JP2004091453A - モノクローナル抗体及びその製造方法並びにモノクローナル抗体を用いた抗原の定量方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】イチョウ由来の接触性アレルギー惹起成分であるギンゴリン酸とその関連化合物に対する抗体とこれを用いた分析方法を提供する。
【解決手段】ギンゴリン酸及び関連化合物に対する抗体は,ギンゴリン酸の一部を切断し,アルデヒド体を得てEDCを用いたカルボジイミド法により、アルデヒド体のカルボキシル基とウシ血清アルブミン(BSA)等のタンパク質のリジン残基と結合して抗原性を付与した後,動物に免疫した。免疫後脾臓細胞を単離し、ポリエチレングリコールを用いてミエローマ細胞と融合する。HAT培地で融合細胞(ハイブリドーマ)のみを選抜する。ハイブリドーマを限界希釈法でクローニングする。これらの中から、アルデヒド体−ヒト血清アルブミン(HSA)複合体を用いて選抜し、抗ギンゴリン酸モノクローナル抗体(MAb)を生産するハイブリドーマを単離する。定量分析法は、標識化免疫定量法により行われる。
【選択図】 図1
【解決手段】ギンゴリン酸及び関連化合物に対する抗体は,ギンゴリン酸の一部を切断し,アルデヒド体を得てEDCを用いたカルボジイミド法により、アルデヒド体のカルボキシル基とウシ血清アルブミン(BSA)等のタンパク質のリジン残基と結合して抗原性を付与した後,動物に免疫した。免疫後脾臓細胞を単離し、ポリエチレングリコールを用いてミエローマ細胞と融合する。HAT培地で融合細胞(ハイブリドーマ)のみを選抜する。ハイブリドーマを限界希釈法でクローニングする。これらの中から、アルデヒド体−ヒト血清アルブミン(HSA)複合体を用いて選抜し、抗ギンゴリン酸モノクローナル抗体(MAb)を生産するハイブリドーマを単離する。定量分析法は、標識化免疫定量法により行われる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明はイチョウ葉その他のアレルギー惹起成分であるGAに対するMAbを生産するハイブリドーマに関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞融合技術は、ケーラーとミルスタインの報告(Nature,495−497頁、1975年)以来急速に発展した。哺乳動物の脾細胞と癌細胞であるミエローマ細胞を融合させた雑種細胞をハイブリドーマと称する。ハイブリドーマは用いた脾細胞が産生する抗体産生能を有することから、多くの蛋白質やペプチドの様な高分子化合物に対する抗体の生産に用いられてきた。
【0003】
一方、本出願人は通常は抗原とは成りえないイチョウ葉をはじめとする植物の接触アレルギー惹起成分に対するMAbを産生するハイブリドーマを作製する。GAはアレルギーを引き起こす植物成分で,その含量はアレルギー惹起のマーカーとなる重要な成分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
接触アレルギーを引き起こす植物中のGAの含有量は極めて低含量なので、その検出は容易ではない。このため前処理を必要とせず、再現性があり、かつ高感度なアッセイ系が要求される。これに対応出来うるのはMAb以外にない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の問題点を解決すべく研究を重ねた結果、細胞融合によりGAに対する、MAbを産生するハイブリドーマを得、本ハイブリドーマを培養することによって抗GA抗体を大量に生産することに成功した。本抗体を用いることによって高感度、再現性良好な、かつ前処理を必要としないアッセイ系を完結した
【0006】
【発明実施の形態】
抗GA MAbを生産するハイブリドーマは以下の様に作成する。すなわち、(1)抗原としてGal−BSA複合体を免疫した動物の抗体産生脾臓細胞を作成する。(2)ミエローマ細胞を培養増殖し調整する。(3)上記2種の細胞をポリエチレングリコールを媒体として融合する。(4)得られたハイブリドーマをHAT培地にて選抜する。(5)抗GAMAb生産ハイブリドーマを選抜する。(6)選抜ハイブリドーマをクローニングする。これらの行程について詳細に説明する。
