JPWO2009145342A1 - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
これらプリンターや複写機は近年アナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時に、高速化と使用する消費電力の低減が強く求められている。ここで、例えばプリンターについて着目すると、総消費電力に対する定着工程での消費電力の割合はかなり大きく、定着温度が高くなると消費電力も増えてしまう。また、定着温度が高温になると定着後のプリントアウトペーパーのカール等の問題も生じてしまい、定着温度の低温化の要望は大きい。
一方、プリンターや複写機においてはオンデマンド性の要望も強く、近年においては所謂フィルム定着器や電磁誘導式定着器が開発されている。しかしながら、これら定着器はオンデマンド性には非常に優れるものの、従来の熱ローラータイプの定着器に比べて圧力がかかり難く、より定着し難いのも事実である。
更に、プリンターには様々なマテリアルへの対応も求められているため、幅広い温度領域で良好な定着性を有するトナーの要望は大きい。また、消費電力の削減の反面、プリンター、複写機はより高速化が進み、トナーの耐久安定性の向上も求められている。
これに対し、従来からトナーの低温定着化については多くの検討がなされており、多官能エステルワックスを用いて低温定着性が改良できるとの報告がある(特開2000−19768号公報、特開2006−98745号公報、WO98/20396号公報参照)。
また、スチレンモノマーに対する溶解度や分子量が規定された多官能エステルワックスを用いたトナーが提案されており、低温定着性に優れ、高解像度の画像を得る事ができると報告されている(WO01/001200号公報、特開2001−147550号公報参照)。
さらに、2種のワックスを併用し低温定着性が改良できるとの報告もある(特開平11−218960号公報、特開2002−72540号公報、特開2002−72546号公報参照)。
しかしながら、このようなトナーを用いても、オンデマンド性と低温定着性との両立は十分に計られておらず、高速化対応も不十分であった。更には長期使用における画像安定性についてもまだまだ改良の余地があった。
結着樹脂、着色剤、エステル化合物、及び低融点物質を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記エステル化合物は、ジペンタエリスリトールと炭素数が18以上25以下のカルボン酸とのエステルであり、
前記エステル化合物の融点をTm(A)(℃)、前記低融点物質の融点をTm(B)(℃)とした時、
Tm(B)≦Tm(A)+5
を満たすことを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、低温定着性に優れ、長期の使用においてもカブリを生じずに高い画像濃度を得ることができる。
まず、本発明に用いるエステル化合物であるが、該エステル化合物を構成する成分がジペンタエリスリトールと炭素数が18以上25以下の長鎖のカルボン酸であり、非常に嵩高いものである。そのため、定着時に熱を受けて溶融しても結着樹脂中に染み込み難く、このようなエステル化合物を単独で用いた場合、充分な可塑効果を得られずに良好な定着性は得られない。
しかし、エステル化合物の融点をTm(A)(℃)、低融点物質の融点をTm(B)(℃)とした時、このようなエステル化合物とTm(B)≦Tm(A)+5の関係を満たす低融点物質を併用した場合、トナーの低温定着性は非常に良好なものとなる。この理由についてであるが、本発明者らは以下のように考えている。
上記した通り、本発明に用いるエステル化合物は定着時に熱を受けて溶融しても結着樹脂に染み込み難い。しかし、溶融しても結着樹脂に染み込まないと言うことは、トナー中では液芯構造に近い状態になっているものと考えられる。このような場合、エステル化合物はトナーの外に染み出さないものの、トナーは定着時に外部からの圧力を受ける事により非常に変形し易い状態であると考えられる。
また、本発明のエステル化合物は嵩高い故に、溶融すると体積膨張が他の化合物よりも大きいと考えられる。そのため、トナー内部からの圧力が高まり、トナーとしてより変形しやすい状態になっているものと考えられる。
本発明においてはTm(B)≦Tm(A)+5の関係を満たす低融点物質(いわゆるワックス)も用いることが必須であるが、このような低融点物質とエステル化合物とを併用することによりはじめて非常に良好な低温定着性を達成できる。
これはエステル化合物と低融点物質の融点が近い(もしくは低融点物質の融点の方が低い)ため、エステル化合物と低融点物質とがほぼ同時に、或いは、低融点物質が溶融したところにエステル化合物が溶融することとなり、エステル化合物が低融点物質を押し出すために良好な離型性を得ることができる。さらに、エステル化合物は結着樹脂に染み込みにくいために液芯構造に近い状態となり、定着時の圧を受けることによりトナーが変形し、メディアとのアンカーリングも良好に行われると考えられる。尚、本発明のトナーは、エステル化合物と低融点物質とが結着樹脂に内包化され、結着樹脂が海、エステル化合物と低融点物質とが一緒に島を形成する海−島構造を有することが好ましい。
よって、良好な離型性とメディアへのアンカーリングの両者の効果により非常に良好な低温定着性を得ることが可能となると本発明者らは考えている。
また、本発明の如きエステル化合物は他の結晶性ポリマーに比して結晶化度が高く、シャープメルト性も高いことからプロセススピードが速いプリンター、複写機においても適応性が高く、オンデマンド定着器にも好適に用いることができる。
このような理由から、本発明のトナーは、低融点物質とジペンタエリスリトールと特定のエステル化合物とを含有しており、前記エステル化合物の融点をTm(A)(℃)、前記低融点物質の融点をTm(B)(℃)とした時に、Tm(B)≦Tm(A)+5を満たすことが重要である。
一方、本発明のエステル化合物がモノエステルやグリセリン、エリスリトール等の官能基数が少ないエステル化合物、あるいは炭素数が17以下のカルボン酸を用いた場合、樹脂への染み込みが生じやすくなり、上述の効果が得られにくく、定着性が劣るものとなる。
また、トリペンタエリスリトールやグリセリンの脱水縮合物等の高分子量体になると種々の結晶状態を取りやすくなるためにシャープメルト性が劣るものとなり、定着性が低下する。
さらに、炭素数が26以上のカルボン酸とジペンタエリスリトールとの化合物では融点が高くなりすぎてしまい、良好な定着性が得られ難くなる。さらに、トナー中での分散性も悪化し、カブリの増大等を招いてしまう。
次に、低融点物質の融点が、エステル化合物の融点よりも5℃を超えて高い場合、エステル化合物による押し出し効果が充分に得られにくく、良好な定着性が得られない。より好ましくは低融点物質の融点がエステル化合物の融点以下である(Tm(B)≦Tm(A))。
また、本発明に用いられるエステル化合物は、スチレン−アクリル樹脂への溶解度S(A)が2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0%以下である。
本発明に用いられるエステル化合物のスチレン−アクリル樹脂への溶解度S(A)が2.5%以下であると、定着時に樹脂への染み込みがより生じ難くなり、定着性がより良好になるため好ましい。
本発明に用いられるエステル化合物のスチレン−アクリル樹脂への溶解度S(A)は用いるカルボン酸の炭素数やエステル結合数等にて調整可能である。
