JPH09235300A - ヒトtimp−3及び抗ヒトtimp−3モノクローナル抗体並びにその用途 - Google Patents

ヒトtimp−3及び抗ヒトtimp−3モノクローナル抗体並びにその用途

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JPH09235300A
JPH09235300A JP8067484A JP6748496A JPH09235300A JP H09235300 A JPH09235300 A JP H09235300A JP 8067484 A JP8067484 A JP 8067484A JP 6748496 A JP6748496 A JP 6748496A JP H09235300 A JPH09235300 A JP H09235300A
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timp
human timp
human
amino acid
monoclonal antibody
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JP8067484A
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Inventor
Takanori Aoki
隆則 青木
Tamiaki Suu
黎明 鄒
Tomomi Kunisawa
智巳 国沢
Shinichi Yoshida
真一 吉田
Kazushi Iwata
和士 岩田
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Fuji Yakuhin Kogyo KK
Original Assignee
Fuji Yakuhin Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TIMP−3をタンパク質レベルで特異的か
つ高感度に検出、定量できる簡便で、再現性、定量性に
優れた方法及び正常組織から安価、大量に可溶性組換え
及び天然型ヒトTIMP−3を提供する。 【解決手段】 ヒトTIMP−3またはヒトTIMP−
3と実質的に同一の活性を有するタンパク質あるいはそ
の塩、該タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含
有するベクター、該ベクターを含有する形質転換体、該
タンパク質の製造及び精製方法、TIMP−3に特異的
に免疫反応するモノクローナル抗体、該モノクローナル
抗体の製造方法、並びにそれらの用途。特に可溶性タン
パク質として組換えタンパク質を得ることが可能とな
り、さらにヒトTIMP−3の選択的な検出及び定量、
更には精製が該モノクローナル抗体により可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なヒトTIM
P−3またはヒトTIMP−3と実質的に同一の活性を
有するタンパク質あるいはその塩、該タンパク質をコー
ドする遺伝子、該遺伝子を含有するベクター、該ベクタ
ーを含有する形質転換体、該タンパク質の製造方法、T
IMP−3に特異的に免疫反応するモノクローナル抗
体、該モノクローナル抗体の製造方法、並びにそれらの
用途に関する。また、本発明は、TIMP−3に特異的
に免疫反応するモノクローナル抗体を用いての、ヒトT
IMP−3の免疫学的測定方法、該測定のための試薬及
びヒトTIMP−3の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1.TIMPsについて TIMPsは、ECM(Extra cellular
matrix)代謝制御に関与するMMPs(Mat
rix metalloproteinases)の活
性化阻害剤あるいは活性阻害剤としての機能を持つ分泌
性のタンパク質である。これらのTIMPsは、互いに
遺伝子およびアミノ酸配列に相同性を持つファミリーを
形成しており、これまでに糖鎖修飾を受けた分子量28
kDaのTIMP−1(Docherty et al., Nature, 31
8, 66-69 (1985))、糖鎖修飾のない分子量22kDa
のTIMP−2(Stetler-Stevenson et al., J.Biol.C
hem., 264, 17374-17378 (1989) )が知られている。
【0003】2.TIMP−3発見の経緯 ラウス・ザルコーマ・ウイルス(Rous sarco
ma virus)感染によるニワトリ胎仔線維芽細胞
の形質転換に伴ってニワトリ胎仔線維芽細胞が発現する
ECM結合性で不溶性のタンパク質(分子量21kD
a)の存在が知られていた(Blenis et al., Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA, 80,770-774(1983), Blenis et al.,
J.Biol.Chem., 259, 11563-11570 (1984) )。この分子
量21kDaのタンパク質のN末端側のアミノ酸配列に
TIMP−1、TIMP−2と相同性が認められ、さら
にMMPsの阻害活性が確認された(Staukus et al.,
J.Biol.Chem., 266, 449-454(1991)) 。このニワトリ由
来の21kDaタンパク質の遺伝子がクローニングさ
れ、遺伝子上でTIMP−1、TIMP−2と相同性が
みいだされ「ChIMP−3」と命名された(Pavloff
et al., J.Biol.Chem., 267, 17321-17326(1992))。ま
た、ChIMP−3の遺伝子と相同性を持つTIMP−
1、TIMP−2以外の遺伝子がマウス(Leco et al.,
J.Biol.Chem., 269, 9352-9369 (1994), Apte et al.,
Develop.Dynam., 200, 177-197 (1994))、およびヒト
(Apte et al., Genomics, 19, 86-90.(1994), Kishnan
i et al., Matrix Biol., 14, 479-488.(1994), Wilde
et al., DNA Cell Biol., 13, 711-718.(1994), Uria e
t al., Cancer Res., 54, 2092-2094.(1994), Silbiger
et al., Gene, 141, 293-297.(1994), Wick et al.,
J. Biol. Chem., 269, 18953-18960.(1994))から相次
いでクローニングされTIMP−3と呼ばれるに至っ
た。
【0004】3.ChIMP−3に関する知見 ChIMP−3はニワトリ胎仔線維芽細胞のECM成分
中に存在する21kDaの糖鎖修飾を受けていないタン
パク質で、リバース・ザイモグラフィーあるいはプロテ
アーゼ/サブストレート・ゲル電気泳動と呼ばれるMM
P阻害活性に基づく分析方法で検出された。ChIMP
−3はニワトリ胎仔線維芽細胞の培養上清には現れない
ことから不溶性とされている(Pavloff et al., J.Bio
l.Chem.,267, 17321-17326(1992))。ChIMP−3の
生理活性として、MMPs阻害活性の他にマウス肉腫ウ
イルスによって形質転換された細胞がECMから離脱す
るのを促進したり、その形態変化を引き起こすという活
性、あるいは、低血清下で増殖が抑制されている線維芽
細胞の増殖を促進するという活性などが報告されている
(Yang et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 89, 1067
6-10680 (1992))。
【0005】4.マウスTIMP−3に関する知見 マウスの各組織におけるTIMP−3の発現の様子がそ
れぞれの組織のmRNAについてノーザン・ブロッティ
ングで分析され、胸腺、心臓、肺、卵巣、子宮、腎臓、
筋肉、脳、骨で発現が認められた(Leco et al., J.Bio
l.Chem., 269,9352-9369 (1994))との報告がある。別
の報告では、心臓、脳、脾臓、肺、腎臓、筋肉、睾丸で
発現が認められ、特に腎臓と肺で高く、肝臓と骨格筋で
発現は見られなかった(Apte et al., Develop.Dynam.,
200, 177-197 (1994))とされている。また、マウス胎
児、新生児の各組織におけるTIMP−3の発現の様子
がmRNAのin situ ハイブリダイゼーション
で分析され、発生の一時期に心筋、骨格筋、上皮、軟
骨、胎盤栄養膜などで発現することが示された(Apte e
tal., Develop.Dynam., 200, 177-197 (1994))。ま
た、着床した受精胚の近傍の母系細胞でも発現が見られ
たと報告されている(Reponen et al., Develop.Dyna
m., 202, 388-396 (1995))。タンパク質レベルの知見と
して、以下の報告がなされている。マウスからクローニ
ングされたTIMP−3遺伝子を導入したCOS−1細
胞のECM画分に24kDaと27kDaのタンパク質
の発現がリバースザイモグラフィーあるいはプロテアー
ゼ/サブストレートゲル電気泳動で確認され、うち24
kDaのものが、TIMP−3と同定された。この組換
えマウスTIMP−3はChIMP−3と同様にECM
に局在し、COS−1細胞の培養上清からは見い出され
ていない。また、マウスC3H10T1/2線維芽細胞
の発現するTIMP−3もまたECMに局在し、培養上
清には存在していなかった。ChIMP−3に対するラ
ビット由来ポリクローナル抗体によるウエスタン・ブロ
ッティングでマウスC3H10T1/2線維芽細胞のE
CMに極在する23−24kDaのタンパク質が、TI
MP−3と同定された(Leco et al., J.Biol.Chem., 2
69, 9352-9369 (1994))。一方、マウスTIMP−3を
コードする遺伝子によって可溶性組換えTIMP−3の
発現が検討された(Apte et al., J.Biol.Chem., 270,
14313-14318 (1995))。マウスTIMP−3遺伝子はE
CMを作らないNSOマウスミエローマ細胞に導入さ
れ、形質転換細胞は27kDaの糖鎖修飾をうけたTI
MP−3を培養上清に蓄積した。マウスTIMP−3は
リバースザイモグラフィーあるいはプロテアーゼ/サブ
ストレート・ゲル電気泳動で検出された。
【0006】5.ヒトTIMP−3に関する知見 ヒト組織におけるTIMP−3の発現の様子がそれぞれ
の組織から調製したmRNAについてのノーザン・ブロ
ッティングで分析されている。たとえば胎盤で高く、心
臓、腎臓、肺、肝臓、すい臓、骨格筋で中程度の、脳で
はわずかな発現が確認されたもの(Apte et al., Genom
ics, 19, 86-90.(1994) )、肝臓と卵巣で発現がなく、
胎盤、子宮および乳癌で発現が確認されたもの(Uria e
t al., Cancer Res., 54, 2092-2094.(1994))、成人の
脾臓、前立腺、卵巣、小腸、心臓、胎盤、肺、腎臓で高
く、結腸、末梢血白血球(periherial blood leukocyt
e)、脳、肝臓、膵臓で低く発現、胎児の組織では心臓、
肝臓で特徴的に高かった(Wilde et al., DNA Cell Bio
l., 13, 711-718.(1994))とするものなどが報告されて
いる。ヒト組織におけるTIMP−3の発現の様子をm
RNAのin situ ハイブリダイゼーションで分
析したものとして、乳癌組織では癌細胞に近接した線維
芽細胞に、そして胎盤の子宮内膜脱落細胞に強い発現が
見られたとの報告がある(Byrne et al., Mol.Med., 1,
418-427. (1995))。ヒト培養細胞におけるTIMP−
3の発現の様子をそれぞれの培養細胞のmRNAについ
てノーザン・ブロッティングで分析したものとして、W
I−38、HL−60(Wick et al., J. Biol. Chem.,
269, 18953-18960.(1994))、Hs294T、Hs57
8T、Hs68、WI−38、MDA−MB−321、
CaOV−3、HepG2、SK−Hep−1(Silbig
er et al., Gene 141, 293-297.(1994))で発現が見られ
たとの報告がある。
【0007】タンパク質レベルの知見として、以下の報
告がなされている。培養細胞の発現するヒトTIMP−
3をリバース・ザイモグラフィーあるいはプロテアーゼ
/サブストレート・ゲル電気泳動で検索の結果、293
・SK−N−SH、FHs173We、HeLas3、
Caco−2、HCT−8、SW684、Hs913
T、GF11、1292などの培養細胞株で発現が観察
されたが、いずれも培養上清からは検出されなかった
(Kishnani et al., Matrix Biol., 14, 479-488.(199
4) )。また、ChIMP−3のN末端側配列を模して
合成されたCVPIHPQDAFCの配列をもつペプチ
ドを免疫源として得られたラビット由来ポリクローナル
抗体が、ウエスタン・ブロッティングでニワトリ胎仔線
維芽細胞のECM成分中に存在する21kDaのChI
MP−3およびやや分子量の大きいChIMP−a、ヒ
ト培養細胞FHs173WeのECMのTIMP−3
(糖鎖非修飾の24.7kDa)に反応した(Kishnani
et al., Matrix Biol., 14, 479-488.(1994) )との報
告がある。マウスTIMP−3遺伝子の5’側の非翻訳
領域からマウスTIMP−3の39番目のTをコードす
る遺伝子とヒトTIMP−3の39番目のT以降の3’
側をコードするヒトTIMP−3遺伝子を共通の制限酵
素AccIの切断部位でつないだマウス−ヒトキメラ遺
伝子によって組換えTIMP−3の発現が検討された
(Apte et al., J.Biol.Chem., 270, 14313-14318 (199
5))。この遺伝子はECMを作らないNSOマウスミエ
ローマ細胞に導入され、形質転換細胞は27kDaの糖
鎖修飾をうけたTIMP−3を培養上清に蓄積した。臨
床例との関連においては遺伝性の色素性網膜炎の光受容
体でTIMP−3のmRNAの発現が昂進(Jones et a
l., FEBS letter, 352, 171-174 (1995); Jomary et a
l., J.Neurochem., 64, 2370-2373 (1995) )している
ことが報告されている。以上のように、現在までのヒト
TIMP−3に関する知見は、そのmRNAを発現する
組織や細胞の検索、ポリクローナル抗体による定性的な
検出、特殊な宿主による組換え体の発現、網膜関連の疾
患との関与などに限られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
1.TIMP−3の検出方法 TIMPsの検出にはTIMPsをコードするmRNA
の発現をこれに相同性を持つDNAあるはRNAプロー
ブを用いてハイブリダイゼーションによって行う方法が
ある。たとえばTIMP−3の検出には、(1)検体と
なる組織や細胞から抽出したmRNAを電気泳動し、適
当な膜に転写、固定したものにTIMP−3特異的な核
酸プローブをハイブリダイズさせるノーザン・ハイブリ
ダイゼーション、(2)検体となる組織のcDNAライ
ブラリーを電気泳動し、適当な膜に転写、固定したもの
にTIMP−3特異的な核酸プローブをハイブリダイズ
させるサザン・ハイブリダイゼーション、(3)検体と
なる組織や細胞を適当な方法でそのままガラスあるいは
プラスチック板などに固定し、TIMP−3特異的な核
酸プローブをハイブリダイズさせるin situ ハ
イブリダイゼーションなどが汎用されている。これらの
方法を用いると、TIMP−3の発現する組織や細胞を
検索することができるが、いずれの方法も簡便性はな
く、再現性、定量性に乏しい。またTIMPsの検出に
はTIMPsのMMPs阻害活性を指標にした方法があ
る。リバース・ザイモグラフィーあるいはプロテアーゼ
/サブストレート・ゲル電気泳動と呼ばれる方法はMM
Psの基質となるゼラチン、カゼインあるいはコラーゲ
ンを含んだポリアクリルアミド・ゲル上で検体を電気泳
動させた後、活性型MMPsを含む緩衝液中でゲルをイ
ンキュベートし、ゲル中のMMPsの基質を消化させ、
CBBで染色するものである。検体中のTIMPsは、
活性型MMPsと複合体を形成しMMPsの活性を阻害
するので、TIMPsが電気泳動された場所の基質は消
化されないため、CBBのタンパク質染色によってTI
MPsの存在を検出できる。リバース・ザイモグラフィ
ーあるいはプロテアーゼ/サブストレート・ゲル電気泳
動には、MMPsの基質およびMMPsを予め含んだポ
リアクリルアミド・ゲルで検体を電気泳動する方法など
もある。これらの方法はMMPs阻害活性を持つタンパ
ク質の検索に有用で分子量によって阻害因子を識別でき
る。ところがこの分析方法には大量の活性型MMPsが
必要であるうえ、簡便性はなく、定量性も期待できな
い。
【0009】この他にTIMPsのMMPs阻害活性を
指標にしたTIMPsの検出方法としてRIあるいは蛍
光物質で標識したゼラチン、カゼインあるいはコラーゲ
ンを基質として用い、分解された標識基質を検出する方
法がある。この方法では、TIMPsの阻害活性を一定
量のMMPsの標識基質分解活性を50%阻害するTI
MPs濃度として数値化することができるが、検体中の
TIMP−1、TIMP−2およびTIMP−3の識別
はできない。また、検体にMMPs以外の基質分解物質
やTIMPs以外のMMPs阻害因子が混入している場
合、分析は困難になる。TIMP−3の特異的な検出方
法としては抗TIMP−3抗体を用いたウエスタン・ブ
ロッティングがある。抗体の調製に用いる免疫源として
は精製したChIMP−3(Leco et al., J.Biol.Che
m. 269, 9352-9369 (1994) )あるいはChIMP−3
のアミノ酸配列を模した合成ペプチド(Kishnani et a
l., MatrixBiol. 14, 479-488.(1994))がある。これら
はいずれもポリクローナル抗体で、調製が容易である一
方、ロット毎に特異性や親和性が一定せず実用において
モノクローナル抗体に劣る場合がある。また、TIMP
sのように互いに似通った構造、ペプチド配列を持つフ
ァミリーを形成する抗原の場合、交差反応を除去するた
めに吸収操作が必要である。以上の様に、TIMP−3
をタンパク質レベルで特異的かつ高感度に検出、定量で
きる簡便な方法はなく、TIMP−3が関与する各種疾
患の研究および診断に有効な手段は得られていない。
【0010】2. ヒトTIMP−3 TIMP−1およびTIMP−2は活性型MMPsと複
合体を形成し、その活性を阻害する機能とプロMMPs
と複合体を形成し、MMPsの活性化を阻害する機能が
あることが知られている。MMPsとTIMPsは様々
な生理状態、例えば排卵、胎生発生と分化、血管新生、
トロホブラスト浸潤、子宮内膜、分娩、骨の形成と改
造、創傷治癒、器官形成、退縮、加齢などの場面で精緻
な発現および活性化の制御がなされている。正常な生理
状態においてMMPsとTIMPsはある適正なバラン
スをもって存在しており、そのバランスの崩れが様々な
疾患をもたらしていることが知られている。たとえば癌
細胞における基底膜浸潤活性の上昇による浸潤転移の促
進、慢性関節リウマチや歯周疾患などの炎症における組
織破壊、慢性(難治性)の皮膚潰瘍、角膜潰瘍、熱傷潰
瘍、皮膚水泡性疾患にみられる組織破壊などはその例と
されている。現在のところ、ヒトTIMP−3に関して
はこれらの知見は得られていないが、各種の疾患治癒に
対応し得る医薬品組成物としてヒトTIMP−3を大量
にかつ簡単に得ることは重要である。また天然型ヒトT
IMP−3は癌培養細胞のECMから検出された報告は
あるが、正常組織から安価、大量に精製する方法は報告
されていない。また、医薬品組成物としての天然型ヒト
TIMP−3は可溶性であることが望ましい。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒトTI
MP−3を大量にかつ簡単に得ることができれば、上記
した課題を解決するのに役立つとともに、こうしたヒト
TIMP−3を利用することによりヒトTIMP−3に
特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を取得してT
IMP−3の検出・測定を簡単に行えると考えて鋭意研
究の結果、本発明を完成した。本発明は、新規なヒトT
IMP−3またはヒトTIMP−3と実質的に同一の活
性を有するタンパク質あるいはその塩、該タンパク質を
コードする遺伝子、該遺伝子を含有するベクター、該ベ
クターを含有する形質転換体、該タンパク質の製造方
法、TIMP−3に特異的に免疫反応するモノクローナ
ル抗体、該モノクローナル抗体の製造方法、並びにそれ
らの用途に関する。また、本発明は、TIMP−3に特
異的に免疫反応するモノクローナル抗体を用いての、ヒ
トTIMP−3の免疫学的測定方法、該測定のための試
薬及びヒトTIMP−3の精製方法に関する。
【0012】すなわち、本発明は (1)TIMP−3に特異的に免疫反応するモノクロー
ナル抗体(なお、本抗体としては通常の抗体のほかに、
その抗体の結合部位を含む断片であってよい、以下同
様)、 (2)8個から19個のアミノ酸からなるTIMP−3
に特有なアミノ酸配列で親水性を示すアミノ酸配列を特
異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応することを
特徴とする上記(1)記載のモノクロナール抗体、 (3)ヒトTIMP−3のKKLVKEGPFGTLV
YT(R26−40)のアミノ酸配列又はその一部を含
む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応
することを特徴とする上記(1)記載のモノクローナル
抗体、 (4)ヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQYI
HTEAS(R47−64)のアミノ酸配列又はその一
部を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免
疫反応することを特徴とする上記(1)記載のモノクロ
ーナル抗体、 (5)ヒトTIMP−3のSWYRGWAPPDKSI
INATDP(R170−188)のアミノ酸配列又は
その一部を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−
3と免疫反応することを特徴とする上記(1)記載のモ
ノクローナル抗体、
【0013】(6)ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に
糖鎖の付加のない分子種と特異的に免疫反応することを
特徴とする上記(1)記載のモノクローナル抗体、 (7)ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖の付加の
ある分子種と特異的に免疫反応することを特徴とする上
記(1)記載のモノクローナル抗体、 (8)ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖の付加の
ない分子種と糖鎖の付加のある分子種を共通して認識
し、両分子種と免疫反応することを特徴とする上記
(1)記載のモノクローナル抗体、 (9)ヒトTIMP−3関連ポリペプチドで免疫したマ
ウスの抗体生産細胞とマウスミエローマ細胞との融合に
より得られたハイブリドーマを培養し、得られた培養上
清またはマウス腹水中からモノクローナル抗体を得るこ
とを特徴とするTIMP−3に特異的に免疫反応するモ
ノクローナル抗体の製造法、 (10)ヒトTIMP−3に特異的に免疫反応するモノ
クロナール抗体を含むことを特徴とするヒトTIMP−
3の免疫学的測定用試薬(なお、本抗体としては通常の
抗体のほかに、その抗体の結合部位を含む断片であって
よい、以下同様)、 (11)ヒトTIMP−3に特異的に免疫反応するモノ
クローナル抗体を測定試薬として用いることを特徴とす
るヒトTIMP−3の免疫学的測定方法、 (12)実質的に異なる2つのヒトTIMP−3の抗原
決定基に対し、それぞれ特異的に結合するモノクローナ
ル抗体の少なくとも2種を組み合わせて測定試薬として
用いることを特徴とする上記(11)記載の方法、
【0014】(13)測定試薬として(i)ヒトTIM
P−3のKKLVKEGPFGTLVYT(R26−4
0)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に
認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナ
ル抗体および(ii)ヒトTIMP−3のSWYRGW
APPDKSIINATDP(R170−188)のア
ミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に認識し、
ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナル抗体を
少なくとも用いることを特徴とする上記(11)記載の
方法、 (14)測定試薬としてヒトTIMP−3のうちアミノ
酸に糖鎖の付加のない分子種と特異的に免疫反応するこ
とを特徴とする上記(6)記載のモノクローナル抗体を
用い、アミノ酸に糖鎖の付加のないヒトTIMP−3を
特異的に測定することを特徴とする上記(11)記載の
方法、 (15)測定試薬としてヒトTIMP−3のうちアミノ
酸に糖鎖の付加のある分子種と特異的に免疫反応するこ
とを特徴とする上記(7)記載のモノクローナル抗体を
用い、アミノ酸に糖鎖の付加のあるヒトTIMP−3を
特異的に測定することを特徴とする上記(11)記載の
方法、 (16)測定試薬としてヒトTIMP−3のうちアミノ
酸に糖鎖の付加のない分子種と糖鎖の付加のある分子種
と免疫反応することを特徴とする上記(8)記載のモノ
クローナル抗体を用い、ヒトTIMP−3を測定するこ
とを特徴とする上記(11)記載の方法、 (17)測定試薬として(i)ヒトTIMP−3のうち
アミノ酸に糖鎖の付加のない分子種と免疫反応すること
を特徴とする上記(6)記載のモノクローナル抗体およ
び(ii)ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖の付
加のある分子種と免疫反応することを特徴とする上記
(7)記載のモノクローナル抗体の混合物を用い、ヒト
TIMP−3を測定することを特徴とする上記(11)
記載の方法、
【0015】(18)ヒトTIMP−3またはヒトTI
MP−3と実質的に同一の活性を有するタンパク質、あ
るいはその塩、 (19)ヒトTIMP−3がヒト胎盤に由来するもので
ある上記(11)記載のタンパク質、 (20)ヒト胎盤に由来すると共に可溶性のタンパク質
であることを特徴とする上記(18)記載のタンパク
質、 (21)蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のない分子種
のものであることを特徴とする上記(19)記載のタン
パク質、 (22)蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のある分子種
のものであることを特徴とする上記(19)記載のタン
パク質、 (23)蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のない分子種
と蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のある分子種との混
合物であることを特徴とする上記(19)記載のタンパ
ク質、 (24)TIMP−3またはTIMP−3と実質的に同
一の活性を有する可溶性タンパク質をコードする遺伝
子、 (25)TIMP−3またはTIMP−3と実質的に同
一の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含有
し且つヒトTIMP−1の分泌シグナルをコードする遺
伝子とTIMP−3の成熟タンパク質をコードする遺伝
子とが連結されていることを特徴とする可溶性タンパク
質をコードする遺伝子、 (26)上記(24)または(25)記載の遺伝子を含
有することを特徴とするベクター、 (27)上記(26)記載のベクターを含有することを
特徴とする形質転換体
【0016】(28)宿主細胞が大腸菌、酵母、CHO
細胞及びCOS細胞からなる群から選ばれたものである
ことを特徴とする上記(27)記載の形質転換体、 (29)上記(27)記載の形質転換体を培養し、可溶
性の分泌タンパク質としてTIMP−3またはTIMP
−3と実質的に同一の活性を有するタンパク質を発現さ
せることを特徴とする組換えタンパク質の製造方法、 (30)ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナ
ル抗体を用いることを特徴とするヒトTIMP−3の精
製方法、 (31)ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナ
ル抗体結合アフィニティーゲルを用い、該ヒトTIMP
−3と免疫反応するモノクローナル抗体がヒトTIMP
−3のYRGFTKMPHVQYIHTEAS(R47
−64)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異
的に認識するものであることを特徴とする上記(30)
記載のヒトTIMP−3の精製方法、及び (32)ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナ
ル抗体結合アフィニティーゲルを用い、該ヒトTIMP
−3と免疫反応するモノクローナル抗体がヒトTIMP
−3のSWYRGWAPPDKSIINATDP(R1
70−188)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域
を特異的に認識するものであることを特徴とする上記
(30)記載のヒトTIMP−3の精製方法を提供す
る。
【0017】より具体的には、本発明は (33)ヒトTIMP−3関連ポリペプチドで免疫した
マウスの抗体生産細胞とマウスミエローマ細胞との融合
により得られたハイブリドーマを培養し、得られた培養
上清またはマウス腹水中から得られたことを特徴とする
TIMP−3に特異的に免疫反応するモノクローナル抗
体、 (34)ヒトTIMP−3のKKLVKEGPFGTL
VYT(R26−40)のアミノ酸配列又はその一部を
含む領域、ヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQ
YIHTEAS(R47−64)のアミノ酸配列又はそ
の一部を含む領域及びヒトTIMP−3のSWYRGW
APPDKSIINATDP(R170−188)のア
ミノ酸配列又はその一部を含む領域からなる群から選ば
れたヒトTIMP−3関連ポリペプチドで免疫したマウ
スの抗体生産細胞をマウスミエローマ細胞と融合せしめ
て得られたハイブリドーマ由来のものであることを特徴
とする上記(33)記載のモノクローナル抗体、 (35)8個から19個のアミノ酸からなるTIMP−
3に特有なアミノ酸配列で親水性を示すアミノ酸配列を
特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノ
クロナール抗体を含むことを特徴とする上記(10)記
載のヒトTIMP−3の免疫学的測定用試薬、 (36)ヒトTIMP−3のKKLVKEGPFGTL
VYT(R26−40)のアミノ酸配列又はその一部を
含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反
応するモノクロナール抗体を含むことを特徴とする上記
(10)記載のヒトTIMP−3の免疫学的測定用試
薬、 (37)ヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQY
IHTEAS(R47−64)のアミノ酸配列又はその
一部を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と
免疫反応するモノクロナール抗体を含むことを特徴とす
る上記(10)記載のヒトTIMP−3の免疫学的測定
用試薬、
【0018】(38)ヒトTIMP−3のSWYRGW
APPDKSIINATDP(R170−188)のア
ミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に認識し、
ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクロナール抗体を
含むことを特徴とする上記(10)記載のヒトTIMP
−3の免疫学的測定用試薬、 (39)ヒトTIMP−3に特異的な標識されたモノク
ロナール抗体を含むことを特徴とするヒトTIMP−3
の免疫学的測定用試薬、 (40)ヒトTIMP−3に特異的な酵素標識モノクロ
ナール抗体を含むことを特徴とする上記(39)記載の
ヒトTIMP−3の免疫学的測定用試薬、 (41)ヒトTIMP−3に特異的な固相化モノクロナ
ール抗体を含むことを特徴とするヒトTIMP−3の免
疫学的測定用試薬、 (42)対象抗原としてヒトTIMP−3を含有する疑
いのある被検試料に第一の抗体と第二の抗体を接触させ
ることによる前記対象抗原と前記第一の抗体と前記第二
の抗体とからなる複合体を形成させる工程を含む免疫学
的測定方法において、前記第一の抗体と前記第二の抗体
のいずれか一方として、TIMP−3に特異的に免疫反
応するモノクローナル抗体を用いることを特徴とする方
法、 (43)前記被検試料を、当該被検試料中の対象抗原で
あるヒトTIMP−3に特異的に免疫反応する固相担体
に結合している第一のモノクローナル抗体及び標識され
ている第二の抗体とに接触させ、当該第一の抗体と当該
第二の抗体との複合体を形成させ、当該複合体における
標識抗体又は未反応標識抗体のいずれかを測定すること
を特徴とする上記(42)記載の方法、
【0019】(44)前記第一の抗体として、ヒトTI
MP−3のKKLVKEGPFGTLVYT(R26−
40)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域からなる
ヒトTIMP−3関連ポリペプチドで免疫したマウスの
抗体生産細胞をマウスミエローマ細胞と融合せしめて得
られたハイブリドーマ由来のものを用い、前記第二の抗
体としてヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQY
IHTEAS(R47−64)のアミノ酸配列又はその
一部を含む領域及びヒトTIMP−3のSWYRGWA
PPDKSIINATDP(R170−188)のアミ
ノ酸配列又はその一部を含む領域からなる群から選ばれ
たヒトTIMP−3関連ポリペプチドで免疫したマウス
の抗体生産細胞をマウスミエローマ細胞と融合せしめて
得られたハイブリドーマ由来のものを用いることを特徴
とする上記(42)又は(43)記載の方法、 (45)前記第一の抗体として、ヒトTIMP−3のS
WYRGWAPPDKSIINATDP(R170−1
88)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域からなる
ヒトTIMP−3関連ポリペプチドで免疫したマウスの
抗体生産細胞をマウスミエローマ細胞と融合せしめて得
られたハイブリドーマ由来のものを用い、前記第二の抗
体としてヒトTIMP−3のKKLVKEGPFGTL
VYT(R26−40)のアミノ酸配列又はその一部を
含む領域及びヒトTIMP−3のYRGFTKMPHV
QYIHTEAS(R47−64)のアミノ酸配列又は
その一部を含む領域からなる群から選ばれたヒトTIM
P−3関連ポリペプチドで免疫したマウスの抗体生産細
胞をマウスミエローマ細胞と融合せしめて得られたハイ
ブリドーマ由来のものを用いることを特徴とする上記
(42)又は(43)記載の方法、
【0020】(46)ヒト胎盤に由来する天然型ヒトT
IMP−3または該天然型ヒトTIMP−3と実質的に
同一の活性を有するタンパク質あるいはその塩である上
記(18)記載のタンパク質、 (47)TIMP−3またはTIMP−3と実質的に同
一の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含有
し且つヒトTIMP−1の分泌シグナルをコードする遺
伝子とTIMP−3の成熟タンパク質をコードする遺伝
子とが連結されておりそして可溶性の分泌タンパク質と
してTIMP−3またはTIMP−3と実質的に同一の
活性を有するタンパク質を発現させることができること
を特徴とする上記(26)記載のベクター、 (48)上記(47)記載のベクターで形質転換された
形質転換体、 (49)pURHT3で形質転換された上記(48)記
載の形質転換体、 (50)pSGHT3で形質転換された上記(48)記
載の形質転換体、 (51)pCMVHT3で形質転換された上記(48)
記載の形質転換体、 (52)TIMP−3またはTIMP−3と実質的に同
一の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含有
し且つヒトTIMP−1の分泌シグナルをコードする遺
伝子とTIMP−3の成熟タンパク質をコードする遺伝
子とが連結した遺伝子で、大腸菌、酵母、CHO細胞及
びCOS細胞からなる群から選ばれた宿主細胞を形質転
換させて、得られた形質転換体細胞を培養し、可溶性の
分泌タンパク質としてTIMP−3またはTIMP−3
と実質的に同一の活性を有するタンパク質を発現させる
ことを特徴とする組換えタンパク質の製造方法、 (53)pEXHT3又はpURHT3で形質転換され
た形質転換体を培養し、可溶性の分泌タンパク質として
TIMP−3またはTIMP−3と実質的に同一の活性
を有するタンパク質を発現させることを特徴とする上記
(52)記載の組換えタンパク質の製造方法、
【0021】(54)pSGHT3で形質転換された形
質転換体を培養し、可溶性の分泌タンパク質としてTI
MP−3またはTIMP−3と実質的に同一の活性を有
するタンパク質を発現させることを特徴とする上記(5
2)記載の組換えタンパク質の製造方法、 (55)pCMVHT3で形質転換された形質転換体を
培養し、可溶性の分泌タンパク質としてTIMP−3ま
たはTIMP−3と実質的に同一の活性を有するタンパ
ク質を発現させることを特徴とする上記(52)記載の
組換えタンパク質の製造方法、 (56)上記(29)及び(52)〜(55)のいずれ
か一記載の方法で得られた組換えヒトTIMP−3また
はヒトTIMP−3と実質的に同一の活性を有する組換
えタンパク質、あるいはその塩、 (57)ヒト細胞あるいはヒト組織由来のECMを尿素
処理して可溶化し、次に得られた可溶画分を精製処理す
ることを特徴とするヒトTIMP−3の精製方法、 (58)ヒト細胞あるいはヒト組織由来の可溶化ヒトT
IMP−3をイオン交換、ゲルろ過、色素およびヒトT
IMP−3と免疫反応するモノクローナル抗体をリガン
ドとしたアフィニティーゲルクロマトグラフィーから成
る群から選ばれた精製処理の少なくとも一つにかけるこ
とを特徴とするヒトTIMP−3の精製方法、 (59)上記(29)及び(52)〜(55)のいずれ
か一記載の方法で得られた組換えヒトTIMP−3また
はヒトTIMP−3と実質的に同一の活性を有する組換
えタンパク質あるいはその塩を含有する画分をイオン交
換、ゲルろ過、色素およびヒトTIMP−3と免疫反応
するモノクローナル抗体をリガンドとしたアフィニティ
ーゲルクロマトグラフィーから成る群から選ばれた精製
処理の少なくとも一つにかけることを特徴とする組換え
ヒトTIMP−3の精製方法、
【0022】(60)上記(30)〜(32)及び(5
7)〜(59)のいずれか一記載の方法で得られたヒト
TIMP−3またはヒトTIMP−3と実質的に同一の
活性を有する精製タンパク質、あるいはその塩、 (61)ヒトcDNAライブラリーより配列番号:4で
表される塩基配列を含有するプライマー及び配列番号:
5で表される塩基配列を含有するプライマーを用いてポ
リメラーゼ・チェーン・リアクション(PCR)により
増幅され且つTIMP−3またはTIMP−3と実質的
に同一の活性を有する可溶性タンパク質をコードするD
NA、 (62)(i)上記(61)記載のDNAあるいは該D
NAと実質的に同一の機能を有するDNAと、(ii)
ヒトTIMP−1をコードするDNAを含有するベクタ
ーより配列番号:6で表される塩基配列を含有するプラ
イマー及び配列番号:7で表される塩基配列を含有する
プライマーを用いてポリメラーゼ・チェーン・リアクシ
ョン(PCR)により増幅され且つヒトTIMP−1分
泌シグナルをコードするDNAあるいは該DNAと実質
的に同一の機能を有するDNAとを含有していることを
特徴とするTIMP−3またはTIMP−3と実質的に
同一の活性を有する可溶性タンパク質をコードしている
DNA、 (63)上記(18)〜(23)、(46)、(56)
及び(60)のいずれか一記載のタンパク質、あるいは
その塩を含有する医薬組成物、 (64)MMPsの活性化阻害剤あるいは活性阻害剤と
して用いるものであることを特徴とする上記(63)記
載の医薬組成物、及び (65)MMPsとTIMPsとの生体内バランスに関
連した様々な生理状態、例えば排卵、胎生発生と分化、
血管新生、トロホブラスト浸潤、子宮内膜、分娩、骨の
形成と改造、創傷治癒、器官形成、退縮、加齢などの場
面で、そのバランスの崩れに起因した様々な疾患、例え
ば癌細胞における基底膜浸潤活性の上昇による浸潤転移
の促進、慢性関節リウマチや歯周疾患などの炎症におけ
る組織破壊、慢性(難治性)の皮膚潰瘍、角膜潰瘍、熱
傷潰瘍、皮膚水泡性疾患にみられる組織破壊などにおけ
る病的症状の予防あるいは治療に用いるものであること
を特徴とする上記(63)記載の医薬組成物を提供す
る。
【0023】さらには、本発明は (66)ヒトTIMP−3のKKLVKEGPFGTL
VYT(R26−40)のアミノ酸配列を含む領域を特
異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応することを
特徴とする上記(3)記載のモノクローナル抗体、 (67)ヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQY
IHTEAS(R47−64)のアミノ酸配列を含む領
域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応する
ことを特徴とする上記(4)記載のモノクローナル抗
体、 (68)ヒトTIMP−3のSWYRGWAPPDKS
IINATDP(R170−188)のアミノ酸配列を
含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反
応することを特徴とする上記(5)記載のモノクローナ
ル抗体、 (69)測定試薬として(i)ヒトTIMP−3のKK
LVKEGPFGTLVYT(R26−40)のアミノ
酸配列を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3
と免疫反応するモノクローナル抗体および(ii)ヒト
TIMP−3のSWYRGWAPPDKSIINATD
P(R170−188)のアミノ酸配列を含む領域を特
異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノク
ローナル抗体を少なくとも用いることを特徴とする上記
(13)記載の方法、 (70)ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナ
ル抗体結合アフィニティーゲルを用い、該ヒトTIMP
−3と免疫反応するモノクローナル抗体がヒトTIMP
−3のYRGFTKMPHVQYIHTEAS(R47
−64)のアミノ酸配列を含む領域を特異的に認識する
ものであることを特徴とする上記(31)記載のヒトT
IMP−3の精製方法、 (71)ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナ
ル抗体結合アフィニティーゲルを用い、該ヒトTIMP
−3と免疫反応するモノクローナル抗体がヒトTIMP
−3のSWYRGWAPPDKSIINATDP(R1
70−188)のアミノ酸配列を含む領域を特異的に認
識するものであることを特徴とする上記(32)記載の
ヒトTIMP−3の精製方法、
【0024】(72)ヒトTIMP−3のKKLVKE
GPFGTLVYT(R26−40)のアミノ酸配列を
含む領域、ヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQ
YIHTEAS(R47−64)のアミノ酸配列を含む
領域及びヒトTIMP−3のSWYRGWAPPDKS
IINATDP(R170−188)のアミノ酸配列を
含む領域からなる群から選ばれたヒトTIMP−3関連
ポリペプチドで免疫したマウスの抗体生産細胞をマウス
ミエローマ細胞と融合せしめて得られたハイブリドーマ
由来のものであることを特徴とする上記(34)記載の
モノクローナル抗体、 (73)ヒトTIMP−3のKKLVKEGPFGTL
VYT(R26−40)のアミノ酸配列を含む領域を特
異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノク
ロナール抗体を含むことを特徴とする上記(36)記載
のヒトTIMP−3の免疫学的測定用試薬、 (74)ヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQY
IHTEAS(R47−64)のアミノ酸配列を含む領
域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応する
モノクロナール抗体を含むことを特徴とする上記(3
7)記載のヒトTIMP−3の免疫学的測定用試薬、 (75)ヒトTIMP−3のSWYRGWAPPDKS
IINATDP(R170−188)のアミノ酸配列を
含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反
応するモノクロナール抗体を含むことを特徴とする上記
(38)記載のヒトTIMP−3の免疫学的測定用試
薬、
【0025】(76)前記第一の抗体として、ヒトTI
MP−3のKKLVKEGPFGTLVYT(R26−
40)のアミノ酸配列を含む領域からなるヒトTIMP
−3関連ポリペプチドで免疫したマウスの抗体生産細胞
をマウスミエローマ細胞と融合せしめて得られたハイブ
リドーマ由来のものを用い、前記第二の抗体としてヒト
TIMP−3のYRGFTKMPHVQYIHTEAS
(R47−64)のアミノ酸配列を含む領域及びヒトT
IMP−3のSWYRGWAPPDKSIINATDP
(R170−188)のアミノ酸配列を含む領域からな
る群から選ばれたヒトTIMP−3関連ポリペプチドで
免疫したマウスの抗体生産細胞をマウスミエローマ細胞
と融合せしめて得られたハイブリドーマ由来のものを用
いることを特徴とする上記(44)記載の方法、及び (77)前記第一の抗体として、ヒトTIMP−3のS
WYRGWAPPDKSIINATDP(R170−1
88)のアミノ酸配列を含む領域からなるヒトTIMP
−3関連ポリペプチドで免疫したマウスの抗体生産細胞
をマウスミエローマ細胞と融合せしめて得られたハイブ
リドーマ由来のものを用い、前記第二の抗体としてヒト
TIMP−3のKKLVKEGPFGTLVYT(R2
6−40)のアミノ酸配列を含む領域及びヒトTIMP
−3のYRGFTKMPHVQYIHTEAS(R47
−64)のアミノ酸配列を含む領域からなる群から選ば
れたヒトTIMP−3関連ポリペプチドで免疫したマウ
スの抗体生産細胞をマウスミエローマ細胞と融合せしめ
て得られたハイブリドーマ由来のものを用いることを特
徴とする上記(45)記載の方法を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明は、TIMP−3と特異的
に免疫反応することのできるモノクローナル抗体、その
モノクローナル抗体を測定試薬として用いたTIMP−
3の免疫測定法さらにはその測定に用いる試薬を提供す
る。本発明は、さらにTIMP−3と特異的に免疫反応
することのできる少なくとも2種のモノクローナル抗体
によるサンドイッチ法に基づくTIMP−3の酵素免疫
測定法をも提供するものである。本発明の方法は、固相
担体に結合させる抗体あるいは標識物質を付与する抗体
としてそれぞれTIMP−3の実質的に異なる抗原決定
基に対し結合するモノクローナル抗体を使用することを
特徴とするものでもある。本発明に従えば(i)ヒトT
IMP−3のKKLVKEGPFGTLVYT(R26
−40)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異
的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクロ
ーナル抗体および(ii)ヒトTIMP−3のSWYR
GWAPPDKSIINATDP(R170−188)
のアミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に認識
し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナル抗
体とを組合わせて測定試薬として用い、酵素免疫学的に
TIMP−3の測定を行う方法および試薬が提供され
る。特には本発明は、(i)ヒトTIMP−3のKKL
VKEGPFGTLVYT(R26−40)のアミノ酸
配列を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と
