JP3797480B2 - ネコ腎臓病診断マーカー - Google Patents

ネコ腎臓病診断マーカー Download PDF

Info

Publication number
JP3797480B2
JP3797480B2 JP2002057908A JP2002057908A JP3797480B2 JP 3797480 B2 JP3797480 B2 JP 3797480B2 JP 2002057908 A JP2002057908 A JP 2002057908A JP 2002057908 A JP2002057908 A JP 2002057908A JP 3797480 B2 JP3797480 B2 JP 3797480B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
protein
cauxin
leu
ala
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002057908A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003250575A5 (ja
JP2003250575A (ja
Inventor
哲郎 山下
雅雄 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Techno Arch Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Techno Arch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku Techno Arch Co Ltd filed Critical Tohoku Techno Arch Co Ltd
Priority to JP2002057908A priority Critical patent/JP3797480B2/ja
Priority to US10/233,933 priority patent/US7026151B2/en
Publication of JP2003250575A publication Critical patent/JP2003250575A/ja
Publication of JP2003250575A5 publication Critical patent/JP2003250575A5/ja
Priority to US11/227,614 priority patent/US7241608B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3797480B2 publication Critical patent/JP3797480B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/16Hydrolases (3) acting on ester bonds (3.1)
    • C12N9/18Carboxylic ester hydrolases (3.1.1)
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/573Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for enzymes or isoenzymes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネコ腎臓病診断マーカーとして有用性を示す、新規に同定されたポリペプチド(あるいはタンパク質)及びポリヌクレオチド(あるいは核酸)(又はその一部)あるいはその塩;該ポリペプチド(あるいはタンパク質)及びポリヌクレオチド(あるいは核酸)の変異体及び誘導体;該ポリペプチド(あるいはタンパク質)及びポリヌクレオチド(あるいは核酸)、並びにそれらの変異体及び誘導体の製造法;該ポリペプチド(あるいはタンパク質)(又はその一部)に対する抗体、該抗体を用いた免疫学的測定法及びそれに使用する試薬; ネコ腎臓病診断へのそれらの用途(診断薬、診断方法なども含む)に関するものである。 本発明は家ネコに多く見られる腎臓疾患を尿中のタンパク質(コーキシン)の量を測定することによって判定する診断法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ストレスの多い現在、社会では、ペットとともに暮らしたいと願う人が増え、犬猫の飼育頭数は、年々増加している。その一方で獣医療の発達やペットフードの普及で犬猫の高齢化が進み、ヒトと同様に成人病、肥満、腎疾患などが増加し、深刻な問題となっている。特に腎疾患に関しては、腎臓は静かなる臓器と呼ばれるように疾患のシグナルを早期に認めるのは大変難しい。このため、症状があらわれて診察を受けた時には、腎機能に重篤な障害を受けている場合が多い。
獣医臨床において近年ネコ科の動物の高齢化に伴った腎臓病羅患例が増加しており、現在家ネコの死因の第一位が腎臓疾患となっている。また、腎臓病の症状はかなり重症になって初めて気づく場合がほとんどで、獣医師の診断を受けるときにはすでに治療不能になっていることが多い。つまり、慢性腎不全がネコの死亡原因の上位に位置付けられている。
【0003】
腎疾患、特に慢性腎不全における臨床症状は、多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢、脱水、貧血、うつ症状など全身性である。診断は、飼い主からの聴取、尿検査、血液検査、腎生検、画像診断等で行うが、腎疾患の一般的な指標は、血液尿素窒素(以下、BUN)、血清クレアチニン(以下、CRE)、尿タンパクが上げられる。しかしながらBUN 、CRE とともに糸球体濾過値(腎機能評価の指標)が正常の25%以下に減少して初めて加速度的な上昇が認められるため、早期診断マーカーとしての役割をなさない。またBUN は、食事の影響を、CRE は、運動の影響を受ける。尿タンパクに関しては、それが見られる場合には、まず腎疾患が考えられるほど腎障害を示唆する重要な所見の一つになっている。しかし、正常なヒトの尿では、3 mg以下/kg/日のタンパク排泄量であるのに対し、ネコの場合は17.43 ±9.03 mg/kg/ 日と正常な状態でも高濃度のタンパク質を排泄しており、タンパク尿=腎疾患、という構図が成り立ちにくい。
このような状況の中で、現在ネコの腎疾患を診断する早期診断マーカーの開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の腎疾患の診断法として血液検査や造影剤を用いた腎臓のエックス線撮影や超音波画像解析など煩雑な手法が主として用いられており、より簡便な方法の開発が要請されている。また、来院することなく飼い主が簡便に猫の健康状態をチェックすることができる方法やそのための検査キットなどの開発が求められている。病気が回復不能になる前にネコの腎臓疾患を発見することを簡単に行うことができ、家猫の寿命を延ばすことができるよう、便利な検査薬が求められてもいる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ネコの高齢化に伴う腎疾患を研究テーマにして、これまでSDS-PAGEを利用した尿中タンパク質分析による腎疾患診断法について研究してきた。 この中で臨床的に異常が認められない正常成ネコの尿中に高濃度排泄される分子量70Kの新規タンパク質(コーキシン: Cauxinと命名)を発見し、種々の疾患ネコにおいてコーキシンの尿中排泄濃度を調査した。その結果、腎不全に移行しているネコにおいてコーキシン尿中排泄濃度が著しく減少していることを確認し、新規腎疾患診断マーカーとしてコーキシンの解析を進めた。さらに、コーキシンの遺伝子の塩基配列とそのアミノ酸配列を決定し、その決定した塩基配列は、カルボキシルエステラーゼファミリー (carboxylesterase family)と47 %の相同性が認められ、カルボキシルエステラーゼ活性を持つこと、他のカルボキシルエステラーゼと異なり生体内発現部位は、腎臓の遠位尿細管上皮細胞に特異的であることを明らかにした。かくして、コーキシンは血清タンパク質由来の尿中タンパク質ではなく、腎臓の遠位尿細管上皮細胞で産生され、アピカル側より尿細管腔に分泌され尿中に排泄されるカルボキシルエステラーゼ様の新規タンパク質との認識に至り、さらに研究を進め、ネコ腎臓病診断マーカーとしての有用性に基づき、本発明を完成した。
本発明の新規診断マーカーは、腎臓の尿細管組織で特異的に産生、尿中に排泄されているため、腎組織障害を早期に発見できる可能性や腎疾患時に残存する正常尿細管組織量を把握できる可能性をもつ。したがって、臨床的に非常に有用なアイテムであると考える。
【0006】
本発明は、
〔1〕 コーキシンであることを特徴とするタンパク質又はその塩;
〔2〕 ネコ腎臓病診断マーカーであることを特徴とする上記〔1〕記載のタンパク質又はその塩;
〔3〕 (a) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列のうちの少なくとも Asp26〜Pro542を有すること、
(b) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列を有すること、又は
(c) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列のうちの Asp26〜Pro542と少なくとも50% より高い相同性を有することあるいは配列表の配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも50% より高い相同性を有すること
を特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載のタンパク質又はその塩;
〔4〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパク質の部分ペプチド;
〔5〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパク質又は上記〔4〕記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有することを特徴とする核酸;
〔6〕 (a) 配列表の配列番号:1の塩基配列を有すること、
(b) 配列表の配列番号:3の塩基配列を有すること、
(c) 配列表の配列番号:3の塩基配列のうち、少なくとも第250 番目の塩基から第1803番目の塩基までを有すること、
(d) ストリンジェントな条件で、上記(a) 〜(c) のいずれか一記載の塩基配列を有する配列とハイブリダイズするものであること、又は
(e) ストリンジェントな条件で、配列表の配列番号:1又は配列表の配列番号:3の塩基配列うちの連続した10個以上の塩基配列とハイブリダイズするものであること
を特徴とする上記〔5〕記載の核酸;
〔7〕 上記〔5〕又は〔6〕記載の核酸を含有することを特徴とするベクター;
〔8〕 上記〔5〕又は〔6〕記載の核酸あるいは上記〔7〕記載のベクターを含有することを特徴とする形質転換体;
【0007】
〔9〕 上記〔8〕記載の形質転換体を培養し、培養物から生産物を得ることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパク質又は上記〔4〕記載の部分ペプチドの取得法;
〔10〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のタンパク質又は上記〔4〕記載の部分ペプチドに対して特異的に結合するものであることを特徴とする抗体;
〔11〕 尿中のコーキシンを定量的に測定し、そのコーキシン量の低下を指標として、ネコ腎臓病を検知することを特徴とするネコ腎臓病診断法;
〔12〕 (i) 尿タンパク質含有試料を電気泳動により分離処理する工程を含有するか、
(ii) 尿のコーキシンの生物活性を測定する工程を含有するか、あるいは
(iii) 尿タンパク質含有試料を抗コーキシン抗体と接触せしめる工程を含有する
ことを特徴とする上記〔11〕記載のネコ腎臓病診断法;
【0008】
〔13〕 (i) コーキシン染色剤を含有するか、
(ii) 尿のコーキシンの生物活性を測定する試薬を含有するか、あるいは
(iii) 抗コーキシン抗体を含有する
ことを特徴とするネコ腎臓病診断剤;
〔14〕 湿潤状態で物質の移動を可能にする担体に、
(a) 検体を適用する部位、(b) 標識抗体を含有した部位、(c) 抗原検出部位及び(d) 反応終了判定部位
を順次形成してあるものからなり、
(i) 標識抗体を含有した部位には、湿潤状態において該担体上を抗原検出部位、反応終了判定部位へと順次移動し得る、コーキシンに対する標識した抗体(標識抗体)を含有せしめ、
(ii) 検出部位には、固相化したコーキシンに対する抗体(固相化抗体)を存在せしめるようにし、
(iii) 反応終了判定部位には、標識抗体として使用した抗体に対する抗体(第二抗体) を固相化した部位を形成せしめ、
検体を適用する部位に検体を適用することにより、検体を担体において移動せしめ、標識抗体を溶出させ、抗原検出部位の固相化抗体及び反応終了判定部位の第二抗体部位を通過せしめることにより、検体中のコーキシンを検出する
ことを特徴とするコーキシン検出キット;
〔15〕 検体中のコーキシンを測定する検出キットにおいて、
検体をカルボキシルエステラーゼに対する基質と接触せしめ、生成するシグナルを測定することを特徴とするコーキシン検出キット;及び
〔16〕 (1) 検体を固相化抗コーキシン抗体と接触せしめ、ついで標識抗コーキシン抗体を接触せしめるか、あるいは
(2) 検体を標識抗コーキシン抗体と接触せしめ、ついで固相化抗コーキシン抗体と接触せしめ、当該標識を指標にコーキシンを測定することを特徴とするコーキシン検出キットを提供する。
【0009】
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されてい
る全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
コーキシンは、正常な状態で尿中に高濃度存在し腎機能の低下とともに尿中濃度が減少する。この減少の程度をみて正常な腎機能をもった組織量を推定することが可能となる。かくして、その測定は定性ではなくて定量が望ましい。また、コーキシンの測定に用いる試料は、尿で、尿量によって尿中のコーキシン濃度は影響をうける。したがって、コーキシンの測定は、尿量に影響されないように、例えば尿中クレアチニンや尿タンパク量に対するコーキシンの比率を求めることが好ましい。
本発明においては、例えば、コーキシン測定キットは、(A) スクリーニング的な使用方法、(B) 診断としての使用方法、(C) 日常管理的な使用方法のいずれかの使用方法のできるものとして構成することが好ましい。測定形態としては、簡便法、厳密法が包含されてよい。簡便法は、例えば、使用者を主に飼い主と設定し、色でおおよそのコーキシンの濃度が判別できるスティックタイプのもの、ネコのトイレに敷いて使用するシーツタイプのもの、ネコの砂に混ぜて使用する小球状タイプを包含していてよく、厳密法は、例えば、使用者を獣医に限定して自動分析装置で測定する液状タイプであってよい。
測定方法としては、酵素活性を測定する方法と抗原抗体反応を用いる方法のいずれであることもできる。特に、免疫学的な方法で測定する手法は好ましい。
【0011】
本発明に従い、コーキシン(Cauxin)ポリペプチド若しくは該コーキシンポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%の相同性を有し且つカルボキシルエステラーゼ活性あるいは同等の抗原性を有するものであるペプチドまたはその塩、そのポリペプチドの特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それらをコードする遺伝子、例えばDNA 、RNA など、その遺伝子を遺伝子組換え技術で操作することが可能なように含有しているベクターあるいはプラスミド、こうしたベクターなどで形質転換された宿主細胞、さらにはその遺伝子を発現するトランスジェニックマウス等のトランスジェニック動物、その遺伝子を特異的に不活性化したノックアウトマウス等のノックアウト動物、その形質転換細胞を、培養して該ポリペプチドまたはその塩を製造する方法、こうして得られた該ポリペプチドまたはその塩やそのポリペプチドの特徴的な部分ペプチドまたはその塩を用いて得られた抗体、特にはモノクローナル抗体、その抗体を産生するハイブリドーマ細胞、該単離された遺伝子、例えばDNA 、RNA などをプローブとして用いたり、あるいは該抗体を用いた測定・診断手段並びに試薬が提供される。さらには、本明細書で開示され説明されている活性成分の利用を提供し、例えば、該活性成分を含有する医薬あるいは試薬などが提供され、そうした活性成分を用いた疾患、疾病あるいは異常な状態の治療及び/又は予防方法、さらにはスクリーニング方法などが提供される。
【0012】
本明細書において「コーキシン(Cauxin)」とは、最初成ネコ尿中に70 Kのタンパク質として見いだされたもので、本発明で開示されている新規なペプチドを指している。該コーキシンは、542 個のアミノ酸残基からなるペプチドであり、そのC 末端側にはカルボキシルエステラーゼの有する小胞体残留シグナル(HXEL)領域を欠いているという特徴を有している。カルボキシルエステラーゼとの類似性から、カルボキシルエステラーゼ活性を有していると予測され、ネコにおける脂質代謝に何らかの活性を有しているとも予測されるものである。かくして該コーキシンは、カルボキシルエステラーゼ活性を有するものが包含される
本明細書で用いる用語「ポリペプチド」としては、以下に記載するような如何なるポリペプチドを指すものであってもよい。ポリペプチドの基本的な構造は周知であり、当該技術分野において非常に数多くの参考書及びその他の刊行物に記載がある。こうしたことに鑑み、本明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合又は修飾したペプチド結合により互いに結合しているような2個又はそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又
は任意のタンパク質を意味する。本明細書で用いる用語「ポリペプチド」としては、当該分野において通常、例えばペプチド、オリゴペプチドあるいはペプチドオリゴマーとも称せられる短い鎖のもの、及びタンパク質と一般的に言われ、多くの形態のものが知られている長い鎖のものの両方を意味してよい。
【0013】
ポリペプチドは、しばしば、通常、20種の天然型アミノ酸(天然に存在しているアミノ酸: あるいは遺伝子でコードされるアミノ酸)と称されるアミノ酸(20個存在している)以外のアミノ酸を含有していてもよい。ポリペプチドは、また末端アミノ酸残基を含めて、その多くのアミノ酸残基が翻訳された後にプロセッシング及びその他の改変(あるいは修飾)されるといった天然の工程によるのみならず、当業者に周知の化学的改変技術によっても、上記のポリペプチドはそれが改変(修飾)できることは理解されよう。該ポリペプチドに加えられる改変(修飾)については、多くの形態のものが知られており、それらは当該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細な論文並びに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知である。幾つかのとりわけ常套的な改変・修飾としては、例えばグリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、水酸化及びADP-リボシル化等が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Proteins-Structure and Molecular Properties, Second Edition, W. H. Freeman and Company, New York, (1993); B.C.Johnson (Ed.), Posttranslational Covalent Modification of Proteins, Academic Press, New York, (1983) (Wold, F., "Posttranslational Protein Modifications: Perspective and Prospects", pp.1-12); Seifter et al., "Analysis for Protein Modifications and nonprotein cofactors", Meth. Enzymol., 182: 626-646 (1990); Rattan et al., "Protein Synthesis: Posttranslational Modification and Aging", Ann. N. Y. Acad. Sci., 663: p.48-62 (1992)等の記載を参照できる。
【0014】
本発明の「ポリペプチド」としては、特にはコーキシン及びその関連ポリペプチドを包含する。該コーキシン及びその関連ポリペプチドとしては、ネコ科動物由来のものが挙げられ、カルボキシルエステラーゼ活性あるいは脂質代謝における活性を有するものが挙げられ、代表的には健常な成ネコ(家ネコ)では観察されるが、例えば仔ネコや腎臓病罹患ネコではその尿中への排泄量が低下する、SDS-PAGEでおおよそ70K にバンドを形成するものが挙げられ、より具体的には、配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列と少なくとも50% より高い相同性を有し且つカルボキシルエステラーゼ活性あるいは同等の抗原性などといった実質的に同等の生物学的活性を有するアミノ酸配列を有するものがすべて挙げられる。
【0015】
本発明のコーキシンとしては、カルボキシルエステラーゼ活性を有するもの、あるいは配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列と高い相同性を有する新規なアミノ酸配列を有するものであればよい。より好ましくは、本発明のペプチドとしては、配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列のうちの連続したアミノ酸残基10個以上、好ましくは20個以上を有するものが挙げられる。本発明のペプチドとしては、配列表の配列番号:2で表されるアミノ酸配列の一部または全部を有していてもよい。こうした配列を有するものはすべて包含されてよい。好ましくは、配列表の配列番号:2のアミノ酸配列のうちの少なくとも Asp26〜Pro542を有するものあるいはその一部を有するものが挙げられる。
【0016】
本明細書中、「相同性」とは、ポリペプチド配列(あるいはアミノ酸配列)又はポリヌクレオチド配列(あるいは塩基配列)における2本の鎖の間で該鎖を構成している各アミノ酸残基同志又は各塩基同志の互いの適合関係において同一であると決定できるようなものの量(数)を意味し、二つのポリペプチド配列又は二つのポリヌクレオチド配列の間の配列相関性の程度を意味するものである。相同性は容易に算出できる。二つのポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の相同性を測定する方法は数多く知られており、「相同性」(「同一性」とも言われる)なる用語は、当業者には周知である (例えば、Lesk, A. M. (Ed.), Computational Molecular Biology, Oxford University Press, New York, (1988); Smith, D. W. (Ed.), Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Academic Press, New York, (1993); Grifin, A. M. & Grifin, H. G. (Ed.), Computer Analysis of Sequence Data: Part I, Human Press, New Jersey, (1994); von Heinje, G., Sequence Analysis in Molecular Biology, Academic Press, New York, (1987); Gribskov, M. & Devereux, J. (Ed.), Sequence Analysis Primer, M-Stockton Press, New York, (1991) 等) 。
【0017】
二つの配列の相同性を測定するのに用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), Guide to Huge Computers, Academic Press, San Diego, (1994); Carillo, H. & Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988) 等に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。相同性を測定するための好ましい方法としては、試験する二つの配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計したものが挙げられる。このような方法は、コンピュータープログラムとして組み立てられているものが挙げられる。二つの配列間の相同性を測定するための好ましいコンピュータープログラム法としては、GCG プログラムパッケージ (Devereux, J. et al., Nucleic Acids Research, 12(1): 387 (1984)) 、BLASTP、BLASTN、FASTA (Atschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1990)) 等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、当該分野で公知の方法を使用することができる。
【0018】
本発明のコーキシンをコードする遺伝子は、代表的には配列表の配列番号:2で表されるペプチド及びその一部の連続したアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するもの、例えば、配列表の配列番号:1で表される塩基配列を含有するもの、塩基配列に開始コドン、例えば、Met をコードするコドン(及び終止コドン)を付加したもの、また、該塩基配列がコードするタンパク質と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を持ち且つカルボキシルエステラーゼ活性を有するかあるいは同等の抗原性などのそれと実質的に同等の生物学的活性を有するペプチドをコードするといったそれと同効の塩基配列を含有するものであれば如何なるものであってもよい。該コーキシンをコードする遺伝子は、一本鎖DNA 、二本鎖DNA 、RNA 、DNA:RNA ハイブリッド、合成DNA などの核酸であり、またネコゲノムDNA 、ネコジェノミックDNA ライブラリー、ネコ科動物組織・細胞由来のcDNA、合成DNA のいずれであってもよい。該コーキシンをコードする遺伝子の塩基配列は、修飾(例えば、付加、除去、置換など)されることもでき、そうした修飾されたものも包含されてよい。さらには、以下説明するように、本発明の核酸は、本発明のペプチドあるいはその一部をコードするものであってよく、好ましいものとしてはDNA が挙げられる。また上記「同効の塩基配列」とは、例えばストリンジェントな条件で配列表の配列番号:1又は配列表の配列番号:3の塩基配列のうちの連続した10個以上の塩基配列、好ましくは20個以上の塩基配列とハイブリダイズし、コーキシンと実質的に同等のアミノ酸配列をコードするものなどが挙げられる。
【0019】
