JPWO2008139809A1 - 質量分析ユニット - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、特願2007−129408号を基礎出願とし、その内容を取り込む。
ところで、質量分析装置の使用上の注意を誤ると、フィラメントやイオン検出器の故障に繋がってしまう。また、フィラメントやイオン検出器には各々寿命があり、その寿命を越えると正確な測定ができなくなってしまう。そこで、フィラメントや、イオン検出器の故障防止、寿命計測、寿命を延命させるために、例えば、以下のような構成が開示されている。
また、補修対称部品の補修作業等を効率的に行うことができ、省電力化を図ることができる質量分析ユニットの提供を目的とする。
(1)本発明の質量分析ユニットは、被測定ガスの質量電荷比ごとのイオン電流値を検出して分圧を測定する質量分析部を備えた質量分析ユニットであって、この質量分析ユニットの特定部位の機能を低下させる特定ガスの質量電荷比の記録を予め保持する制御部をさらに備え;前記質量分析部により検出された前記特定ガスの質量電荷比のイオン電流値が所定値以上となった場合に、前記制御部が、前記特定部位の機能低下を示す警告信号を出力する。
この構成によれば、質量分析ユニットにおける特定部位の機能を低下させる特定ガスの質量電荷比が制御部に記録される。そして、特定ガスのイオン電流値が所定値を超えた場合に、特定部位の機能低下の警告信号を出力することで、予期しない特定ガスが導入された場合や、ユーザーが特定ガスの質量電荷比を認識していない場合でも、質量分析ユニットにおける特定部位の機能低下の可能性を即座に知らせることができる。そのため、特定ガスによって特定部位が機能低下するのを防ぐことができる。
この構成によれば、特定部位の機能低下の警告信号を出力することで、特定ガスのイオン電流値とその検出時間との積分値に対応する特定部位の経時変化を、正確に知らせることができる。また、特定部位に印加されている電圧の印加を解除して特定部位の機能を停止させることで、特定部位のさらなる経時変化を抑制することもできる。
この場合、質量分析ユニットにおける特定部位の寿命を正確に知らせることができ、これに応じてユーザーは、交換の時期を判断することができる。よって、特定部位が使用不能になってから交換したり、まだ使用可能であるにも関わらず事前に交換してしまったりすることを防ぐことができる。したがって、特定部位を最大限に使用することができるため、コストを抑えることができるとともに、省資源化を図ることもできる。
この構成によれば、特定ガスの質量電荷比のイオン電流値が質量分析部により検出された場合に、特定ガスの情報および/または補修対象部品の情報を記録することで、補修対象部品への特定ガスの付着有無を正確かつ迅速に確認することが可能になる。したがって、ユーザー以外の作業者が補修対象部品の補修作業を行う際においても、作業者の安全を確保した上で効率的に作業を行うことができる。
ことを特徴とする質量分析ユニット。
この構成によれば、質量分析ユニットにおける特定部位の機能を低下させる特定ガスが導入されていない場合に、特定部位保全手段を停止させることで、質量分析ユニットの省電力化を図ることができる。
また、特定ガスの質量電荷比のイオン電流値が質量分析部により検出された場合に、特定ガスの情報および/または補修対象部品の情報を記録することで、補修対象部品への特定ガスの付着有無を正確かつ迅速に確認することが可能になる。したがって、ユーザー以外の作業者が補修対象部品の補修作業を行う際においても、作業者の安全を確保した上で効率的に作業を行うことができる。
また、質量分析ユニットにおける特定部位の機能を低下させる特定ガスが導入されていない場合に、特定部位保全手段を停止させることで、質量分析ユニットの省電力化を図ることができる。
10 質量分析ユニット
22 イオン源部(特定部位、補修対象部品)
27 イオン検出部(特定部位、補修対象部品)
63 制御部
80 ターボ分子ポンプ(補修対象部品)
81 フォアポンプ(補修対象部品)
82 ベーキングヒータ(特定部位保全手段)
84 希釈ガス供給部(特定部位保全手段)
図1は、本実施形態に係る質量分析ユニットのブロック図を示す。
質量分析装置には、磁場偏向型や四重極型等が存在するが、本実施形態では、トランスデューサ型の四重極型質量分析装置を例として説明する。四重極型の質量分析装置は、被測定ガス中に存在するガスの種類とそれぞれのガスの分圧を計測する。
