JP3136744B2 - 液晶性ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

液晶性ポリエステルおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シークェンスがより交
互的に制御された新規な液晶性ポリエステルおよびその
製造方法に関するものである。本発明の液晶性ポリエス
テルは、高弾性率であり、引張強度、曲げ強度、衝撃強
度等が高く、さらに高伸度であるため靱性があり、かつ
同一組成、同一組成比においては、従来のものに比べ力
学特性だけでなく、耐熱性にも優れているものである。
本発明の液晶ポリエステルが、これらの特徴を示しうる
のは、成形時にサーモトロピックな液晶を形成するとと
もにシークェンスがより交互的に制御されているからで
ある。また、同一組成、同一組成比においては従来のも
のに比べてより低温側でも高流動性を示すという特徴を
も有する。そのため、成形材料、フィルム、繊維等の製
品として非常に有用である。
【0002】特に成形材料としては、自動車部品、電
気、電子部品、薄物成形品、精密成形品として好適であ
る。又、固体耐熱温度と充分に溶融しうる温度との差が
小さいために、高耐熱性の割に低温で重合できるという
重合上の利点もある。
【0003】
【従来の技術】近年、繊維、フィルムまたは成形品の何
れかを問わず、剛性、強度、伸度、耐熱性の優れた素材
に対する要望が高まっている。ポリエステルは、一般成
形品の用途を広く認められるに至っているが、多くのポ
リエステルは曲げ弾性率、曲げ強度が劣るため、高弾性
率、高強度を要求される用途には適していなかった。
【0004】高弾性率、高強度が要求される用途に適し
ているポリエステルとして近年では液晶性ポリエステル
が注目されるようになった。特に注目を集めるようにな
ったのは、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・
ポリマー・ケミストリー・エディション14巻(197
6年)2043頁、USP3,778,410、USP
3,804,805及び特公昭56−18016号公報
にW.J.ジャクソンらがポリエチレンテレフタレート
とアセトキシ安息香酸とからなる熱液晶高分子を発表し
てからである。この中でジャクソンらは、この液晶高分
子がポリエチレンテレフタレートの5倍以上の剛性、4
倍以上の強度、25倍以上の衝撃強度を発揮することを
報告し、高性能樹脂への新しい可能性を示した。
【0005】しかしながら、このジャクソンらによるポ
リマーは非常にもろく、強度、伸度が低いという欠点が
あった。これは下記式で示されるp−オキシ安息香酸単
位の連鎖の割合が非常に多いことが主原因になっている
と考えられる。
【0006】
【化11】
【0007】又、該連鎖の割合等によって融点、軟化点
等が変動するものと考えられる。一方、このジヤクソン
らのポリマーを用いて成形加工条件を検討した報文が数
多くある。(例えばJ.A.Cuculoら、Jour
nal of Polymer Science.Ph
ysical Edition 26179(198
8)) この報文によると、成形温度を高める程、弾性率が高く
なり、その理由として溶融していないものが低温側で存
在し成形品の高次構造等に欠陥を与えるためだとしてい
る。(このことは、部分的にしか液晶状態をとっていな
いことを示している。) これはシークェンス及びその分布、並びに組成分布が広
範にわたって分布しているすなわち不均一性が大きいた
めだと考えられる。
【0008】このことは固体の耐熱性の割に成形温度を
高くしなければ、高性能の物性が発現できなくなること
を意味するとともに、高温側でないと本来の液晶性が充
分に発現しないため、低温側、つまり溶融開始点および
それより少し高い温度付近では流動性も悪化し、液晶性
ポリマーの特徴である薄物成形等も不可能になることを
示している。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】本出願人らは、以前
に、ジャクソンらの開発したポリエステルの破断伸度を
改良する共重合ポリエステルを見出していた(特開昭6
0−186527号)。そこでの発想は上述したp−オ
キシ安息香酸単位の連鎖を少なくするという点にあり、
該連鎖を減少させようとする原点はここにある。
【0010】しかしながら、特開昭60−186527
号中の製法や特開昭60−186525号の製法によれ
ば、できるだけ最初にp−オキシ安息香酸が連鎖しない
ように工夫したにもかかわらずランダム重合体しかでき
ず、今一歩破断伸度が低く、かつ固体時の耐熱性を維持
しうる温度と充分流動しうる温度との差が大きかった。
【0011】特開昭64−26632号によると、前述
のジャクソンらによる方法で得られた液晶性ポリエステ
ルは、p−オキシ安息香酸がブロック的に重合すること
によって生じたブロック性の高いポリマー(上記連鎖の
分率の高いもの)ができることが物性その他を悪化させ
るので、二段階重合法によりランダム化させ、それによ
って物性向上を図ったとある。
【0012】しかしこの方法によるポリエステルも追試
によると耐熱性は高いものの溶融粘度が高く、流動性が
かなり悪化しており、強度や伸びといった力学特性もあ
まり芳しいものではない。これは上述したように、p−
オキシ安息香酸がランダム的にしか重合されていないこ
とによると思われる。
【0013】さらに特開平2−45524号は、p−ヒ
ドロキシ安息香酸と無水酢酸又はp−アセトキシ安息香
酸とを連続又は分割添加する方法により、改良を図って
いるものの、p−オキシ安息香酸単位と以下に示すポリ
エチレンテレフタレート構成単位
【0014】
【化12】
【0015】の比率が80:20(モル比)のとき、H
DTは150℃しかなく、318℃での溶融粘度が77
0ポイズと特開昭64−26632号による方法より芳
しくないものしか得られていない(特開平2−4552
4号の実施例1の記載参照)。さらに我々は不溶・不融
粒子の生成を抑えた共重合ポリエステルを見出した(特
開昭62−41221号)。
【0016】しかしながら、このポリエステルは耐熱性
において劣る場合があり、エンジニアリングプラスチッ
クスには不適当である場合があった。又、USP3,8
90,256には耐摩耗性を改良するポリエステルが開
示されているが、このポリエステルも特公昭56−18
016号と同様の方法のため、p−オキシ安息香酸単位
の連鎖が生成しやすいものであった。そのため不溶・不
融粒子ができやすく、従って得られるポリマーの破断伸
度が低下し、もろくなる傾向にあった。
【0017】又、共重合成分が多すぎるために耐熱性に
劣る場合が多かった。さらに前述のジャクソンらの特許
USP3,804,805によると、m−オキシ安息香
酸単位を導入した場合の例があるが、追試によると耐熱
性が劣り、かつ力学特性も充分ではない。さらに特開昭
62−267323、62−285916、63−09
9227等にもm−オキシ安息香酸単位を含むものの記
載があるが、この方法も本質的にUSP3,804,8
05のポリマーと同様のポリマーを得るだけであり、耐
熱性や力学特性が充分ではない。
【0018】特開昭52−121095では炭酸ジフェ
ニルを用いる方法が記載されているが、この方法によっ
ても前述のものと同等の特性のものが製造できるにすぎ
ず、耐熱性や力学特性が充分でない。又、特開昭63−
317524号においては、伸びの改良や物性の異方性
の改良をエチレングリコール以外の脂肪族ジオール等を
用いた系で行う方法が考えられているが、脂肪族グリコ
ールとしてエチレングリコールのみを用いて上記効果
