JP2613188B2 - 抗pciモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ - Google Patents

抗pciモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ

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JP2613188B2 JP7173070A JP17307095A JP2613188B2 JP 2613188 B2 JP2613188 B2 JP 2613188B2 JP 7173070 A JP7173070 A JP 7173070A JP 17307095 A JP17307095 A JP 17307095A JP 2613188 B2 JP2613188 B2 JP 2613188B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト胎盤より分離
精製した抗血液凝固活性を有する物質(以下PCIと略
称する)に対して特異的なモノクローナル抗体を産生す
るハイブリドーマに関する。
【0002】
【従来の技術】細胞融合技術は、ケーラーとミルスタイ
ンの報告(Nature,495〜497頁,1975
年)以来急速に発展した。すなわち、哺乳動物の脾細胞
とミエローマ(骨髄腫)細胞とを融合させた雑種細胞
(ハイブリドーマ)は、用いた脾細胞の性質に応じて種
々の抗体を産生することが知られている。そしてこのハ
イブリドーマの性質を利用してクローニングをすること
により、種々の蛋白質、ホルモン等の生体物質に対する
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製す
ること、並びにモノクローナル抗体を生産する試みがな
されている(E.Dale Servier et a
l,Clinical Chemistry,Vol.
27,No.11,1797〜1806,1981)。
【0003】一方、本出願人は先にヒトの胎盤から抗血
液凝固活性を有する物質(PCI)を分離精製すること
に成功し、特許出願した(特願昭60−217512号
公報)。PCIは下記の性質を有する医薬として有用な
物質である。 (1)分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動法,還元状態) 34,000±2,000 (2)等電点(アンフォライトを用いる等電点カラム電
気泳動法) 4.7±0.1 (3)安定性 イ)50℃、30分加熱処理で失活 ロ)pH4〜10で安定 ハ)血漿中37℃、30分で安定 (4)作用 イ)カルシウム再加凝固時間を延長 ロ)プロトロンビン時間を延長 ハ)活性化部分トロンボプラスチン時間を延長 (5)アミノ酸分析 アミノ酸分析で、アスパラギン酸、スレオニン、セリ
ン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、1
/2シスチン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロ
イシン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、リ
ジン及びアルギニンの存在が認められる。
【0004】PCIの製造法は、その一例を後記実施例
1に示したが、要約すれば以下のとおりである。まず、
ヒト胎盤から胎盤ホモジネートを調製し、遠心分離を行
う。ホモジナイズ操作は、胎盤より羊膜等を切除した
後、生理食塩水にて充分洗浄し、ワーリングブレンダー
及びポリトロンを用いて行う。得られたホモジネートを
遠心分離に付し、上清及び沈渣を得る。
【0005】こうして得られた胎盤ホモジネート沈渣
は、緩衝液で充分洗浄し、再度遠心分離して洗浄沈渣を
分取し、以後の抽出操作に付す。即ち、洗浄沈渣は、E
DTA、EGTA、シュウ酸、クエン酸、ニトリロ三酢
酸ナトリウム、リン酸等のキレート剤を含む緩衝液及び
/又は、トリトンX−100、ルブロール、SDS、デ
オキシコール酸等の界面活性剤を含む緩衝液に浸し、4
℃〜8℃にて一晩放置後、遠心分離して上清を集め抽出
液を得る。この場合、抽出は、キレート剤及び界面活性
剤の両方を用いて行うこともできる。
【0006】一方、胎盤ホモジネート上清は、更に5
0,000〜100,000gの超遠心分離して沈渣部
分であるマイクロゾーム分画を得る。このマイクロゾー
ム分画を洗浄後、上記と同様にして、キレート剤及び/
又は界面活性剤抽出を行った後、超遠心分離して上清を
集め抽出液を得る。
【0007】このようにして得られた抽出液は、硫安分
画に付される。硫安分画は、先ず上記抽出液に35%飽
和となるように固形硫安を加えて遠心分離し上清を分取
する。次いで、上清に対し85%飽和となるように硫安
を加えて遠心分離し、沈渣を分取することにより行われ
る。。
【0008】得られた硫安分画は、更に公知の分離・精
製手段、例えば透析、イオン交換クロマトグラフィー、
ゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、疎水性クロマトグ
