JP2014106491A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱保存性、定着性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性に優れ、高温環境下で連続して画像形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成できる、静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂と、離型剤とを含むトナー母粒子、及びトナー母粒子の表面に付着する外添剤とからなる静電荷像現像用トナーについて、離型剤として、それぞれ特定の組成のカルボン酸成分及びアルコール成分から構成されるエステルワックスを用い、離型剤の吸熱開始温度を所定の温度以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。
トナーに関して、省エネルギー化、装置の小型化のような観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。しかし、低温定着性に優れるトナーは、融点やガラス転移点の低い結着樹脂や、低融点の離型剤を含む場合が多い。このため、低温定着性に優れるトナーは、一般的に、高温で保存する場合に凝集しやすかったり、加熱された定着ローラーにトナーが融着することに起因して、定着ローラーと画像が形成された被記録媒体とが離型しにくかったりする問題がある。
このような課題を解決するために、少なくともバインダー樹脂と、離型剤であるワックスと、着色剤とを含有し、表面に樹脂微粒子が付着しているトナーであって、ガラス転移温度Tgが50℃以上80℃以下であり、ヘキサンを用いた抽出で求められるトナー表面のワックス露出量が18mg/g以上30mg/g以下であり、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)測定値が0.1以下であるトナーが提案されている(特許文献1参照)。
特開2011−133518号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーは、被記録媒体に対する定着性に優れるものの、使用するワックスの種類次第では、トナーを高温環境で使用する場合に、トナー表面にワックスが染み出してしまい、耐熱保存性が損なわれる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、耐熱保存性、定着性、及び離型性に優れ、高温環境下で連続して画像形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成できる、静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、結着樹脂と、離型剤とを含むトナー母粒子、及びトナー母粒子の表面に付着する外添剤からなる静電荷像現像用トナーについて、離型剤として、それぞれ特定の組成のカルボン酸成分及びアルコール成分から構成されるエステルワックスを用い、離型剤の吸熱開始温度を所定の温度以上とすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。なお、本発明の明細書及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される粒子を「トナー母粒子」と称する。
本発明は、結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とからなり、
前記離型剤がエステルワックスであり、
前記エステルワックスを構成する、カルボン酸成分と、アルコール成分とが、それぞれ、ガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が90質量%以上であり、
前記離型剤が、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される吸熱開始温度が50℃以上である、静電荷像現像用トナーに関する。
本発明によれば、耐熱保存性、定着性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性に優れ、高温環境下で連続して画像形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成できる、静電荷像現像用トナーを提供することができる。
実施例1のトナーに含まれる離型剤、及び結着樹脂の熱膨張率曲線を示す図である。 実施例1のトナーの高温環境試験前のトナーの表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。 実施例1のトナーの高温環境試験後のトナーの表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。 比較例1のトナーの高温環境試験前のトナーの表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。 比較例1のトナーの高温環境試験後のトナーの表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、トナーともいう)は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とからなる。トナー母粒子は、結着樹脂と、離型剤とを含む。離型剤はエステルワックスである。離型剤であるエステルワックスは、それぞれ特定の組成のカルボン酸成分及びアルコール成分から構成される。離型剤の吸熱開始温度は、所定の温度以上である。
また、本発明のトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、本発明のトナーについて、トナー母粒子と、外添剤と、本発明のトナーの製造方法と、本発明のトナーを2成分現像剤として使用する場合に用いるキャリアの順で説明する。
[トナー母粒子]
本発明のトナーを構成するトナー母粒子は、結着樹脂、及び離型剤を含む。トナー母粒子は、結着樹脂、及び離型剤のほかに、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意の成分を含んでいてもよい。以下、本発明のトナーを構成するトナー母粒子について、必須、又は任意の成分である、結着樹脂、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉について説明する。
