JPWO2003056018A1 - ピログルタミルペプチダーゼおよびその遺伝子 - Google Patents

ピログルタミルペプチダーゼおよびその遺伝子 Download PDF

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Abstract

本発明により、アスペルギルス・オリゼに由来する新規なピログルタミルペプチダーゼをコードするDNA、該DNAを用いて製造されるピログルタミルペプチダーゼ、該ピログルタミルペプチダーゼを利用した、加水分解率の高い風味のすぐれたタンパク質分解物の製造方法が提供される。

Description

技術分野
本発明はタンパク質加水分解物の製造に用いられるピログルタミルペプチダーゼおよび該ピログルタミルペプチダーゼをコードするDNAに関する。
背景技術
糸状菌の中でも、特にアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae、黄麹菌)等を含む麹菌は、清酒、みそ、醤油、及び、みりん等を製造する、わが国における醸造産業において古くから利用され、直接に食されてきた菌類であり、米国のFDA(食品医薬局)によりGRAS(Generally Recognized as Safe)にリストアップされている安全な遺伝子源である。このように、糸状菌、特に麹菌は、安全性の点から極めて利用価値の高い遺伝子の宝庫と言える。
タンパク質加水分解物は、タンパク質を含む原料を酸で加水分解することにより製造できるが、タンパク質加水分解物を天然調味料として使用する観点から、酸分解型に加えて酵素分解型のタンパク質加水分解物の製造法が検討されている。酵素分解により製造されるタンパク質加水分解物としては、卵白を酵素分解したもの(特開昭48−68773)、脱脂大豆を酵素分解したもの(特開昭51−70852)、チーズホエーを原料として酵素分解したもの(特開昭62−151155)、コーングルテンミールを酵素分解したもの(特公平2−295437)などが報告されている。
しかし、タンパク質の性質とタンパク質分解に用いられる酵素によっては生成ペプチドに苦みがあり、官能的に好ましくない場合がある。そこで、加水分解の分解率が高く優れた官能特性を持つ加水分解物が求められている。分解率を向上する技術として、麹菌由来のグルタミナーゼなど各種酵素に関する技術(WO99/60104、特開2000−166547、特表2002−511746)が検討されている。醤油および味噌の醸造に見られるように、従来の麹菌培養物を用いた場合、タンパク質の加水分解は多大の労力と時間を要するにも拘わらず、アミノ酸遊離率も低く、特に大豆蛋白中に最も多量に含有され、かつ呈味性に重要なグルタミン酸の遊離率が低い。
ところで、タンパク質やペプチドにはN末端がL−ピログルタミン酸残基で保護されているものが多数存在している。また、タンパク質やペプチドが加水分解された際に、新しく生じたアミノ末端のグルタミンまたはグルタミン酸が非酵素的に閉環してピログルタミン酸残基が形成されることが多く、食品からも検出されている。これらの、N末端がL−ピログルタミン酸残基で保護されているタンパク質やペプチドはそのままではアミノペプチダーゼによる加水分解が進行しないため、該L−ピログルタミン酸残基を除去する操作が必要である。ピログルタミルペプチダーゼは、これらのタンパク質やペプチドのアミノ末端のL−ピログルタミン酸残基を特異的に遊離する酵素であり、種々の動物の脳、肺、血清や脳下垂体及び植物、微生物にも広く存在していることが知られている。タンパク質加水分解酵素を作用させて得たタンパク質加水分解物に、さらにピログルタミルペプチダーゼを作用させて、呈味性のすぐれたタンパク質加水分解物が製造されることが報告されている(特開平8−252075)。
微生物に由来するピログルタミルペプチダーゼとしては、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来の酵素〔J.Biochem.,84,467(1978)〕が知られており、この酵素については遺伝子が単離されて製造方法が報告されている(特開平5−137572)。また、耐熱性の高いピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来の酵素についても遺伝子が単離されている(特開平7−298881)。また納豆菌(Bacillus subtilis)由来の酵素が知られている(特開平8−252075)。しかしながら、糸状菌由来のピログルタミルペプチダーゼおよびその遺伝子については未だ単離されていない。また、タンパク質加水分解物の製造にタンパク質加水分解酵素源としての麹菌の培養物とともにピログルタミルペプチダーゼを使用する場合は、納豆菌等の麹菌以外の異種生物由来のピログルタミルペプチダーゼを使用することになるため、高価となり風味も劣ると考えられる。
発明の開示
従来の酵素分解型のタンパク質加水分解物と比較して、アミノ酸遊離率、とりわけグルタミン酸の遊離率が高いタンパク質加水分解物の製造に用いることのできる、糸状菌に由来する新規なピログルタミルペプチダーゼ、該ピログルタミルペプチダーゼの製造に利用できるピログルタミルペプチダーゼ遺伝子を提供する。
即ち、本発明は以下の各態様に示すポリペプチド、該ポリペプチドをコードするDNAに係るものである。本発明のポリペプチドおよびDNAのうち、米国のFDAによりGRASにリストアップされている微生物であるアスペルギルス・オリゼに由来するものは、安全性及び経済性の点から極めて利用価値の高いものである。
本発明は、以下の(1)〜(23)を提供する。
(1)以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのポリペプチド。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなり、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチド
(c)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチド。
配列番号2で示されるアミノ酸配列は、アスペルギルス・オリゼのピログルタミルペプチダーゼのアミノ酸配列である。
配列番号2で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列番号2で示されるアミノ酸配列と全アミノ酸配列にわたってアラインメントして比較した場合に、全体の平均で約30%以上、好ましくは約50%以上、更に好ましくは約80%以上、特に好ましくは約90%以上のアミノ酸が同一であるようなアミノ酸配列を意味する。
配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列とは、好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列、或いはそれらを組み合わせたアミノ酸配列からなるものを意味する。
ポリペプチドのピログルタミルペプチダーゼ活性は、以下のようにして測定できる。5mmol/lのピログルタミン酸−パラニトロアニリドを含む50mmol/lリン酸緩衝液(pH7.5)を基質溶液として調製する。ポリペプチドを含むサンプル溶液を調製し、基質溶液100μlに対し20μlのサンプル溶液を加えて、37℃で10分間反応させた後、分光光度計により405nmの吸光度を測定する。パラニトロアニリンのモル吸光係数(10500)より、反応時間1分あたりのパラニトロアニリンの遊離量を計算し、37℃で1分間に1μモルのパラニトロアニリンを遊離する活性を1単位とする。
上記の配列番号2で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなるポリペプチド、または配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチドは、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、およびPCR法等の当業者に周知の方法を適宜組み合わせて、容易に作成することが可能である。
なお、その際に、実質的に同等の機能を有するためには、当該ポリペプチドを構成するアミノ酸のうち、同族アミノ酸(極性・非極性アミノ酸、疎水性・親水性アミノ酸、陽性・陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸など)同士の置換が可能性として考えられる。また、実質的に同等の機能の維持のためには、本発明の各ポリペプチドに含まれる機能ドメイン内のアミノ酸は保持されることが望ましい。
配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドの例として、配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末に41アミノ酸が付加したアミノ酸配列である配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをあげることができる。
(2)(1)に記載のポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNA。
(3)以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのDNA。
(a)配列番号1で示される塩基配列を含むDNA
(b)配列番号5で示される塩基配列を含むDNA
(c)配列番号1または5で示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNA
(2)および(3)のDNAはピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする領域としての機能を有するものである。これらのDNAがコードするアミノ酸配列の一例は、配列番号2で示される。配列番号2で示されるアミノ酸配列は、アスペルギルス・オリゼRIB 40株(FERM P−18273(FERM BP−7935に移管))のゲノム塩基配列に基づき、遺伝子領域(遺伝子の場所)を特定する為の様々な情報(ORF、エキソン/イントロン領域、及び、発現配列タグ(EST)等)に基づき決定されたものである。配列番号1で示される塩基配列は、アスペルギルス・オリゼRIB 40株のピログルタミルペプチダーゼ遺伝子、そのプロモーター領域を含むゲノムDNAの塩基配列である。配列番号5で示される塩基配列は、配列番号1の塩基配列から、5’および3’の非翻訳領域およびイントロンを除いた塩基配列であり、アスペルギルス・オリゼRIB 40株のピログルタミルペプチダーゼcDNAのピログルタミルペプチダーゼをコードする領域の塩基配列と一致する。
本明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、各塩基配列間の相同性の程度が、例えば、全体の平均で約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上であるような、高い相同性を有する塩基配列間のみで、特異的にハイブリッドが形成されるような条件を意味する。具体的には、例えば、温度60℃〜68℃において、ナトリウム濃度150〜900mnol/l、好ましくは600〜900mmol/l、pH6〜8であるような条件をあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987)に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。配列番号1または5で示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNAには、例えば、アスペルギルス・オリゼ以外の糸状菌に由来するピログルタミルペプチダーゼをコードするゲノムDNA、cDNA等が含まれる。
(4)以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのDNA。
(a)配列番号3で示される塩基配列を含むDNA
