JP2003012541A - 血管新生阻害剤 - Google Patents

血管新生阻害剤

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JP2003012541A JP2001172680A JP2001172680A JP2003012541A JP 2003012541 A JP2003012541 A JP 2003012541A JP 2001172680 A JP2001172680 A JP 2001172680A JP 2001172680 A JP2001172680 A JP 2001172680A JP 2003012541 A JP2003012541 A JP 2003012541A
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vegf
ctgf
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angiogenesis
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Yasunori Okada
保典 岡田
Isao Inoki
功 居軒
Kenichi Obata
賢一 小幡
Shinjiro Kotake
慎二郎 小竹
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Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 血管内皮成長因子(VEGF)の活性を制御する因
子を有効成分とする血管新生、癌細胞の移動・転移・浸
潤の予防、防止に有効な医薬品の提供。 【解決手段】 VEGFと相互作用を有する4つのドメイン
から成る結合組織成長因子CTGFの、1乃至3のドメイン
を含有するポリペプチドを含有する血管新生阻害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管内皮成長因子
(Vascular Endothelial Growth Factor: VEGF)の示す血
管新生 (angiogenesis) 活性を阻害する結合組織成長因
子(Connective Tissue Growth Factor: CTGF) 及びその
関連ドメインに係る血管新生阻害剤に関する。さらに、
本発明は、VEGF-CTGF 複合体形成により、VEGFがそのレ
セプターに結合することを阻害する技術に関する。ま
た、本発明は、VEGF-CTGF 複合体のCTGFの分解による血
管形成(脈管形成: vasculogenisis) 活性発現に関わる
技術にも関する。
【0002】
【従来の技術】血管新生は、胚の発生、炎症疾患、糖尿
病性網膜症や腫瘍の成長のような種々の生理学的および
病理学的状態下に重要であり、血管内皮成長因子(Vascu
lar Endothelial Growth Factor: VEGF)はこれらの状態
における主要な血管形成促進因子として報告されてい
る。VEGFは、今までに5 種類の異なったイソフォーム:
VEGF121, VEGF145, VEGF165, VEGF189及びVEGF206 が知
られており、それらはひとつの遺伝子から選択的スプラ
イシング(alternative splicing)により導かれる(Tisch
er, E. et al., J. Biol. Chem., 266: 11947-11954 (1
991)) 。VEGFをコードする遺伝子は8個のエクソンを含
むもので、各VEGFイソフォームはそれらエクソンの選択
的スプライシングにより生ずると考えられている。例え
ば、VEGF165はエクソン6でコードされる残基を失って
いるものであり、VEGF121 はエクソン6及び7でコード
される残基を失っているものとされている。イソフォー
ムのうちVEGF121, VEGF165, VEGF189 は多くの組織に共
通して発現している一方、VEGF 145 およびVEGF206 はそ
れぞれ生殖組織および胎盤組織に局在している。また、
それらのレセプターに関して、fms-like tyrosine kina
se-1 (Flt-l=VEGFR-l)およびkinase insert domain-con
taining receptor (KDR=VEGFR-2)についてよくその特性
の研究がなされている。加えて、最近、neuropilin-1
(NRP-1)が、VEGFR-2 への親和性を亢進することによっ
て、VEGF165 に対する特異的な補助受容体(co-recepto
r) として働くことが報告されている。
【0003】このように、VEGFの血管新生活性はVEGFイ
ソフォームおよび局所組織でのそれらの受容体の遺伝子
発現により主に制御されているのかもしれない。一方、
VEGFについてはその内因性インヒビターを単離する試み
がなされており、platelet factor-4 (PF-4)および可溶
型VEGFレセプターがVEGF165 と結合し、VEGFによる内皮
細胞増殖や血管形成を弱くすることが示された。しか
し、VEGF121, VEGF165 およびVEGF189 がヒト健常関節
軟骨中の軟骨細胞で産生されていること、また、変形性
関節症(OA) および慢性関節リウマチ(RA) で大量に産
生されていることが見出されているが、こうした関節軟
骨は典型的な無血管組織であり、上記のPF-4や可溶型VE
GFレセプターといった因子は、関節軟骨に存在すること
が期待されるようなものでないため、VEGF発現を伴う軟
骨の無血管状態の分子機構は未知である。
【0004】結合組織成長因子(Connective Tissue Gro
wth Factor: CTGF) は最初、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVE
C) 培養上清中に同定された。CTGFは、CCN (CTGF/cyste
ine-rich 61/nephroblastoma overexpressed)ファミリ
ーの一員である。CTGFは、insulin-like growth factor
binding protein (IGFBP), von Willebrand factor ty
pe C (vWFC), thrombospondin type-I repeat (TSP-1)
及びCOOH-terminal domains の4 つの異なったドメイン
より構成されている(Bradham, D. M. et al., J. Cell
Biol., 114: 1285-1294 (1991) 。CTGFは、分子量約38
kDを有するシステイン残基に富んだ分泌型糖タンパクで
あり、その生合成及び分泌はTGF-βより誘導されること
が明らかにされている。CTGFは、TGF-βによる産生誘導
を受ける点、PDGF受容体に結合する点、間葉細胞系の増
殖を誘導する点、線維芽細胞や上皮細胞から産生される
という点等でPDGFと類似の性質を有するが、アミノ酸配
列相同性はほとんど有さない全く異なる分子である。こ
れまでの研究結果から、CTGFが多面的因子であり、その
生化学的機能は多様で複雑であることが示されている。
CTGFは線維芽細胞の増殖やECM 合成を促進する。また、
血管新生を促進する内皮細胞の分裂促進的な活性を持っ
ている。加えて、それは、培養軟骨細胞の増殖・分化を
促進することが知られている。線維芽細胞の促進性効果
やアテローム性動脈硬化症、全身性強皮症や肝線維症の
ような種々の病的状態における遺伝子発現の促進のた
め、これら線維化プロセスにおいて重要な役割を果たす
と信じられている。
【0005】しかしながら、最近の研究で、その因子が
アポトーシスを誘導することによってヒト大動脈平滑筋
がん細胞株の増殖を阻害することが示された。CTGFの他
の側面は、それがIGF-I やIGF-IIと低い親和性を持って
結合することである。かくして、IGFBP-8 或いは IGFBP
-related protein 2 (IGFBP-rP2)と呼ばれている。複合
体形成はIGFsの機能的変化の可能性を示唆している。し
かし、複合体形成後の生化学的効果や結合に対する原因
であるドメインについては情報が得られていない。CTGF
は成長板の末期分化型軟骨細胞や健常およびOAやRA患者
の病的関節中の関節軟骨細胞において発現しているけれ
ども、この因子の軟骨における機能ははっきりしないま
まである。国際公開第00/05356号(WO 00/05356, A)に
は、アンジオジェネシスを阻害するための方法及びその
ための組成物が開示されているが、そこで言及されたヒ
トCTGFは、bovine aortic endothelial cells からクロ
ーニングされた組換えタンパクに認められるドメイン構
造と同様なドメイン構造を有するCCN ファミリーの一員
であることからリストされているだけであり、ヒトと関
連しての言及並びに実証はなされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】血管内皮成長因子(VEG
F)は強い血管新生促進因子であり、種々の病態生理学的
条件下で血管新生に重要な役割を果たしている。しかし
ながら、VEGFは、関節軟骨においても発現し、産生され
ている。関節軟骨は典型的な無血管組織であり血管新生
に対して抵抗性を有することから、これは、軟骨におけ
るVEGF活性の細胞外制御機構を示唆している。つまり、
VEGFが軟骨ECM 成分および/ 或いは他の因子のようない
くつかの分子との動的相互作用といった、翻訳後の機構
により軟骨ECM 中で不活性な形で存在することが示唆さ
れた。しかしながら、上記したようにVEGF発現を伴う軟
骨の無血管状態の分子機構は未だ不明である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、無血管組
織である関節軟骨は血管新生に対して抵抗性の組織であ
るにも拘らず、そこでVEGFが発現し産生されていること
から、VEGFに対して結合可能な何らかのインヒビターが
存在するのではないかと考えて、鋭意研究の結果、VEG
F、例えばVEGF165 を検索用の餌として用い、例えば、
酵母two-hybrid system を用い、ヒトcDNAライブラリ
ー、例えばヒト軟骨細胞cDNAライブラリーをスクリーニ
ングすることにより、VEGFインヒビター候補、すなわ
ち、CTGFを同定し、さらに、CTGFがVEGFと結合し、VEGF
の血管新生活性を阻害することを見出した。本発明者等
は、VEGF、例えばVEGF165 とCTGFの両結合パートナーを
過剰発現している細胞からの免疫沈降法により、VEGF、
例えばVEGF165 とCTGFの両者からなる複合体形成を確認
した。また、Competitive affinity-binding assayで、
CTGFがVEGF165 と特異的に結合することも示した。さら
に、CTGF欠失変異株を用いたBinding assay により、CT
GFのトロンボスポンジンI 型反復ドメインがVEGF16 5
エクソン7コード領域と結合し、そのC 末端ドメインが
VEGF165 およびVEGF 121 の両方と結合性を保持すること
を示した。そして、内皮細胞の管腔形成分析および in
vivo 血管新生分析により、CTGFは複合体を形成しVEGF
165 誘導血管新生を有意に阻害することなどを見出し、
これらの知見に基づき研究を進めて、本発明をすること
に成功した。
【0008】すなわち、本発明は、 〔1〕 (a) (1) CTGFの第3ドメイン及び(2) CTGFの第
4ドメインから成る群から選ばれたドメインのうちの少
なくとも一つを含有するポリペプチド、(b) CTGFの第1
ドメイン、第2ドメイン及び第3ドメインを含有するポ
リペプチド、(c) CTGFの第1ドメイン及び第3ドメイン
を含有するポリペプチド、(d) CTGFの第2ドメイン及び
第3ドメインを含有するポリペプチド、(e) CTGFの第1
ドメイン、第2ドメイン及び第4ドメインを含有するポ
リペプチド、(f) CTGFの第1ドメイン及び第4ドメイン
を含有するポリペプチド、(g) CTGFの第2ドメイン及び
第4ドメインを含有するポリペプチド、(h) CTGF、(i)
CTGFの第3ドメイン及び第4ドメインを含有するポリペ
プチド、(j) CTGFの第1ドメイン、第3ドメイン及び第
4ドメインを含有するポリペプチド、(k) CTGFの第2ド
メイン、第3ドメイン及び第4ドメインを含有するポリ
ペプチド、(l) CTGFの第3ドメインを含有するポリペプ
チド、(m) CTGFの第4ドメインを含有するポリペプチ
ド、(n) CTGFの第1ドメイン、第2ドメイン、第3ドメ
イン及び第4ドメインを含有するポリペプチド、(o) 上
記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペプチドと60% 以
上の同一性を有し且つ血管新生阻害活性を有するポリペ
プチド、(p) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペ
プチドと70% 以上の同一性を有し且つ血管新生阻害活性
を有するポリペプチド、(q) 上記(a) 〜(n) のいずれか
一記載のポリペプチドと80% 以上の同一性を有し且つ血
管新生阻害活性を有するポリペプチド、(r) 上記(a) 〜
(n) のいずれか一記載のポリペプチドと90% 以上の同一
性を有し且つ血管新生阻害活性を有するポリペプチド、
(s) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペプチドと
95% 以上の同一性を有し且つ血管新生阻害活性を有する
ポリペプチド、及び(t) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記
載のポリペプチドと98% 以上の同一性を有し且つ血管新
生阻害活性を有するポリペプチドから成る群から選ばれ
たものを含有する血管新生阻害剤;
【0009】〔2〕 上記〔1〕の(a) 〜(t) のいずれ
か一記載のポリペプチドを含有し、VEGFによる血管新生
を阻害するものであることを特徴とする血管新生阻害
剤; 〔3〕 上記〔1〕の(a) 〜(t) のいずれか一記載のポ
リペプチドを含有し、VEGFがそのレセプターに結合する
ことを阻害するものであることを特徴とする血管新生阻
害剤; 〔4〕 上記〔1〕の(a) 〜(t) のいずれか一記載のポ
リペプチドを使用し、VEGFによる血管新生を阻害するこ
とを特徴とする血管新生阻害方法; 〔5〕 上記〔1〕の(a) 〜(t) のいずれか一記載のポ
リペプチドを使用し、VEGFがそのレセプターに結合する
ことを阻害することを特徴とする血管新生阻害方法; 〔6〕 VEGFが、VEGF165 で、ポリペプチドがCTGFの第
3ドメイン又は第4ドメインに関連したものであること
を特徴とする上記〔2〕又は〔3〕記載の剤; 〔7〕 VEGFが、VEGF121 で、ポリペプチドがCTGFの第
4ドメインに関連したものであることを特徴とする上記
〔2〕記載の剤; 〔8〕 VEGFが、VEGF165 で、ポリペプチドがCTGFの第
3ドメイン又は第4ドメインに関連したものであること
を特徴とする上記〔4〕又は〔5〕記載の方法;
〔9〕 VEGFが、VEGF121 で、ポリペプチドがCTGFの第
4ドメインに関連したものであることを特徴とする上記
〔5〕記載の方法; 〔10〕 VEGF-CTGF 複合体の形成を阻害する活性を有す
るものであることを特徴とする血管新生促進又は活性化
剤; 〔11〕 VEGF-CTGF 複合体の形成を阻害する活性を有す
るものが 1) CTGFに対する抗体、及び 2) VEGFのエクソン7 コード領域若しくはその一部を含
むポリペプチドからなる群から選ばれたものであること
を特徴とする上記〔10〕記載の剤; 〔12〕 VEGF-CTGF 複合体のCTGFを分解する活性を阻害
することを特徴とする血管新生阻害剤; 〔13〕 VEGF-CTGF 複合体のCTGFを分解する活性を阻害
することが、 1) MMPs阻害剤、 2) CTGF変異体、改変体及び/又は修飾体、及び 3) CTGFに対する抗体からなる群から選ばれたものによ
るものであることを特徴とする上記〔12〕記載の血管新
生阻害剤;
【0010】〔14〕 VEGF-CTGF 複合体の形成を保持す
ることを特徴とする血管新生阻害方法; 〔15〕 VEGF-CTGF 複合体のCTGFの分解を阻害すること
を特徴とする血管新生阻害方法; 〔16〕 VEGF-CTGF 複合体のCTGFのMMPsによる分解を阻
害することを特徴とする血管新生阻害方法; 〔17〕 VEGFとCTGFとを使用することを特徴とする血管
新生促進又は活性化剤用スクリーニング方法; 〔18〕 VEGFとCTGFとを共発現する系を使用し、CTGF分
解活性物質存在下、(A) 血管新生阻害剤候補物質を反応
させた場合と (B)血管新生阻害剤候補物質のない条件下
反応させた場合とを比較することを特徴とする血管新生
阻害剤スクリーニング方法; 〔19〕 VEGFが、VEGF121, VEGF145, VEGF165, VEGF189
及びVEGF206 から成る群から選ばれたものであることを
特徴とする上記〔2〕、〔3〕及び〔10〕〜〔13〕のい
ずれか一記載の剤; 〔20〕 抗VEGF抗体及び抗CTGF抗体を使用することを特
徴とするVEGF-CTGF複合体形成の程度を測定する方法; 〔21〕 抗VEGF-CTGF 複合体抗体を使用することを特徴
とするVEGF-CTGF 複合体形成の程度を測定する方法; 〔22〕 VEGFが、VEGF121, VEGF145, VEGF165, VEGF189
及びVEGF206 から成る群から選ばれたものであることを
特徴とする上記〔4〕、〔5〕、〔14〕〜〔16〕、〔1
8〕、〔20〕及び〔21〕のいずれか一記載の方法; 〔23〕 CTGF変異体がCTGFのMMPsによる切断部位を変異
させたものである上記〔13〕記載の血管新生阻害剤; 〔24〕 CTGF変異体が、CTGFのAla180Tyr181、Arg182Le
u183、Met193Ile194及びCys198Leu199から成る群から選
ばれたものを変異させたものである上記〔13〕記載の血
管新生阻害剤; 〔25〕 CTGFに対する抗体がMMPsによる切断部位を含む
ポリペプチドに対する抗体である上記〔13〕記載の血管
新生阻害剤;及び 〔26〕 CTGFに対する抗体が、CTGFのAla180Tyr181、Ar
g182Leu183、Met193Ile194及びCys198Leu199から成る群
から選ばれたものを含むペプチドに対する抗体である上
記〔13〕記載の血管新生阻害剤を提供する。
【0011】本発明のその他の目的、特徴、優秀性及び
その有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明
白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実
施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ま
しい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されて
いるものであることを理解されたい。本明細書に開示し
た本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改
変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明
細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易
に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特
許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているも
ので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに
含めて解釈されるべきものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本明細書で用いる用語「ポリペプ
チド」としては、以下に記載するような如何なるポリペ
プチドを指すものであってもよい。ポリペプチドの基本
的な構造は周知であり、当該技術分野において非常に数
多くの参考書及びその他の刊行物に記載がある。こうし
たことに鑑み、本明細書で用いる用語「ポリペプチド」
は、ペプチド結合又は修飾したペプチド結合により互い
に結合しているような2個又はそれ以上のアミノ酸を含
む任意のペプチド又は任意のタンパク質を意味する。本
明細書で用いる用語「ポリペプチド」としては、当該分
野において通常、例えばペプチド、オリゴペプチドある
いはペプチドオリゴマーとも称せられる短い鎖のもの、
及びタンパク質と一般的に言われ、多くの形態のものが
知られている長い鎖のものの両方を意味してよい。ポリ
ペプチドは、しばしば、通常、20種の天然型アミノ酸
(天然に存在しているアミノ酸: あるいは遺伝子でコー
ドされるアミノ酸)と称されるアミノ酸(20個存在して
いる)以外のアミノ酸を含有していてもよい。ポリペプ
チドは、また末端アミノ酸残基を含めて、その多くのア
ミノ酸残基が翻訳された後にプロセッシング及びその他
の改変(あるいは修飾)されるといった天然の工程によ
るのみならず、当業者に周知の化学的改変技術によって
も、上記のポリペプチドはそれが改変(修飾)できるこ
とは理解されよう。該ポリペプチドに加えられる改変
(修飾)については、多くの形態のものが知られてお
り、それらは当該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細
な論文並びに多数の研究文献にも詳しく記載されてお
り、これらは当業者に周知である。幾つかのとりわけ常
套的な改変・修飾としては、例えばグリコシル化、脂質
結合、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル
化、水酸化及びADP-リボシル化等が挙げられ、例えばT.
E. Creighton, Proteins-Structure and Molecular Pr
operties, Second Edition, W. H. Freeman and Compan
y, New York, (1993); B.C.Johnson(Ed.), Posttransla
tional Covalent Modification of Proteins, Academic
Press, New York, (1983) (Wold, F., "Posttranslati
onal Protein Modifications: Perspective and Prospe
cts", pp.1-12); Seifter et al., "Analysis for Prot
ein Modifications and nonprotein cofactors", Meth.