【0007】
(抗体産生細胞の調整)
Gal−BSA複合体を動物に免疫する。免疫法としてはフロイントのコンプリートアジュバンドを併用する手法がとられる。動物としてはマウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジなどが例示される。抗体産生細胞としては脾臓、リンパ節、抹消血液等から分離した細胞が使用される。
【0008】
(骨髄腫細胞の調整)
細胞融合に使用する骨髄腫細胞は特に限定されず、各種の哺乳動物の細胞株が利用可能であるが、抗体産生細胞の調整に用いた動物と同種の細胞株を使用するのが好ましい。用いる細胞株は細胞融合の後に、未融合の骨髄腫細胞が選択培地で生存できず、ハイブリドーマのみが増殖可能なようにすることによって、未融合細胞と融合細胞を選別することを考慮して、特定の薬剤抵抗性を有するものが好ましい。例えば8−アザグアニン抵抗性の細胞は、HAT培地中で生育できない性質を有するため好んで用いられる。具体的には、マウス骨髄腫細胞株、PAI,P3−X63−Ag8,P3−X63−Ag8−UI,P3−NSI/1−Ag4−1,X63−Ag8−6.5.3.,SP2/0−Ag14,FO,S194/5XXO,BU.1,MPC11−45.6.,TG.1.7等が用いられる。
【0009】
(融合細胞)
細胞融合は通常MEM培地、RMI1640培地、IMDM培地等のe−RDF培地中で、骨髄腫細胞と抗体産生細胞を混合(混合比は通常1:4−1:10)することにより行われる。融合促進剤としては平均分子量1000−6000のポリエチレングリコール(PEG)が使用できる。PEGの使用濃度は通常30−50%である。
【0010】
(ハイブリドーマの選択的増殖)
融合を終えた細胞は、10%FCS含有e−RDF培地などで適当に希釈し、遠心分離する。沈査を選択培地(例えばHAT培地)で浮遊し、96穴ウエルマイクロプレートに接種した後に、5%炭酸ガス培養装置で培養する。選択培地で生育してくる細胞はハイブリドーマである。
【0011】
(抗体産生ハイブリドーマの検索)
抗体産生ハイブリドーマの検索は常法に従えばよく、特に限定されない。例えばハイブリドーマの増殖した培養液を採取し、Gal−HSAと反応させ、酵素、蛍光物質、発光物質などでラベルした2次抗体との反応により検索できる。
【0012】
(クローニング)
抗体産生ハイブリドーマを含むことを確認した培養ウエル中の細胞を限界希釈法などによりクローニングを行い、MAb産生ハイブリドーマを得る。以上の操作により抗GA MAb産生ハイブリドーマ9Fを得た。このハイブリドーマはGAに対する特異的なMAbを産生する新規な細胞である。
【0013】
(抗GA MAbの調整)
上記で得られたハイブリドーマを適切な培地中で培養することにより、その培養上清から本発明MAbが得られる。大量に生産する方法としては骨髄腫細胞由来動物と同種の動物にプリスタン等の鉱物油を腹腔内投与後、ハイブリドーマを接種する。接種後、腹水を採取し、通常の抗体分離操作により抗GA MAbを得る。また、無血清培地で培養し、通常の手法で抗GA MAbを得る。
【0014】
(抗GA MAbのキャラクタリゼーション)
精製した抗GA−MAbのサブクラスはIgG1で、軽鎖はκ鎖であることを通常の方法で決定した。
【0015】
(発明の効果)
本抗体は特異性が高いので通常のELISAに用いることにより、再現性が高く、高感度、かつ前処理が不要な定量が可能である。
【0016】
【実施例】
(抗GA MAb産生ハイブリドーマの製造)
(抗原の調整)
GA9.3mgをジオキサン−ピリジン(8:1,0.9ml)に溶解し、オスミュウム酸14mgをジオキサン0.5mlに溶解した溶液を滴下し、窒素気流中20時間室温で反応した。反応後16%硫酸ナトリウム液8mlとメタノール2mlを加えた。遠心を行い沈澱をクロロフォルム−メタノール(1:1;1ml)で洗浄する。上清と洗浄液をまとめて減圧下溶媒を留去する。残渣を薄層クロマトによりジエチルエーテル−石油エーテル−ギ酸(30:70:1)で展開し精製して2水酸化ギンゴリン酸を得た。本化合物2.6mgをメタノールに溶解し,過ヨウ素酸ナトリウム2.2mgを1mlの水に溶解した液を滴下し1時間室温で反応する。BSA(3mg)を含むcarbonate buffer solution(pH9.6,1ml)を上記反応液と混合し室温した5時間反応を行い免疫源を調整した(図1参照)。なおELISAで使用するGal−HSAについても同様な方法で作製した。
