JP3580948B2 - ヒト由来cetpに反応性を有するモノクローナル抗体及びヒト由来cetpの定量方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト由来コレステロールエステル転送タンパク(CETP)に反応性を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、ヒト由来CETPに反応性を有するモノクローナル抗体及びその抗体フラグメント、固定化モノクローナル抗体及び固定化抗体フラグメント、標識モノクローナル抗体及び標識抗体フラグメント、ヒト由来CETPの検出、定量、分離または精製に用いられるキット、ヒト由来CETPを検出、定量、分離または精製する方法、該モノクローナル抗体または該抗体フラグメントを含んでなる医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体のあらゆる組織及び血漿中には、遊離型、長鎖脂肪酸型及びエステル型のコレステロールが存在し、前者の2つは細胞膜構成において重要な役割を果たしており、後者は生理的不活性であり貯蔵形態としての性質が強い。生体中のコレステロールは、食物摂取による小腸からの取込み、あるいは各組織、特に肝臓での生合成に由来するがその大半は肝臓等の組織での生合成に由来する。
肝臓で生合成され分泌された遊離コレステロールは、超低比重リポ蛋白(VLDL)に取り込まれ、血中でリポ蛋白リパーゼ(LPL)及び肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)の作用により、中間比重リポ蛋白(IDL)を経た後、低比重リポ蛋白(LDL)へと代謝される。LDLは、LDL受容体を介して末梢細胞へと取り込まれ細胞に遊離コレステロールが供給される。
このような肝臓から末梢細胞への流れとは逆に、コレステロール逆転送系と呼ばれる末梢細胞から肝臓へ向かうコレステロールの流れが存在する。即ち、肝臓から末梢細胞に供給された余剰の遊離コレステロールが、血中の高比重リポ蛋白(HDL)に引き抜かれ、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によりコレステロールエステルに変換されて血中HDL中に蓄えられる。HDL中に蓄えられたコレステロールエステルは、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)の作用により血中のVLDL、IDLやLDLに転送される。コレステロールエステルを受け取ったVLDL、IDLやLDLは、肝臓のLDL受容体を介して間接的にコレステロールが肝臓に転送されることとなる。
【0003】
このコレステロール逆転送系は、コレステロールの末梢細胞への蓄積を防御し動脈硬化を防御する機構として近年注目を浴びている。事実、このコレステロール逆転送系において重要な役割をなすHDLに関し、血中HDLのコレステロールエステルの減少は、冠動脈疾患の危険因子の一つであることがこれまでに多数の疫学的調査によって示され、HDLは抗動脈硬化作用を有するリポ蛋白として広く認識されるようになった。
さらに、血中HDLの重要性とともに、HDL中のコレステロールエステルの血中LDLへの転送を媒介するCETPの重要性が認識されるようになり、CETP欠損症、高脂血症、高HDL血症、高コレステロール血症、低脂血症、動脈硬化症、糖尿病あるいはネフローゼ症候群等の各種疾患とCETPとの係わりを解明することが急務となった。
例えば、高脂血症状態では、正常コントロールに比べ数倍のCETPが血中に分泌されることが実験的に証明されている。また、動脈硬化症との関係においては、CETP活性の低い場合には、動脈硬化が惹起されにくく、血漿HDL−コレステロール値が高く、逆にCETP活性が高い場合には、動脈硬化が容易に誘発され、HDL−コレステロール値が低いことが実験的に証明されている(カレントセラピー(Current Therapy)、第7巻、第9号、第36〜第45頁、1989年)。
上述のような各種疾患とCETPとの係わりを解明するために、健常人及び上述のような各種疾患に罹患している患者の血漿等の体液中のCETPを定量する方法、特にCETPに対するモノクローナル抗体(抗CETPモノクローナル抗体)を用いたラジオイムノアッセイ(RIA)あるいはエンザイムイムノアッセイ(EIA、ELISA)等のイムノアッセイによる定量方法の開発並びにそのような定量方法に使用するための抗CETPモノクローナル抗体の開発が試みられている。
【0004】
抗CETPモノクローナル抗体を用いたEIA(ELISA)による定量法に関しては、例えば、今井ら(特開平6−169793号公報)、中野ら(動脈硬化、第19巻、第11号、第951頁、22番、1991年)、高浜ら(動脈硬化、第20巻、第10号、第837頁、135番、1992年)、佐藤ら(動脈硬化、第20巻、第10号、第836頁、134番、1992年)、メツドール(H. Mezdour)ら(クリニカルケミストリー(Clinical Chemistry)、第40巻、第4号、第593〜第597頁、1994年)、及びクラーク(Clark)ら(ジャーナルオブリピッドリサーチ(Journal of Lipid Reserch)、第36巻、第876〜第889頁、1995年)が、2種類の抗CETPモノクローナル抗体またはFab’を用いたサンドイッチELISAによる定量方法を報告している。しかしながら、これらの定量方法では、定量に際して血漿試料を95〜100℃での加熱処理及び/または界面活性剤(Tween−20、Triton−X−100等)で前処理しなければならないという煩雑な操作が必要であった。とりわけ血漿試料の加熱処理は、試料中のCETPを変性させてしまうため、定量されるCETPは変性されたCETPであり、血漿試料中のインタクトなCETPを正確に定量することはできない。
【0005】
また、クラーク(R. Clark)ら(FASEBジャーナル、第8巻、第7号、A1343頁、495番、1994年)、高橋ら(動脈硬化、第20巻、第10号、第837頁、136番、1992年、及び動脈硬化、第21巻、第3号、第209頁、97番、1993年)、金光ら(動脈硬化、第21巻、第3号、第209頁、98番、1993年)及び脇ら(動脈硬化、第22巻、第5号、第441頁、194番、1994年)も、血漿試料中のCETPをELISA法により測定したと報告しているが、定量に用いた抗CETP抗体も製造方法及び特性並びに定量の具体的な操作については何等報告していない。
【0006】
抗CETPモノクローナル抗体を用いたRIAによる定量法に関しては、深澤ら(脂質生化学研究、第34巻、第163〜166頁、1992年)、マーセル(Y. Marcel)ら(ジャーナルオブクリニカルインベスティゲイション(J. Clin. Invest.)、第85巻、第10〜第17頁、1990年、及び(アドバンスインエクスペリメンタルメディシンアンドバイオロジー(Adv. Exp. Med. Biol.)、第243巻、第225〜第230頁、1988年)、深澤ら(ジャーナルオブバイオケミストリー(J. Biochem.)、第111巻、第696〜698頁、1992年)、コイズミ(J. Koizumi)ら(アテロスクレロシス(Atherosclerosis)、第90巻、第189〜第196頁、1991年)、ブラウン(M. Brown)ら(ネイチャー(Nature)、第342巻、第448〜第451頁、1989年)及びダングレモント(V. Dangremont)ら(クリニカキミカアクタ(Clinica Chimica Acta)、第231巻、第147〜第160頁、1994年)が報告している。
しかしながら、これらのRIAによる定量方法においても、前述のEIA(ELISA)による定量方法と同様に、定量に際しての血漿試料の界面活性剤による前処理が必要という操作上の煩雑性及び/または定量感度の点で欠点を有していた。
上述のように、CETPの定量については多数の研究者が試みているが、何の前処理も必要とせず、インタクトなCETPを簡易かつ高感度に定量することに成功したという報告は全くなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
動脈硬化症、高脂血症、高HDL血症あるいは高コレステロール血症等の各種疾患とそのような疾患の発症に深く関与している可能性を有するコレステロール逆転送系と重要な役割を担うCETPとの係わりを解明するために、健常人を含めあらゆる患者の血漿等の体液中に存在するCETPを、インタクト(intact)な状態で簡便かつ高感度で定量でき、臨床上で汎用可能な定量方法及び該定量方法に使用可能なモノクローナル抗体の開発が強く要望されているが、未だ確立されていない。本発明は、そのような臨床上で汎用可能な定量方法、並びに該定量法での使用のみならずCETPの分離及び精製のための試薬として、また医薬品として極めて有用な抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、そのような臨床上で汎用され得るヒト体液中のCETPの定量方法及び該定量方法に用いられるヒト由来CETPに対するモノクローナル抗体に関して鋭意研究した結果、生物学的に活性である精製ヒト由来CETPを免疫抗原として用いることにより、ヒト由来CETP、特にヒト体液中に存在するインタクトなCETPに対して各々異なる高い結合特異性(CETP阻害活性)を有する3つの抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体を作製することに成功した。
さらに、該3つの抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体が、ヒト由来CETP、特にヒト体液中に存在するインタクトなCETPに対して高い結合特異性(CETP阻害活性)を有するが故に、本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体を用いたイムノアッセイにより、未だ確立されていないヒト体液(血漿等)中のCETPをインタクトな状態で簡便かつ高感度で定量できることを見出し本発明を完成するに到った。
とりわけ、本発明の3つの抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体が、ヒト由来CETP、特にヒト体液中に存在するインタクトなCETPに対して各々異なる高い結合特異性(CETP阻害活性)を有するという特徴を利用して、該3つのモノクローナル抗体の内のいずれか2つを組合わせたサンドイッチELISAを採用することによりさらに簡便かつ高感度に定量でき臨床上汎用可能な定量方法を開発することに成功した。
【0009】
本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体が、ヒト由来CETP、特にヒト体液中に存在するインタクトなCETPに対して高い結合特異性(CETP阻害活性)を有するが故に、本発明のモノクローナル抗体を用いれば、血漿等の体液試料の定量に際し、試料を加熱処理あるいは界面活性剤処理等の何等の前処理をする必要なく、簡便かつ高感度で定量することが可能である。
また、本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体は、そのCETP阻害活性の高さ故に、CETPの動態異常に起因する動脈硬化症、高脂血症、高HDL血症あるいは高コレステロール血症等の各種疾患の治療または予防のための医薬品として有用である。
【0010】
即ち、本発明の第1は、少なくとも下記(a)、(b)及び(c)の性質を有するモノクローナル抗体である。
(a)健常人、高脂血症患者、LCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)欠損症患者または高HDL(高比重リポ蛋白)血症患者の血漿中のCETP(コレステロールエステル転送蛋白)に反応性を有する。
(b)3μg/ml以下の濃度においてウサギ由来CETPに反応しない。
(c)変性したヒト由来CETPには特異的な反応性を示さない。
本発明の第2は、ヒト由来CETPに反応性を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマであり、具体的には、国際寄託番号FERM BP−4944またはFERM BP−4945で識別されるハイブリドーマ#72−1または#86−2である。
本発明の第3は、ヒト由来CETPに反応性を有するモノクローナル抗体であり、具体的には、国際寄託番号FERM BP−4944またはFERM BP−4945で識別されるハイブリドーマ#72−1または#86−2から産生されるモノクローナル抗体#72−1または#86−2である。
本発明の第4は、可変領域が前記モノクローナル抗体由来の可変領域であり、かつ定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするヒト由来CETPに反応性を有する組換キメラモノクローナル抗体である。
【0011】
本発明の第5は、超可変領域の相補性決定領域の一部または全部が前記モノクローナル抗体由来の相補性決定領域であり、超可変領域の枠組領域がヒトイムノグロブリン由来の枠組領域であり、かつ定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするヒト由来CETPに反応性を有する組換ヒト型モノクローナル抗体である。
本発明の第6は、前記モノクローナル抗体、またはそれらに由来する前記組換キメラモノクローナル抗体若しくは組換ヒト型モノクローナル抗体に由来する抗体フラグメントF(ab’)2またはFab’である。
本発明の第7は、前記モノクローナル抗体、またはそれらに由来する前記組換キメラモノクローナル抗体若しくは組換ヒト型モノクローナル抗体を不溶性担体に固定化してなる固定化モノクローナル抗体、及び前記抗体フラグメントF(ab’)2またはFab’を不溶性担体に固定化してなる固定化抗体フラグメントである。
具体的には、プレート、試験管、チューブ、ビーズ、ボール、フィルター、メンブレン、またはアフィニティーカラムクロマトグラフィーに用いられる不溶性担体に固定化されていることを特徴とする固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントである。
【0012】
本発明の第8は、前記モノクローナル抗体、またはそれらに由来する前記組換キメラモノクローナル抗体若しくは組換ヒト型モノクローナル抗体を、単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識モノクローナル抗体、及び前記抗体フラグメントF(ab’)2またはFab’を、単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識抗体フラグメントである。
具体的には、酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジン、または放射性同位体で標識された標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントである。
本発明の第9は、前記モノクローナル抗体、それらに由来する前記組換キメラモノクローナル抗体若しくは組換ヒト型モノクローナル抗体、前記抗体フラグメントF(ab’)2若しくはFab’、前記固定化モノクローナル抗体若しくは固定化抗体フラグメント、または前記標識モノクローナル抗体若しくは標識抗体フラグメントを少なくとも含んでなるヒト由来CETPの検出または定量に用いられるキットである。
具体的には、前記固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントと前記標識モノクローナル抗体若しくは標識抗体フラグメントを含んでなるヒト由来CETPの検出または定量に用いられるキットである。
本発明の第10は、前記モノクローナル抗体、それらに由来する前記組換キメラモノクローナル抗体若しくは組換ヒト型モノクローナル抗体、前記抗体フラグメントF(ab’)2若しくはFab’、前記固定化モノクローナル抗体若しくは固定化抗体フラグメント、または前記標識モノクローナル抗体若しくは標識抗体フラグメントを少なくとも用いることを特徴とするイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法である。
具体的側面としての第1は、少なくとも下記(a)及び(b)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法である。
(a)前記固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントに試料を反応せしめる工程。
(b)該固定化モノクローナル抗体または該固定化抗体フラグメントと試料中に含まれるヒト由来CETPとの結合により形成される抗原抗体複合体に前記標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントを反応せしめる工程。
【0013】
具体的側面の第2は、少なくとも下記(a)及び(b)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法である。
(a)前記標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントに試料を反応せしめる工程。
(b)該標識モノクローナル抗体または該標識抗体フラグメントと試料中に含まれるヒト由来CETPとの結合により形成される抗原抗体複合体に前記固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを反応せしめる工程。
具体的側面としての第3は、少なくとも下記(a)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法である。