本発明では、遺伝子組換え技術を利用して所定の核酸を単離・配列決定したり、組換え体を作製したり、所定のペプチドを得ることができる。遺伝子組換え技術(組換えDNA 技術を含む) は、例えば J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd edition)", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995);日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京化学同人 (1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、東京化学同人 (1992); R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 68 (Recombinant DNA), Academic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100 (Recombinant DNA, Part B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant DNA, Part F), Academic Press, New York (1987); J. H. Miller ed., "Methods in Enzymology", Vol. 204, Academic Press, New York (1991); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 218, Academic Press, New York (1993); S. Weissman (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 303, Academic Press, New York (1999); J. C. Glorioso et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 306, Academic Press, New York (1999)などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変法により行うことができる (それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる) 〔以下、これら全てを「遺伝子組換え技術」という)。
【0020】
本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(Polymerase Chain Reaction) 」又は「PCR 」とは、一般的に、米国特許第 4683195号明細書などに記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレオチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法を指している。一般に、PCR 法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行うようなサイクルを繰り返し行うことを含むものである。典型的には、PCR 法で用いられるプライマーは、鋳型内部の増幅されるべきヌクレオチド配列に対して相補的なプライマーを使用することができ、例えば、該増幅されるべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であるか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣接しているものを好ましく使用することができる。5'端側のプライマーとしては、少なくとも開始コドンを含有するか、あるいは該開始コドンを含めて増幅できるように選択し、また3'端側のプライマーとしては、少なくともストップコドンを含有するか、あるいは該ストップコドンを含めて増幅できるように選択することが好ましい。プライマーは、好ましくは18〜25個の塩基からなるオリゴヌクレオチドが挙げられる。プライマーの作製は、当該分野で知られた方法で行うことができ、代表的にはAngew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (1989) に記載されているような既知の方法、例えば、フォスフォトリエステル法、フォスフォジエステル法、フォスファイト法、フォスフォアミダイト法、フォスフォネート法などの方法により化学合成されることができる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便利に行うことができることが知られており、例えば、自動化された合成装置、例えば、model 381A DNA synthesizer (Applied Biosystems) などを用いて行うことができる。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそれ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいはトリチル化された塩基などを含有していてよい。
【0021】
PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、例えば R. Saiki, et al., Science, 230: 1350, 1985; R. Saiki, et al., Science, 239: 487, 1988 ; H. A. Erlich ed., PCR Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995) ; M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols: a guide to methods and applications", Academic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998-9002 (1988) などに記載された方法あるいはそれを修飾したり、改変した方法に従って行うことができる。また、PCR 法は、それに適した市販のキットを用いて行うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者により明らかにされているプロトコルに従って実施することもできる。
【0022】
得られたPCR 産物は、通常 1〜2% アガロースゲル電気泳動にかけて、特異なバンドとしてゲルから切り出し、例えば、gene clean kit (Bio 101)などの市販の抽出キットを用いてDNA を抽出する。抽出されたDNA は適当な制限酵素で切断し、必要に応じ精製処理したり、さらには必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18 などのpUC 系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲーションし、適当なコンピテント細胞を形質転換する。クローニングされたPCR 産物はその塩基配列を解析される。PCR 産物のクローニングには、例えば、p-Direct (Clontech), pCR-ScriptTM SK(+) (Stratagene), pGEM-T (Promega), pAmpTM (Gibco-BRL)などの市販のプラスミドベクターを用いることが出来る。宿主細胞の形質転換をするには、例えばファージベクターを使用したり、カルシウム法、ルビジウム/カルシウム法、カルシウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB 凍結コンピテント細胞法、迅速コロニー法、エレクトロポレーションなど当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J. Mol. Biol., 166: 557, 1983 など)。目的とするDNA を単離するためには、逆転写PCR (polymerase chain reaction coupled reverse transcription; RT-PCR) 、RACE (rapid amplification of cDNA ends) を適用することが出来る。RACEは、例えば、M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols" (M. A. Frohman, "a guide to methods and applications"), pp.28-38, Academic Press, New York (1990) などに記載された方法に従って行うことができる。
【0023】
所定の核酸を同定したりするには、下記するようなハイブリダイゼーション技術を利用する。
得られたDNA は、必要に応じてクローニングでき、例えば、プラスミド、λファージ、コスミド、P1ファージ、F因子、YAC などが利用できる。好ましくはλファージ由来のベクターが挙げられ、例えばCharon 4A 、Charon 21A、λgt10、λgt11、λDASHII、λFIXII 、λEMBL3 、λZAPII TM (Stratagene) などが利用できる。また得られたDNA を、下記で詳しく説明するような適当なベクター、例えば、プラスミドpEX 、pMAMneo 、pKG5などのベクターに組込み、下記で詳しく説明するような適当な宿主細胞、例えば、大腸菌、酵母、CHO 細胞、COS 細胞などで発現させることができる。また、該DNA 断片は、そのままあるいは適当な制御配列を付加したDNA 断片として、または適当なベクターに組込み、そして動物に導入して、所定の遺伝子、例えば、プロペプタイド欠失プロMMP-7 あるいはC-末端欠失CD151 を発現するトランスジェニック動物を作成することができる。動物としては、哺乳動物が挙げられ、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウシなどが挙げられる。好ましくは、マウスなどの動物の受精卵に該DNA 断片を導入して、トランスジェニック動物を作成することができる。外来遺伝子を哺乳動物などの動物細胞に導入する方法としては当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことができ、例えばリン酸カルシウム法(例えば、F. L. Graham et al., Virology, 52: 456, 1973など)、DEAE- デキストラン法(例えば、D. Warden et al., J. Gen. Virol., 3: 371, 1968など)、エレクトロポレーション法(例えば、E. Neumann et al., EMBO J, 1: 841, 1982 など)、マイクロインジェクション法、リボソーム法、ウイルス感染法、ファージ粒子法などが挙げられる。こうして所定の遺伝子をトランスフェクションされた動物細胞の産生する遺伝子産物は、それを解析することもできる。
【0024】
所定の遺伝子など(本発明で得られたDNA など)を組込むプラスミドとしては遺伝子工学的に常用される宿主細胞(例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞宿主、酵母、CHO 細胞、COS 細胞等の真核細胞宿主、Sf21等の昆虫細胞宿主)中で該DNA が発現できるプラスミドであればどのようなプラスミドでもよい。こうした配列内には、例えば選択した宿主細胞で発現するのに好適に修飾されたコドンが含まれていることができるし、制限酵素部位が設けられていることもできるし、目的とする遺伝子の発現を容易にするための制御配列、促進配列など、目的とする遺伝子を結合するのに役立つリンカー、アダプターなど、さらには抗生物質耐性などを制御したり、代謝を制御したりし、選別などに有用な配列(ハイブリドタンパク質や融合タンパク質をコードするものも含む)等を含んでいることができる。好ましくは、適当なプロモーター、例えば大腸菌を宿主とするプラスミドでは、トリプトファンプロモーター(trp) 、ラクトースプロモーター(lac) 、トリプトファン・ラクトースプロモーター(tac) 、リポプロテインプロモーター(lpp) 、λファージ PL プロモーター等を、動物細胞を宿主とするプラスミドでは、SV40レートプロモーター、MMTV LTRプロモーター、RSV LTR プロモーター、CMV プロモーター、SRαプロモーター等を、酵母を宿主とするプラスミドでは、GAL1、GAL10 プロモーター等を使用し得る。
【0025】
大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、例えばpBR322、pUC18, pUC19, pUC118, pUC119, pSP64, pSP65, pTZ-18R/-18U, pTZ-19R/-19U, pGEM-3, pGEM-4, pGEM-3Z, pGEM-4Z, pGEM-5Zf(-), pBluescript KSTM (Stratagene) などが挙げられる。大腸菌での発現に適したプラスミドベクターとしては、pAS, pKK223 (Pharmacia), pMC1403, pMC931, pKC30, pRSET-B (Invitrogen) なども挙げられる。動物細胞を宿主とするプラスミドとしては、SV40ベクター、ポリオーマ・ウイルスベクター、ワクシニア・ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられ、例えばpcD, pcD-SRα, CDM8, pCEV4, pME18S, pBC12BI, pSG5 (Stratagene) などが挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドとしては、YIp型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベクター、YCp型ベクターなどが挙げられ、例えばpGPD-2などが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細胞が大腸菌の場合、例えば大腸菌K12 株に由来するものが挙げられ、例えばNM533, XL1-Blue, C600, DH1, DH5, DH11S, DH12S, DH5α, DH10B, HB101, MC1061, JM109, STBL2, B834株由来としては、BL21(DE3)pLysSなどが挙げられる。宿主細胞が動物細胞の場合、例えばアフリカミドリザル線維芽細胞由来のCOS-7 細胞、COS-1 細胞、CV-1細胞、マウス線維芽細胞由来のCOP 細胞、MOP 細胞、WOP 細胞、チャイニーズ・ハムスター細胞由来のCHO 細胞、CHO DHFR- 細胞、ヒトHeLa細胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス細胞由来NIH 3T3 細胞などが挙げられる。昆虫細胞としては、カイコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori nuclear polyhedrosis virus) あるいはそれに由来するものをベクターとし、カイコ幼虫あるいはカイコ培養細胞、例えばBM-N細胞などを用いることが挙げられる。植物細胞を宿主細胞として使用することも可能であり、それに適するベクターと共に、それらは当該分野で広く知られている。本発明の遺伝子工学的手法においては、当該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆転写酵素、DNA 断片をクローン化するのに適した構造に修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA 修飾・分解酵素、DNA ポリメラーゼ、末端ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、DNA リガーゼなどを用いることが出来る。
【0026】
本発明に従い、タンパク質をコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクローニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する細胞株を得ることができる。例えば、宿主細胞として動物細胞を用いた形質転換体において、dhfr遺伝子を選択マーカーとして利用した場合、MTX 濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、本発明のタンパク質をコードするDNA を増幅させ、より高い発現を得られる細胞株を得ることができる。本発明の形質転換体は、本発明のタンパク質をコードする核酸が発現可能な条件下で培養し、目的物を生成、蓄積せしめることができる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地中で培養することができる。例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞宿主、酵母などを宿主としている形質転換体は、液体培地を好適に使用することができる。培地中には、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加してもよい。また、必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることができる。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0027】
培養は、例えば大腸菌では通常約15〜約45℃で約3〜約75時間行い、必要により、通気や攪拌を加えることもできる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえば約5〜約20%の胎児牛血清を含むMEM 培地、PRMI1640培地、DMEM培地などが用いられる。pHは約6〜約8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜約40℃で約15〜約72時間行い、必要に応じて通気や攪拌を加える。所定の遺伝子産物を発現している形質転換体はそのまま利用可能であるが、その細胞ホモジュネートとしても利用できるが、所定の遺伝子産物を単離して用いることもできる。上記培養細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により粗抽出液を得る方法などを適宜用いることができる。緩衝液の中には尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン X-100(商品名)、ツウィーン-20 (商品名)などの界面活性剤を加えてあってもよい。培養液中に目的生成物が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる目的生成物は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせてその精製を行なうことができ、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチル基あるいはカルボキシメチル基などを持つ担体などを用いたイオン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル基、オクチル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体などを用いた疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して得ることができる。好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、リガンドなどを固定化したアフィニティー・クロマトグラフィーなどで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン−アガロース・アフィニティー・クロマトグラフィー、ヘパリン−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0028】
さらに、本発明に係わる遺伝子の塩基配列を基に遺伝子工学的に常用される方法を用いることにより、所定のタンパク質のアミノ酸配列中に適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入した相当するタンパク質を製造することができる。こうした変異・変換・修飾法としては、日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法 II 」、p105(広瀬進)、東京化学同人(1986); 日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(1992); R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, New York (1987); R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p. 468, Academic Press, New York (1983); J. A. Wells et al., Gene, 34: 315, 1985; T. Grundstroem et al., Nucleic Acids Res., 13: 3305, 1985; J. Taylor et al., Nucleic Acids Res., 13: 8765, 1985; R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 155, p. 568, Academic Press, New York (1987); A. R. Oliphant et al., Gene, 44: 177, 1986 などに記載の方法が挙げられる。例えば合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法(部位特異的変異導入法) (Zoller et al., Nucl. Acids Res., 10: 6487, 1987; Carter et al., Nucl. Acids Res., 13: 4331, 1986), カセット変異導入法 (cassette mutagenesis: Wells et al., Gene, 34: 315, 1985), 制限部位選択変異導入法 (restriction selection mutagenesis: Wells et al., Philos. Trans. R. Soc. London Ser A, 317: 415, 1986),アラニン・スキャンニング法 (Cunningham & Wells, Science, 244: 1081-1085, 1989), PCR 変異導入法, Kunkel法, dNTP[αS]法(Eckstein),亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定変異導入法等の方法が挙げられる。
【0029】
遺伝子組換え法で製造する時に融合タンパク質として発現させ、かくして得られた融合タンパク質をその融合部を利用してアフィニティクロマトグラフィーなどで精製することも可能である。こうした融合タンパク質としては、ヒスチジンタグに融合せしめられたもの、あるいは、β-ガラクトシダーゼ(β-gal) 、マルトース結合タンパク (MBP), グルタチオン-S-トランスフェラーゼ (GST)、チオレドキシン (TRX)又は Cre Recombinaseのアミノ酸配列に融合せしめられたものなどが挙げられる。同様に、ポリペプチドは、ヘテロジーニアスなエピトープのタグを付加され、該エピトープに特異的に結合する抗体を用いてのイムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる精製をなし得るようにすることもできる。より適した実施態様においては、該エピトープタグとしては、例えば AU5, c-Myc, CruzTag 09, CruzTag 22, CruzTag 41, Glu-Glu, HA, Ha.11, KT3, FLAG (registered trademark, Sigma-Aldrich), Omni-probe, S-probe, T7, Lex A, V5, VP16, GAL4, VSV-G などが挙げられる。(Field et al., Molecular and Cellular Biology, 8: pp.2159-2165 (1988); Evan et al., Molecular and Cellular Biology, 5: pp.3610-3616 (1985); Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6): pp.547-553 (1990); Hopp et al., BioTechnology, 6: pp.1204-1210 (1988); Martin et al., Science, 255: pp.192-194 (1992); Skinner et al., J. Biol. Chem., 266: pp.15163-15166 (1991); Lutz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: pp.6393-6397 (1990)) など。
【0030】
酵母を利用した two-hybrid 法も利用できる。さらに融合タンパク質としては、検出可能なタンパク質となるようなマーカーを付されたものであることもできる。より好適な実施態様においては、該検出可能なマーカーは、ビオチン/ストレプトアビジン系のBiotin Avi Tag、螢光を発する物質などであってよい。該螢光を発する物質としては、オワンクラゲ (Aequorea victorea)などの発光クラゲ由来の緑色螢光タンパク質(green fluorescent protein: GFP)、それを改変した変異体(GFPバリアント) 、例えば、EGFP (Enhanced-humanized GFP), rsGFP (red-shift GFP), 黄色螢光タンパク質 (yellow fluorescent protein: YFP), 緑色螢光タンパク質 (green fluorescent protein: GFP),藍色螢光タンパク質 (cyan fluorescent protein: CFP), 青色螢光タンパク質 (blue fluorescent protein: BFP), ウミシイタケ (Renilla reniformis) 由来のGFP などが挙げられる(宮脇敦史編、実験医学別冊ポストゲノム時代の実験講座3−GFP とバイオイージング、羊土社 (2000年))。また、上記融合タグを特異的に認識する抗体(モノクローナル抗体及びそのフラグメントを含む)を使用して検出を行うこともできる。 得られたタンパク質(ペプチドあるいはポリペプチドを包含していてよい)は、それを酵素免疫測定法など知られた手法で、適当な担体あるいは固相に結合せしめて固相化することがでる。固相化タンパク質、固相化ペプチドは、便利に結合アッセイや物質のスクリーニングに使用できる。
【0031】
得られたタンパク質(ペプチドあるいはポリペプチドを包含していてよい)は、その有する生物活性を指標にスクリーニングに使用できる。例えば、コーキシンはカルボキシルエステラーゼ活性を有すると考えられるので、公知のカルボキシルエステラーゼ用基質、例えばp-ニトロフェニル酢酸などを反応させ、分解物が発する発色を測定することにより定量ができる。代表的には、p-ニトロフェニル酢酸の水溶液を濾紙などに染み込ませ、これをネコ尿に浸し、例えばカルボキシルエステラーゼ活性により分解されて生ずる産物の発する色の発色を検知することなどである。
コーキシン遺伝子は、新規なポリペプチドをコードしていることは明白であり、コーキシン遺伝子を用いて作製した組換え体プラスミドは全て新規な組換え体であり、そのプラスミドで形質転換あるいはトランスフェクトされ得られた形質転換体あるいはトランスフェクタントも新規なものである。
【0032】
本明細書において、「実質的に同等」とは蛋白質の活性、例えば、酵素活性、生理的な活性、生物学的な活性が実質的に同じであることを意味する。さらにまた、その用語の意味の中には、実質的に同質の活性を有する場合を包含していてよく、該実質的に同質の活性としては、例えば、カルボキシルエステラーゼ活性、ネコ腎臓病、例えば糸球体病変あるいは間質性病変のマーカーとなる活性、カルボキシルエステラーゼ用の合成基質に対する分解活性などを挙げることができる。該実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的に同質であることを示し、例えば、生理的に、薬理学的に、あるいは生物学的に同質であることを示す。例えば、コーキシン活性、カルボキシルエステラーゼ活性などの活性が、同等 (約 0.1〜約10倍) であることが好ましいが、これらの活性の程度、タンパク質の分子量などの量的な要素は異なっていてもよい。
【0033】
本発明のタンパク質及びその一部のペプチドの合成には、当該ペプチド合成分野で知られた方法、例えば液相合成法、固相合成法などの化学合成法を使用することができる。こうした方法では、例えばタンパク質あるいはペプチド合成用樹脂を用い、適当に保護したアミノ酸を、それ自体公知の各種縮合方法により所望のアミノ酸配列に順次該樹脂上で結合させていく。縮合反応には、好ましくはそれ自体公知の各種活性化試薬を用いるが、そうした試薬としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドなどカルボジイミド類を好ましく使用できる。生成物が保護基を有する場合には、適宜保護基を除去することにより目的のものを得ることができる。
