JP2003246749A - 好中球接着誘導剤 - Google Patents

好中球接着誘導剤

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JP2003246749A
JP2003246749A JP2002046478A JP2002046478A JP2003246749A JP 2003246749 A JP2003246749 A JP 2003246749A JP 2002046478 A JP2002046478 A JP 2002046478A JP 2002046478 A JP2002046478 A JP 2002046478A JP 2003246749 A JP2003246749 A JP 2003246749A
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neutrophils
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Nozomi Nishi
望 西
Masako Seki
正子 積
Kiyoaki Yamauchi
清明 山内
Takanori Nakamura
隆範 中村
Mitsuomi Hirashima
光臣 平島
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Galpharma Co Ltd
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Galpharma Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 好中球が炎症部位へ浸潤する最初のステップ
が、接着などの血管内皮細胞との相互作用である。好中
球が獲得する内皮細胞に対する接着能を制御する機構を
解明することは、炎症を始めとした好中球が関与する疾
患などの生理的現象を理解し、それをコントロールする
上で重要である。好中球の接着能を制御することは、医
薬品、診断薬、スクリーニング法、診断法などの開発に
役立つ。 【解決手段】 ガレクチン-8は強力な好中球接着誘導能
を有し、その作用は可逆的で糖アナログにより阻害でき
る。好中球に発現するガレクチン-8結合因子としてイン
テグリンαM 及びproMMP-9が同定され、ガレクチン-8と
の間の結合を阻害するなどして調整することにより、好
中球接着誘導能を調整でき、好中球が関与する疾患など
の予防・治療用医薬品、診断剤などの開発研究が可能と
なった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガレクチン-8の有
する好中球接着誘導活性を利用する技術に関する。ま
た、本発明は、ガレクチン-8と好中球間の相互作用、ガ
レクチン-8とインテグリンαM 間の相互作用、さらに
は、ガレクチン-8とプロMMP-9 間の相互作用の利用技術
に関する。本発明は、ガレクチン-8の示す好中球接着誘
導活性に関連した遺伝子工学、免疫学利用技術にも関
し、生物学、医学、臨床診断学を含め、医薬品、診断
薬、治療法、スクリーニング法、分析検知分離法などを
含めた様々な応用技術に関する。
【0002】
【従来の技術】炎症は、感染巣や組織損傷部位などへの
白血球や血漿中の分子群の流入をもたらす反応である。
炎症反応には三つの重要な要素がある。(1) 炎症巣にお
ける血流の増加、(2) 血管内皮細胞の収縮による毛細血
管透過性の亢進(これによって通常とは異なった高分子
が血管外に遊離し、また、免疫反応の可溶性分子群が炎
症の局所に移動する)、(3) 白血球の血管外への遊走と
周囲組織への浸潤(炎症の初期には多形核白血球〔主と
して好中球〕が最も多く、後半になって単核球やリンパ
球が炎症の局所に移動する)。好中球の炎症部位への浸
潤は、いくつかの独立した過程を経て進行する。第一の
ステップにはセレクチン(selectins) が関与し、好中球
の血管内皮細胞への弱い接着と血管内皮細胞上での好中
球のローリングが引き起こされる。第二のステップでは
走化性因子(chemoattractant) とインテグリン(integri
ns) の作用により、好中球と血管内皮細胞の間の接着が
強まり、好中球は内皮細胞上に停止する。これに引き続
いて、好中球は内皮細胞の間隙を通過して組織内に浸潤
する。この過程にも走化性因子とインテグリンが関与す
る。
【0003】好中球と血管内皮細胞の強い接着は、 int
egrin αL β2(LFA-1)、 integrinαM β2(Mac-1)、 in
tegrin αX β2(p150/95)などのインテグリン(主とし
てLFA-1 と Mac-1)と内皮細胞表面に存在する分子(リ
ガンド/受容体)の相互作用により引き起こされる。LF
A-1 は、ICAM-1とICAM-2、Mac-1 はICAM-1とそれぞれ結
合することが知られている。インテグリンは通常、リガ
ンドに対して親和性を持たない、あるいは低い親和性を
示す不活性型で存在し、細胞内外からの刺激によって高
い親和性を持つ活性型に変化する(立体構造の変化によ
る可逆的な活性化)。インテグリンの細胞外ドメインに
対するモノクローナル抗体の中には、この活性化を引き
起こすものが知られているが、in vivo での活性化のメ
カニズムは明らかではない。好中球は本来生体防御に重
要な役割を果たしている。好中球は貪食作用によって、
侵入した微生物の破壊や炎症部位の修復を行うととも
に、強力な殺菌作用を持つ酸、酵素、活性酸素などを放
出する。しかし、これらの傷害性因子は抗体のような標
的特異性を持たず周辺の正常組織まで傷害する可能性が
あるため、生体はこのような反応を限局する機構を備え
ている。この制御機構に乱れが生じると、好中球の産生
する傷害性因子は組織傷害を引き起こすことになる。好
中球が関与する疾患として、様々な慢性炎症性疾患(ベ
ーチェット病、クローン病など)、虚血再灌流障害、好
中球性皮膚症(スウィート症候群など)、全身性炎症反
応症候群(SIRS)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】こうした好中球が炎症
部位へ浸潤する最初のステップが、血管内皮細胞との相
互作用であることを考えると、この段階を阻害するなど
の制御によって好中球の過剰な作用を抑制するなどのこ
とが期待されている。特に、心筋梗塞の治療時など好中
球による傷害の発生が予想できる場合には、予防的に使
用することのできる薬剤などを開発することが期待され
ている。好中球が血管内皮細胞との相互作用するステッ
プ(+傷害性因子放出)における異常は、好中球の過剰
作用の原因となる可能性もある。さらに、こうした好中
球の過剰作用の原因を特定することができれば、診断、
治療の精密化に寄与できる。好中球が獲得する内皮細胞
に対する接着能を制御する機構を解明することは、炎症
を始めとした様々な生理的現象を理解し、炎症などに伴
う病的な状態をコントロールする上で重要である。好中
球の接着能を制御することは、医薬品、診断薬、スクリ
ーニング法、診断法などの開発に役立つので、その解明
が求められる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
の結果、ガレクチン-8が強力な好中球接着誘導能を有す
ること見出し、それが他のガレクチン(Galectin-1, -3,
-9)では認められないものである一方、好酸球の接着に
はガレクチン-8はほとんど影響を与えないものであると
の知見を得ることに成功し、そのガレクチン-8による好
中球接着誘導活性をさらに研究して、本発明をするのに
成功した。
【0006】本発明は、 〔1〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末端CRD か
ら成る群から選ばれたものを有効成分とすることを特徴
とする好中球接着誘導剤; 〔2〕 好中球の、血管内皮細胞、間質細胞、上皮細胞
及び人工的基質から成る群から選ばれたものとの接着を
誘導するものであることを特徴とする上記〔1〕記載の
剤; 〔3〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC末端CRD か
ら成る群から選ばれたものと好中球との間の相互作用を
阻害する物質を含有することを特徴とする好中球接着阻
害剤; 〔4〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC末端CRD か
ら成る群から選ばれたものと好中球との間の相互作用を
阻害する物質が、ラクトース、糖残基を有する化合物、
抗ガレクチン-8抗体及び抗インテグリンαM 抗体から成
る群から選ばれたものであることを特徴とする上記
〔3〕記載の剤; 〔5〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC末端CRD か
ら成る群から選ばれたものと好中球との間の相互作用を
阻害する物質を有効成分とすることを特徴とする医薬;
【0007】〔6〕 好中球に起因する病的な状態を予
防及び/又は治療することを特徴とする上記〔5〕記載
の医薬; 〔7〕 ガレクチン-8とインテグリンαM との相互作用
を阻害する物質を含有することを特徴とする好中球接着
阻害剤; 〔8〕 ガレクチン-8とインテグリンαM との相互作用
を阻害する物質が、ラクトース、糖残基を有する化合
物、抗ガレクチン-8抗体及び抗インテグリンαM 抗体か
ら成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記
〔7〕記載の剤;
〔9〕 ガレクチン-8とインテグリンαM との相互作用
を阻害する物質を有効成分とすることを特徴とする医
薬; 〔10〕 好中球に起因する病的な状態を予防及び/又は
治療することを特徴とする上記
〔9〕記載の医薬; 〔11〕 ガレクチン-8のC末端CRD に結合活性を有する
物質を含有することを特徴とする好中球接着能阻害剤;
【0008】〔12〕 ガレクチン-8のC末端CRD に結合
活性を有する物質が、ラクトース、糖残基を有する化合
物及び抗ガレクチン-8抗体から成る群から選ばれたもの
であることを特徴とする上記〔11〕記載の剤; 〔13〕 好中球接着能が、ガレクチン-8で誘導されるも
のであることを特徴とする上記〔11〕又は〔12〕記載の
剤; 〔14〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末端CRD か
ら成る群から選ばれたものの存在下、試験試料を好中球
と接触せしめ、好中球の接着能を測定することを特徴と
する好中球接着阻害剤のスクリーニング法; 〔15〕 ガレクチン-8とプロMMP-9 との相互作用を阻害
する物質を有効成分とすることを特徴とするプロMMP-9
活性化阻害剤; 〔16〕 ガレクチン-8とプロMMP-9 との相互作用を阻害
する物質を有効成分とすることを特徴とする医薬; 〔17〕 プロMMP-9 活性化に起因する病的な状態を予防
及び/又は治療することを特徴とする上記〔16〕記載の
医薬;
【0009】〔18〕 ガレクチン-8のN末端CRD に結合
活性を有する物質を含有することを特徴とするプロMMP-
9 活性化阻害剤; 〔19〕 ガレクチン-8のN末端CRD に結合活性を有する
物質が、ラクトース、糖残基を有する化合物及び抗ガレ
クチン-8抗体から成る群から選ばれたものであることを
特徴とする上記〔18〕記載の剤; 〔20〕 プロMMP-9 活性化が、ガレクチン-8で誘導され
るものであることを特徴とする上記〔18〕又は〔19〕記
載の剤; 〔21〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のN末端CRD か
ら成る群から選ばれたものの存在下、試験試料をプロMM
P-9 と接触せしめ、MMP-9 を測定することを特徴とする
プロMMP-9 活性化阻害剤のスクリーニング法; 〔22〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末端CRD か
ら成る群から選ばれたものを有効成分とすることを特徴
とする好中球スーパーオキシド産生促進剤;
【0010】〔23〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8の
C 末端CRD から成る群から選ばれたものと好中球との間
の相互作用を阻害する物質を含有することを特徴とする
好中球スーパーオキシド産生阻害剤; 〔24〕 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末端CRD か
ら成る群から選ばれたものの存在下、試験試料を好中球
と接触せしめ、好中球のスーパーオキシド産生能を測定
することを特徴とする好中球スーパーオキシド産生阻害
剤のスクリーニング法; 〔25〕 ガレクチン-8、ガレクチン-8のC 末端CRD 及び
ガレクチン-8のN末端CRD から成る群から選ばれたもの
の存在を測定することを特徴とする好中球に起因する病
的な状態の測定法; 〔26〕 好中球接着能、プロMMP-9 活性化、スーパーオ
キシド産生能、インテグリンαM との相互作用及びプロ
MMP-9 との相互作用から成る群から選ばれた生物学的活
性を測定することを特徴とする上記〔25〕記載の測定
法; 〔27〕 上記〔25〕又は〔26〕記載の測定を実施するに
適した物質を含有することを特徴とする測定試薬又は測
定キット;及び 〔28〕 ガレクチン-8、ガレクチン-8のC 末端CRD 及び
ガレクチン-8のN末端CRD から成る群から選ばれたもの
に、インテグリンαM 、プロMMP-9 及び好中球から成る
群から選ばれたものを接触せしめ、該結合親和性を利用
して分離及び/又は検出を行うことを特徴とするインテ
グリンαM 、プロMMP-9 及び好中球から成る群から選ば
れたものの分離及び/又は検出法を提供する。
【0011】本発明のその他の目的、特徴、優秀性及び
その有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明
白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実
施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ま
しい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されて
いるものであることを理解されたい。本明細書に開示し
た本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改
変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明
細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易
に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特
許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているも
ので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに
含めて解釈されるべきものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に従い、ガレクチン-8 (ga
lectin-8) が迅速且つ可逆的な好中球接着誘導活性を有
すること、該ガレクチン-8 による好中球接着誘導は、
ラクトースなどの糖アナログにより阻害することができ
ること、ガレクチン-8を利用すれば、例えば好中球など
に存在するガレクチン-8結合因子、例えばインテグリン
αM (integrin αM)、マトリックスメタロプロテアーゼ
-9前駆体 (pro-matrix metalloproteinase-9: proMMP-
9) などをアフィニティーにより分離できること、さら
にガレクチン-8のC末端CRD がインテグリンαM に結合
し、一方ガレクチン-8のN末端CRD がproMMP-9に結合
し、さらにproMMP-9を活性化し、活性型MMP-9 産生を促
進すること、またガレクチン-8のC末端CRD は例えば好
中球などにおけるスーパーオキシド産生を促進する活性
を有し、それはラクトースなどの糖アナログにより阻害
することができることを利用した技術が提供されること
となった。かくして、例えばガレクチン-8と好中球との
相互作用(ガレクチン-8 とインテグリンαM との相互
作用やガレクチン-8 とproMMP-9との相互作用、proMMP
-9の活性化を含む)に関連する応答・症状・疾患の研究
・解析・測定、診断、予防、治療などの目的で様々な試
薬、方法などの技術が提供される。
【0013】ガレクチン-8は、ガレチン-9と同様、ガレ
クチンファミリーの中でも二つの糖鎖認識ドメイン(car
bohydrate recongnition domain: CRD) を持つサブクラ
ス、タンデムリピートタイプ、に属するものである。本
発明では、遺伝子組換え技術を利用して所定の核酸を単
離・配列決定したり、組換え体を作製したり、所定のペ
プチドを得ることができる。遺伝子組換え技術は、例え
ば J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, "Mole
cular Cloning: A Laboratory Manual (2nd edition)",
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring
Harbor, New York (1989); D. M. Glover et al. ed.,
"DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practic
al Approach Series), IRL Press, Oxford University
Press (1995);日本生化学会編、「続生化学実験講座
1、遺伝子研究法II」、東京化学同人 (1986);日本生化
学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA
技術)」、東京化学同人 (1992); R. Wu ed., "Methods
in Enzymology", Vol. 68 (Recombinant DNA), Academ
ic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Meth
ods in Enzymology", Vol. 100 (RecombinantDNA, Part
B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Pres
s, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in
Enzymology", Vol. 153 (RecombinantDNA, Part D), 15
4 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant DN
A, PartF), Academic Press, New York (1987); J. H.