ラフィー、等電点カラム電気泳動法、レクチン又は抗体
を用いたアフィニティー・クロマトグラフィー等を単独
又は組合わせ用いることにより精製され、PCIが得ら
れる。例えば、キレート剤又は/及び界面活性剤は抽出
液を硫安分画して得られた画分を充分透析し、この透析
液をDEAE−トヨパールを用いる直線濃度勾配法によ
り溶出させ、活性画分を透析した後、ブルーセファロー
スを通過させる。次いで活性画分を濃縮し、セファデッ
クスG−100を用いてゲル濾過させることによりPC
Iを得る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、胎盤中のPC
Iは微量であり、また通常使用される各種クロマト法で
は、PCIとの特異的結合が充分ではなく、高純度のP
CIを取得することは困難であり、加えて工程が長く回
収率も満足のいくものではなかった。従って、高純度の
PCIを簡便に高回収率で取得する特異的精製法の開発
が望まれていた。また、抗血液凝固剤としての用途にお
いて、PCIの作用メカニズムの解明、血中濃度の測定
等の手段として、PCIの高感度検出法の開発も望まれ
ていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、細胞融合に
よりPCIに対して特異的なモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマを得、このハイブリドーマを利用し
てPCIに特異的なモノクローナル抗体を取得できるこ
と、更に該モノクローナル抗体を利用すればPCIの高
純度精製、免疫学的定量ができることを見出し本発明を
完成した。
【0011】すなわち本発明は、下記の性質; (1)分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動法,還元状態) 34,000±2,000 (2)等電点(アンフォライトを用いる等電点カラム電
気泳動法) 4.7±0.1 (3)安定性 イ)50℃、30分加熱処理で失活 ロ)pH4〜10で安定 ハ)血漿中37℃、30分で安定 (4)作用 イ)カルシウム再加凝固時間を延長 ロ)プロトロンビン時間を延長 ハ)活性化部分トロンボプラスチン時間を延長 (5)アミノ酸分析 アミノ酸分析で、アスパラギン酸、スレオニン、セリ
ン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、1
/2シスチン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロ
イシン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、リ
ジン及びアルギニンの存在が認められる。 を有するヒト胎盤由来の抗血液凝固活性物質に対して特
異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを
提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】PCIに対して特異的なモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマは、例えば次の如
くして製造される。すなわち、(1)抗原としてPCI
を用いて免疫した動物から抗体産生細胞を調製し、
(2)別に骨髄腫細胞を調製し、(3)これらの細胞を
融合させ、(4)得られたハイブリドーマを選択的に増
殖させ、(5)該ハイブリドーマから抗体産生ハイブリ
ドーマを検索し、(6)クローニングにより目的とする
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得る。次に各
工程について説明する。
【0013】(1)抗体産生細胞の調製 抗体産生細胞の調製は、常法に準じて行えばよく、抗原
であるPCIで動物を免疫し、その動物の抗体産生細胞
を取得する方法によればよい。動物としては、マウス、
ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジなどが例示され、
抗体産生細胞としては脾臓、リンパ節、末梢血液等から
分離した細胞などが使用される。免疫方法としては、フ
ロイントのコンプリートアジュバントを併用する方法が
使用される。
【0014】(2)骨髄腫細胞の調製 細胞融合に使用する骨髄腫細胞は、特に限定されず、多
くの哺乳動物の細胞株が利用できるが、抗体産生細胞の
調製に用いた動物と同種の動物の細胞株を使用するのが
好ましい。用いる細胞株は、細胞融合の後に、未融合の
骨髄腫細胞が選択培地で生存できず、ハイブリドーマだ
けが増殖できるようにすることによって、未融合細胞と
融合細胞とを分けることを考慮して、特定の薬剤抵抗性
を有するものが好ましい。例えば8−アザグアニン抵抗
性の細胞は、HAT培地中で生育できない性質を有する
ため好んで用いられる。具体的には、マウス骨髄腫細胞
株PAI、P3−X63−Ag8、P3−X63−Ag
8−U1、P3−NSI/1−Ag4−1、X63−A
g8−6.5.3.、SP2/0−Ag14、FO、S
194/5XXO.BU.1、MPC11−45.6.