Enzymol., 182: 626-646 (1990); Rattan et al., "Pr
otein Synthesis: Posttranslational Modification an
d Aging", Ann. N. Y. Acad. Sci., 663: p.48-62 (199
2)等の記載を参照できる。
【0013】本明細書中、「同一性」とは、ポリペプチ
ド配列(あるいはアミノ酸配列)又はポリヌクレオチド
配列(あるいは塩基配列)における2本の鎖の間で該鎖
を構成している各アミノ酸残基同志又は各塩基同志の互
いの適合関係において同一であると決定できるようなも
のの量(数)を意味し、二つのポリペプチド配列又は二
つのポリヌクレオチド配列の間の配列相関性の程度を意
味するものである。同一性は容易に算出できる。二つの
ポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の同一性
を測定する方法は数多く知られており、「同一性」
(「相同性」とも言われる)なる用語は、当業者には周
知である (例えば、Lesk, A. M. (Ed.), Computational
Molecular Biology, Oxford University Press, New Y
ork, (1988);Smith, D. W. (Ed.), Biocomputing: Info
rmatics and Genome Projects, Academic Press, New Y
ork, (1993); Grifin, A. M. & Grifin, H. G. (Ed.),
Computer Analysis of Sequence Data: Part I, Human
Press, New Jersey, (1994);von Heinje, G., Sequence
Analysis in Molecular Biology, Academic Press,New
York, (1987); Gribskov, M. & Devereux, J. (Ed.),
Sequence Analysis Primer, M-Stockton Press, New Yo
rk, (1991) 等) 。二つの配列の同一性を測定するのに
用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), G
uide to Huge Computers, Academic Press, San Diego,
(1994); Carillo, H. & Lipman, D., SIAM J. Applied
Math., 48: 1073 (1988) 等に開示されているものが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。同一性
を測定するための好ましい方法としては、試験する二つ
の配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計し
たものが挙げられる。このような方法は、コンピュータ
ープログラムとして組み立てられているものが挙げられ
る。二つの配列間の同一性を測定するための好ましいコ
ンピュータープログラム法としては、GCG プログラムパ
ッケージ (Devereux, J. et al., Nucleic Acids Resea
rch, 12(1): 387 (1984)) 、BLASTP、BLASTN、FASTA (A
tschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1
990)) 等が挙げられるが、これらに限定されるものでな
く、当該分野で公知の方法を使用することができるし、
市販のものを使用できる。
【0014】本明細書中、CTGFとは、CCN (CTGF/cystei
ne-rich 61/nephroblastoma overexpressed)ファミリー
の一員である。CTGFは、第1ドメイン、すなわち insul
in-like growth factor binding protein (IGFBP) 、第
2ドメイン、すなわち von Willebrand factor type C
(vWFC)、第3ドメイン、すなわち thrombospondin type
-I repeat (TSP-1) 及び第4ドメイン、すなわちCOOH-t
erminal domains の4つの異なったドメインより構成さ
れている。CTGFは、分子量約38 kDaを有するシステイン
残基に富んだ分泌型糖タンパクである。CTGFの血管新生
活性はVEGFに比べ非常に弱いものである。CTGFは、クロ
ーニングされたcDNAから推定されるアミノ酸配列とし
て、349 個のアミノ酸残基から構成され、その成熟タン
パクは、第27番目から第349 番目までのアミノ酸残基に
相当する部分とされ、一般的には、第27番目から第97番
目までのアミノ酸残基の領域が第1ドメイン、すなわち
insulin-like growth factor binding protein 領域、
第101 番目から第167 番目までのアミノ酸残基の領域が
第2ドメイン、すなわち von Willebrand factor type
C 領域、第199 番目から第243 番目までのアミノ酸残基
の領域が第3ドメイン、すなわち thrombospondin type
-I repeat 領域、そして第256 番目から第330番目まで
のアミノ酸残基の領域が第4ドメイン、すなわちCOOH-t
erminal domains 領域と考えられている。
【0015】本明細書中、VEGFは、上記したような血管
内皮細胞に対するマイトジェンとして知られたものを指
してよい。VEGFには5種類のイソフォームが存在する
(VEGF 121, VEGF145, VEGF165, VEGF189, VEGF206)。こ
のうち、VEGF121, VEGF165, VEGF189 は多くの組織で発
現している。VEGF145, VEGF206は生殖組織、胎盤組織に
局在する。VEGFのレセプターとしては、VEGFR-1 および
VEGFR-2 がある。VEGFは34〜42kdの二量体糖タンパク質
であり、内皮細胞の透過及び分裂活性を増加させ、腫瘍
血管新生において重要な役割を果たしている。VEGFの過
剰発現は種々の新生物で立証されており、特定の種類の
癌で予後の重要性を有している。VEGFmRNAの選択的スプ
ライシングによって5つのVEGFイソフォーム、即ちVEGF
12 1 、VEGF145 、VEGF165 、VEGF189 及びVEGF206 が生
じ、それらの各々は異なる生物活性を有している。VEGF
121 は滑膜などで健常な状態においてもコンスタントに
分泌されているが、VEGF165 は病的な状態で主に分泌さ
れ病気との関連が示唆されている。従って、VEGF165
血管新生活性を制御することが有用と考えられる。
【0016】本明細書中、マトリックスメタロプロテア
ーゼ類(matrix metalloproteinases: MMPs)は、細胞外
マトリックス(extracellular matrix: ECM)と基底膜成
分のさまざまな構成タンパク質を分解する亜鉛依存性の
エンドペプチダーゼのファミリーを指す。該MMPsとして
は、MMP-1 (collagenase); MMP-2 (gelatinase A); MMP
-3 (stromelysin-1); MMP-7 (matrilysin); MMP-8 (neu
trophil collagenase); MMP-9 (gelatinase B); MMP-10
(stromelysin-2); MMP-11 (stromelysin-3);MMP-12 (m
acrophage elastase); MMP-13 (collagenase-3); MMP-1
4 (MT1-MMP);MMP-15 (MT2-MMP); MMP-16 (MT3-MMP); MM
P-17 (MT4-MMP); MMP-18 (collagenase-4); MMP-19; MM
P-20 (enamelysin); MT5-MMP等などが挙げられる。該MM
Psは、その1次構造、基質特異性および細胞分布によ
り、少なくとも4 種のサブファミリー:コラゲナーゼ、
ゼラチナーゼ、ストロメライシンおよび膜型MMPs(MT-MM
Ps) に分類されているが、大きくは可溶性MMPsと膜に埋
没したMMPs(膜型MMPs、MT-MMPs)にサブグループ化され
ることができる。可溶性MMPsは組織のboard areasでのE
CM 破壊にかかわるものと考えられ、他方、MT-MMPs は
形質膜につながれているので、細胞周囲のECM 破壊に関
与していると考えられている。MMPsはプレ/プロペプチ
ド、触媒領域、ヒンジ領域およびヘモペキシン様領域の
保存された領域から構成されている。
【0017】本発明により、CTGFがVEGFに対する強力な
結合タンパク質であることが同定された。特にCTGFは、
VEGF165 に対する強力な結合タンパク質である。それら
の相互作用は、酵母two-hybrid system を用いることに
より確認することができる。また、両結合パートナーを
過剰発現している形質転換された細胞、例えば形質転換
された239T細胞などからの免疫沈降により、VEGF-CTGF
複合体形成を確かめることが可能である。さらに、VEGF
とCTGF間の直接的かつ特異的相互作用は、形質転換され
た細胞、例えば形質転換293T細胞から単離した標識CTGF
および非標識CTGFを用いた競合アフィニティー結合分析
などにより、確認することができる。
【0018】さらに、CTGFは、IGFBP (I), vWFC (II),
TSP-1 (III) および COOH 末端ドメイン (IV) のような
4つの機能ドメインを持っている。そこで、結合分析に
CTGF欠損変異体、例えば (a) COOH 末端ドメインを欠損
しているCTGF、すなわち、CTGF(I.II.III.) 、(b) TSP-
1 を欠損しているCTGF、すなわち、CTGF(I.II.IV.)、
(c) TSP-1 及びCOOH末端ドメインを欠損しているCTGF、
すなわち、CTGF(I.II.)などを用いることにより、VEG
F、例えばVEGF165 あるいはVEGF121 との結合に関与す
るドメインについて試験できる。この結果、VEGF165
CTGF(I.II.III.) および CTGF(I.II.IV.) と結合能を有
し、CTGF(I.II.) と結合能を持たないというデータか
ら、第3ドメイン(TSP-1)および第4ドメイン(COOH末
端) がその相互作用に関与していることが示唆される。
一方、VEGF121 はCTGF(I.II.III.IV.)およびCTGF(I.II.
IV.)と結合し、CTGF(I.II.III.) 或いはCTGF(I.II.) と
結合しないことから、VEGF121 はCTGF COOH 末端ドメイ
ンと相互作用するものと考えられる。
【0019】VEGF165 とVEGF121 との違いは、VEGF遺伝
子のエクソン7によりコードされるドメインの存在であ
る。したがって、これは、CTGF(I.II.III.) へのVEGF
165 の選択的結合は、VEGF165 のエクソン7がコードす
る領域がCTGFのTSP-1 ドメインとの相互作用に関与して
いることを示している。加えて、VEGF121 とCTGF COOH
末端ドメインとの間の結合に関するデータは、エクソン
7がコードする領域を除くVEGF165 のある種のドメイン
がCTGFのCOOH末端ドメインと相互作用することを示唆し
ている。かくして、本発明により、CTGFのTSP-1 ドメイ
ンがVEGF165 のエクソン7コード領域に対して結合する
部位を持つことが見いだされた。さらに、本発明では、
full-length CTGFとVEGF165 の複合体形成が、VEGF165
のHUVEC 細胞への結合を阻害することを明らかにしてい
る。この阻害は、VEGF16 5 に特異的であり、VEGF121
はみられなかった。それで、CTGFのTSP-1 ドメインとVE
GF165 のエクソン7がコードする領域との間の結合が、
その阻害に関与していると思われる。HUVEC 細胞への結
合阻害が、CTGF(I.II.III.) で得られ、CTGF(I.II.IV.)
では得られなかったというデータは、さらに、その考え
を確認するものである。
【0020】VEGF は、VEGFR-1 およびVEGFR-2 を介し
て細胞に結合することが知られている。そこで、本発明
では、さらに、組換え体KDR/IgG FcおよびFlt-1/IgG Fc
を用いた受容体タンパク質へのVEGF165 およびVEGF121
に結合に及ぼすCTGFの影響を検討した。その結果は、両
イソフォームがこれらタンパク質と結合することが出来
るにもかかわらず、CTGF(I.II.III.IV.)がKDR/IgG Fc
(VEGFR-2 protein)へのVEGF165 の結合のみを阻害して
いることが示された。こうしたことから、HUVEC細胞へ
のVEGF165 の結合に関するCTGFの阻害効果が、細胞上で
のVEGF165/VEGFR-2 結合の妨害により生ずることが強く
示唆された。また、CTGFは、NRP-1 やヘパラン硫酸プロ
テオクリカンのようなVEGFR-1 およびVEGFR-2 以外の細
胞表面分子がこのリガンド/ レセプター結合に関連し
て、HUVEC 細胞へのこれらの相互作用を妨害する可能性
もある。
【0021】ところで、CTGFは化学遊走物質や線維芽細
胞分裂促進因子だけでなく、血管形成因子でもある。本
発明で、管腔形成分析やin vivo 血管新生分析におい
て、CTGFの血管形成活性を確認した。しかしながら、CT
GFの最大血管形成活性は、最大でもVEGF121 およびVEGF
165 の〜45%であり、in vivo 分析においてはほとん
ど無視出来るものであった。このように、CTGFの血管形
成能はVEGFのような他の既知の血管形成因子に比べむし
ろ弱いように思われた。また、本発明では、CTGF(I.II.
III.) ではなく、full-length CTGF(I.II.III.IV.)およ
びCTGF(I.II.IV.)が管腔形成を促進したことから、CTGF
のCOOH末端ドメインが血管形成活性に必須であることを
明らかにした。このことは、CTGF 10kDaCOOH 末端ドメ
インが線維芽細胞上で分裂促進的な活性を持つという観
察と一致するものと思われる。
【0022】本発明を通して、CTGFがVEGFとの複合体形
成においてVEGF誘導血管新生を顕著に阻害することが見
いだされた。このCTGFによる阻害は、VEGF121 よりもVE
GF16 5 においてより有効であった。低濃度のCTGFは管腔
形成分析においてVEGF165 誘導血管新生の最大阻害を示
している。さらに、VEGF165 誘導血管新生に対するCTGF
の阻害効果は、in vivo 血管新生分析により確かめられ
た。一方、IGFBP タンパクは一般的にMMPsや他のプロテ
アーゼによりタンパク分解の影響を受けやすい。実際、
IGFBP タンパク同様、CTGFもまたブタ子宮液中で14およ
び10 kDaの断片にプロセスされる。しかしながら、その
消化の原因となるタンパク分解酵素に関する情報は未だ
得られていない。本発明では、MMPs、例えば、MMP-1,
2, 3, 7, 10, 13, 14, 15及び16が、VEGF 165/CTGF複合
体中のCTGFを選択的に分解し、〜20 kDaの主断片となる
ことおよびその分解後、VEGF165 誘導血管新生に対する
CTGFの阻害活性が消失することを見いだしている。例え
ば、CTGFにMMPsを作用させると、好ましくは、20〜24 k
DaのCTGFフラグメントにMMP-1, -3 及び -7 を作用さ
せ、得られた断片のアミノ酸配列を解析してみると、図
17記載のようにその開裂部位が見いだされる。かくし
て、MMPs阻害剤は、このCTGF分解を阻害し、特にはCTGF
にMMPsが作用することを阻害し、VEGF165/CTGF複合体な
どの複合体を維持または安定化するのに有用である。VE
GFが産生されているにもかかわらず関節軟骨は生理的条
件下で無血管であるが、病的軟骨ではパンヌスの浸入が
あり、それは過剰血管分布を伴う肉芽組織である。この
ように、VEGFの血管新生活性は健常な軟骨で産生される
CTGFと複合体を形成し不活性化され、VEGFがOAやRA患者
において軟骨細胞や滑膜細胞で高度に発現されているMM
Psで分解後、病的条件下で活性化されることも予測され
る。
【0023】本明細書中、血管新生阻害剤とは、MMP-1,
2,3,7,10,13,14,15 及び16が、VEGF 165/CTGF複合体中の
CTGFを選択的に分解し、その分解後、VEGF165 誘導血管
新生に対するCTGFの阻害活性が消失することから、MMPs
阻害剤であればMMPs活性を阻害してVEGF-CTGF 複合体中
のCTGFの分解が抑制又は阻害されて、VEGF-CTGF 複合体
が安定化されると期待され、したがって、MMPs阻害剤を
包含してよい。MMPs阻害剤としては、公知のもののうち
から選択することができる。代表的なMMPs阻害剤は、特
願2000-159533 号で引用された特許文献、国際公開第00
/03734号(WO 00/03734, A1) 及びそこで引用された特許
文献に記載の化合物などが挙げられる。本明細書中、血
管新生阻害剤とは、少なくともCTGFの第3ドメイン(thr
ombospondin type-I repeat: TSP-1) 及び/又はCTGFの
第4ドメイン(COOH-terminal domains) を含有している
ポリペプチドあるいはそのCTGFの第3ドメイン及び/又
はCTGFの第4ドメインと実質的に同等な生物活性を有す
るものを包含する。また、それらは、以下に記載するよ
うにして誘導あるいは構築された変異体、類縁体、誘導
体であってよい。血管新生を阻害する活性を有するもの
であれば特に限定されないが、VEGFに結合する活性を有
するものが好ましいものとして挙げられる。代表的なも
のとしては、(a) CTGF (I.II.III.IV.) 、(b) COOH末端
ドメインを欠損しているCTGF (CTGF (I.II.III.)) 、
(c) TSP-1 を欠損しているCTGF (CTGF(I.II.IV.)) など
が挙げられるが、これに限定されない。
【0024】血管新生阻害活性を期待できるものとして
は、例えば(a) (1) CTGFの第3ドメイン及び(2) CTGFの
第4ドメインから成る群から選ばれたドメインのうちの
少なくとも一つを含有するポリペプチド、(b) CTGFの第
1ドメイン、第2ドメイン及び第3ドメインを含有する
ポリペプチド、(c) CTGFの第1ドメイン及び第3ドメイ
ンを含有するポリペプチド、(d) CTGFの第2ドメイン及
び第3ドメインを含有するポリペプチド、(e) CTGFの第
1ドメイン、第2ドメイン及び第4ドメインを含有する
ポリペプチド、(f) CTGFの第1ドメイン及び第4ドメイ
ンを含有するポリペプチド、(g) CTGFの第2ドメイン及
び第4ドメインを含有するポリペプチド、(h) CTGF、
(i) CTGFの第3ドメイン及び第4ドメインを含有するポ
リペプチド、(j) CTGFの第1ドメイン、第3ドメイン及
び第4ドメインを含有するポリペプチド、(k) CTGFの第
2ドメイン、第3ドメイン及び第4ドメインを含有する
ポリペプチド、(l) CTGFの第3ドメインを含有するポリ
ペプチド、(m) CTGFの第4ドメインを含有するポリペプ
チド、(n) CTGFの第1ドメイン、第2ドメイン、第3ド
メイン及び第4ドメインを含有するポリペプチド、(o)
上記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペプチドと60%
以上の同一性を有するポリペプチド、(p) 上記(a) 〜
(n) のいずれか一記載のポリペプチドと70% 以上の同一
性を有するポリペプチド、(q) 上記(a) 〜(n) のいずれ
か一記載のポリペプチドと80% 以上の同一性を有するポ
リペプチド、(r) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポ
リペプチドと90% 以上の同一性を有するポリペプチド、
(s) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペプチドと
95% 以上の同一性を有するポリペプチド、(t) 上記(a)
〜(n) のいずれか一記載のポリペプチドと98% 以上の同
一性を有するポリペプチドなどが挙げられる。該ポリペ
プチドなどは、所望の生物活性(例えば、血管新生阻害
活性、VEGF結合活性、あるいは VEGF のそのレセプター
への結合を阻害する活性、VEGFにより引き起こされる血
管新生を抑制あるいは阻害する活性など)を有している
限り、CTGFの天然に存在するアミノ酸配列中から選択さ
れた、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、
挿入、転移あるいは付加を、適宜、なしたごとき変異を
導入した相当するポリペプチドであってよい。本明細書
中、血管新生促進又は活性化を期待できるものは、少な
くともVEGFのエクソン7 コード領域若しくはその一部を
含むポリペプチドを含有しているポリペプチドあるいは
そのVEGFのエクソン7 コード領域と実質的に同等な生物
活性を有するものを包含する。また、それらは、以下に
記載するようにして誘導あるいは構築された変異体、類
縁体、誘導体であってよい。血管新生を促進又は活性化
する活性を有するものであれば特に限定されないが、CT
GFに結合する活性を有するものが好ましいものとして挙
げられる。代表的なものとしては、(1) VEGFのエクソン
7 コード領域のポリペプチド、(2) CTGFのCOOH末端ドメ
インと結合活性を有するポリペプチドなどが挙げられる
が、これに限定されない。代表的な血管新生促進又は活
性化としては、例えば、(i) VEGFのエクソン7 コード領
域のポリペプチド、(ii)上記(i) 記載のポリペプチドと
60% 以上の同一性を有するポリペプチド、(iii) 上記
(i) 記載のポリペプチドと70% 以上の同一性を有するポ
リペプチド、(iv)上記(i) 記載のポリペプチドと80% 以
上の同一性を有するポリペプチド、(v) 上記(i) 記載の
ポリペプチドと90% 以上の同一性を有するポリペプチ
ド、(vi)上記(i) のポリペプチドと95% 以上の同一性を
有するポリペプチド、(vii) 上記(i) 記載のポリペプチ
ドと98% 以上の同一性を有するポリペプチドなどが挙げ
られる。該ポリペプチドなどは、所望の生物活性(例え
ば、血管新生促進又は活性化活性、CTGF結合活性、ある
いは VEGF とCTGFの結合を阻害する活性、CTGFにより引
き起こされる血管新生抑制あるいは阻害活性を除去する
活性など)を有している限り、VEGFのエクソン7 コード
領域の天然に存在するアミノ酸配列中から選択された、
1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入、
転移あるいは付加を、適宜、なしたごとき変異を導入し
た相当するポリペプチドであってよい。
【0025】こうした変異・変換・修飾法としては、化
学的な手法、あるいはCTGF遺伝子(GenBankTM/EMBL acce
ssion number: M92934, NP 001892)やVEGF遺伝子の塩基
配列を基に遺伝子工学的に常用される方法を適用したも
のが挙げられ、例えば日本生化学会編、「続生化学実験
講座1、遺伝子研究法 II 」、p105(広瀬進)、東京化
学同人(1986); 日本生化学会編、「新生化学実験講座
2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、p233(広瀬進)、
東京化学同人(1992); R. Wu, L. Grossman, ed.,"Metho
ds in Enzymology", Vol. 154, p. 350 & p. 367, Acad
emic Press, NewYork (1987); R. Wu, L. Grossman, e
d., "Methods in Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p.
468, Academic Press, New York (1983); J. A. Wells
et al.,Gene, 34: 315, 1985; T. Grundstroem et a
l., Nucleic Acids Res., 13: 3305, 1985; J. Taylor
et al., Nucleic Acids Res., 13: 8765, 1985; R. Wu
ed., "Methods in Enzymology", Vol. 155, p. 568, Ac
ademic Press, New York (1987); A. R. Oliphant et
al., Gene, 44: 177, 1986 などに記載の方法が挙げら
れる。例えば合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位
置指定変異導入法(部位特異的変異導入法) (Zoller et
al., Nucl. Acids Res., 10: 6487, 1987; Carter et
al., Nucl. Acids Res., 13: 4331, 1986), カセット変
異導入法 (cassette mutagenesis: Wells et al., Gen
e, 34: 315, 1985), 制限部位選択変異導入法 (restric
tion selection mutagenesis: Wells et al., Philos.