免疫反応するモノクローナル抗体および(ii)ヒトT
IMP−3のSWYRGWAPPDKSIINATDP
(R170−188)のアミノ酸配列を含む領域を特異
的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクロ
ーナル抗体とを組合わせて測定試薬として用い、サンド
イッチ法により酵素免疫学的にTIMP−3の測定を行
う方法および試薬を提供する。
【0027】また、本発明は、ヒトTIMP−3を精製
する方法を提供する。本発明はヒト胎盤のECMを尿素
で処理して可溶化した画分に見いだされた可溶性TIM
P−3の精製方法を提供するものである。この可溶性ヒ
トTIMP−3は24kDaの糖鎖の付加をうけていな
い分子種のものと27kDaの糖鎖の付加を受けた分子
種の混合物であり、精製の方法としてはイオン交換、ゲ
ルろ過、色素およびヒトTIMP−3と免疫反応するモ
ノクローナル抗体をリガンドとしたアフィニティーゲル
クロマトグラフィーを組合わせたもので、アフィニティ
ーゲルのリガンドとして用いるヒトTIMP−3と免疫
反応するモノクローナル抗体がヒトTIMP−3のYR
GFTKMPHVQYIHTEAS(R47−64)の
アミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に認識
し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナル抗
体あるいはヒトTIMP−3のSWYRGWAPPDK
SIINATDP(R170−188)のアミノ酸配列
又はその一部を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIM
P−3と免疫反応するモノクローナル抗体であることを
特徴とする。得られた可溶性の精製ヒトTIMP−3は
医薬品組成物として使用することができる。
【0028】また、本発明は、可溶性の組換えヒトTI
MP−3を精製する方法を提供する。特には本発明は、
ヒトTIMP−3の分泌シグナル領域をヒトTIMP−
1の分泌シグナルに交換して得られたヒトTIMP−1
/−3のキメラ遺伝子の発現によって得られた分泌性T
IMP−3を精製する方法を提供する。本発明は、ヒト
TIMP−1/−3のキメラ遺伝子で形質転換された動
物由来細胞(例えばCHO細胞またはCOS細胞など)
の培養上清に蓄積したヒトTIMP−3の精製法を提供
する。この可溶性の組換えヒトTIMP−3は糖鎖の付
加をうけていない分子種であって且つ約24kDaの分
子サイズをもつものと糖鎖の付加を受けた分子種であっ
て且つ約27kDaの分子サイズをもつものとの混合物
として培養上清中に得られる。可溶性の組換えヒトTI
MP−3の精製の方法としては、少なくともヒトTIM
P−3と免疫反応するモノクローナル抗体をリガンドと
したアフィニティーゲルクロマトグラフィーを用いた方
法が挙げられる。この方法によれば、上記糖鎖の付加を
うけていない分子種であって且つ約24kDaの分子サ
イズをもつヒトTIMP−3またはヒトTIMP−3と
実質的に同一の活性を有するタンパク質あるいはその塩
と、糖鎖の付加を受けた分子種であって且つ約27kD
aの分子サイズをもつヒトTIMP−3またはヒトTI
MP−3と実質的に同一の活性を有するタンパク質ある
いはその塩とを分離精製することができる。アフィニテ
ィーゲルのリガンドとして用いるヒトTIMP−3と免
疫反応するモノクローナル抗体としては、好ましくは
(1)ヒトTIMP−3のYRGFTKMPHVQYI
HTEAS(R47−64)のアミノ酸配列又はその一
部を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免
疫反応するモノクローナル抗体あるいは(2)ヒトTI
MP−3のSWYRGWAPPDKSIINATDP
(R170−188)のアミノ酸配列又はその一部を含
む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応
するモノクローナル抗体が挙げられる。また精製の方法
としてはイオン交換、ゲルろ過、色素およびヒトTIM
P−3と免疫反応するモノクローナル抗体をリガンドと
したアフィニティーゲルクロマトグラフィーを組合わせ
たものであることもできる。実質的に均一な分子種とし
て可溶性の組換えヒトTIMP−3を得ることができる
方法が選択され、好ましい方法である。得られた可溶性
の精製組換えヒトTIMP−3は医薬品組成物として使
用することができる。
【0029】本発明のヒトTIMP−3またはヒトTI
MP−3と実質的に同一の活性を有するタンパク質をコ
ードしているDNAは、例えば以下に示す方法によって
取得した。なお、遺伝子組換え技術は、例えばT. Mania
tis et al.,"Molecular Cloning", 2nd Ed., Cold Spri
ng Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. T.(19
89);日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子
研究法II」、東京化学同人(1986);日本生化学
会編、「新生化学実験講座2、核酸III(組換えDN
A技術)」、東京化学同人(1992);R. Wu ed.,
"Methods in Enzymology", Vol. 68, Academic Press,
New York (1980);R. Wu et al. ed., "Methods in Enz
ymology", Vol. 100 & 101, Academic Press, New York
(1983);R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymolog
y", Vol. 153, 154 & 155, AcademicPress, New York
(1987) などに記載の方法あるいはそこで引用された文
献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改
変法により行うことができる。
【0030】市販の種々のヒト組織由来cDNAライブ
ラリー(例えば、CLONTECHなどより入手可能)
を鋳型に使用してPCR法を適用することができる。典
型的な場合、既知のTIMPファミリーのアミノ酸配列
から選択したアミノ酸配列を基に、デジェネレイテッド
・プライマーを作製する。例えば、マウスからクローニ
ングされたマウス由来TIMP−3をコードするDNA
の塩基配列をもとにPCR増幅反応用プライマーを作製
することが可能である。好ましくはApte et al., Genom
ics, 19, 86-90,(1994) の報告に基づいてPCRプライ
マー、例えば図1に示されるプライマーT3F1及びT3R1を
合成して用いることができる。プライマーの合成は、当
該分野で知られた方法で行うことができ、例えばDNA
自動合成装置を用い、フォスフォジエステル法、フォス
フォトリエステル法、フォスフォアミダイト法などによ
り合成できる。このプライマーと上記cDNAライブラ
リーとを用い、PCRを行う。PCR反応は、当該分野
で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変
法により行うことができるが、例えば R. Saiki, et a
l., Science, Vol. 230, pp. 1350 (1985); R. Saiki,
et al., Science, Vol. 239, pp. 487 (1985);PCR
テクノロジー (PCR Technology) ,ストックトンプレス
(Stockton Press) などに記載された方法に従って行う
ことができる。
【0031】cDNAライブラリーを構築するには、例
えば種々のヒト組織(胎盤等)あるいは培養細胞からm
RNAを単離する。mRNAの単離は、当該分野で公知
の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法によ
り行うことができるが、T. Maniatis et al.,"Molecula
r Cloning", 2nd Ed., Chapter 7, Cold Spring Harbor
Laboratory, Cold Spring Harbor, N. T. (1989); L.
Grossman et al. ed.,"Methods in Enzymology", Vol.
12, Part A & B, Academic Press, New York(1968); S.
L. Berger et al. ed., "Methods in Enzymology", Vo
l. 152, p.33& p.215, Academic Press, New York (198
7);Biochemistry, 18, 5294-5299, 1979 などに記載の
方法、例えばグアニジン−塩化セシウム法、チオシアン
酸グアニジン法、フェノール法などの方法で行うことが
出来る。必要に応じ、得られた全RNAはオリゴ(d
T)−セルロースカラムなどを使用して精製してポリ
(A)+ mRNAを得ることが出来る。このmRNA及
び逆転写酵素を用いてcDNAを作製する。mRNA及
び逆転写酵素を用いてのcDNA合成は当該分野で公知
の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法によ
り行うことができるが、H. Land et al., "Nucleic Aci
ds Res.", Vol. 9, 2251 (1981); U. Gubler et al.,
"Gene", Vol. 25, 263-269 (1983); S. L. Berger et a
l. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 152, p.307,
Academic Press, New York (1987) などに記載の方法
が挙げられる。こうして作製されたcDNAを基にcD
NAライブラリーを構築できる。またファージベクター
を使用する以外で、大腸菌などの宿主細胞の形質転換を
するには、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシウ
ム法など当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的
に同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J. Mo
l. Biol., Vol. 166, p.557 (1983) など)。
【0032】得られたPCR産物をクローニングし、得
られたPCR産物の塩基配列を決定し、新規なTIMP
遺伝子配列を有するDNA断片を取得する。塩基配列の
決定は、ダイデオキシ法、例えばM13ダイデオキシ法
など、Maxam-Gilbert 法などを用いて行うことができる
が、市販のシークエンシングキット、例えば Taqダイプ
ライマーサイクルシークエンシングキットなどを用いた
り、自動塩基配列決定装置、例えば蛍光DNAシーケン
サー装置などを用いて行うことが出来る。特にはこのD
NA断片をプローブに種々のヒト組織(胎盤等)あるい
は培養細胞(ヒト線維芽細胞、ヒト白血球細胞等)から
構築されたcDNAライブラリーをスクリーニングし、
塩基配列の決定から目的とするDNAを単離することが
できる。好ましくは胎盤cDNAライブラリーをスクリ
ーニングし、塩基配列の決定をして目的とするDNAを
単離する。なお、プローブなどを放射性同位体などによ
って標識するには、市販の標識キット、例えばランダム
プライムドDNAラベリングキット (Boehringer Mannh
aim)などを使用して行うことが出来る。
【0033】以下にさらに詳細に記述する。本発明者ら
は、既知のヒトTIMP−3をコードするDNAの塩基
配列を基に、次の配列を有する5’プライマー、 (配列番号:4) AGGATCCGAGCATGCACATGCTCGCCCAGC (T3F1) (配列番号:5) ATCTAGACTCAGGGGTCTGTGGCATTGATG (T3R1) を設計、合成した。これらのプライマーとヒト胎盤細胞
から調製したcDNAライブラリーを用い、PCR反応
を行った。プライマーのデザインから予想されるサイズ
(587bps)を持つところの得られたPCR産物を
サブクローニングする。こうして得られたDNAを「ヒ
トTIMP−3遺伝子」と命名した。可溶性の組換えヒ
トTIMP−3を得るため、ヒトTIMP−3の分泌シ
グナル領域をヒトTIMP−1の分泌シグナルに置き換
える。こうして交換して得られたヒトTIMP−1/−
3のキメラ遺伝子をトランスフェクションした大腸菌な
どの微生物細胞あるいはCOS−1細胞などの発現に適
した動物細胞などを用いて、ヒトTIMP−3遺伝子産
物の確認を行った。この外来遺伝子を大腸菌などの微生
物細胞に導入する方法としては当該分野で知られた方法
あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことができ、
例えばT. Maniatis et al.,"Molecular Cloning", 2nd
Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Ha
rbor, N. T. (1989);R. Wu ed., "Methods in Enzymol
ogy", Vol. 68, Academic Press, New York (1980);R.
Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100
& 101, Academic Press, New York (1983);R. Wu et a
l. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 153, 154 & 1
55, Academic Press, New York (1987) などに記載の方
法あるいはそこで引用された文献記載の方法により行う
ことができる。
【0034】この外来遺伝子を哺乳動物などの動物細胞
に導入する方法としては当該分野で知られた方法あるい
はそれと実質的に同様な方法で行うことができ、例えば
リン酸カルシウム法(例えば、F. L. Graham et al.,
"Virology", Vo. 52, pp.456(1973)など)、DEAE−
デキストラン法(例えば、D. Warden et al., "J. Gen.
Virol.", Vo. 3, pp.371 (1968)など)、エレクトロポ
レーション法(例えば、E. Neumann et al., "EMBO J",
Vo. 1, pp.841 (1982) など)、マイクロインジェクシ
ョン法、リボソーム法、ウイルス感染法、ファージ粒子
法などが挙げられる。こうしてヒトTIMP−3遺伝子
をトランスフェクションされた大腸菌や動物細胞などの
産生する遺伝子産物をポリアクリルアミド・ゲル電気泳
動などで解析した結果、細胞ライゼートのうちに融合タ
ンパク質が発現していることが検出される。こうして得
られるヒトTIMP−1/−3などのヒトTIMP−3
のキメラ遺伝子は、新規な可溶性ヒトTIMP−3タン
パク質をコードしている新規な遺伝子であることは明白
であり、ヒトTIMP−3キメラ遺伝子を用いて作製し
た組換え体プラスミドは全て新規な組換え体であり、そ
のプラスミドで形質転換あるいはトランスフェクトされ
得られた形質転換体あるいはトランスフェクタントも新
規なものである。
【0035】ヒトTIMP−3遺伝子は、可溶性タンパ
ク質としてヒトTIMP−3またはヒトTIMP−3と
実質的に同一の活性を有するタンパク質を得るようにキ
メラ遺伝子とすることが好ましいが、ヒトTIMP−3
遺伝子を組込むプラスミドとしては遺伝子工学的に常用
される宿主細胞(例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞
宿主、酵母、CHO細胞等の真核細胞宿主、Sf21等
の昆虫細胞宿主)中で該DNAが発現できるプラスミド
であればどのようなプラスミドでもよい。こうした配列
内には、例えば選択した宿主細胞で発現するのに好適な
コドンが導入されていることができるし、制限酵素部位
が設けられていることもできるし、目的とする遺伝子の
発現を容易にするための制御配列、促進配列など、目的
とする遺伝子を結合するのに役立つリンカー、アダプタ
ーなど、さらには抗生物質耐性などを制御したり、代謝
を制御したりし、選別などに有用な配列等を含んでいる
ことができる。好ましくは、適当なプロモーター、例え
ば大腸菌を宿主とするプラスミドでは、トリプトファン
(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモ
ーター、トリプトファン・ラクトース(tac)プロモ
ーター、リポプロテイン(lpp)プロモーター、λフ
ァージPLプロモーター等を、動物細胞を宿主とするプ
ラスミドでは、SV40レートプロモーター、MMTV
LTRプロモーター、RSV LTRプロモーター、
CMVプロモーター、SRαプロモーター等を、酵母を
宿主とするプラスミドでは、GAL1、GAL10プロ
モーター等を使用し得る。
【0036】大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、
例えばpBR322、pUC18、pUC19、pUC
118、pUC119、pSP64、pSP65、pT
Z−18R/−18U、pTZ−19R/−19U、p
GEM−3、pGEM−4、pGEM−3Z、pGEM
−4Z、pGEM−5Zf(−)、pBluescri
pt KSTM (Stratagene) などが挙げられる。大腸菌
での発現に適したプラスミドベクターとしては、pA
S、pKK223 (Pharmacia)、pMC1403、pM
C931、pKC30なども挙げられる。動物細胞を宿
主とするプラスミドとしては、SV40ベクター、ポリ
オーマ・ウイルスベクター、ワクシニア・ウイルスベク
ター、レトロウイルスベクターなどが挙げられ、例えば
pcD、pcD−SRα、CDM8、pCEV4、pM
E18S、pBC12BI、pSG5 (Stratagene) な
どが挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドとして
は、YIp型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベ
クター、YCp型ベクターなどが挙げられ、例えばpG
PD−2などが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細
胞が大腸菌の場合、例えば大腸菌K12株に由来するも
のが挙げられ、例えばNM533 XL1−Blue、
C600、DH1、HB101、JM109などが挙げ
られる。宿主細胞が動物細胞の場合、例えばアフリカミ
ドリザル線維芽細胞由来のCOS−7細胞、COS−1
細胞、CV−1細胞、マウス線維芽細胞由来のCOP細
胞、MOP細胞、WOP細胞、チャイニーズ・ハムスタ
ー細胞由来のCHO細胞、CHO dhfr- 細胞、ヒ
トHeLa細胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス
細胞由来NIH 3T3細胞などが挙げられる。昆虫細
胞としては、カイコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori
nuclear polyhedrosis virus) をベクターとし、カイコ
幼虫あるいはカイコ培養細胞、例えばBM−N細胞など
を用いることが挙げられる。
【0037】本発明の遺伝子工学的手法においては、当
該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆
転写酵素、DNA断片をクローン化するのに適した構造
に修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA
修飾・分解酵素、DNAポリメラーゼ、末端ヌクレオチ
ジルトランスフェラーゼ、DNAリガーゼなどを用いる
ことが出来る。制限酵素としては、例えば、R. J. Robe
rts, Nucleic Acids Res., Vol. 13, r165 (1985); S.
Linn et al. ed. Nucleases, p. 109, Cold Spring Har
bor Lab., Cold Spring Harbor, New York, 1982などに
記載のものが挙げられる。逆転写酵素としては、例えば
マウスモロネイ白血病ウイルス (mouseMoloney leukemi
a virus; MMLV) 由来の逆転写酵素 (reverse transcrip
tase)、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス (avian myeloblas
tosis virus; AMV)由来の逆転写酵素などが挙げられ、
特にはRNase H 欠損体などは好ましく用いることが出来
る。DNAポリメラーゼとしては、例えば大腸菌DNA
ポリメラーゼ、その誘導体であるクレノウ・フラグメン
ト、大腸菌ファージT4 DNAポリメラーゼ、大腸菌
ファージT7 DNAポリメラーゼ、耐熱菌DNAポリ
メラーゼなどが挙げられる。末端ヌクレオチジルトラン
スフェラーゼとしては、例えばR. Wu et al.ed., "Meth
ods in Enzymology", Vol. 100, p. 96, Academic Pres
s, New York(1983) に記載の3’−OH末端にデオキシ
ヌクレオチド(dNMP)を付加するTdTaseなど
が挙げられる。DNA修飾・分解酵素としては、エキソ
ヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなどが挙げられ、例
えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ、脾臓ホスホジエステ
ラーゼ、大腸菌DNAエキソヌクレアーゼI、大腸菌D
NAエキソヌクレアーゼIII、大腸菌DNAエキソヌ
クレアーゼVII、λエキソヌクレアーゼ、DNase
I、ヌクレアーゼS1、ミクロコッカス (Micrococcu
s) ヌクレアーゼなどが挙げられる。DNAリガーゼと
しては、例えば大腸菌DNAリガーゼ、T4 DNAリ
ガーゼなどが挙げられる。DNA遺伝子をクローニング
してDNAライブラリーを構築するのに適したベクター
としては、プラスミド、λファージ、コスミド、P1フ
ァージ、F因子、YACなどが挙げられ、好ましくはλ
ファージ由来のベクターが挙げられ、例えばCharo
n 4A、Charon 21A、λgt10、λgt
11、λDASHII、λFIXII、λEMBL3、
λZAPIITM (Stratagene) などが挙げられる。
【0038】さらに、本発明に係わるヒトTIMP−3
の遺伝子塩基配列をもとに遺伝子工学的に常用される方
法を用いることにより、ヒトTIMP−3のアミノ酸配
列中に適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、
欠失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入し
た相当するタンパク質を製造することができる。こうし
た変異・変換・修飾法としては、日本生化学会編、「続
生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、p105(広
瀬進)、東京化学同人(1986);日本生化学会編、
「新生化学実験講座2、核酸III(組換えDNA技
術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(199
2);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methodsin Enzymolo
gy", Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, Ne
w York (1987);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods i
n Enzymology", Vol. 100, p. 457 &p. 468, Academic
Press, New York (1983);J. A. Wells et al., "Gen
e", Vol. 34, p. 315 (1985);T. Grundstroem et al.,
"Nucleic Acids Res", Vol. 13, p. 3305 (1985) ;J.