(a)前記固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメント、前記標識モノクローナル抗体もしくは標識抗体フラグメント、及び試料を含む混合物を反応せしめる工程。
【0014】
具体的側面としての第4は、少なくとも下記(a)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法である。
(a)前記固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントに、試料及び単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。
具体的側面としての第5は、少なくとも下記(a)の工程または(b)及び(c)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法である。
(a)試料と単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質との混合物に前記モノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(b)試料に前記モノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(c)(b)の工程を行った反応系に単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。
【0015】
さらに具体的には、少なくとも下記(a)及び(d)の工程または(b)乃至(d)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法である。
(a)試料と単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質との混合物に前記モノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(b)試料に前記モノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(c)(b)の工程を行った反応系に単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。
(d)該試料中のヒト由来CETP若しくは該標識ヒト由来CETP標準物質と該モノクローナル抗体または該抗体フラグメントとの結合により形成される抗原抗体複合体に、該モノクローナル抗体または該抗体フラグメントに反応性を有する哺乳動物由来の抗血清を反応せしめる工程。
【0016】
本発明の第11は、前記固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを含んでなるヒト由来CETPの分離または精製に用いられるキットである。
本発明の第12は、前記固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いることを特徴とするヒト由来CETPを分離または精製する方法であり、具体的には、カラムクロマトグラフィーを用いることを特徴とするヒト由来CETPの精製方法である。
本発明の第13は、ヒト由来CETPをコードするDNAが導入されたマウスであって、該マウスは、外的または人為的な誘発を必要とすることなく恒常的に血中にヒト由来CETPを分泌していることを特徴とするマウスである。
本発明の第14は、前記モノクローナル抗体、それらに由来する前記組換キメラモノクローナル抗体若しくは組換ヒト型モノクローナル抗体、または前記抗体フラグメントF(ab’)2若しくはFab’及び薬学的に許容されうる担体とを含んでなる医薬組成物である。具体的には、高脂血症または動脈硬化症の予防または治療に用いられる医薬組成物である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明で用いる語句の意味を明らかにすることにより、本発明を詳細に説明する。
本発明における「モノクロ−ナル抗体」は、ヒト由来CETPに反応性を有するモンクローナル抗体であり、具体的には、少なくとも下記(a)、(b)及び(c)の性質を有するモノクローナル抗体である。
(a)健常人、高脂血症患者、LCAT欠損症患者または高HDL血症患者の血漿中のCETPに反応性を有する。
(b)3μg/ml以下の濃度においてウサギ由来CETPに反応しない。
(c)変性したヒト由来CETPには特異的な反応性を示さない。
さらに、本発明のモノクローナル抗体は、ヒト体液中に存在するインタクトなCETP対して反応性を有するという特徴を有する。
ここで、「変性したヒト由来CETP」とは、熱処理あるいは界面活性剤(Tween−20やTriton−X等)等による処理により、タンパク質の高次構造が崩されているか、さらには生物学的に不活性なヒト由来CETPを意味する。
さらに具体的には、国際寄託番号FERM BP−4944及びFERM BP−4945で識別されるハイブリドーマ#72−1及び#86−2から各々産生されるモノクロ−ナル抗体#72−1及び#86−2、並びに後述の実施例で調製されるハイブリドーマ#176−1から産生されるモノクローナル抗体#176−1である。
さらに本発明においては、遺伝子組換技術を用いて製造され得る該モノクローナル抗体に由来する組換キメラモノクローナル抗体、組換ヒト型モノクローナル抗体及びヒト抗体も包含する。
【0018】
本発明のモノクローナル抗体(例えば、#72−1、#86−2及び#176−1等)は、既存のモノクローナル抗体の一般的な製造方法によって製造することができる。例えば、いわゆる細胞融合によって製造されるハイブリドーマ(融合細胞)から製造することができる。即ち、抗原を哺乳動物に免疫することにより抗体産生細胞を取得し、該抗体産生細胞と自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)からハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマをクローン化し、哺乳動物の免疫に用いた抗原に対して特異的親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することによって製造される。
具体的には、変性していないインタクトな生物学的に活性な精製ヒト由来CETPを抗原として、該抗原を哺乳動物(ヒト抗体を産生するように遺伝子工学的に作出されたヒト抗体産生マウスのようなトランスジェニック動物も含む。)、具体的には、マウス、ラット、ハムスター、モルモットあるいはウサギ、さらに具体的にはマウス、ラットあるいはハムスターの皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパッド内あるいは腹腔内に1乃至数回注射することにより免疫感作を施す。
通常、初回免疫から約1乃至14日毎に1乃至4回免疫を行って、最終免疫より約1乃至5日後に免疫感作された該哺乳動物から抗体産生細胞が取得される。
【0019】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの調製は、ケーラー及びミルシュタインらの方法(ネイチャー(Nature)、第256巻、第495〜第497頁、1975年)及びそれに準じる修飾方法に従って行うことができる。即ち、前述の如く免疫感作された哺乳動物から取得される脾臓、リンパ節、骨髄あるいは扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞と、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動物、より好ましくはマウス、ラットまたはヒトに由来する自己抗体産生能のないミエローマ細胞とを細胞融合させることにより調製される。
細胞融合に用いられるミエローマ細胞としては、例えばマウス由来ミエローマP3/X63−AG8.653(653)、P3/NSI/1−Ag4−1(NS−1)、P3/X63−Ag8.U1(P3U1)、SP2/0−Ag14(Sp2/O、Sp2)、PAI、F0あるいはBW5147、ラット由来ミエローマ210RCY3−Ag.2.3.、ヒト由来ミエローマU−266AR1、GM1500−6TG−A1−2、UC729−6、CEM−AGR、D1R11あるいはCEM−T15等を使用することができる。
【0020】
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングは、ハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られたウェルの培養上清の前述の哺乳動物の免疫感作で用いた精製ヒト由来CETPに対する反応性を、例えばRIAやELISA等の酵素免疫測定法によって測定することにより行なうことができる。
ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の製造は、ハイブリドーマをインビトロ、またはマウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギ等、好ましくはマウスまたはラット、より好ましくはマウスの腹水中等でのインビボで行い、得られた培養上清、または哺乳動物の腹水から単離することにより行うことができる。
インビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。
基本培地としては、例えば、Ham’F12培地、MCDB153培地あるいは低カルシウムMEM培地等の低カルシウム培地及びMCDB104培地、MEM培地、D−MEM培地、RPMI1640培地、ASF104培地あるいはRD培地等の高カルシウム培地等が挙げられ、該基本培地は、目的に応じて、例えば血清、ホルモン、サイトカイン及び/または種々無機あるいは有機物質等を含有することができる。
モノクローナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あるいは腹水を、飽和硫酸アンモニウム、ユーグロブリン沈澱法、カプロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラフィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロブリンカラムあるいはプロテインAカラム等のアフィニティカラムクロマトグラフィーに供すること等により行うことができる。
【0021】
本発明における「組換キメラモノクロ−ナル抗体」は、遺伝子工学的に作製されるモノクローナル抗体であって、具体的には、その可変領域が前記モノクロ−ナル抗体、例えばモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1等に由来する可変領域であり、かつその定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とする組換マウス/ヒトキメラモノクローナル抗体等のキメラモノクローナル抗体を意味する。ヒトイムノグロブリン由来の定常領域は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE等のアイソタイプにより各々固有のアミノ酸配列を有するが、本発明の組換キメラモノクローナル抗体の定常領域はいずれのアイソタイプに属するヒトイムノグログリンの定常領域であってもよい。好ましくは、ヒトIgGの定常領域である。
本発明のモノクローナル抗体に包含されるモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1等に由来する組換マウス/ヒトキメラモノクローナル抗体は、例えば以下のようにして製造することができる。しかしながら、そのような製造方法に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0022】
例えば、実験医学(臨時増刊号)、第1.6巻、第10号、1988年及び特公平3−73280号公報等を参照しながら作製することができる。即ち、本発明のハイブリドーマ#72−1、#86−2または#176−1から単離したモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をコードするDNAから取得した活性なVH遺伝子(H鎖可変領域をコードする再配列されたVDJ遺伝子)の下流に、ヒトイムノグロムリンをコードするDNAから取得したCH遺伝子(H鎖定常領域をコードするC遺伝子)を、またハイブリドーマ#72−1、#86−2または#176−1から単離したモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をコードするDNAから取得した活性なVL 遺伝子(L鎖可変領域をコードする再配列されたVJ遺伝子)の下流にヒトイムノグロムリンをコードするDNAから取得したCL遺伝子(L鎖定常領域をコードするC遺伝子)を、各々発現可能なように配列して1つ又は別々の発現ベクターに挿入し、該発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、該形質転換細胞を培養することにより作製することができる。宿主細胞としては、原核細胞(例えば大腸菌)及び真核細胞(例えばCHO細胞)のいずれをも使用することができる。
【0023】
具体的には、まず、ハイブリドーマ#72−1、#86−2または#176−1から常法によりDNAを抽出後、該DNAを適切な制限酵素(例えばEcoRI,HindIII等)を用いて消化し、電気泳動に付して(例えば0.7%アガロースゲル使用)サザンブロット法を行う。泳動したゲルを例えばエチジウムブロマイド等で染色し、写真撮影後、マーカーの位置を付し、ゲルを2回水洗し、0.25M HCl溶液に15分間浸す。次いで、0.4NのNaOH溶液に10分間浸し、その間緩やかに振盪する。常法により、フィルターに移し、4時間後フィルターを回収して2×SSCで2回洗浄する。フィルターを十分乾燥した後、ベイキング(75℃、3時間)を行う。ベイキング終了後に、該フィルターを0.1×SSC/0.1%SDS溶液に入れ、65℃で30分間処理する。次いで、3×SSC/0.1%SDS溶液に浸す。得られたフィルターをプレハイブリダイゼーション液と共にビニール袋に入れ、65℃で3〜4時間処理する。
【0024】
次に、この中に32P標識したプローブDNA及びハイブリダイゼーション液を入れ、65℃で12時間程度反応させる。ハイブリダイゼーション終了後、適切な塩濃度、反応温度および時間(例えば、2×SSC−0.1%SDS溶液、室温、10分間)のもとで、フィルターを洗う。該フィルターをビニール袋に入れ、2×SSCを少量加え、密封し、オートラジオグラフィーを行う。
上記サザンブロット法により、モノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1のH鎖及びL鎖を各々コードする再配列されたVDJ遺伝子及びVJ遺伝子を同定する。同定したDNA断片を含む領域をショ糖密度勾配遠心にて分画し、ファージベクター(例えば、Charon 4A, Charon 28, λEMBL3,λEMBL4等)に組み込み、該ファージベクターで大腸菌(例えば、LE392, NM539等) を形質転換し、ゲノムライブラリーを作製する。そのゲノムライブラリーを適当なプローブ〔H鎖J遺伝子,L鎖(κ)J遺伝子等〕を用いて、例えばベントンデイビス法(サイエンス(Science)、第196巻、第180〜第182頁、1977年)に従って、プラークハイブリダイゼーションを行い、再配列されたVDJ遺伝子あるいはVJ遺伝子を各々含むポジティブクローンを得る。得られたクローンの制限酵素地図を作製し、塩基配列を決定し、目的とする再配列されたVH (VDJ) 遺伝子あるいはVL (VJ)遺伝子を含む遺伝子が得られていることを確認する。
【0025】
一方、キメラ化に用いるヒトCH 遺伝子及びヒトCL 遺伝子を別に単離する。例えば、ヒトIgG1 とのキメラ抗体を作製する場合には、CH 遺伝子であるCγ1 遺伝子とCL 遺伝子であるCκ遺伝子を単離する。これらの遺伝子はマウス免疫グロブリン遺伝子とヒト免疫グロブリン遺伝子の塩基配列の高い相同性を利用してヒトCγ1 遺伝子及びヒトCκ遺伝子に相当するマウスCγ1 遺伝子及びマウスCκ遺伝子をプローブとして用い、ヒトゲノムライブラリーから単離することによって得ることができる。
具体的には、例えば、クローンIg146(プロシーディングスナショナルアカデミーオブサイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第75巻、第4709〜第4713頁、1978年)からの3kbのHindIII−BamHI断片とクローンMEP10(プロシーディングスナショナルアカデミーオブサイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第78巻、第474〜第478頁、1981年)からの6.8kbのEcoRI断片をプローブとして用い、ヒトのラムダCharon 4A のHaeIII−AluIゲノムライブラリー(セル(Cell)、第15巻、第1157〜第1174頁、1978年)中から、ヒトCκ遺伝子を含み、エンハンサー領域を保持しているDNA断片を単離する。また、ヒトCγ1 遺伝子は、例えばヒト胎児肝細胞DNAをHindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動で分画した後、5.9kbのバンドをλ788に挿入し、前記のプローブを用いて単離する。
【0026】