差動排気部20は、測定部12内における被測定ガスの圧力が、測定部12が良好に動作する範囲(10−2Pa以下の範囲)以上である場合に駆動させることで、測定部12内の圧力を所定の圧力まで減圧させる。
なお、制御用PC62により行われる制御、操作、各種情報の表示等を、電気系部14により行ってもよい。
図2に示すように、測定部12は、有底の金属製の容器11を有している。この容器11は一方が開口された円筒形状からなり、内部に質量選別部2が配置され、開口29側が、後述する真空装置に接続されている。
まず、質量選別部2について説明すると、この質量選別部2は、取付筒73と、イオン源部22と、四重極23と、イオン検出部27とを有している。
取付筒73は、絶縁物が円筒形状に成形されており、その二個の開口のうち、一方が容器11の開口29側に向けられ、他方がイオン検出部27に向けられている。
スリット74は、小孔75を有しており、その小孔75が、四重極23を構成する四本の電極の間に位置している。イオン源部22によって生成されたイオンは、スリット74の小孔75を通過して四重極23の内部に進入する。
したがって、四重極23の内部を通過したイオンは、スリット76の小孔77に向かって飛行し、小孔77を通過してイオン検出部27に入射する。
次に、図3に基づいて、本実施形態に係る質量分析ユニット10の使用方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る質量分析ユニット10を装着した真空装置の概略構成図である。
このように構成されたエッチング装置50においてエッチングを行うには、まずステージ55に基板5を載置し、基板5を所定温度に保持する。次に、給気手段53からエッチングガスを供給し、チャンバ52を所定圧力に保持する。次に、プラズマ用高周波電源58を駆動して、アンテナ57に高周波電圧を印加する。これにより、チャンバ52の内部にプラズマが発生し、エッチングガスが励起されて、イオンやラジカル等の活性種が生成される。ここで生成されたラジカルが基板5に作用し、エッチング対象物を含む揮発性物質が生成されて、エッチング処理が行われる。
チャンバ52の側壁に設けられたガス供給チューブは、質量分析ユニット10におけるガス導入部24を構成する選択バルブV1,V2に接続されている。そして、ガス導入部24を介して、前記測定部12に被測定ガスが導入されるようになっている。
図4に示すように、フッ酸の質量電荷比は、m/z=20であるので、m/z=20にピーク(2.50×10−10(A))が出現していることがわかる。これにより、チャンバ52内にフッ酸(HF)が導入されていると判断することができる。
図5に示すように、まず時刻T0において質量分析ユニット10を作動させると、制御部63から、ベーキングヒータ82a,82b,82cおよび希釈ガス供給部84の作動開始信号が出力される。これにより、測定部12及びポンプ80,81の加熱、並びにポンプ80,81のパージを開始する。
以下、図6及び表1に基づいて、質量分析ユニット10をエッチング装置50に装着した場合の予防保全方法について説明する。図6は、本実施形態における予防保全方法を示すフローチャートである。なお、本予防保全方法は、エッチング装置50のチャンバ52内に、エッチングガス(特定ガス)としてフッ酸が導入された場合を例として説明する。
また、質量分析ユニット10に予期しない特定ガスが導入されることがある。つまり、特定ガスに対して耐性が低い質量分析ユニット10(例えば、スパッタリング・蒸着装置用)に、そのような特定ガスが導入されてしまうことがある。特定ガスがそのまま導入され続けると、イオン源部22やイオン検出器27が早期に劣化してしまうこともある。
以下に示す表1は、エッチング装置50に導入され、イオン源部22及びイオン検出部27等の機能を低下させる特定ガス(例えば、質量分析ユニット10をエッチング装置に装着する場合、腐食性・ハロゲン系の特定ガス)と、各特定ガスの質量電荷比との対応表である。
なお、被測定ガス(特定ガス)がイオン化される際に、気体分子が分解されることにより、クラッキングパターンと呼ばれるピークが出現する。図4においては、フッ酸が導入される以前にもm/z=20にピークが出現している。そこで、前記所定値をクラッキングパターンにより生じ得るピークのイオン電流値以上に設定することがより好ましい。これにより、特定ガスによるピークとクラッキングパターンによるピークとを分別して、質量分析ユニット10の誤作動を防ぎ、信頼性を確保することができる。
