JPH0987299A - Mmp−2活性化因子に特異的なモノクローナル抗体 - Google Patents

Mmp−2活性化因子に特異的なモノクローナル抗体

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JPH0987299A
JPH0987299A JP8200985A JP20098596A JPH0987299A JP H0987299 A JPH0987299 A JP H0987299A JP 8200985 A JP8200985 A JP 8200985A JP 20098596 A JP20098596 A JP 20098596A JP H0987299 A JPH0987299 A JP H0987299A
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Akira Shinagawa
朗 品川
Motoharu Seiki
元治 清木
Hiroshi Sato
博 佐藤
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Fuji Yakuhin Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 癌細胞の有無、癌の悪性度の診断等の癌の診
断治療に関わる研究に有用な診断手段に、さらにその他
の医学的生理学的用途に有用な、新規なタンパク質に対
する抗体、特にはモノクローナル抗体を提供する。 【解決手段】 ヒト癌細胞表層で特異的に発現している
潜在型MMP−2の活性化能を有し且つMMPの一種で
あるMT−MMP−1以外の潜在型MMP−2活性化因
子であるMT−MMP−3に特異的に結合するモノクロ
ーナル抗体、そのMT−MMP−3をコードする塩基配
列を含有するDNA、該DNAで形質転換せしめた宿主
細胞、該宿主細胞を用いる該マトリックスメタロプロテ
アーゼの製造方法、さらにはそれらタンパク質及び抗体
の用途。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は癌細胞の有無、癌の
悪性度の診断等の癌の診断治療に関わる研究に有用な診
断手段として、あるいはその他の医学的生理学的用途に
有用な、新規なタンパク質及びそれをコードする遺伝子
に関するものである。特に本発明は、潜在型MMP−2
の活性化能を有するMMPの一種であるMT−MMP−
1以外の潜在型MMP−2活性化因子である新規な膜結
合型タンパク質及びそれをコードする遺伝子に関する。
さらに詳しくは、本発明はヒト癌細胞表層で特異的に発
現している新規マトリックスメタロプロテアーゼ〔本発
明で明らかにされた新規マトリックスメタロプロテアー
ゼをMT−MMP−3(Membrane−TypeM
atrix metalloproteinase−
3)と命名する〕、それをコードする塩基配列を含有す
るDNA、該DNAで形質転換せしめた宿主細胞、該宿
主細胞を用いる該マトリックスメタロプロテアーゼの製
造方法、該マトリックスメタロプロテアーゼタンパク質
に特異的に結合するモノクローナル抗体、さらにはそれ
らタンパク質及び抗体の用途に関するものである。
【0002】
【従来技術】原発巣組織内に存在する癌細胞が浸潤、転
移するためには、その周囲に存在する細胞外マトリック
スが、癌細胞の移動の障害になる。したがって、癌細胞
が組織を浸潤し転移するには、原発巣からの遊離、周辺
の細胞外マトリックスの破壊が必要となる。癌細胞の転
移は、その後基底膜の破壊、血管への侵入、侵出、二次
臓器への生着、増殖等の段階を経て成立する。癌細胞の
転移の障壁となっている細胞外マトリックスは、IV型
コラーゲン、プロテオグリカン、エラスチン、フィブロ
ネクチン、ラミニン、ヘパラン硫酸等の複雑な成分から
構成されているが、この細胞外マトリックスの分解に
は、基質特異性を異にするマトリックスメタロプロテア
ーゼ(以下MMPと略記する)と総称される一群の酵素
が関与している。
【0003】これまでにMMPとして間質型コラゲナー
ゼ(MMP−1)、72kDa ゼラチナーゼ(IV型
コラゲナーゼあるいはゼラチナーゼAともいう:MMP
−2)、92kDa ゼラチナーゼ(IV型コラゲナー
ゼあるいはゼラチナーゼBともいう:MMP−9)、ス
トロムライシン−1(MMP−3)、マトリライシン
(MMP−7)、好中球コラゲナーゼ(MMP−8)、
ストロムライシン−2(MMP−10)、ストロムライ
シン−3(MMP−11)等が報告されている(Cri
t.Rev.Oral.Biol.Med.,4:19
7〜250,1993)。これらのMMPはファミリー
を形成し、遺伝子の一次構造は既に報告されている。こ
れらのMMPのcDNAデータから推定されるアミノ酸
配列には相同性が認められており、基本的に分泌産生時
に除かれるN末端のシグナルペプチドに続き、プロペプ
チドドメイン、Zn+ 結合触媒ドメイン、5〜50アミ
ノ酸よりなるプロリンに富んだヒンジドメイン、C−末
端のヘモペキシン凝血酵素様ドメインから構成されてい
る。MMP−7においてはヘモペキシン凝血酵素様ドメ
インはない。MMP−2とMMP−9では、この他にゼ
ラチン結合ドメインを含んでいる。
【0004】これらのMMPのうち、基底膜の主要構造
体であるIV型コラーゲンを主たる基質とするIV型コ
ラゲナーゼ(MMP−2とMMP−9)は、高転移性の
癌細胞における高い発現が数多く報告され、癌細胞の基
底膜浸潤への関与が提唱されてきた(Cell.,6
4:327〜336,1991)。MMPの活性発現調
節は、少なくとも転写レベル、酵素活性を示さない潜在
型酵素から活性型酵素への活性化の段階、MMPの特異
的阻害剤であるティシュ インヒビター オブメタロプ
ロテアーゼ(TIMP)による活性調節などといった段
階で行われていると考えられている(Trends G
enet.,6:121〜125,1990)。全ての
MMPは不活性な潜在型として分泌されるが、In v
itroの実験では、MMP−1、MMP−9の活性化
は、プラスミン、トリプシン、カテプシンG等のセリン
プロテアーゼによって生じることが示されており、さら
に、MMP−9の活性化が活性型MMP−3の作用によ
っても引き起こされることが報告されている(J.Bi
ol.Chem.,267:3581〜3584,19
92)。しかしながら、MMP−2が上述のプロテアー
ゼの切断部位を持たないため、MMP−2の活性化は、
これらによっては起こらないと考えられている(Cur
r.Opin.Cell Biol.,5:891〜8
97,1993)。
【0005】一方、これらのMMPは、必ずしも癌細胞
だけから産生されている訳ではなく、周辺の線維芽細胞
や炎症細胞からもそれぞれ異なるMMPが産生されてい
ることも報告されている(Breast Cancer
Res.Treat.,24:209〜218,19
93.Curr.Opin.Cell Biol.,
5:891〜897,1993)。中でもMMP−2
は、組織構築の改変を伴うような様々な部位の線維芽細
胞で発現しているが、正常組織と癌組織のMMP−2を
比較するとその活性化が癌組織で特異的に生じているこ
とが肺癌の例等で報告されている(Clin.Exp.
Metastasis,11:183〜189,199
3)。MMP−9では、活性型が検出される頻度は低
い。また、癌細胞の浸潤の先端(invadopodi
a)で活性型MMP−2が局在することがIn vit
roの実験系で示され、癌細胞浸潤における重要性が示
唆されている(Cancer Res.,53:315
9〜3164,1993.Breast Cancer
Res. Treat.,53:3159〜316
4,1994)。
【0006】この様な背景から、MMP−2の活性化機
構が注目されてきたが、前述の様にMMP−1、MMP
−9の活性化がトリプシンなどのセリンプロテアーゼで
誘導されるのに対し、MMP−2の活性化機構は不明で
あり、特に活性化因子は同定されていなかった。MMP
−2の産生細胞であるHT1080細胞をコンカナバリ
ンAや12−ο−tetradecanoylphor
bol 13−acetate(TPA)で処理すると
活性型MMP−2が培養上清に出現することが知られて
おり、これらの細胞では、MMP−2の活性化因子が誘
導されていると考えられる(J.Natl.Cance
r Inst.85:1758〜1764,1993.
Clin.Exp.Metastasis.,11:1
83〜189.1993)。このMMP−2の活性化が
細胞膜画分により誘導されること、キレート剤やTIM
Pによって活性化が抑制されることから、活性化因子は
膜結合型のMMPの1種であることが想定された(J.
Biol.Chem.,268:14033〜1403
9,1993)。
【0007】本発明者らは、先に遺伝子工学的手法によ
り新規なMMP遺伝子のクローニングを行い、C末端に
典型的なトランスメンブレン・ドメインを持ち、MMP
−2を活性化する新しいMMPをコードする遺伝子をク
ローニングした(Nature,370:61〜65,
1994)。実際、この遺伝子を培養細胞で発現させる
と、その遺伝子産物は分泌されることなく細胞膜上に局
在したことから、本発明者らはこういったMMPをMT
−MMP(membrane−type MMP)と命
名した。これまで述べてきたようにMMPとりわけMM
P−2は、その活性型が癌細胞特異的に見出されること
から、抗癌、癌などに対する抗転移薬の標的として益々
認識されつつある。しかしながら、MMP−2は正常組
織においても潜在型として比較的恒常的に存在すること
から、活性発現調節は活性化酵素への活性化の過程にあ
り、その鍵を握る活性化因子の探索、同定は癌の診断、
悪性度の判定マーカー及び癌などに対する抗転移薬剤の
標的として極めて重要であるとすることができる。
【0008】また、アルツハイマー病の発症に関与する
βアミロイドタンパク質の切断におけるMMP−2の関
与が指摘されている。βアミロイドタンパク質はアミロ
イドタンパク質前駆体の一部であり、βアミロイドタン
パク質領域は、その1/4がアミロイドタンパク質前駆
体の膜貫通領域に含まれ、残りは細胞外に出ている。最
近、アミロイドタンパク質前駆体の複数の代謝が明らか
にされたが、その一つは、αセクレターゼと呼ばれるプ
ロテアーゼによりβアミロイドタンパク質領域内を切断
され、細胞外放出されるものである。最近、MMP−2
にαセクレターゼ様のβアミロイドタンパク質分解活性
が見出され、MMP−2がαセクレターゼあるいは細胞
外でのβアミロイドタンパク質分解酵素として機能して
いる可能性が指摘されている(Nature,362:
839,1993)。βアミロイドタンパク質は、アル
ツハイマー病患者の脳で観察される老人斑の主成分であ
り、βアミロイドタンパク質の自己凝集と沈着により老
人斑のコアを形成する。アルツハイマー病の患者の脳で
はβアミロイドタンパク質分解酵素の機能低下が生じて
いる可能性もあることからMMP−2が注目されている
が、やはりその鍵を握るのはMMP−2の活性化の過程
である。先に本発明者らが同定したMT−MMP(新た
に、ここで「MT−MMP−1」と名付けられた)はM
MP−2の活性化因子であると考えられるが、MT−M
MP−1のような未知のMMPが存在することは、細胞
外マトリックスには多様な構成成分が存在することから
も充分に予想され、MT−MMP−1以外のMMP−2
の活性化因子の存在も否定できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、潜在型MM
P−2の活性化能を有するMMPの一種であり且つMT
−MMP−1以外であって潜在型MMP−2活性化能を
有する潜在型MMP−2活性化因子である新規なタンパ
ク質及びそれをコードする遺伝子、該潜在型MMP−2
活性化因子である新規なタンパク質の製造方法及び該タ
ンパク質及び該遺伝子の用途等を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、潜在型M
MP−2の活性化が癌細胞膜画分により誘導されるこ
と、キレート剤やTIMPによって活性化が抑制される
ことから活性化因子は膜結合型のMMPの1種であると
想定されていることに着目し、先に潜在型MMP−2活
性化能を有する新規なMMPをコードする遺伝子を単離
したが、これ以外にもMMP−2の活性化因子として作
用するMMPや生化学的に既知のMMPと異なるMMP
が存在するのではないかと考え、遺伝子工学的手法を用
い種々研究した結果、新たな潜在型MMP−2活性化能
を有するMMPをコードする遺伝子を単離することに成
功し、本発明を完成させるに至った。
【0011】現在まで、潜在型MMP−2の活性化能を
有するMMPとしてMT−MMP−1が知られていた
が、それ以外の潜在型MMP−2活性化因子については
同定されていなかった。本発明者により新規な潜在型M
MP−2活性化因子たるMMPの遺伝子がクローニング
され、遺伝子塩基配列およびアミノ酸配列の全てが明ら
かにされるに至った。本発明者らは、この新規なMMP
を当初MT−MMP−2と命名した(平成7年(199
5年)7月14日に日本国に出願された特願平7−20
0319号並びに特願平7−200320号)が、ゴー
ドン リサーチコンファレンス オン マトリックス
メタロプロテアーゼズ(アンドーバーエヌエイチ 19
95年7月16−21日)〔Gordon Research Conferen
ce onMatrix Metalloproteinases (Andover, NH July 1
6-21, 1995)〕において、このものは新たに「MT−M
MP−3」と呼ぶべきものとされ、そこに於いて「MT
−MMP−3」と呼称するとの合意がなされた(ザ ジ
ャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー (The
Journal of Biological Chemistry), Vol. 270,pp.230
13-23020 (1995))。したがって、本MT−MMP−3
は、特願平7−200319号並びに特願平7−200
320号に記載のMT−MMP−2と同一のものを指し
ているのである。
【0012】すなわち、本発明は新規なタンパク質、M
T−MMP−3及びその類縁体に関わるものである。さ
らに本発明は新規なMT−MMP−3の全体又は一部を
コードするDNA配列、このようなDNA配列を有する
ベクター及びこのようなベクターで形質転換又はトラン
スフェクションされた宿主細胞にも関する。さらに組換
えMT−MMP−3の製造法及びその用途も包含してい
る。またMT−MMP−3に特異的に結合する抗体にも
関する。別の観点からは上記の産物を用いた測定試薬、
その試薬を用いた測定方法にも関する。特には、生体内
及び生体外でのMT−MMP−3を測定する手法も提供
される。本発明は、潜在型MMP−2の活性化能を有す
るMMPの一種であるがMT−MMP−1以外の潜在型
MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質
的に同等な活性を有するタンパク質またはその塩、その
タンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それ
らをコードする遺伝子、例えばDNA、RNAなど、そ
の遺伝子を遺伝子組換え技術で操作することが可能なよ
うに含有しているベクターあるいはプラスミド、こうし
たベクターなどで形質転換された宿主細胞、その宿主細
胞を、培養して該タンパク質またはその塩を製造する方
法、こうして得られた該タンパク質またはその塩やその
タンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩を用い
て得られた抗体、特にはモノクローナル抗体、その抗体
を産生するハイブリドーマ細胞、該単離された遺伝子、
例えばDNA、RNAなどをプローブとして用いたり、
あるいは該抗体を用いた測定診断手段に関する。
【0013】特には本発明は、潜在型MMP−2の活性
化能を有するMMPの一種であるがMT−MMP−1以
外の潜在型MMP−2活性化因子である天然のMT−M
MP−3と実質的に同等な活性を有するタンパク質また
はその塩、そのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまた
はその塩、それらをコードする遺伝子、例えばDNA、
RNAなど、その遺伝子を遺伝子組換え技術で操作する
ことが可能なように含有しているベクターあるいはプラ
スミド、こうしたベクターなどで形質転換された宿主細
胞、その宿主細胞を、培養して該タンパク質またはその
塩を製造する方法、こうして得られた該タンパク質また
はその塩やそのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまた
はその塩を用いて得られた抗体、特にはモノクローナル
抗体、その抗体を産生するハイブリドーマ細胞、該単離
された遺伝子、例えばDNA、RNAなどをプローブと
して用いたり、あるいは該抗体を用いた測定診断手段に
関する。好ましくは、本発明では、配列表の配列番号:
2で表されるアミノ酸配列又はそれと実質的に同等のア
ミノ酸配列を有することを特徴とするMT−MMP−3
またはその塩が挙げられる。
【0014】本発明に従えば、次のような態様、すなわ
ち(1)潜在型MMP−2の活性化能を有するMMPの
一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型MMP−
2活性化因子である天然のMT−MMPと実質的に同等
な活性を有することを特徴とするタンパク質またはその
塩、(2)該タンパク質がMT−MMP−3またはその
塩と、実質的に同等な活性を有するか、あるいは実質的
に同等の一次構造コンフォメーションを持つものである
ことを特徴とする上記第(1)項記載のタンパク質、
(3)C末端領域に、配列表の配列番号:2のAla
561 〜Phe584 で表されるアミノ酸配列又はそれと実
質的に同等のアミノ酸配列を有することを特徴とする上
記第(1)又は(2)項記載のタンパク質、(4)配列
表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列又はそれと実
質的に同等のアミノ酸配列を有するMT−MMP−3ま
たはその塩であることを特徴とする上記第(1)〜
(3)項のいずれか一記載のタンパク質、(5)外因性
DNA配列を原核生物において発現して得たものである
か、あるいは真核生物で発現させて得たものであること
を特徴とする上記第(1)〜(4)項のいずれか一記載
のタンパク質、(6)配列表の配列番号:2で表される
アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するこ
とを特徴とする上記第(1)〜(5)項のいずれか一記
載のタンパク質、(7)上記第(1)〜(6)項のいず
れか一記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
【0015】(8)上記第(1)〜(7)項のいずれか
一記載のタンパク質又はその部分ペプチドをコードする
塩基配列を有することを特徴とする核酸、(9)上記第
(2)〜(4)項のいずれか一記載のMT−MMP−3
をコードする塩基配列を有するDNA遺伝子であること
を特徴とする上記第(8)項記載の核酸、(10)配列
表の配列番号:1で表される塩基配列のうちオープンリ
ーディングフレーム部分又はそれと実質的に同等な活性
を有する塩基配列を有することを特徴とする上記第
(8)又は(9)項記載の核酸、(11)上記第(8)
〜(10)項のいずれか一記載の核酸を含有することを
特徴とするベクター、(12)上記第(8)〜(10)
項のいずれか一記載の核酸又は上記第(11)項記載の
ベクターを保有することを特徴とする形質転換体、及び
(13)上記第(12)項記載の形質転換体を増殖可能
な栄養培地中で培養し、組換えタンパク質としてMT−
MMP−3またはその塩を包含する上記第(1)〜
(6)項のいずれか一記載のタンパク質又はその部分ペ
プチドを生成せしめることを特徴とするMT−MMP−
3またはその塩を包含する上記第(1)〜(6)項のい
ずれか一記載のタンパク質又はその部分ペプチドの製造
方法が提供される。
【0016】本発明は、(14)潜在型MMP−2の活
性化能を有するMMPの一種であり且つMT−MMP−
1以外の潜在型MMP−2活性化因子である天然のMT
−MMPと実質的に同等な活性を有することを特徴とす
るタンパク質又はその塩あるいはその部分ペプチド又は
その塩に対する抗体、(15)MT−MMP−3または
その塩と、実質的に同等な活性を有するか、あるいは実
質的に同等の一次構造コンフォメーションを持つもので
あるタンパク質に対する抗体であることを特徴とする上
記第(14)項記載の抗体、(16)配列表の配列番
号:2で表されるアミノ酸配列又はそれと実質的に同等
のアミノ酸配列を有するMT−MMP−3又はその塩で
あるタンパク質に対する抗体であることを特徴とする上
記第(14)又は(15)項記載の抗体、(17)外因
性DNA配列を原核生物において発現して得たものであ
るか、あるいは真核生物で発現させて得たものであるタ
ンパク質に対する抗体であることを特徴とする上記第
(14)〜(16)項のいずれか一記載の抗体、(1
8)配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列と実
質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質に対する
抗体であることを特徴とする上記第(14)〜(17)
項のいずれか一記載の抗体、(19)タンパク質の部分
ペプチド又はその塩に対する抗体であることを特徴とす
る上記第(14)〜(18)項のいずれか一記載の抗
体、(20)抗血清であることを特徴とする上記第(1
4)〜(19)項のいずれか一記載の抗体、(21)モ
ノクローナル抗体であることを特徴とする上記第(1
4)〜(19)項のいずれか一記載の抗体、(22)M
T−MMP−3又はその塩に対するモノクローナル抗体
であることを特徴とする上記第(14)〜(19)及び
(21)項のいずれか一記載の抗体、
【0017】(23)潜在型MMP−2の活性化能を有
するMMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜
在型MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと
実質的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク
質又はその塩あるいはその部分ペプチド又はその塩を抗
原として用い、それに対する抗体を得ることを特徴とす
る潜在型MMP−2の活性化能を有するMMPの一種で
あり且つMT−MMP−1以外の潜在型MMP−2活性
化因子である天然のMT−MMPと実質的に同等な活性
を有するタンパク質又はその部分ペプチドに対する抗体
の製造方法、(24)潜在型MMP−2の活性化能を有
するMMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜
在型MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと
実質的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク
質又はその塩あるいはその部分ペプチド又はその塩で免
疫した動物から得られた、潜在型MMP−2の活性化能
を有するMMPの一種であり且つMT−MMP−1以外
の潜在型MMP−2活性化因子である天然のMT−MM
Pと実質的に同等な活性を有することを特徴とするタン
パク質又はその部分ペプチドに対する抗体を産生する細
胞を、継代培養可能な細胞と融合せしめ、継代培養可能
でかつMT−MMP−3を包含するタンパク質に対する
抗体を産生するハイブリッド細胞を選別することを特徴
とする上記第(21)又は(22)項記載の抗体の産生
方法、(25)潜在型MMP−2の活性化能を有するM
MPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型M
MP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質的
に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質又は
その塩あるいはその部分ペプチド又はその塩を試薬とし
て用いるか、あるいは上記第(14)〜(22)項のい
ずれか一記載の抗体を試薬として用いることを特徴とす
るMT−MMP−3の検出・測定方法、(26)上記第
(25)項のMT−MMP−3の検出・測定方法に用い
る標識化されたMT−MMP−3に対する抗体、(2
7)上記第(25)項のMT−MMP−3の検出・測定
方法に用いる潜在型MMP−2の活性化能を有するMM
Pの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型MM
P−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質的に
同等な活性を有するタンパク質又はその塩あるいはその
部分ペプチド又はその塩であることを特徴とする標識化
されたタンパク質あるいは部分ペプチド又はその塩、
(28)MT−MMP−3発現細胞あるいは組織の検出
・測定方法に用いる潜在型MMP−2の活性化能を有す
るMMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在
型MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実
質的に同等な活性を有するタンパク質又はその部分ペプ
チドをコードすることを特徴とする標識化された核酸、
及び(29)ハイブリダイゼーション・プローブである
ことを特徴とする上記第(28)項記載の核酸を提供す
る。
【0018】本発明に従えば、特に次のような態様、す
なわち(30)配列表の配列番号:2で表されるアミノ
酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列を有する
ことを特徴とするMT−MMP−3またはその塩、(3
1)上記第(30)項記載のMT−MMP−3の部分ペ
プチドまたはその塩、(32)上記第(30)項記載の
MT−MMP−3をコードする塩基配列を有するDNA
遺伝子、(33)配列表の配列番号:1で表される塩基
配列を有する上記第(32)項記載のDNA遺伝子、
(34)上記第(32)項記載の遺伝子を含有するベク
ター、(35)上記第(32)項記載の遺伝子又は上記
第(34)項記載のベクターを保有する形質転換体、及
び(36)上記第(35)項記載の形質転換体を増殖可
能な栄養培地中で培養し、組換えタンパク質としてMT
−MMP−3またはその塩を生成せしめることを特徴と
するMT−MMP−3またはその塩の製造方法、(3
7)上記第(30)項記載のMT−MMP−3又はその
塩あるいはその部分ペプチド又はその塩を抗原として用
い、それに対する抗体を得ることを特徴とするMT−M
MP−3に対する抗体の製造方法が提供される。