このようにして単離されたマウスVH 遺伝子とマウスVL 遺伝子、及びヒトCH 遺伝子とヒトCL 遺伝子を用いて、プロモーター領域及びエンハンサー領域などを考慮しながらマウスVH 遺伝子の下流にヒトCH 遺伝子を、またマウスVL 遺伝子の下流にヒトCL 遺伝子を、適切な制限酵素及びDNAリガーゼを用いて、
例えばpSV2gptあるいはpSV2neo等の発現ベクターに常法に従って組み込む。この際、マウスVH 遺伝子/ヒトCH 遺伝子とマウスVL 遺伝子/ヒトCL 遺伝子のキメラ遺伝子は、一つの発現ベクターに同時に配置されてもよいし、各々別個の発現ベクターに配置することもできる。
このようにして作製したキメラ遺伝子挿入発現ベクターを、例えばP3X63・Ag8・653 細胞あるいは SP210細胞といった前述のような自らは抗体を産生していない骨髄腫細胞に、プロトプラスト融合法、DEAE−デキストラン法、リン酸カルシウム法あるいは電気穿孔法等により導入する。形質転換細胞は、発現ベクターに導入された薬物耐性遺伝子に対応する薬物含有培地中での培養により選別し、目的とするキメラモノクローナル抗体産生細胞を取得する。
このようにして選別された抗体産生細胞の培養上清中から目的のキメラモノクローナル抗体を取得する。
【0027】
本発明における「組換ヒト型モノクロ−ナル抗体」は、遺伝子工学的に作製されるモノクローナル抗体であって、具体的には、その超可変領域の相補性決定領域の一部または全部が前記本発明のモノクロ−ナル抗体、例えば、モノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1等に由来する可変領域の相補性決定領域であり、その超可変領域の枠組領域がヒトイムノグロブリン由来の超可変領域の枠組領域であり、かつその定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とする組換モノクローナル抗体を意味する。
ここで、超可変領域の相補性決定領域とは、抗体の可変領域中の超可変領域に存在し、抗原と相補的に直接結合する部位である3つの領域(Complementarity−determining residue;CDR1、CDR2、CDR3)を指し、また超可変領域の枠組領域とは、該3つ相補性決定領域の前後に介在する比較的保存された4つの領域(Framework;FR1、FR2、FR3、FR4)を指す。
【0028】
換言すれば、本発明のモノクロ−ナル抗体の超可変領域の相補性決定領域の一部または全部以外の全ての領域が、ヒトイムノグロブリンの対応領域と置き代わったモノクローナル抗体を意味する。
ヒトイムノグロブリン由来の定常領域は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE等のアイソタイプにより各々固有のアミノ酸配列を有するが、本発明の組換ヒト型モノクローナル抗体の定常領域はいずれのアイソタイプに属するヒトイムノグログリンの定常領域であってもよい。好ましくは、ヒトIgGの定常領域である。また、ヒトイムノグロブリン由来の超可変領域の枠組領域についても限定されるものではない。
本発明のモノクローナル抗体に包含されるモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1等に由来する組換ヒト型モノクローナル抗体は、例えば以下のようにして製造することができる。しかしながら、そのような製造方法に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0029】
例えば、特表平4−506458号公報及び特開昭62−296890号公報等を参照して、遺伝子工学的に作製することができる。即ち、本発明のハイブリドーマ#72−1、#86−2または#176−1から、少なくとも1つのマウスH鎖CDR遺伝子と該マウスH鎖CDR遺伝子に対応する少なくとも1つのマウスL鎖CDR遺伝子を単離し、またヒトイムノグロブリン遺伝子から前記マウスH鎖CDRに対応するヒトH鎖CDR以外の全領域をコードするヒトH鎖遺伝子と、前マウスL鎖CDRに対応するヒトL鎖CDR以外の全領域をコードするヒトL鎖遺伝子を単離する。単離した該マウスH鎖CDR遺伝子と該ヒトH鎖遺伝子を発現可能なように適当な発現ベクターに導入し、同様に該マウスL鎖CDR遺伝子と該ヒトL鎖遺伝子を発現可能なように適当なもう1つの発現ベクターに導入する。または、該マウスH鎖CDR遺伝子/ヒトH鎖遺伝子とマウスL鎖CDR遺伝子/ヒトL鎖遺伝子を同一の発現ベクターに発現可能なように導入することもできる。このようにして作製された発現ベクターで宿主細胞を形質転換することによりヒト型モノクローナル抗体産生形質転換細胞を得、該形質転換細胞を培養することにより培養上清中から目的のヒト型モノクローナル抗体を得る。宿主細胞としては、原核細胞(例えば大腸菌)及び真核細胞(例えばCHO細胞)のいずれをも使用することができる
本発明における「ヒト抗体」とは、イムノグロブリンを構成するH鎖の可変領域及びH鎖の定常領域並びにL鎖の可変領域及びL鎖の定常領域を含む全ての領域がヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由来するイムノグロブリンである。
ヒト抗体は、常法に従って、例えば、少なくともヒトイムノグロブリン遺伝子をマウス等のヒト以外の哺乳動物の遺伝子座中に組み込むことにより作製されたトランスジェニック動物を、抗原で免疫感作することにより、前述したポリクローナル抗体あるいはモノクローナル抗体の作製法と同様にして製造することができる。例えば、ヒト抗体を産生するトランスジェニックマウスは、ネイチャジェネティックス(Nature Genetics)、第7巻、第13〜第21頁、1994年;特表平4−504365号公報;国際出願公開WO94/25585号公報;日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、1995年、ネイチャー(Nature)、第368巻、第856〜859頁、1994年;及び特表平6−500233号公報等に記載の方法に従って製作することができる。
【0030】
本発明における「F(ab’)2」及び「Fab’」とは、イムノグロブリン(モノクローナル抗体)を、蛋白分解酵素であるペプシンあるいはパパイン等で処理することにより製造され、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の前後で消化されて生成される抗体フラグメントを意味する。例えば、IgG1をパパインで処理すると、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の上流で切断されてVL(L鎖可変領域)とCL(L鎖定常領域)からなるL鎖、及びVH(H鎖可変領域)とCHγ1(H鎖定常領域中のγ1領域)とからなるH鎖フラグメントがC末端領域でジスルフィド結合により結合した相同な2つの抗体フラグメントを製造することができる。これら2つの相同な抗体フラグメントを各々Fab’という。またIgGをペプシンで処理すると、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の下流で切断されて前記2つのFab’がヒンジ領域でつながったものよりやや大きい抗体フラグメントを製造することができる。この抗体フラグメントをF(ab’)2という。
【0031】
本発明における「哺乳動物由来の抗血清」とは、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ブタあるいはウシ等の哺乳動物、好ましくはラット、モルモット、ウサギあるいはヤギに、前記本発明のモノクローナル抗体あるいは前記本発明の抗体フラグメントを、前述モノクローナル抗体の製造方法で述べたような方法で免疫して製造される該本発明のモノクローナル抗体または抗体フラグメントに反応性を有する抗体を含む血清を意味する。具体的には、前記本発明のモノクローナル抗体(例えば、モノクローナル抗体#72−1、#86−2若しくは#176−1等)またはそれらの抗体フラグメントF(ab’)2若しくはFab’を前記哺乳動物に免疫して得られる該哺乳動物由来の抗血清である。
【0032】
本発明における「不溶性担体」とは、前記モノクローナル抗体若しくは抗体フラグメント、または試料(例えば、血漿等の体液試料、培養上清あるいは遠心上清等)中に含まれるヒト由来CETPを物理学的吸着あるいは化学的結合等によって坦持させるための支持体を意味する。例えば、(1)ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂あるいはナイロン樹脂等からなるプラスチックや、ガラス等に代表されるような水に不溶性の物質からなるプレート、試験管若しくはチューブ等の内容積を有するもの、ビーズ、ボール、フィルター、あるいはメンブレン等、並びに(2)セルロース系担体、アガロース系担体、ポリアクリルアミド系担体、デキストラン系担体、ポリスチレン系担体、ポリビニルアルコール系担体、ポリアミノ酸系担体あるいは多孔性シリカ系担体等のようなアフィニティークロマトグラフィーに用いられる不溶性担体を挙げることができる。
【0033】
「固定化モノクローナル抗体」及び「固定化抗体フラグメント」とは、該「不溶性担体」に物理的吸着あるいは化学的結合等によって坦持された状態にあるモノクローナル抗体及び抗体フラグメントを各々意味する。これらの固定化モノクローナル抗体及び固定化抗体フラグメントは、試料(例えば、血漿等の体液試料、培養上清あるいは遠心上清等)中に含まれるヒト由来CETPを検出、定量、分離または精製するために用いることができる。該検出または定量の目的においては、前記(1)に挙げた不溶性担体に固定化された固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを用いることができ、とりわけ定量に用いる不溶性担体としては、操作の簡便性及び多数検体の同時処理の観点を考慮すると、例えば96穴マイクロタイタープレート等の多数のウェル(Well、穴)を有するプラスチックプレートを用いるのが好ましい。また、該分離または精製の目的においては、前記(1)に挙げたフィルター若しくはメンブレンまたは前記(2)に挙げた不溶性担体に固定化された固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを用いることができる。
【0034】
本発明における「単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質」とは、前記モノクローナル抗体、抗体フラグメントあるいはヒト由来CETP標準物質に物理化学的結合等により結合させることによりそれらの存在を検出可能にするために用いられる物質を意味し、具体的には、酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジンあるいは放射性同位体等であり、さらに具体的には、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセインイソチオシアネート、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、3H、14C、125I若しくは131I等の放射性同位体、ビオチン、アビジン、または化学発光物質が挙げられる。
【0035】
ここで、放射性同位体及び蛍光物質は単独で検出可能なシグナルをもたらすことができる。一方、酵素、化学発光物質、ビオチン及びアビジンは、単独では検出可能なシグナルをもたらすことができないため、さらに1種以上の他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらす。例えば、酵素の場合には少なくとも基質が必要であり、酵素活性を測定する方法(比色法、蛍光法、生物発光法あるいは化学発光法等)に依存して種々の基質が用いられる。また、ビオチンの場合には少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジンを反応させるのが一般的であるが、この限りではない。必要に応じてさらに該基質に依存する種々の発色物質が用いられる。
【0036】
「標識モノクローナル抗体」、「標識抗体フラグメント」及び「標識ヒト由来標準物質」とは、各々該標識物質で標識されたモノクローナル抗体、抗体フラグメント及びヒト由来CETP標準物質を意味する。これらの標識モノクローナル抗体、標識抗体フラグメント及び標識ヒト由来CETP標準物質は、試料(例えば、血漿等の体液試料、培養上清あるいは遠心上清等)中に含まれるヒト由来CETPを検出または定量するために用いることができる。本発明においては、上記のいずれの標識物質をも使用可能であるが、検出感度あるいは定量感度の高さ及び操作の利便性の点を考慮すると、ビオチンで標識するのが好ましい。
ここで「ヒト由来CETP標準物質」とは、前述のような試料中に含まれるヒト由来CETPの検出または定量において使用される標品(スタンダード)としてのヒト由来CETPを意味する。
【0037】
本発明における「イムノアッセイ」とは、抗原抗体反応の原理に基づき、試料(例えば、血漿等の体液試料、培養上清あるいは遠心上清等)中に含まれる抗原の検出あるいは定量を行う方法を意味し、本発明においては、該抗原抗体反応における抗体が、本発明のヒト由来CETPに反応性を有する前記モノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメント、前記固定化モノクローナル抗体若しくは固定化抗体フラグメント、または前記標識モノクローナル抗体若しくは標識抗体フラグメントから選ばれる一つ以上の該モノクローナル抗体または抗体フラグメントをであること、及び抗原がヒト由来CETPであること以外は、これまでに知られているイムノアッセイをも適用することができる。
【0038】
具体的には、酵素免疫測定法(第3版、石川榮治ら編集、医学書院発行、1987年)に記載されているような、例えば、一抗体固相法、二抗体液相法、二抗体固相法、サンドイッチ法、EMIT法(Enzyme multiplied immunoassay technique)、エンザイムチャネリングアッセイ(Enzyme channeling immunoassay)、酵素活性修飾物質標識イムノアッセイ(Enzyme modulator mediated enzyme immunoassay、EMMIA)、酵素阻害物質標識イムノアッセイ(Enzyme inhibitor immunoassay)、イムノエンザイムメトリックアッセイ(Immunoenzymometric assay)、酵素活性増強イムノアッセイ(Enzyme enhanced immunoassay)あるいはプロキシマールリンケージイムノアッセイ(Proximal linkage immunoassay)等、さらには、特公平2−39747号公報に記載されているようなワンポット法を挙げることができる。
【0039】
本発明においては、このようなイムノアッセイを、目的に応じて適宜選択して用いることができるが、操作上の簡便性及び/または経済的な利便性、とりわけ臨床上での汎用性の点を考慮すると、サンドイッチ法、ワンポット法、一抗体固相法または二抗体液相法を用いるのが好ましく、より好ましくは、サンドイッチ法またはワンポット法である。特に好ましくは、96穴マイクロプレートに代表されるような多数のウェルを有するマイクロプレートに固定化された固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントと、酵素あるいはビオチンにより標識された標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントとを用いるサンドイッチ法、あるいはビーズまたはボールに固定化された固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントと、酵素あるいはビオチンにより標識された標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントとを用いるワンポット法である。
【0040】
この特に好ましい態様において具体的な一例を挙げるならば、モノクローナル抗体#72−1、#86−2若しくは#176−1またはそれらのF(ab’)2若しくはFab’をマイクロプレートに固定化した固定化モノクローナル抗体または固定化F(ab’)2若しくは固定化Fab’とモノクローナル抗体#72−1、#86−2若しくは#176−1またはそのF(ab’)2若しくはFab’を酵素またはビオチンで標識した標識モノクローナル抗体また標識F(ab’)2若しくはFab’との組合わせによるサンドイッチ法またはワンポット法である。モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1は、各々固定化モノクローナル抗体としても、また標識モノクローナル抗体としても使用でき得るが、モノクローナル抗体#72−1を固定化モノクローナル抗体として、また#86−2または#176−1を標識モノクローナル抗体として用いるのが好ましい。特に好ましくは、モノクローナル抗体#72−1(FERM BP4944で識別されるハイブリドーマに由来するモノクローナル抗体)を固定化モノクローナル抗体として、また、モノクローナル抗体#86−2(FERMBP4945で識別されるハイブリドーマに由来するモノクローナル抗体)を標識モノクローナル抗体として用いることができる。
【0041】
以下に、サンドイッチ法、ワンポット法、一抗体固相法及び二抗体液相法について詳述する。
サンドイッチ法は、前述の本発明の第10の具体的側面の第1で述べた方法、即ち、少なくとも下記(a)及び(b)の工程を含むイムノアッセイ法である。
(a)本発明の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントに試料を反応せしめる工程。
