JPH1121300A - 抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこれを産生するハイブリドーマ細胞株 - Google Patents
抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこれを産生するハイブリドーマ細胞株Info
- Publication number
- JPH1121300A JPH1121300A JP9178059A JP17805997A JPH1121300A JP H1121300 A JPH1121300 A JP H1121300A JP 9178059 A JP9178059 A JP 9178059A JP 17805997 A JP17805997 A JP 17805997A JP H1121300 A JPH1121300 A JP H1121300A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transferrin
- human
- antibody
- sugar chain
- human transferrin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 糖鎖認識性を有するヒト由来のトランスフェ
リンに対するモノクローナル抗体及びこれを産生するハ
イブリドーマを提供する。 【解決手段】 ヒト由来のトランスフェリンの糖鎖部分
を認識することを特徴とする抗ヒトトランスフェリンモ
ノクローナル抗体。
リンに対するモノクローナル抗体及びこれを産生するハ
イブリドーマを提供する。 【解決手段】 ヒト由来のトランスフェリンの糖鎖部分
を認識することを特徴とする抗ヒトトランスフェリンモ
ノクローナル抗体。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗ヒトトランスフ
ェリンモノクローナル抗体とこれを産生するハイブリド
ーマ細胞株に関するものであり、さらに詳しくは、糖鎖
認識性を有するヒト由来のトランスフェリンに対するモ
ノクローナル抗体と、これを産生するハイブリドーマ細
胞株に関するものである。
ェリンモノクローナル抗体とこれを産生するハイブリド
ーマ細胞株に関するものであり、さらに詳しくは、糖鎖
認識性を有するヒト由来のトランスフェリンに対するモ
ノクローナル抗体と、これを産生するハイブリドーマ細
胞株に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トランスフェリンは別名鉄結合性グロブ
リンとも呼ばれ、血中の輸送鉄と結合する分子量約8万
の蛋白質である。このトランスフェリンを先天的に欠損
している患者は無トランスフェリン血症と呼ばれてい
る。トランスフェリンは尿中に微量排泄されており、こ
のトランスフェリンの量を測定することによって糖尿病
性腎症を早期診断することが近年報告されている(臨床
病理、43巻、454頁、1995年)。さらに、トラ
ンスフェリンの糖鎖のもつ電気的特性の差が腎症の進行
度に関係していること(同上文献)及び糖尿性網膜症の
進行度とも相関していることが報告されている(臨床病
理、43巻、1235頁、1995年)。また、近年ヒ
ト血清中のトランスフェリンの糖鎖部分の構造が癌によ
って種々変化することが報告されるようになり、例えば
木幡は、血清トランスフェリンの糖鎖を認識する抗体を
用いた酵素免疫法〔エンザイム リンクド イムノソル
ベント アッセイ(以下ELISAと略す)法〕により
肝癌、肝硬変と肝炎とを明らかに区別できるのではない
かとの考えを発表している(代謝、27巻増刊号、26
3頁、1990年)。さらに、木幡らは、糖鎖構造に特
徴を有するトランスフェリンを数例報告しており、この
ようなトランスフェリンを抗原として用いて対応する抗
トランスフェリン抗体が得られれば、肝癌の診断に有用
であろうと提言している(特開平2 34601号公
報)。
リンとも呼ばれ、血中の輸送鉄と結合する分子量約8万
の蛋白質である。このトランスフェリンを先天的に欠損
している患者は無トランスフェリン血症と呼ばれてい
る。トランスフェリンは尿中に微量排泄されており、こ
のトランスフェリンの量を測定することによって糖尿病
性腎症を早期診断することが近年報告されている(臨床
病理、43巻、454頁、1995年)。さらに、トラ
ンスフェリンの糖鎖のもつ電気的特性の差が腎症の進行
度に関係していること(同上文献)及び糖尿性網膜症の
進行度とも相関していることが報告されている(臨床病
理、43巻、1235頁、1995年)。また、近年ヒ
ト血清中のトランスフェリンの糖鎖部分の構造が癌によ
って種々変化することが報告されるようになり、例えば
木幡は、血清トランスフェリンの糖鎖を認識する抗体を
用いた酵素免疫法〔エンザイム リンクド イムノソル
ベント アッセイ(以下ELISAと略す)法〕により
肝癌、肝硬変と肝炎とを明らかに区別できるのではない
かとの考えを発表している(代謝、27巻増刊号、26
3頁、1990年)。さらに、木幡らは、糖鎖構造に特
徴を有するトランスフェリンを数例報告しており、この
ようなトランスフェリンを抗原として用いて対応する抗
トランスフェリン抗体が得られれば、肝癌の診断に有用
であろうと提言している(特開平2 34601号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、具体的に糖鎖
認識性を有するトランスフェリンの抗体が取得されたと
の報告はなく、糖鎖認識性を有するトランスフェリンの
抗体の開発が望まれている。本発明は、糖鎖認識性を有
する抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこ
のような抗体を産生するハイブリドーマを提供すること
を目的とするものである。
認識性を有するトランスフェリンの抗体が取得されたと
の報告はなく、糖鎖認識性を有するトランスフェリンの
抗体の開発が望まれている。本発明は、糖鎖認識性を有
する抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこ
のような抗体を産生するハイブリドーマを提供すること
を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究の結果、細胞融合により糖
鎖認識性を有するヒト由来のトランスフェリンに対する
抗体を取得することに成功し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、第1の発明は、ヒト由来のトランスフェ