Miller ed., "Methods in Enzymology", Vol. 204, Aca
demic Press, New York (1991); R. Wu et al. ed., "M
ethods in Enzymology", Vol. 218, Academic Press, N
ew York (1993)などに記載の方法あるいはそこで引用さ
れた文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方
法や改変法により行うことができる (それらの中にある
記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含め
られる) 。
【0014】核酸は、一本鎖DNA 、二本鎖DNA 、RNA 、
DNA:RNA ハイブリッド、合成DNA などの核酸であり、ま
たヒトゲノムDNA 、ヒトゲノミックDNA ライブラリー、
ヒト組織・細胞由来のcDNA、合成DNA のいずれであって
もよい。核酸の塩基配列は、修飾(例えば、付加、除
去、置換など)されることもでき、そうした修飾された
ものも包含されてよい。核酸は、本発明で記載するペプ
チドあるいはその一部をコードするものであってよく、
好ましいものとしてはDNA が挙げられる。また核酸は、
対象タンパク質、例えばガレチン-9、プロMMP-9、イン
テグリンαM あるいはそれらの部分配列と同等の抗原性
などのそれと実質的に同等の生物学的活性を有するペプ
チドをコードするといったそれと同効の塩基配列を含有
するものであれば如何なるものであってもよい。ヒト、
チンパンジー、サル、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ヤ
ギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギなどの哺乳動物由来の
ものも包含されてもよい。該「同効の塩基配列」とは、
例えばストリンジェントな条件で問題の遺伝子をコード
する塩基配列のうちの連続した5個以上の塩基配列、好
ましくは10個以上の塩基配列、より好ましくは15個以上
の塩基配列、さらに好ましくは20個以上の塩基配列とハ
イブリダイズし、当該タンパク質と実質的に同等のアミ
ノ酸配列をコードするものなどが挙げられる。核酸は、
化学合成によって得ることも可能である。その場合断片
を化学合成し、それらを酵素により結合することによっ
てもよい。
【0015】本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイン・
リアクション(Polymerase Chain Reaction) 」又は「PC
R 」とは、一般的に、米国特許第 4683195号明細書など
に記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレ
オチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法
を指している。一般に、PCR 法は、鋳型核酸と優先的に
ハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオ
チドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行う
ようなサイクルを繰り返し行うことを含むものである。
典型的には、PCR 法で用いられるプライマーは、鋳型内
部の増幅されるべきヌクレオチド配列に対して相補的な
プライマーを使用することができ、例えば、該増幅され
るべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であ
るか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣
接しているものを好ましく使用することができる。5'端
側のプライマーとしては、少なくとも開始コドンを含有
するか、あるいは該開始コドンを含めて増幅できるよう
に選択し、また3'端側のプライマーとしては、少なくと
もストップコドンを含有するか、あるいは該ストップコ
ドンを含めて増幅できるように選択することが好まし
い。プライマーは、好ましくは 5個以上の塩基、さらに
好ましくは10個以上の塩基からなるオリゴヌクレオチ
ド、より好ましくは18〜25個の塩基からなるオリゴヌク
レオチドが挙げられる。プライマーの作製は、当該分野
で知られた方法で行うことができ、代表的にはAngew. C
hem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (1989) に記
載されているような既知の方法、例えば、フォスフォト
リエステル法、フォスフォジエステル法、フォスファイ
ト法、フォスフォアミダイト法、フォスフォネート法な
どの方法により化学合成されることができる。通常合成
は、修飾された固体支持体上で合成を便利に行うことが
できることが知られており、例えば、自動化された合成
装置、例えば、model 381A DNA synthesizer (Applied
Biosystems) などを用いて行うことができる。該オリゴ
ヌクレオチドは、一つ又はそれ以上の修飾された塩基を
含有していてよく、例えば、イノシンなどの天然におい
ては普通でない塩基あるいはトリチル化された塩基など
を含有していてよい。
【0016】PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるい
はそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことが
できるが、例えば R. Saiki, et al., Science, 230:13
50, 1985; R. Saiki, et al., Science, 239: 487, 198
8 ; H. A. Erliched., PCR Technology, Stockton Pres
s, 1989 ; D. M. Glover et al. ed.,"DNA Cloning", 2
nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), I
RLPress, Oxford University Press (1995) ; M. A. In
nis et al. ed., "PCRProtocols: a guide to methods
and applications", Academic Press, New York (199
0)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor
(Ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxfor
d (1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 85, 8998-9002 (1988) などに記載された方
法あるいはそれを修飾したり、改変した方法に従って行
うことができる。また、PCR 法は、それに適した市販の
キットを用いて行うことができ、キット製造業者あるい
はキット販売業者により明らかにされているプロトコル
に従って実施することもできる。
【0017】得られたPCR 産物は、通常 1〜2% アガロ
ースゲル電気泳動にかけて、特異なバンドとしてゲルか
ら切り出し、例えば、gene clean kit (Bio 101)などの
市販の抽出キットを用いてDNA を抽出する。抽出された
DNA は適当な制限酵素で切断し、必要に応じ精製処理し
たり、さらには必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチド
キナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18 などのpUC
系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲ
ーションし、適当なコンピータント細胞を形質転換す
る。クローニングされたPCR 産物はその塩基配列を解析
される。PCR 産物のクローニングには、例えば、p-Dire
ct (Clontech), pCR-ScriptTM SK(+) (Stratagene), pG
EM-T (Promega), pAmpTM (Gibco-BRL)などの市販のプラ
スミドベクターを用いることが出来る。宿主細胞の形質
転換をするには、例えばファージベクターを使用した
り、カルシウム法、ルビジウム/カルシウム法、カルシ
ウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB 凍結コンピテン
ト細胞法、迅速コロニー法、エレクトロポレーションな
ど当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様
な方法で行うことができる(D. Hanahan, J. Mol. Bio
l., 166: 557, 1983 など)。目的とするDNA を単離す
るためには、逆転写PCR (polymerase chain reaction c
oupled reverse transcription; RT-PCR) 、RACE (rapi
d amplification ofcDNA ends) を適用することが出来
る。RACEは、例えば、M. A. Innis et al. ed., "PCR P
rotocols" (M. A. Frohman, "a guide to methods and
applications"), pp.28-38, Academic Press, New York
(1990) などに記載された方法に従って行うことができ
る。
【0018】所定の核酸を同定したりするには、ハイブ
リダイゼーション技術を利用するが、該ハイブリダイゼ
ーションは、所定のDNA をナイロンフィルターなどの膜
に転写せしめ、必要に応じ変成処理、固定化処理、洗浄
処理などを施した後、その膜に転写せしめられたもの
を、必要に応じ変成させた標識プローブDNA 断片と、ハ
イブリダイゼーション用バッファ中で反応させて行われ
る。ハイブリダイゼーション処理は、普通約35℃〜約80
℃、より好適には約50℃〜約65℃で、約15分〜約36時
間、より好適には約1 時間〜約24時間行われるが、適宜
最適な条件を選択して行うことができる。例えば、ハイ
ブリダイゼーション処理は、約55℃で約18時間行われ
る。ハイブリダイゼーション用バッファとしては、当該
分野で普通に使用されるものの中から選んで用いること
ができ、例えば、Rapid hybridizationbuffer(Amersha
m)などを用いることができる。転写した膜の変成処理
としては、アルカリ変性液を使用する方法が挙げられ、
その処理後中和液や緩衝液で処理するのが好ましい。ま
た膜の固定化処理としては、普通約40℃〜約 100℃、よ
り好適には約70℃〜約90℃で、約15分〜約24時間、より
好適には約1 時間〜約4 時間ベーキングすることにより
行われるが、適宜好ましい条件を選択して行うことがで
きる。例えば、フィルターを約80℃で約2 時間ベーキン
グすることにより固定化が行われる。転写した膜の洗浄
処理としては、当該分野で普通に使用される洗浄液、例
えば1M NaCl 、1mM EDTAおよび 0.1% sodium dodecyl
sulfate (SDS) 含有 50mM Tris-HC1緩衝液,pH8.0 など
で洗うことにより行うことができる。ナイロンフィルタ
ーなどの膜としては、当該分野で普通に使用されるもの
の中から選んで用いることができ、例えば、ナイロンフ
ィルター[ハイボンド(Hybond)-N、Amersham]などを
挙げることができる。
【0019】上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液とし
ては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで
用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、
0.5MNaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げる
ことができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有
0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることがで
き、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、
20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができ
る。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異
的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に
応じて転写した膜はプレハイブリダイゼーション処理す
ることが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処
理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50%
formamide、 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アル
ブミン、0.2 % polyvinyl pyrrolidone)、 5×SSPE、
0.1 % SDS、100 μg/ml 熱変性サケ精子DNA ]などに
浸し、約35℃〜約50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜約
24時間、好ましくは約 6〜約8 時間反応させることによ
り行うことができるが、こうした条件は当業者であれば
適宜実験を繰り返し、より好ましい条件を決めることが
できる。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブ
DNA 断片の変成は、例えば、約70℃〜約100℃、好まし
くは約100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5
分間加熱するなどして行うことができる。なお、ハイブ
リダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれ
に準じた方法で行うことができるが、本明細書でストリ
ンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、
約15〜約50mM、好ましくは約19〜約40mM、より好ましく
は約19〜約20mMで、温度については約35〜約85℃、好ま
しくは約50〜約70℃、より好ましくは約60〜約65℃の条
件を示す。ハイブリダイゼーション完了後、フィルター
を十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーション
反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブを
取り除く。フィルターの洗浄処理は、当該分野で普通に
使用されるものの中から選んで用いて行うことができ、
例えば、0.1 % SDS含有 0.5×SSC ( O.15M NaCl、15mM
クエン酸)溶液などで洗うことにより実施できる。特
異的なハイブリダイゼーション反応をした標識プローブ
DNA 断片以外の標識プローブを取り除くなどしてから検
出処理をすることができる。
【0020】得られたDNA は、必要に応じてクローニン
グでき、例えば、プラスミド、λファージ、コスミド、
P1ファージ、F因子、YAC などが利用できる。好ましく
はλファージ由来のベクターが挙げられ、例えばCharon
4A 、Charon 21A、λgt10、λgt11、λDASHII、λFIXI
I 、λEMBL3 、λZAPII TM (Stratagene) などが利用で
きる。また得られたDNA を、下記で詳しく説明するよう
な適当なベクター、例えば、プラスミドpEX 、pMAMneo
、pKG5などのベクターに組込み、下記で詳しく説明す
るような適当な宿主細胞、例えば、大腸菌、酵母、CHO
細胞、COS 細胞などで発現させることができる。また、
該DNA 断片は、そのままあるいは適当な制御配列を付加
したDNA 断片として、または適当なベクターに組込み、
そして動物に導入して、所定の遺伝子、例えば、C-末端
欠失ガレクチン-8あるいはN-末端欠失ガレクチン-8を発
現するトランスジェニック動物を作成することができ
る。動物としては、哺乳動物が挙げられ、例えば、マウ
ス、ラット、ウサギ、モルモット、ウシなどが挙げられ
る。好ましくは、マウスなどの動物の受精卵に該DNA 断
片を導入して、トランスジェニック動物を作成すること
ができる。外来遺伝子を哺乳動物などの動物細胞に導入
する方法としては当該分野で知られた方法あるいはそれ
と実質的に同様な方法で行うことができ、例えばリン酸
カルシウム法(例えば、F. L. Graham et al., Virolog
y, 52: 456, 1973など)、DEAE- デキストラン法(例え
ば、D. Warden et al., J. Gen. Virol., 3: 371, 1968
など)、エレクトロポレーション法(例えば、E. Neuma
nn et al., EMBO J, 1: 841, 1982など)、マイクロイ
ンジェクション法、リボソーム法、ウイルス感染法、フ
ァージ粒子法などが挙げられる。こうして所定の遺伝子
をトランスフェクションされた動物細胞の産生する遺伝
子産物は、それを解析することもできる。
【0021】所定の遺伝子など(本発明で得られたDNA
など)を組込むプラスミドとしては遺伝子工学的に常用
される宿主細胞(例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞
宿主、酵母、CHO 細胞、COS 細胞等の真核細胞宿主、Sf
21等の昆虫細胞宿主)中で該DNA が発現できるプラスミ
ドであればどのようなプラスミドでもよい。こうした配
列内には、例えば選択した宿主細胞で発現するのに好適
に修飾されたコドンが含まれていることができるし、制
限酵素部位が設けられていることもできるし、目的とす
る遺伝子の発現を容易にするための制御配列、促進配列
など、目的とする遺伝子を結合するのに役立つリンカ
ー、アダプターなど、さらには抗生物質耐性などを制御
したり、代謝を制御したりし、選別などに有用な配列
(ハイブリドタンパク質や融合タンパク質をコードする
ものも含む)等を含んでいることができる。好ましく
は、適当なプロモーター、例えば大腸菌を宿主とするプ
ラスミドでは、トリプトファンプロモーター(trp) 、ラ
クトースプロモーター(lac) 、トリプトファン・ラクト
ースプロモーター(tac) 、リポプロテインプロモーター
(lpp) 、λファージ PL プロモーター等を、動物細胞を
宿主とするプラスミドでは、SV40レートプロモーター、
MMTV LTRプロモーター、RSV LTR プロモーター、CMV プ
ロモーター、SRαプロモーター等を、酵母を宿主とする
プラスミドでは、GAL1、GAL10 プロモーター等を使用し
得る。
【0022】大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、
例えばpBR322、pUC18, pUC19, pUC118, pUC119, pSP64,
pSP65, pTZ-18R/-18U, pTZ-19R/-19U, pGEM-3, pGEM-
4, pGEM-3Z, pGEM-4Z, pGEM-5Zf(-), pBluescript KSTM
(Stratagene) などが挙げられる。大腸菌での発現に適
したプラスミドベクターとしては、pAS, pKK223 (Pharm
acia), pMC1403, pMC931, pKC30, pRSET-B (Invitroge
n) なども挙げられる。動物細胞を宿主とするプラスミ
ドとしては、SV40ベクター、ポリオーマ・ウイルスベク
ター、ワクシニア・ウイルスベクター、レトロウイルス
ベクターなどが挙げられ、例えばpcD, pcD-SRα, CDM8,
pCEV4, pME18S, pBC12BI, pSG5 (Stratagene) などが
挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドとしては、YI
p型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベクター、YCp型ベ
クターなどが挙げられ、例えばpGPD-2などが挙げられ
る。宿主細胞としては、宿主細胞が大腸菌の場合、例え
ば大腸菌K12 株に由来するものが挙げられ、例えばNM53
3, XL1-Blue, C600, DH1, DH5,DH11S, DH12S, DH5α, D
H10B, HB101, MC1061, JM109, STBL2, B834株由来とし
ては、BL21(DE3)pLysSなどが挙げられる。宿主細胞が動
物細胞の場合、例えばアフリカミドリザル線維芽細胞由
来のCOS-7 細胞、COS-1 細胞、CV-1細胞、マウス線維芽
細胞由来のCOP 細胞、MOP 細胞、WOP 細胞、チャイニー
ズ・ハムスター細胞由来のCHO 細胞、CHO DHFR- 細胞、
ヒトHeLa細胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス細胞由
来NIH 3T3 細胞などが挙げられる。昆虫細胞としては、
カイコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori nuclear poly
hedrosis virus) あるいはそれに由来するものをベクタ
ーとし、カイコ幼虫あるいはカイコ培養細胞、例えばBM
-N細胞などを用いることが挙げられる。植物細胞を宿主
細胞として使用することも可能であり、それに適するベ
クターと共に、それらは当該分野で広く知られている。
本発明の遺伝子工学的手法においては、当該分野で知ら
れたあるいは汎用されている制限酵素、逆転写酵素、DN
A 断片をクローン化するのに適した構造に修飾したりあ
るいは変換するための酵素であるDNA 修飾・分解酵素、
DNA ポリメラーゼ、末端ヌクレオチジルトランスフェラ
ーゼ、DNA リガーゼなどを用いることが出来る。
【0023】本発明に従い、タンパク質をコードする核
酸を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体
は、必要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返し
クローニングを行うことにより、高い発現能を安定して
有する細胞株を得ることができる。例えば、宿主細胞と
して動物細胞を用いた形質転換体において、dhfr遺伝子
を選択マーカーとして利用した場合、MTX 濃度を徐々に
上げて培養し、耐性株を選択することにより、本発明の
タンパク質をコードするDNA を増幅させ、より高い発現
を得られる細胞株を得ることができる。本発明の形質転
換体は、本発明のタンパク質をコードする核酸が発現可
能な条件下で培養し、目的物を生成、蓄積せしめること
ができる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている
培地中で培養することができる。例えば、大腸菌、枯草
菌等の原核細胞宿主、酵母などを宿主としている形質転
換体は、液体培地を好適に使用することができる。培地
中には、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、
無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、た
とえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖
など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝
酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイ
ン、肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液
などの無機または有機物質、無機物としては,例えば、
塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネ
シウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵
母、ビタミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加
してもよい。また、必要によりプロモーターを効率よく
働かせるために、例えば、3β−インドリル アクリル
酸のような薬剤を加えることができる。培地のpHは約5
〜8が望ましい。
【0024】培養は、例えば大腸菌では通常約15〜約45
℃で約3〜約75時間行い、必要により、通気や攪拌を加
えることもできる。宿主が動物細胞である形質転換体を
培養する際、培地としては、たとえば約5〜約20%の胎
児牛血清を含むMEM 培地、PRMI1640培地、DMEM培地など
が用いられる。pHは約6〜約8であるのが好ましい。培
養は通常約30℃〜約40℃で約15〜約72時間行い、必要に
応じて通気や攪拌を加える。所定の遺伝子産物を発現し
ている形質転換体はそのまま利用可能であるが、その細
胞ホモジュネートとしても利用できるが、所定の遺伝子
産物を単離して用いることもできる。上記培養細胞から
抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるい
は細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、
リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あ
るいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により粗抽
出液を得る方法などを適宜用いることができる。緩衝液
の中には尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、ト
リトン X-100(商品名)、ツウィーン-20 (商品名)な
どの界面活性剤を加えてあってもよい。培養液中に目的
生成物が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公
知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を
集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽
出液中に含まれる目的生成物は、自体公知の分離・精製
法を適切に組み合わせてその精製を行なうことができ、
例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデッ
クスなどによるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチ
ル基あるいはカルボキシメチル基などを持つ担体などを
用いたイオン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル
基、オクチル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体な
どを用いた疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロ
マトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、ア
フィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマト
グラフィー法などにより精製して得ることができる。好
ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、リガンド
などを固定化したアフィニティー・クロマトグラフィー
などで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン−
アガロース・アフィニティー・クロマトグラフィー、ヘ
パリン−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げら
れる。
【0025】さらに、本発明に係わる遺伝子の塩基配列
を基に遺伝子工学的に常用される方法を用いることによ
り、所定のタンパク質のアミノ酸配列中に適宜、1個な
いし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転移あ
るいは付加したごとき変異を導入した相当するタンパク
質を製造することができる。こうした変異・変換・修飾
法としては、日本生化学会編、「続生化学実験講座1、
遺伝子研究法 II 」、p105(広瀬進)、東京化学同人(1
986); 日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 I
II(組換えDNA 技術)」、p233(広瀬進)、東京化学同
人(1992); R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enz
ymology", Vol. 154, p. 350 & p. 367,Academic Pres
s, New York (1987); R. Wu, L. Grossman, ed., "Meth
ods in Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p. 468, Aca
demic Press, New York (1983);J. A. Wells et al.,
Gene, 34: 315, 1985; T. Grundstroem et al., Nuclei
cAcids Res., 13: 3305, 1985; J. Taylor et al., Nuc
leic Acids Res., 13: 8765, 1985; R. Wu ed., "Metho
ds in Enzymology", Vol. 155, p. 568, Academic Pres
s, New York (1987); A. R. Oliphant et al., Gene,
44: 177, 1986 などに記載の方法が挙げられる。例えば
合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導
入法(部位特異的変異導入法) (Zoller et al., Nucl.