(特に伸びの改良)を更に向上させる方法については、
何ら提案されていない。
【0019】そこで本発明者らは、主として
【0020】
【化13】
【0021】の構成単位からなる液晶ポリエステルで、
さらに引張強度、曲げ強度、衝撃強度等が高く、高破断
伸度でかつ耐熱性に優れ、固体での耐熱性には優れる
が、流動を開始すると少し高温にするだけで非常に優れ
た流動性(このようにするためにはある温度T1 までは
固体状態であって耐熱を示し、T2 での温度で非常に優
れた流動性を示すとすると、T1 はできるだけ高く、T
2 −T1 はできるだけ小さくすればよい。)を示し、そ
のため成形性にすぐれ、かつ共重合体であっても固体状
態でできるだけ高い結晶性を示すことにより力学特性の
向上を図ったり、耐加水分解性の向上を図ったり、又フ
ィラー等を混合した際に力学特性や熱的特性の大幅向上
を図ったりすることが可能になりうる系があると考え、
それはシークェンスや組成分布を制御すること、具体的
には後述するようにより交互的なシークェンクスにする
ことであると考え、鋭意検討した。
【0022】その結果、上記特性を持つ液晶性ポリエス
テルを製造する方法を見出した(特願平2−91640
号)。しかし上記特願平2−91640号のポリエステ
ルではまだ機械的特性が充分ではなかった。
【0023】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは上記
ポリエステルより機械的特性が良いポリエステルを開発
すべく鋭意検討の結果、さらにKink成分であるm−
オキシ安息香酸単位
【0024】
【化14】
【0025】を導入することによってより強度、破断伸
度が向上することを見出し、本発明に到達した。すなわ
ち、 1)オキシ安息香酸単位を統計上交互的にすること。 2)Kink成分、特にKink成分としてm−オキシ
安息香酸単位を導入すること。 この2つの要素の結合により本発明に到達したわけであ
る。
【0026】すなわち、本発明の要旨は、下記式(1)
で表わされるジカルボン酸単位、
【化15】−CO−R1 −CO− …(1) (式中、R1 は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素
基を示す。) 下記式(2)で表わされるジオール単位、
【化16】−OCH2 CH2 O− …(2) および下記式(3)で表わされるオキシ安息香酸単位
【0027】
【化17】
【0028】からなるポリエステル(式(3)は下記式
(4)の単位または(5)の単位を表わす。)であり、
かつ、以下に示す〜の条件を満たすことを特徴とす
る液晶性ポリエステル。
【0029】
【化18】
【0030】 上記構成単位(1),(2),
(3),(4),(5)の各々のモル数〔1〕,
〔2〕,〔3〕,〔4〕,〔5〕が下記式(I)及び
(II)を満足すること。
【数6】 0.65≦〔3〕/(〔1〕+〔3〕)≦0.88 (I) 0.02≦〔5〕/(〔4〕+〔5〕)≦0.15 (II) 式(3)で表わされるオキシ安息香酸単位のうち、
そのカルボニル基(−CO−)側の隣に式(2)で表わ
されるジオール単位が存在するオキシ安息香酸単位を
(3−1)、
【0031】
【化19】
【0032】とすると(3−1)のモル数を〔3−1〕
としたとき下記式(III)
【0033】
【数7】
【0034】により定められるr3 が、0≦r3 ≦0.
88、の範囲であること。 p−クロロフェノール/o−ジクロロベンゼン中
(30℃,濃度:0.5g/dl)で測定した溶液粘度
が0.4dl/g以上であること。 尚、オキシ安息香酸単位を統計上交互的にするとは、真
の意味ではp−オキシ安息香酸単位を統計上交互に(つ
まりp−オキシ安息香酸単位の連鎖の分率をランダムよ
り少なく)するということであるが、m−オキシ安息香
酸単位成分がp−オキシ安息香酸単位に比べて少量であ
るということにより、以下に示すようなm−オキシ安息
香酸単位を含む連鎖の量はきわめて少ない。
【0035】
【化20】
【0036】また、分析上はこれらの連鎖を上述したp
−オキシ安息香酸単位の連鎖と区別をつけることは現時
点でできていないのでこれらは一括してまとめて下記一
般式で表わすこととした。
【0037】
【化21】
【0038】すなわち、上述のオキシ安息香酸単位
(3)が交互的であるということは、p−オキシ安息香
酸単位が交互的であるということとおおむね対応する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の液晶性ポリエ
ステルの特徴は、高強度かつ破断伸度が高いので、靱性
のあるポリマーであり、更に同一組成、同一組成比の中
では非常に優れた固体での耐熱性を有し、さらに前述の
2 −T1 が非常に小さいために、低い温度で成形でき
るという特徴を有し、そのうえ一般的に低い温度で、す
なわち融点より少し高い温度で成形した方が力学特性に
優れるという特徴を有する。
【0039】さらにこれらの液晶性ポリエステルは固体
状態で高い結晶性を示すので耐加水分解性が向上した
り、フィラー等を混合した際に力学特性、熱特性が向上
しうるという特徴を有する。このような液晶性ポリエス
テルを開発できたのは、以下に示す考えに基づき検討し
たからである。
【0040】すなわち、主にジカルボン酸単位、ジオー
ル単位、p−オキシ安息香酸単位及びm−オキシ安息香
酸単位から成るポリマーを製造するにあたり、p−オキ
シ安息香酸単位の連鎖をできるだけ少なくすることによ
り達成できると考えた。従来のジャクソンらの液晶性ポ
リエステルの改良である特開昭60−186527号、
特開昭64−26632号及び特開平2−45524号
では耐熱性や力学特性の改良はされるもののそれらはあ
くまでもp−オキシ安息香酸単位がブロック的に重合体
中に存在していたのをランダム的にしたにすぎず、又そ
のランダム性については定性的で、そのランダム性の尺
度を定量化してはいなかった。
【0041】本発明者らは上記成分が重合体中にランダ
ム的に存在するのでは前述の物性をすべて満足すること
はできず、統計的に交互的に存在させることによってそ
れが達成されることを見出した。即ち、本発明の液晶性
ポリエステルは、下記式(III)
【0042】
【数8】
【0043】により定められるパラメーターr3 (シー
クェンス生成性比)を使用したとき、r3 が0≦r3
0.88を満たすことが必要である。
【0044】ここで、{(〔3〕−2×〔2〕)/
〔3〕}を〔A〕とおくと、r3 について好ましくは
〔A〕≦r3 ≦0.85、さらに好ましくは、
【数9】 〔A〕+0.2×〔2〕/〔3〕≦r3 ≦0.83、特
に好ましくは、 〔A〕+0.4×〔2〕/〔3〕≦r3 ≦0.80、最
も好ましくは、 〔A〕+0.6×〔2〕/〔3〕≦r3 ≦0.76であ
る。
【0045】ただし、前述のように〔3〕>2×〔2〕
の場合は、〔A〕≦r3 とするのが正しいが、計算上の
誤差等を考慮すると、〔A〕−0.03≦r3 としてお
くのがより好ましい。これらの意味について以下に述べ
る。尚、式(V)の導出については、B.Vollme
rt編、Polymer Chemistry;Spr
inger−Verlag:NY 1973P.117
〜P.123の記載に基づいて行なった。
【0046】具体的に上の式の意味を述べれば、式
(3)で示されるオキシ安息香酸単位のシークェンスの
カルボニル側の隣には、下記式(a)及び(b)におい
て点線で示される通り、異なる2種類の単位が連結しう
ると考えられる。尚、下式(a)は、上述のオキシ安息
香酸単位の連鎖となっている場合を示し、下式(b)
は、上述のカルボニル基側の隣にジオール単位が存在す
るオキシ安息香酸単位(3−1)と同じである。