Taylor et al., "Nucleic Acids Res.", Vol. 13, p.8
765 (1985) ;R. Wu ed., "Methods in Enzymology", V
ol. 155, p. 568, Academic Press, New York (1987)
;A. R. Oliphant et al., "Gene", Vol. 44, p.177
(1986) などに記載の方法が挙げられる。例えば合成オ
リゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法
(部位特異的変異導入法)、 Kunkel 法、 dNTP[αS]法
(Eckstein) 法、亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定
変異導入法等の方法が挙げられる。さらに得られた本発
明のタンパク質は、化学的な手法でその含有されるアミ
ノ酸残基を修飾することもできるし、ペプチダーゼ、例
えばペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライ
ン、エンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼなど酵素
などを用いて修飾したり、部分分解したりしてその誘導
体などにすることができる。また遺伝子組換え法で製造
する時に融合タンパク質として発現させ、生体内あるい
は生体外で天然のヒトTIMP−3と実質的に同等の生
物学的活性を有しているものに変換・加工してもよい。
遺伝子工学的に常用される融合産生法を用いることがで
きるが、こうした融合タンパク質はその融合部を利用し
てアフィニティクロマトグラフィーなどで精製すること
も可能である。タンパク質の構造の修飾・改変などは、
例えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパ
ク質VII、タンパク質工学」、東京化学同人(199
3)を参考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用
された文献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様
な方法で行うことができる。また下記するようにその生
物学的活性のうちには、免疫的に活性、例えば抗原性を
有するということも含まれてよい。
【0039】かくして本発明は、1個以上のアミノ酸残
基が同一性の点で天然のものと異なるもの、1個以上の
アミノ酸残基の位置が天然のものと異なるものであって
もよい。本発明は、ヒトTIMP−3に特有なアミノ酸
残基が1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜
60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましく
は1〜20個、特には1〜10個など)欠けている欠失
類縁体、特有のアミノ酸残基の1個以上(例えば、1〜
80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜
40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10
個など)が他の残基で置換されている置換類縁体、1個
以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さ
らに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20
個、特には1〜10個など)のアミノ酸残基が付加され
ている付加類縁体も包含する。また本発明のヒトTIM
P−3は天然のヒトTIMP−3と実質的に同等の一次
構造コンフォメーションあるいはその一部を有している
ものも含まれてよいと考えられ、さらに天然のヒトTI
MP−3と実質的に同等の生物学的活性を有しているも
のも含まれてよいと考えられる。さらに天然に生ずる変
異体の一つであることもできる。こうした本発明のヒト
TIMP−3は、下記で説明するように分離・精製処理
されることができる。一方では、こうして本発明は上記
したポリペプチドをコードするDNA配列、そして天然
の特性の全部あるいは一部を有するヒトTIMP−3の
ポリペプチド、さらにその類縁体あるいは誘導体をコー
ドするDNA配列も包含する。
【0040】本発明のDNA配列は、例えばヒトTIM
P−3及び関連タンパク質をコードする哺乳動物、特に
好ましくはヒトの、ゲノムDNA及びcDNAの単離及
び検知のためのプロープとして有用である。遺伝子の単
離にあたっては、PCR法、さらには逆転写酵素(R
T)を用いたPCR法(RT−PCR)を利用すること
が出来る。ヒトTIMP−3 cDNA及びその関連D
NAは、クローニングされ、配列決定されたヒトTIM
P−3 cDNA配列から推定されるアミノ酸配列に基
づき特徴的な配列領域を選び、DNAプライマーをデザ
インして化学合成し、得られたDNAプライマーを用い
て、PCR法、RT−PCR、その他の方法を用いてヒ
トTIMP−3関連遺伝子の単離、検出などに利用する
ことが出来る。
【0041】ヒトTIMP−3 mRNAのヒト組織中
での発現を各種の組織由来Poly(A)+ RNAに対
するノーザンブロット分析により検討することができ
る。本発明のヒトTIMP−3cDNAをプローブとし
て用いれば、例えばノーザン・ブロティング、サザン・
ブロティング、in situハイブリダイゼーション
などによりヒト組織中でのヒトTIMP−3 mRNA
の発現やヒトTIMP−3遺伝子自体などを検出・測定
でき、ひいては癌細胞の有無、癌の悪性度の診断等の癌
の診断治療、またアルツハイマー病の診断等の研究に応
用できる。以上述べた、本発明者らの研究成果によりヒ
トTIMP−3のキメラ遺伝子及び組換えDNA分子を
宿主に移入し、可溶性ヒトTIMP−3を発現させ、目
的とする可溶性TIMP−3を得る方法が提供される。
こうして本発明によれば、可溶性ヒトTIMP−3の遺
伝子を実質的に発現する組換え体あるいはトランスフェ
クタント及びその製造法、さらにはその用途も提供され
る。別の面では、本発明は天然のTIMP−3あるいは
それと実質的に同等な活性を有することを特徴とする可
溶性タンパク質又はその塩、より好ましくはヒトTIM
P−3またはその塩と実質的に同等な活性を有するか、
あるいは実質的に同等の一次構造コンフォメーションを
持つ該タンパク質の少なくとも一部あるいは全部を有す
るポリペプチドを、大腸菌などの原核生物あるいは哺乳
動物細胞などの真核生物で可溶性タンパク質として発現
させることを可能にするDNAやRNAなどの核酸に関
するとすることができる。こうした核酸で形質転換さ
れ、本発明の該ポリペプチドを発現できる大腸菌などの
原核生物あるいは哺乳動物細胞などの真核生物も本発明
の特徴をなす。
【0042】本発明はヒト由来の正常細胞あるいは正常
組織、例えば、胎盤から精製単離処理を加えて得たもの
であることができる。好ましくはこうした細胞あるいは
組織から得られたヒトTIMP−3に富んだECMは、
尿素で処理して可溶化した画分とする。こうして得られ
た可溶性TIMP−3に富んだ画分は、イオン交換、ゲ
ルろ過、色素およびモノクローナル抗体をリガンドとし
たアフィニティーゲルクロマトグラフィーにより精製さ
れる。こうして得られた可溶性ヒトTIMP−3は24
kDaの糖鎖の付加をうけていない分子種のものと27
kDaの糖鎖の付加を受けた分子種の混合物として得る
ことができるし、それぞれ24kDaの糖鎖の付加をう
けていない分子種のものと27kDaの糖鎖の付加を受
けた分子種のものとに分離して得ることもできる。イオ
ン交換による分離には、当該分野慣用的に使用される、
CMイオン交換樹脂、DEAEイオン交換樹脂などが挙
げられる。ゲルろ過による分離には、当該分野慣用的に
使用される、セファロース・ゲルなどが挙げられる。色
素ゲルクロマトグラフィーには、例えば、マトリクスゲ
ルグリーンA(アミコングレース)、リアクティブレッ
ド120(シグマ)などの当該分野慣用的に使用される
ものが挙げられる。また、ヒトTIMP−3と免疫反応
するモノクローナル抗体をリガンドとしたアフィニティ
ーゲルクロマトグラフィーが好適に用いられる。アフィ
ニティーゲルのリガンドとしては、例えば(1)ヒトT
IMP−3と免疫反応するモノクローナル抗体がヒトT
IMP−3のYRGFTKMPHVQYIHTEAS
(R47−64)のアミノ酸配列又はその一部を含む領
域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応する
モノクローナル抗体及び(2)ヒトTIMP−3のSW
YRGWAPPDKSIINATDP(R170−18
8)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に
認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナ
ル抗体が挙げられる。特には、例えば(3)ヒトTIM
P−3のYRGFTKMPHVQYIHTEAS(R4
7−64)のアミノ酸配列を含む領域を特異的に認識
し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモノクローナル抗
体や(4)ヒトTIMP−3のSWYRGWAPPDK
SIINATDP(R170−188)のアミノ酸配列
を含む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫
反応するモノクローナル抗体が挙げられる。
【0043】さらに、本発明では、TIMP−3に特異
的に免疫反応するモノクローナル抗体が提供される。本
発明に係わるモノクローナル抗体は、本発明により得ら
れるヒトTIMP−3を免疫源として公知の方法で動物
を免疫し、当該分野で知られたあるいは汎用されている
方法、例えばケーラー及びミルシュタインの方法(Na
ture,256:495〜497,1975)により
製造することができる。この方法において、免疫源とし
ては天然型ヒトTIMP−3、リコンビナントヒトTI
MP−3及び連続した少なくとも8個のアミノ酸からな
るヒトTIMP−3の一部のアミノ酸配列を有する合成
ペプチド等の何れでも使用することができる。さらに該
モノクローナル抗体は、常用される方法によって適宜標
識することができる。標識としては、酵素、補欠分子
類、色素物質、蛍光物質、化学ルミネッセンス化合物、
発光物質、放射性物質等を使用することができる。以下
抗体の作製につき詳しく説明する。本発明のモノクロー
ナル抗体は、ミエローマ細胞を用いての細胞融合技術を
利用して得られたモノクローナル抗体であってよいこと
はいうまでもない。本発明で使用されるモノクローナル
抗体は、例えば次のような工程で作製できる。 1.免疫原性抗原の調製 2.免疫原性抗原による動物の免疫 3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合 5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクロー
ン化 6.モノクローナル抗体の製造
【0044】1.免疫原性抗原の調製 抗原としては、例えば本発明の方法に従い精製して得ら
れた天然由来のヒトTIMP−3、本発明の方法に従い
調製したリコンビナント・ヒトTIMP−3を用いるこ
とができる。ヒトTIMP−3は、さらに免疫原性コン
ジュゲートなどにしてもよいが、そのままあるいは適当
なアジュバントと混合して動物を免疫するのに使用でき
る。こうした抗原は、各種原料、例えば培養細胞、培養
組織など、形質転換体細胞などの抗原産生材料から従来
公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩
析、セファデックスなどによるゲルろ過法、例えばジエ
チルアミノエチル基あるいはカルボキシメチル基などを
持つ担体などを用いたイオン交換クロマトグラフィー
法、例えばブチル基、オクチル基、フェニル基など疎水
性基を持つ担体などを用いた疎水性クロマトグラフィー
法、色素ゲルクロマトグラフィー法、ポリアクリルアミ
ド電気泳動などの電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフ
ィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグ
ラフィー法などにより精製して得ることができるが、好
ましくは本発明の精製方法により処理し、精製分離処理
できる。さらにヒトTIMP−3は、それを断片化した
もの、あるいはクローニングされ、配列決定されたcD
NA配列から推定されるアミノ酸配列に基づき特徴的な
配列領域を選び、ポリペプチドをデザインして化学合成
し、こうして得られたポリペプチド断片であってもよ
く、その断片を適当な縮合剤を介して種々の担体タンパ
ク質類と結合させてハプテン−タンパク質の如き免疫原
性コンジュゲートとし、これを用いて特定の配列のみを
認識できるモノクローナル抗体をデザインするのに用い
ることもできる。デザインされるポリペプチドには予め
システイン残基などを付加し、免疫原性コンジュゲート
の調製を容易にできるようにしておくことができる。好
ましくは、こうした合成ポリペプチド抗原としては、例
えば、Apte et al., Genomics, 19, 86-90 (1994) に記
載のヒトTIMP−3ポリペプチドのアミノ酸配列の内
から選択することができる。特に好ましくはこれらを免
疫源として得られた目的モノクローナル抗体がヒトTI
MP−1およびヒトTIMP−2と交差反応をしないも
のとなるよう、ヒトTIMP−3に特異的に反応するよ
うのものが得られるよう合成ポリペプチド領域を選択す
ることにより得られたヒトTIMP−3関連合成ポリペ
プチド抗原が挙げられる。また、いずれのポリペプチド
もヒトTIMP−3分子のなかで親水性を示す領域を含
むように選択し、抗原性をより示しやすいようにしてデ
ザインされた領域であるヒトTIMP−3関連合成ポリ
ペプチド抗原が挙げられる。こうした領域としては、例
えば、 (配列番号:1) KKLVKEGPFGTLVYT(R26−40) (配列番号:2) YRGFTKMPHVQYIHTEAS(R47−6
4)および (配列番号:3) SWYRGWAPPDKSIINATDP(R170−
188) のポリペプチドが挙げられる。
【0045】配列番号:1のポリペプチド領域のよう
に、ヒトTIMP−1の相同部位に対して13%、ヒト
TIMP−2の相同部位に対して33%の相同性を示す
ものが好ましい領域として挙げられる。また配列番号:
2のポリペプチド領域のように、ヒトTIMP−1の相
同部位に対して28%、ヒトTIMP−2の相同部位に
対して28%の相同性を示すものが好ましい領域として
挙げられる。更に配列番号:3のポリペプチド領域のよ
うに、ヒトTIMP−1の相同部位に対して5%、ヒト
TIMP−2の相同部位に対して47%の相同性を示す
ものが好ましい領域として挙げられる。担体タンパク質
類と結合させるにあたっては、担体タンパク質類はまず
活性化されることができる。こうした活性化にあたり活
性化結合基を導入することが挙げられる。活性化結合基
としては、(1)活性化エステルあるいは活性化カルボ
キシル基、例えばニトロフェニルエステル基、ペンタフ
ルオロフェニルエステル基、1−ベンゾトリアゾールエ
ステル基、N−スクシンイミドエステル基など、(2)
活性化ジチオ基、例えば2−ピリジルジチオ基などが挙
げられる。担体タンパク質類としては、キーホール・リ
ンペット・ヘモシアニン(KLH),牛血清アルブミン
(BSA)、卵白アルブミン、グロブリン、ポリリジン
などのポリペプタイド、細菌菌体成分、例えばBCGな
どが挙げられる。
【0046】2.免疫原性抗原による動物の免疫 動物を免疫するには、例えば村松繁、他編、実験生物学
講座14、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日
本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究
法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生
化学実験講座12、分子免疫学 III、抗原・抗体・補
体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じ
て行うことができる。抗原と共に用いられるアジュバン
トとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リビ
(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG、
リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シリカ
などが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどの
マウスをはじめとする動物を使用して行われる。抗原の
投与量は、例えばマウスに対して約1〜400μg/動
物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注射し、以後
1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ごとに腹腔
内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を2〜10
回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBALB
/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウス
とのF1マウスなどを用いることもできる。必要に応
じ、抗体価測定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫
の程度を確認できる。
【0047】3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)と
しては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶこと
ができ、例えばP3−NS−1−Ag4−1(NS−
1,Eur. J. Immunology, 6, 511〜519, 1976)、SP2
/0−Ag14(SP2,Nature, 276, 269〜270, 197
8 ) 、マウスミエローマMOPC−21セルライン由来
のP3−X63−Ag8−U1(P3U1,Current to
pics in Microbiol. and Immunol., 81, 1〜7, 1978
)、P3−X63−Ag8(X63,Nature, 256, 49
5〜497, 1975 ) 、P3−X63−Ag8−653 (6
53,J.Immunol., 123, 1548〜1550, 1979) などを用
いることができる。8−アザグアニン耐性のマウスミエ
ローマ細胞株はダルベッコMEM培地(DMEM培
地)、RPMI−1640培地などの細胞培地に、例え
ばペニシリン、アミカシンなどの抗生物質、牛胎児血清
(FCS)などを加え、さらに8−アザグアニン(例え
ば5〜45μg/ml)を加えた培地で継代されるが、
細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代して所要数の細
胞株を用意することができる。また使用細胞株は、凍結
保存株を約37℃で完全に解凍したのちRPMI−16
40培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地で
培養して所要数の細胞株を用意したものであってもよ
い。
【0048】4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細
胞融合 上記2.の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは
最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、それか
ら脾細胞懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ
節細胞を得て、それを細胞融合に使用することもでき
る。こうして得られた脾細胞懸濁液と上記3.の工程に
従い得られたミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地
(MEM培地)、DMEM培地、RPMI−1640培
地などの細胞培地中に置き、細胞融合剤、例えばポリエ
チレングリコールを添加する。細胞融合剤としては、こ
の他各種当該分野で知られたものを用いることができ、
この様なものとしては不活性化したセンダイウイルス
(HVJ:Hemagglutinating vir
us of Japan)なども挙げられる。好ましく
は、例えば30〜60%のポリエチレングリコールを
0.5〜2ml加えることができ、分子量が1,000
〜8,000のポリエチレングリコールを用いることが
でき、さらに分子量が1,000〜4,000のポリエ
チレングリコールがより好ましく使用できる。融合培地
中でのポリエチレングリコールの濃度は、例えば30〜
60%となるようにすることが好ましい。必要に応じ、
例えばジメチルスルホキシドなどを少量加え、融合を促
進することもできる。融合に使用する脾細胞(リンパ
球):ミエローマ細胞株の割合は、例えば1:1〜2
0:1とすることが挙げられるが、より好ましくは4:
1〜7:1とすることができる。融合反応を1〜10分
間行い、次にRPMI−1640培地などの細胞培地を
加える。融合反応処理は複数回行うこともできる。融合
反応処理後、遠心などにより細胞を分離した後選択用培
地に移す。
【0049】5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及
びモノクローン化 選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプ
テリン及びチミジンを含む、FCS含有MEM培地、R
PMI−1640培地などの培地、所謂HAT培地が挙
げられる。選択培地交換の方法は、一般的には培養プレ
ートに分注した容量と等容量を翌日加え、その後1〜3
日ごとにHAT培地で半量ずつ交換するというようにす
ることができるが、適宜これに変更を加えて行うことも
できる。また融合後8〜16日目には、アミノプテリン
を除いた、所謂HT培地で1〜4日ごとに培地交換をす
ることができる。フィーダーとして、例えばマウス胸腺
細胞を使用することもでき、それが好ましい場合があ
る。ハイブリドーマの増殖のさかんな培養ウェルの培養
上清を、例えば放射免疫分析(RIA)、酵素免疫分析
(ELISA)、蛍光免疫分析(FIA)などの測定
系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(FACS)など
で、ヒトTIMP−3あるいはその断片ペプチドを抗原
として用いたり、あるいは標識抗マウス抗体を用いて目
的抗体を測定するなどして、スクリーニングしたり分離
する。目的抗体を産生しているハイブリドーマをクロー
ニングする。クローニングは、寒天培地中でコロニーを
ピック・アップするか、あるいは限界希釈法によりなさ
れうる。限界希釈法でより好ましく行うことができる。
クローニングは複数回行うことが好ましい。
【0050】6.モノクローナル抗体の製造 得られたハイブリドーマ株は、FCS含有MEM培地、
RPMI−1640培地などの適当な増殖用培地中で培
養し、その培地上清から所望のモノクローナル抗体を得
ることが出来る。大量の抗体を得るためには、ハイブリ
ドーマを腹水化することが挙げられる。この場合ミエロ
ーマ細胞由来の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に
各ハイブリドーマを移植し、増殖させるか、例えばヌー
ド・マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖さ
せ、該動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を
回収して得ることが出来る。動物はハイブリドーマの移
植に先立ち、プリスタン(2,6,10,14−テトラ
メチルペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与してお
くことができ、その処理後、ハイブリドーマを増殖さ
せ、腹水を採取することもできる。腹水液はそのまま、
あるいは従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿
法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、
イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、
限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高
速液体クロマトグラフィー法などにより精製してモノク
ローナル抗体として用いることができる。好ましくは、
モノクローナル抗体を含有する腹水は、硫安分画した
後、DEAE−セファロースの如き、陰イオン交換ゲル
及びプロテインAカラムの如きアフィニティーカラムな
どで処理し精製分離処理できる。特に好ましくは抗原又
は抗原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗原タンパク
質あるいはペプチド、抗体が特異的に認識する部位な
ど)を固定化したアフィニティー・クロマトグラフィ
ー、プロテインAを固定化したアフィニティー・クロマ
トグラフィーなどが挙げられる。
【0051】またこうして大量に得られた抗体の配列を
決定したり、ハイブリドーマ株から得られた抗体をコー
ドする核酸配列を利用して、遺伝子組換え技術により抗
体を作製することも可能である。さらにこれら抗体をト
リプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理し
て、場合により還元して得られるFab、Fab’、F
(ab’)2 といった抗体フラグメントにして使用して
もよい。標識物を付与する抗体としては、IgG画分、
更にはペプシン消化後還元して得られる特異的結合部F
ab’を用いることができる。これらの場合の標識物の
例としては、下記するように酵素(ペルオキシダーゼ、
アルカリホスファターゼあるいはβ−D−ガラクトシダ
ーゼなど)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元
素などがある。本発明での検知・測定は、イムノ染色、
例えば組織あるいは細胞染色、イムノアッセイ、例えば
競合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで
行うことができ、ラジオイムノアッセイ、ELISAな
どを用いることができ、B−F分離を行ってもあるいは
行わないでその測定を行うことができる。好ましくは放
射免疫測定法や酵素免疫測定法であり、さらにサンドイ
ッチ型アッセイが挙げられる。例えばサンドイッチ型ア
ッセイでは、ヒトTIMP−3に特異的に免疫反応する
モノクローナル抗体の一方を検出可能に標識化する。同
じ抗原を認識できる他の抗体を固相に固定化する。検体
と標識化抗体及び固相化抗体を必要に応じ順次反応させ
るためインキュベーション処理し、ここで非結合抗体を
分離後、標識物を測定する。測定された標識の量は抗
原、すなわちヒトTIMP−3の量と比例する。このア
ッセイでは、不溶化抗体や、標識化抗体の添加の順序に
応じて同時サンドイッチ型アッセイ、フォワード(forw
ard)サンドイッチ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型
アッセイなどと呼ばれる。こうして本発明に従えば、対
象抗原としてヒトTIMP−3を含有する疑いのある被
検試料に第一の抗体と第二の抗体を接触させることによ
る前記対象抗原と前記第一の抗体と前記第二の抗体とか
らなる複合体を形成させる工程を含む免疫学的測定方法
において、前記第一の抗体と前記第二の抗体のいずれか
一方として、TIMP−3に特異的に免疫反応するモノ
クローナル抗体を用いることを特徴とする方法が提供さ
れることが明らかである。
【0052】該免疫学的測定方法において、他方の抗体
としてはポリクローナル抗体、抗血清、あるいはモノク
ローナル抗体を用いることが出来るが、好ましくはモノ
クローナル抗体を用いることが出来る。例えば、測定試
薬としてヒトTIMP−3の実質的に異なる2つの抗原
決定基に対し、それぞれ特異的に結合するモノクローナ
ル抗体の少なくとも2種を組み合わせることを特徴とす
る方法が挙げられる。より好ましくは(i)前記第一の
抗体として、ヒトTIMP−3のKKLVKEGPFG
TLVYT(R26−40)のアミノ酸配列又はその一