TG.1.7等が用いられる。
【0015】(3)細胞融合 細胞融合は、通常MEM培地、RPMI 1640培
地、IMDM培地などの培地中で、骨髄腫細胞と抗体産
生細胞を混合(混合比は通常1:4〜1:10)するこ
とにより行われる。融合促進剤としては、平均分子量
1,000〜6,000のポリエチレングリコール(P
EG)が使用できる。PEGの使用濃度は通常30〜5
0%である。
【0016】(4)ハイブリドーマの選択的増殖 細胞融合を終えた細胞は、10%FCS含有IMDM培
地などで適当に希釈し、遠心分離する。沈渣を選択培地
(例えば、HAT培地)で浮遊し、96ウエルマイクロ
プレートに接種した後、5%炭酸ガス培養装置で培養す
る。選択培地で生育してくる細胞はハイブリドーマであ
る。
【0017】(5)抗体産生ハイブリドーマの検索 抗体産生ハイブリドーマの検索は、常法に従えばよく、
特に限定されない。例えば、ハイブリドーマの増殖した
培養液を採取し、PCIと反応させたのち、酵素、蛍光
物質、発光物質などでラベルした第2抗体との反応によ
り検索できる。
【0018】(6)クローニング 抗体産生ハイブリドーマを含むことを確認した培養ウエ
ル中の細胞を限界希釈法などによりクローニングを行
い、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得る。以
上の操作によってPCIに特異的なモノクローナル抗体
産生ハイブリドーマPCI−H39、PCI−H46、
PCI−H167、PCI−H169、PCI−H17
6、PCI−H180を得た。これらのハイブリドーマ
はそれぞれPCIに特異的なモノクローナル抗体を産生
する新規な細胞である。そこでこれらの細胞について工
業技術院微生物工業技術研究所に寄託すべく手続を行っ
たが、61微寄文第1415号として拒否された。
【0019】PCIに特異的なモノクローナル抗体は、
上記で得られた抗体産生ハイブリドーマを利用すること
により調製される。すなわち、抗体産生ハイブリドーマ
を適当な培地中で培養することにより、その培養上清か
ら本発明モノクローナル抗体が得られる。また、モノク
ローナル抗体を大量に製造するには、骨髄腫細胞の由来
動物と同種の動物にプリスタン(2,6,10,14−
テトラメチルペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与
した後、抗体産生ハイブリドーマを接種することによ
り、インビボで抗体産生ハイブリドーマを大量に増殖さ
せる方法が用いられる。この方法によれば、接種した動
物の血清及び腹水中に高濃度のモノクローナル抗体が生
ずる。モノクローナル抗体の分離精製は、通常の血清か
らの抗体の精製に使用されている方法に従って実施でき
る。
【0020】斯くして得られた本発明を利用したモノク
ローナル抗体は、使用する抗体産生ハイブリドーマの種
類によりPCI−A39、PCI−A46、PCI−A
167、PCI−A169、PCI−A176及びPC
I−A180の6種類存在する。これらのモノクローナ
ル抗体は、表1に示す性質を有する。なお表1中、分子
量はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によ
り、等電点は等電点電気泳動法(LKB−カラム等電点
電気泳動装置)により、免疫グロブリンサブクラスはオ
クタローニーの二重免疫拡散法〔ウサギポリクローナル
抗体(マイルズ社製)使用〕により測定した。
【0021】
【表1】
【0022】本発明を利用したモノクローナル抗体を免
疫吸着剤として利用することによって、PCIを精製す
