JP3132853B2 - 芳香族ポリエステルアミド及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリエステルアミド及びその製造方法

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JP3132853B2 JP03240549A JP24054991A JP3132853B2 JP 3132853 B2 JP3132853 B2 JP 3132853B2 JP 03240549 A JP03240549 A JP 03240549A JP 24054991 A JP24054991 A JP 24054991A JP 3132853 B2 JP3132853 B2 JP 3132853B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な芳香族ポリエス
テルアミド及びその製造方法に関するものである。本発
明は、詳しくは、高弾性率、高強度であり、耐熱性に優
れ、溶融時に液晶性(光学的異方性)を示し、成形性
(流動性)も極めて良好で且つ寸法安定性、耐薬品性、
難燃性にも優れる該芳香族ポリエステルアミド及びその
工業的有利な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、繊維、フィルム、成形品の何れの
分野においても、靱性、耐熱性の優れた素材が要望され
ている。ところで、近時、高弾性率、高強度が要求され
る用途に適しているポリマーとして、溶融時に光学的異
方性を示すポリマー(液晶ポリマー)が注目されてい
る。例えば、「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエン
ス・ポリマー・ケミストリー・エディション」第14
巻、第2043ページ(1976年)や特公昭56−1
8016号公報〕などには、液晶共重合ポリエステルが
提案されている。しかしながら、上記の液晶共重合ポリ
エステルは、従来の一般的なポリエステルに比べて高い
靱性を有するが、耐熱性に関しては必ずしも満足し得る
ものではない。
【0003】また、ブリティッシュポリマージャーナル
13巻1号5ページ(1981年)、特開昭57−17
7021、同55−27391号公報などには、液晶性
ポリエステルアミドが提案されている。しかしながら、
上記の液晶性ポリエステルアミドは、軟化点が高く、通
常のポリエステル製造装置で製造することができない等
の欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の実情
に鑑みなされたものであり、その目的は、靱性、耐熱
性、流動性、成形性に優れ、特に、エンジニアリングプ
ラスチックスとして好適であり、しかも、従来のポリエ
ステル製造装置を用いて効率よく製造し得る芳香族ポリ
エステルアミド及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本研究者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきこと
に、特定の構造単位、すなわち、置換基を有する芳香族
アミノフェノール単位、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニル単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位、P−
ヒドロキシ安息香族単位および任意のテレフタル酸単位
をそれぞれ所定の割合で含有し、且つ、特定の溶融粘度
を有する液晶性芳香族ポリエステルアミドにより、ま
た、上記の各構成単位を形成する原料単量体を所定の割
合で使用する特定の製造方法により、上記の目的を容易
に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に到った。
【0006】すなわち、本発明は、芳香族ポリエステル
アミドを第1の発明とし、その製造方法を第2の発明と
し、各発明の要旨は次の通りである。第1の発明の要旨
は、特許請求の範囲第1項に記載の化学式[化1]中
(a)〜(e)で表される構造単位を以下に記載の割合
で有する芳香族ポリエステルアミドであって(但し
(d)は任意の構造単位)、320℃で1000sec
-1の条件下に測定した溶融粘度が10ポイズ以上である
ことを特徴とする芳香族ポリエステルアミドに存する。 (a):1〜30モル%、(b):2〜30モル%、
(c):2〜30モル%、(d):0〜30モル%、
(e):40〜75モル%(但し(a)〜(e)の合計
は100モル%である) 第2の発明の要旨は、特許請求の範囲第2項に記載の化
学式[化2]中(a′)〜(e′)で表される原料単量
体を以下に記載の割合で使用し(但し(d′)は任意の
原料成分)、酸無水物の存在下、100〜400℃の温
度において、酸無水物およびこれから誘導される酸成分