本発明のタンパク質及びその一部のペプチドは、それが遊離型のものとして得られた場合には、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で塩に変換することができ、またそれらは塩として得られた場合には、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で遊離型のものあるいは他の塩に変換することができる。 本発明のタンパク質及びその一部のペプチドの塩としては、生理的に許容されるものあるいは医薬として許容されるものが好ましいが、これらに限定されない。こうした塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩、例えば酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマール酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩などが挙げられる。さらに該塩としては、アンモニウム塩、例えばエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ヒドロキシエチルアミンなどの有機塩基との塩なども挙げられる。
【0034】
一つの態様では、本発明に係るネコ腎臓病診断剤は、抗コーキシン(Cauxin)抗体を有効成分として含むものである。ここで、抗コーキシン抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。
本明細書中、「抗体」との用語は、広義の意味で使用されるものであってよく、所望のコーキシンポリペプチド及び関連ペプチド断片に対するモノクローナル抗体の単一のものや各種エピトープに対する特異性を持つ抗体組成物であってよく、また1価抗体または多価抗体並びにポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含むものであり、さらに天然型(intact)分子並びにそれらのフラグメント及び誘導体も表すものであり、F(ab')2, Fab' 及びFab といったフラグメントを包含し、さらに少なくとも二つの抗原又はエピトープ (epitope)結合部位を有するキメラ抗体若しくは雑種抗体、又は、例えば、クワドローム(quadrome), トリオーム(triome)などの二重特異性組換え抗体、種間雑種抗体、抗イディオタイプ抗体、さらには化学的に修飾あるいは加工などされてこれらの誘導体と考えられるもの、公知の細胞融合又はハイブリドーマ技術や抗体工学を適用したり、合成あるいは半合成技術を使用して得られた抗体、抗体生成の観点から公知である従来技術を適用したり、DNA 組換え技術を用いて調製される抗体、本明細書で記載し且つ定義する標的抗原物質あるいは標的エピトープに関して中和特性を有したりする抗体又は結合特性を有する抗体を包含していてよい。
【0035】
特に好ましい本発明の抗体は、天然型のコーキシンポリペプチドを特異的に識別できるものである。 抗コーキシン抗体をポリクローナル抗体として得るためには、免疫源であるコーキシンあるいはそのフラグメント、コーキシン配列の一部のペプチドを哺乳動物、鳥類などに免疫し、当該哺乳動物、鳥類などから抗血清を採取する。そして、この抗血清に含まれるポリクローナル抗体を使用することができる。このコーキシンを感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスターなど、さらに、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、サルなどの霊長類、ニワトリなどの鳥類等が使用される。さらには、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましい場合もある。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物などの腹腔内または皮下に注射することにより行われる。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。 ポリクローナル抗体を含む抗血清は、免疫された動物を所定の期間飼育した後、当該動物から採血した血液から調製することができる。得られた抗血清は、コーキシンを特異的に認識するものであることを確認した後、ネコ腎臓病診断剤として供される。
【0036】
抗体取得の感作抗原として使用されるコーキシンは、本明細書で開示するコーキシン遺伝子/アミノ酸配列を発現することによって得ることができる。
また、本発明において、抗コーキシン抗体としては、哺乳動物由来のモノクローナル抗体として得られたものを使用することもできる。
抗原物質に対して作製されるモノクローナル抗体は、培養中の一連のセルラインにより抗体分子の産生を提供することのできる任意の方法を用いて産生される。修飾語「モノクローナル」とは、実質上均質な抗体の集団から得られているというその抗体の性格を示すものであって、何らかの特定の方法によりその抗体が産生される必要があるとみなしてはならない。個々のモノクローナル抗体は、自然に生ずるかもしれない変異体が僅かな量だけ存在しているかもしれないという以外は、同一であるような抗体の集団を含んでいるものである。モノクローナル抗体は、高い特異性を持ち、それは単一の抗原性をもつサイトに対して向けられているものである。異なった抗原決定基(エピトープ) に対して向けられた種々の抗体を典型的には含んでいる通常の(ポリクローナル)抗体調製物と対比すると、それぞれのモノクローナル抗体は当該抗原上の単一の抗原決定基に対して向けられているものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリン類の夾雑がないあるいは少ない点でも優れている。モノクローナル抗体は、ハイブリッド抗体及びリコンビナント抗体を含むものである。それらは、所望の生物活性を示す限り、その由来や免疫グロブリンクラスやサブクラスの種別に関わりなく、可変領域ドメインを定常領域ドメインで置き換えたり、あるいは軽鎖を重鎖で置き換えたり、ある種の鎖を別の種の鎖でもって置き換えたり、あるいはヘテロジーニアスなタンパク質と融合せしめたりして得ることができる(例えば、米国特許第4816567 号; Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New York, 1987 など) 。
【0037】
モノクローナル抗体を製造する好適な方法の例には、ハイブリドーマ法 (G. Kohler and C. Milstein, Nature, 256, pp.495-497 (1975)); ヒトB細胞ハイブリドーマ法 (Kozbor et al., Immunology Today, 4, pp.72-79 (1983); Kozbor, J. Immunol., 133, pp.3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63, Marcel Dekker, Inc., New York (1987);トリオーマ法; EBV-ハイブリドーマ法 (Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96 (1985))(ヒトモノクローナル抗体を産生するための方法);米国特許第4946778 号 (単鎖抗体の産生のための技術) が挙げられる他、抗体に関して以下の文献が挙げられる: S. Biocca et al., EMBO J, 9, pp.101-108 (1990); R.E. Bird et al., Science, 242, pp.423-426 (1988); M.A. Boss et al., Nucl. Acids Res., 12, pp.3791-3806 (1984); J. Bukovsky et al., Hybridoma, 6, pp.219-228 (1987); M. DAINO et al., Anal. Biochem., 166, pp.223-229 (1987); J.S. Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, pp.5879-5883 (1988); P.T. Jones et al., Nature, 321, pp.522-525 (1986); J.J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), Academic Press, New York (1986); S. Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984); V.T. Oi et al., BioTechniques, 4, pp.214-221 (1986); L. Riechmann et al., Nature, 332, pp.323-327 (1988); A. Tramontano et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, pp.6736-6740 (1986); C. Wood et al., Nature, 314, pp.446-449 (1985); Nature, 314, pp.452-454 (1985) あるいはそこで引用された文献(それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる) 。
【0038】
本発明に係るモノクローナル抗体は、それらが所望の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導される又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホモローガスであるが、一方、鎖の残部は、別の種から誘導される又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホモローガスである、「キメラ」抗体(免疫グロブリン) を特に包含する(米国特許第4816567 号明細書; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984)) 。
本発明に係るモノクローナル抗体は、哺乳動物由来のハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主により産生されるものを挙げることができる。
抗コーキシン抗体を産生するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、以下のようにしてミエローマ細胞を用いての細胞融合技術を利用して作製できる。 すなわち、コーキシンあるいはそのフラグメントを感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。コーキシンあるいはそのフラグメントの調製方法及び哺乳動物に対する免疫方法等に関しては、上述したポリクローナル抗体を含む抗血清を調製する手法に準じて行うことができる。この場合、特に、哺乳動物に対して免疫した後、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付されるが、好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
【0039】
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞としては、公知の種々の細胞株を使用することができる。免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合などは、基本的には公知の方法、たとえば、ケラー及びミルステイン方法(Kohler. G. and Milstein, C.、Methods Enzymol. (1981) 73, 3-46) 等に準じて行うことができる。
以下、モノクローナル抗体を例に挙げて、抗体の作製につき詳しく説明する。 本発明の抗体は、ミエローマ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモノクローナル抗体であってよく、例えば次のような工程で作製できる。
(1) 免疫原性抗原の調製、(2) 免疫原性抗原による動物の免疫、(3) ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製、(4) 抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合、(5) ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクローン化、及び(6) モノクローナル抗体の製造
【0040】
(1) 免疫原性抗原の調製は次のようにして実施できる。抗原としては、上記で記載してあるように、天然型のコーキシンポリペプチド又はそれから誘導された断片(一部のドメインポリペプチド、フラグメント、一部のペプチド、合成ポリペプチドを含んでよく、組換え型のコーキシンポリペプチドであってもよい)を単離したものを用いることもできるが、決定されたコーキシンのアミノ酸配列情報を基に、適当なオリゴペプチドを化学合成しそれを抗原として利用することができる。代表的には配列表の配列番号:2のアミノ酸配列あるいはその一部のドメインのアミノ酸配列;(2)配列番号:2のうちC 端側ドメインを構成するアミノ酸配列あるいはその一部のフラグメント;(3)配列表の配列番号:2のうちN 端側ドメインを構成するアミノ酸配列あるいはその一部のフラグメントなどから成る群から選ばれた領域に存在するアミノ酸残基のうちの連続した少なくとも5個のアミノ酸を有するペプチドが挙げられる。
【0041】
抗原は、そのまま適当なアジュバントと混合して動物を免疫するのに使用できるが、免疫原性コンジュゲートなどにしてもよい。例えば、免疫原として用いる抗原は、コーキシンを断片化したもの、あるいはそのアミノ酸配列に基づき特徴的な配列領域を選び、ポリペプチドをデザインして化学合成して得られた合成ポリペプチド断片であってもよい。また、その断片を適当な縮合剤を介して種々の担体タンパク質類と結合させてハプテン−タンパク質の如き免疫原性コンジュゲートとし、これを用いて特定の配列のみと反応できる(あるいは特定の配列のみを認識できる)モノクローナル抗体をデザインするのに用いることもできる。デザインされるポリペプチドには予めシステイン残基などを付加し、免疫原性コンジュゲートの調製を容易にできるようにしておくことができる。担体タンパク質類と結合させるにあたっては、担体タンパク質類はまず活性化されることができる。こうした活性化にあたり活性化結合基を導入することが挙げられる。
活性化結合基としては、(1) 活性化エステルあるいは活性化カルボキシル基、例えばニトロフェニルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステル基、1-ベンゾトリアゾールエステル基、N-スクシンイミドエステル基など、(2) 活性化ジチオ基、例えば2-ピリジルジチオ基などが挙げられる。担体タンパク質類としては、キーホール・リンペット・ヘモシアニン (KLH)、牛血清アルブミン (BSA)、卵白アルブミン、グロブリン、ポリリジンなどのポリペプタイド、細菌菌体成分、例えばBCG などが挙げられる。
【0042】
(2) 免疫原性抗原による動物の免疫は次のようにして実施できる。免疫は、当業者に知られた方法により行うことができ、例えば村松繁、他編、実験生物学講座 14 、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生化学実験講座 12 、分子免疫学 III、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じて行うことができる。免疫化剤を(必要に応じアジバントと共に)一回又はそれ以上の回数哺乳動物に注射することにより免疫化される。代表的には、該免疫化剤及び/又はアジバントを哺乳動物に複数回皮下注射あるいは腹腔内注射することによりなされる。免疫化剤は、上記抗原ペプチドあるいはその関連ペプチド断片を含むものが挙げられる。免疫化剤は、免疫処理される哺乳動物において免疫原性であることの知られているタンパク質(例えば上記担体タンパク質類など)とコンジュゲートを形成せしめて使用してもよい。アジュバントとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リビ(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG 、リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどのマウス、ハムスター、その他の適当な動物を使用して行われる。抗原の投与量は、例えばマウスに対して約1〜400 μg/動物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注射し、以後1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ごとに腹腔内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を2〜10回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBALB/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウスとのF1マウスなどを用いることもできる。必要に応じ、抗体価測定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫の程度を確認できる。本発明の抗体は、こうして得られ免疫された動物から得られたものであってよく、例えば、抗血清、ポリクローナル抗体等を包含する。
【0043】
(3) ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製は次のようにして実施できる。細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)としては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶことができ、例えば P3-NS-1-Ag4-1 (NS-1, Eur. J. Immunol., 6: 511-519, 1976) 、SP-2/0-Ag14 (SP-2, Nature, 276: 269 〜270,1978 )、マウスミエローマ MOPC-21セルライン由来のP3-X63-Ag8-U1 (P3U1, Curr. topics Microbiol. Immunol., 81: 1-7, 1978 )、P3-X63-Ag8 (X63, Nature, 256: 495-497, 1975 ) 、P3-X63-Ag8-653 (653, J. Immunol., 123: 1548-1550, 1979) などを用いることができる。8-アザグアニン耐性のマウスミエローマ細胞株はダルベッコMEM 培地 (DMEM培地) 、RPMI-1640 培地などの細胞培地に、例えばペニシリン、アミカシンなどの抗生物質、牛胎児血清(FCS) などを加え、さらに8−アザグアニン(例えば5〜45μg/ml) を加えた培地で継代されるが、細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代して所要数の細胞株を用意することができる。また使用細胞株は、凍結保存株を約37℃で完全に解凍したのち RPMI-1640培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地で培養して所要数の細胞株を用意したものであってもよい。
【0044】
(4) 抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合は次のようにして実施できる。上記(2) の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、それから脾細胞懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ節細胞を得て、それを細胞融合に使用することもできる。より具体的には、細胞融合は、例えば、細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM 培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。かくして、こうして得られた脾細胞懸濁液と上記(3) の工程に従い得られたミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地(MEM培地) 、DMEM培地、RPMI-1640 培地などの細胞培地中に置き、細胞融合促進剤、例えばポリエチレングリコールを添加する。細胞融合促進剤としては、この他各種当該分野で知られたものを用いることができ、この様なものとしては不活性化したセンダイウイルス(HVJ: Hemagglutinating Virus of Japan)なども挙げられる。
【0045】
好ましくは、例えば30〜60%のポリエチレングリコールを 0.5〜2ml加えることができ、分子量が 1,000〜8,000 のポリエチレングリコールを用いることができ、さらに分子量が 1,000〜4,000 のポリエチレングリコールがより好ましく使用できる。融合培地中でのポリエチレングリコールの濃度は、例えば30〜60%となるようにすることが好ましい。必要に応じ、例えばジメチルスルホキシドなどの補助剤を少量加え、融合効率を高めることもできる。免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合、すなわち融合に使用する脾細胞(リンパ球): ミエローマ細胞株の割合は、任意に設定することができ、例えば 1:1〜20:1とすることが挙げられるが、より好ましくは 4:1〜10:1とすることができる。
細胞融合は、免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG 溶液(例えば平均分子量1000-6000 程度)を通常30-60 %(w/v )の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
融合反応を1〜10分間行い、次にRPMI-1640 培地などの細胞培地を加える。融合反応処理は複数回行うこともできる。融合反応処理後、遠心などにより細胞を分離した後選択用培地に移す。
【0046】
(5) ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクローン化は次のようにして実施できる。選択用培地としては、通常の選択培養液、例えばヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む、FCS 含有MEM 培地、RPMI-1640 培地などの培地、所謂 HAT培地が挙げられる。上記HAT 培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。選択培地交換の方法は、一般的には培養プレートに分注した容量と等容量を翌日加え、その後1〜3日ごとに HAT培地で半量ずつ交換するというように処理することができるが、適宜これに変更を加えて行うこともできる。また融合後8〜16日目には、アミノプテリンを除いた、所謂HT培地で1〜4日ごとに培地交換をすることができる。フィーダーとして、例えばマウス胸腺細胞を使用することもでき、それが好ましい場合がある。
【0047】
ハイブリドーマの増殖のさかんな培養ウェルの培養上清を、例えば放射免疫分析(RIA) 、酵素免疫分析(ELISA) 、蛍光免疫分析(FIA) 、発光免疫分析(LIA) 、ウエスタンブロッティングなどの測定系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(FACS)などで、所定の断片ペプチドを抗原として用いたり、あるいは標識抗マウス抗体を用いて目的抗体を測定するなどして、スクリーニングしたりする。目的抗体を産生しているハイブリドーマをクローニングする。クローニングは、寒天培地中でコロニーをピック・アップするか、あるいは限界希釈法によりなされうる。限界希釈法でより好ましく行うことができる。クローニングは複数回行うことが好ましい。このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
【0048】
(6) モノクローナル抗体の製造は次のようにして実施できる。当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
かくして、得られたハイブリドーマ株は、FCS 含有MEM 培地、RPMI-1640 培地などの適当な増殖用培地中で培養し、その培地上清から所望のモノクローナル抗体を得ることが出来る。大量の抗体を得るためには、ハイブリドーマを腹水化することが挙げられる。この場合ミエローマ細胞由来の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に各ハイブリドーマを移植し、増殖させるか、あるいは例えばヌード・マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖させ、該動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を回収して得ることが出来る。動物はハイブリドーマの移植に先立ち、プリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与しておくことができ、その処理後、ハイブリドーマを増殖させ、腹水を採取することもできる。腹水液はそのまま、あるいは従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製してモノクローナル抗体として用いることができる。好ましくは、モノクローナル抗体を含有する腹水は、硫安分画した後、DEAE−セファロースの如き、陰イオン交換ゲル及びプロテインAカラムの如きアフィニティ・カラムなどで処理し精製分離処理できる。特に好ましくは抗原又は抗原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗原タンパク質あるいはペプチド、抗体が特異的に認識する部位など)を固定化したアフィニティ・クロマトグラフィー、プロテインAを固定化したアフィニティ・クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0049】
また、トランスジェニックマウス又はその他の生物、例えば、その他の哺乳動物は、本発明の免疫原ポリペプチド産物に対する抗体を発現するのに用いることができる。
またこうして大量に得られた抗体の配列を決定したり、ハイブリドーマ株から得られた抗体をコードする核酸配列を利用して、遺伝子組換え技術により抗体を作製することも可能である。当該モノクローナル抗体をコードする核酸は、例えばマウス抗体の重鎖や軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用するなどの慣用の手法で単離し配列決定することができる。一旦単離されたDNA は、発現ベクターに入れ、CHO, COSなどの宿主細胞に入れることができる。該DNA は、例えばホモジーニアスなマウスの配列に代えて、ネコの重鎖や軽鎖の定常領域ドメインをコードする配列に置換するなどして修飾することが可能である (Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6581, 1984)。かくして所望の結合特異性を有するキメラ抗体やハイブリッド抗体も調製することが可能である。また、抗体は、下記するような縮合剤を用いることを含めた化学的なタンパク合成技術を適用して、キメラ抗体やハイブリッド抗体を調製するなどの修飾をすることも可能である。
さらにこれら抗体をトリプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理して、場合により還元して得られるFab 、Fab'、F(ab')2 といった抗体フラグメントにして使用してもよい。
【0050】
抗体は、既知の任意の検定法、例えば競合的結合検定、直接及び間接サンドイッチ検定、及び免疫沈降検定に使用することができる(Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC Press, Inc., 1987) 。
抗体を検出可能な原子団にそれぞれコンジュゲートするには、当分野で知られる任意の方法を使用することができ、例えば、David et al., Biochemistry, 13巻, 1014-1021 頁(1974); Pain et al, J. Immunol. Meth., 40: pp.219-231 (1981);及び "Methods in Enzymology", Vol. 184, pp.138-163 (1990) により記載の方法が挙げられる。標識物を付与する抗体としては、IgG 画分、更にはペプシン消化後還元して得られる特異的結合部Fab'を用いることができる。これらの場合の標識物の例としては、下記するように酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼあるいはβ-D- ガラクトシダーゼなど)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元素などがある。