【0017】
(抗原中のハプテン数の検討)
得られたGal−BSA抱合体の微量をとり、過剰のシナピン酸を添加して混合する。混合物の小量をカセットのウエルに入れ、マルデイトフマスにて測定する(図2)。
【0018】
(免疫脾細胞の調整)
Gal−BSA抱合体50μgをフロイント−コンプリート−アジュバントに乳濁化させ、BALB/C系マウスの腹腔内に投与した。以後、2週間後50μgのGal−BSA抱合体溶液を投与し、最後にGal−BSA抱合体溶液を100μg投与し免疫を完了した。4日後にマウスを麻酔下屠殺し、脾臓を摘出した。脾臓を細断した後、100メッシュのナイロン網でろ過し、脾臓細胞を得た。
【0019】
(ハイブリドーマの調整)
単離した免疫脾細胞に低張液(155mM塩化アンモニューム)を加えて赤血球を溶血した後、e−RDF培地で細胞を3回洗う。マウス骨髄腫細胞もe−RDF培地で3回洗浄した。両細胞数を計測し脾細胞と骨髄腫細胞を10:1の割合として遠心をする。上清を捨て、沈殿した細胞を充分解きほぐし、ポロエチレングリコール(PEG)4、000を培地で希釈した50%液を1.0ml滴下して融合を行った。37℃、30秒間静置した後、e−RDF培地5mlを5分間かけて添加した。1、000rpmで10分間遠心した。沈殿を10%FCS添加IMDMにより洗い、遠心して上清を捨てた。ヒポキサンチン10−2M、アミノプテリン4x10−7Mおよびチミジン1.5x10−5Mを加えた(HAT−)10%FCS添加e−RDF培地を用いて沈殿を再び浮遊させ、96ウエルマイクロプレートに100μlずつ分注した。3日毎に同一培地を50μl追加し、細胞の増殖を確認した。
【0020】
(抗体産生ハイブリドーマの検索)
ハイブリドーマが増殖したウエルの液を採取し、Gal−HSA抱合体を結合させた別のウエルに添加し、直接ELISAによりGAに対するMAb産生ハイブリドーマを検索した。即ち、96ウエルマイクロプレートにGal−HSA抱合体0.1μg/100μl/ウエルを分注し、37℃で1時間インキュベートしてウエルに吸着させた。このウエルに培養上清を100μlずつ分注し抗原抗体反応を行った。0.05%Tween20含有リン酸緩衝食塩水(T−PBS)で3回洗浄した。パーオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体1000倍希釈液をウエルあたり100μl添加し、1時間後にTPBSで洗浄した。0.003%過酸化水素、ABTS0.3mg/ml含有クエン酸緩衝液を添加して発色させた。20分後プレートリーダーを用いて405nmの波長で吸光度を測定した。発色したウエルの細胞を採取した。
【0021】
(抗GA MAb産生ハイブリドーマのクローニング)
抗体産生ハイブリドーマを限界希釈してウエルに分注した。抗体産生能を持ち、かつ増殖したハイブリドーマを同様に3回クローニングしてクローンを得た。
【0022】
(抗GA MAbの調整)
上記の抗体産生ハイブリドーマを無血清培地(10μg/mlインスリン、35μg/mlトランスフェリン、20μMエタノールアミン、25nMセレニューム添加eRDF培地)で37℃、炭酸ガス培養器で培養した。上清をプロテインGFFカラムを用いて精製した。即ち、上清をトリス緩衝液でpH7に調整し、カラムに付す。カラムを10mMリン酸緩衝液で洗浄後、吸着している抗体を100mMクエン酸緩衝液で溶出する。得られた抗体溶液は水に対して4回透析し、最後に凍結乾燥して精製抗体を得た。
【0023】
(競合的ELISAによる定量)