(b)配列番号3で示される塩基配列の100塩基以上の長さの部分配列を含み、プロモーターとして機能するDNA
(c)配列番号3で示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、プロモーターとして機能するDNA
これらのDNAの配列は、糸状菌のゲノムDNAにおいて、本発明のポリペプチドをコードする領域、たとえば配列番号1で示される塩基配列1001〜1111番目の塩基配列の5’上流に位置するものである。
これらの中には、その3’下流領域にあるコード領域においてESTが現実に確認されている(発現条件:2%グルコースを含む完全液体培地による培養、2%マルトースを含む完全液体培地による培養、炭素源を含まない合成液体培地による培養、2%グルコースを含む完全液体培地を用いた高温(37℃、他は特に指示のない限り30℃)での培養、固体培養(小麦ふすま)での培養、2%グルコースを含むアルカリ性(pH10)合成培地での培養、ポテトデキストロース寒天培地上で28℃で胞子を8日間培養した発芽直後の培養、あるいは、大豆・小麦混合培地で34時間培養後25℃で3時間の固体培養のいずれか)ことから明らかなように、プロモーター領域(コアプロモーター又は基本プロモーター、及び上流プロモーター要素等の、各種ポリメラーゼ、基本転写因子又は転写因子と相互作用する配列)を含むものがある。
従って、このようなプロモーター領域を含み得る部分配列としては、例えば、上記各配列の3’側から、好ましくは200塩基対以上、より好ましくは500塩基対以上、更に好ましくは800塩基対以上、特に好ましくは900塩基対以上のものが適当である。あるいは、上記各配列中の適当な中間部分において上記の長さの塩基対を有する部分配列をあげることができる。
DNAがプロモーターとして機能するかどうかは、例えば以下のような方法で確認できる。レポーターとなるポリペプチドをコードするDNAの上流に、試験するDNAをつなげたDNAを調製して、アスペルギルス・オリゼのアセトアミダーゼ遺伝子または硝酸還元酵素遺伝子等の形質転換マーカー遺伝子を有する適当なベクター〔J.Ferment.Bioeng.,74,389(1992)、Mol.Gen.Genet.,218,99−104(1989)〕に挿入し、組換えベクターを作製する。得られた組換えベクターを用いて、文献〔J.Ferment.Bioeng.,74,389(1992)、Mol.Gen.Genet.,218,99−104(1989)〕に記載の方法でアスペルギルス・オリゼを形質転換し、形質転換体において、レポーターとなるポリペプチドを測定する。該ポリペプチドが検出された場合は、レポーターとなるポリペプチドをコードするDNAの上流につなげたDNAがプロモーターとして機能することが確認される。レポーターとなるポリペプチドとしては、Escherichia coliのβ−グルクロニダーゼ、グリーン蛍光蛋白質、Escherichia coliのβ−ガラクトシダーゼ等をあげることができる。形質転換体またはその培養上清におけるβ−グルクロニダーゼ、グリーン蛍光蛋白質、β−ガラクトシダーゼは文献〔Appl.Environ.Microbiol.61,2482(1995)、Eur.J.Biochem.266,252(1999)、Mol.Microbiol.,211(1993)〕に記載の方法で検出することができる。
(4)のDNAは、さらに、例えば、外来遺伝子等を挿入して発現させるための領域としての有用性を有する。
(5)以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのDNA。
(a)配列番号4で示される塩基配列と相補的な塩基配列を含むDNA
(b)配列番号4で示される塩基配列と相補的な塩基配列の10塩基以上の長さの部分配列を含むDNA
(c)配列番号4で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
このDNAは、アスペルギルス・オリゼRIB 40株のゲノムDNAにおいては配列番号1で示される塩基配列の1902〜2201番目の塩基配列を有する3’非翻訳領域のDNAであり、特に配列番号1で示される塩基配列を有するピログルタミルペプチダーゼ遺伝子から転写されるmRNAとハイブリッドさせてそれらを検出する際のプローブとして使用することができる。該mRNAの、配列番号5で示される塩基配列に相当する、ピログルタミルペプチダーゼをコードする領域は、コードするポリペプチドの機能と関連して往々にして他のmRNAと相同性の高い配列を含むのに対して、この部分の塩基配列は、配列番号5と何ら関りのない任意性の高い配列からなる。したがって、(5)のDNAをプローブとして使用することによって、細胞から抽出したRNAの集団の中から、ピログルタミルペプチダーゼのmRNAを極めて高い特性を持って分別検出および定量することが可能である。また、この領域内の配列を有するPCRのプライマーを作製することにより、PCRによっても分別検出および定量することが可能である。
そのようなプローブとして使用する本発明のDNA又はその部分配列の領域としては、上記配列の5’側から、好ましくは300塩基の範囲、より好ましくは200塩基対の範囲、特に好ましくは約100塩基対の範囲が適当である。又、部分配列の長さは、使用目的等に応じて、当業者が適宜選択することができるが、検出及び定量感度の点からは、上記各範囲において、一般的に長い程良い。
(6)DNAがゲノムDNAである、(2)〜(5)のいずれか1項に記載のDNA。
(7)(2)〜(6)のいずれか1項に記載のDNAの塩基配列または該塩基配列と相補的な塩基配列の、連続する15塩基以上の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
(8)(2)または(3)に記載のDNAを含有する組換え体DNA。
(9)(8)に記載の組換え体DNAを含む形質転換体。
(10)(1)に記載のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物中に該ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物から該ポリペプチドを採取することを特徴とする該ポリペプチドの製造方法。
(11)微生物が、(9)に記載の形質転換体である(10)に記載の製造方法。
(12)微生物が、糸状菌である(10)に記載の製造方法。
(13)糸状菌が、アスペルギウス属、ペニシリウム属、フミコーラ属、トリコデルマ属、ムコール属およびフザリウム属からなる群から選択される1つの属に属する糸状菌である(12)に記載の製造方法。
(14)アスペルギルス属に属する糸状菌が、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・パラシティクス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウス、アスペルギルス・フミガタスおよびアスペルギルス・ニジュランスからなる群から選択される1つの種に属する糸状菌である(13)に記載の製造方法。
(15)タンパク質を含む原料に、(1)に記載のポリペプチドおよびタンパク質加水分解酵素を添加して、タンパク質を分解することを特徴とするタンパク質加水分解物の製造方法。
(16)タンパク質を含む原料に、(1)に記載のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培地に培養して得られる、(1)に記載のポリペプチドを含む培養物または該培養物の処理物、およびタンパク質加水分解酵素を添加して、タンパク質を分解することを特徴とするタンパク質加水分解物の製造方法。
(17)微生物が、(9)に記載の形質転換体である(16)に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
(18)微生物が、糸状菌である(16)に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
(19)糸状菌が、アスペルギウス属、ペニシリウム属、フミコーラ属、トリコデルマ属、ムコール属およびフザリウム属からなる群から選択される1つの属に属する糸状菌である(18)に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
(20)アスペルギルス属に属する糸状菌が、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・パラシティクス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウス、アスペルギルス・フミガタスおよびアスペルギルス・ニジュランスからなる群から選択される1つの種に属する糸状菌である(19)に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
(21)(15)から(20)のいずれか1項に記載の方法により製造されるタンパク質加水分解物。
(22)(1)に記載のポリペプチドと特異的に結合する抗体。
(23)(22)に記載の抗体を用いて(1)に記載のポリペプチドを検出または定量する方法。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1)本発明のDNAの調製
本発明のDNAとしては、例えば配列番号1で示される塩基配列を含むDNAは、アスペルギルス・オリゼのゲノムを出発材料として用いて、例えば、実施例で記載したショットガン・クローニング法によって調製することができる。その際、断片化された各染色体DNAは、その長さ等に応じて、プラスミドベクターまたはファージ等の適当なクローニングベクターに連結し、これを用いてエレクトロポレーション法等の適当な方法によって大腸菌等の適当な宿主細胞を形質転換し、該断片化各染色体DNAをクローニングするための、クローンライブラリーを調製することができる。
さらに、化学分解法(マキサム−ギルバート法)及びジデオキシ法等の公知の方法に従って、かかるクローンライブラリーから得られる断片化各染色体DNAの塩基配列を決定することができる。
また、配列番号1または5で示される塩基配列または該塩基配列と相補的な塩基配列の、連続する15塩基以上の塩基配列を含むオリゴDNAをプライマーとして使用したPCRにより増幅して調製することもできる。例えば、配列番号8および9で示された塩基配列を有するオリゴDNAをプライマーセットとして用い、アスペルギルス・オリゼのcDNAをテンプレートとしてPCRを行うことにより、配列番号5で示される塩基配列を含むDNAを増幅し、単離することができる。
また、本発明のDNAの塩基配列の連続する15塩基以上の塩基配列を含むオリゴDNAおよび本発明のDNAの塩基配列と相補的な塩基配列の連続する15塩基以上の塩基配列を含むオリゴDNAをプライマーセットして、PCRを行うことにより、本発明のDNAの断片を増幅し、検出または単離することができる。プライマーは、増幅する領域を選択し、好ましくは、その領域の5’端15〜50塩基の配列を3’端に含むDNAおよび、この領域の3’端15〜50塩基の配列と相補的な配列を3’端に含むDNAを作製して用いる。テンプレートとしては、例えば微生物、好ましくは糸状菌の染色体DNAあるいはcDNAを用いることができる。糸状菌としては、好ましくは、アスペルギルス属、ペニシリウム(Penicillium)属、フミコーラ(Humicola)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ムコール(Mucor)属およびフザリウム(Fusarium)属から選択されるいずれか1つ属に属する微生物をあげることができ、特に好ましくは、アスペルギルス属に属する糸状菌をあげることができる。アスペルギウス属に属する糸状菌としては、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・パラシティクス(Aspergillus paraciticus)、アスペルギルス・ノミウス(Aspergillus nomius)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)があげられ、好ましくはフラビ節に属するものがあげられる。フラビ節に属するアスペルギルス属糸状菌としては、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・パラシティクス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウスがあげられる。このうち、例えばアスペルギウス・オリゼRIB 40株(ATCC番号:42149)は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東一丁目1−1 中央第6)に平成13年3月28日付けでFERM P−18273として寄託されており、さらに平成14年3月4日に国際寄託としてFERM BP−7935に移管されている。