を留去させながら上記の原料単量体を反応させることを
特徴とする請求項1記載の芳香族ポリエステルアミドの
製造方法に存する。 (a′):1〜30モル%、(b′):2〜30モル% (c′):2〜30モル%、(d′):0〜30モル% (e′):40〜75モル%(但し(a′)〜(e′)
の合計は100モル%である)
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
芳香族ポリエステルアミドの最大の特徴は、置換基を有
する芳香族アミノフェノール構造単位により画期的に優
れた靱性を発揮し、しかも、芳香族アミノフェノール単
位を多く含有するにも拘わらず重合装置からの抜き出し
が可能であるという点にある。
【0008】本発明の芳香族ポリエステルアミドは、必
須構成単位として、前記の化学式[化1]中(a)〜
(c)及び(e)で表される構造単位を含有し、任意成
分として前記の化学式[化1]中(d)で表される構造
単位を含有する。上記において、構造単位(a)は、置
換基を有する芳香族アミノフェノール単位、(b)は
4,4′−ジヒドロキシジフェニル単位、(c)は2,
6−ナフタレンジカルボン酸単位、(d)は芳香族ジカ
ルボン酸単位、(e)は芳香族オキシカルボン酸単位で
ある。
【0009】芳香族アミノフェノール単位(a)におい
て、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数1〜
6の炭化水素基または炭素数1〜6の含酸素炭化水素
基、nは1〜4の整数を表す。R2 としては、具体的に
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アル
コキシ基、シクロアルコキシ基、フェノキシ基が挙げら
れる。そして、芳香族アミノフェノール単位(a)は、
前記化学式[化2]中(a′)で表される芳香族アミノ
フェノール化合物またはその反応性誘導体より形成され
る。なお、上記の(a′)で表される芳香族アミノフェ
ノール化合物において、R1 、R2 及びnは、前記の構
造単位(a)におけると同一意義を表す。
【0010】芳香族アミノフェノール化合物または反応
性誘導体の具体的例としては、3−メチル−4−アミノ
フェノール、2−メチル−4−アミノフェノール、3−
エチル−5−N−メチル−アミノフェノール、3−メト
キシ−4−N−メチルアミノフェノール、3−メトキシ
−4−アミノフェノール、2−フェニル−4−アミノフ
ェノール、3−t−ブチル−4−アミノフェノールアセ
テート、3−シクロヘキシル−5−アミノフェノール、
3,5−ジメチル−4−アミノフェノール等が挙げられ
るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0011】上記の具体例の中では、3−メチル−4−
アミノフェノール、2−メチル−4−アミノフェノー
ル、3−メトキシ−4−N−メチルアミノフェノールが
好ましく、特に、3−メチル−4−アミノフェノール、
2−メチル−4−アミノフェノールが好ましい。芳香族
アミノフェノール化合物または反応性誘導体は、1種ま
たは2種以上使用することができる。
【0012】4,4′−ジヒドロキシジフェニル単位
(b)は、前記化学式[化2]中(b′)で表される
4,4′−ジヒドロキシジフェニルまたはその反応性誘
導体より形成される。これらの具体例としては、4,
4′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジアセトキ
シジフェニル、4,4′−ジベンゾイロキシジフェニル
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの具体例の中では、4,4′−ジヒドロキシジフ
ェニルが好ましい。
【0013】2,6−ナフタレンジカルボン酸単位
(c)は、前記化学式[化2]中(c′)で表される
2,6−ナフタレンジカルボン酸またはその反応性誘導
体より形成される。これらの具体例としては、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジフェ
ニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの具体例の中では、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸が好ましい。
【0014】芳香族ジカルボン酸単位(d)は、前記化
学式[化2]中(d′)で表されるテレフタル酸または
その誘導体から形成される。これらの具体例としては、
テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジ
フェニル、テレフタル酸ジクロリド等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0015】芳香族オキシカルボン酸単位(e)は、前