(b)該固定化モノクローナル抗体または該固定化抗体フラグメントと試料中に含まれるヒト由来CETPとの結合により形成される抗原抗体複合体に本発明の標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントを反応せしめる工程。
本発明に即して、特に一般的である酵素あるいはビオチンを標識物質として用いる方法について具体的に説明すると、例えば下記のような工程により構成されるが、該具体例のみに限定されるものではない。なお、以下で使用する「固定化モノクローナル抗体」と「モノクローナル抗体固定化マイクロプレート」は、同一物を意味する。
【0042】
(工程1)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をマイクロプレートに固定化し、固定化モノクローナル抗体(モノクローナル抗体固定化マイクロプレート)を作製する工程;
(工程2)モノクローナル抗体固定化マイクロプレートにヒト血漿等の試料を加え、固定化モノクローナル抗体と試料を反応させる工程;
(工程3)モノクローナル抗体固定化マイクロプレートを洗浄し未反応の試料を固定化モノクローナル抗体から取り除く工程;
(工程4)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をビオチンあるいはペルオキシダーゼ等の酵素により標識し、標識モノクローナル抗体を作製する工程;
(工程5)工程3で洗浄されたモノクローナル抗体固定化マイクロプレートに、標識モノクローナル抗体を加え、固定化モノクローナル抗体と試料中に含まれるヒト由来CETPが反応して形成される抗原抗体複合体に標識モノクローナル抗体を反応させる工程;
【0043】
(工程6)モノクローナル抗体固定化マイクロプレートを洗浄し、未反応の標識モノクローナル抗体を抗原抗体複合体から取り除く工程;
(工程7)工程6で洗浄されたモノクローナル抗体固定化マイクロプレートに、工程4でビオチン標識モノクローナル抗体を用いた場合にはアビジンあるいは酵素修飾アビジンを、また工程4でペルオキシダーゼ等の酵素で標識した酵素標識モノクローナル抗体を用いた場合には酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を、必要に応じて発色物質とともに加え、標識モノクローナル抗体上の標識物質と反応させる工程;
(工程8)工程7で酵素修飾アビジンを加えた場合には、酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を加え、アビジンに結合した酵素と基質を反応させる工程;
(工程9)モノクローナル抗体固定化マイクロプレートに反応停止液を加え、酵素反応及び発色反応を停止させる工程;及び
(工程10)比色強度、蛍光強度あるいは発光強度を測定する工程。
モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1は、固定化モノクローナル抗体としても標識モノクローナル抗体としても使用でき得るが、モノクローナル抗体#72−1を固定化モノクローナル抗体として、またモノクローナル抗体#86−2または#176−1(特に好ましくはモノクローナル抗体#86−2)を標識モノクローナル抗体として用いるのが好ましい。
【0044】
ワンポット法は、前述の本発明の第10の具体的側面の第1、第2または第3で各々述べた方法、即ち、第1は、少なくとも下記(a)及び(b)の工程を含むイムノアッセイ法である。
(a)本発明の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントに試料を反応せしめる工程。
(b)該固定化モノクローナル抗体または該固定化抗体フラグメントと試料中に含まれるヒト由来CETPとの結合により形成される抗原抗体複合体に本発明の標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントを反応せしめる工程。
第2は、少なくとも下記(a)及び(b)の工程を含むイムノアッセイ法である。
(a)本発明の標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントに試料を反応せしめる工程。
(b)該標識モノクローナル抗体または該標識抗体フラグメントと試料中に含まれるヒト由来CETPとの結合により形成される抗原抗体複合体に本発明の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを反応せしめる工程。
【0045】
第3は、少なくとも下記(a)の工程を含むイムノアッセイ法である。
(a)本発明の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメント、本発明の標識モノクローナル抗体もしくは標識抗体フラグメント、及び試料を含む混合物を反応せしめる工程。
上記第1乃至第3の方法を、本発明に即して、特に一般的である酵素あるいはビオチンを標識物質として用いる方法について具体的に説明すると、例えば下記のような工程により構成されるが、該具体例のみに限定されるものではない。なお、以下で使用する「固定化モノクローナル抗体」と「モノクローナル抗体固定化ビーズ」は、同一物を意味する。
【0046】
第1の方法は、下記のような工程から構成される。
(工程1)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をビーズに固定化し、固定化モノクローナル抗体(モノクローナル抗体固定化ビーズ)を作製する工程;
(工程2)試験管、プレートあるいはチューブ等のような内容積を有する容器に緩衝液とともにモノクローナル抗体固定化ビーズとヒト血漿等の試料を加え、固定化モノクローナル抗体と試料を反応させる工程;
(工程3)容器中の内溶液の除去及びモノクローナル抗体固定化ビーズを洗浄する工程;
(工程4)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をビオチンあるいはペルオキシダーゼ等の酵素により標識し、標識モノクローナル抗体を作製する工程;
(工程5)工程3で洗浄されたモノクローナル抗体固定化ビーズを含有する容器に、標識モノクローナル抗体を加え、固定化モノクローナル抗体と試料中に含まれるヒト由来CETPが反応して形成される抗原抗体複合体に標識モノクローナル抗体を反応させる工程;
【0047】
(工程6)容器中の内溶液の除去及びモノクローナル抗体固定化ビーズを洗浄し、未反応の標識モノクローナル抗体を抗原抗体複合体から取り除く工程;
(工程7)工程6で洗浄されたモノクローナル抗体固定化ビーズを含む容器に、工程4でビオチン標識モノクローナル抗体を用いた場合にはアビジンあるいは酵素修飾アビジンを、また工程4でペルオキシダーゼ等の酵素で標識した酵素標識モノクローナル抗体を用いた場合には酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を、必要に応じて発色物質とともに加え、標識モノクローナル抗体上の標識物質と反応させる工程;
(工程8)工程7で酵素修飾アビジンを加えた場合には、酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を加え、アビジンに結合した酵素と基質を反応させる工程;
(工程9)工程7または工程8の反応系に反応停止液を加え、酵素反応及び発色反応を停止させる工程;及び
(工程10)比色強度、蛍光強度あるいは発光強度を測定する工程。
【0048】
第2の方法は、下記のような工程から構成される。
(工程1)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をビオチンあるいはペルオキシダーゼ等の酵素により標識し、標識モノクローナル抗体を作製する工程;
(工程2)試験管、プレートあるいはチューブ等のような内容積を有する容器に緩衝液とともに標識モノクローナル抗体とヒト血漿等の試料を加え、標識モノクローナル抗体と試料を反応させる工程;
(工程3)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をビーズに固定化し、固定化モノクローナル抗体(モノクローナル抗体固定化ビーズ)を作製する工程;
(工程4)工程2の反応系に、モノクローナル抗体固定化ビーズを加え、標識モノクローナル抗体と試料中に含まれるヒト由来CETPが反応して形成される抗原抗体複合体に固定化モノクローナル抗体を反応させる工程;
(工程5)容器中の内溶液の除去及びモノクローナル抗体固定化ビーズを洗浄し、未反応の標識モノクローナル抗体を取り除く工程;
(工程6)工程5で洗浄されたモノクローナル抗体固定化ビーズを含む容器に、工程1でビオチン標識モノクローナル抗体を用いた場合にはアビジンあるいは酵素修飾アビジンを、また工程1でペルオキシダーゼ等の酵素で標識した酵素標識モノクローナル抗体を用いた場合には酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を、必要に応じて発色物質とともに加え、標識モノクローナル抗体上の標識物質と反応させる工程;
(工程7)工程6で酵素修飾アビジンを加えた場合には、酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を加え、アビジンに結合した酵素と基質を反応させる工程;
(工程8)工程6または工程7の反応系に反応停止液を加え、酵素反応及び発色反応を停止させる工程;及び
(工程9)比色強度、蛍光強度あるいは発光強度を測定する工程。
【0049】
第3の方法は、下記のような工程から構成される。
(工程1)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をビーズに固定化し、固定化モノクローナル抗体(モノクローナル抗体固定化ビーズ)を作製する工程;
(工程2)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をビオチンあるいはペルオキシダーゼ等の酵素により標識し、標識モノクローナル抗体を作製する工程;
(工程3)試験管、プレートあるいはチューブ等のような内容積を有する容器に緩衝液とともに、工程1で作製されたモノクローナル抗体固定化ビーズ、工程2で作製された標識モノクローナル抗体、及びヒト血漿等の試料を加え、固定化モノクローナル抗体、標識モノクローナル抗体、及び試料を同時に反応させる工程;
(工程4)容器中の内溶液の除去及びモノクローナル抗体固定化ビーズを洗浄し、未反応の標識モノクローナル抗体を取り除く工程;
(工程5)工程4で洗浄されたモノクローナル抗体固定化ビーズを含む容器に、工程2でビオチン標識モノクローナル抗体を用いた場合にはアビジンあるいは酵素修飾アビジンを、また工程2でペルオキシダーゼ等の酵素で標識した酵素標識モノクローナル抗体を用いた場合には酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を、必要に応じて発色物質とともに加え、標識モノクローナル抗体上の標識物質と反応させる工程;
【0050】
(工程6)工程5で酵素修飾アビジンを加えた場合には、酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を加え、アビジンに結合した酵素と基質を反応させる工程;
(工程7)工程5または工程6の反応系に反応停止液を加え、酵素反応及び発色反応を停止させる工程;及び
(工程8)比色強度、蛍光強度あるいは発光強度を測定する工程。
上述の第1乃至第3の方法の具体例において、モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1は、固定化モノクローナル抗体としても標識モノクローナル抗体としても使用でき得るが、モノクローナル抗体#72−1を固定化モノクローナル抗体として、また#86−2または#176−1(好ましくは、モノクローナル抗体#86−2)を標識モノクローナル抗体として用いるのが好ましい。
【0051】
一抗体固相法は、前述の本発明の第10の具体的側面の第4で述べた方法、即ち、少なくとも下記(a)の工程を含むイムノアッセイ法である。
(a)本発明の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントに、試料及び単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。
本発明に即して、特に一般的である酵素あるいはビオチンを標識物質として用いる方法について具体的に説明すると、例えば下記のような工程により構成されるが、該具体例のみに限定されるものではない。なお、以下で使用する「固定化モノクローナル抗体」と「モノクローナル抗体固定化マイクロプレート」は、同一物を意味する。
【0052】
(工程1)ヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1をマイクロプレートに固定化し、固定化モノクローナル抗体(モノクローナル抗体固定化マイクロプレート)を作製する工程;
(工程2)ヒト由来CETP標準物質をビオチンあるいはペルオキシダーゼ等の酵素により標識し、標識ヒト由来CETP標準物質を作製する工程;
(工程3)モノクローナル抗体固定化マイクロプレートにヒト血漿等の試料及び標識ヒト由来CETP標準物質を加え、試料と標識ヒト由来CETP標準物質とを競合的に固定化モノクローナル抗体と反応させる工程;
(工程4)モノクローナル抗体固定化マイクロプレートを洗浄し、未反応の標識ヒト由来CETP標準物質を固定化モノクローナル抗体から取り除く工程;
(工程5)工程4で洗浄されたモノクローナル抗体固定化マイクロプレートに、工程2でビオチン標識ヒト由来CETP標準物質を用いた場合にはアビジンあるいは酵素修飾アビジンを、また工程2でペルオキシダーゼ等の酵素で標識した酵素標識ヒト由来CETP標準物質を用いた場合には酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を、必要に応じて発色物質とともに加え、標識ヒト由来CETP標準物質上の標識物質と反応させる工程;
【0053】
(工程6)工程5で酵素修飾アビジンを加えた場合には、酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を加え、アビジンに結合した酵素と基質を反応させる工程;
(工程7)モノクローナル抗体固定化マイクロプレートに反応停止液を加え、酵素反応及び発色反応を停止させる工程;及び
(工程8)比色強度、蛍光強度あるいは発光強度を測定する工程。
固定化モノクローナル抗体としては、モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1のいずれをも使用でき得るが、モノクローナル抗体#72−1を固定化モノクローナル抗体として用いるのが好ましい。
【0054】
二抗体液相法は、前述の本発明の第10の具体的側面の第5で述べた方法、即ち、少なくとも下記(a)の工程または(b)及び(c)の工程を含むイムノアッセイ法である。
(a)試料と単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質との混合物に本発明のモノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(b)試料に本発明のモノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(c)(b)の工程を行った反応系に単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。
【0055】
さらに具体的には、少なくとも下記(a)及び(d)の工程または(b)乃至(d)の工程を含むイムノアッセイ法である。
(a)試料と単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質との混合物に本発明のモノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(b)試料に本発明のモノクローナル抗体または抗体フラグメントを反応せしめる工程。
(c)(b)の工程を行った反応系に単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。
(d)該試料中のヒト由来CETP若しくは該標識ヒト由来CETP標準物質と該モノクローナル抗体または該抗体フラグメントとの結合により形成される抗原抗体複合体に、該モノクローナル抗体または該抗体フラグメントに反応性を有する哺乳動物由来の抗血清を反応せしめる工程。
【0056】
本発明に即して、特に一般的である酵素あるいはビオチンを標識物質として用いる方法について具体的に説明すると、例えば下記のような工程により構成されるが、該具体例のみに限定されるものではない。
(工程1)ヒト由来CETP標準物質をビオチンあるいはペルオキシダーゼ等の酵素により標識し、標識ヒト由来CETP標準物質を作製する工程;
(工程2)▲1▼ 試験管、プレートあるいはチューブ等のような内容積を有する容器にヒト血漿等の試料と工程1で作製された標識ヒト由来CETP標準物質との混合物を加え、次いでヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1を加え、試料と標識ヒト由来CETP標準物質とを競合的に該本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1とを反応させる工程;または、
▲2▼ 試験管、プレートあるいはチューブ等のような内容積を有する容器にヒト血漿等の試料を加え、次いでヒト由来CETPに反応性を有する本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1を加え、該試料と該本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1とを反応させる工程;