【0051】
本発明での検知・測定は、免疫染色、例えば組織あるいは細胞染色、免疫電子顕微鏡、免疫クロマトクグラフィー、イムノアッセイ、例えば競合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで行うことができ、放射免疫測定法(RIA), FIA, LIA, EIA, ELISA などを用いることができ、B-F 分離を行ってもよいし、あるいは行わないでその測定を行うことができる。好ましくはRIA, EIA, FIA, LIAであり、さらにサンドイッチ型アッセイが挙げられる。例えばサンドイッチ型アッセイでは、一方を本発明のコーキシンポリペプチドに対する抗体あるいはコーキシンの関連ペプチド断片に対する抗体とし、他方をコーキシンのC 末端側残基に対する抗体とし、そして一方を検出可能に標識化する(もちろん、その他の組み合わせも可能であり、目的に応じて適宜デザインできる)。同じ抗原を認識できる他の抗体を固相に固定化する。検体と標識化抗体及び固相化抗体を必要に応じ順次反応させるためインキュベーション処理し、ここで非結合抗体を分離後、標識物を測定する。測定された標識の量は抗原、すなわちコーキシンポリペプチド抗原の量と比例する。このアッセイでは、不溶化抗体や、標識化抗体の添加の順序に応じて同時サンドイッチ型アッセイ、フォワード(forward)サンドイッチ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型アッセイなどと呼ばれる。
【0052】
例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるいは抗原の予備抽出等は、特定の状況のもとでそれら測定工程の中で適宜採用される。特定の試薬、緩衝液等の濃度、温度あるいはインキュベーション処理時間などのその他の測定条件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性質等の要素に従い変えることができる。当業者は通常の実験法を用いながら各測定に対して有効な最適の条件を適宜選定して測定を行うことが出来る。
抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに使用されるものが種々知られており、本発明においても勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例えばアミノアルキルシリルガラスなどの活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたもの、シリコンガムなど、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられる。
【0053】
さらに、ろ紙、ビーズ、チューブ、キュベット、試験容器の内壁、例えば試験管、タイタープレート、タイターウェル、マイクロプレート、ガラスセル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、ガラス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質(物体)の表面などが挙げられる。
これら担体へは、抗体を結合させることができ、好ましくは本発明で得られる抗原に対し特異的に反応する抗コーキシン抗体(抗血清や精製抗体を含む)や抗コーキシンモノクローナル抗体を結合させることができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するものとの結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合剤などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりする化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利用した手法などにより行うことが出来る。標識としては、酵素、酵素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒子、例えば金コロイドなど、非金属元素粒子、例えばセレンコロイドなど、放射性物質などを挙げることができる。酵素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキシル基、メチル基、アシル基、リン酸基などを転移するのを触媒する転移酵素、例えばエステル結合、グリコシド結合、エーテル結合、ペプチド結合などを加水分解する加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼなどを挙げることができる。酵素は複数の酵素を複合的に用いて検知に利用することもできる。
【0054】
例えば酵素的サイクリングを利用することもできる。代表的な放射性物質の標識用同位体元素としては、[32P], [125I], [131I],[3H],[14 C],[35S] などが挙げられる。代表的な酵素標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β-D- ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、マレエート・デヒドロゲナーゼ、グルコース-6- フォスフェート・デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラーゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリホスファターゼなどのアルカリフォスファターゼなどが挙げられる。アルカリホスファターゼを用いた場合、4-メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウンベリフェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなどのリン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素的サイクリング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン誘導体などの基質を使用したりして、生ずる蛍光、発光などにより測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ系を利用したりすることもできる。カタラーゼを用いた場合、過酸化水素と反応して酸素を生成するので、その酸素を電極などで検知することもできる。電極としてはガラス電極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電極、高分子膜電極などであることもできる。
【0055】
酵素標識は、ビオチン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトアビジン)に置き換えることも可能である。このように、ビオチン−アビジン系を使用したり、抗ガレクチン抗体に対する抗体などの二次的な抗体を使用するなど、当該分野で公知の感度増強法を適宜採用することができる。標識は、複数の異なった種類の標識を使用することもできる。こうした場合、複数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時にあるいは別々に行うことを可能にすることもできる。 本発明においては、信号の形成に4-ヒドロキシフェニル酢酸、o-フェニレンジアミン (OPD)、テトラメチルベンジジン (TMB)、5-アミノサリチル酸、3,3-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド (DAB)、3-アミノ-9- エチルカルバゾール (AEC)、チラミン、ルミノール、ルシゲニンルシフェリン及びその誘導体、Pholad luciferinなどと西洋ワサビ・ペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、ルミジェンPPD 、(4- メチル) ウンベリフェリル- リン酸、p-ニトロフェノール- リン酸、フェノール- リン酸、ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、AMPAK TM(DAKO)、AmpliQTM(DAKO)などとアルカリフォスファターゼ、4-メチルウンベリフェリル- β-D- ガラクトシドといったウンベリフェリルガラクトシド、o-ニトロフェノール- β-D- ガラクトシドといったニトロフェニルガラクトシドなどとβ-D- ガラクトシダーゼ、グルコース-6- リン酸・デヒドロゲナーゼ、ABTSなどとグルコースオキシダーゼなどの酵素試薬の組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾキノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働きで形成しうるものが使用できる。
【0056】
蛍光物質あるいは化学ルミネッセンス化合物としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、例えばローダミンB イソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネートアイソマーR (TRITC) などのローダミン誘導体、7-アミノ-4- クマリン-3- 酢酸、ダンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレスカミン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどのルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。発色、螢光などを含めた生成する信号などを検知するには、視覚によることもできるが、公知の装置を使用することもでき、例えば螢光光度計、プレートリーダーなども使用できる。また、放射性同位体(アイソトープ)などの出す信号を検知するには、公知の装置を使用することもでき、例えばガンマーカウンター、シンチレーションなども使用することができる。
標識するには、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行うことができ、公知の方法あるいは当該分野の当業者が容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜選択して適用できる。
【0057】
また上記免疫原性複合体作製に使用されることのできる縮合剤、担体との結合に使用されることのできる縮合剤などを用いることができる。縮合剤としては、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'- ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'- エチレンビスマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネート、ビスジアゾベンジジン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3-(2- ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N-スクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)、N-スルホスクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキサン-1- カルボキシレート、N-スクシンイミジル(4- ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N-スクシンイミジル 4-(1- マレイミドフェニル)ブチレート、 N-(ε- マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS), イミノチオラン、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物、メチル-3-(4'- ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル-4- メルカプトブチリルイミデート、メチル-3- メルカプトプロピオンイミデート、N-スクシンイミジル-S- アセチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
【0058】
本発明の測定法によれば、測定すべき物質を酵素などで標識した抗血清、精製抗体あるいはモノクローナル抗体などの標識抗体試薬と、担体に結合された抗体とを順次反応させることができるし、同時に反応させることもできる。試薬を加える順序は選ばれた担体系の型により異なる。感作されたプラスチックなどのビーズを用いた場合には、標識した抗血清、精製抗体あるいはモノクローナル抗体などの標識抗体試薬を測定すべき物質を含む検体試料と共に最初適当な試験管中に一緒に入れ、その後該感作されたプラスチックなどのビーズを加えることにより測定を行うことができる。
本発明の測定法においては、免疫学的測定法が用いられるが、その際の固相担体としては、抗体などタンパク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカーボネイト製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製のボール、マイクロプレート、スティック、微粒子あるいは試験管などの種々の材料および形態を任意に選択し、使用することができる。
【0059】
測定にあたっては至適pH、例えばpH約4〜約9に保つように適当な緩衝液系中で行うことができる。特に適切な緩衝剤としては、例えばアセテート緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェート緩衝剤、トリス緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリス−塩酸緩衝剤、ベロナール緩衝剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合して用いることができる。抗原抗体反応は約0℃〜約60℃の間の温度で行うことが好ましい。
酵素などで標識された抗血清、精製抗体、あるいはモノクローナル抗体などの抗体試薬及び担体に結合せしめられた抗体試薬、さらには測定すべき物質のインキュベーション処理は、平衡に達するまで行うことができるが、抗原抗体反応の平衡が達成されるよりもずっと早い時点で固相と液相とを分離して限定されたインキュベーション処理の後に反応を止めることができ、液相又は固相のいずれかにおける酵素などの標識の存在の程度を測ることができる。測定操作は、自動化された測定装置を用いて行うことが可能であり、ルミネセンス・ディテクター、ホト・ディテクターなどを使用して基質が酵素の作用で変換されて生ずる表示シグナルを検知して測定することもできる。抗原抗体反応においては、それぞれ用いられる試薬、測定すべき物質、さらには酵素などの標識を安定化したり、抗原抗体反応自体を安定化するように適切な手段を講ずることができる。
【0060】
さらに、非特異的な反応を除去し、阻害的に働く影響を減らしたり、あるいは測定反応を活性化したりするため、タンパク質、安定化剤、下記するような界面活性剤、キレート化剤などをインキュベーション溶液中に加えることもできる。キレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩 (EDTA) がより好ましい。当該分野で普通に採用されていたりあるいは当業者に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブロッキング処理を施してもよく、例えば、哺乳動物などの正常血清や血清タンパク質、アルブミン、ヘモグロビン、オボアルブミン(OVA) 、スキムミルク、乳発酵物質、コラーゲン、ゼラチンなどで処理することができる。非特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それらの方法は特に限定されず用いることが出来る。さらに、試料や固相などの洗浄には、上記した緩衝液系や食塩液から適宜適当な液を選択してそれを使用でき、さらにそこにTween 20 (商品名) 、Tween 80 (商品名) 、NP-40(商品名) 、Triton X100(商品名) 、Briji(商品名) などの非イオン性界面活性剤、CHAPS などの両イオン性界面活性剤の他、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤などから成る群から選ばれたものを添加して使用できる。
【0061】
本発明の測定方法で測定される試料としては、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液、非流体試料などが使用しうるが、好ましくは生物由来の試料、例えば腎臓などの臓器及び組織、尿、その他の体液、細胞培養液、組織培養液、組織ホモジュネート、生検試料、細胞などが挙げられる。
本発明に従えば、抗コーキシン抗体を用いたネコ尿中タンパク質の検査キットが好ましく提供される。該キットの基本構造は、例えば特開平9-171019号公報、特開平10-132817 号公報などに開示の人の妊娠検査キットをはじめ、現在一般的に使われている簡便法と類似の形態とされたものが挙げられる。該検査キットは、例えば、湿潤状態で物質の移動を可能にする担体に、(a) 検体を適用する部位、(b) 標識抗体を含有した部位、(c) 抗原検出部位及び(d) 反応終了判定部位
を順次形成してあるものからなり、(i) 標識抗体を含有した部位には、湿潤状態において該担体上を抗原検出部位、反応終了判定部位へと順次移動し得る、コーキシンに対する標識した抗体(標識抗体)を含有せしめ、(ii) 検出部位には、固相化したコーキシンに対する抗体(固相化抗体)を存在せしめるようにし、(iii) 反応終了判定部位には、標識抗体として使用した抗体に対する抗体(第二抗体) を固相化した部位を形成せしめ、かくして、検体を適用する部位に検体を適用することにより、検体を担体において移動せしめ、標識抗体を溶出させ、抗原検出部位の固相化抗体及び反応終了判定部位の第二抗体部位を通過せしめることにより、検体中のコーキシンを検出する、ことを特徴とするコーキシン検出キット並びに該検出キットで使用されるそれぞれの試薬である。
【0062】
典型的な例としては、例えば金コロイド免疫クロマト法などが挙げられる。金コロイド免疫クロマト法は、例えば、(1) 金コロイド溶液に、適当量の抗コーキシン抗体を結合させ金コロイド標識抗体を調製する; (2) 液体サンプルを滴下するサンプルパッド部、金コロイド標識抗体が存在する金コロイド相、抗コーキシン抗体を固定したトラップ部、反応液を吸収する吸水パッドの4つが一列に並んだ短冊状の反応ろ紙を作る;(3)コーキシンを含んだネコ尿をサンプルパッドに滴下すると、クロマト現象によりサンプルが金コロイド相に移動し、尿中コーキシンが金コロイド標識抗体と結合する;(4)表面にコーキシンが結合した金コロイドがさらに拡散してトラップ部に移動するとトラップ部分の抗体によりその場に金コロイドが固定される;(5)トラップ部に金コロイドが凝集するとその部分が赤紫色に着色して観察される、といったものが挙げられる。なお、尿中にコーキシンが存在しない場合は、金コロイドはトラップ部を通り過ぎて吸水パッドまで移行するので着色は見られない。尿中コーキシンの濃度が高いと金コロイド凝集量が多くなり着色が強くなる(もしくは、着色域が広くなる)。かくして、定量的な測定も可能となる。
【0063】
該湿潤状態で物質の移動を可能にする担体としては、上記で挙げられた担体から選択してよく、例えば多孔質キャリアとして知られたものを挙げることができ、吸湿性材料、多孔質材料、繊維質材料など任意の材料で作製できる。材料は、多孔性とされているものが好ましく、また多孔性が一方向性又は多方向性のいずれであってもよい。ここで、一方向性とは、繊維あるいは気孔の全部が部材の軸に平行に通っていることを意味してよく、多方向性とは、全方向性であること、すなわち、液の浸透性あるいは透過性に関し繊維あるいは気孔などに特別な配向性が認められないことを意味してよい。好適な担体の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン、エチレン酢酸ビニル、アクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレンなどのプラスチック、紙、濾紙、ニトロセルロースなどの各種セルロース材料などが挙げられる。標識抗体に使用される標識としては、上記で挙げられた標識から選択してよく、例えば上記したように金コロイド、染料ゾル、着色ラテックスなど直接可視可能な信号を与えるものは、好適に利用できる。標識抗体は、例えばマイクロシリンジ、マイクロインジェクターなどを使用して、当該担体の内部に注入あるいは表面に塗布又は積層するなどして担体に適用できる。抗体の固相化は、上記した手法から選択してよい。
【0064】
これら個々の免疫学的測定法を含めた各種の分析・定量法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本発明の当該対象物質あるいはそれと実質的に同等な活性を有する物質に関連した測定系を構築すればよい。
本発明の抗コーキシン抗体、特にモノクローナル抗体を用いて、エピトープマッピングを行うこともでき、各エピトープを認識する抗体を用いれば各コーキシン及びその関連ペプチド断片などの検知・測定を行うことができる。
上述したように、ポリクローナル抗体(抗血清を含む) 又はモノクローナル抗体として得られた抗コーキシン抗体を含むネコ腎臓病診断・検出剤は、腎臓などの組織から抽出した細胞を標本として免疫組織学的にコーキシン量を解析するのに使用できる。すなわち、対象の細胞におけるコーキシン量を解析することによって、ネコ腎臓病の検知及び診断が可能である。
ここで、ネコ腎臓病診断剤は、抗コーキシン抗体を有効成分として含むものであってよい。「有効成分として含む」とは、ネコ腎臓病を検出しうる濃度で抗コーキシン抗体を含むことを意味する。また、抗コーキシン抗体は、コーキシンタンパクにおける如何なる領域を認識してもよく、エピトープに限定されるものではない。
【0065】
本明細書において、コーキシンとしては、配列表の配列番号:2のコーキシン、その他、それらコーキシンの天然に生ずる変異体、さらにそれらに人工的な変異(すなわち、一個以上のアミノ酸残基において、欠失、付加、修飾、挿入など)を施したものあるいはそれらの一部のドメインや一部のペプチドフラグメントを含むものを意味してよい。
代表的な抗コーキシン抗体としては、こうしたコーキシンの全てに結合する抗体、コーキシンのC-末端側ドメインあるいはそのフラグメントペプチドに特異的な抗体、コーキシンのN-末端側ドメインあるいはそのフラグメントペプチドに特異的な抗体などが挙げられる。
コーキシンの測定系としては、例えば組織に対しては免疫染色(METHODS, 24, 289-296(2001); J Immunol Methods, 47(2), 129-144(1981); ibid., 150(1-2), 5-21, 23-32 & 151-158(1992); Cancer J, 7(1), 24-31(2001) 等) 、免疫電子顕微鏡(Mol Biotechnol, 7(2), 145-151(1997); J Electron Microsc Tech., 19(1), 57-63 & 64-79(1991); ibid., 19(3), 305-315(1991) 等) といった蛋白測定系、in situ hybridization といった発現遺伝子測定系が、組織抽出物に対してはEIA, RIA, FIA, LIA, ウエスタンブロッティング(J Electron Microsc (Tokyo), 45(2), 119-127(1996); Methods Biochem Anal., 33, 1-58(1988); Methods Enzymol., 271, 177-203(1996); ibid., 305, 333-345(2000); J Immunol Methods, 152(2), 227-236(1992); ibid., 170(2), 177-184(1994); ibid., 195(1-2), 149-152(1996);口野嘉幸他編、「遺伝子・タンパク質、実験操作 ブロッティング法」、株式会社ソフトサイエンス社、昭和62年11月10日発行など) といった蛋白測定系、ノーザンブロッティング、ドットブロット、RNase プロテクションアッセイ、RT-PCR (reverse transcription polymerase chain reaction)、Real-Time PCR (Clinical Chemistry, 46: 11, 1738-1743 (2000))といった発現遺伝子測定系、そして血中、体液などに対してはEIA, RIA, FIA, LIA, ウエスタンブロッティングといった蛋白測定系を有利に利用できる。また抗コーキシン抗体の測定系としては、例えば血中、体液などに対してはEIA, RIA, FIA, LIA, ウエスタンブロッティングといった蛋白測定系を有利に利用できる。
【0066】
EIA の測定系において、例えば競合法では、抗コーキシン抗体を固相化抗体として使用し、標識抗原及び非標識抗原(抗原としては、コーキシンあるいはそのフラグメントペプチドなどが挙げられる)を使用するし、また非競合法で、例えばサンドイッチ法では、固相化抗コーキシン抗体や標識抗コーキシン抗体を利用できる他、抗コーキシン抗体を直接標識したり、固相化せずに、抗コーキシン抗体に対する抗体を標識したり、固相化して行うこともできる。感度増幅法としては、例えば、非酵素標識一次抗体との組み合わせでは、高分子ポリマーと酵素と一次抗体を利用するもの(Envision試薬を応用したもの; Enhanced polymer one-step staining (EPOS))が挙げられ、非酵素標識二次抗体との組合せでは、例えば PAP (peroxidase-antiperoxidase)法などの酵素と抗酵素抗体複合体の組合せ、SABC (avidin-biotinylated peroxidase complex) 法などのビオチン標識二次抗体とビオチン標識酵素−アビジン複合体の組合せ、ABC (streptavidin-biotin complex) 法、LSAB (labeled streptavidin-biotin)法などのビオチン標識二次抗体とビオチン標識酵素−ストレプトアビジン複合体の組合せ、CSA (catalyzed signal amplification)法などのSABCとビオチン標識タイラマイドと酵素標識ストレプトアビジンの組合せ、高分子ポリマーで二次抗体と酵素を標識してあるものなどが挙げられる。
【0067】
これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる〔例えば、入江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和49年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techniques, Part A), Academic Press, New York (1980); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), Academic Press, New York (1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 74 (Immunochemical Techniques, Part C), Academic Press, New York (1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 84 (Immunochemical Techniques, Part D: Selected Immunoassays), Academic Press, New York (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 92 (Immunochemical Techniques, Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods), Academic Press, New York (1983); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), Academic Press, New York (1986); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 178 (Antibodies, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic Press, New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 184 (Avidin-Biotin Technology), Academic Press, New York (1990); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 203 (Molecular Design and Modeling: Concepts and Applications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucleic Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic Press, New York (1991) などあるいはそこで引用された文献 (それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる) 〕。