リンの糖鎖部分を認識することを特徴とする抗ヒトトラ
ンスフェリンモノクローナル抗体を要旨とするものであ
る。また、第2の発明は、上記のモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマ細胞株を要旨とするものであ
る。
題を解決するために鋭意研究の結果、細胞融合により糖
鎖認識性を有するヒト由来のトランスフェリンに対する
抗体を取得することに成功し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、第1の発明は、ヒト由来のトランスフェ
リンの糖鎖部分を認識することを特徴とする抗ヒトトラ
ンスフェリンモノクローナル抗体を要旨とするものであ
る。また、第2の発明は、上記のモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマ細胞株を要旨とするものであ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。この発明のモノクローナル抗体は、上記の通り、
ヒト由来のトランスフェリンの糖鎖部分、特に正常な糖
鎖部分を認識し、糖鎖の遊離したトランスフェリンは認
識しないという性質を有するものである。
する。この発明のモノクローナル抗体は、上記の通り、
ヒト由来のトランスフェリンの糖鎖部分、特に正常な糖
鎖部分を認識し、糖鎖の遊離したトランスフェリンは認
識しないという性質を有するものである。
【0006】このようなモノクローナル抗体は、例え
ば、ヒト由来のトランスフェリンを免疫した動物から調
製したリンパ球と、ミエローマ細胞とを融合し、得られ
たハイブリドーマからヒト由来のトランスフェリンに対
する抗体を特異的に産生する細胞を選別し、これをクロ
ーン化して細胞株としたうえで、この細胞株を培養する
ことにより得ることができる。
ば、ヒト由来のトランスフェリンを免疫した動物から調
製したリンパ球と、ミエローマ細胞とを融合し、得られ
たハイブリドーマからヒト由来のトランスフェリンに対
する抗体を特異的に産生する細胞を選別し、これをクロ
ーン化して細胞株としたうえで、この細胞株を培養する
ことにより得ることができる。
【0007】すなわち、まず、ヒト由来のトランスフェ
リン(例えば、シグマ社製)を抗原として哺乳動物、好
ましくはマウス又はラットに免疫する。抗原の使用量、
投与部位、アジュバントの使用等の免疫の方法として
は、従来の抗血清を得る方法に準ずればよく、例えば、
マウスを用いる場合、マウス1匹あたり1回につき0.
001〜10mg、好ましくは0.01〜1mgのヒト
由来のトランスフェリンを、初回はアジュバント(例え
ば、フロイントの完全アジュバンド)とよく混合して、
皮下、腹腔内等に投与する。2週間以上経過後、ヒト由
来のトランスフェリンを再びアジュバント(例えば、フ
ロイントの不完全アジュバント)とよく混合して、皮
下、腹腔内等に投与する。さらに2週間以上経過後、ヒ
ト由来のトランスフェリンのみを静脈内、皮下、腹腔等
に投与して、十分免疫する。この様にして免疫された動
物を好ましくは最終免疫から2〜4日後に殺し、リンパ
球を採取する。リンパ球調製には、脾臓、リンパ節、抹
消血等を用いることができる。このようにして得られた
リンパ球はイーグル最小培地(以下、MEM培地と略
す)やRPMI(Rosewell Park Memorial institute)
1640培地等に懸濁状態にほぐしておけばよい。
リン(例えば、シグマ社製)を抗原として哺乳動物、好
ましくはマウス又はラットに免疫する。抗原の使用量、
投与部位、アジュバントの使用等の免疫の方法として
は、従来の抗血清を得る方法に準ずればよく、例えば、
マウスを用いる場合、マウス1匹あたり1回につき0.
001〜10mg、好ましくは0.01〜1mgのヒト
由来のトランスフェリンを、初回はアジュバント(例え
ば、フロイントの完全アジュバンド)とよく混合して、
皮下、腹腔内等に投与する。2週間以上経過後、ヒト由
来のトランスフェリンを再びアジュバント(例えば、フ
ロイントの不完全アジュバント)とよく混合して、皮
下、腹腔内等に投与する。さらに2週間以上経過後、ヒ
ト由来のトランスフェリンのみを静脈内、皮下、腹腔等
に投与して、十分免疫する。この様にして免疫された動
物を好ましくは最終免疫から2〜4日後に殺し、リンパ
球を採取する。リンパ球調製には、脾臓、リンパ節、抹
消血等を用いることができる。このようにして得られた
リンパ球はイーグル最小培地(以下、MEM培地と略
す)やRPMI(Rosewell Park Memorial institute)
1640培地等に懸濁状態にほぐしておけばよい。
【0008】このリンパ球に、同じくMEM培地やRP
MI1640培地等に懸濁したミエローマを混合し、融
合促進剤を用いて細胞融合を行う。ミエローマとして
は、被免疫動物と同じ種由来のものであることが好まし
い。さらに、薬剤抵抗性の変異株であることが好まし
く、未融合のミエローマがハイブリドーマ選択培地で生
育しないものが好ましい。最も一般には8−アザグアニ
ン抵抗性の細胞ラインが用いられる。これは、ヒポキサ
ンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ
(Hypoxantin guanine phosphoribosyl transferase )
が欠損しており、選択培地の一種ヒポキサンチン−アミ
ノプテリン−チミジン(HAT)培地で生育できないと
いう特徴を有している。また、使用するミエローマ自身
が抗体を分泌しないものが望ましい。以上の点から、例
えば、市販のマウスミエローマP3・X63・Ag8・
6・5・3(X63・6・5・3)、P3・X63・A
g8・U1(P3U1)、ラットミエローマ210 ・RC
Y3・Ag1・2・3等を用いることが好ましい。この
ようなミエローマは、血清、好ましくは牛胎児血清を含
有するMEM培地やRPMI1640培地等で培養すれ
ばよい。
MI1640培地等に懸濁したミエローマを混合し、融
合促進剤を用いて細胞融合を行う。ミエローマとして
は、被免疫動物と同じ種由来のものであることが好まし
い。さらに、薬剤抵抗性の変異株であることが好まし
く、未融合のミエローマがハイブリドーマ選択培地で生
育しないものが好ましい。最も一般には8−アザグアニ
ン抵抗性の細胞ラインが用いられる。これは、ヒポキサ
ンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ
(Hypoxantin guanine phosphoribosyl transferase )
が欠損しており、選択培地の一種ヒポキサンチン−アミ