る方法は、例えば本発明モノクローナル抗体をデキスト
ランゲル、アガロースゲル、ポリビニルゲル等の不溶性
担体に結合させ、該モノクローナル抗体結合担体を免疫
吸着剤として用い、カラムクロマトグラフィーに付すこ
とにより実施される。不溶性担体とモノクローナル抗体
との結合は、ブロムシアン法やエポキシ、アミノ、カル
ボキシル、もしくはホルミル基等を介して結合させるこ
とができる。このモノクローナル抗体結合不溶性担体か
らなるカラムに粗PCIを添加し、カラムに吸着したP
CIを溶出させることにより高純度のPCIが得られ
る。
【0023】本発明を利用したモノクローナル抗体の標
識体を利用するPCIの免疫測定法は、例えば本発明モ
ノクローナル抗体を酵素、各種のアイソトープ、蛍光物
質等の標識剤で標識し、これにPCIを含む試料を加
え、PCIと標識体との免疫反応生成物の標識量を測定
することによって実施される。また一般的な方法として
ELISA法を用いることもできる。
【0024】
【発明の効果】本発明のハイブリドーマは、PCIに対
して特異的なモノクローナル抗体を産生する。そしてこ
のモノクローナル抗体を用いれば、PCIの分離精製工
程を短縮でき、極めて高純度のPCIを高回収率で得る
ことができる。更に、モノクローナル抗体と結合させた
不溶性担体は、洗浄すれば再使用可能であり、精製工程
の短縮だけでなく、経済的であることから工業的に極め
て有用である。また、本発明を利用した抗PCIモノク
ローナル抗体は、血液の凝固線溶系の異常疾患の治療に
おけるPCIの免疫定量に使用できる。
【0025】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を説明する。
【0026】実施例1 抗PCIモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの製
造: (1)抗原(PCI)の精製 (i)ヒト胎盤5個(約2,500g)より、膜等を除
去し、生理食塩水で充分洗浄後ミンチする。次いでワー
リングブレンダーを用いて破砕し、これに更に、50mM
トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)2lを加え、ポリトロ
ン(Polytron)で磨砕する。得られたホモジネ
ートを7,000rpm 15分間遠心分離し、沈渣を分取
した。得られた沈渣に再度50mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.4)2lを加え、ポリトロンでホモジナイズ
し、7,000rpm 15分間遠心分離して洗浄沈渣を得
た。この操作を数回繰り返し、血液成分を除去して、洗
浄沈渣930gを得た。
【0027】(ii)(i)で得た沈渣900gに、50
mMEDTAを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
4)を約2l加え、ワーリングブレンダーでホモジナイ
ズする。このホモジネートを4℃にて、一夜攪拌後7,
000rpm 15分間遠心分離して、抽出液2lを得た。
【0028】(iii) (ii)で得た抽出液に固形硫安を加
え、35%飽和とし、4℃で30分〜数時間放置後、
7,000rpm 15分間遠心分離し上清を分取した。こ
の上清に更に硫安を加え、85%飽和とし、4℃で2時
間放置した後7,000rpm 15分間遠心分離し、沈渣
を分取した。得られた沈渣を20mMトリス−塩酸緩衝液
の少量に溶かし、同緩衝液に対し、4℃で一夜充分に透
析した。透析中に生じた沈澱は、7,000rpm 15分
間遠心分離して除き、透析液390mlを得た。
