本発明は、撮像装置及びレンズ鏡筒に関し、より詳細には、カメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備える撮像装置及びレンズ鏡筒に関する。
被写体の光学的な像を電気的な画像信号に変換して出力可能なデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置(以下、単にデジタルカメラという)が急速に普及している。特に近年では、デジタルカメラの小型・軽量化及び光学ズームの高倍率化が進み、撮影者等に対する使い勝手は格段に向上してきている。
しかし、デジタルカメラの小型・軽量化及び光学ズームの高倍率化に伴い、撮影した画像にブレが生じ、画質が劣化する場合がある。
特許文献1には、撮影時に像ブレ等が生じても画像への影響を軽減する振れ補正光学系を備えたデジタルカメラが開示されている。特許文献1に記載のデジタルカメラは、撮影時の像ブレに応じて補正レンズを光軸と垂直な上下左右方向に移動させ、画像の乱れを補正する。これにより、小型・軽量化したデジタルカメラであっても像ブレを軽減した画像を撮影することができる。また、特許文献1に記載のデジタルカメラは、像ブレを防ぐためにストロボを発光させて撮影する必要がないので、自然の色に近い条件下で雰囲気のある写真を撮影することができるとしている。
一方、撮影画像の画質を劣化させる原因としては、手ブレ等のようにカメラ本体に加わる振動に起因するカメラブレ以外にも、撮影対象となる被写体が動くことによって生じる被写体ブレがある。このような被写体ブレは、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影することにより防ぐことができる。シャッタースピードは、例えば撮影感度を高くしたり、ストロボ発光を行うことにより速くすることができる。以下、撮像面における被写体の光学像のブレに関し、カメラ本体に加わる振動に起因するものをカメラブレといい、被写体の動きに起因するものを被写体ブレといい、カメラブレと被写体ブレを総称して、撮像面に対する像ブレという。
特許文献2には、被写体の動きを推測する動き推測手段を備え、被写体が動く可能性が高い場合、シャッタースピードなどの撮影条件を変更する撮影装置及び方法が開示されている。
特開2000−13671号公報
特開2006−157428号公報
一般に、撮影感度を高くすると撮像センサからの出力信号は増幅されるので、撮像センサから発生するノイズも増幅されることになる。そのため、高感度で撮影した画像にはノイズが多く含まれる。このように、必要以上に撮影感度を高くすることは画質劣化の原因ともなる。したがって、周囲の明るさが不十分なために振れ補正光学系により補正を行ってもなお像ブレが発生する場合や、動きの速い被写体を撮影する場合等に撮影感度を高くすることが望ましい。
しかしながら、このような従来の撮像装置にあっては、撮影者等は、被写体がどの程度の速さで動けば被写体ブレが生じるのかを判断することは困難である。そのため、被写体ブレのない撮影が可能であるにもかかわらず、被写体の動きを観察した撮影者等は誤って被写体ブレが発生すると認識する場合がある。その結果、撮影者等は撮影感度を高感度に変更し、不必要にノイズを多く含む画像が撮影されるという問題があった。また、動きの速い被写体を撮影するためには、撮影直前に撮影者等は撮影感度を変更しなければならず、折角のシャッターチャンスを逃してしまうという問題があった。
すなわち、一般の撮影者にとっては、被写体の動き速度がどの程度であれば、被写体ブレが生じ、あるいは生じないという判断ができない。つまり、被写体速度が速い場合にカメラブレ補正機能を使用すれば、被写体ブレの生じた画像を撮影することになり、被写体速度が遅い場合に撮影感度をアップさせると、ノイズが多い画像を撮影することになり、良好な映像を得ることができない。
また、特許文献1に記載された振れ補正光学系を備えたデジタルカメラは、カメラブレによる画質劣化を軽減することができるものの、被写体ブレによる画質劣化を軽減することについては提案されていない。
さらに、特許文献2に記載されたデジタルカメラは、被写体の動きを予測するだけであり被写体がどの程度の速さで動けば被写体ブレが生じるのかを判断するものではないため、被写体速度に合わせた最適なシャッタースピードにて撮影できるとは限らない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、カメラブレや被写体ブレによる画質劣化を軽減し、良好な画質の画像を容易に撮影することのできる撮像装置及びレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
本発明の撮像装置は、被写体の光学像を形成する撮像光学系と、前記形成された光学像を受光して、電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、撮影前の所定時間における前記被写体の光学像の動きを検出する動き検出部と、前記検出された被写体の光学像の動きに応じて露出時間を制御する制御部と、を備える構成を採る。
本発明の撮像装置本体は、撮像装置本体の動きに起因する光学像のブレを補正するカメラブレ補正部を搭載したレンズ鏡筒と組み合わせて使用する撮像装置本体であって、形成された光学像を受光して電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、撮影前の所定時間における前記被写体の光学像の動きを測定し、被写体速度を算出する動き検出部と、前記検出された被写体の光学像の動きに応じて露出時間を制御する制御部と、を備える構成を採る。
本発明のレンズ鏡筒は、被写体の光学像を形成する撮像光学系と、前記形成された光学的な像を受光して、電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、撮影前の所定時間における前記被写体の光学像の動きを測定し、被写体速度を算出する動き検出部と、前記検出された被写体の光学像の動きに応じて露出時間を制御する制御部と、有する撮像装置本体と組み合わせて使用されるレンズ鏡筒であって、撮像装置本体の動きに起因する光学像のブレを補正するカメラブレ補正部と、前記カメラブレ補正部と前記撮像装置本体の制御手段とのインタフェースと、を具備する構成を採る。
本発明によれば、手ブレや被写体ブレによる画質劣化を軽減し、良好な画質の画像を容易に撮影することのできる撮像装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図
図2Aは本実施の形態1に係る撮像装置の概略構成を示す上面図、図2Bは本実施の形態1に係る撮像装置の概略構成を示す背面図
本実施の形態1に係る撮像装置の動き検出部の構成の一例を示すブロック図
本実施の形態1に係る撮像装置のカメラブレ補正部に含まれるカメラブレ補正機構の構成を示す分解斜視図
本実施の形態1に係る撮像装置の表示部に表示された撮影モード選択画面の表示例を示す図
本実施の形態1に係る撮像装置の撮影処理を示すフロー図
本発明の実施の形態2に係る撮像装置の撮影処理を示すフロー図
本実施の形態4に係る撮像装置の撮影処理を示すフロー図
本実施の形態4に係る撮像装置の「カメラブレ補正モード」により撮影された撮影画像を表示部に表示する表示例を示す図
本実施の形態4に係る撮像装置の「撮影感度アップモード」設定後連続撮影された4枚の撮影画像を表示部に表示する表示例を示す図
本実施の形態4に係る撮像装置の被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sの関係を説明する図
本実施の形態4に係る撮像装置の「撮影感度アップモード」設定後感度アップあり撮影画像と感度アップなし撮影画像とを表示部に表示する表示例を示す図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図2は、本実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図であり、図2Aは上面図、図2Bは背面図を示す。本実施の形態は、カメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備えるデジタルカメラに適用した例である。なお、以下の説明において、被写体の動き速度(以下、被写体速度ともいう。)とは、カメラブレと被写体ブレとの双方又は一方に起因する、撮像面における被写体の光学像の移動速度を意味する。
図1において、デジタルカメラ1は、撮像光学系Lと、マイクロコンピュータ3と、撮像センサ4と、CCD(Charge Coupled Device)駆動制御部5と、アナログ信号処理部6と、A/D変換部7と、デジタル信号処理部8と、バッファメモリ9と、画像圧縮部10と、画像記録制御部11と、画像記録部12と、画像表示制御部13と、カメラブレ補正部16と、角速度センサ18と、表示部55と、シャッター制御部41と、シャッター駆動モータ42と、ストロボ制御部43と、ストロボ44と、動き検出部100と、デジタル信号増幅部110と、デジタル信号ゲイン設定部111とを備えて構成される。
撮像光学系Lは、3つのレンズ群L1、L2、L3を含む光学系である。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、光軸方向に移動することによりズーミングを行う。第2レンズ群L2は、補正レンズ群であって、光軸に垂直な面内を移動することにより光軸を偏心させて画像の動きを補正する。第3レンズ群L3は、光軸方向に移動することによりフォーカシングを行う。なお撮像光学系Lは、上記の光学系の構成に限るものではない。
機械的な振動、撮影者等による揺れ等がデジタルカメラ1に加わると、被写体からレンズに向かって照射される光の光軸とレンズの光軸とにズレが生じるため、不鮮明な画像が形成される。そこで、デジタルカメラ1は不鮮明な画像が形成されるのを防止するためにカメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20を備える。なお、カメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20は、撮影者等の揺れやカメラ本体に加わる振動等によって生じる光学像のブレを軽減するものである。
撮像センサ4は、撮像光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCDセンサである。撮像センサ4は、CCD駆動制御部5により駆動制御される。なお、撮像センサ4はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
マイクロコンピュータ3は、デジタルカメラ1全体を制御するとともに、被写体の動きに応じてカメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを制御する撮影制御処理を実行する。マイクロコンピュータ3は、被写体速度が所定の閾値より小さい場合には、カメラブレ補正機能を制御してカメラブレ補正を動作させ、被写体速度が所定の閾値以上の場合には、被写体速度が所定の閾値より小さい場合よりも撮影感度変更機能のゲインを高くし更に露出時間を短くするとともに、異なる露出条件により複数枚の画像を連続撮影する。撮影制御処理の詳細については、図6のフローにより後述する。また、マイクロコンピュータ3は、電源スイッチ35、シャッター操作部36、撮影/再生切換操作部37、十字操作キー38、MENU設定操作部39及びSET操作部40の信号を、それぞれ受信可能である。マイクロコンピュータ3は本発明の制御部の一例である。
図2において、デジタルカメラ1の筐体1aは、被写体を撮影する際に撮影者等によって支持される。筐体1aの背面には、表示部55と電源スイッチ35と撮影/再生切換操作部37と十字操作キー38とMENU設定操作部39とSET操作部40が設けられている。
電源スイッチ35は、デジタルカメラ1の電源の入切を行うための操作部材である。撮影/再生切換操作部37は、撮影モード又は再生モードに切換えるための操作部材であり、撮影者等はレバーを回動させて切換えることができる。MENU設定操作部39は、デジタルカメラ1の各種動作を設定するための操作部材である。十字操作キー38は、撮影者等が上下左右の部位を押圧して、表示部55に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択するための操作部材である。SET操作部40は、各種メニュー表示を1つ前の表示に戻すための操作部材である。
図2Bにおいて、筐体1aの上面には、シャッター操作部36とズーム操作部57が設けられる。ズーム操作部57は、シャッター操作部36の周囲に設けられ、シャッター操作部36と同軸に回動可能である。撮影者等が撮影/再生切換操作部37を操作して撮影モードに切換えた後、ズーム操作部57を右方向に回動させるとレンズ群は望遠側に移動し、左方向に回動させるとレンズ群は広角側に移動する。
シャッター操作部36は、撮影の際に撮影者等によって操作される、例えばレリーズボタンである。シャッター操作部36が操作されると、タイミング信号がマイクロコンピュータ3に出力される。シャッター操作部36は、半押し操作と全押し操作が可能な二段式の押下スイッチであり、撮影者等が半押し操作すると後述する被写体の動き検出、測光処理及び測距処理を開始する。続いて撮影者等が全押し操作するとタイミング信号が出力される。シャッター制御部41は、タイミング信号を受信したマイクロコンピュータ3から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動モータ42を駆動し、シャッターを動作させる。
再び図1に戻り、デジタルカメラ1の構成の説明を続ける。図1中、ストロボ制御部43は、ストロボ44の動作を制御する。シャッター操作部36の操作によるタイミング信号を受信したマイクロコンピュータ3は、ストロボ制御部43に制御信号を出力する。そしてストロボ制御部43は、制御信号に基づいてストロボ44を発光させる。ストロボ44は、撮像センサ4が受光する光量に応じて制御される。すなわち、ストロボ制御部43は、撮像センサ4からの画像信号の出力が一定値以下の場合にはシャッター動作と連動して自動的に発光させる。一方、画像信号の出力が一定値以上の場合には、ストロボ制御部43はストロボ44を発光させないように制御する。