この構成によれば、特定ガスのイオン電流値が所定値を超えた場合に、制御部63が警告信号を出力することで、特定ガスの質量電荷比を認識していないユーザーに対しても、質量分析ユニット10におけるイオン源部22の断線やイオン検出部27の劣化の可能性を即座に知らせることができる。そのため、特定ガスによるイオン源部22の断線やイオン検出部27の劣化を防ぐことができる。したがって、イオン源部22やイオン検出部27を長期間にわたって効率的に使用することできる。
(寿命管理方法)
次に、図7のフローチャートに基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、質量分析ユニット10をエッチング装置50に装着した場合の寿命管理方法であり、イオン電流値と検出時間との積分値に基づいて所定値を設定する点で、上記第1実施形態と異なる。
したがって、これら消耗部品は交換の時期が判断し難い。例えば、消耗部品が使用不能になって正しく測定できなくなってから交換する場合、交換に時間を要してしまい、質量分析ユニット10の使用停止期間が長くなってしまう。また、消耗部品をまだ使用可能であるにも関わらず事前に交換してしまう場合、消耗部品の使用効率が悪く、資源やコストのロスに繋がってしまう等の問題がある。
次に、図7に示すように、上述した予防保全方法のステップS1,2と同様に測定を開始し、設定された質量電荷比の特定ガスが存在するかどうかを判定する(ステップS21、S22)。
この構成によれば、特定ガスのイオン電流値と、イオン電流値を検出した検出時間との積分値が所定値以上となった場合に、表示部65に警告表示をすることで、イオン源部22及びイオン検出部27等の消耗部品の経時変化を正確に知らせることができる。また、消耗部品に印加する電圧の印加を解除して測定を停止させることで、消耗部品のさらなる経時変化を抑制することができる。
この構成によれば、前記所定値をイオン源部22及びイオン検出部27の寿命の積分値以下に設定することで、イオン源部22やイオン検出部27等の消耗部品の寿命を正確に知らせることができる。すなわち、イオン源部22やイオン検出部27等の消耗部品の交換時期は、質量分析ユニット10の使用状態、使用状況に応じて変動してしまうが、ユーザーが警告表示に応じて、交換の時期を判断することができる。したがって、消耗部品が使用不能となった後の、質量分析ユニット10の使用停止期間を短縮することができるため、作業効率を向上させることができる。また、イオン源部22及びイオン検出部27が、まだ使用可能であるにも関わらず事前に交換してしまうことを防ぐことができるため、イオン源部22及びイオン検出部27の使用効率を向上させて、低コスト化及び省資源化を図ることができる。
(部品管理方法)
次に、図8に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、質量分析ユニット10をエッチング装置50に装着した場合における、質量分析ユニット10の部品管理方法である。図8は、本部品管理方法における測定部、ポンプ80,81の製造番号と特定ガスの記録例である。
そこで、従来では、補修対象部品の補修作業時に、特定ガスの導入履歴を事前にユーザーに確認してから作業に着手しており、作業効率が悪いという問題があった。
そして、イオン電流値のピークが検出されず、特定ガスが含まれなかった場合、制御部63から電気系部14に測定継続の信号を出力し、異なる質量電荷比の測定を継続させる。一方、イオン電流値のピークが検出された場合、そのイオン電流値と検出時間との積分値をメモリ部64に記録する。なお、前回測定までの積分値が予め記録されている場合には、その積分値に今回測定の積分値を加算して記録する。具体的には、図8に示すように、検出された特定ガスのイオン電流値と検出時間の積分値のデータが、その特定ガスの質量電荷比に対応させてメモリ部64に記録される。
この構成によれば、イオン源部22やイオン検出部27等の消耗部品を交換する際や、ポンプ80,81をオーバーホールする際に、メモリ部64に記録された情報を読み出すことで、特定ガスの導入履歴を正確かつ迅速に確認することが可能となる。したがって、ユーザー以外の作業者が交換、オーバーホールする際においても、作業者の安全を確保した上で、効率的に作業を行うことができる。
(省電力化方法)
次に、図9のフローチャートに基づいて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、エッチングプロセス終了後(図5中の時刻T3以降)における、質量分析ユニット10の省電力化方法である。