【0057】
(工程3)工程2において標識ヒト由来CETP標準物質を同時に加えない場合(▲2▼)には、標識ヒト由来CETP標準物質を加え、標識ヒト由来CETP標準物質とを該本発明のモノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1と反応させる工程;
(工程4)ヤギ抗マウスγグロブリン血清等のようなマウス由来のモノクローナル抗体に反応性を有するマウス以外の動物由来の抗血清を加え、工程2乃至工程3において形成されるモノクローナル抗体#72−1、#86−2若しくは#176−1と試料中に含まれるヒト由来CETP若しくは標識ヒト由来CETP標準物質との抗原抗体複合体に反応させ、モノクローナル抗体#72−1、#86−2若しくは#176−1、試料中に含まれるヒト由来CETP若しくは標識ヒト由来CETP標準物質、及び該マウス以外の動物由来の抗血清との3つからなる複合体を凝集沈殿させる工程;
(工程5)工程4の反応系を遠心分離して凝集沈殿した複合体を分離する工程;
【0058】
(工程6)工程5で分離された複合体凝集物に、工程1でビオチン標識ヒト由来CETP標準物質を用いた場合にはアビジンあるいは酵素修飾アビジンを、また工程1でペルオキシダーゼ等の酵素で標識した酵素標識ヒト由来CETP標準物質を用いた場合には酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を、必要に応じて発色物質とともに加え、標識ヒト由来CETP標準物質上の標識物質と反応させる工程;
(工程7)工程6で酵素修飾アビジンを加えた場合には、酵素活性を測定する方法に依存して種々の基質を加え、アビジンに結合した酵素と基質を反応させる工程;
(工程8)工程6乃至工程7の反応系に反応停止液を加え、酵素反応及び発色反応を停止させる工程;及び
(工程9)比色強度、蛍光強度あるいは発光強度を測定する工程。
上述の具体例において用いられるモノクローナル抗体としては、モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1のいずれをも使用でき得るが、モノクローナル抗体#72−1を用いるのが好ましい。
【0059】
本発明における「アフィニティークロマトグラフィー」とは、抗原抗体反応を利用することにより試料(例えば、血漿等の体液試料、培養上清あるいは遠心上清等)中に含まれるヒト由来CETPを分離または精製する方法を意味する。具体的には、(1)前述のような不溶性担体であるフィルターあるいはメンブレン等に本発明のヒト由来CETPに反応性を有するモノクローナル抗体あるいは抗体フラグメントを固定化した後、該フィルターあるいはメンブレンと試料を接触させることにより該試料中に含まれるヒト由来CETPを分離する方法、及び(2)前述のようなセルロース系担体、アガロース系担体、ポリアクリルアミド系担体、デキストラン系担体、ポリスチレン系担体、ポリビニルアルコール系担体、ポリアミノ酸系担体あるいは多孔性シリカ系担体等のような不溶性担体上に本発明のヒト由来CETPに反応性を有するモノクローナル抗体あるいは抗体フラグメントを常法により固定化(物理的吸着、架橋による高分子化、マトリックス中への封印あるいは非共有結合等による固定化)し、該不溶性担体をガラス製、プラスチック製あるいはステンレス製等のカラムに充填し、該カラム(例えば、円柱状カラム)に、試料(例えば、血漿等の体液試料、培養上清あるいは遠心上清等)を通じて溶出させることにより、該試料中に含まれるヒト由来CETPを分離あるいは精製する方法である。後者(2)の方法を特にアフィニティーカラムクロマトグラフィーという。
【0060】
該アフィニティーカラムクロマトグラフィーに用いられる前記不溶性担体としては、本発明のモノクローナル抗体あるいは抗体フラグメントを固定化でき得るものであればどのような不溶性担体でも使用できるが、例えば、市販品である、ファルマシア(Pharmacia)社(製)のSepharose 2B、Sepharose 4B、Sepharose 6B、CNBr−activated Sepharose 4B、AH−Sepharose 4B、CH−Sepharose 4B、Activated CH−Sepharose 4B、Epoxy−activated Sepharose 6B、Activated thiol−Sepharose 4B、Sephadex、CM−Sephadex、ECH−Sepharose 4B、EAH−Sepharose 4B、NHS−activated SepharoseあるいはThiopropyl Sepharose 6B等、バイオラッド(Bio−Rad)社(製)のBio−Gel A、Cellex、Cellex AE、Cellex−CM、Cellex PAB、Bio−Gel P、Hydrazide Bio−Gel P、Aminoethyl Bio−Gel P、Bio−Gel CM、Affi−Gel 10、Affi−Gel 15、Affi−Prep 10、Affi−Gel Hz、Affi−Prep Hz、Affi−Gel 102、CM Bio−Gel A、Affi−Gel heparin、Affi−Gel 501あるいはAffi−Gel 601等、和光純薬工業社(製)のクロマゲルA、クロマゲルP、エンザフィックス P−HZ、エンザフィックス P−SHあるいはエンザフィックス P−AB等、セルバ(Serva)社(製)のAE−Cellurose、CM−CelluroseあるいはPAB Cellurose等を挙げることができる。
本発明における「ヒト由来CETPをコードするDNAが導入されたマウス」は、トランスジェニックマウスの製造において通常使用されるような常法(最新動物細胞実験マニュアル、エル・アイ・シー発行、第7章、第361〜第408頁、1990年)に従って作成することが可能である。
ヒトCETP遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスとしては、トール(Tall)らが作成したマウスが報告されているが、当該マウスは例えば亜鉛を混ぜた食餌を摂取させるなどの外的あるいは人為的な誘発を受けないと、血中にヒトCETPを分泌しないマウスである。
本発明のトランスジェニックマウスは、そのような何らの人為的誘発を必要とすることなく、血中に恒常的にヒト由来CETPを分泌するものであり、このようなトランスジェニックマウスはこれまで報告されていない。
【0061】
本発明における「医薬組成物」は、本発明のモノクローナル抗体あるいは抗体フラグメントを有効成分として、薬学的に許容され得る担体、即ち、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等の一つ以上とともに医薬組成物とし、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、注射剤、液剤、カプセル剤、トロー剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤あるいはシロップ剤等の形態により経口あるいは非経口的に投与することができる。
【0062】
とりわけ注射剤の場合には、例えば生理食塩水あるいは市販の注射用蒸留水等の非毒性の薬学的に許容され得る担体中に0.1μg抗体/ml担体〜10mg抗体/ml担体の濃度となるように溶解または懸濁することにより製造することができる。このようにして製造された注射剤は、処置を必要とするヒト患者に対し、1回の投与において1kg体重あたり、1μg〜100mgの割合で、好ましくは50μg〜50mgの割合で、1日あたり1回〜数回投与することができる。投与の形態としては、静脈内注射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射あるいは腹腔内注射のような医療上適当な投与形態が例示できる。好ましくは静脈内注射である。
また、本発明の該医薬組成物は、高脂血症の予防及び治療への適用のみならず、CETPの動態異常に起因する動脈硬化症、高HDL血症あるいは高コレステロール血症等の各種疾患の治療または予防への適用が可能である。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を以て本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が該実施例に記載される態様のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
実施例1 CETP活性測定系の構築
特に断りのない限り本実施例で用いたCETP活性(コレステロールエステル(CE)転送活性)の測定は、以下のようにして構築した測定系を用いた。また、該測定系は、アルバーツ(Alberts)らの方法(アルテリオスクレロシス(Arteriosclerosis)、第4巻、第49〜第58頁、第1984年)の改変法である。
即ち、本測定法は、まず、放射性標識されたコレステロールエステル(CE)を取り込んだ高比重リポ蛋白(HDL3)からなるドナーリポ蛋白、低比重リポ蛋白(LDL)からなるアクセプターリポ蛋白、並びにCETPを含有する測定試料を混合し生理学的に反応させる。次いで、標識CEのドナーリポ蛋白からアクセプターリポ蛋白への転送量を、ドナーリポ蛋白の放射活性の減少あるいはアクセプターリポ蛋白の放射活性の増加を測定することにより試料中のCETPのCE転送活性を測定するものである。
【0064】
<1−1> ドナーリポ蛋白の調製
健常人血漿(20ml)に臭化カリウム(KBr)を加え、比重d=1.125g/mlに調節し、密度勾配遠心分離(227,000×g、4℃、17時間)して、比重d>1.125g/mlの分画(HDL3分画)を採取した。得られた分画を、TBS(0.15MのNaCl/10mMのTris(pH7.4))で透析した。次いで、10nMのトリチウム標識コレステロール([3H]C、50.3Ci/mM)を、95%エタノールで溶解し、攪拌しながら徐々に添加し、37℃で18時間インキュベートした(この操作により、HDL3表面のトリチウム標識コレステロール([3H]C)は、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によりエステル化され、トリチウム標識コレステロールエステル([3H]CE)となりHDL3内部に取り込まれる。)。
臭化カリウムを加え、比重d=1.21g/mlに調節し、密度勾配遠心分離(227,000×g、4℃、20時間)して、比重d<1.21g/mlの分画を採取した。得られた分画を前記TBSで透析し、[3H]CEを取り込んだHDL3([3H]CE−HDL3、比重:1.125<d<1.21、比活性:101,000dpm/nM)を得、ドナーリポ蛋白とした。
【0065】
<1−2> アクセプターリポ蛋白の調製
健常人血漿(100ml)に臭化カリウム(KBr)を加え、比重d=1.019g/mlに調節し、密度勾配遠心分離(227,000×g、4℃、20時間)して、比重d>1.019g/mlの分画を採取した。得られた分画を、前記TBSで透析した。次いで、臭化カリウムを加え、比重d=1.063g/mlに調節し、密度勾配遠心分離(227,000×g、4℃、20時間)して、比重d<1.6063g/mlの分画を採取した。得られた分画を前記TBSで透析し、LDLからなる分画(比重:1.019<d<1.063)を得、アクセプターリポ蛋白とした。
【0066】
<1−3> CETP活性の測定
実施例<1−1>で得たドナーリポ蛋白([3H]CE−HDL3、0.21μgのコレステロール含有)、実施例<1−2>で得たアクセプターリポ蛋白(LDL、21μgのコレステロール含有)、及び測定試料を、ドナーリポ蛋白中のコレステロールとアクセプターリポ蛋白中のコレステロールとの比が1:100、また、測定試料中のHDL中のコレステロールとドナーリポ蛋白中のコレステロールとの比が最低でも1:10となるように、さらに前記TBSをマイクロチューブに加えて総量600μl/チューブに調製し、該マイクロチューブを37℃湯浴中で15時間インキュベートした。次いで、マイクロチューブを氷上で15分間冷却した後、氷冷TBS(400μl)及び0.5Mの二塩化マグネシウム(MgCl2)を含有する1%のデキストランサルフェイトを含む溶液(40μl)を加えて激しく攪拌した。マイクロチューブを、氷上で30分間インキュベートした後、遠心分離(8,000×g、4℃、10分)して、HDLに富む遠心上清を回収した。得られた遠心上清の放射活性を、シンチレーションカウンターを用いて測定した。
測定試料中に含まれるCETPのCETP活性は、得られた測定値と測定試料を加えないで上記と同様にして操作した対照(コントロール)の測定値との比較に基づく放射活性の減少から決定し、単位時間あたりに1nMのコレステロールエステル(CE)を転送するCETP活性を1ユニット(U)とした。
【0067】
実施例2 精製ヒト由来CETPの調製
以下の操作は、常法に従い全て4℃あるいは氷浴上で行った。
<2−1> デキストランサルフェイト処理
複数の健常人から採取した末梢血を、常法に従い遠心分離により血球系細胞を除去し、ヒト血漿(1L(リットル))を取得した。得られた血漿(1L)に、蒸留水(2L)、10%のデキストランサルフェイト(Dextran Sulfate、分子量50万、100ml)、及び4Mの二塩化カルシウム(CaCl2、80ml)を加え、氷浴上で緩やかに15分間攪拌した。該混合液を、遠心分離(15,200×g、1時間)し、不溶性のデキストランサルフェイト/リポ蛋白複合体を沈殿分画した。遠心上清を回収し、27.2%の二塩化バリウム(BaCl2)を加え、最終濃度1.36%に調整した。該混合液を20分間攪拌した後、遠心分離(15,200×g、1時間)により沈殿物を除去し、遠心上清を回収した。
【0068】
<2−2> フェニルセファロースカラムクロマトグラフィーによる精製
実施例<2−1>で得た遠心上清に、3Mの塩化ナトリウム(NaCl)、0.01%のアジ化ナトリウム(NaN3)、ゲンタマイシンサルフェイト(Gentamysin Sulfate、50μg/ml)、及び0.05%のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加え、pH7.4に調整した。該混合溶液を、0.01%のアジ化ナトリウム、ゲンタマイシンサルフェイト(50μg/ml)、及び0.05%のEDTAを含む3MのNaCl(pH7.4)で平衡化したフェニルセファロースHPカラム(Phenyl Sepharose HP Column、10×12.5cm、ファルマシアバイオテク社(製))に加えた。カラムを、0.15MのNaCl溶液(3L、pH7.4)を加えて洗い、さらにNaCl非含有溶液(3L、pH7.4)で洗った後、20%のエタノール溶液で溶出させた。溶出パターンを、波長280nmでの吸光度により測定した。
結果を図1に示す。該溶出パターンに従い、ヒト由来CETPを含む活性な分画を回収した。
【0069】
<2−3> リソースQカラムクロマトグラフィーによる精製
実施例<2−2>で回収した得た活性な分画を、25mMのNaCl及び10mMのトリス塩酸(Tris−HCl)からなる緩衝液(pH7.4)で透析した。次いで、前記緩衝液で平衡化したリソースQカラム(Resource Q Column、3.5×10cm、ファルマシアバイオテク社(製))に加えた。カラムを、前記緩衝液(300ml)を加えて洗い、25〜250mMのNaCl(2L、pH7.4)で濃度勾配溶出させた。溶出パターンを、波長280nmでの吸光度により測定した。
結果を図2に示す。該溶出パターンに従い、ヒト由来CETPを含む活性な分画を回収し、精製ヒト由来CETPを取得した。
【0070】
実施例3 抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体の調製
実験医学(別冊)細胞工学ハンドブック(黒木登志夫ら編集、羊土社発行、第66〜第74頁、1992年)及び単クローン抗体実験操作入門(安東民衛ら著作、講談社発行、1991年)等に記載されるような一般的方法に従って、抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体を調製した。
【0071】
<3−1> 免疫感作、細胞融合、及びクローニング
BALB/cマウス(雌、4〜5週齢、静岡研究動物センター(製))に、実施例2で調製した精製ヒト由来CETPを完全フロインドアジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)とともにフッドパッド内注射することにより初回(0日)免疫した。初回免疫から5日目、10日目及び15日目に同精製ヒト由来CETPをフッドパッド内注射により追加免疫し、さらに以下に述べるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ調製の前々日及び前日にも同様にして最終免疫した。
該免疫感作マウスの膝窩リンパ節細胞を常法に従って外科手術により採取した。融合剤としてポリエチレングリコール4000(Polyethilene Glycol 4000)を用いて、該リンパ節細胞とマウスミエローマ細胞PAIとを3:1で混合して細胞融合させることによりハイブリドーマを作製した。次いで、10%のウシ胎児血清(Fetal Calf Serum、FCS)とアミノプテリンを含有するHAT含有ASF104培地(味の素(製))中で培養した。次いで、培地をアミノプテリンを含有しないHT培地に交換し培養することにより該リンパ節と該ミエローマ細胞とのハイブリドーマ選択し、169個のクローンを得た。
【0072】
<3−2> ハイブリドーマのスクリーニング
抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングは、実施例1で構築したCETP活性測定系を用いて行った。