ストロボ入/切操作部56は、上述の撮像センサ4の出力に関係なくストロボ44の動作を設定するための操作部である。すなわち、ストロボ制御部43は、ストロボ入/切操作部56が「入」の場合にはストロボ44を発光させ、「切」の場合にはストロボ44を発光しない。
撮像センサ4から出力された画像信号は、アナログ信号処理部6から、A/D変換部7、デジタル信号処理部8、デジタル信号増幅部110、バッファメモリ9、画像圧縮部10へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部6は、撮像センサ4から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部7は、アナログ信号処理部6から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部8は、A/D変換部7によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施し、動き検出部100及びデジタル信号増幅部110に出力する。バッファメモリ9は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。
デジタル信号ゲイン設定部111は、デジタル信号処理された画像信号の増幅ゲインを設定する。デジタル信号増幅部110は、設定された増幅ゲインで画像信号を増幅し、バッファメモリ9に出力する。なお、増幅ゲインの設定は撮影感度の設定に対応する。本実施の形態では、撮影感度はISO感度に相当する値として表され、例えばISO80、100、200、400、800、1600相当の撮影感度に設定可能である。なお、設定可能な撮影感度はこれに限られない。また、撮影感度はISO感度相当以外の値で表されてもよい。
また、画像信号を増幅する処理は、デジタル信号増幅部110において行われる場合に限られず、アナログ信号処理部6にてアナログ信号に対して行ってもよい。また増幅処理は、撮像センサ4にて行われてもよい。
バッファメモリ9に記憶された画像信号は、画像圧縮部10から画像記録部12へと、順次送られて処理される。バッファメモリ9に記憶された画像信号は、画像記録制御部11の指令により読み出されて、画像圧縮部10に送信される。画像圧縮部10に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部11の指令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。かかる圧縮方法として、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部11により画像記録部12に記録される。
画像記録部12は、画像記録制御部11の指令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて記録する、例えば内部メモリ及び/又は着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれ、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。
表示部55は、画像表示制御部13からの指令に基づいて、画像記録部12あるいはバッファメモリ9に記録された画像信号を可視画像として表示する。ここで表示部55の表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態と、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態とがある。動き検出部100は、デジタル信号に変換された画像信号に基づいてフレーム間の画像の水平・垂直方向の位置ずれ量を示すベクトル(以下、動きベクトルという)をフレーム毎に検出する。以下、動き検出部100の詳細について説明する。
図3は、上記動き検出部100の構成の一例を示すブロック図である。図3において、動き検出部100は、代表点記憶部101と、相関演算部102と、動きベクトル検出部103とを含んで構成される。
代表点記憶部101は、A/D変換部7及びデジタル信号処理部8を経て入力される現フレームの画像信号を複数の領域に分割し、各領域に含まれる特定の代表点に対応する画像信号を代表点信号として記憶する。また、代表点記憶部101は、既に記憶されている現フレームよりも1フレーム前の代表点信号を読み出して相関演算部102に出力する。 相関演算部102は、1フレーム前の代表点信号と現フレームの代表点信号間の相関演算を行い、代表点信号間の差を比較する。演算結果は動きベクトル検出部103に出力される。
動きベクトル検出部103は、相関演算部102による演算結果から1フレーム前と現フレーム間の画像の動きベクトルを1画素単位で検出する。そして動きベクトルは、マイクロコンピュータ3に出力される。マイクロコンピュータ3は、動きベクトルに対するゲイン及び位相などを調整し、画像信号上の被写体の単位時間あたりの動き速度及び方向を算出する。
被写体の動きを検出する処理は、例えば撮影者等がシャッター操作部36を半押し操作することにより開始される。なお、処理の開始は、撮影者等が電源スイッチ35をONにした後、撮影/再生切換操作部37を操作して撮影モードに切り替える動作と連動させてもよい。
次に、カメラブレ補正機能を実現するカメラブレ補正部16の構成について説明する。カメラブレ補正部16は、位置検出部15と、ヨーイング駆動制御部14xと、ピッチング駆動制御部14yと、D/A変換部17x、17y、角速度センサ18x、18yと、A/D変換部19x、19yとを含む。
ヨーイング駆動制御部14x及びピッチング駆動制御部14yは、補正レンズ群L2を撮像光学系Lの光軸AXに直交する2方向に駆動させる。位置検出部15は、補正レンズ群L2の位置を検出する。以上の位置検出部15とヨーイング駆動制御部14xとピッチング駆動制御部14yは、補正レンズ群L2を駆動制御するための帰還制御ループを形成している。
角速度センサ18x、18yは、撮像光学系Lを含むデジタルカメラ1自体の動きを検出するセンサである。角速度センサ18x、18yは、デジタルカメラ1が静止している状態での出力を基準として、デジタルカメラが動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。なお、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。
出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部19x、19yによりデジタル信号に変換されてマイクロコンピュータ3に与えられる。そして、マイクロコンピュータ3は、角速度信号に対してフィルタリング、積分処理、位相補償、ゲイン調整、クリップ処理等を順次施して、カメラブレ補正に必要なレンズ群L2の駆動制御量を算出し、制御信号として出力する。かかる制御信号は、D/A変換部17x、17yを介してヨーイング駆動制御部14x、ピッチング駆動制御部14yに出力される。
ヨーイング駆動制御部14x及びピッチング駆動制御部14yは、制御信号に基づいて補正レンズ群L2を所定の駆動量だけ駆動させる。これにより、カメラブレを補正し、画質劣化を軽減することができる。
図4は、上記カメラブレ補正部16に含まれるカメラブレ補正機構20の構成を示す分解斜視図である。
カメラブレ補正機構20は、ピッチング移動枠21と、ヨーイング移動枠22、ピッチングシャフト23a、23bと、コイル24x、24yと、固定枠25と、ヨーイングシャフト26a、26bと、マグネット27x、27yと、ヨーク28x、28yと、アクチュエータ29x、29yと、発光素子30と、受光素子31とを中心に構成される。
補正レンズ群L2は、ピッチング移動枠21に固定される。ピッチング移動枠21は、ヨーイング移動枠22に対して2本のピッチングシャフト23a、23bを介してY方向に摺動可能に保持される。また、ピッチング移動枠21には、コイル24x、24yが固定される。ヨーイング移動枠22は、固定枠25に対してヨーイングシャフト26a、26bを介してX方向に摺動可能に保持される。マグネット27xとヨーク28xとは固定枠25に保持され、コイル24xとともにアクチュエータ29xを構成する。同様に、マグネット27yとヨーク28yとは固定枠25に保持され、コイル24yとともにアクチュエータ29yを構成する。発光素子30は、ピッチング移動枠21に固定される。また、受光素子31は、固定枠25に固定され、発光素子30の投射光を受光して2次元の位置座標を検出する。かかる発光素子30と受光素子31とは、上述の位置検出部15を構成する。
以下、上述のように構成されたカメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備えるデジタルカメラ1の動作を説明する。
まず、デジタルカメラ1において選択可能な撮影モードについて説明する。撮影モードには、例えば0.3秒間隔でシャッター駆動モータ42を動作させて2回又は複数回の連続撮影を行う「連写モード」や、後述する「感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード」、「感度アップモード」、「カメラブレ補正モード」等が含まれ、撮影者等は所望の撮影モードを選択可能である。撮影モードが選択されると、マイクロコンピュータ3は各撮影モードに応じて各種制御部を制御する。
図5は、表示部55に表示された撮影モード選択画面の表示例を示す図である。撮影モード選択画面は、撮影者等がMENU設定操作部39や十字操作キー38を操作することにより、表示部55に表示させることができる。図5に示すように、撮影モードは、「感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード」と、「感度アップモード」と、「カメラブレ補正モード」と、「モードOFF」からなり、撮影者等はそれぞれ対応するアイコン90〜93を選択することにより所望の撮影モードに設定することができる。なお、図5には本実施の形態において特徴的な撮影モード選択アイコンのみが表示されているが、前述した「連写モード」等、他の撮影モード選択アイコンをさらに表示してもよい。
感度アップモード選択アイコン91が選択されると、通常の撮影よりも高感度の撮影感度に変更される(「感度アップモード」)。すなわち、デジタル信号増幅部110はマイクロコンピュータ3からの指令により画像信号を所定のゲインで増幅する。これにより、露光時間を短くし、速いシャッタースピードで撮影することができるので、像ブレの影響を小さくすることができる。
カメラブレ補正モード選択アイコン92が選択されると、カメラブレ補正機能が動作する(「カメラブレ補正モード」)。すなわち、カメラブレ補正機構20は、マイクロコンピュータ3からの指令により補正レンズ群L2を光軸と直交する平面内の2方向に駆動させてカメラブレを軽減する。
感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン90が選択されると、マイクロコンピュータ3は、被写体の動く速度に応じて、「感度アップモード」又は「カメラブレ補正モード」のいずれかに自動的に切り替える。これにより、被写体が被写体ブレを発生させるような速度で動く場合には高感度の撮影感度に設定され、一方、被写体が被写体ブレを発生させないような遅い速度で移動する場合にはカメラブレによる像ブレを軽減するカメラブレ補正機能が動作する。
モードOFF選択アイコン93が選択されると、上記の撮影感度アップ機能及びカメラブレ補正機能は動作せず、通常モードにて通常の撮影が可能である。次に、「感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード」が選択された場合の撮影処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
図6は、デジタルカメラ1の撮影処理を示すフローチャートであり、マイクロコンピュータ3により実行される。本フローは、例えばデジタルカメラ1の電源スイッチ35がON側に操作されると開始する。
Step1の処理では、撮影者等がデジタルカメラ1の筐体1aの背面側に設けられたMENU設定操作部39を操作すると表示部55には撮影モードの一覧が表示される。表示された撮影モード選択アイコンのうち、撮影者等が感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン90を選択すると、処理はStep2に進む。
Step2では、撮影者等がシャッター操作部36を操作したことを認識して、マイクロコンピュータ3は処理をStep3へ移行させる。
Step3では、被写体の動きを検出する。動き検出処理では、動き検出部100が撮影対象となる被写体の動きを、撮影画像の代表点を追跡することにより検出し、動きベクトルを出力する。また、動き検出処理と同時に測光処理及び測距処理を行う。測光処理では、デジタル信号処理部8は、撮像センサ4により出力された画像信号に基づいて露光値を演算する。マイクロコンピュータ3は、演算された露光値に基づいて適切なシャッタースピードと撮影感度であるISO感度とを自動設定する。また、測距処理では、図示しないフォーカス制御部は画像信号のコントラスト値がピークとなるようにレンズ群を光軸方向に移動させ合焦調整を行う。また、動き検出部100が撮影対象となる被写体の動きを検出し、動きベクトルを出力する。
Step4では、マイクロコンピュータ3は動き検出部100により検出された動きベクトルから、単位時間あたりの被写体の動き速度Vhを算出する。
Step5では、動き速度Vhの判定処理を行う。デジタルカメラ1には、予め所定の値Aが設定されており、マイクロコンピュータ3は動き速度Vhと所定の値Aとを比較する。ここで、所定の値Aは被写体ブレが生じる閾値となる値であり、カメラ固有の値であってもよいし、撮影者等により任意に設定されてもよい。例えば、ストロボを使用する時には、シャッタースピードを速くすることができるので、閾値を大きくすることにより、むやみに撮影感度が上がることがない。逆に、被写体として被写体速度の算出後撮影時までに突然動くことの多い子供やペットを撮影する際には、デジタルカメラ1に、別途子供撮影モードあるいはペット撮影モードを設けることにより、撮影者等がそのモードを選択した時には、閾値を小さくして、撮影感度をアップさせることを優先するような方法であってもよい。
