とすると 1.0≦[9]/([6−1]+[8−1])≦1.5 特に好ましくは、1.1≦[9]/([6−1)+[8
−1])≦1.4である。
【0058】アセチル化前に(6)、(7)、(8)を
あらかじめ反応させておいても良く、また(6)、
(8)をあらかじめ反応させておいてもよい。その場
合、 1.0≦[8]/[6]≦4.0 の範囲で行なうのが好ましく、特に1.0≦[8]/
[6]≦2.0が好ましい。
【0059】この反応は溶媒を用いて行なってもよいが
その後の除去等を考えると無溶媒で行うのが好ましい。
(6)と(8)および/又は(7)を反応させる場合の
には(6)が溶融しているところへ(8)および/又は
(7)を溶融させるのがよい。温度としては145〜2
20°Cで行なうのが好ましい。(6)と(7)の比率
は重合度の観点から0.8≦[6]/[7]≦1.2が
好ましく、さらに0.9≦[6]/[7]≦1.1がよ
り好ましい。
【0060】全体の仕込み比率としては、[6]と
[8]の比率は1≦[8]/[6]≦5 好ましくは1
≦[8]/[6]≦3.5である。(7)の全部/又は
一部、(8−2)((8)のZ4がアセチル基の場合を
(8−2)とする)の全部/又は一部は、アセチル化
中、およびアセチル化後に添加してもよい。また反応は
無触媒でも可能であるし、必要に応じて、触媒を添加し
てもよい。
【0061】その後昇温して重合に入る。重合は220
〜340℃で重合させるが、特に260〜320℃で行
なうのが好ましい。特に265〜300℃で行なうのが
好ましい。最も好ましくは265〜290℃である。固
体の耐熱性のわりに低温で重合できるというメリットも
ある。又、760mmHgから1mmHgまで徐々に減
圧にする場合に要する時間は30分以上、好ましくは6
0分以上の時間で実施され、特に30mmHgから1m
mHgまでの減圧を徐々に行なうことが重要である。
【0062】重合時無触媒でも可能であるが必要に応じ
触媒の存在下で実施される。使用される触媒としてはエ
ステル交換触媒、重縮合触媒、アシル化触媒、脱カルボ
ン酸触媒が使用され、これからは混合して使用してもか
まわない。好ましい触媒としては、Ti(OBu)4
BuSnOOH、Sn(OAc)2、Sb23、Fe
(acac)3、Zn(OAc)2、Co(OAc)2
NaOAc、KOAc等が挙げられる。その使用量はポ
リマーに対して5〜50,000ppm好ましくは50
〜5,000ppmである。
【0063】重合時間は10時間以内ならよいが、その
中でも7時間以内で行うのが好ましい。1〜4時間以内
で行うのが最も好ましい。この重合は低温で行うことが
できるメリットを挙げたが低温で行っても簡単に抜出
せ、抜出時にトラブルをおこすことがないというメリッ
トもある。これもシークェンスがより交互的に制御され
ていることに基ずいていると思われる。
【0064】
【発明の効果】本発明のシークェンスがより交互的に制
御された液晶性ポリエステルアミドの特徴は 1、高い引張強度、曲げ強度を有する。 2、高い衝撃強度を有する。 3、高い破断伸度を有する。 4、同一組成、組成比での耐熱性は高い。 5、同一組成、組成比での流動性が良好である。 等である。尚、本発明のポリマーの物性は力学特性と耐
熱性のバランスが従来のものに比べてはるかに優れてい
るものであって、個々の物性においては劣る場合もあり
うる。又、耐熱性が高い割には流動性が良好であるので
重合温度や成形温度を低くできることにつながり、従来
の製造装置で耐熱性の良好なポリマーを製造できること
を意味する。
【0065】そのため高度の特性を持つ成形材料、フィ
ルム、繊維等の製品として非常に有用である。特に従来
利用できなかった分野にまで応用可能となった。さらに
シークェンス等がより交互的になっゆることにより、
(すなわちより均一的になることにより)同一組成比の