【0019】特に本発明は、(38)上記第(31)項
記載のMT−MMP−3に対する抗体、(39)抗血清
であることを特徴とする上記第(38)項記載のMT−
MMP−3に対する抗体、(40)モノクローナル抗体
であることを特徴とする上記第(38)項記載のMT−
MMP−3に対する抗体、(41)上記第(30)項記
載のMT−MMP−3又はその塩あるいはその部分ペプ
チド又はその塩で免疫した動物から得られたMT−MM
P−3に対する抗体を産生する細胞を、継代培養可能な
細胞と融合せしめ、継代培養可能でかつMT−MMP−
3に対する抗体を産生するハイブリッド細胞を選別する
ことを特徴とする上記第(40)項記載のMT−MMP
−3に対するモノクローナル抗体の産生方法、(42)
上記第(30)項記載のMT−MMP−3又はその塩あ
るいはその部分ペプチド又はその塩を試薬として用いる
か、あるいは上記第(38)項記載のMT−MMP−3
に対する抗体を試薬として用いることを特徴とするMT
−MMP−3の検出・測定方法、(43)上記第(4
2)項記載のMT−MMP−3の検出・測定方法に用い
る標識化されたMT−MMP−3又はその塩あるいはそ
の部分ペプチド又はその塩、及び(44)上記第(4
2)項記載のMT−MMP−3の検出・測定方法に用い
る標識化されたMT−MMP−3に対する抗体を提供す
る。
【0020】
【発明の実施の形態】潜在型MMP−2の活性化能を有
するMMPの一種であるがMT−MMP−1以外の潜在
型MMP−2活性化因子である天然のMT−MMP(例
えば、MT−MMP−3)と実質的に同等な活性を有す
るタンパク質またはその塩、そのタンパク質の特徴的な
部分ペプチドまたはその塩、それらをコードする遺伝
子、例えばDNA、RNAなど、その遺伝子を遺伝子組
換え技術で操作することが可能なように含有しているベ
クターあるいはプラスミド、こうしたベクターなどで形
質転換された宿主細胞、その宿主細胞を、培養して該タ
ンパク質またはその塩を製造する方法、こうして得られ
た該タンパク質またはその塩やそのタンパク質の特徴的
な部分ペプチドまたはその塩を用いて得られた抗体、特
にはモノクローナル抗体、その抗体を産生するハイブリ
ドーマ細胞、該単離された遺伝子、例えばDNA、RN
Aなどをプローブとして用いたり、あるいは該抗体を用
いた測定診断手段が提供される。
【0021】より具体的には、本発明は配列表の配列番
号:2で表されるアミノ酸配列を有することを特徴とす
るMT−MMP−3またはその塩を提供する。本発明の
MT−MMP−3としては、潜在型MMP−2の活性化
能を有するMMPの一種であり且つMT−MMP−1以
外であって潜在型MMP−2活性化能を有することを特
徴とし潜在型MMP−2活性化因子でかつ新規なアミノ
酸配列を有するものであればよい。より好ましくは本発
明のMT−MMP−3としては、配列表の配列番号:2
で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列
を有するものがすべて挙げられる。さらに本発明のMT
−MMP−3としては、プレ部分として配列中のアミノ
酸番号1位のMetから21位のPheまでのアミノ酸
配列の一部または全部を有していてもよく、プロ部分と
してアミノ酸番号22位のPheから119位のArg
までのアミノ酸配列の一部または全部を有していてもよ
い。こうした配列を有するものはすべて包含されてよ
い。本発明のMT−MMP−3は、配列表の配列番号:
1で表される塩基配列の113から115位のATGか
ら1922から1924位のGTGより構成される塩基
配列にコードされるもの(1925から1927位の終
止コドンTGAは、TAAまたはTAGでも有りうる)
であることができるし、また、該塩基配列と相同性を有
するが、MT−MMP−1以外の配列を持ち且つ潜在型
MMP−2の活性化能を有するといったそれと同効の塩
基配列を含有するDNA配列でコードされるものである
ことができる。該MT−MMP−3の塩基配列は、修飾
(例えば、付加、除去、置換など)されることもでき、
そうした修飾されたものも包含されてよい。
【0022】配列表の配列番号:1で表される塩基配列
またはそれと同効の塩基配列を含有する本発明のDNA
は、例えば以下に示す方法によって取得した。なお、遺
伝子組換え技術は、例えばT. Maniatis et al.,"Molecu
lar Cloning", 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laborato
ry, Cold Spring Harbor, N. T. (1989);日本生化学会
編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京
化学同人(1986);日本生化学会編、「新生化学実
験講座2、核酸III(組換えDNA技術)」、東京化
学同人(1992);R. Wu ed., "Methods in Enzymol
ogy", Vol. 68,Academic Press, New York (1980);R.
Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100 &
101, Academic Press, New York (1983);R. Wu et a
l. ed.,"Methods in Enzymology", Vol. 153, 154 & 15
5, Academic Press, New York (1987) などに記載の方
法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるいはそ
れらと実質的に同様な方法や改変法により行うことがで
きる。
【0023】種々のヒト組織(胎盤、口腔癌、肺癌等)
あるいは培養細胞(ヒト線維肉腫細胞HT1080、ヒ
ト単球性白血病細胞U937等)からmRNAを単離す
る。特に好適にヒト口腔癌細胞よりmRNAを単離でき
る。mRNAの単離は、当該分野で公知の方法あるいは
それと実質的に同様な方法や改変法により行うことがで
きるが、T. Maniatis et al.,"Molecular Cloning", 2n
d Ed., Chapter 7, Cold Spring Harbor Laboratory, C
old Spring Harbor, N. T. (1989); L. Grossman et a
l. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 12, Part A &
B, Academic Press, New York (1968); S. L. Berger
et al. ed., "Methods in Enzymology",Vol. 152, p.33
& p.215, Academic Press, New York (1987);Biochemi
stry, 18, 5294-5299, 1979 などに記載の方法、例えば
グアニジン−塩化セシウム法、チオシアン酸グアニジン
法、フェノール法などの方法で行うことが出来る。必要
に応じ、得られた全RNAはオリゴ(dT)−セルロー
スカラムなどを使用して精製してポリ(A)+ mRNA
を得ることが出来る。このmRNA及び逆転写酵素を用
いてcDNAを作製する。mRNA及び逆転写酵素を用
いてのcDNA合成は当該分野で公知の方法あるいはそ
れと実質的に同様な方法や改変法により行うことができ
るが、H. Land et al., "Nucleic Acids Res.", Vol.
9, 2251 (1981); U. Gubler et al., "Gene", Vol. 2
5, 263-269 (1983); S. L. Berger et al. ed., "Metho
ds in Enzymology", Vol. 152, p.307, AcademicPress,
New York (1987) などに記載の方法が挙げられる。
【0024】こうして作製されたcDNAを基にcDN
Aライブラリーを構築できる。またファージベクターを
使用する以外で、大腸菌などの宿主細胞の形質転換をす
るには、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシウム
法など当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に
同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J. Mol.
Biol., Vol. 166, p.557 (1983) など)。さらに市販の
種々ヒト組織由来cDNAライブラリー(例えば、CL
ONTECHなどより入手可能)を直接使用することも
できる。作製されたcDNAを鋳型にPCR増幅反応を
行う。典型的な場合、既知のMMPファミリーのアミノ
酸配列から選択した、高度に保存されているアミノ酸配
列を基に、デジェネレイテッド・プライマーを作製す
る。プライマーの作製は、当該分野で知られた方法で行
うことができ、例えばDNA自動合成装置を用い、フォ
スフォジエステル法、フォスフォトリエステル法、フォ
スフォアミダイト法などにより合成できる。このプライ
マーと上記作製したcDNAとを用い、PCRを行う。
PCR反応は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実
質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、
例えば R. Saiki, etal., Science, Vol. 230, pp. 135
0 (1985); R. Saiki, et al., Science, Vol.239, pp.
487 (1985);PCRテクノロジー (PCR Technology) ,
ストックトンプレス (Stockton Press) などに記載され
た方法に従って行うことができる。
【0025】得られたPCR産物をクローニングし、得
られたPCR産物の塩基配列を決定し、新規なMMP遺
伝子配列を有するDNA断片を取得する。塩基配列の決
定は、ダイデオキシ法、例えばM13ダイデオキシ法な
ど、Maxam-Gilbert 法などを用いて行うことができる
が、市販のシークエンシングキット、例えば Taqダイプ
ライマーサイクルシークエンシングキットなどを用いた
り、自動塩基配列決定装置、例えば蛍光DNAシーケン
サー装置などを用いて行うことが出来る。特にはこのD
NA断片をプローブに種々のヒト組織(胎盤、口腔癌、
肺癌等)あるいは培養細胞(ヒト線維肉腫細胞HT10
80、ヒト単球性白血病細胞U937等)から構築され
たcDNAライブラリーをスクリーニングし、塩基配列
の決定から目的とするDNAを単離することができる。
好ましくは胎盤cDNAライブラリーをスクリーニング
し、塩基配列の決定をして目的とするDNAを単離す
る。なお、プローブなどを放射性同位体などによって標
識するには、市販の標識キット、例えばランダムプライ
ムドDNAラベリングキット (Boehringer Mannhaim)な
どを使用して行うことが出来る。
【0026】以下にさらに詳細に記述する。本発明者ら
は、既知のMMPファミリーの触媒ドメイン中から選択
した高度に保存されているアミノ酸配列GEADILV
及びGDAHFDDDEを基に、次の配列を有する5’
プライマー、 5P−4 配列番号:3 SGNVVNGCWGAYATMRTSAT (配列中、S=C又はG、N=A又はC又はG又はT、
V=A又はC又はG、W=A又はT、Y=C又はT、M
=A又はC、R=A又はGのそれぞれのミックスド・ベ
ースを示す)及び次の配列を有する3’プライマー、 3P−2 配列番号:4 YTCRTSNTCRTCRAARTGRRHRTCY
CC (配列中、Y=C又はT、R=A又はG、S=C又は
G、N=A又はC又はG又はT、H=A又はC又はTの
それぞれのミックスドベースを示す)を設計、合成し
た。なお、上記の配列のうち、S、N、V、W、Y、
M、R及びHはそこに複数の塩基を導入すること、そし
てその結果マルチプルなヌクレオチド配列を生ずること
を示している。プライマーはMMPファミリーに特徴的
な領域のアミノ酸配列に基づいてデザインし、合成し、
使用することが出来る。
【0027】これらのプライマーとヒト口腔癌細胞から
調製したcDNAライブラリーを用い、PCR反応を行
った。プライマーのデザインから予想されるサイズ(9
0から120b. p. )を持つところの得られたPCR
産物をサブクローニングし、塩基配列を決定した結果、
MMP−1、MMP−9と同一な配列を持つPCR産物
以外に、既知のMMPと相同性を有するが、配列が新規
な93b. p. のDNA断片を得た。同様にこれらプラ
イマーと各種のヒト細胞由来のcDNAライブラリーを
用いて、MMP−1、MMP−9と同一な配列を持つP
CR産物以外に、既知のMMPと相同性を有するが、配
列が新規なPCR産物を検索することもできる。この9
3b. p. DNA断片をプローブとして、ヒト胎盤cD
NAライブラリーのスクリーニングを行い、2. 1kb
のDNA断片が得られた。この断片の塩基配列の決定か
ら配列表の配列番号:1で表される塩基配列が得られ
た。配列表の配列番号:1で表される塩基配列と同一の
配列は、GENEBANK/EMBL DNA Dat
a Base中には存在せず、この塩基配列を有するD
NAは全く新規なものであることが認められた。
【0028】配列表の配列番号:1で表される塩基配列
を有する上記のクローンの塩基配列は、3' 非翻訳配列
と共に推定604個のアミノ酸残基をコードするオープ
ンリーディングフレームを有していた。開始コドンのす
ぐ下流から推定されるシグナル配列が続き、C末端のア
ミノ酸番号561から584に24個の疎水性アミノ酸
の連続した膜結合型タンパク質に特徴的な疎水性領域の
存在が認められた。こうして得られた新規MMPを「M
T−MMP−3」と命名した(本発明者等は当初MT−
MMP−2と呼称した(平成7年7月14日日本国出願
の特願平7−200319号並びに特願平7−2003
20号)が、ゴードン リサーチ コンファレンス オ
ン マトリックス メタロプロテアーゼズ(アンドーバ
ー エヌエイチ 1995年7月16−21日)〔Gord
on Research Conference on Matrix Metalloproteinase
s (Andover, NH July 16-21, 1995)〕の会合での合意に
基づいて新たにMT−MMP−3と呼ぶことになっ
た)。
【0029】MT−MMP−3遺伝子産物の確認を、M
T−MMP−3遺伝子をトランスフェクションしたCO
S−1細胞などの適した動物細胞などを用いて行った。
この外来遺伝子を哺乳動物などの動物細胞に導入する方
法としては当該分野で知られた方法あるいはそれと実質
的に同様な方法で行うことができ、例えばリン酸カルシ
ウム法(例えば、F. L. Graham et al., "Virology", V
ol. 52, pp.456 (1973) など)、DEAE−デキストラ
ン法(例えば、D. Warden et al., "J. Gen. Virol.",
Vol. 3, pp.371 (1968) など)、エレクトロポレーショ
ン法(例えば、E. Neumann et al., "EMBO J", Vol. 1,
pp.841 (1982)など)、マイクロインジェクション法、
リボソーム法、ウイルス感染法、ファージ粒子法などが
挙げられる。こうしてMT−MMP−3遺伝子をトラン
スフェクションされた動物細胞の産生する遺伝子産物を
抗MT−MMP−3モノクローナル抗体を用いた免疫沈
降実験で解析した結果、細胞溶解物から64kDaのタ
ンパク質が免疫沈降されたのに対し、培養上清からは相
当するタンパク質は検出されなかった。すなわち、MT
−MMP−3遺伝子産物は分泌されることなく、細胞表
層上で発現していることが示唆された。図1〜図5に示
すように既知のMMPファミリーのアミノ酸配列との相
同性を調査した結果、MT−MMP−3は既知のMMP
ファミリーと高い相同性を示した。MMPファミリーで
保存されている前駆体と成熟体のプロセッシング部位近
傍の配列、および活性部位の配列はMT−MMP−3中
で最も良好に保存されていた。また、MMPの1次構造
上の特徴であるプロペプチドドメイン、Zn+ 結合触媒
ドメイン、プロリンに富んだヒンジドメイン、C−末端
のヘモペキシン凝血酵素様ドメインは良好に保存されて
いた。
【0030】さらにMT−MMP−3では、MT−MM
P−1(先に本発明者らが単離同定したMT−MMPは
その区別をなすため「MT−MMP−1」と命名し直し
た)と同じくC末端領域に疎水性アミノ酸の連続した配
列が存在することから、膜結合型のMMPであることが
示唆された。このような疎水性アミノ酸の連続した配列
は、他のMMPファミリーには存在しない。実際、遺伝
子工学的にこの疎水性アミノ酸の連続配列を分泌タンパ
ク質と融合させた融合タンパク質を作成し培養細胞で発
現させたところ、融合タンパク質の分泌は抑えられ細胞
膜上で発現したことから、この疎水性アミノ酸の連続配
列がトランスメンブレン・ドメインとして機能している
ことが示された。したがって、MT−MMP−3遺伝子
は、新規なMMPタンパク質をコードしていることは明
白であり、MT−MMP−3遺伝子を用いて作製した組
換え体プラスミドは全て新規な組換え体であり、そのプ
ラスミドで形質転換あるいはトランスフェクトされ得ら
れた形質転換体あるいはトランスフェクタントも新規な
ものである。
【0031】MT−MMP−3遺伝子を組込むプラスミ
ドとしては遺伝子工学的に常用される宿主細胞(例え
ば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞宿主、酵母、CHO細
胞等の真核細胞宿主、Sf21等の昆虫細胞宿主)中で
該DNAが発現できるプラスミドであればどのようなプ
ラスミドでもよい。こうした配列内には、例えば選択し
た宿主細胞で発現するのに好適なコドンが導入されてい
ることができるし、制限酵素部位が設けられていること
もできるし、目的とする遺伝子の発現を容易にするため
の制御配列、促進配列など、目的とする遺伝子を結合す
るのに役立つリンカー、アダプターなど、さらには抗生
物質耐性などを制御したり、代謝を制御したりし、選別
などに有用な配列等を含んでいることができる。好まし
くは、適当なプロモーター、例えば大腸菌を宿主とする
プラスミドでは、トリプトファン(trp)プロモータ
ー、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファ
ン・ラクトース(tac)プロモーター、リポプロテイ
ン(lpp)プロモーター、λファージPLプロモータ
ー等を、動物細胞を宿主とするプラスミドでは、SV4
0レートプロモーター、MMTV LTRプロモータ
ー、RSV LTRプロモーター、CMVプロモータ
ー、SRαプロモーター等を、酵母を宿主とするプラス
ミドでは、GAL1、GAL10プロモーター等を使用
し得る。
【0032】大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、
例えばpBR322、pUC18、pUC19、pUC
118、pUC119、pSP64、pSP65、pT
Z−18R/−18U、pTZ−19R/−19U、p
GEM−3、pGEM−4、pGEM−3Z、pGEM
−4Z、pGEM−5Zf(−)、pBluescri
pt KSTM (Stratagene) などが挙げられる。大腸菌
での発現に適したプラスミドベクターとしては、pA
S、pKK223 (Pharmacia)、pMC1403、pM
C931、pKC30なども挙げられる。動物細胞を宿
主とするプラスミドとしては、SV40ベクター、ポリ
オーマ・ウイルスベクター、ワクシニア・ウイルスベク
ター、レトロウイルスベクターなどが挙げられ、例えば
pcD、pcD−SRα、CDM8、pCEV4、pM
E18S、pBC12BI、pSG5 (Stratagene) な
どが挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドとして
は、YIp型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベ
クター、YCp型ベクターなどが挙げられ、例えばpG
PD−2などが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細
胞が大腸菌の場合、例えば大腸菌K12株に由来するも
のが挙げられ、例えばNM533 XL1−Blue、
C600、DH1、HB101、JM109などが挙げ
られる。宿主細胞が動物細胞の場合、例えばアフリカミ
ドリザル線維芽細胞由来のCOS7細胞、COS−1細
胞、CV−1細胞、マウス線維芽細胞由来のCOP細
胞、MOP細胞、WOP細胞、チャイニーズ・ハムスタ
ー細胞由来のCHO細胞、CHO DHFR- 細胞、ヒ
トHeLa細胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス
細胞由来NIH 3T3細胞などが挙げられる。昆虫細
胞としては、カイコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori
nuclear polyhedrosis virus)をベクターとし、カイコ
幼虫あるいはカイコ培養細胞、例えばBM−N細胞など
を用いることが挙げられる。
【0033】本発明の遺伝子工学的手法においては、当
該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆
転写酵素、DNA断片をクローン化するのに適した構造
に修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA
修飾・分解酵素、DNAポリメラーゼ、末端ヌクレオチ
ジルトランスフェラーゼ、DNAリガーゼなどを用いる
ことが出来る。制限酵素としては、例えば、R. J. Robe
rts, Nucleic Acids Res, Vol. 13, r165 (1985); S. L
inn et al. ed. Nucleases, p. 109, Cold Spring Harb
or Lab., Cold Spring Harbor, New York, 1982 などに
記載のものが挙げられる。逆転写酵素としては、例えば
マウスモロネイ白血病ウイルス (mouseMoloney leukemi
a virus; MMLV) 由来の逆転写酵素 (reverse transcrip
tase)、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス (avian myeloblas
tosis virus; AMV)由来の逆転写酵素などが挙げられ、
特にはRNase H 欠損体などは好ましく用いることが出来
る。DNAポリメラーゼとしては、例えば大腸菌DNA
ポリメラーゼ、その誘導体であるクレノウ・フラグメン
ト、大腸菌ファージT4 DNAポリメラーゼ、大腸菌
ファージT7 DNAポリメラーゼ、耐熱菌DNAポリ
メラーゼなどが挙げられる。末端ヌクレオチジルトラン
スフェラーゼとしては、例えばR. Wu et al.ed., "Meth
ods in Enzymology", Vol. 100, p. 96, Academic Pres
s, New York(1983) に記載の3’−OH末端にデオキシ
ヌクレオチド(dNMP)を付加するTdTaseなど
が挙げられる。DNA修飾・分解酵素としては、エキソ
ヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなどが挙げられ、例
えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ、脾臓ホスホジエステ
ラーゼ、大腸菌DNAエキソヌクレアーゼI、大腸菌D
NAエキソヌクレアーゼIII、大腸菌DNAエキソヌ
クレアーゼVII、λエキソヌクレアーゼ、DNase
I、ヌクレアーゼS1、ミクロコッカス (Micrococcu
s) ヌクレアーゼなどが挙げられる。DNAリガーゼと
しては、例えば大腸菌DNAリガーゼ、T4 DNAリ
ガーゼなどが挙げられる。DNA遺伝子をクローニング
してDNAライブラリーを構築するのに適したベクター
としては、プラスミド、λファージ、コスミド、P1フ
ァージ、F因子、YACなどが挙げられ、好ましくはλ
ファージ由来のベクターが挙げられ、例えばCharo
n 4A、Charon 21A、λgt10、λgt
11、λDASHII、λFIXII、λEMBL3、
λZAPIITM (Stratagene) などが挙げられる。
【0034】さらに、本発明に係わるMT−MMP−3
の遺伝子塩基配列を基に遺伝子工学的に常用される方法
を用いることにより、MT−MMP−3のアミノ酸配列
中に適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠
失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入した
相当するタンパク質を製造することができる。こうした
変異・変換・修飾法としては、日本生化学会編、「続生
化学実験講座1、遺伝子研究法II」、p105(広瀬
進)、東京化学同人(1986);日本生化学会編、
「新生化学実験講座2、核酸III(組換えDNA技
術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(199
2);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods inEnzymolo
gy", Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, Ne
w York (1987);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods i
n Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p. 468, Academic
Press, New York (1983);J. A. Wells et al., "Gen
e", Vol. 34, p. 315 (1985) ;T. Grundstroem et a
l., "Nucleic Acids Res", Vol. 13, p. 3305 (1985)
;J. Taylor et al., "Nucleic Acids Res.", Vol. 1
3, p.8765 (1985);R. Wu ed., "Methods in Enzymolog
y", Vol. 155, p. 568, Academic Press, New York(19
87) ;A. R. Oliphant et al., "Gene", Vol. 44, p.17
7 (1986) などに記載の方法が挙げられる。例えば合成
オリゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法