それにもかかわらず、測定部12及びポンプ80,81の加熱及びポンプ80,81のN2パージを作動し続けると、電力とパージガスを浪費してしまう問題があった。
そして、イオン電流値のピークが検出されず、特定ガスが含まれなかった場合(ステップS33の判断がNoの場合)、制御部63から電気系部14に測定継続の信号を出力し、測定部12に異なる質量電荷比の測定を継続させる。一方、イオン電流値のピークが検出された場合(ステップS33の判断がYesの場合)、そのピークのイオン電流値が、メモリ部64に設定された所定値以下であるかどうかを測定する(ステップS34)。
なお、停止後に特定ガスが再導入される場合には、再始動のプロセス開始信号に対応させて上記フローのステップS31以降のステップと同様に対応させる。
この構成によれば、特定ガスが導入されなくなり、ベーキングヒータ82a,82b,82cや希釈ガス供給部84に影響を与える虞がなくなった時点で、自動的に差動排気部20のベーキングヒータ82a,82b,82cによる加熱と希釈ガス供給部84からのパージガスの供給を停止させることで、質量分析ユニット10の省電力化を図ることができる。
上記金属膜・絶縁膜を堆積させるガスがイオン源部22やイオン検出部27に与える影響として、2次電子増倍管を用いたイオン検出部27に金属・絶縁膜が堆積してしまうと、金属表面からの2次電子が発生しにくくなってしまう。また、イオン源部22に金属・絶縁膜が堆積してしまうと、エミッション電流が流れなくなってしまう等の虞もある。
そこで、本発明の第1〜第4実施形態のように、金属膜・絶縁膜を堆積させるガスの質量電荷比を予めメモリ部64に設定するとともに、その質量電荷比を有する金属膜・絶縁膜を堆積させるガスのイオン電流値の所定値を設定することで、金属膜・絶縁膜を堆積させるガスに対しても同様に適用することができる。これにより、金属膜・絶縁膜を堆積させるガスが導入されるCVD装置に質量分析ユニット10を用いても省電力化を図るとともに、イオン源部22やイオン検出部27等の消耗部品を効率的に使用することができる。
Claims (5)
- 被測定ガスの質量電荷比ごとのイオン電流値を検出して分圧を測定する質量分析部を備えた質量分析ユニットであって、
この質量分析ユニットの特定部位の機能を低下させる特定ガスの質量電荷比の記録を予め保持する制御部をさらに備え;
前記質量分析部により検出された前記特定ガスの質量電荷比のイオン電流値が所定値以上となった場合に、前記制御部が、前記特定部位の機能低下を示す警告信号を出力する;
ことを特徴とする質量分析ユニット。 - 被測定ガスの質量電荷比ごとのイオン電流値を検出して分圧を測定する質量分析部を備えた質量分析ユニットであって、
この質量分析ユニットの特定部位の機能を低下させる特定ガスの質量電荷比の記録を予め保持する制御部をさらに備え;
前記質量分析部により検出された前記特定ガスのイオン電流値とこのイオン電流値を検出した検出時間との積分値が所定値以上となった場合に、前記制御部が、前記特定部位の機能低下を示す警告信号を出力するとともに、前記特定部位に対する電圧の印加を解除して前記特定部位の機能を停止させる;
ことを特徴とする質量分析ユニット。 - 請求項2記載の質量分析ユニットであって、
前記所定値が、前記特定部位が劣化するまでの前記イオン電流値と、前記検出時間との積分値以下である。 - 被測定ガスの質量電荷比ごとのイオン電流値を検出して分圧を測定する質量分析部を備えた質量分析ユニットであって、
この質量分析ユニットの補修作業時における補修対象部品への付着有無の確認を必要とする特定ガスの質量電荷比の記録を予め保持する制御部をさらに備え;
前記特定ガスの質量電荷比のイオン電流値が前記質量分析部により検出された場合に、前記制御部が、前記特定ガスの情報および前記補修対象部品の情報のうちの少なくとも一方を記録する;
ことを特徴とする質量分析ユニット。 - 被測定ガスの質量電荷比ごとのイオン電流値を検出して分圧を測定する質量分析部を備えた質量分析ユニットであって、
この質量分析ユニットの特定部位の機能を低下させる特定ガスの質量電荷比の記録を予め保持する制御部と;
前記特定ガスによる前記特定部位の機能低下を防止する特定部位保全手段と;
を備え、
前記質量分析部により検出された前記特定ガスの質量電荷比のイオン電流値が所定値以下となった場合に、前記制御部が、前記特定部位保全手段を停止させる
ことを特徴とする質量分析ユニット。
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