配列番号3または4で示される塩基配列を含むDNAは、配列番号1で示される塩基配列を含むDNAの部分断片であり、アスペルギルス・オリゼのゲノムDNAをテンプレートとして、配列番号3または4で示される塩基配列に基づくプライマーセットを用いてPCRを行うことにより、増幅し、単離することができる。
PCRは当業者に周知の条件及び手段を用いて、行うことができるが、PCRの反応条件としては、例えば、94℃で2分の反応の後、94℃で10秒、55℃で26秒、72℃で2分からなる反応サイクルを30サイクル行い、最後に72℃で5分反応させる条件、94℃で5分間の反応の後、94℃で2分、56℃で30秒、72℃で1分30秒からなる反応サイクルを30サイクル行う条件があげられる。なお、サーマルサイクラーとしては、Perkin Elmer社製9600、アステック社製プログラム・テンプ・コントロール・システムPC−700など一般のサーマルサイクラーを用いることができる。耐熱性DNAポリメラーゼとしては、Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)ExTaq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)などの一般の市販品を用い、反応液の組成はポリメラーゼに添付の説明書に従って実施することができる。
上記のDNAの増幅用プライマーセットに用いる各プライマーの塩基の長さに特に制限はなく、その使用目的等に応じて当業者が適宜選択することができるが、通常、15〜50塩基、好ましくは20〜30塩基の長さである。プライマーの数は、増幅の対象となるDNAが含まれる菌種の麹菌との近縁度及び混在度を考慮して最小限の数を決定することができるが、少なくとも1組(2本)、好ましくは2〜4組である。また、プライマーの設計に当っては、増幅する対象となる配列の長さ、特徴等を考慮する。オリゴDNAは当業者に周知の化学合成、例えば、アプライド・バイオシステムズ社製のDNA合成装置等を使用して調製することができる。
本発明のDNAの部分断片、あるいは本発明のDNAの塩基配列または本発明のDNAの塩基配列と相補的な塩基配列の連続する15塩基以上の塩基配列を含むオリゴDNAを放射性同位体、ジゴキシゲニン、ビオチン等で標識したものをプローブとして、ハイブリダイゼーションにより、本発明のDNA、本発明のポリペプチドをコードするmRNAを検出することができる。本発明のDNAの部分断片は、上記に記載したPCRにより調製することができ、オリゴDNAはプライマーに用いるオリゴDNAと同様に化学合成やDNA合成装置により調製できる。プローブの長さは、検出対象などに応じて当業者が適宜選択することができるが、通常、15〜3000塩基、好ましくは20〜1000塩基の長さである。
ハイブリダイゼーションは、例えば、電気泳動ゲルあるいはコロニーなどからDNAあるいはmRNAをニトロセルロースあるいはナイロンメンブレン上に転写し、真空中で80℃、2時間反応させるかあるいは紫外線照射処理することによって、DNAをメンブレン上に固定化する。この時、必要に応じて0.5mol/l NaOH、1.5mol/l NaClを含むアルカリ性溶液を用いた変性および0.5mol/l Tris−HCl(pH7.5)、3mol/l NaClの溶液を用いた中和を行う。このメンブレンを50%フォルムアミド、4×SSC、50mM HEPES−NaOH(pH7.0)、10×Denhardt’s溶液、100μg/mlサケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液で、42℃、2時間プレハイブリを行った後、上記プローブを添加した同ハイブリダーゼーション溶液で、42℃、一昼夜ハイブリダイゼーションを行う。このメンブレンを、0.1%SDSを含む2×SSC溶液で室温、2分間で3回洗浄した後、0.1%SDSを含む0.1×SSC溶液中で50℃、2時間で3回洗浄する。洗浄後のメンブレンは風乾した後、−70℃で2時間から一昼夜、X線フィルムに露光させ、現像して可視化する。また、基板上にオリゴDNAまたはDNA断片を固定化し、標識したmRNAあるいはDNAとハイブリダイズさせた後、ドットとして検出するDNAチップ〔Genome Res.,,639(1996)〕によっても本発明のDNAまたは本発明のポリペプチドをコードするmRNAを検出することができる。
(2)本発明のポリペプチドの製造
本発明のポリペプチドは、例えば以下の方法により、本発明のポリペプチドをコードするDNAを含む組換え体DNAを宿主細胞に導入した形質転換体を作製し、該形質転換体を培養することにより、製造することができる。具体的な遺伝子操作的手法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory(2001)やCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987)等に記載された方法等を用いることができる。
(1)で得られた本発明のDNAから、本発明のポリペプチドをコードする部分を含む適当な長さのDNAを調製する。また、必要に応じて、本発明のポリペプチドをコードする部分の塩基配列を、宿主細胞の発現に最適なコドンとなるように塩基を置換したDNAを調製する。
該DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターを作製する。
該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入する。
宿主細胞としては、細菌、酵母、糸状菌、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組込が可能で、本発明のポリペプチドをコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、本発明のポリペプチドをコードするDNAを含有してなる組換えベクターは原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明のポリペプチドをコードするDNAおよび転写終結配列が連結された構造を含むベクターであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、例えば、pGEMEX−1(プロメガ社製)、pQE−30(キアゲン社製)、pKYP200〔Agric.Biol.Chem.,48,669(1984)〕、pLSA1〔Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)〕、pGEL1〔Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,82,,4306(1985)〕、pTrS30〔Escherichia coli JM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製〕、pGEX−5X−3(アマシャム・バイオサイエンス社製)、pET14(ノバジェン社製)、pPROTet.E(クロンテック社製)pRSET C(インビトロジェン社製)等をあげることができる。
プロモーターとしては、宿主細胞中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーター、T7プロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーターをあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、letIプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
本発明の組換えベクターにおいては、本発明のDNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、シュードモナス属等に属する微生物、例えば、Escherichia coli XL1−Blue、Escherichia coli XL2−Blue、Escherichia coli BL21、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli GI698、Escherichia coli TB1、Serratia ficariaSerratia fonticolaSerratia liquefaciensSerratia marcescensBacillus subtilisBacillus amyloliquefacinesBrevibacterium ammoniagenesBrevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticum ATCC14066、Brevibacterium flavum ATCC14067、Brevibacterium lactofermentum ATCC13869、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、Pseudomonas putidaPseudomonas sp.D−0110等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)〕、プロトプラスト法(特開昭63−2483942)、またはGene,17,107(1982)やMolecular & General Genetics,168,111(1979)に記載の方法等をあげることができる。
酵母を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、YEP13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等をあげることができる。
プロモーターとしては、酵母菌株中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、ヘキソースキナーゼ等の解糖系の遺伝子のプロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモータ、ADHプロモーター、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックポリペプチドプロモーター、MFα1プロモーター、CUP1プロモーター等をあげることができる。
宿主細胞としては、Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Kluyveromyces属、Trichosporon属、Schwanniomyces属、Pichia属、Candida属等に属する微生物、例えば、Saccharomyces cerevisiaeSchizosaccharomyces pombeKluyveromyces lactisTrichosporon pullulansSchwanniomyces alluviusCandida utilis等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods Enzymol.,194,182(1990)〕、スフェロプラスト法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)〕、酢酸リチウム〔J.Bacteriology,153,163(1983)〕、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)に記載の方法等をあげることができる。