ノプテリン−チミジン(HAT)培地で生育できないと
いう特徴を有している。また、使用するミエローマ自身
が抗体を分泌しないものが望ましい。以上の点から、例
えば、市販のマウスミエローマP3・X63・Ag8・
6・5・3(X63・6・5・3)、P3・X63・A
g8・U1(P3U1)、ラットミエローマ210 ・RC
Y3・Ag1・2・3等を用いることが好ましい。この
ようなミエローマは、血清、好ましくは牛胎児血清を含
有するMEM培地やRPMI1640培地等で培養すれ
ばよい。
【0009】リンパ球とミエローマ細胞との混合比とし
ては、特に限定されるものではないが、好ましくはリン
パ球:ミエローマが細胞数で1:1〜20:1であり、
さらに好ましくは5:1〜10:1である。
ては、特に限定されるものではないが、好ましくはリン
パ球:ミエローマが細胞数で1:1〜20:1であり、
さらに好ましくは5:1〜10:1である。
【0010】融合促進剤としては、種々の高分子物質や
ウイルス等を用いることができるが、好ましくはポリエ
チレングリコール(以下、PEGと略す)やセンダイウ
イルスである。PEGとしては、平均分子量400〜2
0,000のものが好ましく、特に1,000〜7,5
00のものが好ましい。また、使用濃度としては、40
〜60vol.%が好ましい。融合方法としては、一般的な
融合方法に従って行えばよく、例えば、イムノロジカル
メソッズ(Immunological Methodos)2巻、285頁に
従って行えばよい。
ウイルス等を用いることができるが、好ましくはポリエ
チレングリコール(以下、PEGと略す)やセンダイウ
イルスである。PEGとしては、平均分子量400〜2
0,000のものが好ましく、特に1,000〜7,5
00のものが好ましい。また、使用濃度としては、40
〜60vol.%が好ましい。融合方法としては、一般的な
融合方法に従って行えばよく、例えば、イムノロジカル
メソッズ(Immunological Methodos)2巻、285頁に
従って行えばよい。
【0011】このようにして融合させた細胞を洗浄して
融合促進剤を除去した後、5〜15vol.%の血清を含む
MEM培地、RPMI1640培地等の細胞培養用培地
に懸濁して96穴培養皿等に0.5〜5×106 /穴の
割合で分注し、さらに、各穴に選択培地(例えばHAT
培地)を加え、選択培地を交換しながら培養すると、1
0〜14日後には、未融合のミエローマは死滅し、ま
た、リンパ球も長時間生体外(in vitro)では生育でき
ず、死滅するため、ハイブリドーマのみを選択すること
ができる。
融合促進剤を除去した後、5〜15vol.%の血清を含む
MEM培地、RPMI1640培地等の細胞培養用培地
に懸濁して96穴培養皿等に0.5〜5×106 /穴の
割合で分注し、さらに、各穴に選択培地(例えばHAT
培地)を加え、選択培地を交換しながら培養すると、1
0〜14日後には、未融合のミエローマは死滅し、ま
た、リンパ球も長時間生体外(in vitro)では生育でき
ず、死滅するため、ハイブリドーマのみを選択すること
ができる。
【0012】次に、このハイブリドーマからヒト由来の
トランスフェリンに対するモノクローナル抗体を特異的
に産生するハイブリドーマを選別する。そのための方法
としては、ELISA法を用いることができ、例えば、
市販のELISAプレート等の固相にヒト由来のトラン
スフェリンを吸着させ、これにハイブリドーマ上清を加
え、洗浄後、市販の免疫動物の免疫グロブリンに対する
標識抗体〔例えば、ホース ラディッシュ パーオキシ
ダーゼ(HRP)標識抗体あるいは125I標識抗体〕
を添加し、標識によるシグナルの有無を手がかりとし
て、ヒト由来のトランスフェリンに対する抗体が産生さ
れているウェルを選択する。さらに、限界希釈法によっ
てクローニングを行うことによりハイブリドーマ細胞株
を創製することができる。
トランスフェリンに対するモノクローナル抗体を特異的
に産生するハイブリドーマを選別する。そのための方法
としては、ELISA法を用いることができ、例えば、
市販のELISAプレート等の固相にヒト由来のトラン
スフェリンを吸着させ、これにハイブリドーマ上清を加
え、洗浄後、市販の免疫動物の免疫グロブリンに対する
標識抗体〔例えば、ホース ラディッシュ パーオキシ
ダーゼ(HRP)標識抗体あるいは125I標識抗体〕
を添加し、標識によるシグナルの有無を手がかりとし
て、ヒト由来のトランスフェリンに対する抗体が産生さ
れているウェルを選択する。さらに、限界希釈法によっ
てクローニングを行うことによりハイブリドーマ細胞株
を創製することができる。
【0013】最後に、このようにして得られたハイブリ
ドーマ細胞株から、抗体を採取し、糖鎖認識性を有する
抗体を選択する。ハイブリドーマ細胞株から、抗体の採
取方法としては、大きく分けて2通りの方法がある。1
つは、培地を用い、フラスコ等の培養容器で培養し、そ
の上清液から抗体を採取する方法である。例えば、2〜
10vol.%の血清を含むMEM培地又はRPMI164
0培地に、0.5〜5×105 個のハイブリドーマ細胞
株を植えると、2〜4日で10〜20倍に生育するの
で、その培養後の上澄液から抗体を採取する方法であ
る。もう1つの方法は、このようにして培養容器で培養
したハイブリドーマ細胞株を、同系の動物に接種する方
法である。すなわち、このようにして培養したハイブリ
ドーマ細胞株105 〜107 個を同系の動物の皮下又は
腹腔内等に投与し、7〜20日後ハイブリドーマ細胞株
が増殖し、腫瘍が大きくなったときに、血清又は腹水を
採取する方法である。腹腔内に投与する場合には、投与
する3〜7日前に2、6、10、14−テトラメチルペ
ンタデカン等の鉱物油を投与しておくことにより多量の
腹水を得ることができる。
ドーマ細胞株から、抗体を採取し、糖鎖認識性を有する
抗体を選択する。ハイブリドーマ細胞株から、抗体の採
取方法としては、大きく分けて2通りの方法がある。1
つは、培地を用い、フラスコ等の培養容器で培養し、そ
の上清液から抗体を採取する方法である。例えば、2〜
10vol.%の血清を含むMEM培地又はRPMI164
0培地に、0.5〜5×105 個のハイブリドーマ細胞
株を植えると、2〜4日で10〜20倍に生育するの
で、その培養後の上澄液から抗体を採取する方法であ
る。もう1つの方法は、このようにして培養容器で培養
したハイブリドーマ細胞株を、同系の動物に接種する方
法である。すなわち、このようにして培養したハイブリ
ドーマ細胞株105 〜107 個を同系の動物の皮下又は
腹腔内等に投与し、7〜20日後ハイブリドーマ細胞株
が増殖し、腫瘍が大きくなったときに、血清又は腹水を
採取する方法である。腹腔内に投与する場合には、投与