【0047】
【化22】
【0048】ここで式(a)及び(b)において下線部
に相当する単位のモル数を〔a〕、〔b〕とすると、
〔3〕≒〔a〕+〔b〕(尚、〔3〕=〔4〕+
〔5〕)である。ただし、末端基等があったり、主鎖中
に下記式で示される酸無水物結合
【0049】
【化23】
【0050】または
【化24】−CO−R1 −CO−O−CH2 CH2O− で表わされる結合等がある場合が考えられるので、上記
式の右辺と左辺は必ずしも等しくはならない。尚、実際
上意味ある式は
【0051】
【数10】
【0052】であるが、後で述べるr3 を求める分析法
では〔a〕が求まるのではなく〔b〕と〔3〕が求まる
ため、〔a〕=〔4〕−〔b〕と仮定して(IV)式を便
宜上、上述した式(III)で表わしたものである。
(1)、(2)、(3)の比率としては後で述べるが、
(III)式においてはアミン分解後物のNMR法により求
めた値を採用した。
【0053】(1)、(2)、(3)の比率はメタノー
ル分解後のガスクロマトグラフィー法でも求めることが
可能であり、NMR法とよい一致を示す。次に、r3
意味について述べる。一般に高分子の共重合体製造時に
モノマー反応性比という概念がある。その場合2種のモ
ノマーM1 ,M2 があり活性種〜M1*のとなりにモノマ
ーM1 が入る確率をW11とし、M1 ,M2 の濃度を〔M
1 〕,〔M2 〕で示すと、下記一般式
【0054】
【数11】
【0055】で表わされる。(ここで、R1 =k11/k
12;k11は〜M1*のとなりにM1 が入る反応速度定数。
12は〜M1*のとなりにM2 が入る反応速度定数)。そ
のためR1 は結局〜M1*のとなりにM1 あるいはM2
入る反応速度定数比ということになる。一般にはW11
ポリマーを分析することによって求められる場合もあ
り、ビニル化合物系の連鎖重合の場合は、モノマー消費
量(あるいはポリマー中の組成比)よりR1 を求める場
合もある。
【0056】本発明の反応系のような場合は、逐次反応
であり、かつエステル交換のような副反応も考える必要
があるので、モノマー反応性比R1 が即ポリマーの組成
やシークェンスを決定するものではないが、同様な考え
方をすることは可能である。すなわちモノマーの反応性
比はわからないが、W11をポリマーから決定できれば、
それはシークェンスの生成比率を決定することができる
と考えられる。すなわち、W11は〔M1 −M1 〕/〔M
1 〕で置き換えることができる。(尚、〔M1 −M1
はM1 のとなりにM1 のある濃度を示す。) そこで本発明者らは、新たにr3 としてシークェエンス
生成性比と名づけ、上の式と同様な
【0057】
【数12】
【0058】を使用し、r3 を定義した。尚、上の式で
〔a〕/〔3〕は、前記一般式(3)で示されるオキシ
安息香酸単位が前記一般式(a)で示されるような連鎖
になっている比率すなわち確率を表わしている。
【0059】以上の事柄を考慮し、かつ前述のように分
析上の問題から〔a〕=〔3〕−〔b〕と仮定して上述
の式(III)を求め、これによりr3を計算した(尚、
〔b〕=〔3−1〕)。また、この場合本来はp−オキ
シ安息香酸の連鎖の比率に基づいてr3 を計算すべきで
あるが、m−オキシ安息香酸を含むオキシ安息香酸の連
鎖は、現時点でp−オキシ安息香酸同士の連鎖と分析上
の区別が困難であること、及びm−オキシ安息香酸単位
の量が少ないためm−オキシ安息香酸を含む連鎖の割合
が極めて低いと考えられることから、p−オキシ安息香
酸の連鎖の比率を、前記一般式(a)で表わされるオキ
シ安息香酸の連鎖の比率に置き換えてr3 を計算した。
【0060】また、式(III)中〔3〕−〔3−1〕/
〔3〕は、前述のオキシ安息香酸単位(3)のうち、前
記式(3−1)で示される構成になっているものを除い
たものの比率、すなわち確率を表わしている。ここで、
以下に示す構造については、(3−1)の構造を形成す
る単位は、下線部をつけた部分、すなわち2回分あると
考える。
【0061】
【化25】
【0062】r3 >1で(3)は(2)に対してブロッ
ク的なシークェンスになっており、r3 の値が大きくな
る程、よりブロック性が高い。すなわちオキシ安息香酸
単位の連鎖の割合が大になることを意味する。r3 ≒1
で(3)は(2)に対して、ランダムなシークェンスに
なっており、これはポリマー中のオキシ安息香酸連鎖の
(3)に対する比率が(3)と(2)の合計を全体の組
成としたときの(3)の組成比とほぼ同一であることを
意味する。
【0063】さらにr3 <1になるとオキシ安息香酸の
連鎖の比率が小さくなってくる。すなわち(3)は
(2)に対して交互的になることを意味し、r3 が小さ
くなる程交互的であることを意味する。r3 =0のとき
オキシ安息香酸の連鎖は生成しないことを意味する。た
だし(3)の比率がふえてきたとき、すなわち〔3〕>
2×〔2〕になったとき、r3 は実質的上、
【数13】r3 ≧{〔3〕−2×〔2〕}/〔3〕 である。
【0064】
【数14】r3 ={〔3〕−2×〔2〕}/〔3〕のと
き、ある意味で理想的交互共重合体といえる。逆の面か
らみると、r3 >1のときは
【化26】 −CO−R1 −CO−O−CH2 CH2 −O− (14) のシークェンスの分率が多いということであり、r3
1のときは(14)のシークェンスが統計的にランダム
な分率だけであり、r3 <1のときは(14)のシーク
ェンスが減少していることを意味する。
【0065】すなわち従来の同様の組成、組成比の液晶
性ポリエステルは本発明のポリエステルに比べて(1
4)のシークェンスが多くなっているということができ
る。従来の製法では(14)のシークェンスを減少させ
ることが困難であったためである。分析上の問題から測
定できないが、オキシ安息香酸単位のエーテル側の隣に
更にオキシ安息香酸単位が存在するオキシ安息香酸単位
を(3−2)、そのエーテル側の隣に(1)のジカルボ
ン酸単位が存在するオキシ安息香酸単位を(3−3)
【0066】
【化27】
【0067】として、そのモル数をそれぞれ〔3−2〕
〔3−3〕としたとき、
【0068】
【数15】
【0069】で定義されるr1 はr3 ≒r1 となるた
め、本発明のポリマーは、 0≦r1 ≦0.88 を満足するポリマーということもできる。この場合、r
1 >1で(3)は(1)に対してブロック的なシークェ
ンスになっており、r1 値が大きくなる程、よりブロッ
ク性が高い。すなわち(3−2)の割合が大になること
を意味する。
【0070】r1 ≒1で(3)は(1)に対して、ラン
ダムなシークェンスになっており、これはポリマー中の
(3−2)の(3)に対する比率は(3)と(1)を全
体の組成としたときの(3)の組成比と同一であること
を意味する。さらにr1 <1になると(3−2)の比率
が小さくなってくる。すなわち(3)は(1)に対して
交互的になることを意味し、r1 が小さくなる程交互的
であることを意味する。r1 =0のとき(3−2)は生
成しないことを意味する。
【0071】ジャクソンらの液晶性ポリエステルの場合
(3)が(1)に対してブロック的になっていること
は、同じイーストマンのグルーブのV.A.Nicel
yらによって証明されている(Macromolecu
les 20 573(1987))。Nicelyら
は、本発明の方式で表わすと、
【0072】
【数16】
【0073】という式を用いmが1より大きいかどうか
でブロック的かどうかを判断している。これの意味は
(3−2)の割合が(3)と(1)を全体としたとき
(3)の組成比率より大きいか小さいかで判断しようと
するものであるが、ジャクソンらのポリマーはm=1.
