JP3089685B2 - 共重合ポリエステルの製造方法 - Google Patents

共重合ポリエステルの製造方法

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JP3089685B2 JP03073365A JP7336591A JP3089685B2 JP 3089685 B2 JP3089685 B2 JP 3089685B2 JP 03073365 A JP03073365 A JP 03073365A JP 7336591 A JP7336591 A JP 7336591A JP 3089685 B2 JP3089685 B2 JP 3089685B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シークェンスがより交
互的に制御された新規な液晶性ポリエステルの製造方法
に関するものである。本発明の液晶性ポリエステルは、
高弾性率であり、引張強度、曲げ強度、衝撃強度等が高
く、さらに高伸度であるため靱性があり、かつ同一組
成、同一組成比においては、従来のものに比べ力学特性
だけでなく、耐熱性にも優れているものである。
【0002】本発明の液晶性ポリエステルが、これらの
特徴を示しうるのは、成形時にサーモトロピックな液晶
を形成するとともにシークェンスがより交互的に制御さ
れているからである。また、同一組成、同一組成比にお
いては従来のものに比べてより低温側でも高流動性を示
すという特徴をも有する。そのため、成形材料、フィル
ム、繊維等の製品として非常に有用である。
【0003】特に成形材料としては、自動車部品、電
気、電子部品、薄物成形品、精密成形品として好適であ
る。又、固体耐熱温度と充分に溶融しうる温度との差が
小さいために、高耐熱性の割に低温で重合できるという
重合上の利点もある。
【0004】
【従来の技術】近年、繊維、フィルムまたは成形品の何
れかを問わず、剛性、強度、伸度、耐熱性の優れた素材
に対する要望が高まっている。ポリエステルは、一般成
形品の用途を広く認められるに至っているが、多くのポ
リエステルは曲げ弾性率、曲げ強度が劣るため、高弾性
率、高強度を要求される用途には適していなかった。高
弾性率、高強度が要求される用途に適しているポリエス
テルとして近年では液晶性ポリエステルが注目されるよ
うになった。特に注目を集めるようになったのは、ジャ
ーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・ポリマー・ケミ
ストリー・エディション14巻(1976年)2043
頁、USP3,778,410、USP3,804,8
05及び特公昭56−18016号公報にW.J.ジャ
クソンらがポリエチレンテレフタレートとアセトキシ安
息香酸とからなる熱液晶高分子を発表してからである。
この中でジャクソンらは、この液晶高分子がポリエチレ
ンテレフタレートの5倍以上の剛性、4倍以上の強度、
25倍以上の衝撃強度を発揮することを報告し、高性能
樹脂への新しい可能性を示した。
【0005】しかしながら、このジャクソンらによるポ
リマーは非常にもろく、強度、伸度が低いという欠点が
あった。これは下記式(13)で示されるp−オキシ安
息香酸残基の連鎖の割合が非常に多いことが主原因にな
っていると考えられる。
【化5】
【0006】又、(13)の割合等によって融点、軟化
点等が変動するものと考えられる。一方、このジャクソ
ンらのポリマーを用いて成形加工条件を検討した報文が
数多くある。(例えばJ.A.Cuculoら、Jou
rnal of Polymer Science.P
hysical Edition 26 179(19
88))この報文によると、成形温度を高める程、弾性
率が高くなり、その理由として溶融していないものが低
温側で存在し成形品の高次構造等に欠陥を与えるためだ
としている。(このことは、部分的にしか液晶状態をと
っていないことを示している。)
【0007】これはシークェンス及びその分布、並びに
組成分布が広範にわたって分布しているすなわち不均一
性が大きいためだと考えられる。このことは固体の耐熱
性の割に成形温度を高くしなければ、高性能の物性が発
現できなくなることを意味するとともに、高温側でない
と本来の液晶性が充分に発現しないため、低温側、つま
り溶融開始点およびそれより少し高い温度付近では流動