する3〜7日前に2、6、10、14−テトラメチルペ
ンタデカン等の鉱物油を投与しておくことにより多量の
腹水を得ることができる。
【0014】このようにして得られた抗体は、必要に応
じて精製する。精製の方法としては、硫安分画、イオン
交換クロマトグラフィー、プロテインAを固定したアフ
ィニティークロマトグラフィー等、通常タンパク質の精
製に適用されうる手段を用いることができる。
じて精製する。精製の方法としては、硫安分画、イオン
交換クロマトグラフィー、プロテインAを固定したアフ
ィニティークロマトグラフィー等、通常タンパク質の精
製に適用されうる手段を用いることができる。
【0015】抗体の糖鎖認識性の確認は、糖鎖を遊離し
たヒト由来のトランスフェリンを用いたウエスタンブロ
ット法によって行うことができる。ヒト由来のトランス
フェリンの糖鎖を遊離する方法としては、ヒト由来のト
ランスフェリンに、例えばN−グリコシダーゼF、エン
ドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼH等の酵
素を作用させればよい。反応条件としては、各酵素の至
適pH、温度において、ヒト由来トランスフェリンを分
解するのに必要な酵素量を作用させればよく、特に全て
の糖鎖を遊離する必要はない。糖鎖が遊離したことの確
認は、ヒト由来のトランスフェリンと酵素を作用させた
ヒト由来のトランスフェリンのドデシル硫酸ナトリウム
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAG
E)を行い、ヒト由来トランスフェリンよりもバンドが
低分子側へシフトすることにより確認することができる
〔バイオケミストリー(Biochemistry)、24、4665-467
1(1985) 〕。
たヒト由来のトランスフェリンを用いたウエスタンブロ
ット法によって行うことができる。ヒト由来のトランス
フェリンの糖鎖を遊離する方法としては、ヒト由来のト
ランスフェリンに、例えばN−グリコシダーゼF、エン
ドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼH等の酵
素を作用させればよい。反応条件としては、各酵素の至
適pH、温度において、ヒト由来トランスフェリンを分
解するのに必要な酵素量を作用させればよく、特に全て
の糖鎖を遊離する必要はない。糖鎖が遊離したことの確
認は、ヒト由来のトランスフェリンと酵素を作用させた
ヒト由来のトランスフェリンのドデシル硫酸ナトリウム
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAG
E)を行い、ヒト由来トランスフェリンよりもバンドが
低分子側へシフトすることにより確認することができる
〔バイオケミストリー(Biochemistry)、24、4665-467
1(1985) 〕。
【0016】また、ウエスタンブロットの方法として
は、糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリンを、陰
性対照にウシ血清アルブミン(BSA)、陽性対照にヒ
ト由来のトランスフェリンを用い、SDS−PAGE等
のこれらの蛋白質の分離が可能な電気泳動を行う。この
泳動ゲル中の蛋白質を例えばニトロセルロース、二フッ
化ポリビニリデン(PVDF)等の蛋白質に対して高い
結合性をもつメンブレンに電気的に転写する。蛋白質を
転写させたメンブレンは、非特異的反応による抗体の結
合を防止する目的で、例えばBSA、スキムミルク、ゼ
ラチン等の蛋白質で表面をブロッキングした後、上記で
得た抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体を反応
させる。メンブレンを洗浄した後、さらに市販の免疫動
物免疫グロブリンに対する標識抗体(例えば、HRP標
識抗体あるいは金コロイド標識抗体等)を二次抗体とし
て作用させる。このようにすれば糖鎖認識性を有する抗
体では、糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリンに
は反応が現れないので、抗体の糖鎖認識性を確認するこ
とができる。
は、糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリンを、陰
性対照にウシ血清アルブミン(BSA)、陽性対照にヒ
ト由来のトランスフェリンを用い、SDS−PAGE等
のこれらの蛋白質の分離が可能な電気泳動を行う。この
泳動ゲル中の蛋白質を例えばニトロセルロース、二フッ
化ポリビニリデン(PVDF)等の蛋白質に対して高い
結合性をもつメンブレンに電気的に転写する。蛋白質を
転写させたメンブレンは、非特異的反応による抗体の結
合を防止する目的で、例えばBSA、スキムミルク、ゼ
ラチン等の蛋白質で表面をブロッキングした後、上記で
得た抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体を反応
させる。メンブレンを洗浄した後、さらに市販の免疫動
物免疫グロブリンに対する標識抗体(例えば、HRP標
識抗体あるいは金コロイド標識抗体等)を二次抗体とし
て作用させる。このようにすれば糖鎖認識性を有する抗
体では、糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリンに
は反応が現れないので、抗体の糖鎖認識性を確認するこ
とができる。
【0017】以上の方法に従って創製した糖鎖認識性を
有する抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマ細胞株の1株をハイブリドーマU
HTF1と命名し、平成9年5月14日に工業技術院生
命工学工業技術研究所に寄託の手続きを行った。その受
託番号はFERM P−16223である。このUHT
F1は、−120℃以下でほぼ永久的に冷凍保存が可能
であって、たえず頒布可能な状態に置かれている。
有する抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマ細胞株の1株をハイブリドーマU
HTF1と命名し、平成9年5月14日に工業技術院生
命工学工業技術研究所に寄託の手続きを行った。その受
託番号はFERM P−16223である。このUHT
F1は、−120℃以下でほぼ永久的に冷凍保存が可能
であって、たえず頒布可能な状態に置かれている。
【0018】このハイブリドーマUHTF1は通常用い
られる培地で増殖可能である。例えば、牛胎児血清を2
〜20vol.%含有するRPMI1640培地、MEM培
地等の細胞培養用培地で、37℃、炭酸ガス濃度5vol.