【0029】(iv)得られた透析液を、20mMトリス−塩
酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したDEAE−トヨパー
ル(φ5.5×19cm)に吸着させ、同緩衝液にて充分
洗浄した後、0〜0.3M塩化ナトリウムを含む同緩衝
液4lを用い、直線濃度勾配により1分画20mlとなる
様に溶出させた。活性画分は、ほぼ0.15M塩化ナト
リウム濃度付近にて溶出され、380mlの活性画分を得
た。
【0030】(v)得られた活性画分を、0.1Mリン
酸緩衝液(pH7.0)に対し、4℃で一夜充分に透析
し、同緩衝液にて平衡化したブルーセファロース(φ
2.5×12cm)カラムを通過させた。A280の吸収を
示す通過画分(480ml)を集め、これをダイアフロー
メンブランフィルターYM−10を用いて濃縮した。
【0031】(vi)(v)で得た濃縮液をセファデックス
G−100を用いるゲル濾過(φ4.5×75cm)に付
し、生理食塩水で1分画8mlになるように溶出させ、活
性画分88〜104を集め、これを限外濾過により濃縮
して、PCI14.5ml(蛋白重量136.1mg,Lo
wry法)を得た。当該PCIは、分析の結果、前述の
性質を示すものであった。なお、各精製段階において得
た蛋白の収量を下に示す。 工程 蛋白重量(mg) (ii) 工程(EDTA抽出) 7226 (iii)工程(硫安分画、透析) 3184 (iv) 工程(DEAE−トヨパール吸着) 531 (v) 工程(ブルーセファロース吸着) 163 (iv) 工程(セファデックスG−100吸着) 136
【0032】(2)免疫脾細胞の調製 上述の如く精製したPCI100μg をフロイント・コ
ンプリート・アジュバントに乳濁化させ、BALB/C
系マウスの腹腔内に投与した。以後、2週間の間隔で5
0μg のPCIとアジュバント乳濁液を2回投与し、最
後にPCI50μg のみを投与し免疫を完了した。3日
後にマウスを殺し、脾臓を摘出、細断した後100メッ
シュのナイロン網で濾過し、脾臓の単離細胞を得た。
【0033】(3)ハイブリドーマの調製 得られた免疫脾細胞に低張液(155mM塩化アンモニウ
ム)を加え赤血球を溶血した後Iscove’s Mo
dified Dulbecco’s Medium
(IMDM)で細胞を3回洗い、マウス骨髄腫細胞PA
IはIMDMで3回洗った。両細胞数を計測し、脾細胞
とPAI細胞の割合を5対1にして遠心した。上清を捨
て、細胞沈渣を充分解きほぐした後ポリエチレングリコ
ール(PEG)4,000を培地で希釈した45%液を
0.5ml滴下して融合を行った。37℃、30秒間静置
した後、IMDM1mlを1分間かけて静かに添加した。
続いて10mlを5分間かけて加え、最終40mlにした遠
心管1,000rpm 8分間遠心した。沈渣を10%Fe
s添加IMDMで浮遊し再度遠心して上清を捨てた。ヒ
ポキサンチン10-4M、アミノプテリン4×10-7M及
びチミジン1.6×10-5Mを加えた(HAT−)10
%FCS添加IMDMを用い沈渣を再浮遊し、96ウエ
ルマイクロプレートに100μl ずつ分注した。3〜4
日ごとに培地50μl を追加し、細胞の増殖を見た。H
AT選択により、ハイブリドーマのみ増殖することを確
認した。
【0034】(4)抗体産生ハイブリドーマの検索 ハイブリドーマが増殖したウエルの培養液を採取し酵素
免疫法により、PCIに対する抗体産生ハイブリドーマ
を調べた。まず、96ウエルマイクロプレート(イムノ
プレートI、ヌンク社製)にPCIを0.1μg /10
0μl /ウエル分注し、25℃で18時間静置し吸着さ