(部位特異的変異導入法)、 Kunkel 法、 dNTP[αS]法
(Eckstein) 法、亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定
変異導入法等の方法が挙げられる。さらに得られた本発
明のタンパク質は、化学的な手法でその含有されるアミ
ノ酸残基を修飾することもできるし、ペプチダーゼ、例
えばペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライ
ン、エンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼなどの酵
素を用いて修飾したり、部分分解したりしてその誘導体
などにすることができる。また遺伝子組換え法で製造す
る時に融合タンパク質として発現させ、生体内あるいは
生体外で天然のMT−MMP−3と実質的に同等の生物
学的活性を有しているものに変換・加工してもよい。遺
伝子工学的に常用される融合産生法を用いることができ
るが、こうした融合タンパク質はその融合部を利用して
アフィニティクロマトグラフィーなどで精製することも
可能である。タンパク質の構造の修飾・改変などは、例
えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク
質VII、タンパク質工学」、東京化学同人(199
3)を参考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用
された文献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様
な方法で行うことができる。また下記するようにその生
物学的活性のうちには、免疫的に活性、例えば抗原性を
有するということも含まれてよい。
【0035】かくして本発明は、1個以上のアミノ酸残
基が同一性の点で天然のものと異なるもの、1個以上の
アミノ酸残基の位置が天然のものと異なるものであって
もよい。本発明は、MT−MMP−3に特有なアミノ酸
残基が1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜
60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましく
は1〜20個、特には1〜10個など)欠けている欠失
類縁体、特有のアミノ酸残基の1個以上(例えば、1〜
80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜
40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10
個など)が他の残基で置換されている置換類縁体、1個
以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さ
らに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20
個、特には1〜10個など)のアミノ酸残基が付加され
ている付加類縁体も包含する。MMPの共通の特徴であ
るドメイン構造やC末端のトランスメンブレンドメイン
構造が維持されていれば、上記のごとき変異体は、全て
本発明に包含される。また本発明のMT−MMP−3は
天然のMT−MMP−3と実質的に同等の一次構造コン
フォメーションあるいはその一部を有しているものも含
まれてよいと考えられ、さらに天然のMT−MMP−3
と実質的に同等の生物学的活性を有しているものも含ま
れてよいと考えられる。さらに天然に生ずる変異体の一
つであることもできる。こうした本発明のMT−MMP
−3は、下記で説明するように分離・精製処理されるこ
とができる。こうして得られた本発明の潜在型MMP−
2の活性化能を有するMMPの一種であり且つMT−M
MP−1以外の潜在型MMP−2活性化因子である天然
のMT−MMP(特には、MT−MMP−3)と実質的
に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質また
はその塩、あるいはその部分ペプチドは、それを用いて
酵素阻害剤の開発や探索などの研究、医薬品の開発研
究、MT−MMP−3が関与すると考えられる生物的な
現象や反応の研究を行うことができるし、さらにはそれ
に対する抗体を作成するのに用いることができるし、特
定の分析あるいは測定対象物を調査研究するのに使用す
ることもできる。一方では、こうして本発明は上記した
ポリペプチドをコードするDNA配列、そして天然の特
性の全部あるいは一部を有するMT−MMP−3のポリ
ペプチド、さらにその類縁体あるいは誘導体をコードす
るDNA配列も包含する。
【0036】本発明のDNA配列は、これまで知られて
いなかった哺乳動物のタンパク質のアミノ酸配列に関す
る情報を提供しているから、こうした情報を利用するこ
とも本発明に包含される。こうした利用としては、例え
ばMT−MMP−3及び関連タンパク質をコードする哺
乳動物、特に好ましくはヒトの、ゲノムDNA及びcD
NAの単離及び検知のためのプローブの設計などが挙げ
られる。本発明のDNA配列は、例えばMT−MMP−
3及び関連タンパク質をコードする哺乳動物、特に好ま
しくはヒトの、ゲノムDNA及びcDNAの単離及び検
知のためのプローブとして有用である。遺伝子の単離に
あたっては、PCR法、さらには逆転写酵素(RT)を
用いたPCR法(RT−PCR)を利用することが出来
る。MT−MMP−3 cDNA及びその関連DNA
は、クローニングされ、配列決定されたMT−MMP−
3 cDNA配列から推定されるアミノ酸配列に基づき
特徴的な配列領域を選び、DNAプライマーをデザイン
して化学合成し、得られたDNAプライマーを用いて、
PCR法、RT−PCR、その他の方法を用いてMT−
MMP−3関連遺伝子の単離、検出などに利用すること
が出来る。MT−MMP−3がMT−MMP−1の構造
的特徴を良好に保存していたことから、MT−MMP−
3も潜在型MMP−2の活性化因子として作用する可能
性が想定される。そこで、COS−1細胞などの哺乳動
物細胞に潜在型MMP−2の発現プラスミド及びMT−
MMP−3の発現プラスミドをコトランスフェクション
し、回収された培養上清を用いてザイモグラフィーを行
った。その結果、本来、分子量68kDaに検出される
潜在型MMP−2以外に、62kDaの活性型MMP−
2及び64kDaの活性中間体が検出され、MT−MM
P−3の発現に依存した潜在型MMP−2の活性化が観
察された。
【0037】MT−MMP−3 mRNAのヒト組織中
での発現を各種の組織由来Poly(A)+ RNAに対
するノーザンブロット分析により検討した。その結果、
ヒト肺、脳、胎盤で高い発現が認められたが、心臓、腎
臓、肝臓、膵臓、筋肉組織では検出されなかった。本発
明者らの研究では、MT−MMP−1 mRNAの発現
は肺、腎臓、胎盤で顕著に高いのに対し、脳では最も低
かった。これらのことは、MT−MMP−3は、MT−
MMP−1とは構造的にも潜在型MMP−2の活性化能
という機能的にも非常に類似しているが、実際の組織中
での遺伝子発現は異なる制御を受けていることを示して
いる。本発明のcDNAをプローブとして用いれば、例
えばノーザン・ブロティング、サザン・ブロティング、
in situハイブリダイゼーションなどによりヒト
組織中でのMT−MMP−3 mRNAの発現やMT−
MMP−3遺伝子自体などを検出・測定でき、ひいては
癌細胞の有無、癌の悪性度の診断等の癌の診断治療、ま
たアルツハイマー病の診断等の研究に応用できる。以上
述べた、本発明者らの研究成果によりMT−MMP−3
の遺伝子及び組換えDNA分子を宿主に移入し、MT−
MMP−3を発現させ、目的とするMT−MMPを得る
方法が提供される。こうして本発明によれば、MT−M
MP−3の遺伝子を実質的に発現する組換え体あるいは
トランスフェクタント及びその製造法、さらにはその用
途も提供される。別の面では、本発明は潜在型MMP−
2の活性化能を有するMMPの一種であり且つMT−M
MP−1以外の潜在型MMP−2活性化因子である天然
のMT−MMPと実質的に同等な活性を有することを特
徴とするタンパク質またはその塩、より好ましくはMT
−MMP−3またはその塩と、実質的に同等な活性を有
するか、あるいは実質的に同等の一次構造コンフォメー
ションを持つ該タンパク質の少なくとも一部あるいは全
部を有するポリペプチドを、大腸菌などの原核生物ある
いは哺乳動物細胞などの真核生物で発現させることを可
能にするDNAやRNAなどの核酸に関するとすること
ができる。またこうした核酸、特にはDNAは、(a)
配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列をコード
できる配列あるいはそれと相補的な配列、(b)該
(a)のDNA配列またはその断片とハイブリダイズす
ることのできる配列、及び(c)該(a)又は(b)の
配列にハイブリダイズすることのできる縮重コードを持
った配列であることができる。こうした核酸で形質転換
され、本発明の該ポリペプチドを発現できる大腸菌など
の原核生物あるいは哺乳動物細胞などの真核生物も本発
明の特徴をなす。
【0038】さらに、本発明では、本発明に係わるMT
−MMP−3と特異的に結合するモノクローナル抗体な
どの抗体が提供される。本発明に係わるモノクローナル
抗体などの抗体により、癌の診断はもとより癌の浸潤、
転移に係わる研究に有用な研究手段、さらにはアルツハ
イマー病の発症機作や診断方法に係わる研究に有用な研
究手段が提供される。本発明に係わるモノクローナル抗
体などの抗体は、本発明により得られるヒトMT−MM
P−3を免疫原として公知の方法で動物を免疫したり、
当該分野で知られたあるいは汎用されている方法、例え
ばミルシュタインらの方法(Nature,256:4
95〜497,1975)により製造することができ
る。この方法において、免疫原としては天然型MT−M
MP−3、リコンビナントヒトMT−MMP−3及び連
続した少なくとも8個のアミノ酸からなるMT−MMP
−3の一部のアミノ酸配列を有する合成ペプチド等の何
れでも使用することができる。さらに該モノクローナル
抗体は、常用される方法によって適宜標識することがで
きる。標識としては、酵素、補欠分子類、色素物質、蛍
光物質、化学ルミネッセンス化合物、発光物質、放射性
物質等を使用することができる。以下抗体の作製につき
詳しく説明する。
【0039】本発明のモノクローナル抗体は、ミエロー
マ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモノ
クローナル抗体であってよいことはいうまでもない。本
発明のモノクローナル抗体は、例えば次のような工程で
作製できる。 1.免疫原性抗原の調製 2.免疫原性抗原による動物の免疫 3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合 5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクロー
ン化 6.モノクローナル抗体の製造
【0040】1.免疫原性抗原の調製 抗原としては、例えば天然由来のMT−MMP−3、本
発明の方法に従い調製したリコンビナントMT−MMP
−3を用いることができる。MT−MMP−3は、さら
に免疫原性コンジュゲートなどにしてもよいが、そのま
ま適当なアジュバントと混合して動物を免疫するのに使
用できる。こうした抗原は、各種原料、例えば培養細
胞、培養組織など、形質転換体細胞などの抗原産生材料
から従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法な
どの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、例え
ばジエチルアミノエチル基あるいはカルボキシメチル基
などを持つ担体などを用いたイオン交換クロマトグラフ
ィー法、例えばブチル基、オクチル基、フェニル基など
疎水性基を持つ担体などを用いた疎水性クロマトグラフ
ィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、電気泳動法、
透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー
法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して
得ることができる。好ましくは、ポリアクリルアミド電
気泳動、モノクローナル抗体などの抗原を特異的に認識
する抗体などを固定化したアフィニティー・クロマトグ
ラフィーなどで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼ
ラチン−アガロース・アフィニティー・クロマトグラフ
ィー、ヘパリン−アガロース・クロマトグラフィーなど
が挙げられる。さらにMT−MMP−3は、それを断片
化したもの、あるいはクローニングされ、配列決定され
たcDNA配列から推定されるアミノ酸配列に基づき特
徴的な配列領域を選び、ポリペプチドをデザインして化
学合成し、得られた合成ポリペプチド断片であってもよ
く、その断片を適当な縮合剤を介して種々の担体タンパ
ク質類と結合させてハプテン−タンパク質の如き免疫原
性コンジュゲートとし、これを用いて特定の配列のみを
認識できるモノクローナル抗体をデザインするのに用い
ることもできる。デザインされるポリペプチドには予め
システイン残基などを付加し、免疫原性コンジュゲート
の調製を容易にできるようにしておくことができる。担
体タンパク質類と結合させるにあたっては、担体タンパ
ク質類はまず活性化されることができる。こうした活性
化にあたり活性化結合基を導入することが挙げられる。
活性化結合基としては、(1)活性化エステルあるいは
活性化カルボキシル基、例えばニトロフェニルエステル
基、ペンタフルオロフェニルエステル基、1−ベンゾト
リアゾールエステル基、N−スクシンイミドエステル基
など、(2)活性化ジチオ基、例えば2−ピリジルジチ
オ基などが挙げられる。担体タンパク質類としては、キ
ーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH),牛血
清アルブミン(BSA)、卵白アルブミン、グロブリ
ン、ポリリジンなどのポリペプタイド、細菌菌体成分、
例えばBCGなどが挙げられる。
【0041】2.免疫原性抗原による動物の免疫 動物を免疫するには、例えば村松繁、他編、実験生物学
講座14、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日
本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究
法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生
化学実験講座12、分子免疫学 III、抗原・抗体・補
体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じ
て行うことができる。抗原と共に用いられるアジュバン
トとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リビ
(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG、
リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シリカ
などが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどの
マウスをはじめとする動物を使用して行われる。抗原の
投与量は、例えばマウスに対して約1〜400μg/動
物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注射し、以後
1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ごとに腹腔
内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を2〜10
回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBALB
/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウス
とのF1マウスなどを用いることもできる。必要に応
じ、抗体価測定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫
の程度を確認できる。一方では、本発明に従えばリコン
ビナントMT−MMP−3を用い、MT−MMP−3に
対するポリクローナル抗体及びその製造にも関する。こ
うした場合、使用される動物としては、哺乳動物や鳥類
などが利用できるが、例えばウシ、ウマ、ヤギ、ヒツ
ジ、ブタ、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、サ
ル、イヌ、ネコ、ニワトリなどが挙げられる。抗体は抗
血清であってもよく、より精製されたものであってもよ
く、例えばその単離精製は下記モノクローナル抗体と同
様にして行うことができる。
【0042】3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)と
しては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶこと
ができ、例えばP3−NS−1−Ag4−1(NS−
1,Eur. J. Immunology, 6, 511〜519, 1976)、SP2
/0−Ag14(SP2,Nature, 276, 269〜270, 197
8 ) 、マウスミエローマMOPC−21セルライン由来
のP3−X63−Ag8−U1(P3U1,Current to
pics in Microbiol. and Immunol., 81, 1〜7, 1978
)、P3−X63−Ag8(X63,Nature, 256, 49
5〜497, 1975 ) 、P3−X63−Ag8−653 (6
53,J.Immunol., 123, 1548〜1550, 1979) などを用
いることができる。8−アザグアニン耐性のマウスミエ
ローマ細胞株はダルベッコMEM培地(DMEM培
地)、RPMI−1640培地などの細胞培地に、例え
ばペニシリン、アミカシンなどの抗生物質、牛胎児血清
(FCS)などを加え、さらに8−アザグアニン(例え
ば5〜45μg/ml)を加えた培地で継代されるが、
細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代して所要数の細
胞株を用意することができる。また使用細胞株は、凍結
保存株を約37℃で完全に解凍したのちRPMI−16
40培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地で
培養して所要数の細胞株を用意したものであってもよ
い。
【0043】4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細
胞融合 上記2.の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは
最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、それか
ら脾細胞懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ
節細胞を得て、それを細胞融合に使用することもでき
る。こうして得られた脾細胞懸濁液と上記3.の工程に
従い得られたミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地
(MEM培地)、DMEM培地、RPMI−1640培
地などの細胞培地中に置き、細胞融合剤、例えばポリエ
チレングリコールを添加する。細胞融合剤としては、こ
の他各種当該分野で知られたものを用いることができ、
この様なものとしては不活性化したセンダイウイルス
(HVJ:Hemagglutinating vir
us of Japan)なども挙げられる。好ましく
は、例えば30〜60%のポリエチレングリコールを
0.5〜2ml加えることができ、分子量が1,000
〜8,000のポリエチレングリコールを用いることが
でき、さらに分子量が1,000〜4,000のポリエ
チレングリコールがより好ましく使用できる。融合培地
中でのポリエチレングリコールの濃度は、例えば30〜
60%となるようにすることが好ましい。必要に応じ、
例えばジメチルスルホキシドなどを少量加え、融合を促
進することもできる。融合に使用する脾細胞(リンパ
球):ミエローマ細胞株の割合は、例えば1:1〜2
0:1とすることが挙げられるが、より好ましくは4:
1〜7:1とすることができる。融合反応を1〜10分
間行い、次にRPMI−1640培地などの細胞培地を
加える。融合反応処理は複数回行うこともできる。融合
反応処理後、遠心などにより細胞を分離した後選択用培
地に移す。
【0044】5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及
びモノクローン化 選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプ
テリン及びチミジンを含む、FCS含有MEM培地、R
PMI−1640培地などの培地、所謂HAT培地が挙
げられる。選択培地交換の方法は、一般的には培養プレ
ートに分注した容量と等容量を翌日加え、その後1〜3
日ごとにHAT培地で半量ずつ交換するというようにす
ることができるが、適宜これに変更を加えて行うことも
できる。また融合後8〜16日目には、アミノプテリン
を除いた、所謂HT培地で1〜4日ごとに培地交換をす
ることができる。フィーダーとして、例えばマウス胸腺
細胞を使用することもでき、それが好ましい場合があ
る。ハイブリドーマの増殖のさかんな培養ウェルの培養
上清を、例えば放射免疫分析(RIA)、酵素免疫分析
(ELISA)、蛍光免疫分析(FIA)などの測定
系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(FACS)など
で、MT−MMP−3あるいはその断片ペプチドを抗原
として用いたり、あるいは標識抗マウス抗体を用いて目
的抗体を測定するなどして、スクリーニングしたりす
る。目的抗体を産生しているハイブリドーマをクローニ
ングする。クローニングは、寒天培地中でコロニーをピ
ック・アップするか、あるいは限界希釈法によりなされ
うる。限界希釈法でより好ましく行うことができる。ク
ローニングは複数回行うことが好ましい。
【0045】6.モノクローナル抗体の製造 得られたハイブリドーマ株は、FCS含有MEM培地、
RPMI−1640培地などの適当な増殖用培地中で培
養し、その培地上清から所望のモノクローナル抗体を得
ることが出来る。大量の抗体を得るためには、ハイブリ
ドーマを腹水化することが挙げられる。この場合ミエロ
ーマ細胞由来の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に
各ハイブリドーマを移植し、増殖させるか、例えばヌー
ド・マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖さ
せ、該動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を
回収して得ることが出来る。動物はハイブリドーマの移
植に先立ち、プリスタン(2,6,10,14−テトラ
メチルペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与してお
くことができ、その処理後、ハイブリドーマを増殖さ
せ、腹水を採取することもできる。腹水液はそのまま、
あるいは従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿
法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、
イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、
限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高
速液体クロマトグラフィー法などにより精製してモノク
ローナル抗体として用いることができる。好ましくは、
モノクローナル抗体を含有する腹水は、硫安分画した
後、DEAE−セファロースの如き、陰イオン交換ゲル
及びプロテインAカラムの如きアフィニティーカラムな
どで処理し精製分離処理できる。特に好ましくは抗原又
は抗原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗原タンパク
質あるいはペプチド、抗体が特異的に認識する部位な
ど)を固定化したアフィニティー・クロマトグラフィ
ー、プロテインAを固定化したアフィニティー・クロマ
トグラフィーなどが挙げられる。
【0046】またこうして大量に得られた抗体の配列を
決定したり、ハイブリドーマ株から得られた抗体をコー
ドする核酸配列を利用して、遺伝子組換え技術により抗
体を作製することも可能である。さらにこれら抗体をト
リプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理し
て、場合により還元して得られるFab、Fab’、F
(ab’)2 といった抗体フラグメントにして使用して
もよい。標識物を付与する抗体としては、IgG画分、
更にはペプシン消化後還元して得られる特異的結合部F
ab’を用いることができる。これらの場合の標識物の
例としては、下記するように酵素(ペルオキシダーゼ、
アルカリホスファターゼあるいはβ−D−ガラクトシダ
ーゼなど)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元
素などがある。本発明での検知・測定は、イムノ染色、
例えば組織あるいは細胞染色、イムノアッセイ、例えば
競合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで
行うことができ、ラジオイムノアッセイ、ELISAな
どを用いることができ、B−F分離を行ってもあるいは
行わないでその測定を行うことができる。好ましくは放
射免疫測定法や酵素免疫測定法であり、さらにサンドイ
ッチ型アッセイが挙げられる。例えばサンドイッチ型ア
ッセイでは、MT−MMP−3に対する抗体の一方を検
出可能に標識化する。同じ抗原を認識できる他の抗体を
固相に固定化する。検体と標識化抗体及び固相化抗体を
必要に応じ順次反応させるためインキュベーション処理
し、ここで非結合抗体を分離後、標識物を測定する。測
定された標識の量は抗原、すなわちMT−MMP−3の
量と比例する。このアッセイでは、不溶化抗体や、標識
化抗体の添加の順序に応じて同時サンドイッチ型アッセ
イ、フォワード(forward)サンドイッチ型アッセイある
いは逆サンドイッチ型アッセイなどと呼ばれる。例えば
洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるいは抗原の予備抽出等は、
特定の状況のもとでそれら測定工程の中で適宜採用され
る。特定の試薬、緩衝液等の濃度、温度あるいはインキ
ュベーション処理時間などのその他の測定条件は、検体
中の抗原の濃度、検体試料の性質等の要素に従い変える
ことができる。当業者は通常の実験法を用いながら各測
定に対して有効な最適の条件を適宜選定して測定を行う
ことが出来る。
【0047】抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−
アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材
料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリ
レート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ス
チレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタ
クリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタ
クリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲ
ン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロ
ース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または
変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機
高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたも
の、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリ
ング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられ
る。さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、例えば試
験管、タイタープレート、タイターウェル、ガラスセ
ル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、ガラ
ス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは
細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは
偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質
(物体)の表面などが挙げられる。
【0048】これら担体へは、抗体を結合させることが
でき、好ましくは本発明で得られるMT−MMP−3に
対し特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させる
ことができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するも
のとの結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合
剤などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりす
る化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利
用した手法などにより行うことが出来る。標識として
は、酵素、酵素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、
補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、
化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気
物質、金属粒子、例えば金コロイドなど、放射性物質な
どを挙げることができる。酵素としては、脱水素酵素、
還元酵素、酸化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ
基、カルボキシル基、メチル基、アシル基、リン酸基な
どを転移するのを触媒する転移酵素、例えばエステル結
合、グリコシド結合、エーテル結合、ペプチド結合など
を加水分解する加水分解酵素、リアーゼ、イソメラー
ゼ、リガーゼなどを挙げることができる。酵素は複数の
酵素を複合的に用いて検知に利用することもできる。例
えば酵素的サイクリングを利用することもできる。
【0049】代表的な放射性物質の標識用同位体元素と
しては、〔32P〕、〔125 I〕、〔131I〕、〔
3H〕、〔 14 C〕、〔35S〕などが挙げられる。代表
的な酵素標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼな
どのペルオキシダーゼ、大腸菌β−D−ガラクトシダー
ゼなどのガラクトシダーゼ、マレエート・デヒドロゲナ
ーゼ、グルコース−6−フォスフェート・デヒドロゲナ
ーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、ア
セチルコリンエステラーゼ、カタラーゼ、ウシ小腸アル
カリホスファターゼ、大腸菌アルカリホスファターゼな
どのアルカリ・フォスファターゼなどが挙げられる。ア
ルカリホスファターゼを用いた場合、4−メチルウンベ
リフェリルフォスフェートなどのウンベリフェロン誘導
体、ニトロフェニルホスフェートなどのリン酸化フェノ
ール誘導体、NADPを利用した酵素的サイクリング
系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン誘導体などの基
質を使用したりして、生ずる蛍光、発光などにより測定
できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ系を利用したり
することもできる。カタラーゼを用いた場合、過酸化水
素と反応して酸素を生成するので、その酸素を電極など
で検知することもできる。電極としてはガラス電極、難
溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電極、高分子膜電
極などであることもできる。酵素標識は、ビオチン標識
体と酵素標識アビジン(ストレプトアビジン)に置き換
えることも可能である。標識は、複数の異なった種類の
標識を使用することもできる。こうした場合、複数の測
定を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時にある
いは別々に行うことを可能にすることもできる。
【0050】本発明においては、信号の形成に4−ヒド
ロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレンジアミン、テ
トラメチルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダ
ーゼ、ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニル
ガラクトシドなどとβ−D −ガラクトシダーゼ、グルコ
ース−6−リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の
組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾ
キノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合
物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェ
ノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働き
で形成しうるものが使用できる。蛍光物質あるいは化学
ルミネッセンス化合物としては、フルオレセインイソチ
オシアネート、例えばローダミンBイソチオシアネー
ト、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどの
ローダミン誘導体、ダンシルクロリド、ダンシルフルオ
リド、フルオレスカミン、フィコビリプロテイン、アク
リジニウム塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォ
リンなどのルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステ
ル、希土類キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げ
られる。標識するには、チオール基とマレイミド基の反
応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミ
ノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行うことがで
き、公知の方法あるいは当該分野の当業者が容易になし
うる方法、さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜
選択して適用できる。また上記免疫原性複合体作製に使
用されることのできる縮合剤、担体との結合に使用され
ることのできる縮合剤などを用いることができる。
【0051】縮合剤としては、例えばグルタルアルデヒ
ド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソチオシアネート、N,N’−ポリメチレンビスヨ
ードアセトアミド、N,N’−エチレンビスマレイミ
ド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネー
ト、ビスジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミ
ジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(S
PDP)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミ
ドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(S
MCC)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マ
レイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレー
ト、N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)ア
ミノベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−
マレイミドフェニル)ブチレート、N−(ε−マレイミ
ドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS),イ
ミノチオラン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水
物、メチル−3−(4’−ジチオピリジル)プロピオン
イミデート、メチル−4−メルカプトブチリルイミデー
ト、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N
−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテー
トなどが挙げられる。
【0052】本発明の測定法によれば、測定すべき物質
を酵素などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗
体試薬と、担体に結合された抗体とを順次反応させるこ
とができるし、同時に反応させることもできる。試薬を
加える順序は選ばれた担体系の型により異なる。感作さ
れたプラスチックなどのビーズを用いた場合には、酵素
などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗体試薬
を測定すべき物質を含む検体試料と共に最初適当な試験
管中に一緒に入れ、その後該感作されたプラスチックな
どのビーズを加えることにより測定を行うことができ
る。本発明の定量法においては、免疫学的測定法が用い
られるが、その際の固相担体としては、抗体などタンパ
ク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカーボネイト
製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製のボール、
マイクロプレート、スティック、微粒子あるいは試験管
などの種々の材料および形態を任意に選択し、使用する
ことができる。測定にあたっては至適pH、例えばpH
約4〜9に保つように適当な緩衝液系中で行うことがで
きる。特に適切な緩衝剤としては、例えばアセテート緩
衝剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェート緩衝剤、トリ
ス緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝
剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリス−塩酸緩衝
剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合
して用いることができる。抗体抗原反応は約0℃〜60
℃の間の温度で行うことが好ましい。
【0053】酵素などで標識されたモノクローナル抗体
などの抗体試薬及び担体に結合せしめられた抗体試薬、
さらには測定すべき物質のインキュベーション処理は、
平衡に達するまで行うことができるが、抗体抗原反応の
平衡が達成されるよりもずっと早い時点で固相と液相と
を分離して限定されたインキュベーション処理の後に反
応を止めることができ、液相又は固相のいずれかにおけ
る酵素などの標識の存在の程度を測ることができる。測
定操作は、自動化された測定装置を用いて行うことが可
能であり、ルミネセンス・ディテクター、ホト・ディテ
クターなどを使用して基質が酵素の作用で変換されて生
ずる表示シグナルを検知して測定することもできる。抗
体抗原反応においては、それぞれ用いられる試薬、測定
すべき物質、さらには酵素などの標識を安定化したり、
抗体抗原反応自体を安定化するように適切な手段を講ず
ることができる。さらに、非特異的な反応を除去し、阻
害的に働く影響を減らしたり、あるいは測定反応を活性
化したりするため、タンパク質、安定化剤、界面活性化
剤、キレート化剤などをインキュベーション溶液中に加
えることもできる。キレート化剤としては、エチレンジ
アミン四酢酸塩(EDTA)がより好ましい。当該分野
で普通に採用されていたりあるいは当業者に知られた非
特異的結合反応を防ぐためのブロッキング処理を施して
もよく、例えば、哺乳動物などの正常血清タンパク質、
アルブミン、スキムミルク、乳発酵物質、コラーゲン、
ゼラチンなどで処理することができる。非特異的結合反
応を防ぐ目的である限り、それらの方法は特に限定され
ず用いることが出来る。本発明の測定方法で測定される
試料としては、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液、非
流体試料などが使用しうるが、好ましくは生物由来の試
料、例えば血液、血清、血漿、関節液、脳脊髄液、唾
液、羊水、尿、その他の体液、細胞培養液、組織培養
液、組織ホモジュネート、生検試料、組織、細胞などが
挙げられる。なお、本発明のDNAも上記抗体と同様に
処理することが出来、それ自体公知の方法又はそれと実
質的に同様な方法で標識されたり、測定に用いることが
できることは理解されるべきである。
【0054】本発明の前述した種々の態様を利用するこ
とにより、癌細胞の有無、癌の悪性度の診断等の癌の診
断治療に関わる研究に有用な診断手段として、あるいは
その他の医学的生理学的用途に適用される種々の技術手
段を提供することができる。以下に実施例を掲げ、本発
明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定
されず、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能
であることは理解されるべきである。なお、明細書及び
図面において、塩基及びアミノ酸等を略号で表示する場
合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical
Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用
的に使用される用語の意味に基づくものであり、アミノ
酸に光学異性体が存在する場合は、特に断らないかぎり
L−体を示す。後述の実施例1(e)で得られた大腸菌
NM533 XL1−Blue(XL1−Blue/M
MP−X2)は、平成7年7月5日(原寄託日)から通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIB
H)に寄託されており(微工研菌寄第P−15033
号)、平成8年7月1日に原寄託よりブダペスト条約に
基づく寄託への移管請求がなされ、受託番号FERM
BP−5573としてNIBHに保管されている。後述
の実施例3(f)〜(h)で得られたマウス由来単クロ
ーン性抗ヒト膜結合型マトリックスメタロプロテアーゼ
−3(MT−MMP−3)抗体産生ハイブリドーマ(1
17−4E1)は、平成7年7月5日(原寄託日)から
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIB
H)に寄託されており(微工研菌寄第P−15031
号)、平成8年7月1日に原寄託よりブダペスト条約に
基づく寄託への移管請求がなされ、寄託番号FERM
BP−5572としてNIBHに保管されている。
【0055】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されること無く様々な態
様が含まれることは理解されるべきである。実施例1 新規なメタロプロテアーゼ(MT−MMP−
3)cDNAの単離 新規なMMPcDNAの単離は基本的に以下の方法にし
たがって行った。 1)MMPファミリーで保存されている配列からデジェ
ネレイテッドプライマーを合成し、ヒト組織由来cDN
Aのスクリーニングを行い、PCR産物を得る。 2)得られた部分的クローンをプローブとして、cDN
AライブラリーよりcDNA全長をスクリーニングす
る。 (a)cDNAライブラリーの構築 cDNAライブラリー作製に用いるRNAソースとして
は、種々ヒト組織(胎盤、口腔癌、肺癌等)あるいは培
養細胞(ヒト線維肉腫細胞HT1080、ヒト単球性白
血病細胞U937等)から抽出した全RNAを使用する
ことができる。本実施例では、口腔癌組織由来RNAを
出発材料として行った結果を示した。組織からの全RN
Aの抽出は、グアニジン−塩化セシウム法(Bioch
emistry,18:5294〜5299,197
9)にしたがって行い、得られた全RNAよりポリ
(A)+ mRNAをオリゴ(dT)−セルロースカラム
を使用して精製した。
【0056】cDNAの合成はガブラー&ホフマンの方
法(Gene,25:263〜269,1983)にし
たがって行った。精製したポリ(A)+ mRNAをテン
プレート、ランダムヘキサマーあるいはオリゴdTをプ
ライマーとし、SuperScript逆転写酵素(S
tratagene)を用いて1st strandc
DNAを合成した。これをRNase Hで処理し、続
いて大腸菌DNAポリメラーゼIを用いて、2nd s
trand cDNAを合成し2本鎖cDNAを作製し
た。cDNAの第1鎖の合成は、5μlのポリA+ mR
NA画分サンプル、2μlのランダム・ヘキサマー(8
0μM)及び反応用緩衝液4.5μlの混合物を70℃
で10分間インキュベーション処理した後、氷で冷却
し、これに5×反応用緩衝液4μl、0.1Mのジチオ
スレイトール(DDT)2μl、10mM dNTPs
1μl及びRNaseインヒビター1μlを加え、良く
混合し、0.5μl(約100ユニット)の SuperScri
pt reverse transcriptase (GIBCO BRL)を加え、37℃
で1時間インキュベーション処理した後、70℃で10
分間処理した。cDNAの第2鎖の合成は、同様にして
処理して実行できる。cDNAライブラリーの構築は、
例えばλgt11を使用して行うことができる。合成し
た2本鎖cDNAをT4 DNAポリメラーゼで平滑化し
た後、EcoRIメチラーゼによりcDNA中に存在す
るEcoRIサイトをメチル化する。さらにEcoRI
リンカーd(pGGAATTCC)をT4 DNAリガー
ゼで連結し、EcoRI消化することにより両末端にE
coRIサイトを有するcDNAを構築した。このcD
NAをλgt11のEcoRIサイトへクローニングし
た。次にこのcDNAをインビトロパッケージングキッ
トによりパッケージングし、cDNAライブラリーを構
築する。cDNAライブラリーとしては市販の種々ヒト
組織由来cDNAライブラリー(CLONTECH)を
直接使用することもできる。
【0057】(b)新規なMMPcDNA断片の増幅 得られたcDNAをテンペレートとし、MMPファミリ
ーで保存されているアミノ酸配列を基に合成したデジェ
ネレイテッドプライマー及びTaqDNAポリメラーゼ
を用いてポリメラーゼ・チェイン・リアクション法(P
CR)を行った。新規なMMP cDNA断片のPCR
増幅は、例えば R. Saiki, et al., Science, Vol. 23
0, pp. 1350 (1985); R. Saiki, et al., Science, Vo
l. 239, pp. 487 (1985);PCRテクノロジー (PCR Te
chnology) ,ストックトンプレス (Stockton Press) な
どに記載された方法に従って行われた。1μlの上記工
程の反応生成物を鋳型として用い、5μlの10×PC
R緩衝液、1μlの25mM dNTPs、1μlの増
幅用プライマー及び1ユニットの Taq polymerase の混
合物を無菌蒸留水で50μlとした。この反応用混合物
を93℃で1分間、55℃で1分間そして72℃で1分
間を1サイクルとして、30サイクルのPCR増幅にか
けた。
【0058】デジェネレイテッドプライマーは、以下の
ように設計、合成した。既知のMMPファミリーの触媒
ドメイン中から高度に保存されているアミノ酸配列とし
て、GEADIMI(MMP−1のGly155 〜Ile
161 、MMP−2のGly165 〜Ile171 、MMP−
3のGly155 〜Ile161 、MMP−7のGly150
〜Ile156 、MMP−8のGly154 〜Ile160
MMP−9のArg16 2 〜Ile168 、MMP−10の
Gly154 〜Ile160 、MMP−11のGly151
Ile157 及びMMP−12のGly155 〜Val161
にそれぞれ相当する。アミノ酸番号は図1〜図5記載の
番号にしたがった)及びGDAHFDDDE(MMP−
1のGly192 〜Glu201 、MMP−2のGly203
〜Glu211 、MMP−3のAsn192 〜Glu201
MMP−7のGly187 〜Glu196 、MMP−8のG
ly191 〜Glu200 、MMP−9のGln199 〜Gl
208 、MMP−10のTyr191 〜Glu200 、MM
P−11のGlu188 〜Glu197 、MMP−12のG
ly192 〜Glu201 にそれぞれ相当する。アミノ酸番
号は図1〜図5に記載の番号にしたがった)を選択した
(プライマー部分に相当するアミノ酸配列のアミノ酸表
記は一般的な1文字表記にしたがった)。このアミノ酸
配列を基に、デジェネレイト・オリゴヌクレオチド・プ
ライマーである、次の配列を有する5’プライマー
(5’プライマー5P−4)
【0059】〔配列番号:3〕 5’−(C又はG)G(A又はC又はG又はT)(A又
はC又はG)(A又はC又はG)(A又はC又はG又は
T)GC(A又はT)GA(C又はT)AT(A又は
C)(A又はG)T(C又はG)AT−3’
【0060】及び次の配列を有する3’プライマー
(3’プライマー3P−2)
【0061】〔配列番号:4〕 5’−(C又はT)TC(A又はG)T(C又はG)
(A又はC又はG又はT)TC(A又はG)TC(A又
はG)AA(A又はG)TG(A又はG)(A又はG)
(A又はC又はT)(A又はG)TC(C又はT)CC
【0062】をDNAシンセサイザModel392
(Applied Biosystems)を使用し、
β−シアノエチルフォスフォアミダイト法により合成し
た。上記配列中、括弧内に示された塩基はその複数の塩
基を導入すること、そしてその結果マルチプルなヌクレ
オチド配列を生ずることを示している。括弧内複数の塩
基は合成時に混合塩基を用いて導入した。この時、プラ
イマー5P−4には5’側にBamHIサイト、プライ
マー3P−2には3’側にEcoRIサイトを導入し
た。得られたプライマー5P−4およびプライマー3P
−2は10mM リン酸ナトリウム緩衝液pH6. 8で
平衡化したニックカラム(Pharmacia)を用い
精製し、260nmの吸光度を測定して20μMに調製
したものを用いた。
【0063】得られたPCR産物を10%アガロースゲ
ル電気泳動で分離し、設定したプライマーから予想され
るサイズ(90〜120bp)のPCR産物、7種類を
抽出、精製した。精製した各PCR産物をBamHI及
びEcoRIで処理し、適当なプラスミド、例えばpB
luescriptTMやpUC18などのBamHI、
EcoRIサイトにサブクローニングした。例えば、1
0μlのPCR産物を10%ポリアクリルアミドゲル電
気泳動で分離して確認し、約120−130bpのPC
R産物を、プラスミドpBluescriptTMベクタ
ーにサブクローニングした。1μlのPCR産物、1μ
lの10×ライゲーション緩衝液、2μlの再懸濁化ベ
クター液及び1μlのT4DNAリガーゼからなる反応
用混合物を12℃で一晩インキュベーション処理した。
得られたベクターを適当なコンペテント細胞(例えば、
大腸菌HB101やXL1−Blueのコンペテント細
胞が使用できる)にTA Cloning Kit(Invitrogen)のプ
ロトコールに従い導入し、サブクローニングした。その
ほかpUC119,pCRTMなどのベクターを用いるこ
ともできる。クローン化したPCR産物の塩基配列を蛍
光DNAシーケンサModel373A(Applie
d Biosystems)、Taqダイプライマーサ
イクルシークエンシングキット(Applied Bi
osystems)を使用し決定した。
【0064】決定したこれら7種のPCR産物の塩基配
列を既知MMPの塩基配列と比較した結果、2つは既に
報告されているMMP−2の塩基配列(J.Biol.
