JP4710009B2 - マダニのアスパラギン酸プロテアーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、マダニのアスパラギン酸プロテアーゼに関する。
マダニ類によって動物又は人に直接又は間接的に甚大な被害がもたらされている。前者の直接的被害には、咬着と吸血による掻痒や失血、あるいは、吸血時の分泌唾液や腸内容の嘔吐によるアレルギー疾患やマダニ麻痺の招来が知られている。後者の間接的被害には、ウイルス、リケッチア、細菌、スピロヘータ、原虫、又は線虫などによる様々な家畜でのその関連疾病を挙げることができ、その損害は、国内はもとより海外でも莫大な金額にのぼる。また、最近は、地球温暖化と国際交易の拡大に伴うマダニ類の分布の変容・拡大、またこれに伴ういわゆる新興又は再興の人獣共通感染症の脅威が大きな社会問題になりつつある。
そのため、各国でマダニ駆除を目的とした各種制圧方法がとられており、その中心をなしているのが、有機リン、カーバメイト、ピレスロイド系、又はマクロライド系抗生物質などの薬剤の利用である。しかし、薬剤の連続的使用又は大量使用による、いわゆる薬剤耐性がいずれの薬剤に対しても確立され、殺マダニ効果の消失するものも少なくない。更に、薬剤の使用には常に動物への副作用を考えなくてはならず、同時に、食と環境の安全性を脅かす薬物残留問題があり、消費者から敬遠される傾向にある。その上、薬剤の使用には有効性や適用範囲に加えて、膨大な開発コストの面からも限界が生じつつあり、21世紀における人獣のマダニ寄生と媒介疾病の被害を薬剤使用によって防ぐことは非常に難しい状況にある。
マダニを含む吸血性節足動物でも、ウイルスや細菌感染症に見られるような宿主の再感染防御能の獲得が知られており、古くから実験室段階で実証されている(非特許文献1)。近年の遺伝子組換え技術の発達によって、その感染防御抗原、あるいは、吸血性節足動物に特有な変態関連酵素などをコードする遺伝子クローニングが各国で精力的に進められ、安全なワクチンタンパク質や化学療法剤の製造が試みられている。
しかし、実用化に至っているのは、Willadsenら(非特許文献2)によって開発された1宿主性のオウシマダニ(Boophilus microplus)に対してのみであって、日本を含めたアジア諸国やユーラシア大陸に広く分布し、人獣のピロプラズマ症、Q熱、又はウイルス性脳炎などの人獣共通感染症の媒介者となっているフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)に対しては、ワクチン候補の探索段階であり、早急なワクチン開発とその実用化が強く望まれている。
「ナショナルインスティチュート・オブ・アニマルヘルス・クオータリー(トウキョウ)(National Institute of Animal Health Quarterly、Tokyo) ,1978年,18巻,27-38頁 「プラシトロジー・トゥデー(Parasitology Today)」,(オランダ国),1999年,15巻,258-262頁
本発明の課題は、マダニワクチンとして有用な新規アスパラギン酸プロテアーゼ及びそれをコードするポリヌクレオチドを提供することにある。また、マダニ駆除及びマダニ感染から動物を守るための物質のスクリーニング方法を提供し、様々な人獣共通感染症のマダニ媒介性疾病の防除法を提供することにある。
前記課題は、本発明による、
(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチド;
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド;
(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を示すポリペプチド;又は
(4)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が60%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド
により解決することができる。
また、本発明は、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。
また、本発明は、前記ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
また、本発明は、前記ポリヌクレオチドを含む形質転換体に関する。
また、本発明は、前記形質転換体を培養する工程を含む、前記ポリペプチドを製造する方法に関する。
また、本発明は、前記ポリペプチド若しくはその断片、前記ポリヌクレオチド、又は前記ベクターを有効成分として含む、医薬に関する。本発明の医薬の好ましい態様によれば、マダニに対するワクチンである。
また、本発明は、前記ポリペプチド若しくはその断片、前記ポリヌクレオチド、又は前記ベクターと、薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる担体又は希釈剤とを含む、医薬組成物に関する。
また、本発明は、前記ポリペプチド若しくはその断片、前記ポリヌクレオチド、又は前記ベクターを、マダニ駆除の必要な対象に、有効量で投与することを含む、マダニ駆除方法に関する。
また、本発明は、前記ポリペプチド若しくはその断片、前記ポリヌクレオチド、又は前記ベクターを、マダニ媒介性感染症の治療又は予防の必要な対象に、有効量で投与することを含む、マダニ媒介性感染症の治療又は予防方法に関する。
また、本発明は、前記ポリペプチドに対する抗体又はその断片に関する。