Gal−HSA抱合体溶液(1μg/ml)を50μずつウエルに添加し1時間反応し吸着させる。比特異的結合を除去するために5%スキンミルク添加PBS溶液300μlを加え1時間反応してブロッキングする。50μlの各種濃度の試料溶液を加え、さらに抗GA MAb溶液(1μg/ml)50μlを添加して1時間インキュベートした。TPBSで3回洗浄し、1000倍希釈したパーオキシダーゼ標識抗マウス抗体100μlを加え1時間反応した。1時間後にTPBSで洗浄した。0.003%過酸化水素、ABTS0.3mg/ml含有クエン酸緩衝液を添加して発色させた。15分後に発色を405nmで測定。各濃度のGAの吸光度から検量線を作成した(図3)。
【0024】
(交差反応性の調査)
GAおよび関連アルキールフェノールカルボン酸の植物固有の化合物を測定した。表1に見られる通り、接触性アレルギーを惹起するアルキールフェノールカルボン酸類に特異的に親和性を持つ抗体であることが明らかとなった。その他の成分には殆ど交差反応性を示さなかった(図4の構造式参照)。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハプテン−タンパクコンジュゲートの合成法。
【図2】実施例の抗原のハプテン数を調査したマルジマススペクトログラフ。
【図3】実施例の抗体9Fの検量線を示す片対数グラフ。
【図4】ギンゴリン酸及び関連化合物の構造式。
【発明に属する技術分野】
本発明はイチョウ葉その他のアレルギー惹起成分であるGAに対するMAbを生産するハイブリドーマに関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞融合技術は、ケーラーとミルスタインの報告(Nature,495−497頁、1975年)以来急速に発展した。哺乳動物の脾細胞と癌細胞であるミエローマ細胞を融合させた雑種細胞をハイブリドーマと称する。ハイブリドーマは用いた脾細胞が産生する抗体産生能を有することから、多くの蛋白質やペプチドの様な高分子化合物に対する抗体の生産に用いられてきた。
【0003】
一方、本出願人は通常は抗原とは成りえないイチョウ葉をはじめとする植物の接触アレルギー惹起成分に対するMAbを産生するハイブリドーマを作製する。GAはアレルギーを引き起こす植物成分で,その含量はアレルギー惹起のマーカーとなる重要な成分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
接触アレルギーを引き起こす植物中のGAの含有量は極めて低含量なので、その検出は容易ではない。このため前処理を必要とせず、再現性があり、かつ高感度なアッセイ系が要求される。これに対応出来うるのはMAb以外にない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の問題点を解決すべく研究を重ねた結果、細胞融合によりGAに対する、MAbを産生するハイブリドーマを得、本ハイブリドーマを培養することによって抗GA抗体を大量に生産することに成功した。本抗体を用いることによって高感度、再現性良好な、かつ前処理を必要としないアッセイ系を完結した
【0006】
【発明実施の形態】
抗GA MAbを生産するハイブリドーマは以下の様に作成する。すなわち、(1)抗原としてGal−BSA複合体を免疫した動物の抗体産生脾臓細胞を作成する。(2)ミエローマ細胞を培養増殖し調整する。(3)上記2種の細胞をポリエチレングリコールを媒体として融合する。(4)得られたハイブリドーマをHAT培地にて選抜する。(5)抗GAMAb生産ハイブリドーマを選抜する。(6)選抜ハイブリドーマをクローニングする。これらの行程について詳細に説明する。
【0007】
(抗体産生細胞の調整)
Gal−BSA複合体を動物に免疫する。免疫法としてはフロイントのコンプリートアジュバンドを併用する手法がとられる。動物としてはマウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジなどが例示される。抗体産生細胞としては脾臓、リンパ節、抹消血液等から分離した細胞が使用される。
【0008】
(骨髄腫細胞の調整)