糸状菌を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えばpPTRI(白鶴酒造社製)、pPTRII(白鶴酒造社製)、pAUR316(宝酒造社製)等をあげることができる。
プロモーターとしては、糸状菌株中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えばamyBプロモーター、enoAプロモーター、gpdプロモーター、me10プロモーター等をあげることができる。
宿主細胞としてはAspergillus属、Penicillium属、Tricoderma属、Fusarium属、Humicola属、Mucor属等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては糸状菌にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、プロトプラスト法〔GENETICS of ASPERGILLUS NIDULANS:EMBO Practical Course Manual,8(1988)〕等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pEGFP−C2(クロンテック社製)、pAGE107(特開平3−22979;Cytotechnol.,,133 1990)、pAS3−3(特開平2−227075)、pCDM8〔Nature,329,840(1987)〕、pCMV−Tag1(ストラタジーン社製)、pcDNA3.1(+)(インビトロジェン社製)、pREP4(インビトロジェン社製)、pMSG(アマシャム・バイオサイエンス社製)、pAMo〔J.Biol.Chem.,268,22782(1993)〕等をあげることができる。
プロモーターとしては、動物細胞中で機能するものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等をあげることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、ヒトの細胞であるナマルバ(Namalwa)細胞、サルの細胞であるCOS細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、HBT5637(特開昭63−299)等をあげることができる。
動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Cytotechnology,,133(1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)〕、Virology,52,456(1973)等をあげることができる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987)、Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual,W.H.Freeman and Company(1992)、Bio/Technology,,47(1988)等に記載された方法によって、ポリペプチドを発現することができる。
即ち、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに該組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、ポリペプチドを発現させることができる。
該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBac4.5(ともにインビトロジェン社製)、pBacPAK9(クロンテック社製)等をあげることができる。
バキュロウイルスとしては、例えば、ヤガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)等を用いることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual,W.H.Freeman and Company(1992)〕、Trichoplusia niの卵巣細胞であるHigh5(インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)〕等をあげることができる。
植物細胞を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、Tiプラスミド、タバコモザイクウイルスベクター等をあげることができる。
プロモーターとしては、植物細胞中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーター等をあげることができる。
宿主細胞としては、タバコ、ジャガイモ、トマト、ニンジン、ダイズ、アブラナ、アルファルファ、イネ、コムギ、オオムギ等の植物細胞等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、植物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)(特開昭59−140885、特開昭60−70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許公報2606856号、特許公報2517813号)等をあげることができる。
以上のようにして得られる本発明の形質転換体を培地に培養し、培養物中に本発明のポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物から採取することにより、本発明のポリペプチドを製造することができる。
本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
本発明の形質転換体が大腸菌等の原核生物あるいは酵母、糸状菌等の真核微生物を宿主として得られた形質転換体である場合、該形質転換体を培養する培地として、該形質転換体が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、該形質転換体が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、ならびに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、小麦蛋白質および小麦蛋白質加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消化物等を用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。
培養は、振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中のpHは3.0〜9.0に保持することが好ましい。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。
また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI 1640培地〔J.Am.Med.Assoc.,199,519(1967)〕、EagleのMEM(Mimimum Essential Medium)〔Science,122,501(1952)〕、Dalbecco改変Eagle培地〔Virology,,396(1959)〕、199培地〔Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,73,1(1950)〕またはこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等を用いることができる。
培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、5%CO存在下等の条件下で1〜7日間行う。
また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているTNM−FH培地(ファーミンジェン社製)、Sf−900 II SFM培地(インビトロジェン社製)、ExCell400、ExCell405(いずれもJRHバイオサイエンス社製)、Graceの昆虫培地〔Nature,195,788(1962)〕等を用いることができる。
培養は、通常pH6〜7、25〜30℃等の条件下で、1〜5日間行う。
また、培養中必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
植物細胞を宿主として得られた形質転換体は、細胞として、または植物の細胞や器官に分化させて培養することができる。該形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているムラシゲ・アンド・スクーグ(MS)培地、ホワイト(White)培地、またはこれら培地にオーキシン、サイトカイニン等、植物ホルモンを添加した培地等を用いることができる。
培養は、通常pH5〜9、20〜40℃の条件下で3〜60日間行う。
また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ハイグロマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
上記のとおり、本発明のポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ組換え体ベクターを保有する微生物、動物細胞、あるいは植物細胞由来の形質転換体を、通常の培養方法に従って培養し、該ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物より該ポリペプチドを採取することにより、該ポリペプチドを製造することができる。
酵母、糸状菌、動物細胞、昆虫細胞または植物細胞により発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加されたポリペプチドを得ることができる。
本発明のポリペプチドの生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方法、あるいは宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、使用する宿主細胞や、生産させるポリペプチドの構造を変えることにより、該方法を選択することができる。
本発明のポリペプチドが宿主細胞内あるいは宿主細胞外膜上に生産される場合、ポールソンらの方法〔J.Biol.Chem.,264,17619(1989)〕、ロウらの方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,8227(1989)、Genes Develop.,,1288(1990)〕、または特開平5−336963、WO94/23021等に記載の方法を準用することにより、該ポリペプチドを宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
すなわち、遺伝子組換えの手法を用いて、本発明のポリペプチドの活性部位を含むポリペプチドの手前にシグナルペプチドを付加した形で発現させることにより、本発明のポリペプチドを宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
また、特開平2−227075に記載されている方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