本発明に用いるエステル化合物の40℃におけるスチレンモノマーに対する溶解度は5.0質量%未満であると、上記効果が顕著となり、更に好ましい。また、本トナーの製造に好適な懸濁重合法においてトナーを製造する場合、モノマーに対する溶解度が5.0質量%未満であると重合中に析出し易く、トナー中でコアを形成しやすいと考えられる。本発明においてエステル化合物の役割は上述の如きであり、トナー中ではしっかりしたコアを形成している方が効果としては大きく、定着性は良好なものとなると考えられる。よって、エステル化合物の40℃におけるスチレンモノマーに対する溶解度は5.0質量%未満であることが好ましい。
本発明に用いる低融点物質としては、規定する要件を満たすものであれば、公知のワックスを用いることが可能である。中でも、該低融点物質のスチレン−アクリル樹脂への溶解度S(B)が5.5%以上20.0%以下であり、S(A)<S(B)であるものが好ましい。
この理由であるが、上述の如き低融点物質はエステル化合物に押し出される事により良好な定着性を発現できる。しかし、低融点物質のスチレン−アクリル樹脂への溶解度S(B)が5.5%以上であると、押し出された際に速やかにトナーの結着樹脂を可塑化し、より定着が良好なものとなる。また、低融点物質のスチレン−アクリル樹脂への溶解度S(B)が20.0%以下であると、トナー表面へのマイグレーション等が生じ難く、保存安定性が向上するために好ましい。
また、S(A)<S(B)であると、エステル化合物の押し出し効果がより顕著に発揮されるため、定着時に離型性が向上し好ましい。
本発明に用いられるエステル化合物はトナーの結着樹脂100質量部あたり3.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
エステル化合物の添加量が上記の範囲内であると、エステル化合物の分散性が良好なものとなり、現像性がより向上する。さらに、低融点物質の押し出し効果や液芯構造によるトナーの変形促進効果が十分なものとなり非常に好ましい。
また、本発明に用いる低融点物質の含有量は、質量基準で、前記エステル化合物の含有量の1.2倍以上3.0倍以下であると良好な定着性を得ることが出来ると共に現像性が向上し、カブリを抑制できるので好ましい。
本発明に用いられるエステル化合物の融点は70℃以上90℃以下であることが好ましい。エステル化合物の融点が上記の範囲内である場合、低温定着性が優れると共に、長期使用においても良好な画像濃度を維持することが出来る。
本発明のトナーは、高画質化を達成すべくより微小な潜像ドットを忠実に現像するために、トナーの重量平均粒径(D4)は3μm以上12μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上9μm以下である。
本発明のトナーは平均円形度が0.950以上であることが好ましい。トナーの平均円形度が0.950以上ではトナーの形状は球形又はこれに近い形になり、流動性に優れ均一な摩擦帯電性を得られやすく、ゴースト及び静電オフセットがさらに良化する。また、トナーの円形度分布において、モード円形度が0.98以上であると上記作用がより一層顕著になり、より好ましい。
本発明のトナーは、トナーのTHF(テトラヒドロフラン)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布において、分子量10000以上40000以下の範囲にメインピークのピークトップを有することが好ましく、12000以上30000以下の範囲の範囲に上記ピークトップを有することがより好ましい。ピークトップが10000以上40000以下であると、低温定着性が良化すると共に保存安定性も良好なものとなり好ましい。
本発明のトナーは、結着樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分を有し、結着樹脂成分に対しTHF不溶分は5.0質量%以上65.0質量%以下であることが好ましい。トナー中にTHF不溶分が存在することによりトナーの強度が増し、長期使用においてトナー劣化が生じ難く、長期使用においても高精彩な画像を得ることができる。
また、定着時にトナーは定着器から受けた熱により溶融するが、THF不溶分を5.0質量%以上65.0質量%以下有することで溶融時でも適度な弾性を有することが可能となる。このため、高温オフセットが生じ難くなり、定着領域が広がるので好ましい。
なお、トナーの結着樹脂成分のTHF不溶分の測定は以下のようにして行うことが可能である。トナー1gを精秤して円筒ろ紙に仕込み、THF200mlにて20時間ソックスレー抽出する。その後円筒ろ紙を取り出し、40℃で20時間真空乾燥して残渣質量を測定し、下式より算出する。なお、トナーの結着樹脂成分とは、トナーから荷電制御剤、離型剤成分(低融点物質、エステル化合物)、外添剤、顔料、磁性体を除いた成分である。THF不溶分の測定時には、これらの含有物がTHFに可溶か不溶かを考慮して、結着樹脂成分を基準としたTHF不溶分を算出する。
THF不溶分(質量%)={(W2−W3)/(W1−W3−W4)}×100
ここで、W1はトナーの質量、W2は残渣質量、W3はトナーの結着樹脂成分以外のTHFに不溶な成分の質量、W4はトナーの結着樹脂成分以外のTHFに可溶な成分の質量である。
トナーの結着樹脂成分のTHF不溶分は、用いる開始剤、架橋剤の種類、量等の組み合わせにより、調整することが可能である。また、連鎖移動剤等を使用しても調整可能である。
本発明で用いられるエステル化合物は、ジペンタエリスリトールをアルコール成分とし、炭素数が18以上25以下のカルボン酸を酸成分とする6官能のエステルである。
炭素数が18以上25以下のカルボン酸としては具体的にステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸等が挙げられる。この中でも、飽和脂肪酸が好ましい。
本発明で用いられるエステル化合物の水酸基価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が10mgKOH/g以下であり、酸価が10mgKOH/g以下であると、未反応の酸成分や未反応のアルコール成分、あるいは6官能エステルではないエステル化合物がほとんど存在しない事を意味する。この場合、長期保存においてトナー表面へのエステル化合物のマイグレーションが生じ難いため、トナーの帯電量の低下が生じにくく、濃度低下やカブリの増大が抑制される。
本発明で用いられる低融点物質として用いることのできるワックスは、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などである。ここで、誘導体は酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸及びその化合物;酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックスなども使用できる。結着樹脂としてスチレン系共重合体を用いる場合には、溶解時に樹脂に染み込みやすいパラフィンワックスやフィッシャートロプシュワックスが好ましい。これらのワックスは、低分子量であり、分岐鎖が少ない炭化水素からなるものである。この構造によって、結着樹脂との親和性が高くなっているものと思われる。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。本発明で用いるエステル化合物や低融点物質との溶融時における染み込み性を考慮すると、これらの樹脂の中でも特にスチレン系共重合体が好ましい。