実施例2で得た精製ヒト由来CETPと得られたハイブリドーマの各々の培養上清(60μl)とを、実施例<1−1>で得たドナーリポ蛋白([3H]CE−HDL3、0.21μgのコレステロール含有)と実施例<1−2>で得たアクセプターリポ蛋白(LDL、21μgのコレステロール含有)の混合溶液中加え、さらにTBSを加え、総量600μl/チューブに調製した。
以下、実施例<1−3>と同様にして操作し、各々のサンプルのCETP活性を測定し、ハイブリドーマの培養上清を加えない場合の値との比較から、各々のハイブリドーマ培養上清のCETP阻害活性(CETPのCE転送活性の阻害活性)を求めた。本スクリーニングにより、各々異なるCETP阻害活性を有する3つのポジティブクローン(#72−1、#86−2、及び#176−1)を得た。
ハイブリド−マ#72−1及び#86−2を、1994年12月20日付けにて通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、各々国際寄託番号FERM BP−4944及びFERM BP−4945を以て寄託した。
【0073】
<3−3> モノクローナル抗体の大量調製
ICRヌードマウス(雌、7〜8週齢、15匹、チャールズリバー社(製))に、ハイブリド−マ#72−1、#86−2及び#176−1(各々106〜107個/0.5ml/マウス)の各々を腹腔内注射した。10日後、マウスを麻酔下で開腹し、常法により採取した腹水からモノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1を大量に調製した。
【0074】
<3−4> アイソタイプの決定
マウスモノクロ−ナル抗体アイソタイプ決定用キット(アマシャム社製)を用い、該キットに添付の実験操作プロトコールに従って操作を行い、モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1各々のアイソタイプを決定した。#72−1と#86−2がIgG1であり、#176−1がIgG2bであることが確認された。
【0075】
<3−5> モノクローナル抗体の精製
前記<3−3>で取得したモノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1各々の遠心上清(各々5ml)を、0.06Mの酢酸緩衝液(pH4.0)で3倍に希釈し、1Nの塩酸を加えpHを4.8に調整した。次いで、16.5μlのカプリル酸(Caprylic acid、和光純薬(製))を、室温下で攪拌しながら少しずつ加え、攪拌しながら30分間反応させた。次いで、遠心分離(1,000rpm、20分間)し、抗体以外の蛋白を沈殿させた。遠心上清を回収し、フィルター(ミリポア社(製))で濾過し、白沈を除いた。得られた濾液を、リン酸緩衝液で透析(2時間)した。
透析後、硫酸アンモニウム(26.2g/100ml)を攪拌しながら少しずつ加え、攪拌しながら4℃で120分間反応させた。次いで、遠心分離(10,000rpm、20分間)して、沈殿物を回収した。回収した沈殿物に、リン酸緩衝液を加え、リン酸緩衝液で透析(4℃、24時間)し、精製モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1を得た。
【0076】
実施例4 アフィニティークロマトグラフィーによるヒト由来CETPの精製
実施例2で調製した精製ヒト由来CETPを、実施例3で調製した精製モノクローナル抗体#72−1を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーによりさらに高純度で精製し、さらにその性状を解析した。
<4−1> 固定化モノクローナル抗体(カラム充填用吸着体)の調製
NHS活性化ハイトラップカラム(HiTrap−NHS−activated Sepharose HP、1ml、ファルマシアバイオテク社(製))を用い、添付のプロトコールに従って操作を行い、0.5MのNaClを含有する0.2Mの炭酸水素ナトリウム溶液(pH8.3)中に溶解したモノクローナル抗体#72−1(5mg/mlセファロース)を注入した。20℃で45分間反応させ、モノクローナル抗体#72−1をNHS活性化セファロースに固定化し、固定化モノクローナル抗体#72−1を調製した。
【0077】
<4−2> アフィニティークロマトグラフィーによる精製
実施例2で調製した精製ヒトCETPを含む溶液を、<4−1>で調製したアフィニティーカラムに加えた後、カラムを500mMのNaClを含む50mMのトリス塩酸(pH7.6)緩衝液(5ml)を加えて洗い、2mMのグリシン−HCl(pH2.8)で溶出させた。溶出分画を、2Mのトリス塩酸(pH8.8)で中和させた。溶出パターンを、波長280nmでの吸光度により測定した。
結果を図3に示す。該溶出パターンに従い、ヒト由来CETPを含む活性な分画を集め、0.15MのNaClを含む50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.6)で透析し、極めて高純度の精製ヒト由来CETPを調製した。
【0078】
<4−3> 精製ヒト由来CETPの性状解析
前記図3に示したとおり、本実施例で得られた精製ヒト由来CETPの酵素活性(比活性)は、1100U(ユニット)/mgであった。
さらに該精製ヒト由来CETPの分子量を、常法に従ってSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)により解析した。
結果を図4に示す。
本実施例で得られた精製ヒト由来CETPは、分子量約6,3000と約6,1000の2種類からなることが確認された。ヒト由来CETPの精製はこれまで多くの研究者により試みられ、その分子量が報告されている。報告された値は、精製方法、精製度あるいは分子量分析方法等の問題から完全に一致しないが、いずれも約6,4000〜約6,6000である。これらの値と比較から、本実施例で得られたヒト由来CETPは、極めて高い純度であることが確認された。
【0079】
実施例5 抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体の性状解析
<5−1> ヒト由来CETPに対する反応性
実施例3で調製した精製モノクローナル抗体の#72−1、#86−2及び#176−1のヒト由来CETPに対する反応性は、実施例1で構築したCETP活性測定系を用いて、実施例<3−2>と同様にして、ヒト由来CETPのCE転送活性の阻害活性(CETP阻害活性)を測定することにより確認した。
実施例4で得た精製ヒト由来CETPと0.15MのNaClを含有するトリス(Tris)緩衝液(pH7.4)で種々濃度に希釈した精製モノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1(各々20μl)を、実施例<1−1>で得たドナーリポ蛋白([3H]CE−HDL3、0.21μgのコレステロール含有)と実施例<1−2>で得たアクセプターリポ蛋白(LDL、21μgのコレステロール含有)の混合溶液中加え、さらにTBSを加え、総量600μl/チューブに調製した。
【0080】
以下、実施例<1−3>と同様にして操作し、各々のサンプルのCETP活性を測定し、モノクローナル抗体を加えない場合の値から、各々のモノクローナル抗体のCETP阻害活性を求めた。なお、対照としてマウスIgG(シグマ社(製))を用いた。結果を図5に示す。
モノクローナル抗体#72−1は、濃度依存的にヒト由来CETPのCE転送活性(CETP活性)を阻害し、10μg/ml以上の濃度でCETP活性を100%阻害した。一方、モノクローナル抗体#86−2は、濃度依存的なCETP阻害活性は示さず、約0.5μg/mlの濃度で最大阻害活性(58%)を示し、17μg/ml以上の濃度では阻害活性を示さなかった。また、モノクローナル抗体#176−1もモノクローナル抗体#86−2と同様に、濃度依存的なCETP阻害活性は示さず、約1.0μg/mlの濃度で最大阻害活性(50%)を示した。
このことから、モノクローナル抗体#72−1が認識するヒト由来CETP上のエピトープは、モノクローナル抗体#86−2及びモノクローナル抗体#176−1のそれとは異なる可能性が極めて高い。
【0081】
<5−2> ウサギ由来CETPに対する反応性
実施例3で調製した精製モノクローナル抗体の#72−1、#86−2及び#176−1のウサギ由来CETPに対する反応性を、下記のようにして調製した精製ウサギCETP、ドナーリポ蛋白及びアクセプターリポ蛋白を用いた実施例1と同様のCETP活性測定系を用いて、前記実施例<5−1>と同様にして確認した。
【0082】
<5−2−1> 精製ウサギCETPの調製
以下の操作は、常法に従い全て4℃あるいは氷浴上で行った。
▲1▼ デキストランサルフェイト処理
複数のウサギ(日本白色、北山ラベス(製))から採取した末梢血を、常法に従い遠心分離により血球系細胞を除去し、ウサギ血漿(100ml)を取得した。得られた血漿(100ml)に、蒸留水(200ml)、10%のデキストランサルフェイト(Dextran Sulfate、分子量50万、10ml)、及び4Mの二塩化カルシウム(CaCl2、7.9ml)を加え、氷浴上で緩やかに15分間攪拌した。該混合液を、遠心分離(20,000×g、20時間)し、不溶性のデキストランサルフェイト/リポ蛋白複合体を沈殿分画して遠心上清を回収した。
【0083】
▲2▼ フェニルセファロースカラムクロマトグラフィーによる精製
前記▲1▼で得た遠心上清に、3Mの塩化ナトリウム(NaCl)、0.01%のアジ化ナトリウム(NaN3)、ゲンタマイシンサルフェイト(Gentamysin Sulfate、50μg/ml)、及び0.05%のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加え、pH7.4に調整した。該混合溶液を、0.01%のアジ化ナトリウム、ゲンタマイシンサルフェイト(50μg/ml)、及び0.05%のEDTAを含む3MのNaCl(pH7.4)で平衡化したフェニルセファロースカラム(HiLoad 26/10、ファルマシアバイオテク社(製))に加えた。カラムを、0.01%のアジ化ナトリウム、ゲンタマイシンサルフェイト(50μg/ml)、及び0.05%のEDTAを含む0.15MのNaCl(pH7.4)溶液を加えて洗い、NaCl非含有溶液及び20%のエタノール溶液で溶出させた。溶出パターンを、波長280nmでの吸光度により測定した。
結果を図6に示す。該溶出パターンに従い、ウサギ由来CETPを含む活性な分画を回収した。
【0084】
▲3▼ ブルーセファロースカラムクロマトグラフィーによる精製
前記▲2▼得た活性な分画を、50mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)緩衝液(pH7.0)で透析した。次いで、前記緩衝液で平衡化したブルーセファロースカラム(CL−6B、1.5×8.5cm、ファルマシアバイオテク社(製))に加えた。カラムを、前記緩衝液を加えて洗い、1.5MのNaClと前記緩衝液からなる溶液(pH7.0)で溶出させた。溶出パターンを、波長280nmでの吸光度により測定した。
結果を図7に示す。該溶出パターンに従い、ウサギ由来CETPを含む活性な分画を回収した。
【0085】
▲4▼スクシニル化LDLセファロースカラムクロマトグラフィーによる精製
前記▲3▼得た活性な分画を、0.025%のEDTAを含む60mMのNaCl及び50mMのHEPES緩衝液(pH7.4)からなる溶液で透析した。次いで、スクシニル化LDLをCNBr活性化セファロース4Bカラム(CNBr−activated Sepharose−4B、1.5×8.5cm、ファルマシアバイオテク社(製))に加えて作製したスクシニル化LDLセファロースカラムを、0.025%のEDTAを含む60mMのNaCl及び39mMのリン酸緩衝液(pH7.4)で平衡化し、透析して得られた溶液を加えた。カラムを、0.025%のEDTAを含む60mMのNaCl及び39mMのリン酸緩衝液(pH7.4)で洗い、0.01%EDTAを含む溶液(pH7.4)で溶出させた。溶出パターンを、波長280nmでの吸光度により測定した。結果を図8に示す。
該溶出パターンに従い、ウサギ由来CETPを含む活性な分画を回収し、精製ウサギ由来CETPを調製した。
【0086】
<5−2−2> ドナーリポ蛋白及びアクセプターリポ蛋白
ウサギ血漿を用いて、実施例<1−1>及び実施例<1−2>と同様にして、ドナーリポ蛋白([3H]CE−HDL3、0.21μgのコレステロール含有)及びアクセプターリポ蛋白(LDL、21μgのコレステロール含有)の各々を調製した。
<5−2−3> ウサギ由来CETPに対する反応性確認
前記<5−2−1>で調製した精製ウサギ由来CETP及び<5−2−2>で調製したドナーリポ蛋白及びアクセプターリポ蛋白を用いたCETP活性測定系により、精製モノクローナル抗体の#72−1、#86−2及び#176−1各々のCETP阻害活性を、実施例<5−1>と同様にして測定した。
結果を図9に示す。モノクローナル抗体#86−2及び#176−1は、濃度の高低に拘らず、ウサギ由来CETPのCE転送活性を全く阻害せず、ウサギ由来CETPには特異的な反応性を示さないことが確認された。また、モノクローナル抗体#72−1も、約3μg/ml以下の濃度では、ウサギ由来CETPには検出できる反応性を示さなかった。
【0087】
実施例6 抗体フラグメントF(ab’)2及びFabの調製
実施例3で調製した精製モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1各々のF(ab’)2及びFabを下記のようにして調製した。
モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1の各々(各々5mg/ml)を、20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)に加え、37℃で30分間インキュベートした。次いで、不溶化ペプシン(1ml、ピアス社(製))を加え、ローテーターで回転させながら37℃で12時間インキュベートした。反応液を回収し、遠心分離(3000rpm、10分間)し、上清を回収した。
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを、プロテインAカラムキット(アマシャム社(製))のプロトコールに従って以下のようにして行った。遠心沈殿物に結合緩衝液を加え、遠心分離(3000rpm、10分間)し、上清を回収した。2回の遠心分離で回収した上清を集め、等量の結合緩衝液を加え、さらに1Nの水酸化ナトリウムを加えてpH8.9に調製した。該混合溶液を、該結合緩衝液で平衡化した該プロテインAカラムに添加した後、該結合緩衝液(5ml)で2回洗浄し、溶出分画を回収した。得られた溶出分画を、5mMのリン酸緩衝液(2L、pH6.8)で透析(4℃、24時間)した。
さらなる精製のためヒドロキシアパタイトカラム(バイオラッド社(製))を用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。透析により得られた溶液を、該ヒドロキシアパタイトカラムに添加し、5mMのリン酸緩衝液を15分間流した後、5mM〜0.4Mのリン酸緩衝液で直線濃度勾配溶出させた。溶出液をフラクションコレクターで分取し、280nmでの吸光度を測定し、F(ab’)2を含む分画を回収した。得られた分画をリン酸緩衝液(2L)で透析(4℃、24時間)し、モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1各々の精製F(ab’)2を得た。
【0088】
実施例7 サンドイッチELISAによるヒト由来CETPの定量法の確立
<7−1> 固相化モノクローナル抗体の作製
実施例3で調製した精製モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1を、リン酸緩衝液で希釈(10ng/ウェル〜1μg/ウェル、pH7.4)し、該各々の抗体溶液(50μl)を、ELISA用96穴マイクロプレート(コーニング(Corning)社(製))の各ウェルに加え、4℃で24時間インキュベートし、各々のモノクローナル抗体をマイクロプレートに吸着させた。次いで、各ウェルを、0.1%のTween20を含有するリン酸緩衝液300μlで4回洗浄した。洗浄溶液を捨て、各ウェルに、ブロッキング試薬(300μl、ブロックエース(Block Ace)、大日本製薬社(製))を加え室温で2時間インキュベートし、抗体が結合していない部位をブロックした。各ウェルを、0.1%のTween20を含有するリン酸緩衝液300μlで4回洗浄した。
【0089】
<7−2> 標識モノクローナル抗体の作製
実施例3で調製した精製モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1の各々(1mg/mlを1ml)を、0.1MのNaHCO3(pH8.2〜8.3)溶液で、透析(4℃、24時間)した。次いで、NHS−ビオチン(2mg/mlを100μl、フナコシ社(製))を加え、激しく攪拌した後、室温下で4時間インキュベートした。次いで、リン酸緩衝液で透析(4℃、24時間)した。
【0090】
<7−3> サンドイッチELISAによる定量法の確立
本発明で確立されたサンドイッチELISAによるヒト由来CETPの定量法は以下の通りである。