Chem.,261:6600〜6605,1986)
の一部と、1つはMMP−9の塩基配列(J.Bio
l.Chem.,264:17213〜17221,1
989)の一部と一致した。残りの4種のPCR産物の
内、2つはMMPとは無関係な塩基配列であったが、後
の2つは93bpで同一の配列を有しており、MMP遺
伝子と相同性を示し推定されるアミノ酸配列も保存され
ていた。このPCR産物を便宜的にMMP−X2フラグ
メントと命名した。
【0065】(c)cDNAライブラリーからの新規M
T−MMP−3遺伝子のスクリーニングと塩基配列の決
定 前項(b)で得られたMMP−X2フラグメント(cD
NA断片)25ngを、例えばランダムプライムドDN
Aラベリングキット(BoehringerMannh
aim)を使用して〔α−32P〕dCTP (Amersham)
を用いて標識し、2〜5.0 CPM/μgの比活性を
持つプローブを得た。これを種々のヒト組織または細胞
由来cDNAライブラリーをスクリーニングするための
プローブとして用いた。(a)項で記載したλgt11
中に構築したヒト口腔癌組織cDNAライブラリーを宿
主菌大腸菌Y1090に4×104 プラーク形成単位/
15cm2 プレートの濃度で感染させ、プラークを形成
させた。まず、大腸菌Y1090株を0. 02%マルト
ースを含むL培地で1晩培養後、集菌し、10mM M
gSO4に懸濁した。この細胞懸濁液とファージ液を混
合し37℃15分間保温し、ファージを宿主菌に吸着さ
せた。これに軟寒天を加え、予め作製しておいた15c
2 のLプレート上に広げた。プレートを42℃で1晩
保温し、プラークを形成させた後、ナイロンフィルター
(例えば、ハイボンド(Hybond)−N、Amer
sham)あるいはニトロセルロースフィルター(例え
ばHATF、Millipore)をプレート上に置
き、約30秒間放置した。膜を穏やかに剥がしアルカリ
変性液(0. 5M NaOH及び1.5M NaCl)
に1分間浸した後、中和液(1. 5M NaCl含有
0. 5M Tris−HCl緩衝液、pH8)に15分
間浸した。このフィルターを2×SSPE(0. 36M
NaCl、20mM NaH2 PO4 及び2mM E
DTA)で洗浄した後、風乾した。上述のプラークのフ
ィルターへの転写を繰り返し、少なくとも2枚のフィル
ターを調製する。但し、2枚目以降のフィルターとプレ
ートの接触時間は2分間程度に延長した。
【0066】このフィルターを80℃で2時間ベーキン
グし、DNAを固定した。1つのプレートから調製した
少なくとも2枚のフィルターをそれぞれ42℃、1時間
洗浄液(1M NaCl、1mM EDTA及び0. 1
% Sodium dodecyl sulfate
(SDS)含有50mM Tris−HCl緩衝液、p
H8. 0)で洗浄後、ハイブリダイゼーションバッグ中
にフィルターを入れ、プレハイブリダイゼーション溶液
[50% formamide、5×Denhardt’
s溶液(0. 2%ウシ血清アルブミン、0. 2% po
lyvinylpyrolidone)、5×SSP
E、0. 1% SDS、100μg/ml熱変性サケ精
子DNA]に浸し、42℃で6〜8時間プレハイブリダ
イゼーションを行った。次に100℃、5分間加熱変性
させた(c)項で記載した32P標識プローブをプレハイ
ブリダイゼーション溶液に添加し、42℃で1晩ハイブ
リダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション完
了後、フィルターを室温で多量の0. 1%SDS含有2
×SSC溶液で洗浄した。次にフィルターを0.1%S
DS含有の0.2×SSC溶液中に55℃、30分間置
いた。この操作を2回繰り返したこのフィルターを風乾
した後、X線フィルム(Kodak XR)と重ね−8
0℃で12時間オートラジオグラフィーを行った。X線
フィルムを現像し、1枚のプレートからできた2枚のフ
ィルムを重ね、重なるシグナルをマークする。マークし
たシグナルに相当するプラークをSM溶液(100mM
NaCl及び10mM MgSO4 含有50mM T
ris−HCl緩衝液、pH7.5)に懸濁した。この
ファージ懸濁液を適度に希釈して、好ましくは10〜1
00プラーク形成単位/10cm2 プレートの濃度に希
釈して大腸菌を培養してある10cm2 プレートにプレ
ーティングし、上記と同様のスクリーニングを行い、組
換え体ファージを得た。
【0067】(d)新規MT−MMP−3遺伝子を持つ
組換え体λgt11 DNAの調製 クローン化したファージをそれぞれ前(c)項の記載と
同様にプレーティングし42℃、3時間保温し、続いて
37℃、1晩保温した後SM溶液に数滴のクロロホルム
を加え室温で30分間放置した。SM溶液と共に上層の
軟寒天を掻き取り、遠心分離した。遠心後の上清に終濃
度10%になるようにポリエチレングリコール−600
0(PEG−6000)を加え攪拌した後、4℃で1時
間放置した。これを遠心分離し上清を捨て、ファージ粒
子を回収した。このファージ粒子をSM溶液に懸濁し、
グリセロールグラジエント超遠心分離法(Molecu
lar cloning, a laboratory
manual,Ed.T.Maniastis,Co
ld Spring Harvour Laborat
ory,2nd Ed.78,1989)により精製し
た。得られたファージをTM溶液に懸濁し、DNase
IおよびRNase Aで処理後、20mM EDT
A、50μg/ml Proteinase K及び
0. 5% SDS混合液を加え65℃、1時間保温し
た。これをフェノール抽出、ジエチルエーテル抽出後、
エタノール沈殿によりDNA を沈殿させた。得られたDN
Aを70%エタノールで洗浄後乾燥し、TE溶液(10m
M EDTA含有10mM Tris−HCl緩衝液、
pH8)に溶解した。
【0068】(e)挿入断片の塩基配列決定 前項(d)で調製したλgt11 DNAをEcoRI
で分解し、挿入断片を分離精製後、ベクターpBlue
scriptTM(Stratagene)のEcoRI
部位にサブクローニングする。この組換え体pBlue
scriptで大腸菌NM533 XL1−Blueを
形質転換した。形質転換細胞をF’選択後、ヘルパーフ
ァージVCSM13(Stratagene)を感染さ
せ終夜培養する。培養液を遠心分離し菌体を除き、これ
にPEG/NaClを加えファージを沈殿させる。沈殿
をTE溶液に懸濁後、1本鎖DNAをフェノール抽出、
エタノール沈殿により回収した。この1本鎖DNAの塩
基配列を蛍光DNAシーケンサModel373A(A
pplied Biosystems)、Taqダイプ
ライマーサイクルシークエンシングキット(Appli
ed Biosystems)を使用し決定した。決定
した塩基配列の全長は2107bpであり、その配列は
配列表の配列番号:1に記載した。GENBANK/E
MBL DNA Data Baseを使用し、配列表
の配列番号:1に記載した塩基配列を検索したが、同一
の配列は存在しなかった。この約2. 1kbのDNA配
列中には、推定604アミノ酸をコードするオープンリ
ーディングフレームの存在が認められ、その推定される
アミノ酸配列を配列表の配列番号:2に記載した。この
推定されるタンパク質を、「MT−MMP−3」と名付
けた。得られたDNA断片をプラスミドPEX,pME
Mneo、pKGなどのベクターに組込み、大腸菌、C
HO細胞などで発現させることができる。上記MT−M
MP−3をコードする塩基配列を挿入したベクター(p
SG5TM(Stratagene))を保有する大腸菌
NM533 XL1−Blue(XL1−Blue/M
MP−X2)は、工業技術院生命工学工業技術研究所に
受託番号FERM BP−5573として寄託保存され
ている(平成7年7月5日(原寄託日)に寄託された微
工研菌寄第P−15033号(原寄託)よりブダペスト
条約に基づく寄託への移管請求が平成8年7月1日にさ
れた)。
【0069】(f)MT−MMP−3のアミノ酸配列解
析 配列表配列番号:1に記載のMT−MMP−3の塩基配
列から推定される配列表配列番号:2に記載したアミノ
酸配列を既知のMMPsのアミノ酸配列と比較したアラ
イメントを図1〜図5に示した。配列表配列番号:2に
示したアミノ酸配列は、MMPファミリーと高い相同性
を示し、MMPファミリーに特徴的なドメイン構造、す
なわち、分泌産生時に除去されるシグナルペプチド、プ
ロペプチドドメイン、触媒ドメイン、ヒンジドメイン、
ヘモペキシン凝血酵素様ドメインが良好に保存されてい
た。特に、MMPファミリーで非常に高度に保存されて
いるプロ体と活性型の切断部位近傍の配列PRCGVP
DはMT−MMP−3でも完全に保存されており、また
活性ドメインの配列も高い保存性を示した。Zn2+の結
合部位を含む活性ドメインのアミノ酸配列をMT−MM
P−3と他の既知のMMPと比較したところ、MT−M
MP−1に対する相同性は66%と最も高く、また他の
MMPに対する相同性もMMP−12に対して51%、
MMP−2及びMMP−9に対して50%、MMP−1
に対して49%、MMP−3に対して48%、MMP−
8に対して47%、MMP−11に対して46%、MM
P−7に対して44%の相同性を示した。
【0070】さらにMT−MMP−3のアミノ酸配列上
で他のMMPと比較して特徴的な点は、3ヶ所の挿入配
列が存在する点である。すなわち、プロペプチドドメイ
ンと触媒ドメインの間に存在するGSSKFHIRRK
Rの配列からなる11アミノ酸残基の挿入配列−1(I
S−1;配列表の配列番号:2のGly109 〜Arg
119 )、触媒ドメイン中のPYSELENGの配列から
なる8アミノ酸残基の挿入配列−2(IS−2;配列表
の配列番号:2のPro171 〜Gly178 )及びトラン
スメンブレンドメイン様の24個の疎水性アミノ酸の連
続配列AIAIVIPCILALCLLVLVYTVF
QFを含む75アミノ酸残基の挿入配列−3(IS−
3;配列表の配列番号:2のAsp530 〜Val604
が存在する。このような3ヶ所の挿入配列は、MMPフ
ァミリー中ではMT−MMP−1においてのみ存在し、
他のMMPには認められなかった。MT−MMP−3に
おける3ヶ所の挿入配列について位置及び構成するアミ
ノ酸残基の数は、MT−MMP−1におけるそれとほと
んど同じであったが、アミノ酸の組成は、MT−MMP
−1のそれとは明らかに異なっており、IS−3のMT
−MMP−1との相同性は37%であった。なお、全配
列の相同性は43%であった。最初の挿入配列IS−1
は例外的にMMP−11にも存在しているが、IS−1
中で保存されている配列RXKRは、ズブチリシン様プ
ロテアーゼの切断部位の配列であり、アミノ酸配列RX
KRはズブチリシン様プロテアーゼによる多くの真核生
物分泌タンパク質の切断部位であることが知られている
(J.Biol.Chem.,266:12127〜1
2130,1991)。IS−3中の疎水性アミノ酸の
連続配列はトランスメンブレンドメインと考えられ、M
T−MMP−1の際立って特徴的な点であり(J.Bi
ol.Chem.:270,801〜805,199
5)、MT−MMP−3のIS−3中に存在する疎水性
アミノ酸の連続配列もトランスメンブレンドメインと考
えられた(実施例5参照)。本発明により単離されたM
T−MMP−3cDNAによってコードされるタンパク
質のアミノ酸配列は、他のMMPファミリーと相同性が
高く、先に本発明者らが見出したMT−MMP−1とも
類似しているが、詳細な点では明らかに異なり、また分
子量も異なっていた。本発明のタンパク質は約69kD
aの分子量を有している。これらの配列上の特徴は、M
T−MMP−1及びMT−MMP−3は、MMPファミ
リー中のサブファミリーを構成していることを示唆して
いる。
【0071】実施例2 MT−MMP−3mRNAの
発現 (a)ヒト組織中での発現 ヒト心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓各
組織由来のpoly(A)+ RNAをブロットしてある
メンブレンHuman Multiple Tissu
e Northern Blots(Clontec
h)を用い、32P標識した実施例1(e)項に記載した
2.1kbのcDNAをプローブとしてノーザンブロッ
ティングを行った。プローブの標識は実施例1(c)項
の記載と同様に行った。3×SSC(0. 45M Na
Cl,0.045M trisodium citra
te 2H2 O、pH7. 0)で湿らせたMultip
leTissue Northern Blotsのフ
ィルターをプレハイブリダイゼーション溶液(0. 75
M NaCl、2. 5mM EDTA、0. 5×Den
hardt’s溶液、50% formamide及び
1% SDS含有20mM Tris−HCl緩衝液、
pH7. 5)10ml中で穏やかに攪拌しながら42℃
で2〜3時間プレハイブリダイズした。次にハイブリダ
イゼーション溶液(プレハイブリダイゼーション溶液に
10% sodium dextran、20μg/m
l変性サケ精子DNAを加えた溶液)10mlに熱変性
したプローブを加えプレハイブリダイゼーション溶液と
交換し、43℃で一晩ハイブリダイゼーションを行っ
た。ハイブリダイゼーション完了後、0. 1% SDS
含有2×SSC溶液で洗浄した。
【0072】次にブロットを0. 1% SDS含有1×
SSC溶液中に55℃、30分間置いた。このブロット
をバイオイメージアナライザーBAS1000(富士写
真フィルム株式会社)でトレースし各組織におけるmR
NAの発現強度を評価した。このとき、同じブロットを
32P標識したGlyceraldehyde−3−ph
osphate dehydrogenase(GAP
DH)遺伝子(CLONTECH)を用いてプロービン
グし、mRNAの内部標準とした。その結果を図6Aに
示した。MT−MMP−3mRNAのサイズは、何れの
組織でも12kbであり、調べた組織中、肺、脳、胎盤
で高い発現を認めたが、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、骨格
筋では検出されなかった。一方、同様にHumanMu
ltiple Tissue Northern Bl
ots(Clontech)を用い、32P標識したMT
−MMP−1cDNAをプローブとしてノーザンブロッ
ティングを行ったところ、4.5kbに検出されたMT
−MMP−1mRNAは、肺、腎臓、胎盤で顕著に発現
していたのに対し脳では最も低い発現であった。因み
に、MT−MMP−1とMT−MMP−3のクロスハイ
ブリダイゼーションは生じなかった。
【0073】(b)培養癌細胞中での発現 種々ヒト培養癌細胞中でのMT−MMP−3mRNAの
発現を検討した。ヒト癌細胞として、喉頭癌由来細胞H
ep2、膀胱癌由来細胞T24、肺癌由来細胞PC−
3、胃癌由来細胞KKLS、NKPS及びMKN−2
8、骨肉腫由来細胞SK−ES−1及びU−20S、扁
平細胞癌由来細胞OSC−19及び悪性黒色腫細胞A3
75、線維芽細胞として胎児肺由来線維芽細胞HELを
使用した。各細胞から抽出したRNA、1検体につき1
0μgを50%formamide、17.5%for
malin含有2%MOPS、pH7.5に溶解し、6
5℃で10分間反応させた。これを1%アガロースで2
%MOPS中で電気泳動を行った。泳動後のゲルを、ナ
イロンメンブレン(例えば、Hybond−N,Ame
rsham)に転写した。転写後のメンブレンを波長2
54nmの紫外線を1200マイクロジュール照射し、
固定した。このブロットを前項(a)と同じく32P標識
したcDNAと16時間ハイブリダイゼーションを行
い、バイオイメージアナライザーBAS1000(富士
写真フィルム株式会社)でトレースし、シグナルの検
出、強度を評価した。MT−MMP−3mRNAは、T
24細胞及びHep2細胞で他の細胞より高い発現が検
出されたが、これらの細胞におけるMT−MMP−1m
RNAの発現レベルは低レベルであった。一方、MT−
MMP−1mRNAの顕著な発現を認めたOSC−19
細胞及びHEL細胞では逆にMT−MMP−3mRNA
の発現は他の細胞に比べ低レベルであった(図6B)。
MT−MMP−1及びMT−MMP−3は、そのアミノ
酸配列の比較から極めて類似したドメイン構造を有し、
またプロMMP−2の活性化という同じ作用を有してい
るにも拘らず(実施例6参照)、その発現は、組織ある
いは細胞レベルでは全く異なるパターンを示した。この
ことは、MT−MMP−1とMT−MMP−3が類似し
た構造及び作用を有するにも拘らず、異なる発現制御を
受けていることを示している。
【0074】実施例3 モノクローナル抗体の調製 (a)抗原ポリペプチドの調製 配列表の配列番号:2に記載したMT−MMP−3のア
ミノ酸配列中より他のMMPファミリーとの相同性が低
い、MT−MMP−3に特徴的な配列として、次の4個
の配列を選択し、合成した。
【0075】〔配列番号:5〕 QTRGSSKFHIRRKR (配列表配列番号:2のGln106 〜Arg119 の配
列;「ポリペプチドA」と略記する) 〔配列番号:6〕 EEVPYSELENGKRD (配列表配列番号:2のGlu168 〜Asp181 の配
列;「ポリペプチドB」と略記する) 〔配列番号:7〕 PTSPRMSVVRSAETMQSA (配列表配列番号:2のPro55〜Ala72の配列;
「ポリペプチドC」と略記する) 〔配列番号:8〕 TLGNPNHDGNDLFL (配列表配列番号:2のThr229 〜Leu242 の配
列;「ポリペプチドD」と略記する)
【0076】これらのポリペプチドをペプチド合成機
(ペプチドシンセサイザー9600、MilliGen
/Bioserch)を使用して、Fmoc−bop法
で合成した。ポリペプチドのN末端にはシステインを導
入した。合成したペプチドはμBondaspher
e,C18カラム(Waters)を用いた高速液体ク
ロマトグラフィーにより精製した。
【0077】(b)各ポリペプチドとBSAの複合体の
調製 システイン残基を介してウシ血清アルブミン(BSA)
と結合させ抗原コンジュゲートとした。20mgBSA
を2mlの0. 1Mリン酸緩衝液(pH7. 5)に溶解
したものと18. 13mg N−(6−maleimi
docaproyloxy)succinimideを
200μl のジメチルホルムアミドに溶解したものと混
合し、30℃、30分間反応させた。ついで、上記の混
合液を0. 1Mリン酸緩衝液(pH7. 0)で平衡化し
たPD−10(Pharmacia)でゲルろ過した。
マレイミドが結合したBSAを分取し、1. 5ml以下
に濃縮した。マレイミドが結合したBSAに対し50倍
モル量の前記(a)で合成した各ポリペプチドを1ml