%含有空気下で増殖させることができる。また、ミエロ
ーマの造腫瘍性をも有しているので、生体内(例えば、
同系の動物、ヌードマウス等)で増殖し、糖鎖認識性を
有するヒト由来のトランスフェリンに対するモノクロー
ナル抗体を産生することができる。
られる培地で増殖可能である。例えば、牛胎児血清を2
〜20vol.%含有するRPMI1640培地、MEM培
地等の細胞培養用培地で、37℃、炭酸ガス濃度5vol.
%含有空気下で増殖させることができる。また、ミエロ
ーマの造腫瘍性をも有しているので、生体内(例えば、
同系の動物、ヌードマウス等)で増殖し、糖鎖認識性を
有するヒト由来のトランスフェリンに対するモノクロー
ナル抗体を産生することができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1 (1)ハイブリドーマの作成 1mg/mlのヒト由来のトランスフェリン(シグマ社
より入手)を完全フロイントアジュバント(シグマ社よ
り入手)と容量比で1:1に混合乳化し、これを8週齢
のマウスBalb/c(オリエンタルバイオサービスよ
り入手)の腹腔内に1匹当たり200μlずつ投与し
た。2週間後、1mg/mlのヒト由来のトランスフェ
リンを不完全フロイントアジュバント(シグマ社より入
手)と容量比で1:1に混合乳化し、腹腔内に1匹当た
り200μlずつ投与した。さらに2週間後、1mg/
mlのヒト由来のトランスフェリン200μlを腹腔内
に投与して、3日後に脾臓を取り出し、MEM培地(半
井化学より入手)にほぐして懸濁洗浄した。この脾細胞
4×108 個を、2日前から培養し、対数増殖期にある
細胞を遠心分離で集めておいたマウスのミエローマX6
3・6・5・3(京都大学より入手)4×107 個と混
合し、遠心によりペレットした後、37℃の水浴中で5
0vol.%のPEG4000(シグマ社製)−GIT培地(和
光純薬より入手)2mlを徐々に1分間で加え、1分間
緩やかに撹拌した後、さらに20mlのGIT培地を徐
々に加えてPEG4000を希釈した。遠心分離によりPE
G溶液を除去した後、ペレットに10vol.%の牛胎児血
清(ハイクローン社製)を含むHAT培地20mlを加
え、2皿の96穴培養皿(コーニング社製)の各穴に
0.2mlずつ分注した。4、9日目の計2回にわた
り、半分量の培地を捨て、新しいHAT培地を加えた。
その結果、12日後には、384穴中187穴でハイブ
リドーマの生育が観察された。
る。 実施例1 (1)ハイブリドーマの作成 1mg/mlのヒト由来のトランスフェリン(シグマ社
より入手)を完全フロイントアジュバント(シグマ社よ
り入手)と容量比で1:1に混合乳化し、これを8週齢
のマウスBalb/c(オリエンタルバイオサービスよ
り入手)の腹腔内に1匹当たり200μlずつ投与し
た。2週間後、1mg/mlのヒト由来のトランスフェ
リンを不完全フロイントアジュバント(シグマ社より入
手)と容量比で1:1に混合乳化し、腹腔内に1匹当た
り200μlずつ投与した。さらに2週間後、1mg/
mlのヒト由来のトランスフェリン200μlを腹腔内
に投与して、3日後に脾臓を取り出し、MEM培地(半
井化学より入手)にほぐして懸濁洗浄した。この脾細胞
4×108 個を、2日前から培養し、対数増殖期にある
細胞を遠心分離で集めておいたマウスのミエローマX6
3・6・5・3(京都大学より入手)4×107 個と混
合し、遠心によりペレットした後、37℃の水浴中で5
0vol.%のPEG4000(シグマ社製)−GIT培地(和
光純薬より入手)2mlを徐々に1分間で加え、1分間
緩やかに撹拌した後、さらに20mlのGIT培地を徐
々に加えてPEG4000を希釈した。遠心分離によりPE
G溶液を除去した後、ペレットに10vol.%の牛胎児血
清(ハイクローン社製)を含むHAT培地20mlを加
え、2皿の96穴培養皿(コーニング社製)の各穴に
0.2mlずつ分注した。4、9日目の計2回にわた
り、半分量の培地を捨て、新しいHAT培地を加えた。
その結果、12日後には、384穴中187穴でハイブ
リドーマの生育が観察された。
【0020】(2)ヒト由来のトランスフェリンに対す
る抗体を特異的に産生するハイブリドーマ細胞株の創製 ELISAプレート(NUNC社製)に50mMの炭酸
ナトリウム緩衝液(pH9.6)に溶解したヒト由来の
トランスフェリンを各穴につき50μlずつ分注し、2
5℃で2時間放置した後、この溶液を除去し、1.0重
量%BSA、0.15Mの塩化ナトリウム緩衝液(pH
7.2)からなる洗浄液で各穴をよく洗浄してヒト由来
のトランスフェリン固定化プレートを作成した。このプ
レートに生育が観察されたウェルのハイブリドーマ上清
50μlを添加して25℃で2時間放置した後、上述の
洗浄液で充分に洗浄した。各穴にHPR標識ヤギ抗マウ
スIgG(バイオラッド社製)1μg/1mlを50μ
lづつ加え、25℃で20分反応させた後、10重量%
のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)50μlを添加し
てパーオキシダーゼ活性を停止させ、415nmの吸光
度(A415)を測定した。対照としてハイブリドーマ
上清のかわりにHAT培地を用い、この対照より高いシ