前記<7−1>で作製した固定化モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1(10ng/ウェル〜1μg/ウェルの濃度で固定化。以下、「固定化マイクロプレート」と同義。)の各々を、0.1%Tween20を含有するリン酸緩衝液で3回洗浄した。固定化マイクロプレートの各ウェルに10%ブロックエース(大日本製薬社(製))を含有するリン酸緩衝液で希釈した測定試料(100μl、実施例<4−2>で調製した精製ヒト由来CETP標準物質、実施例<2−1>で調製したリポ蛋白を除去した健常人血漿、または実施例<2−1>と同様にして調製した各種患者の血漿)を加え、室温で1時間インキュベートした。固定化マイクロプレートを、0.1%Tween20を含有するリン酸緩衝液で3回洗浄後、各ウェルに10%ブロックエースを含有するリン酸緩衝液で希釈したビオチン標識モノクローナル抗体(3ng/ウェル〜1μg/ウェルを50μl、前記<7−2>で作製したビオチン標識モノクローナル抗体#72−1、#86−2または#176−1)を加え、室温下で1時間インキュベートした。固定化マイクロプレートを、0.1%Tween20を含有するリン酸緩衝液で3回洗浄後、ウシ血清アルブミン(BSA、1mg/ml)を含有する0.5MのNaClと20mMのHEPESからなる溶液(pH7.0)で1000倍に希釈したストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ(Streptoavidin−β−galactosidase、50μl、ギブコ(Gibco BRL)社(製))を各ウェルに加え、室温下で1時間インキュベートした。
【0091】
固定化マイクロプレートを、0.1%Tween20を含有するリン酸緩衝液で3回洗浄後、1mg/mlのBSAを含有する100mMのNaCl、1mMのMgCl2及び10mMのリン酸緩衝液からなる溶液(pH7.0)で希釈した0.015%または0.01%の4−メチル−ウンベリフェリル−β−D−ガラクトシド(4−Methyl−umbelliferyl−β−D−galactoside、50μl、シグマ(Sigma)社(製))を各ウェルに加え、室温下で10または20分間インキュベートした。各ウェルに、Na2CO3(100μl)を加え、反応を止めた。波長460nm(励起:355nm)での蛍光強度をフルオロスキャンIIマイクロプレートフルオロメーター(Fluoroscan II microplate fluorometer、フロー研究所(Flow Laboratories Inc.)(製))で測定した。測定中のCETP量は、下記実施例で作成した検量線から求めた。
固定化モノクローナル抗体(#72−1、#86−2または#176−1)と標識モノクローナル抗体(#72−1、#86−2または#176−1)との種々の組合わせによる定量結果を、図10乃至図12に示す。この結果、#72−1、#86−2及び#176−1の内、異なるモノクローナル抗体の組合わせ(#72ー1と#86−2、#72−1と#176−1)により定量できることが確認された。
また、固定化モノクローナル抗体と標識モノクローナル抗体の最適濃度決定の例として、(1)固定化モノクローナル抗体として#72−1(10ng/ウェル〜1μg/ウェル)を、また標識モノクローナル抗体として#86−2または#176−1(10ng/ウェル〜1μg/ウェル)を使用した場合(4−メチル−ウンベリフェリル−β−D−ガラクトシド(基質)の濃度:0.01%、反応時間:10分間)、及び(2)固定化モノクローナル抗体として#72−1(1μg/ウェル)を、また標識モノクローナル抗体として#86−2(1〜3ng/ウェル)を使用した場合(該基質の濃度:0.015%、反応時間:20分間)の、実施例<2−1>で調製したリポ蛋白を除去した健常人血漿の定量結果を、各々図13乃至図16、並びに図17に示す。
【0092】
その結果、固定化モノクローナル抗体#72−1の最適濃度は、1μg/ウェル(20μg/ml)であった。一方、また標識モノクローナル抗体#86−2の最適濃度は、基質との反応時間が10分間の時は100ng/ウェル(2μg/ml)であり、20分間の時は、3ng/ウェル(60ng/ml)であることが確認された。このように、標識モノクローナル抗体の最適濃度は、基質との反応時間に依存するため最適濃度は、該反応時間により適宜設定することが可能である。
以下にのべる実施例では、固定化モノクローナル抗体#72−1(1μg/ウェル(20μg/ml))、標識モノクローナル抗体#86−2(3ng/ウェル(60ng/ml)、及び基質との反応時間(20分間)の条件によるサンドイッチELISAを用いた。
【0093】
<7−4> 検量線の作成及び本定量法の精密性の確認
<7−4−1> 検量線の作成
実施例<4−2>で調製した精製ヒト由来CETPを標準物質(スタンダード)として、固定化モノクローナル抗体として#72−1(1μg/ウェル)を、及び標識モノクローナル抗体として#86−2(3ng/ウェル)を使用し、前記<7−3>で確立したサンドイッチELISAを用いて検量線を作成した。結果を図18に示す。
極めて低濃度である0.4ng/ml〜1.25ng/mlの濃度範囲で直線的検量線が得られた(相関係数:r=0.995)。また、本発明のサンドイッチELISAを用いた定量法のヒト由来CETPの定量感度(検出感度)は、最大0.4ng/mlであり、従来の定量法に比べ極めて高い定量感度(検出感度)であることが確認された。
【0094】
<7−4−2> 変動係数の算出
また、本発明の定量法の精密性を確認するため同一プレート内(96ウェルのうちの48ウェル)での変動係数及び複数プレート内(6枚)での変動係数を算出した。前者の変動係数は、7.06%、また後者の変動係数は、6.13%であり、本発明で確立したサンドイッチELISAによる定量系が極めて精密な測定系であることが確認された。
【0095】
<7−5> ヒト由来CETPの定量系確立のための予備実験
<7−5−1> ヒト血漿成分による定量性への影響の確認
ヒト由来CETPの定量性に影響を与える血漿成分の有無を確認するために下記のような試験を行った。
実施例<4−2>で調製した、精製ヒト由来CETP(各々0.735μg/mlまたは1.469μg/ml)を、実施例<2−1>と同様にして得た0.56μg/mlのCETPを含有する健常人血漿中に加えた。次いで、前記<7−3>で確立した定量法を用いてCETP量を測定した。
0.735μg/ml及び1.469μg/mlを加えた各々の試料の定量値は、インキュベート前の計算上予測され得るCETP総量(各々1.294μg/ml及び2.029μg/ml)に対し、各々1.440μg/ml及び2.189μg/mlであり、各々111%及び108%のCETPが回収された。
この結果から、ヒト血漿中には、本法によるCETPの定量性に影響を与える物質(成分)が何等存在しないことが確認され、本発明の定量法を用いればヒト血漿中のCETPを正確に定量できることが示された。
【0096】
<7−5−2> ヒト血漿中のリポ蛋白による影響の確認
ヒト血漿中のCETPの定量において、血漿中に含まれるリポ蛋白等のCETP以外の物質が定量感度に与える影響について検討するため、異なる精製度のヒト由来CETPを試料として、前記<7−3>で確立した定量系を用いて検討した。
測定試料には、(1)実施例<2−1>で遠心分離により血球系細胞のみを除去した血漿、(2)実施例<2−1>で最終的に得られたリポ蛋白を除去した血漿、(3)実施例<2−2>でフェニルセファロースカラムクロマトグラフィーで精製されたCETP、及び(4)実施例<4−2>で調製した精製ヒト由来CETPを用いた。結果を図19に示す。
前記(1)、(2)及び(3)の各々の試料の定量曲線(希釈曲線)は、(4)の精製ヒト由来CETPのそれと平行であり、本発明の定量法は、測定試料であるヒト血漿中のリポ蛋白等の影響を何等受けることなく、即ち、血漿試料の精製度に無関係に適用可能なことが確認された。
【0097】
<7−5−3> CETP含量とCETP活性の相関性確認
本発明の定量法の精密性を確認するため、ヒト血漿試料中のCETPの定量値と該血漿試料自体のCETP活性値との相関性を検討した。
CETP含量の定量は、試料として実施例<2−1>で得たリポ蛋白を除去した血漿を用いて行い、またCETP活性の測定は、該定量に用いた血漿試料の同量を用い、実施例1のCETP活性測定系により測定した。結果を図20に示す。
相関係数(r)は、0.953であり、本発明の定量方法によるCETP定量値と定量に用いた試料のCETP活性値は、極めて高い相関性を示した。この結果から、本発明の定量法が、極めて高い精密性を有していることが確認された。
【0098】
実施例8 ヒト血漿中ヒト由来CETPの定量
実施例<7−3>で確立されたサンドイッチELISAによる定量法を用いて、健常人及び各種患者の血漿中CETPを定量した。
なお、該血漿のCETP活性は、実施例<1−1>と同様にして得たドナーリポ蛋白([3H]CE−HDL3、6μgのCE含有と実施例<1−2>と同様にして得たアクセプターリポ蛋白(LDL、600μgのCE含有)を用い、実施例<1−3>で述べたCETP活性測定系を用いて測定した。
本試験で用いたヒト血漿は、健常人(13人)、IIa型高脂血症(5人)、IIb型高脂血症(5人)、CETP欠損症(2人)、LCAT欠損症(2人)及び高HDL血症(1人)の血漿である。結果を図21に示す。
健常人血漿及び各種患者血漿ともに、CETP定量値と血漿CETP活性の間に高い相関性が確認された。また、推察されたとおり、CETP欠損症患者の血漿中にはCETPが検出されなかった。さらに、本発明の定量法は、健常人血漿のみならず種々の疾患患者の血漿についても適用できることが確認された。
【0099】
実施例9 従来の定量法との比較
従来のサンドイッチELISAを用いたヒト由来CETPの定量法との比較における本発明の定量法の有用性を確認するために下記のような試験を行った。
従来の方法では、蛋白−蛋白間及び/または蛋白−リポ蛋白間の相互作用によって塞がっている抗原決定基(エピトープ)を露出させるために、定量に際し血漿試料をTritonX−100等の界面活性剤及び/または加熱によって前処理を行っていた。しかしながら、このような処理を施すと試料中の蛋白(CETP等)は変性してしまう(タンパクの高次構造が崩され、あるいはさらに生物学的に不活性となる。)ため、該方法により検出/定量されるCETPはインタクトなCETPではなく変性されたCETPのみであり、血漿中の正確なCETP量を測定することは不可能であった。
そこで本試験では、(1)実施例<2−1>と同様にして得たリポ蛋白を除去した健常人血漿(10%ブロックエースを含むリン酸緩衝液による希釈物)、(2)リポ蛋白を除去した後、0.1%Tween20(界面活性剤)とともにインキュベートした健常人血漿、(3)リポ蛋白を除去した後、熱処理(95℃、5分)した健常人血漿、及び(4)リポ蛋白を除去した後、1%TritonX−100とともにインキュベートした健常人血漿について検討した。結果を図22に示す。
1%TritonX−100処理した血漿、及び熱処理した血漿では、本法により本来定量されるべきCETPが定量されなかった。とりわけ、熱処理した血漿では全くCETPが検出できなかった。また、低濃度のTween20処理した血漿でも定量性が著しく(30%以上)低減した。即ち、本発明のモノクローナル抗体が、ヒト血漿中のインタクトなCETPに特異的に反応性を有することに依存して、本発明の定量法を用いれば従来の方法(界面活性剤処理、熱処理等)では不可能であったヒト血漿中に存在するインタクトなCETP量を正確に定量可能なことが確認された。また、これまでに知られているヒト由来CETPに対するモノクローナル抗体が、変性したヒト由来CETPに特異的に反応するものであることが明らかとなった。
【0100】
実施例10 医薬組成物の調製及びCETP阻害活性
実施例3で調製した精製モノクローナル抗体の#72−1、#86−2及び#176−1(50〜150μg/ml)を注射用蒸留水(10ml)に加え注射剤とした。
また、実施例<5−2−1>で調製した精製ウサギ由来CETPを免疫原として、実施例3と同様にして抗ウサギ由来CETPモノクローナル抗体を調製した。即ち、BALB/cマウス(雌、4〜5週齢、静岡研究動物センター(製))に該精製ウサギ由来CETPを免疫し抗ウサギ由来モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ#2−64及び#9−1を得た。該ハイブリドーマ各々をICRヌードマウス(雌、チャールズリバー社(製))に移植して、腹水中から抗ウサギ由来モノクローナル抗体#2−64(IgG1)及び#9−1(IgG1)を調製した。注射用蒸留水に、モノクローナル抗体#2−64(0.13mg/ml)とモノクローナル抗体#9−1(5.53mg/ml)とを溶解し注射剤とした。この注射剤を1.8mg/kgの濃度でウサギに静脈内投与(初回投与、0時間)し、引き続き24時間おきに同濃度で投与した。各投与後、1、4及び24時間後に血漿を取得した。
該2つの抗ウサギ由来CETPモノクローナル抗体#2−64及び#9−1を用いて実施例1と同様にして確立したサンドイッチELISAによるウサギ由来CETPの活性測定法を用いて、該血漿中のCETP活性を測定した。結果を図23に示す。
抗ウサギ由来CETPモノクローナル抗体#2−64及び#9−1は、ウサギ血漿中のCETPを有意に阻害することが確認された。
【0101】
実施例11 ヒト由来CETP高発現トランスジェニックマウスの作製
ヒト肝臓由来の5’−strech cDNAライブラリー(クローンテック(CLONTECH)製)を鋳型として、PCRを行った。PCRで増幅されたDNA断片を常法によりアガロースゲル電気泳動により分離し、目的断片のみを切出した後、QIAEX(キアゲン(QUIAGEN)製)によりゲルを溶かし、目的DNA断片を得た。得られた断片を、DNA末端平滑化キット(タカラ製)を用いて、pCRIIベクター(インビトロゲン(INVITROGEN)製)に挿入した。次いでpCRIIベクターを大腸菌由来DH5コンピテント細胞に導入した後、プラスミドのシークエンス解析を行い、目的のヒト由来CETPをコードするcDNAを得た。
上述で得たヒト由来CETPをコードするcDNAを、ヒトβアクチンプローモーターを有する発現ベクター(モレキュラーセルウラールイムノロギー(Mol. Cel. Immunol.)、第4巻、第1961〜第1969頁、1984年;及び、同、第5巻、第2720〜第2732頁、1985年)に、DNA末端平滑化キット(タカラ製)を用いて挿入し、プラスミドpCETP−1を得た。エレクトロポレーション法により、pCETP−1をCOS細胞に導入し、培養後、形質転換COS細胞から、常法によりRNAを取得した。得られたRNAを用いてRT−PCRを行い、pCETP−1を導入したCOS細胞でのヒトCETPの特異的な転写発現を確認した。また同様にして、発現ベクターpME18Sを用いて得た形質転換体からのヒトCETPの発現を実施例7で確立したサンドイッチELISAにより確認した。トランスジェニックマウス作製のために、pCETP−1を制限酵素処理して直鎖状にした。
仮親マウスには、白色ICRマウス(雌、日本クレア製)を、精管結紮した白色ICRマウス(雄、日本クレア製)と交配して得られたプラグ(または腟栓)を有する雌ICRマウスを用いた。また、ヒト由来CETP遺伝子を導入するため受精卵を得るための採卵用マウスは、黒色C57BL/6Jマウス(雌、日本クレア製)に、PEAMEX(5ユニット、三共製)及びPUBEROGEN(5ユニット、三共製)を投与することにより過剰排卵させ、黒色C57BL/6Jマウス(雄、日本クレア製)を交配させて作製した。交配後、C57BL/6Jマウス(雌)から卵管部を摘出し、ヒアルロニダーゼ処理により受精卵のみを得、培地中で保存した。
受精卵へのヒト由来CETP遺伝子の導入は、顕微鏡下でマニピュレーターを用いて常法により行った。受精卵を保定針で固定し、37℃条件下、トリスEDTA緩衝液で希釈したヒト由来CETPの前記直鎖状遺伝子を含有する溶液を、DNA導入針を用いて受精卵の雄性前核内に注入した。
遺伝子導入後、正常な状態を保持する受精卵のみを選別し、仮親マウス(白色ICRマウス)の卵巣内にある卵管采に、ヒト由来CETP遺伝子導入受精卵を挿入した。
仮親から生まれた子マウス(ヘテロマウス)の尾を切取りゲノム遺伝子を回収し、PCRによりマウスゲノム内にヒト由来CETPが導入されていることを確認した。また、血漿中のヒト由来CETPの発現を、実施例7で確立したサンドイッチELISAにより確認した。
このヘテロマウス同士を掛け合わせることにより、ホモマウスであるヒト由来CETP高発現トランスジェニックマウスを作製した。
【0102】
実施例12 抗CETPモノクローナル抗体のインビボにおけるCETP活性阻害効果
実施例3で作製した精製抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体#72−1及び#86−2の2種類を、濃度が29:1の割合で注射用蒸留水に混合し注射剤とした。
実施例11で作製したヒトCETP高発現トランスジェニックマウス(雌、3匹、食餌制限なしに繁殖用固形飼料を自由に与えた4カ月齢、3匹)に、前記混合注射剤(100 mg/kg)を腹腔内に単回投与した。
抗体投与直前を0時間とし、投与後1、3、6及び24時間目に眼底採血を行い、遠心分離して血漿を回収した。回収した血漿中のCETP活性(抗ヒト由来CETP抗体によるCETP阻害活性)の測定は、実施例1で構築したCETP活性測定系を用いてHDLからLDLへのCE(コレステロールエステル)転送量を測定することにより行った。結果を図24に示す。
本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体は、インビボにおいてもヒトCETP活性を完全に阻害することが確認された。さらに、抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体によるヒト由来CETP活性のインビボでの阻害効果は、本発明において初めて開示されるものである。
【0103】
実施例13 抗CETPモノクローナル抗体による動脈硬化症予防効果