細胞融合に使用する骨髄腫細胞は特に限定されず、各種の哺乳動物の細胞株が利用可能であるが、抗体産生細胞の調整に用いた動物と同種の細胞株を使用するのが好ましい。用いる細胞株は細胞融合の後に、未融合の骨髄腫細胞が選択培地で生存できず、ハイブリドーマのみが増殖可能なようにすることによって、未融合細胞と融合細胞を選別することを考慮して、特定の薬剤抵抗性を有するものが好ましい。例えば8−アザグアニン抵抗性の細胞は、HAT培地中で生育できない性質を有するため好んで用いられる。具体的には、マウス骨髄腫細胞株、PAI,P3−X63−Ag8,P3−X63−Ag8−UI,P3−NSI/1−Ag4−1,X63−Ag8−6.5.3.,SP2/0−Ag14,FO,S194/5XXO,BU.1,MPC11−45.6.,TG.1.7等が用いられる。
【0009】
(融合細胞)
細胞融合は通常MEM培地、RMI1640培地、IMDM培地等のe−RDF培地中で、骨髄腫細胞と抗体産生細胞を混合(混合比は通常1:4−1:10)することにより行われる。融合促進剤としては平均分子量1000−6000のポリエチレングリコール(PEG)が使用できる。PEGの使用濃度は通常30−50%である。
【0010】
(ハイブリドーマの選択的増殖)
融合を終えた細胞は、10%FCS含有e−RDF培地などで適当に希釈し、遠心分離する。沈査を選択培地(例えばHAT培地)で浮遊し、96穴ウエルマイクロプレートに接種した後に、5%炭酸ガス培養装置で培養する。選択培地で生育してくる細胞はハイブリドーマである。
【0011】
(抗体産生ハイブリドーマの検索)
抗体産生ハイブリドーマの検索は常法に従えばよく、特に限定されない。例えばハイブリドーマの増殖した培養液を採取し、Gal−HSAと反応させ、酵素、蛍光物質、発光物質などでラベルした2次抗体との反応により検索できる。
【0012】
(クローニング)
抗体産生ハイブリドーマを含むことを確認した培養ウエル中の細胞を限界希釈法などによりクローニングを行い、MAb産生ハイブリドーマを得る。以上の操作により抗GA MAb産生ハイブリドーマ9Fを得た。このハイブリドーマはGAに対する特異的なMAbを産生する新規な細胞である。
【0013】
(抗GA MAbの調整)
上記で得られたハイブリドーマを適切な培地中で培養することにより、その培養上清から本発明MAbが得られる。大量に生産する方法としては骨髄腫細胞由来動物と同種の動物にプリスタン等の鉱物油を腹腔内投与後、ハイブリドーマを接種する。接種後、腹水を採取し、通常の抗体分離操作により抗GA MAbを得る。また、無血清培地で培養し、通常の手法で抗GA MAbを得る。
【0014】
(抗GA MAbのキャラクタリゼーション)
精製した抗GA−MAbのサブクラスはIgG1で、軽鎖はκ鎖であることを通常の方法で決定した。
【0015】
(発明の効果)
本抗体は特異性が高いので通常のELISAに用いることにより、再現性が高く、高感度、かつ前処理が不要な定量が可能である。
【0016】
【実施例】
(抗GA MAb産生ハイブリドーマの製造)
(抗原の調整)
GA9.3mgをジオキサン−ピリジン(8:1,0.9ml)に溶解し、オスミュウム酸14mgをジオキサン0.5mlに溶解した溶液を滴下し、窒素気流中20時間室温で反応した。反応後16%硫酸ナトリウム液8mlとメタノール2mlを加えた。遠心を行い沈澱をクロロフォルム−メタノール(1:1;1ml)で洗浄する。上清と洗浄液をまとめて減圧下溶媒を留去する。残渣を薄層クロマトによりジエチルエーテル−石油エーテル−ギ酸(30:70:1)で展開し精製して2水酸化ギンゴリン酸を得た。本化合物2.6mgをメタノールに溶解し,過ヨウ素酸ナトリウム2.2mgを1mlの水に溶解した液を滴下し1時間室温で反応する。BSA(3mg)を含むcarbonate buffer solution(pH9.6,1ml)を上記反応液と混合し室温した5時間反応を行い免疫源を調整した(図1参照)。なおELISAで使用するGal−HSAについても同様な方法で作製した。
【0017】
(抗原中のハプテン数の検討)
得られたGal−BSA抱合体の微量をとり、過剰のシナピン酸を添加して混合する。混合物の小量をカセットのウエルに入れ、マルデイトフマスにて測定する(図2)。
【0018】
(免疫脾細胞の調整)
Gal−BSA抱合体50μgをフロイント−コンプリート−アジュバントに乳濁化させ、BALB/C系マウスの腹腔内に投与した。以後、2週間後50μgのGal−BSA抱合体溶液を投与し、最後にGal−BSA抱合体溶液を100μg投与し免疫を完了した。4日後にマウスを麻酔下屠殺し、脾臓を摘出した。脾臓を細断した後、100メッシュのナイロン網でろ過し、脾臓細胞を得た。