〔結着樹脂〕
トナー母粒子に含まれる結着樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、トナーの用紙に対する定着性の面から、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましい。以下、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレンのような単量体が挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、2価又は3価以上のアルコール成分と2価又は3価以上のカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合で得られるものを使用することができる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下の2価又は3価以上のアルコール成分や2価又は3価以上のカルボン酸成分が挙げられる。
2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコールが挙げられる。
2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、又はn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸のようなアルキル又はアルケニルコハク酸のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、及び低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体としたものを用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を意味する。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合の、ポリエステル樹脂の軟化点は、80℃以上150℃以下であることが好ましく、90℃以上140℃以下であることがより好ましい。
結着樹脂としては、定着性が良好であることから熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂単独で使用するだけでなく、熱可塑性樹脂に架橋剤や熱硬化性樹脂を添加することも可能である。結着樹脂内に一部架橋構造を導入することで、トナーの定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、耐久性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂やシアネート系樹脂が好ましい。好適な熱硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂のような熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用できる。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、50℃以上65℃以下が好ましく、50℃以上60℃以下がより好ましい。結着樹脂のガラス転移点が低すぎる場合、画像形成装置の現像部の内部でトナー同士が融着したり、トナーの保存安定性の低下に起因して、トナー容器の輸送時や倉庫での保管時にトナー同士が一部融着したりする場合がある。また、結着樹脂のガラス転移点が高すぎる場合、結着樹脂の強度が低下し、潜像担持部にトナーが付着しやすい。また、結着樹脂のガラス転移点が高すぎる場合、トナーが低温で良好に定着されにくい傾向がある。
なお、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、結着樹脂の吸熱曲線を測定することで結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。測定試料としての結着樹脂10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/min、常温常湿下という条件で測定して得られた結着樹脂の吸熱曲線を用いて結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。
結着樹脂の数平均分子量(Mn)は、2,000以上8,000以下がより好ましい。また、結着樹脂の質量分子量(Mw)は、50,000以上150,000以下がより好ましい。結着樹脂の数平均分子量(Mn)、及び質量平均分子量(Mw)をこのような範囲にすることで、幅広い温度範囲で良好な定着性を実現できるトナーを得ることができる。また、数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、20以上80以下が好ましい。結着樹脂の分子量分布をこのような範囲とすることで、幅広い温度範囲で良好な定着性を実現できるトナーを得ることができる。結着樹脂の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
〔離型剤〕
本発明の静電荷像現像用トナーを構成するトナー母粒子は、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含む。本発明のトナーに用いられる離型剤は、エステルワックスであり、エステルワックスを構成する、カルボン酸成分と、アルコール成分とが、それぞれ、ガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が90質量%以上である。また、離型剤の熱特性として、離型剤は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される吸熱開始温度が50℃以上である。以下、離型剤として用いられるエステルワックスと、離型剤の熱特性とについて説明する。
(エステルワックス)