記化学式[化2]中(e′)で表されるp−ヒドロキシ
安息香酸またはそれらの反応性誘導体より形成される。
これらの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p
−アセトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸メチル
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの具体例中でp−ヒドロキシ安息香酸が好まし
い。
【0016】芳香族アミノフェノール単位(a)の割合
(構造単位(a)〜(e)の合計量に対する割合。以下
同じ)は、1〜30モル%、好ましくは2〜28モル
%、更に好ましくは5〜25モル%である。芳香族アミ
ノフェノール単位単位(a)の割合が1モル%未満の場
合は、弾性率および強度の向上効果が充分ではない。
【0017】4,4′−ジヒドロキシジフェニル単位
(b)の割合は、2〜30モル%、好ましくは3〜25
モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。4,
4′−ジヒドロキシジフェニル単位(b)の割合が2モ
ル%未満の場合は、液晶性を高める効果が十分に発揮さ
れず、また、30モル%を超える場合は、重合度が十分
に上がらない。液晶性を高めると言うことは、弾性率の
向上や成形性の向上(流動性の向上すなわち溶融粘度の
低下)をもたらすことを意味する。
【0018】2,6−ナフタレンジカルボン酸単位
(c)の割合は、2〜30モル%、好ましくは5〜30
モル%、更に好ましくは10〜30モル%である。2,
6−ナフタレンジカルボン酸単位(c)の割合が2モル
%未満の場合は、液晶性を高める効果が十分に発揮され
ず、また、30モル%を超える場合は、重合度が十分上
がらない。
【0019】芳香族ジカルボン酸単位(d)の割合は、
0〜30モル%、好ましくは0〜25モル%、更に好ま
しくは0〜20モル%である。芳香族ジカルボン酸単位
(d)の割合が30モル%を超える場合は、重合度が十
分上がらないことがあり、また、通常のポリエステル製
造装置(溶融温度320℃以下のポリエステルを対象)
では製造し難くなる。つまり、重合中に固化が起こり、
生成したポリマーを重合槽から抜き出すことが困難にな
る。
【0020】芳香族オキシカルボン酸単位(e)の割合
は、40〜75モル%、好ましくは40〜65モル%、
更に好ましくは、40〜60モル%である。芳香族オキ
シカルボン酸単位(e)の割合が75モル%を超える場
合は、流動性が悪化したり、通常のポリエステル製造装
置での製造が困難となる。
【0021】前記の構造単位(a)〜(d)について
は、各々のモル数を〔a〕〜〔d〕の記号で表した場
合、以下に記載の数式[数1]、特には数式[数2]で
表される関係を満足することが好ましい。そして、この
ような関係を満足することにより、本発明の芳香族ポリ
エステルアミドは、一層重合度の高いものと成り得る。
【0022】
【数1】 0.9≦(〔1〕+〔2〕/〔3〕+〔4〕)≦1.1
【数2】 0.95≦(〔1〕+〔2〕/〔3〕+〔4〕)≦1.05
【0023】本発明の芳香族ポリエステルアミドは、前
記のような特定の構造単位を特定量含有していることに
より、液晶性を示し、そのために成形性に優れ、且つ、
著しく高い弾性率と強度とを有し、更に、流動性が良好
であるなどの優れた特徴を有する。しかも、本発明の芳
香族ポリエステルアミドは、従来のポリエステル製造装
置(例えば縦型のポリエチレンテレフタレート製造装
置)を利用して容易に製造することができると言う製造
上の利点も有する。
【0024】本発明の芳香族ポリエステルアミドにおい
て、構造単位(a)と(c)とは、液晶性を向上させ、
弾性率および流動性を高める作用を発揮するが、特に、
構造単位(a)(置換基を有するアミノフェノール単
位)が流動開始温度を余り高めず、従って、その含有量
を多くしても製造困難となるとの問題を惹起することな
しに、弾性率、強度を高める効果をもたらしたことは、
予想外のことである。
【0025】本発明の芳香族ポリエステルアミドは、温
度320℃、剪断速度1000sec-1の条件で測定し
た溶融粘度が10ポイズ以上であることが必要であり、
10ポイズ未満では十分な強度が得られない。前記測定
条件での好ましい溶融粘度は、50ポイズ以上であり、
特に好ましい溶融粘度は、100〜10000ポイズの
範囲である。
【0026】本発明の芳香族ポリエステルアミドは、各
構造単位が所定の割合になるように、前述の各原料単量
体を使用し、公知の重合方法、例えば、溶融重合法、溶
液重合法、界面重合法などにより重縮合させることによ
って製造することができる。溶融重合法の場合は、通
常、原料単量体の一部をアシル化物またはエステルとし
て使用し、200〜400℃程度の温度で重合する方