さらには、夜景や薄暗い室内での撮影、被写体までの距離が遠くてストロボ光が届かない、あるいは望遠撮影のように使用時の焦点距離が長くてカメラブレの影響が大きい場合にも、閾値を小さくして、撮影感度を優先させてもよい。比較の結果、動き速度Vhが値A以上の場合、マイクロコンピュータ3は被写体が被写体ブレを発生させる速度で動いていると判断し、処理をStep6へ移行させる。動き速度Vhが値Aよりも小さい場合、マイクロコンピュータ3は、被写体ブレは発生しないと判断して、処理をStep9へ移行させる。被写体ブレが発生しない状況においては、Step3で設定したシャッタースピードとISO感度とで撮影する。例えば、ISO感度を100相当とし、シャッタースピード1/30秒にて撮影する。
上記Step5で動き速度Vhが値A以上の場合、Step6でマイクロコンピュータ3は撮影モードを「感度アップモード」に切り替える。すなわち、デジタル信号ゲイン設定部111は、Step6以降のStepにおいて、Step3で設定したISO感度よりも高感度のISO感度となるようゲインを設定する。
Step7では、撮影者等がシャッター操作部を全押し操作されたことを認識すると、Step8で撮影処理を行う。すなわち、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、Step6において設定されたゲインで増幅する。増幅された画像信号は画像記録部12に記録され、撮影処理を終了する。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも大きい場合には、高感度の撮影感度に設定される。これにより露光時間を短くすることができ、速いシャッタースピードでの撮影が可能となるので、被写体ブレを防ぐことができる。
一方、上記Step5で動き速度Vhが値Aより小さい場合、Step9では、マイクロコンピュータ3は撮影モードを「カメラブレ補正モード」に切り替え、カメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20を動作させる。カメラブレ補正部16は、角速度センサ18x、18yによりカメラ本体に加わるカメラブレを検知する。そしてマイクロコンピュータ3からの指令により、外部の回路からピッチング移動枠21のコイル24x、24yに電流が供給され、アクチュエータ27x、27yが形成する磁気回路により、ピッチング移動枠21及び補正レンズ群L2は光軸AXと直交する平面内の2方向X、Y方向に移動する。このとき、受光素子29はピッチング移動枠21の位置を検出するので、高精度な位置検出が可能である。
Step10では、マイクロコンピュータ3は撮影者等がシャッター操作部36を全押し操作したことを認識すると、Step11で撮影処理を行う。すなわち、撮像センサ4上に被写体像が形成されて画像信号が出力され、出力された画像信号は、表示部55に表示される。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも小さい場合には、撮影感度は変更されずに、カメラブレ補正機能が動作する。これにより、カメラブレを軽減し、良好な画質の画像を撮影することができる。
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きが速い場合には高感度の撮影感度に変更し、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影する。これにより被写体ブレによる画質劣化を防ぐことができる。また本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きが遅い場合にはカメラブレ補正機能を動作させるので、カメラブレによる像ブレを防ぎ、画質劣化を軽減することができる。
また、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きが速い場合には自動的に高感度の撮影感度に変更するので、撮影者は被写体の動きを観察して被写体ブレが発生するか否かについて判断する必要がなく利便性が高い。
また、本実施の形態に係るデジタルカメラは、検出した被写体の動き速度が所定の値よりも大きい場合に高感度の撮影感度に変更する。これにより、被写体が被写体ブレを発生させない速度で動いているにもかかわらず、撮影者が誤って高感度の撮影感度に設定することがない。
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも大きい場合に、撮影感度を高感度に変更した場合についてのみ説明したが、これに限られない。デジタルカメラは、高感度の撮影感度に変更するとともに、カメラブレ補正機能を動作させてもよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るデジタルカメラについて説明する。本実施の形態に係るデジタルカメラは、実施の形態1に係るデジタルカメラとほぼ同様の構成を備えるが、撮影モードとして、さらに流し撮りモードが選択可能である点で異なる。ここで流し撮りとは、速く動く被写体を撮影する場合に、その進行方向にカメラの向きを移動させながらシャッター操作部36を押して撮影する方法であり、流し撮りモードにて撮影することにより被写体が静止し、かつ背景が流れるように写すことができる。以下、本実施の形態では実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付し、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図7は、実施の形態2に係るデジタルカメラの撮影処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、例えばデジタルカメラ1の電源スイッチ35がON側に操作されると開始する。
まずStep21の処理において、撮影者がMENU設定操作部39を操作すると表示部55には選択可能な撮影モードの一覧が表示される。本実施の形態において表示される撮影モードは、実施の形態1に加えてさらに流し撮りモードが選択可能である。
Step22において、撮影者が流し撮りモード選択アイコンを選択すると、撮影モードは流し撮りモードに設定される。次にStep23において、撮影者がシャッター操作部36を半押し操作すると、測光処理と測距処理が行われるとともに、Step24でマイクロコンピュータ3はカメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20に指令を与え、カメラブレ補正機能を動作させる。ここで、カメラブレ補正機能を動作させる理由は、流し撮りを可能とするために遅いシャッタースピードに設定されるので、カメラブレによる像ブレが生じやすいためである。なお、カメラブレ補正部16は、流し撮りによるカメラ本体の動きを誤ってカメラブレとして認識しないように、デジタルカメラの向きが移動する方向には補正レンズ群L2を動作させない。例えば、流し撮りを行うために撮影者がデジタルカメラの向きを地面と水平な方向(右から左、あるいは左から右)へ動かす場合には、カメラブレ補正機構20は補正レンズ群を垂直な方向のみに動作させる。すなわち、ピッチング方向である角速度センサ18yにより垂直方向に加わるブレのみを検知し、マイクロコンピュータ3は検知されたブレを打ち消すような指令をカメラブレ補正機構20に与える。そして外部の回路からピッチング移動枠21のコイル24yに電流を供給すると、アクチュエータ27yにより形成された磁気回路により、ピッチング移動枠21は光軸AXと直交するY方向のみに移動する。なお、ヨーイング方向については、角速度センサ18xの出力に応答せず、アクチュエータ27xに電流を供給することにより、補正レンズ群L2はヨーイング方向に動作しない。
このように、カメラブレ補正機構20は、補正レンズ群L2をY方向のみに移動させるので、カメラブレによる像ブレを軽減することができる。また、流し撮りに伴うデジタルカメラの動きをカメラブレと間違って判断されることがない。
再び図7に示すフローチャートにおいて、撮影者がシャッター操作部36を全押し操作すると(Step25)、撮影処理が行われ、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成されて画像信号が出力される(Step26)。以上により撮影処理は終了する。
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラは、流し撮りを行う場合において、所定の角速度センサのみがブレを検出する。これにより、流し撮りに伴うデジタルカメラの動きを間違ってカメラブレとして判断することがないので、流し撮り特有の背景が流れるような撮影が可能である。また、流し撮り撮影においても、カメラブレによる像ブレを軽減することができるので、良好な画質の画像を得ることができる。
なお、本実施の形態において、流し撮りモードは撮影前に設定されたが、これに限られない。例えば、角速度センサの出力から自動的に流し撮りモードであると判断してもよい。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るデジタルカメラについて説明する。本実施の形態に係るデジタルカメラは、実施の形態1及び2に係るデジタルカメラとほぼ同様の構成を備えるが、被写体の動き速度に応じて撮影感度が設定される点で異なる。以下、実施の形態1及び2と異なる点を中心に説明する。
撮影者がシャッター操作部36を半押し操作すると、動き検出部100は被写体の動きを検出し、検出ベクトルを出力する。そしてマイクロコンピュータ3は、出力された検出ベクトルから被写体の動き速度Vhを算出する。さらにマイクロコンピュータ3は、被写体の動き速度Vhから被写体ブレの生じないシャッタースピードを算出し、かかるシャッタースピードにて撮影可能な撮影感度に設定する。例えば、屋外の環境下で、歩く速度でゆっくりと移動する被写体を撮影する場合にはISO感度100相当の撮影感度に設定され、走る速度で移動する被写体を撮影する場合にはISO感度400相当の撮影感度に設定される。
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きに応じて撮影感度が設定されるので、撮影者は適切な撮影感度に設定するために複雑な操作をすることなく被写体ブレのない良好な画質の画像を撮影することができる。また、撮影者が自ら撮影感度を設定する必要がないので、シャッターチャンスを逃すことがなく、利便性の高いデジタルカメラを提供できる。
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きに応じて撮影感度を設定する場合についてのみ説明したが、同時にカメラブレ補正機能を動作させてもよい。これにより、カメラブレによる画質の劣化を軽減でき、さらに良好な画質の画像を得ることができる。またあるいは、カメラブレ補正機能は一定の撮影感度に設定された場合にのみ動作させてもよい。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る撮像装置のハード的構成は、図1乃至図3とほぼ同様であるため説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態4のデジタルカメラ1の撮影処理を示すフローチャートであり、図6に示すフローと同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付して重複箇所の説明を省略する。
Step11で撮影処理を行うと、撮像センサ4上に被写体像が形成されて画像信号が出力され、出力された画像信号は、図9に示す表示部55に表示される。
Step30では、画像信号画像記録部12に記録して撮影処理を終了する。
図9は、「カメラブレ補正モード」により撮影された撮影画像を表示部55に表示する表示例を示す図である。図9に示すように、表示部55には撮影画像とともに撮影感度であるISO感度を表示する。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも小さい場合には、撮影感度は変更されずに、カメラブレ補正機能が動作する。これにより、カメラブレを軽減し、良好な画質の画像を撮影することができる。
一方、上記Step5で動き速度Vhが値A以上の場合、Step6でマイクロコンピュータ3は撮影モードを「感度アップモード」に切り替える。すなわち、デジタル信号ゲイン設定部111は、Step3で設定したISO感度よりも高感度のISO感度となるようゲインを設定する。
Step7では、撮影者等がシャッター操作部を全押し操作されたことを認識すると、Step31以下で連続撮影処理が行われる。
ここで、連続撮影処理を行うことそれ自体に意味があるのではなく、異なる露出条件で複数毎(ここでは4枚)連続撮影することに特徴がある。1回のシャッター操作部36の操作により、1秒間に4枚の連続撮影を行う。さらには撮影ごとに、撮影感度を上げていく。この理由としては、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていくことを想定している。例えば、デジタル信号ゲイン設定部111は、撮影感度がISO感度200相当から上げていくようにゲインを設定する。
Step31で1枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度200相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/60秒にて設定される。
Step32で2枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度400相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/125秒にて設定される。
Step33で3枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度800相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/250秒にて設定される。
Step34で4枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度1600相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/500秒にて設定される。
このように、感度アップモードでは、高感度、すなわち、通常モード、あるいは、カメラブレ補正モードに比べ、高いISO感度での撮影が行われる。また、その際の露出値は実質的に同一となるように、露出時間が短く設定される。