Trans. R.Soc. London Ser A, 317: 415, 1986),アラニ
ン・スキャンニング法 (Cunningham & Wells, Science,
244: 1081-1085, 1989), PCR 変異導入法, Kunkel法,
dNTP[αS]法(Eckstein),亜硫酸や亜硝酸などを用いる
領域指定変異導入法等の方法が挙げられる。
【0026】さらに得られた該ポリペプチドは、化学的
な手法でその含有されるアミノ酸残基を修飾することも
できるし、ペプチダーゼ、例えばペプシン、キモトリプ
シン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダーゼ、
エキソペプチダーゼなどの酵素を用いて修飾したり、部
分分解したりしてその誘導体などにすることができる。
該ポリペプチドは、in vivo あるいは in vitro グルコ
シレーション又は脱グルコシレーションをしたり、グル
コシル化される位置を変えることもできる (WO87/0533
0; Apin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp.2
59-306 (1981);Hakimuddin et al., Arch. Biochem. Bi
ophys., 259: pp.52 (1987); Edge et al., Anal. Bioc
hem., 118: pp.131 (1981); "Methods in Enzymology",
Vol. 138, pp. 350, Academic Press, New York(198
7) 等) 。本発明のポリペプチドは、C 末端が通常カル
ボキシル基(-COOH) またはカルボキシレート (-COO- )
であるが、C 末端がアミド(-CONH2)またはエステル(-CO
OR) であってもよい。ここでエステルにおけるR として
は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピ
ルもしくはn-ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シ
クロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8 シクロアル
キル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12
アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェ
ニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなど
のα−ナフチル-C1-2 アルキル基などのC7-14 アラルキ
ル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイ
ルオキシメチル基などが用いられる。本発明のポリペプ
チドがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシ
レート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化
またはエステル化されているものも本発明のポリペプチ
ドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上
記したC 末端のエステルなどが用いられる。
【0027】さらに、本発明のポリペプチドには、上記
したポリペプチドにおいて、N 末端にメチオニン残基を
持つものであってよく、さらに該メチオニン残基のアミ
ノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC
1-5 アルキル−カルボニル基などのC1-6アシル基など)
で保護されているもの、N 端側が生体内で切断され生成
したグルタミル基がピログルタミル化したもの、分子内
のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、-OH 、-COOH 、
アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ
基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチ
ル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、
あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複
合タンパク質なども含まれる。また遺伝子組換え法で製
造する時に融合タンパク質として発現させ、生体内ある
いは生体外で、天然に存在するものと実質的に同等の生
物学的活性を有しているものに変換・加工してもよい。
遺伝子工学的に常用される融合産生法を用いることがで
きるが、こうした融合タンパク質はその融合部を利用し
てアフィニティクロマトグラフィーなどで精製すること
も可能である。
【0028】こうした融合タンパク質としては、ヒスチ
ジンタグに融合せしめられたもの、あるいはマルトース
結合タンパク (MBP), グルタチオン-S- トランスフェラ
ーゼ(GST)又はチオレドキシン (TRX)のアミノ酸配列に
融合せしめられたものなどが挙げられる。同様に、ポリ
ペプチドは、ヘテロジーニアスなエピトープのタグを付
加され、該エピトープに特異的に結合する抗体を用いて
のイムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる単離
・精製をなし得るようにすることもできる。代表的なも
のとしては、ポリヒスチジン(poly-His)又はポリヒスチ
ジン- グリシン(poly-His-Gly)タグ、flu HAタグ及びそ
れに対する抗体 12CA5、c-Myc タグ及びそれに対する抗
体 8F9, 3C7, 6E10, G4, B7 あるいは9E10、Herpes Sim
plex virus glycoprotein D (gD)タグ及びそれに対する
抗体、 FLAG-ペプチド、KT3 エピトープ ペプチド、α
-tubulin エピトープ ペプチド、T7 gene 10 protein
ペプチド タグなどが挙げられる (Field et al., Mole
cular and Cellular Biology, 8: pp.2159-2165 (198
8); Evan et al., Molecular and Cellular Biology,
5: pp.3610-3616 (1985); Paborsky et al., Protein E
ngineering, 3(6): pp.547-553 (1990); Hopp et al.,
BioTechnology, 6: pp.1204-1210 (1988); Martin et a
l., Science, 255: pp.192-194 (1992); Skinner et a
l., J. Biol. Chem., 266: pp.15163-15166 (1991); Lu
tz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
87: pp.6393-6397 (1990))。こうした融合タンパク質の
発現及び精製は、それに適した市販のキットを用いて行
うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者
により明らかにされているプロトコルに従って実施する
こともできる。
【0029】タンパク質の構造の修飾・改変などは、例
えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク
質 VII、タンパク質工学」、東京化学同人(1993)を参
考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用された文
献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様な方法で
行うことができる。また下記するようにその生物学的活
性のうちには、免疫的に活性、例えば抗原性を有すると
いうことも含まれてよい。該修飾・改変のうちには、脱
アミノ化、ヒドロキシル化、リン酸化、メチル化、アセ
チル化、開環、閉環、含有糖鎖の種類を違うものに変え
ること、含有糖鎖の数を増減すること、D-体アミノ酸残
基への置換などであってもよい。それらの方法は、当該
分野で知られている(例えば、T. E. Creighton, Prote
ins: Structure and Molecular Properties, pp.79-86
W.H. Freeman & Co., San Francisco, USA (1983),等)
【0030】かくして該ポリペプチドは、1個以上のア
ミノ酸残基が同一性の点で天然のものと異なるもの、1
個以上のアミノ酸残基の位置が天然のものと異なるもの
であってもよい。該ポリペプチドは、CTGFに特有なアミ
ノ酸残基が1個以上(例えば、1〜190 個、好ましくは
1〜50個、さらに好ましくは1〜20個、さらに好ましく
は1〜10個、特には1〜5 個など)欠けている欠失類縁
体、特有のアミノ酸残基の1個以上(例えば、1〜100
個、好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜20個、
さらに好ましくは1〜10個、特には1〜5 個など)が他
の残基で置換されている置換類縁体、1個以上(例え
ば、1〜100 個、好ましくは1〜50個、さらに好ましく
は1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特には1〜5
個など)のアミノ酸残基が付加されている付加類縁体も
包含する。天然のCTGFの第3ドメイン及び/又はCTGFの
第4ドメインのドメイン構造あるいは活性中心構造が維
持され且つ上記した血管新生阻害性が維持されていれ
ば、上記のごとき変異体は、全て本発明に包含される。
また該ポリペプチドは天然のCTGFの第3ドメイン及び/
又はCTGFの第4ドメインと実質的に同等の一次構造コン
フォメーションの一部を有しているものも含まれてよい
と考えられ、さらにVEGFがそのレセプターに結合するの
を抑制又は阻害する活性、あるいはVEGFを介しての血管
新生に対して抵抗性が維持されていれば、天然のCTGFと
実質的に同等の生物学的活性を有しているものも含まれ
てよいと考えられる。さらに天然に生ずる変異体の一つ
であることもできる。
【0031】該変異タンパク質は、例えば、ヒトCTGFの
TSP-1,ヒトCTGFのCOOH-terminal domains に対し、50%
より高い同一性を有しているものが挙げられ、より好ま
しくはそれに対し、70% 以上の、あるいは 90%以上の相
同アミノ酸配列を有するものが挙げられる。該タンパク
質から誘導される断片とは、該CTGFのTSP-1 及び/又は
COOH-terminal domains ドメイン部分を含むタンパク質
の一部のペプチド(すなわち、該CTGFタンパク質の部分
ペプチド)であって、上記変異タンパク質と実質的に同
等な活性を有するものであればいずれのものであっても
よい。例えば、該タンパク質の部分ペプチドは、ヒトCT
GFのTSP-1 及び/又はCOOH-terminal domains ドメイン
領域に相当する構成アミノ酸配列のうち少なくとも連続
した2個以上、好ましくは5個以上、さらには10個以
上、ある場合には20個以上のアミノ酸配列を有するペプ
チドが挙げられる。CTGF変異タンパク質は、血管新生阻
害剤として有用である。該CTGF変異タンパク質として
は、 VEGF-CTGF複合体のCTGFを分解する活性を有する
もの(MMPsなど)により分解されないように、CTGFが変
異、変換及び/又は修飾されているもの、 VEGF と複
合体を形成し得るもの、 血管新生阻害活性を有する
もの、のいずれかであればどのようなものであっても良
い。代表的なCTGF変異タンパク質としては、例えば、
CTGF のMMPsによる切断部位を変異させたもの、 CTG
F のAla180Tyr181、Arg182Leu183、Met193Ile194及び/
又はCys198Leu199を変異させたものなどが挙げられる。
上記ではCTGFの例を挙げて説明してあるが、VEGF、特に
はVEGFのエクソン7 コード領域ポリペプチドについても
同様である。例えば、天然のVEGFのエクソン7コード領
域のドメイン構造あるいは基本構造が維持され且つ上記
した血管新生促進又は活性化作用が維持されていれば、
上記のごとき変異体は、全て本発明に包含されるし、天
然のものと実質的に同等の生物学的活性を有しているも
のも含まれてよいと考えられ、さらに天然に生ずる変異
体の一つであることもできる。該変異タンパク質は、例
えば、VEGFのエクソン7 コード領域ポリペプチドに対
し、50% より高い同一性を有しているものが挙げられ、
より好ましくはそれに対し、70% 以上の、あるいは 90%
以上の相同アミノ酸配列を有するものが挙げられる。該
タンパク質から誘導される断片についても同様である。
【0032】本明細書において、「実質的に同等」とは
蛋白質の活性、例えば、CTGFが示す血管新生阻害活性、
あるいはCTGFが示すVEGFによる血管新生を阻害する活
性、VEGFがそれに対するレセプターに結合するのに対す
る抵抗性、それに対応する生理的な活性、生物学的な活
性が実質的に同じであることを意味する。さらにまた、
その用語の意味の中には、実質的に同質の活性を有する
場合を包含していてよく、該実質的に同質の活性として
は、例えば、該血管新生を阻害する性質、VEGFによる血
管新生を阻害する性質、VEGFがそれに対するレセプター
に結合するのを阻害する性質などを挙げることができ
る。該実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的
に同質であることを示し、例えば、生理的に、薬理学的
に、あるいは生物学的に同質であることを示す。例え
ば、該血管新生阻害活性などの活性が、同等 (例えば、
約 0.001〜1000倍、好ましくは約0.01〜100 倍、より好
ましくは約 0.1〜20倍、さらに好ましくは約 0.5〜2
倍) であることが好ましいが、これらの活性の程度、ポ
リペプチド(あるいはタンパク質)の分子量などの量的
な要素は異なっていてもよい。さらには、VEGF、特には
VEGFのエクソン7 コード領域ポリペプチドが示す活性に
ついても、同様である。
【0033】次に、アミノ酸の置換、欠失、あるいは挿
入は、しばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な
特性に大きな変化を生ぜしめないし、こうした場合、そ
の置換、欠失、あるいは挿入を施されたポリペプチド
は、そうした置換、欠失、あるいは挿入のされていない
ものと実質的に同一であるとされるであろう。該アミノ
酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換体としては、
そのアミノ酸が属するところのクラスのうちの他のアミ
ノ酸類から選ぶことができうる。例えば、非極性(疎水
性)アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラニン、
ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、トリプト
ファン、メチオニンなどが挙げられ、極性(中性)とし
ては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チ
ロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられ、陽
電荷をもつアミノ酸(塩基性アミノ酸)としては、アル
ギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられ、陰電荷を
もつアミノ酸(酸性アミノ酸)としては、アスパラギン
酸、グルタミン酸などが挙げられる。
【0034】本発明のタンパク質及びその一部のペプチ
ドの合成には、当該ペプチド合成分野で知られた方法、
例えば液相合成法、固相合成法などの化学合成法を使用
することができる(Stewart et al., Solid-Phase Pept
ide Synthesis, W. H. Freeman Co., San Francisco, C
A, USA, 1969; Merrifeld, J. Am. Chem. Soc., 85,214
9-2154, 1963; J. Org. Chem., 37, 3404, 1972; G. B.
Fields (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 289
(Solid-Phase Peptide Synthesis), AcademicPress, Ne
w York (1997)) 。こうした方法では、例えばタンパク
質あるいはペプチド合成用樹脂を用い、適当に保護した
アミノ酸を、それ自体公知の各種縮合方法により所望の
アミノ酸配列に順次該樹脂上で結合させていく。縮合反
応には、好ましくはそれ自体公知の各種活性化試薬を用
いるが、そうした試薬としては、例えばジシクロヘキシ
ルカルボジイミドなどカルボジイミド類を好ましく使用
できる。生成物が保護基を有する場合には、適宜保護基
を除去することにより目的のものを得ることができる。
本発明のタンパク質及びその一部のペプチドは、それが
遊離型のものとして得られた場合には、それ自体公知の
方法あるいはそれに準じた方法で塩に変換することがで
き、またそれらは塩として得られた場合には、それ自体
公知の方法あるいはそれに準じた方法で遊離型のものあ
るいは他の塩に変換することができる。
【0035】本発明の血管新生阻害活性を有するといっ
たポリペプチド(あるいはタンパク質:例えば、少なく
ともCTGFの第3ドメイン及び/又はCTGFの第4ドメイン
に存在しているアミノ酸配列の任意の連続した領域を有
するタンパク質断片又はそれから誘導された断片、CTGF
の第1ドメイン及び/又は第2ドメインを欠失せしめて
あるタンパク質又はそれから誘導された断片を含む)
は、ヒトCTGF遺伝子の塩基配列を基に遺伝子工学的操作
を適用して得ることができる。該ヒトCTGF遺伝子の塩基
配列を有する核酸、例えばDNA 分子は、該CTGF塩基配列
に基づいて適切なプライマーを設計・合成し、好ましく
は該ヒトCTGF塩基配列のオリジンである細胞由来のmRNA
あるいはそのmRNAから調製されたcDNAを用い、所望の配
列をポリメラーゼ・チェイン・リアクション(polymeras
e chain reaction: PCR)増幅やリガーゼチェインリアク
ション(LCR) 増幅することにより得られる。場合によっ
ては、得られたDNA 断片をプローブに種々のヒト組織あ
るいは培養細胞等から構築されたヒトジェノミック DNA
ライブラリーあるいはヒト由来cDNAライブラリーをスク
リーニングして得ることもできる。該CTGF塩基配列を基
にセンスプライマーとアンチセンスプライマーを合成す
る。PCR 法で用いるプライマーとしては、所望の部位を
含むDNA 断片を増幅できるものであれば、特に限定され
ない。センスプライマーは、好ましくは該遺伝子の5'端
側のエクソン部位から選んで合成することができ、アン
チセンスプライマーは、好ましくは該遺伝子の3'端側の
エクソン部位から選んで合成することができ、より好ま
しくは該センスプライマー合成に利用したエクソン部位
以外から選ぶことができる。5'端側のプライマーとして
は、少なくとも開始コドンを含有するか、あるいは該開
始コドンを含めて増幅できるように選択し、また3'端側
のプライマーとしては、少なくともストップコドンを含
有するか、あるいは該ストップコドンを含めて増幅でき
るように選択することが好ましい。同様に本発明で使用
するVEGFなどをコードする核酸もそれを得ることもでき
る。
【0036】遺伝子のcDNAは、その全長を一度に入手す
ることを目指してもよいが、所定のエクソン部位 (複数
のエクソン部位) を利用して、複数のプライマーをデザ
インして合成し、複数のPCR をデザインして行い、こう
して得られたDNA 断片に基づいてクローニングしたDNA
断片から当該遺伝子のcDNAを得ることもできる。プライ
マーは、好ましくは 5個以上の塩基からなるオリゴヌク
レオチド、例えば、10〜50個、さらに好ましくは15〜35
個、より好ましくは18〜25個の塩基からなるオリゴヌク
レオチドが挙げられる。プライマーの作製は、当該分野
で知られた方法で行うことができ、例えば自動DNA 合成
装置、例えば、model 381A DNA synthesizer, Applied
Biosystemsなどを用い、フォスフォジエステル法、フォ
スフォトリエステル法、フォスフォアミダイト法などに
より合成できる。本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイ
ン・リアクション」又は「PCR 」とは、一般的に、米国
特許第 4683195号明細書に記載されたような方法を指
し、例えば、所望のヌクレオチド配列をインビトロで酵
素的に増幅するための方法を指している。一般に、PCR
法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることので
きる2個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、
プライマー伸長合成を行うところのサイクルを繰り返し
行うことを含むものである。典型的には、PCR 法で用い
られるプライマーは、鋳型内部の増幅されるべきヌクレ
オチド配列に対して相補的なプライマーを使用すること
ができ、例えば、該増幅されるべきヌクレオチド配列と
その両端において相補的であるか、あるいは該増幅され
るべきヌクレオチド配列に隣接しているものを好ましく
使用され得る。
【0037】鋳型(例えば、mRNAを鋳型にして合成され
たDNA)と該遺伝子に基づいてデザインされたプライマー
とを、10×反応緩衝液 (Taq DNA ポリメラーゼに添付さ
れている) 、dNTPs ( デオキシヌクレオシド三リン酸dA
TP, dGTP, dCTP, dTTPの混合物)、Taq DNA ポリメラー
ゼ及び脱イオン蒸留水と混合する。混合物を、例えば、
GeneAmp 2400 PCR system, Perkin-Elmer/Cetus などの
自動サーマルサイクラーを用いて一般的なPCR サイクル
条件下にそのサイクルを25〜60回繰り返すが、増幅のた
めのサイクル数は適宜目的に応じて適当な回数とするこ
とができる。PCR サイクル条件としては、例えば、変性
90〜95℃ 5〜100 秒、アニーリング40〜60℃ 5〜150
秒、伸長65〜75℃ 30 〜300 秒のサイクル、好ましくは
変性 94 ℃15 秒、アニーリング 58 ℃ 15 秒、伸長 72
℃ 45 秒のサイクルが挙げられるが、アニーリングの
反応温度及び時間は適宜実験によって適当な値を選択で
きるし、変性反応及び伸長反応の時間も、予想されるPC
R 産物の鎖長に応じて適当な値を選択できる。アニーリ
ングの反応温度は、通常プライマーと鋳型DNA とのハイ
ブリッドのTm値に応じて変えることが好ましい。伸長反
応の時間は、通常1000bpの鎖長当たり1 分程度がおおよ
その目安であるが、より短い時間を選択することも場合
により可能である。
【0038】得られたPCR 産物は、通常 1〜2% アガロ
ースゲル電気泳動にかけて、特異なバンドとしてゲルか
ら切り出し、例えば、gene clean kit (Bio 101)などの
市販の抽出キットを用いてDNA を抽出する。抽出された
DNA は適当な制限酵素で切断し、必要に応じ精製処理し
たり、さらには必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチド
キナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18 などのpUC
系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲ
ーションし、適当なコンピテント細胞を形質転換する。
作製されたDNA 断片を基に、ファージベクター、プラス
ミドベクターを使用するなどしてcDNAライブラリーを構
築することもできる。大腸菌などの宿主細胞の形質転換
をするには、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシ
ウム法、カルシウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB
凍結コンピテント細胞法、迅速コロニー法、エレクトロ
ポレーションなど当該分野で知られた方法あるいはそれ
と実質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanaha
n, J. Mol. Biol., 166: 557, 1983 など)。当該遺伝
子の塩基配列の全部あるいは一部を有する核酸は、化学
合成によって得ることも可能である。その場合断片を化
学合成し、それらを酵素により結合することによっても
よい。また、化学合成断片をプライマーあるいはプロー
ブとして用いて所望の配列を得ることも可能である。
【0039】PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるい
はそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことが
できるが、例えば R. Saiki, et al., Science, 230: 1
350,1985; R. Saiki, et al., Science, 239: 487, 198
8 ; H. A. Erlich ed., PCRTechnology, Stockton Pres
s, 1989 ; D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning",
2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series),
IRL Press, OxfordUniversity Press (1995) ; M. A. I
nnis et al. ed., "PCR Protocols: a guide to method
s and applications", Academic Press, New York (199
0)); M. J.McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (E
d.), PCR: a practical approach,IRL Press, Oxford
(1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 85, 8998-9002 (1988)などに記載された方法あ
るいはそれを修飾したり、改変した方法に従って行うこ
とができる。また、PCR 法は、それに適した市販のキッ
トを用いて行うことができ、キット製造業者あるいはキ
ット販売業者により明らかにされているプロトコルに従
って実施することもできる。
【0040】本明細書中、「オリゴヌクレオチド」と
は、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチド
で、好ましくはポリデオキシヌクレオチドが挙げられ、
Angew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (19
89) に記載されているような既知の方法、例えば、トリ
エステル法、ホスファイト法、ホスホアミダイト法、ホ
スホネート法などの方法により化学合成されることがで
きる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便
利に行うことができることが知られており、例えば、自
動化された合成装置を用いて行うことができ、該装置は
市販されている。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそ
れ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、
イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいは
トリチル化された塩基などを含有していてよい。得られ
た PCR産物をクローニングし、得られた PCR産物を同定
し、所望のヒトCTGF, VEGFなどをコードするDNA 断片を
取得することもできる。また、この DNA断片をプローブ
に同様にして種々のcDNAライブラリーをスクリーニング
し、目的とするDNA を単離することもできる。PCR 産物
のクローニングには、例えば、p-Direct (Clontech), p
CR-Script TM SK(+) (Stratagene), pGEM-T (Promega),
pAmp TM: Gibco-BRL)などの市販のプラスミドベクター
を用いることが出来る。
【0041】ハイブリダイゼーションは、サンプル(例
えば、ヒト組織・細胞などから調製した遺伝子ライブラ
リー、代表的には、λgt10などのファージ中に構築さ
れ、それを大腸菌C600hfl 株などの宿主大腸菌に感染さ
せ、プラークを形成させて得たものなど) をナイロンフ
ィルターなどの膜に転写せしめ、必要に応じ変成処理、
固定化処理、洗浄処理などを施した後、その膜に転写せ
しめられたものを、必要に応じ変成させた標識プローブ
DNA 断片と、ハイブリダイゼーション用バッファ中で反
応させて行われる。ハイブリダイゼーション処理は、普
通約35℃〜約80℃、より好適には約50℃〜約65℃で、約
15分〜約36時間、より好適には約1 時間〜約24時間行わ
れるが、適宜最適な条件を選択して行うことができる。
例えば、ハイブリダイゼーション処理は、約55℃で約18
時間行われる。ハイブリダイゼーション用バッファとし
ては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで
用いることができ、例えば、Rapid hybridization buff
er(Amersham)などを用いることができる。転写した膜
の変成処理としては、アルカリ変性液を使用する方法が
挙げられ、その処理後中和液や緩衝液で処理するのが好
ましい。また膜の固定化処理としては、普通約40℃〜約
100℃、より好適には約70℃〜約90℃で、約15分〜約24
時間、より好適には約1 時間〜約4 時間ベーキングする
ことにより行われるが、適宜好ましい条件を選択して行
うことができる。例えば、フィルターを約80℃で約2 時
間ベーキングすることにより固定化が行われる。転写し
た膜の洗浄処理としては、当該分野で普通に使用される
洗浄液、例えば1M NaCl 、1mM EDTAおよび 0.1% Sodiu
mDodecyl sulfate (SDS) 含有 50mM Tris-HC1緩衝液,p
H8.0 などで洗うことにより行うことができる。ナイロ
ンフィルターなどの膜としては、当該分野で普通に使用
されるものの中から選んで用いることができ、例えば、
ナイロンフィルター[ハイボンド(Hybond)-N、Amersh
am]などを挙げることができる。
【0042】上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液とし
ては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで
用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、
0.5MNaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げる
ことができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有
0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることがで
き、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、
20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができ
る。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異
的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に
応じて転写した膜はプレハイブリダイゼーション処理す
ることが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処
理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50%
formamide、 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アル
ブミン、0.2 % polyvinyl pyrrolidone)、 5×SSPE、
0.1 % SDS、100 μg/ml 熱変性サケ精子DNA ]などに
浸し、約35℃〜50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜24時
間、好ましくは約 6〜8 時間反応させることにより行う
ことができるが、こうした条件は当業者であれば適宜実
験を繰り返し、より好ましい条件を決めることができ
る。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブDNA
断片の変成は、例えば、約70℃〜100 ℃、好ましくは約
100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5分間加
熱するなどして行うことができる。なお、ハイブリダイ
ゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じ
た方法で行うことができるが、本明細書でストリンジェ
ントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、約15〜
50mM、好ましくは約19〜40mM、より好ましくは約19〜20
mMで、温度については約35〜85℃、好ましくは約50〜70
℃、より好ましくは約60〜65℃の条件を示す。
【0043】ハイブリダイゼーション完了後、フィルタ
ーを十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーショ
ン反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブ
を取り除く。フィルターの洗浄処理は、当該分野で普通
に使用されるものの中から選んで用いて行うことがで
き、例えば、0.1 % SDS含有 0.5×SSC (O.15M NaCl 含
有 15 mMクエン酸緩衝液, pH 7.0)溶液などで洗うこと
により実施できる。ハイブリダイズしたプラークは、代
表的にはオートラジオグラフィーにより検出することが
できるが、当該分野で用いられる方法の中から適宜選択
してプラーク検出に用いることもできる。検出したシグ
ナルに相当するプラークを、適切な緩衝液、例えば、SM
溶液 (100mM NaClおよび10mM MgSO4含有50mM Tris-HCl
緩衝液、pH7.5 )などに懸濁し、ついでこのファージ懸
濁液を適度に希釈して、大腸菌に感染させ、得られた大
腸菌を培養して、その培養された大腸菌から目的組換え
体ファージを得る。なお、必要に応じて上記プローブDN
A を使用して、ハイブリダイゼーション処理により遺伝
子ライブラリーやcDNAライブラリーから目的組換え体フ
ァージをスクリーニングする処理は、繰り返して行うこ
とができる。また目的組換え体ファージは、培養された
大腸菌から抽出処理、遠心分離処理などを施して得るこ
とができる。
【0044】得られたファージ粒子は、当該分野で普通
に使用される方法で精製分離することができ、例えば、
グリセロールグラジエント超遠心分離法(Molecular cl
oning, a laboratory manual, ed. T. Maniatis, Cold
Spring Harbor Laboratory,2nd ed. 78, 1989)などに
より精製することができる。ファージ粒子からは、当該
分野で普通に使用される方法でDNA を精製分離すること
ができ、例えば、得られたファージをTM溶液(10mM MgS
O4含有50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.8 )などに懸濁し、
DNase I およびRNase A などで処理後、20mM EDTA 、50
μg/ml Proteinase K 及び0.5 %SDS 混合液などを加
え、約65℃、約1 時間保温した後、これをフェノール抽
出ジエチルエーテル抽出後、エタノール沈殿によりDNA
を沈殿させ、次に得られたDNA を70%エタノールで洗浄
後乾燥し、TE溶液(10mM EDTA 含有10mM Tris-HC1 緩衝
液、pH8.0 )に溶解するなどして得られる。また、目的
としているDNA は、サブクローニングなどにより大量に
得ることも可能であり、例えばサブクローニングは、宿
主として大腸菌を用いプラスミドベクターなどを用いて
行うことができる。こうしたサブクローニングにより得
られたDNA も、上記と同様にして遠心分離、フェノール
抽出、エタノール沈殿などの方法により精製分離でき
る。上記のようにして、ヒトのCTGF DNA, VEGF DNA、そ
れらの一部を含むキメラ DNAなどが得られる。その他必
要に応じて、所望のポリペプチドをコードしているDNA
などの核酸を得ることができる。本発明に従って、例え
ばFLAGエピトープ付加された所定の領域欠損ヒトCTGF D
NA, FLAGエピトープ付加されたヒトCTGF DNA, FLAGエピ
トープ付加されたヒトVEGF165 DNA などが得られる。
【0045】本発明で得られた核酸は、一本鎖DNA 、二
本鎖DNA 、RNA 、DNA:RNA ハイブリッド、合成DNA など
であり、またヒトゲノムDNA 、ヒトジェノミックDNA ラ
イブラリー、ヒト組織・細胞由来のcDNA、合成DNA のい
ずれであってもよい。該核酸は、また本明細書で具体的
に開示された特徴的な配列を有するものにストリンジェ
ントな条件下にハイブリダイズするものであってよい。
該核酸は、所望のタンパク質(ポリペプチド) をコード
するように、その塩基配列は、上記したように、遺伝子
組換え技術など当業者に知られた方法で修飾(例えば、
付加、除去、置換など)される。遺伝子組換え技術は、
例えば J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, "
Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd editio
n)", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spr
ing Harbor, New York (1989); D. M. Glover etal. e
d., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Prac
tical Approach Series), IRL Press, Oxford Universi
ty Press (1995);日本生化学会編、「続生化学実験講座
1、遺伝子研究法II」、東京化学同人 (1986);日本生化
学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA
技術)」、東京化学同人 (1992); R. Wu ed., "Methods
in Enzymology", Vol. 68 (Recombinant DNA), Academ
ic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Meth
ods in Enzymology", Vol. 100 (Recombinant DNA, Par
t B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Pre
ss, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in
Enzymology", Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D),
154 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant D
NA, Part F), Academic Press, New York (1987); J.