【0068】
別の態様では、本発明は、コーキシンあるいはその構成ドメインをコードする核酸とハイブリダイゼーションする核酸を有効成分として含むことを特徴とするネコ腎臓病検出・診断剤、ネコ腎臓病検出法及びそれに利用するシステムを提供する。当該ハイブリダイゼーションする核酸としては、例えばプローブ及びプライマーなどが挙げられる。コーキシン遺伝子あるいはその産物とハイブリダイゼーションするプローブであれば、その目的に合致するかぎり、制限なく利用できる。当該核酸は、上記した「遺伝子組換え技術」に従い入手でき、例えば配列表の配列番号:3記載の塩基配列の情報を利用して、複数のプライマーをデザインして合成し、PCR(polymerase chain reaction)などを行うことによっても簡単に得られる。プライマーの作製は、当該分野で知られた方法で行うことができ、代表的にはフォスフォジエステル法、フォスフォトリエステル法、フォスフォアミダイト法などにより合成でき、例えば自動DNA 合成装置、例えば、model 381A DNA synthesizer (Applied Biosystems) などを用いて合成できる。cDNAライブラリーとセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを用いてPCR を行い、cDNAを増幅できる。得られた核酸は、それを特異的なハイブリダイゼーションプローブとして利用できる。プローブなどを放射性同位体などによって標識するには、市販の標識キット、例えばランダムプライム DNAラベリングキット (Boehringer Mannheim)などを使用して行うことができる。例えば、random-primingキット (Pharmacia LKB, Uppsala) などを使用して、プローブ用DNA を [α-32P]dCTP (Amersham)などで標識し、放射活性を持つプローブを得ることができる。また、プローブの標識としては、当該分野で知られたものを使用でき、また、抗体のところで説明した標識から適宜選択して利用することもできる。
【0069】
ハイブリダイゼーションは、所定のDNA を保持するなどしている試料をナイロンフィルターなどの膜に転写せしめ、必要に応じ変成処理、固定化処理、洗浄処理などを施した後、その膜に転写せしめられたものを、必要に応じ変成させた標識プローブDNA 断片と、ハイブリダイゼーション用バッファ中で反応させて行われる。ハイブリダイゼーション処理は、普通約35℃〜約80℃、より好適には約50℃〜約65℃で、約15分〜約36時間、より好適には約1 時間〜約24時間行われるが、適宜最適な条件を選択して行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーション処理は、約55℃で約18時間行われる。ハイブリダイゼーション用バッファとしては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、例えば、Rapid hybridization buffer(Amersham)などを用いることができる。転写した膜の変成処理としては、アルカリ変性液を使用する方法が挙げられ、その処理後中和液や緩衝液で処理するのが好ましい。また膜の固定化処理としては、普通約40℃〜約 100℃、より好適には約70℃〜約90℃で、約15分〜約24時間、より好適には約1 時間〜約4 時間ベーキングすることにより行われるが、適宜好ましい条件を選択して行うことができる。例えば、フィルターを約80℃で約2 時間ベーキングすることにより固定化が行われる。転写した膜の洗浄処理としては、当該分野で普通に使用される洗浄液、例えば1M NaCl 、1mM EDTAおよび 0.1% Sodium Dodecyl sulfate (SDS) 含有 50mM Tris-HC1緩衝液,pH8.0 などで洗うことにより行うことができる。転写する膜としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、例えば、ナイロンフィルターなどを挙げることができる。
【0070】
上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、0.5M NaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げることができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有 0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることができ、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができる。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に応じて転写した膜はプレハイブリダイゼーション処理することが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50% formamide、 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アルブミン、0.2 % polyvinyl pyrrolidone)、 5×SSPE、0.1 % SDS、100 μg/ml 熱変性サケ精子DNA ]などに浸し、約35℃〜約50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜約24時間、好ましくは約 6〜約8 時間反応させることにより行うことができるが、こうした条件は当業者であれば適宜実験を繰り返し、より好ましい条件を決めることができる。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブDNA 断片の変成は、例えば、約70℃〜約100 ℃、好ましくは約100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5分間加熱するなどして行うことができる。なお、ハイブリダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で行うことができるが、本明細書でストリンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、約15〜約50mM、好ましくは約19〜約40mM、より好ましくは約19〜約20mMで、温度については約35〜約85℃、好ましくは約50〜約70℃、より好ましくは約60〜約65℃の条件を示す。
【0071】
ハイブリダイゼーション完了後、フィルターを十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーション反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブを取り除く。フィルターの洗浄処理は、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いて行うことができ、例えば、0.1 % SDS含有 0.5×SSC ( O.15M NaCl、15mM クエン酸)溶液などで洗うことにより実施できる。
ハイブリダイズした部位は、代表的にはオートラジオグラフィーにより検出することができるが、当該分野で用いられる方法の中から適宜選択して検出に用いることもできる。
【0072】
コーキシン発現遺伝子(cDNA などのDNA 及びmRNAなどのRNA を含む) を、上記した「遺伝子組換え技術」に従い、当該分野で特定の遺伝子の発現を検知測定するために知られた手法、例えばin situ ハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティング、ドットブロット、RNase プロテクションアッセイ、RT-PCR、Real-Time PCR (Journal of Molecular Endocrinology, 25, 169-193(2000)及びそこで引用されている文献) 、DNA アレイ解析法 (Mark Shena編、"Microarray Biochip Technology", Eaton Publishing(2000年3月))などによって検知・測定して、ネコ腎臓病を検知することができる。こうした技術を利用したコーキシン発現遺伝子測定系、それに利用する試薬、方法、プロセスなどは、すべて本発明のネコ腎臓病検出・診断剤、ネコ腎臓病検出・診断法及びそれに利用するシステムに含まれる。該in situ ハイブリダイゼーションには、例えばノン RI in situ ハイブリダイゼーションが含まれてよく、そこには、例えば直接法及び間接法が含まれてよい。該直接法は、例えば核酸プローブに検出可能な分子(レーポーター)が直接結合しているものを使用し、該間接法は、例えばレーポーター分子に対する抗体などを使用してシグナルを増幅せしめているものである。核酸プローブ中のオリゴヌクレオチドには、官能基(例えば、第一級脂肪族アミノ基、SH基など) が導入されており、こうした官能基にハプテン、螢光色素、酵素などが結合せしめられていてもよい。核酸プローブの標識としては、代表的にはジゴキシゲニン(DIG) 、ビオチン、フルオレッセインなどが挙げられるが、上記したように抗体のところで説明した標識から適宜選択して使用することができるし、また多重ラベリングも利用でき、さらに標識抗体も利用できる。核酸プローブの標識法としては、当該分野で知られた方法から適宜選択して使用できるが、例えばランダムプライム法、ニック・トランスレーション法、PCR によるDNA の増幅、ラベリング/テイリング法、in vitro transcription法などが挙げられる。処理された試料の観察には、当該分野で知られた方法から適宜選択して使用できるが、例えば暗視野顕微鏡、位相差顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、螢光顕微鏡、デジタルイメージング顕微鏡、電子顕微鏡なども使用できるし、さらにフローサイトメトリーなどによることもできる。
【0073】
本発明では、コーキシン及びコーキシン発現遺伝子をネコ腎臓病のマーカーとして使用することができ、それにより、様々な形態のネコ腎臓病検出・診断剤あるいは該病気の検出及び/又は測定剤、ネコ腎臓疾患検出・診断法あるいは異常の検出及び/又は測定法、さらには該検出及び/又は測定試薬セットあるいはシステムを作成でき、ネコ腎臓病の診断、予防、治療において役立つばかりでなく、それらは優れている。さらにそれらは、ネコ腎臓病の治療した後、即ち、予後についても、それを対象とした病気検出及び/又は測定剤、病気検出及び/又は測定法、さらには病気検出及び/又は測定試薬セットあるいはシステムとすることが可能であり、予後のものとしても優れた機能、作用効果を期待できる。
本明細書中で「マーカー」とは、当該「ネコ腎臓病」又は「ネコ腎臓の異常」の認識あるいは同定を可能にするものであることを指してよく、さらに当該「病気」の程度及び「症状」の悪性度の尺度としての働きを示すものであってよく、当該マーカーの存否及び/又は量的な違いにより、上記した機能を示すものを言うと考えてよい。
本発明により、抗コーキシン抗体を用いてネコ尿中のコーキシン量を定量できるような検査キットを用いることにより、来院することなく飼い主が簡便に猫の健康状態をチェックすることができる。さらに、回復不能になる前にネコの腎臓疾患を発見することが可能になり、家猫の寿命を延ばすことができる。獣医師が用いることにより腎臓疾患の進行度の判定や予後の診断の指標とすることができる。
明細書及び図面において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。
【0074】
【実施例】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
なお、以下の実施例において、特に指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処理条件などは、DNA クローニングでは J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, "Molecular Cloning", 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor, N. Y. (1989)及び D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995) ; 特にPCR 法では、H. A. Erlich ed., PCR Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995) 及び M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols", Academic Press, New York (1990)に記載の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいはキットを用いている場合はそれらに添付の指示書(protocols) や添付の薬品等を使用している。
【0075】
実施例1
(1) ネコの尿中タンパク質の検索及び解析
(a) ネコの尿中タンパク質を解析するために、成ネコ、仔ネコ及び腎臓病のネコよりそれぞれ尿を採取し、非還元条件下でSDS-PAGEを行った。
ネコ(ネコ科動物)の尿10μl にSDS サンプルバッファーを添加後、3分間ボイルし、Laemmli の方法に従って、ポリアクリルアミドゲル(12%濃度)を用いて非還元条件下でSDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)を行った。泳動後、ゲルはクマシーブリリアントブルーR250染色液で染色した。
結果を図1に示す。健常な成ネコの尿中には、性差に関係なく分子量70 kのタンパク質が高濃度排泄されていた。このタンパク質は、仔ネコの尿中では、検出されず、腎臓病のネコでは、尿中排泄量が著しく減少していた。このタンパク質を「コーキシン(Cauxin)」と命名した。
【0076】
(b) ネコ科の動物についても、尿中タンパク質を解析するため、それぞれネコ亜科イエネコ群、ネコ亜科ヤマネコ群、ヒョウ亜科、チーター亜科の動物の尿を採取し、上記(a) と同様にして、非還元条件下でSDS-PAGEを行った。
結果を図2に示す。上記で同定された尿中タンパク質(コーキシン)と同じ一に、70kDa のコーキシン様タンパク質が bobcat, serval, lynx で検出された。
【0077】
(2) 尿中タンパク質コーキシンの遺伝子クローニングと解析
(a) コーキシンのcDNAクローニング
ネコの尿から精製したコーキシンをプロテインシーケンサー(model. PPSQ-21, Simadzu)でN-末端のアミノ酸配列を解析し、リジルエンドペプチターゼ処理後に7箇所の内部アミノ酸配列を解析した。この結果よりPCR プライマーを作製し、ネコの腎臓から抽出したメッセンジャーRNA を鋳型としてRT-PCRを行った。増幅されたPCR 産物を Alkphos direct labeling kit (Amersham Pharmacia Biotech) で標識し、プローブを作製した。次にSMART cDNA Library Construction Kit (Clontech)を用いて作製したネコ腎臓cDNAライブラリーを、上記で説明したプローブでスクリーニングを行い、コーキシンのcDNAをクローニングし、DNA シーケンサー(model. ABI PRISM 310 DNA sequencer, Perkin-Elmer)で塩基配列の解析を行い、この結果を基に、コーキシンの全長アミノ酸配列を決定した。
【0078】
(b) コーキシンのDNA 配列、アミノ酸配列の解析
上記でクローニングされたコーキシンDNA の塩基配列は、GenBankTMデーターベースのBLASTX、FASTA で相同性検索を行った。カルボキシルエステラーゼ(Carboxylesterase)とのアミノ酸配列の比較は、遺伝子解析ソフト(GENETYX-MAC )で行った。また、コーキシンをコードするDNA 配列は、配列表の配列番号:1に示されており、コーキシンのアミノ酸配列は、配列表の配列番号:2に示されており、さらにコーキシンをコードしているクローニングされたDNA 配列は配列表の配列番号:3 に示されている。図3には、コーキシンの一次構造をカルボキシルエステラーゼと比較した図を示す。図4には、ラット腎臓、ラット肝臓、ブタ肝臓及びヒト肝臓から得られたカルボキシルエステラーゼと比較したコーキシンのC-末端アミノ酸配列のアラインメントを比較して示してある。コーキシンのC-末端には、小胞体残留シグナル(HXEL)が欠損していた。
【0079】
実施例2
(1) 尿中タンパク質コーキシンに対するポリクローナル抗体の作製
コーキシン(Cauxin) C末端アミノ酸配列20残基をペプチド合成機(model. PPSM-8, Shimadzu )で作製し、フロインド完全アジュバンドと混和後、ウサギに免疫をしてCauxinの特異抗体を作成した。
【0080】
(2) 尿中タンパク質コーキシンの組織分布解析
(a) ウエスターンブロティング(Western Blotting)
ネコの血清、肝臓、腎臓、膵臓から抽出したタンパク質 1μg よりウエスターンブロティングによりコーキシンの検出を試みた。ネコの尿(1μg)、ネコの腎臓、肝臓、膵臓から抽出したタンパク質(5μg)をSDS-PAGEで展開後、メンブレンにWestern blotした。メンブレンは、TBS-T (10 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 0.05% Tween 20, pH 7.4) 中の 1% polyvinyl pyrrolidone でブロッキング後、8000倍希釈したコーキシン(Cauxin)抗血清、10000 倍希釈した抗ウサギIgG-HRP (Biorad)、ECL キット (Amersham Pharmacia Biotech) で処理後、X-ray フィルムで検出した(図5)。図5からコーキシンは、腎臓にのみ局在することが確認された。
【0081】
(b) ノーザーンブロティング(Northern Blotting)
ネコの各臓器からAGPC法でRNA を抽出し、それぞれトータルRNA 2 μg をパラホムアルデヒド加1%アガロースゲルで展開後、メンブレンにNorthern blot した。メンブレンは、プローブでハイブリダイズした後、1 × SSC, 0.1% SDSにより65℃、15分間で2回洗浄, さらに0.1 ×SSC, 0.1% SDS により65℃で15分間2回洗浄後、CDP-star (Amersham Pharmacia Biotech) で処理後、X-ray フィルムで検出した(図6)。図6からコーキシンは、腎臓でのみ発現していることが確認された。プローブは、コーキシン(Cauxin)の全長cDNAをin vitro transcriptionでコーキシン(Cauxin)のRNA を作製しDIG labeling kit (Roche Diagnostics)で標識した。
【0082】
実施例3
(1) ネコ腎臓でのコーキシン発現、局在部位の解析
(a) In situ ハイブリダイゼーション(Hybridization)
ネコの腎臓を4%パラホルムアルデヒドで固定後、パラフィン胞埋切片を作成した。プローブは、Cauxinの全長cDNAをin vitro transcriptionでCauxinのRNA を作製しDIG labeling kit (Roche Diagnostics)で標識した。パラフィン切片上でプローブのハイブリ後、alkaline phosphatase-conjugated anti-DIG antibodies (Roche Diagnostics) を反応させ、Nitro blue tetrazolium / 5-bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate (Roche Diagnostics) によりCauxinのmRNAを検出した。
【0083】
(b) 組織免疫染色(Immunohistochemistry)
パラフィン胞埋切片を10%ブタ血清(DAKO)でブロッキング後、500 倍希釈したCauxinの抗血清を4℃で一晩反応させた。Tween-PBS で3回洗浄後、抗ウサギIgG ブタ血清(DAKO)を37℃で1時間反応させさらに0.02% diaminobenzidine tetrahydrochloride and 0.005% H2O2 でCauxinを検出した。
【0084】
(c) 結果
コーキシン(Cauxin)は、成ネコ腎臓の皮髄質以降部の遠位尿細管上皮細胞に局在していた。図7は、成ネコ腎臓を示す。図8Aは、図7で示した斜線部のIn situ ハイブリダイゼーション(×50) の結果を、図8Bは、図7で示した斜線部の組織免疫染色(×50) の結果を示す。図9Cは、成ネコ腎臓の皮髄以降部のIn situ ハイブリダイゼーション(×100)の結果を、図9Dは、図9Cの部位の拡大(In situ ハイブリダイゼーション(×400))したものを示し、図9Eは、成ネコ腎臓の皮髄質以降部のIn situ ハイブリダイゼーション(×200)の結果を、図10は、成ネコ腎臓の皮髄以降部の組織免疫染色(×100)の結果を、図11は、図10の部位の拡大(組織免疫染色(×200))したものを示し、図12は、FITC標識抗体使用の組織免疫染色(×400)の結果を、そして図13は、尿細管上皮細胞小胞体の immune electron microscopy (×60,000) の結果である。
【0085】
実施例4
(1) 各病期の腎臓病のネコの尿中タンパク質1μg中に含まれるコーキシン含有量を定量的に比較した。SDS-PAGEは、実施例1(1)(a)の手法に従って行った。
定量的なウエスターンブロティング(Western Blotting)は次のようにして行った。すなわち、腎臓病のネコの尿タンパク質 1μg をSDS-PAGEで展開後、実施例2(2)(a)で記載したウエスターンブロティングによりコーキシンを検出し、バンドの濃度差でコーキシンの含有量を比較した(図14)。図14からコーキシンは、腎臓の病期進行に伴い尿中排泄量並びに総尿中タンパク質あたりの尿中含有率が著しく低下することが明らかとなった。
(2) 間質性腎炎のネコの組織の染色
腎臓病で死亡したネコの腎臓を4%パラホルムアルデヒドで固定後、パラフィン胞埋切片を作製しヘマトキシリンエオジン染色を行った。尿細管がこわれて空洞となっており、そこに別の細胞が入り込んでいるのが観察される(図15)。 また、健康ネコと腎臓病ネコの皮髄以降部のコーキシン産生細胞数を免疫染色で比較した(図16及び17)。免疫染色は、実施例3(1)(b)で記載した方法で行った。腎臓病末期のネコでは、コーキシン産生細胞数が著しく減少していた。
【0086】
実施例5
金コロイド免疫クロマト法検査キット
(1) 金コロイド溶液に、適当量の抗コーキシン抗体を結合させ、金コロイド標識抗体を調製する。なお、金コロイド溶液の作製及び抗コーキシン抗体の標識は常法に従った。
(2) 液体サンプルを滴下するサンプルパッド部、金コロイド標識抗体が存在する金コロイド相、抗コーキシン抗体を固定したトラップ部、反応液を吸収する吸水パッドの4つが一列に並んだ短冊状の反応ろ紙を作る。
(3) コーキシンを含んだネコ尿をサンプルパッドに滴下すると、クロマト現象によりサンプルが金コロイド相に移動し、尿中コーキシンが金コロイド標識抗体と結合する;
(4) 表面にコーキシンが結合した金コロイドがさらに拡散してトラップ部に移動するとトラップ部分の抗体によりその場に金コロイドが固定される;
(5) トラップ部に金コロイドが凝集するとその部分が赤紫色に着色して観察される。なお、尿中にコーキシンが存在しない場合は、金コロイドはトラップ部を通り過ぎて吸水パッドまで移行するので着色は見られない。尿中コーキシンの濃度が高いと金コロイド凝集量が多くなり着色が強くなる(もしくは、着色域が広くなる)。かくして、定量的な測定も可能となる。
【0087】
【発明の効果】
本発明で、ネコ腎臓病マーカーが提供され、簡便なネコ腎臓病診断薬、診断方法、検査キットなどが提供、開発できる。肝臓で合成されるBUN や肝臓で合成されたクレアチンの代謝産物として筋肉内で作られるCRE と異なり、コーキシンは腎臓の尿細管上皮細胞で産生される。すなわち、BUN やCRE の測定が腎機能の間接的な検査方法であり、残存する正常な腎臓組織量を反映することが出来ないのに対して、コーキシンの測定は、直接的な検査方法であり正常な腎臓組織量を把握する手段となりうる可能性がある。またBUN やCRE の測定は主に血清であり、ネコの保定→採血→血清化→検査といったように検査までの操作が煩雑であり、なおかつ動物に対する侵襲性が大きいのに対し、コーキシンの測定試料は、尿であるので採尿→検査といったように操作が簡便で動物に与える侵襲性はない。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
【0088】
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> TOHOKU TECHNO ARCH CO., LTD
<120> CAT KIDNEY DISEASE MARKER
<130> PTA0302JA
<140>
<141>
<160> 4
<170> PatentIn Ver. 2.0
<210> 1
<211> 1629
<212> DNA
<213> Felis catus
<400> 1
atgtgggtgc acccaggccg gaccctgatc tgggctcttt gggtccttgc agctgtcatt 60
aaggggccag ctgctgatgc accagtgagg agcaccaggc tgggatgggt ccgggggaag 120
caaaccactg tactgggaag caccgtgcct gtgaacatgt tcctcgggat cccctatgct 180
gcacctcctc tagggcccct gcgatttaag caaccaaagc ctgctctgcc cgggaatgac 240
ttccgaaatg ccacatccta ccctaaatta tgcttccagg acttagagtg gctggtctcc 300
tatcaacacg ttctcaaagt gcgttacccc aaattggaag cgtccgaaga ctgcctgtac 360
cttaacatct atgcgccagc ccatgcggac aatggctcca acctccctgt catggtgtgg 420
ttccccgggg gtgccttcaa gatgggctca gcttcctcct tcgatgggtc cgccttggct 480
gcctacgagg acgtgctgat cgtgactacc cagtaccggc taggaatatt tggttttttc 540
gacacagggg atgagcatgc ccgggggaac tgggccttgc tggaccaggt ggctgcccta 600
acctgggtcc gggacaacat cgagttcttc ggtggtgacc cacgctccgt gaccatcttt 660
ggagagtcag cgggagccat cagtgtttcc agcctcattc tgtcccccat agccaatggc 720
ttattccaca aagccatcat ggagagtggg gtggccatcc tgcctttact gatgagaccc 780
cctggtgatg agaggaagaa ggatttgcag gtgcttgcgc gtatctgtgg ttgccatgcg 840