また、本発明は、前記ポリペプチドと試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を分析する工程を含む、前記ポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を修飾する物質のスクリーニング方法に関する。
また、本発明は、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、又は前記抗体若しくはその断片を有効成分として含む、マダニ駆除剤に関する。
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、形質転換体、及び抗体によれば、本発明の医薬、特にはマダニワクチンを提供することができる。また、本発明の医薬、特にはマダニワクチンによれば、例えば、マダニ駆除、又はマダニ媒介性感染症(例えば、人獣のピロプラズマ症、Q熱、又はウイルス性脳炎など)の治療若しくは予防が可能である。
[1]本発明のポリペプチド
本発明のポリペプチドには、
(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチド;
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド;
(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する);及び
(4)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が60%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)
が含まれる。
配列番号2で表されるアミノ酸配列(アミノ酸残基数=391)は、シグナルペプチドを含む、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)のアスパラギン酸プロテアーゼ前駆体のアミノ酸配列であり、配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列は、フタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼ成熟体のアミノ酸配列である。
本明細書において「アスパラギン酸プロテアーゼ活性」とは、酸性(例えば、pH2〜7)に最適pHをもち、活性中心にアスパラギン酸の存在するプロテアーゼ活性を意味する。すなわち、触媒作用の主役となるアミノ酸やイオン(触媒基)が、アスパラギン酸の側鎖カルボキシル・グループ(COOH)である。本活性は、例えば、試験タンパク質とアスパラギン酸プロテアーゼ基質であるオリゴペプチド(特にはジペプチド)又はポリペプチドとを接触させ、それら基質の分解の有無及び/又は程度を分析する公知の活性測定法により容易に判定することができ、特に限定されるものではないが、後述の実施例7に記載の方法により判定することが望ましい。
本発明のポリペプチドである「配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド」としては、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド(好ましくは、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド)、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチドのN末端及び/又はC末端に、適当なマーカー配列等が付加されたアミノ酸配列からなり、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有する融合ポリペプチド;あるいは、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチドと、融合用パートナーとの融合ポリペプチドであって、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有する融合ポリペプチドを挙げることができる。
前記マーカー配列としては、例えば、ポリペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、あるいは、精製等を容易に行なうための配列を用いることができ、例えば、FLAGタグ、ヘキサ−ヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを用いることができる。
また、前記融合用パートナーとしては、例えば、精製用ポリペプチド[例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の全部又は一部]、検出用ポリペプチド[例えば、ヘムアグルチニン又はβ−ガラクトシダーゼαペプチド(LacZ α)の全部又は一部]、又は発現用ポリペプチド(例えば、シグナル配列)などを用いることができる。
更に、前記融合ポリペプチドにおいては、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチドと前記マーカー配列又は融合用パートナーとの間に、限定分解するタンパク質分解酵素(例えば、トロンビン、血液凝固因子Xa、エントロキナーゼ、TEVプロテアーゼなど)で切断することができるアミノ酸配列を適宜導入することもできる。