法、または、原料単量体にアシル化剤を加えて重合する
方法などが採用される。また、溶液重合法や界面重合法
の場合、原料単量体は、そのカルボキシル基を酸ハライ
ド(特に、酸クロリド)に変換して使用され、更に、界
面重合法の場合、原料単量体は、そのヒドロキシル基を
塩に変換して使用される。
【0027】溶融重合法は、重合反応後の後処理が不要
であるため、工業的生産には有利であり、一方、溶液重
合法および界面重合法は、比較的低温で重合反応を行う
ことができるという利点がある。特に、以下に説明する
本発明の製造方法による場合は、製造コストや作業性な
どの点で極めて有利に且つ効率よく本発明の芳香族ポリ
エステルアミドを製造することができる。
【0028】本発明の芳香族ポリエステルアミドの製造
方法は、酸無水物の存在下、100〜400℃の温度に
おいて、酸無水物およびこれから誘導される酸成分を留
去させながら原料単量体を反応させることを特徴とす
る。本発明の製造方法においては、前記の化学式[化
2]で表される原料単量体(a′)〜(e′)は、以下
に記載の割合で使用することが必要である。 (a′):1〜30モル%、(b′):2〜30モル% (c′):2〜30モル%、(d′):0〜30モル% (e′):40〜75モル%(但し(a′)〜(e′)
の合計は100モル%である)
【0029】前の記酸無水物としては、例えば、無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸などが挙げられる
が、これらの中では、特に無水酢酸が好適である。酸無
水物は単独で又は2種以上組み合わせて使用される。そ
して、その使用割合は、酸無水物、前記の原料単量体
(a′)、(b′)及び(e′)の各モル数をそれぞれ
〔Anh〕、〔a′〕、〔b′〕及び〔e′〕の記号で
表した場合、以下に記載の数式[数3]、特には数式
[数4]で表される関係を満足することが好ましい。
【0030】
【数3】 0.8≦〔Anh〕/{2(〔1′〕+〔2′〕)+〔5′〕}≦2.0
【数4】 1.0≦〔Anh〕/{2(〔1′〕+〔2′〕)+〔5′〕}≦1.5
【0031】上記の反応は、必要に応じ、触媒の存在下
に行なうことができる。斯かる触媒としては、例えば、
BuSnOOH,Bu2 SnO,Ti(O−i−Pr)
4 ,Zn(OAc)2 ,Sn(OAc)2 ,Sb
2 3 ,Co(OAc)2 ,KOAc等が挙げられ、こ
れらは単独で又は2種以上組み合わせて使用される。
【0032】また、反応温度は、100〜400℃の範
囲であれば、特に制限はないが、酸無水物を添加してア
シル化を主に行う場合は、100〜200℃程度の温度
が好ましい。そして、その後、縮合を主に行う場合は、
昇温し、250〜400℃の温度で実施するのが有利で
ある。
【0033】本発明の製造方法においては、上記の酸無
水物およびこれから形成される酸を系外に留去させなが
ら反応を行う。そして、この留去を効率よく実施するた
めに、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを反応系内に流
通させたり、減圧を適用したりすることができる。ま
た、更に重合度を高めたい場合には、固相重合法を適用
することも可能である。
【0034】上記のようにして得られた本発明の芳香族
ポリエステルアミドは、押出成形、射出成形、圧縮成形
などの一般的な溶融成形を行うことが可能であり、成形
品、フィルム、繊維などに容易に加工することができ
る。特に、高流動性、高弾性率、高強度を有することか
ら、精密成形品、薄肉成形品などに適している。
【0035】本発明の芳香族ポリエステルアミドには、
例えば、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維類、タルク、
マイカ、炭酸カルシウムなどのフィラー類、核剤、顔
料、酸化防止剤、滑剤、安定剤、難燃剤などの各種充て
ん剤や添加剤、他の熱可塑性樹脂などを添加し、得られ
る成形品に所望の特性を付与することもできる。また、
他のポリマーとのブレンドやアロイ化によって他のポリ
マーの長所と本発明の芳香族ポリエステルアミドの長所
とを合わせ持つ組成物とすることも可能である。そし
て、本発明の芳香族ポリエステルアミドは、特に、ポリ
アミドと相溶し易い特徴を有する。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、各例で使用した
原料単量体、各物性および特性の測定法は、以下の通り
である。
【0037】<原料単量体> (1)芳香族アミノフェノール単位(a)には、以下の
4種の原料単量体を使用した。これらから形成され構造
単位は、後記の表中においては、以下の( )内の記号
によって表示した。 3−メチル−4−アミノフェノール(構造単位を(a
1)と表示した) 3,5−ジメチル−4−アミノフェノール(構造単位を
(a2)と表示した) 2−フェニル−4−アミノフェノール(構造単位を(a