また、公知の方法〔J.Biomol.NMR,,129(1998)、Science,242,1162(1988)、J.Biochem.,110,166(1991)〕に準じて、in vitro転写・翻訳系を用いて本発明のポリペプチドを生産することができる。すなわち、本発明のポリペプチドをコードするDNAをSP6、T7、T3等のプロモーターの下流につなげ、それぞれのプロモーター特異的なRNAポリメラーゼを反応させることにより大量の本発明のポリペプチドをコードするRNAをインビトロで合成した後、無細胞系の翻訳系例えばウサギ網状赤血球ライセートやコムギ胚芽抽出液を用いた翻訳系を利用して、本発明のポリペプチドを生産することができる。
本発明の形質転換体により製造されたポリペプチドを単離精製するためには、通常の酵素の単離精製法を用いることができる。例えば本発明のポリペプチドが、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化成社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。pRSET系ベクター(インビトロジェン社製)、pGEX系ベクター(アマシャム・バイオサイエンス社製)等、該ポリペプチドにタグをつけて発現させた場合、ニッケルレジン、グルタチオンセファロースなどの適当な担体を用いてアフィニティ精製することもできる。
また、該ポリペプチドが細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後、破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分としてポリペプチドの不溶体を回収する。回収したポリペプチドの不溶体をポリペプチド変性剤で可溶化する。該可溶化液を希釈または透析し、該可溶化液中のポリペプチド変性剤の濃度を下げることにより、該ポリペプチドを正常な立体構造に戻す。該操作の後、上記と同様の単離精製法により該ポリペプチドの精製標品を得ることができる。
本発明のポリペプチド、あるいは該ポリペプチドに糖鎖の付加されたポリペプチド等の誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清に該ポリペプチドあるいは該ポリペプチドの誘導体を回収することができる。即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法により処理することにより培養上清を取得し、該培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
このようにして取得される本発明のポリペプチドとして、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをあげることができる。
また、本発明のポリペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、アプライド・バイオシステムズ社、Advanced ChemTech社、島津製作所等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
また、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培養することによっても製造することができる。微生物としては、本発明のポリペプチドを生産する能力を有する微生物であれば、いかなる微生物を用いてもよく、好ましくは糸状菌、さらに好ましくはアスペルギウス属、ペニシリウム属、フミコーラ属、トリコデルマ属、ムコール属およびフザリウム属からなる群から選択される1つの属に属する糸状菌、さらに好ましくは、アスペルギルス属に属する糸状菌であるアスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・パラシティクス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウス、アスペルギルス・フミガタスおよびアスペルギルス・ニジュランスからなる群から選択される1つの種に属する糸状菌を用いることができる。さらに、本発明のポリペプチドを生産する能力を有する微生物は、野生株、形質転体、突然変異株等いずれであってもよいが、形質転換、突然変異処理等を行って、本発明のポリペプチドを生産する能力が増大した微生物が好ましい。なお、突然変異の処理方法としては、紫外線照射や、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジンなどの突然変異誘発剤による処理があげられる。微生物の培養およびポリペプチドの精製は、上記の微生物の形質転換体の培養およびポリペプチドの精製と同様に行なうことができる。
(3)タンパク質加水分解物の製造方法
タンパク質を含む原料に、本発明のピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドおよびタンパク質加水分解酵素を添加して混合し、通常20℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃にて24〜264時間、好ましくは48〜240時間反応させることにより、タンパク質加水分解物を製造することができる。また、タンパク質を含む原料に最初にタンパク質加水分解酵素を添加して混合し、通常20℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃にて、24〜264時間、好ましくは48〜240時間反応させてタンパク質の加水分解反応を行なった後、本発明のピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドを添加して混合し、さらに通常20℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃にて、5〜96時間、好ましくは12〜72時間反応させることによっても、製造することができる。後者の場合、本発明のピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドを添加する際にさらにタンパク質加水分解酵素を添加して反応させてもよい。反応時のpHは、本発明のピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドおよびタンパク質加水分解酵素が作用できるpHであればよいが、好ましくはpH5〜8に調整する。
この製造方法で用いる、ピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドとしては、上記(2)に記載した方法で精製したポリペプチドを用いることもできるし、ポリペプチドを精製せずに、上記(2)に記載した本発明のピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含有する組換え体DNAを含む上記の形質転換体、または本発明のピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培地に培養して得られる、本発明のピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドを含む培養物または該培養物の処理物を用いることもできる。
タンパク質加水分解酵素としては、フレーバーザイム(ノボノルディスク社製)、麹菌の培養物等を用いることができる。麹菌としては、醸造工業で用いられるものであれば、いかなる種類の麹菌でもよいが、例えば、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ等をあげることができる。本発明の製造方法に用いる原料に含まれるタンパク質は、特に限定されないが、グルダミン酸含量の高いものが好ましい。また、タンパク質を含む原料は、タンパク質を多く含むものであればよく、精製したタンパク質である必要はない。例えば、小麦グルテン、脱脂大豆、分離大豆タンパク質等があげられる。反応終了後、未反応の原料タンパク質、菌体などを除去後、必要に応じて濃縮、乾燥することにより加水分解率の高いタンパク質加水分解物を得ることができる。
(4)本発明のポリペプチドを特異的に認識する抗体の製造
(a)ポリクローナル抗体の調製
上記(2)に記載の方法により取得した本発明のポリペプチドの全長または部分断片の精製標品、あるいは本発明のポリペプチドの一部のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として用い、動物を免疫することにより、本発明のポリペプチドと特異的に結合するポリクローナル抗体を作製することができる。免疫する方法としては、動物の皮下、静脈内または腹腔内に抗原をそのまま投与してもよいが、抗原性の高いキャリアタンパク質を抗原に結合させて投与する、あるいは適当なアジュバントとともに抗原を投与することが好ましい。
抗原とするペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBOC法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法あるいは、アプライド・バイオシステムズ社、Advanced ChemTech社、島津製作所等のペプチド合成機を利用して化学合成することができる。
キャリアタンパク質としては、キーホール・リンペット・ヘモシアニン(Keyhole limpet hemocyanin)、ウシ血清アルブミン、ウシチログロブリン等があげられ、アジュバンドとしては、フロイントの完全アジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)、水酸化アルミニウムゲルと百日咳菌ワクチン等があげられる。
免疫動物としては、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスターなどの非ヒト哺乳動物があげられる。
抗原の投与は、1回目4の投与の後1〜2週間おきに3〜10回行う。各投与後、3〜7日目に眼底静脈叢より採血して血清を調製し、該血清が免疫に用いた抗原と反応することを酵素免疫測定法(ELISA)〔酵素免疫測定法(第3版)、医学書院(1987);Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)〕等で確認する。抗原の投与量は動物1匹に投与1回当たり50〜200μgが好ましい。
免疫に用いた抗原に対し、血清が充分な抗体価を示した動物より全血清を取得し、該血清を分離、精製することによりポリクローナル抗体を取得することができる。分離、精製する方法としては、遠心分離、40〜50%飽和硫酸アンモニウムによる塩析、カプリル酸沈殿〔Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1988)〕、またはDEAE−セファロースカラム、陰イオン交換カラム、プロテインAまたはGカラムあるいはゲル濾過カラム等を用いるクロマトグラフィー等を、単独または組み合わせて処理する方法があげられる。
(b)モノクローナル抗体の調製
(i)抗体産生細胞の調製
上記(a)において、免疫に用いた抗原に対し、その血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラットを抗体産生細胞の供給源として供する。
該抗体価を示したマウスまたはラットに抗原物質を最終投与した後3〜7日目に、脾臓を摘出する。該脾臓をMEM(Minimum Essential Medium)中で細断し、ピンセットでほぐし、1,200rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨てる。得られた沈殿画分の脾細胞をトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去した後、MEMで3回洗浄し、得られた脾細胞を抗体産生細胞として用いる。