本発明のトナーには、帯電特性向上のために必要に応じて荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が特に好ましい。更に、トナーを後述するような重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。荷電制御剤のうち、ネガ系荷電制御剤として具体的な化合物として、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料又はアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と、懸濁重合によりトナーの製造を行う場合には、造粒前に重合性単量体組成物中に荷電制御剤を添加する方法が一般的である。また、水中で油液滴を形成し重合を行っている最中、又は重合後に荷電制御剤を溶解、懸濁させた重合性単量体を加えることによりシード重合を行い、トナー表面を均一に覆うことも可能である。更に、荷電制御剤として有機金属化合物を用いる場合は、トナー粒子にこれら化合物を添加し、シェアをかけ混合・攪拌することにより導入することも可能である。
これらの荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり一義的に限定されるものではない。しかし、トナー粒子に内部添加する場合、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲で用いられる。また、トナー粒子に外部添加する場合、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.005質量部以上1.000質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.30質量部以下である。
本発明のトナーは目的の色味に合わせた着色剤を含有する。本発明のトナーに用いられる着色剤としては公知の有機顔料又は染料、カーボンブラック、磁性粉体等のいずれも用いることができる。
具体的には、シアン系着色剤として、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピルメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上を混合し、更には固溶体の状態でも用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナーへの分散性の点から適宜選択される。また、着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましい。
また、黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性粉体、上記イエロー/マゼンタ/シアンのそれぞれの着色剤を用いて黒色に調色されたものが利用される。黒色着色剤としてカーボンブラックを用いた場合、その添加量は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下用いることが好ましい。また、本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性粉体は結着樹脂100質量部に対して20質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
また、着色剤として磁性粉体を用いる場合には、他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、上記した公知の染料及び顔料の他、磁性又は非磁性の無機化合物が挙げられる。具体的には、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、又はこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金。ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を疎水化処理して用いることが好ましい。
なお、トナー中の磁性粉体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は以下の通りである。窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。100℃から750℃までの減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性粉体量とする。
本発明において重合法を用いてトナーを製造する場合、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。そこで、着色剤は表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有するものが多いので使用の際に注意を要する。カーボンブラックについては、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で処理を行っても良い。
本発明のトナーに磁性粉体を用いる場合、磁性粉体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性粉体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2m2/g以上30m2/g以下であることが好ましく、3m2/g以上28m2/g以下であることがより好ましい。磁性粉体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
磁性粉体は、体積平均粒径(Dv)が0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。磁性粉体の体積平均粒径(Dv)が0.10μm以上0.40μm以下であると磁性粉体の分散性が良好となり、トナーの着色力が向上するので好ましい。
なお、磁性粉体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定する。そして、磁性粉体の投影面積に等しい円の相当径を基に、体積平均粒径(Dv)の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
本発明のトナーに用いられる磁性粉体は、例えば下記の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5以上10以下に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、攪拌条件を選択することにより、磁性粉体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性粉体を得ることができる。
また、本発明において重合法にてトナーを製造する場合、磁性粉体表面を疎水化処理することが非常に好ましい。乾式にて疎水化処理をする場合、洗浄・ろ過・乾燥した磁性粉体にカップリング剤を添加し、疎水化処理を行う。湿式にて疎水化処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄体を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させ、カップリング剤を添加し疎水化処理を行う。具体的には、再分散液を十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解後温度を上げる、或いは、加水分解後に分散液のpHをアルカリ域に調整することで疎水化処理を行う。この中でも、均一な疎水化処理を行うという観点から、酸化反応終了後、ろ過、洗浄後に乾燥させずそのままリスラリー化し、疎水化処理を行うことが好ましい。