実施例3で作製した精製抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体#72−1及び#86−2の2種類を、濃度が29:1の割合で注射用蒸留水に混合し注射剤とした。
実施例11で作製したヒトCETP高発現トランスジェニックマウス(雌、3匹、食餌制限なしに繁殖用固形飼料を自由に与えた6週齢)に、前記混合注射剤(75 mg/kg)を、1日1回づつ計4日間にわたり腹腔内投与した。なお、対照にはPBS(リン酸緩衝液)を用いた。
抗体投与直前を0日とし、投与3日前、投与後2、4、8及び11日目に眼底採血を行い、遠心分離して血漿を回収した。回収した血漿中のHDLコレステロールの量を、脂質測定キット(リキテックTC1/TC2、ベーリンガーマンハイム製)を用いて測定した。なお、HDLの分画には、HDLコレステロール分離用試薬(ベーリンガーマンハイム製)を用いた。結果を図25に示す。
本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体のインビボ投与により、血中のHDLコレステロール量が有意に上昇することが確認された。HDLは、抗動脈硬化作用を有する重要なリポタンパクであると考えられており、事実、血中でのHDLの上昇により、動脈硬化巣の進展を抑制及び退縮させることが明らかにされている(ジャーナルオブクリニカルインベスティゲイション(J. Clin. Invest.)、第85巻、第1234〜第1241頁、1990年)。
抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体のインビボへの投与により、血中HDLコレステロールを上昇させることができるという知見は、本発明において初めて開示されるものであり、本試験結果は、本発明のモノクローナル抗体が、動脈硬化症の予防乃至治療に極めて有用であることを明らかにするものである。
上述の実施例10乃至13で得られた結果及び実施例<5−1>に示した本発明のモノクローナル抗体のヒト由来CETPの高い阻害活性から、本発明のモノクローナル抗体が、高脂血症や動脈硬化症などのCETPの体内動態の異常に起因する種々の疾患の治療及び予防に有用であることが明らかにされた。
【0104】
【発明の効果】
本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体は、ヒト由来CETP、特にヒト体液中に存在するインタクトなCETPに対して高い結合特異性(CETP阻害活性)を有するという特徴を有するが故に、本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体を用いたイムノアッセイにより、未だ確立されていないヒト体液(血漿等)中のCETPをインタクトな状態で簡便かつ高感度で定量することができる。
とりわけ、本発明の3つの抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体が、ヒト由来CETP、特にヒト体液中に存在するインタクトなCETPに対して各々異なる高い結合特異性(CETP阻害活性)を有するという特徴を利用して、該3つの内のいずれか2つのモノクローナル抗体を組合わせたサンドイッチELISAを採用することによりさらに簡便かつ高感度の定量できる。
【0105】
本発明のモノクローナル抗体を用いた定量方法においては、血漿等の体液試料の定量に際し、試料を加熱処理あるいは界面活性剤処理等の何等の前処理をする必要ななく、極めて簡便かつ高感度で定量することができる。
また、本発明の抗ヒト由来CETPモノクローナル抗体は、そのCETP阻害活性の高さ故に、CETPの動態異常に起因する動脈硬化症、高脂血症、高HDL血症あるいは高コレステロール血症等の各種疾患の治療または予防のための医薬品として有用である。
【0106】
【図面の簡単な説明】
【図1】フェニルセファロースカラムクロマトグラフィーによるヒト由来CETPのクロマトグラムを示す図。
【図2】リソースQカラムクロマトグラフィーによるヒト由来CETPのクロマトグラムを示す図。
【図3】モノクローナル抗体#72−1を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーによるヒト由来CETPのクロマトグラムを示す図。
【図4】モノクローナル抗体#72−1を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーにより精製されたヒト由来CETPの分子量を示す電気泳動図。
【図5】モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1の精製ヒト由来CETPに対する反応性を示す図。
【図6】フェニルセファロースカラムクロマトグラフィーによるウサギ由来CETPのクロマトグラムを示す図。
【図7】ブルーセファロースカラムクロマトグラフィーによるウサギ由来CETPのクロマトグラムを示す図。
【図8】スクシニル化LDLセファロースカラムクロマトグラフィーによるウサギ由来CETPのクロマトグラムを示す図。
【図9】モノクローナル抗体#72−1、#86−2及び#176−1の精製ウサギ由来CETPに対する反応性を示す図。
【図10】標識モノクローナル抗体#86−2と各種固定化モノクローナル抗体との組合せによる定量性を示す図。
【図11】標識モノクローナル抗体#176−1と各種固定化モノクローナル抗体との組合せによる定量性を示す図。
【図12】標識モノクローナル抗体#72−1と各種固定化モノクローナル抗体との組合せによる定量性を示す図。
【図13】標識モノクローナル抗体#86−2と各種濃度の固定化モノクローナル抗体#72−1との組合せによる定量性を示す図。
【図14】固定化モノクローナル抗体#72−1と各種濃度の標識モノクローナル抗体#86−2との組合せによる定量性を示す図。
【図15】標識モノクローナル抗体#176−1と各種濃度の固定化モノクローナル抗体#72−1との組合せによる定量性を示す図。
【図16】固定化モノクローナル抗体#72−1と各種濃度の標識モノクローナル抗体#176−1との組合せによる定量性を示す図。
【図17】固定化モノクローナル抗体#72−1(1μg/ml)と標識モノクローナル抗体#86−2(1ng/ウェルまたは3ng/ウェル)との組合せによる定量性を示す図。
【図18】本発明の定量法による精製ヒト由来CETP標準物質の検量線を示す図。
【図19】本発明の定量法による精製度の異なるヒト血漿のCETPの定量性を示す図。
【図20】本発明の定量法によるCETP定量値と試料のCETP活性値との相関性を示す図。
【図21】本発明の定量法による健常人及び各種患者に由来する血漿のCETP量及びCETP活性を示す図。
【図22】変性したヒト由来CETPに対するモノクローナル抗体#72−1及び#86−2の反応性並びに本発明の定量法と従来の定量法の差異を示す図。
【図23】ウサギを用いたインビボ試験における抗CETPモノクローナル抗体のCETP活性阻害効果を示す図。
【図24】ヒトCETP高発現トランスジェニックマウスを用いたインビボ試験における抗ヒトCETP抗体のCETP阻害活性を示す図。
【図25】インビボ試験における抗ヒトCETP抗体の血中HDLコレステロール量に対する影響を示す図。
Claims (22)
- ヒト由来 CETP に反応性を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマであって、国際寄託番号 FERM BP-4944 または FERM BP-4945 で識別されるハイブリドーマ。
- ヒト由来 CETP に反応性を有するモノクローナル抗体であって、国際寄託番号 FERM BP-4944 または FERM BP-4945 で識別されるハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体。
- 可変領域が請求項2記載のモノクローナル抗体由来の可変領域であり、かつ定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするヒト由来CETPに反応性を有する組換キメラモノクローナル抗体。
- 超可変領域の相補性決定領域の一部または全部が請求項2記載のモノクローナル抗体由来の相補性決定領域であり、超可変領域の枠組領域がヒトイムノグロブリン由来の枠組領域であり、かつ定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするヒト由来CETPに反応性を有する組換ヒト型モノクローナル抗体。
- F(ab’)2またはFab’で表される請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体由来の抗体フラグメント。
- 請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体または請求項5記載の抗体フラグメントを不溶性担体に固定化してなる固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメント。
- 固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントが、プレート、試験管、チューブ、ビーズ、ボール、フィルター及びメンブレンからなる群から選ばれる不溶性担体に固定化されていることを特徴とする請求項6記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメント。
- 固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントが、フィルター若しくはメンブレン、またはアフィニティーカラムクロマトグラフィーに用いられる不溶性担体に固定化されていることを特徴とする請求項6記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメント。
- 請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体または請求項5記載の抗体フラグメントを、単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメント。
- 標識物質が、酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジン、または放射性同位体であることを特徴とする請求項9記載の標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメント。
- 請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体、請求項5記載の抗体フラグメント、請求項6または請求項7記載の固定化モノクローナル抗体、請求項6または請求項7記載の固定化抗体フラグメント、請求項9または請求項10記載の標識モノクローナル抗体、及び請求項9または請求項10記載の標識抗体フラグメントからなる群から選ばれる少なくともいずれか1つのモノクローナル抗体、抗体フラグメント、固定化モノクローナル抗体、固定化抗体フラグメント、標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントを含んでなるヒト由来CETPの検出または定量に用いられるキット。
- 請求項6若しくは請求項7記載の固定化モノクローナル抗体または請求項6若しくは請求項7記載の固定化抗体フラグメントと請求項9若しくは請求項10記載の標識モノクローナル抗体または請求項9若しくは請求項10記載の標識抗体フラグメントを含んでなる請求項11記載のヒト由来CETPの検出または定量に用いられるキット。
- 請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体、請求項5記載の抗体フラグメント、請求項6または請求項7記載の固定化モノクローナル抗体、請求項6または請求項7記載の固定化抗体フラグメント、請求項9または請求項10記載の標識モノクローナル抗体、及び請求項9または請求項10記載の標識抗体フラグメントからなる群から選ばれる少なくともいずれか1つのモノクローナル抗体、抗体フラグメント、固定化モノクローナル抗体、固定化抗体フラグメント、標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントを用いることを特徴とするイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する方法。
- 少なくとも下記(a)及び(b)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する請求項13記載の方法:
(a)請求項6または請求項7記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントに試料を反応せしめる工程;及び
(b)該固定化モノクローナル抗体または該固定化抗体フラグメントと試料中に含まれるヒト由来CETPとの結合により形成される抗原抗体複合体に請求項9若しくは請求項10記載の標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントを反応せしめる工程。 - 少なくとも下記(a)及び(b)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する請求項13記載の方法:
(a)請求項9若しくは請求項10記載の標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメントに試料を反応せしめる工程;及び
(b)該標識モノクローナル抗体または該標識抗体フラグメントと試料中に含まれるヒト由来CETPとの結合により形成される抗原抗体複合体に請求項6または請求項7記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを反応せしめる工程。 - 少なくとも下記(a)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する請求項13記載の方法:
(a)請求項6若しくは請求項7記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメント、請求項9若しくは請求項10記載の標識モノクローナル抗体または標識抗体フラグメント、及び試料を含む混合物を反応せしめる工程。 - 少なくとも下記(a)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する請求項13記載の方法:
(a)請求項6若しくは請求項7記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントに、試料及び単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。 - 少なくとも下記(a)の工程または(b)及び(c)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する請求項13記載の方法:
(a)試料と単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質との混合物に請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体または請求項5記載の抗体フラグメントを反応せしめる工程;
(b)試料に請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体または請求項5記載の抗体フラグメントを反応せしめる工程;
(c)(b)の工程を行った反応系に単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程。 - 少なくとも下記(a)及び(d)の工程または(b)乃至(d)の工程を含むイムノアッセイによりヒト由来CETPを検出または定量する請求項13または請求項18の方法:
(a)試料と単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質との混合物に請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体または請求項5記載の抗体フラグメントを反応せしめる工程;
(b)試料に請求項2乃至請求項4記載のモノクローナル抗体または請求項5記載の抗体フラグメントを反応せしめる工程;
(c)(b)の工程を行った反応系に単独でまたは他の物質と反応することにより検出可能なシグナルをもたらすことができる標識物質で標識してなる標識ヒト由来CETP標準物質を反応せしめる工程;
(d)該試料中のヒト由来CETP若しくは該標識ヒト由来CETP標準物質と該モノクローナル抗体または該抗体フラグメントとの結合により形成される抗原抗体複合体に、該モノクローナル抗体または該抗体フラグメントに反応性を有する哺乳動物由来の抗血清を反応せしめる工程。 - 少なくとも請求項6または請求項8記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを含んでなるヒト由来CETPの分離または精製に用いられるキット。
- 請求項6または請求項8記載の固定化モノクローナル抗体または固定化抗体フラグメントを用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いることを特徴とするヒト由来CETPを分離または精製する方法。
- アフィニティークロマトグラフィーがアフィニティーカラムクロマトグラフィーである請求項21記載のヒト由来CETPの精製方法。
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