この連続撮影された4枚の撮影画像は、露出値を一定に保つように、ISO感度とシャッタースピードとを変化させたものであり、Step35で、図10に示す表示部55にサムネイル表示される。さらには、Step36で4枚連続撮影された画像信号を画像記録部12に記録して、撮影処理を終了する。
図10は、「感度アップモード」設定後連続撮影された4枚の撮影画像を表示部55に表示する表示例を示す図である。図10に示すように、表示部55には、異なる露出条件で複数毎連続撮影された撮影画像がサムネイル表示される。各サムネイル表示には、サムネイル表示番号1−4と、各ISO感度が表示される。
本実施の形態では、異なる露出条件で連続撮影された4枚の撮影画像について、自動的に4枚記録するようにしているが、撮影者等が任意の画像を選択して保存できる方法であってもよい。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも大きい場合には、高感度の撮影感度に設定される。これにより露光時間を短くすることができ、速いシャッタースピードでの撮影が可能となるので、被写体ブレを防ぐことができる。
ここで、上記Step2の「シャッター半押し動作」の前に、撮影モードを「カメラブレ補正モード」にすることも可能である。撮影モードを「カメラブレ補正モード」にしておくと、シャッター半押し動作の際にもカメラブレ補正が行われる。被写体の動き検出する際には、カメラブレ補正を行っているため、手ブレの影響を少なくした状態によって、動き検出を行うことができるので、動き検出の精度を高めることができる。つまり、撮像センサ4での像の動きが、被写体の動きによるものであるか、撮影者等の像ブレによるカメラ本体の動きの影響であるのかどうかを区別できる。この場合には、上記Step9では、撮影モードが「カメラブレ補正モード」の継続となる。
以上のように、本実施の形態によれば、検出された被写体の光学像の動きに基づいて被写体速度を算出し、被写体速度が所定の閾値A以上か否かを判別し、被写体速度が閾値Aより小さい場合には、カメラブレ補正部16を制御してカメラブレ補正を動作させ、被写体速度が閾値A以上の場合には、デジタル信号ゲイン設定部111のゲインを高くしてISO感度をアップし、シャッター速度を速くして露出時間を短くするとともに、1回のシャッター操作により異なる露出条件で複数枚の画像を連続撮影する。複数の露出条件により連続撮影することで、被写体の動き速度が、撮影中に急激に変わることがあっても複数の露出条件で連続撮影した複数の画像のいずれかには良好な画質の画像が含まれる可能性が高くなる。一方、被写体速度が所定値より遅い場合には、カメラブレ補正機能を動作させることにより、カメラブレのない良好な画像を撮影することができる。その結果、撮影者は被写体の動きによらず、簡単に撮影することが可能となる。
具体的には、被写体の光学像の動きが速い場合には高感度の撮影感度に変更し、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影する。これにより被写体ブレによる画質劣化を防ぐことができる。また、被写体の光学像の動きが遅い場合にはカメラブレ補正部16を動作させるので、手ブレによる像ブレを防ぎ、画質劣化を軽減することができる。したがって、撮影者は被写体の動きによらず、簡単に撮影することが可能となる。
また、被写体の光学像の動きが速い場合には自動的に高感度の撮影感度に変更するので、撮影者等は被写体の動きを観察して被写体ブレが発生するか否かについて判断する必要がなく利便性が高い。
また、本実施の形態では、検出した被写体速度が閾値A以上の場合に高感度の撮影感度に変更する。これにより、被写体が被写体ブレを発生させない速度で動いているにもかかわらず、撮影者等が誤って高感度の撮影感度に設定することがない。
特に、本実施の形態では、「感度アップモード」に変更後のシャッター全押し動作時には、1回のシャッター操作により、複数の露出条件にて連続撮影を行うことにより、撮影者等は、複数の露出条件における撮影を1度に行うことができる。この場合、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を上げていくことにより、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていく際にも対応することができる。例えば、子供の撮影時など、被写体の動き速度がシャッター操作部を全押しした瞬間に急激に変わってしまった等の状況にも、連続撮影の際にシャッタースピードを上げて撮影することにより、十分に対応することが可能となる。このように、複数の露出条件により連続撮影し、記録しておくことで、被写体の動き速度が、撮影中に急激に変わることがあっても複数の露出条件で連続撮影した複数の画像のいずれかには良好な画質の画像が含まれる可能性が高く、被写体ブレのない画像が記録される。撮影者等は、異なる露出条件で4枚連続撮影されて画像が記録された画像記憶部12から、例えばサムネイル表示番号を選択して被写体ブレのない最良の画像を保存することができる。
ここで、「シャッター半押し動作」から「シャッター全押し動作」を経て撮影に至るまでに被写体の速度変化と撮影感度の関係について説明する。
図11は、被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sの関係を説明する図である。図11中、T1は半押し動作、T2は全押し動作、T3は撮影の各タイミングである。また、S1〜S4は撮影時の撮影感度、Aは所定の閾値である。被写体速度Vhが所定の閾値A以上か否かを判別し、被写体速度が閾値Aより小さい場合には、カメラブレ補正部16を、また被写体速度Vhが閾値A以上の場合には、ISO感度をアップ及びシャッター速度を速くする。
本実施の形態では、「シャッター半押し動作」と連動して、被写体の動きベクトル検出を開始する(図8のフローのStep4)。そして、「シャッター全押し動作」の直前まで(図8のフローのStep6,Step9)、一定期間毎に動きベクトル検出を行い、「シャッター全押し動作」時の被写体速度を、最終の被写体速度Vhとする。この場合、図11(1)は被写体に動きがない時、(2)は等速で移動している時、(3)は被写体が一定割合で加速している時、(4)は被写体が一定割合で減速している時であるとすると、1枚目の撮影時の被写体の速度変化と撮影感度の関係は以下のようになる。
(1)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、閾値Aより低く一定の場合
被写体速度Vhが所定の閾値Aより低いので、撮影感度アップは行わず、通常撮影モードの撮影感度S1とする。
(2)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、閾値Aより高く一定の場合
「シャッター全押し動作」時の被写体速度Vhに応じて、撮影感度アップし、ここでは撮影感度S2に設定する。
(3)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、所定の閾値Aを超え、徐々に速度が速くなる場合
徐々に被写体速度Vhが速くなるので、加速度を計算し、「シャッター全押し動作」時から実際の撮影時までのタイムラグの時間分のみ、速度が速くなる分を予測して感度を撮影感度S3(S2<S3)に設定する。また、このとき、2枚目以降の連続撮影において、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を上げていくことが好ましい。
(4)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、所定の閾値Aを超え、徐々に遅くなる場合
上記(3)の場合とは逆に、被写体速度Vhが徐々に遅くなる場合には、速度が遅くなる分を予測して感度を撮影感度S4(S4<S2)に設定する。また、このとき、2枚目以降の連続撮影において、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を下げていくことが好ましい。
なお、連続撮影の例として、1秒間に4枚撮影を行う状況について説明したが、連続撮影枚数については、その他の枚数であってよいことは言うまでもない。例えば、1秒間に2枚連続撮影する際には、図8のフローにおいて、1枚目と3枚目に示す条件により撮影できるようにすればよい。
また、実施の形態4では、シャッター操作部を1回操作すると連続して複数枚の画像が撮影できる例について説明したが、シャッター操作部を操作している(押している)期間のみ、撮影可能なシステムとしてもよい。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
撮像装置を有する電子機器であればどのような装置にも適用できる。例えば、デジタルカメラ及びビデオカメラは勿論のこと、カメラ付き携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、撮像装置を備えるパソコン等の情報処理装置にも適用可能である。
上記各実施の形態では、被写体の動き速度Vhが閾値A以上の場合に、撮影感度を高感度に変更する例について説明したが、高感度の撮影感度に変更するとともに、カメラブレ補正機能を動作させてもよい。
また、異なる露出条件で複数連続撮影するものであればよく、高感度にて連続4枚撮影する前に、通常モードの撮影感度であるISO感度100相当にて撮影し、1回のシャッター操作により、通常撮影及び高感度撮影により合計5枚撮影するようにしてもよい。
また、カメラブレ補正モードにおいても、1回のシャッター操作により、複数の露出条件にて連続撮影を行うこととしてもよい。これにより、撮影者等は、複数の露出条件における撮影を1度に行うことができる。この場合、1枚目の撮影感度は、Step3にて設定した通常モードと同じISO感度となる。2枚目以降は、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を上げていくことにより、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていく際にも対応することができる。例えば、子供の撮影時など、被写体の動き速度がシャッター操作部を全押しした瞬間に急激に変わってしまった等の状況にも、連続撮影の際にシャッタースピードを上げて撮影することにより、十分に対応することが可能となる。また、上述のように、「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhの変化に応じて撮影感度及びシャッター速度を変えるようにしてもよい。
また、図12に示すように、1回のシャッター操作により連写し、感度アップあり画像と、感度アップなし画像とを異なる撮影感度にて撮影することにより、撮影後すぐ、あるいは再生時に、簡単に2つのモードの撮影画像、画質を比較できるようにしてもよい。さらには、画像を自動的に、あるいは十字操作キー38などにて手動で拡大表示することにより、併せて4枚の撮影画像を表示部55に同時に表示させてもよい。
また、撮影感度については、撮影画質の劣化を抑えるために、上限を設定できるようにしてもよい。
また、セルフタイマーを用いた撮影時などでは、シャッター操作部36を全押しした後、撮影が開始されるまでの数秒前から、被写体の光学像の動きを検出できるようにしてもよい。なお、動きを検出している際には、被写体側から認識できるように、デジタルカメラ1に設けられたLEDなどにて、点滅させるようにすればなおさらよい。
また、異なる露出条件での連続撮影の例として、ISO感度200相当、シャッタースピード1/60秒に設定した場合について説明したが、これに限らず、被写体の動き速度Vhが前回の動き速度より、より速い場合には、ISO感度をさらに上げた状態で1枚目を撮影し、1枚ごとにISO感度を上げて連続撮影するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態における撮像光学系及びカメラブレ補正部の構成は、上記の構成に限られない。例えば、カメラブレ補正部は撮像センサを撮像光学系に対して光軸と直交する2方向に駆動させてもよい。また例えば、カメラブレ補正部は、レンズ鏡筒の被写体側前面に取り付けられたプリズムの角度を変えてもよいし、あるいはレンズ鏡筒全体を駆動してもよく、カメラブレによる像ブレの補正が可能であれば構成はこれらに限られない。
また、撮像センサ内での画像の切り出し位置を変えて補正する、あるいは同一の被写体を短いシャッタースピードにて複数枚撮影した後に1枚の画像に合成するなどの電子式のカメラブレ補正方式であってもよく、その方式が限定されるものではないことは明らかである。
また、上記各実施の形態では、被写体の動き速度は、動きベクトルを用いて算出したが、これに限らず、別途外部センサ等を用いて被写体の動き速度を検出してもよい。
また、上記各実施の形態では、シャッターを動作させることにより撮像センサへの露光時間を制御したが、これに限らず、電子シャッター等により撮像センサの露光時間を制御してもよい。
また、実施の形態に係るデジタルカメラは撮像光学系を備えたが、これに限られない。一眼レフレックスカメラシステムのように、撮像光学系を保持するレンズ鏡筒と、撮像センサを含むカメラ本体とが別々に組合わせて使用される撮像装置に対しても適用することができる。例えば、撮像光学系を保持するレンズ鏡筒と、カメラ本体とが別々に用意され、撮像者等が組合わせて使用されるシステム全般に適用できる。
また、本実施の形態では、撮像装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、撮影装置、デジタルカメラ及び撮像方法等であってもよいことは勿論である。
さらに、上記デジタルカメラを構成する各構成部、例えば撮像光学系の種類、その駆動部及び取付け方法など、さらには動き検出部の種類などは前述した実施の形態に限られない。
また、以上説明した撮像装置は、この撮像装置の撮影制御方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
本明細書は、2006年2月20日出願の特願2006−042379に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係る撮像装置及びレンズ鏡筒は、良好な画質の画像が要望されるデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、カメラ部を備えた携帯電話、PDA等に好適である。