本発明の機能的等価改変体は、配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列の1又は複数の箇所において、全体として1又は数個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜7個、更に好ましくは1〜5個)のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチドである限り、特に限定されるものではなく、その起源もフタトゲチマダニに限定されない。
例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチドのフタトゲチマダニにおける変異体が含まれるだけでなく、フタトゲチマダニ以外の生物(例えば、その他のマダニ類、又はヒメダニ類)由来の機能的等価改変体が含まれる。更には、それらの天然ポリペプチド(すなわち、フタトゲチマダニ由来の変異体、あるいは、フタトゲチマダニ以外の生物由来の機能的等価改変体)をコードするポリヌクレオチドを元にして、あるいは、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列をコードするポリヌクレオチドを元にして、遺伝子工学的に、コードするアミノ酸配列を人為的に改変したポリヌクレオチドを用いて製造したポリペプチドなどが含まれる。なお、本明細書において「変異体」(variation)とは、同一種内の同一ポリペプチドにみられる個体差、あるいは、数種間の相同ポリペプチドにみられる差異を意味する。
配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチドのフタトゲチマダニにおける変異体、あるいは、フタトゲチマダニ以外の生物由来の機能的等価改変体は、当業者であれば、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列(例えば、配列番号1で表される塩基配列における第16番〜第1188番の塩基からなる配列)、あるいは、配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列(例えば、配列番号1で表される塩基配列における第82番〜第1188番の塩基からなる配列)の情報を基にして、取得することができる。なお、遺伝子組換え技術については、特に断りがない場合、公知の方法(例えば、Sambrookら,“Molecular Cloning, A Laboratory Manual”, Cold Spring Harber Laboratory Press, 1989)に従って実施することが可能である。
例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列の情報を基にして適当なプライマー又はプローブを設計し、前記プライマー又はプローブと、目的とする生物(例えば、その他のマダニ類、又はヒメダニ類)由来の試料(例えば、全RNA若しくはmRNA画分、cDNAライブラリー、又はファージライブラリー)とを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法(Saiki, R. K. ら, Science, 239, 487-491, 1988)又はハイブリダイゼーション法を実施することにより、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを取得し、そのポリヌクレオチドを適当な発現系を用いて発現させ、発現したポリペプチドが、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有することを確認することにより、所望のポリペプチドを取得することができる。
また、前記の遺伝子工学的に人為的に改変したポリペプチドは、常法、例えば、部位特異的突然変異誘発法(site-specific mutagenesis; Mark, D. F. ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 5662-5666, 1984)により、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを取得し、そのポリヌクレオチドを適当な発現系を用いて発現させ、発現したポリペプチドが、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有することを確認することにより、所望のポリペプチドを取得することができる。
本発明の相同ポリペプチドは、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列との相同性が60%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチドである限り、特に限定されるものではない。本発明の相同ポリペプチドとしては、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその23番〜391番のアミノ酸からなる配列に関して、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなることができる。なお、本明細書における前記「相同性」とは、Clustal program(Higgins及びSharp, Gene, 73, 237-244, 1988; 並びにThompsonら, Nucleic Acid Res., 22, 4673-4680, 1994)により、デフォルトで用意されているパラメータを用いて得られた値を意味する。