tctgactctg ctgccctgct gcagtgcctg agggcaaaac cctccgagga gttgatggac 900
atcagcaaga aactcacgtt ttccattcca gtgattgatg actttttctt tcctgatgag 960
cctgtagccc tattgactca aaaagcattt aattcagttc cttctatcat cggagtcaat 1020
aaccacgagt gtgccttcct tctgtccacg gagttttctg agatcctcgg gggctccaac 1080
aggtctctgg ccctctactt agtacacacg ttcctgaata ttcccaccca gtatttgcac 1140
cttgtggctg atcattactt ctacaacaag cactccccgg ttgaaatacg agatagtttt 1200
ctggacttgc ttggagatgt gctctttgtg gtccctgggg tggtcacagc tcgatatcat 1260
agagatgctg gtgcacctgt ctacttctat gagtttcaac acccgcccca gtgcttaaac 1320
gacacgaggc cagctttcgt gaaagccgat cactctgatg aaatccgctt cgtctttgga 1380
ggtgccttcc tgaaaggcga cattgtcatg ttcgaaggag ccaccgagga ggagaaattg 1440
ctgagcagga agatgatgag gtactgggcc aactttgctc ggaccgggga ccctaacggg 1500
gaaggtgtgc ctctgtggcc agcctacacc cagagcgagc agtacctgaa gctggatttg 1560
agtgtgagcg tgggacagaa actgaaggag caagaggtgg agttttggat gaataccatt 1620
gtcccctga 1629
<210> 2
<211> 542
<212> PRT
<213> Felis catus
<400> 2
Met Trp Val His Pro Gly Arg Thr Leu Ile Trp Ala Leu Trp Val Leu
1 5 10 15
Ala Ala Val Ile Lys Gly Pro Ala Ala Asp Ala Pro Val Arg Ser Thr
20 25 30
Arg Leu Gly Trp Val Arg Gly Lys Gln Thr Thr Val Leu Gly Ser Thr
35 40 45
Val Pro Val Asn Met Phe Leu Gly Ile Pro Tyr Ala Ala Pro Pro Leu
50 55 60
Gly Pro Leu Arg Phe Lys Gln Pro Lys Pro Ala Leu Pro Gly Asn Asp
65 70 75 80
Phe Arg Asn Ala Thr Ser Tyr Pro Lys Leu Cys Phe Gln Asp Leu Glu
85 90 95
Trp Leu Val Ser Tyr Gln His Val Leu Lys Val Arg Tyr Pro Lys Leu
100 105 110
Glu Ala Ser Glu Asp Cys Leu Tyr Leu Asn Ile Tyr Ala Pro Ala His
115 120 125
Ala Asp Asn Gly Ser Asn Leu Pro Val Met Val Trp Phe Pro Gly Gly
130 135 140
Ala Phe Lys Met Gly Ser Ala Ser Ser Phe Asp Gly Ser Ala Leu Ala
145 150 155 160
Ala Tyr Glu Asp Val Leu Ile Val Thr Thr Gln Tyr Arg Leu Gly Ile
165 170 175
Phe Gly Phe Phe Asp Thr Gly Asp Glu His Ala Arg Gly Asn Trp Ala
180 185 190
Leu Leu Asp Gln Val Ala Ala Leu Thr Trp Val Arg Asp Asn Ile Glu
195 200 205
Phe Phe Gly Gly Asp Pro Arg Ser Val Thr Ile Phe Gly Glu Ser Ala
210 215 220
Gly Ala Ile Ser Val Ser Ser Leu Ile Leu Ser Pro Ile Ala Asn Gly
225 230 235 240
Leu Phe His Lys Ala Ile Met Glu Ser Gly Val Ala Ile Leu Pro Leu
245 250 255
Leu Met Arg Pro Pro Gly Asp Glu Arg Lys Lys Asp Leu Gln Val Leu
260 265 270
Ala Arg Ile Cys Gly Cys His Ala Ser Asp Ser Ala Ala Leu Leu Gln
275 280 285
Cys Leu Arg Ala Lys Pro Ser Glu Glu Leu Met Asp Ile Ser Lys Lys
290 295 300
Leu Thr Phe Ser Ile Pro Val Ile Asp Asp Phe Phe Phe Pro Asp Glu
305 310 315 320
Pro Val Ala Leu Leu Thr Gln Lys Ala Phe Asn Ser Val Pro Ser Ile
325 330 335
Ile Gly Val Asn Asn His Glu Cys Ala Phe Leu Leu Ser Thr Glu Phe
340 345 350
Ser Glu Ile Leu Gly Gly Ser Asn Arg Ser Leu Ala Leu Tyr Leu Val
355 360 365
His Thr Phe Leu Asn Ile Pro Thr Gln Tyr Leu His Leu Val Ala Asp
370 375 380
His Tyr Phe Tyr Asn Lys His Ser Pro Val Glu Ile Arg Asp Ser Phe
385 390 395 400
Leu Asp Leu Leu Gly Asp Val Leu Phe Val Val Pro Gly Val Val Thr
405 410 415
Ala Arg Tyr His Arg Asp Ala Gly Ala Pro Val Tyr Phe Tyr Glu Phe
420 425 430
Gln His Pro Pro Gln Cys Leu Asn Asp Thr Arg Pro Ala Phe Val Lys
435 440 445
Ala Asp His Ser Asp Glu Ile Arg Phe Val Phe Gly Gly Ala Phe Leu
450 455 460
Lys Gly Asp Ile Val Met Phe Glu Gly Ala Thr Glu Glu Glu Lys Leu
465 470 475 480
Leu Ser Arg Lys Met Met Arg Tyr Trp Ala Asn Phe Ala Arg Thr Gly
485 490 495
Asp Pro Asn Gly Glu Gly Val Pro Leu Trp Pro Ala Tyr Thr Gln Ser
500 505 510
Glu Gln Tyr Leu Lys Leu Asp Leu Ser Val Ser Val Gly Gln Lys Leu
515 520 525
Lys Glu Gln Glu Val Glu Phe Trp Met Asn Thr Ile Val Pro
530 535 540
<210> 3
<211> 2145
<212> DNA
<213> Felis catus
<220>
<221> CDS
<222> (175)..(1803)
<400> 3
gcggggcaat tcctctgcag atcttgggac tgatgccttt ctccaccaac cctgcatcct 60
gtgtctgcct gctcaacatt tgttgagccc tttctttctt tgactgaagc tctctgaggc 120
cagcggaggc cgtggatgtg ctaggagttc agacggtcca gccggatgag tggg atg 177
Met
1
tgg gtg cac cca ggc cgg acc ctg atc tgg gct ctt tgg gtc ctt gca 225
Trp Val His Pro Gly Arg Thr Leu Ile Trp Ala Leu Trp Val Leu Ala
5 10 15
gct gtc att aag ggg cca gct gct gat gca cca gtg agg agc acc agg 273
Ala Val Ile Lys Gly Pro Ala Ala Asp Ala Pro Val Arg Ser Thr Arg
20 25 30
ctg gga tgg gtc cgg ggg aag caa acc act gta ctg gga agc acc gtg 321
Leu Gly Trp Val Arg Gly Lys Gln Thr Thr Val Leu Gly Ser Thr Val
35 40 45
cct gtg aac atg ttc ctc ggg atc ccc tat gct gca cct cct cta ggg 369
Pro Val Asn Met Phe Leu Gly Ile Pro Tyr Ala Ala Pro Pro Leu Gly
50 55 60 65
ccc ctg cga ttt aag caa cca aag cct gct ctg ccc ggg aat gac ttc 417
Pro Leu Arg Phe Lys Gln Pro Lys Pro Ala Leu Pro Gly Asn Asp Phe
70 75 80
cga aat gcc aca tcc tac cct aaa tta tgc ttc cag gac tta gag tgg 465
Arg Asn Ala Thr Ser Tyr Pro Lys Leu Cys Phe Gln Asp Leu Glu Trp
85 90 95
ctg gtc tcc tat caa cac gtt ctc aaa gtg cgt tac ccc aaa ttg gaa 513
Leu Val Ser Tyr Gln His Val Leu Lys Val Arg Tyr Pro Lys Leu Glu
100 105 110
gcg tcc gaa gac tgc ctg tac ctt aac atc tat gcg cca gcc cat gcg 561
Ala Ser Glu Asp Cys Leu Tyr Leu Asn Ile Tyr Ala Pro Ala His Ala
115 120 125
gac aat ggc tcc aac ctc cct gtc atg gtg tgg ttc ccc ggg ggt gcc 609
Asp Asn Gly Ser Asn Leu Pro Val Met Val Trp Phe Pro Gly Gly Ala
130 135 140 145
ttc aag atg ggc tca gct tcc tcc ttc gat ggg tcc gcc ttg gct gcc 657
Phe Lys Met Gly Ser Ala Ser Ser Phe Asp Gly Ser Ala Leu Ala Ala
150 155 160
tac gag gac gtg ctg atc gtg act acc cag tac cgg cta gga ata ttt 705
Tyr Glu Asp Val Leu Ile Val Thr Thr Gln Tyr Arg Leu Gly Ile Phe
165 170 175
ggt ttt ttc gac aca ggg gat gag cat gcc cgg ggg aac tgg gcc ttg 753
Gly Phe Phe Asp Thr Gly Asp Glu His Ala Arg Gly Asn Trp Ala Leu
180 185 190
ctg gac cag gtg gct gcc cta acc tgg gtc cgg gac aac atc gag ttc 801
Leu Asp Gln Val Ala Ala Leu Thr Trp Val Arg Asp Asn Ile Glu Phe
195 200 205
ttc ggt ggt gac cca cgc tcc gtg acc atc ttt gga gag tca gcg gga 849
Phe Gly Gly Asp Pro Arg Ser Val Thr Ile Phe Gly Glu Ser Ala Gly
210 215 220 225
gcc atc agt gtt tcc agc ctc att ctg tcc ccc ata gcc aat ggc tta 897
Ala Ile Ser Val Ser Ser Leu Ile Leu Ser Pro Ile Ala Asn Gly Leu
230 235 240
ttc cac aaa gcc atc atg gag agt ggg gtg gcc atc ctg cct tta ctg 945
Phe His Lys Ala Ile Met Glu Ser Gly Val Ala Ile Leu Pro Leu Leu
245 250 255
atg aga ccc cct ggt gat gag agg aag aag gat ttg cag gtg ctt gcg 993
Met Arg Pro Pro Gly Asp Glu Arg Lys Lys Asp Leu Gln Val Leu Ala
260 265 270
cgt atc tgt ggt tgc cat gcg tct gac tct gct gcc ctg ctg cag tgc 1041
Arg Ile Cys Gly Cys His Ala Ser Asp Ser Ala Ala Leu Leu Gln Cys
275 280 285
ctg agg gca aaa ccc tcc gag gag ttg atg gac atc agc aag aaa ctc 1089
Leu Arg Ala Lys Pro Ser Glu Glu Leu Met Asp Ile Ser Lys Lys Leu
290 295 300 305
acg ttt tcc att cca gtg att gat gac ttt ttc ttt cct gat gag cct 1137
Thr Phe Ser Ile Pro Val Ile Asp Asp Phe Phe Phe Pro Asp Glu Pro
310 315 320
gta gcc cta ttg act caa aaa gca ttt aat tca gtt cct tct atc atc 1185
Val Ala Leu Leu Thr Gln Lys Ala Phe Asn Ser Val Pro Ser Ile Ile
325 330 335
gga gtc aat aac cac gag tgt gcc ttc ctt ctg tcc acg gag ttt tct 1233
Gly Val Asn Asn His Glu Cys Ala Phe Leu Leu Ser Thr Glu Phe Ser
340 345 350
gag atc ctc ggg ggc tcc aac agg tct ctg gcc ctc tac tta gta cac 1281
Glu Ile Leu Gly Gly Ser Asn Arg Ser Leu Ala Leu Tyr Leu Val His
355 360 365
acg ttc ctg aat att ccc acc cag tat ttg cac ctt gtg gct gat cat 1329
Thr Phe Leu Asn Ile Pro Thr Gln Tyr Leu His Leu Val Ala Asp His
370 375 380 385
tac ttc tac aac aag cac tcc ccg gtt gaa ata cga gat agt ttt ctg 1377
Tyr Phe Tyr Asn Lys His Ser Pro Val Glu Ile Arg Asp Ser Phe Leu
390 395 400
gac ttg ctt gga gat gtg ctc ttt gtg gtc cct ggg gtg gtc aca gct 1425
Asp Leu Leu Gly Asp Val Leu Phe Val Val Pro Gly Val Val Thr Ala
405 410 415
cga tat cat aga gat gct ggt gca cct gtc tac ttc tat gag ttt caa 1473
Arg Tyr His Arg Asp Ala Gly Ala Pro Val Tyr Phe Tyr Glu Phe Gln
420 425 430
cac ccg ccc cag tgc tta aac gac acg agg cca gct ttc gtg aaa gcc 1521
His Pro Pro Gln Cys Leu Asn Asp Thr Arg Pro Ala Phe Val Lys Ala
435 440 445
gat cac tct gat gaa atc cgc ttc gtc ttt gga ggt gcc ttc ctg aaa 1569
Asp His Ser Asp Glu Ile Arg Phe Val Phe Gly Gly Ala Phe Leu Lys
450 455 460 465
ggc gac att gtc atg ttc gaa gga gcc acc gag gag gag aaa ttg ctg 1617
Gly Asp Ile Val Met Phe Glu Gly Ala Thr Glu Glu Glu Lys Leu Leu
470 475 480
agc agg aag atg atg agg tac tgg gcc aac ttt gct cgg acc ggg gac 1665
Ser Arg Lys Met Met Arg Tyr Trp Ala Asn Phe Ala Arg Thr Gly Asp
485 490 495
cct aac ggg gaa ggt gtg cct ctg tgg cca gcc tac acc cag agc gag 1713
Pro Asn Gly Glu Gly Val Pro Leu Trp Pro Ala Tyr Thr Gln Ser Glu
500 505 510
cag tac ctg aag ctg gat ttg agt gtg agc gtg gga cag aaa ctg aag 1761
Gln Tyr Leu Lys Leu Asp Leu Ser Val Ser Val Gly Gln Lys Leu Lys
515 520 525
gag caa gag gtg gag ttt tgg atg aat acc att gtc ccc tga 1803
Glu Gln Glu Val Glu Phe Trp Met Asn Thr Ile Val Pro
530 535 540
taccccccac ctccagggcc ctccccagtc ctccttntcc cttactctcc cttcctttgc 1863
tcccgcctgg cttnttttnt tctgctccat gggaagttct ctctgngtga tttggttttc 1923
ctttttccac aatttcaccc gcggtcctta gctccgtttc tgtgtttagt ttagctactt 1983
cgtggaatca gctgctttcn ccgatgtttt atggtnttga gggtgatttt taggggaatt 2043
tcttttcaac accaaacaat gctaccggcc ttggaaggct acccgattcc ttctcctccg 2103
tgatggctgg ccaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aa 2145
<210> 4
<211> 542
<212> PRT
<213> Felis catus
<400> 4
Met Trp Val His Pro Gly Arg Thr Leu Ile Trp Ala Leu Trp Val Leu
1 5 10 15
Ala Ala Val Ile Lys Gly Pro Ala Ala Asp Ala Pro Val Arg Ser Thr
20 25 30
Arg Leu Gly Trp Val Arg Gly Lys Gln Thr Thr Val Leu Gly Ser Thr
35 40 45
Val Pro Val Asn Met Phe Leu Gly Ile Pro Tyr Ala Ala Pro Pro Leu
50 55 60
Gly Pro Leu Arg Phe Lys Gln Pro Lys Pro Ala Leu Pro Gly Asn Asp
65 70 75 80
Phe Arg Asn Ala Thr Ser Tyr Pro Lys Leu Cys Phe Gln Asp Leu Glu
85 90 95
Trp Leu Val Ser Tyr Gln His Val Leu Lys Val Arg Tyr Pro Lys Leu
100 105 110
Glu Ala Ser Glu Asp Cys Leu Tyr Leu Asn Ile Tyr Ala Pro Ala His
115 120 125
Ala Asp Asn Gly Ser Asn Leu Pro Val Met Val Trp Phe Pro Gly Gly
130 135 140
Ala Phe Lys Met Gly Ser Ala Ser Ser Phe Asp Gly Ser Ala Leu Ala
145 150 155 160
Ala Tyr Glu Asp Val Leu Ile Val Thr Thr Gln Tyr Arg Leu Gly Ile
165 170 175
Phe Gly Phe Phe Asp Thr Gly Asp Glu His Ala Arg Gly Asn Trp Ala
180 185 190
Leu Leu Asp Gln Val Ala Ala Leu Thr Trp Val Arg Asp Asn Ile Glu
195 200 205
Phe Phe Gly Gly Asp Pro Arg Ser Val Thr Ile Phe Gly Glu Ser Ala
210 215 220
Gly Ala Ile Ser Val Ser Ser Leu Ile Leu Ser Pro Ile Ala Asn Gly
225 230 235 240
Leu Phe His Lys Ala Ile Met Glu Ser Gly Val Ala Ile Leu Pro Leu
245 250 255
Leu Met Arg Pro Pro Gly Asp Glu Arg Lys Lys Asp Leu Gln Val Leu
260 265 270
Ala Arg Ile Cys Gly Cys His Ala Ser Asp Ser Ala Ala Leu Leu Gln
275 280 285
Cys Leu Arg Ala Lys Pro Ser Glu Glu Leu Met Asp Ile Ser Lys Lys
290 295 300
Leu Thr Phe Ser Ile Pro Val Ile Asp Asp Phe Phe Phe Pro Asp Glu
305 310 315 320
Pro Val Ala Leu Leu Thr Gln Lys Ala Phe Asn Ser Val Pro Ser Ile
325 330 335
Ile Gly Val Asn Asn His Glu Cys Ala Phe Leu Leu Ser Thr Glu Phe
340 345 350
Ser Glu Ile Leu Gly Gly Ser Asn Arg Ser Leu Ala Leu Tyr Leu Val
355 360 365
His Thr Phe Leu Asn Ile Pro Thr Gln Tyr Leu His Leu Val Ala Asp
370 375 380
His Tyr Phe Tyr Asn Lys His Ser Pro Val Glu Ile Arg Asp Ser Phe
385 390 395 400
Leu Asp Leu Leu Gly Asp Val Leu Phe Val Val Pro Gly Val Val Thr
405 410 415
Ala Arg Tyr His Arg Asp Ala Gly Ala Pro Val Tyr Phe Tyr Glu Phe
420 425 430
Gln His Pro Pro Gln Cys Leu Asn Asp Thr Arg Pro Ala Phe Val Lys
435 440 445
Ala Asp His Ser Asp Glu Ile Arg Phe Val Phe Gly Gly Ala Phe Leu
450 455 460
Lys Gly Asp Ile Val Met Phe Glu Gly Ala Thr Glu Glu Glu Lys Leu
465 470 475 480
Leu Ser Arg Lys Met Met Arg Tyr Trp Ala Asn Phe Ala Arg Thr Gly
485 490 495
Asp Pro Asn Gly Glu Gly Val Pro Leu Trp Pro Ala Tyr Thr Gln Ser
500 505 510
Glu Gln Tyr Leu Lys Leu Asp Leu Ser Val Ser Val Gly Gln Lys Leu
515 520 525
Lys Glu Gln Glu Val Glu Phe Trp Met Asn Thr Ile Val Pro
530 535 540
【図面の簡単な説明】
【図1】 ネコ尿中タンパク質のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動の結果を示す電気泳動の写真である。
【図2】 ネコ科動物の尿中タンパク質のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動の結果を示す電気泳動の写真である。
【図3】 コーキシンの一次構造を示す。カルボキシルエステラーゼと比較してある。
【図4】 ラット腎臓、ラット肝臓、ブタ肝臓及びヒト肝臓から得られたカルボキシルエステラーゼと比較したコーキシンのC-末端アミノ酸配列のアラインメントを比較して示す。
【図5】 ネコの血清、肝臓、腎臓、膵臓から抽出したタンパク質のウエスターンブロティングの結果を示す電気泳動の写真である。
【図6】 コーキシンcDNAを使用しての、ネコの各臓器からのRNA を抽出物のノーザーンブロティングの結果を示す電気泳動の写真である。
【図7】 成ネコ腎臓の模式図を示す。
【図8】 図7で示した斜線部のIn situ ハイブリダイゼーション(×50) の結果(A) 及び組織免疫染色(×50) の結果(B) を示す組織の写真である。
【図9】 成ネコ腎臓の皮髄以降部のIn situ ハイブリダイゼーション(×100)の結果(C) 、図9Cの部位の拡大(In situ ハイブリダイゼーション(×400))した結果(D) 及び成ネコ腎臓の皮髄質以降部のIn situ ハイブリダイゼーション(×200)の結果(E) を示す組織の写真である。
【図10】 成ネコ腎臓の皮髄以降部の組織免疫染色(×100)の結果を示す組織の写真である。
【図11】 図10の部位の拡大(組織免疫染色(×200))した結果を示す組織の写真である。
【図12】 FITC標識抗体使用の組織免疫染色(×400)の結果を示す組織の写真である。
【図13】 尿細管上皮細胞小胞体の immune electron microscopy (×60,000) の結果を示す組織の写真である。
【図14】 正常ネコと腎臓病のネコの尿タンパク質のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動の結果を示す電気泳動の写真である。
【図15】 間質性腎炎のネコの組織の染色の結果を示す組織の写真である。
【図16】 正常(健康)ネコの皮髄以降部のコーキシン産生細胞数を免疫染色した結果を示す組織の写真である。
【図17】 腎臓病ネコの皮髄以降部のコーキシン産生細胞数を免疫染色した結果を示す組織の写真である。