Acids Res., 10: 6487, 1987; Carter et al., Nucl. A
cids Res., 13: 4331, 1986), カセット変異導入法 (ca
ssette mutagenesis: Wells et al., Gene, 34: 315, 1
985), 制限部位選択変異導入法 (restriction selectio
n mutagenesis: Wells et al., Philos. Trans. R. So
c. London Ser A, 317: 415, 1986),アラニン・スキャ
ンニング法 (Cunningham & Wells, Science, 244: 1081
-1085, 1989), PCR 変異導入法, Kunkel法, dNTP[αS]
法(Eckstein),亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定変
異導入法等の方法が挙げられる。例えば、ガレクチン-8
のC末端CRD を不活性化したガレクチン-8変異体、ガレ
クチン-8のN末端CRD を不活性化したガレクチン-8変異
体などのガレクチン-8変異体などは、ガレクチン-8と好
中球との相互作用を解析するなどに有用である。
【0026】遺伝子組換え法で製造する時に融合タンパ
ク質として発現させ、かくして得られた融合タンパク質
をその融合部を利用してアフィニティクロマトグラフィ
ーなどで精製することも可能である。こうした融合タン
パク質としては、ヒスチジンタグに融合せしめられたも
の、あるいは、β-ガラクトシダーゼ(β-gal) 、マル
トース結合タンパク (MBP), グルタチオン-S-トランス
フェラーゼ (GST)、チオレドキシン (TRX)又は Cre Rec
ombinaseのアミノ酸配列に融合せしめられたものなどが
挙げられる。同様に、ポリペプチドは、ヘテロジーニア
スなエピトープのタグを付加され、該エピトープに特異
的に結合する抗体を用いてのイムノアフィニティ・クロ
マトグラフィーによる精製をなし得るようにすることも
できる。より適した実施態様においては、該エピトープ
タグとしては、例えば AU5, c-Myc, CruzTag 09, CruzT
ag 22, CruzTag 41, Glu-Glu, HA, Ha.11, KT3, FLAG
(registered trademark, Sigma-Aldrich), Omni-probe,
S-probe, T7, Lex A, V5,VP16, GAL4, VSV-G などが挙
げられる。(Field et al., Molecular and Cellular Bi
ology, 8: pp.2159-2165 (1988); Evan et al., Molecu
lar and Cellular Biology, 5: pp.3610-3616 (1985);
Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6): pp.547
-553 (1990); Hopp et al., BioTechnology, 6: pp.120
4-1210 (1988); Martin et al., Science, 255: pp.192
-194 (1992); Skinner et al., J. Biol. Chem., 266:
pp.15163-15166 (1991); Lutz-Freyermuth et al., Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 87: pp.6393-6397 (1990))
など。酵母を利用した two-hybrid 法も利用できる。
【0027】さらに融合タンパク質としては、検出可能
なタンパク質となるようなマーカーを付されたものであ
ることもできる。より好適な実施態様においては、該検
出可能なマーカーは、ビオチン/ストレプトアビジン系
のBiotin Avi Tag、螢光を発する物質などであってよ
い。該螢光を発する物質としては、オワンクラゲ (Aequ
orea victorea)などの発光クラゲ由来の緑色螢光タンパ
ク質(green fluorescentprotein: GFP)、それを改変し
た変異体(GFPバリアント) 、例えば、EGFP (Enhanced-h
umanized GFP), rsGFP (red-shift GFP), 黄色螢光タン
パク質 (yellow fluorescent protein: YFP), 緑色螢光
タンパク質 (green fluorescent protein:GFP),藍色螢
光タンパク質 (cyan fluorescent protein: CFP), 青色
螢光タンパク質 (blue fluorescent protein: BFP), ウ
ミシイタケ (Renilla reniformis)由来のGFP などが挙
げられる(宮脇敦史編、実験医学別冊ポストゲノム時代
の実験講座3−GFP とバイオイージング、羊土社 (2000
年))。また、上記融合タグを特異的に認識する抗体(モ
ノクローナル抗体及びそのフラグメントを含む)を使用
して検出を行うこともできる。得られたタンパク質(ペ
プチドあるいはポリペプチドを包含していてよい)は、
それを酵素免疫測定法など知られた手法で、適当な担体
あるいは固相に結合せしめて固相化することがでる。固
相化タンパク質、固相化ペプチドは、便利に結合アッセ
イや物質のスクリーニングに使用できる。例えば、GST
融合リコンビナントガレクチン-8タンパク質を使用する
と、図1に示すように、例えばヒト好中球におけるガレ
クチン-8受容体の同定で示される如く、インテグリンα
M やプロMMP-9 などガレクチン-8受容体を特異的に分離
できる。かくして、ガレクチン-8、そのC末端CRD ある
いはN末端CRD をリガンドとして使用するアフィニティ
技術が提供され、該アフィニティ技術利用した各種分析
・測定・分離法並びに試薬が提供され、それらはすべて
本発明の範囲内のものである。
【0028】本発明に従えば、DNA 配列は、例えばガレ
クチン-8、プロMMP-9及び関連タンパク質をコードする
哺乳動物、特に好ましくはヒトの、ゲノムDNA 及びcDNA
のスクリーニング及び両者の相関性検知のためのプロー
ブの設計などに使用できる。該DNA 配列は、例えばガレ
クチン-8、あるいはプロMMP-9 及び関連タンパク質をコ
ードする哺乳動物、特に好ましくはマウス、ラットやヒ
トの、ゲノムDNA 及びcDNAのスクリーニング及び両者の
相関性検知のためのプローブとして有用である。プロー
ブは、必要に応じて、抗体に関連して挙げられている標
識を付与しておくことができる。遺伝子の単離にあたっ
ては、PCR 法、さらには逆転写酵素 (RT) を用いたPCR
法 (RT-PCR) を利用することが出来る。例えば、ガレク
チン-8やプロMMP-9 あるいはインテグリンαM mRNA の
ヒト組織中での発現を各種の組織由来poly (A)+ RNA に
対するノーザンブロット分析により検討することができ
る。所定のcDNAをプローブとして用いれば、例えばノー
ザン・ブロティング、サザン・ブロティング、in situ
ハイブリダイゼーションなどによりヒト組織中での当該
遺伝子のmRNAの共発現や両遺伝子自体の制御系などを検
出・測定でき、ヒト組織における好中球の接着に関連し
て生ずる現象の制御、その他多くの正常な細胞のプロセ
スに関与する、ガレクチン-8と好中球との間の相互作用
における役割、好中球の接着に起因する様な多くの疾患
等の研究の発展に貢献できる。好中球の接着に関連した
疾患の遺伝子診断にも利用できる。そうした診断は、当
該タンパク質及び関連タンパク質をコードする核酸の異
常、例えば損傷、突然変異、発現低下、発現過多などを
診断するものであることができる。
【0029】本発明に従えば、ガレクチン-8と好中球と
の間の相互作用(その他、ガレクチン-8とインテグリン
αM との間の相互作用、ガレクチン-8とプロMMP-9 との
間の相互作用なども包含する)に関連する遺伝子診断法
(検出方法)が提供できる。該遺伝子診断法では、(a)
核酸試料を得る工程、(b) 工程(a) にて得られた核酸試
料を、例えばPCR 法、RNA ポリメラーゼを利用した核酸
増幅法、鎖置換増幅法などで遺伝子増幅し、例えば該ガ
レクチン-8に存在しうる変異部位などを含む領域が増幅
された核酸断片を得る工程、及び(c) 工程(b) の核酸断
片について変異の存在を調べる工程を含む態様が挙げら
れる。増幅の対象となる、変異部位を含む領域として
は、これに限定されないが、例えばガレクチン-8のC末
端CRD あるいはガレクチン-8のN末端CRD 遺伝子の塩基
配列のうち、疾患の原因となる変異を含んでいる領域で
あれば特に限定されない。上記工程(c) においては、当
該分野で当業者に知られている変異の存在に検出方法の
中から適切な方法を選んでそれを適用でき、特には限定
されないが、例えばASPCR (allele-specific PCR) 法に
より得られたDNA 断片長を調べることにより検出するこ
とができる。DNA 断片長を調べる方法は、特に限定され
るものではないが、例えば螢光DNA シークエンサーなど
を使用して行うことができる。本工程で使用される変異
検出法としては、例えば制限酵素断片長多型 (restrict
ion fragment length polymorphism: RFLP) を検出して
調べる方法などが挙げられる。また、変異の検出には、
例えば変異部位を含む適当なDNA 片をプローブに用いる
ハイブリダイゼーション法や、SSCP法(単鎖高次構造多
型)のような公知の変異検出法を使用してよい。本発明
の遺伝子診断に従い、ガレクチン-8と好中球との間の相
互作用に関係した遺伝子診断が可能であり、例えば炎
症、アレルギーなどへの罹患抵抗性・感受性決定の一素
因と考えられる遺伝子及びその制御機構を含めて所定遺
伝子の発現や多型などを遺伝子診断し、さらに、当該診
断結果に基づき関連疾患罹病へのリスクを下げるような
遺伝子治療を行うことが可能となる。
【0030】さらに、本明細書中で開示したガレクチン
-8と好中球との間の相互作用を解析するため、ガレクチ
ン-8や好中球に存在するガレクチン-8結合因子及びそれ
に関連したタンパク質、そのフラグメント、さらにはDN
A を含めた核酸(mRNA やオリゴヌクレオチドを含む)
は、それらを単独あるいは有機的に使用し、アンチセン
ス法、更には以下で説明する技術(モノクローナル抗体
を含めた抗体、トランスジェニク動物など)とも適宜組
合わせて、ゲノミックス及びプロテオミックス技術に応
用できる。例えば、ガレクチン-8変異体などは、ドミナ
ントネガティブ効果を利用した機能解析にも利用可能と
考えられる。また、二本鎖RNA (dsRNA) を使用してのRN
Ai (RNA interference) 技術への応用の途もある。かく
して、一塩基多型(SNP; single nucleotide polymorphi
sms)を中心とした遺伝子多型解析、核酸アレイ、タンパ
ク質アレイを使用した遺伝子発現解析、遺伝子機能解
析、タンパク質間相互作用解析、関連疾患解析、疾患治
療薬解析をすることが可能となる。例えば、核酸アレイ
技術では、cDNAライブラリーを使用したり、PCR 技術で
得たDNA を基板上にスポッティング装置で高密度に配置
して、ハイブリダイゼーションを利用して試料の解析が
行われる。該アレイ化は、針あるいはピンを使用して、
あるいはインクジェトプリンティング技術などでもっ
て、スライドガラス、シリコン板、プラスチックプレー
トなどの基板のそれぞれ固有の位置にDNA が付着せしめ
られることによりそれを実施することができる。該核酸
アレイ上でのハイブリダイゼーションの結果得られるシ
グナルを観察してデータを取得する。該シグナルは、螢
光色素などの標識(例えば、Cy3, Cy5, BODIPY, FITC,
AlexaFluor dyes(商品名), Texas red(商品名) など)
より得られるものであってよい。検知にはレーザース
キャナーなどを利用することもでき、得られたデータは
適当なアルゴリズムに従ったプログラムを備えたコンピ
ューターシステムで処理されてよい。また、タンパク質
アレイ技術では、タグを付された組換え発現タンパク質
産物を利用してよく、二次元電気泳動(2-DE)、酵素消化
フラグメントを含めての質量分析 (MS)(これにはエレク
トロスプレーイオン化法(electrospray ionization: ES
I), マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(matrix-
assisted laser desorption/ionization: MALDI)などの
技術が含まれ、MALDI-TOF 分析計、ESI-3 連四重極分析
計、ESI-イオントラップ分析計などを使用してよい) 、
染色技術、同位体標識及び解析、画像処理技術などが利
用されることができる。したがって、本発明には上記で
得られるあるいは利用できる所定の物質に関連したソフ
トウエア、データベースなども含まれてよい。
【0031】得られたDNA (例えば、ガレクチン-8、イ
ンテグリンαM 、プロMMP-9 などをコードするDNA)を対
象動物に転移させるにあたっては、それをDNA 断片とし
てあるいは該DNA を動物細胞で発現させうるプロモータ
ーの下流に結合して用いるのが一般に有利である。たと
えば、マウスにガレクチン-8 DNAを導入する場合、これ
と相同性が高い動物由来のガレクチン-8 DNAを動物細胞
で発現させうる各種プロモーターの下流に結合した遺伝
子コンストラクトを、対象動物の受精卵、たとえばマウ
ス受精卵へマイクロインジェクションすることによって
ガレクチン-8を高産生する遺伝子導入(トランスジェニ
ック)マウスを作出できる。マウスとしては、特に純系
のマウスに限定されないが、例えば、C57BL/6 、Balb/
C、C3H 、(C57BL/6×DBA/2)F1(BDF1)などが挙げられ
る。このプロモーターとしては、例えばウイルス由来プ
ロモーター、メタロチオネイン等のユビキタスな発現プ
ロモーターなどが好ましく使用しうる。また該DNA を導
入する場合、組換えレトロウイルスに組み換えて、それ
を用いて行うこともできる。好適には対象DNA を導入さ
れたマウス受精卵は、例えば、ICR のような仮親のマウ
スを使用して生育せしめることができる。受精卵細胞段
階における当該DNA (例えば、ガレクチン-8をコードす
るDNA)の転移は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全
てに存在するように確保される。DNA 転移後の作出動物
の胚芽細胞において当該DNA 、例えば、ガレクチン-8を
コードするDNA が存在することは、作出動物の子孫が全
てその胚芽細胞および体細胞の全てに該ガレクチン-8を
コードするDNA を有することを意味する。遺伝子を受け
継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞
の全てにおいて、該ガレクチン-8を発現できる可能性を
有している。
【0032】該ガレクチン-8 DNA導入動物は、交配によ
り遺伝子を安定に保持することを確認して、該DNA 保有
動物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができ
る。さらに、目的DNA を保有する雌雄の動物を交配する
ことにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモ
ザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配するこ
とによりすべての子孫が該DNA を有するように繁殖継代
することができる。該DNA が導入された動物は、該所定
タンパク質が高発現させられているので、該所定タンパ
ク質に対する阻害剤(インヒビター)のスクリーニング
用の動物などとして有用である。またガレクチン-8遺伝
子の発現を阻害することのできるアンチセンス オリゴ
ヌクレオチド、例えば、アンチセンスDNA などのスクリ
ーニング用の動物などとして有用である。この遺伝子導
入動物を、組織培養のための細胞源として使用すること
もできる。こうした手法で、ガレクチン-8、インテグリ
ンαM 、プロMMP-9 などの遺伝子を適宜共発現するもの
を得ることもできる。例えば、遺伝子導入マウスの組織
中のDNA もしくはRNA を直接分析するかあるいは遺伝子
により発現されたタンパク質・組織を分析することによ
り、ガレクチン-8と好中球に存在するガレクチン-8受容
体との間の相互作用に関連したタンパク質について分析
することができる。該ガレクチン-8とガレクチン-8受容
体との両者を産生する組織の細胞を標準組織培養技術に
より培養し、これらを使用して、たとえば脳、胸腺、血
管内皮細胞などの血管細胞、好中球などの血液細胞、精
巣、脳、腸、腎臓やその他の組織由来の細胞についてそ
の機能を研究することができる。また、その細胞を用い
ることにより、たとえば各種組織の機能を高めるような
医薬開発に資することも可能である。トランスジェニッ
ク マウスなどに関連した技術は、例えば、Brinster,
R. L., et al.,; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 44
38, 1985; Costantini,F. & Jaenisch, R. (eds): Gene
tic manipulation of the early mammalian embryo, Co
ld Spring Harbor Laboratory, 1985などの文献に記載
の方法あるいはそこに引用された文献に記載の方法、さ
らにはそれらの改変法により行うことができる。
【0033】当該問題の遺伝子(例えば、ガレクチン-8
に相当するマウスガレクチン-8をコードするDNA 並びに
プロMMP-9 に相当するマウスプロMMP-9 をコードするDN
A)に変異をもち、マウスガレクチン-8並びにマウスプロ
MMP-9 を全く発現しない変異マウス(ノックアウトマウ
ス)を作出することができる。たとえば、該遺伝子の翻
訳開始コドンの前後4kb を含むおよそ8kb のゲノムDNA
の中央近傍に位置し翻訳開始コドンに近いエクソンにne
o 耐性遺伝子-polyA付加シグナルからなる遺伝子カセッ
トを挿入した変異遺伝子を持つターゲティングベクター
を構築することができる。挿入する遺伝子カセットはne
o 耐性遺伝子カセット以外にDT-Aカセット、tkカセッ
ト、lacZカセットなどが挙げられる。ターゲティングベ
クターを直鎖状に開き、樹立したマウス胚性幹細胞(em
bryonic stem cells: ES細胞)にエレクトロポレーショ
ンで導入、さらに培養してneo 耐性を獲得したES細胞を
選別する。ES細胞は129 、C57BL/6 、F1(C57BL/6×CBA)
マウスなどのマウス系統から選択して調製することがで
きる。neo 耐性を獲得したES細胞は、マウスガレクチン
-8遺伝子領域において遺伝子カセットを挿入したターゲ
ティングベクターと相同組換えを起こしていると想定さ
れ、少なくともマウスガレクチン-8遺伝子アレルのうち
一つは破壊され、マウスガレクチン-8を正常に発現でき
なくなる。選別には挿入した遺伝子カセットによりそれ
ぞれ適当な方法が選択され、また、変異の導入はPCR 、
サザンハイブリダイゼーションあるいはノーザンハイブ
リダイゼーションなどの方法を用いて確認することがで
きる。
【0034】変異を導入したES細胞は、C57BL/6 、BALB
/c、ICR マウスなどから取り出した8細胞期胚に注入、
1日培養し胚盤胞に発生したものをICR のような仮親に
移植することで個体まで生育させることができる。生ま
れる子マウスは変異をもつES細胞と正常な宿主胚に由来
するキメラマウスで、ES細胞に由来する細胞がどの程度
含まれるかは個体の毛色で判断する。従って、ES細胞と
宿主胚は毛色の異なった系統の組合わせが望ましい。得
られたキメラマウスの変異はヘテロであり、これらを適
宜交配することでホモ変異マウスを得ることができる。
このようにして得られたホモ変異マウスは生殖細胞およ
び体細胞の全てにおいて、マウスガレクチン-8遺伝子の
みが破壊され、マウスガレクチン-8を全く発現せず、繁
殖継代される子孫もまた同様の表現系をもつ。このノッ
クアウトマウスは正常マウスとの比較において、発生、
成長、生殖、老化および死など個体のライフサイクルに
おけるガレクチン-8とガレクチン-8受容体の相互作用の
役割や各臓器、組織におけるガレクチン-8とガレクチン
-8受容体の機能を解析するのに有用である。また、ガレ
クチン-8とガレクチン-8受容体との間の相互作用に関連
した医薬品開発にも応用できる。ノックアウトマウスは
これらモデル動物としてだけではなく、組織培養のため
の細胞源として使用することもでき、細胞レベルでのガ
レクチン-8とガレクチン-8受容体の機能解析などに供す
ることができる。ノックアウトマウス等に関連した技術
は、例えば、Mansour, S. L., et al.,; Nature, 336:
348-352, 1988; Joyner, A. L., ed.; Gene targeting,
IRL Press, 1993; 相沢慎一, ジーンターゲティングES
細胞を用いた変異マウスの作成,羊土社,1995などの文
献に記載の方法あるいはそこに引用された文献に記載の
方法、さらにはそれらの改変法により行うことができ
る。上記してきたように、ガレクチン-8、インテグリン
αM 、プロMMP-9 及びその関連ペプタイド(以下で説明
する抗体あるいはそのフラグメントなども含む) 、さら
にはそれらをコードする核酸など、本発明の思想に従っ
て操作利用できる。
【0035】本発明は、ガレクチン-8とガレクチン-8受
容体との相互作用を効率てきに検知・分析・定量した
り、その相互作用に影響を与える因子・化合物などの物
質を測定できる系、被検試料中のそれらの物質などを検
知・分別定量する優れた方法及びその為の試薬キットを
提供することができる。本発明はこうした試薬キットの
うちの各試薬をすべてその実施態様のうちに含むと理解
される。さらに本発明は、上記方法を用いてガレクチン
-8と好中球との相互作用を検知・分別定量することによ
り、好中球の接着による様々な生理現象、生物学的活性
および好中球の接着に起因する病的な症状、例えばアレ
ルギー疾患、炎症性疾患、神経変性疾患およびがんの浸
潤・転移の様な多くの疾患などをモニターし得る方法並
びにそれに関する試薬あるいは診断剤を提供することが
できる。したがって、医学的・生理学的分野における上
記試薬の各種利用、ガレクチン-8とガレクチン-8受容体
との相互作用に起因する応答・症状・疾患の研究・解析
・測定、診断、予防、治療などの目的で上記試薬を使用
することは、すべて本発明のその実施態様のうちに含ま
れると理解される。
【0036】本発明では、例えば(1) ガレクチン-8と好