本発明のトナーに用いるエステルワックスは、天然物に由来する天然エステルワックスであっても、化学的に合成される合成エステルワックスの何れであってもよい。前述の通り、本発明では、所定の組成のカルボン酸成分とアルコール成分とから構成されるエステルワックスを用いる。しかし、一般的に入手可能な天然エステルワックスは、通常、種々のエステル化合物の混合物であるため、エステルワックスを構成するカルボン酸成分とアルコール成分とが上記の所定の要件を満たさない。このため、本発明において、離型剤として天然エステルワックスを用いる場合、公知の精製方法を用いて天然エステルワックスを精製して用いる必要がある。
このような事情から、エステルワックスとしては合成エステルワックスが好ましい。合成前の段階で、必要に応じて、カルボン酸成分、アルコール成分、又は両者を、ガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が90質量%以上となるように精製することで、本発明で用いるエステルワックスを容易に合成できるからである。また、一般的に合成エステルワックスは、それぞれ特定の炭素数のカルボン酸成分と、アルコール成分とから構成される、エステル化合物の含有量が多く、精製も容易である。
エステルワックスが合成エステルワックスである場合、合成エステルワックスを製造する方法は、化学合成法であれば特に限定されない。合成エステルワックスは、酸触媒の存在下でのアルコールとカルボン酸との反応や、カルボン酸ハライドとアルコールとの反応のような周知の方法を用いて合成することができる。なお、合成エステルワックスの原料は、天然油脂から製造される長鎖脂肪酸のように天然物に由来するものでもよい。
エステルワックスを構成する、カルボン酸成分と、アルコール成分とは、それぞれ、ガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が90質量%以上である。以下、カルボン酸成分のガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量をWc、アルコール成分のガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量をWaとして説明する。
Wc及びWaが90質量%以上であるエステルワックスを含むトナーについて、高温で保存した前後のトナー粒子表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である図2及び図3と、Wc及びWaが90質量%未満であるエステルワックスを含むトナーについて、高温で保存した前後のトナー粒子表面のSEM画像である図4及び図5を示す。
Wc及びWaが90質量%以上であるエステルワックスを含むトナーは、離型剤の熱膨張が起こりにくいため、図2、及び図3に示すように、高温環境下でトナーを保存した場合であっても、トナー粒子の表面状態が変化しにくい。このように、高温環境下で離型剤の熱膨張が起こりにくいと、トナーを高温環境下で保存する場合でもトナー同士の凝集が起こりにくく、定着性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性に優れトナーを得やすい。また、高温環境下で画像形成を行う場合でも、トナー粒子の表面状態が変化しにくいため、トナーの流動性が損なわれにくい。このため、トナーの帯電性能を良好に維持することができ、長期間連続して画像形成する場合であっても、所望する画像濃度の画像を形成することができる。
これに対し、Wc又はWaの何れかが過少であるエステルワックスを含むトナーは、図4及び図5に示すように、高温環境下で離型剤の熱膨張が起こりやすい。図5に示すように離型剤の熱膨張が生じると、トナー粒子表面に離型剤成分が多く露出するため、トナー同士の凝集が起こりやすい。また、離型剤の熱膨張が起こると、図5に示すように、トナー母粒子表面の外添剤が、熱膨張してトナー粒子表面に露出した離型剤で覆われてしまう場合がある。このため、高温環境下で画像形成する場合、トナーの流動性が損なわれ、トナーが良好に帯電しにくくなり、所望する画像濃度の画像が形成されにくくなる。
エステルワックスを構成する、カルボン酸成分と、アルコール成分との炭素原子数分布は、ガスクロマトグラフ装置を用いて測定される。炭素原子数分布は、具体的には、以下の方法で測定される。ガスクロマトグラフ装置としてGC−14B(株式会社島津製作所製)を用い、カラムとしてUltra ALLOY UA17−15M−0.25F(フロンティア・ラボ株式会社製)を用いる。カラム温度を、開始温度150℃から10℃/分の昇温速度で320℃まで昇温させる。カラム温度を同温度に33分間保持し、インジェクション温度350℃、ディテクション温度350℃でカルボン酸成分、アルコール成分、又は両者の混合物の試料を分析することで、カルボン酸成分やアルコール成分の炭素原子数分布を得ることができる。
なお、エステルワックスを構成する、カルボン酸成分、及びアルコール成分それぞれの炭素数分布は、エステルワックスを合成する前のカルボン酸成分及びアルコール成分の炭素数分布を測定することにより求めることができる。また、エステルワックスを、酸又は塩基を用いて加水分解し、カルボン酸成分とアルコール成分とを得たのち、カルボン酸成分、アルコール成分、又は両者の混合物の炭素数分布を測定することにより、カルボン酸成分及びアルコール成分の炭素数分布を求めることができる。さらに、エステルワックスが、離型剤として、既にトナーに混合されている場合、トナーからエステルワックスを分離した後、上記の方法に従って、分離されたエステルワックスを構成するカルボン酸成分及びアルコール成分の炭素数分布を求めることができる。なお、トナーから、離型剤であるエステルワックスを分離する方法は特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
<離型剤を分離する方法>
トナーを、メチルエチルケトン(MEK)に浸漬させ、25℃で、24時間静置して得られる試料をガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過する。次いで、ガラスフィルター上の残渣を、50℃のトルエンに浸漬させ、25℃で、4時間静置して得られる試料を、ガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過する。ろ液を12時間静置した後、上澄み液を採取する。上澄み液を60℃で真空乾燥して、乾燥後の残渣として離型剤が得られる。
(離型剤の熱特性)