3であり、ブロック的になっていることが証明されてい
る。(ただし、彼らは{(〔1〕+〔3〕)/〔3〕}
≦0.7までしか測定していない。本発明者らは、
{(〔1〕+〔3〕)/〔3〕}>0.7も測定したが
やはりブロック的になっていた。)特開昭60−186
527号や特開昭64−26632号や特開平2−45
524号等もランダム的になっている。これについては
特願平23−91640に記載の比較例によりあきらか
である。
【0074】尚、特開昭64−26632号や特開平2
−45524号ではm−オキシ安息香酸単位が入る系に
なっていない。又、本発明の系以外において完全交互系
と交互でない系でメルトにどのような差があるかについ
て検討している例がある(S.I.Stuppら、Ma
cromolecules 21 1228(198
8))。
【0075】確かに交互系では固体から液晶への転移の
幅は狭い。しかしながらこの論文の交互系は逐次的にモ
ノマーを合成するため、モノマー合成が非常に大変であ
るし、合成されたものの力学的物性は調べられてもいな
い。さて、本論にもどるが、本発明においては上記r3
が、 0≦r3 ≦0.88 を満たすことが必要であり、これを満たすことにより、
本発明の液晶性ポリエステルは、以下の特徴を有する。
【0076】1.高い引張り強度、曲げ強度を有する。 2.高い衝撃強度を有する。 3.高い破断伸度を有する。 4.同一組成、組成比の他のポリマーに比べ、耐熱性が
高い。 5.T2 −T1 が小さいので成形温度を低くできる。 6.より低温での成形品の方が力学特性優れる。 7.溶融粘度のみかけの活性化エネルギーが小さい。 8.結晶性が高い。 9.耐加水分解性が良好である。 10.フィラー等の混合の効果が顕著に現れる。
【0077】特に、本発明のポリマーの物性は力学特性
と熱特性のバランスが従来のものに比べてはるかに優れ
ているものである。又、耐熱性が高い割に成形温度を低
くできるということは、製造時の重合温度を低くできる
ということにもつながり、従来の製造装置で耐熱性の良
好なポリマーを製造しうるということを意味する。構造
単位(1)で示されるジカルボン酸単位のR1 としては
炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示し、具体
的には
【0078】
【化28】
【0079】(−X−は−O−,−S−,−SO2 −,
−CH2−,−C(CH22 −等を挙げることができ
る)等が挙げられる。これらは単独に用いられてもよい
し、混合して共重合体となっていてもよい。これらのう
ち、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)または(ホ)が好
ましい。単独に用いるときは(イ)、(ハ)、(ニ)が
好ましく、特に(イ)または(ハ)が好ましい。混合し
て用いる場合においても少なくとも一単位は(イ)、
(ハ)、(ニ)のうちから選ばれることが好ましく、ま
たこれらの合計がR1 のモル比で50%以上、特に好ま
しくは66%以上を占めるのがよい。これらは三種以上
用いてもよいが、二種までが好ましい。
【0080】好ましい混合系としては、(イ)と
(ロ)、(イ)と(ハ)、(イ)と(ニ)、(ニ)と
(ロ)、(ニ)と(ハ)の組合せ等を挙げることができ
る。本発明においては、上記一般式(1)と(3)の単
位のモル数〔1〕と〔3〕の比率については、{〔3〕
/(〔1〕+〔3〕)}=〔B〕とおくと、製造上の問
題から、〔B〕≧0.65を満足する必要がある。すな
わち、本発明の製造方法では、
【0081】
【化29】
【0082】を加えない場合は必然的に〔B〕≧2/3
となる。ただし、本発明の液晶性ポリエステルは、本発
明の製法以外でも勿論製造される。しかし、その場合も
〔B〕≧0.65を満たす必要がある。即ち、〔B〕<
0.65であると耐熱性が低下して好ましくない。耐熱
性の観点からは好ましくは、〔B〕≧0.68、更に好
ましくは、〔B〕≧0.70である。一方、上限は、
〔B〕≦0.88である。これ以上になるとp−オキシ
安息香酸単位の連鎖の絶対値が多くなり好ましくない。
【0083】すなわち、本発明においては、0.65≦
〔B〕≦0.88が好ましく、更に好ましくは0.68
≦〔B〕≦0.86、特に好ましくは、0.70≦
〔B〕≦0.85、最も好ましくは0.75≦〔B〕≦
0.85である。〔1〕と〔2〕の比率は重合度を高め
るという点から、
【数17】 0.80≦〔1〕/〔2〕≦1.2、好ましくは、 0.85≦〔1〕/〔2〕≦1.15、さらに好ましく
は、 0.90≦〔1〕/〔2〕≦1.10である。
【0084】耐加水分解性を向上させるためには、さら
【数18】0.80≦〔1〕/〔2〕≦1.0 が好ましく、末端基を封止するような場合には、逆に
【数19】1.0≦〔1〕/〔2〕≦1.2 が好ましい。
【0085】次に〔4〕と〔5〕の比率については、
{〔5〕/(〔4〕+〔5〕)}=〔C〕とおくと、
0.02≦〔C〕≦0.15、さらに好ましくは、0.