せる。次いで検体である培養液を100μl /ウエル注
入し、25℃で2時間反応させる。0.05%Twee
n20を含むリン酸緩衝食塩水(PBS−Tween)
で3回洗浄後、ワサビパーオキシダーゼ標識ヤギ抗マウ
スIgG(カペル社製)を100μl /ウエル加え、2
時間後PBS−Tweenで3回洗浄する。これに、
0.001%過酸化水素、0.4mg/mlオルトフェニレ
ンジアミン(シグマ社製)の0.1Mクエン酸−水酸化
ナトリウム緩衝液(pH4.0)を加え、波長492nmの
吸光度を測定した。検体中、PCIに対する抗体が存在
したウエルのみに発色が観察されるので、発色したウエ
ルの細胞を採取した。
【0035】(5)PCIに対するモノクローナル抗体
産生細胞のクローニング マウスの腹腔にIMDMを注射して採取した腹腔細胞を
フィーダー細胞として使用した。10%FCS添加IM
DMに浮遊した腹腔細胞(1×105個/ml)を96ウ
エルマイクロプレートに100μl ずつ分注した。翌
日、抗体産生ハイブリドーマを5個/mlに調製し、各ウ
エルに100μl ずつ分注した。3日ごとに培地を交換
し適当な量まで細胞が増殖したウエルから順に培養上清
を採取し、上記と同一の方法により、抗体産生を確認し
た。陽性のウエルは再度クローニングし、抗PCIモノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマを得た。これらのハ
イブリドーマは、6種類得られ、前記表1の如くそれぞ
れ産生する抗PCIモノクローナル抗体の種類により、
PCI−H39、PCI−H46、PCI−H167、
PCI−H169、PCI−H176、PCI−H18
0と命名した。
【0036】(6)抗PCIモノクローナル抗体の調製 7週令以上のBALB/C系マウスにプリスタン(アル
ドリッチ社製)0.5mlを腹腔内投与し、約1週間後、
上記で得たハイブリドーマ1×106個/マウス腹腔内
接種した。約10日後、マウス腹腔より腹水を採取し
た。これを3,000rpm 、10分間遠心分離し、上清
を分取しその5mlに硫酸アンモニウムを終濃度が50%
飽和濃度になるように加え、4℃で一夜放置する。次い
で、3,000rpm 、15分間遠心分離し、沈渣を0.
1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8)に溶かし同緩衝液に対
して透析した。これを同緩衝液で平衡化したProte
inA Sepharose CL−4B(ファルマシ
ア社製)カラムクロマトグラフィーに付した。モノクロ
ーナル抗体の溶出は、0.1Mグリシン−0.15M塩
化ナトリウム緩衝液(pH2.7)で行い、抗PCIモノ
クローナル抗体を得た。PCI−H39を用いた場合
は、PCI−A39 14.2mg、PCI−H46を用
いた場合は、PCI−A46 20.2mg、PCI−H
167を用いた場合は、PCI−A167 22.9m
g、PCI−H169を用いた場合は、PCI−A16
925.0mg、PCI−H176を用いた場合は、PC
I−A176 25.0mg、PCI−H180を用いた
場合は、PCI−A180 8.6mgをそれぞれ得た。
これらの抗PCIモノクローナル抗体は、前記表1の性
質を示した。
【0037】参考例1 免疫吸着クロマトグラフィーによるPCIの精製: (1)抗PCIモノクローナル抗体の担体への結合 ブロムシアン活性化セファロース4B(0.4g)を、
1mM塩酸、0.1M重炭酸ナトリウム−0.5M塩化ナ
トリウム(pH8.3)緩衝液で順次洗浄し、ブロムシア
ン活性化セファロース4Bのカップリング緩衝液(1.