部を含む領域からなるヒトTIMP−3関連ポリペプチ
ドに特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を用い、
前記第二の抗体としてヒトTIMP−3のYRGFTK
MPHVQYIHTEAS(R47−64)のアミノ酸
配列又はその一部を含む領域及びヒトTIMP−3のS
WYRGWAPPDKSIINATDP(R170−1
88)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域からなる
群から選ばれたヒトTIMP−3関連ポリペプチドに特
異的に免疫反応するモノクローナル抗体を用いることを
特徴とする方法、あるいは(ii)前記第一の抗体とし
て、ヒトTIMP−3のSWYRGWAPPDKSII
NATDP(R170−188)のアミノ酸配列又はそ
の一部を含む領域からなるヒトTIMP−3関連ポリペ
プチドに特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を用
い、前記第二の抗体としてヒトTIMP−3のKKLV
KEGPFGTLVYT(R26−40)のアミノ酸配
列又はその一部を含む領域及びヒトTIMP−3のYR
GFTKMPHVQYIHTEAS(R47−64)の
アミノ酸配列又はその一部を含む領域からなる群から選
ばれたヒトTIMP−3関連ポリペプチドに特異的に免
疫反応するモノクローナル抗体を用いることを特徴とす
る方法が挙げられる。
【0053】別の態様では、測定試薬としてヒトTIM
P−3のうちアミノ酸に糖鎖の付加のない分子種と特異
的に免疫反応することを特徴とするモノクローナル抗体
を用い、アミノ酸に糖鎖の付加のないヒトTIMP−3
を特異的に測定することを特徴とする方法、測定試薬と
してヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖の付加のあ
る分子種と特異的に免疫反応することを特徴とするモノ
クローナル抗体を用い、アミノ酸に糖鎖の付加のあるヒ
トTIMP−3を特異的に測定することを特徴とする方
法、測定試薬としてヒトTIMP−3のうちアミノ酸に
糖鎖の付加のない分子種と糖鎖の付加のある分子種を共
通して認識し、両分子種と免疫反応するモノクローナル
抗体を用い、ヒトTIMP−3を測定することを特徴と
する方法、さらには測定試薬として(i)ヒトTIMP
−3のうちアミノ酸に糖鎖の付加のない分子種と免疫反
応することを特徴とするモノクローナル抗体および(i
i)ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖の付加のあ
る分子種と免疫反応することを特徴とするモノクローナ
ル抗体の混合物を用い、ヒトTIMP−3を測定するこ
とを特徴とする方法も挙げられる。こうした方法におい
て、例えば洗浄、撹拌、振盪、ろ過あるいは抗原の予備
抽出等は、特定の状況のもとでそれら測定工程の中で適
宜採用される。特定の試薬、緩衝液等の濃度、温度ある
いはインキュベーション処理時間などのその他の測定条
件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性質等の要素に
従い変えることができる。当業者は通常の実験法を用い
ながら各測定に対して有効な最適の条件を適宜選定して
測定を行うことが出来る。
【0054】抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−
アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材
料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリ
レート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ス
チレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタ
クリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタ
クリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲ
ン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロ
ース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または
変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機
高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたも
の、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリ
ング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられ
る。さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、例えば試
験管、タイタープレート、タイターウェル、ガラスセ
ル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、ガラ
ス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは
細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは
偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質
(物体)の表面などが挙げられる。
【0055】これら担体へは、抗体を結合させることが
でき、好ましくは本発明で得られるヒトTIMP−3に
特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を結合させる
ことができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するも
のとの結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合
剤などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりす
る化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利
用した手法などにより行うことが出来る。標識として
は、酵素、酵素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、
補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、
化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気
物質、金属粒子、例えば金コロイドなど、放射性物質な
どを挙げることができる。酵素としては、脱水素酵素、
還元酵素、酸化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ
基、カルボキシル基、メチル基、アシル基、リン酸基な
どを転移するのを触媒する転移酵素、例えばエステル結
合、グリコシド結合、エーテル結合、ペプチド結合など
を加水分解する加水分解酵素、リアーゼ、イソメラー
ゼ、リガーゼなどを挙げることができる。酵素は複数の
酵素を複合的に用いて検知に利用することもできる。例
えば酵素的サイクリングを利用することもできる。
【0056】代表的な放射性物質の標識用同位体元素と
しては、〔32P〕、〔125 I〕、〔131I〕、〔
3H〕、〔 14 C〕、〔35S〕などが挙げられる。代表
的な酵素標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼな
どのペルオキシダーゼ、大腸菌β−D−ガラクトシダー
ゼなどのガラクトシダーゼ、マレエート・デヒドロゲナ
ーゼ、グルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナー
ゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、アセ
チルコリンエステラーゼ、カタラーゼ、ウシ小腸アルカ
リホスファターゼ、大腸菌アルカリホスファターゼなど
のアルカリ・ホスファターゼなどが挙げられる。アルカ
リホスファターゼを用いた場合、4−メチルウンベリフ
ェリルホスフェートなどのウンベリフェロン誘導体、ニ
トロフェニルホスフェートなどのリン酸化フェノール誘
導体、NADPを利用した酵素的サイクリング系、ルシ
フェリン誘導体、ジオキセタン誘導体などの基質を使用
したりして、生ずる蛍光、発光などにより測定できる。
ルシフェリン、ルシフェラーゼ系を利用したりすること
もできる。カタラーゼを用いた場合、過酸化水素と反応
して酸素を生成するので、その酸素を電極などで検知す
ることもできる。電極としてはガラス電極、難溶性塩膜
を用いるイオン電極、液膜型電極、高分子膜電極などで
あることもできる。酵素標識は、ビオチン標識体と酵素
標識アビジン(ストレプトアビジン)に置き換えること
も可能である。標識は、複数の異なった種類の標識を使
用することもできる。こうした場合、複数の測定を連続
的に、あるいは非連続的に、そして同時にあるいは別々
に行うことを可能にすることもできる。
【0057】本発明においては、信号の形成に4−ヒド
ロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレンジアミン、テ
トラメチルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダ
ーゼ、ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニル
ガラクトシドなどとβ−D −ガラクトシダーゼ、グルコ
ース−6−リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の
組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾ
キノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合
物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェ
ノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働き
で形成しうるものが使用できる。蛍光物質あるいは化学
ルミネッセンス化合物としては、フルオレセインイソチ
オシアネート、例えばローダミンBイソチオシアネー
ト、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどの
ローダミン誘導体、ダンシルクロリド、ダンシルフルオ
リド、フルオレスカミン、フィコビリプロテイン、アク
リジニウム塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォ
リンなどのルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステ
ル、希土類キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げ
られる。標識するには、チオール基とマレイミド基の反
応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミ
ノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行うことがで
き、公知の方法あるいは当該分野の当業者が容易になし
うる方法、さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜
選択して適用できる。また上記免疫原性複合体作製に使
用されることのできる縮合剤、担体との結合に使用され
ることのできる縮合剤などを用いることができる。
【0058】縮合剤としては、例えばグルタルアルデヒ
ド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソチオシアネート、N,N’−ポリメチレンビスヨ
ードアセトアミド、N,N’−エチレンビスマレイミ
ド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネー
ト、ビスジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミ
ジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(S
PDP)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミ
ドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(S
MCC)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マ
レイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレー
ト、N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)ア
ミノベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−
マレイミドフェニル)ブチレート、N−(ε−マレイミ
ドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS),イ
ミノチオラン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水
物、メチル−3−(4’−ジチオピリジル)プロピオン
イミデート、メチル−4−メルカプトブチリルイミデー
ト、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N
−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテー
トなどが挙げられる。
【0059】本発明の測定法によれば、測定すべき物質
を酵素などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗
体試薬と、担体に結合された抗体とを順次反応させるこ
とができるし、同時に反応させることもできる。試薬を
加える順序は選ばれた担体系の型により異なる。感作さ
れたプラスチックなどのビーズを用いた場合には、酵素
などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗体試薬
を測定すべき物質を含む検体試料と共に最初適当な試験
管中に一緒に入れ、その後該感作されたプラスチックな
どのビーズを加えることにより測定を行うことができ
る。本発明の定量法においては、免疫学的測定法が用い
られるが、その際の固相担体としては、抗体などタンパ
ク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカーボネイト
製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製のボール、
マイクロプレート、スティック、微粒子あるいは試験管
などの種々の材料および形態を任意に選択し、使用する
ことができる。測定にあたっては至適pH、例えばpH
約4〜9に保つように適当な緩衝液系中で行うことがで
きる。特に適切な緩衝剤としては、例えばアセテート緩
衝剤、クエン酸塩緩衝剤、ホスフェート緩衝剤、トリス
緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝
剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリス−塩酸緩衝
剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合
して用いることができる。抗体抗原反応は約0℃〜60
℃の間の温度で行うことが好ましい。
【0060】酵素などで標識されたモノクローナル抗体
などの抗体試薬及び担体に結合せしめられた抗体試薬、
さらには測定すべき物質のインキュベーション処理は、
平衡に達するまで行うことができるが、抗体抗原反応の
平衡が達成されるよりもずっと早い時点で固相と液相と
を分離して限定されたインキュベーション処理の後に反
応を止めることができ、液相又は固相のいずれかにおけ
る酵素などの標識の存在の程度を測ることができる。測
定操作は、自動化された測定装置を用いて行うことが可
能であり、ルミネセンス・ディテクター、ホト・ディテ
クターなどを使用して基質が酵素の作用で変換されて生
ずる表示シグナルを検知して測定することもできる。抗
体抗原反応においては、それぞれ用いられる試薬、測定
すべき物質、さらには酵素などの標識を安定化したり、
抗体抗原反応自体を安定化するように適切な手段を講ず
ることができる。さらに、非特異的な反応を除去し、阻
害的に働く影響を減らしたり、あるいは測定反応を活性
化したりするため、タンパク質、安定化剤、界面活性化
剤、キレート化剤などをインキュベーション溶液中に加
えることもできる。キレート化剤としては、エチレンジ
アミン四酢酸塩(EDTA)がより好ましい。当該分野
で普通に採用されていたりあるいは当業者に知られた非
特異的結合反応を防ぐためのブロッキング処理を施して
もよく、例えば、哺乳動物などの正常血清タンパク質、
アルブミン、スキムミルク、乳発酵物質、コラーゲン、
ゼラチンなどで処理することができる。非特異的結合反
応を防ぐ目的である限り、それらの方法は特に限定され
ず用いることが出来る。本発明の測定方法で測定される
試料としては、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液、非
流体試料などが使用しうるが、好ましくは生物由来の試
料、例えば血液、血漿、関節液、脳脊髄液、唾液、羊
水、尿、その他の体液、細胞培養液、組織培養液、組織
ホモジュネート、生検試料、組織、細胞などが挙げられ
る。こうしてヒトTIMP−3に特異的に免疫反応する
モノクローナル抗体を測定試薬として用いることを特徴
とするヒトTIMP−3の免疫学的測定方法及びそのた
めの試薬が提供されることが明らかである。なお、本発
明のDNAも上記抗体と同様に処理することが出来、そ
れ自体公知の方法又はそれと実質的に同様な方法で標識
されたり、測定に用いることができることは理解される
べきである。
【0061】本発明の前述した種々の態様を利用するこ
とにより、癌細胞の有無、癌の悪性度の診断等の癌の診
断治療に関わる研究に有用な診断手段として、あるいは
その他の医学的生理学的用途に適用される種々の技術手
段を提供することができる。以下に実施例を掲げ、本発
明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定
されず、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能
であることは理解されるべきである。なお、明細書及び
図面において、塩基及びアミノ酸等を略号で表示する場
合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical N
omenclature によるか、あるいは当該分野において慣用
的に使用される用語の意味に基づくものであり、アミノ
酸に光学異性体が存在する場合は、特に断らないかぎり
L−体を示す。
【0062】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されること無く様々な態
様が含まれることは理解されるべきである。 実施例1 組換えヒトTIMP−3の発現 a.ヒトTIMP−3遺伝子のクローニング Apte et al., Genomics, 19, 86-90,(1994) の報告に基
づいてPCRプライマー( 図1; T3F1, T3R1) を合成し
た。 (配列番号:4) AGGATCCGAGCATGCACATGCTCGCCCAGC (T3F1) (配列番号:5) ATCTAGACTCAGGGGTCTGTGGCATTGATG (T3R1) ヒト胎盤cDNAライブラリー(CLONTECH)を鋳型としてP
CRを行い、ヒトTIMP−3遺伝子のクローニングを
試みた。PCR反応は上記合成プライマーT3F1, T3R1各
500pM、0.25mM dNTPs、10倍に希釈したヒト胎盤
cDNAライブラリー1μl 、Taq DNA polymerase 0.5μl
及び酵素に添付されたバッファー 5μl の反応液の組成
物を総反応溶液量50μlとしたものを、92℃・1分30
秒、42℃・2分、72℃・1分30秒のサイクルを30回繰り
返して増幅を行った。増幅産物の確認は2.0%アガロ
ース・ゲル電気泳動及びエチジウム・ブロミド染色によ
って行った。
【0063】PCR後の反応産物は2.0%の低融点ア
ガロース・ゲル電気泳動にて分離した後、バンドの部分
をカミソリで切り出し、次に熱融解、フェノール抽出、
エタノール沈殿を行ってDNAを回収した。得られた58
7bpsの長さを持つPCR産物DNAについて、制限酵素
HindIII, PvuII, ApaI およびKpnI(New England Biol
abs, Inc. )による切断を行ったところ、ヒトTIMP-3の
遺伝子配列から予想される断片を示した。すなわち、Hi
ndIII による切断では 390と197bpsの断片が、PvuII に
よる切断では 521と66bps の断片が、ApaIによる切断で
は430,110 と47bps の断片が、さらにKpnIによる切断で
は 528と59bps の断片が観察された。この確認は2.0
%アガロース・ゲル電気泳動及びエチジウム・ブロミド
染色によって行った。この断片をPCRプライマー上の
制限酵素サイト(SphI およびXbaI) で切断し(制限酵素
はNew England Biolabs, Inc. のものを使用した)、pU
C18 (Pharmacia Biotech )をSphIおよびXbaIで開いた
ベクターと連結しpUCHT3を構築した( 図2) 。ライゲー
ションは、挿入 DNA断片150ng とベクターDNA50ngをT4
DNAリガーゼ(New England Biolabs, Inc. )0.5 μl
および酵素に添付されたバッファー 2μl の反応液の組
成物を総反応液量20μl とし16℃、 4時間で行なった。
サブクローニング・ベクターpUCHT3を大腸菌JM109
competent cell (宝酒造)に導入して形質転換したの
ち、挿入DNA断片をもつクローンを、50μg/mlアンピ
シリン、 1mMIPTG及び40μg/mlX−galを含むL
B寒天培地中で選択し、白色を呈するクローンのみを拾
い上げる。得られたクローンを50μg/mlアンピシリンを
含むLB培地中で一晩培養し、アルカリ/SDS法でプ
ラスミドDNAを調製した。調製したDNAをRNas
e処理、フェノール抽出、エタノール沈殿を行ってDN
Aを濃縮した。この断片は成熟型ヒトTIMP−3をコ
ードしており、分泌シグナル領域は含んでいないと考え
られる。
【0064】b.分泌シグナルベクターの構築 ヒトTIMP−1遺伝子をサブクローニングしたベクタ
ーpFYK3 を鋳型とし、PCRプライマー( 図3; JR1, Q
53F1) でPCRを行った。ベクターpFYK3 は、特開平5-
199868に開示されたベクターpUFYK-1 から制限酵素SalI
およびEcoRI で切出したヒトTIMP-1遺伝子をSalIおよび
EcoRI で開いたpBluescript II KS に連結して調製し
た。 (配列番号:6) TGGGACACAGGTGCATGCCCTGCT (JR1) (配列番号:7) GAAGTCCAGCAGACCACCTTA (Q53F1) PCR反応は上記合成プライマーJR1 、Q53F1 各500pM
、0.25mM dNTPs、pFYK3 10ng、Taq DNA polymerase 0.
5μl 及び酵素に添付されたバッファー 5μl の反応液
の組成物を総反応液量50μl としたものを、92℃・1分
30秒、42℃・2分、72℃1分30秒のサイクルを30回繰り
返して増幅を行なった。PCR後の反応産物は上記aと
同様にして単離処理してDNAを回収した。精製して得
られた3.5kbps の増幅断片を、クレノーフラグメント、
ポリヌクレオチドキナーゼで末端を平滑化し、セルフラ
イゲーションにより、pTS3を構築した( 図2) 。pTS3
は、pFYK3 のベースであるpBluescript II KS とTIMP-1
分泌シグナル領域および成熟型ヒトTIMP−1の一部
を含んでいる( 図2) 。ヒトTIMP−1分泌シグナル
の3'末端にはプライマーJR1 に由来するSphIサイトが導
入されている( 図3) 。上記aと同様にして大腸菌JM
109 competent cell (宝酒造)に導入して形質転換
して、形質転換されたクローンよりヒトTIMP−1分
泌シグナル領域を含有するベクターを調製した。
【0065】c.キメラ遺伝子の構築 pTS3およびpUCHT3を制限酵素SphIおよび EcoRI(New En
gland Biolabs, Inc.)で切断し、それぞれよりベクタ
ー部分とヒトTIMP−3遺伝子を上記aと同様にして
単離精製処理した後、連結した。ライゲーションは上記
aと同様にして行なった。得られたpTSHT3はヒトTIM
P−1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP−3キメラ遺
伝子を含んでいる( 図2および4) 。上記aと同様にし
て大腸菌JM109 competent cell (宝酒造)に導入
して形質転換して、形質転換されたクローンよりヒトT
IMP−1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP−3キメ
ラ遺伝子(ヒトTIMP−1/−3キメラ遺伝子)を含
有するベクターを調製した。ベクターpTSHT3を含んだ大
腸菌 JM109(pTSHT3/JM109)は、工業技術院生命工学工
業技術研究所に寄託した(生工研受託番号FERM P
−15420)。
【0066】d.発現ベクターの構築 pTSHT3より制限酵素BamHI あるいはXbaIでヒトTIMP
−1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP−3キメラ遺伝
子を切出し、大腸菌用発現ベクターpEX2(BamHIサイト,
ベーリンガーマンハイム) 、動物細胞用発現ベクターpS
G5(COS細胞; BamHI サイト,Stratagene) 、およびpRc/
CMV (CHO細胞; XbaIサイト,invitrogen) に挿入して発
現ベクターを構築する( 図5) 。ライゲーションは上記
aと同様にして行う。同様にpTSHT3より制限酵素BamHI
あるいはXbaIでヒトTIMP−1分泌シグナル−成熟型
ヒトTIMP−3キメラ遺伝子を切出し、大腸菌用発現
ベクターpUR292 (BamHI サイト) 、動物細胞用発現ベク
ターpSG6 ( COS細胞; BamHI サイト) 、およびpCMV (CH
O 細胞; XbaIサイト) に挿入して発現ベクターを構築し
た( 図6) 。このライゲーションも上記aと同様にして
行った。
【0067】e.大腸菌でのヒトTIMP-3発現の確認 得られたヒトTIMP−1分泌シグナル−成熟型ヒトT
IMP−3キメラ遺伝子が正常にヒトTIMP−3を発
現できるか否かを原核細胞である大腸菌を宿主細胞とし
て用いて検討した。大腸菌用発現ベクターpEX2にヒトT
IMP−1分泌シグナル−成熟型TIMP−3キメラ遺
伝子を挿入して得られるpEXHT3( 図5) で大腸菌N4830-
l(Pharmacia Biotech)を形質転換し、β- gal−ヒト
TIMP−3融合タンパク質の発現を誘導する。pEXHT3
を受容した大腸菌株 N4830-lを50μg/mlアンピシリンを
含むLB培地中で30℃、一晩培養する。この1次培養液
から50μl を採り、5mlの50μg/mlアンピシリンを含む
LB培地に接種し、O.D.550 が0.4 になるまで30℃で培
養し2次培養とする。2次培養液をさらに2時間42℃で
培養を継続、氷冷後、遠心で細胞を集める。同様にし
て、大腸菌用発現ベクターpUR292にヒトTIMP−1分
泌シグナル−成熟型ヒトTIMP−3キメラ遺伝子を挿
入して得られたpURHT3( 図6) で大腸菌JM109 を形質転
換し、β- gal−ヒトTIMP−3融合タンパク質の
発現を誘導した。pURHT3を受容した大腸菌株JM109 を50
μg/mlアンピシリンを含むLB培地中で37℃、一晩培養
した。この1次培養液から50μl を採り、5mlの50μg/
mlアンピシリンを含むLB培地に接種し、O.D.550 が0.