本発明は、撮像装置及びレンズ鏡筒に関し、より詳細には、カメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備える撮像装置及びレンズ鏡筒に関する。
被写体の光学的な像を電気的な画像信号に変換して出力可能なデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置(以下、単にデジタルカメラという)が急速に普及している。特に近年では、デジタルカメラの小型・軽量化及び光学ズームの高倍率化が進み、撮影者等に対する使い勝手は格段に向上してきている。
しかし、デジタルカメラの小型・軽量化及び光学ズームの高倍率化に伴い、撮影した画像にブレが生じ、画質が劣化する場合がある。
特許文献1には、撮影時に像ブレ等が生じても画像への影響を軽減する振れ補正光学系を備えたデジタルカメラが開示されている。特許文献1に記載のデジタルカメラは、撮影時の像ブレに応じて補正レンズを光軸と垂直な上下左右方向に移動させ、画像の乱れを補正する。これにより、小型・軽量化したデジタルカメラであっても像ブレを軽減した画像を撮影することができる。また、特許文献1に記載のデジタルカメラは、像ブレを防ぐためにストロボを発光させて撮影する必要がないので、自然の色に近い条件下で雰囲気のある写真を撮影することができるとしている。
一方、撮影画像の画質を劣化させる原因としては、手ブレ等のようにカメラ本体に加わる振動に起因するカメラブレ以外にも、撮影対象となる被写体が動くことによって生じる被写体ブレがある。このような被写体ブレは、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影することにより防ぐことができる。シャッタースピードは、例えば撮影感度を高くしたり、ストロボ発光を行うことにより速くすることができる。以下、撮像面における被写体の光学像のブレに関し、カメラ本体に加わる振動に起因するものをカメラブレといい、被写体の動きに起因するものを被写体ブレといい、カメラブレと被写体ブレを総称して、撮像面に対する像ブレという。
特許文献2には、被写体の動きを推測する動き推測手段を備え、被写体が動く可能性が高い場合、シャッタースピードなどの撮影条件を変更する撮影装置及び方法が開示されている。
特開2000−13671号公報
特開2006−157428号公報
一般に、撮影感度を高くすると撮像センサからの出力信号は増幅されるので、撮像センサから発生するノイズも増幅されることになる。そのため、高感度で撮影した画像にはノイズが多く含まれる。このように、必要以上に撮影感度を高くすることは画質劣化の原因ともなる。したがって、周囲の明るさが不十分なために振れ補正光学系により補正を行ってもなお像ブレが発生する場合や、動きの速い被写体を撮影する場合等に撮影感度を高くすることが望ましい。
しかしながら、このような従来の撮像装置にあっては、撮影者等は、被写体がどの程度の速さで動けば被写体ブレが生じるのかを判断することは困難である。そのため、被写体ブレのない撮影が可能であるにもかかわらず、被写体の動きを観察した撮影者等は誤って被写体ブレが発生すると認識する場合がある。その結果、撮影者等は撮影感度を高感度に変更し、不必要にノイズを多く含む画像が撮影されるという問題があった。また、動きの速い被写体を撮影するためには、撮影直前に撮影者等は撮影感度を変更しなければならず、折角のシャッターチャンスを逃してしまうという問題があった。
すなわち、一般の撮影者にとっては、被写体の動き速度がどの程度であれば、被写体ブレが生じ、あるいは生じないという判断ができない。つまり、被写体速度が速い場合にカメラブレ補正機能を使用すれば、被写体ブレの生じた画像を撮影することになり、被写体速度が遅い場合に撮影感度をアップさせると、ノイズが多い画像を撮影することになり、良好な映像を得ることができない。
また、特許文献1に記載された振れ補正光学系を備えたデジタルカメラは、カメラブレによる画質劣化を軽減することができるものの、被写体ブレによる画質劣化を軽減することについては提案されていない。
さらに、特許文献2に記載されたデジタルカメラは、被写体の動きを予測するだけであり被写体がどの程度の速さで動けば被写体ブレが生じるのかを判断するものではないため、被写体速度に合わせた最適なシャッタースピードにて撮影できるとは限らない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、カメラブレや被写体ブレによる画質劣化を軽減し、良好な画質の画像を容易に撮影することのできる撮像装置及びレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
本発明の撮像装置は、被写体の光学像を形成する撮像光学系と、前記形成された光学像を受光して、電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、撮影前の所定時間における前記被写体の光学像の動きを検出する動き検出部と、前記検出された被写体の光学像の動きに応じて露出時間を制御する制御部と、を備える構成を採る。
本発明の撮像装置本体は、撮像装置本体の動きに起因する光学像のブレを補正するカメラブレ補正部を搭載したレンズ鏡筒と組み合わせて使用する撮像装置本体であって、形成された光学像を受光して電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、撮影前の所定時間における前記被写体の光学像の動きを測定し、被写体速度を算出する動き検出部と、前記検出された被写体の光学像の動きに応じて露出時間を制御する制御部と、を備える構成を採る。
本発明のレンズ鏡筒は、被写体の光学像を形成する撮像光学系と、前記形成された光学的な像を受光して、電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、撮影前の所定時間における前記被写体の光学像の動きを測定し、被写体速度を算出する動き検出部と、前記検出された被写体の光学像の動きに応じて露出時間を制御する制御部と、有する撮像装置本体と組み合わせて使用されるレンズ鏡筒であって、撮像装置本体の動きに起因する光学像のブレを補正するカメラブレ補正部と、前記カメラブレ補正部と前記撮像装置本体の制御手段とのインタフェースと、を具備する構成を採る。
本発明によれば、手ブレや被写体ブレによる画質劣化を軽減し、良好な画質の画像を容易に撮影することのできる撮像装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図2は、本実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図であり、図2Aは上面図、図2Bは背面図を示す。本実施の形態は、カメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備えるデジタルカメラに適用した例である。なお、以下の説明において、被写体の動き速度(以下、被写体速度ともいう。)とは、カメラブレと被写体ブレとの双方又は一方に起因する、撮像面における被写体の光学像の移動速度を意味する。
図1において、デジタルカメラ1は、撮像光学系Lと、マイクロコンピュータ3と、撮像センサ4と、CCD(Charge Coupled Device)駆動制御部5と、アナログ信号処理部6と、A/D変換部7と、デジタル信号処理部8と、バッファメモリ9と、画像圧縮部10と、画像記録制御部11と、画像記録部12と、画像表示制御部13と、カメラブレ補正部16と、角速度センサ18と、表示部55と、シャッター制御部41と、シャッター駆動モータ42と、ストロボ制御部43と、ストロボ44と、動き検出部100と、デジタル信号増幅部110と、デジタル信号ゲイン設定部111とを備えて構成される。
撮像光学系Lは、3つのレンズ群L1、L2、L3を含む光学系である。第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2は、光軸方向に移動することによりズーミングを行う。第2レンズ群L2は、補正レンズ群であって、光軸に垂直な面内を移動することにより光軸を偏心させて画像の動きを補正する。第3レンズ群L3は、光軸方向に移動することによりフォーカシングを行う。なお撮像光学系Lは、上記の光学系の構成に限るものではない。
機械的な振動、撮影者等による揺れ等がデジタルカメラ1に加わると、被写体からレンズに向かって照射される光の光軸とレンズの光軸とにズレが生じるため、不鮮明な画像が形成される。そこで、デジタルカメラ1は不鮮明な画像が形成されるのを防止するためにカメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20を備える。なお、カメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20は、撮影者等の揺れやカメラ本体に加わる振動等によって生じる光学像のブレを軽減するものである。
撮像センサ4は、撮像光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCDセンサである。撮像センサ4は、CCD駆動制御部5により駆動制御される。なお、撮像センサ4はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
マイクロコンピュータ3は、デジタルカメラ1全体を制御するとともに、被写体の動きに応じてカメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを制御する撮影制御処理を実行する。マイクロコンピュータ3は、被写体速度が所定の閾値より小さい場合には、カメラブレ補正機能を制御してカメラブレ補正を動作させ、被写体速度が所定の閾値以上の場合には、被写体速度が所定の閾値より小さい場合よりも撮影感度変更機能のゲインを高くし更に露出時間を短くするとともに、異なる露出条件により複数枚の画像を連続撮影する。撮影制御処理の詳細については、図6のフローにより後述する。また、マイクロコンピュータ3は、電源スイッチ35、シャッター操作部36、撮影/再生切換操作部37、十字操作キー38、MENU設定操作部39及びSET操作部40の信号を、それぞれ受信可能である。マイクロコンピュータ3は本発明の制御部の一例である。
図2において、デジタルカメラ1の筐体1aは、被写体を撮影する際に撮影者等によって支持される。筐体1aの背面には、表示部55と電源スイッチ35と撮影/再生切換操作部37と十字操作キー38とMENU設定操作部39とSET操作部40が設けられている。
電源スイッチ35は、デジタルカメラ1の電源の入切を行うための操作部材である。撮影/再生切換操作部37は、撮影モード又は再生モードに切換えるための操作部材であり、撮影者等はレバーを回動させて切換えることができる。MENU設定操作部39は、デジタルカメラ1の各種動作を設定するための操作部材である。十字操作キー38は、撮影者等が上下左右の部位を押圧して、表示部55に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択するための操作部材である。SET操作部40は、各種メニュー表示を1つ前の表示に戻すための操作部材である。
図2Bにおいて、筐体1aの上面には、シャッター操作部36とズーム操作部57が設けられる。ズーム操作部57は、シャッター操作部36の周囲に設けられ、シャッター操作部36と同軸に回動可能である。撮影者等が撮影/再生切換操作部37を操作して撮影モードに切換えた後、ズーム操作部57を右方向に回動させるとレンズ群は望遠側に移動し、左方向に回動させるとレンズ群は広角側に移動する。
シャッター操作部36は、撮影の際に撮影者等によって操作される、例えばレリーズボタンである。シャッター操作部36が操作されると、タイミング信号がマイクロコンピュータ3に出力される。シャッター操作部36は、半押し操作と全押し操作が可能な二段式の押下スイッチであり、撮影者等が半押し操作すると後述する被写体の動き検出、測光処理及び測距処理を開始する。続いて撮影者等が全押し操作するとタイミング信号が出力される。シャッター制御部41は、タイミング信号を受信したマイクロコンピュータ3から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動モータ42を駆動し、シャッターを動作させる。
再び図1に戻り、デジタルカメラ1の構成の説明を続ける。図1中、ストロボ制御部43は、ストロボ44の動作を制御する。シャッター操作部36の操作によるタイミング信号を受信したマイクロコンピュータ3は、ストロボ制御部43に制御信号を出力する。そしてストロボ制御部43は、制御信号に基づいてストロボ44を発光させる。ストロボ44は、撮像センサ4が受光する光量に応じて制御される。すなわち、ストロボ制御部43は、撮像センサ4からの画像信号の出力が一定値以下の場合にはシャッター動作と連動して自動的に発光させる。一方、画像信号の出力が一定値以上の場合には、ストロボ制御部43はストロボ44を発光させないように制御する。
ストロボ入/切操作部56は、上述の撮像センサ4の出力に関係なくストロボ44の動作を設定するための操作部である。すなわち、ストロボ制御部43は、ストロボ入/切操作部56が「入」の場合にはストロボ44を発光させ、「切」の場合にはストロボ44を発光しない。
撮像センサ4から出力された画像信号は、アナログ信号処理部6から、A/D変換部7、デジタル信号処理部8、デジタル信号増幅部110、バッファメモリ9、画像圧縮部10へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部6は、撮像センサ4から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部7は、アナログ信号処理部6から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部8は、A/D変換部7によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施し、動き検出部100及びデジタル信号増幅部110に出力する。バッファメモリ9は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。