離型剤の、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される吸熱開始温度は50℃以上であり、50℃以上60℃以下がより好ましい。DSCを用いて測定される吸熱開始温度が、50℃以上である離型剤を用いることで、耐熱保存性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性に優れるトナーを得やすい。離型剤の吸熱開始温度が50℃未満である場合、画像形成時にオフセットが生じやすく、トナーの離型性が損なわれやすい。また、離型剤の吸熱開始温度が50℃未満である場合、トナーを高温環境下で保存する際に、トナー粒子の表面に離型剤が染み出しやすく、トナーの耐熱保存性が損なわれやすい。示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される離型剤の吸熱開始温度は、離型剤であるエステルワックスの主成分であるエステル化合物の炭素数を調整することで調整できる。エステルワックスの主成分であるエステル化合物の炭素数を小さくすると、離型剤の吸熱開始温度が低下する傾向があり、エステルワックスの主成分であるエステル化合物の炭素数を大きくすると、離型剤の吸熱開始温度が上昇する傾向がある。
また、離型剤は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されるDSC曲線中の最大吸熱ピークの温度が、60℃以上が好ましく、60℃以上80℃以下がより好ましい。離型剤の最大吸熱ピークの温度が60℃未満である場合、トナーの定着性が損なわれる場合がある。DSC曲線中の最大吸熱ピークの温度を調整する方法は、離型剤の吸熱開始温度と同様の方法を用いて調整することができる。以下、DSC測定の方法について説明する。
<DSC測定の方法>
示差走査熱量計(DSC−6200(セイコーインスツルメンツ株式会社製))を用いて測定を行う。測定試料の量を10mgとし、測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/分で周囲環境が常温常湿で測定して得られる測定試料のDSC曲線から、最大の吸熱ピークの温度を求める。なお、ベースラインとDSC曲線が乖離した点の温度を、吸熱開始温度とする。
また、離型剤は、熱機械分析(TMA)装置を用いて測定される、離型剤の熱膨張率の最大値Vmaxが、0.1%以下であるのが好ましい。離型剤のVmaxが0.1%以下であると、高温環境下でトナーを用いて画像形成する場合や、高温環境下でトナーを保存する場合であっても、トナー母粒子からの離型剤の染み出が起こりにくくなる。
離型剤の熱膨張率の最大値Vmaxは、離型剤の炭素数分布を調整することで調整できる。Vmaxは、離型剤の炭素数分布をシャープにすることで低くなりやすく、離型剤の炭素数分布をブロードにすることで高くなりやすい。熱機械分析(TMA)の測定では、TMA/SS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)のような測定装置を用いることができる。
前述の離型剤に対する各種測定は、トナーの調製に使用される材料である、離型剤に対して行ってもよく、トナーから分離された離型剤に対して行ってもよい。
離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、オフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合があり、離型剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着に起因して保存安定性が低下する場合がある。
〔着色剤〕
トナー母粒子は、結着樹脂中に着色剤を含んでいてもよい。トナー母粒子に含まれる着色剤は、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料から適宜選択される。トナー母粒子に添加する好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラックのような黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネープルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキのような黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGKのような橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bのような赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキのような紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのような青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGのような緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛のような白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトのような体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーの色相の所望の色相への調整のような目的で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上8質量部以下がより好ましい。
〔電荷制御剤〕
トナー母粒子は、必要に応じ、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れるトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
電荷制御剤の種類は、特に限定されず、従来よりトナーに使用されている電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディープブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