磁性粉体の疎水化処理を湿式で、すなわち水系媒体中において磁性粉体を疎水化処理するには、まず水系媒体中で磁性粉体を一次粒径となるよう十分に分散させ、沈降、凝集しないように攪拌羽根等で撹拌する。次いで上記分散液に任意量のカップリング剤を投入し、カップリング剤を加水分解しながら疎水化処理するが、この時も攪拌を行いつつピンミル、ラインミルなどの装置を使いながら凝集しないように十分に分散させつつ疎水化処理を行うことがより好ましい。
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールなどのノンイオン系界面活性剤が好ましい。pH調整剤としては、塩酸等の無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
本発明における磁性粉体の疎水化処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(A)で示されるものである。
RmSiYn (A)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1以上3以下の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などの官能基を示し、nは1以上3以下の整数を示す。但し、m+n=4である。]
一般式(A)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
この中で、高い疎水性を磁性粉体に付与するという観点では、下記一般式(B)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いることが好ましい。
CpH2q+1−Si−(OCpH2q+1)3 (B)
(式中、pは2以上20以下の整数を示し、qは1以上3以下の整数を示す。)
上記式におけるpが2より小さいと、磁性粉体に疎水性を十分に付与することが困難であり、またpが20より大きいと疎水性は十分になるが、磁性粉体同士の合一が多くなり好ましくない。更に、qが3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなるため、式中のpが2以上20以下の整数(より好ましくは、3以上15以下の整数)を示し、qが1以上3以下の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用することが好ましい。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、或いは複数の種類を併用して処理することが可能である。複数の種類を併用する場合、それぞれのカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性粉体100質量部に対して0.9質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが重要である。
本発明のトナーのガラス転移温度(Tg)は40℃以上70℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が40℃以上70℃以下であると定着性と保存安定性の両立が可能となり好ましい。
本発明のトナーは保存安定性の向上、現像性の更なる向上のためにコア−シェル構造を有していることが好ましい。これは、シェル層を有することによりトナーの表面性が均一になり、流動性が向上すると共に帯電性が均一になるためである。
また、シェルが均一に表層を覆うため、長期保存においても低融点物質の染み出し等が生じ難く保存安定性が向上する。
このため、シェル層には非晶質のシェル用樹脂を用いることが好ましく、帯電の安定性と言う観点から酸価は5.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であることが好ましい。
シェルを形成させる具体的手法としては、例えば、コア粒子にシェル用の微粒子を埋め込むこともできる。また、本発明に好適な製造方法である水系媒体中でトナーを製造する場合は、コア粒子にシェル用の超微粒子を付着させ、乾燥させる事によりシェル層を形成させる事が可能である。また、溶解懸濁法、懸濁重合法においてはシェル用樹脂の酸価、親水性を利用し水との界面、即ち、トナー表面近傍にこれら高分子量体を偏在せしめ、シェルを形成することが可能である。さらには、所謂シード重合法によりコア粒子表面にモノマーを膨潤させ、重合することによりシェルを形成することができる。
シェル用樹脂としては例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ポリエステル共重合体、ポリアクリレート−ポリエステル共重合体、ポリメタクリレート−ポリエステル共重合体、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂等があり、これらを単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらポリマー中にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等の官能基を導入しても良い。
これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し総量で1質量部以上30質量部以下が好ましい。
これらの樹脂の中でも特にポリエステルが上記効果が大きく発現され好ましい。本発明に使用されるポリエステル樹脂は、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
また、シェルを形成する樹脂の数平均分子量は2500以上10000以下が好ましく用いられる。数平均分子量が2500以上では現像性、耐ブロッキング性、耐久性が良化し、数平均分子量が10000以下であると低温定着性を阻害しないので好ましい。なお、数平均分子量はGPCにより測定できる。
本発明のトナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、着色剤、エステル化合物、低融点物質等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。また、本発明の好ましい円形度を有するトナーを得るためには、更に熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃を加える処理を行ったりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
本発明のトナーは、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものである。この為、本発明に好適に用いられる平均円形度が0.950以上という物性を得る為には、機械的・熱的或いは何らかの特殊な処理を行うことが必要となり、生産性が劣るものとなる。そこで、本発明のトナーは分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等、水系媒体中でトナーを製造することが好ましく、特に懸濁重合法は本発明の好適な物性を満たしやすく非常に好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、重合反応を行わせる事により所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.950以上という本発明に好適な物性要件を満たすトナーが得られやすい。更にこういったトナーは帯電量の分布も比較的に揃うために画質の向上が期待できる。