H. Miller ed.,"Methods in Enzymology", Vol. 204, A
cademic Press, New York (1991); R. Wu et al. ed.,
"Methods in Enzymology", Vol. 218, Academic Pres
s, New York (1993); S. Weissman (ed.), "Methods in
Enzymology", Vol. 303, AcademicPress, New York (1
999); J. C. Glorioso et al. (ed.), "Methods in Enz
ymology", Vol. 306, Academic Press, New York (199
9)などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載
の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変法に
より行うことができる (それらの中にある記載はそれを
参照することにより本明細書の開示に含められる) 。
【0046】塩基配列の決定は、ダイデオキシ法、例え
ば M13ダイデオキシ法など、Maxam-Gilbert 法などを用
いて行うことができるが、市販のシークエンシングキッ
ト、例えば Taqダイプライマーサイクルシークエンシン
グキット、Sequenase v 2.0kit などを用いたり、自動
塩基配列決定装置、例えば蛍光DNA シーケンサー装置な
どを用いて行うことが出来る。ダイデオキシ法に用いら
れるポリメラーゼとしては、例えば、DNA ポリメラーゼ
Iのクレノー・フラグメント、AMV 逆転写酵素、Taq DN
A ポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、修飾 T7 DNA ポ
リメラーゼなどが挙げられる。本発明で得られたDNA 断
片を、下記で詳しく説明するような適当なベクター、例
えば、プラスミドpEX 、pMAMneo 、pKG5、pET3a (Stra
tagene) などのベクターに組込み、下記で詳しく説明す
るような適当な宿主細胞、例えば、大腸菌、酵母、293T
細胞、CHO 細胞、COS 細胞などで発現させることができ
る。また、該DNA 断片は、そのままあるいは適当な制御
配列を付加したDNA 断片として、または適当なベクター
に組込み、そして動物などの細胞に導入することができ
る。所定の遺伝子を発現するトランスジェニック動物を
作成することもできる。動物としては、哺乳動物が挙げ
られ、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、
ウシなどが挙げられる。好ましくは、マウスなどの動物
の受精卵に該DNA 断片を導入して、トランスジェニック
動物を作成することができる。その方法は当業者に知ら
れた方法、例えば、米国特許明細書第4736866 号、同第
4870009 号等に記載された方法に従い行うことができ
る。
【0047】所定の遺伝子産物の確認を、当該遺伝子を
トランスフェクションした、293T細胞、COS-1 細胞、HT
1080細胞などのそれに適した、腫瘍由来細胞を含む動物
細胞などを用いて行うことができる。この外来遺伝子を
哺乳動物などの動物細胞に導入する方法としては当該分
野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で
行うことができ、例えばリン酸カルシウム法(例えば、
F. L. Graham et al.,Virology, 52: 456, 1973な
ど)、DEAE- デキストラン法(例えば、D. Wardenet a
l., J. Gen. Virol., 3: 371, 1968など)、エレクトロ
ポレーション法(例えば、E. Neumann et al., EMBO J,
1: 841, 1982 など)、マイクロインジェクション法、
リボソーム法、ウイルス感染法、ファージ粒子法などが
挙げられる。こうして所定の遺伝子をトランスフェクシ
ョンされた動物細胞の産生する遺伝子産物は、それを解
析することもできる。解析には、例えば、モノクローナ
ル抗体などの抗体を用いた免疫沈降実験あるいはウェス
タンブロッティングなどを用いることができる。
【0048】所定の遺伝子を組込むプラスミドとしては
遺伝子工学的に常用される宿主細胞(例えば、大腸菌、
枯草菌等の原核細胞宿主、酵母、293T細胞、CHO 細胞、
COS細胞等の真核細胞宿主、Sf21等の昆虫細胞宿主)中
で該DNA が発現できるプラスミドであればどのようなプ
ラスミドでもよい。こうした配列内には、例えば選択し
た宿主細胞で発現するのに好適なコドンに修飾されてい
ることができるし、制限酵素部位が設けられていること
もできるし、目的とする遺伝子の発現を容易にするため
の制御配列、促進配列など、目的とする遺伝子を結合す
るのに役立つリンカー、アダプターなど、さらには抗生
物質耐性などを制御したり、代謝を制御したりし、選別
などに有用な配列等を含んでいることができる。好まし
くは、適当なプロモーター、例えば大腸菌を宿主とする
プラスミドでは、トリプトファンプロモーター(trp) 、
ラクトースプロモーター(lac) 、トリプトファン・ラク
トースプロモーター(tac) 、リポプロテインプロモータ
ー(lpp)、λファージ PL プロモーター等を、動物細胞
を宿主とするプラスミドでは、SV40レートプロモータ
ー、MMTV LTRプロモーター、RSV LTR プロモーター、CM
V プロモーター、SRαプロモーター等を、酵母を宿主
とするプラスミドでは、GAL1、GAL10 プロモーター等を
使用し得る。さらにCYC1, HIS3, ADH1, PGK, PHO5, GAP
DH, ADC1, TRP1, URA3, LEU2, EN0, TP1, AOX1等の制御
系を使用することもできる。
【0049】所望ポリペプチドをコードするDNA のトラ
ンスクリプションを促進するためエンハンサーをベクタ
ーに挿入することができ、そうしたエンハンサーとして
はプロモーターに働いてトランスクリプションを促進す
る作用を持つ、通常おおよそ10〜100 bpの cis作用を持
つエレメントのものが挙げられる。多くのエンハンサー
が、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α- フェト
プロテイン、インシュリンなどの哺乳動物遺伝子から知
られている。代表的には、真核細胞感染性ウイルスから
得られるエンハンサーが好適に使用でき、例えばレプリ
ケーションオリジンのレート領域にあるSV40エンハンサ
ー (100-270 bp), サイトメガロウイルスの初期プロモ
ーターのエンハンサー, ポリオーマのレプリケーション
オリジンのレート領域にあるエンハンサー, アデノウイ
ルスのエンハンサーなどの例が挙げられる。また、必要
に応じて、宿主にあったシグナル配列を付加することも
でき、それらは当業者によく知られているものを使用で
きる。
【0050】大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、
例えばpBR322、pUC18 、pUC19 、pUC118、pUC119、pSP6
4 、pSP65 、pTZ-18R/-18U、pTZ-19R/-19U、pGEM-3、pG
EM-4、pGEM-3Z 、pGEM-4Z 、pGEM-5Zf(-) 、pBluescrip
t KS TM (Stratagene)などが挙げられる。大腸菌での発
現に適したプラスミドベクターとしては、pAS、pKK223
(Pharmacia)、pMC1403 、pMC931、pKC30 、pRSET-B (In
vitrogen)なども挙げられる。動物細胞を宿主とするプ
ラスミドとしては、SV40ベクター、ポリオーマ・ウイル
スベクター、ワクシニア・ウイルスベクター、レトロウ
イルスベクターなどが挙げられ、例えばpcD 、pcD-SR
α、CDM8、pCEV4 、pME18S、pBC12BI 、pSG5 (Stratage
ne) などが挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドと
しては、YIp 型ベクター、YEp 型ベクター、YRp 型ベク
ター、YCp 型ベクターなどが挙げられ、例えばpGPD-2な
どが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細胞が大腸菌
の場合、例えば大腸菌K12 株に由来するものが挙げら
れ、例えばNM533 XL1-Blue, C600, DH1, DH5, DH11S, D
H12S, DH5α, DH10B, HB101, MC1061, JM109, STBL2,
BL21(DE3)/pLysS などが挙げられる。宿主細胞が酵母の
場合、例えば Saccharomyces cerevisiae, Schizosacch
aromyces prombe, Pichia pastoris, Kluyveromyces
株, Candida, Trichoderma reesia, その他の酵母株な
どが挙げられる。宿主細胞が動物細胞の場合、例えばア
フリカミドリザル線維芽細胞由来のCOS-7 細胞、COS-1
細胞、CV-1細胞、ヒト腎細胞由来 293細胞、ヒト表皮細
胞由来A431細胞、ヒト結腸由来 205細胞、マウス線維芽
細胞由来のCOP 細胞、MOP 細胞、WOP 細胞、チャイニー
ズ・ハムスター細胞由来のCHO 細胞、CHO DHFR- 細胞、
ヒトHeLa細胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス細胞由
来NIH 3T3 細胞、マウスL 細胞、9BHK、HL-60 、U937
、HaK 、Jurkat細胞、その他の形質転換されて得られ
たセルライン、通常の二倍体細胞、インビトロの一次培
養組織から誘導された細胞株などが挙げられる。昆虫細
胞としては、カイコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori
nuclear polyhedrosis virus) 、それに由来するものあ
るいはその他の適切なものをベクターとし、Spodoptera
frugiperda (caterpillar), Aedes aegypti (mosquit
o), Aedes albopictus (mosquito), Drosophila melang
aster (fruitfly), カイコ幼虫あるいはカイコ培養細
胞、例えばBM-N細胞などを用いることが挙げられる (例
えば、Luckow et al., Bio/Technology, 6, 47-55 (198
8); Setlow, J. K. et al. (eds), Genetic Engineerin
g, Vol. 8, pp.277-279, Plenum Publishing, 1986; Ma
eda et al., Nature, 315, pp.592-594 (1985)) 。Agro
bacterium tumefaciensなどを利用して、植物細胞を宿
主細胞として使用することも可能であり、それに適する
ベクターと共に、それらは当該分野で広く知られてい
る。
【0051】本発明の遺伝子工学的手法においては、当
該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆
転写酵素、DNA 断片をクローン化するのに適した構造に
修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA 修飾
・分解酵素、DNA ポリメラーゼ、末端ヌクレオチジルト
ランスフェラーゼ、DNA リガーゼなどを用いることが出
来る。制限酵素としては、例えば、R. J. Roberts, Nuc
leic Acids Res., 13:r165, 1985; S. Linn et al. ed.
Nucleases, p. 109, Cold Spring Harbor Lab., Cold
Spring Harbor, New York, 1982; R. J. Roberts, D. M
acelis, Nucleic Acids Res., 19: Suppl. 2077, 1991
などに記載のものが挙げられる。逆転写酵素としては、
例えばマウスモロネイ白血病ウイルス (mouse Moloney
leukemiavirus; MMLV) 由来の逆転写酵素 (reverse tra
nscriptase)、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス (avian mye
loblastosis virus; AMV)由来の逆転写酵素などが挙げ
られる。逆転写酵素は、RNase H 欠損体などは好ましく
用いることができ、特にはRNase H 活性を欠いた修飾MM
LV RT が好ましく使用でき、さらには熱安定性の高いも
のが好ましい。適した逆転写酵素としては、MMLV RT (G
ibco-BRL) 、Superscript RT plus (Life Technologie
s) などが挙げられる。
【0052】DNA ポリメラーゼとしては、例えば大腸菌
DNA ポリメラーゼ、その誘導体であるクレノウ・フラグ
メント、大腸菌ファージT4 DNAポリメラーゼ、大腸菌フ
ァージT7 DNAポリメラーゼ、耐熱菌DNA ポリメラーゼな
どが挙げられる。末端ヌクレオチジルトランスフェラー
ゼとしては、例えばR. Wu et al. ed., "Methods inEnz
ymology", Vol. 100, p. 96, Academic Press, New Yor
k (1983) に記載の3'-OH 末端にデオキシヌクレオチド
(dNMP)を付加するTdTaseなどが挙げられる。DNA 修飾・
分解酵素としては、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレ
アーゼなどが挙げられ、例えばヘビ毒ホスホジエステラ
ーゼ、脾臓ホスホジエステラーゼ、大腸菌DNA エキソヌ
クレアーゼ I、大腸菌DNA エキソヌクレアーゼIII 、大
腸菌DNAエキソヌクレアーゼ VII、λエキソヌクレアー
ゼ、DNase I 、ヌクレアーゼS1、ミクロコッカス (Micr
ococcus) ヌクレアーゼなどが挙げられる。DNA リガー
ゼとしては、例えば大腸菌DNA リガーゼ、T4 DNAリガー
ゼなどが挙げられる。DNA 遺伝子をクローニングしてDN
A ライブラリーを構築するのに適したベクターとして
は、プラスミド、λファージ、コスミド、P1ファージ、
F因子、YAC などが挙げられ、好ましくはλファージ由
来のベクターが挙げられ、例えばCharon4A 、Charon 21
A、λgt10、λgt11、λDASHII、λFIXII 、λEMBL3 、
λZAPII TM (Stratagene) などが挙げられる。
【0053】本発明のタンパク質をコードする核酸を含
有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必
要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクロー
ニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する
細胞株を得ることができる。例えば、宿主細胞として動
物細胞を用いた形質転換体において、dhfr遺伝子を選択
マーカーとして利用した場合、MTX 濃度を徐々に上げて
培養し、耐性株を選択することにより、本発明のタンパ
ク質をコードするDNA を増幅させ、より高い発現を得ら
れる細胞株を得ることができる。本発明の形質転換体
は、本発明のタンパク質をコードする核酸が発現可能な
条件下で培養し、目的物を生成、蓄積せしめることがで
きる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地
中で培養することができる。例えば、大腸菌、枯草菌等
の原核細胞宿主、酵母などを宿主としている形質転換体
は、液体培地を好適に使用することができる。培地中に
は、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機
物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえ
ばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖な
ど、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸
塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、
肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液など
の無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化
カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウ
ム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビ
タミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加しても
よい。また、必要によりプロモーターを効率よく働かせ
るために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のよ
うな薬剤を加えることができる。培地のpHは約5〜8
が望ましい。
【0054】培養は、例えば大腸菌では通常約15〜45℃
で約3〜75時間行い、必要により、通気や攪拌を加える
こともできる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、たとえば約5〜20%の胎児牛血
清を含むMEM 培地、PRMI1640培地、DMEM培地などが用い
られる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常
約30℃〜40℃で約15〜72時間行い、必要に応じて通気や
攪拌を加える。得られた細胞及び培養液はそれをそのま
ま使用することができる。上記培養細胞から所望生産物
を抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
粗抽出液を得る方法などを適宜用いることができる。緩
衝液の中には尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤
や、トリトン X-100(商品名)、ツウィーン-80 (商品
名)などの界面活性剤を加えてあってもよい。培養液中
に目的生成物が分泌される場合には、培養終了後、それ
自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、
上清を集める。このようにして得られた培養上清、ある
いは抽出液中に含まれる目的生成物は、自体公知の分離
・精製法を適切に組み合わせてその精製を行なうことが
でき、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セフ
ァデックスなどによるゲルろ過法、例えばジエチルアミ
ノエチル基あるいはカルボキシメチル基などを持つ担体
などを用いたイオン交換クロマトグラフィー法、例えば
ブチル基、オクチル基、フェニル基など疎水性基を持つ
担体などを用いた疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲ
ルクロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過
法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体ク
ロマトグラフィー法などにより精製して得ることができ
る。好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、モ
ノクローナル抗体などの抗原と特異的に反応する抗体な
どを固定化したアフィニティー・クロマトグラフィーな
どで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン−ア
ガロース・アフィニティー・クロマトグラフィー、ヘパ
リン−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げられ
る。
【0055】該タンパク質及びその一部のペプチドの塩
としては、生理的に許容されるものあるいは医薬として
許容されるものが好ましいが、これらに限定されない。
こうした塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、
硝酸、リン酸などの無機酸との塩、例えば酢酸、ギ酸、
マレイン酸、フマール酸、コハク酸、クエン酸、酒石
酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩
などが挙げられる。さらに該塩としては、アンモニウム
塩、例えばエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチル
アミン、ヒドロキシエチルアミンなどの有機塩基との塩
なども挙げられる。該CTGF変異体、修飾体、誘導体、そ
の部分ペプチド断片などは、上記で説明したような分離
・精製処理を施すことができる。本発明では、「変異
体」、「断片」、「誘導体」及び「類縁体」なる用語
は、CTGFポリペプチドやそれらをコードする塩基配列か
ら転写され且つスプライシングされていないか又は特異
的にスプライシングされた hnRNA又はmRNAによりコード
されるポリペプチド、又はジェノミックDNA によりコー
ドされるポリペプチドに関連して、その「変異体」、
「断片」、「誘導体」又は「類縁体」と称した場合、こ
のようなポリペプチドと本質的に同一の生物学的機能又
は活性を有しているポリペプチドの有する生物学的機能
又は活性に対して、抑制あるいは阻害する活性を有して
いるポリペプチドを意味する。当該ポリペプチドは組換
えポリペプチド、天然ポリペプチド又は合成ポリペプチ
ドでよい。特定の好ましい態様では、これは組換えポリ
ペプチドである。上記CTGFに関して該CTGF変異体などと
して述べたことは、CTGFをVEGFに置き換えて適宜の改変
を加えて適用されされてよい。
【0056】本発明に従い、VEGFとCTGFとの共存する
系、あるいはVEGFとCTGFとMMPsの何れか少なくとも一つ
の共存する系などを使用してVEGF-CTGF 複合体、例えば
VEGF16 5-CTGF複合体などの形成に影響を及ぼす物質、例
えば阻害する物質などのスクリーニング方法が提供され
る。例えば VEGF とCTGFを共発現する形質転換体細胞あ
るいはその培養物などを使用したりして、VEGFとCTGFと
の相互作用に関連した物質のスクリーニングを行うこと
ができる。該スクリーニングでは、例えばVEGFと共に、
CTGF、CTGF(I.II.III.) 、CTGF(I.II.IV.)、CTGF(I.I
I.) などを用いたり、それを発現する形質転換体細胞あ
るいはその培養物を使用し、(i) 試験試料の存在しない
場合と、(ii)試験試料を接触させた場合との間で、当該
VEGFなどが示す血管形成作用(血管新生作用)などにつ
きその比較を行う。その他、上記スクリーニングでは、
当該生物学的活性(例えば、VEGFとCTGFとの相互作用、
CTGF分解現象、VEGFのそのレセプターへの結合、あるい
はそれに起因する細胞の増殖など)を測定して、比較す
ることもできる。VEGF、CTGF、その関連ペプチドなどの
分子は、そのまま使用できるが、フルオレッセインなど
の蛍光、酵素や放射性物質などで標識したものでも使用
できる。DNA 組換え技術を使用して適当なタグを付加し
たものあるいは化学的な手法で標識を付加したものも好
適に使用できる。各活性の測定は当該分野で知られた手
法で行うことができる。試験試料としては、例えばタン
パク質、ペプチド、非ペプチド性化合物、合成化合物、
発酵生産物、植物抽出物、動物などの組織抽出物、細胞
抽出物などが挙げられる。試験試料に使用される試験化
合物の例には、好ましくは抗MMP 抗体、MMP 阻害剤、MM
P ファミリーに対するインヒビター活性を有する化合
物、特には合成化合物を含んでいてよい。これら化合物
は、新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であ
ってもよい。該スクリーニングは、当該分野で知られた
測定法に準じて実施することができる。また、下記の抗
体を使用しての測定法において説明した、各種標識、緩
衝液系その他適当な試薬等を使用したり、そこで説明し
た操作等に準じて行うことができる。測定は通常トリス
塩酸緩衝液、リン酸塩緩衝液などの反応に悪影響を与え
ないような緩衝液等の中で、例えば、pH4〜10 (好まし
くは、pH約6〜8)において行うことができる。これら
個々のスクリーニングにあたっては、それぞれの方法に
おける通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮
を加えて、本発明のVEGFとCTGFとの相互作用に関連した
測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の
詳細については、総説、成書などを参照することができ
る〔例えば、Methods in Enzymology, Vol. 1, 2, 5 &
6 (Preparation and Assay of Enzymes); 同書, Vol. 3
(Preparation and Assay of Substrates); 同書, Vol.