デジタル信号ゲイン設定部111は、デジタル信号処理された画像信号の増幅ゲインを設定する。デジタル信号増幅部110は、設定された増幅ゲインで画像信号を増幅し、バッファメモリ9に出力する。なお、増幅ゲインの設定は撮影感度の設定に対応する。本実施の形態では、撮影感度はISO感度に相当する値として表され、例えばISO80、100、200、400、800、1600相当の撮影感度に設定可能である。なお、設定可能な撮影感度はこれに限られない。また、撮影感度はISO感度相当以外の値で表されてもよい。
また、画像信号を増幅する処理は、デジタル信号増幅部110において行われる場合に限られず、アナログ信号処理部6にてアナログ信号に対して行ってもよい。また増幅処理は、撮像センサ4にて行われてもよい。
バッファメモリ9に記憶された画像信号は、画像圧縮部10から画像記録部12へと、順次送られて処理される。バッファメモリ9に記憶された画像信号は、画像記録制御部11の指令により読み出されて、画像圧縮部10に送信される。画像圧縮部10に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部11の指令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。かかる圧縮方法として、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部11により画像記録部12に記録される。
画像記録部12は、画像記録制御部11の指令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて記録する、例えば内部メモリ及び/又は着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれ、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。
表示部55は、画像表示制御部13からの指令に基づいて、画像記録部12あるいはバッファメモリ9に記録された画像信号を可視画像として表示する。ここで表示部55の表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態と、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態とがある。動き検出部100は、デジタル信号に変換された画像信号に基づいてフレーム間の画像の水平・垂直方向の位置ずれ量を示すベクトル(以下、動きベクトルという)をフレーム毎に検出する。以下、動き検出部100の詳細について説明する。
図3は、上記動き検出部100の構成の一例を示すブロック図である。図3において、動き検出部100は、代表点記憶部101と、相関演算部102と、動きベクトル検出部103とを含んで構成される。
代表点記憶部101は、A/D変換部7及びデジタル信号処理部8を経て入力される現フレームの画像信号を複数の領域に分割し、各領域に含まれる特定の代表点に対応する画像信号を代表点信号として記憶する。また、代表点記憶部101は、既に記憶されている現フレームよりも1フレーム前の代表点信号を読み出して相関演算部102に出力する。 相関演算部102は、1フレーム前の代表点信号と現フレームの代表点信号間の相関演算を行い、代表点信号間の差を比較する。演算結果は動きベクトル検出部103に出力される。
動きベクトル検出部103は、相関演算部102による演算結果から1フレーム前と現フレーム間の画像の動きベクトルを1画素単位で検出する。そして動きベクトルは、マイクロコンピュータ3に出力される。マイクロコンピュータ3は、動きベクトルに対するゲイン及び位相などを調整し、画像信号上の被写体の単位時間あたりの動き速度及び方向を算出する。
被写体の動きを検出する処理は、例えば撮影者等がシャッター操作部36を半押し操作することにより開始される。なお、処理の開始は、撮影者等が電源スイッチ35をONにした後、撮影/再生切換操作部37を操作して撮影モードに切り替える動作と連動させてもよい。
次に、カメラブレ補正機能を実現するカメラブレ補正部16の構成について説明する。カメラブレ補正部16は、位置検出部15と、ヨーイング駆動制御部14xと、ピッチング駆動制御部14yと、D/A変換部17x、17y、角速度センサ18x、18yと、A/D変換部19x、19yとを含む。
ヨーイング駆動制御部14x及びピッチング駆動制御部14yは、補正レンズ群L2を撮像光学系Lの光軸AXに直交する2方向に駆動させる。位置検出部15は、補正レンズ群L2の位置を検出する。以上の位置検出部15とヨーイング駆動制御部14xとピッチング駆動制御部14yは、補正レンズ群L2を駆動制御するための帰還制御ループを形成している。
角速度センサ18x、18yは、撮像光学系Lを含むデジタルカメラ1自体の動きを検出するセンサである。角速度センサ18x、18yは、デジタルカメラ1が静止している状態での出力を基準として、デジタルカメラが動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。なお、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。
出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部19x、19yによりデジタル信号に変換されてマイクロコンピュータ3に与えられる。そして、マイクロコンピュータ3は、角速度信号に対してフィルタリング、積分処理、位相補償、ゲイン調整、クリップ処理等を順次施して、カメラブレ補正に必要なレンズ群L2の駆動制御量を算出し、制御信号として出力する。かかる制御信号は、D/A変換部17x、17yを介してヨーイング駆動制御部14x、ピッチング駆動制御部14yに出力される。
ヨーイング駆動制御部14x及びピッチング駆動制御部14yは、制御信号に基づいて補正レンズ群L2を所定の駆動量だけ駆動させる。これにより、カメラブレを補正し、画質劣化を軽減することができる。
図4は、上記カメラブレ補正部16に含まれるカメラブレ補正機構20の構成を示す分解斜視図である。
カメラブレ補正機構20は、ピッチング移動枠21と、ヨーイング移動枠22、ピッチングシャフト23a、23bと、コイル24x、24yと、固定枠25と、ヨーイングシャフト26a、26bと、マグネット27x、27yと、ヨーク28x、28yと、アクチュエータ29x、29yと、発光素子30と、受光素子31とを中心に構成される。
補正レンズ群L2は、ピッチング移動枠21に固定される。ピッチング移動枠21は、ヨーイング移動枠22に対して2本のピッチングシャフト23a、23bを介してY方向に摺動可能に保持される。また、ピッチング移動枠21には、コイル24x、24yが固定される。ヨーイング移動枠22は、固定枠25に対してヨーイングシャフト26a、26bを介してX方向に摺動可能に保持される。マグネット27xとヨーク28xとは固定枠25に保持され、コイル24xとともにアクチュエータ29xを構成する。同様に、マグネット27yとヨーク28yとは固定枠25に保持され、コイル24yとともにアクチュエータ29yを構成する。発光素子30は、ピッチング移動枠21に固定される。また、受光素子31は、固定枠25に固定され、発光素子30の投射光を受光して2次元の位置座標を検出する。かかる発光素子30と受光素子31とは、上述の位置検出部15を構成する。
以下、上述のように構成されたカメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備えるデジタルカメラ1の動作を説明する。
まず、デジタルカメラ1において選択可能な撮影モードについて説明する。撮影モードには、例えば0.3秒間隔でシャッター駆動モータ42を動作させて2回又は複数回の連続撮影を行う「連写モード」や、後述する「感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード」、「感度アップモード」、「カメラブレ補正モード」等が含まれ、撮影者等は所望の撮影モードを選択可能である。撮影モードが選択されると、マイクロコンピュータ3は各撮影モードに応じて各種制御部を制御する。
図5は、表示部55に表示された撮影モード選択画面の表示例を示す図である。撮影モード選択画面は、撮影者等がMENU設定操作部39や十字操作キー38を操作することにより、表示部55に表示させることができる。図5に示すように、撮影モードは、「感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード」と、「感度アップモード」と、「カメラブレ補正モード」と、「モードOFF」からなり、撮影者等はそれぞれ対応するアイコン90〜93を選択することにより所望の撮影モードに設定することができる。なお、図5には本実施の形態において特徴的な撮影モード選択アイコンのみが表示されているが、前述した「連写モード」等、他の撮影モード選択アイコンをさらに表示してもよい。
感度アップモード選択アイコン91が選択されると、通常の撮影よりも高感度の撮影感度に変更される(「感度アップモード」)。すなわち、デジタル信号増幅部110はマイクロコンピュータ3からの指令により画像信号を所定のゲインで増幅する。これにより、露光時間を短くし、速いシャッタースピードで撮影することができるので、像ブレの影響を小さくすることができる。
カメラブレ補正モード選択アイコン92が選択されると、カメラブレ補正機能が動作する(「カメラブレ補正モード」)。すなわち、カメラブレ補正機構20は、マイクロコンピュータ3からの指令により補正レンズ群L2を光軸と直交する平面内の2方向に駆動させてカメラブレを軽減する。
感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン90が選択されると、マイクロコンピュータ3は、被写体の動く速度に応じて、「感度アップモード」又は「カメラブレ補正モード」のいずれかに自動的に切り替える。これにより、被写体が被写体ブレを発生させるような速度で動く場合には高感度の撮影感度に設定され、一方、被写体が被写体ブレを発生させないような遅い速度で移動する場合にはカメラブレによる像ブレを軽減するカメラブレ補正機能が動作する。
モードOFF選択アイコン93が選択されると、上記の撮影感度アップ機能及びカメラブレ補正機能は動作せず、通常モードにて通常の撮影が可能である。
次に、「感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード」が選択された場合の撮影処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
図6は、デジタルカメラ1の撮影処理を示すフローチャートであり、マイクロコンピュータ3により実行される。本フローは、例えばデジタルカメラ1の電源スイッチ35がON側に操作されると開始する。
Step1の処理では、撮影者等がデジタルカメラ1の筐体1aの背面側に設けられたMENU設定操作部39を操作すると表示部55には撮影モードの一覧が表示される。表示された撮影モード選択アイコンのうち、撮影者等が感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン90を選択すると、処理はStep2に進む。
Step2では、撮影者等がシャッター操作部36を操作したことを認識して、マイクロコンピュータ3は処理をStep3へ移行させる。
Step3では、被写体の動きを検出する。動き検出処理では、動き検出部100が撮影対象となる被写体の動きを、撮影画像の代表点を追跡することにより検出し、動きベクトルを出力する。また、動き検出処理と同時に測光処理及び測距処理を行う。測光処理では、デジタル信号処理部8は、撮像センサ4により出力された画像信号に基づいて露光値を演算する。マイクロコンピュータ3は、演算された露光値に基づいて適切なシャッタースピードと撮影感度であるISO感度とを自動設定する。また、測距処理では、図示しないフォーカス制御部は画像信号のコントラスト値がピークとなるようにレンズ群を光軸方向に移動させ合焦調整を行う。また、動き検出部100が撮影対象となる被写体の動きを検出し、動きベクトルを出力する。
Step4では、マイクロコンピュータ3は動き検出部100により検出された動きベクトルから、単位時間あたりの被写体の動き速度Vhを算出する。
Step5では、動き速度Vhの判定処理を行う。デジタルカメラ1には、予め所定の値Aが設定されており、マイクロコンピュータ3は動き速度Vhと所定の値Aとを比較する。ここで、所定の値Aは被写体ブレが生じる閾値となる値であり、カメラ固有の値であってもよいし、撮影者等により任意に設定されてもよい。例えば、ストロボを使用する時には、シャッタースピードを速くすることができるので、閾値を大きくすることにより、むやみに撮影感度が上がることがない。逆に、被写体として被写体速度の算出後撮影時までに突然動くことの多い子供やペットを撮影する際には、デジタルカメラ1に、別途子供撮影モードあるいはペット撮影モードを設けることにより、撮影者等がそのモードを選択した時には、閾値を小さくして、撮影感度をアップさせることを優先するような方法であってもよい。
さらには、夜景や薄暗い室内での撮影、被写体までの距離が遠くてストロボ光が届かない、あるいは望遠撮影のように使用時の焦点距離が長くてカメラブレの影響が大きい場合にも、閾値を小さくして、撮影感度を優先させてもよい。比較の結果、動き速度Vhが値A以上の場合、マイクロコンピュータ3は被写体が被写体ブレを発生させる速度で動いていると判断し、処理をStep6へ移行させる。動き速度Vhが値Aよりも小さい場合、マイクロコンピュータ3は、被写体ブレは発生しないと判断して、処理をStep9へ移行させる。被写体ブレが発生しない状況においては、Step3で設定したシャッタースピードとISO感度とで撮影する。例えば、ISO感度を100相当とし、シャッタースピード1/30秒にて撮影する。
上記Step5で動き速度Vhが値A以上の場合、Step6でマイクロコンピュータ3は撮影モードを「感度アップモード」に切り替える。すなわち、デジタル信号ゲイン設定部111は、Step6以降のStepにおいて、Step3で設定したISO感度よりも高感度のISO感度となるようゲインを設定する。
Step7では、撮影者等がシャッター操作部を全押し操作されたことを認識すると、Step8で撮影処理を行う。すなわち、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、Step6において設定されたゲインで増幅する。増幅された画像信号は画像記録部12に記録され、撮影処理を終了する。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも大きい場合には、高感度の撮影感度に設定される。これにより露光時間を短くすることができ、速いシャッタースピードでの撮影が可能となるので、被写体ブレを防ぐことができる。