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明のトナーの重合法による製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30.0時間以下であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下の添加量で用いて重合反応を行うと、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
具体的な重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明のトナーを重合法により製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15.000質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
本発明のトナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤の添加時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
本発明のトナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下を用いることが望ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度に設定される。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき低融点物質が相分離により析出して内包化がより完全となる。
上記重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、後述するような無機微粉体を必要に応じて混合して該トナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粉体の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
本発明において、流動化剤として個数平均1次粒径(D1)が4nm以上80nm以下、より好ましくは6nm以上40nm以下の無機微粉体がトナー粒子に添加されることも好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
本発明において、無機微粉体の個数平均1次粒径(D1)の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行う。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。シリカ微粉体としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。しかし、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。
上記無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
本発明において無機微粉体は疎水化処理された物であることが、トナーの環境安定性を向上させることができるため好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、帯電量が不均一になり易く、トナー飛散が起こり易くなる。無機微粉体の疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記処理剤の中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時に又は処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものがより好ましい。このような無機微粉体の処理方法としては、例えば第一段反応として、シラン化合物でシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
本発明のトナーは、クリーニング性向上等の目的で、個数平均一次粒径(Dl)が30nm以上、より好ましくは50nm以上の無機又は有機の球状に近い微粒子を添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
次に、本発明のトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
(1)エステル化合物、及び低融点物質の融点
エステル化合物及び低融点物質の融点はDSCにて測定した際の、吸熱ピークのピークトップとする。吸熱ピークのピークトップの測定はASTM D3417−99に準じて行う。これらの測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000を用いることができる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。
(2)トナーの重量平均粒径(D4)
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ンフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(i)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(ii)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(iii)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.31のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(iv)前記(ii)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(v)前記(iv)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(vi)サンプルスタンド内に設置した前記(i)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(v)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(vii)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
(3)トナーの平均円形度
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定する。詳細は以下の通りである。