02≦〔C〕≦0.13、特に好ましくは、0.02≦
〔C〕≦0.08である。耐熱性、結晶性の観点からは
〔5〕が少ないのが好ましい。強度や伸びの観点からは
〔5〕が多いのが好ましい。
【0086】〔C〕<0.02においては強度や伸びは
向上しないので好ましくなく、〔C〕≧0.02のとき
に強度や伸びが急激に向上する。一方、〔C〕≧0.1
5ではビカット軟化点が著しく低下するので成形材料と
して好ましくない。本発明におけるポリエステルは、特
開昭60−186527号で述べている下記式で示され
るエーテル成分をほとんど含まない。
【0087】
【化30】
【0088】このようなエーテル成分を多く有すると、
本発明でいう耐熱性が大幅に低下し、また結晶性も低下
するので好ましくない。しかし、このエーテル成分がも
し仮に少量存在した場合でも、そのモル数は〔3〕に含
めないものとする。
【0089】ここで、r3 の求め方について述べる。こ
れは従来ポリマーのNMRから求めることはできなかっ
た。そこで本発明者等は鋭意検討してr3 を求める方法
を見出した。すなわち本発明の系の液晶性ポリエステル
を一級アミンと反応させると、驚くべきことに、上記式
(b)のエステル結合は選択的に切断されず結合が残っ
たままであり、他のエステル結合(例えば上記式(a)
のエステル結合)は切断されることを見出した。これを
利用することにより本発明系の液晶性ポリエステルのシ
ークェンスを解析できる。
【0090】本法をさらに詳しく述べると、例えば、本
発明の液晶性ポリエステルを粉砕し、その粉砕試料に大
過剰n−プロピルアミンで40℃で90分間処理し、次
に得られた分解物をBRUKER製のAM−500を使
用して、500MHz 1H−NMRで分析定量する。 1
H−NMR測定は溶媒として重水素化メタノール又は重
水素化DMSOと重水素化メタノールの混合溶媒又は重
水素化トリフルオロ酢酸を用いて行ない、(b)の成分
量を定量する。(1),(2),(3)の比率は各同定
されたピーク強度を用いて求められるので、これを用い
てr3 を算出した。この方法によると(3)の化合物の
−CO−側のシークェンスの情報が得られることにな
る。
【0091】(1),(2),(3)の組成比率は図
1、図2をさらに拡大して測定した。誤差としては、
〔1〕/〔3〕=20/80(モル比)のとき、20±
0.5/80±0.5である。このアミン分解法では
(a)と(3)がわかるわけでなく、(3)と(b)が
区別されるのであるから、正確にはr3 は〔3〕−
〔b〕を用いて表現した。
【0092】このように、より交互的になるポリエステ
ルはシークェンスのみならず組成分布的にも均一になっ
ているものと思われる。例えば図2、図3に示したバイ
ブロンのデータによると、耐熱性の尺度としてE′=3
×1010dyne/cm2 を示す温度をとりこれをT1
とする。(E′は貯蔵弾性率を示す) 次に充分に流動しうる最低の温度としてE′=5×10
9 dyne/cm2 を示す温度としてこれをT2 とし、
2 −T1 =aとすると、本発明のポリエステルのみが
図から明らかなように0≦a≦90℃である。好ましく
は0≦a≦85℃、さらに好ましくは、0≦a≦80℃
を満たすことである。aが小さいということは、固体状
態での耐熱性が高い割に流動温度が低いことを意味す
る。
【0093】さらに力学特性的には、(1)のR1
1,4−フェニレン基とし、〔3〕/〔1〕≒80/2
0としたとき、本発明の液晶性ポリエステルは従来の液
晶性ポリエステルに比べて破断伸度も強度(引張り,曲
げ)も約20%以上向上し、a(T2 −T1 )が小さい
ということは、耐熱性があって低い温度で成形でき、し
かもそのとき、全体がメルトしているために、そのもの
の溶融粘度が非常に低くなっていることを意味する。こ
れはシークェンスが交互的、すなわちr3 の値が小さい
ことと対応している。
【0094】構造(特に高次構造)が溶融後に残ってい
ないことは、温度変化による構造の変化の様子を小角X
線散乱法により追跡することで明確にしうる(また、結
晶構造の変化等は、次に述べる広角X線散乱法により明
確にしうる)。次にシークェンス等がより交互的になっ
てくることにより、(すなわちより均一的になることに
より)、同一組成比の場合に結晶性が向上することが期
待できる。これは、DSCやX線散乱からその度合を把
握することが可能である。
【0095】DSCではTcでの△Hより、また、X線
ではピーク強度や2θの値より、結晶の存在の有無や結
晶の大きさや種類を相互比較することは可能である。特
に同一組成比の場合、同一成形条件で成形すると、一次
構造、特にシークェンスに差があれば、2種の分析法で
明確に差を示すことができると思われる。例えば、ロッ
ド(rod)を作成し、その広角X線を測定し赤道方
向、子午線方向等の散乱パターンを検討すると、本発明
のポリマーは同一組成及び組成比を有する従来のポリマ
ーよりも結晶格子の大きさが小さく、結晶分子間の間隔
が小さいと考えられる。
【0096】本発明で得られた液晶性ポリエステルの溶
液粘度ηinh は以下のようにして求めることができる。
溶媒としてp−クロロフェノール/o−ジクロロベンゼ
ン=1/1(wt比)を室温で溶解し、濃度0.5g/
dlとし、30℃で測定する。(次式によって求められ
る。)
【数20】ηinh =ln(t/t0 )/0.5 t0 :ブランク(溶媒のみ)の落下速度(sec) t :濃度0.5g/dlでの落下速度(sec) 本発明のポリエステルは重合度(この尺度として上述の
溶液粘度を考える)の割に同一組成及び組成比において
は溶融粘度が小さくなり流動性が向上するという特徴を
有する。このηinh が0.4未満のときは力学特性が芳
しくないので好ましくない。より好ましくはηinh
0.5、さらに好ましくはηinh ≧0.6、最も好まし
くはηinh ≧0.7である。又、本発明の液晶性ポリエ
ステルはこの方法で溶液粘度が測定できる。すなわち実
質上完全に溶解しうるということからも(3)の連鎖の
長いポリマーは存在しないと思われる。また、組成分布
もより均一になっていると思われる。
【0097】本発明で得られた液晶性ポリエステルはフ
ェノール/1,1,2,2,テトラクロロエタン=1/
1wt比やヘキサフルオロイソプロパノール中にも溶解
することよりかなり均一かつ(3)の連鎖の長いものは
ほとんど存在しないと思われる。次に製造法について述
べる。
【0098】0≦r3 ≦0.88を満たすようなポリエ
ステルを製造するには、従来の方法すなわち、特公昭5
6−18016号、特開昭58−87125号、特開昭
60−186525号、特開昭64−26632号、特
開平2−45524号、特開昭62−267323号、
特開昭62−285916号、特開昭63−09922
7号等による方法では達成されえない。
【0099】本発明者らは、r3 が上記範囲を満たすポ
リエステルを製造する方法として、p−オキシ安息香酸
の連鎖を生成しにくくするため、原料の時点で、p−オ
キシ安息香酸単位を離しておく、すなわち
【0100】
【化31】