中球との両者、(2) ガレクチン-8とインテグリンαM と
の両者、あるいは(3) ガレクチン-8とプロMMP-9 との両
者などを含有しているスクリーニング試薬(ガレクチン
-8とガレクチン-8受容体を共発現している細胞あるいは
その細胞ホモジュネートなども含む)を使用して、ガレ
クチン-8とガレクチン-8受容体との間の相互作用(結合
を含む)により生ずる、生物学的活性などの機能(例え
ば、好中球接着能の活性化、プロMMP-9 の活性化など)
を促進する化合物(アゴニスト)や阻害する化合物(ア
ンタゴニスト)又はそれらの塩をスクリーニングするこ
とができ、それは試薬としても有用である。また、本発
明では、例えばガレクチン-8とガレクチン-8受容体との
両者を含有しているスクリーニング試薬(ガレクチン-8
とガレクチン-8受容体を共発現している細胞あるいはそ
の細胞ホモジュネートなど)を使用して、ガレクチン-8
とインテグリンαM その他との間の相互作用(結合を含
む)による生物学的活性などの機能を促進する化合物
(アゴニスト)や阻害する化合物(アンタゴニスト)又
はそれらの塩のスクリーニング方法も提供される。該ガ
レクチン-8とガレクチン-8受容体間の相互作用による生
物学的活性などの機能(例えば、ガレクチン-8とインテ
グリンαM との結合活性など)を促進する化合物(アゴ
ニスト、あるいは促進剤)又はその塩は、例えば好中球
接着能不全症状などの各種の疾病の治療及び/又は予防
剤として有用な医薬として使用できる。一方、該ガレク
チン-8とガレクチン-8受容体間の相互作用による生物学
的活性などの機能(例えば、ガレクチン-8とインテグリ
ンαM との結合活性など)を阻害する化合物(アンタゴ
ニスト、あるいは阻害剤)又はその塩は、好中球接着に
起因した疾患や病気、炎症などの各種の疾病の治療及び
/又は予防剤などの医薬として使用できる。
【0037】該スクリーニングでは、例えば(i) (1) ガ
レクチン-8と好中球との両者、(2)ガレクチン-8とイン
テグリンαM との両者、あるいは(3) ガレクチン-8とプ
ロMMP-9 との両者などの共存下(該タンパク質を発現す
る形質転換体を含んでいてもよい、以下同様)などに、
必要なら適当な基質を接触させた場合と、(ii)(1) ガレ
クチン-8と好中球との両者、(2) ガレクチン-8とインテ
グリンαM との両者、あるいは(3) ガレクチン-8とプロ
MMP-9 との両者などの共存下に、必要なら適当な基質及
び、試験試料を接触させた場合との比較を行う。具体的
には、上記スクリーニングでは、当該生物学的活性(例
えば、好中球接着活性など)を測定して、比較する。ま
た、該スクリーニングは、細胞膜上のインテグリンαM
あるいはプロMMP-9 存在下にそれを行ってよい。基質と
しては、典型的には活性型MMP-9等の基質となることの
できるものであれば何れのものであってよい。例えば、
ガレクチン-8とプロMMP-9との相互作用を測定する目的
で使用されるもの中から選んで用いることができるが、
好ましくは合成された基質などを使用できる。基質は、
そのまま使用できるが、好ましくはフルオレッセインな
どの蛍光、酵素や放射性物質で標識したものを使用でき
る。
【0038】試験試料としては、例えばタンパク質、ペ
プチド、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産
物、植物抽出物、動物などの組織抽出物、細胞抽出物な
どが挙げられる。試験試料に使用される試験化合物の例
には、好ましくは抗ガレクチン-8抗体、抗インテグリン
αM 抗体、抗MMP-9抗体、ガレクチン-8とガレクチン-8
受容体との結合阻害剤、MMPsインヒビター活性を有する
化合物、糖アナログ、特には合成化合物などを含んでい
てよい。これら化合物は、新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。該スクリーニング
は、通常の結合活性の測定法に準じて実施することがで
き、例えば当該分野で公知の方法などを参考にして行う
ことができる。また、各種標識、緩衝液系その他適当な
試薬等を使用したり、そこで説明した操作等に準じて行
うことができる。測定は通常トリス塩酸緩衝液、リン酸
塩緩衝液などの反応に悪影響を与えないような緩衝液等
の中で、例えば、pH約4〜約10 (好ましくは、pH約6〜
約8)において行うことができる。これら個々のスクリ
ーニングにあたっては、それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本
発明のガレクチン-8とガレクチン-8受容体との間の相互
作用あるいはそれと実質的に同等な活性を有する系に関
連した測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術
手段の詳細については、総説、成書などを参照すること
ができる〔例えば、Methods in Enzymology, Academic
Press 社 (USA)発行) など参照〕。本発明のスクリーニ
ング方法又はスクリーニングキットを用いて得られる化
合物又はその塩は、上記した試験化合物、例えば、ペプ
チド、タンパク質、非ペプチド性化合物、糖アナログ、
合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動
物組織抽出液などから選ばれた化合物であり、本発明の
(1) ガレクチン-8と好中球との間、(2) ガレクチン-8と
インテグリンαM との間、あるいは(3) ガレクチン-8と
プロMMP-9 との間の相互作用に関連するタンパク質等の
機能を促進あるいは阻害する化合物である。該化合物の
塩としては、例えば、薬学的に許容される塩などが挙げ
られる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無
機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸
との塩などが挙げられる。
【0039】本発明の一つの態様では、活性化合物及び
活性ペプチド(本発明の活性成分)は、ガレクチン-8の
C末端CRD 領域あるいはN末端CRD 領域を構成する連続し
たアミノ酸配列から選択された連続したアミノ酸配列に
相当するアミノ酸配列を有するペプチド及びその誘導体
から成る群から選ばれたものを含んでいてよい。該ペプ
チドは、ペプチド模擬物、合成ペプチド、又はペプチド
類縁体であり得る。該ペプチドは、天然には見出されな
い旋光性を有する非天然ペプチド、すなわちD-アミノ酸
(D-amino acid)又はL-アミノ酸(L-amino acid)であるこ
ともできる。該アミノ酸は、ペプチドの半減期が増加す
るように、又はペプチドの効力が増大するように、又は
生物利用度が増大するように改変された合成アミノ酸に
よって置換されていてもよい。「ペプチド」及び「ポリ
ペプチド」という用語は、本明細書を通じて、互換的に
使用する。該ペプチドは、ガレクチン-8のC末端CRD 領
域あるいはN末端CRD 領域のインテグリンαM 結合部位
やプロMMP-9結合部位を模擬するのに必要なアミノ酸領
域を保持したものが挙げられる。該ペプチドは、天然の
ペプチドの誘導体、修飾ペプチド、標識ペプチド、非天
然ペプチドを含むペプチドであってもよい。前記ペプチ
ド模擬物は、(1) ガレクチン-8と好中球との相互作用、
(2) ガレクチン-8とインテグリンαM との相互作用、あ
るいは(3) ガレクチン-8とプロMMP-9 との相互作用を阻
害し得る化合物を決定するためのスクリーニングを実施
し、ペプチド模擬物である様々な化合物を含む大規模な
ライブラリーをスクリーニングすることによって同定す
ることができる。
【0040】本発明のペプチド又はポリペプチドは、天
然型 (native) ガレクチン-8の当該部位(例えば、ガレ
クチン-8のC末端CRD あるいはN末端CRD)の配列に変化を
有していてもよい。本発明のペプチドは、ペプチドの機
能にマイナス方向の影響を与えず、ペプチド機能をプラ
ス方向に増加させることができるような変更(例えば、
ペプチドの効力を増加させる変更)を配列中に含んでい
ることができる。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的
に同等な置換体(変更)としては、そのアミノ酸が属す
るところのクラスのうちの他のアミノ酸類から選ぶこと
ができうる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸として
は、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイ
シン、バリン、プロリン、トリプトファン、メチオニン
などが挙げられ、極性(中性)としては、グリシン、セ
リン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギ
ン、グルタミンなどが挙げられ、陽電荷をもつアミノ酸
(塩基性アミノ酸)としては、アルギニン、リジン、ヒ
スチジンなどが挙げられ、陰電荷をもつアミノ酸(酸性
アミノ酸)としては、アスパラギン酸、グルタミン酸な
どが挙げられる。また、L-アラニンをD-アラニンに置き
換えたり、L-リジンをD-リジンに置き換えたり、L-リジ
ンをL-アルギニンに置き換えたり、L-バリンをD-バリン
に置き換えたりしたものであってもよい。
【0041】さらには、当業者に周知の化学的改変技術
によっても、上記のペプチドはそれが改変(修飾)でき
ることは理解されよう。該ペプチドに加えられる改変
(修飾)については、多くの形態のものが知られてお
り、それらは当該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細
な論文並びに多数の研究文献にも詳しく記載されてお
り、これらは当業者に周知である。幾つかのとりわけ常
套的な改変・修飾としては、例えばグリコシル化、脂質
結合、硫酸化、リン酸化、グルタミン酸残基のγ−カル
ボキシル化、脱アミノ化、水酸化及びADP-リボシル化等
が挙げられ、例えばT.E. Creighton, Proteins-Structu
re and Molecular Properties, Second Edition, W. H.
Freeman and Company, New York, (1993); B.C.Johnso
n (Ed.), Posttranslational Covalent Modification
of Proteins, Academic Press, New York, (1983) (Wol
d, F., "Posttranslational Protein Modifications: P
erspective and Prospects", pp.1-12); Seifter et a
l., "Analysis for Protein Modifications and nonpro
tein cofactors", Meth. Enzymol., 182: 626-646 (199
0); Rattan et al., "Protein Synthesis: Posttransla
tional Modification andAging", Ann. N. Y. Acad. Sc
i., 663: p.48-62 (1992)等の記載を参照できる。
【0042】本発明のペプチドの合成には、当該ペプチ
ド合成分野で知られた方法、例えば液相合成法、固相合
成法などの化学合成法を使用することができる。こうし
た方法では、例えばペプチド合成用樹脂を用い、適当に
保護したアミノ酸を、それ自体公知の各種縮合方法によ
り所望のアミノ酸配列に順次該樹脂上で結合させてい
く。縮合反応には、好ましくはそれ自体公知の各種活性
化試薬を用いるが、そうした試薬としては、例えばジシ
クロヘキシルカルボジイミドなどカルボジイミド類を好
ましく使用できる。生成物が保護基を有する場合には、
適宜保護基を除去することにより目的のものを得ること
ができる。本発明のペプチドは、それが遊離型のものと
して得られた場合には、それ自体公知の方法あるいはそ
れに準じた方法で塩に変換することができ、またそれら
は塩として得られた場合には、それ自体公知の方法ある
いはそれに準じた方法で遊離型のものあるいは他の塩に
変換することができる。本発明のペプチドの塩として
は、生理的に許容されるものあるいは医薬として許容さ
れるものが好ましいが、これらに限定されない。こうし
た塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、
リン酸などの無機酸との塩、例えば酢酸、ギ酸、マレイ
ン酸、フマール酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リン
ゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホ
ン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩などが挙
げられる。さらに該塩としては、アンモニウム塩、例え
ばエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、
ヒドロキシエチルアミンなどの有機塩基との塩なども挙
げられる。
【0043】本明細書中、「抗体」との用語は、広義の
意味で使用されるものであってよく、(i) 所望のガレク
チン-8ポリペプチド、特にはそのC末端CRD あるいはN末
端CRD 及び関連ペプチド断片、(ii)インテグリンαM 、
特にはガレクチン-8との結合部位ポリペプチド及び関連
ペプチド断片、(iii) プロMMP-9 、特にはガレクチン-8
との結合部位ポリペプチド及び関連ペプチド断片に対す
るモノクローナル抗体の単一のものや各種エピトープに
対する特異性を持つ抗体組成物であってよく、また1価
抗体または多価抗体並びにポリクローナル抗体及びモノ
クローナル抗体を含むものであり、さらに天然型(intac
t)分子並びにそれらのフラグメント及び誘導体も表すも
のであり、F(ab')2, Fab' 及びFab といったフラグメン
トを包含し、さらに少なくとも二つの抗原又はエピトー
プ (epitope)結合部位を有するキメラ抗体若しくは雑種
抗体、又は、例えば、クワドローム(quadrome), トリオ
ーム(triome)などの二重特異性組換え抗体、種間雑種抗
体、抗イディオタイプ抗体、さらには化学的に修飾ある
いは加工などされてこれらの誘導体と考えられるもの、
公知の細胞融合又はハイブリドーマ技術や抗体工学を適
用したり、合成あるいは半合成技術を使用して得られた
抗体、抗体生成の観点から公知である従来技術を適用し
たり、DNA 組換え技術を用いて調製される抗体、本明細
書で記載し且つ定義する標的抗原物質あるいは標的エピ
トープに関して中和特性を有したりする抗体又は結合特
性を有する抗体を包含していてよい。特に好ましい本発
明の抗体は、天然型のM 型ガレクチン-8(galectin-8 me
dium isoform or medium typegalectin-8) ポリペプチ
ド又は天然型のL 型ガレクチン-8(galectin-8 long iso
form or long type galectin-8) ポリペプチドを特異的
に識別できるものであり、例えば、L 型ガレクチン-8ポ
リペプチドとM 型ガレクチン-8ポリペプチドとを区別し
て認識できるもの、あるいはガレクチン-8のC末端CRD
又はN末端CRD 、あるいはそれに由来する特徴的なペプ
チド断片などを区別して認識できるものである。
【0044】抗ガレクチン-8抗体をポリクローナル抗体
として得るためには、免疫源であるガレクチン-8あるい
はそのフラグメント、ガレクチン-8配列の一部のペプチ
ドを哺乳動物、鳥類などに免疫し、当該哺乳動物、鳥類
などから抗血清を採取する。そして、この抗血清に含ま
れるポリクローナル抗体を使用することができる。この
ガレクチン-8を感作抗原で免疫される哺乳動物として
は、特に限定されるものではないが、一般的にはげっ歯
類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスターなど、
さらに、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ、イ
ヌ、ネコ、サルなどの霊長類、ニワトリなどの鳥類等が
使用される。さらには、細胞融合に使用する親細胞との
適合性を考慮して選択するのが好ましい場合もある。感
作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって
行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳
動物などの腹腔内または皮下に注射することにより行わ
れる。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用するこ
ともできる。ポリクローナル抗体を含む抗血清は、免疫
された動物を所定の期間飼育した後、当該動物から採血
した血液から調製することができる。得られた抗血清
は、ガレクチン-8を特異的に認識するものであることを
確認した後、本発明で開示する用途に供される。
【0045】まず、抗体取得の感作抗原として使用され
るガレクチン-8は、公知のガレクチン-8遺伝子/アミノ
酸配列を発現することによって得ることができる。すな
わち、ガレクチン-8あるいはその一部のドメイン、ガレ
クチン-8の一部のタンパク質あるいはポリペプチドフラ
グメント、ガレクチン-8のアミノ酸配列に相当する一部
のアミノ酸配列を持つペプチドをコードする遺伝子配列
を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形
質転換させた後、その宿主細胞中または培養上清中から
目的のガレクチン-8タンパク質あるいはその一部のドメ
インタンパク質、ガレクチン-8の一部のタンパク質ある
いはポリペプチドフラグメント、ガレクチン-8のアミノ
酸配列に相当する一部のアミノ酸配列を持つペプチドを
公知の方法で精製するまた、本発明において、抗ガレク
チン-8抗体としては、哺乳動物由来のモノクローナル抗
体として得られたものを使用することもできる。
【0046】抗原物質に対して作製されるモノクローナ
ル抗体は、培養中の一連のセルラインにより抗体分子の
産生を提供することのできる任意の方法を用いて産生さ
れる。修飾語「モノクローナル」とは、実質上均質な抗
体の集団から得られているというその抗体の性格を示す
ものであって、何らかの特定の方法によりその抗体が産
生される必要があるとみなしてはならない。個々のモノ
クローナル抗体は、自然に生ずるかもしれない変異体が
僅かな量だけ存在しているかもしれないという以外は、
同一であるような抗体の集団を含んでいるものである。
モノクローナル抗体は、高い特異性を持ち、それは単一
の抗原性をもつサイトに対して向けられているものであ
る。異なった抗原決定基(エピトープ) に対して向けら
れた種々の抗体を典型的には含んでいる通常の(ポリク
ローナル)抗体調製物と対比すると、それぞれのモノク
ローナル抗体は当該抗原上の単一の抗原決定基に対して
向けられているものである。その特異性に加えて、モノ
クローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成さ
れ、他の免疫グロブリン類の夾雑がないあるいは少ない
点でも優れている。モノクローナル抗体は、ハイブリッ
ド抗体及びリコンビナント抗体を含むものである。それ
らは、所望の生物活性を示す限り、その由来や免疫グロ
ブリンクラスやサブクラスの種別に関わりなく、可変領
域ドメインを定常領域ドメインで置き換えたり(例え
ば、ヒト化抗体) 、あるいは軽鎖を重鎖で置き換えた
り、ある種の鎖を別の種の鎖でもって置き換えたり、あ
るいはヘテロジーニアスなタンパク質と融合せしめたり
して得ることができる(例えば、米国特許第4816567
号; Monoclonal Antibody Production Techniques and
Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New Y
ork, 1987 など) 。
【0047】モノクローナル抗体を製造する好適な方法
の例には、ハイブリドーマ法 (G. Kohler and C. Milst
ein, Nature, 256, pp.495-497 (1975)); ヒトB細胞ハ
イブリドーマ法 (Kozbor et al., Immunology Today,
4, pp.72-79 (1983); Kozbor,J. Immunol., 133, pp.30
01 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Pro
duction Techniques and Applications, pp.51-63, Mar
cel Dekker, Inc., New York (1987);トリオーマ法; EB
V-ハイブリドーマ法 (Cole et al., Monoclonal Antibo
dies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77
-96 (1985))(ヒトモノクローナル抗体を産生するための
方法);米国特許第4946778 号 (単鎖抗体の産生のための
技術) が挙げられる他、抗体に関して以下の文献が挙げ
られる:S. Biocca et al., EMBO J, 9, pp.101-108 (19
90); R.E. Bird et al., Science, 242, pp.423-426 (1
988); M.A. Boss et al., Nucl. Acids Res., 12, pp.3
791-3806 (1984); J. Bukovsky et al., Hybridoma, 6,
pp.219-228 (1987); M.DAINO et al., Anal. Bioche
m., 166, pp.223-229 (1987); J.S. Huston et al., Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, pp.5879-5883 (1988);
P.T. Jones et al., Nature, 321, pp.522-525 (198
6); J.J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymolo
gy", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I:
Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), A
cademic Press, New York (1986); S.Morrison et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (198