先ず、円形度を次式より算出する。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。測定は、512×512の画像処理解像度(一画素は0.3μm×0.3μm)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度は粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度をci、測定粒子数をmとすると、下記式から算出される。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約10mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.1ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。超音波分散器としては、発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用いる。尚、超音波分散器の水槽内には、約3.31のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールする。また、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmの標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、測定時のトナー粒子濃度が約5000個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整して計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2.00μm以上、40.02μm未満の範囲のトナーの平均円形度を求める。尚、円相当径は、以下のようにして算出される値である。
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
(4)トナーのTHF可溶分の分子量測定
トナーのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
(5)エステル化合物、低融点物質のスチレン−アクリル樹脂への溶解度
エステル化合物、低融点物質のスチレン−アクリル樹脂への溶解度の測定は以下のように行う。
先ず、スチレン−アクリル樹脂を以下のようにして合成した。
イオン交換水720質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/リットル−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
・スチレン 76.0質量部
・n−ブチルアクリレート 24.0質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株)を用いて均一に混合して、この単量体混合物を60℃に加温した。その後、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.5質量部を溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体混合物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で5時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥して未精製スチレン−アクリル樹脂を得た。
得られた未精製スチレン−アクリル樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶解液をメタノールに滴下して、再沈殿による精製を行った。濾別後、乾燥し、スチレン−アクリル樹脂を得た。
得られたスチレン−アクリル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が54.0℃、数平均分子量(Mn)が2.0×104、重量平均分子量(Mw)が2.0×105であった。
・上記のようにして得られたスチレン−アクリル樹脂(スチレン74質量部とn−ブチルアクリレート26質量部を重合して得た樹脂。ガラス転移温度(Tg)=54.0℃、数平均分子量(Mn)=20000、重量平均分子量(Mw)=200000) :0.10g
・エステル化合物(或いは低融点物質) :0.01g
上記をメノウ乳鉢にて混合し、試料1とする。
測定装置としては、示差走査熱量分析装置である「Q1000」(TA Instruments社製)や「DSC2920」(TA Instruments社製)を用いることができ、ASTM D3418−82に準じて測定する。
例えば「Q1000」を用いて、試料1を約10mg精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下のシーケンスで吸熱量の測定を行う。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
そして、2サイクル目の吸熱ピーク熱量をΔH1、4サイクル目の吸熱ピーク熱量をΔH2とし、下記式により溶解度を求める。なお、吸熱ピーク熱量は、昇温過程での温度30〜120℃の範囲におけるDSC曲線での最大の吸熱ピークの熱量とする。
溶解度S(%)=(1−ΔH2/ΔH1)×100
<シーケンス>
1サイクル目:
・30℃にて1分間保持。
・2℃/分で60℃まで昇温。昇温後、10分間保持。
・10℃/分で30℃まで降温。
2サイクル目:
・30℃にて1分間保持。
・10℃/分で120℃まで昇温。昇温後、10分間保持。
・10℃/分で30℃まで降温。
3サイクル目:
・30℃にて1分間保持。
・2℃/分で60℃まで昇温。昇温後、10分間保持。
・10℃/分で30℃まで降温。
4サイクル目:
・30℃にて1分間保持。
・10℃/分で120℃まで昇温。昇温後、10分間保持。
・10℃/分で30℃まで降温。
尚、上記したスチレン−アクリル樹脂を用いることが好ましいが、調製が困難である場合には、ガラス転移温度54.0℃±1.0℃、数平均分子量20000±2000、重量平均分子量200000±20000のスチレン−アクリル樹脂を用いて測定しても良い。上記の範囲内であれば、スチレン−アクリル樹脂への溶解度としてはほぼ同様の値が得られる。
(6)エステル化合物のスチレンモノマーへの溶解度
40℃のスチレンモノマー100gにエステル化合物を添加し、3時間攪拌した後の溶解量を求める。
次に、本発明のトナーを好適に用いることのできる画像形成装置の一例を図1に沿って具体的に説明する。図1において、100は感光ドラムであり、その周囲に一次帯電ローラー117、現像スリーブ102を有する現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナー116、レジスタローラー124等が設けられている。感光ドラム100は一次帯電ローラー117によって例えば−600Vに帯電される(印加電圧は例えば交流電圧1.85kVpp、直流電圧−620Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。感光ドラム100上の静電潜像は現像器140によって一成分トナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材を介して感光体に当接された転写ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像を載せた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナー116によりクリーニングされる。
なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、本発明のトナーはトナーであっても非磁性トナーであってもよく、1成分現像方式又は2成分現像方式のいずれに用いられるトナーであってもよい。更には、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