3)と表示した) 3−アミノ−4−メチルフェノール(構造単位を(a
4)と表示した) p−アミノフェノール(構造単位を(a5)と表示し
た)
【0038】(2)4,4′−ジヒドロキシジフェニル
単位(b)には、4,4′−ジヒドロキシジフェニルを
使用した。 (3)2,6−ナフタレンジカルボン酸単位(c)に
は、2,6−ナフタレンジカルボン酸を使用した。 (4)芳香族ジカルボン酸単位(d)には、テレフタル
酸を使用した。 (5)芳香族オキシカルボン酸単位(e)には、p−ヒ
ドロキシ安息香酸を使用した。
【0039】<各物性および特性の測定法> (1)溶融粘度 フローテスター(島津製作所製)を用い、温度320
℃、剪断速度1000sec-1、シリンダーノズルの長
さ/直径比20の条件で測定した。 (2)IR分析 赤外分光光度計として、Nicolet社製の20D×
BFT−IRを用い、KBrディスクにてテストサンプ
ルとして測定した。 (3)引張試験 成形片をテンシロンにて引張って測定した。なお、前記
成形片は、日本製鋼社製0.1oz射出成形機を用いて
成形し、成形片を作製した。 (4)光学異方性(液晶性) ホットステージ付き偏光顕微鏡を用いて観察した。
【0040】実施例1 撹拌翼、減圧口、N2 導入口を備えた重合管に、3−メ
チル−4−アミノフェノール7.39g(0.06モル
/7.7モル%)、4,4′−ジヒドロキシジフェニル
22.35g(0.12モル/15.3モル%)、2,
6−ナフタレンジカルボン酸19.46g(0.09モ
ル/11.5モル%)、テレフタル酸14.95g
(0.09モル/11.5モル%)、p−ヒドロキシ安
息香酸58.01g(0.42モル/54.0モル%)
を仕込み、減圧下、N2置換した後、N2 シールし、無
水酢酸87.59g(0.86モル)を投入した。重合
管を145℃の油浴に浸漬して撹拌下に1時間反応させ
た後、1.5時間かけて320℃まで昇温した。次い
で、徐々に減圧を適用して重縮合反応を終了してポリマ
ーを得た。
【0041】上記のポリマーは、320℃において自重
で流れ、重合管の底部より抜き出すことが可能であっ
た。また、溶融粘度は280ポイズであり、そして、2
83℃で流動を開始し、光学的異方性(液晶性)を示し
た。また、引張弾性率は95300kg/cm2 、引張
強度は2230kg/cm2 であり、そして、破断伸び
は4.5%であり、極めて靱性の高い値を示した。
【0042】上記のポリマーのIRチャートを図1に示
す。また、元素分析結果を以下に示す(但しカッコ内の
数値は計算値である)。 C:74.25%(73.33%) H: 3.55%( 3.67%) N: 0.73%( 0.78%)
【0043】実施例2 撹拌翼、減圧口、N2 導入口を備えた重合管に、3−メ
チル−4−アミノフェノール14.78g(0.12モ
ル/15.3モル%)、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニル11.17g(0.06モル/7.7モル%)、
2,6−ナフタレンジカルボン酸19.46g(0.0
9モル/11.5モル%)、テレフタル酸14.95g
(0.09モル/11.5モル%)、p−ヒドロキシ安
息香酸58.01g(0.42モル/54.0モル%)
を仕込み、減圧下、N2 置換した後、N2 シールし、無
水酢酸87.59g(0.86モル)を投入した。以
下、実施例1と同様に重合を行いポリマーを得た。この
ポリマーも320℃において自重で流れ、重合管の底部
より抜き出すことが可能であった。また、溶融粘度は2
00ポイズであり、そして、290℃で流動を開始し、
光学的異方性(液晶性)を示した。また、引張弾性率は
102400kg/cm2 、引張強度は2360kg/
cm2 であり、そして、破断伸びは4.0%であり、極
めて靱性の高い値を示した。
【0044】比較例1 p−アミノフェノール13.10g(0.12モル/1
5.4モル%)、4,4′−ジヒドロキシジフェニル1
1.17g(0.06モル/7.7モル%)、2,6−
ナフタレンジカルボン酸19.46g(0.09モル/
11.5モル%)、テレフタル酸14.95g(0.0
9モル/11.5モル%)、p−ヒドロキシ安息香酸5
8.01g(0.42モル/53.9モル%)を用いた
こと以外は、実施例2と同様に重合を行ってポリマーを
得た。このポリマーは320℃において流れ難く、重合
管の底部より抜き出したポリマーの収率は低かった。ま
た、溶融粘度は3500ポイズ、引張弾性率は5610
0kg/cm2 、引張強度は1250kg/cm2 、破
断伸びは1.7%であった。
【0045】実施例3〜6及び比較例2〜3 表1に示すように、芳香族アミノフェノール単位(a)
及び各構造単位の含有割合を変更するために、原料単量
体の種類および仕込み割合を変更した以外は、実施例1
と同様にしてポリマーを得た。上記の結果を表1に示