4 になるまで37℃で培養し2次培養とした。2次培養液
に最終濃度1mM となるようにIPTGを添加しさらに2時間
37℃で培養を継続、氷冷後、遠心で細胞を集めた。PBS
で細胞画分を2回洗浄後、250 μl のPBS で懸濁し超音
波破砕で細胞ライゼートを調製した。形質転換大腸菌の
ライゼートをドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリ
アクリルアミド・ゲル電気泳動(PAGE)にかけCB
B染色して発現タンパク質を確認した。この大腸菌は、
誘導により分子量約140kDaの組換えタンパク質を発現し
た( 図7) 。β- gal−ヒトTIMP−3融合タンパ
ク質の分子量は約140kDa( β-gal; 116kDa, 糖鎖非修飾
型TIMP-3; 24kDa)と見積もられることから、ヒトTIM
P−1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP−3キメラ遺
伝子が機能したことが示された。
【0068】f.動物細胞株での組換えヒトTIMP−
3の発現 1. COS細胞における一過性発現 動物細胞用発現ベクターpSG5にヒトTIMP−1分泌シ
グナル−成熟型ヒトTIMP−3キメラ遺伝子を挿入し
て得られる下記pSGHT3と実質的に同一のベクター(10μ
g ) からリン酸カルシウム沈殿法で調製されるリン酸カ
ルシウム−DNA共沈液(1ml)をCOS-1 細胞(5×105cel
l/dish, 培地;10% FCS を含むDMEM,10ml) に加え、16
時間培養して遺伝子を導入する。同様にして、動物細胞
用発現ベクターpSG6にヒトTIMP−1分泌シグナル−
成熟型ヒトTIMP−3キメラ遺伝子を挿入して得られ
たpSGHT3(10μg ;図6) からリン酸カルシウム沈殿法
で調製したリン酸カルシウム−DNA共沈液(1ml)をCO
S-1 細胞(5×105cell/dish, 培地;10% FCS を含むDME
M,10ml) に加え、16時間培養して遺伝子を導入した。P
BS で細胞を洗浄した後、FCS 不含のDMEM, 10mlで48時
間培養を継続し、細胞と培養上清を回収した。回収した
培養上清は遠心により不溶成分を除去した後ウルトラフ
リー C3LGC(ミリポア)で濃縮(1/20容)した。細胞は
氷冷下でセルスクレーパーを用いて培養プレート(直径
10cm)からかきとり、1mlのPBS で懸濁して回収し
た。遠心によりPBS で細胞画分を2回洗浄後、100 μl
のPBS に再懸濁し超音波破砕で細胞ライゼートを調製し
た。
【0069】2. CHO細胞における連続発現 動物細胞用発現ベクターpRc/CMV にヒトTIMP−1分
泌シグナル−成熟型TIMP−3キメラ遺伝子を挿入し
て得られる下記pCMVHT3 と実質的に同一のベクター(10
μg ) からリン酸カルシウム沈殿法で調製されるリン酸
カルシウム−DNA共沈液(1ml)をCHO 細胞(5×105cel
l/dish, 培地;10% FCS を含むα-MEM,10ml) に加え16
時間培養して遺伝子を導入する。遺伝子を導入されたCH
O 細胞は10%FCS,800 μm/ml geneticinを含むα-MEMで
培養し、pCMVHT3 を受容した細胞を選択する。さらに限
界希釈法でクローンTRM−Dを得、10% FCS を含むα
-MEMでコンフルエントまで培養、10%FCS不含のα-MEM,
10mlに交換し48時間培養を継続して細胞と培養上清を回
収する。同様な手法で、動物細胞用発現ベクターpCMVに
ヒトTIMP−1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP−
3キメラ遺伝子を挿入して得られたpCMVHT3(10μg ;図
6) と10μg のpSV2-dhfr からリン酸カルシウム沈殿法
で調製したリン酸カルシウム−DNA共沈液(1ml)をCH
O dhfr- 細胞(5×105cell/dish, 培地;10% FCS を含む
α-MEM, 10ml) に加え16時間培養して遺伝子を導入し
た。遺伝子を導入したCHO 細胞は10%FCS, 800 μm/ml g
eneticinを含むα-MEMで培養し、pCMVHT3 を受容した細
胞を選択、続いて10%透析FCS, 800μm/ml geneticin,
5 ×10-8M methotrexate(MTX) を含むα-MEM(リボヌク
レオシド、デオキシリボヌクレオシド不含)で培養、dh
frおよびヒトTIMP−1分泌シグナル−成熟型TIM
P−3キメラ遺伝子の増幅を誘導した。MTX 濃度を1 ×
10-7M まで上昇させた条件下で安定して増殖する細胞を
選択、限界希釈法でクローニングした。MTX 濃度1 ×10
-7M 耐性株からクローン番号TRM−1G12を選択、
10% FCS を含むα-MEMでコンフルエントまで培養、FCS
不含のα-MEM, 10mlに交換し48時間培養を継続して細胞
と培養上清を回収した。細胞ライゼートおよび培養上清
は上記f.1と同様にして調製した。 上記f.1及び
2で得られた細胞ライゼートおよび培養上清は上記eと
同様にしてその内に発現タンパク質が存在していること
を確認できる。
【0070】実施例2 ヒトTIMP−3ポリペプチ
ドの合成 ヒトTIMP−3ポリペプチドとしてApte et al., Gen
omics, 19, 86-90.(1994) に記載のアミノ酸配列を参考
にして、以下のポリペプチドをペプチドシンセサイザー
9600(ミリジェン/バイオサーチ製)で合成した。 (配列番号:1) KKLVKEGPFGTLVYT(R26−40) (配列番号:2) YRGFTKMPHVQYIHTEAS(R47−6
4) および (配列番号:3) SWYRGWAPPDKSIINATDP(R170−
188) なお、ペプチドN末端にシスティンを導入した。
【0071】KKLVKEGPFGTLVYT(R26
−40)は、ヒトTIMP−1の相同部位に対して13
%、ヒトTIMP−2の相同部位に対して33%の相同
性を示し、YRGFTKMPHVQYIHTEAS(R
47−64)は、ヒトTIMP−1の相同部位に対して
28%、ヒトTIMP−2の相同部位に対して28%の
相同性を示し、SWYRGWAPPDKSIINATD
P(R170−188)は、ヒトTIMP−1の相同部
位に対して5%、ヒトTIMP−2の相同部位に対して
47%の相同性を示した(表1)。免疫源の選択にあた
り、これらを免疫源として調製されるモノクローナル抗
体がヒトTIMP−1およびヒトTIMP−2と交差反
応せず、ヒトTIMP−3に特異的に反応するよう考慮
した。また、いずれのポリペプチドもヒトTIMP−3
分子のなかで親水性を示す領域を含むように選択し、抗
原性をより示しやすいよう考慮した。
【0072】
【表1】
【0073】実施例3 抗ヒトTIMP−3ポリペプ
チド(配列番号:3)抗体の作製 a.抗原コンジュゲートの調製 0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した20
8.8nmoleのBSAにジメチルホルムアミド(D
MF)に溶解したEMCSをBSAの200倍モル量添
加し、30℃、30分間インキュベートした。上記混合
液を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化した
PD−10カラム(Pharmacia)でゲルろ過
し、マレイミドが結合したBSAを分取し2.1mlに
濃縮した。マレイミドが結合したBSAに対して50倍
モル量の合成ポリペプチドCSWYRGWAPPDKS
IINATDP(0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)
溶解液)を混合し4℃、20時間インキュベートしポリ
ペプチド−BSA複合体を調製した。
【0074】b.免疫及び抗体産生細胞の調製 ポリペプチド−BSA複合体を200μgを完全フロイ
ントアジュバントと共に、6週令BALB/c雌マウス
2匹にそれぞれ腹腔内投与し、初回免疫とした。その後
18日目に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解
した200μgのポリペプチド−BSA複合体を腹腔内
に投与し追加免疫した。最終免疫として、53日目に
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解したポリペ
プチド−BSA複合体93.3μgを静脈内に、10
6.7μgを腹腔内に投与し、3日後にマウス脾臓を取
りだし脾細胞を調製した。
【0075】c.細胞融合 (1)以下の材料および方法を用いた。 RPMI−1640培地:RPMI−1640(Flo
w Lab.)に重炭酸ナトリウム(24mM)、ピル
ビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリンGカリウム
(50U/ml)、硫酸アミカシン(100μg/m
l)を加え、ドライアイスでpHを7.2にし、0.2
μm東洋メンブレンフィルターで除菌ろ過した。 NS−1培地:上記RPMI−1640培地に除菌ろ過
したFCS(M.A.Bioproducts)を15
%(v/v)の濃度になるように加えた。 PEG4000溶液:RPMI−1640培地にポリエ
チレングリコール4000(PEG 4000,Mer
k & Co.)を50%(w/w)になるように加
え、無血清溶液を調製した。 8−アザグアニン耐性ミエローマ細胞SP2(SP2/
0−Ag14)との融合は、Selected Method in Cellu
lar Immunology pp351-372(ed. B. B. Mishelland S.
N. Shiigi), W. H. Freeman and Company (1980)に記載
のOiらの方法を若干改変して行った。
【0076】(2)以下では、ポリペプチド−BSA複
合体で免疫したマウス由来の有核脾細胞とミエローマ細
胞SP2との融合に関して詳述する。前記(b)で調製
した有核脾細胞(生細胞率100%)それぞれとミエロ
ーマ細胞(生細胞率100%)とを5:1の比率で以下
の手順で融合した。脾細胞懸濁液とミエローマ細胞をそ
れぞれRPMI1640培地で洗浄した。次に同じ培地
に懸濁し、融合させるために有核脾細胞6. 5×108
個とミエローマ細胞1. 3×108 個を混合した。次に
遠心分離により細胞を沈殿させ、上清を完全に吸引除去
した。沈殿した細胞に37℃に加温したPEG4000
溶液[50%(w/v)ポリエチレングリコール400
0含有RPMI1640培地]7. 1mlを1分間で滴
下し、1分間攪拌し、細胞を再懸濁、分散させた。次に
37℃に加温したRPMI1640培地14. 2mlを
2分間で滴下した後、同培地49. 7mlを2〜3分間
で常に攪拌しながら滴下し、細胞を分散させた。これを
遠心分離し、上清を完全に吸引除去した。次にこの沈殿
した細胞に37℃に加温したNS−1培地[除菌ろ過し
た15%(w/v)仔牛胎児血清(JRH Biosc
iences)含有RPMI1640培地]71mlを
速やかに加え、大きい細胞塊を注意深くピペッティング
で分散した。さらに同培地142mlを加えて希釈し、
ポリスチレン製96穴マイクロウェルにウェル当り6.
0×105 個/0. 1mlの細胞を加えた。細胞を加え
た上記マイクロウェルを7%炭酸ガス/93%空気中で
温度37℃、湿度100%で培養した。
【0077】d.選択培地によるハイブリドーマの選択
的増殖 (1)使用する培地は以下の通りである。 HAT培地:前記(c)(1)で述べたNS−1培地に
更にヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン
(0.4μM)およびチミジン(16μM)を加えた。 HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT
培地と同一組成のものである。 (2)前記(c)の培養開始後翌日(1日目)、細胞に
パスツールピペットでHAT培地2滴(約0. 1ml)
を加えた。2、3、5、8日目に培地の半分(約0. 1
ml)を新しいHAT培地で置き換え、11日目に培地
の半分を新しいHT培地で置き換えた。14日目にハイ
ブリドーマの生育が肉眼にて認められた全ウエルについ
て固相−抗体結合テスト法(ELISA)により陽性ウ
エルを調べて、抗ヒトTIMP−3ポリペプチド抗体産
生ハイブリドーマを検索した。すなわち、ポリスチレン
性96穴プレートを抗原としたポリペプチド(100n
g/ウエル)でそれぞれコートして固相化抗原とし、次
に洗浄用PBS(0.05%Tween20含有)を用
いて洗浄して未吸着のペプチドを除いた。さらに各ウエ
ルの未コート部分を1%BSAでブロックした。この各
ウエルにハイブリドーマの生育が確認されたウエルの上
清0. 1mlを添加し、室温で約1時間静置した。2次
抗体として西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)標識
ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Cappel La
b.)を加え、さらに室温で約1時間静置した。次に基
質である過酸化水素とο- フェニレンジアミンを加え、
発色の程度をマイクロプレート用吸光度測定機(MRP
−A4、東ソー)を用いて492nmの吸光度で測定し
た。
【0078】e.ハイブリドーマのクローニング 上記(d)で得られた抗原ペプチドに対する陽性ウエル
中の各ハイブリドーマを、限界希釈法を用いてモノクロ
ーン化した。すなわち、NS−1培地 1ml当りフィ
ーダーとして107 個のマウス胸腺細胞を含むクローニ
ング培地を調製し、96穴マイクロウエルにハイブリド
ーマをウエル当り5個、1個、0. 5個になるように希
釈し、それぞれ36穴、36穴、24穴に加えた。5日
目、12日目に全ウエルに約0. 1 mlのNS−1培
地を追加した。クローニング開始後約2週間で、肉眼的
に十分なハイブリドーマの生育を認め、コロニー形成陰
性ウエルが50%以上である群について(d)に記載し
たELISAを行った。調べた全ウエルが陽性でない場
合、抗体陽性ウエル中のコロニー数が1個のウエルを4
〜6個選択し、再クローニングを行った。最終的にポリ
ペプチド(配列番号:3、SWYRGWAPPDKSI
INATDP)に対するモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマが16クローン得られた。
【0079】f.モノクローナル抗体の精製 得られた各ハイブリドーマ細胞をNS−1培地で培養
し、その上清から濃度10〜100μg/mlのモノク
ローナル抗体を得ることができた。また、得られたハイ
ブリドーマの107 個を予め1週間前にプリスタンを腹
腔内投与したマウス(BALB/c系、♀、6週齢)に
同じく腹腔内投与し、1〜2週間後、腹水中からも4〜
7mg/mlのモノクローナル抗体を含む腹水を得るこ
とができた。得られた腹水を40%飽和硫酸アンモニウ
ムで塩析後、抗体をプロテインGゲル(Pharmac
ia)に吸着させ、0. 1Mグリシン−塩酸緩衝液(p
H2.7)で溶出することにより精製した。
【0080】g.モノクローナル抗体のクラス、サブク
ラスの決定 前述したELISAに従い、ポリペプチド(配列番号:
3、SWYRGWAPPDKSIINATDP)をコー
トしたマイクロタイトレーションプレートに、上記
(f)で得られたモノクローンの上清を加えた。次にP
BSで洗浄後、アイソタイプ特異的ウサギ抗マウスIg
G抗体(Zymed Lab. )を加えた。PBSによ
り洗浄後、西洋わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサ
ギIgG(H+L)を加え、基質として過酸化水素およ
び2,2’−アジノ−ジ(3−エチルベンゾチアゾリン
酸)を用いてクラス、サブクラスを決定した。モノクロ
ーナル抗体のアイソタイプを調べたところ、γ1/κが
6種、γ2a/κが4種、γ2b/κが2種、γ3/κ
が3種、μ/κが1種であった。
【0081】実施例4 抗ヒトTIMP−3ポリペプ
チド(配列番号:1)抗体の作製 a.抗原コンジュゲートの調製 0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した18
5.3nmoleのBSAにジメチルホルムアミド(D
MF)に溶解したEMCSをBSAの200倍モル量添
加し、30℃、30分間インキュベートした。上記混合
液を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化した
PD−10カラム(Pharmacia製)でゲルろ過
し、マレイミドが結合したBSAを分取し、1.36m
lに濃縮した。マレイミドが結合したBSAに対して5
0倍モル量の合成ポリペプチドCKKLVKEGPFG
TLVYT(0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)溶解
液)を混合し4℃、20時間インキュベートしポリペプ
チド−BSA複合体を調製した。
【0082】b.免疫及び抗体産生細胞の調製 ポリペプチド−BSA複合体を200μgを完全フロイ
ントアジュバントと共に、6週令BALB/c雌マウス
2匹にそれぞれ腹腔内投与し、初回免疫とした。その後
18日目に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解
した200μgのポリペプチド−BSA複合体を腹腔内
に投与し追加免疫した。最終免疫として、55日目に
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解したポリペ
プチド−BSA複合体を180μgを腹腔内に投与し、
3日後にマウス脾臓を取りだし脾細胞を調製した。
【0083】c.細胞融合及びクローニング 細胞融合は上記実施例3(c)に記載の方法と同様にし
て行った。融合には有核脾細胞6.1×108 個とミエ
ローマ細胞1.2×108 個を用いた。また選択培地に
よるハイブリドーマの選択的増殖、ハイブリドーマのク
ローニング、モノクローナル抗体の精製及びモノクロー
ナル抗体のクラス、サブクラスの決定は、それぞれ上記
実施例3(d)〜実施例3(g)に記載の方法と同様に
して行った。但し、ELISA法による抗ヒトTIMP
−3ポリペプチド抗体産生ハイブリドーマの検索には、
固相化抗原としてポリペプチド(配列番号:1、KKL
VKEGPFGTLVYT)100ng/ウエルでコー
トしたものを用いた。最終的にポリペプチド(配列番
号:1)に対するモノクローナル抗体を産生するハイブ
リドーマが4クローン得られた。モノクローナル抗体の
アイソタイプを調べたところ、γ1/κが4種であっ
た。
【0084】実施例5 抗ヒトTIMP−3ポリペプ
チド(配列番号:2)抗体の作製 a.抗原コンジュゲートの調製 0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した18
5.3nmoleのBSAにジメチルホルムアミド(D
MF)に溶解したEMCSをBSAの200倍モル量添
加し、30℃、30分間インキュベートした。上記混合
液を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化した
PD−10カラム(Pharmacia)でゲルろ過
し、マレイミドが結合したBSAを分取し1.36ml
に濃縮した。マレイミドが結合したBSAに対して50
倍モル量の合成ポリペプチドCYRGFTKMPHVQ
YIHTEAS(0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)
溶解液)を混合し4℃、20時間インキュベートしポリ
ペプチド−BSA複合体を調製した。
【0085】b.免疫及び抗体産生細胞の調製 ポリペプチド−BSA複合体を213μgを完全フロイ
ントアジュバントと共に、6週令BALB/c雌マウス
2匹にそれぞれ腹腔内投与し、初回免疫とした。その後
16日目に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解
した200μgのポリペプチド−BSA複合体を腹腔内
に投与し追加免疫した。その後51日目に0.1Mリン
酸緩衝液(pH6.0)に溶解した200μgのポリペ
プチド−BSA複合体を腹腔内に投与し追加免疫した。
最終免疫として、86日目に0.1Mリン酸緩衝液(p
H6.0)に溶解したポリペプチド−BSA複合体を2
00μgを腹腔内に投与し、3日後にマウス脾臓を取り
だし脾細胞を調製した。
【0086】c.細胞融合及びクローニング 細胞融合は上記実施例3(c)に記載の方法と同様にし
て行った。融合には有核脾細胞2.1×108 個とミエ
ローマ細胞4.1×107 個を用いた。また選択培地に
よるハイブリドーマの選択的増殖、ハイブリドーマのク
ローニング、モノクローナル抗体の精製及びモノクロー
ナル抗体のクラス、サブクラスの決定は、それぞれ上記
実施例3(d)〜実施例3(g)に記載の方法と同様に
して行った。但し、ELISA法による抗ヒトTIMP
−3ポリペプチド抗体産生ハイブリドーマの検索には、
固相化抗原としてポリペプチド(配列番号:2、YRG
FTKMPHVQYIHTEAS)100ng/ウエル
でコートしたものを用いた。最終的にポリペプチド(配
列番号:2)に対するモノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマが2クローン得られた。モノクローナル抗
体のアイソタイプを調べたところ、γ1/κが2種であ
った。
【0087】実施例6 抗ヒトTIMP−3ポリペプ
チド抗体の選択 得られた組換えヒトTIMP−3と抗ヒトTIMP−3
ポリペプチドモノクローナル抗体の反応性を調べた。 a.ウエスタン・ブロッティングによる選択 上記実施例1(f)で得られた組換えヒトTIMP−3
発現CHO 細胞株TRM−D又はTRM−1G12をFCS
不含のα-MEMで48時間培養後、その培養上清を回収す
る。培養上清を遠心し細胞残渣を除去した後、20倍ま
で濃縮し、SDS−PAGEに供し、ウエスタン・ブロ
ッティングを行い、各精製モノクローナル抗体と反応
後、HRP標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体(Ca
ppel Lab.)を用い間接法により免疫染色を行
った。得られた22クローンのうち8クローンが、24
kDaおよび27kDaの2バンドと反応した。結果を
表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】b.アフィニティーゲルによる選択 上記組換えヒトTIMP−3を抗原としたウエスタン・
ブロッティングで選択された8クローンの精製抗体を用
いて、0.2ml のアフィニティーゲルを調製した。各モノ
クローナル抗体 500μg を 200μl (乾燥重量60mg)の
膨潤したCNBr-activated Sepharose 4B (ファルマシア
バイオテク)に結合させて調製した。結合法は同ゲル
の基本的カップリング法に従った。組換えヒトTIMP
−3発現CHO 細胞株TRM−D又はTRM−1G12の
培養上清を供し、組換えヒトTIMP−3吸着能のある
クローンを検索した。0.1M NaCl,3mM C
aCl2 を含む30mM Tris−HCl緩衝液(p
H8.0)で平衡化した抗体結合セファロース4Bゲル
カラムに培養上清45mlを供し、平衡化バッファーで十
分洗浄した。吸着タンパク質は0.1Mグリシン−塩酸
(pH2.0)で溶出、直ちに3M Tris−HCl
(pH8.0)を添加し中和した。溶出画分をウルトラ
フリーC3LGC(ミリポア)で濃縮、SDS−PAG
Eに供しウエスタン・ブロッティング(136-13H4)を行い
24kDa あるいは27kDa のTIMP−3と反応するクロー
ンの選択を行った。 A) C 末端側抗ペプチド(CSWYRGWAPPDKS
IINATDP)抗体群から136-17B12 および136-18D8
を選択した。両クローンのゲルから溶出された組換えヒ
トTIMP−3には、27kDa および24kDa の両分子種が
みられた(図8)。また、136-13H4および136-23F2も組
換えヒトTIMP−3吸着能が認められた。 B) N 末端側抗ペプチド(CKKLVKEGPFGTL
VYT)抗体群から得られた143-3F2 は組換えヒトTI
MP−3吸着能が認められなかった。 C) N 末端側抗ペプチド(CYRGFTKMPHVQY
IHTEAS)抗体群から169-2E3 を選択した。溶出し
た組換えヒトTIMP−3は24kDa のものが主であった
(図8)。
【0090】実施例7 ヒト天然型TIMP−3の精
製 a.ECM画分の調製 2個のヒト胎盤から羊膜、臍帯を除去、ミンス機で細切
し0.1M NaCl及び5mM CaCl2 を含む5
0mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0) 1.