〈磁性粉体の製造例〉
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP2O5、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiO2を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.1当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整する。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し1.6質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行うと共にスラリーを循環させながらピンミルにて分散を行い、分散液のpHを8.6にして疎水化処理を行った。得られた疎水性磁性粉体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.22μmの磁性粉体1を得た。
<トナー1の製造>
イオン交換水720質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/リットル−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 76.0質量部
・n−ブチルアクリレート 24.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.53質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.0質量部
・磁性粉体1 90.0質量部
・飽和ポリエステル樹脂 5.0質量部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られた飽和ポリエステル樹脂、Mn=5000、酸価=12mgKOH/g、Tg=68℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにパラフィンワックス(融点:74.0℃、スチレン−アクリル樹脂への溶解度:2.6%)15質量部、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステル(以後、「DP−622」と記載する。物性は表1に示す。)10質量部を添加混合し、溶解した後に重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.5質量部を溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で5時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥してトナー粒子1を得た。
このトナー粒子1を100質量部と、個数平均1次粒径12nmの疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、重量平均粒径(D4)が7.5μmのトナー1を得た。トナー1の物性を表2に示す。
<トナー2の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステルをジペンタエリスリトールのアラキジン酸エステル(以後、「DP−620」と記載する。物性は表1に示す。)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー2を得た。トナー2の物性を表2に示す。
<トナー3の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステルをジペンタエリスリトールのステアリン酸エステル(以後、「DP−618」と記載する。物性は表1に示す。)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー3を得た。トナー3の物性を表2に示す。
<トナー4の製造例>
トナー1の製造例において、融点74.0℃のパラフィンワックスを融点83.1℃のパラフィンワックス(スチレン−アクリル樹脂への溶解度:5.6%)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー4を得た。トナー4の物性を表2に示す。
<トナー5の製造例>
トナー1の製造例において、融点74.0℃のパラフィンワックスを融点64.2℃のパラフィンワックス(スチレン−アクリル樹脂への溶解度:20.3%)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー5を得た。トナー5の物性を表2に示す。
<トナー6の製造例>
トナー1の製造例において、融点74.0℃のパラフィンワックスを融点87.2℃のポリエチレンワックス(スチレン−アクリル樹脂への溶解度:5.1%)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー6を得た。トナー6の物性を表2に示す。
<トナー7の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステル10質量部を2.0質量部に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー7を得た。トナー7の物性を表2に示す。
<トナー8の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステル10質量部を21.0質量部に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー8を得た。トナー8の物性を表2に示す。
<トナー9の製造例>
トナー1の製造例において、融点74.0℃のパラフィンワックス15質量部を10質量部に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー9を得た。トナー9の物性を表2に示す。
<トナー10の製造例>
トナー1の製造例において、融点74.0℃のパラフィンワックス15質量部を31質量部に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー10を得た。トナー10の物性を表2に示す。
<トナー11の製造例>
トナー1の製造例において、ジビニルベンゼンの量を0.53質量部から0.10質量部に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー11を得た。トナー11の物性を表2に示す。
<トナー12の製造例>
トナー1の製造例において、ジビニルベンゼンの量を0.53質量部から1.20質量部に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー11を得た。トナー11の物性を表2に示す。
<トナー13の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステルを用いなかったこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー13を得た。トナー13の物性を表2に示す。
<トナー14の製造例>
トナー1の製造例において、融点が74.0℃のパラフィンワックスを用いなかったこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー14を得た。トナー14の物性を表2に示す。