グナルを示したウェルを選択し、限界希釈法にてクロー
ニングを行い、モノクローンのハイブリドーマ細胞株1
0株を得た。
る抗体を特異的に産生するハイブリドーマ細胞株の創製 ELISAプレート(NUNC社製)に50mMの炭酸
ナトリウム緩衝液(pH9.6)に溶解したヒト由来の
トランスフェリンを各穴につき50μlずつ分注し、2
5℃で2時間放置した後、この溶液を除去し、1.0重
量%BSA、0.15Mの塩化ナトリウム緩衝液(pH
7.2)からなる洗浄液で各穴をよく洗浄してヒト由来
のトランスフェリン固定化プレートを作成した。このプ
レートに生育が観察されたウェルのハイブリドーマ上清
50μlを添加して25℃で2時間放置した後、上述の
洗浄液で充分に洗浄した。各穴にHPR標識ヤギ抗マウ
スIgG(バイオラッド社製)1μg/1mlを50μ
lづつ加え、25℃で20分反応させた後、10重量%
のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)50μlを添加し
てパーオキシダーゼ活性を停止させ、415nmの吸光
度(A415)を測定した。対照としてハイブリドーマ
上清のかわりにHAT培地を用い、この対照より高いシ
グナルを示したウェルを選択し、限界希釈法にてクロー
ニングを行い、モノクローンのハイブリドーマ細胞株1
0株を得た。
【0021】(3)モノクローナル抗体の採取 このようにして得られたハイブリドーマ細胞株10株を
2vol.%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬より
購入)で培養し、細胞濃度が2×106 細胞/mlに達
した時点で培養物50mlを遠心分離し、その上清を孔
径0.4/μmのフィルターで濾過した後、プロテイン
G−セファロース(BIO RAD社製:pH9.0)
に吸着させ、クエン酸緩衝液(pH3.0)で溶出して
ヒト由来のトランスフェリンに対する抗体を得た。
2vol.%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬より
購入)で培養し、細胞濃度が2×106 細胞/mlに達
した時点で培養物50mlを遠心分離し、その上清を孔
径0.4/μmのフィルターで濾過した後、プロテイン
G−セファロース(BIO RAD社製:pH9.0)
に吸着させ、クエン酸緩衝液(pH3.0)で溶出して
ヒト由来のトランスフェリンに対する抗体を得た。
【0022】(4)糖鎖認識性抗体の選択 ヒト由来のトランスフェリン(シグマ社製)250μg
とN−グリコシダーゼF(ベーリンガーマンハイム社
製)1Uを12mMのリン酸緩衝液(pH6.7)20
0μlに溶解し、37℃で46時間反応させて糖鎖を遊
離させた。糖鎖が遊離していることは、このN−グリコ
シダーゼ処理を行ったヒト由来のトランスフェリンを、
N−グリコシダーゼ処理を行っていないヒト由来のトラ
ンスフェリンと共にSDS−PAGEを行い、N−グリ
コシダーゼ処理を行ったヒト由来のトランスフェリン
(糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリン)のバン
ドがヒト由来のトランスフェリンのバンドよりも低分子
側へシフトしていることから確認した。次いで、一般的
に知られているウエスタンブロット法を用いて抗体の糖
鎖認識性の確認を行なった。すなわち、このようにして
得た糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリンを、陰
性対照としてBSA(シグマ社製)、陽性対照としてヒ
ト由来のトランスフェリンを用い、これらと同時にSD
S−PAGEを行った。この泳動ゲルからPVDFメン
ブレン(MILLIPORE 社製)へ電気的に蛋白質を転写し、
メンブレンを水洗後、ブロッキング剤(大日本製薬より
入手)に室温で30分間浸漬することによりブロッキン
グを行った。このメンブレンに上記(3)で採取したモ
ノクローナル抗体を添加して室温(約20℃)で1時間
反応させた後、TBST(Tris Bufferd Salines in Tw
een20 )で洗浄し、さらに、HRP標識ヤギ抗マウスI
gG抗体(バイオラッド社製)と室温で1時間作用させ
た。TTBSで洗浄した後、パーオキシダーゼ測定試薬
(フナコシより入手)を用いて、HRPによるシグナル
を検出した。その結果、10株の産生する抗体のうちの
一つで陽性対照であるヒト由来のトランスフェリンのバ
ンドにはシグナルが現れたにもかかわらず糖鎖を遊離し
たヒト由来のトランスフェリンのバンドにはシグナルが
認められなかった。この抗体を産生するハイブリドーマ
細胞株をUHTF1と命名し、平成9年5月14日付け
で工業技術院生命工学工業研究所に寄託した。その受託
番号はFERM P−16223である。
とN−グリコシダーゼF(ベーリンガーマンハイム社
製)1Uを12mMのリン酸緩衝液(pH6.7)20
0μlに溶解し、37℃で46時間反応させて糖鎖を遊
離させた。糖鎖が遊離していることは、このN−グリコ
シダーゼ処理を行ったヒト由来のトランスフェリンを、
N−グリコシダーゼ処理を行っていないヒト由来のトラ
ンスフェリンと共にSDS−PAGEを行い、N−グリ
コシダーゼ処理を行ったヒト由来のトランスフェリン
(糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリン)のバン
ドがヒト由来のトランスフェリンのバンドよりも低分子
側へシフトしていることから確認した。次いで、一般的
に知られているウエスタンブロット法を用いて抗体の糖
鎖認識性の確認を行なった。すなわち、このようにして
得た糖鎖を遊離したヒト由来のトランスフェリンを、陰
性対照としてBSA(シグマ社製)、陽性対照としてヒ
ト由来のトランスフェリンを用い、これらと同時にSD
S−PAGEを行った。この泳動ゲルからPVDFメン
ブレン(MILLIPORE 社製)へ電気的に蛋白質を転写し、
メンブレンを水洗後、ブロッキング剤(大日本製薬より
入手)に室温で30分間浸漬することによりブロッキン
グを行った。このメンブレンに上記(3)で採取したモ
ノクローナル抗体を添加して室温(約20℃)で1時間
反応させた後、TBST(Tris Bufferd Salines in Tw
een20 )で洗浄し、さらに、HRP標識ヤギ抗マウスI
gG抗体(バイオラッド社製)と室温で1時間作用させ
た。TTBSで洗浄した後、パーオキシダーゼ測定試薬
(フナコシより入手)を用いて、HRPによるシグナル
を検出した。その結果、10株の産生する抗体のうちの
一つで陽性対照であるヒト由来のトランスフェリンのバ
ンドにはシグナルが現れたにもかかわらず糖鎖を遊離し
たヒト由来のトランスフェリンのバンドにはシグナルが
認められなかった。この抗体を産生するハイブリドーマ
細胞株をUHTF1と命名し、平成9年5月14日付け
で工業技術院生命工学工業研究所に寄託した。その受託
番号はFERM P−16223である。
【0023】参考例1 実施例1で得たハイブリドーマ細胞株UHTF1の産生
する抗体(以下、UHTFAbと略す)とペプシン(シ
グマ社製)をpH3.5の条件下で重量比200:1で
混合し、37℃で6時間消化を行ってUHTF1Abの
F(ab’)2を得た。さらに、これに2−メルカプト
エチルアミンを重量比3:1で混合し、37℃で90分
間反応させてFab’を得た。HRP(シグマ社製)に
N−スクシニミジル・マレイミドカルボキシレートを重
量比10:3で混合し、30℃で1時間反応させてマレ
イミド基を導入した後、このマレイミド基を導入したH
RPとUHTF1Ab・Fab’を重量比1:1で混合
し、30℃で1時間反応させてHRP標識UHTF1A
b・Fab’を作製した。
する抗体(以下、UHTFAbと略す)とペプシン(シ
グマ社製)をpH3.5の条件下で重量比200:1で
混合し、37℃で6時間消化を行ってUHTF1Abの
F(ab’)2を得た。さらに、これに2−メルカプト
エチルアミンを重量比3:1で混合し、37℃で90分
間反応させてFab’を得た。HRP(シグマ社製)に
N−スクシニミジル・マレイミドカルボキシレートを重
量比10:3で混合し、30℃で1時間反応させてマレ
イミド基を導入した後、このマレイミド基を導入したH
RPとUHTF1Ab・Fab’を重量比1:1で混合
し、30℃で1時間反応させてHRP標識UHTF1A
b・Fab’を作製した。
【0024】参考例2 参考例1で作製したHRP標識UHTF1Ab・Fa
b’を用い、肝癌患者と健常人の血清トランスフェリン
を以下の方法によって酵素免疫学的に測定した。まず、
ELISAプレート(NUNC社製)にリン酸緩衝液
(1リットル中にNaCl 8g、KCl 0.2g、
KH2 PO4 0.2g、Na2 HPO4・12H2 O
2.9g、pH7.5)で抗体濃度50μlに調製し
たマウス抗ヒトトランスフェリン抗体(フナコシ社製)
を各穴に50μlずつ分注し、25℃で2時間放置し
た。この液を除去した後、1.0重量%のBSAを含む
0.15MのNaCl緩衝液(pH7.2)で各穴をよ
く洗浄し、マウス抗ヒトトランスフェリン抗体固定化プ
レートを作成した。次いで、このプレートに正常人及び
肝癌患者の血清をPBSで100倍に希釈したものを5
0μl添加し、25℃で2時間放置した後、各穴を1.
0重量%のBSAを含む0.15MのNaCl緩衝液
(pH7.2)で十分に洗浄し、1μg/mlのHPR
標識UHTF1Ab・Fab’を各穴に50μl加え、
25℃で20分反応させ、10重量%のSDSを50μ
l添加してパーオキシダーゼ活性を停止させ、415n
mにおける吸光度を測定した。その結果を表1に示す。
b’を用い、肝癌患者と健常人の血清トランスフェリン
を以下の方法によって酵素免疫学的に測定した。まず、
ELISAプレート(NUNC社製)にリン酸緩衝液
(1リットル中にNaCl 8g、KCl 0.2g、
KH2 PO4 0.2g、Na2 HPO4・12H2 O
2.9g、pH7.5)で抗体濃度50μlに調製し
たマウス抗ヒトトランスフェリン抗体(フナコシ社製)
を各穴に50μlずつ分注し、25℃で2時間放置し
た。この液を除去した後、1.0重量%のBSAを含む
0.15MのNaCl緩衝液(pH7.2)で各穴をよ
く洗浄し、マウス抗ヒトトランスフェリン抗体固定化プ
レートを作成した。次いで、このプレートに正常人及び
肝癌患者の血清をPBSで100倍に希釈したものを5
0μl添加し、25℃で2時間放置した後、各穴を1.