す。また、実施例1〜2及び比較例の結果も併せて表1
に示す。なお、表1中の(a1)〜(a4)は、下記の
化学式[化3]中の各構造単位を表し、(b)〜(e)
は、前記化学式[化1]中の各構造単位を表す。
【0046】
【化3】
【0047】
【表1】 実 施 例 ─────────────────────────── 1 2 3 4 5 ──────────────────────────────────── <構造単位> a1(7.7) a1(15.3) a1(22.9) a1(23.6) a2(10.0) b(15.3) b(7.7) b(5.7) b(5.0) b(15.0) c(11.5) c(11.5) c(28.6) c(14.3) c(15.0) d(11.5) d(11.5) − d(14.3) d(10.0) e(54.0) e(54.0) e(42.8) e(42.8) e(50.0) <重合温度> (℃) 320 320 320 320 320 <抜き出し性> ○ ○ ○ ○ ○ <溶融粘度> (ポイズ) 280 200 350 400 220 <引張弾性率> (×104 ) 9.53 12.244 11.23 10.87 9.96 <引張強度> 2230 2360 2850 2420 2280 <破断伸び> (%) 4.5 4.0 3.8 3.5 3.7 <液晶性> ○ ○ ○ ○ ○ ────────────────────────────────────
【0048】
【表2】 実施例 比 較 例 ───── ────────────────── 6 1 2 3 ───────────── ────────────────── <構造単位> a2(15.3) a5(15.4) − a5(7.7) b(7.7) b(7.7) b(23.0) b(15.3) c(11.5) c(11.5) c(11.5) − d(11.5) d(11.5) d(11.5) d(23.0) e(54.0) e(53.9) e(54.0) e(54.0) <重合温度> (℃) 320 320 320 320 <抜き出し性> ○ × ○ × <溶融粘度> (ポイズ) 290 3500 250 2800 <引張弾性率> (×104 ) 11.45 5.61 6.29 8.85 <引張強度> 2620 1250 1580 750 <破断伸び> (%) 3.4 1.7 2.5 1.3 <液晶性> ○ ○ ○ − ───────────── ──────────────────
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にれば、高
強度、高弾性率を有し、且つ、流動性、成形性にも優れ
た液晶性ポリエステルアミドが提供される。また、従来
の溶融法ポリエステル製造装置を使用し、何ら支障な
く、上記の液晶性芳香族ポリエステルアミドを製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリマーのIRチャートで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化学式[化1]中(a)〜(e)
    で表される構造単位を以下に記載の割合で含有する芳香
    族ポリエステルアミドであって(但し(d)は任意の構
    造単位)、温度320℃、剪断速度1000sec-1
    条件で測定した溶融粘度が10ポイズ以上であることを
    特徴とする芳香族ポリエステルアミド。 (a):1〜30モル%、(b):2〜30モル&、
    (c):2〜30モル%、(d):0〜30モル%、
    (e):40〜75モル%(但し(a)〜(e)の合計
    は100モル%である) 【化1】 (上記の式中、構造単位(a)において、R1 は水素原
    子またはメチル基、R2 は炭素数1〜6の炭化水素基ま
    たは炭素数1〜6の含酸素炭化水素基、nは1〜4の整
    数を表す)
  2. 【請求項2】 下記の化学式[化2]中(a′)〜
    (e′)で表される原料単量体を以下に記載の割合で使
    用し(但し(d′)は任意の原料成分)、酸無水物の存
    在下、100〜400℃の温度において、酸無水物およ
    びこれから誘導される酸成分を留去させながら上記の原
    料単量体を反応させることを特徴とする請求項1記載の
    芳香族ポリエステルアミドの製造方法。 (a′):1〜30モル%、(b′):2〜30モル% (c′):2〜30モル%、(d′):0〜30モル% (e′):40〜75モル%(但し(a′)〜(e′)
    の合計は100モル%である) 【化2】 (上記の式中、原料単量体(a′)において、R1 、R
    2 及びnは、前記化学式〔化1]中の構造単位(a)に
    おけると同一意義を表す)
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