一方、上記Step5で動き速度Vhが値Aより小さい場合、Step9では、マイクロコンピュータ3は撮影モードを「カメラブレ補正モード」に切り替え、カメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20を動作させる。カメラブレ補正部16は、角速度センサ18x、18yによりカメラ本体に加わるカメラブレを検知する。そしてマイクロコンピュータ3からの指令により、外部の回路からピッチング移動枠21のコイル24x、24yに電流が供給され、アクチュエータ27x、27yが形成する磁気回路により、ピッチング移動枠21及び補正レンズ群L2は光軸AXと直交する平面内の2方向X、Y方向に移動する。このとき、受光素子29はピッチング移動枠21の位置を検出するので、高精度な位置検出が可能である。
Step10では、マイクロコンピュータ3は撮影者等がシャッター操作部36を全押し操作したことを認識すると、Step11で撮影処理を行う。すなわち、撮像センサ4上に被写体像が形成されて画像信号が出力され、出力された画像信号は、表示部55に表示される。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも小さい場合には、撮影感度は変更されずに、カメラブレ補正機能が動作する。これにより、カメラブレを軽減し、良好な画質の画像を撮影することができる。
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きが速い場合には高感度の撮影感度に変更し、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影する。これにより被写体ブレによる画質劣化を防ぐことができる。また本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きが遅い場合にはカメラブレ補正機能を動作させるので、カメラブレによる像ブレを防ぎ、画質劣化を軽減することができる。
また、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きが速い場合には自動的に高感度の撮影感度に変更するので、撮影者は被写体の動きを観察して被写体ブレが発生するか否かについて判断する必要がなく利便性が高い。
また、本実施の形態に係るデジタルカメラは、検出した被写体の動き速度が所定の値よりも大きい場合に高感度の撮影感度に変更する。これにより、被写体が被写体ブレを発生させない速度で動いているにもかかわらず、撮影者が誤って高感度の撮影感度に設定することがない。
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも大きい場合に、撮影感度を高感度に変更した場合についてのみ説明したが、これに限られない。デジタルカメラは、高感度の撮影感度に変更するとともに、カメラブレ補正機能を動作させてもよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るデジタルカメラについて説明する。本実施の形態に係るデジタルカメラは、実施の形態1に係るデジタルカメラとほぼ同様の構成を備えるが、撮影モードとして、さらに流し撮りモードが選択可能である点で異なる。ここで流し撮りとは、速く動く被写体を撮影する場合に、その進行方向にカメラの向きを移動させながらシャッター操作部36を押して撮影する方法であり、流し撮りモードにて撮影することにより被写体が静止し、かつ背景が流れるように写すことができる。以下、本実施の形態では実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付し、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図7は、実施の形態2に係るデジタルカメラの撮影処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、例えばデジタルカメラ1の電源スイッチ35がON側に操作されると開始する。
まずStep21の処理において、撮影者がMENU設定操作部39を操作すると表示部55には選択可能な撮影モードの一覧が表示される。本実施の形態において表示される撮影モードは、実施の形態1に加えてさらに流し撮りモードが選択可能である。
Step22において、撮影者が流し撮りモード選択アイコンを選択すると、撮影モードは流し撮りモードに設定される。次にStep23において、撮影者がシャッター操作部36を半押し操作すると、測光処理と測距処理が行われるとともに、Step24でマイクロコンピュータ3はカメラブレ補正部16及びカメラブレ補正機構20に指令を与え、カメラブレ補正機能を動作させる。ここで、カメラブレ補正機能を動作させる理由は、流し撮りを可能とするために遅いシャッタースピードに設定されるので、カメラブレによる像ブレが生じやすいためである。なお、カメラブレ補正部16は、流し撮りによるカメラ本体の動きを誤ってカメラブレとして認識しないように、デジタルカメラの向きが移動する方向には補正レンズ群L2を動作させない。例えば、流し撮りを行うために撮影者がデジタルカメラの向きを地面と水平な方向(右から左、あるいは左から右)へ動かす場合には、カメラブレ補正機構20は補正レンズ群を垂直な方向のみに動作させる。すなわち、ピッチング方向である角速度センサ18yにより垂直方向に加わるブレのみを検知し、マイクロコンピュータ3は検知されたブレを打ち消すような指令をカメラブレ補正機構20に与える。そして外部の回路からピッチング移動枠21のコイル24yに電流を供給すると、アクチュエータ27yにより形成された磁気回路により、ピッチング移動枠21は光軸AXと直交するY方向のみに移動する。なお、ヨーイング方向については、角速度センサ18xの出力に応答せず、アクチュエータ27xに電流を供給することにより、補正レンズ群L2はヨーイング方向に動作しない。
このように、カメラブレ補正機構20は、補正レンズ群L2をY方向のみに移動させるので、カメラブレによる像ブレを軽減することができる。また、流し撮りに伴うデジタルカメラの動きをカメラブレと間違って判断されることがない。
再び図7に示すフローチャートにおいて、撮影者がシャッター操作部36を全押し操作すると(Step25)、撮影処理が行われ、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成されて画像信号が出力される(Step26)。以上により撮影処理は終了する。
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラは、流し撮りを行う場合において、所定の角速度センサのみがブレを検出する。これにより、流し撮りに伴うデジタルカメラの動きを間違ってカメラブレとして判断することがないので、流し撮り特有の背景が流れるような撮影が可能である。また、流し撮り撮影においても、カメラブレによる像ブレを軽減することができるので、良好な画質の画像を得ることができる。
なお、本実施の形態において、流し撮りモードは撮影前に設定されたが、これに限られない。例えば、角速度センサの出力から自動的に流し撮りモードであると判断してもよい。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るデジタルカメラについて説明する。本実施の形態に係るデジタルカメラは、実施の形態1及び2に係るデジタルカメラとほぼ同様の構成を備えるが、被写体の動き速度に応じて撮影感度が設定される点で異なる。以下、実施の形態1及び2と異なる点を中心に説明する。
撮影者がシャッター操作部36を半押し操作すると、動き検出部100は被写体の動きを検出し、検出ベクトルを出力する。そしてマイクロコンピュータ3は、出力された検出ベクトルから被写体の動き速度Vhを算出する。さらにマイクロコンピュータ3は、被写体の動き速度Vhから被写体ブレの生じないシャッタースピードを算出し、かかるシャッタースピードにて撮影可能な撮影感度に設定する。例えば、屋外の環境下で、歩く速度でゆっくりと移動する被写体を撮影する場合にはISO感度100相当の撮影感度に設定され、走る速度で移動する被写体を撮影する場合にはISO感度400相当の撮影感度に設定される。
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きに応じて撮影感度が設定されるので、撮影者は適切な撮影感度に設定するために複雑な操作をすることなく被写体ブレのない良好な画質の画像を撮影することができる。また、撮影者が自ら撮影感度を設定する必要がないので、シャッターチャンスを逃すことがなく、利便性の高いデジタルカメラを提供できる。
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラは、被写体の動きに応じて撮影感度を設定する場合についてのみ説明したが、同時にカメラブレ補正機能を動作させてもよい。これにより、カメラブレによる画質の劣化を軽減でき、さらに良好な画質の画像を得ることができる。またあるいは、カメラブレ補正機能は一定の撮影感度に設定された場合にのみ動作させてもよい。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る撮像装置のハード的構成は、図1乃至図3とほぼ同様であるため説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態4のデジタルカメラ1の撮影処理を示すフローチャートであり、図6に示すフローと同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付して重複箇所の説明を省略する。
Step11で撮影処理を行うと、撮像センサ4上に被写体像が形成されて画像信号が出力され、出力された画像信号は、図9に示す表示部55に表示される。
Step30では、画像信号画像記録部12に記録して撮影処理を終了する。
図9は、「カメラブレ補正モード」により撮影された撮影画像を表示部55に表示する表示例を示す図である。図9に示すように、表示部55には撮影画像とともに撮影感度であるISO感度を表示する。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも小さい場合には、撮影感度は変更されずに、カメラブレ補正機能が動作する。これにより、カメラブレを軽減し、良好な画質の画像を撮影することができる。
一方、上記Step5で動き速度Vhが値A以上の場合、Step6でマイクロコンピュータ3は撮影モードを「感度アップモード」に切り替える。すなわち、デジタル信号ゲイン設定部111は、Step3で設定したISO感度よりも高感度のISO感度となるようゲインを設定する。
Step7では、撮影者等がシャッター操作部を全押し操作されたことを認識すると、Step31以下で連続撮影処理が行われる。
ここで、連続撮影処理を行うことそれ自体に意味があるのではなく、異なる露出条件で複数毎(ここでは4枚)連続撮影することに特徴がある。1回のシャッター操作部36の操作により、1秒間に4枚の連続撮影を行う。さらには撮影ごとに、撮影感度を上げていく。この理由としては、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていくことを想定している。例えば、デジタル信号ゲイン設定部111は、撮影感度がISO感度200相当から上げていくようにゲインを設定する。
Step31で1枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度200相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/60秒にて設定される。
Step32で2枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度400相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/125秒にて設定される。
Step33で3枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度800相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/250秒にて設定される。
Step34で4枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ4上に形成され、撮像センサ4は画像信号を出力する。そしてデジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部8から出力された画像信号に対し、ISO感度1600相当にて設定されたゲインで増幅する。この際、シャッタースピードは、1/500秒にて設定される。
このように、感度アップモードでは、高感度、すなわち、通常モード、あるいは、カメラブレ補正モードに比べ、高いISO感度での撮影が行われる。また、その際の露出値は実質的に同一となるように、露出時間が短く設定される。
この連続撮影された4枚の撮影画像は、露出値を一定に保つように、ISO感度とシャッタースピードとを変化させたものであり、Step35で、図10に示す表示部55にサムネイル表示される。さらには、Step36で4枚連続撮影された画像信号を画像記録部12に記録して、撮影処理を終了する。
図10は、「感度アップモード」設定後連続撮影された4枚の撮影画像を表示部55に表示する表示例を示す図である。図10に示すように、表示部55には、異なる露出条件で複数毎連続撮影された撮影画像がサムネイル表示される。各サムネイル表示には、サムネイル表示番号1−4と、各ISO感度が表示される。
本実施の形態では、異なる露出条件で連続撮影された4枚の撮影画像について、自動的に4枚記録するようにしているが、撮影者等が任意の画像を選択して保存できる方法であってもよい。
このように、被写体の動き速度Vhが所定の値Aよりも大きい場合には、高感度の撮影感度に設定される。これにより露光時間を短くすることができ、速いシャッタースピードでの撮影が可能となるので、被写体ブレを防ぐことができる。