これらの本発明の新規ポリペプチドは、種々の公知の方法によって製造することができ、例えば、本発明の前記ポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドを用いて公知の遺伝子工学的手法により調製することができる。より具体的には、後述する本発明の形質転換体(すなわち、本発明のポリヌクレオチドを含む形質転換体)を、本発明による新規ポリペプチドの発現が可能な条件下で培養し、ポリペプチドの分離及び精製に一般的に用いられる方法により、その培養物から目的ポリペプチドを分離及び精製することにより調製することができる。前記の分離及び精製方法としては、例えば、硫安塩析、イオン交換セルロースを用いるイオン交換カラムクロマトグラフィー、分子篩ゲルを用いる分子篩カラムクロマトグラフィー、プロテインA結合多糖類を用いる親和性カラムクロマトグラフィー、透析、又は凍結乾燥等を挙げることができる。
また、本発明には、本発明によるポリペプチドの断片も含まれる。本発明による前記断片は、本発明による医薬の有効成分として、あるいは、本発明の抗体を調製するための抗原として有用である。
[2]本発明のポリヌクレオチド
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである限り、特に限定されるものではなく、例えば、配列番号1で表される塩基配列における82番〜1188番の塩基からなる配列からなるポリヌクレオチド(シグナルペプチドを含まない成熟体ポリペプチドをコード)、又は配列番号1で表される塩基配列における16番〜1188番の塩基からなる配列からなるポリヌクレオチド(シグナルペプチドを含む前駆体ポリペプチドをコード)を挙げることができる。なお、本明細書における用語「ポリヌクレオチド」には、DNA及びRNAの両方が含まれる。
また、本発明には、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能な塩基配列を含むポリヌクレオチド、好ましくは本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能な塩基配列からなるポリヌクレオチドが含まれる。本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能な塩基配列としては、本発明のポリヌクレオチドの塩基配列又はその部分配列に、相捕的な塩基配列であることが好ましく、配列番号1で表される塩基配列における16番〜1188番の塩基からなる配列若しくは82番〜1188番の塩基からなる配列、又はそれらの部分配列に、相捕的な塩基配列であることがより好ましい。
[3]本発明のベクター及び形質転換体
本発明のベクターは、本発明による前記ポリヌクレオチドを含む限り、特に限定されるものではなく、例えば、用いる宿主細胞に応じて適宜選択した公知の発現ベクターに、本発明による前記ポリヌクレオチドを挿入することにより得られるベクターを挙げることができる。
また、本発明の形質転換体も、本発明による前記ポリヌクレオチドを含む限り、特に限定されるものではなく、例えば、本発明による前記ポリヌクレオチドが、宿主細胞の染色体に組み込まれた形質転換体であることもできるし、あるいは、本発明による前記ポリヌクレオチドを含むベクターの形で含有する形質転換体であることもできる。また、本発明によるポリペプチドを発現している形質転換体であることもできるし、あるいは、本発明によるポリペプチドを発現していない形質転換体であることもできる。本発明の形質転換体は、例えば、本発明による前記ベクターにより、あるいは、本発明による前記ポリヌクレオチドそれ自体により、所望の宿主細胞を形質転換することにより得ることができる。
前記宿主細胞としては、例えば、通常使用される公知の微生物、例えば、大腸菌又は酵母(Saccharomyces cerevisiae)、あるいは、公知の培養細胞、例えば、動物細胞(例えば、CHO細胞、HEK−293細胞、又はCOS細胞)又は昆虫細胞(例えば、BmN4細胞)を挙げることができる。
また、公知の前記発現ベクターとしては、例えば、大腸菌に対しては、pUC、pTV、pGEX、pKK、又はpTrcHisを;酵母に対しては、pEMBLY又はpYES2を;CHO細胞に対してはpcDNA3又はpMAMneoを;HEK−293細胞に対してはpcDNA3を;COS細胞に対してはpcDNA3を;BmN4細胞に対しては、カイコ核多角体ウイルス(BmNPV)のポリヘドリンプロモーターを有するベクター(例えば、pBK283)を挙げることができる。更に、公知の発現ベクターとしては、遺伝子治療用のベクターとして使用することのできるウイルスベクター、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、又はセンダイウイルス等を挙げることができる。
[4]本発明の医薬
本発明の医薬(好ましくはマダニに対するワクチン)は、有効成分として、本発明のポリペプチド若しくはその断片、本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクターを含む。すなわち、本発明においては、本発明のポリペプチド若しくはその断片、本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクターを、それ単独で、又は好ましくは薬剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、マダニ駆除の必要な動物、好ましくは哺乳動物(特には、ヒト)に経口的に又は非経口的に投与することができる。