【0101】等を用いればよいと考えた。すなわち、本
発明のようにジオール成分が
【化32】−OCH2 CH2 O− (2) のとき、一般に高温下ではエステル交換やアシドリシス
反応が活発に起こり、その結果p−オキシ安息香酸の連
鎖がブロック的になったり、ランダム的になると思われ
ていた。しかしながら、予想外に(2)の成分はエステ
ル交換しにくいのであった。すなわちジャクソンらの方
法や特開昭62−267323号によるポリマーは、
【化33】−CO−R1 −CO−OCH2 CH2 O− の成分が残るために上述の(a)の割合が増大するので
あった。他の方法は少しでもエステル交換やアシドリシ
スを起こさせようとするものであった。
【0102】本発明では−OCH2 CH2 O−成分のエ
ステル交換が高温下で予想外に起こりにくいことを逆に
利用しようというものである。以下、本発明の製造方法
をより具体的に説明する。本発明においては、まず1,
2−エチレンビス−4−ヒドロキシベンゾエートおよび
/または1,2−エチレンビス−4−アセトキシベンゾ
エートと、所定のジカルボン酸(HOOC−R1 −CO
OH)を加え、さらにm−ヒドロキシ安息香酸および/
またはm−アセトキシ安息香酸、場合によっては1,2
−エチレンビス−3−ヒドロキシベンゾエートおよび/
または1,2−エチレンビス−3−アセトキシベンゾエ
ートを加え、必要に応じて無水酢酸を加えて、場合によ
ってはさらにp−ヒドロキシ安息香酸および/またはp
−アセトキシ安息香酸を加えて100〜170℃でアセ
チル化等を行う。反応時間は5分〜3時間、好ましくは
20分〜1.5時間である。無水酢酸の量は原料のヒド
ロキシル基量と同量〜1.5倍量程度使用するのが好ま
しい。すなわち無水酢酸を(16)とし、各成分のモル
数をそれぞれ〔6〕=〔6−1〕+〔6−2〕、
〔9〕
=〔9−1〕+〔9−2〕、〔16〕とし、{〔16〕
/(2×〔6〕+
〔9〕)}=〔D〕とおくと、1.0
≦〔D〕≦1.5、特に好ましくは、1.1≦〔D〕≦
1.4である。
【0103】また、ヒドロキシル基を含有しない原料の
みを用いる場合も少量の無水酢酸を用いてもよい。この
場合重合速度が高くなるというメリットがある。また
(6),(7),(8)の比率は、各成分のモル数を
〔6〕,〔7〕,〔8〕とし、{(〔6〕+〔7〕)/
〔8〕}=〔E〕とおくと、0.85≦〔E〕≦1.1
5が好ましく、特に0.9≦〔E〕≦1.1が好まし
い。
【0104】次に、(6−2),(7−2),(9−
2),(10−2)の比率は、
【0105】
【数21】
【0106】である。(9−2)や(10−2)を仕込
む場合より、(6−2)や(7−2)を仕込む方が生成
ポリマーの物性が向上し、また、重合速度が増大するの
で好ましい。上の値が0.3を越えると耐熱性が低下し
たり、液晶性が低下するため、流動性が悪化したりして
好ましくない。
【0107】また、(9)と(10)の比率は、
【数22】 0≦(
〔9〕+〔10〕)/(〔6〕+〔7〕)≦6、
好ましくは、 0.5≦(
〔9〕+〔10〕)/(〔6〕+〔7〕)≦
4、さらに好ましくは、 1≦(
〔9〕+〔10〕)/(〔6〕+〔7〕)≦3 である。また反応は無触媒でも可能であるし、必要に応
じて、触媒を添加してもよい。
【0108】その後昇温して重合に入る。重合は220
〜340℃で重合させるが、特に260〜320℃で行
なうのが好ましい。特に265〜300℃で行うのが好
ましい。最も好ましくは265〜280℃である。固体
の耐熱性のわりに低温で重合できるというメリットもあ
る。又、760mmHgから1mmHgまで徐々に減圧
にする場合に要する時間は30分以上、好ましくは60
分以上の時間で実施され、特に30mmHgから1mm
Hgまでの減圧を徐々に行うことが重要である。
【0109】重合時無触媒でも可能であるが必要に応じ
触媒の存在下で実施される。使用される触媒としてはエ
ステル交換触媒、重縮合触媒、アシル化触媒、脱カルボ
ン酸触媒が使用され、これらは混合して使用してもかま
わない。好ましい触媒としては、Ti(OBu)4 、B
uSnOOH、Sn(OAc)2 、Sb2 3 、Fe
(acac)3 、Zn(OAc)2 、Co(OA
c)2 、NaOAc、KOAc等が挙げられる。その使
用量はポリマーに対して5〜50,000ppm好まし
くは50〜5,000ppmである。
【0110】重合時間は10時間以内ならよいが、その
中でも7時間以内で行うのが好ましい。1〜4時間以内
で行うのが最も好ましい。この重合は低温で行うことが
できるメリットを挙げたが低温で行っても簡単に抜出
せ、かつ抜出時にトラブルをおこすことがないというメ
リットもある。これもシークェンスがより交互的に制御
されていることに基づいていると思われる。
【0111】本発明の製造方法と特開昭63−3175
24号に記載の方法との違いについて言えば、特開昭6
3−317524号の発明者等は前述のように脂肪族グ
リコールがエチレングリコールのみで物性が改良できる
とは考えておらず、C3 以上がエステル交換やアシドリ
シス反応がいきにくいのでそれを改良したといってい
る。又、かれらは本発明者らの先願(特開昭60−18
6525号)を引用してこの方法でエチレングリコール
を用いればアシドリシスが充分行われると考えており、
エチレングリコールのみで物性改良ははじめから考えて
いない。
【0112】本発明者らは前述のようにエチレングリコ
ールの場合でもエステル交換やアシドリシスは充分では
なく、そのため、製造上、p−オキシ安息香酸単位の連
鎖をはじめから少なくするようにしておけばよいと考え
たわけであり、特開昭63−317524の発明者らが
エチレングリコールの場合はエステル交換やアシドリシ
スが充分に行なわれると考えているのと大いに異なるの
である。
【0113】また、本発明の液晶性ポリエステルは溶融
相において光学的異方性を示す。特に溶融を始めると溶
融開始温度から少し温度を高めるだけで固体部分がほと
んどなくなり、ほとんどすべてが液晶状態をとりうるの
で、流動性がηinh みあいで従来のポリエステルよりも
はるかによいという特徴を有する。そのため成形性が良
好で押出成形、射出成形、圧縮成形等の一般的な溶融成
形を行なうことが可能であり、成形品、フィルム、繊維
等に加工することができる。
【0114】溶融粘度についていうと、本発明のポリエ
ステルは液晶性を示すことより、溶融粘度は一般に低
い。例えば275℃、103 sec-1での溶融粘度は5
000ポイズ以下好ましくは30〜3000ポイズさら
に好ましくは100〜2500ポイズである。又同一η
inh では275℃での溶融粘度は本発明のものが最も低
い値をとる。
【0115】また275℃の溶融粘度と290℃の溶融
粘度の比の値が小さいのも本願の特徴である。特に高流
動であることより精密成形品等に適している。例えば自
動車用部品、コンパクトディスクやフロッピーディスク
等情報材料の部品、コネクター、ICソケット等の電子
材料の部品等に使用されうる。
【0116】又、成形時に本発明の共重合ポリエステル