(ii)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスまたはラットから取得した株化細胞を使用する。例えば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3−X63Ag8−U1〔Curr.Topics Microbiol.Immunol.,81,1(1978)、Eur.J.Immunol.,,511(1976)〕、SP2/0−Ag14〔Nature,276,269(1978)〕、P3−X63−Ag8653〔J.Immunol.,123,1548(1979)〕、P3−X63−Ag8〔Nature,256,495(1975)〕等を用いることができる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI 1640培地に1.5mmol/Lグルタミン、50μmol/L 2−メルカプトエタノール、10μg/mLゲンタマイシンおよび10%ウシ胎児血清を加えた培地(以下、正常培地という)に、さらに15μg/mL 8−アザグアニンを加えた培地〕で継代するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地で培養し、融合には該細胞を2×10個以上用いる。
(iii)ハイブリドーマの作製
(i)で取得した抗体産生細胞と(ii)で取得した骨髄腫細胞をMEMまたはPBS(1.83g/Lリン酸二ナトリウム、0.21g/Lリン酸一カリウム、7.65g/L NaCl,pH7.2)でよく洗浄し、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、1,200rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨てる。
得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、該細胞群に、攪拌しながら、37℃で、108抗体産生細胞あたり、ポリエチレングリコール−1000 2g、MEM 2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLを混合した溶液を0.2〜1mL添加し、更に1〜2分間毎にMEM1〜2mLを数回添加する。添加後、MEMを加えて全量が50mLになるように調製する。該調製液を900rpmで5分間遠心分離後、上清を捨てる。
得られた沈殿画分の細胞を、ゆるやかにほぐした後、メスピペットによる吸込み、吹出しでゆるやかにHAT培地〔正常培地に0.4mmol/Lヒポキサンチン、15μmol/Lチミジンおよび0.4μmol/Lアミノプテリンを加えた培地〕100mL中に懸濁する。該懸濁液を96穴培養用プレートに100μL/穴ずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で7〜14日間培養する。
培養後、培養上清の一部をとり、ELISAにより、培養上清中の本発明のポリペプチドに結合する抗体を検出することにより、本発明のポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを選択する。
ELISAの具体的例として、以下の方法をあげることができる。免疫の際、抗原に用いたポリペプチドまたはペプチドを適当なプレートにコートし、ハイブリドーマ培養上清もしくは後述の(iv)で得られる精製抗体を第一抗体として反応させ、さらに第二抗体としてホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ等の酵素で標識した抗マウスイムノグロブリン抗体(抗体産生細胞がラット由来の場合は抗ラットイムノグロブリン抗体)を反応させる。標識酵素により発色する基質を添加して反応を行ない、抗原と結合した第一抗体を検出する。
該ハイブリドーマを用いて、限界希釈法によりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認められたものを本発明のポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ株として選択する。
(iv)モノクローナル抗体の調製
プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)0.5mLを腹腔内投与し、2週間飼育した8〜10週令のマウスまたはヌードマウスに、(iii)で取得した本発明のポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞5〜20×10細胞/匹を腹腔内に注射する。10〜21日間でハイブリドーマは腹水癌化する。該腹水癌化したマウスから腹水を採取し、3,000rpmで5分間遠心分離して固形分を除去する。得られた上清より、ポリクローナル抗体の精製で用いた方法と同様の方法でモノクローナル抗体を精製、取得することができる。
抗体のサブクラスの決定は、マウスモノクローナル抗体タイピングキットまたはラットモノクローナル抗体タイピングキットを用いて行う。蛋白質量は、ローリー法あるいは280nmでの吸光度より算出する。
(5)本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を用いた本発明のポリペプチドの検出および定量法
(4)で得られる本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を用い、抗原抗体反応を行わせることにより、本発明のポリペプチドを免疫学的に検出および定量することができる。測定試料としては、細胞の抽出液や培養上清等が用いられる。
免疫学的に検出および定量する方法としては、蛍光抗体法、ELISA、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)、免疫組織染色法や免疫細胞染色法、イムノブロット法、ドットブロッティング法、免疫沈降法、サンドイッチELISA〔単クローン抗体実験マニュアル(講談社サイエンティフィック)(1987)、続生化学実験講座5,免疫生化学研究法(東京化学同人)(1986)〕等が挙げられる。
蛍光抗体法とは、測定試料に、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を反応させ、さらにフルオレシン・イソチオシアネート(FITC)などの蛍光物質で標識した該抗体と結合する抗体(例えば本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体がマウス抗体の場合は抗マウスIgG抗体あるいはその断片等)を反応させた後、蛍光色素をフローサイトメーターで測定することにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
ELISAとは、測定試料に、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を反応させ、さらにペルオキシダーゼ等の酵素で標識した該抗体と結合する抗体を反応させた後、標識した酵素により発色する基質を加えて反応させ、発色色素を分光光度計で測定することにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
RIAとは、測定試料に、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を反応させ、さらに放射性標識を施した該抗体と結合する抗体を反応させた後、シンチレーションカウンターなどで放射能量を測定することにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
免疫細胞染色法、免疫組織染色法とは、細胞や組織切片等の測定試料に、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの標識を施した該抗体と結合する抗体を反応させた後、顕微鏡を用いて観察することにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
イムノブロット(ウェスタンブロット)法とは、測定試料をSDS−PAGE〔Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)〕で分画した後、該ゲルをPVDF膜あるいはニトロセルロース膜にブロッティングし、該膜に本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの標識を施した該抗体と結合する抗体を反応させた後、標識物質に応じた反応を行うことにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
ドットブロッティング法とは、測定試料をニトロセルロース膜にブロッティングし、該膜に本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの標識を施した該抗体と結合する抗体を反応させた後、標識物質に応じた反応を行うことにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
免疫沈降法とは、測定試料を本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体と反応させた後、プロテインA−セファロース等イムノグロブリンに特異的な結合能を有する担体を加えて抗原抗体複合体を形成させ、分離することにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
サンドイッチELISAとは、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を吸着させたプレートに、測定試料を反応させた後、ペルオキシダーゼ等の酵素で標識した本発明のポリペプチドと特異的に結合し、上記抗体とは抗原認識部位が異なる抗体を反応させ、標識した酵素により発色する基質を加えて反応させ、発色色素を分光光度計で測定することにより本発明のポリペプチドを検出する方法である。
(2)に記載の方法で調製できる本発明のポリペプチドの精製標品の一定濃度の溶液を作製し、これを段階的に希釈したものを上記の検出方法で測定する。各濃度の標品の測定値から検量線を作成し、測定試料の測定値を比較することにより、本発明のポリペプチドの定量を行うことができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。なお、実施例における各種遺伝子操作は、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987)に記載されている方法に従った。
発明を実施するための最良の形態
実施例1 ホールゲノムショットガンライブラリーの作製方法
1.インサートDNAの調製
(1)染色体DNAの取得
糸状菌アスペルギルス・オリゼRIB 40株(ATCC番号:42149)の胞子をYPD培地(0.5%イーストエキス、1%ペプトン、2%グルコース)に植菌し、30℃で一晩振盪培養した。その後、飯村の方法〔Agric.Biol.Chem.,51,323(1987)〕に従ってゲノムDNAの抽出を行った。ゲノムDNAに混在しているミトコンドリアDNAをWatsonらの方法〔Methods Enzymol.,118,57(1986)〕に従って染色体DNAのみになるよう塩化セシウム超遠心による精製を行った。
(2)染色体DNAの断片化
取得した純粋な染色体DNAをランダムDNA断片化装置HydroShear(トミー精工)にかけ、染色体DNAを1〜2kb程度に断片化した。
(3)断片化したDNAの末端処理
断片化した染色体DNAをBAL31ヌクレアーゼ(宝酒造)で処理し、その後クレノー断片(宝酒造)処理を行い、末端を平滑化した。
(4)末端へのアダプターの付加
末端を平滑化した染色体DNA断片の両端に、5’末端をリン酸化した配列番号6および7で示される塩基配列からなるDNAをアダプターとして、T4 DNAリガーゼ(宝酒造)を用いて連結した。
2.ベクターへのインサートDNAの挿入と形質転換
pUC19を制限酵素SalI(宝酒造)により切断を行った後、チミジン残基をTaq DNAポリメラーゼ(ロシュ・ダイアグノスティクス)によりSalI切断部分に挿入した。このようにして作製したプラスミドをアルカリ・ホスファターゼ(宝酒造)処理により脱リン酸化しベクターとして利用した。ベクターと上記で作製した染色体DNA断片をT4 DNAリガーゼを用いて連結させ、大腸菌DH10B(Gibco)にエレクトロポレーション法により形質転換を行った。