本発明の医薬における前記有効成分である、本発明のポリペプチド若しくはその断片、本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクターをマダニワクチンとして投与すると、抗体産生を誘導することができ、宿主の再感染防御能を介してダニを駆除することができる。また、その結果として、マダニ媒介性感染症(例えば、人獣のピロプラズマ症、Q熱、又はウイルス性脳炎など)の治療又は予防が可能である。
すなわち、本発明の医薬組成物(好ましくは、マダニ駆除用医薬組成物、あるいは、マダニ媒介性感染症の治療又は予防用医薬組成物)は、有効成分としての本発明のポリペプチド若しくはその断片、本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクターと、薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる担体又は希釈剤とを含む。本発明における有効成分である、本発明のポリペプチド若しくはその断片、本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクターは、前記医薬(好ましくは、マダニ駆除用医薬、あるいは、マダニ媒介性感染症の治療又は予防用医薬)を製造するために使用することができる。
本発明の医薬をマダニワクチンとして使用する場合、本発明のポリペプチドの断片としては、投与対象に投与した場合に、前記断片に対して免疫を誘導するのに充分な断片である限り、特に限定されるものではなく、当業者であれば適宜選択することができる。
本発明の医薬(特にはマダニワクチン)では、例えば、本発明のポリペプチドをアジュバント等と混合して、マダニに対するワクチンとして、適当な間隔で動物(例えば、家畜等)に接種することができる。あるいは、本発明のポリペプチドを直接、適当な溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできるし、リポソーム中に封入したり、適当なベクターに組み込んだ形にして使用することもできる。また、必要に応じて、本発明のポリペプチドに薬学的に許容し得る担体を添加し、例えば、注射剤、錠剤、カプセル剤、点眼剤、クリーム剤、坐剤、噴霧剤、又はパップ剤等の適当な剤型にして使用することができる。
薬学的に許容し得る担体には、当業者には周知の溶媒、基剤、安定化剤、防腐剤、溶解剤、賦形剤、及び緩衝剤等が含まれる。本発明の医薬に含有される本発明のポリペプチドは、このような剤型とした場合、例えば、投与対象の年齢、性別、疾患の種類、又は程度等に応じて、その投与方法及び投与量を適宜設定して使用することができる。
経口投与には舌下投与を含む。非経口投与としては、例えば、吸入、経皮投与、点眼、膣内投与、関節内投与、直腸投与、動脈内投与、静脈内投与、局所投与、筋肉内投与、皮下投与、及び腹腔内投与等から適当な方法を選んで投与することができる。
[5]本発明の抗体又はその断片
本発明のポリペプチドに反応する抗体(例えば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)は、各種動物に、本発明のポリペプチド、又はその断片を直接投与することで得ることができる。また、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入したプラスミドを用いて、DNAワクチン法(Raz, E. ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 9519-9523, 1994; 又はDonnelly, J. J. ら, J. Infect. Dis., 173, 314-320, 1996)によっても得ることができる。
ポリクローナル抗体は、例えば、本発明のポリペプチド又はその断片を適当なアジュバント(例えば、フロイント完全アジュバントなど)に乳濁した乳濁液を、腹腔、皮下、又は静脈等に免疫して感作した動物(例えば、ウサギ、ラット、ヤギ、又はニワトリ等)の血清又は卵から製造することができる。このように製造された血清又は卵から、常法のポリペプチド単離精製法によりポリクローナル抗体を分離精製することができる。そのような分離精製方法としては、例えば、遠心分離、透析、硫酸アンモニウムによる塩析、又はDEAE−セルロース、ハイドロキシアパタイト、若しくはプロテインAアガロース等によるクロマトグラフィー法を挙げることができる。
モノクローナル抗体は、例えば、ケーラーとミルスタインの細胞融合法(Kohler, G. 及びMilstein, C., Nature, 256, 495-497, 1975)により、当業者が容易に製造することが可能である。すなわち、本発明のポリペプチド又はその断片を適当なアジュバント(例えば、フロイント完全アジュバントなど)に乳濁した乳濁液を、数週間おきにマウスの腹腔、皮下、又は静脈に数回繰り返し接種することにより免疫する。最終免疫後、脾臓細胞を取り出し、ミエローマ細胞と融合してハイブリドーマを作製する。
ハイブリドーマを得るためのミエローマ細胞としては、例えば、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損又はチミジンキナーゼ欠損のようなマーカーを有するミエローマ細胞(例えば、マウスミエローマ細胞株P3X63Ag8.U1)を利用することができる。また、融合剤としては、例えば、ポリエチレングリコールを利用することができる。更には、ハイブリドーマ作製における培地として、例えば、イーグル氏最小必須培地、ダルベッコ氏変法最小必須培地、又はRPMI−1640などの通常よく用いられている培地に、10〜30%のウシ胎仔血清を適宜加えて用いることができる。融合株は、HAT選択法により選択することができる。ハイブリドーマのスクリーニングは培養上清を用い、ELISA法又は免疫組織染色法などの周知の方法により行ない、目的の抗体を分泌しているハイブリドーマのクローンを選択することができる。また、限界希釈法によってサブクローニングを繰り返すことにより、ハイブリドーマの単クローン性を保証することができる。このようにして得られるハイブリドーマは、培地中で2〜4日間、あるいは、プリスタンで前処理したBALB/c系マウスの腹腔内で10〜20日間培養することで、精製可能な量の抗体を産生することができる。