の0. 1Mリン酸緩衝液(pH7. 0)に溶解したもの
とそれぞれ混合し、4℃、20時間インキュベートし、
BSA−ポリペプチド複合体を調製した。
【0078】(c)抗体産生細胞の調製 前記(b)で調製した4種類のポリペプチドA、B、C
及びDとBSAとの複合体それぞれ200μgを完全フ
ロインドアジュバントと共に8週令Balb/c雌マウ
スに腹腔内投与し、初回免疫した。18日後に0. 1M
リン酸緩衝液(pH7. 5)に溶解した各複合体200
μgをそれぞれの初回免疫したマウスに腹腔内投与し、
追加免疫した。さらに32日後に追加免疫時と同様に各
複合体100μgを静脈内投与し、最終免疫とした。そ
の3日後に脾臓を摘出し、脾細胞懸濁液を調製した。
【0079】(d)細胞融合 (1)以下の材料および方法を用いた。 RPMI−1640培地:RPMI−1640(Flo
w Lab.)に重炭酸ナトリウム(24mM)、ピル
ビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリンGカリウム
(50U/ml)、硫酸アミカシン(100μg/m
l)を加え、ドライアイスでpHを7.2にし、0.2
μm東洋メンブレンフィルターで除菌ろ過した。 NS−1培地:上記RPMI−1640培地に除菌ろ過
したFCS(M.A.Bioproducts)を15
%(v/v)の濃度になるように加えた。 PEG4000溶液:RPMI−1640培地にポリエ
チレングリコール4000(PEG 4000,Mer
k & Co.)を50%(w/w)になるように加
え、無血清溶液を調製した。 8−アザグアニン耐性ミエローマ細胞SP2(SP2/
0−Ag14)との融合は、Selected Met
hod in Cellular Immunolog
y pp351〜372(ed. B. B. Mishel
l and S. N. Shiigi)、W. H. Fre
eman and Company (1980)に記
載のOiらの方法を若干改変して行った。
【0080】(2)以下では、ポリペプチドA−BSA
複合体で免疫したマウス由来の有核脾細胞とミエローマ
細胞SP2との融合に関して詳述する。前記(c)で調
製した有核脾細胞(生細胞率100%)それぞれとミエ
ローマ細胞(生細胞率100%)とを5:1の比率で以
下の手順で融合した。ポリペプチドA脾細胞懸濁液とミ
エローマ細胞をそれぞれRPMI1640培地で洗浄し
た。次に同じ培地に懸濁し、融合させるために有核脾細
胞1. 1×109 個とミエローマ細胞2. 1×108
を混合した。次に遠心分離により細胞を沈殿させ、上清
を完全に吸引除去した。沈殿した細胞に37℃に加温し
たPEG4000溶液〔50%(w/v)ポリエチレン
グリコール4000含有RPMI1640培地〕7. 1
mlを1分間で滴下し、1分間攪拌し、細胞を再懸濁、
分散させた。次に37℃に加温したRPMI1640培
地14. 2mlを2分間で滴下した後、同培地49. 7
mlを2〜3分間で常に攪拌しながら滴下し、細胞を分
散させた。これを遠心分離し、上清を完全に吸引除去し
た。次にこの沈殿した細胞に37℃に加温したNS−1
培地〔除菌ろ過した15%(w/v)仔牛胎児血清(J
RH Biosciences)含有RPMI1640
培地〕71mlを速やかに加え、大きい細胞塊を注意深
くピペッティングで分散した。さらに同培地142ml
を加えて希釈し、ポリスチレン製96穴マイクロウェル
にウェル当り6. 0×105 個/0. 1mlの細胞を加
えた。細胞を加えた上記マイクロウェルを7%炭酸ガス
/93%空気中で温度37℃、湿度100%で培養し
た。ポリペプチドB−BSA複合体で免疫したマウス由
来脾細胞の場合では、脾細胞6. 2×108 個とミエロ
ーマ細胞1. 24×108 個を混合し、上記で使用した
PEG4000溶液、RPMI1640培地、NS−1
培地をそれぞれ4.1ml、36. 9ml、123ml
用いた。ポリペプチドC−BSA複合体で免疫したマウ
ス由来の脾細胞の場合、脾細胞3. 6×108 個とミエ
ローマ細胞7. 5×107 個を混合し、PEG4000
溶液、RPMI1640培地、NS−1培地をそれ ぞ
れ2. 5ml、22. 5ml、75ml使用した。ポリ
ペプチドD−BSA複合体で免疫したマウス由来の脾細
胞の場合、脾細胞6. 0×108 個とミエローマ細胞
1. 2×108 個を混合し、PEG4000溶液、RP
MI1640培地、NS−1培地をそれぞれ4. 0m
l、36. 0ml、120ml使用した。
【0081】(e)選択培地によるハイブリドーマの選
択的増殖 (1)使用する培地は以下の通りである。 HAT培地:前記(d)(1)で述べたNS−1培地に
更にヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン
(0.4μM)およびチミジン(16μM)を加えた。 HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT
培地と同一組成のものである。 (2)前記(d)の培養開始後翌日(1日目)、細胞に
パスツールピペットでHAT培地2滴(約0. 1ml)
を加えた。2、3、5、8日目に培地の半分(約0. 1
ml)を新しいHAT培地で置き換え、11日目に培地
の半分を新しいHT培地で置き換えた。14日目にハイ
ブリドーマの生育が肉眼にて認められた全ウエルについ
て固相−抗体結合テスト法(ELISA)により陽性ウ
エルを調べた。すなわち、ポリスチレン性96穴プレー
トを抗原としたポリペプチドA、B、CおよびDそれぞ
れでコートし、次に洗浄用PBS(0. 05%Twee
n20含有)を用いて洗浄して未吸着のペプチドを除い
た。さらに各ウエルの未コート部分を1%BSAでブロ
ックした。この各ウエルにハイブリドーマの生育が確認
されたウエルの上清0. 1mlを添加し、室温で約1時
間静置した。2次抗体として西洋わさびペルオキシダー
ゼ(HRP)標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Cap
pel Lab.)を加え、さらに室温で約1時間静置
した。次に基質である過酸化水素とο- フェニレンジア
ミンを加え、発色の程度をマイクロプレート用吸光度測
定機(MRP−A4、東ソー)を用いて492nmの吸
光度で測定した。
【0082】(f)ハイブリドーマのクローニング 上記(e)で得られた各抗原ペプチドに対する陽性ウエ
ル中のハイブリドーマを、限界希釈法を用いてモノクロ
ーン化した。すなわち、NS−1培地 1ml当りフィ
ーダーとして107 個のマウス胸腺細胞を含むクローニ
ング培地を調製し、96穴マイクロウエルにハイブリド
ーマをウエル当り5個、1個、0. 5個になるように希
釈し、それぞれ36穴、36穴、24穴に加えた。5日
目、12日目に全ウエルに約0. 1mlのNS−1培地
を追加した。クローニング開始後約2週間で、肉眼的に
十分なハイブリドーマの生育を認め、コロニー形成陰性
ウエルが50%以上である群について(e)に記載した
ELISAを行った。調べた全ウエルが陽性でない場
合、抗体陽性ウエル中のコロニー数が1個のウエルを4
〜6個選択し、再クローニングを行った。最終的に表1
〜表4にまとめて示したように各ポリペプチドA、ポリ
ペプチドB、ポリペプチドCまたはポリペプチドDに対
するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマがそ
れぞれ7個、16個、11個、4個得られた。
【0083】(g)ハイブリドーマの培養とモノクロー
ナル抗体の精製 得られた各ハイブリドーマ細胞をNS−1培地で培養
し、その上清から濃度10〜100μg/mlのモノク
ローナル抗体を得ることができた。また、得られたハイ
ブリドーマ107 個を予め1週間前にプリスタンを腹腔
内投与したマウス(BALB/c系、♀、6週齢)に同
じく腹腔内投与し、1〜2週間後、腹水中からも4〜7
mg/mlのモノクローナル抗体を含む腹水を得ること
ができた。得られた腹水を40%飽和硫酸アンモニウム
で塩析後、IgGクラスの抗体をプロテインAアフィゲ
ル(Bio−Rad)に吸着させ、0. 1Mクエン酸緩
衝液(pH5)で溶出することにより精製した。 (h)モノクローナル抗体のクラス、サブクラスの決定 前述したELISAに従い、各ポリペプチドA、ポリペ
プチドB、ポリペプチドCまたはポリペプチドDをコー
トしたマイクロタイトレーションプレートに、(f)で
得られたモノクローンの上清を加えた。次にPBSで洗
浄後、アイソタイプ特異的ウサギ抗マウスIgG抗体
(Zymed Lab. )を加えた。PBSにより洗浄
後、西洋わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIg
G(H+L)を加え、基質として過酸化水素および2,
2’−アジノ−ジ(3−エチルベンゾチアゾリン酸)を
用いてクラス、サブクラスを決定した。最終的に表1〜
表4に示したようにMT−MMP−3に対するモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマを得た。
【0084】
【表1】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】 なお、クローン番号 117-4E1は、工業技術院生命工学工
業技術研究所に受託番号FERM BP−5572とし
て寄託保存されている(平成7年7月5日(原寄託日)
に寄託された微工研菌寄第P−15031号(原寄託)
よりブダペスト条約に基づく寄託への移管請求が平成8
年7月1日にされた)。
【0087】(i)抗MT−MMP−3モノクローナル
抗体の特異性 ヒト新生児線維芽細胞(NB1RGB)の培養上清中か
らそれぞれ精製した潜在型MMP−1(Clin.Ch
im.Acta,219:1〜14,1993)、潜在
型MMP−2(Clin.Chim.Acta,22
1:91〜103,1993)及び潜在型MMP−3
(Clin.Chim.Acta,211:59〜7
2,1992)、ヒト直腸癌細胞(CaR−1)の培養
上清から精製した潜在型MMP−7(Cancer R
es.,50:7758〜7764,1990)、ヒト
好中球より精製した潜在型MMP−8(Biol.Ch
em.Hoppe−Seyler,371:Suppl
ement295〜304,1990)並びにヒト線維
芽細胞腫株(HT1080)の培養上清から精製した潜
在型MMP−9(J.Biol.Chem.,267:
21712〜21719,1992)をそれぞれ抗原と
して使用し、前述の(e)に記載した固相−抗体結合テ
スト法(ELISA)によりヒトMT−MMP−3ペプ
チドと陽性反応を示す抗MT−MMP−3モノクローナ
ル抗体(モノクローン番号117−4E1、157−6
F5及び158−8E6)の交差反応性を調べた。すな
わち、ポリスチレン製96穴プレートを使用し、各ウェ
ルに精製した各MMP−1、MMP−2、MMP−3、
MMP−7、MMP−8及びMMP−9をそれぞれ50
ng/wellで加えコートした。洗浄用PBSで洗浄
し未吸着の抗原を除去した後、各ウェルの未コート部分
を3%スキムミルク含有PBSでブロックした。この各
ウェルに各抗MT−MMPモノクローナル抗体それぞれ
を1μg/wellで加え、室温で約1時間静置した。
プレートを洗浄後、2次抗体としてペルオキシダーゼ標
識ヤギ抗マウス免疫グロブリンを加えさらに室温で約1
時間反応させた。次に基質である過酸化水素とο−フェ
ニレンジアミンを加え、発色の程度をマイクロプレート
用吸光度測定機(MRP−A4、東ソー)を用いて49
2nmの吸光度で測定した。その結果、抗MT−MMP
−3モノクローナル抗体は何れも、供試したMT−MM
P−3以外の精製MMPsと反応性を示さなかった。本
実施例3の方法を、合成ペプチド抗原の代わりにリコビ
ナントMT−MMP−3、例えば下記実施例4あるいは
5の方法で得られたリコビナントMT−MMP−3を抗
原として用いることにより繰り返し、同様にして抗MT
−MMP−3モノクローナル抗体を作製する。
【0088】実施例4 遺伝子産物の発現と同定 動物細胞を宿主としてMT−MMP−3を発現させるた
め、cDNAを発現ベクターと連結した。本実施例で
は、発現用ベクターにはSV40のプロモーター、エン
ハンサー、ポリAシグナル、small T anti
gen遺伝子の介在配列を含むpSG5(Strata
gene)を用いた。実施例1(e)で構築したMT−
MMP−3遺伝子をクローン化した組換えpBlues
criptTM(Stratagene)からEcoRI
切断により2.1kbの挿入断片を切り出し、真核細胞
用発現ベクターpSG5のEcoRIサイトにクローニ
ングし、発現用プラスミドpSGMT2を作製した。ラ
イゲーション反応は、ライゲーションキットに添付のプ
ロトコールに従って行った。5%ウシ胎児血清及び2m
M glutamineを含むダルベッコ改変イーグル
培地(Dulbecco’s modified Ea
gle’s medium;DMEM)中で培養したア
フリカミドリザル腎由来細胞COS−1にpSGMT2
及びpSGT1(TIMP−1cDNAをpSG5にク
ローン化してあるもの)をリン酸カルシウム法によりコ
トランスフェクションした(Virology,52:
456,1973)。対照として、pSG5単独でCO
S−1をトランスフェクションした。すなわち、蒸留水
に2μgの組換えpSG5あるいはpSG5単独に、6
0μlの0.25M CaCl2 を加え、次に2×BB
S溶液(2. 8mM Na2HPO4 及び280mM
NaCl含有50mM BES緩衝液、pH7. 9)6
2.5μlをチューブの底に加えた。これを混合後、室
温で30分程度放置し、沈殿形成を十分行った。沈殿を
ピペッティングにより分散し、COS−1細胞に滴下し
た後、CO2 インキュベーター中で約24時間インキュ
ベートした。次に培地を除き、細胞をPBSで洗浄後、
30μCi/mlの35S−メチオニンを含む新鮮なメチ
オニン不含DMEMを加えた。培養を5時間継続し、細
胞タンパク質を35Sで標識した。
【0089】遠心分離により細胞とコンディション培地
を分離し、細胞を溶解緩衝液(0.15M NaCl、
0. 1% Sodium deoxycholate、
0.1% SDS、1 mM Triton X−10
0、1% NP−40、1mM EDTA、1mM p
henylmetanesulfonyl fluor
ide(PMSF)含有10mM Tris−HCl緩
衝液、pH7. 5)中で4℃、1時間インキュベートし
た。細胞溶解液を遠心分離し、上清を回収した。上清及
びコンディション培地を実施例3で得られた抗MT−M
MP−3ポリペプチド抗体clone Nos.117
−4E1あるいは117−13B6、また対照として抗
TIMP−1抗体clone No.50−1H7と4
℃、16時間反応させた。clone Nos.117
−4E1あるいは117−13B6抗体は、抗MT−M
MP−3モノクローナル抗体の中でも非特異的反応性の
低いものとして選択した。これらの抗原−抗体複合体に
プロテインAをカップリングさせたセファロース−4B
(Pharmacia)を加え、4℃で2時間攪拌しな
がらインキュベートし、免疫沈降を行った。次に、遠心
分離により免疫沈降させたモノクローナル抗体をカップ
リングしたセファロース−4Bを沈殿させ、細胞溶解液
で3回洗浄し、最後に0. 05M Tris−HCl緩
衝液、pH6. 8で洗浄した。この洗浄したセファロー
ス−4BにSDSポリアクリルアミド電気泳動用サンプ
ル緩衝液(10% glycerol、2% SDS、
2%β−mercaptoethanol、0. 1%
bromophenol blue含有50mM Tr
is−HCl緩衝液、pH6. 5)を加え、100℃で
3分間加熱した後、12% SDSポリアクリルアミド
電気泳動を行った。バイオイメージアナライザーBAS
1000(富士写真フィルム株式会社)を用いて泳動後
のゲルのシグナルの検出を行い、その結果を図7に示し
た。
【0090】使用した抗MT−MMP−3ポリペプチド
抗体clone Nos. 117−4E1及び117−
13B6はいずれも、MT−MMP−3遺伝子をトラン
スフェクションした細胞のセルライゼート中の分子量6
4kDaのタンパク質を免疫沈降した。対照としたMT
−MMP−3遺伝子を含まないベクターpSG5単独を
トランスフェクトした細胞では、何れの抗体でも分子量
64kDaタンパク質は免疫沈降されなかった。免疫沈
降で検出されたタンパク質の分子量64kDaは、配列
表配列番号:2に記載したアミノ酸配列から算出される
分子量とほぼ一致した。 また、分子量30、33及び
52kDaに相当する3本のバンドがMT−MMP−3
遺伝子をトランスフェクションした細胞のセルライゼー
ト中から検出されたが、対照ではこれらのバンドは検出
されなかった。一方、セルライゼートから免疫沈降され
たこれらタンパク質は、コンディション培地中からは検
出されなかった。これに対し、TIMP−1は分泌タン
パク質であるが、実際、発現したTIMP−1は、その
殆どがコンディション培地中に検出され、確かに細胞外
に分泌されていることが確認された。以上の結果は、M
T−MMP−3は、そのアミノ酸配列からシグナルペプ
チドの存在が示唆されるにも拘らず、容易に分泌されな
いことを示している。この知見は、MT−MMP−1が
細胞表層上で発現し培地中では検出できなかった先の本
発明者らの知見(Nature,370;61〜65,
1994)と非常によく類似している。MT−MMP−
3cDNAは、mRNAから逆転写酵素により合成され
た完全長のcDNAであるので、このcDNAを適当な
発現ベクターに移すことで、大腸菌、枯草菌、酵母、動
物細胞等を宿主としてMT−MMP−3を大量生産でき
る。pSGMT2をCOS−1に導入した本実施例で
は、MT−MMP−3の産生は短期的(trangie
nt expression)であるが、適当な選択マ
ーカー(neo遺伝子、dehydrofolate
reductase遺伝子等)を有する発現ベクターを
使用し、CHO細胞等に導入することにより長期間生産
可能な細胞株を得ることもできる。
【0091】実施例5 MT−MMP−3のC末端疎水
性アミノ酸連続配列の機能 (a)MT−MMP−3のC末端疎水性アミノ酸連続配
列とTIMP−1とのキメラタンパク質(TIMP/M
T−3)及びMT−MMP−1のC末端疎水性アミノ酸
連続配列とTIMP−1とのキメラタンパク質(TIM
P/MT−1)の調製 MT−MMPsのC末端疎水性アミノ酸連続配列とTI
MP−1とのキメラタンパク質の調製は、CaoらのM
T−MMP−1のトランスメンブレンドメインとTIM
P−1とのキメラタンパク質の調製法(J.Biol.