3.塩基配列の決定
大腸菌形質転換体を2×YP培地で37℃、10時間培養し、集菌後、滅菌水中で99℃、10分間加熱処理した。この上澄を鋳型DNA水溶液として用い、98℃で20秒、68℃で2分の30サイクルのPCRによって、シークエンス用プライマーがアニールする部位を含む挿入断片全長を増幅した。得られたDNA断片は、サンガー法の鋳型として用い、M13ユニバーサルプライマーあるいはM13リバースプライマーと、Perkin Elmer社製PRISM Dye−Terminatorシークエンシングキットを用いて、キットに添付の説明書に従ってシークエンス反応を行った。シークエンス反応産物は、ゲルろ過法などを用いて未反応のDye−terminatorを除去した後、Perkin Elmer社製3700DNAシークエンサーを用いて、DNA断片の塩基配列を解読した。3700DNAシークエンサーによって出力された波形データは、Phred(Phil Green)で再解析し、ベクター及びアダプター配列を除去した後、SPS Phrap(Southwest Parallel Software社)を使用してアッセンブルし、アスペルギルス・オリゼRIB−40株のゲノムDNAの塩基配列のコンティグを構築した。
実施例2 遺伝子の特定
ゲノムDNAの塩基配列からの遺伝子の特定は、ゲノムDNAの塩基配列のコンティグに対し、すでに取得したESTの配列情報、既知のタンパク質アミノ酸配列データベースとの相同性情報を考慮しながら、浅井潔らによるアルゴリズム〔Pacific Symposium on Biocomputing,98,228(1998)〕に基づく遺伝子領域予測システムGeneDecoderと後藤修によるアルゴリズム〔Bioinformatics,16,190−202(2000)〕に基づく遺伝子領域予測システムALNを組み合わせて、以下の(1)〜(7)の方法により行なった。
(1)BLAST相同性遺伝子候補領域の抽出
ゲノムDNA塩基配列のコンティグから既知のタンパク質アミノ酸配列と高い相同性をもつ領域を抽出する。アミノ酸配列の相同性はKarlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,2264(1990)、Proc.Natl.Acad.Sei.USA,90,5873(1993)〕によって決定することができるが、このアルゴリズムに基づいて、BLASTXと呼ばれるプログラムが開発されており〔J.Mol.Biol.,215,403−410,(1990)〕、ゲノムDNA塩基配列がアミノ酸配列に翻訳された場合に相同性が高い領域を直接検索することができる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)。本手法では、ゲノムDNA塩基配列のコンティグを問い合わせ配列、SWISSPROTバージョン39〔Nucleic Acids Res.,28,45(2000)〕およびNRaaをデータベースとしてBLASTXの検索を行い、BLASTアルゴリズムにおける相同性の指標であるE−valueで10−30以下の値を持つ(E−valueは値が低いほど相同性が高いことを示す)領域を抽出する。これらの領域から、より相同性の高い部分を優先させるようにして抽出した、互いに重ならない遺伝子候補領域を、BLAST相同性遺伝子候補領域とした。
(2)ALN遺伝子候補領域の抽出
BLAST相同性遺伝子候補領域のうち、相同性の対象となるタンパク質のアミノ酸配列の全長の90%以上の領域に対して相同性をもつものを核として、コンティグ配列に対して遺伝子領域予測システムALNを適用して抽出した遺伝子候補領域を、ALN遺伝子候補領域とした。ALNは、相同性の対象となるタンパク質アミノ酸配列の全長を、コンティグに対して整列させながらスプライス部位を特定することにより、遺伝子領域を予測する。
(3)GD相同性遺伝子候補領域の抽出
BLAST相同性遺伝子候補領域のうち、相同性の対象となるタンパク質のアミノ酸配列の残基長の20%以上90%未満の領域に対して相同性を持つものを核として、コンティグ配列に対して遺伝子領域予測システムGeneDecoderを適用して抽出した遺伝子候補領域を、GD相同性遺伝子候補領域とした。GeneDecoderは、BLASTXの、E−valueと、タンパク質コード領域の指向性の指標である2連コドン統計量を統合し、さらにスプライス部位の位置依存1次マルコフモデルによるスコアを考慮して遺伝子領域を予測する。
(4)EST−GD遺伝子候補領域の抽出
コンティグ配列に対応したESTによって遺伝子発現が確認されている領域については、その付近のコンティグ配列にGeneDecoderを適用することにより、ESTの配列によって決定される遺伝子領域のみならず、遺伝子領域全体を予測して抽出した遺伝子候補領域を、EST−GD遺伝子候補領域とする。
(5)一般GD遺伝子候補領域の抽出
(1)から(4)までの遺伝子候補領域に含まれないコンティグ配列に対して、GeneDecoderを適用することにより、遺伝子領域を予測して抽出された遺伝子候補領域を、一般GD遺伝子候補領域とする。
(6)tRNA遺伝子候補領域の抽出
tRNA−scanを全コンティグに適用することにより、抽出されたtRNA遺伝子候補をtRNA遺伝子候補領域とする。
(7)遺伝子候補領域の統合
以下の手順により、(2)から(6)までの遺伝子候補領域を統合する。まず、(2)から(6)までの遺伝子候補領域のうち、ESTによって決定されるスプライス部位と矛盾した遺伝子領域を予測するものは取り除かれる。残った遺伝子候補領域を、互いに重なるものを取り除くことによって統合する。その際、tRNA遺伝子候補領域、ALN相同性遺伝子候補領域、GD相同性遺伝子候補領域、GD−EST遺伝子候補領域、一般GD遺伝子候補領域の順で優先させて統合する。この統合された遺伝子候補領域を、予測遺伝子のセットとする。配列番号1で示される塩基配列は、このようにして得られた予測遺伝子のうちの1つの塩基配列である。
以上の手順により、相同性の観点からは、既知タンパク質の全長にわたって相同性をもつ遺伝子、既知タンパク質と部分的に相同性をもつ遺伝子、既知タンパク質と相同性をもたない遺伝子がこの順に従った信頼性で特定されることが保証される。また、発現の確認の観点からは、ESTで発現が確認されている遺伝子、ESTで発現が確認されていない遺伝子の順に従った信頼性で特定され、また、すべての候補遺伝子がESTによって特定されるスプライス部位と矛盾しないことが保証される。
用いられた手法はすべて終始コドンをタンパク質コード領域中に含むことを許さないアルゴリズムを採用しており、偽遺伝子を遺伝子として予測する可能性は少ない。
機能決定に関しては、予測された遺伝子領域に対して、NraaをデータベースとするBLASTによる相同性検索を行い、機能を特定するために十分な相同性(E−valueで10−30)を閾値として機能を決定した。
さらにこの予測遺伝子の中から精度高くピログルタミルペプチダーゼを抽出するため、公知のピログルタミルペプチダーゼ遺伝子の塩基配列を問い合わせ配列、上記予測遺伝子セットをデータベースとしてBLASTXの検索を行った結果、ヒトのピログルタミルペプチダーゼI(GenBank登録番号:AJ278828)と、配列番号1で示される塩基配列からなる予測遺伝子が、E−value 6.1×10−5で相同性を有することを認めた。したがって、配列番号1で示される塩基配列からなるDNAは、アスペルギルス・オリゼ由来のピログルタミルペプチダーゼをコードしていると考えられた。また、配列番号1で示される塩基配列には1個所イントロンが存在し、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードしていると考えられた。配列番号1の塩基配列のうち、プロモーターとして機能する領域を含むと考えられる5’非翻訳領域の塩基配列を配列番号3に、3’非翻訳領域の塩基配列を配列番号4に、イントロンおよび非翻訳領域の配列を除いたコード領域の塩基配列を配列番号5に示した。
実施例3 アスペルギルス・オリゼのピログルタミルペプチダーゼcDNAのクローニング
(1)アスペルギルス・オリゼRIB 40株のcDNAの調製
アスペルギルス・オリゼRIB 40株を以下の条件で培養した。DPY培地(2%デキストリン、2%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%リン酸一カリウム、0.05%硫酸マグネシウム7水)60mlに、本菌株を接種し300mlのバッフル付きの三角フラスコで、30℃、2日間、150rpmで振とう培養した。培養物をろ過し得られた湿菌体1gを、液体窒素をいれた乳鉢に移し液体窒素で凍結後、乳棒で微細な粉末とした。
この粉末から、アールエヌイージー・ミディ・キット(RNeasy Midi Kit、キアゲン社製)を用いて全RNAを取得した。
取得した全RNAからオリゴテックス・dT30スーパー・mRNA精製キット(OligotexTM−dT30〈Super〉mRNA Purification Kit、宝酒造社製)に従い、0.6μg/mlのmRNA溶液を100μl取得した。この溶液に10μlの3mol/l酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)と250μlの99.5%エタノールを添加し、激しく攪拌後、−20℃で2時間静置した。12000rpmで20分間遠心分離後、沈殿を200μlの70%エタノールで洗った後、6μlのジエチルピロカーボネート処理水に溶解した。
回収したmRNAは、ゲートウェイ技術を用いたcDNA合成およびクローニング用スーパースクリプト・プラスミド・システム(SUPERSCRIPT Plasmid System with GATEWAYTM Technology for cDNA Synthesis and Cloning、インビトロジェン社製)を用いて第1鎖cDNAおよび第2鎖cDNAの合成を行ないPCRのテンプレートに供した。
(2)PCRによるアスペルギルス・オリゼのピログルタミルペプチダーゼcDNAのクローニングおよびピログルタミルペプチダーゼ発現用プラスミドの構築
配列番号1に示す塩基配列から設計した配列番号8および配列番号9に示す塩基配列からなるプライマーを設計し、合成した。
PCRは、上記のプライマー、テンプレートとしての(1)で調製したアスペルギルス・オリゼcDNA、およびプレミックスTaq(Premix Taq、宝酒造社製)を用いて、プログラム・テンプ・コントロール・システム(Program Temp Control System)PC−700(アステック社製)により行った。まず94℃で5分間加熱しテンプレートのDNAを変性させた後、94℃で2分、56℃で30秒、72℃で1分30秒の反応を30サイクル行った。反応液を0.8%アガロースゲルで電気泳動した結果、約850bpのDNA断片を検出した。
該DNA断片をジーンクリーン・キット(GENECLEAN Kit、Qバイオジーン社製)に従い精製した後、制限酵素PstIおよびEcoRIで切断し、同様にPstI、EcoRIで切断した原核生物発現用プラスミドベクターpRSET C(インビトロジェン社製)にライゲーションした。ライゲーションはライゲーション・キット・バージョン2(宝酒造社製)に従い行った。得られたプラスミド混液を用い、塩化カルシウム法〔J.Mol.Biol.,53,159(1970)〕によりEscherichia coli DH5α(宝酒造社製)を形質転換し、形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天平板培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)で選択した。