このように製造されたモノクローナル抗体は、培養上清又は腹水から常法のポリペプチド単離精製法により分離精製することができる。そのような分離精製方法としては、例えば、遠心分離、透析、硫酸アンモニウムによる塩析、又はDEAE−セルロース、ハイドロキシアパタイト、若しくはプロテインAアガロース等によるクロマトグラフィー法を挙げることができる。
また、モノクローナル抗体又はその一部分を含む抗体断片は、前記モノクローナル抗体をコードする遺伝子の全部又は一部を発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞(例えば、大腸菌、酵母、又は動物細胞)に導入して生産させることもできる。
以上のように分離精製された抗体(ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含む)について、常法により、ポリペプチド分解酵素(例えば、ペプシン又はパパイン等)によって消化を行ない、引き続き、常法のポリペプチド単離精製法により分離精製することで、活性のある抗体の一部分を含む抗体断片、例えば、F(ab’)、Fab、Fab’、又はFvを得ることができる。
更には、本発明のポリペプチドに反応する抗体を、クラクソンらの方法又はゼベデらの方法(Clackson, T. ら, Nature, 352, 624-628, 1991; 又はZebedee, S. ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 3175-3179, 1992)により、一本鎖(single chain)Fv又はFabとして得ることも可能である。また、マウスの抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子に置き換えたトランスジェニックマウス(Lonberg, N. ら, Nature, 368, 856-859, 1994)に免疫することで、ヒト抗体を得ることも可能である。
[6]本発明のスクリーニング方法
本発明のポリペプチドを用いると、試験物質が、本発明のポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を修飾(例えば、抑制又は促進)するか否かをスクリーニングすることができる。本発明には、本発明のポリペプチドを含むスクリーニングキットが含まれる。
本発明のスクリーニング方法にかけることのできる試験物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケミカルファイルに登録されている種々の公知化合物(ペプチドを含む)、コンビナトリアル・ケミストリー技術(Terrett, N. K. ら, Tetrahedron, 51, 8135-8137, 1995)又は通常の合成技術によって得られた化合物群、あるいは、ファージ・ディスプレイ法(Felici, F. ら, J. Mol. Biol., 222, 301-310, 1991)などを応用して作成されたランダム・ペプチド群を用いることができる。また、微生物の培養上清、植物若しくは海洋生物由来の天然成分、又は動物組織抽出物などもスクリーニングの試験物質として用いることができる。更には、本発明のスクリーニング方法により選択された化合物(ペプチドを含む)を、化学的又は生物学的に修飾した化合物(ペプチドを含む)を用いることができる。
本発明のスクリーニング方法においては、試験ポリペプチドとアスパラギン酸プロテアーゼ基質とを接触させる代わりに、本発明のポリペプチドとアスパラギン酸プロテアーゼ基質と試験物質とを接触させること以外は、先述のアスパラギン酸プロテアーゼ活性の判定方法と同様にして実施することができる。
すなわち、本発明のスクリーニング方法では、本発明のポリペプチドとアスパラギン酸プロテアーゼ基質と試験物質とを接触させ、前記試験物質の存在下において、前記アスパラギン酸プロテアーゼ基質が、本発明のポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性に基づいて分解されたか否か(あるいは、その分解の程度)を分析することにより、前記試験物質が、本発明のポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を修飾するか否かを判断する。アスパラギン酸プロテアーゼ基質が、本発明のポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性に基づいて分解されないか、あるいは、前記分解の程度が減少する場合には、前記試験物質が、本発明のポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を抑制すると判断することができる。一方、本発明のポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性に基づくアスパラギン酸プロテアーゼ基質の分解の程度が上昇する場合には、前記試験物質が、本発明のポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を促進すると判断することができる。