官能基として4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、特に限定されず、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、有機金属錯体、キレート化合物が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナートのようなアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロムのようなサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、典型的には、トナー全量を100質量部とする場合に、1.5質量部以上15質量部以下が好ましく、2.0質量部以上8.0質量部以下がより好ましい。電荷制御剤の使用量が過少である場合、所定の極性にトナーを安定して帯電させ難いため、形成画像の画像濃度が所望する値を下回ったり、画像濃度の長期にわたる維持が困難になったりすることがある。また、このような場合、電荷制御剤がトナー中に均一に分散し難く、形成画像にかぶりが生じやすくなったり、潜像担持部のトナーによる汚染が起こりやすくなったりする。電荷制御剤の使用量が過多である場合、耐環境性の悪化に起因する、高温高湿下での帯電不良に起因する形成画像における画像不良や、潜像担持部のトナーによる汚染のような問題が起こりやすくなる。
〔磁性粉〕
トナー母粒子は、必要に応じて、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の種類は特に限定されない。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉は、結着樹脂中での磁性粉の分散性の改良のような目的で、チタン系カップリング剤やシラン系カップリング剤のような表面処理剤を用いて表面処理されたものを使用できる。
磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とする場合に、35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。磁性粉の使用量が過多である場合、長期間にわたって画像濃度を所望する値に維持することが困難になったり、トナーの用紙に対する定着性が極度に低下したりする場合がある。磁性粉の使用量が過少である場合、形成画像にかぶりが発生しやすくなったり、長期間にわたって画像濃度を所望する値に維持することが困難になったりする場合がある。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
[外添剤]
静電荷像現像用トナーは、トナー母粒子の表面に外添剤が付着している。外添剤の種類は、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。これらの外添剤の中でも、流動性に優れるトナーを得やすいことから、外添剤としてシリカを用いるのが好ましい。
これらの外添剤は、アミノシランカップリング剤やシリコーンオイルのような疎水化剤を用いて疎水化して使用することもできる。疎水化された外添剤を用いる場合、高温高湿下でのトナーの帯電量の低下を抑制しやすく、また、流動性に優れるトナーを得やすい。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の使用量は、外添処理前のトナー粒子(トナー母粒子)100質量部に対して、2.5質量部未満が好ましく、0.1質量部以上2.5質量部未満がより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下が特に好ましい。
[トナーの製造方法]
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることで得られる。そして、トナー母粒子は、結着樹脂に対して、離型剤を配合し、必要に応じて、以上説明した成分を含むトナー母粒子を製造できれば特に限定されない。トナー母粒子の好適な製造方法としては、粉砕法と、凝集法とが挙げられる。粉砕法では、結着樹脂、及び離型剤と、着色剤、電荷制御剤、磁性粉のような任意成分とを混合し、得られる混合物を1軸又は2軸の押出機のような溶融混練装置で溶融混練し、得られる溶融混練物を粉砕・分級してトナー母粒子を得る。凝集法では、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のようなトナーに含まれる成分の微粒子を水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得た後、凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させてトナー母粒子を得る。これらの製造方法の中でも粉砕法がより好ましい。トナー母粒子の平均粒子径は、5μm以上10μm以下が好ましい。
次いで、このようにして得られるトナー母粒子の表面を、外添剤を用いて処理する。外添剤を用いるトナー母粒子の処理方法は従来知られる外添剤を用いる処理方法から適宜選択できる。具体的には、外添剤の粒子がトナー母粒子に埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤を用いる処理が行われる。
(比表面積)
このようにして得られるトナーは、23℃50%RH環境下で24時間静置後の未使用のトナーのBET比表面積をS、45℃16%RH環境下で24時間静置後の未使用のトナーのBET比表面積をSとした場合に、
下式:
比表面積低下率[%]=(1−S/S)×100
を用いて算出される比表面積低下率が、11%以上14%以下であるのが好ましい。トナーの比表面積低下率をこのような範囲とすることで、高温環境下(45℃16%RH)でトナーを保存する場合であっても、トナー粒子の表面状態が変わりにくいトナーを得ることができる。このような条件で測定されるトナーの比表面積低下率を調整する方法としては、上記の通り、離型剤の熱膨張率の最大値Vmaxを調整する方法や、外添剤の量を調整する方法が挙げられる。なお、トナーのBET比表面積は、比表面積測定装置(Macsorb 1208(株式会社マウンテック製))を用いて測定できる。
[キャリア]