場合に結晶性が向上することが期待できる。これは、D
SCやX線散乱からその度合を把握することが可能であ
る。
【0066】
【実施例】次に本発明について更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例中の溶融粘度の測定に
は、島津製作所フローテスターを用い、剪断速度(r)
1000sec-1,シリンダーノズルの長さ1直径=2
0を使用した。光学異方性(液晶性)はホットステージ
付偏光顕微鏡を用いて観察した。
【0067】成形は日本製鋼社製0.1oz射出成形機
を用いて行った。引張特性(引張弾性率、引張強度、破
断伸度)は上記0.1oz成形品について、東洋ボール
ドウィン社製TENSILON/UTMIIILを用い
て測定した。耐熱性の測定としては、ビカット軟化温度
を測定した。ビカット軟化温度は東洋精器の自動HDT
装置を用いサンプルは上記0.1OZ成形片を用いて5
0℃/hrの昇温速度で針が1mm侵入したところの温
度である。1H−NMRは BRUKER製のAM−5
00を使用し、500MHzで測定した。
【0068】実施例1 撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラス重合管に下
記化学式(11)で表されるジオール化合物を48.6
g(0.161モル)、テレフタル酸33.4g(0.
201g)、p−ヒドロキシ安息香酸33.4g(0.
242モル)およびp−アミノフェノール4.4g
(0.040モル)を仕込みN2減圧置換後、さらに無
水酢酸を82.1g(0.81)添加し、系を撹拌しな
がら140℃に昇温して1時間140℃に保った。
【0069】
【化11】
【0070】その後、1.5時間かけて275℃に昇温
し、275℃になったところで減圧をはじめた。減圧は
最初の1時間で10mmHgにし、その後1.5時間か
けて0.3mmHgにした。減圧開始後4時間で充分ト
ルクが上がったので重合を終了した。その後、静置し復
圧して重合管のそこからポリマーを抜き出した。抜き出
しは非常に良好であった。
【0071】チップ化した後、120℃で一晩乾燥させ
た。このポリマーの溶融粘度は275℃1000sec
-1の時650ポイズであった。また偏光顕微鏡により液
晶であることを確認したこのポリマーはr=0.75で
あった。尚、図1にr=0.75を求めるために用いた
アミン分解後のNMRチャートを示す。
【0072】このポリマーの引張特性は、破断伸度4.
2%、引張強度2,350kg/cm2,引張弾性率
9.0×104kg/cm2であった。また、ビカット軟
化温度は215℃であった。又、このポリマーはp−ク
ロロフェノール/o−ジクロロベンゼン混合溶媒に溶解
し、均一であることがわかった。
【0073】メタノール分解後、ガスクロコトグラフィ
ーで求めた結果、得られたポリマーの各組成比率は
[1]=20.8モル%、[2]=16.7モル%、
[3]=58.3モル%、[4]=4.1モル%であっ
た。なお、rの求め方についてくわしく説明すると、図
1中、(3−1)に由来する4.57ppmのd、4.
45〜4.25ppmのcおよび3.95〜3.80p
pmのbの名シグナルの積分値と、(3−2)に由来す
る7.70ppmのfの積分値を基に、次式により[3
−1]/[3]を求めた。ここで[3]=[3−1]+
[3−2]とした。
【0074】
【数8】
【0075】上述の[1],[2],[3],[4]の
各定量値と上記[3−1]/[3]を(I)式に代入す
ることによりr値算出した。
【0076】実施例2 撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラス管に下記化
学式(12)のジオール化合物29.3g(0.161
モル)、p−アセチルオキシ安息香酸72.5g(0.