アスパラギン酸プロテアーゼ活性を抑制する物質(すなわち、プロテアーゼ阻害剤)は、殺ダニ剤の有用な候補物質であり、例えば、マダニ駆除、又はマダニ媒介性感染症(例えば、人獣のピロプラズマ症、Q熱、又はウイルス性脳炎など)の治療若しくは予防に用いることができる。アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤としては、例えば、ペプスタチン(Pepstatin)を公知のものとして挙げることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下の実施例においては、各種分子生物学、ダニ学、節足動物学、免疫学、及び生化学的な技術を用いた。これらの技術は、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harber Laboratory Pressやその関連書を参考にした。また、DNA解析ソフトとしては、MacVectorTM(Oxford Molecular社)を使用した。
《実施例1:アスパラギン酸プロテアーゼをコードする遺伝子の単離及び塩基配列決定》
家兎を吸血4日目のフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)の雌成ダニ200匹から唾液腺を、また別の雌成ダニ500匹からは中腸組織を、実体顕微鏡下で摘出した。これらから直ちに、アシッドグアニジニウム(Acid Guanidinium)−フェノール−クロロホルム法[Chomczynski et al., Anal Biochem 162: 156-159 (1987)](AGPC法)を用いて全RNAを調製し、これらのそれぞれ5μgを使用し、G−キャッピング法(G-Capping法)による完全長cDNA合成を行った。pGCAPベクター[Kato et al., DNA Res. 12: 53-62(2005)]に2本鎖cDNAがインサートされたプラスミドは、フェノール抽出後、エタノール沈殿により回収し、TE緩衝液に溶解した。得られたプラスミド溶液は、DH5αコンピテント細胞(Takara社)と混合し、エレクトロポレーション法により形質転換を行い、寒天培地に蒔いて培養した。
得られたcDNAライブラリーのサイズは約1x10個の形質転換体を含むもので、直ちにライブラリーの予備的なインサート確認を実施した結果、cDNAの完全長率は、唾液腺は89%、中腸は92%と極めて高率であった。作製した2つのcDNAライブラリーとも、含まれる形質転換体から順次、プラスミドDNAを単離・精製し、このプラスミドを鋳型にして5’端側よりサイクルシーケンス反応を行い、DNAシーケンサー(ABI社製3730型シーケンサー)でcDNAの5’端塩基配列を決定した。これらの唾液腺と中腸のcDNAライブラリーからそれぞれ10,000クローンずつ選択し、5’端塩基配列を決定し、全クローンをGenBank(http://www.Ncbi.nih.gov/BLAST/)データベースを用いてBLASTX検索を実施した。この結果を表計算ソフトウェア(マイクロソフトExcel)のワークシート上でアノテーションし、アセンブルを行った。その結果、唾液腺と中腸のcDNAライブラリーは、有効クローンをそれぞれ8,525(85%)と8,304(83%)含有し、さらに完全長cDNAクローンをそれぞれ7,587(89%)と7,639(92%)含有していることが示された。さらに、得られた有効クローンについてクラスターリング解析を行ったところ、唾液腺と中腸のcDNAライブラリーにそれぞれ3,983と3,433種類の遺伝子(クラスター)を含有していることが示され、この遺伝子の中から、アスパラギン酸プロテアーゼを同定した。
得られたcDNAの全長(配列番号1)は1454bpであり、ORF(Open Reading Frame)は16位〜1188位にあり、391残基のアミノ酸(配列番号2)をコードしていることが確認され、推定分子量は41.4kDaであった。予想されるアミノ酸配列をNCBI(National Center for Biotechnology Information)のBLAST法にて相同性検索を行ったところ、これまでに報告されている他の生物のアスパラギン酸プロテアーゼタンパク質に高い相同性を有することが確認された。例えば、ネッタイシマカ(Aedes aegyptyi)のライソソームアスパラギン酸プロテアーゼとの相同性は57%、カイコガ(Bombyx mori)のカテプシンDアスパラギン酸プロテアーゼ、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansnoni)のアスパラギン酸プロテアーゼとはそれぞれ52%、44%の相同性であった。また、同じマダニ類のオウシマダニ(Boophilus microplus)のアスパラギン酸プロテアーゼとの相同性は28%であった。
《実施例2:組換えフタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼ融合タンパク質の発現用ベクターの構築》