性も悪化し、液晶性ポリマーの特徴である薄物成形等も
不可能になることを示してしる。
【0008】本出願人らは、以前に、ジャクソンらの開
発したポリエステルの破断伸度を改良する共重合ポリエ
ステルを見出していた(特開昭60−186527
号)。そこでの発想はp−オキシ安息香酸単位の連鎖で
ある上記(13)を少なくするという点にあり、(1
3)を減少させようとする原点はここにある。しかしな
がら、特開昭60−186527号中の製法や特開昭6
0−186525号の製法によれば、できるだけ最初に
p−オキシ安息香酸が連鎖しないように工夫したにもか
かわらずランダム重合体しかできず、今一歩破断伸度が
低く、かつ固体時の耐熱性を維持しうる温度と充分流動
しうる温度との差が大きかった。
【0009】特開昭64−26632号によると、前述
のジャクソンらによる方法で得られた液晶性ポリエステ
ルは、p−オキシ安息香酸がブロック的に重合すること
によって生じたブロック性の高いポリマー((13)の
分率の高いもの)ができることが物性その他を悪化させ
るので、二段階重合法により、ランダム化させ、それに
よって物性向上を図ったとある。
【0010】しかしこの方法によるポリエステルも追試
によると耐熱性は高いものの溶融粘度が高く、流動性が
かなり悪化しており、強度や伸びといった力学特性もあ
まり芳しいものではない。これは上述したように、p−
オキシ安息香酸がランダム的にしか重合されていないこ
とによると思われる。
【0011】さらに特開平2−45524号は、p−ヒ
ドロキシ安息香酸と無水酢酸又はp−アセトキシ安息香
酸とを連続又は分割添加する方法により、改良を図って
いるものの、
【化6】 の比率が80:20(モル比)のとき、HDTは150
℃しかなく、318℃での溶融粘度が770ポイズと特
開昭64−26632号による方法より芳しくないもの
しか得られていない。(特開平2−45524号の実施
例1の記載参照)
【0012】さらに我々は不溶・不融粒子の生成を抑え
た共重合ポリエステルを見出した。(特開昭62−41
221号)しかしながら、このポリエステルは耐熱性に
おいて劣る場合があり、エンジニアリングプラスチック
には不適当である場合があった。又、USP3,89
0,256には耐摩耗性を改良するポリエステルが開示
されているが、このポリエステルも特公昭56−180
16号と同様の方法のため、
【化7】 の連鎖が生成しやすいものであった。そのため不溶・不
融粒子ができやすく、従って得られるポリマーの破断伸
度が低下し、もろくなる傾向にあった。
【0013】又、共重合成分が多すぎるために耐熱性に
劣る場合が多かった。さらに前述のジャクソンらの特許
USP3,804,805によると
【化8】 を用いた場合の例があるが、追試によると耐熱性に劣
り、かつ力学特性も充分ではない。
【0014】さらに特開昭62−267323,62−
285916,63−099227等にも
【化9】 成分を含むものの記載があるが、この方法も本質的にU
SP3,804,805のポリマーと同様のポリマーを
得るだけであり、耐熱性や力学特性が充分ではない。特
開昭52−121095では炭酸ジフェニルを用いる方
法が記載されているが、この方法によっても前述のもの
と同等の特性のものが製造できるにすぎず、耐熱性や力
学特性が充分でない。
【0015】又、特開昭63−317524号において
は、伸びの改良や物性の異方性の改良をエチレングリコ
ール以外の脂肪族ジオール等を用いた系で行う方法が考
えられているが、脂肪族グリコールとしてエチレングリ
コールのみを用いて上記効果(特に伸びの改良)を更に
向上させる方法については、何ら提案されていない。そ
こで、本発明者らは、
【化10】 の構成単位からなる液晶ポリエステルで、さらに引張強
度、曲げ強度、衝撃強度等が高く、高破断伸度でかつ耐
熱性に優れ、固体での耐熱性には優れるが、流動を開始
すると少し高温にするだけで非常に優れた流動性(この
ようにするためにはある温度T1までは固体状態であっ
て耐熱を示し、T2での温度で非常に優れた流動性を示
すとすると、T1はできるだけ高く、T2−T1はできる
だけ小さくすればよい。)を示し、そのため成形性にす
ぐれ、かつ共重合体であっても固体状態でできるだけ高
い結晶性を示すことにより力学特性の向上を図ったり、
耐加水分解性の向上を図ったり、又フィラー等を混合し