4 (Special Techniques for the Enzymologist); 同
書, Vol. 19 (Proteolytic Enzymes);同書, Vol. 45(Pr
oteolytic Enzymes, Part B) ;同書, Vol. 80 (Proteo
lytic Enzymes, PartC)(以上、Academic Press社 (USA)
発行) など参照〕。
【0057】本明細書中、「抗体」との用語は、広義の
意味で使用されるものであってよく、所望の領域タンパ
ク質断片に対するモノクローナル抗体の単一のものや各
種エピトープに対する特異性を持つ抗体組成物であって
よく、また1価抗体または多価抗体並びにポリクローナ
ル抗体及びモノクローナル抗体を含むものであり、さら
に天然型(intact)分子並びにそれらのフラグメント及び
誘導体も表すものであり、F(ab')2, Fab' 及びFab とい
ったフラグメントを包含し、さらに少なくとも二つの抗
原又はエピトープ (epitope)結合部位を有するキメラ抗
体若しくは雑種抗体、又は、例えば、クワドローム(qua
drome), トリオーム(triome)などの二重特異性組換え抗
体、種間雑種抗体、抗イディオタイプ抗体、さらには化
学的に修飾あるいは加工などされてこれらの誘導体と考
えられるもの、公知の細胞融合又はハイブリドーマ技術
や抗体工学を適用したり、合成あるいは半合成技術を使
用して得られた抗体、抗体生成の観点から公知である従
来技術を適用したり、DNA組換え技術を用いて調製され
る抗体、本明細書で記載し且つ定義する標的抗原物質あ
るいは標的エピトープに関して中和特性を有したりする
抗体又は結合特性を有する抗体を包含していてよい。
【0058】抗原物質に対して作製されるモノクローナ
ル抗体は、培養中の一連のセルラインにより抗体分子の
産生を提供することのできる任意の方法を用いて産生さ
れる。修飾語「モノクローナル」とは、実質上均質な抗
体の集団から得られているというその抗体の性格を示す
ものであって、何らかの特定の方法によりその抗体が産
生される必要があるとみなしてはならない。個々のモノ
クローナル抗体は、自然に生ずるかもしれない変異体が
僅かな量だけ存在しているかもしれないという以外は、
同一であるような抗体の集団を含んでいるものである。
モノクローナル抗体は、高い特異性を持ち、それは単一
の抗原性をもつサイトに対して向けられているものであ
る。異なった抗原決定基(エピトープ) に対して向けら
れた種々の抗体を典型的には含んでいる通常の(ポリク
ローナル)抗体調製物と対比すると、それぞれのモノク
ローナル抗体は当該抗原上の単一の抗原決定基に対して
向けられているものである。その特異性に加えて、モノ
クローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成さ
れ、他のイムノグロブリン類の夾雑がないあるいは少な
い点でも優れている。モノクローナル抗体は、ハイブリ
ッド抗体及びリコンビナント抗体を含むものである。そ
れらは、所望の生物活性を示す限り、その由来やイムノ
グロブリンクラスやサブクラスの種別に関わりなく、可
変領域ドメインを定常領域ドメインで置き換えたり(例
えば、ヒト化抗体) 、あるいは軽鎖を重鎖で置き換えた
り、ある種の鎖を別の種の鎖でもって置き換えたり、あ
るいはヘテロジーニアスなタンパク質と融合せしめたり
して得ることができる(例えば、米国特許第4816567
号; Monoclonal Antibody Production Techniques and
Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New Y
ork, 1987 など) 。
【0059】モノクローナル抗体を製造する好適な方法
の例には、ハイブリドーマ法 (G. Kohler and C. Milst
ein, Nature, 256, pp.495-497 (1975)); ヒトB細胞ハ
イブリドーマ法 (Kozbor et al., Immunology Today,
4, pp.72-79 (1983); Kozbor,J. Immunol., 133, pp.30
01 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Pro
duction Techniques and Applications, pp.51-63, Mar
cel Dekker, Inc., New York (1987);トリオーマ法; EB
V-ハイブリドーマ法 (Cole et al., Monoclonal Antibo
dies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77
-96 (1985))(ヒトモノクローナル抗体を産生するための
方法);米国特許第4946778 号 (単鎖抗体の産生のための
技術) が挙げられる他、抗体に関して以下の文献が挙げ
られる:S. Biocca et al., EMBO J, 9, pp.101-108 (19
90); R.E. Bird et al., Science, 242, pp.423-426 (1
988); M.A. Boss et al., Nucl. Acids Res., 12, pp.3
791-3806 (1984); J. Bukovsky et al., Hybridoma, 6,
pp.219-228 (1987); M.DAINO et al., Anal. Bioche
m., 166, pp.223-229 (1987); J.S. Huston et al., Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, pp.5879-5883 (1988);
P.T. Jones et al., Nature, 321, pp.522-525 (198
6); J.J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymolo
gy", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I:
Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), A
cademic Press, New York (1986); S.Morrison et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (198
4); V.T. Oi et al., BioTechniques, 4, pp.214-221
(1986); L. Riechmann et al.,Nature, 332, pp.323-32
7 (1988); A. Tramontano et al., Proc. Natl. Acad.S
ci. USA, 83, pp.6736-6740 (1986); C. Wood et al.,
Nature, 314, pp.446-449 (1985); Nature, 314, pp.45
2-454 (1985) あるいはそこで引用された文献(それら
の中にある記載はそれを参照することにより本明細書の
開示に含められる) 。
【0060】本発明に係るモノクローナル抗体は、それ
らが所望の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の
一部が特定の種から誘導される又は特定の抗体クラス若
しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホ
モロガスであるが、一方、鎖の残部は、別の種から誘導
される又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する
抗体の対応配列と同一又はホモロガスである、「キメ
ラ」抗体(免疫グロブリン) を特に包含する(米国特許
第4816567 号明細書; Morrison et al., Proc. Natl. A
cad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984)) 。以下、モ
ノクローナル抗体を例に挙げて、抗体の作製につき詳し
く説明する。本発明のモノクローナル抗体は、ミエロー
マ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモノ
クローナル抗体であってよく、例えば次のような工程で
作製できる。 1.免疫原性抗原の調製 2.免疫原性抗原による動物の免疫 3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合 5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクロー
ン化 6.モノクローナル抗体の製造
【0061】1.免疫原性抗原の調製 抗原としては、上記で記載してあるように、ヒトCTGFの
第3ドメインあるいは第4ドメイン領域のタンパク質断
片又はそれから誘導された断片を単離したもの、さらに
はVEGFのCTGF結合部位又はそれから誘導されたもの、VE
GF-CTGF 複合体又はそれから誘導されたものなどを用い
ることもできるが、配列決定されているCTGFあるいはVE
GFのアミノ酸配列の情報を基に、適当なオリゴペプチド
を化学合成しそれを抗原として利用することができる。
抗原は、そのまま適当なアジュバントと混合して動物を
免疫するのに使用できるが、免疫原性コンジュゲートな
どにしてもよい。免疫原として用いる抗原は、例えば、
ヒトCTGFあるいはそれを断片化したもの、VEGFのエクソ
ン7でコードされる部位などあるいはそのアミノ酸配列
に基づき特徴的な配列領域を選び、ポリペプチドをデザ
インして化学合成して得られた合成ポリペプチド断片で
あってもよい。また、その断片を適当な縮合剤を介して
種々の担体タンパク質類と結合させてハプテン−タンパ
ク質の如き免疫原性コンジュゲートとし、これを用いて
特定の配列のみと反応できる(あるいは特定の配列のみ
を認識できる)モノクローナル抗体をデザインするのに
用いることもできる。デザインされるポリペプチドには
予めシステイン残基などを付加し、免疫原性コンジュゲ
ートの調製を容易にできるようにしておくことができ
る。担体タンパク質類と結合させるにあたっては、担体
タンパク質類はまず活性化されることができる。こうし
た活性化にあたり活性化結合基を導入することが挙げら
れる。活性化結合基としては、(1) 活性化エステルある
いは活性化カルボキシル基、例えばニトロフェニルエス
テル基、ペンタフルオロフェニルエステル基、1-ベンゾ
トリアゾールエステル基、N-スクシンイミドエステル基
など、(2) 活性化ジチオ基、例えば2-ピリジルジチオ基
などが挙げられる。担体タンパク質類としては、キーホ
ール・リンペット・ヘモシアニン (KLH)、牛血清アルブ
ミン (BSA)、卵白アルブミン、グロブリン、ポリリジン
などのポリペプタイド、細菌菌体成分、例えばBCG など
が挙げられる。
【0062】2.免疫原性抗原による動物の免疫 免疫は、当業者に知られた方法により行うことができ、
例えば村松繁、他編、実験生物学講座 14 、免疫生物
学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、続生化
学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986
年、日本生化学会編、新生化学実験講座 12 、分子免疫
学 III、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年など
に記載の方法に準じて行うことができる。免疫化剤を
(必要に応じアジバントと共に)一回又はそれ以上の回
数哺乳動物に注射することにより免疫化される。代表的
には、該免疫化剤及び/又はアジバントを哺乳動物に複
数回皮下注射あるいは腹腔内注射することによりなされ
る。免疫化剤は、上記抗原ペプチド又はDNA クローニン
グして得られるリコンビナントのCTGF、VEGFのエクソン
7コード領域などあるいはそれを酵素消化して得られた
断片を含むものが挙げられる。免疫化剤は、免疫処理さ
れる哺乳動物において免疫原性であることの知られてい
るタンパク質(例えば上記担体タンパク質類など)とコ
ンジュゲートを形成せしめて使用してもよい。アジュバ
ントとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リ
ビ(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG 、リポソ
ーム、水酸化アルミニウム、シリカ、リピッドA、合成
トレハロース・ジコリノミコレート(TDM) アジュバント
などが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどのマウ
ス、ハムスター、その他の適当な動物を使用して行われ
る。抗原の投与量は、例えばマウスに対して約1〜400
μg/動物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注射
し、以後1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ごと
に腹腔内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を2
〜10回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBALB
/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウスとのF1マ
ウスなどを用いることもできる。必要に応じ、抗体価測
定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫の程度を確認
できる。本発明の抗体は、こうして得られ免疫された動
物から得られたものであってよく、例えば、抗血清、ポ
リクローナル抗体等を包含する。
【0063】3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)と
しては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶこと
ができ、例えば P3-NS-1-Ag4-1 (NS-1, Eur.J. Immuno
l., 6: 511-519, 1976)、SP-2/0-Ag14 (SP-2, Nature,
276: 269 〜270,1978 )、マウスミエローマ MOPC-21セ
ルライン由来のP3-X63-Ag8-U1 (P3U1,Curr. topics Mic
robiol. Immunol., 81: 1-7, 1978 ) 、P3-X63-Ag8 (X6
3,Nature, 256: 495-497, 1975 )、P3-X63-Ag8-653 (65
3, J. Immunol., 123:1548-1550, 1979)などを用いるこ
とができる。8-アザグアニン耐性のマウスミエローマ細
胞株はダルベッコMEM 培地 (DMEM培地) 、RPMI-1640 培
地などの細胞培地に、例えばペニシリン、アミカシンな
どの抗生物質、牛胎児血清(FCS) などを加え、さらに8
−アザグアニン(例えば5〜45μg/ml) を加えた培地で
継代されるが、細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代
して所要数の細胞株を用意することができる。また使用
細胞株は、凍結保存株を約37℃で完全に解凍したのち R
PMI-1640培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培
地で培養して所要数の細胞株を用意したものであっても
よい。
【0064】4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細
胞融合 上記2.の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは
最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、それか
ら脾細胞懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ
節細胞を得て、それを細胞融合に使用することもでき
る。こうして得られた脾細胞懸濁液と上記3.の工程に
従い得られたミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地
(MEM培地) 、DMEM培地、RPMI-1640 培地などの細胞培地
中に置き、細胞融合剤、例えばポリエチレングリコール
を添加する。細胞融合剤としては、この他各種当該分野
で知られたものを用いることができ、この様なものとし
ては不活性化したセンダイウイルス(HVJ: Hemagglutina
ting Virus of Japan)なども挙げられる。好ましくは、
例えば30〜60%のポリエチレングリコールを 0.5〜2ml
加えることができ、分子量が 1,000〜8,000 のポリエチ
レングリコールを用いることができ、さらに分子量が
1,000〜4,000 のポリエチレングリコールがより好まし
く使用できる。融合培地中でのポリエチレングリコール
の濃度は、例えば30〜60%となるようにすることが好ま
しい。必要に応じ、例えばジメチルスルホキシドなどを
少量加え、融合を促進することもできる。融合に使用す
る脾細胞(リンパ球): ミエローマ細胞株の割合は、例
えば 1:1〜20:1とすることが挙げられるが、より好まし
くは 4:1〜7:1 とすることができる。融合反応を1〜10
分間行い、次にRPMI-1640 培地などの細胞培地を加え
る。融合反応処理は複数回行うこともできる。融合反応
処理後、遠心などにより細胞を分離した後選択用培地に
移す。
【0065】5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及
びモノクローン化 選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプ
テリン及びチミジンを含む、FCS 含有MEM 培地、RPMI-1
640 培地などの培地、所謂 HAT培地が挙げられる。選択
培地交換の方法は、一般的には培養プレートに分注した
容量と等容量を翌日加え、その後1〜3日ごとに HAT培
地で半量ずつ交換するというように処理することができ
るが、適宜これに変更を加えて行うこともできる。また
融合後8〜16日目には、アミノプテリンを除いた、所謂
HT培地で1〜4日ごとに培地交換をすることができる。
フィーダーとして、例えばマウス胸腺細胞を使用するこ
ともでき、それが好ましい場合がある。ハイブリドーマ
の増殖のさかんな培養ウェルの培養上清を、例えば放射
免疫分析(RIA) 、酵素免疫分析(ELISA) 、蛍光免疫分析
(FIA) などの測定系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(F
ACS)などで、所定の断片ペプチドを抗原として用いた
り、あるいは標識抗マウス抗体を用いて目的抗体を測定
するなどして、スクリーニングしたりする。目的抗体を
産生しているハイブリドーマをクローニングする。クロ
ーニングは、寒天培地中でコロニーをピック・アップす
るか、あるいは限界希釈法によりなされうる。限界希釈
法でより好ましく行うことができる。クローニングは複
数回行うことが好ましい。
【0066】6.モノクローナル抗体の製造 得られたハイブリドーマ株は、FCS 含有MEM 培地、RPMI
-1640 培地などの適当な増殖用培地中で培養し、その培
地上清から所望のモノクローナル抗体を得ることが出来
る。大量の抗体を得るためには、ハイブリドーマを腹水
化することが挙げられる。この場合ミエローマ細胞由来
の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に各ハイブリド
ーマを移植し、増殖させるか、あるいは例えばヌード・
マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖させ、該
動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を回収し
て得ることが出来る。動物はハイブリドーマの移植に先
立ち、プリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカ
ン)などの鉱物油を腹腔内投与しておくことができ、そ
の処理後、ハイブリドーマを増殖させ、腹水を採取する
こともできる。腹水液はそのまま、あるいは従来公知の
方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セフ
ァデックスなどによるゲルろ過法、イオン交換クロマト
グラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィ
ニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラ
フィー法などにより精製してモノクローナル抗体として
用いることができる。好ましくは、モノクローナル抗体
を含有する腹水は、硫安分画した後、DEAE−セファロー
スの如き、陰イオン交換ゲル及びプロテインAカラムの
如きアフィニティ・カラムなどで処理し精製分離処理で
きる。特に好ましくは抗原又は抗原断片(例えば合成ペ
プチド、組換え抗原タンパク質あるいはペプチド、抗体
が特異的に認識する部位など)を固定化したアフィニテ
ィ・クロマトグラフィー、プロテインAを固定化したア
フィニティ・クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイ
ト・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0067】また、トランスジェニックマウス又はその
他の生物、例えば、その他の哺乳動物は、本発明の免疫
原ポリペプチド産物に対するヒト化抗体等の抗体を発現
するのに用いることができる。またこうして大量に得ら
れた抗体の配列を決定したり、ハイブリドーマ株から得
られた抗体をコードする核酸配列を利用して、遺伝子組
換え技術により抗体を作製することも可能である。当該
モノクローナル抗体をコードする核酸は、例えばマウス
抗体の重鎖や軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結
合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用するなどの
慣用の手法で単離し配列決定することができる。一旦単
離されたDNA は、上記したようにして発現ベクターに入
れ、CHO,COSなどの宿主細胞に入れることができる。該D
NA は、例えばホモジーニアスなマウスの配列に代え
て、ヒトの重鎖や軽鎖の定常領域ドメインをコードする
配列に置換するなどして修飾することが可能である (Mo
rrison et al., Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 81: 658
1, 1984)。かくして所望の結合特異性を有するキメラ抗
体やハイブリッド抗体も調製することが可能である。ま
た、抗体は、下記するような縮合剤を用いることを含め
た化学的なタンパク合成技術を適用して、キメラ抗体や
ハイブリッド抗体を調製するなどの修飾をすることも可
能である。ヒト化抗体は、当該分野で知られた技術によ
り行うことが可能である(例えば、Jones et al., Natu
re, 321: pp.522-525 (1986); Riechmann et al., Natu
re, 332: pp.323-327 (1988); Verhoeyen et al., Scie
nce, 239: pp.1534-1536 (1988))。ヒトモノクローナル
抗体も、当該分野で知られた技術により行うことが可能
で、ヒトモノクローナル抗体を生産するためのヒトミエ
ローマ細胞やヒト・マウスヘテロミエローマ細胞は当該
分野で知られている (Kozbor, J. Immunol.,133, pp.30
01 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Pro
duction Techniques and Applications, pp.51-63, Mar
cel Dekker, Inc., New York (1987)) 。バイスペシフ
ィックな抗体を製造する方法も当該分野で知られている
(Millstein et al., Nature, 305: pp.537-539 (198
3); WO93/08829; Traunecker etal., EMBO, 10: pp.365
5-3659 (1991); Suresh et al., "Methods in Enzymolo
gy", Vol. 121, pp.210 (1986))。さらにこれら抗体を
トリプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理
して、場合により還元して得られるFab 、Fab'、F(ab')
2 といった抗体フラグメントにして使用してもよい。
【0068】抗体は、既知の任意の検定法、例えば競合
的結合検定、直接及び間接サンドイッチ検定、及び免疫
沈降検定に使用することができる(Zola, Monoclonal A
ntibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC
Press, Inc., 1987) 。抗体を検出可能な原子団にそれ
ぞれコンジュゲートするには、当分野で知られる任意の
方法を使用することができ、例えば、David et al., Bi
ochemistry, 13巻, 1014-1021 頁(1974); Pain et al,
J. Immunol. Meth., 40: pp.219-231 (1981);及び "Me
thods in Enzymology", Vol. 184, pp.138-163 (1990)
により記載の方法が挙げられる。標識物を付与する抗体
としては、IgG 画分、更にはペプシン消化後還元して得
られる特異的結合部Fab'を用いることができる。これら
の場合の標識物の例としては、下記するように酵素(ペ
ルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼあるいはβ-D
- ガラクトシダーゼなど)、化学物質、蛍光物質あるい
は放射性同位元素などがある。
【0069】本発明での検知・測定は、イムノ染色、例
えば組織あるいは細胞染色、イムノアッセイ、例えば競
合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで行
うことができ、ラジオイムノアッセイ、ELISA などを用
いることができ、B-F 分離を行ってもよいし、あるいは
行わないでその測定を行うことができる。好ましくは放
射免疫測定法や酵素免疫測定法であり、さらにサンドイ
ッチ型アッセイが挙げられる。例えばサンドイッチ型ア
ッセイでは、一方を本発明で得られた特定のドメイン領
域及び関連ペプチド断片に対する抗体とし、他方をCTGF
あるいはVEGFに対する抗体とし、そして一方を検出可能
に標識化する。同じ抗原を認識できる他の抗体を固相に
固定化する。検体と標識化抗体及び固相化抗体を必要に
応じ順次反応させるためインキュベーション処理し、こ
こで非結合抗体を分離後、標識物を測定する。測定され
た標識の量は抗原の量と比例する。このアッセイでは、
不溶化抗体や、標識化抗体の添加の順序に応じて同時サ
ンドイッチ型アッセイ、フォワード(forward)サンドイ
ッチ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型アッセイなど
と呼ばれる。例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるいは抗
原の予備抽出等は、特定の状況のもとでそれら測定工程
の中で適宜採用される。特定の試薬、緩衝液等の濃度、
温度あるいはインキュベーション処理時間などのその他
の測定条件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性質等
の要素に従い変えることができる。当業者は通常の実験
法を用いながら各測定に対して有効な最適の条件を適宜
選定して測定を行うことが出来る。
【0070】抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−
アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材
料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリ
レート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ス
チレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタ
クリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタ
クリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲ
ン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロ
ース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または
変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機
高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたも
の、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリ
ング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられ
る。さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、例えば試
験管、タイタープレート、タイターウェル、ガラスセ
ル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、ガラ
ス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは
細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは
偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質
(物体)の表面などが挙げられる。
【0071】これら担体へは、抗体を結合させることが
でき、好ましくは本発明で得られる抗原に対し特異的に
反応するモノクローナル抗体を結合させることができ
る。担体とこれら抗原抗体反応に関与するものとの結合
は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合剤などを用
いたり、活性化されたものなどを用いたりする化学的な
方法、さらには相互の化学的な結合反応を利用した手法
などにより行うことが出来る。標識としては、酵素、酵
素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素
前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッ
センス化合物、発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒
子、例えば金コロイドなど、放射性物質などを挙げるこ
とができる。酵素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸
化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキ
シル基、メチル基、アシル基、リン酸基などを転移する
のを触媒する転移酵素、例えばエステル結合、グリコシ
ド結合、エーテル結合、ペプチド結合などを加水分解す
る加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼな
どを挙げることができる。酵素は複数の酵素を複合的に
用いて検知に利用することもできる。例えば酵素的サイ
クリングを利用することもできる。
【0072】代表的な放射性物質の標識用同位体元素と
しては、[32P], [125I], [131I],[3H],[14 C],[35S] な
どが挙げられる。代表的な酵素標識としては、西洋ワサ
ビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β
-D- ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、マレエ
ート・デヒドロゲナーゼ、グルコース-6- フォスフェー
ト・デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グル
コアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラー
ゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリ
ホスファターゼなどのアルカリフォスファターゼなどが
挙げられる。アルカリホスファターゼを用いた場合、4-
メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウンベリ
フェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなどのリ
ン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素的サイク
リング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン誘導体な
どの基質を使用したりして、生ずる蛍光、発光などによ
り測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ系を利用
したりすることもできる。カタラーゼを用いた場合、過
酸化水素と反応して酸素を生成するので、その酸素を電
極などで検知することもできる。電極としてはガラス電
極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電極、高分
子膜電極などであることもできる。酵素標識は、ビオチ
ン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトアビジン)に
置き換えることも可能である。標識は、複数の異なった
種類の標識を使用することもできる。こうした場合、複
数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時
にあるいは別々に行うことを可能にすることもできる。
【0073】本発明においては、信号の形成に4-ヒドロ
キシフェニル酢酸、1,2-フェニレンジアミン、テトラメ
チルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、
ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニルガラク
トシドなどとβ-D- ガラクトシダーゼ、グルコース-6-
リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の組合わせも
利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾキノン、ヒ
ドロキシアントラキノンなどのキノール化合物、リポ
酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェノール誘
導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働きで形成し
うるものが使用できる。蛍光物質あるいは化学ルミネッ
センス化合物としては、フルオレセインイソチオシアネ
ート、例えばローダミンBイソチオシアネート、テトラ
メチルローダミンイソチオシアネートなどのローダミン
誘導体、ダンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フル
オレスカミン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム
塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどの
ルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類
キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。標
識するには、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジ
ルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアル
デヒド基の反応などを利用して行うことができ、公知の
方法あるいは当該分野の当業者が容易になしうる方法、
さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜選択して適
用できる。また上記免疫原性複合体作製に使用されるこ
とのできる縮合剤、担体との結合に使用されることので
きる縮合剤などを用いることができる。
【0074】縮合剤としては、例えばホルムアルデヒ
ド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'- ポ
リメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'- エチレンビ
スマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジル
スクシネート、ビスジアゾベンジジン、1-エチル-3-(3-
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイ
ミジル 3-(2- ピリジルジチオ)プロピオネート(SPD
P)、N-スクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シ
クロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)、N-スルホス
クシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキ
サン-1- カルボキシレート、N-スクシンイミジル (4-
ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N-スクシンイミ
ジル 4-(1-マレイミドフェニル)ブチレート、 N-(ε
−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMC
S), イミノチオラン、S-アセチルメルカプトコハク酸無
水物、メチル-3-(4'- ジチオピリジル)プロピオンイミ
デート、メチル-4- メルカプトブチリルイミデート、メ
チル-3- メルカプトプロピオンイミデート、N-スクシン
イミジル-S- アセチルメルカプトアセテートなどが挙げ
られる。
【0075】本発明の測定法によれば、測定すべき物質
を酵素などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗
体試薬と、担体に結合された抗体とを順次反応させるこ
とができるし、同時に反応させることもできる。試薬を
加える順序は選ばれた担体系の型により異なる。感作さ
れたプラスチックなどのビーズを用いた場合には、酵素
などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗体試薬
を測定すべき物質を含む検体試料と共に最初適当な試験
管中に一緒に入れ、その後該感作されたプラスチックな
どのビーズを加えることにより測定を行うことができ
る。本発明の定量法においては、免疫学的測定法が用い
られるが、その際の固相担体としては、抗体などタンパ
ク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカーボネイト
製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製のボール、
マイクロプレート、スティック、微粒子あるいは試験管
などの種々の材料および形態を任意に選択し、使用する
ことができる。測定にあたっては至適pH、例えばpH約4
〜約9に保つように適当な緩衝液系中で行うことができ
る。特に適切な緩衝剤としては、例えばアセテート緩衝
剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェート緩衝剤、トリス
緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝
剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリス−塩酸緩衝
剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合
して用いることができる。抗原抗体反応は約0℃〜約60
℃の間の温度で行うことが好ましい。酵素などで標識さ
れたモノクローナル抗体などの抗体試薬及び担体に結合
せしめられた抗体試薬、さらには測定すべき物質のイン
キュベーション処理は、平衡に達するまで行うことがで
きるが、抗原抗体反応の平衡が達成されるよりもずっと
早い時点で固相と液相とを分離して限定されたインキュ
ベーション処理の後に反応を止めることができ、液相又
は固相のいずれかにおける酵素などの標識の存在の程度
を測ることができる。測定操作は、自動化された測定装
置を用いて行うことが可能であり、ルミネセンス・ディ
テクター、ホト・ディテクターなどを使用して基質が酵
素の作用で変換されて生ずる表示シグナルを検知して測
定することもできる。
【0076】抗原抗体反応においては、それぞれ用いら
れる試薬、測定すべき物質、さらには酵素などの標識を
安定化したり、抗原抗体反応自体を安定化するように適
切な手段を講ずることができる。さらに、非特異的な反
応を除去し、阻害的に働く影響を減らしたり、あるいは
測定反応を活性化したりするため、タンパク質、安定化
剤、界面活性化剤、キレート化剤などをインキュベーシ
ョン溶液中に加えることもできる。キレート化剤として
は、エチレンジアミン四酢酸塩 (EDTA) がより好まし
い。当該分野で普通に採用されていたりあるいは当業者
に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブロッキング
処理を施してもよく、例えば、哺乳動物などの正常血清
タンパク質、アルブミン、スキムミルク、乳発酵物質、
コラーゲン、ゼラチンなどで処理することができる。非
特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それらの方法は
特に限定されず用いることが出来る。本発明の測定方法
で測定される試料としては、あらゆる形態の溶液やコロ
イド溶液、非流体試料などが使用しうるが、好ましくは
生物由来の試料、例えば胸腺、睾丸、腸、腎臓、脳、乳
癌、卵巣癌、結腸・直腸癌、血液、血清、血漿、関節
液、脳脊髄液、唾液、羊水、尿、その他の体液、細胞培
養液、組織培養液、組織ホモジュネート、生検試料、組
織、細胞などが挙げられる。これら個々の免疫学的測定
法を含めた各種の分析・定量法を本発明の測定方法に適
用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要
とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作
法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本発明の当該
対象物質あるいはそれと実質的に同等な活性を有する物
質に関連した測定系を構築すればよい。
【0077】これらの一般的な技術手段の詳細について
は、総説、成書などを参照することができる〔例えば、
入江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和
49年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,
講談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定
法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素
免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石
川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書
院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.), "Met
hods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techn
iques, Part A),Academic Press, New York (1980); J.