0重量%のBSAを含む0.15MのNaCl緩衝液
(pH7.2)で十分に洗浄し、1μg/mlのHPR
標識UHTF1Ab・Fab’を各穴に50μl加え、
25℃で20分反応させ、10重量%のSDSを50μ
l添加してパーオキシダーゼ活性を停止させ、415n
mにおける吸光度を測定した。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から、本発明のモノクローナル抗体を
用いてトランスフェリンの測定を行うと肝癌患者では正
常人に比べて低い吸光度を示すことがわかる。
用いてトランスフェリンの測定を行うと肝癌患者では正
常人に比べて低い吸光度を示すことがわかる。
【0027】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体は、ヒト由
来のトランスフェリンの糖鎖認識性を有するので、癌等
の疾患の診断に用いることができ、さらにはその他疾患
に関する基礎研究に貢献することが可能となる。また、
本発明のハイブリドーマ細胞株は、このようなヒト由来
のトランスフェリンの糖鎖認識性を有するモノクローナ
ル抗体を産生することができる。
来のトランスフェリンの糖鎖認識性を有するので、癌等
の疾患の診断に用いることができ、さらにはその他疾患
に関する基礎研究に貢献することが可能となる。また、
本発明のハイブリドーマ細胞株は、このようなヒト由来
のトランスフェリンの糖鎖認識性を有するモノクローナ
ル抗体を産生することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/577 C12N 5/00 B // A61K 39/395 15/00 C (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91)
Claims (2)
- 【請求項1】 ヒト由来のトランスフェリンの糖鎖部分
を認識することを特徴とする抗ヒトトランスフェリンモ
ノクローナル抗体。 - 【請求項2】 請求項1記載のモノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマ細胞株。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9178059A JPH1121300A (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | 抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこれを産生するハイブリドーマ細胞株 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9178059A JPH1121300A (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | 抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこれを産生するハイブリドーマ細胞株 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1121300A true JPH1121300A (ja) | 1999-01-26 |
Family
ID=16041896
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9178059A Pending JPH1121300A (ja) | 1997-07-03 | 1997-07-03 | 抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこれを産生するハイブリドーマ細胞株 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1121300A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013071127A1 (en) * | 2011-11-09 | 2013-05-16 | Alper Biotech, Llc | Monoclonal antibodies against serotransferrin antigens, and uses therefor |
-
1997
- 1997-07-03 JP JP9178059A patent/JPH1121300A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013071127A1 (en) * | 2011-11-09 | 2013-05-16 | Alper Biotech, Llc | Monoclonal antibodies against serotransferrin antigens, and uses therefor |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2540179B2 (ja) | 非還元・非酵素的糖鎖形成蛋白に対するモノクロ―ナル抗体 | |
JPH05184384A (ja) | hBNPのC端を認識するモノクロ−ナル抗体 | |
JPH0159869B2 (ja) | ||
JPH05260990A (ja) | モノクローナル抗体 | |
JP2004506603A (ja) | ヒトldl受容体に対するモノクローナル抗体、その産生および用途 | |
EP0131834B1 (en) | Monoclonal antibody having specificity to only one type of an isozyme of human cardiac myosin heavy chain | |
JPH10509948A (ja) | T細胞受容体ペプチドに対するヒト抗体およびそれらの調製方法 | |
JPH08840B2 (ja) | 抗pciモノクローナル抗体、これを用いた抗pciの精製法及び免疫学的測定法 | |
JPS63258898A (ja) | ヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼に対するモノクロ−ナル抗体、その製造法、該モノクロ−ナル抗体産生ハイブリド−マおよび該モノクロ−ナル抗体を用いたヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼の測定方法 | |
JPH05304953A (ja) | 抗トロンビン結合性物質モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ | |
CA2050941C (en) | Antibody to smooth muscle myosin heavy chains | |
JPH1121300A (ja) | 抗ヒトトランスフェリンモノクローナル抗体及びこれを産生するハイブリドーマ細胞株 | |
JP4215462B2 (ja) | 非グリコシル化ヘモグロビン、グリコシル化ヘモグロビンに特異的に結合するモノクローナル抗体の製造方法 | |
EP0205352A2 (en) | Monoclonal anti-human IgG4 antibodies, their production and use | |
JP2779193B2 (ja) | 抗ヒト組織因子モノクローナル抗体 | |
JP4037933B2 (ja) | 抗ヒトカルシトニンモノクローナル抗体 | |
EP1142995B1 (en) | Antiuracil monoclonal antibody | |
JPH07304800A (ja) | ヒトペプシノゲンに対するモノクローナル抗体 | |
JP2673619B2 (ja) | 抗ヒトセルロプラスミンモノクローナル抗体、それを用いたヒトセルロプラスミンの検出方法及びそれを産生するハイブリドーマ | |
JP3522877B2 (ja) | 抗チロシナーゼモノクローナル抗体F(ab’)2フラグメント | |
JP2613188B2 (ja) | 抗pciモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ | |
JPH0940700A (ja) | モノクロナール抗体 | |
JPS62201596A (ja) | ヒトIgGサブクラスに対するモノクロ−ナル抗体とその製造法および該モノクロ−ナル抗体産生細胞系 | |
JP2000060551A (ja) | 抗プリオン抗体 | |
JPS63253098A (ja) | ヒト抗体に対するモノクロ−ナル抗体、その製法及び用途 |