た際に力学特性や熱的特性の大幅向上を図ったりするこ
とが可能になりうる系があると考え、それはシークェン
スや組成分布を制御すること、具体的には後述するよう
により交互的なシークェンスにすることであると考え、
鋭意検討した。その結果、上記特性を持つ液晶性ポリエ
ステルを製造する方法を見出した。(特開平4−218
526号)しかし上記特開平4−218526号の1,
2−エチレンビス−4−ヒドロキシベンゾエートまたは
1,2−エチレンビス−4−アセトキシベンゾエートを
使用する製造方法では製造時に昇華の問題や副反応の問
題等が生じる。更にこれらの化合物の合成時に強力なエ
ステル化触媒や、強力なエステル交換触媒を使用するた
め、その触媒がこれらの化合物中に微量残存し、生成す
る液晶性ポリエステルの物性に悪い影響をおよぼしやす
い。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで本発明らは上記の
問題が生じない特願平2−91640号の共重合ポリエ
ステルの製造方法を鋭意検討の結果、
【化11】 の化合物を使用することで達成することを見出し、本発
明に到達した。すなわち、昇華の問題がなく、生成ポリ
エステル中に原料由来の微量の強力なエステル化触媒
や、強力なエステル交換触媒が存在しない液晶性ポリエ
ステルの製造方法を見出し、本発明に到達した。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
液晶性ポリエステルの特徴は、高強度かつ破断伸度が高
いので、靱性のあるポリマーであり、更に同一組成、同
一組成比の中では非常に優れた固体での耐熱性を有し、
さらに前述のT2 −T1 が非常に小さいために、低い温
度で成形できるという特徴を有し、そのうえ一般的に低
い温度で、すなわち融点より少し高い温度で成形した方
が力学特性に優れるという特徴を有する。
【0018】さらにこれらの液晶ポリエステルは固体状
態で高い液晶性を示すので耐加水分解性が向上したり、
フィラー等を混合した際に力学特性、熱特性が向上しう
るという特徴を有する。このような液晶性ポリエステル
を開発できたのは、以下に示す考えに基づき、本発明に
到達したからである。
【0019】すなわち、主に下記構成単位(1),
(2),(4)
【化12】 をできるだけ少なくすることにより達成できると考え
た。
【0020】従来のジャクソンらの結晶性ポリエステル
の改良である特開昭60−186527号、特開昭64
−26632号及び特開平2−45524号では耐熱性
や力学特性の改良はされるもののそれらはあくまでも
【化13】 成分がブロック的に重合体中に存在していたのをランダ
ム的にしたにすぎず、又そのランダム性については定性
的で、そのランダム性の尺度を定量化してはいなかっ
た。
【0021】本発明者らは上記成分が重合体中にランダ
ム的に存在するのでは前述の物性をすべて満足すること
はできず、交互的に存在させることによってそれが達成
されることを見出した。(特開平4−218526号)
本発明は特開平4−218526号に記載されているよ
うなより交互的に制御されたシークェンスを持つ液晶性
ポリエステルの改良製造方法である。すなわち、本発明
の製造方法によって得られる液晶性ポリエステルは下記
式(1)で表わされるジカルボン酸単位
【化14】 (式中、R1は前記の通り)下記式(2)で表わされる
ジオール単位 −OCH2CH2O− …(2) 下記式(4)で表わされる安息香酸単位
【化15】 からなる液晶性ポリエステルであって、各モル数が
【数2】 の範囲であって、オキシ安息香酸単位のうち、そのカル
ボニル基側にジオール単位が存在するオキシ安息香酸単
位を(4−4)
【化16】 とすると下記式で定義されるr3
【数3】 の範囲である。尚、r3の測定方法については特開平4
−218526号に記載されている通りである。本発明
の製造方法により製造される液晶性ポリエステルの特徴
は、 1.高い引張り強度、曲げ強度を有する。 2.高い衝撃強度を有する。 3.高い破断伸度を有する。 4.同一組成、組成比での耐熱性は高い。 5.T2−T1が小さいので成形温度を低くできる。 6.より低温での成形品の方が力学特性優れる。 7.溶融粘度のみかけの活性化エネルギーが小さい。 8.結晶性が高い。 9.耐加工水分解性が良好である。 10.フィラー等の混合の効果が顕著に現れる。 等である。なお本発明の製造方法によって製造されるポ