J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymology",
Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), Acade
mic Press, New York (1981); J. J. Langone et al.
(ed.), "Methods in Enzymology",Vol. 74 (Immunochem
ical Techniques, Part C), Academic Press, New York
(1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in E
nzymology", Vol. 84 (Immunochemical Techniques, Pa
rt D: Selected Immunoassays), Academic Press,New Y
ork (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods i
n Enzymology", Vol. 92 (Immunochemical Techniques,
Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoa
ssay Methods), Academic Press, New York (1983); J.
J. Langoneet al. (ed.), "Methods in Enzymology",
Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybri
doma Technology and Monoclonal Antibodies), Academ
ic Press, New York (1986); J. J. Langone et al. (e
d.), "Methods in Enzymology", Vol. 178 (Antibodie
s, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic Pres
s, New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "Meth
ods in Enzymology", Vol. 184 (Avidin-Biotin Techno
logy), Academic Press, New York (1990); J.J. Lango
ne et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 203
(Molecular Design and Modeling: Concepts and Appl
ications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucleic
Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic Pres
s, New York (1991) などあるいはそこで引用された文
献 (それらの中にある記載はそれを参照することにより
本明細書の開示に含められる) 〕。
【0078】本発明の抗特定ドメイン抗体、特にモノク
ローナル抗体を用いて、エピトープマッピングを行うこ
ともでき、各エピトープを認識する抗体を用いれば所定
のCTGFあるいはVEGFドメイン領域及びその関連ペプチド
断片などの検知・測定を行うことができる。CTGFあるい
はVEGFの該複合体形成に関与するドメイン及びその関連
ペプチド断片に対する抗体は、VEGF-CTGF 複合体形成及
びその崩壊(又は分解)に関連する現象の検出及び/又
は測定、さらにはVEGF活性化発現により生ずる各種の生
理活性物質の検出及び/又は測定に有用である。該抗
体、特にモノクローナル抗体は、(i) VEGF-CTGF 複合体
形成及びその崩壊が関連する障害、異常及び/又は疾患
を検出したり、(ii) VEGF-CTGF複合体形成及びその崩壊
が引き起こす細胞の腫瘍化、血管新生、細胞の移動、浸
潤、遊走及び/又は転移あるいはその可能性を検出した
り、及び/又は(iii) 細胞の腫瘍化、腫瘍細胞、血液系
細胞などの血管新生、細胞の移動、浸潤、遊走及び/又
は転移あるいはその可能性を検出するのに有用である。
癌の移動性、浸潤性、走化性及び/又は転移性の程度を
知るのに使用できると期待される。CTGFに対する抗体
(抗CTGF抗体)は、VEGF-CTGF 複合体の形成を阻害する
活性を有するものであることができ、血管新生促進又は
活性化剤として利用可能である。また、一方で、抗CTGF
抗体は、VEGF-CTGF 複合体のCTGFを分解する活性を阻害
するものであることができ、血管新生阻害剤として期待
できる。そのような抗CTGF抗体としては、 VEGF-CTGF
複合体のCTGFに結合するもの、 CTGF を分解する活性
を有するもの(MMPsなど)による分解を阻害するもの、
VEGF-CTGF複合体の血管新生阻害活性を保持するもの
のいずれかのものであれば、どのようなものであっても
良い。代表的な抗CTGF抗体としては、 MMPs による切
断部位を含むポリペプチドに対する抗体、 CTGF のAl
a180Tyr181、Arg182Leu183、Met1 93Ile194及び/又はCy
s198Leu199を含むポリペプチドに対する抗体などが挙げ
られる。VEGF-CTGF 複合体に対する抗体(抗VEGF-CTGF
複合体抗体)の代表的なものとしては、VEGFとCTGFの複
合体形成部位を抗原とし、VEGF-CTGF 複合体を認識する
抗体である。本発明では、CTGFが、VEGFの活性制御に関
与するとの知見を提供しており、VEGFによるCTGFを介し
た活性制御機構に関連する現象を検出及び/又は測定す
る手法、手段、さらにはそのための試薬を提供すること
を可能とし、該VEGF-CTGF 複合体形成及びその崩壊(又
は分解)が関連する障害、異常及び/又は疾患を検出及
び/又は測定したり、細胞の腫瘍化、血管新生、細胞の
移動、浸潤、遊走及び/又は転移あるいはその可能性を
検出したり、及び/又は、抗癌剤、癌転移阻害剤、血管
新生阻害剤、アルツハイマー治療剤、関節破壊治療剤、
消炎剤及び/又は免疫抑制剤の効果判定モニターとして
使用したりすることが可能となる。また、本発明では、
CTGFを介したVEGF活性化制御による生物的現象、生理的
現象などの検出及び/又は測定方法やそのための試薬が
提供できる。こうした中には、MMPs阻害剤などによるMM
P 活性を制御すること及びそのための試薬・化合物も含
まれる。
【0079】さらに、本発明では、CTGFの特定のドメイ
ン領域、例えばヒトCTGFのTSP-1 及びCOOH-terminal do
mains など、さらにVEGFの特定のドメイン領域、例えば
ヒトVEGFのエクソン7でコードされる領域から成る群か
ら選ばれたものに基づいて分子設計を施して、より安定
したVEGF-CTGF 模擬ペプチド複合体形成に有用な物質、
MMPsによるCTGFのVEGFへの結合部位のプロセッシング
(特には、CTGF分解を介したVEGFの活性化) を抑制ある
いは阻害する活性を有する物質を得るのに使用できる。
こうして得られる物質も本発明の思想の範囲内のもので
あるし、本発明の活性成分として扱うことができる。該
配列から特定の特徴部分を選択し、(i) そのうちの薬理
作用団をイソスターで置き換えることによりなされる
か、(ii) 構成アミノ酸残基の少なくとも1個をD体の
アミノ酸残基に置き換えるか、(iii)アミノ酸残基の側
鎖を修飾するか、(iv) 該配列に存在するアミノ酸残基
とは異なるアミノ酸残基を配置して連結するか、(v) 立
体構造を解析してmimic 体をデザインすることなど、当
該分野で採用される技術を駆使して行うことができる
(例えば、首藤 紘一 編 医薬品の開発7巻(分子設
計)、平成2年6月25日発行、株式会社廣川書店及びそ
こで引用している文献や論文など) 。そうした技術の一
部は、上記で説明したものを含んでいる。
【0080】本発明の活性成分は、MMPsによるVEGF-CTG
F 複合体のプロセッシングを抑制あるいは阻害したり、
VEGF-CTGF 複合体あるいはそれに類似した結合体を形成
したり、VEGFがそのレセプターに結合するのを抑制ある
いは阻害したりするのに有用と期待される。また、該活
性成分は、CTGFとVEGFとの相互作用が関与する血管新生
機構に作用するものとして期待でき、CTGFとVEGFとの相
互作用が関与する血管新生が関連する障害、異常及び/
又は疾患の予防あるいは治療に有用である。また、CTGF
とVEGFとの相互作用あるいはMMPsが関与する腫瘍細胞な
どの移動、浸潤、遊走及び/又は転移の制御、例えば抑
制に有用であると期待される。CTGF変異体及びそのTSP-
1 及びCOOH-terminal domains ドメイン関連ペプチド
は、悪性腫瘍、すなわち癌の移動、浸潤及び/又は転移
の阻止及び/又は抑制するのに有用で、血管新生阻害
剤、抗腫瘍剤及び/又は癌転移抑制剤として期待でき
る。また、血液系細胞の、VEGFやMMPsによるプロセッシ
ングに関連する障害、異常及び/又は疾患の予防あるい
は治療にも有用で、消炎剤及び/又は免疫抑制剤として
も期待できる。本発明の活性成分は、VEGF-CTGF 複合体
を安定化するのを高める働きを持つものであることもで
きる。該成分は、VEGF-CTGF 複合体形成に関連した生理
学的反応及び/又は生物学的反応を促進するものである
こともできる。
【0081】本発明の活性成分は、CTGFとVEGFとの相互
作用が関与し、MMPsを介したVEGF-CTGF 複合体の中のCT
GF分解などといった生物学的活性を抑制及び/又は阻害
する作用をもつものであれば特に限定されないが、好ま
しくは有利な作用を持つものが挙げられる。該活性成分
は、例えば、(a) CTGF変異タンパク質、その一部のペプ
チドまたはそれらの塩、CTGFのTSP-1 及びCOOH-termina
l domains ドメインタンパク質、その一部のペプチドま
たはそれらの塩、その変異体、類縁体、誘導体等、(b)
該CTGF変異体あるいはCTGFのTSP-1 及びCOOH-terminal
domains ドメイン領域をコードするDNA などの核酸等、
(c) 本発明の抗体、その一部断片(モノクローナル抗体
を包含する) またはその誘導体、(d) CTGFとVEGFとの複
合体形成及びその破壊作用といった生物学的活性を抑制
及び/又は阻害する化合物またはその塩などが包含され
る。また、本発明の活性成分は、VEGF-CTGF 複合体の形
成を抑制及び/又は阻害するものであることもできる。
該活性成分は、例えばVEGFのエクソン7コード領域ペプ
チド、その一部のペプチド又はそれらの塩、あるいはそ
の変異体、類縁体、誘導体などが包含される。
【0082】本発明の活性成分〔例えば、(a) CTGFタン
パク質、CTGFのTSP-1 領域ポリペプチド、CTGFのCOOH-t
erminal domains 領域ポリペプチド、その一部のペプチ
ドまたはそれらの塩、あるいはその変異体、類縁体、誘
導体等、(b) 該CTGFのTSP-1領域あるいはCTGFのCOOH-te
rminal domains 領域などをコードするDNAなどの核酸
等、(c) 本発明の抗体、その一部断片(モノクローナル
抗体を包含する) またはその誘導体、(d) VEGF-CTGF 複
合体の形成阻害といった生物学的活性を抑制及び/又は
阻害する化合物またはその塩、あるいはVEGF-CTGF 複合
体のCTGFを分解する活性を抑制及び/又は阻害する化合
物またはその塩等、(e) VEGFのエクソン7コード領域ペ
プチド、その一部のペプチド又はそれらの塩、あるいは
その変異体、類縁体、誘導体等〕を医薬として用いる場
合、それらは、通常単独或いは薬理的に許容される各種
製剤補助剤と混合して、医薬組成物又は医薬調製物など
として投与することができる。好ましくは、経口投与、
局所投与、または非経口投与等の使用に適した製剤調製
物の形態で投与され、目的に応じていずれの投与形態
(吸入法、あるいは直腸投与も包含される)によっても
よい。また、本発明の活性成分は、抗腫瘍剤及び/又は
腫瘍移転阻害剤と配合して使用することもできる。抗腫
瘍剤や腫瘍移転阻害剤としては、有利な働きを持つもの
であれば制限なく使用でき、例えば当該分野で知られた
ものの中から選択することができる。
【0083】そして、非経口的な投与形態としては、局
所、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内
投与を包含し得るが、患部への直接投与も可能であり、
またある場合には好適でもある。好ましくはヒトを含む
哺乳動物に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、
組織内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔
内、脊髄腔内、点滴法、注腸、経直腸、点耳、点眼や点
鼻、歯、皮膚や粘膜への塗布など)に投与することがで
きる。具体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、
分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製
剤などが挙げられ、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施
した剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル
剤、マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒
剤、細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョ
ン剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニ
メント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、
吸入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ
剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸
坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳
剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、
凍結乾燥製剤、ゲル調整品等が挙げられる。
【0084】医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤
化することができる。例えば、適宜必要に応じて、生理
学的に認められる担体、医薬として許容される担体、ア
ジュバント剤、賦形剤、補形剤、希釈剤、香味剤、香
料、甘味剤、ベヒクル、防腐剤、安定化剤、結合剤、p
H調節剤、緩衝剤、界面活性剤、基剤、溶剤、充填剤、
増量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸
濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、
粘着剤、弾性剤、可塑剤、崩壊剤、噴射剤、保存剤、抗
酸化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止剤、無痛化
剤などを単独もしくは組合わせて用い、それとともに本
発明のタンパク質等を混和することによって、一般に認
められた製剤実施に要求される単位用量形態にして製造
することができる。非経口的使用に適した製剤として
は、活性成分と、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し
得る媒体との無菌性溶液、または懸濁液剤など、例えば
注射剤等が挙げられる。一般的には、水、食塩水、デキ
ストロース水溶液、その他関連した糖の溶液、エタノー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールな
どのグリコール類が好ましい注射剤用液体担体として挙
げられる。注射剤を調製する際は、蒸留水、リンゲル
液、生理食塩水のような担体、適当な分散化剤または湿
化剤及び懸濁化剤などを使用して当該分野で知られた方
法で、溶液、懸濁液、エマルジョンのごとき注射しうる
形に調製する。
【0085】注射用の水性液としては、例えば生理食塩
水、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D-ソルビトー
ル、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張
液などが挙げられ、薬理的に許容される適当な溶解補助
剤、たとえばアルコール(たとえばエタノールなど)、
ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(た
とえばポリソルベート80 TM, HCO-50など)などと併用
してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙げ
られ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルア
ルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例え
ば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)又は
浸透圧調節のための試薬、無痛化剤(例えば、塩化ベン
ザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例え
ば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールな
ど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノー
ルなど)、アスコルビン酸などの酸化防止剤、吸収促進
剤などと配合してもよい。調整された注射液は通常、適
当なアンプルに充填される。
【0086】非経口投与には、界面活性剤及びその他の
薬学的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えず
に、水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容
される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化され
る。製剤に使用される油性ベヒクルあるいは溶剤として
は、天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジ
あるいはトリグリセリド類、天然、半合成あるいは合成
の油脂類あるいは脂肪酸類が挙げられ、例えばピーナッ
ツ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が
挙げられる。例えば、この注射剤は、通常本発明化合物
を0.1 〜10重量%程度含有するように調製されることが
できる。局所的、例えば口腔、又は直腸的使用に適した
製剤としては、例えば洗口剤、歯磨き剤、口腔噴霧剤、
吸入剤、軟膏剤、歯科充填剤、歯科コーティング剤、歯
科ペースト剤、坐剤等が挙げられる。洗口剤、その他歯
科用剤としては、薬理的に許容される担体を用いて慣用
の方法により調製される。口腔噴霧剤、吸入剤として
は、本発明化合物自体又は薬理的に許容される不活性担
体とともにエアゾール又はネブライザー用の溶液に溶解
させるかあるいは、吸入用微粉末として歯などへ投与で
きる。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基
剤(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴ
ール400 、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の
方法により調製される。
【0087】歯、皮膚への局所塗布用の薬品は、適切に
殺菌した水または非水賦形剤の溶液または懸濁液に調剤
することができる。添加剤としては、例えば亜硫酸水素
ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムのような緩衝
剤;酢酸または硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウ
ムまたはクロロヘキシジンのような殺菌および抗真菌剤
を含む防腐剤およびヒプロメルローズのような濃厚剤が
挙げられる。坐剤は、当該分野において周知の担体、好
ましくは非刺激性の適当な補形剤、例えばポリエチレン
グリコール類、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセ
ライド等の、好ましくは常温では固体であるが腸管の温
度では液体で直腸内で融解し薬物を放出するものなどを
使用して、慣用の方法により調製されるが、通常本発明
化合物を0.1 〜95重量%程度含有するように調製され
る。使用する賦形剤および濃度によって薬品は、賦形剤
に懸濁させるかまたは溶解させることができる。局部麻
酔剤、防腐剤および緩衝剤のような補助薬は、賦形剤に
溶解可能である。経口的使用に適した製剤としては、例
えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トロー
チのような固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤の
ような液状組成物等が挙げられる。製剤調製する際は、
当該分野で知られた製剤補助剤などを用いる。錠剤及び
丸剤はさらにエンテリックコーティングされて製造され
ることもできる。調剤単位形態がカプセルである場合に
は、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を
含有することができる。
【0088】さらに、本発明のDNA などの核酸を上記し
たような治療及び/又は予防剤として用いる場合、該核
酸はそれを単独で用いることもできるし、あるいは上記
したような遺伝子組換え技術で使用される適当なベクタ
ー、例えばレトロウイルス由来ベクターなどウイルス由
来のベクターなどに結合させるなどして用いることがで
きる。本発明のDNA などの核酸は通常の知られた方法で
投与でき、そのままで、あるいは、例えば細胞内への摂
取が促進されるように、適当な補助剤あるいは生理的に
許容される担体などと共に、製剤化されて用いることが
でき、上記したような、医薬組成物又は医薬調製物など
として投与することができる。また遺伝子治療として知
られた方法を適用することもできる。本発明の活性成分
は、その投与量を広範囲にわたって選択して投与できる
が、その投与量及び投与回数などは、処置患者の性別、
年齢、体重、一般的健康状態、食事、投与時間、投与方
法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療
を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその
他の要因を考慮して決められる。
【0089】医薬品製造にあたっては、その添加剤等や
調製法などは、例えば日本薬局方解説書編集委員会編、
第十三改正 日本薬局方解説書、平成8年7月10日発
行、株式会社廣川書店;一番ヶ瀬 尚 他編 医薬品の
開発12巻(製剤素剤〔I〕)、平成2年10月15日発行、
株式会社廣川書店;同、医薬品の開発12巻(製剤素材
〔II〕)平成2年10月28日発行、株式会社廣川書店など
の記載を参考にしてそれらのうちから必要に応じて適宜
選択して適用することができる。明細書及び図面におい
て、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical No
menclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的
に使用される用語の意味に基づくものである。代表的な
用語の意味を以下に示す。 bp: base pair(s); PCR: polymerase chain reaction SDS: sodium dodecyl sulfate; ヌクレオチド配列に関しては: A:アデニン残基 G:グアニン残基 C:シトシン残基 T:チミン残基
【0090】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具
体的な態様の参考のために提供されているものである。
これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明する
ためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定
したり、あるいは制限することを表すものではない。本
発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可
能であることは理解されるべきである。全ての実施例
は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用
いて実施したもの、又は実施することのできるものであ
り、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。以
下の実施例における通常慣用される分子生物学的技術と
しては、標準的な実験マニュアル、例えば J. Sambroo
k, E. F. Fritsch & T. Maniatis, Molecular Cloning:
A Laboratory Manual (2nd edition), Cold SpringHar
bor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York
(1989) 及び D. M.Glover et al. (ed.), "DNA Clonin
g", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical Approach
Series), IRL Press, Oxford University Press (1995)
などに記載されるように実施できる。また市販の試薬
あるいはキットを用いている場合はそれらに添付の指示
書(protocols) や添付の薬品等を使用している。
【0091】実施例1 A. 実験方法 (1) 酵母two-hybrid system MATCHMAKER Two-Hybrid System 2及びHuman Chodrocyte
MATCHMAKER cDNAライブラリーはClontech (Tokyo, Jap
an) より購入した。次の2 種のプライマーの組合せ、す
なわち、 5'-GGAATTCGCACCCATGGCAGAAGGA-3' 〔配列番号:1〕 及び 5'-ACGCGTCGACCTCACCGCCTCGGCTTGTCAC-3' 〔配列番号:2〕 を用いPCR で、軟骨細胞cDNAライブラリー(Human Chod
rocyte MATCHMAKER cDNAライブラリー, Clontech, Toky
o, Japan) からVEGF165 cDNAを増幅した。得られたVEGF
165 cDNAは、EcoR I及びSal I で切断しpAS2-lベクター
にクローニングした。YEASTMAKER(酵母形質転換システ
ム: MATCHMAKER Two-Hybrid System 2, Clontech, Toky
o, Japan) を用いて、Saccharomyces cerevisiae Y190
株に、得られたプラスミド: pAS2-1/VEGF165をヒト軟骨
cDNAライブラリー(HumanChodrocyte MATCHMAKER cDNA
ライブラリー, Clontech, Tokyo, Japan) と同時に導入
した。酵母形質転換細胞は、ロイシン、トリプトファン
及びヒスチジン欠損培地に播種し選択にかけた。直径2m
m 以上の活発なコロニーを選択し同じ寒天培地に再び播
種し、2 、3 日培養した。これをあと2 回繰り返した。
3 回目の播種終了後、β- ガラクトシダーゼ活性の測定
を行った。コロニーを濾紙上に拾い、凍結融解をして透
過可能性にした。濾紙はX-gal (5-bromo-4-chloro-3-in
dolyl-β-D-galactopyranoside) 反応液(0.8μM X-gal,
25 mM 2-mercaptoethenol, 60mM Na2HPO4, 40 mM NaH2
PO4 10 mM KCl, 1 mM MgSO4, pH 7.0) 中に浸漬した。
プラスミドはヒスチジン選択及びβ- ガラクトシダーゼ
測定の両方でポジティブな細胞より選択され、大腸菌HB
101 株に導入された。目的のcDNAを持つクローンはロイ
シン以外のアミノ酸を含むM9 minimal salt 寒天プレー
トに播種することにより同定された。 DNA配列の決定
は、MegaBase 1000 DNA sequencer (Amersham Pharmac
ia Biotech, Tokyo, Japan) を用いて行った。
【0092】(2) VEGF121, VEGF165, CTGFおよびCTGF
変異体の作成および発現 VEGF cDNA は軟骨cDNAライブラリー(Human Chodrocyte
MATCHMAKER cDNAライブラリー, Clontech, Tokyo, Jap
an) よりPCR で増幅して得た。その時使用したプライマ
ーは 5'-GGAATTCATGAACTTTCTGCTGTCTTGGGTGCA-3' 〔配列番号:3〕 及び 5'-ACGCGTCGACCCGCCTCGGCTTGTCAC-3' 〔配列番号:4〕 である。VEGF121 (400 bp) 及びVEGF165 (450 bp)をコ
ードするフラグメントをアガロースゲルから切り出し、
pCMVtag4a (Stratagene, La Jolla, Ca) にクローニン
グし、FALGを付加した発現ベクターを構築した。ヒトCT
GF及びその欠損変異体をコードするcDNAの増幅の概略図
を図1に示した。完全長のCTGFをコードするCTGF(I.II.