【0019】
(ハイブリドーマの調整)
単離した免疫脾細胞に低張液(155mM塩化アンモニューム)を加えて赤血球を溶血した後、e−RDF培地で細胞を3回洗う。マウス骨髄腫細胞もe−RDF培地で3回洗浄した。両細胞数を計測し脾細胞と骨髄腫細胞を10:1の割合として遠心をする。上清を捨て、沈殿した細胞を充分解きほぐし、ポロエチレングリコール(PEG)4、000を培地で希釈した50%液を1.0ml滴下して融合を行った。37℃、30秒間静置した後、e−RDF培地5mlを5分間かけて添加した。1、000rpmで10分間遠心した。沈殿を10%FCS添加IMDMにより洗い、遠心して上清を捨てた。ヒポキサンチン10−2M、アミノプテリン4x10−7Mおよびチミジン1.5x10−5Mを加えた(HAT−)10%FCS添加e−RDF培地を用いて沈殿を再び浮遊させ、96ウエルマイクロプレートに100μlずつ分注した。3日毎に同一培地を50μl追加し、細胞の増殖を確認した。
【0020】
(抗体産生ハイブリドーマの検索)
ハイブリドーマが増殖したウエルの液を採取し、Gal−HSA抱合体を結合させた別のウエルに添加し、直接ELISAによりGAに対するMAb産生ハイブリドーマを検索した。即ち、96ウエルマイクロプレートにGal−HSA抱合体0.1μg/100μl/ウエルを分注し、37℃で1時間インキュベートしてウエルに吸着させた。このウエルに培養上清を100μlずつ分注し抗原抗体反応を行った。0.05%Tween20含有リン酸緩衝食塩水(T−PBS)で3回洗浄した。パーオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体1000倍希釈液をウエルあたり100μl添加し、1時間後にTPBSで洗浄した。0.003%過酸化水素、ABTS0.3mg/ml含有クエン酸緩衝液を添加して発色させた。20分後プレートリーダーを用いて405nmの波長で吸光度を測定した。発色したウエルの細胞を採取した。
【0021】
(抗GA MAb産生ハイブリドーマのクローニング)
抗体産生ハイブリドーマを限界希釈してウエルに分注した。抗体産生能を持ち、かつ増殖したハイブリドーマを同様に3回クローニングしてクローンを得た。
【0022】
(抗GA MAbの調整)
上記の抗体産生ハイブリドーマを無血清培地(10μg/mlインスリン、35μg/mlトランスフェリン、20μMエタノールアミン、25nMセレニューム添加eRDF培地)で37℃、炭酸ガス培養器で培養した。上清をプロテインGFFカラムを用いて精製した。即ち、上清をトリス緩衝液でpH7に調整し、カラムに付す。カラムを10mMリン酸緩衝液で洗浄後、吸着している抗体を100mMクエン酸緩衝液で溶出する。得られた抗体溶液は水に対して4回透析し、最後に凍結乾燥して精製抗体を得た。
【0023】
(競合的ELISAによる定量)
Gal−HSA抱合体溶液(1μg/ml)を50μずつウエルに添加し1時間反応し吸着させる。比特異的結合を除去するために5%スキンミルク添加PBS溶液300μlを加え1時間反応してブロッキングする。50μlの各種濃度の試料溶液を加え、さらに抗GA MAb溶液(1μg/ml)50μlを添加して1時間インキュベートした。TPBSで3回洗浄し、1000倍希釈したパーオキシダーゼ標識抗マウス抗体100μlを加え1時間反応した。1時間後にTPBSで洗浄した。0.003%過酸化水素、ABTS0.3mg/ml含有クエン酸緩衝液を添加して発色させた。15分後に発色を405nmで測定。各濃度のGAの吸光度から検量線を作成した(図3)。
【0024】
(交差反応性の調査)
GAおよび関連アルキールフェノールカルボン酸の植物固有の化合物を測定した。表1に見られる通り、接触性アレルギーを惹起するアルキールフェノールカルボン酸類に特異的に親和性を持つ抗体であることが明らかとなった。その他の成分には殆ど交差反応性を示さなかった(図4の構造式参照)。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハプテン−タンパクコンジュゲートの合成法。