リマーの物性は力学特性と熱特性のバランスが従来のも
のに比べてはるかに優れているものであって、個々の物
性においては劣る場合もありうる。
【0022】又、耐熱性が高い割に成形温度を低くでき
るということは、製造時の重合温度を低くできるという
ことにもつながり、従来の製造装置で耐熱性の良好なポ
リマーを製造しうるということを意味する。式(1)で
示されるジカルボン酸単位のR1 としては炭素数6〜1
8の2価の芳香族炭化水素基を示し、具体的には
【化17】 等を挙げることができる)等が挙げられる。これらは単
独に用いられてもよいし、混合して共重合体となってい
てもよい。これらのうち
【化18】 の1つから選ばれることが好ましく、又これらの合計が
1 のモル比で50%以上、より好ましくは66%以上
しめるのがよい。
【0023】好ましい混合系としては
【化19】 等挙げることができる。これらは勿論3種以上を用いて
もよいが、二種までが好ましい。
【0024】以下に本発明の製造法について説明する。
まず原料として
【化20】 に無水酢酸を加えて100〜170℃でアセチル化等を
行う。これは5分〜3時間、好ましくは20分〜1.5
時間である無水酢酸のモル数を[16]とすると、無水
酢酸の量は
【数4】
【0025】アセチル前に(8),(9),(10),
(11)をあらかじめ反応させておいても良く、また
(11),(9),(10)をあらかじめ反応させてお
いてもよい。その場合
【数5】 の範囲内で行うのが好ましく、特に
【数6】 が好ましい。
【0026】この反応は溶媒を用いて行ってもよいが、
その後の除去等を考えると無溶媒で行うのが好ましい。
(11)と(9)および/または(8)を反応させる場
合には(11)が溶融させているところへ(9)および
/または(8)を添加させるのが良い。ただしあまり高
温になりすぎると、(11)と(9)より
【化21】 構造ができてくるので好ましくない。
【0027】そのため、温度としては145℃〜220
℃で行うのが好ましい。特に170℃〜210℃がより
好ましい。(11)と(10)および/または(8)の
場合には
【化22】 構造ができにくいので少し高温になっても良いが、あま
り高温になると(13)の構造が反応初期時にできてし
まうので好ましくない。
【0028】具体的には145℃〜230℃て゛行うの
が好ましい。(11)と(8)の比率は重合度の観点か
【数7】 の場合には、耐熱性が低下し、液晶性も低下するため流
動性が悪化し、好ましくない。
【0029】(8)の全部又は一部、(10)の全部又
は一部はアセチル化中およびアセチル化後に添加しても
よい。アセチル化が終了するとその後昇温して重合に入
る。重合は220〜340℃で重合させるが、特に26
0〜320℃で行なうのが好ましい。特に265〜30
0℃で行うのが好ましい。特に265〜290℃が好ま
しく、最も好ましくは265〜280℃である。260
℃未満では重合速度が非常に遅く、320℃をこえると
生成するポリマーの物性が悪化して好ましくない。重合
温度が低い方がエステル交換反応がおこりにくく好まし
い。
【0030】本発明の製造方法は、固体の耐熱性のわり
に低温で重合できるというメリットもある。又、760
mmHgから1mmHgまで徐々に減圧にする場合に要する時間
は30分以上、好ましくは60分以上の時間で実施さ
れ、特に30mmHgから1mmHgまでの減圧を徐々に行うこ
とが重要である。重合時無触媒でも可能であるが必要に
応じ触媒の存在下で実施される。使用される触媒として
はエステル交換触媒、重縮合触媒、アシル化触媒、脱カ
ルボン酸触媒が使用され、これらは混合して使用しても
かまわない。好ましい触媒としては、Sn(OA
c)2 ,Sb2 3 ,Fe(acac)3 ,Co(OA
c)2 ,NaOAc,KOAc等が挙げられる。その使
用量はポリマーに対して5〜50,000ppm 好ましく
は10〜5,000ppm である。更に好ましくは20〜
500ppm である。
【0031】本発明の製造方法と特開昭63−3175
24号に記載の方法との違いについて言えば、特開昭6
3−317524号の発明者等は前述のように脂肪族グ
リコールがエチレングリコールのみで物性が改良できる
とは考えておらず、C3 以上がエステル交換やアシドリ
シス反応がいきにくいのでそれを改良したといってい