に対し、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維類、タルク、マ
イカ、炭酸カルシウム等のフィラー類、核剤、顔料、酸
化防止剤、滑剤、その他安定剤、難燃剤等の充てん剤や
添加剤、熱可塑性樹脂等を添加して成形品に所望の特性
を付与することも可能である。又、他のポリマーとのブ
レンドやアロイ化によって他のポリマーの特徴と本発明
の共重合ポリエステルの両方の長所も合わせもつ組成物
を創出することも可能である。
【0117】
【実施例】次に本発明について更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例中の溶融粘度の測定に
は、島津製作所フローテスターを用い、剪断速度100
0sec-1、シリンダーノズルの長さ/直径=20を使
用した。
【0118】光学異方性(液晶性)は、ホットステージ
付偏光顕微鏡を用いて観察した。成形は日本製鋼社製
0.1oz射出成形機を用いて行い、成形片を作成し
た。又、HDT測定のために東芝機械製2.5oz射出
成形機を用いて成形片を作成した。バイブロンは東洋ボ
ールドウィン社製のレオバイブロンを用い、上記0.1
ozの成形片を110Hz下で使用した。
【0119】引張特性(引張弾性率、引張強度、破断伸
度)は上記0.1oz成形品について、東洋ボールドウ
ィン社製TENSILON/UTM−III Lを用いて測
定した。DSCはデュポン社製TA2000を用いて測
定を行った。サンプルは粉末を用い、20℃/minの
速度で350℃まで昇温し、5分放置した後20℃/m
inで20℃まで降温した。さらに5分放置した後、2
0℃/minで350℃まで昇温した。降温過程と2回
目の昇温過程のチャートを図示した。
【0120】ビカット軟化温度は、東洋精器の自動HD
T測定装置を用い、サンプルは、上記0.1oz成形片
のランナー部を用いて、50℃/hrの昇温速度で、針
が1mm侵入したところの温度である。Izod衝撃強
度は、ASTM−D256規格に準拠してノッチ付きで
測定した。
【0121】尚、引張特性の破断伸度については、0.
1ozの成形片(ダンベル片)はASTM成形片に比べ
て伸びが低く、強度もかなり低い値を示す。従って、こ
の成形片で伸びが3.5%以上であるとかなりねばり強
いポリマーと言うことができる。また、3.0%未満で
は、かなり脆いポリマーと言うことができる。
【0122】参考例1〔1,2−エチレンビス−4−ヒ
ドロキシベンゾエートの合成〕 キシレン中にp−ヒドロキシ安息香酸とエチレングリコ
ールをp−ヒドロキシ安息香酸/エチレングリコール=
2/1(モル比)になるように仕込み、触媒としてp−
トルエンスルホン酸を仕込んだ。これをキシレンのリフ
ラックス温度まで昇温し、反応させた。反応終了後、未
反応部を水洗してとり除き、純度の高い1,2−エチレ
ンビス−4−ヒドロキシベンゾエートを得た。構造は、
1H−NMRで確認した。
【0123】参考例2〔1,2−エチレンビス−3−ヒ
ドロキシベンゾエートの合成〕 高分子化学30 572(1973)に基づいて合成し
た。すなわち、m−ヒドロキシ安息香酸メチルとエチレ
ングリコールのエステル交換を用いて合成し、構造は 1
H−NMRを用いて確認した。
【0124】<実施例1>攪拌翼、窒素導入口、減圧口
を備えたガラス重合管に1,2−エチレンビス−4−ヒ
ドロキシベンゾエート49.1g(0.163モル)、
テレフタル酸27.0g(0.163モル)、p−ヒド
ロキシ安息香酸39.3g(0.284モル)、m−ヒ
ドロキシ安息香酸5.6g(0.041モル)を仕込み
2 −減圧置換後、さらに無水酢酸を83.0g(0.
813モル)添加し、系を攪拌しながら140℃に昇温
して1時間140℃に保った。その後、1.5時間かけ
て275℃に昇温し、275℃になったところで減圧を
はじめた。
【0125】減圧は最初の1時間で10mmHgにし、
以下1.5時間かけて10mmHgから0.3mmHg
にした。0.3mmHgで30分間重合を行ない、その
時点で充分トルクが上がったので重合を終了とした。そ
の後、静置し復圧して重合管の底からポリマーを抜き出
した。抜出し性は非常に良好であった。
【0126】チップ化した後、120℃で一晩真空乾燥
させた。このポリマーのηinh は1.17であり、溶融
粘度は275℃で750ポイズであった。(表1,2,
3参照)このポリマーはr3 =0.80であった。尚、
図1にr3 =0.80を求めるのに用いたアミン分解後
のNMRチャートを示す。又各種力学特性は表1,2,
3に示すとおりであった。
【0127】また図2には本実施例1を含む各種バイブ
ロンチャートを示す。図中で示したものが実施例1のも
のである。バイブロンT1 は175℃、T2 は250℃
であり、a=T2 −T1 =75℃と従来の同一組成比の
ポリマーに比べて小さかった。また力学特性の中で特に
破断引張り強度が2.480kg/cm2 と非常に高い
値を示した。破断伸度も4.6%と同一組成比の比較例
に比べて高い値を示した。即ち、前述のように3%以下
では脆く感じるのに対し、本発明のポリマーはかなりね
ばり強さを有することを示している。また比較例に比べ
てηinh の割には溶融粘度が低い。溶融粘度の温度依存
性は275℃で750ポイズ、290℃で430ポイズ
と温度依存性が小さかった。
【0128】<実施例2〜10>原料の種類、仕込み比
及び重合条件を表1に示すようにかえた以外は実施例1
と同様に行った。即ち、アセチル化後1.5時間かけて
重合温度にし、重合温度になったところで減圧をはじめ
た。減圧は最初の1時間で10mmHgとし、その後
1.5時間かけて1mmHg未満とした。したがって重
合時間が2.5時間以上のときは、最終圧力は1mmH
g未満、2.5時間未満のときは、そのときの圧力が最
終圧力となり1mmHg以上になっている。
【0129】実施例1〜10の重合条件等及び諸物性の
測定結果を表1、2、3にまとめた。実施例5、6につ
いてやや詳しく述べる。実施例5は実施例1と同様にガ
ラス重合管に表1、2、3に示したとおり重合を行っ
た。そのポリマーはr3 =0.78(図4にr3 =0.
78を求めるNMRチャートを示す。)であり、ηinh
=1.36、275℃の溶融粘度1580ポイズで、2
75℃の成形片の強度は2,580kg/cm2 と非常
に高い値を示した。又破断伸度も4.4%と非常に高い
値でねばり強いものであった。
【0130】実施例6は実施例5の50倍スケールでS
US製の20リットルオートクレーブを用いて行ったも
のである。このポリマーはr3 =0.78であり、η
inh =1.32、275℃の溶融粘度1500ポイズ
で、温度をかえて成形したところ表1、2、3のとおり
の値を得た。この結果から成形温度が低いほど弾性率、
強度、伸びが高いことを示している。
【0131】又、ASTM片を作成し、曲げ弾性率、曲
げ強度、Izod衝撃強度、HDTも測定した。このポ
リマーのバイブロンチャートを図2に示す。T1 =18
0℃、T2 =259℃であり、a=79℃と小さかっ
た。又、DSCチャートを図3に示す。Tm =260.