本発明の静電荷像現像用トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂を用いて被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、及びコバルトのような金属の粒子や、これらの材料と、マンガン、亜鉛、及びアルミニウムのような金属との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金のような鉄合金の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、及びニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、及びロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、並びに樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定される粒子径で、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
本発明のトナーを2成分現像剤として用いる場合、2成分現像剤中のトナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下が好ましい。2成分現像剤におけるトナーの含有量をこのような範囲とすることにで、形成画像の画像濃度を適度な水準に維持しやすく、現像装置からのトナー飛散の抑制に起因して、画像形成装置内部のトナーによる汚染や転写紙へのトナーの付着を抑制できる。
以上説明した、本発明の静電荷像現像用トナーは、耐熱保存性、定着性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性に優れ、高温環境下で連続して画像形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成できる。このため、本発明の静電荷像現像用トナーは、種々の画像形成装置において好適に使用される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例では、離型剤A〜Jを用いた。離型剤A〜Jの製造方法を、調製例1に記す。また、離型剤として用いられるエステルワックスを構成するカルボン酸成分と、アルコール成分について、カルボン酸成分のガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量をWc、アルコール成分のガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量をWaと記す。
[調製例1]
〔離型剤A〜Jの調製〕
ガスクロマトグラフィーで測定された、表1に記載の炭素数分布を有するカルボン酸成分、及びアルコール成分を用いて、下記手順に従い、エステルワックスである離型剤A〜Jを調製した。
温度計、窒素導入管、撹拌機、及び冷却管を備えた容量1リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、それぞれ、表2に記載の種類の、カルボン酸成分50質量部と、アルコール成分50質量部とを加えた。次いで、窒素気流下、220℃で副生水を留去しつつ、15時間常圧で反応させてエステル化粗生成物を得た。得られたエステル化粗生成物100質量部に対して、20質量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層を分離・除去した。分離された水層のpHが中性になるまで水洗を繰り返した。残ったエステル層を、1kPaの減圧条件下で180℃に加熱して、揮発物を留去し、エステルワックスを得た。
<炭素数分布測定方法>
ガスクロマトグラフ装置としてGC−14B(株式会社島津製作所製)を用い、カラムとしてUltra ALLOY UA17−15M−0.25F(フロンティア・ラボ株式会社製)を用いて測定を行った。カラム温度を、開始温度150℃から10℃/分で320℃まで昇温させ、カラム温度を同温度に33分間保持し、インジェクション温度350℃、ディテクション温度350℃で試料を分析した。
[実施例1〜4、及び比較例1〜9]
結着樹脂(ポリエステル樹脂、タフトンNE−7200(花王株式会社製))100質量部と、表3〜5に記載の種類の離型剤5質量部と、着色剤(カーボンブラック、MA−100(三菱化学株式会社製))4質量部と、電荷制御剤(N−01(オリヱント化学工業株式会社製))2質量%とを、ヘンシェルミキサー(FM−20B(日本コークス株式会社製))を用いて混合した。得られた混合物を、二軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて、材料供給速度5kg/hr、軸回転数150rpm、シリンダー温度150℃の条件で溶融混練して溶融混練物を得た。冷却された溶融混練物を、粉砕機(ロートプレックスミル8/16型(株式会社東亜機械製作所製))で粗粉砕した。次いでジェットミル(超音波ジェットミルI型(日本ニューマチック工業株式会社製))を用いて粗粉砕品を微粉砕した。微粉砕品を、エルボージェット(EJ−LABO型(日鉄鉱業株式会社製))を用いて分級して、体積平均粒子径6.0μm程度のトナー母粒子を得た。トナー母粒子の体積平均粒子径の測定は、マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて行った。
得られたトナー母粒子100質量部に対して、表3〜5に記載の量の疎水性シリカ微粒子(RA−200H(日本アエロジル株式会社製))と、酸化チタン微粒子(ST−100(チタン工業株式会社製))0.5質量部とを加え、ヘンシェルミキサー(FM−20B(日本コークス株式会社製))を用いて、回転数2000rpm、ジャケット制御温度25℃で2分間混合して外添処理を行い、実施例1〜4、及び比較例1〜9のトナーを得た。
≪熱特性分析≫
実施例1〜4、及び比較例1〜9のトナーから、以下の方法に従って、離型剤を分離した。次いで、得られた離型剤について、以下のDSC測定方法に従って、離型剤の吸熱開始温度と、DSC曲線とを測定し、TMA測定方法に従って、離型剤の熱膨張率曲線を測定した。次いで、得られた離型剤のDSC曲線から、離型剤の最大級熱ピーク温度と、離型剤の熱膨張率曲線から、離型剤の最大熱膨張率(Vmax)とを求めた。実施例1〜4、及び比較例1〜9のトナーに用いた離型剤の、吸熱開始温度と、最大吸熱ピーク温度と、最大熱膨張率(Vmax)との測定結果を表3〜5に記す。また、実施例1のトナーに含まれる離型剤の熱膨張率曲線を図1に示す。