ここで、上記Step2の「シャッター半押し動作」の前に、撮影モードを「カメラブレ補正モード」にすることも可能である。撮影モードを「カメラブレ補正モード」にしておくと、シャッター半押し動作の際にもカメラブレ補正が行われる。被写体の動き検出する際には、カメラブレ補正を行っているため、手ブレの影響を少なくした状態によって、動き検出を行うことができるので、動き検出の精度を高めることができる。つまり、撮像センサ4での像の動きが、被写体の動きによるものであるか、撮影者等の像ブレによるカメラ本体の動きの影響であるのかどうかを区別できる。この場合には、上記Step9では、撮影モードが「カメラブレ補正モード」の継続となる。
以上のように、本実施の形態によれば、検出された被写体の光学像の動きに基づいて被写体速度を算出し、被写体速度が所定の閾値A以上か否かを判別し、被写体速度が閾値Aより小さい場合には、カメラブレ補正部16を制御してカメラブレ補正を動作させ、被写体速度が閾値A以上の場合には、デジタル信号ゲイン設定部111のゲインを高くしてISO感度をアップし、シャッター速度を速くして露出時間を短くするとともに、1回のシャッター操作により異なる露出条件で複数枚の画像を連続撮影する。複数の露出条件により連続撮影することで、被写体の動き速度が、撮影中に急激に変わることがあっても複数の露出条件で連続撮影した複数の画像のいずれかには良好な画質の画像が含まれる可能性が高くなる。一方、被写体速度が所定値より遅い場合には、カメラブレ補正機能を動作させることにより、カメラブレのない良好な画像を撮影することができる。その結果、撮影者は被写体の動きによらず、簡単に撮影することが可能となる。
具体的には、被写体の光学像の動きが速い場合には高感度の撮影感度に変更し、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影する。これにより被写体ブレによる画質劣化を防ぐことができる。また、被写体の光学像の動きが遅い場合にはカメラブレ補正部16を動作させるので、手ブレによる像ブレを防ぎ、画質劣化を軽減することができる。したがって、撮影者は被写体の動きによらず、簡単に撮影することが可能となる。
また、被写体の光学像の動きが速い場合には自動的に高感度の撮影感度に変更するので、撮影者等は被写体の動きを観察して被写体ブレが発生するか否かについて判断する必要がなく利便性が高い。
また、本実施の形態では、検出した被写体速度が閾値A以上の場合に高感度の撮影感度に変更する。これにより、被写体が被写体ブレを発生させない速度で動いているにもかかわらず、撮影者等が誤って高感度の撮影感度に設定することがない。
特に、本実施の形態では、「感度アップモード」に変更後のシャッター全押し動作時には、1回のシャッター操作により、複数の露出条件にて連続撮影を行うことにより、撮影者等は、複数の露出条件における撮影を1度に行うことができる。この場合、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を上げていくことにより、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていく際にも対応することができる。例えば、子供の撮影時など、被写体の動き速度がシャッター操作部を全押しした瞬間に急激に変わってしまった等の状況にも、連続撮影の際にシャッタースピードを上げて撮影することにより、十分に対応することが可能となる。このように、複数の露出条件により連続撮影し、記録しておくことで、被写体の動き速度が、撮影中に急激に変わることがあっても複数の露出条件で連続撮影した複数の画像のいずれかには良好な画質の画像が含まれる可能性が高く、被写体ブレのない画像が記録される。撮影者等は、異なる露出条件で4枚連続撮影されて画像が記録された画像記憶部12から、例えばサムネイル表示番号を選択して被写体ブレのない最良の画像を保存することができる。
ここで、「シャッター半押し動作」から「シャッター全押し動作」を経て撮影に至るまでに被写体の速度変化と撮影感度の関係について説明する。
図11は、被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sの関係を説明する図である。図11中、T1は半押し動作、T2は全押し動作、T3は撮影の各タイミングである。また、S1〜S4は撮影時の撮影感度、Aは所定の閾値である。被写体速度Vhが所定の閾値A以上か否かを判別し、被写体速度が閾値Aより小さい場合には、カメラブレ補正部16を、また被写体速度Vhが閾値A以上の場合には、ISO感度をアップ及びシャッター速度を速くする。
本実施の形態では、「シャッター半押し動作」と連動して、被写体の動きベクトル検出を開始する(図8のフローのStep4)。そして、「シャッター全押し動作」の直前まで(図8のフローのStep6,Step9)、一定期間毎に動きベクトル検出を行い、「シャッター全押し動作」時の被写体速度を、最終の被写体速度Vhとする。この場合、図11(1)は被写体に動きがない時、(2)は等速で移動している時、(3)は被写体が一定割合で加速している時、(4)は被写体が一定割合で減速している時であるとすると、1枚目の撮影時の被写体の速度変化と撮影感度の関係は以下のようになる。
(1)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、閾値Aより低く一定の場合
被写体速度Vhが所定の閾値Aより低いので、撮影感度アップは行わず、通常撮影モードの撮影感度S1とする。
(2)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、閾値Aより高く一定の場合
「シャッター全押し動作」時の被写体速度Vhに応じて、撮影感度アップし、ここでは撮影感度S2に設定する。
(3)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、所定の閾値Aを超え、徐々に速度が速くなる場合
徐々に被写体速度Vhが速くなるので、加速度を計算し、「シャッター全押し動作」時から実際の撮影時までのタイムラグの時間分のみ、速度が速くなる分を予測して感度を撮影感度S3(S2<S3)に設定する。また、このとき、2枚目以降の連続撮影において、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を上げていくことが好ましい。
(4)「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhが、所定の閾値Aを超え、徐々に遅くなる場合
上記(3)の場合とは逆に、被写体速度Vhが徐々に遅くなる場合には、速度が遅くなる分を予測して感度を撮影感度S4(S4<S2)に設定する。また、このとき、2枚目以降の連続撮影において、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を下げていくことが好ましい。
なお、連続撮影の例として、1秒間に4枚撮影を行う状況について説明したが、連続撮影枚数については、その他の枚数であってよいことは言うまでもない。例えば、1秒間に2枚連続撮影する際には、図8のフローにおいて、1枚目と3枚目に示す条件により撮影できるようにすればよい。
また、実施の形態4では、シャッター操作部を1回操作すると連続して複数枚の画像が撮影できる例について説明したが、シャッター操作部を操作している(押している)期間のみ、撮影可能なシステムとしてもよい。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
撮像装置を有する電子機器であればどのような装置にも適用できる。例えば、デジタルカメラ及びビデオカメラは勿論のこと、カメラ付き携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、撮像装置を備えるパソコン等の情報処理装置にも適用可能である。
上記各実施の形態では、被写体の動き速度Vhが閾値A以上の場合に、撮影感度を高感度に変更する例について説明したが、高感度の撮影感度に変更するとともに、カメラブレ補正機能を動作させてもよい。
また、異なる露出条件で複数連続撮影するものであればよく、高感度にて連続4枚撮影する前に、通常モードの撮影感度であるISO感度100相当にて撮影し、1回のシャッター操作により、通常撮影及び高感度撮影により合計5枚撮影するようにしてもよい。
また、カメラブレ補正モードにおいても、1回のシャッター操作により、複数の露出条件にて連続撮影を行うこととしてもよい。これにより、撮影者等は、複数の露出条件における撮影を1度に行うことができる。この場合、1枚目の撮影感度は、Step3にて設定した通常モードと同じISO感度となる。2枚目以降は、撮影ごとに撮影感度及びシャッター速度を上げていくことにより、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていく際にも対応することができる。例えば、子供の撮影時など、被写体の動き速度がシャッター操作部を全押しした瞬間に急激に変わってしまった等の状況にも、連続撮影の際にシャッタースピードを上げて撮影することにより、十分に対応することが可能となる。また、上述のように、「シャッター半押し動作」中の被写体速度Vhの変化に応じて撮影感度及びシャッター速度を変えるようにしてもよい。
また、図12に示すように、1回のシャッター操作により連写し、感度アップあり画像と、感度アップなし画像とを異なる撮影感度にて撮影することにより、撮影後すぐ、あるいは再生時に、簡単に2つのモードの撮影画像、画質を比較できるようにしてもよい。さらには、画像を自動的に、あるいは十字操作キー38などにて手動で拡大表示することにより、併せて4枚の撮影画像を表示部55に同時に表示させてもよい。
また、撮影感度については、撮影画質の劣化を抑えるために、上限を設定できるようにしてもよい。
また、セルフタイマーを用いた撮影時などでは、シャッター操作部36を全押しした後、撮影が開始されるまでの数秒前から、被写体の光学像の動きを検出できるようにしてもよい。なお、動きを検出している際には、被写体側から認識できるように、デジタルカメラ1に設けられたLEDなどにて、点滅させるようにすればなおさらよい。
また、異なる露出条件での連続撮影の例として、ISO感度200相当、シャッタースピード1/60秒に設定した場合について説明したが、これに限らず、被写体の動き速度Vhが前回の動き速度より、より速い場合には、ISO感度をさらに上げた状態で1枚目を撮影し、1枚ごとにISO感度を上げて連続撮影するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態における撮像光学系及びカメラブレ補正部の構成は、上記の構成に限られない。例えば、カメラブレ補正部は撮像センサを撮像光学系に対して光軸と直交する2方向に駆動させてもよい。また例えば、カメラブレ補正部は、レンズ鏡筒の被写体側前面に取り付けられたプリズムの角度を変えてもよいし、あるいはレンズ鏡筒全体を駆動してもよく、カメラブレによる像ブレの補正が可能であれば構成はこれらに限られない。
また、撮像センサ内での画像の切り出し位置を変えて補正する、あるいは同一の被写体を短いシャッタースピードにて複数枚撮影した後に1枚の画像に合成するなどの電子式のカメラブレ補正方式であってもよく、その方式が限定されるものではないことは明らかである。
また、上記各実施の形態では、被写体の動き速度は、動きベクトルを用いて算出したが、これに限らず、別途外部センサ等を用いて被写体の動き速度を検出してもよい。
また、上記各実施の形態では、シャッターを動作させることにより撮像センサへの露光時間を制御したが、これに限らず、電子シャッター等により撮像センサの露光時間を制御してもよい。
また、実施の形態に係るデジタルカメラは撮像光学系を備えたが、これに限られない。一眼レフレックスカメラシステムのように、撮像光学系を保持するレンズ鏡筒と、撮像センサを含むカメラ本体とが別々に組合わせて使用される撮像装置に対しても適用することができる。例えば、撮像光学系を保持するレンズ鏡筒と、カメラ本体とが別々に用意され、撮像者等が組合わせて使用されるシステム全般に適用できる。
また、本実施の形態では、撮像装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、撮影装置、デジタルカメラ及び撮像方法等であってもよいことは勿論である。
さらに、上記デジタルカメラを構成する各構成部、例えば撮像光学系の種類、その駆動部及び取付け方法など、さらには動き検出部の種類などは前述した実施の形態に限られない。
また、以上説明した撮像装置は、この撮像装置の撮影制御方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
本明細書は、2006年2月20日出願の特願2006−042379に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係る撮像装置及びレンズ鏡筒は、良好な画質の画像が要望されるデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、カメラ部を備えた携帯電話、PDA等に好適である。
本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図
図2Aは本実施の形態1に係る撮像装置の概略構成を示す上面図、図2Bは本実施の形態1に係る撮像装置の概略構成を示す背面図
本実施の形態1に係る撮像装置の動き検出部の構成の一例を示すブロック図
本実施の形態1に係る撮像装置のカメラブレ補正部に含まれるカメラブレ補正機構の構成を示す分解斜視図
本実施の形態1に係る撮像装置の表示部に表示された撮影モード選択画面の表示例を示す図
本実施の形態1に係る撮像装置の撮影処理を示すフロー図
本発明の実施の形態2に係る撮像装置の撮影処理を示すフロー図
本実施の形態4に係る撮像装置の撮影処理を示すフロー図
本実施の形態4に係る撮像装置の「カメラブレ補正モード」により撮影された撮影画像を表示部に表示する表示例を示す図
本実施の形態4に係る撮像装置の「撮影感度アップモード」設定後連続撮影された4枚の撮影画像を表示部に表示する表示例を示す図
本実施の形態4に係る撮像装置の被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sの関係を説明する図
本実施の形態4に係る撮像装置の「撮影感度アップモード」設定後感度アップあり撮影画像と感度アップなし撮影画像とを表示部に表示する表示例を示す図