4℃で明確な融点を示した。
【0132】このポリマー70重量部に対しさらにガラ
スファイバー30重量部と二軸混練機で混練した後AS
TM片を作成して同様に物性測定を行った。結果を表3
に併記した。また図4に実施例4のr3 を求めるための
アミン分解後のNMRチャート図を示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】比較例1 特公昭56−18016号に記載の方法に基づき製造し
た。すなわちポリエチレンテレフタレート/p−アセト
キシ安息香酸/m−アセトキシ安息香酸を原料とし、最
終組成比が実施例5と同等になるようにした。(表4、
5参照)
【0138】比較例2 特開昭62−285916号に記載の方法に基づき製造
した。すなわち、ポリエチレンテレフタレート/無水酢
酸、p−ヒドロキシ安息香酸/m−ヒドロキシ安息香酸
を原料とし最終組成比が実施例5と同等になるようにし
た。(表4、5参照)
【0139】比較例3 特開昭52−121095号に記載の方法に基づき製造
した。すなわち、ポリエチレンテレフタレート/p−ヒ
ドロキシ安息香酸/m−ヒドロキシ安息香酸/炭酸ジフ
ェニルを原料とし最終組成比が実施例5と同等になるよ
うにした。(表4、5参照)
【0140】比較例4 特開昭60−186525号に記載の方法に基づき製造
した。最終組成比が実施例5と同等になるようにした。
(表4、5参照)
【0141】比較例5 特開昭64−26632号に記載の方法に準じてm−ア
セトキシ安息香酸を加え、二段階重合を行った。組成比
は表4、5に示す。
【0142】比較例6 〔5〕/(〔4〕+〔5〕)が0.0125となるよう
にした以外は実施例1と同様にした。結果を表4、5に
示す。
【0143】
【表5】
【0144】
【表6】
【0145】
【発明の効果】本発明の液晶性ポリエステルはシークェ
ンスがより交互的に制御されているので、同一組成、同
一組成比の従来のポリエステルに比較すると力学特性、
熱特性に優れている。すなわち、高強度、高伸度であ
り、成型温度が低いほど、良好な物性を示す。また結晶
性が高いので融点が明確でガラスファイバー等の強化効
果も発現する。またHDTが高く、しかも耐熱性の割り
に低温で流動するので重合温度を低くできるという利点
を有する。また、重合温度を低くできるという利点を有
する。また、重合温度を低くしても重合槽の底から抜き
出せるという利点がある。
【0146】また、本発明の液晶性ポリエステルは溶融
相において光学的異方性を示す。特に溶融を始めると溶
融開始温度から少し温度を高めるだけで固体部分がほと
んどなくなり、ほとんどすべてが1液晶状態をとりうる
ので、流動性が従来のポリエステルよりもはるかによい
という特徴を有する。本発明の液晶性ポリエステルは、
特に高流動であることより精密成形品等に適している。
例えば自動車用部品、コンパクトディスクやフロッピー
ディスク等情報材料の部品、コネクター、ICソケット
等の電子材料の部品等に使用されうる。また、フィルム
やセンイとしても使用され、特にフィルムには最適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のr3 を求めるためのアミン分解後の
1H−NMRチャート図である。
【図2】実施例1と実施例6のバイブロンデータを示す
図である。
【図3】実施例6で得られたポリマーのDSCチャート
図である。
【図4】実施例4のr3 を求めるためのアミン分解後の
NMRチャート図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 育幸 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−41220(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表わされるジカルボン酸
    単位、 【化1】−CO−R1 −CO− …(1) (式中、R1 は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素
    基を示す。) 下記式(2)で表わされるジオール単位、 【化2】−OCH2 CH2 O− …(2) および下記式(3)で表わされるオキシ安息香酸単位 【化3】 からなるポリエステル(式(3)は下記式(4)の単位
    または(5)の単位を表わす。)であり、かつ、以下に
    示す〜の条件を満たすことを特徴とする液晶性ポリ
    エステル。 【化4】 上記構成単位(1),(2),(3),(4),
    (5)の各々のモル数〔1〕,〔2〕,〔3〕,
    〔4〕,〔5〕が下記式(I)及び(II)を満足するこ
    と。 【数1】 0.65≦〔3〕/(〔1〕+〔3〕)≦0.88 (I) 0.02≦〔5〕/(〔4〕+〔5〕)≦0.15 (II) 式(3)で表わされるオキシ安息香酸単位のうち、
    そのカルボニル基(−CO−)側の隣に式(2)で表わ
    されるジオール単位が存在するオキシ安息香酸単位を
    (3−1)、 【化5】 とすると(3−1)のモル数を〔3−1〕としたとき下
    記式(III) 【数2】 により定められるr3 が、0≦r3 ≦0.88、の範囲
    であること。 p−クロロフェノール/o−ジクロロベンゼン中
    (30℃,濃度:0.5g/dl)で測定した溶液粘度
    が0.4dl/g以上であること。
  2. 【請求項2】 (1)式の単位および(3)式の単位の
    モル比が 【数3】 0.7≦〔3〕/(〔1〕+〔3〕)≦0.85 の範囲であることを特徴とする請求項1記載の液晶性ポ
    リエステル。
  3. 【請求項3】 出発原料として下記式(6)および/ま
    たは(7)で表わされる化合物、 【化6】 下記式(8)で表わされるジカルボン酸、 【化7】HOOC−R1 −COOH …(8) (式中R1 は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基
    を示す。)および必要により無水酢酸を反応させ溶融状
    態で重縮合することを特徴とする請求項1記載の液晶性
    ポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 出発原料として更に下記式(9)および
    /または(10)で表わされる化合物、 【化8】 を加えることを特徴とする請求項3記載の液晶性ポリエ
    ステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 式(9)の化合物が式(9−1)および
    /または式(9−2)で表わされる化合物、 【化9】 式(10)の化合物が式(10−1)および/または式
    (10−2)で表わされる化合物 【化10】 であり、(9−1)、(9−2)、(10−1)、(1
    0−2)の各々のモル数〔9−1〕、〔9−2〕、〔1
    0−1〕、〔10−2〕が下記式 【数4】 (〔9−2〕+〔10−2〕)/(〔9−1〕+〔10−1〕)≦0.35 を満たすことを特徴とする請求項4記載の液晶性ポリエ
    ステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 〔9−1〕、〔9−2〕、〔10−
    1〕、〔10−2〕の比率が 【数5】 (〔9−2〕+〔10−2〕)/(〔9−1〕+〔10−1〕)≦0.25 を満たすことを特徴とする請求項5記載の液晶性ポリエ
    ステルの製造方法。
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