III.IV.)は軟骨cDNAライブラリー(Human Chodrocyte M
ATCHMAKER cDNAライブラリー, Clontech, Tokyo, Japa
n) からプライマー(a) 5'-GAGAATTCCATGACCGCCGCCAGTATGGGC-3' 〔配列番号:5〕 及びプライマー(b) 5'-ACGCGTCGACTGCCATGTCTCCGTA-3' 〔配列番号:6〕 をプライマーセットとしてPCR 増幅した。
【0093】TSP-1 及びC 末ドメインが欠損し、IGFBP
及びvWFCドメインから成るCTGF (I.II.)はプライマー
(a) 〔配列番号:5〕及びプライマー(c) 5'-ACGCGTCGACGTCACACACCCACTCCTCGC-3' 〔配列番号:7〕 をプライマーセットとして増幅した。C末ドメインを欠
損しているが、IGFBP, vWFC 及びTSP-1 ドメインを有す
るCTGF(I.II.III.) は、プライマー(a) 〔配列番号:
5〕及びプライマー(d) 5'-ACGCGTCGACTTCGCAAGGCCTGACCATGCA-3' 〔配列番号:8〕 をプライマーセットとして増幅した。CTGF (I.II.III.I
V.), CTGP (I.II.), CTGF (I.II.III.) に相当するそれ
ぞれのcDNA断片は、EcoR I及びSal I で切断し、pCMVta
g4a にクローニングし、それぞれpCMVtag4a/CTGF(I.II.
III.IV.)ベクター、pCMVtag4a/CTGF(I.II.) ベクター、
pCMVtag4a/CTGF(I.II.III.) ベクターとして得た。
【0094】CTGF (I.II.IV.) を構築するために、プラ
イマー(a) 〔配列番号:5〕及びプライマー(e) 5'-ACGCAAGCTTGTTGGCTCTAATCATAGTTGGGTCT-3' 〔配列番号:9〕 そして、プライマー(f) 5'-ACGCAAGCTTAATGTTCTCTTCCAGGTCAGC-3' 〔配列番号:10〕 及びプライマー(b) 〔配列番号:6〕の2 種類のプライ
マーの組合せを使用してTSP-1 ドメインを削除した。前
者のフラグメントはEcoR I及びHind IIIで切断し、先ず
pCMVtag4a にクローニングし、次にHind III及びSal I
で切断した後者のフラグメントを挿入して、pCMVtag4a/
CTGF(I.II.IV.)を作成した。組換タンパクを産生させる
ために、上記pCMVtag4a 構築物をカルシウムリン酸法で
293T株(不死化ヒト胎児腎細胞株) に導入した。細胞
は、0.2%ラクトアルブミン水解物及びITS-X (Gibco BR
L, Tokyo, Japan)を加えた無血清培地で培養し、3 日間
培養した培養上清を集めた。培養液は抗FLAG M2 アガロ
ースゲル(Sigma, Tokyo, Japan) の抗体アフィニティー
カラムにのせ、十分な洗浄の後、結合したタンパクを6M
尿素/50 mM Tris-HCl, pH 7.5, 3 MNaCl, 0.01% Brij 3
5で溶出した。溶出液は、4 ℃でPBS に対し透析した。
溶出したタンパクの純度はSDS-PAGE、銀染色によって確
認した。
【0095】(3) VEGF165/CTGF(I.II.III.IV.) 複合
体の免疫沈降 VEGF165 cDNAは、PCR で増幅しpCMVscript (Stratagen
e, La Jolla, CA) にクローニングし、pCMVscript/VEGF
165ベクターを作成した。293T細胞にpCMVscript/VEGF
165とpCMVtag4a/CTGF(I.II.III.IV.)をカルシウムリン
酸法で同時導入した。細胞は、0.2%ラクトアルブミン水
解物及びITS-X (Gibco BRL, Tokyo, Japan)を加えた無
血清培地で3 日間培養した。培養液1mL を2 μg のノー
マルマウスIgG 及びプロテインG セファロースで、4
℃、1 時間処理し、予めきれいにした後、50μL の抗FL
AG M2-アガロースアフィニティーゲル (50% v/v スラリ
ー) でもって、4 ℃、一晩反応させ免疫沈降させた。ゲ
ルは氷冷したTNE 緩衝液(10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 150
mM NaCI, 1 mMEDTA, 0.1% NP-40)で3 回洗浄した。沈
殿を6M尿素/TNE緩衝液で溶出し、過剰な塩はSephadex G
-25 (Amersham Pharmacia Biotech)のスピンカラムで除
いた。得られたものを、還元条件下12.5% ポリアクリル
アミドで電気泳動し、PVDF膜にブロットした。膜は3%BS
A/PBS でブロッキングし、ウサギ抗VEGFポリクローナル
抗体(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)また
はマウス抗FLAG M2 モノクローナル抗体(Sigma) と、室
温で90分間反応させた。 T-PBS (0.1% Tween-20 含有PB
S)で3 回洗浄後、ビオチン化2 次抗体と室温で30分間反
応させ、続いてストレプトアビジン/HRPと反応させた。
0.0006%過酸化水素及び0.02% 3,3'-diaminobenzidine/
PBS 中で反応させ、発色させた。
【0096】(4) 組換えタンパクの放射性ヨウ素化 精製した組み換えFLAG付加タンパクは、Iodogen(Pierc
e, Rockford, IL) を用いて放射ヨウ素した。簡単に説
明すると、1 〜2 μg の組み換えタンパクを200μCiのN
a125I (Amersham Pharmacia Bioitech)及びKI(終濃度
0.25μg/ml) と、Iodogen でコートした試験管内で氷上
5 分間反応させた。フリーの125Iを除去するために、反
応溶液をSephadex G-25 をつめたスピンカラムにのせ、
2500rpm で5 分間遠心した。放射比活性は1 x 106 〜1
x 107cpm/ μg protein であった。
【0097】(5) 固定化されたVEGF121 およびVEGF
165 へのCTGFおよびその変異体の結合 96穴マイクロタイタープレート(Immunomodule, NalgeNu
nc, Rochester, NY)を50μl の0.1%BSA 及びVEGF121
たはVEGF165 (それぞれウェルあたり500ng)でもって、
4 ℃、一晩コートした。プレートをPBS-B(0.025% Brij
35含有PBS)で3回洗浄後、1%BSA/PBS でもって室温、2
時間ブロックキングした。その後、10ngの125I標識CTGF
(I.II.III.IV.), 125I標識CTGF(I.II), 125I標識CTGF
(I.II.III.) または125I標識CTGF(I.II.IV.)(l〜5 x 10
5 cpm/well) をそれぞれのウェルに加え、4 ℃、一晩反
応させた。プレートはPBS-B で3 回洗浄後、結合したタ
ンパクを0.1N NaOH で可溶化した。放射活性はγ- カウ
ンター(Aloka, Tokyo, Japan) で測定した。全ての実験
はN=3 で実施した。値は添加量に対する結合した活性の
比率(%) で示した[bound/(bound + free)]。 VEGF165
対するCTGFの競合結合の分析のため、各種濃度の非標識
CTGF(I.II.III.IV.) (0, 10, 20, 100 ng/ml, 1, 2また
は10μg/ml) の存在下に、10ngの125I標識CTGF(I.II.II
I.IV.)を固相化したVEGF165 と結合させるようにした。
放射活性は上記のごとく測定した。陰性コントロールと
して、非標識競合物質の代わりに各種濃度のBSA を用い
た。全ての実験はN=3 で実施した。値は、競合物質がな
い時の活性に対する比率で示した。
【0098】(6) 細胞に基づく結合分析 ヒト臍静脈内皮細胞(human umbilical endothelial cel
ls, HUVEC)を24穴プレートに播種し、コンフルエントに
なるまで培養した。プレートを無血清培地で2回洗浄
後、125I標識VEGF121 または125I標識VEGF165 を各種濃
度のCTGF(I.II.III.IV.)、CTGF(I.II.III.) またはCTGF
(I.II.IV.) (0, 10, 100または1000 ng/ml) と一緒に該
細胞に加え、室温で、2 時間インキュベーションした。
次に細胞をPBS で3 回洗浄後、0.2N NaOH で可溶化し、
放射活性をγ- カウンターで測定した。
【0099】(7) CTGF存在下のKDR/IgG Fc及び Flt-1
/IgG Fc へのVEGFの結合 96穴マイクロタイタープレートをKDR/IgG FcまたはFlt-
1/IgG Fc (150ng/well)(R&D systems, Minneapolis, M
N) で、4 ℃で一晩コーティングした。 PBS-Bで3 回洗
浄後、1%BSA でもって室温で2 時間ブロックキングし
た。プレートは各種濃度のCTGF(I.II.III.IV.)、 CTGF
(I.II.III) またはCTGF(I.II.IV.) (0, 10, 100, 1000
または2000 ng/ml) 存在下に、125I-VEGF121または125I
-VEGF165と共に4 ℃で一晩インキュベーションした。 P
BS-Bで3 回洗浄後、結合タンパクを0.1NNaOH で可溶化
し、放射活性をγ- カウンターで測定した。
【0100】(8) 管腔形成分析 I 型コラーゲンゲル内でのウシ大動脈内皮細胞(BAEC)を
用いた管腔形成試験はKanayasuらの方法(Biochem. Bio
phys. Res. Commun., 159, 572-578 (1989))に従い実施
した。簡単に説明すると、I 型コラーゲン(3mg/ml) (Vi
trogen, Cohesion, Palo Alto, CA)、10倍濃度のM199及
び0.1N NaOH を、8:1:1 の割合で混合した。その混合液
500 μl を24穴培養プレートに加え、コラーゲン繊維形
成のために、37℃、1 時間静置した。 BAEC をトリプシ
ン処理し、コラーゲンゲル上に5x 104 cells/wellの濃
度で播種した。10% FBS を含むM199培地で一晩培養し
た。培養液を除去後、コラーゲン混合液500 μl を加
え、37℃、1 時間インキュベーションした。 VEGF121
たはVEGF165(R&D systems)を、1%FBS 含有M199で各種濃
度に調製したCTGF(I.II.III.IV.)液と混合し、4 ℃で一
晩インキュベーションした。次に、これらの物質を含む
培養液をコラーゲンゲル上に加え、3 日間培養した。 3
日目にそれぞれのウェルの写真を撮り、細胞の管腔の長
さを、NIH Imageを用いて異なる5 箇所(それぞれ0.25m
m2)について測定した。長さはmm/mm2で表した。実験は3
回実施し、同様の傾向が認められた。
【0101】(9) マウスにおけるマトリゲル投与モデ
ルを用いた in vivo 血管新生分析 マトリゲル投与モデルを用いたin vivo 脈管形成試験
は、Passaniti らの方法(Passaniti, A. et al., Lab.
Invest., 67, 519-528 (1992))で実施した。簡単に説明
すると、(1) VEGF165 (50 ng/ml)及び (2) CTGF(I.II.I
II.IV.)(100 又は1000 ng/ml) またはCTGF(I.II.III.I
V.)( 100 又は 1000 ng/ml)と結合させたVEGF165 (50 n
g/ml)と混合したマトリゲル(Collabolative Biomedical
Products,Bedford, MA)500 μl を、C57BL/6 マウスの
腹部中線に皮下注射した。マトリゲルplugs は、注射5
日後に取り出し、 periodate-lysine-paraformaldehyde
で固定し、パラフィン包埋した。組織切片は抗vWF 抗体
(DAKO, Glostrup, Denmark)で染色した。カウンター染
色はヘマトキシリンで実施した。連続切片も、ヘマトキ
シリンとエオジンで染色した。
【0102】(10) 統計解析 測定値はMean±SDで示した。管腔形成試験では、データ
はKruskal-Wallis test で分析した。その後、2 群の差
を比較するときは、Dunn procedureを用いた。P<0.05を
有意とした。
【0103】B. 結果 (1) 酵母Two-Hybrid System によるVEGF165 と相互作
用するタンパク質のスクリーニング VEGF165 と相互作用するタンパクを同定するため、餌と
してVEGF165 を用いた酵母two-hybrid system により1
×106 個のヒト軟骨細胞cDNAライブラリーをスクリーニ
ングした。栄養要求性およびβガラクトシダーゼ活性に
基づき、137 個のクローンを単離した。これらのクロー
ンはDNA シークエンスに供し、120 個のクローンが良好
にシークエンスされた。それらのうち6クローンがヒト
CTGFとして同定された。
【0104】(2) 免疫沈降 VEGF165 とCTGFとの相互作用をまず免疫沈降法により試
験した。293T細胞にpCMVscript/VEGF165および pCMVtag
4a/CTGF(I.II.III.IV.) を共に形質導入した。FLAG-tag
ged CTGFは抗FLAG M2 アガロースアフィニティーゲルを
用い培養液から免疫沈降させた。沈殿は、電気泳動、PV
DF膜へ転写後、抗FLAG M2 抗体或いは抗VEGF抗体でブロ
ットした。図2に示すように、CTGFおよびその糖修飾体
が抗FLAG抗体により検出された(レーン 2) 。VEGF165
およびその糖修飾体は抗VEGF抗体により検出された(レ
ーン 3) 。CTGFおよびVEGF165 の上のバンドの糖修飾は
N-glycosidase F による糖鎖除去により、それらのバン
ドをより低い分子量のバンドに移行せしめるという発見
により示された。他方、pCMVscript/VEGF165のみを形質
導入した細胞培養液を抗FLAGアフィニティーゲルで免疫
沈降した時、VEGF165は抗VEGF抗体で検出できなかった
(図2、レーン 1) 。
【0105】(3) 固定化VEGF165 へのCTGFの結合 Full-length CTGF(I.II.III.IV.)のVEGF165 への結合能
もまた固相結合分析により試験した。図3に示すよう
に、VEGF165 結合ウエル上の125I標識CTGFの放射活性が
BSA 結合ウエルに比べ非常に高く残っていた(7.6±0.45
% 及び 0.9±0.05%; mean ± SD)。VEGF165 上へのCTGF
の特異結合は競合結合法により確認した。VEGF165 結合
ウエル上の125I標識CTGF(I.II.III.IV.)の結合を非標識
CTGF (I.II.III.IV.) の濃度を増加させて存在させ試験
すると、その結合は、濃度依存的に抑制された。最大の
競合の半分は1 μg/mlで達成され、10μg/mlで完全な競
合が起こった。一方、10μg/ml以上のBSA はその結合に
影響を与えなかった(図4)。Scatchard 分析は、full-
length CTGFが、Kd値0.26×10-6 (26 nM)で、VEGF16 5
と結合することを示した。
【0106】(4) VEGFと結合するCTGFドメインの同定 VEGFと結合するCTGFドメインを同定するため、full-len
gth CTGFおよび欠損CTGFと、VEGF121 およびVEGF165
の相互作用を試験した。図5に示すように、full-lengt
h 125I-CTGF(I.II.III.IV.) は、VEGF165 と結合し、VE
GF121 と低い効率で結合した。対照的に、125I-CTGF(I.
II.)は、VEGF165 或いはVEGF121 と結合せず(図6) 、
IGFBP 或いはvWFCではなく3番目のTSP-1 ドメイン及び
/又は4番目のCOOH末端ドメインがVEGFとの結合に関与
していることを示している。一方、125I-CTGF(I.II.II
I.)は、VEGF165 とのみ結合し(図7) 、125I-CTGF(I.I
I.IV.) は、VEGF165 およびVEGF121 の両方と結合した
(図8) 。
【0107】(5) HUVEC 細胞および組換えVEGF受容体
タンパク質へのVEGFの結合に及ぼすCTGFの作用 HUVEC 細胞を125I標識VEGF165 およびVEGF121 と共に培
養すると、それぞれ加えた量の約20%および2 %がその
細胞に結合した(図9) 。VEGF165 の結合はCTGF(I.II.
III.IV.)により、最大結合能の30%のレベルまで特異的
に阻害された。ところが、そのCTGFは、VEGF121 の結合
に影響を与えなかった(図9) 。また、HUVEC 細胞に結
合するVEGF165 は、full-length CTGFと同様なパターン
で、COOH末端ドメインを欠損するCTGF(I.II.III.) によ
り阻害された。しかし、TSP-1 ドメインを欠くCTGF(I.I
I.IV.)では明確な阻害が観察されなかった。CTGFは、HU
VEC 細胞へのVEGF165 の結合を阻害している。そこで、
さらにVEGFR-1 や VEGFR-2に対するVEGF165 の結合に及
ぼすCTGF(I.II.III.IV.)の作用を検討した。図10に示す
ように、CTGFは、固定化されたKDR/IgG Fc (組換え体 V
EGFR-2) へのVEGF165 の結合を全結合の30%まで弱め
た。しかし、VEGF121 の結合は、 2μg/mlといった高い
濃度のCTGFでさえ影響を受けなかった。対照的にCTGF
(I.II.III.IV.)は、固定化したFlt-1/IgG Fc (組換え体
タンパクVEGFR-1)へのVEGF 121 およびVEGF165 の両方の
結合には何らの作用も示さなかった(図11) 。
【0108】(6) ウシ大動脈内皮細胞(BAEC) のVEGF
誘導管腔形成に及ぼすCTGFおよびその欠損変異体の作用 VEGFへのCTGFの結合に関する生物学的作用を in vitro
管腔形成分析により調べた。BAEC細胞をfull-length CT
GF(I.II.III.IV.)の濃度を増加させながら二層のI 型コ
ラーゲンゲルの間で培養すると(図12A)、明白であるが
顕著でない管腔形成が観察された。図12B に示すよう
に、100 ng/ml 以上の濃度のCTGFはネガティブコントロ
ールに比べ有意(〜2.5 倍) に管腔形成を促進した。そ
のデータは本明細書において記載する研究で調製した組
換え体CTGFが生物学的に活性を有し、その実験における
生物学的分析に適していることを示している。一方、 V
EGF1 21(40 ng/ml) は対照に比べ5倍管腔形成を著しく
促進した。そして、促進された管腔形成は、500 および
1000 ng/mlの高濃度でCTGFにより最大効果の〜50%まで
有意に阻害された(図13A およびB)。BAEC細胞の管腔形
成はまた40 ng/mlのVEGF121 と同レベルまで20 ng/ml V
EGF165で促進された(図14) 。しかしながら、VEGF121
と異なり、VEGF165 の促進効果は、比較的低濃度のCTGF
により著しく阻害された。たとえ、10および20ng/ml CT
GF(I.III.III.IV.) でも、VEGF165 依存管腔形成を〜5
0%阻害することが出来た(図14A およびB)。100 ng/m
l 以上のCTGF濃度は、VEGF165 依存管腔形成の阻害効果
を逆転する傾向がある(図14) 。
【0109】VEGF依存血管新生の阻害に関連するCTGFの
ドメインを同定するため、2 つの欠損変異体CTGF、すな
わち、CTGF(I.II.III.) およびCTGF(I.II.IV.)の効果を
管腔形成分析により試験した。図15A に示すように、CT
GF(I.II.III.) は管腔形成を促進しないし、VEGF121
存血管新生を促進しなかった。しかしながら、対照的
に、VEGF165 依存管腔形成はCTGF(I.II.III.) の存在下
に顕著に阻害された。そして、CTGF(I.II.III.) の阻害
における逆転効果は観察されなかった(図15A)。CTGF
(I.II.IV.)は、full-length CTGF(I.II.III.IV.)と類似
したパターンで管腔形成を促進し、500 および1000 ng/
mlの濃度で統計学的有意差を示した(図15B)。Full len
gth CTGF(I.II.III.IV.)および CTGF(I.II.III.)と異な
り、CTGF(I.II.IV.)は、低濃度でのVEGF165 依存管腔形
成を阻害しなかった。しかし、1μg/mlの高濃度ではVE
GF121 およびVEGF165 依存血管新生を有意に阻害した。
【0110】(7) In vivo での血管新生に及ぼすCTGF
(I.II.III.IV.)の影響 In vivo でのVEGF165 誘導血管新生に及ぼすCTGF(I.II.
III.IV.)の阻害効果をマウスへのマトリゲル投与モデル
を用い評価した。図16に示すように、VEGF165は、vWF
陽性細胞の移動(図16B)およびその plugsにおける血管
形成(図16F)を著しく促進した(103±22 blood vessels
/mm2) 。一方、CTGF(I.II.III.IV.)の血管形成効果は、
1000 ng/mlの高濃度でさえも弱かった (31±16 blood v
essels/mm2) 。VEGF165 誘導血管新生は100 ng/mlCTGF
(I.II.III.IV.) の添加により最大活性の30 %に阻害さ
れた。これらのデータは、in vivo でのVEGF165 誘導血
管新生に対して、CTGF(I.II.III.IV.)の抗血管新生効果
を示している。
【0111】以上の結果より、以下のような考察が可能
である。COOH末端ドメインを欠如するCTGF(I.II.III.)