5リットルで懸濁した。ポリトロン・ホモジナイザーで
更に細断し、遠心操作(日立、RPR10−2ロータ
ー、10、000rpm、4℃、30分)で上清を除去
した。沈殿物を0.1M NaCl及び5mM CaC
2 を含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH
8.0) 1.5リットルで再懸濁し上記の操作を5回
繰り返し、可溶性成分の除去を行った。4M 尿素、
0.1MNaCl及び5mM CaCl2 を含む50m
M Tris−HCl緩衝液(pH8.0) 1リット
ルで懸濁し、1晩、4℃で撹拌、遠心操作(日立、RP
R10−2ローター、10、000rpm、4℃、30
分)で上清を回収した。上清は十分量の0.1M Na
Cl及び5mM CaCl2 を含む50mM Tris
−HCl緩衝液(pH8.0)に対して透析し、尿素を
除去しECM画分を得た。遠心操作で回収した沈殿物に
0.5リットルの4M 尿素、0.1MNaCl及び5
mM CaCl2 を含む50mM Tris−HCl緩
衝液(pH8.0)を加え再抽出し、同様の方法でEC
M画分を調製、1回目の抽出画分と合せて1.5リット
ルのECM画分を得た。
【0091】b.ヒトTIMP−3の精製 ECM画分50mlを0.1M NaCl及び5mM
CaCl2 を含む50mM Tris−HCl緩衝液
(pH8.0)で平衡化した40mlのCM52(ワッ
トマン)ゲルカラムに供し、平衡化緩衝液で十分洗浄し
た。1M NaCl及び5mM CaCl2 を含む50
mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)でCM5
2ゲルに吸着したタンパク質を溶出、回収した。溶出画
分を0.1% Brij35及び5mM CaCl2
含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)
で2倍に希釈、0.1M NaCl、0.05% Br
ij35及び5mM CaCl2 を含む50mM Tr
is−HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化した抗ヒト
TIMP−3モノクローナル抗体136−18D8結合
セファロース4Bゲルカラムに供し、平衡化緩衝液で十
分洗浄した。吸着タンパク質は0.1M グリシン−塩
酸(pH2.0)で溶出、直ちに3MTris−HCl
(pH8.0)を添加し中和した。抗ヒトTIMP−3
モノクローナル抗体136−18D8結合セファロース
4Bゲルカラムから溶出したタンパク質はSDS−PA
GE後、CBB染色およびウエスタン・ブロッティング
で分析された。この画分に含まれるヒトTIMP−3
は、24kDaと27kDaの2つの分子種で、またそ
の純度は、約60%と見積もった(表3)。
【0092】
【表3】
【0093】実施例8 サンドイッチEIA a.標識抗体の調製 7.3mgの抗ヒトTIMP−3モノクローナル抗体1
43−3F2(生工研受託番号FERM P−1540
6)及び0.1M NaClを含む0.1M酢酸緩衝液
(pH4.2)に抗体量の2%(w/w)のペプシンを
加え、37℃、24時間消化した。消化物に3MTri
s−HCl(pH7.5)を添加し、反応を停止した。
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したウル
トロゲルAcA54カラムによるゲルろ過でF(a
b’)2 画分を分取した。このF(ab’)2 画分に最
終濃度0.01Mとなるようにシステアミン塩酸塩を添
加し、37℃、1.5時間還元し、5mMEDTA含有
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したウル
トロゲルAcA54カラムによるゲルろ過でFab’画
分を分取した。上記の操作とは別に8.2mgのHRP
を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解、HRP
の25倍モル量のEMCSをDMF溶液として加え、3
0℃、30分間反応させた。これを0.1Mリン酸緩衝
液(pH6.0)で平衡化したNICK−5カラム(P
harmacia)でゲルろ過しマレイミド標識HRP
画分を分取した。Fab’画分とマレイミド標識HRP
を等モルとなるように両画分を混合し4℃、20時間反
応させた後、Fab’の10倍モル量のN−エチルマレ
イミドで未反応のチオール基をブロックした。これを
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化したウル
トロゲルAcA54カラムでゲルろ過し、Fab’−H
RP標識抗体を分取した。得られた143−3F2 F
ab’−HRP標識抗体は3.9mgであった。これに
0.1% BSAおよび0.001%クロルヘキシジン
を添加して4℃で保存した。
【0094】b.モノクローナル抗体結合担体の調製 抗ヒトTIMP−3モノクローナル抗体136−17B
12(生工研受託番号FERM P−15405)を
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、50μ
g/mlの濃度に調製した。このモノクローナル抗体溶
液を96穴マイクロプレートにウエルあたり100μl
ずつ加え、4℃、18時間静置した。モノクローナル抗
体溶液を除去し、生理食塩液で1回、0.05%Twe
en20、0.1M NaCl、5mM CaCl2
含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)
で3回洗浄後、1%BSA、0.1M NaCl、5m
MCaCl2 を含む50mM Tris−HCl緩衝液
(pH8.0)を加えブロッキングした。
【0095】c.1ステップサンドイッチEIA法 アフィニティー精製したヒトTIMP−3(タンパク質
濃度135μg/ml、純度60%、ヒトTIMP−3
含量80μg/ml)画分を標準抗原としてヒトTIM
P−3定量用標準曲線を作成した。標準ヒトTIMP−
3を320ng/mlとなるように1%BSA、0.0
5%Brij35、0.05%Tween20、0.1
M NaCl、5mM CaCl2 を含む50mM T
ris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈、これを同
緩衝液を用いて5ng/mlまで段階希釈して調製した
標準ヒトTIMP−3を60μlずつ分注、それぞれに
1%BSA、0.05%Brij35、0.05%Tw
een20、0.1M NaCl、5mM CaCl2
を含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.
0)で2μg/mlに調製した標識抗体143−3F2
Fab’−HRPを60μlずつ添加し十分混和し
た。調製した抗体結合マイクロプレートを0.05%T
ween20、0.1M NaCl、5mM CaCl
2 を含む50mMTris−HCl緩衝液(pH8.
0)で3回洗浄し、先に調製した標準抗原と標識抗体の
混合液を100μl/ウエルずつ添加した。室温で1時
間反応した後0.05%Tween20、0.1M N
aCl、5mM CaCl2 を含む50mM Tris
−HCl緩衝液(pH8.0)で3回洗浄した。次に、
0.02%過酸化水素含有0.1Mクエン酸−リン酸緩
衝液(pH4.9)に溶解した1.2mg/ml o−
フェニレンジアミンをウエルあたり100μl添加し、
室温で20分間反応後、2N硫酸を100μl添加し反
応を停止した。この反応混液のA492をマイクロプレ
ートリーダーを用いて測定し、標準曲線を求めた。得ら
れた標準曲線を図9に示した。
【0096】実施例9 添加回収試験 実施例8に記載した方法に準じて以下のように添加回収
試験を行った。標準ヒトTIMP−3を320ng/m
lとなるように10%ヒト正常血清、1%BSA、0.
05%Brij35、0.05%Tween20、0.
1M NaCl、5mM CaCl2 を含む50mM
Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈、これを
同緩衝液を用いて40ng/mlまで段階希釈して調製
した標準品添加検体を60μlずつ分注、それぞれに1
%BSA、0.05%Brij35、0.05%Twe
en20、0.1M NaCl、5mM CaCl2
含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)
で2μg/mlに調製した標識抗体143−3F2 F
ab’−HRPを60μlずつ添加し十分混和した。一
方、標準ヒトTIMP−3を320ng/mlとなるよ
うに1%BSA、0.05%Brij35、0.05%
Tween20、0.1M NaCl、5mM CaC
2 を含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH
8.0)で希釈、これを同緩衝液を用いて40ng/m
lまで段階希釈して調製した標準品を60μlずつ分
注、それぞれに10%ヤギ正常血清、1%BSA、0.
05%Brij35、0.05%Tween20、0.
1M NaCl、5mM CaCl2 を含む50mM
Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で2μg/ml
に調製した標識抗体143−3F2 Fab’−HRP
を60μlずつ添加し十分混和した。標準品添加検体お
よび標準品と標識抗体の混合液の最終ヒトTIMP−3
添加量は16、8および4ng/ウエルとなる。調製し
た抗体結合マイクロプレートを0.05%Tween2
0、0.1M NaCl及び5mM CaCl2 を含む
50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で3
回洗浄し、標準品添加検体および標準品と標識抗体の混
合液を100μl/ウエルずつ添加した。室温で1時間
反応した後0.05%Tween20、0.1M Na
Cl及び5mM CaCl2 を含む50mM Tris
−HCl緩衝液(pH8.0)で3回洗浄した。次に、
0.02%過酸化水素含有0.1Mクエン酸−リン酸緩
衝液(pH4.9)に溶解した1.2mg/ml o−
フェニレンジアミンをウエルあたり100μl添加し、
室温で20分間反応後、2N硫酸を100μl添加し反
応を停止した。この反応混液のA492をマイクロプレ
ートリーダーを用いて測定し、標準曲線を求めた。得ら
れた標準曲線から標準品添加検体から回収されたヒトT
IMP−3量を算出し回収率を求めた(表4)。
【0097】
【表4】
【0098】実施例10 ELISAおよびウエスタ
ン・ブロッティングによる特異性試験 (1)陽性抗原としてヒトTIMP−3、陰性抗原とし
てヒトTIMP−1およびヒトTIMP−2のそれぞれ
を炭酸緩衝液(pH9.6)で500ng/mlに調製
し96穴マイクロプレートにウエルあたり100μlず
つ加え、4℃、18時間静置した。抗原溶液を除去し、
0.05%Tween20を含む0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で3回洗浄後、1%BSAを含む0.1
Mリン酸緩衝液(pH7.0)を加え室温で1時間静置
しブロッキングした。0.05%Tween20を含む
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で3回洗浄後、1
%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で
100ng/mlに希釈した抗ヒトTIMP−3モノク
ローナル抗体、抗ヒトTIMP−1モノクローナル抗体
および抗ヒトTIMP−2モノクローナル抗体をウエル
あたり100μlずつ加え、室温で1時間反応した。
0.05%Tween20を含む0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で3回洗浄後、1%BSAを含む0.1
Mリン酸緩衝液(pH7.0)で1/3000に希釈し
たHRP標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体(Cap
ple Lab.)をウエルあたり100μlずつ加
え、室温で1時間反応した。0.05%Tween20
を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で3回洗浄
後、0.02%過酸化水素含有0.1Mクエン酸−リン
酸緩衝液(pH4.9)に溶解した1.2mg/ml
o−フェニレンジアミンをウエルあたり100μl添加
し、室温で20分間反応後、2N硫酸を100μl添加
し反応を停止した。この反応混液のA492をマイクロ
プレートリーダーを用いて測定した。結果を表5に示
す。この結果から、抗ヒトTIMP−3モノクローナル
抗体がいずれも、ヒトTIMP−3に特異的に反応する
ことが確認された。
【0099】
【表5】
【0100】(2)ウエスタン・ブロッティング;陽性
抗原としてヒトTIMP−3、陰性抗原としてヒトTI
MP−1およびヒトTIMP−2のそれぞれを500n
g/レーンでSDS−PAGEに供し、ウエスタン・ブ
ロッティングを行い、抗ヒトTIMP−3モノクローナ
ル抗体と反応後、HRP標識ヤギ抗マウス免疫グロブリ
ン抗体(Capple Lab.)を用い間接法により
免疫染色を行った。抗ヒトTIMP−3モノクローナル
抗体136−13H4および136−23F2はヒトT
IMP−3のみと反応した。
【0101】実施例11 サンドイッチEIAによる
特異性試験 陽性抗原としてヒトTIMP−3を10ng/ウエル、
陰性抗原としてヒトTIMP−1およびヒトTIMP−
2をそれぞれ10ng/ウエルで実施例8に記載した方
法に準じてサンドイッチEIAに供し特異性試験を行っ
た。A492はヒトTIMP−3で1.250、ヒトT
IMP−1で0.034、ヒトTIMP−2で0.00
9を示し、本実施例記載のサンドイッチEIAがTIM
P−3を特異的に検出することを示した。
【0102】実施例12 サンドイッチEIAによる
TIMP−3の検出 組織ホモジネートを検体としたサンドイッチEIAによ
るTIMP−3の検出を実施例8に記載した方法に準じ
て行った。検体組織2gを氷冷下の0.1MNaCl、
5mM CaCl2 を含む50mM Tris−HCl
緩衝液(pH8.0,20ml)中でハサミを用いて細
切し、ポリトロン・ホモジナイザーでさらに細断、遠心
で上清を除去した。沈殿物を2mlの0.05%Bri
j35、0.05%Tween20、0.1M NaC
l、5mM CaCl2 を含む50mM Tris−H
Cl緩衝液(pH8.0)に懸濁した。調製した組織ホ
モジネート6μlを54μlの0.05%Brij3
5、0.05%Tween20、0.1M NaCl、
5mM CaCl2 を含む50mM Tris−HCl
緩衝液(pH8.0)で希釈、1%BSA、0.05%
Brij35、0.05%Tween20、0.1M
NaCl、5mM CaCl2 を含む50mM Tri
s−HCl緩衝液(pH8.0)で2μg/mlに調製
した標識抗体143−3F2 Fab’−HRPを60
μlずつ添加し十分混和した。調製した抗体結合マイク
ロプレートを0.05%Tween20、0.1M N
aCl、5mM CaCl2 を含む50mM Tris
−HCl緩衝液(pH8.0)で3回洗浄し、検体と標
識抗体の混合液を100μl/ウエルずつ添加した。室
温で1時間反応した後0.05%Tween20、0.