<離型剤の分離方法>
トナー0.1gを、メチルエチルケトン(MEK)30mlに浸漬させ、25℃で、24時間静置して得られた試料をガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過した。ろ液を12時間静置し、上澄み液を採取した。上澄み液を60℃で真空乾燥して、乾燥後の残渣として結着樹脂を得た。次いで、ガラスフィルター上の残渣を、50℃のトルエン30mlに浸漬させ、25℃で、4時間静置して得られた試料を、ガラスフィルター(目開き規格11G−3)でろ過した。ろ液を12時間静置した後、上澄み液を採取した。上澄み液を60℃で真空乾燥して、乾燥後の残渣として離型剤を得た。
<DSC測定の方法>
示差走査熱量計(DSC−200(セイコーインスツルメンツ株式会社製))を用いて測定を行った。測定試料の量を10mg、測定温度範囲を常温から200℃までとし、昇温速度30℃/分で、測定試料の吸熱開始温度と、測定試料のDSC曲線とを測定した。そして、測定されたDSC曲線から、最大の吸熱ピークのボトムの温度を、最大吸熱ピークの温度として求めた。
<TMA測定方法>
熱機械分析(TMA)装置として、TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いた。サンプル厚さ2.5mm、プローブ加重50mN,昇温速度を2.0℃/分とし、20℃から160℃まで変化させて試料の熱膨張率を測定した。
実施例1のトナーに含まれる離型剤と、結着樹脂とについて、それぞれの熱膨張率曲線を図1に示す。図1に示される熱膨張率曲線から、表3に記載の離型剤の最大熱膨張率(Vmax)を求めた。また、離型剤の熱膨張率曲線から、表3に記載の最大熱膨張率ピーク温度を求めた。
≪SEM観察≫
走査型電子顕微鏡(JSM−7500F(日本電子株式会社製))を用いて、45℃16%RH環境下で24時間静置する(高温環境試験)前後の実施例1、及び比較例1のトナー粒子表面を、倍率100,000倍で観察した。実施例1のトナーについて、高温環境試験前のトナーの表面のSEM画像を図2に示し、高温環境試験後のトナーの表面のSEM画像を図3に示す。また、比較例1のトナーについて、高温環境試験前のトナーの表面のSEM画像を図4に示し、高温環境試験後のトナーの表面のSEM画像を図5に示す。
図2及び図3に示すように、Wc及びWaが90質量%以上であるエステルワックスを含む実施例1のトナーは、高温環境試験前後で、トナー粒子の表面状態が変化しにくいことが分かる。これに対し、図4及び図5に示すように、Wc及びWaの双方が過少であるエステルワックスを含む比較例1のトナーは、高温環境試験後、トナー粒子表面が膨張した離型剤成分で覆われていることが分かる。
≪比表面積測定≫
実施例1〜4、及び比較例1〜9の未使用トナー1gを、23℃50%RH環境下で24時間静置後、BET比表面積測定装置(Macsorb 1208(マウンテック社製))を用いて、BET比表面積(S)を測定した。また、温度湿度条件を、45℃16%RHに変えるほかは、Sの測定方法と同様にして、BET比表面積(S)を測定した。得られたS及びSの値から、下式を用いて、比表面積低下率を算出した。
比表面積低下率[%]=((S−S)/S)×100
≪評価1≫
実施例1〜4、及び比較例1〜9のトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。実施例1〜4、及び比較例1〜9のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表3〜5に記す。
<耐熱保存性>
トナー5gを、ガラス製サンプル瓶に秤量し、トナーの入ったサンプル瓶を、55℃の恒温槽(DKN302(ヤマト科学製))に24時間静置した後、室温まで冷却した。冷却されたトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、振動目盛り5の条件で、400メッシュの篩を用いて篩別した。篩を通過したトナーの質量(T)[g]を測定し、下式を用いて、トナー通過率を算出した。
トナー通過率[%]=T/5×100
耐熱保存性は、下記の基準に従って評価した。
○:トナー通過率が80%以上。
×:トナー通過率が80%未満。
≪評価2≫
実施例1〜4、及び比較例1〜9のトナーを用いて、以下の方法に従って、画像濃度、定着性、及び離形性を評価した。評価機として、カラープリンター(FS−C5300DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いた。なお、評価は、下記の方法に従って調製された2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜4、及び比較例1〜9のトナーの評価結果を、表3〜5に記す。
[調製例2]
(2成分現像剤の調製)
カラープリンター(FS−C5300DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))に使用されているキャリア100質量部に対して、トナー10質量部を配合してプラスチックボトルに封入し、ボールミル(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)を用いてプラスチックボトルを100rpmの回転数で30分間回転させて、プラスチックボトル内のキャリアとトナーを均一に撹拌混合して、2成分現像剤を得た。
<画像濃度>
評価機を用いて、23℃50%RH、及び45℃16%RHのそれぞれの環境下で画像濃度の評価を行った。印字率4%で1万枚連続印字した後に、被記録媒体に印字率100%のソリッド画像を形成させた。形成したソリッド画像の画像濃度は、反射濃度計(グレタグマクベススペクトロアイ(グレタグマクベス社製))を用いて測定した。画像濃度は、下記の基準に従って評価した。◎、及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:画像濃度が1.20以上。
○:画像濃度が1.00以上、1.20未満。
×:画像濃度が1.00未満
<定着性>