4); V.T. Oi et al., BioTechniques, 4, pp.214-221
(1986); L. Riechmann et al.,Nature, 332, pp.323-32
7 (1988); A. Tramontano et al., Proc. Natl. Acad.S
ci. USA, 83, pp.6736-6740 (1986); C. Wood et al.,
Nature, 314, pp.446-449 (1985); Nature, 314, pp.45
2-454 (1985) あるいはそこで引用された文献(それら
の中にある記載はそれを参照することにより本明細書の
開示に含められる) 。
【0048】本発明に係るモノクローナル抗体は、それ
らが所望の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の
一部が特定の種から誘導される又は特定の抗体クラス若
しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホ
モローガスであるが、一方、鎖の残部は、別の種から誘
導される又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属す
る抗体の対応配列と同一又はホモローガスである、「キ
メラ」抗体(免疫グロブリン) を特に包含する(米国特
許第4816567 号明細書; Morrison et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984)) 。本発明
に係るモノクローナル抗体は、哺乳動物由来のハイブリ
ドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法
により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿
主により産生されるものを挙げることができる。抗ガレ
クチン-8抗体を産生するモノクローナル抗体産生ハイブ
リドーマは、以下のようにしてミエローマ細胞を用いて
の細胞融合技術を利用して作製できる。すなわち、ガレ
クチン-8あるいはそのフラグメントを感作抗原として使
用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得
られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細
胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノク
ローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによ
って作製できる。ガレクチン-8あるいはそのフラグメン
トの調製方法及び哺乳動物に対する免疫方法等に関して
は、上述したポリクローナル抗体を含む抗血清を調製す
る手法に準じて行うことができる。この場合、特に、哺
乳動物に対して免疫した後、血清中に所望の抗体レベル
が上昇するのを確認した哺乳動物から免疫細胞を採取
し、細胞融合に付されるが、好ましい免疫細胞として
は、特に脾細胞が挙げられる。
【0049】前記免疫細胞と融合される他方の親細胞と
して、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエロ
ーマ細胞としては、公知の種々の細胞株を使用すること
ができる。免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合など
は、基本的には公知の方法、たとえば、ケラー及びミル
ステイン方法(Kohler. G. and Milstein, C.、Methods
Enzymol. (1981) 73, 3-46) 等に準じて行うことができ
る。以下、モノクローナル抗体を例に挙げて、抗体の作
製につき詳しく説明する。本発明の抗体は、ミエローマ
細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモノク
ローナル抗体であってよく、例えば次のような工程で作
製できる。(1) 免疫原性抗原の調製、(2) 免疫原性抗原
による動物の免疫、(3) ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)
の調製、(4) 抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融
合、(5) ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノク
ローン化、及び(6) モノクローナル抗体の製造
【0050】(1) 免疫原性抗原の調製は次のようにして
実施できる。抗原としては、上記で記載してあるよう
に、天然型のL 型ガレクチン-8ポリペプチド又はそれか
ら誘導された断片(一部のドメインポリペプチド、リン
クポリペプチド、フラグメント、一部のペプチド、合成
ポリペプチドを含んでよく、天然型のM 型ガレクチン-8
ポリペプチドであってもよい)を単離したものを用いる
こともできるが、決定されたガレクチン-8のアミノ酸配
列情報を基に、適当なオリゴペプチドを化学合成しそれ
を抗原として利用することができる。代表的には(1) ガ
レクチン-8のC末端CRD のアミノ酸配列あるいはその一
部のドメインのアミノ酸配列;(2)ガレクチン-8のN末端C
RD のアミノ酸配列あるいはその一部のドメインのアミ
ノ酸配列;及び(3) ガレクチン-8のC末端CRD 又はN末端C
RD のドメインを構成するアミノ酸配列の一部のフラグ
メントなどから成る群から選ばれた領域に存在するアミ
ノ酸残基のうちの連続した少なくとも5個のアミノ酸を
有するペプチドが挙げられる。
【0051】抗原は、そのまま適当なアジュバントと混
合して動物を免疫するのに使用できるが、免疫原性コン
ジュゲートなどにしてもよい。例えば、免疫原として用
いる抗原は、ガレクチン-8を断片化したもの、あるいは
そのアミノ酸配列に基づき特徴的な配列領域を選び、ポ
リペプチドをデザインして化学合成して得られた合成ポ
リペプチド断片であってもよい。また、その断片を適当
な縮合剤を介して種々の担体タンパク質類と結合させて
ハプテン−タンパク質の如き免疫原性コンジュゲートと
し、これを用いて特定の配列のみと反応できる(あるい
は特定の配列のみを認識できる)モノクローナル抗体を
デザインするのに用いることもできる。デザインされる
ポリペプチドには予めシステイン残基などを付加し、免
疫原性コンジュゲートの調製を容易にできるようにして
おくことができる。担体タンパク質類と結合させるにあ
たっては、担体タンパク質類はまず活性化されることが
できる。こうした活性化にあたり活性化結合基を導入す
ることが挙げられる。活性化結合基としては、(1) 活性
化エステルあるいは活性化カルボキシル基、例えばニト
ロフェニルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステ
ル基、1-ベンゾトリアゾールエステル基、N-スクシンイ
ミドエステル基など、(2) 活性化ジチオ基、例えば2-ピ
リジルジチオ基などが挙げられる。担体タンパク質類と
しては、キーホール・リンペット・ヘモシアニン (KL
H)、牛血清アルブミン (BSA)、卵白アルブミン、グロブ
リン、ポリリジンなどのポリペプタイド、細菌菌体成
分、例えばBCG などが挙げられる。
【0052】(2) 免疫原性抗原による動物の免疫は次の
ようにして実施できる。免疫は、当業者に知られた方法
により行うことができ、例えば村松繁、他編、実験生物
学講座 14 、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日
本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究
法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生化学
実験講座 12 、分子免疫学 III、抗原・抗体・補体、東
京化学同人、1992年などに記載の方法に準じて行うこと
ができる。免疫化剤を(必要に応じアジバントと共に)
一回又はそれ以上の回数哺乳動物に注射することにより
免疫化される。代表的には、該免疫化剤及び/又はアジ
バントを哺乳動物に複数回皮下注射あるいは腹腔内注射
することによりなされる。免疫化剤は、上記抗原ペプチ
ドあるいはその関連ペプチド断片を含むものが挙げられ
る。免疫化剤は、免疫処理される哺乳動物において免疫
原性であることの知られているタンパク質(例えば上記
担体タンパク質類など)とコンジュゲートを形成せしめ
て使用してもよい。アジュバントとしては、例えばフロ
イント完全アジュバント、リビ(Ribi)アジュバント、百
日咳ワクチン、BCG 、リピッドA、リポソーム、水酸化
アルミニウム、シリカなどが挙げられる。免疫は、例え
ばBALB/cなどのマウス、ハムスター、その他の適当な動
物を使用して行われる。抗原の投与量は、例えばマウス
に対して約1〜400 μg/動物で、一般には宿主動物の
腹腔内や皮下に注射し、以後1〜4週間おきに、好まし
くは1〜2週間ごとに腹腔内、皮下、静脈内あるいは筋
肉内に追加免疫を2〜10回程度反復して行う。免疫用の
マウスとしてはBALB/c系マウスの他、BALB/c系マウスと
他系マウスとのF1マウスなどを用いることもできる。必
要に応じ、抗体価測定系を調製し、抗体価を測定して動
物免疫の程度を確認できる。本発明の抗体は、こうして
得られ免疫された動物から得られたものであってよく、
例えば、抗血清、ポリクローナル抗体等を包含する。
【0053】(3) ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製
は次のようにして実施できる。細胞融合に使用される無
限増殖可能株(腫瘍細胞株)としては免疫グロブリンを
産生しない細胞株から選ぶことができ、例えば P3-NS-1
-Ag4-1 (NS-1, Eur. J. Immunol., 6: 511-519, 1976)
、SP-2/0-Ag14 (SP-2, Nature, 276: 269 〜270,197
8)、マウスミエローマ MOPC-21セルライン由来のP3-X63
-Ag8-U1 (P3U1, Curr. topics Microbiol. Immunol., 8
1: 1-7, 1978 )、P3-X63-Ag8 (X63, Nature, 256: 495-
497, 1975 ) 、P3-X63-Ag8-653 (653, J. Immunol., 12
3: 1548-1550, 1979) などを用いることができる。8-ア
ザグアニン耐性のマウスミエローマ細胞株はダルベッコ
MEM 培地 (DMEM培地) 、RPMI-1640 培地などの細胞培地
に、例えばペニシリン、アミカシンなどの抗生物質、牛
胎児血清(FCS) などを加え、さらに8−アザグアニン
(例えば5〜45μg/ml) を加えた培地で継代されるが、
細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代して所要数の細
胞株を用意することができる。また使用細胞株は、凍結
保存株を約37℃で完全に解凍したのち RPMI-1640培地な
どの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地で培養して所
要数の細胞株を用意したものであってもよい。
【0054】(4) 抗体産生細胞とミエローマ細胞との細
胞融合は次のようにして実施できる。上記(2) の工程に
従い免疫された動物、例えばマウスは最終免疫後、2〜
5日後にその脾臓が摘出され、それから脾細胞懸濁液を
得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ節細胞を得て、そ
れを細胞融合に使用することもできる。より具体的に
は、細胞融合は、例えば、細胞融合促進剤の存在下に通
常の栄養培養液中で実施される。前記細胞融合に用いる
培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖
に好適なRPMI1640培養液、MEM 培養液、その他、この種
の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であ
り、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用する
こともできる。かくして、こうして得られた脾細胞懸濁
液と上記(3)の工程に従い得られたミエローマ細胞株
を、例えば最小必須培地(MEM培地) 、DMEM培地、RPMI-1
640 培地などの細胞培地中に置き、細胞融合促進剤、例
えばポリエチレングリコールを添加する。細胞融合促進
剤としては、この他各種当該分野で知られたものを用い
ることができ、この様なものとしては不活性化したセン
ダイウイルス(HVJ: Hemagglutinating Virus of Japan)
なども挙げられる。
【0055】好ましくは、例えば30〜60%のポリエチレ
ングリコールを 0.5〜2ml加えることができ、分子量が
1,000〜8,000 のポリエチレングリコールを用いること
ができ、さらに分子量が 1,000〜4,000 のポリエチレン
グリコールがより好ましく使用できる。融合培地中での
ポリエチレングリコールの濃度は、例えば30〜60%とな
るようにすることが好ましい。必要に応じ、例えばジメ
チルスルホキシドなどの補助剤を少量加え、融合効率を
高めることもできる。免疫細胞とミエローマ細胞との使
用割合、すなわち融合に使用する脾細胞(リンパ球):
ミエローマ細胞株の割合は、任意に設定することがで
き、例えば 1:1〜20:1とすることが挙げられるが、より
好ましくは 4:1〜10:1とすることができる。細胞融合
は、免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を培養液中で
よく混合し、予め37℃程度に加温したPEG 溶液(例えば
平均分子量1000-6000 程度)を通常30-60 %(w/v )の
濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細
胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養
液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返
すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞
融合剤等を除去する。融合反応を1〜10分間行い、次に
RPMI-1640 培地などの細胞培地を加える。融合反応処理
は複数回行うこともできる。融合反応処理後、遠心など
により細胞を分離した後選択用培地に移す。
【0056】(5) ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及
びモノクローン化は次のようにして実施できる。選択用
培地としては、通常の選択培養液、例えばヒポキサンチ
ン、アミノプテリン及びチミジンを含む、FCS 含有MEM
培地、RPMI-1640 培地などの培地、所謂 HAT培地が挙げ
られる。上記HAT 培養液での培養は、目的とするハイブ
リドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分
な時間(通常、数日〜数週間)継続する。選択培地交換
の方法は、一般的には培養プレートに分注した容量と等
容量を翌日加え、その後1〜3日ごとに HAT培地で半量
ずつ交換するというように処理することができるが、適
宜これに変更を加えて行うこともできる。また融合後8
〜16日目には、アミノプテリンを除いた、所謂HT培地で
1〜4日ごとに培地交換をすることができる。フィーダ
ーとして、例えばマウス胸腺細胞を使用することもで
き、それが好ましい場合がある。ハイブリドーマの増殖
のさかんな培養ウェルの培養上清を、例えば放射免疫分
析(RIA) 、酵素免疫分析(ELISA) 、蛍光免疫分析(FIA)
、発光免疫分析(LIA) 、ウエスタンブロッティングな
どの測定系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(FACS)など
で、所定の断片ペプチドを抗原として用いたり、あるい
は標識抗マウス抗体を用いて目的抗体を測定するなどし
て、スクリーニングしたりする。目的抗体を産生してい
るハイブリドーマをクローニングする。クローニング
は、寒天培地中でコロニーをピック・アップするか、あ
るいは限界希釈法によりなされうる。限界希釈法でより
好ましく行うことができる。クローニングは複数回行う
ことが好ましい。このようにして作製されるモノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中
で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で
長期保存することが可能である。
【0057】(6) モノクローナル抗体の製造は次のよう
にして実施できる。当該ハイブリドーマからモノクロー
ナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の
方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、
あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物
に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採
用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適し
ており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適して
いる。かくして、得られたハイブリドーマ株は、FCS 含
有MEM 培地、RPMI-1640 培地などの適当な増殖用培地中
で培養し、その培地上清から所望のモノクローナル抗体
を得ることが出来る。大量の抗体を得るためには、ハイ
ブリドーマを腹水化することが挙げられる。この場合ミ
エローマ細胞由来の動物と同系の組織適合性動物の腹腔
内に各ハイブリドーマを移植し、増殖させるか、あるい
は例えばヌード・マウスなどに各ハイブリドーマを移植
し、増殖させ、該動物の腹水中に産生されたモノクロー
ナル抗体を回収して得ることが出来る。動物はハイブリ
ドーマの移植に先立ち、プリスタン(2,6,10,14-テトラ
メチルペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与してお
くことができ、その処理後、ハイブリドーマを増殖さ
せ、腹水を採取することもできる。腹水液はそのまま、
あるいは従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿
法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、
イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、
限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高
速液体クロマトグラフィー法などにより精製してモノク
ローナル抗体として用いることができる。好ましくは、
モノクローナル抗体を含有する腹水は、硫安分画した
後、DEAE−セファロースの如き、陰イオン交換ゲル及び
プロテインAカラムの如きアフィニティ・カラムなどで
処理し精製分離処理できる。特に好ましくは抗原又は抗
原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗原タンパク質あ
るいはペプチド、抗体が特異的に認識する部位など)を
固定化したアフィニティ・クロマトグラフィー、プロテ
インAを固定化したアフィニティ・クロマトグラフィ
ー、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーなどが
挙げられる。
【0058】また、トランスジェニックマウス又はその
他の生物、例えば、その他の哺乳動物は、本発明の免疫
原ポリペプチド産物に対するヒト化抗体等の抗体を発現
するのに用いることができる。またこうして大量に得ら
れた抗体の配列を決定したり、ハイブリドーマ株から得
られた抗体をコードする核酸配列を利用して、遺伝子組
換え技術により抗体を作製することも可能である。当該
モノクローナル抗体をコードする核酸は、例えばマウス
抗体の重鎖や軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結
合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用するなどの
慣用の手法で単離し配列決定することができる。一旦単
離されたDNA は、発現ベクターに入れ、CHO, COSなどの
宿主細胞に入れることができる。該DNA は、例えばホモ
ジーニアスなマウスの配列に代えて、ヒトの重鎖や軽鎖
の定常領域ドメインをコードする配列に置換するなどし
て修飾することが可能である (Morrison et al., Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6581, 1984)。かくして所
望の結合特異性を有するキメラ抗体やハイブリッド抗体
も調製することが可能である。また、抗体は、下記する
ような縮合剤を用いることを含めた化学的なタンパク合
成技術を適用して、キメラ抗体やハイブリッド抗体を調
製するなどの修飾をすることも可能である。
【0059】ヒト化抗体は、当該分野で知られた技術に
より行うことが可能である(例えば、Jones et al., Na
ture, 321: pp.522-525 (1986); Riechmann et al., Na
ture, 332: pp.323-327 (1988); Verhoeyen et al., Sc
ience, 239: pp.1534-1536 (1988))。ヒトモノクローナ
ル抗体も、当該分野で知られた技術により行うことが可
能で、ヒトモノクローナル抗体を生産するためのヒトミ
エローマ細胞やヒト・マウスヘテロミエローマ細胞は当
該分野で知られている (Kozbor, J. Immunol.,133, pp.
3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody P
roduction Techniques and Applications, pp.51-63, M
arcel Dekker, Inc., New York (1987)) 。バイスペシ
フィックな抗体を製造する方法も当該分野で知られてい
る (Millstein et al., Nature, 305: pp.537-539 (198
3); WO93/08829; Traunecker etal., EMBO J., 10: pp.