Chem.,13;801〜805,1995)に準じ
て行った。MT−MMP−3のC末端疎水性アミノ酸連
続配列を含むアミノ酸配列(Ala556 〜Val604
をコードするcDNA断片、あるいはMT−MMP−1
のC末端疎水性アミノ酸連続配列を含むアミノ酸配列
(Gly535 〜Val582 )をコードするcDNA断片
をPCRにより増幅し、断片を回収した。PCR増幅
は、実施例1(b)と同様にして行った。得られたDN
A断片それぞれをTIMP−1cDNAの3’末端側に
連結し、pSG5にサブクローニングすることによりT
IMP−1/MT−3キメラタンパク質発現プラスミド
pSGT1M2及びTIMP−1/MT−1キメラタン
パク質発現プラスミドpSGT1M1を作製した。ライ
ゲーション反応は、ライゲーションキットに添付のプロ
トコールに従って行った。これらのプラスミドのCOS
−1へのトランスフェクションは実施例4に記載と同様
に行った。5%ウシ胎児血清及び2mM glutam
ineを含むDMEM中で培養したCOS−1にpSG
T1M2、pSGT1M1あるいはpSGT1それぞれ
をリン酸カルシウム法によりトランスフェクションし
た。対照として、pSG5単独でCOS−1をトランス
フェクションした。すなわち、2μgのプラスミドDN
Aに、60μlの0.25M CaCl2 を加え、次に
2×BBS溶液(2. 8mM Na2 HPO4 及び28
0mM NaCl含有50mMBES緩衝液、pH7.
9)62.5μlをチューブの底に加えた。これを混合
後、室温で30分程度放置し、沈殿形成を十分行った。
沈殿をピペッティングにより分散し、COS−1細胞に
滴下した後、CO2 インキュベーター中で約24時間イ
ンキュベートした。次に培地を除き、細胞をPBSで洗
浄後、35S−メチオニンを含む新鮮なメチオニン不含D
MEMを加えた。培養を5時間継続し、細胞タンパク質
35Sで標識した。
【0092】遠心分離により細胞とコンディション培地
を分離し、細胞は溶解緩衝液(0.15M NaCl、
0. 1%Sodium deoxycholate、
0. 1% SDS、1 mM Triton X−10
0、1% NP−40、1mMEDTA、1mM PM
SF含有10mM Tris−HCl緩衝液、pH7.
5)中で4℃、1時間インキュベートした。細胞溶解液
を遠心分離し、上清を回収した。上清及びコンディショ
ン培地を実施例3で得られた抗TIMP−1抗体clo
ne No.50−1H7と4℃で16時間反応させ
た。得られた抗原−抗体複合体にプロテインAをカップ
リングさせたセファロース−4B(Pharmaci
a)を加え、4℃で2時間攪拌しながらインキュベート
し、免疫沈降を行った。次に、遠心分離により免疫沈降
させたモノクローナル抗体をカップリングしたセファロ
ース−4Bを沈殿させ、細胞溶解液で3回洗浄し、最後
に0.05M Tris−HCl緩衝液、pH6. 8で
洗浄した。この洗浄したセファロース−4BにSDSポ
リアクリルアミド電気泳動用サンプル緩衝液(10%g
lycerol、2% SDS、2% β−merca
ptoethanol、0. 1% bromophen
ol blue含有50mM Tris−HCl緩衝
液、pH6. 5)を加え、100℃で3分間加熱した
後、12% SDSポリアクリルアミド電気泳動を行っ
た。バイオイメージアナライザーBAS1000(富士
写真フィルム株式会社)を用いて泳動後のゲルのシグナ
ルの検出を行った。TIMP−1、TIMP−1/MT
−1、TIMP−1/MT−3はセルライゼート中で、
それぞれ28、32、32kDaのタンパク質として検
出された。検出されたキメラタンパク質TIMP−1/
MT−1及びTIMP−1/MT−3の分子量は、融合
遺伝子から推定される分子量と合致した。TIMP−1
は、セルライゼート中でも検出されたが、その大半はコ
ンディション培地中に検出された。一方、TIMP−1
/MT−1は、セルライゼート中からのみ検出され、コ
ンディション培地中からは検出されなかった(J.Bi
ol.Chem.,13;801〜805,199
5)。これに対し、TIMP−1/MT−3はTIMP
−1/MT−1と同様セルライゼートからのみ検出さ
れ、全く同じ局在を示した(図8)。これらの結果は、
MT−MMP−3のC末端領域の疎水性アミノ酸連続配
列がMT−MMP−1のC末端領域の疎水性アミノ酸連
続配列と同様に融合タンパク質の細胞外への分泌を抑制
していることを示している。
【0093】(b)細胞表層でのキメラタンパク質の発
現 MT−MMP−3のC末端領域の疎水性アミノ酸連続配
列が実際にトランスメンブレンドメインとして機能して
いるかどうかを、TIMP−1/MT−3発現細胞の間
接蛍光免疫染色により検討した。COS−1にpSGT
1あるいはpSGT1M2を実施例4に記載の方法と同
様にリン酸カルシウム法によりトランスフェクションし
た。但し、本実施例では、アイソトープラベルした培地
は使用せず、細胞はスライドチャンバー上で培養した。
培養24時間後、細胞を5μg/mlの抗TIMP−1
抗体cloneNo.50−1H7、3%BSA含有P
BS中で37℃で40分間反応させた。次に細胞を3%
BSA含有PBSで3回洗浄し、風乾後、95% ア
セトンで5分間固定した。続いて細胞を3% BSA含
有PBSに浸し、1500倍に希釈したfluores
cent isothiocyanate(FITC)
標識ゴート抗(マウスIgG)IgG(Capel)と
37℃で30分間反応させた後、ふたたび3% BSA
含有PBSで過剰な抗体を洗浄した。最後にglyce
rinを重層し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、p
SGT1M2を発現している細胞(キメラタンパク質T
IMP−1/MT−3を発現している細胞)では、細胞
表面に蛍光が観察され、キメラタンパク質のTIMP−
1部分が細胞表層上で発現していることが確認された。
一方pSGT1を発現している細胞(キメラでないTI
MP−1を発現している細胞)では蛍光は観察されず、
細胞表層でのTIMP−1の発現は認められなかった
(図9)。この結果は、MT−MMP−3のC末端の疎
水性アミノ酸連続配列がトランスメンブレンドメインと
して機能していることを示している。
【0094】実施例6 MT−MMP−3の発現による
潜在型MMP−2の活性化 実施例4で作製したMT−MMP−3cDNAをクロー
ン化したプラスミドpSG5M2あるいはMT−MMP
−1cDNAをクローン化したプラスミドpSG5M1
あるいはベクターpSG5それぞれと、潜在型MMP−
2をクローン化したプラスミドpSGGAを、実施例4
に記載したリン酸カルシウム法によりCOS−1にコト
ランスフェクションした。ただし、35S−メチオニン含
有新鮮培地の代わりに、通常の新鮮培地を使用した。ま
た、ヒト線維芽細胞腫株HT−1080に、pSGT1
あるいはpSGT2あるいはpSG5それぞれと、pS
GM2を、同様にコトランスフェクションした。HT−
1080は、潜在型MMP−2及び潜在型MMP−9を
構成的に分泌しており(図10中の68KDa及び9
7. 4kDaのバンドにそれぞれ相当)、また、MT−
MMP−3cDNAをトランスフェクションした細胞で
は、MT−MMP−3が発現していることを免疫沈降実
験により確認した(実施例4参照)。得られたトランス
フェクタントを無血清DMEM中で24時間培養し、回
収した培養上清をザイモグラフィーにかけた。培養上清
をSDSポリアクリルアミド電気泳動用サンプル緩衝液
(非還元;10% glycerol、2% SDS、
0. 1% bromophenol blue含有50
mM Tris−HCl緩衝液、pH6. 5)と混和後
37℃で20分間インキュベートした後、0.1% g
elatin含有10%ポリアクリルアミドゲルを用
い、電流20mA、4℃で電気泳動を行った。泳動終了
後、ゲルを2. 5% TritonX- 100溶液中で
1時間ゆっくり振盪しながら洗浄し、次にゼラチナーゼ
用緩衝液(10mM CaCl2 、0. 15M NaC
l、0. 02% NaN3 含有50mM Tris−H
Cl、pH7. 6)中で37℃で24時間ゆっくり振盪さ
せながらインキュベートした。緩衝液を廃棄し、ゲルを
0. 1% coomassiebrilliant b
lue R250(50%メタノール−10%酢酸に溶
解)で1時間染色後、脱色液(5%メタノール−7. 5
%酢酸)に浸し脱色した。得られたザイモグラフィーの
結果を図10に示した。
【0095】MT−MMP−3cDNAをトランスフェ
クションしたCOS−1では、MT−MMP−1cDN
AをトランスフェクションしたCOS−1と同様に、新
たにそれぞれ活性中間体MMP−2と活性型MMP−2
に相当する64kDaと62kDaのバンドが出現し、
潜在型MMP−2の活性化が確認された。一方、ベクタ
ーpSG5をトランスフェクションした細胞では、潜在
型MMP−2の68kDaのバンドのみが検出され、活
性化に伴う分子量変化は観察されなかった(図10
A)。COS−1細胞では、潜在型MMP−2発現プラ
スミド(pSGGA)をコトランスフェクションし、発
現プラスミド由来の潜在型MMP−2の活性化を観察し
たが、潜在型MMP−2を構成的に発現するHT108
0でも同様に、MT−MMP−3の発現に伴う潜在型M
MP−2の活性化が観察された。このHT1080で観
察された活性型MMP−2は、細胞を100μg/mlのコ
ンカナバリンAで処理して誘導される活性型MMP−2
分子と同じ分子量を示し、また抗MMP−2モノクロー
ナル抗体と特異的に反応した。この活性化は、ベクター
単独をトランスフェクションしたコントロールでは観察
されなかった。一方、潜在型MMP−9は、コントロー
ルの細胞と同様に分子量の変化は認めらず、活性化は認
められなかった。TIMP−1とMT−MMP−3、あ
るいはTIMP−2とMT−MMP−3をコトランスフ
ェクションした細胞における潜在型MMP−2の活性化
は、何れも抑制された。その抑制の程度はTIMP−2
をコトランスフェクションした細胞の方が、TIMP−
1の場合よりも顕著であり、この傾向はMT−MMP−
1、MT−MMP−3とも同様であった(図10B)。
【0096】本発明の態様のうちには、(A)潜在型M
MP−2の活性化能を有するMMPの一種であり且つM
T−MMP−1以外の潜在型MMP−2活性化因子であ
る天然のMT−MMPと実質的に同等な活性を有するこ
とを特徴とするタンパク質またはその塩;(B)該タン
パク質がMT−MMP−3またはその塩と、実質的に同
等な活性を有するか、あるいは実質的に同等の一次構造
コンフォメーションを持つものであることを特徴とする
上記(A)項記載のタンパク質;(C)C末端領域に、
配列表の配列番号:2のAla561 〜Phe584 で表さ
れるアミノ酸配列又はそれと実質的に同等のアミノ酸配
列を有することを特徴とする上記(A)項又は(B)項
記載のタンパク質;(D)配列表の配列番号:2で表さ
れるアミノ酸配列又はそれと実質的に同等のアミノ酸配
列を有するMT−MMP−3またはその塩であることを
特徴とする上記(A)〜(C)項のいずれか一記載のタ
ンパク質;(E)外因性DNA配列を原核生物において
発現して得たものであるか、あるいは真核生物で発現さ
せて得たものであることを特徴とする上記(A)〜
(D)項のいずれか一記載のタンパク質;(F)配列表
の配列番号:2で表されるアミノ酸配列又はそれと実質
的に同一のアミノ酸配列を有することを特徴とする上記
(A)〜(E)項のいずれか一記載のタンパク質;
(G)上記(A)〜(F)項のいずれか一記載のタンパ
ク質の部分ペプチドまたはその塩;(H)上記(A)〜
(F)項のいずれか一記載のタンパク質又はその部分ペ
プチドをコードする塩基配列を有することを特徴とする
核酸;(I)上記(B)〜(D)項のいずれか一記載の
MT−MMP−3をコードする塩基配列を有するDNA
遺伝子であることを特徴とする上記(H)項記載の核
酸;(J)配列表の配列番号:1で表される塩基配列の
うちオープンリーディングフレーム部分又はそれと実質
的に同等な活性を有する塩基配列を有することを特徴と
する上記(H)又は(I)項記載の核酸;(K)上記
(H)〜(J)項のいずれか一記載の核酸を含有するこ
とを特徴とするベクター;(L)上記(H)〜(J)項
のいずれか一記載の核酸又は上記(K)項記載のベクタ
ーを保有することを特徴とする形質転換体;(M)上記
(L)項記載の形質転換体を増殖可能な栄養培地中で培
養し、組換えタンパク質としてMT−MMP−3または
その塩を包含する上記(A)〜(F)項のいずれか一記
載のタンパク質又はその部分ペプチドを生成せしめるこ
とを特徴とするMT−MMP−3またはその塩を包含す
る上記(A)〜(F)項のいずれか一記載のタンパク質
又はその部分ペプチドの製造方法にも関連する。こうし
たタンパク質又はその部分ペプチド、さらには核酸は標
識され測定・検査などに用いるものであることもでき
る。
【0097】
【発明の効果】潜在型MMP−2の活性化能を有するM
MPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型M
MP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質的
に同等な活性を有するタンパク質またはその塩を得るこ
とができ、さらにそのタンパク質をコードする核酸が得
られたことで、癌細胞の有無、癌の悪性度の診断等の癌
の診断治療に関わる研究に有用な診断手段が得られるこ
とになった。またその他の医学的生理学的用途に有用で
もある。本発明は特にヒト癌細胞表層で特異的に発現し
ている新規マトリックスメタロプロテアーゼ、それをコ
ードする塩基配列を含有するDNA、該DNAで形質転
換せしめた宿主細胞、該宿主細胞を用いる該マトリック
スメタロプロテアーゼの製造方法、該マトリックスメタ
ロプロテアーゼタンパク質に特異的に結合するモノクロ
ーナル抗体、さらにはそれらタンパク質及び抗体の用途
がそれぞれ提供され、癌の診断、悪性度の判定マーカー
及び癌などに対する抗転移薬剤の標的として、細胞表層
で特異的に発現しているマトリックスメタロプロテアー
ゼを研究することが可能となった。アルツハイマー病の
研究にも資することが可能となった。本発明により、有
効な検知診断手段が提供される。
【0098】
【配列表】
【配列番号:1】 配列の長さ:2107 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:ヒト 配列 GGCTCCTTAC CCACCCGGAG ACTTTTTTTT GAAAGGAAAC TAGGGAGGGA GGGAGAGGGA 60 GAGAGGGAGA AAACGAAGGG GAGCTCGTCC ATCCATTGAA GCACAGTTCA CT ATG 115 Met 1 ATC TTA CTC ACA TTC AGC ACT GGA AGA CGG TTG GAT TTC GTG CAT CAT 163 Ile Leu Leu Thr Phe Ser Thr Gly Arg Arg Leu Asp Phe Val His His 5 10 15 TCG GGG GTG TTT TTC TTG CAA ACC TTG CTT TGG ATT TTA TGT GCT ACA 211 Ser Gly Val Phe Phe Leu Gln Thr Leu Leu Trp Ile Leu Cys Ala Thr 20 25 30 GTC TGC GGA ACG GAG CAG TAT TTC AAT GTG GAG GTT TGG TTA CAA AAG 259 Val Cys Gly Thr Glu Gln Tyr Phe Asn Val Glu Val Trp Leu Gln Lys 35 40 45 TAC GGC TAC CTT CCA CCG ACT AGC CCC AGA ATG TCA GTC GTG CGC TCT 307 Tyr Gly Tyr Leu Pro Pro Thr Ser Pro Arg Met Ser Val Val Arg Ser 50 55 60 65 GCA GAG ACC ATG CAG TCT GCC CTA GCT GCC ATG CAG CAG TTC TAT GGC 355 Ala Glu Thr Met Gln Ser Ala Leu Ala Ala Met Gln Gln Phe Tyr Gly 70 75 80 ATT AAC ATG ACA GGA AAA GTG GAC AGA AAC ACA ATT GAC TGG ATG AAG 403 Ile Asn Met Thr Gly Lys Val Asp Arg Asn Thr Ile Asp Trp Met Lys 85 90 95 AAG CCC CGA TGC GGT GTA CCT GAC CAG ACA AGA GGT AGC TCC AAA TTT 451 Lys Pro Arg Cys Gly Val Pro Asp Gln Thr Arg Gly Ser Ser Lys Phe 100 105 110 CAT ATT CGT CGA AAG CGA TAT GCA TTG ACA GGA CAG AAA TGG CAG CAC 499 His Ile Arg Arg Lys Arg Tyr Ala Leu Thr Gly Gln Lys Trp Gln His 115 120 125 AAG CAC ATC ACT TAC AGT ATA AAG AAC GTA ACT CCA AAA GTA GGA GAC 547 Lys His Ile Thr Tyr Ser Ile Lys Asn Val Thr Pro Lys Val Gly Asp 130 135 140 145 CCT GAG ACT CGT AAA GCT ATT CGC CGT GCC TTT GAT GTG TGG CAG AAT 595 Pro Glu Thr Arg Lys Ala Ile Arg Arg Ala Phe Asp Val Trp Gln Asn 150 155 160 GTA ACT CCT CTG ACA TTT GAA GAA GTT CCC TAC AGT GAA TTA GAA AAT 643 Val Thr Pro Leu Thr Phe Glu Glu Val Pro Tyr Ser Glu Leu Glu Asn 165 170 175 GGC AAA CGT GAT GTG GAT ATA CCC ATT ATT TTT GCA TCT GGT TTC CAT 691 Gly Lys Arg Asp Val Asp Ile Pro Ile Ile Phe Ala Ser Gly Phe His 180 185 190 GGG GAC AGC TCT CCC TTT GAT GGA GAG GGA GGA TTT TTG GCA CAT GCC 739 Gly Asp Ser Ser Pro Phe Asp Gly Glu Gly Gly Phe Leu Ala His Ala 195 200 205 TAC TTC CCT GGA CCA GGA ATT GGA GGA GAT ACC CAT TTT GAC TCA GAT 787 Tyr Phe Pro Gly Pro Gly Ile Gly Gly Asp Thr His Phe Asp Ser Asp 210 215 220 225 GAG CCA TGG ACA CTA GGA AAT CCT AAT CAT GAT GGA AAT GAC TTA TTT 835 Glu Pro Trp Thr Leu Gly Asn Pro Asn His Asp Gly Asn Asp Leu Phe 230 235 240 CTT GTA GCA GTC CAT GAA CTG GGA CAT GCT CTG GGA TTG GAG CAT TCC 883 Leu Val Ala Val His Glu Leu Gly His Ala Leu Gly Leu Glu His Ser 245 250 255 AAT GAC CCC ACT GCC ATC ATG GCT CCA TTT TAC CAG TAC ATG GAA CAG 931 Asn Asp Pro Thr Ala Ile Met Ala Pro Phe Tyr Gln Tyr Met Glu Gln 260 265 270 ACA CTT CAA CTA CCT AAT GAT GAT TAC AGG CAT CAG AGA TAT ATG TCA 979 Thr Leu Gln Leu Pro Asn Asp Asp Tyr Arg His Gln Arg Tyr Met Ser 275 280 285 CCT GAC AAG ATT CCT CCA CCT ACA AGA CCT CTA CCG ACA GTG CCC CCA 1027 Pro Asp Lys Ile Pro Pro Pro Thr Arg Pro Leu Pro Thr Val Pro Pro 290 295 300 305 CAC CGC TCT ATT CCT CCG GCT GAC CCA AGG AAA AAT GAC AGG CCA AAA 1075 His Arg Ser Ile Pro Pro Ala Asp Pro Arg Lys Asn Asp Arg Pro Lys 310 315 320 Pro Pro Arg Pro Pro Thr Gly Arg Pro Ser Tyr Pro Gly Ala Lys Pro 325 330 335 AAC ATC TGT GAT GGG AAC TTT AAC ACT CTA GCT ATT CTT CGT CGT GAG 1171 Asn Ile Cys Asp Gly Asn Phe Asn Thr Leu Ala Ile Leu Arg Arg Glu 340 345 350 ATG TTT GTT TTC AAG GAC CAG TGG TTT TGG CGA GTG AGA AAC AAC AGG 1219 Met Phe Val Phe Lys Asp Gln Trp Phe Trp Arg Val Arg Asn Asn Arg 355 360 365 GTG ATG GAT GGA TAC CCA ATG CAA ATT ACT TAC TTC TGG CGG GGC TTG 1267 Val Met Asp Gly Tyr Pro Met Gln Ile Thr Tyr Phe Trp Arg Gly Leu 370 375 380 385 CCT CCT AGT ATC GAT GCA GTT TAT GAA AAT AGC GAC GGG AAT TTT GTG 1315 Pro Pro Ser Ile Asp Ala Val Tyr Glu Asn Ser Asp Gly Asn Phe Val 390 395 400 TTC TTT AAA GGT AAC AAA TAT TGG GTG TTC AAG GAT ACA ACT CTT CAA 1363 Phe Phe Lys Gly Asn Lys Tyr Trp Val Phe Lys Asp Thr Thr Leu Gln 405 410 415 CCT GGT TAC CCT CAT GAC TTG ATA ACC CTT GGA AGT GGA ATT CCC CCT 1411 Pro Gly Tyr Pro His Asp Leu Ile Thr Leu Gly Ser Gly Ile Pro Pro 420 425 430 CAT GGT ATT GAT TCA GCC ATT TGG TGG GAG GAC GTC GGG AAA ACC TAT 1459 