評価機を用いて、被記録媒体に印字率100%のソリッド画像を形成させた。ソリッド画像上の画像濃度1.20以上1.25以下の場所を、布帛で覆われた500gの分銅を用いて分銅の自重のみが画像にかかるように5往復させて摩擦し、摩擦後の画像濃度を測定した。画像濃度は、反射濃度計(グレタグマクベススペクトロアイ(グレタグマクベス社製))を用いて測定した。下式に従って、摩擦前後の画像濃度から定着率を算出した。
定着率(%)=(摩擦後画像濃度/摩擦前画像濃度)×100
定着性は、下記の基準に従って評価した。◎、及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:定着率が90%以上。
○:定着率が80%以上、90%未満。
×:定着率が80%未満。
<離型性>
評価機を用いて、トナー載り量を0.1mg/cm刻みで、1.00mg/cmから1.80mg/cmまで変化させて、被記録媒体に印字率100%のソリッド画像を形成し、被記録媒体が定着ローラーに巻きつかないトナー載り量(mg/cm)を分離可能トナー載り量とした。下記の基準に従って離型性を評価した。離型性評価の判定基準は以下の通りである。
◎:トナー載り量が1.5mg/cmを超える。
○:トナー載り量が1.2mg/cmを超える、1.5mg/cm以下。
×:トナー載り量が1.2mg/cm以下。
実施例1〜4によれば、結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とからなり、離型剤がエステルワックスであり、エステルワックスを構成する、カルボン酸成分、及びアルコール成分のそれぞれについて、炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が90質量%以上であり、離型剤の吸熱開始温度が50℃以上である静電荷像現像用トナーは、耐熱保存性、定着性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性に優れ、高温環境下で連続して画像形成する場合でも、所望する画像濃度の画像を形成できることが分かる。
また、実施例1〜3によれば、シリカの含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して1.5質量部以下である静電荷像現像用トナーは、定着性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性により優れることが分かる。また、同量の外添剤を含んでいる、実施例1〜2のトナーと、実施例3のトナーとの比較によれば、比表面積低下率が、11%以上14%以下である静電荷像現像用トナーは、高温環境下で連続して画像形成する場合に、画像濃度の低下をより抑制しやすいことが分かる。
比較例1〜4、及び6〜8によれば、エステルワックスを構成する、カルボン酸成分、又はアルコール成分の何れかについて、炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が過少である場合、高温環境下で連続して画像形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成しにくいことが分かる。これは、高温環境下で画像形成動作が行われることで、図4及び図5に示すように、熱膨張してトナー表面に露出した離型剤が、トナー母粒子表面に付着する外添剤を覆ってしまうためと推察される。
比較例4〜8によれば、離型剤の吸熱開始温度が低すぎる場合、トナーの耐熱保存性が損なわれることが分かる。これは、高温環境下でトナーを保存する場合に、トナー粒子から離型剤成分がトナー粒子の表面に染み出しやすいためと推察される。
比較例9によれば、エステルワックスを構成する、カルボン酸成分、又はアルコール成分の何れかについて、炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が過少であって、トナー母粒子100質量部に対して、シリカを2.5質量部含むトナーは、耐熱保存性に優れ、高温環境下で連続して画像形成する場合に、所望する画像濃度の画像を形成できるが、定着性、及び定着ローラーと画像が形成された被記録媒体との離型性が損なわれる。これは、外添剤としてシリカを多く含むことで、トナーの流動性を高めることができるものの、トナー粒子表面の離型剤の存在が、定着を阻害するためと推察される。

Claims (5)

  1. 結着樹脂及び離型剤を含むトナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とからなり、
    前記離型剤がエステルワックスであり、
    前記エステルワックスを構成する、カルボン酸成分と、アルコール成分とが、それぞれ、ガスクロマトグラフィーで測定される炭素数分布中で最大ピークを示す炭素数の画分の含有量が90質量%以上であり、
    前記離型剤が、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される吸熱開始温度が50℃以上である、静電荷像現像用トナー。
  2. 前記離型剤が、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されるDSC曲線中の最大吸熱ピークの温度が60℃以上である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記離型剤が、熱機械分析(TMA)を用いて測定される、熱膨張率の最大値Vmaxが、0.1%以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記外添剤がシリカを含み、
    前記シリカの含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して1.5質量部以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 23℃50%RH環境下で24時間静置後の未使用のトナーのBET比表面積をS、45℃16%RH環境下で24時間静置後の未使用のトナーのBET比表面積をSとした場合に、下式:
    比表面積低下率[%]=((S−S)/S)×100
    を用いて算出される比表面積低下率が、11%以上14%以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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