3655-3659 (1991); Suresh et al., "Methods in Enzym
ology", Vol. 121, pp.210 (1986)) 。さらにこれら抗
体をトリプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により
処理して、場合により還元して得られるFab 、Fab'、F
(ab')2 といった抗体フラグメントにして使用してもよ
い。
【0060】抗体は、既知の任意の検定法、例えば競合
的結合検定、直接及び間接サンドイッチ検定、及び免疫
沈降検定に使用することができる(Zola, Monoclonal A
ntibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC
Press, Inc., 1987) 。抗体を検出可能な原子団にそれ
ぞれコンジュゲートするには、当分野で知られる任意の
方法を使用することができ、例えば、David et al., Bi
ochemistry, 13巻, 1014-1021 頁(1974); Pain et al,
J. Immunol. Meth., 40: pp.219-231 (1981);及び "Me
thods in Enzymology", Vol. 184, pp.138-163 (1990)
により記載の方法が挙げられる。標識物を付与する抗体
としては、IgG 画分、更にはペプシン消化後還元して得
られる特異的結合部Fab'を用いることができる。これら
の場合の標識物の例としては、下記するように酵素(ペ
ルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼあるいはβ-D
- ガラクトシダーゼなど)、化学物質、蛍光物質あるい
は放射性同位元素などがある。本発明での検知・測定
は、免疫染色、例えば組織あるいは細胞染色、免疫電子
顕微鏡、イムノアッセイ、例えば競合型イムノアッセイ
または非競合型イムノアッセイで行うことができ、放射
免疫測定法(RIA), FIA, LIA, EIA, ELISA などを用いる
ことができ、B-F 分離を行ってもよいし、あるいは行わ
ないでその測定を行うことができる。好ましくはRIA, E
IA, FIA, LIAであり、さらにサンドイッチ型アッセイが
挙げられる。例えばサンドイッチ型アッセイでは、一方
を本発明のL 型ガレクチン-8ポリペプチドに対する抗体
あるいはL 型ガレクチン-8の関連ペプチド断片に対する
抗体とし、他方をガレクチン-8のC 末端側残基に対する
抗体とし、そして一方を検出可能に標識化する(もちろ
ん、その他の組み合わせも可能であり、目的に応じて適
宜デザインできる)。同じ抗原を認識できる他の抗体を
固相に固定化する。検体と標識化抗体及び固相化抗体を
必要に応じ順次反応させるためインキュベーション処理
し、ここで非結合抗体を分離後、標識物を測定する。測
定された標識の量は抗原、すなわちガレクチン-8ポリペ
プチド抗原の量と比例する。このアッセイでは、不溶化
抗体や、標識化抗体の添加の順序に応じて同時サンドイ
ッチ型アッセイ、フォワード(forward)サンドイッチ型
アッセイあるいは逆サンドイッチ型アッセイなどと呼ば
れる。例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるいは抗原の予
備抽出等は、特定の状況のもとでそれら測定工程の中で
適宜採用される。特定の試薬、緩衝液等の濃度、温度あ
るいはインキュベーション処理時間などのその他の測定
条件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性質等の要素
に従い変えることができる。当業者は通常の実験法を用
いながら各測定に対して有効な最適の条件を適宜選定し
て測定を行うことが出来る。
【0061】抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ばアミノアルキルシリルガラスなどの活性化ガラス、多
孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−アルミナ、アルミ
ナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材料、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、
ポリメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−ブタジ
エン共重合体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリル
アミド、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリ
シジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコ
ールジメタクリレート共重合体など、架橋化アルブミ
ン、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、アガロー
ス、架橋アガロース、セルロース、微結晶セルロース、
カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートな
どの天然または変成セルロース、架橋デキストラン、ナ
イロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ
樹脂などの有機高分子物質、さらにそれらを乳化重合し
て得られたもの、シリコンガムなど、細胞、赤血球など
で、必要に応じ、シランカップリング剤などで官能性基
を導入してあるものが挙げられる。さらに、ろ紙、ビー
ズ、チューブ、キュベット、試験容器の内壁、例えば試
験管、タイタープレート、タイターウェル、マイクロプ
レート、ガラスセル、合成樹脂製セルなどの合成材料か
らなるセル、ガラス棒、合成材料からなる棒、末端を太
くしたりあるいは細くしたりした棒、末端に丸い突起を
つけたりあるいは偏平な突起をつけた棒、薄板状にした
棒などの固体物質(物体)の表面などが挙げられる。
【0062】これら担体へは、抗体を結合させることが
でき、好ましくは本発明で得られる抗原に対し特異的に
反応する抗ガレクチン-8抗体(抗血清や精製抗体を含
む)や抗ガレクチン-8モノクローナル抗体を結合させる
ことができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するも
のとの結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合
剤などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりす
る化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利
用した手法などにより行うことが出来る。標識として
は、酵素、酵素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、
補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、
化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気
物質、金属粒子、例えば金コロイドなど、非金属元素粒
子、例えばセレンコロイドなど、放射性物質などを挙げ
ることができる。酵素としては、脱水素酵素、還元酵
素、酸化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ基、カ
ルボキシル基、メチル基、アシル基、リン酸基などを転
移するのを触媒する転移酵素、例えばエステル結合、グ
リコシド結合、エーテル結合、ペプチド結合などを加水
分解する加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガ
ーゼなどを挙げることができる。酵素は複数の酵素を複
合的に用いて検知に利用することもできる。例えば酵素
的サイクリングを利用することもできる。代表的な放射
性物質の標識用同位体元素としては、[32P], [125I], [
131I],[3H],[14 C],[35S] などが挙げられる。代表的な
酵素標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの
ペルオキシダーゼ、大腸菌β-D- ガラクトシダーゼなど
のガラクトシダーゼ、マレエート・デヒドロゲナーゼ、
グルコース-6- フォスフェート・デヒドロゲナーゼ、グ
ルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、アセチルコ
リンエステラーゼ、カタラーゼ、ウシ小腸アルカリホス
ファターゼ、大腸菌アルカリホスファターゼなどのアル
カリフォスファターゼなどが挙げられる。アルカリホス
ファターゼを用いた場合、4-メチルウンベリフェリルフ
ォスフェートなどのウンベリフェロン誘導体、ニトロフ
ェニルホスフェートなどのリン酸化フェノール誘導体、
NADPを利用した酵素的サイクリング系、ルシフェリン誘
導体、ジオキセタン誘導体などの基質を使用したりし
て、生ずる蛍光、発光などにより測定できる。ルシフェ
リン、ルシフェラーゼ系を利用したりすることもでき
る。カタラーゼを用いた場合、過酸化水素と反応して酸
素を生成するので、その酸素を電極などで検知すること
もできる。電極としてはガラス電極、難溶性塩膜を用い
るイオン電極、液膜型電極、高分子膜電極などであるこ
ともできる。
【0063】酵素標識は、ビオチン標識体と酵素標識ア
ビジン(ストレプトアビジン)に置き換えることも可能
である。このように、ビオチン−アビジン系を使用した
り、抗ガレクチン抗体に対する抗体などの二次的な抗体
を使用するなど、当該分野で公知の感度増強法を適宜採
用することができる。標識は、複数の異なった種類の標
識を使用することもできる。こうした場合、複数の測定
を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時にあるい
は別々に行うことを可能にすることもできる。本発明に
おいては、信号の形成に4-ヒドロキシフェニル酢酸、o-
フェニレンジアミン (OPD)、テトラメチルベンジジン
(TMB)、5-アミノサリチル酸、3,3-ジアミノベンジジン
テトラヒドロクロライド (DAB)、3-アミノ-9- エチルカ
ルバゾール (AEC)、チラミン、ルミノール、ルシゲニン
ルシフェリン及びその誘導体、Pholad luciferinなどと
西洋ワサビ・ペルオキシダーゼなどのペルオキシダー
ゼ、ルミジェンPPD 、(4- メチル) ウンベリフェリル-
リン酸、p-ニトロフェノール- リン酸、フェノール- リ
ン酸、ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、AMPAK
TM(DAKO)、AmpliQTM(DAKO)などとアルカリフォスファタ
ーゼ、4-メチルウンベリフェリル- β-D- ガラクトシド
といったウンベリフェリルガラクトシド、o-ニトロフェ
ノール- β-D- ガラクトシドといったニトロフェニルガ
ラクトシドなどとβ-D- ガラクトシダーゼ、グルコース
-6- リン酸・デヒドロゲナーゼ、ABTSなどとグルコース
オキシダーゼなどの酵素試薬の組合わせも利用でき、ヒ
ドロキノン、ヒドロキシベンゾキノン、ヒドロキシアン
トラキノンなどのキノール化合物、リポ酸、グルタチオ
ンなどのチオール化合物、フェノール誘導体、フェロセ
ン誘導体などを酵素などの働きで形成しうるものが使用
できる。
【0064】蛍光物質あるいは化学ルミネッセンス化合
物としては、フルオレセインイソチオシアネート(FIT
C)、例えばローダミンB イソチオシアネート、テトラメ
チルローダミンイソチオシアネート(RITC)、テトラメチ
ルローダミンイソチオシアネートアイソマーR (TRITC)
などのローダミン誘導体、7-アミノ-4- クマリン-3- 酢
酸、ダンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレ
スカミン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム塩、
ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどのルミ
ノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類キレ
ート化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。発色、
螢光などを含めた生成する信号などを検知するには、視
覚によることもできるが、公知の装置を使用することも
でき、例えば螢光光度計、プレートリーダーなども使用
できる。また、放射性同位体(アイソトープ)などの出
す信号を検知するには、公知の装置を使用することもで
き、例えばガンマーカウンター、シンチレーションなど
も使用することができる。標識するには、チオール基と
マレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオー
ル基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用
して行うことができ、公知の方法あるいは当該分野の当
業者が容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した
方法の中から適宜選択して適用できる。また上記免疫原
性複合体作製に使用されることのできる縮合剤、担体と
の結合に使用されることのできる縮合剤などを用いるこ
とができる。縮合剤としては、例えばホルムアルデヒ
ド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'- ポ
リメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'- エチレンビ
スマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジル
スクシネート、ビスジアゾベンジジン、1-エチル-3-(3-
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイ
ミジル 3-(2- ピリジルジチオ)プロピオネート(SPD
P)、N-スクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シ
クロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)、N-スルホス
クシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキ
サン-1- カルボキシレート、N-スクシンイミジル(4- ヨ
ードアセチル)アミノベンゾエート、N-スクシンイミジ
ル 4-(1- マレイミドフェニル)ブチレート、 N-(ε-
マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS),
イミノチオラン、S-アセチルメルカプトコハク酸無水
物、メチル-3-(4'- ジチオピリジル)プロピオンイミデ
ート、メチル-4- メルカプトブチリルイミデート、メチ
ル-3- メルカプトプロピオンイミデート、N-スクシンイ
ミジル-S- アセチルメルカプトアセテートなどが挙げら
れる。
【0065】本発明の測定法によれば、測定すべき物質
を酵素などで標識した抗血清、精製抗体あるいはモノク
ローナル抗体などの標識抗体試薬と、担体に結合された
抗体とを順次反応させることができるし、同時に反応さ
せることもできる。試薬を加える順序は選ばれた担体系
の型により異なる。感作されたプラスチックなどのビー
ズを用いた場合には、標識した抗血清、精製抗体あるい
はモノクローナル抗体などの標識抗体試薬を測定すべき
物質を含む検体試料と共に最初適当な試験管中に一緒に
入れ、その後該感作されたプラスチックなどのビーズを
加えることにより測定を行うことができる。本発明の測
定法においては、免疫学的測定法が用いられるが、その
際の固相担体としては、抗体などタンパク質を良く吸着
するポリスチレン製、ポリカーボネイト製、ポリプロピ
レン製あるいはポリビニル製のボール、マイクロプレー
ト、スティック、微粒子あるいは試験管などの種々の材
料および形態を任意に選択し、使用することができる。
測定にあたっては至適pH、例えばpH約4〜約9に保つよ
うに適当な緩衝液系中で行うことができる。特に適切な
緩衝剤としては、例えばアセテート緩衝剤、クエン酸塩
緩衝剤、フォスフェート緩衝剤、トリス緩衝剤、トリエ
タノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝剤、グリシン緩衝
剤、炭酸塩緩衝剤、トリス−塩酸緩衝剤、ベロナール緩
衝剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混
合して用いることができる。抗原抗体反応は約0℃〜約
60℃の間の温度で行うことが好ましい。
【0066】酵素などで標識された抗血清、精製抗体、
あるいはモノクローナル抗体などの抗体試薬及び担体に
結合せしめられた抗体試薬、さらには測定すべき物質の
インキュベーション処理は、平衡に達するまで行うこと
ができるが、抗原抗体反応の平衡が達成されるよりもず
っと早い時点で固相と液相とを分離して限定されたイン
キュベーション処理の後に反応を止めることができ、液
相又は固相のいずれかにおける酵素などの標識の存在の
程度を測ることができる。測定操作は、自動化された測
定装置を用いて行うことが可能であり、ルミネセンス・
ディテクター、ホト・ディテクターなどを使用して基質
が酵素の作用で変換されて生ずる表示シグナルを検知し
て測定することもできる。抗原抗体反応においては、そ
れぞれ用いられる試薬、測定すべき物質、さらには酵素
などの標識を安定化したり、抗原抗体反応自体を安定化
するように適切な手段を講ずることができる。さらに、
非特異的な反応を除去し、阻害的に働く影響を減らした
り、あるいは測定反応を活性化したりするため、タンパ
ク質、安定化剤、下記するような界面活性剤、キレート
化剤などをインキュベーション溶液中に加えることもで
きる。キレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸
塩 (EDTA) がより好ましい。当該分野で普通に採用され
ていたりあるいは当業者に知られた非特異的結合反応を
防ぐためのブロッキング処理を施してもよく、例えば、
哺乳動物などの正常血清や血清タンパク質、アルブミ
ン、ヘモグロビン、オボアルブミン(OVA) 、スキムミル
ク、乳発酵物質、コラーゲン、ゼラチンなどで処理する
ことができる。非特異的結合反応を防ぐ目的である限
り、それらの方法は特に限定されず用いることが出来
る。さらに、試料や固相などの洗浄には、上記した緩衝
液系や食塩液から適宜適当な液を選択してそれを使用で
き、さらにそこにTween 20 (商品名) 、Tween 80 (商品
名) 、NP-40(商品名) 、Triton X100(商品名) 、Briji
(商品名) などの非イオン性界面活性剤、CHAPS などの
両イオン性界面活性剤の他、陽イオン性界面活性剤、陰
イオン性界面活性剤などから成る群から選ばれたものを
添加して使用できる。
【0067】本発明の測定方法で測定される試料として
は、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液、非流体試料な
どが使用しうるが、好ましくは生物由来の試料、例えば
胸腺、睾丸、腸、腎臓、脳、乳房組織、卵巣、子宮、前
立腺、結腸・直腸、胃、肺、気管支、膵臓癌、肝臓など
の全ての臓器及び組織、さらにそれら臓器・組織の悪性
腫瘍、白血病細胞、血液、血清、血漿、関節液、脳脊髄
液、膵液、胆汁液、唾液、羊水、尿、その他の体液、細
胞培養液、組織培養液、組織ホモジュネート、生検試
料、組織、細胞などが挙げられる。これら個々の免疫学
的測定法を含めた各種の分析・定量法を本発明の測定方
法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定
は必要とされない。それぞれの方法における通常の条
件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本発
明の当該対象物質あるいはそれと実質的に同等な活性を
有する物質に関連した測定系を構築すればよい。本発明
の抗ガレクチン-8抗体、特にモノクローナル抗体を用い
て、エピトープマッピングを行うこともでき、各エピト
ープを認識する抗体を用いれば各ガレクチン-8及びその
関連ペプチド断片などの検知・測定を行うことができ
る。
【0068】ガレクチン-8の測定系としては、例えば組
織に対しては免疫染色(METHODS, 24, 289-296(2001); J
Immunol Methods, 47(2), 129-144(1981); ibid., 150
(1-2), 5-21, 23-32 & 151-158(1992); Cancer J, 7
(1), 24-31(2001) 等) 、免疫電子顕微鏡(Mol Biotechn
ol, 7(2), 145-151(1997); J Electron Microsc Tech.,
19(1), 57-63 & 64-79(1991); ibid., 19(3), 305-315
(1991) 等) といった蛋白測定系、in situ hybridizati
on といった発現遺伝子測定系が、組織抽出物に対して
はEIA, RIA, FIA, LIA, ウエスタンブロッティング(J E
lectron Microsc (Tokyo), 45(2), 119-127(1996); Met
hods Biochem Anal., 33, 1-58(1988); Methods Enzymo
l., 271, 177-203(1996); ibid., 305, 333-345(2000);
J Immunol Methods, 152(2), 227-236(1992); ibid.,
170(2), 177-184(1994); ibid., 195(1-2), 149-152(19
96);口野嘉幸他編、「遺伝子・タンパク質、実験操作
ブロッティング法」、株式会社ソフトサイエンス社、昭
和62年11月10日発行など) といった蛋白測定系、ノーザ
ンブロッティング、ドットブロット、RNase プロテクシ
ョンアッセイ、RT-PCR (reverse transcription polyme
rase chain reaction)、Real-Time PCR (Clinical Chem
istry, 46: 11, 1738-1743 (2000))といった発現遺伝子
測定系、そして血中、体液などに対してはEIA, RIA, FI
A, LIA, ウエスタンブロッティングといった蛋白測定系
を有利に利用できる。また抗ガレクチン-8抗体の測定系
としては、例えば血中、体液などに対してはEIA, RIA,
FIA, LIA,ウエスタンブロッティングといった蛋白測定
系を有利に利用できる。
【0069】EIA の測定系において、例えば競合法で
は、抗ガレクチン-8抗体を固相化抗体として使用し、標
識抗原及び非標識抗原(抗原としては、ガレクチン-8あ
るいはそのフラグメントペプチドなどが挙げられる)を
使用するし、また非競合法で、例えばサンドイッチ法で
は、固相化抗ガレクチン-8抗体や標識抗ガレクチン-8抗
体を利用できる他、抗ガレクチン-8抗体を直接標識した
り、固相化せずに、抗ガレクチン-8抗体に対する抗体を
標識したり、固相化して行うこともできる。感度増幅法
としては、例えば、非酵素標識一次抗体との組み合わせ
では、高分子ポリマーと酵素と一次抗体を利用するもの
(Envision試薬を応用したもの; Enhancedpolymer one-
step staining (EPOS))が挙げられ、非酵素標識二次抗
体との組合せでは、例えば PAP (peroxidase-antiperox
idase)法などの酵素と抗酵素抗体複合体の組合せ、SABC
(avidin-biotinylated peroxidase complex) 法などの
ビオチン標識二次抗体とビオチン標識酵素−アビジン複
合体の組合せ、ABC (streptavidin-biotin complex)
法、LSAB (labeled streptavidin-biotin)法などのビオ
チン標識二次抗体とビオチン標識酵素−ストレプトアビ
ジン複合体の組合せ、CSA (catalyzed signal amplific
ation)法などのSABCとビオチン標識タイラマイドと酵素
標識ストレプトアビジンの組合せ、高分子ポリマーで二
次抗体と酵素を標識してあるものなどが挙げられる。上
記では主としてガレクチン-8に対する抗体を取り上げて
説明してあるが、抗インテグリンαM 抗体、抗MMP-9 抗
体(抗プロMMP-9 抗体を包含してよい)など本発明の思
想に従ったものについても、同様にしてそれを扱うこと
ができる。
【0070】これらの一般的な技術手段の詳細について
は、総説、成書などを参照することができる〔例えば、
入江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和
49年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,
講談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定
法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素
免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石
川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書
院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.), "Met
hods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techn
iques, Part A),Academic Press, New York (1980); J.
J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymology",
Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), Acade
mic Press, New York (1981); J. J. Langone et al.
(ed.), "Methods in Enzymology",Vol. 74 (Immunochem
ical Techniques, Part C), Academic Press, New York
(1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in E
nzymology", Vol. 84 (Immunochemical Techniques, Pa
rt D: Selected Immunoassays), Academic Press,New Y
ork (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods i
n Enzymology", Vol. 92 (Immunochemical Techniques,
Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoa
ssay Methods), Academic Press, New York (1983); J.