<トナー15の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステルをジペンタエリスリトールのパルミチン酸エステル(以後、「DP−616」と記載する。物性は表1に示す。)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー15を得た。トナー15の物性を表2に示す。
<トナー16の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステルをジペンタエリスリトールのセロチン酸エステル(以後、「DP−626」と記載する。物性は表1に示す。)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー16を得た。トナー16の物性を表2に示す。
<トナー17の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステルをペンタエリスリトールのステアリン酸エステル(以後、「PE−418」と記載する。物性は表1に示す。)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー17を得た。トナー17の物性を表2に示す。
<トナー18の製造例>
トナー1の製造例において、ジペンタエリスリトールのベヘン酸エステルをヘキサグリセリンテトラステアレートテトラベヘネート(以後、「HG−418」と記載する。物性は表1に示す。)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー18を得た。トナー18の物性を表2に示す。
<トナー19の製造例>
トナー1の製造例において、融点が74℃のパラフィンワックスを融点が92.0℃のフィッシャートロプシュワックス(スチレン−アクリル樹脂への溶解度:3.8%)に変えたこと以外はトナー1の製造と同様にし、トナー19を得た。トナー19の物性を表2に示す。
(画像形成装置)
画像形成装置としてLBP3410(キヤノン製、A4横33枚/分)を用い、トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃/60%RH)にて印字率が4%の横線を連続モードで6000枚画出し試験を行った。なお、記録媒体としてはA4の75g/m2の紙を使用した。その結果、耐久試験前後でゴースト、非画像部へのカブリはなく、高濃度の画像を得ることができた。評価結果を表3に示す。
また、定着試験を以下の条件で行った。
メディアとしてはExtra80g紙を用い、ハーフトーン画像の画像濃度が0.60乃至0.65となるように現像バイアスを設定した。次いで、定着器を室温まで冷却し、定着器のヒーター温度を設定し(以後、定着温度と呼ぶ)、通電したのち6秒後に画像を通紙し、定着させた。その後、50g/cm2の加重をかけたシルボン紙で定着画像を10回摺擦し、摺擦後の定着画像の濃度低下率が10%となる温度を定着開始温度とした。また、A4の75g/m2紙に単位面積あたりのトナー質量が0.6mg/cm2となるようにベタ画像を形成し、定着器の温度を種々変えて高温にてオフセットする温度を調べた。なお、高温オフセットは紙上の画像を目視判断することで行い、高温オフセットしない最高温度(定着終了温度)を求めた。その結果、磁性トナー1の定着開始温度は180℃であり、定着終了温度は240℃であった。
本発明の実施例及び比較例で行った各評価の評価方法とその判断基準について以下に述べる。
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
<カブリ>
白画像を出力して、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETERMODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上2.5%未満)
C:普通(2.5%以上4.0%未満)
D:悪い(4.0%以上)
〔実施例2〜12〕
トナー2〜12を用いたこと以外は実施例1と同様に画出し耐久試験及び定着試験を行った。その結果、いずれのトナーも耐久試験前後で実用上問題ないレベル以上の画像が得られ、良好な定着性を示した。評価結果を表3に示す。
〔比較例1〜7〕
トナー13〜19を用いたこと以外は、実施例1と同様に画出し試験及び定着試験を行った。その結果、いずれのトナーも定着温度は200℃よりも高く、定着性が充分では無い結果となった。また、トナー16、18ではエステル化合物の分散性が悪かったせいか、耐久後のカブリは悪いレベルであった。評価結果を表3に示す。
この出願は2008年5月28日に出願された日本国特許出願番号第2008−139237からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
Claims (11)
- 結着樹脂、着色剤、エステル化合物、及び低融点物質を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記エステル化合物は、ジペンタエリスリトールと炭素数が18以上25以下のカルボン酸とのエステルであり、
前記エステル化合物の融点をTm(A)(℃)、前記低融点物質の融点をTm(B)(℃)とした時、
Tm(B)≦Tm(A)+5
を満たすことを特徴とするトナー。 - 前記エステル化合物の融点Tm(A)(℃)と前記低融点物質の融点Tm(B)(℃)とが、
Tm(B)≦Tm(A)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナー。 - 前記エステル化合物は、スチレン−アクリル樹脂への溶解度S(A)が2.5%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記エステル化合物は、スチレン−アクリル樹脂への溶解度S(A)が2.0%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記低融点物質は、スチレン−アクリル樹脂への溶解度S(B)が5.5%以上20.0%以下であり、S(A)<S(B)であることを特徴とする請求項3又は4に記載のトナー。
- 前記エステル化合物の40℃におけるスチレンモノマーに対する溶解度が5.0質量%未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナー粒子は、結着樹脂100質量部当り3.0質量部以上20.0質量部以下の前記エステル化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 前記低融点物質の含有量は、質量基準で、前記エステル化合物の1.2倍以上3.0倍以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
- 前記エステル化合物の融点が70℃以上90℃以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナーの平均円形度が0.950以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナーの結着樹脂成分のTHF不溶分が5.0質量%以上65.0質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー。
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