His Gly Ile Asp Ser Ala Ile Trp Trp Glu Asp Val Gly Lys Thr Tyr 435 440 445 TTC TTC AAG GGA GAC AGA TAT TGG AGA TAT AGT GAA GAA ATG AAA ACA 1507 Phe Phe Lys Gly Asp Arg Tyr Trp Arg Tyr Ser Glu Glu Met Lys Thr 450 455 460 465 ATG GAC CCT GGC TAT CCC AAG CCA ATC ACA GTC TGG AAA GGG ATC CCT 1555 Met Asp Pro Gly Tyr Pro Lys Pro Ile Thr Val Trp Lys Gly Ile Pro GAA TCT CCT CAG GGA GCA TTT GTA CAC AAA GAA AAT GGC TTT ACG TAT 1603 Glu Ser Pro Gln Gly Ala Phe Val His Lys Glu Asn Gly Phe Thr Tyr 485 490 495 TTC TAC AAG GAA GGA GTA TTG GAA ATT CAA ACA ACC AGA TAC TCA AGG 1651 Phe Tyr Lys Glu Gly Val Leu Glu Ile Gln Thr Thr Arg Tyr Ser Arg 500 505 510 CTA GAA CCT GGA CAT CCA AGA TCC ATC CTC AAG GAT TTA TCG GGC TGT 1699 Leu Glu Pro Gly His Pro Arg Ser Ile Leu Lys Asp Leu Ser Gly Cys 515 520 525 GAT GGA CCA ACA GAC AGA GTT AAA GAA GGA CAC AGC CCA CCA GAT GAT 1747 Asp Gly Pro Thr Asp Arg Val Lys Glu Gly His Ser Pro Pro Asp Asp 530 535 540 545 GTA GAC ATT GTC ATC AAA CTG GAC AAC ACA GCC AGC ACT GTG AAA GCC 1795 Val Asp Ile Val Ile Lys Leu Asp Asn Thr Ala Ser Thr Val Lys Ala 550 555 560 ATA GCT ATT GTC ATT CCC TGC ATC TTG GCC TTA TGC CTC CTT GTA TTG 1843 Ile Ala Ile Val Ile Pro Cys Ile Leu Ala Leu Cys Leu Leu Val Leu 565 570 575 GTT TAC ACT GTG TTC CAG TTC AAG AGG AAA GGA ACA CCC CGC CAC ATA 1891 Val Tyr Thr Val Phe Gln Phe Lys Arg Lys Gly Thr Pro Arg His Ile 580 585 590 CTG TAC TGT AAA CGC TCT ATG CAA GAG TGG GTG TGATGTAGGG TTTTTTCTTC 1944 Leu Tyr Cys Lys Arg Ser Met Gln Glu Trp Val 595 600 604 TTTCTTTCTT TTGCAGGAGT TTGTGGTAAC TTGAGATTCA AGACAAGAGC TGTTATGCTG 2004 TTTCCTAGCT AGGAGCAGGC TTGTGGCAGC CTGATTCGGG GCTGACCTTT CAAACCAGAG 2064 GGTTGCTTGG TCCTGCACAT GAGTGGAAAT ACACTCATGG GGA 2107
【0099】
【配列番号:2】 配列の長さ:604 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質 起源 生物名:ヒト 配列 Met Ile Leu Leu Thr Phe Ser Thr Gly Arg Arg Leu Asp Phe Val His 1 5 10 15 His Ser Gly Val Phe Phe Leu Gln Thr Leu Leu Trp Ile Leu Cys Ala 20 25 30 Thr Val Cys Gly Thr Glu Gln Tyr Phe Asn Val Glu Val Trp Leu Gln 35 40 45 Lys Tyr Gly Tyr Leu Pro Pro Thr Ser Pro Arg Met Ser Val Val Arg 50 55 60 Ser Ala Glu Thr Met Gln Ser Ala Leu Ala Ala Met Gln Gln Phe Tyr 65 70 75 80 Gly Ile Asn Met Thr Gly Lys Val Asp Arg Asn Thr Ile Asp Trp Met 85 90 95 Lys Lys Pro Arg Cys Gly Val Pro Asp Gln Thr Arg Gly Ser Ser Lys 100 105 110 Phe His Ile Arg Arg Lys Arg Tyr Ala Leu Thr Gly Gln Lys Trp Gln 115 120 125 His Lys His Ile Thr Tyr Ser Ile Lys Asn Val Thr Pro Lys Val Gly 130 135 140 Asp Pro Glu Thr Arg Lys Ala Ile Arg Arg Ala Phe Asp Val Trp Gln 145 150 155 160 Asn Val Thr Pro Leu Thr Phe Glu Glu Val Pro Tyr Ser Glu Leu Glu 165 170 175 Asn Gly Lys Arg Asp Val Asp Ile Pro Ile Ile Phe Ala Ser Gly Phe 180 185 190 His Gly Asp Ser Ser Pro Phe Asp Gly Glu Gly Gly Phe Leu Ala His 195 200 205 Ala Tyr Phe Pro Gly Pro Gly Ile Gly Gly Asp Thr His Phe Asp Ser 210 215 220 Asp Glu Pro Trp Thr Leu Gly Asn Pro Asn His Asp Gly Asn Asp Leu 225 230 235 240 Phe Leu Val Ala Val His Glu Leu Gly His Ala Leu Gly Leu Glu His 245 250 255 Ser Asn Asp Pro Thr Ala Ile Met Ala Pro Phe Tyr Gln Tyr Met Glu 260 265 270 Gln Thr Leu Gln Leu Pro Asn Asp Asp Tyr Arg His Gln Arg Tyr Met 275 280 285 Ser Pro Asp Lys Ile Pro Pro Pro Thr Arg Pro Leu Pro Thr Val Pro 290 295 300 Pro His Arg Ser Ile Pro Pro Ala Asp Pro Arg Lys Asn Asp Arg Pro 305 310 315 320 Lys Pro Pro Arg Pro Pro Thr Gly Arg Pro Ser Tyr Pro Gly Ala Lys 325 330 335 Pro Asn Ile Cys Asp Gly Asn Phe Asn Thr Leu Ala Ile Leu Arg Arg 340 345 350 Glu Met Phe Val Phe Lys Asp Gln Trp Phe Trp Arg Val Arg Asn Asn 355 360 365 Arg Val Met Asp Gly Tyr Pro Met Gln Ile Thr Tyr Phe Trp Arg Gly 370 375 380 Leu Pro Pro Ser Ile Asp Ala Val Tyr Glu Asn Ser Asp Gly Asn Phe 375 390 395 400 Val Phe Phe Lys Gly Asn Lys Tyr Trp Val Phe Lys Asp Thr Thr Leu 405 410 415 Gln Pro Gly Tyr Pro His Asp Leu Ile Thr Leu Gly Ser Gly Ile Pro 420 425 430 Pro His Gly Ile Asp Ser Ala Ile Trp Trp Glu Asp Val Gly Lys Thr 435 440 445 Tyr Phe Phe Lys Gly Asp Arg Tyr Trp Arg Tyr Ser Glu Glu Met Lys 450 455 460 Thr Met Asp Pro Gly Tyr Pro Lys Pro Ile Thr Val Trp Lys Gly Ile 455 470 475 480 Pro Glu Ser Pro Gln Gly Ala Phe Val His Lys Glu Asn Gly Phe Thr 485 490 495 Tyr Phe Tyr Lys Glu Gly Val Leu Glu Ile Gln Thr Thr Arg Tyr Ser 500 505 510 Arg Leu Glu Pro Gly His Pro Arg Ser Ile Leu Lys Asp Leu Ser Gly 515 520 525 Cys Asp Gly Pro Thr Asp Arg Val Lys Glu Gly His Ser Pro Pro Asp 530 535 540 Asp Val Asp Ile Val Ile Lys Leu Asp Asn Thr Ala Ser Thr Val Lys 545 550 555 560 Ala Ile Ala Ile Val Ile Pro Cys Ile Leu Ala Leu Cys Leu Leu Val 565 570 575 Leu Val Tyr Thr Val Phe Gln Phe Lys Arg Lys Gly Thr Pro Arg His 580 585 590 Ile Leu Tyr Cys Lys Arg Ser Met Gln Glu Trp Val 595 600 604
【0100】
【配列番号:3】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 SGNVVNGCWG AYATMRTSAT 20
【0101】
【配列番号:4】 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 YTCRTSNTCR TCRAARTGRR HRTCYCC 27
【0102】
【配列番号:5】 配列の長さ:14 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gln Thr Arg Gly Ser Ser Lys Phe His Ile Arg Arg Lys Arg 1 5 10 14
【0103】
【配列番号:6】 配列の長さ:14 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu Glu Val Pro Tyr Ser Glu Leu Glu Asn Gly Lys Arg Asp 1 5 10 14
【0104】
【配列番号:7】 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Pro Thr Ser Pro Arg Met Ser Val Val Arg Ser Ala Glu Thr Met Gln 1 5 10 15 Ser Ala 18
【0105】
【配列番号:8】 配列の長さ:14 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Thr Leu Gly Asn Pro Asn His Asp Gly Asn Asp Leu Phe Leu 1 5 10 14
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMT−MMP−3のアミノ酸配列と既
知のMMPファミリー(MMP−1、MMP−2、MM
P−3、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MM
P−11及びMT−MMP−1)のアミノ酸配列との相
同性を比較し、ドメイン構造を示した図である。アミノ
酸の表記は一般的な一文字表記に従い、プレ型のN末端
をアミノ酸1位として番号を付した。
【図2】本発明のMT−MMP−3と既知のMMPファ
ミリーのアミノ酸配列との相同性を比較した結果を図1
に続けてアライメントとして示す。
【図3】本発明のMT−MMP−3と既知のMMPファ
ミリーのアミノ酸配列との相同性を比較した結果を図2
に続けてアライメントとして示す。
【図4】本発明のMT−MMP−3と既知のMMPファ
ミリーのアミノ酸配列との相同性を比較した結果を図3
に続けてアライメントとして示す。
【図5】本発明のMT−MMP−3と既知のMMPファ
ミリーのアミノ酸配列との相同性を比較した結果を図4
に続けてアライメントとして示す。
【図6】ノーザンブロット分析の結果の電気泳動写真を
示す。 A:ノーザンブロット分析による各種ヒト組織中でのM
T−MMP−3mRNAの発現を調べた結果を示したも
のである。 B:ノーザンブロット分析による各種ヒト培養癌細胞中
でのMT−MMP−3mRNAの発現を調べた結果を示
したものである。
【図7】MT−MMP−3cDNAをCOS−1細胞中
で発現させ、MT−MMP−3タンパク質を免疫沈殿法
によりセルライゼート及びコンディション培地中より検
出した結果の電気泳動写真を示したものである。MT−
MMP−3タンパク質(64kDa)、TIMP−1タ
ンパク質(28kDa)の位置をそれぞれ▲、△で示し
た。
【図8】MT−MMP−3のC末端の疎水性アミノ酸の
連続配列がトランスメンブレンドメインとして機能して
いることを、TIMP−1/疎水性アミノ酸の連続配列
の融合タンパク質を作製して検討した結果の電気泳動写
真を示す。 A:遺伝子工学的に作製した融合タンパク質をCOS−
1細胞中で発現させ、セルライゼートとコンディション
培地中より検出した結果を電気泳動写真で示したもので
ある。
【図9】MT−MMP−3のC末端の疎水性アミノ酸の
連続配列がトランスメンブレンドメインとして機能して
いることを、TIMP−1/疎水性アミノ酸の連続配列
の融合タンパク質を作製して検討した結果を生物の形態
を示す写真として示す。 B:COS−1細胞中で発現させたTIMP−1/疎水
性アミノ酸の連続配列の融合タンパク質を免疫蛍光染色
により検出した結果を生物の形態を示す写真で示したも
のである。
【図10】MT−MMP−3の発現による潜在型MMP
−2の活性化の様子をザイモグラフィーの結果の電気泳
動写真で示す。 A:MT−MMP−3cDNA及び潜在型MMP−2c
DNAをコトランスフェクションしたCOS−1細胞中
での潜在型MMP−2の活性化を示した電気泳動写真で
ある。 B:MT−MMP−3cDNAをトランスフェクション
したHT 1080細胞中での潜在型MMP−2の活性
化及びこの潜在型MMP−2の活性化に及ぼすTIMP
−1、TIMP−2の影響を示した電気泳動写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 G01N 33/577 B C12Q 1/68 A61K 39/395 T G01N 33/574 48/00 AAM 33/577 C12N 9/64 Z // A61K 38/46 5/00 B 39/395 9162−4B 15/00 C 48/00 AAM 9162−4B ZNAA C12N 9/64 A61K 37/54 (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜在型MMP−2の活性化能を有するM
    MPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型M
    MP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質的
    に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質又は
    その塩あるいはその部分ペプチド又はその塩に対する抗
    体。
  2. 【請求項2】 MT−MMP−3またはその塩と、実質
    的に同等な活性を有するか、あるいは実質的に同等の一
    次構造コンフォメーションを持つものであるタンパク質
    に対する抗体であることを特徴とする請求項1記載の抗
    体。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号:2で表されるアミノ
    酸配列又はそれと実質的に同等のアミノ酸配列を有する
    MT−MMP−3又はその塩であるタンパク質に対する
    抗体であることを特徴とする請求項1又は2記載の抗
    体。
  4. 【請求項4】 外因性DNA配列を原核生物において発
    現して得たものであるか、あるいは真核生物で発現させ
    て得たものであるタンパク質に対する抗体であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載の抗体。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号:2で表されるアミノ
    酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク
    質に対する抗体であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか一記載の抗体。
  6. 【請求項6】 タンパク質の部分ペプチド又はその塩に
    対する抗体であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか一記載の抗体。
  7. 【請求項7】 抗血清であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか一記載の抗体。
  8. 【請求項8】 モノクローナル抗体であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか一記載の抗体。
  9. 【請求項9】 MT−MMP−3又はその塩に対するモ
    ノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1〜6
    及び8のいずれか一記載の抗体。
  10. 【請求項10】 潜在型MMP−2の活性化能を有する
    MMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型
    MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質
    的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質又
    はその塩あるいはその部分ペプチド又はその塩を抗原と
    して用い、それに対する抗体を得ることを特徴とする潜
    在型MMP−2の活性化能を有するMMPの一種であり
    且つMT−MMP−1以外の潜在型MMP−2活性化因
    子である天然のMT−MMPと実質的に同等な活性を有
    するタンパク質又はその部分ペプチドに対する抗体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 潜在型MMP−2の活性化能を有する
    MMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型
    MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質
    的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質又
    はその塩あるいはその部分ペプチド又はその塩で免疫し
    た動物から得られた、潜在型MMP−2の活性化能を有
    するMMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜
    在型MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと
    実質的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク
    質又はその部分ペプチドに対する抗体を産生する細胞
    を、継代培養可能な細胞と融合せしめ、継代培養可能で
    かつMT−MMP−3を包含するタンパク質に対する抗
    体を産生するハイブリッド細胞を選別することを特徴と
    する請求項8又は9記載の抗体の産生方法。
  12. 【請求項12】 潜在型MMP−2の活性化能を有する
    MMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在型
    MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実質
    的に同等な活性を有することを特徴とするタンパク質又
    はその塩あるいはその部分ペプチド又はその塩を試薬と
    して用いるか、あるいは請求項1〜9のいずれか一記載
    の抗体を試薬として用いることを特徴とするMT−MM
    P−3の検出・測定方法。
  13. 【請求項13】 請求項12のMT−MMP−3の検出
    ・測定方法に用いる標識化されたMT−MMP−3に対
    する抗体。
  14. 【請求項14】 請求項12のMT−MMP−3の検出
    ・測定方法に用いる潜在型MMP−2の活性化能を有す
    るMMPの一種であり且つMT−MMP−1以外の潜在
    型MMP−2活性化因子である天然のMT−MMPと実
    質的に同等な活性を有するタンパク質又はその塩あるい
    はその部分ペプチド又はその塩であることを特徴とする
    標識化されたタンパク質あるいは部分ペプチド又はその
    塩。
  15. 【請求項15】 MT−MMP−3発現細胞あるいは組
    織の検出・測定方法に用いる潜在型MMP−2の活性化
    能を有するMMPの一種であり且つMT−MMP−1以
    外の潜在型MMP−2活性化因子である天然のMT−M
    MPと実質的に同等な活性を有するタンパク質又はその
    部分ペプチドをコードすることを特徴とする標識化され
    た核酸。
  16. 【請求項16】 ハイブリダイゼーション・プローブで
    あることを特徴とする請求項15記載の核酸。
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JP2011527414A (ja) * 2007-11-19 2011-10-27 セレラ コーポレーション 肺癌マーカーとその使用

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