J. Langoneet al. (ed.), "Methods in Enzymology",
Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybri
doma Technology and Monoclonal Antibodies), Academ
ic Press, New York (1986); J. J. Langone et al. (e
d.), "Methods in Enzymology", Vol. 178 (Antibodie
s, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic Pres
s, New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "Meth
ods in Enzymology", Vol. 184 (Avidin-Biotin Techno
logy), Academic Press, New York (1990); J.J. Lango
ne et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 203
(Molecular Design and Modeling: Concepts and Appl
ications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucleic
Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic Pres
s, New York (1991) などあるいはそこで引用された文
献 (それらの中にある記載はそれを参照することにより
本明細書の開示に含められる) 〕。
【0071】本発明の活性成分は、ガレクチン-8の好中
球接着誘導作用に関連した作用、ガレクチン-8とインテ
グリンαM との間の相互作用及び/又はガレクチン-8と
プロMMP-9 との間の相互作用を調整(例えば、抑制ある
いは阻害を含む)するといった生物学的活性をもつもの
であれば特に限定されないが、好ましくは有利な作用を
持つものが挙げられる。本発明の活性成分は、好中球接
着誘導などに起因する各種組織あるいは細胞における変
化を調整(例えば、抑制あるいは阻害を含む)するのに
有用と期待される。また、該活性成分は、好中球接着活
性発現の抑制あるいは促進に有用であり、ガレクチン-8
とガレクチン-8受容体との間の相互作用に起因する障
害、異常及び/又は疾患の予防あるいは治療に有用であ
る。また、好中球の機能調整に有用と期待される。好中
球接着開始が関与する炎症などの制御、例えば抑制に有
用であると期待される。好中球が関与する疾患として
は、例えば、様々な慢性炎症性疾患(ベーチェット病、
クローン病など)、虚血再灌流障害、好中球性皮膚症
(スウィート症候群など)、全身性炎症反応症候群(SIR
S)などが挙げられる。
【0072】本発明の活性成分〔(a) ガレクチン-8及び
ガレクチン-8のC 末端CRD から成る群から選ばれたも
の、(b) ガレクチン-8と好中球との間の相互作用を阻害
する物質、(c) ガレクチン-8とインテグリンαM との相
互作用を阻害する物質、(d) ガレクチン-8とプロMMP-9
との相互作用を阻害する物質、(e) (i) ガレクチン-8の
C 末端CRD あるいは(ii)ガレクチン-8のN 末端CRD のフ
ラグメントペプチド、さらにはそれらの誘導体又はその
塩等、(f) ガレクチン-8と好中球との間の相互作用(ガ
レクチン-8とインテグリンαM との結合あるいはガレク
チン-8とプロMMP-9 との結合など)に影響を与える、抗
ガレクチン-8抗体、抗インテグリンαM 抗体あるいは抗
プロMMP-9 抗体、例えば(i) ガレクチン-8のC 末端CRD
あるいは(ii) ガレクチン-8のN 末端CRD に特異的に結
合する抗体(モノクローナル抗体を包含する) 、さらに
はそれらの誘導体( 一部断片を包含する) 又はその塩
等、(g) ガレクチン-8と好中球との間の相互作用(ガレ
クチン-8とインテグリンαM との結合あるいはガレクチ
ン-8とプロMMP-9 との結合など)を調整する((i) 抑制
あるいは阻害するなど、あるいは(ii)促進するあるいは
活性化するなどを包含する)化合物またはその塩、(d)
本発明を使用して見出された活性物質(糖アナログを含
む)など〕を医薬として用いる場合、例えばガレクチン
-8とインテグリンαM との相互作用阻害剤またはそれら
の塩等は、通常単独或いは薬理的に許容される各種製剤
補助剤と混合して、医薬組成物又は医薬調製物などとし
て投与することができる。好ましくは、経口投与、局所
投与、または非経口投与等の使用に適した製剤調製物の
形態で投与され、目的に応じていずれの投与形態(吸入
法、あるいは直腸投与も包含される)によってもよい。
【0073】そして、非経口的な投与形態としては、局
所、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内
投与を包含し得るが、患部への直接投与も可能であり、
またある場合には好適でもある。好ましくはヒトを含む
哺乳動物に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、
組織内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔
内、脊髄腔内、点滴法、注腸、経直腸、点耳、点眼や点
鼻、歯、皮膚や粘膜への塗布など)に投与することがで
きる。具体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、
分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製
剤などが挙げられ、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施
した剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル
剤、マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒
剤、細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョ
ン剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニ
メント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、
吸入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ
剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸
坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳
剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、
凍結乾燥製剤、ゲル調製品等が挙げられる。
【0074】医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤
化することができる。例えば、適宜必要に応じて、生理
学的に認められる担体、医薬として許容される担体、ア
ジュバント剤、賦形剤、補形剤、希釈剤、香味剤、香
料、甘味剤、ベヒクル、防腐剤、安定化剤、結合剤、pH
調節剤、緩衝剤、界面活性剤、基剤、溶剤、充填剤、増
量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸濁
化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、粘
着剤、弾性剤、可塑剤、崩壊剤、噴射剤、保存剤、抗酸
化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止剤、無痛化剤
などを単独もしくは組合わせて用い、それとともに本発
明のタンパク質等を混和することによって、一般に認め
られた製剤実施に要求される単位用量形態にして製造す
ることができる。非経口的使用に適した製剤としては、
活性成分と、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る
媒体との無菌性溶液、または懸濁液剤など、例えば注射
剤等が挙げられる。一般的には、水、食塩水、デキスト
ロース水溶液、その他関連した糖の溶液、エタノール、
プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの
グリコール類が好ましい注射剤用液体担体として挙げら
れる。注射剤を調製する際は、蒸留水、リンゲル液、生
理食塩液のような担体、適当な分散化剤または湿化剤及
び懸濁化剤などを使用して当該分野で知られた方法で、
溶液、懸濁液、エマルジョンのごとき注射しうる形に調
製する。
【0075】注射用の水性液としては、例えば生理食塩
液、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D-ソルビトー
ル、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張
液などが挙げられ、薬理的に許容される適当な溶解補助
剤、たとえばアルコール(たとえばエタノールなど)、
ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(た
とえばポリソルベート80TM, HCO-50など)などと併用し
てもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙げら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、
リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)又は浸透
圧調節のための試薬、無痛化剤(例えば、塩化ベンザル
コニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒ
ト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保
存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールな
ど)、アスコルビン酸などの酸化防止剤、吸収促進剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。
【0076】非経口投与には、界面活性剤及びその他の
薬学的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えず
に、水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容
される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化され
る。製剤に使用される油性ベヒクルあるいは溶剤として
は、天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジ
あるいはトリグリセリド類、天然、半合成あるいは合成
の油脂類あるいは脂肪酸類が挙げられ、例えばピーナッ
ツ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が
挙げられる。例えば、この注射剤は、通常本発明化合物
を0.1 〜10重量%程度含有するように調製されることが
できる。局所的、例えば口腔、又は直腸的使用に適した
製剤としては、例えば洗口剤、歯磨き剤、口腔噴霧剤、
吸入剤、軟膏剤、歯科充填剤、歯科コーティング剤、歯
科ペースト剤、坐剤等が挙げられる。洗口剤、その他歯
科用剤としては、薬理的に許容される担体を用いて慣用
の方法により調製される。口腔噴霧剤、吸入剤として
は、本発明化合物自体又は薬理的に許容される不活性担
体とともにエアゾール又はネブライザー用の溶液に溶解
させるかあるいは、吸入用微粉末として歯などへ投与で
きる。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基
剤(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴ
ール400 、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の
方法により調製される。
【0077】歯、皮膚への局所塗布用の薬品は、適切に
殺菌した水または非水賦形剤の溶液または懸濁液に調剤
することができる。添加剤としては、例えば亜硫酸水素
ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムのような緩衝
剤;酢酸または硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウ
ムまたはクロロヘキシジンのような殺菌および抗真菌剤
を含む防腐剤およびヒプロメルローズのような濃厚剤が
挙げられる。坐剤は、当該分野において周知の担体、好
ましくは非刺激性の適当な補形剤、例えばポリエチレン
グリコール類、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセ
ライド等の、好ましくは常温では固体であるが腸管の温
度では液体で直腸内で融解し薬物を放出するものなどを
使用して、慣用の方法により調製されるが、通常本発明
化合物を0.1 〜95重量%程度含有するように調製され
る。使用する賦形剤および濃度によって薬品は、賦形剤
に懸濁させるかまたは溶解させることができる。局部麻
酔剤、防腐剤および緩衝剤のような補助薬は、賦形剤に
溶解可能である。経口的使用に適した製剤としては、例
えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トロー
チのような固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤の
ような液状組成物等が挙げられる。製剤調製する際は、
当該分野で知られた製剤補助剤などを用いる。錠剤及び
丸剤はさらにエンテリックコーティングされて製造され
ることもできる。調剤単位形態がカプセルである場合に
は、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を
含有することができる。
【0078】本発明の活性成分は、検出可能なマーカー
物質と結合さたもの(例えば、125Iで放射能ラベルされ
たもの、又はビオチン化されたもの) として、そのラベ
ルされたものをその受容体を有する細胞、又は組織、及
び血液、脳脊髄液、又は尿のような液体試料における検
出及び定量に有用な試薬とすることも可能である。ペプ
チドのような物質は、投与されるとしばしば体内循環か
ら速やかに除去されるので、比較的短時間においてのみ
その薬理学的活性を示すこととなる。その結果、治療に
有効とする状態を維持するためには、生物活性のある物
質を比較的大量且つ頻繁に投与することが必要とされ
る。ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール
の共重合体、及びポリプロピレングリコール、カルボキ
シメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、又はポリプロリンのよう
な水溶性ポリマーを共有結合せしめてそれを修飾した物
質は、対応する未修飾の物質と比べて、静脈内投与後の
血中においてより長い半減期を示すことが知られてい
る。このような修飾は、水溶液への物質の溶解度を増大
させ、凝集を阻止し、物質の物理的及び化学的安定性を
増大させ、物質の免疫原性及び反応性も著しく減少させ
る場合がある。その結果、未修飾の物質に比べてより少
ない頻度で、あるいはより少ない用量で、このようなポ
リマー−物質付加体を投与することによって、所望のイ
ンビボ生物活性を達成することができる。
【0079】ポリエチレングリコール(PEG)は、哺乳動
物中で極めて毒性が低いことから、それを結合させるこ
とは特に有用である。また、PEG を結合せしめると、異
種性化合物の免疫原性及び抗原性を効果的に減少せしめ
ることができる場合がある。該化合物は、マイクロカプ
セル装置の中に入れて与えてもよい。PEG のようなポリ
マーは、アミノ末端のアミノ酸のα-アミノ基、リジン
側鎖のε-アミノ基、アスパラギン酸又はグルタミン酸
側鎖のカルボキシル基、カルボキシ末端のアミノ酸のα
-カルボキシル基、又はある種のアスパラギン、セリン
又はトレオニン残基に付着したグリコシル鎖の活性化さ
れた誘導体に、簡便に付着させることができる。タンパ
ク質との直接的な反応に適した多くの活性化された形態
のPEG が知られている。タンパク質のアミノ基と反応さ
せるのに有用なPEG 試薬としては、カルボン酸、カルボ
ネート誘導体の活性エステル、特に、脱離基がN-ヒドロ
キシスクシンイミド、p-ニトロフェノール、イミダゾー
ル、又は1-ヒドロキシ-2-ニトロベンゼン-4-スルフォネ
ートであるものが挙げられる。同様に、アミノヒドラジ
ン又はヒドラジド基を含有するPEG 試薬は、タンパク質
中の過ヨウ素酸酸化によって生成したアルデヒドとの反
応に有用である。
【0080】本発明の活性成分は、その投与量を広範囲
にわたって選択して投与できるが、その投与量及び投与
回数などは、処置患者の性別、年齢、体重、一般的健康
状態、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組
み合わせ、患者のその時に治療を行なっている病状の程
度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決め
られる。医薬品製造にあたっては、その添加剤等や調製
法などは、例えば日本薬局方解説書編集委員会編、第十
四改正 日本薬局方解説書、平成13年6月27日発行、株
式会社廣川書店;一番ヶ瀬 尚 他編 医薬品の開発12
巻(製剤素剤〔I〕)、平成2年10月15日発行、株式会
社廣川書店;同、医薬品の開発12巻(製剤素材〔II〕)
平成2年10月28日発行、株式会社廣川書店などの記載を
参考にしてそれらのうちから必要に応じて適宜選択して
適用することができる。本発明の思想に従い、ガレクチ
ン-8が好中球接着誘導活性を持つから、その活性を調整
することにより、例えば血管内皮細胞への好中球接着に
関連して生ずる異常を調整することのできる薬剤、例え
ば好中球と血管内皮細胞との接着阻害剤などを開発提供
でき、こうした接着阻害剤候補として、抗体、糖アナロ
グ、ガレクチン-8結合部位ペプチド(インテグリンαM
及びプロMMP 側のペプチドを含んでよい) 、MMP インヒ
ビターなどを挙げることが可能となった。かくして、好
中球が関与する疾患の予防及び/又は治療剤を開発提供
できる。さらに、ガレクチン-8をモニターしたり、ガレ
クチン-8とそれに対する受容体との相互作用をモニター
するなどして、好中球が関与する疾患の診断が可能であ
り、好中球が関与する疾患の診断方法・診断剤(キット
を含む)の開発提供が可能になる。明細書及び図面にお
いて、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical
Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用
的に使用される用語の意味に基づくものである。
【0081】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書
の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解
されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載す
るもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又
は実施することのできるものであり、これは当業者にと
り周知で慣用的なものである。なお、以下の実施例にお
いて、特に指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処
理条件などは、DNA クローニングでは J. Sambrook, E.
F. Fritsch & T.Maniatis, "Molecular Cloning", 2nd
ed., Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Ha
rbor, N. Y. (1989) 及び D. M. Glover et al. ed.,
"DNACloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practica
l Approach Series), IRLPress, Oxford University Pr
ess (1995) ; 特にPCR 法では、H. A. Erliched., PCR
Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et
al. ed.,"DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Prac
tical Approach Series), IRLPress, Oxford Universit
y Press (1995) 及び M. A. Innis et al. ed.,"PCR
Protocols", Academic Press, New York (1990)に記載
の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいは
キットを用いている場合はそれらに添付の指示書(proto
cols) や添付の薬品等を使用している。
【0082】実施例1 (1) 試薬 細胞培地Humedia HB-2およびそのサプリメントはクラボ
ウ(日本、大阪)から入手した。ウシ胎仔血清(FBS)、M
edium 199、ジブチリル-cAMP 、プライマーオリゴ(dT)1
2-18 およびM-Mulv逆転写酵素はGibco-BRL(米国メリー
ランド州ゲイサーズバーグ)より入手した。RNeasyトー
タルRNA分離キットおよびTaq DNAポリメラーゼはQiagen
(ドイツ、ヒルデン)より入手した。組換えヒト(r(h))
IFN-γはRoche Boehringer Mannheim(ドイツ)より入手
した。r(h)IL-4は R&D Systems(米国ミネソタ州ミネア
ポリス)より入手した。ウェスタンブロッティング用の
化学発光基質(SuperSignal West Pico)はPierce (米国
イリノイ州ロックフォード)より入手した。PCR用のオ
リゴヌクレオチドプライマーは、Greiner Japan(日本、
厚木)によって合成した。
【0083】(2) 細胞培養 ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC) は、Methods Enzymol., 18
7, 520-535 (1990); Arterioscler. Thromb. Vasc. Bio
l., 20, 410-415 (2000); Thromb. Haemost.,83, 949-9
55, (2000))の記載のようにして、それにやや変更を加
えて行い、コラゲナーゼを用いて分離し、ゼラチン被覆
プレートで培養した。HUVEC は、2%FBS、10 ng/ml r(h)
上皮成長因子、1 μg/mlヒドロコルチゾン、5 ng/ml r
(h)塩基性線維芽細胞増殖因子および10μg/mlヘパリン
を補ったHumedia EB-2で培養した。細胞が約80%のコン
フルエントに達したら、培地を20% ヒト血清(Humedia-H
S)のみを含むHumedia EB-2と交換した。実験には、第1
〜第5継代の密にコンフルエントになった単層を用い
た。主要培養物は1%未満のCD45+細胞を含んでいたが、C
D45+細胞は第1継代の後には見られなかった。HUVEC
は、IFN-γまたはIL-4を含むHumedia-HS中でインキュベ
ートして指定時間刺激を与えた。ヒト好酸球性白血病Eo
L-1 細胞は、10%FBSを補ったRPMI1640を用いて培養し
た。
【0084】(3) ガレクチンの発現ベクターの作成 J. Biol. Chem., 275, 8355-8360 (2000) に記載のよう
にして、ヒトガレクチン-1、-3および-9のグルタチオン
S-トランスフェラーゼ(GST) 融合タンパク質を調製し
た。短リンカーペプチドによってアイソフォームをコー
ド化するヒトガレクチン-8 cDNA は、extra 5'BglII G8-F: 5'-CGTCCTAGATCTATGATGTTGTCCTTAAACAAC-3';配列
表の配列番号:1 および SalI G8-R:5'-CGACCGGTCGACCTACCAGCTCCTTACTTCCAG-3'; 配列
表の配列番号:2 配列によってそれぞれタグ付けされたフォアードおよび
リバースプライマーを用いて、ヒト類表皮癌細胞系(A43
1)のポリ(A)+RNA 画分から調製した第1鎖cDNAより増幅
した。増幅cDNAをBglII およびSalIで消化し、生じたcD
NAフラグメントは、pGEX-4T-2 (Amersham Pharmacia Bi
otech)のBamHI-XhoI部位に挿入した。
【0085】(4) ガレクチン-8の部位指定変異誘発 以下のフォワードおよびリバースプライマーを用いて、
ガレクチン-8の部位指定変異誘発体のためのcDNAを生成
した: G8R69H-F (5'-CATTTCAATCCTCATTTCAAAAGG-3'; 配列表の
配列番号:3) 、 G8R69H-R (5'-CCTTTTGAAATGAGGATTGAAATG-3'; 配列表の
配列番号:4) 、 G8R233H-F (5'-CACTTGAACCCACACCTGAATATT-3';配列表の
配列番号:5)および G8R233H-R (5'-AATATTCAGGTGTGGGTTCAAGTG-3';配列表の
配列番号:6)。 ガレクチン-8残基 Arg69(および Arg233) のHis への
部位指定変異誘発は、以下のようにして行った。2つの
それぞれの反応において、点突然変異の上流および下流
のcDNAフラグメントは、G8-F + G8R69H-R (G8R233H-R)
およびG8R69H-F (G8G233H-F) + G8-R を用いて増幅し
た。次に増幅フラグメントを混合し、G8-F + G8-R を用
いた第2回のPCR を行って、全長cDNAを生成させた。点
突然変異を有するcDNAは、BglII およびSalIを用いて消
化した後、pGEX-4T-2 のBamHI-XhoI部位に挿入した。
【0086】(5) 組換えタンパク質の発現および精製 J. Biol. Chem., 275, 8355-8360 (2000) に記載のよう
にして、E. coli BL21細胞における組換えタンパク質の
発現を行った。組換えタンパク質は、ラクトース−アガ
ロースカラム(生化学工業株式会社、日本、東京)(ガ
レクチン-8およびガレクチン-8R233H)またはグルタチオ
ン−セファロースカラム(Amersham Pharmacia Biotech)
(ガレクチン-8R69H) によるアフィニティクロマトグラ
フィーによって精製した。GST 部分を除去するために、
アフィニティ精製融合タンパク質はトロンビンによって
消化し、放出されたGST 部分はグルタチオン−セファロ
ースアフィニティクロマトグラフィーによって除去し
た。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイ試薬(Pi
erce)およびウシ血清アルブミンを標準として用いて決
定した。
【0087】(6) In vitro細胞接着アッセイ 好中球は、健康なボランティアによる末梢血白血球を、
不連続濃度勾配のPercoll (Amersham Pharmacia Biotec
h)に加えて分離した。コンタミの赤血球細胞を水で20秒
間溶解させ、続いて等体積の2XPBS および4倍の体積の
RPMI-1640 、10%FBSを加えた。遠心分離後、RPMI-1640
、10%FBS中で細胞を再構成した。好酸球は、J. Biol.