403モル)を仕込み、窒素減圧置換後、窒素フローに
て、系を撹拌しながら昇温した。
【0077】
【化12】
【0078】200℃で透明になり、2時間保持して反
応させた。次にテレフタール酸33.4g(0.201
モル)、p−アミノフェノール4.4g(0.040モ
ル)、無水酢酸30.7g(0.301モル)を添加
し、撹拌しながら140°になったところで1時間保持
した。その後、1.5時間かけて275℃まで昇温し減
圧を始めた。減圧開始後3時間で充分トルクがったので
重合を終了した。その後静置し、復圧して重合管の底か
らポリマーを抜き出した。抜き出し性は、非常に良好で
あった。
【0079】チップ化した後120℃で一晩乾燥させ
た。このポリマーの溶融粘度は275℃1000sec
-1のとき530ポイズであった。また偏光顕微鏡により
液晶であることを確認した。このポリマーはr=0.7
0であった。このポリマーの引張特性は、破断伸度4.
8%、引張強度2,630kg/cm2引張弾性率9.
5×104kg/cm2であった。またビガット軟化温度
は210℃であった。又このポリマーはp−クロロフェ
ノル/o−ジクロロベンゼン混合溶媒に溶解し、均一で
あることがわかった。
【0080】比較例1 原料としてオリゴエチレンテレフタレート、p−ヒドロ
キシ安息香酸テレフタル酸、p−アミノフェノールを用
い、特願平2−041817に記載の方法に基づき組成
比が実施例と同じになるように製造した。得られたポリ
マーの溶融粘度は275℃1000sec-1で2500
ポイズであった。このポリマーのr値は0.98であっ
た。また引張特性は、破断伸度3.7%、引張強度1,
330kg/cm2、引張弾性率7.3×104kg/c
2であった。ビカット軟化温度は145℃であった。
【0081】比較例2 原料としてポリエチレンテレフタレート、p−アセトキ
シ安息香酸、テレフタル酸、p−アミノフェノールジア
セテートを用い、特公昭59−13531に記載に準拠
した方法で組成比が実施例1と同じになるように製造し
た。(特公昭ではp−アミノフェノールジアセテートの
代わりに例えばヒドロキノンジアセテートになってい
る。)得られたポリマーの溶融粘度は275℃1000
sec-1で3200ポイズであった。このポリマーのr
値は1.33であったまた引張特性は、破断伸度3.1
%、引張強度1,220kg/cm2であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた液晶性ポリエステルアミド
のアミン分解物の1H−NMRチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 育幸 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−33123(JP,A) 特開 平3−244634(JP,A) 特開 平5−43685(JP,A) 特公 昭56−18016(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50 C09K 19/38 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化学式(1)で表わされるジカル
    ボン酸残基、化学式(2)で表わされるジオール残基、
    化学式(3)で表わされるp−オキシ安息香酸残基およ
    び化学式(4)で表わされるアミノフェノール残基から
    なり、下記条件(a)、(b)、(c)を満足する液晶
    性ポリエステルアミド。 【化1】 (上記(1)式中、Rは炭素数6〜18の2価の芳香族
    炭化水素基を示す)(a)上記化学式(1)、(2)、
    (3)、(4)の各々のモル数を[1]、[2]、
    [3]、[4]としたとき、 【数1】 である。 (b)上記式(3)で表わされるp−オキシ安息香酸残
    基であって、式(2)で表わされるジオール残基と直接
    連結した残基を(3−1)とし、(3−1)のモル数を
    [3−1]としたとき、下記式(I)より求められるr
    が0≦r≦0.88である。 【化2】 (下線部に相当する単位が(3−1)である。) 【数2】 (c)300°Cで測定した溶融粘度(剪断速度100
    0sec-1における)が50ポイズ以上である。
  2. 【請求項2】 化学式(1)の単位及び化学式(3)
    の単位のモル比が 0.7≦[3]/([1]+[3])≦0.85 の範囲であることを特徴とする請求項1の液晶性ポリエ
    ステルアミド。
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