る。又、かれらは本発明者らの先願(特開昭60−18
6525号)を引用してこの方法でエチレングリコール
を用いればアシドリシスが充分行われると考えており、
エチレングリコールのみで物性改良ははじめから考えて
いない。
【0032】本発明者らは前述のようにエチレングリコ
ールの場合でもエステル交換やアシドリシスは充分では
なく、そのため、製造上
【化23】 の連鎖をはじめから少なくするようにしておけばよいと
考えたわけであり、特開昭63−317524の発明者
らがエチレングリコールの場合はエステル交換やアシド
リシスが充分に行なわれると考えているのと大いに異な
るのである。
【0033】また、本発明の製造方法による液晶性ポリ
エステルは溶融相において光学的異方性を示す。特に溶
融を始めると溶融開始温度から少し温度を高めるだけで
固体部分がほとんどなくなり、ほとんどすべてが液晶状
態をとりうるので、流動性がηinh みあいで従来のポリ
エステルよりもはるかによいという特徴を有する。その
ため成形性が良好で押出成形、射出成形、圧縮成形等の
一般的な溶融成形を行なうことが可能であり、成形品、
フィルム、繊維等に加工することができる。
【0034】特に高流動であることより精密成形品等に
適している。例えば自動車用部品、コンパクトディスク
やフロッピーディスク等情報材料の部品、コネクター、
ICソケット等の電子材料の部品等に使用されうる。
又、成形時に本発明の製造方法による共重合ポリエステ
ルに対し、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維類、タルク、
マイカ、炭酸カルシウム等のフィラー類、核剤、顔料、
酸化防止剤、滑剤、その他安定剤、難燃剤等の充てん剤
や添加剤、熱可塑性樹脂等を添加して成形品に所望の特
性を付与することも可能である。又、他のポリマーとの
ブレンドやアロイ化によって他のポリマーの特徴と本発
明の共重合ポリエステルの両方の長所を合わせもつ組成
物を創出することも可能である。
【0035】
【実施例】次に本発明について更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例中の溶融粘度の測定に
は、島津製フローテスターを用い、剪断速度1000se
c -1、シリンダーノズルの長さ/直径=20を使用し
た。光学異方性(液晶性)は、ホットステージ付偏光顕
微鏡を用いて観察した。
【0036】成形は日本製鋼社製0.1oz射出成形機を
用いて行い、成形片を作成した。引張特性(引張弾性
率、引張強度、破断伸度)は上記0.1oz成形品につい
て、東洋ボールドウィン社製TENSILON/UTM
−III Lを用いて測定した。尚、引張特性の破断伸度に
ついては、0.1ozの成形片(ダンベル片)はASTM
成形片に比べて伸びが低く、強度もかなり低い値を示
す。従って、この成形片で伸びが3.2%以上であると
かなりねばり強いポリマーと言うことができる。また、
3.0%未満では、かなり脆いポリマーと言うことがで
きる。
【0037】参考例
【化24】 p−ヒドロキシ安息香酸138重量部、Na2 CO3
重量部、イソプロパノール300重量部をオートクレー
ブに仕込み、90℃にてエチレンオキサイド66重量部
を添加し反応を行なった。反応後冷却して析出物をろ過
し、水より2度再結晶して融点141℃の
【化25】 を55重量部得た。構造は 1H−NMRで確認した。
【0038】実施例1 攪拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラス重合管に
【化26】 を仕込み、N2 −減圧置換後、N2 フローにし系を攪拌
しながら昇温した。170℃で透明になり180℃にな
ったところで2時間保持し、次に200℃に昇温し1時
間保持した。反応が進むにつれて系は不透明になり最終
的に固化した。次に、
【化27】 を添加し、攪拌しながら140℃に保ち1時間アシル化
を行った。その後1.5時間かけて275℃まで昇温し
減圧を始めた。減圧は最初の1時間で10mmHgにし、以
後1.5時間かけて10mmHgから0.3mmHgにした。
0.3mmHgで1時間重合を行ったところで充分トルクが
上がったので重合を終了した。昇華はほとんど認められ
なかった。その後静置し、復圧して重合管の底からポリ
マーを抜き出した。抜き出し性は非常に良好であった。
チップ化した後120℃で一晩乾燥させた。このポリマ