1M NaCl、5mMCaCl2 を含む50mM T
ris−HCl緩衝液(pH8.0)で3回洗浄した。
次に、0.02%過酸化水素含有0.1Mクエン酸−リ
ン酸緩衝液(pH4.9)に溶解した1.2mg/ml
o−フェニレンジアミンをウエルあたり100μl添
加し、室温で20分間反応後、2N硫酸を100μl添
加し反応を停止した。この反応混液のA492をマイク
ロプレートリーダーを用いて測定した。卵巣癌1検体と
胎盤6検体でTIMP−3が検出された。なお、明細書
中、配列番号:8はヒトTIMP−3と実質的に同一の
活性を有するタンパク質中のアミノ酸配列をコードする
塩基配列を示し、同様に配列番号:9はヒトTIMP−
3と実質的に同一の活性を有するタンパク質中のアミノ
酸配列を示していると考えられる。配列番号:10はヒ
トTIMP−1タンパク質のアミノ酸配列をコードする
塩基配列を示し、配列番号:11はヒトTIMP−1タ
ンパク質のアミノ酸配列を示している。配列番号:12
はヒトTIMP−1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP
−3融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするキメラ
遺伝子の塩基配列を示し、配列番号:13はヒトTIM
P−1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP−3融合タン
パク質のアミノ酸配列を示している。
【0103】
【発明の効果】本発明で、新規なかつ天然由来で正常細
胞由来のヒトTIMP−3またはヒトTIMP−3と実
質的に同一の活性を有するタンパク質をコードする遺伝
子を得ることができたことにより、該遺伝子を含有する
ベクター、該ベクターを含有する形質転換体を得ること
ができヒトTIMP−3またはヒトTIMP−3と実質
的に同一の活性を有するタンパク質を大量に製造して得
ることが可能になった。さらにまた本発明では、TIM
P−3に特異的に免疫反応するモノクローナル抗体、該
モノクローナル抗体の製造方法などが提供されたことに
より、該モノクローナル抗体を用いての、ヒトTIMP
−3の免疫学的測定方法、該測定のための試薬及びヒト
TIMP−3の精製方法が実施できる。こうして簡便
性、再現性、定量性にすぐれたTIMP−3の定性的及
び定量的測定が可能となる。特にTIMP−3をタンパ
ク質レベルで特異的かつ高感度に検出、定量できる。そ
してTIMP−3が関与する各種疾患の研究および診断
の有効な手段となる。天然型あるいは正常細胞由来のヒ
トTIMP−3またはヒトTIMP−3と実質的に同一
の活性を有するタンパク質を癌細胞の有無、癌の悪性度
の診断等の癌の診断治療に関わる研究、さらには医薬用
途に用いる道を開くことが可能となった。
【0104】
【配列表】
【配列番号:1】 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 配列の種類:合成ポリペプチド 配列 Lys Lys Leu Val Lys Glu Gly Pro Phe Gly Thr Leu Val Tyr Thr 1 5 10 15
【0105】
【配列番号:2】 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 配列の種類:合成ポリペプチド 配列 Tyr Arg Gly Phe Thr Lys Met Pro His Val Gln Tyr Ile His Thr Glu 1 5 10 15 Ala Ser 18
【0106】
【配列番号:3】 配列の長さ:19 配列の型:アミノ酸 配列の種類:合成ポリペプチド 配列 Ser Trp Tyr Arg Gly Trp Ala Pro Pro Asp Lys Ser Ile Ile Asn Ala 1 5 10 15 Thr Asp Pro 19
【0107】
【配列番号:4】 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸、合成DNA 配列 AGGATCCGAG CATGCACATG CTCGCCCAGC 30
【0108】
【配列番号:5】 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸、合成DNA 配列 ATCTAGACTC AGGGGTCTGT GGCATTGATG 30
【0109】
【配列番号:6】 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸、合成DNA 配列 TGGGACACAG GTGCATGCCC TGCT 24
【0110】
【配列番号:7】 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:その他の核酸、合成DNA 配列 GAAGTCCAGC AGACCACCTT A 21
【0111】
【配列番号:8】 配列の長さ:567 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:ヒト 配列 TGCACATGCT CGCCCAGCCA CCCCCAGGAC GCCTTCTGCA ACTCCGACAT CGTGATCCGG 60 GCCAAGGTGG TGGGGAAGAA GCTGGTAAAG GAGGGGCCCT TCGGCACGCT GGTCTACACC 120 ATCAAGCAGA TGAAGATGTA CCGAGGCTTC ACCAAGATGC CCCATGTGCA GTACATCCAT 180 ACGGAAGCTT CCGAGAGTCT CTGTGGCCTT AAGCTGGAGG TCAACAAGTA CCAGTACCTG 240 CTGACAGGTC GCGTCTATGA TGGCAAGATG TACACGGGGC TGTGCAACTT CGTGGAGAGG 300 TGGGACCAGC TCACCCTCTC CCAGCGCAAG GGGCTGAACT ATCGGTATCA CCTGGGTTGT 360 AACTGCAAGA TCAAGTCCTG CTACTACCTG CCTTGCTTTG TGACTTCCAA GAACGAGTGT 420 CTCTGGACCG ACATGCTCTC CAATTTCGGT TACCCTGGCT ACCAGTCCAA ACACTACGCC 480 TGCATCCGGC AGAAGGGCGG CTACTGCAGC TGGTACCGAG GATGGGCCCC CCCGGATAAA 540 AGCATCATCA ATGCCACAGA TCCCTGA 567
【0112】
【配列番号:9】 配列の長さ:188 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質 起源 生物名:ヒト 配列 Cys Thr Cys Ser Pro Ser His Pro Gln Asp Ala Phe Cys Asn Ser Asp 1 5 10 15 Ile Val Ile Arg Ala Lys Val Val Gly Lys Lys Leu Val Lys Glu Gly 20 25 30 Pro Phe Gly Thr Leu Val Tyr Thr Ile Lys Gln Met Lys Met Tyr Arg 35 40 45 Gly Phe Thr Lys Met Pro His Val Gln Tyr Ile His Thr Glu Ala Ser 50 55 60 Glu Ser Leu Cys Gly Leu Lys Leu Glu Val Asn Lys Tyr Gln Tyr Leu 65 70 75 80 Leu Thr Gly Arg Val Tyr Asp Gly Lys Met Tyr Thr Gly Leu Cys Asn 85 90 95 Phe Val Glu Arg Trp Asp Gln Leu Thr Leu Ser Gln Arg Lys Gly Leu 100 105 110 Asn Tyr Arg Tyr His Leu Gly Cys Asn Cys Lys Ile Lys Ser Cys Tyr 115 120 125 Tyr Leu Pro Cys Phe Val Thr Ser Lys Asn Glu Cys Leu Trp Thr Asp 130 135 140 Met Leu Ser Asn Phe Gly Tyr Pro Gly Tyr Gln Ser Lys His Tyr Ala 145 150 155 160 Cys Ile Arg Gln Lys Gly Gly Tyr Cys Ser Trp Tyr Arg Gly Trp Ala 165 170 175 Pro Pro Asp Lys Ser Ile Ile Asn Ala Thr Asp Pro 180 185 188
【0113】
【配列番号:10】 配列の長さ:624 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:ヒト 配列 ATGGCCCCCT TTGAGCCCCT GGCTTCTGGC ATCCTGTTGT TGCTGTGGCT GATAGCCCCC 60 AGCAGGGCCT GCACCTGTGT CCCACCCCAC CCACAGACGG CCTTCTGCAA TTCCGACCTC 120 GTCATCAGGG CCAAGTTCGT GGGGACACCA GAAGTCAACC AGACCACCTT ATACCAGCGT 180 TATGAGATCA AGATGACCAA GATGTATAAA GGGTTCCAAG CCTTAGGGGA TGCCGCTGAC 240 ATCCGGTTCG TCTACACCCC CGCCATGGAG AGTGTCTGCG GATACTTCCA CAGGTCCCAC 300 AACCGCAGCG AGGAGTTTCT CATTGCTGGA AAACTGCAGG ATGGACTCTT GCACATCACT 360 ACCTGCAGTT TCGTGGCTCC CTGGAACAGC CTGAGCTTAG CTCAGCGCCG GGGCTTCACC 420 AAGACCTACA CTGTTGGCTG TGAGGAATGC ACAGTGTTTC CCTGTTTATC CATCCCCTGC 480 AAACTGCAGA GTGGCACTCA TTGCTTGTGG ACGGACCAGC TCCTCCAAGG CTCTGAAAAG 540 GGCTTCCAGT CCCGTCACCT TGCCTGCCTG CCTCGGGAGC CAGGGCTGTG CACCTGGCAG 600 TCCCTGCGGT CCCAGATAGC CTGA 624
【0114】
【配列番号:11】 配列の長さ:207 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質 起源 生物名:ヒト 配列 Met Ala Pro Phe Glu Pro Leu Ala Ser Gly Ile Leu Leu Leu Leu Trp 1 5 10 15 Leu Ile Ala Pro Ser Arg Ala Cys Thr Cys Val Pro Pro His Pro Gln 20 25 30 Thr Ala Phe Cys Asn Ser Asp Leu Val Ile Arg Ala Lys Phe Val Gly 35 40 45 Thr Pro Glu Val Asn Gln Thr Thr Leu Tyr Gln Arg Tyr Glu Ile Lys 50 55 60 Met Thr Lys Met Tyr Lys Gly Phe Gln Ala Leu Gly Asp Ala Ala Asp 65 70 75 80 Ile Arg Phe Val Tyr Thr Pro Ala Met Glu Ser Val Cys Gly Tyr Phe 85 90 95 His Arg Ser His Asn Arg Ser Glu Glu Phe Leu Ile Ala Gly Lys Leu 100 105 110 Gln Asp Gly Leu Leu His Ile Thr Thr Cys Ser Phe Val Ala Pro Trp 115 120 125 Asn Ser Leu Ser Leu Ala Gln Arg Arg Gly Phe Thr Lys Thr Tyr Thr 130 135 140 Val Gly Cys Glu Glu Cys Thr Val Phe Pro Cys Leu Ser Ile Pro Cys 145 150 155 160 Lys Leu Gln Ser Gly Thr His Cys Leu Trp Thr Asp Gln Leu Leu Gln 165 170 175 Gly Ser Glu Lys Gly Phe Gln Ser Arg His Leu Ala Cys Leu Pro Arg 180 185 190 Glu Pro Gly Leu Cys Thr Trp Gln Ser Leu Arg Ser Gln Ile Ala 195 200 205
【0115】
【配列番号:12】 配列の長さ:636 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:ヒト 配列 ATGGCCCCCT TTGAGCCCCT GGCTTCTGGC ATCCTGTTGT TGCTGTGGCT GATAGCCCCC 60 AGCAGGGCAT GCACATGCTC GCCCAGCCAC CCCCAGGACG CCTTCTGCAA CTCCGACATC 120 GTGATCCGGG CCAAGGTGGT GGGGAAGAAG CTGGTAAAGG AGGGGCCCTT CGGCACGCTG 180 GTCTACACCA TCAAGCAGAT GAAGATGTAC CGAGGCTTCA CCAAGATGCC CCATGTGCAG 240 TACATCCATA CGGAAGCTTC CGAGAGTCTC TGTGGCCTTA AGCTGGAGGT CAACAAGTAC 300 CAGTACCTGC TGACAGGTCG CGTCTATGAT GGCAAGATGT ACACGGGGCT GTGCAACTTC 360 GTGGAGAGGT GGGACCAGCT CACCCTCTCC CAGCGCAAGG GGCTGAACTA TCGGTATCAC 420 CTGGGTTGTA ACTGCAAGAT CAAGTCCTGC TACTACCTGC CTTGCTTTGT GACTTCCAAG 480 AACGAGTGTC TCTGGACCGA CATGCTCTCC AATTTCGGTT ACCCTGGCTA CCAGTCCAAA 540 CACTACGCCT GCATCCGGCA GAAGGGCGGC TACTGCAGCT GGTACCGAGG ATGGGCCCCC 600 CCGGATAAAA GCATCATCAA TGCCACAGAC CCCTGA 636
【0116】
【配列番号:13】 配列の長さ:211 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質 起源 生物名:ヒト 配列 Met Ala Pro Phe Glu Pro Leu Ala Ser Gly Ile Leu Leu Leu Leu Trp 1 5 10 15 Leu Ile Ala Pro Ser Arg Ala Cys Thr Cys Ser Pro Ser His Pro Gln 20 25 30 Asp Ala Phe Cys Asn Ser Asp Ile Val Ile Arg Ala Lys Val Val Gly 35 40 45 Lys Lys Leu Val Lys Glu Gly Pro Phe Gly Thr Leu Val Tyr Thr Ile 50 55 60 Lys Gln Met Lys Met Tyr Arg Gly Phe Thr Lys Met Pro His Val Gln 65 70 75 80 Tyr Ile His Thr Glu Ala Ser Glu Ser Leu Cys Gly Leu Lys Leu Glu 85 90 95 Val Asn Lys Tyr Gln Tyr Leu Leu Thr Gly Arg Val Tyr Asp Gly Lys 100 105 110 Met Tyr Thr Gly Leu Cys Asn Phe Val Glu Arg Trp Asp Gln Leu Thr 115 120 125 Leu Ser Gln Arg Lys Gly Leu Asn Tyr Arg Tyr His Leu Gly Cys Asn 130 135 140 Cys Lys Ile Lys Ser Cys Tyr Tyr Leu Pro Cys Phe Val Thr Ser Lys 145 150 155 160 Asn Glu Cys Leu Trp Thr Asp Met Leu Ser Asn Phe Gly Tyr Pro Gly 165 170 175 Tyr Gln Ser Lys His Tyr Ala Cys Ile Arg Gln Lys Gly Gly Tyr Cys 180 185 190 Ser Trp Tyr Arg Gly Trp Ala Pro Pro Asp Lys Ser Ile Ile Asn Ala 195 200 205 Thr Asp Pro 210
【図面の簡単な説明】
【図1】 TIMP-3のcDNAおよびアミノ酸配列とPCR プラ
イマーとの関係を示す。なお、ヒトTIMP−3のcDNA
配列は、Apte et al., Genomics, 19, 86-90.(1994) に
開示されたもの及びそれから予測されるアミノ酸配列を
示した。矢印はPCR プライマーの伸張方向を示す。
【図2】 ヒト胎盤cDNAライブラリーからPCR増
幅により得られたヒトTIMP−3をコードするDNA
を挿入断片として含有するクローニング・ベクターの構
築を示す。またヒトTIMP-1分泌シグナル−成熟型ヒトTI
MP-3キメラ遺伝子を挿入断片として含有するクローニン
グ・ベクターの構築を示す。
【図3】 TIMP-1のcDNAおよびアミノ酸配列とPCR プラ
イマーとの関係を示す。ここではベクターpFYK3 にクロ
ーニングされたヒトTIMP−1のcDNAとアミノ酸配列
を示した。PCR プライマーの伸張の方向を矢印で示し
た。PCR プライマー JR1は、ヒトTIMP−1の分泌シ
グナル領域と成熟型ヒトTIMP−1の境界(アミノ酸
配列SRA/CTCVP)をまたぐよう設計した。分泌
シグナルのC 末端側に1 塩基置換(C→t)を入れ制限酵素
サイト(SphI; GCAtGC)を導入した。
【図4】 ヒトTIMP-1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP-3
キメラ遺伝子を示す。ここではpTSHT3にサブクローニン
グされたヒトTIMP−1分泌シグナル- 成熟型ヒトT
IMP−3キメラ遺伝子の塩基配列とアミノ酸配列を示
した。下線部の制限酵素SphIサイトでヒトTIMP−1
分泌シグナル遺伝子と成熟型ヒトTIMP−3遺伝子が
連結されている。
【図5】 ヒトTIMP-1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP-3
キメラ遺伝子を挿入断片として含有するヒトTIMP−
3発現ベクターの構成を示す。
【図6】 ヒトTIMP-1分泌シグナル−成熟型ヒトTIMP-3
キメラ遺伝子を挿入断片として含有するヒトTIMP−
3発現ベクターの構成を示す。
【図7】 実施例1.e.でヒトTIMP−1分泌シグ
ナル−成熟型ヒトTIMP−3キメラ遺伝子を挿入して
得られたベクターで大腸菌を形質転換し、β- gal−
ヒトTIMP−3融合タンパク質を発現させ、得られた
形質転換大腸菌のライゼートをSDS−PAGEにかけ
CBB染色して得られた結果を示す。レーン1はβ- g
alを発現する大腸菌のライゼート、レーン2はβ- g
al−ヒトTIMP−3融合タンパク質を発現する大腸
菌のライゼートである。レーン1では約116kDaの
β- galの発現が認められ、レーン2では約140k
Daのβ- gal−ヒトTIMP−3融合タンパク質の
発現が認められる。
【図8】 組換えCHO細胞株TRM−1G12から発
現により得られた組換えヒトTIMP−3の抗体アフィ
ニティーゲル(136−17B12、136−18D8
及び169−2E3)よりの溶出物を抗ヒトTIMP−
3モノクローナル抗体と反応後、HRP標識ヤギ抗マウ
ス免疫グロブリン抗体で免疫染色するウエスタン・ブロ
ッティングの結果を示す。
【図9】 アフィニティー精製したヒトTIMP−3
(タンパク質濃度135μg/ml、純度60%、ヒト
TIMP−3含量80μg/ml)画分を標準抗原とし
て1ステップサンドイッチEIA法により作成されたヒ
トTIMP−3の標準曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/02 C12P 21/08 15/09 ZNA G01N 33/53 D C12P 21/02 V 21/08 33/577 B G01N 33/53 C12N 5/00 B 9282−4B 15/00 C 33/577 9282−4B ZNAA //(C12N 1/15 C12R 1:85) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 吉田 真一 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TIMP−3に特異的に免疫反応するモ
    ノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 8個から19個のアミノ酸からなるTI
    MP−3に特有なアミノ酸配列で親水性を示すアミノ酸
    配列を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応す
    ることを特徴とする請求項1記載のモノクロナール抗
    体。
  3. 【請求項3】 ヒトTIMP−3のKKLVKEGPF
    GTLVYT(R26−40;配列番号:1)のアミノ
    酸配列又はその一部を含む領域を特異的に認識し、ヒト
    TIMP−3と免疫反応することを特徴とする請求項1
    記載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 ヒトTIMP−3のYRGFTKMPH
    VQYIHTEAS(R47−64;配列番号:2)の
    アミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に認識
    し、ヒトTIMP−3と免疫反応することを特徴とする
    請求項1記載のモノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】 ヒトTIMP−3のSWYRGWAPP
    DKSIINATDP(R170−188;配列番号:
    3)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域を特異的に
    認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応することを特徴と
    する請求項1記載のモノクローナル抗体。
  6. 【請求項6】 ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖
    の付加のない分子種と特異的に免疫反応することを特徴
    とする請求項1記載のモノクローナル抗体。
  7. 【請求項7】 ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖
    の付加のある分子種と特異的に免疫反応することを特徴
    とする請求項1記載のモノクローナル抗体。
  8. 【請求項8】 ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖鎖
    の付加のない分子種と糖鎖の付加のある分子種を共通し
    て認識し、両分子種と免疫反応することを特徴とする請
    求項1記載のモノクローナル抗体。
  9. 【請求項9】 ヒトTIMP−3に特有なアミノ酸配列
    を有するポリペプチドで免疫したマウスの抗体生産細胞
    とマウスミエローマ細胞との融合により得られたハイブ
    リドーマを培養し、得られた培養上清またはマウス腹水
    中からモノクローナル抗体を得ることを特徴とするTI
    MP−3に特異的に免疫反応するモノクローナル抗体の
    製造法。
  10. 【請求項10】 ヒトTIMP−3に特異的に免疫反応
    するモノクローナル抗体を含むことを特徴とするヒトT
    IMP−3の免疫学的測定用試薬。
  11. 【請求項11】 ヒトTIMP−3に特異的に免疫反応
    するモノクローナル抗体を測定試薬として用いることを
    特徴とするヒトTIMP−3の免疫学的測定方法。
  12. 【請求項12】 実質的に異なる2つのヒトTIMP−
    3の抗原決定基に対し、それぞれ特異的に結合するモノ
    クローナル抗体の少なくとも2種を組み合わせて測定試
    薬として用いることを特徴とする請求項11記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 測定試薬として(i)ヒトTIMP−
    3のKKLVKEGPFGTLVYT(R26−40;
    配列番号:1)のアミノ酸配列又はその一部を含む領域
    を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応するモ
    ノクローナル抗体および(ii)ヒトTIMP−3のS
    WYRGWAPPDKSIINATDP(R170−1
    88;配列番号:3)のアミノ酸配列又はその一部を含
    む領域を特異的に認識し、ヒトTIMP−3と免疫反応
    するモノクローナル抗体を少なくとも用いることを特徴
    とする請求項11記載の方法。
  14. 【請求項14】 測定試薬としてヒトTIMP−3のう
    ちアミノ酸に糖鎖の付加のない分子種と特異的に免疫反
    応することを特徴とする請求項6記載のモノクローナル
    抗体を用い、アミノ酸に糖鎖の付加のないヒトTIMP
    −3を特異的に測定することを特徴とする請求項11記
    載の方法。
  15. 【請求項15】 測定試薬としてヒトTIMP−3のう
    ちアミノ酸に糖鎖の付加のある分子種と特異的に免疫反
    応することを特徴とする請求項7記載のモノクローナル
    抗体を用い、アミノ酸に糖鎖の付加のあるヒトTIMP
    −3を特異的に測定することを特徴とする請求項11記
    載の方法。
  16. 【請求項16】 測定試薬としてヒトTIMP−3のう
    ちアミノ酸に糖鎖の付加のない分子種と糖鎖の付加のあ
    る分子種と免疫反応することを特徴とする請求項8記載
    のモノクローナル抗体を用い、ヒトTIMP−3を測定
    することを特徴とする請求項11記載の方法。
  17. 【請求項17】 測定試薬として(i)ヒトTIMP−
    3のうちアミノ酸に糖鎖の付加のない分子種と免疫反応
    することを特徴とする請求項6記載のモノクローナル抗
    体および(ii)ヒトTIMP−3のうちアミノ酸に糖
    鎖の付加のある分子種と免疫反応することを特徴とする
    請求項7記載のモノクローナル抗体の混合物を用い、ヒ
    トTIMP−3を測定することを特徴とする請求項11
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 ヒトTIMP−3またはヒトTIMP
    −3と実質的に同一の活性を有するタンパク質、あるい
    はその塩。
  19. 【請求項19】 ヒトTIMP−3がヒト胎盤に由来す
    るものである請求項18記載のタンパク質。
  20. 【請求項20】 ヒト胎盤に由来すると共に可溶性のタ
    ンパク質であることを特徴とする請求項18記載のタン
    パク質。
  21. 【請求項21】 蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のな
    い分子種のものであることを特徴とする請求項19記載
    のタンパク質。
  22. 【請求項22】 蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のあ
    る分子種のものであることを特徴とする請求項19記載
    のタンパク質。
  23. 【請求項23】 蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のな
    い分子種と蛋白質中のアミノ酸に糖鎖の付加のある分子
    種との混合物であることを特徴とする請求項19記載の
    タンパク質。
  24. 【請求項24】 TIMP−3またはTIMP−3と実
    質的に同一の活性を有する可溶性タンパク質をコードす
    る遺伝子。
  25. 【請求項25】 TIMP−3またはTIMP−3と実
    質的に同一の活性を有するタンパク質をコードする遺伝
    子を含有し且つヒトTIMP−1の分泌シグナルをコー
    ドする遺伝子とTIMP−3の成熟タンパク質をコード
    する遺伝子とが連結されていることを特徴とする可溶性
    タンパク質をコードする遺伝子。
  26. 【請求項26】 請求項24または25記載の遺伝子を
    含有することを特徴とするベクター。
  27. 【請求項27】 請求項26記載のベクターを含有する
    ことを特徴とする形質転換体。
  28. 【請求項28】 宿主細胞が大腸菌、酵母、CHO細胞
    及びCOS細胞からなる群から選ばれたものであること
    を特徴とする請求項27記載の形質転換体。
  29. 【請求項29】 請求項27記載の形質転換体を培養
    し、可溶性の分泌タンパク質としてTIMP−3または
    TIMP−3と実質的に同一の活性を有するタンパク質
    を発現させることを特徴とする組換えタンパク質の製造
    方法。
  30. 【請求項30】 ヒトTIMP−3と免疫反応するモノ
    クローナル抗体を用いることを特徴とするヒトTIMP
    −3の精製方法。
  31. 【請求項31】 ヒトTIMP−3と免疫反応するモノ
    クローナル抗体結合アフィニティーゲルを用い、該ヒト
    TIMP−3と免疫反応するモノクローナル抗体がヒト
    TIMP−3のYRGFTKMPHVQYIHTEAS
    (R47−64;配列番号:2)のアミノ酸配列又はそ
    の一部を含む領域を特異的に認識するものであることを
    特徴とする請求項30記載のヒトTIMP−3の精製方
    法。
  32. 【請求項32】 ヒトTIMP−3と免疫反応するモノ
    クローナル抗体結合アフィニティーゲルを用い、該ヒト
    TIMP−3と免疫反応するモノクローナル抗体がヒト
    TIMP−3のSWYRGWAPPDKSIINATD
    P(R170−188;配列番号:3)のアミノ酸配列
    又はその一部を含む領域を特異的に認識するものである
    ことを特徴とする請求項30記載のヒトTIMP−3の
    精製方法。
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