【図2】実施例の抗原のハプテン数を調査したマルジマススペクトログラフ。
【図3】実施例の抗体9Fの検量線を示す片対数グラフ。
【図4】ギンゴリン酸及び関連化合物の構造式。
Claims (3)
- ギンゴリン酸(GA)に対するモノクローナル抗体(MAb)。
- GAをオスミュム酸で酸化し2水酸化体を得,このものを過ヨウド酸酸化してアルデヒド体を得る(Gal)。本化合物をタンパク質と共有結合させたものを抗原として抗体を作成する抗体の製造方法。
- タンパク質と共有結合したGalを吸着させたウエルにGA関連化合物溶液を添加し,更に請求項1に記載のMAbを加えてインキュベートした後にウエルを洗浄し,標識化免疫定量法を用いてGA関連化合物溶液中のGA関連化合物を定量するMAbを用いた抗原の定量方法。
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---|---|---|---|
JP2002291666A JP2004091453A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | モノクローナル抗体及びその製造方法並びにモノクローナル抗体を用いた抗原の定量方法 |
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JP2002291666A JP2004091453A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | モノクローナル抗体及びその製造方法並びにモノクローナル抗体を用いた抗原の定量方法 |
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ID=32063862
Family Applications (1)
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JP2002291666A Pending JP2004091453A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | モノクローナル抗体及びその製造方法並びにモノクローナル抗体を用いた抗原の定量方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2447182B (en) * | 2005-12-30 | 2010-07-14 | Council Scient Ind Res | Multifunctional alcohols obtained from cardonal, multifunctional acrylic crosslinker and pendant phosphorous flame retardant derivatives thereof |
CN107315058A (zh) * | 2017-05-04 | 2017-11-03 | 黑龙江珍宝岛药业股份有限公司 | 一种检测银杏叶提取液中总银杏酸的方法 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002291666A patent/JP2004091453A/ja active Pending
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GB2447182B (en) * | 2005-12-30 | 2010-07-14 | Council Scient Ind Res | Multifunctional alcohols obtained from cardonal, multifunctional acrylic crosslinker and pendant phosphorous flame retardant derivatives thereof |
CN107315058A (zh) * | 2017-05-04 | 2017-11-03 | 黑龙江珍宝岛药业股份有限公司 | 一种检测银杏叶提取液中总银杏酸的方法 |
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