Claims (16)

  1. (a) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列のうちの少なくともAsp26〜Pro542を有することを特徴とするタンパク質若しくはその塩、又は
    (b) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列を有することを特徴とするタンパク質若しくはその塩であることを特徴とするタンパク質若しくはその塩。
  2. 請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質をコードする塩基配列を有することを特徴とする核酸。
  3. (a) 配列表の配列番号:1の塩基配列を有すること、
    (b) 配列表の配列番号:3の塩基配列を有すること、又は
    (c) 配列表の配列番号:3の塩基配列のうち、少なくとも第250番目の塩基から第1803番目の塩基までの塩基配列を有するこ
    特徴とする請求項2記載の核酸。
  4. 請求項2又は3記載の核酸を含有することを特徴とするベクター。
  5. 請求項2又は3記載の核酸あるいは請求項4記載のベクターを含有することを特徴とする形質転換体。
  6. 請求項5記載の形質転換体を培養し、培養物から生産物を得ることを特徴とする請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質若しくはその塩の取得法。
  7. 請求項1(a)あるいは (b)記載のタンパク質又はコーキシンの C- 末端アミノ酸配列 20 残基からなるペプチドに対して特異的に結合するものであることを特徴とする抗体。
  8. 抗体が、請求項1(a)あるいは (b)記載のタンパク質に対して特異的に結合するものであることを特徴とする請求項7記載の抗体。
  9. 尿中の請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質を免疫学的な方法で定量的に測定し、そのタンパク質の量の低下を指標として、ネコ腎臓病を検知することを特徴とするネコ腎臓病診断法。
  10. (i) 尿タンパク質含有試料を電気泳動により分離処理する工程を含有するか、
    (ii)尿の請求項1(a) 又は (b) 載のタンパク質の生物活性を測定する工程を含有するか、あるいは
    (iii) 尿タンパク質含有試料を請求項7又は8記載の抗体と接触せしめる工程を含有することを特徴とする請求項9記載のネコ腎臓病診断法。
  11. タンパク質が、
    (a) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列のうちの少なくともAsp26〜Pro542を有することを特徴とするタンパク質若しくはその塩、又は
    (b) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列を有することを特徴とするタンパク質若しくはその塩
    であることを特徴とする請求項9又は10記載のネコ腎臓病診断法。
  12. (i) 請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質染色剤を含有するか、
    (ii) 尿の請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質の生物活性を測定する試薬を含有するか、あるいは
    (iii) 請求項7又は8記載の抗体を含有する
    ことを特徴とするネコ腎臓病診断剤。
  13. タンパク質が、
    (a) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列のうちの少なくとも Asp26〜Pro542を有することを特徴とするタンパク質若しくはその塩、又は
    (b) 配列表の配列番号:2のアミノ酸配列を有することを特徴とするタンパク質若しくはその塩
    であることを特徴とする請求項12記載のネコ腎臓病診断剤。
  14. 湿潤状態で物質の移動を可能にする担体に、
    (a) 検体を適用する部位、(b) 標識抗体を含有した部位、(c) 抗原検出部位及び(d) 反応終了判定部位
    を順次形成してあるものからなり、
    (i) 標識抗体を含有した部位には、湿潤状態において該担体上を抗原検出部位、反応終了判定部位へと順次移動し得る、請求項7又は8記載の抗体であり且つ標識した抗体(標識抗体)を含有せしめ、
    (ii) 検出部位には、請求項7又は8記載の抗体であり且つ固相化した抗体(固相化抗体)を存在せしめるようにし、
    (iii) 反応終了判定部位には、標識抗体として使用した抗体に対する抗体(第二抗体)を固相化した部位を形成せしめ、
    検体を適用する部位に検体を適用することにより、検体を担体において移動せしめ、標識抗体を溶出させ、抗原検出部位の固相化抗体及び反応終了判定部位の第二抗体部位を通過せしめることにより、検体中の請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質を検出する
    ことを特徴とする請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質検出キット。
  15. 検体中の請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質を測定する検出キットにおいて、
    検体をカルボキシルエステラーゼを含むエステラーゼに対する基質と接触せしめ、生成するシグナルを測定することを特徴とする請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質検出キット。
  16. (1) 検体を請求項7又は8記載の抗体であり且つ固相化した抗体と接触せしめ、ついで請求項7又は8記載の抗体であり且つ標識した抗体を接触せしめるか、あるいは
    (2) 検体を請求項7又は8記載の抗体であり且つ標識した抗体と接触せしめ、ついで請求項7又は8記載の抗体であり且つ固相化した抗体と接触せしめ、当該標識を指標に請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質を測定することを特徴とする請求項1(a)又は (b) 載のタンパク質検出キット。
JP2002057908A 2002-03-04 2002-03-04 ネコ腎臓病診断マーカー Expired - Lifetime JP3797480B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002057908A JP3797480B2 (ja) 2002-03-04 2002-03-04 ネコ腎臓病診断マーカー
US10/233,933 US7026151B2 (en) 2002-03-04 2002-09-03 Cat kidney disease marker
US11/227,614 US7241608B2 (en) 2002-03-04 2005-09-15 Cat kidney disease marker