5ml)溶液を調製した。これに、精製モノクローナル抗
体PCI−A46 2mgのカップリング緩衝液(1ml)
溶液を加え、室温で2時間振盪しグラスフィルターで脱
水した。更に、0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)10mlを加え、室温で2時間振盪し、残った活性部
位をブロックした。得られた抗体結合セファロース4B
を、0.1Mトリス−塩酸−0.5M塩化ナトリウム緩
衝液(pH8.3)、0.1M酢酸−0.5M塩化ナトリ
ウム緩衝液(pH4.0)で交互に3回洗浄し、0.1M
トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化し、抗体カラ
ム46を得た。
【0038】(2)抗体カラムによるPCIの精製 上記で作製した抗体カラム46に、実施例1−(i)−
(ii)で得た粗PCI溶液をかけ、平衡化に用いた緩衝
液で充分洗浄した。PCIの溶出は、0.1M酢酸−
0.5M塩化ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いる方
法あるいは、0.1Mトリス−塩酸−0.1M塩化カル
シウム(pH7.4)を用いる方法で行うことができる。
PCIは、素通り画分には認められず、溶出画分から7
0%以上の回収率で精製することができた。なお、精製
係数などの結果は表2に示した。PCIの測定は、参考
例2の方法で行った。
【0039】
【表2】
【0040】参考例2 抗PCIモノクローナル抗体を用いるPCIの測定:
S.Yoshitakeらの方法〔J.Bioche
m.92,1413−1424,1982〕に準じてホ
ースラディッシュ(西洋わさび)ペルオキシダーゼ(以
下HRPと略す)を、抗PCIモノクローナル抗体に結
合させた。このHRP標識抗PCIモノクローナル抗体
を用いて、以下の如くELISA法によりPCIの測定
を行った。96ウエル平底マイクロプレートの各ウエル
に0.05M炭酸ナトリウム(pH9.6)に溶解したモ
ノクローナル抗体を100μl ずつ添加し、25℃で2
時間コーティングした。PBS−Tweenで洗浄後、
試料の0.1M Tris−HCl、25mM EDT
A、0.05%Tween20(pH7.4)緩衝液溶液
100μl を加えた。25℃で一晩反応させた後、PB
S−Tweenで洗浄し、HRP標識モノクローナル抗
体のPBS−Tween希釈溶液を100μl 加え、2
5℃で2時間反応させた。PBS−Tweenで洗浄
後、100μl の基質溶液(オルトフェニレンジアミン
0.4mg/ml及び0.01%過酸化水素の0.1Mクエ
ン酸リン酸緩衝液、pH5.0)を添加し、25℃で30
分間反応させた。4.5M硫酸50μl を加えて反応を
停止させた後、492nmにおける吸光度を測定した。そ
の結果、表3に示す如く、コーティング用モノクローナ
ル抗体としてPCI−A46を用い、標識用モノクロー
ナル抗体としてPCI−A39、PCI−A169、P
CI−A176、PCI−A180を用いた場合、及び
コーティング用モノクローナル抗体としてPCI−A1
76を用い、標識用モノクローナル抗体としてPCI−
A46、PCI−A180を用いた場合には、5〜10
0ng/mlの範囲のPCIを検出できる。
【0041】
【表3】
【0042】また、コーティング用モノクローナル抗体
としてPCI−A46及びPCI−A176を用い、標
識用モノクローナル抗体としてPCI−A180を用い
た場合の検量線は、図1に示す如く極めて感度が高く、
しかも良好な直線性を示した。また、コーティング用モ
ノクローナル抗体としてPCI−A46を用い、標識用
モノクローナル抗体としてPCI−A39、PCI−A
169及びPCI−A176を用いた場合の検量線は図
2に示す如く、良好な直線性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例2のPCI測定法におけるPCI濃度と
吸光度(492nm)との関係を示す図面である。
【図2】参考例2のPCI測定法におけるPCI濃度と
吸光度(492nm)との関係を示す図面である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 G01N 33/577 B 33/577 9162−4B C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の性質; (1)分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
    動法,還元状態) 34,000±2,000 (2)等電点(アンフォライトを用いる等電点カラム電
    気泳動法) 4.7±0.1 (3)安定性 イ)50℃、30分加熱処理で失活 ロ)pH4〜10で安定 ハ)血漿中37℃、30分で安定 (4)作用 イ)カルシウム再加凝固時間を延長 ロ)プロトロンビン時間を延長 ハ)活性化部分トロンボプラスチン時間を延長 (5)アミノ酸分析 アミノ酸分析で、アスパラギン酸、スレオニン、セリ
    ン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、1
    /2シスチン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロ
    イシン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、リ
    ジン及びアルギニンの存在が認められる。 を有するヒト胎盤由来の抗血液凝固活性物質に対して特
    異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
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