この培地上の生育株(形質転換体)を常法により液体培養し、常法によりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミドをPstIおよびEcoRIにより切断し、アガロースゲル電気泳動により挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpRSET Cの2.9kbpのDNA断片に加え、約850bpの挿入断片を検出した。該プラスミドをpPGPと名づけた。pPGPは、T7プロモーターの制御下で、配列番号10に示すアミノ酸配列を有する、アスペルギルス・オリゼのピログルタミルペプチダーゼのN末にポリヒスチジン・タグを含む41アミノ酸が付加したポリペプチドを発現するためのプラスミドである。
実施例4 大腸菌によるピログルタミルペプチダーゼの生産
実施例3(2)で構築したピログルタミルペプチダーゼ発現用プラスミドpPGPを用いてEscherichia coli BL21をカルシウム法〔J.Mol.Biol.,53,159(1970)〕により形質転換し、形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天平板培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)で選択した。
得られた形質転換体を60mlのLB液体培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)に接種し、25℃で対数域まで増殖後、終濃度1mmol/lとなるようイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(以下、IPTGと略す)を添加し、さらに25℃で3時間培養した。
培養後集菌し、菌体を1mlのリン酸緩衝液(50mmol/l NaHPO、0.5mol/l NaCl、pH8)に懸濁した後、超音波破砕し、遠心により不溶性画分を除去して粗タンパク質抽出液を得た。粗タンパク質抽出液は1mlの平衡化した50%濃度のNi−NTAレジン(インビトロジェン社製)と混合し4℃で30分間インキュベート後、カラムに導入した。Ni−NTAレジンを0.02mol/lイミダゾールを含むリン酸緩衝液8mlで2回洗浄後、0.25mol/lイミダゾールを含むリン酸緩衝液1mlで溶出することにより約35kDaのタンパク質を、SDS−PAGE上でほぼ単一のバンドとして精製した。また、プロテイン・アッセイ・キット(バイオラッド社製)により回収されたタンパク質量を求めたところ、91.8μgであった。
ピログルタミン酸−パラニトロアニリド(以下、PCA−pNAと略す)を基質としてピログルタミルペプチダーゼ活性の測定を行った。PCA−pNAを終濃度5mmol/lとなるよう50mmol/lリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し基質溶液とした。100μlの基質溶液に20μlの酵素液を加え、37℃で10分間反応させた後、405nmの吸光度を測定した。モル吸光係数10500よりパラニトロアニリンの遊離量を計算し、1単位(U)は37℃にて1分間に1μモルのパラニトロアニリンを遊離する量とした。上記方法にて精製タンパク質溶液の活性を測定した結果、6.6mU/mlの活性を有していた。一方、IPTGを添加しない菌体に対し同様の精製操作を行って得られた溶液の活性は50分の1以下となり、ピログルタミルペプチダーゼ活性はIPTGによる発現誘導に依存的であった。したがって、pPGPに挿入されたDNA断片は、ピログルタミルペプチダーゼをコードしており、ピログルタミルペプチダーゼの製造に用いることができること、配列番号10で示されるアミノ酸配列(配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末に41アミノ酸が付加したアミノ酸配列)からなるポリペプチドは、ピログルタミルペプチダーゼ活性を有することが確認された。
実施例5 ピログルタミルペプチダーゼ作用によるタンパク質加水分解物の製造 10%の小麦グルテン(プロミックGT、協和発酵工業社製)水溶液200mlにフレーバーザイム(ノボノルディスク社製)1.0gを添加して48℃にて3日間酵素分解を行い、ろ過後、90℃で加熱処理をし、タンパク質加水分解物を得た。
実施例4と同様にして、pPGPを導入したEscherichia coli BL21を培養し、精製タンパク質溶液を調製した。得られた0.5Uのピログルタミルペプチダーゼ活性を有する精製タンパク質溶液及び0.1gのフレーバーザイムを含む溶液を、孔径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過したタンパク質加水分解物20mlに加え、40℃にて2日間酵素分解を行った(試験区A)。上記分解物について、全窒素、遊離アミノ酸量、分解率を分析し、ピログルタミルペプチダーゼ活性を有さない溶液及びフレーバーザイムを添加した分解物(試験区B)と比較した結果を第1表に示す。
Figure 2003056018
上記結果から明らかなように本発明のピログルタミルペプチダーゼの添加により加水分解率の高いタンパク質分解物を得ることができる。
産業上の利用可能性
本発明により、アスペルギルス・オリゼに由来する新規なピログルタミルペプチダーゼをコードするDNA、該DNAを用いて製造されるピログルタミルペプチダーゼが提供される。該ピログルタミルペプチダーゼを利用することにより、加水分解率の高い風味のすぐれたタンパク質分解物を得ることができる。
「配列表フリーテキスト」
配列番号6−アダプター
配列番号7−アダプター
配列番号8−アスペルギルス・オリゼのピログルタミルペプチダーゼcDNA増幅用プライマー
配列番号9−アスペルギルス・オリゼのピログルタミルペプチダーゼcDNA増幅用プライマー
配列番号10−配列番号2のアミノ酸配列のN末にポリヒスチジンタグを含む41アミノ酸が付加したアミノ酸配列
【配列表】
Figure 2003056018
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Claims (23)

  1. 以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのポリペプチド。
    (a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
    (b)配列番号2で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなり、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチド
    (c)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNA。
  3. 以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのDNA。
    (a)配列番号1で示される塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号5で示される塩基配列を含むDNA
    (c)配列番号1または5で示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつピログルタミルペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNA
  4. 以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのDNA。
    (a)配列番号3で示される塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号3で示される塩基配列の100塩基以上の長さの部分配列を含み、プロモーターとして機能するDNA
    (c)配列番号3で示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、プロモーターとして機能するDNA
  5. 以下の(a)から(c)のうちのいずれか1つのDNA。
    (a)配列番号4で示される塩基配列と相補的な塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号4で示される塩基配列と相補的な塩基配列の15塩基以上の長さの部分配列を含むDNA
    (c)配列番号4で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
  6. DNAがゲノムDNAである、請求項2〜5のいずれか1項に記載のDNA。
  7. 請求項2〜6のいずれか1項に記載のDNAの塩基配列または該塩基配列と相補的な塩基配列の、連続する15塩基以上の塩基配列を含むオリゴDNA。
  8. 請求項2または3に記載のDNAを含有する組換え体DNA。
  9. 請求項8に記載の組換え体DNAを含む形質転換体。
  10. 請求項1に記載のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物中に該ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物から該ポリペプチドを採取することを特徴とする該ポリペプチドの製造方法。
  11. 微生物が、請求項9に記載の形質転換体である請求項10に記載の製造方法。
  12. 微生物が、糸状菌である請求項10に記載の製造方法。
  13. 糸状菌が、アスペルギウス属、ペニシリウム属、フミコーラ属、トリコデルマ属、ムコール属およびフザリウム属からなる群から選択される1つの属に属する糸状菌である請求項12に記載の製造方法。
  14. アスペルギルス属に属する糸状菌が、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・パラシティクス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウス、アスペルギルス・フミガタスおよびアスペルギルス・ニジュランスからなる群から選択される1つの種に属する糸状菌である請求項13に記載の製造方法。
  15. タンパク質を含む原料に、請求項1に記載のポリペプチドおよびタンパク質加水分解酵素を添加して、タンパク質を分解することを特徴とするタンパク質加水分解物の製造方法。
  16. タンパク質を含む原料に、請求項1に記載のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培地に培養して得られる、請求項1に記載のポリペプチドを含む培養物または該培養物の処理物、およびタンパク質加水分解酵素を添加して、タンパク質を分解することを特徴とするタンパク質加水分解物の製造方法。
  17. 微生物が、請求項9に記載の形質転換体である請求項16に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
  18. 微生物が、糸状菌である請求項16に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
  19. 糸状菌が、アスペルギウス属、ペニシリウム属、フミコーラ属、トリコデルマ属、ムコール属およびフザリウム属からなる群から選択される1つの属に属する糸状菌である請求項18に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
  20. アスペルギルス属に属する糸状菌が、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・パラシティクス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウス、アスペルギルス・フミガタスおよびアスペルギルス・ニジュランスからなる群から選択される1つの種に属する糸状菌である請求項19に記載のタンパク質加水分解物の製造方法。
  21. 請求項15から〜20のいずれか1項に記載の方法により製造されるタンパク質加水分解物。
  22. 請求項1に記載のポリペプチドと特異的に結合する抗体。
  23. 請求項22に記載の抗体を用いて請求項1に記載のポリペプチドを検出または定量する方法。
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