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002057908A JP3797480B2 (ja) 2002-03-04 2002-03-04 ネコ腎臓病診断マーカー

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003250575A JP2003250575A (ja) 2003-09-09
JP2003250575A5 JP2003250575A5 (ja) 2004-11-18
JP3797480B2 true JP3797480B2 (ja) 2006-07-19

Family

ID=28668055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002057908A Expired - Lifetime JP3797480B2 (ja) 2002-03-04 2002-03-04 ネコ腎臓病診断マーカー

Country Status (2)

Country Link
US (2) US7026151B2 (ja)
JP (1) JP3797480B2 (ja)

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1874131A2 (en) * 2005-04-29 2008-01-09 Hill's Pet Nutrition Inc. Methods for prolonging feline life
JPWO2007034809A1 (ja) * 2005-09-20 2009-03-26 大正製薬株式会社 組み換え蛋白質産生のための宿主細胞
JP5346289B2 (ja) 2007-07-20 2013-11-20 国立大学法人岩手大学 ネコタンパク尿診断薬
US20110023156A1 (en) * 2008-12-04 2011-01-27 Sigma-Aldrich Co. Feline genome editing with zinc finger nucleases
US11773358B2 (en) 2009-12-22 2023-10-03 Cytiva Sweden Ab Method for controlling culture parameters in a bioreactor
JP4578570B1 (ja) * 2010-01-08 2010-11-10 田中貴金属工業株式会社 イムノクロマトグラフィー用試薬組成物
EP2538216B1 (en) * 2010-02-17 2017-10-25 National University Corporation Chiba University Material for removing cauxin in cat urine
WO2012051463A2 (en) * 2010-10-14 2012-04-19 The Regents Of The University Of California Urine metabolomic profile of diabetic kidney disease
EP2813851B1 (en) * 2011-02-24 2016-06-08 Hill's Pet Nutrition, Inc. Compositions and methods for diagnosing kidney disorders in a feline
CN105886649A (zh) * 2011-02-24 2016-08-24 希尔氏宠物营养品公司 用于在猫科动物中诊断和治疗肾功能障碍的组合物和方法
WO2014098865A1 (en) 2012-12-20 2014-06-26 Hill's Pet Nutrition, Inc. Pattern recognition receptor expression as a measure of systemic health
ES2859398T3 (es) 2013-03-15 2021-10-01 Beckman Coulter Inc Métodos para diseño de panel en citometría de flujo
WO2015134938A1 (en) 2014-03-07 2015-09-11 The Regents Of The University Of California Devices for integrating analyte extraction, concentration and detection
JP2018534536A (ja) 2015-09-04 2018-11-22 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 臨床上の用途のための、分析物の収集、抽出、濃縮、及び検出のための方法及び装置
US11828755B2 (en) 2016-06-09 2023-11-28 The Regents Of The University Of California Biomarker concentration and signal amplification for use in paper-based immunoassays and a single platform for extracting, concentrating, and amplifying DNA
WO2018039139A1 (en) 2016-08-22 2018-03-01 The Regents Of The University Of California Hydrogel platform for aqueous two-phase concentration of a target to enhance its detection
WO2018183211A1 (en) 2017-03-27 2018-10-04 The Regents Of The University Of California Semi-quantitative lateral-flow immunoassay for the detection of csf leaks
ES2927438T3 (es) 2017-05-31 2022-11-04 Mars Inc Procedimientos de diagnóstico y tratamiento de la enfermedad renal crónica
WO2021090901A1 (ja) * 2019-11-05 2021-05-14 国立大学法人 東京大学 ネコ科動物の炎症状態の評価方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09171019A (ja) 1995-12-19 1997-06-30 Meiji Milk Prod Co Ltd アデノウイルス抗原検出キット
JP3658890B2 (ja) 1996-11-01 2005-06-08 松下電器産業株式会社 標識抗体粒子及びそれを用いた測定装置
US6525174B1 (en) * 1997-06-06 2003-02-25 Human Genome Sciences, Inc. Precerebellin-like protein
US6924099B1 (en) * 1999-01-29 2005-08-02 G.D. Searle & Co. Biomarkers and assays for carcinogenesis
US6974667B2 (en) * 2000-06-14 2005-12-13 Gene Logic, Inc. Gene expression profiles in liver cancer
US6664091B2 (en) * 2000-12-18 2003-12-16 Millennium Pharmaceuticals, Inc. 53010, a human carboxylesterase family member and uses thereof
US6783969B1 (en) * 2001-03-05 2004-08-31 Nuvelo, Inc. Cathepsin V-like polypeptides

Also Published As

Publication number Publication date
US7241608B2 (en) 2007-07-10
US20060094863A1 (en) 2006-05-04
JP2003250575A (ja) 2003-09-09
US7026151B2 (en) 2006-04-11
US20040214171A1 (en) 2004-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7241608B2 (en) Cat kidney disease marker
JP2003250575A5 (ja)
EP1380593B1 (en) Soluble rage protein
JPH11507212A (ja) Dna配列及びエンコードされた乳房に特異的な乳癌たんぱく質
EP0870826A1 (en) Novel protein and monoclonal antibody specific thereto
JPH09509570A (ja) Mts−1遺伝子により転移性癌の診断
US20060294607A1 (en) Human podocalyxin alternative-spliced forms and uses thereof
KR20050103474A (ko) 갈렉틴 9 함유 의약
JP3950050B2 (ja) ガン転移能検出剤
EP1187853B1 (en) Diagnostic uses of antibodies against acetylcholinesterase or c-terminal peptides thereof
US6831063B1 (en) Bridging Integrator-2(Bin2) nucleic acid molecules and proteins and uses therefor
JP2004244411A (ja) ガレクチン9含有医薬
JP2000512123A (ja) ネフロパシー―関連免疫グロブリンg及びそのための抗体
JP4171228B2 (ja) 可溶型rage測定法
EP1557670A1 (en) REGULATION OF INTERACTION BETWEEN RAPL AND Rap1
EP0960337B1 (en) Cathepsin K and breast cancer
EP1367123A1 (en) Neurotonin and use thereof
JPH1175872A (ja) 新規化合物
JP2006180813A (ja) アミノペプチダーゼoおよびその利用
US20040053345A1 (en) Marker for probing the therapeutic efficacy of drugs
WO2001016158A2 (en) Bridging integrator-2 (bin2) nucleic acid molecules and proteins and uses therefor
JP2004329040A (ja) ポリセラーゼ−i及びその利用
RU2208230C2 (ru) Icam-4 и его диагностическое использование
JP2003246749A (ja) 好中球接着誘導剤
JP2003180384A (ja) Adamts−15,−16,−17,−18及び−19

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20031126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3797480

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term