Chem., 273, 16976-16984 (2000); J. Biol. Chem., 27
5, 8355-8360 (2000)に記載のようにして、分離した。
分離した細胞は、3つの24ウェル組織培養プレート(0.4
5ml の培地/ウェル当たり2.5 x 10 5 個の細胞)に加
えた。50μl のアッセイサンプルを添加した後、細胞は
37℃にて60分間接着させた。インキュベーション期間の
終わりに、激しくピペッティングし、PBS で洗浄して、
ゆるく結合した細胞を除去した。結合した細胞は、0.25
% トリプシン/0.5mM EDTA により37℃にて10分間処理し
て回収した後、2M NaCl および2mM EDTAを含む50mMリン
酸ナトリウム緩衝液(pH7.4) 中で超音波処理した。超音
波処理物のDNA含有量は、コウシ胸腺DNA を標準として
用いて、Labarca およびPaigenの方法(Anal. Biochem.,
102, 344-352 (1980)) によって決定した。
【0088】(7) 好中球細胞骨格の蛍光顕微鏡法 FITC-ファロイジンを用いてF-アクチンを染色した。プ
ラスチックチャンバスライド(Nalge Nunc Internationa
l)に接着した好中球をPBS で洗浄した後、4%パラホルム
アルデヒドPBS 溶液を用いて室温にて10分間固定した。
固定の後、細胞を0.25% NH4Cl PBS溶液で処理して、ア
ルデヒド基を失活させた。細胞は、0.1% Triton X-100
PBS 溶液によって処理してから、1.65 x 10-7 M FITC-
ファロイジン(Molecular Probes Inc.) を用いて20分間
インキュベーションし、その後PBS で洗浄した。すべて
のサンプルは50% グリセロールおよびカバースリップで
覆い、共焦点レーザー走査顕微鏡法を実施した。
【0089】(8) ウェスタンブロット分析およびザイモ
グラフィー サンプルはSDS/12% ポリアクリルアミドゲル中で電気泳
動によって分離した後、ポリビニリデンジフルオライド
(PVDF)膜に移した。Anal. Biochem., 227, 401-402 (19
95) に記載のようにして、ヒトMMP-2 、-3および-8に対
するモノクローナル抗体(第一ファインケミカル株式会
社、日本、富山)およびMMP-9 に対するポリクローナル
抗体(Chemicon International Inc.) を用いて免疫検出
を行った。ゼラチンザイモグラフィーは、Shofuda らに
よる方法(J. Biochem. (fTokyo),124, 462-470 (1998)
によって、1mg/mlのゼラチンを含む10% ポリアクリルア
ミドゲルで実施した。
【0090】(9) ガレクチン-8−相互作用タンパク質の
分離およびタンパク質配列決定 10mM Tris-HCl(pH7.5)中で懸濁させた精製好中球に対
し、1回の凍結解凍サイクルを行い、次に超音波処理し
た。すべての膜画分を50,000 x gにて30分間遠心分離に
かけて分離した後、10mM Tris-HCl(pH7.5)、0.5M NaCl
、1.5% Triton X-100 (8ml/l x 108 個の細胞)中で懸
濁させた。4℃にて1時間インキュベートした後、上記
のように遠心分離を行って、可溶化膜画分を得た。生じ
た上澄を、組換えGST-ガレクチン-8またはガレクチン-8
突然変異体(1μM)によって4℃にて1時間インキュベー
トした。グルタチオン−セファロースゲル懸濁液(0.3ml
ゲル/150μg の組換えタンパク質)を添加した後、混合
物を静かに混合しながら、4℃にて45分間インキュベー
トした。ゲルをカラムに詰め、20mM Tris-HCl(pH7.5)、
0.15M NaCl、0.03% 3-[(3-クロラミドプロピル)ジメチ
ルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸(TBS、0.03%CHAP
S) によって洗浄した。ガレクチン結合タンパク質をTBS
、0.2Mラクトースによって溶出させた。タンパク質は1
0% SDS-PAGEによって分離し、次にPVDF膜に移した。ブ
ロットしたタンパク質をCoomassie brilliant blue R-2
50によって染色して、切り出した後、ガス相シーケンサ
によってN-末端アミノ酸配列を決定した。
【0091】(10) MMP-3のProMMP-9の活性化 活性化MMP-3 は、proMMP-3(ヒト滑膜繊維芽細胞由来、
Biogenesis Inc.)と2mMアミノフェニル水銀酢酸(APMA)
による処理によって調製した。proMMP-9の活性化のため
の反応混合物は、20 mM Tris-HCl(pH7.5) 、0.4M NaCl
、5mM CaCl2、1μM ZnCl2、0.03% CHAPS 、100 ng pro
MMP-9 (ヒト好中球由来、Calbiochern)および1 μM ガ
レクチンタンパク質を含み、最終体積が40μl であっ
た。活性化MMP-3 (50 ng/40 μl)の添加後、反応混合物
を37℃にて120 分間インキュベートした。proMMP-9の活
性化は、ウェスタンブロット分析によって評価した。
【0092】(11) ガレクチン-8のMMP との結合活性の
決定 HT1080の無血清調整培地(CM)は、100 ng/ml 12-O-テト
ラデカノイルホルボール 13-酢酸(TPA) の存在下でShof
uda らの方法によって調製した。結合アッセイ用の反応
混合物は、5 mlのCMと1μl GST-ガレクチン-8を含んで
いた。4℃にて1時間インキュベートした後、グルタチ
オン−セファロースゲル懸濁液(0.3 mlゲル)を混合物
に加え、次いで静かに混合しながら4℃にて45分間イン
キュベートした。ゲルをカラムに詰めて、TBS 、0.03%
CHAPS で洗浄した。ガレクチン結合タンパク質はTBS 、
0.2Mラクトースによって溶出させた。結合画分および非
結合画分に対して、ウェスタンブロット分析を行った。
あるいは、精製MMPs (1μg)を、0.4 mlの20mM Tris-HCl
(pH7.5)、0.4M NaCl 、5mM CaCl2、1 μM ZnCl2 、0.1%
Triton X-100 に含まれるGST-ガレクチン-8(25 μg)と
混合した。混合物は上述のように処理した。
【0093】(12) スーパーオキシド生成の判定 O2 - 生成は、Yamaoka らの方法(J. IMMUNOL., 154, 347
9-3487 (1995))によって決定した。0.5 mM MgCl2 、0.8
mM CaCl2 および7.5mM グルコースを含むPBS中で懸濁さ
せた精製好中球(2.5 x 106/2ml) を、キュベット内に配
置した。キュベットにはウマ心臓チトクロム c(75 μM)
も含まれていた。反応はサイトカラシン B(5μg/ml) の
存在時または不在時に実施した。対照実験では、スーパ
ーオキシドジスムターゼ(SOD、50 μg/ml) を加えた。3
7℃にて5分間事前インキュベートした後、刺激を加
え、550 nmでの吸収変化を測定した。O2 - 生成活性は、
20.5x103M-1 cm-1のモル吸光係数を用いて計算した。
【0094】(13) 結果 ガレクチン-8(Gal-8) は迅速且つ可逆的な好中球の接着
(培養用ディッシュへの接着)を誘導することが明らか
になった(図2及び3)。図2において、GST-hGal8
は、GST 融合ヒトガレクチン-8を、GST-hGal1 は、GST
融合ヒトガレクチン-1を、GST-hGal3 は、GST 融合ヒト
ガレクチン-3を、GST-hGal9 は、GST 融合ヒトガレクチ
ン-9を、Eosinophilは好酸球を示す。このような強力な
好中球接着誘導能は、他のガレクチン(Galectin-1, -3,
-9)では認められず、また、Gal-8は好酸球の接着には
ほとんど影響を与えなかった(図2)。Gal-8 による好
中球接着誘導はラクトースにより阻害される(図4)こ
とから、Gal-8 と好中球表面の糖鎖(糖蛋白質、糖脂質
等)との相互作用に基づくものと考えられる。Gal-8 と
結合する好中球表面分子(Gal-8 受容体)を同定する目
的で、好中球膜画分からGal-8 受容体のアフィニティー
精製を試みた(図1)結果、インテグリンαM とpro-MM
P-9 を同定することができた(図5)。図5中、Wild t
ype は組換えGST-ガレクチン-8で、R69HGal-8 はガレク
チン-8のN-末端側 CRDを不活性化した〔すなわちC-末端
側CRD のみが機能している状態〕ミュータント、R233H
は逆にC-末端側 CRDを不活性化したミュータントを示
す。図5からも明らかなように、インテグリンαM はGa
l-8 のC-末端側 CRDに、pro-MMP-9 はN-末端側 CRDにそ
れぞれ結合することも示された。抗インテグリンαM 抗
体を用いた阻害実験の結果(図6)とミュータントを用
いた実験の結果(図7)も、Gal-8 がインテグリンαM
と結合することにより好中球の接着が誘導される(Gal-
8 がMac-1 を活性化する)ことを支持している。
【0095】マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)
は、細胞外マトリックス蛋白質(コラーゲン、プロテオ
グリカン、フィブロネクチン、ラミニン等)を基質とす
る一群の金属要求性プロテアーゼの総称で、組織の破壊
と再構築を伴う様々な生理的、病理的過程(癌細胞や白
血球の接着、浸潤等を含む)に関わることが知られてい
る。Gal-8 は単にpro-MMP-9 と結合するだけでなく、MM
P-3 によるpro-MMP-9 の活性化を促進した(pro-MMP-9
はプロペプチドの切断を受けることによって活性型のMM
P-9 に変換され、MMP-3 などがこのプロペプチドの切断
を行うと考えられている)。この活性化促進作用もGal-
8 に特異的であり、またラクトースによって阻害される
(図8)。なお、図8ではR233H による明らかな活性化
は認められていないが、再実験の結果、明らかにR233H
は活性化を促進し(R69Hは促進しない)、Gal-8 のN-末
端側 CRDにpro-MMP-9 が結合することと一致する。ガレ
クチンファミリーのうちGal-3 は好中球のスーパーオキ
シド産生を促進することが知られている。好中球のスー
パーオキシド産生に対するGal-8 の効果を調べた結果、
Gal-8 (1-3μM)は、fMLP (1 × 10-7M)と同等のスーパ
ーオキシド産生促進作用を示し、この作用はcytochalas
in Bの存在下で強く増強された。またfMLPの作用がラク
トースの影響を受けないのに対して、Gal-8 の作用はラ
クトースによって阻害された。さらに、ミュータントを
用いた実験の結果から、好中球の接着誘導活性同様、Ga
l-8 のC-末端側 CRDにスーパーオキシド産生促進作用が
あることが示された(図9)。現在までに得られた結果
から、(1) 炎症部位の血管内皮細胞に発現するGal-8
が、好中球のMac-1 活性化を介して内皮細胞への好中球
の接着を促進し、(2) Gal-8 と結合した pro-MMP-9(好
中球は pro-MMP-9を発現している)がMMP-3 等によって
活性化され、好中球の組織内への浸潤を容易にする、
(3) さらに炎症組織内において好中球のスーパーオキシ
ド産生を促進すると考えられる。血管内皮細胞における
Gal-8 の発現は、mRNAレベルと蛋白質レベルでともに確
認された(Gal-1, -3, -9 も発現している) 。
【0096】本発明に従い、好中球が炎症部位へ浸潤す
る最初のステップが、血管内皮細胞との相互作用である
ことを考えると、この段階を阻害することによって好中
球の過剰な作用を抑制できる可能性がある。この目的
に、Gal-8 のC-末端側 CRDと integrin αM の結合を阻
害する糖鎖アナログ(ラクトースを使用することも含
む)、抗Gal-8 抗体などを利用できる。特に、心筋梗塞
の治療時など好中球による傷害の発生が予想できる場合
には、これらを予防的に使用することで大きな効果が期
待できる。また、Gal-8 のC-末端側 CRDは好中球のスー
パーオキシド産生の促進にも関与していることは明らか
で、C-末端側 CRDの結合を阻害することによってスーパ
ーオキシドによる組織傷害を抑制できる可能性もある。
好中球が血管内皮細胞と相互作用するステップ(+傷害
性因子放出)のすべてにおける異常は、好中球の過剰作
用の原因となる可能性がある。こうしたことに立脚した
場合、血管内皮細胞におけるGal-8 発現の異常(過剰発
現、異常なGal-8 分子の発現)も好中球作用の異常に結
びつくと考えられる。血中の抗Gal-8抗体(自己抗体)
やGal-8 そのものを測定することにより、好中球の過剰
作用の原因を特定することが可能と予測でき、診断、治
療の精密化に寄与できると思われる。また、基礎研究面
への応用として、MMP-9 のアフィニティー精製が可能で
ありる。現在、MMP-9 はゼラチン固定化カラムを用いて
精製する手法があるが、このゼラチン固定化カラムには
他の MMP(MMP-2 など)も結合するため、この方法だけ
ではMMP-9 を完全に精製することはできない。本発明に
従い、例えば、ゼラチン固定化カラムとGal-8 固定化カ
ラムを組み合わせて使用することにより、高純度なMMP-
9 を効率よく精製することができる。MMP-9 はGal-8 固
定化カラムから穏和な条件(ラクトース添加)で溶出で
きるため、生物活性にも影響を与えない優れた手法であ
る。
【0097】
【発明の効果】本発明でガレクチン-8が好中球接着のス
テップの開始に重要な働きを有することが解明され、さ
らにガレクチン-8のC-末端側 CRDとN-末端側 CRDがそれ
ぞれ相互作用する好中球上の受容体についても解明され
たので、好中球接着に関連して生ずる様々な生物学的・
生理学的現象を調整することが可能となる。好中球接着
を含めた細胞接着が関与する疾患などの病的な状態を予
防及び/ 又は治療するための医薬品、診断剤、さらにそ
れらを開発する手法や薬剤、スクリーニング法など様々
な用途利用技術が提供できる。本発明は、前述の説明及
び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明ら
かである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及
び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の
範囲の範囲内のものである。
【0098】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> GALPHARMA Co., Ltd. <120> Promotor for Neutrophil Adhesion <130> P-02GL376 <140> <141> <160> 6 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 1 cgtcctagat ctatgatgtt gtccttaaac aac 33 <210> 2 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 2 cgaccggtcg acctaccagc tccttacttc cag 33 <210> 3 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 3 catttcaatc ctcatttcaa aagg 24 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 4 ccttttgaaa tgaggattga aatg 24 <210> 5 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 5 cacttgaacc cacacctgaa tatt 24 <210> 6 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 6 aatattcagg tgtgggttca agtg 24
【図面の簡単な説明】
【図1】ガレクチン-8を使用したガレクチン-8受容体の
アフィニティ分離の工程を模式的に描いた図である。
【図2】好中球、好酸球の接着に対するガレクチンの効
果を示す。白抜きは、好中球についての結果で、黒丸は
好酸球についての結果である。
【図3】ガレクチン-8による好中球接着誘導の時間変化
を示す。可逆的な作用であることを示している。
【図4】ガレクチン-8による好中球接着誘導に対するラ
クトースの阻害効果を示す。
【図5】可溶化ヒト好中球膜からのガレクチン-8受容体
をガレクチン-8をリガンドとしたアフィニティ分離し、
得られたタンパク質画分をSDS-PAGE後染色した結果を示
す。
【図6】ガレクチン-8 (GST-hGal8)による好中球接着誘
導に対する抗インテグリンαL抗体(Anti-αL)と抗イン
テグリンαM 抗体(Anti-αM)の効果を示す。
【図7】好中球の接着に対するガレクチン-8 (Gal-8
(M)) 及びその変異体(Gal-8(M)R69H 及びGal-8(M)R233
H)の効果を示す。
【図8】MMP-3 によるプロMMP-9 活性化に対するガレク
チンの効果を示す。
【図9】好中球のスーパーオキシド産生に対するfMLPと
ガレクチン-8(及びその変異体)の効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 19/08 A61P 37/02 37/02 43/00 111 43/00 111 C12Q 1/02 C12N 5/06 G01N 33/15 Z 15/09 33/50 Z C12Q 1/02 33/566 G01N 33/15 A61K 37/02 ZNA 33/50 C12N 5/00 E 33/566 15/00 A (72)発明者 山内 清明 香川県高松市高松町2284番地1 医大宿舎 B−101 (72)発明者 中村 隆範 香川県高松市高松町2284番地1 医大宿舎 A−304 (72)発明者 平島 光臣 香川県高松市前田東町505番地2 医大宿 舎B−404 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA29 AA40 BA13 BB03 BB20 CA12 CB01 CB17 CB21 DA20 DA36 DA77 FB01 FB03 FB04 FB05 FB06 FB07 4B024 AA01 AA11 BA80 CA01 DA02 GA11 GA27 HA11 HA20 4B063 QA01 QA05 QA18 QA19 QQ79 QQ91 QR48 QR55 QS32 QX01 4B065 AA90X AB01 AC20 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA01 AA16 BA23 NA14 ZA36 ZA66 ZA89 ZA96 ZB05 ZC80

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末端
    CRD から成る群から選ばれたものを有効成分とすること
    を特徴とする好中球接着誘導剤。
  2. 【請求項2】 好中球の、血管内皮細胞、間質細胞、上
    皮細胞及び人工的基質から成る群から選ばれたものとの
    接着を誘導するものであることを特徴とする請求項1記
    載の剤。
  3. 【請求項3】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC末端C
    RD から成る群から選ばれたものと好中球との間の相互
    作用を阻害する物質を含有することを特徴とする好中球
    接着阻害剤。
  4. 【請求項4】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC末端C
    RD から成る群から選ばれたものと好中球との間の相互
    作用を阻害する物質が、ラクトース、糖残基を有する化
    合物、抗ガレクチン-8抗体及び抗インテグリンαM 抗体
    から成る群から選ばれたものであることを特徴とする請
    求項3記載の剤。
  5. 【請求項5】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC末端C
    RD から成る群から選ばれたものと好中球との間の相互
    作用を阻害する物質を有効成分とすることを特徴とする
    医薬。
  6. 【請求項6】 好中球に起因する病的な状態を予防及び
    /又は治療することを特徴とする請求項5記載の医薬。
  7. 【請求項7】 ガレクチン-8とインテグリンαM との相
    互作用を阻害する物質を含有することを特徴とする好中
    球接着阻害剤。
  8. 【請求項8】 ガレクチン-8とインテグリンαM との相
    互作用を阻害する物質が、ラクトース、糖残基を有する
    化合物、抗ガレクチン-8抗体及び抗インテグリンαM 抗
    体から成る群から選ばれたものであることを特徴とする
    請求項7記載の剤。
  9. 【請求項9】 ガレクチン-8とインテグリンαM との相
    互作用を阻害する物質を有効成分とすることを特徴とす
    る医薬。
  10. 【請求項10】 好中球に起因する病的な状態を予防及
    び/又は治療することを特徴とする請求項9記載の医
    薬。
  11. 【請求項11】 ガレクチン-8のC末端CRD に結合活性
    を有する物質を含有することを特徴とする好中球接着能
    阻害剤。
  12. 【請求項12】 ガレクチン-8のC末端CRD に結合活性
    を有する物質が、ラクトース、糖残基を有する化合物及
    び抗ガレクチン-8抗体から成る群から選ばれたものであ
    ることを特徴とする請求項11記載の剤。
  13. 【請求項13】 好中球接着能が、ガレクチン-8で誘導
    されるものであることを特徴とする請求項11又は12
    記載の剤。
  14. 【請求項14】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末
    端CRD から成る群から選ばれたものの存在下、試験試料
    を好中球と接触せしめ、好中球の接着能を測定すること
    を特徴とする好中球接着阻害剤のスクリーニング法。
  15. 【請求項15】 ガレクチン-8とプロMMP-9 との相互作
    用を阻害する物質を有効成分とすることを特徴とするプ
    ロMMP-9 活性化阻害剤。
  16. 【請求項16】 ガレクチン-8とプロMMP-9 との相互作
    用を阻害する物質を有効成分とすることを特徴とする医
    薬。
  17. 【請求項17】 プロMMP-9 活性化に起因する病的な状
    態を予防及び/又は治療することを特徴とする請求項1
    6記載の医薬。
  18. 【請求項18】 ガレクチン-8のN末端CRD に結合活性
    を有する物質を含有することを特徴とするプロMMP-9 活
    性化阻害剤。
  19. 【請求項19】 ガレクチン-8のN末端CRD に結合活性
    を有する物質が、ラクトース、糖残基を有する化合物及
    び抗ガレクチン-8抗体から成る群から選ばれたものであ
    ることを特徴とする請求項18記載の剤。
  20. 【請求項20】 プロMMP-9 活性化が、ガレクチン-8で
    誘導されるものであることを特徴とする請求項18又は
    19記載の剤。
  21. 【請求項21】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のN末
    端CRD から成る群から選ばれたものの存在下、試験試料
    をプロMMP-9 と接触せしめ、MMP-9 を測定することを特
    徴とするプロMMP-9 活性化阻害剤のスクリーニング法。
  22. 【請求項22】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末
    端CRD から成る群から選ばれたものを有効成分とするこ
    とを特徴とする好中球スーパーオキシド産生促進剤。
  23. 【請求項23】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末
    端CRD から成る群から選ばれたものと好中球との間の相
    互作用を阻害する物質を含有することを特徴とする好中
    球スーパーオキシド産生阻害剤。
  24. 【請求項24】 ガレクチン-8及びガレクチン-8のC 末
    端CRD から成る群から選ばれたものの存在下、試験試料
    を好中球と接触せしめ、好中球のスーパーオキシド産生
    能を測定することを特徴とする好中球スーパーオキシド
    産生阻害剤のスクリーニング法。
  25. 【請求項25】 ガレクチン-8、ガレクチン-8のC 末端
    CRD 及びガレクチン-8のN末端CRD から成る群から選ば
    れたものの存在を測定することを特徴とする好中球に起
    因する病的な状態の測定法。
  26. 【請求項26】 好中球接着能、プロMMP-9 活性化、ス
    ーパーオキシド産生能、インテグリンαM との相互作用
    及びプロMMP-9 との相互作用から成る群から選ばれた生
    物学的活性を測定することを特徴とする請求項25記載
    の測定法。
  27. 【請求項27】 請求項25又は26記載の測定を実施
    するに適した物質を含有することを特徴とする測定試薬
    又は測定キット。
  28. 【請求項28】 ガレクチン-8、ガレクチン-8のC 末端
    CRD 及びガレクチン-8のN末端CRD から成る群から選ば
    れたものに、インテグリンαM 、プロMMP-9及び好中球
    から成る群から選ばれたものを接触せしめ、該結合親和
    性を利用して分離及び/又は検出を行うことを特徴とす
    るインテグリンαM 、プロMMP-9 及び好中球から成る群
    から選ばれたものの分離及び/又は検出法。
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