が、VEGF121 を介した血管新生に影響を与えることな
く、VEGF165 誘導血管新生の特異的阻害を示すことよ
り、CTGFのTSP-1 ドメインとVEGF165 のエクソン7がコ
ードする領域との相互作用がVEGF165 へのCTGFの抗血管
新生効果を惹き起こすと考えるのは合理的である。この
複合体形成は、例えば、VEGFR-2 および/ 或いはその c
o-receptor, 例えば NRP-1のような主要な受容体へのVE
GF165 の直接的な結合を妨害するかもしれない。しかし
ながら、VEGF165 のエクソン7コード領域は、ヘパリン
結合活性を有し、細胞表面上のHSPGと相互作用をする。
それゆえ、HSPGとVEGF165 の相互作用はCTGFにより変調
されるのかもしれない。CTGF(I.II.III.) ではなくCTGF
(I.II.III.IV.)および CTGF(I.II.IV.) が、VEGF121
導管腔形成を阻害することは、CTGFのCOOH末端ドメイン
が阻害に関係していることを示唆している。しかし、こ
の阻害には500 〜1000 ng/mlの範囲の高濃度のCTGFが必
要とされることから、その阻害は弱いものであるように
思えた。
【0112】また、PF-4は、VEGF165 と特異的に結合す
ることが知られており、VEGF165 誘導血管新生を阻害す
る。CTGFおよびPF-4はヘパリン結合タンパクであること
から、VEGFイソフォームとの複合体はVEGFのco-recepto
rsの結合を修飾することにより受容体へのVEGF結合を間
接的に妨げるのかもしれない。実際、PF-4は細胞表面HS
PGであるglypicanへのVEGF165 の結合をブロックするこ
とが報告されている。一方、CTGFはαVβ3 インテグリ
ンと結合することができ、内皮細胞接着や生存を促進す
る。このように、VEGF情報伝達経路をαVβ3 インテグ
リンを介してCTGFにより惹き起こされるシグナルが妨害
することは有りうるかもしれない。CTGFは門脈路や線維
性隔膜の細胞外マトリックス並びに線維化肝の星細胞に
免疫染色的に局在しており、ヒトCTGFのマウス相同体で
あるFisp-12 は、ECM と結合している。このように、CT
GFは、細胞外環境においてECM 関連タンパクとして存在
するように思われる。VEGFおよびCTGFは成長板における
肥大性軟骨細胞において産生され、健常者およびOA或い
はRA患者からの関節軟骨においても同様であることが見
いだされた。それゆえ、それらは軟骨ECM に結合して存
在している可能性がある。さらに、MMP でCTGFが分解さ
れ、VEGF阻害活性が消失することからECM においてVEGF
はCTGFにより阻害されており、OA、RAなどの疾患ではCT
GF分解により、VEGFが活性化されるためパンヌスの浸入
が容易になると推察される。
【0113】
【発明の効果】本発明で、VEGFの内因性インヒビターと
して、CTGFが同定されたことにより、VEGF-CTGF 相互作
用系を利用してVEGFが発揮する血管新生(血管形成)作
用を制御することが可能となる。すなわち、VEGF-CTGF
相互作用に関与して、例えば血管新生を抑制又は阻害す
る薬剤を開発することが可能となる。また、VEGFに結合
するCTGFのドメイン領域及びCTGFと結合するVEGFの領域
を解明することができ、血管新生活性を制御する薬物や
システムの開発、そのためのスクリーニング系やそれに
用いる試薬の開発が可能となる。さらには、癌などの細
胞増殖などの制御、診断などにも利点がある。本発明
は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行
できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発
明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも
本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
【0114】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Fuji Yakuhin Kogyo Kabushiki Kaisha <120> Inhibition of Angiogenesis <130> P-01NF360 <140> <141> <160> 10 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 1 ggaattcgca cccatggcag aagga 25 <210> 2 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 2 acgcgtcgac ctcaccgcct cggcttgtca c 31 <210> 3 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 3 ggaattcatg aactttctgc tgtcttgggt gca 33 <210> 4 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 4 acgcgtcgac ccgcctcggc ttgtcac 27 <210> 5 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 5 gagaattcca tgaccgccgc cagtatgggc 30 <210> 6 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 6 acgcgtcgac tgccatgtct ccgta 25 <210> 7 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 7 acgcgtcgac gtcacacacc cactcctcgc 30 <210> 8 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 8 acgcgtcgac ttcgcaaggc ctgaccatgc a 31 <210> 9 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 9 acgcaagctt gttggctcta atcatagttg ggtct 35 <210> 10 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 10 acgcaagctt aatgttctct tccaggtcag c 31
【図面の簡単な説明】
【図1】 CTGF及びその欠失変異体の構造の概略図 CTGF(I.II.III.IV.)は、IGFBP(I), vWFC (II), TSP-1(I
II) 及びC 末(IV)ドメインをコードする完全長のヒトCT
GFを示す。CTGF(I.II)は、TSP-1 と C末ドメインを欠失
した変異体、CTGF(I.II.III.) は、C 末ドメインを欠失
した変異体、そしてCTGF(I.II.IV.)は、TSP-1 ドメイン
を欠失した変異体である。プライマー(a) 〜(f) はcDNA
断片の増幅に使用したプライマーであり、その配列は配
列表に記載されている。cDNAは、C 末にFLAGが付加され
た組換タンパクを産生するためにpCMVtag4a にクローニ
ングした。
【図2】 免疫沈降反応によるCTGF/VEGF165複合体生成
の証明 pCMVscript/VEGF165単独で293T細胞に導入、またはpCMV
script/VEGF165とpCMVtag4a/CTGF(I.II.III.IV.)を同時
に293T細胞に導入した。 pCMVscript/VEGF165とpCMVtag
4a/CTGF(I.II.III.IV.)を同時導入した細胞の培養液を
抗FLAG M2 アフィニティーアガロースゲルで沈降させ、
抗VEGF抗体(レーン 3) または抗FLAG抗体(レーン 2)
でイムノブロットを行った。 pCMVscript/VEGF165 を単
独で導入した細胞培養液も同様に免疫沈降させ抗VEGF抗
体(レーン 1)でイムノブロットを行った。CM, condit
ioned media; IP, immunoprecipitation; IB, immunobl
otting.
【図3】 固相化したVEGF165 に対するCTGFの特異的結
合 固相化したVEGF165 に対するCTGF(I.II.III.IV.)のバイ
ンディングアッセイBSA または VEGF165を固相化したマ
イクロタイタープレートへの125I-CTGF(I.II.III.IV.)
の結合活性は「実験方法」に記載されているように測定
した。測定値は加えた活性に対する結合した活性の比率
(%) で示した[bound/(bound+ free)]。
【図4】 固相化したVEGF165 に対するCTGFの特異的結
合 CTGF(I.II.III.IV.)のVEGF165 に対する競合バインディ
ングアッセイ「実験方法」に記載されているように、競
合物質として各種濃度の非標識CTGF(I.II.III.IV.)(黒
三角マーク)存在下またはBSA 存在下(黒丸マーク)
で、125I-CTGF(I.II.III.IV.) をVEGF165 固相化マイク
ロタイタープレートに結合させた。実験はn=3 で実施
し、測定値は競合物質がない場合の結合活性に対する比
率(%) で示した。
【図5】 VEGF121 及びVEGF165 への CTGF(I.II.III.I
V.) の結合125 I標識したCTGF(I.II.III.IV.)を、BSA 、VEGF121
たはVEGF165 を固相化したマイクロタイタープレートに
加え、反応させ、結合したタンパク(放射活性) を「実
験方法」に記載したようにして測定した。実験はn=3 で
実施した。測定値は加えた活性に対する結合した活性の
比率(%) で示した[bound/(bound + free)]。
【図6】 VEGF121 及びVEGF165 への CTGF(I.II.)の結
125 I標識したCTGF (I.II.)を、BSA 、VEGF121 またはVE
GF165 を固相化したマイクロタイタープレートに加え、
反応させ、結合したタンパク(放射活性) を「実験方
法」に記載したようにして測定した。実験はn=3 で実施
した。測定値は加えた活性に対する結合した活性の比率
(%) で示した[bound/(bound + free)]。
【図7】 VEGF121 及びVEGF165 への CTGF(I.II.III.)
の結合125 I標識したCTGF(I.II.III.) を、BSA 、VEGF121 また
はVEGF165 を固相化したマイクロタイタープレートに加
え、反応させ、結合したタンパク(放射活性) を「実験
方法」に記載したようにして測定した。実験はn=3 で実
施した。測定値は加えた活性に対する結合した活性の比
率(%) で示した[bound/(bound + free)]。
【図8】 VEGF121 及びVEGF165 への CTGF(I.II.IV.)
の結合125 I標識したCTGF(I.II.IV.)を、BSA 、VEGF121 または
VEGF165 を固相化したマイクロタイタープレートに加
え、反応させ、結合したタンパク(放射活性) を「実験
方法」に記載したようにして測定した。実験はn=3 で実
施した。測定値は加えた活性に対する結合した活性の比
率(%) で示した[bound/(bound + free)]。
【図9】 VEGF の HUVEC細胞への結合に及ぼすCTGFの
影響 細胞結合アッセイ コンフルエントになった HUVEC細胞をCTGF(I.II.III.I
V.)(0, 10, 100 または1000 ng/ml) 存在下125I-VEGF
121(黒丸マーク)または125I-VEGF165(黒三角マー
ク)とインキュベーションし、結合したVEGFイソフォー
ムの放射活性を「実験方法」記載のごとく測定した。実
験はn=2 で2 回繰り返した。結合したVEGFのそれぞれの
比率は2 回の実験の平均である。
【図10】 VEGF のVEGFレセプターへの結合に及ぼす
CTGFの影響 CTGF(I.II.III.IV.)存在下での固相化KDR/IgG FcへのVE
GFの結合 CTGF(I.II.III.IV.) (0, 10, 100, 1000または2000 ng/
ml) 存在下、KDR/IgG Fcを固相化したマイクロタイター
プレート中で、125I-VEGF121または125I-VEGF165をイン
キュベートした。結合したVEGFイソフォームの放射活性
を「実験方法」記載のごとく測定した。実験はn=3 で行
い、測定値はmean±SDで示した。
【図11】 VEGF のVEGFレセプターへの結合に及ぼす
CTGFの影響 CTGF(I.II.III.IV.)存在下での固相化Flt-1/IgG Fcへの
VEGFの結合 CTGF(I.II.III.IV.) (0, 10, 100, 1000または2000 ng/
ml) 存在下、Flt-1/IgGFcを固相化したマイクロタイタ
ープレート中で、125I-VEGF121または125I-VEGF1 65をイ
ンキュベートした。結合したVEGFイソフォームの放射活
性を「実験方法」記載のごとく測定した。実験はn=3 で
行い、測定値はmean±SDで示した。
【図12】 BAEC細胞の管腔形成による CTGF(I.II.II
I.IV.) の血管新生活性の測定 A, I型コラーゲンゲル上で培養したBAEC細胞の管腔形成
の代表的な顕微鏡写真 CTGF(I.II.III.IV.) (0(1), 10(2), 20(3), 100(4), 50
0(5)または1000ng/ml(6)) 存在下BAECを3 日間培養し
た。 B, 管腔形成による CTGF(I.II.III.IV.) の血管新生活
性の測定 細胞の管腔の長さはNIH Image を使用して5 箇所の0.25
mm2の区画を選び測定した。長さは「実験方法」に記載
のごとくmm/mm2で表した。*, p<0.05.
【図13】 VEGF121で誘導される管腔形成へのCTGF(I.I
I.III.IV.)の影響 A, CTGF(I.II.III.IV.) 存在下のVEGF121 で誘導したBA
EC細胞の管腔形成の代表的な顕微鏡写真 CTGF(I.II.III.IV.) (0(1), 10(2), 20(3), 100(4), 50
0(5)または1000ng/ml(6)) 存在下に、BAEC細胞を VEGF
121でもって3 日間刺激した。 B, VEGF121で誘導される管腔形成へのCTGF(I.II.III.I
V.)の影響 細胞の管腔の長さはNIH Image を使用して5 箇所の0.25
mm2の区画を選び測定した。長さは「実験方法」に記載
のごとくmm/mm2で表した。*, p<0.05.
【図14】 VEGF165で誘導される管腔形成へのCTGF(I.I
I.III.IV.)の影響 A, CTGF(I.II.III.IV.) 存在下のVEGF165 で誘導したBA
EC細胞の管腔形成の代表的な顕微鏡写真 CTGF(I.II.III.IV.) (0(1), 10(2), 20(3), 100(4), 50
0(5)または1000ng/ml(6)) 存在下に、BAEC細胞を VEGF
165でもって3 日間刺激した後、撮影した。 B, VEGF165で誘導される管腔形成へのCTGF(I.II.III.I
V.)の影響 細胞の管腔の長さはNIH Image を使用して5 箇所の0.25
mm2の区画を選び測定した。長さは「実験方法」に記載
のごとくmm/mm2で表した。*, p<0.05.
【図15】 VEGF で誘導される管腔形成に対するCTGF
欠失変異体の影響 CTGF(I.II.III.)(A)またはCTGF (I.II.IV.)(B)(0, 10,
20, 100, 500または1000ng/ml)の存在下、BAEC細胞を、
VEGF121(40 ng/ml) またはVEGF165(20 ng/ml)でもって3
日間刺激した。*, p<0.05.
【図16】 In vivo でのVEGF165 誘導血管新生に対す
るCTGF(I.II.III.IV) の抗血管新生効果 リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(A, E)、VEGF165 (50 ng/m
l) (B, F, H)、CTGF(100 ng/ml) と混合したVEGF(50 n
g/ml)(C, G) 或いはCTGF (100 ng/ml)を含むマトリゲル
をC57BL/6 マウスに皮下投与した。投与後5 日目にマト
リゲル栓と共に皮膚組織を取り除き、固定化およびパラ
フィン包埋した。切片はヘマトキシリンおよびエオシン
で染色(A-D)或いは抗vWF 抗体(E, F, G)或いは免疫さ
れていないウサギ血清(H)を用い免疫染色した。 A〜D
はヘマトキシリンおよびエオシン染色された生物の形態
を示す写真で、E 〜H は免疫染色された生物の形態を示
す写真である。バーは50μm 。血管新生の程度はPBS 、
VEGF165 、CTGFと混合したVEGF165 或いはCTGFを用いた
マトリゲル中の抗vWF で免疫染色された紡錘細胞(I)お
よび血管(J)の数を数えることにより評価した。バーは
6匹のマウスの平均±SDを示す。*, p<0.05。
【図17】 MMP によるCTGFの切断部位 VEGF165 に対する結合活性を有する20〜24 kDaのCTGFフ
ラグメントにMMP-1, -3 及び -7 を作用させ、得られた
断片のアミノ酸配列を解析した結果を示す。矢印で示し
た部位がMMPsによる開裂部位である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 A61K 37/02 // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 小幡 賢一 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 小竹 慎二郎 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA36 FB03 4B024 AA01 BA63 HA15 4C084 AA02 AA03 BA01 BA02 BA19 BA20 BA21 BA41 BA44 CA53 DB52 NA14 ZA362 ZB262 ZC202 4C085 AA13 AA14 DD63

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) (1) 結合組織成長因子(Connective
    Tissue Growth Factor: CTGF) の第3ドメイン及び(2)
    CTGFの第4ドメインから成る群から選ばれたドメインの
    うちの少なくとも一つを含有するポリペプチド、(b) CT
    GFの第1ドメイン、第2ドメイン及び第3ドメインを含
    有するポリペプチド、(c) CTGFの第1ドメイン及び第3
    ドメインを含有するポリペプチド、(d) CTGFの第2ドメ
    イン及び第3ドメインを含有するポリペプチド、(e) CT
    GFの第1ドメイン、第2ドメイン及び第4ドメインを含
    有するポリペプチド、(f) CTGFの第1ドメイン及び第4
    ドメインを含有するポリペプチド、(g) CTGFの第2ドメ
    イン及び第4ドメインを含有するポリペプチド、(h) CT
    GF、(i) CTGFの第3ドメイン及び第4ドメインを含有す
    るポリペプチド、(j) CTGFの第1ドメイン、第3ドメイ
    ン及び第4ドメインを含有するポリペプチド、(k) CTGF
    の第2ドメイン、第3ドメイン及び第4ドメインを含有
    するポリペプチド、(l) CTGFの第3ドメインを含有する
    ポリペプチド、(m) CTGFの第4ドメインを含有するポリ
    ペプチド、(n) CTGFの第1ドメイン、第2ドメイン、第
    3ドメイン及び第4ドメインを含有するポリペプチド、
    (o) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペプチドと
    60% 以上の同一性を有し且つ血管新生阻害活性を有する
    ポリペプチド、(p) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記載の
    ポリペプチドと70% 以上の同一性を有し且つ血管新生阻
    害活性を有するポリペプチド、(q) 上記(a) 〜(n) のい
    ずれか一記載のポリペプチドと80% 以上の同一性を有し
    且つ血管新生阻害活性を有するポリペプチド、(r) 上記
    (a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペプチドと90% 以上
    の同一性を有し且つ血管新生阻害活性を有するポリペプ
    チド、(s) 上記(a) 〜(n) のいずれか一記載のポリペプ
    チドと95% 以上の同一性を有し且つ血管新生阻害活性を
    有するポリペプチド、及び(t) 上記(a) 〜(n) のいずれ
    か一記載のポリペプチドと98% 以上の同一性を有し且つ
    血管新生阻害活性を有するポリペプチドから成る群から
    選ばれたものを含有する血管新生阻害剤。
  2. 【請求項2】 請求項1の(a) 〜(t) のいずれか一記載
    のポリペプチドを含有し、血管内皮成長因子(Vascular
    Endothelial Growth Factor: VEGF)による血管新生を阻
    害するものであることを特徴とする血管新生阻害剤。
  3. 【請求項3】 請求項1の(a) 〜(t) のいずれか一記載
    のポリペプチドを含有し、VEGFがそのレセプターに結合
    することを阻害するものであることを特徴とする血管新
    生阻害剤。
  4. 【請求項4】 請求項1の(a) 〜(t) のいずれか一記載
    のポリペプチドを使用し、VEGFによる血管新生を阻害す
    ることを特徴とする血管新生阻害方法。
  5. 【請求項5】 請求項1の(a) 〜(t) のいずれか一記載
    のポリペプチドを使用し、VEGFがそのレセプターに結合
    することを阻害することを特徴とする血管新生阻害方
    法。
  6. 【請求項6】 VEGFが、VEGF165 で、ポリペプチドがCT
    GFの第3ドメイン又は第4ドメインに関連したものであ
    ることを特徴とする請求項2又は3記載の剤。
  7. 【請求項7】 VEGFが、VEGF121 で、ポリペプチドがCT
    GFの第4ドメインに関連したものであることを特徴とす
    る請求項2記載の剤。
  8. 【請求項8】 VEGFが、VEGF165 で、ポリペプチドがCT
    GFの第3ドメイン又は第4ドメインに関連したものであ
    ることを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
  9. 【請求項9】 VEGFが、VEGF121 で、ポリペプチドがCT
    GFの第4ドメインに関連したものであることを特徴とす
    る請求項5記載の方法。
  10. 【請求項10】 VEGF-CTGF 複合体の形成を阻害する活
    性を有するものであることを特徴とする血管新生促進又
    は活性化剤。
  11. 【請求項11】 VEGF-CTGF 複合体の形成を阻害する活
    性を有するものが 1) CTGFに対する抗体、及び 2) VEGFのエクソン7 コード領域若しくはその一部を含
    むポリペプチドからなる群から選ばれたものであること
    を特徴とする請求項10記載の剤。
  12. 【請求項12】 VEGF-CTGF 複合体のCTGFを分解する活
    性を阻害することを特徴とする血管新生阻害剤。
  13. 【請求項13】 VEGF-CTGF 複合体のCTGFを分解する活
    性を阻害することが、 1) マトリックス メタロプロティナーゼ阻害剤(inhib
    itors of matrix metalloproteinases (MMPs): MMPs 阻
    害剤) 、 2) CTGF変異体、改変体及び/又は修飾体、及び 3) CTGFに対する抗体からなる群から選ばれたものによ
    るものであることを特徴とする請求項12記載の血管新
    生阻害剤。
  14. 【請求項14】 VEGF-CTGF 複合体の形成を保持するこ
    とを特徴とする血管新生阻害方法。
  15. 【請求項15】 VEGF-CTGF 複合体のCTGFの分解を阻害
    することを特徴とする血管新生阻害方法。
  16. 【請求項16】 VEGF-CTGF 複合体のCTGFのMMPsによる
    分解を阻害することを特徴とする血管新生阻害方法。
  17. 【請求項17】 VEGFとCTGFとを使用することを特徴と
    する血管新生促進又は活性化剤用スクリーニング方法。
  18. 【請求項18】 VEGFとCTGFとを共発現する系を使用
    し、CTGF分解活性物質存在下、(A) 血管新生阻害剤候補
    物質を反応させた場合と (B)血管新生阻害剤候補物質の
    ない条件下反応させた場合とを比較することを特徴とす
    る血管新生阻害剤スクリーニング方法。
  19. 【請求項19】 VEGFが、VEGF121, VEGF145, VEGF165,
    VEGF189及びVEGF20 6 から成る群から選ばれたものであ
    ることを特徴とする請求項2、3及び10〜13のいず
    れか一記載の剤。
  20. 【請求項20】 抗VEGF抗体及び抗CTGF抗体を使用する
    ことを特徴とするVEGF-CTGF 複合体形成の程度を測定す
    る方法。
  21. 【請求項21】 抗VEGF-CTGF 複合体抗体を使用するこ
    とを特徴とするVEGF-CTGF 複合体形成の程度を測定する
    方法。
  22. 【請求項22】 VEGFが、VEGF121, VEGF145, VEGF165,
    VEGF189及びVEGF20 6 から成る群から選ばれたものであ
    ることを特徴とする請求項4、5、14〜16、18、
    20及び21のいずれか一記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005007193A3 (en) * 2003-07-07 2005-06-30 Vande Woude George F Inhibition of tumor angiogenesis by combination of thrombospondin-1 and inhibitors of vascular endothelial growth factor
JP2006524496A (ja) * 2003-04-18 2006-11-02 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト 骨関節炎の診断および処置のためのチロシンキナーゼを標的化する方法および組成物
KR100729210B1 (ko) 2004-11-18 2007-06-19 주식회사 녹십자홀딩스 내피세포 성장호르몬에 대한 길항작용이 증진된 펩티드 및이로부터 제조되는 치료제
JP2009514813A (ja) * 2005-10-19 2009-04-09 センター フォー モレキュラー メディスン アンド イムノロジー 胎盤成長因子(PlGF)媒介性の転移および/または血管新生の阻害
WO2013108869A1 (ja) * 2012-01-20 2013-07-25 国立大学法人岡山大学 がんの治療又は予防剤

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