ーのηinh は1.00dl/gであり、溶融粘度は275℃
で730ポイズであった。次に0.1oz射出成形機にて
ダンベル片を成形し機械的物性を測定したところ破断伸
度3.3%強度2,000kg/cm2 、弾性率9.0×1
4kg /cm2 であった。
【0039】実施例2 攪拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラス重合管に
【化28】 を仕込みN2 −減圧置換後、N2 フローにし系を攪拌し
ながら昇温した。200℃で透明になり2時間保持して
反応させた。次に、
【化29】 を添加し、攪拌しながら140℃になったところで1時
間保持した。その後1.5時間かけて275℃まで昇温
し減圧を始めた。減圧は最初の1時間で10mmHgにし、
以後1.5時間かけて10mmHgから0.3mmHgにした。
0.3mmHgで3時間重合を行ったところで充分トルクが
上がったので重合を終了した。昇華はほとんど認められ
なかった。その後静置し、復圧して重合管の底からポリ
マーを抜き出した。抜き出し性は非常に良好であった。
チップ化した後120℃で一晩乾燥させた。このポリマ
ーのηinh は1.03dl/gであり、溶融粘度は275℃
で700ポイズであった。次に0.1oz射出成形機にて
ダンベル片を成形し機械的物性を測定したところ、破断
伸度3.4%、強度2,020kg/cm2 、弾性率9.5
×104kg /cm2 であった。
【0040】実施例3 撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラス重合管に
【化30】 を仕込みN2 減圧置換後、N2 フローにし系を撹拌しな
がら200℃に昇温し、2時間保持して反応させた。次
に無水酢酸20.5g(0.201モル)を添加し、そ
の後実施例1と同様に行った。ただし重合時間は全体で
3時間であった。昇華はほとんど認められなかった。ポ
リマーの抜出性は良好でηinh =1.13であった。こ
のポリマーの強度は2040kg/cm2 、弾性率9.5×
104 kg/cm2 、破断伸びは3.6%であった。
【0041】
【発明の効果】本発明の製造方法は原料として
【化31】 が安価なため製造コストを安くすることができる。また
原料中に強力なエステル化触媒や、強力なエステル交換
触媒を使用していないためエステル交換等の副反応が少
なく工業的に非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−120317(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表わされるジカルボン酸
    単位、 【化1】 ((1)式中、R1 は炭素数6〜18の2価の芳香族炭
    化水素基を示す。)下記式(2)で表わされるジオール
    単位、 −OCH2 CH2 O− …(2) 下記式(4)で表わされるオキシ安息香酸単位 【化2】 から成る共重合ポリエステルを製造するにあたり出発原
    料として下記式(11)で表わされる化合物 【化3】 および無水酢酸を反応させ、溶融状態で重縮合すること
    を特徴とする液晶性ポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 式(9)の化合物が 【化4】 であり、(9−1),(9−2),(10−1),(1
    0−2)のモル数を〔9−1〕,〔9−2〕,〔10−
    1〕,〔10−2〕とすると 【数1】 を満たすことを特徴とする請求項第1項記載の液晶性ポ
    リエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 溶融重合を280℃以下で行うことを特
    徴とする請求項第1項記載の液晶性ポリエステルの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 式(11)の化合物と一部又は全部の式
    (9)および/または式(10)および/または式
    (8)の化合物を仕込んで反応させる反応温度を230
    ℃以下で行うことを特徴とする請求項第1項記載の液晶
    性ポリエステルの製造方法。
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