シグナルペプチド(配列番号2で表されるアミノ酸配列における1番〜22番のアミノ酸からなる配列)を含まない、フタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼ成熟体(配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列)をコードする遺伝子断片をPCR法にて増幅した。PCR産物をフェノール/クロロホルム処理した後に、エタノール沈澱法にて回収し、蒸留水中に溶解した。得られたDNA液を制限酵素EcoRIで消化した後に、電気泳動にて分離し、DNA精製キット(Biotechnologies社)にて精製し、蒸留水中に回収した。一方、大腸菌発現用ベクターpGEX-4T3(Pharmacia Biotech社)を制限酵素EcoRIで消化した後に、アルカリホスファターゼにて脱リン酸化処理し、その後、PCR産物と同様な方法にて精製した。
精製したPCR産物とベクターとを、DNAライゲーションキット(Takara社)を用いて、キットに添付のプロトコールに従って反応させた。大腸菌DH5α株をライゲーション反応産物にて形質転換させ、フタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子ORF断片がベクターのグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)と同一方向に挿入された組換えクローンを選択した。プラスミド精製キット(Qiagen社)にて組換えプラスミドを精製した。
《実施例3:組換えフタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼ融合タンパク質の大腸菌による発現》
実施例2で得られた組換えプラスミドにて、大腸菌DH5α株を形質転換させた後、37℃でアンピシリン含有LB培地で培養した。培養液のOD600nmが0.3〜0.5に達した時点で、イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を最終濃度が0.5mmol/Lになるように添加し、更に37℃で4時間培養を続けた。組換えタンパク質の発現は、10%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動[Laemmli et al., Nature, 227, 680-685(1970)]を実施した後、クーマシー染色で確認した(下記図1参照)。その結果、約65.3kDaの組換えタンパク質の発現が認められ、GSTリーダータンパク質(26kDa)とフタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼタンパク質(39.3kDa)の融合タンパク質であることが確認された。
《実施例4:組換えフタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼ融合タンパク質の精製及び抗血清の調製》
実施例3で述べた方法により、大腸菌で発現させた組換えフタトゲチマダニ(Hl)アスパラギン酸プロテアーゼ(AP)融合タンパク質(以下、組換えHlAP融合タンパク質と称する)を、市販のキット(Pharmacia Biotech社)に添付のプロトコールに従って精製した。精製前及び精製後の組換えHlAP融合タンパク質の電気泳動像を図1に示す。図1において、レーンMは、分子量マーカーの泳動結果であり、レーン1は、精製前の大腸菌ライセートの泳動結果であり、レーン2は、精製した組換えHlAP融合タンパク質の泳動結果であり、レーン3は、精製したGSTタンパク質の泳動結果である。
精製した組換えHlAP融合タンパク質100μgを含む溶液200μLと、フロイント完全アジュバント(Adjuvant Complete Freund; Difco社)200μLとを混合した後に、BALB/cマウス(8週齢,雌)に腹腔内接種した。腹腔内接種から2週間及び4週間経過後に、それぞれ、組換えHlAP融合タンパク質100μgをフロイント不完全アジュバント(Difco社)と混合し、追加接種を行なった。最終接種後から2週目に採血し、得られた血清を−20℃に保存した。
《実施例5:イムノブロット法によるネイティブ(天然型)アスパラギン酸プロテアーゼの同定》
実施例4で得られた抗組換えHlAP融合タンパク質マウス血清を用い、イムノブロット法[Towbin et al., Proc Natl Acad Sci USA 76: 4350-4354 (1979)]にて天然型アスパラギン酸プロテアーゼタンパク質の同定を行なった。なお、試料として、未吸血又は一部吸血の成ダニライセートを使用した。結果を図2に示す。図2において、レーンMは、分子量マーカーの泳動結果であり、レーン1は、未吸血の成ダニライセートの泳動結果であり、レーン2は、一部吸血の成ダニライセートの泳動結果である。図2に示すように、成ダニライセートにおいて39.3kDaの特異的バンドが検出された。天然型アスパラギン酸プロテアーゼタンパク質の分子量が推定理論値(39.3kDa)と一致すると考えられた。
《実施例6:組換えHlAP融合タンパク質に対する免疫血清の反応性の確認》
イムノブロット法を用いて、組換えHlAP融合タンパク質に対するウサギ免疫血清との反応性を検討した。結果を図3に示す。図3において、レーンMは、分子量マーカーの泳動結果であり、レーン1は、精製前の大腸菌ライセートの泳動結果であり、レーン2は、精製した組換えHlAP融合タンパク質の泳動結果であり、レーン3は、精製したGSTタンパク質の泳動結果である。その結果、組換えHlAP融合タンパク質は、ウサギで作製したダニ免疫血清と強く反応することが確認された。このことから、組換えHlAP融合タンパク質はダニワクチン候補分子の一つであることが示された。なお、免疫前のウサギ血清と組換えHlAP融合タンパク質との反応は認められなかった。
《実施例7:組換えHlAP融合タンパク質のプロテアーゼ活性の確認》
組換えHlAP融合タンパク質のプロテアーゼ活性を、市販のプロテアーゼ蛍光測定キット(SIGMA社)を用いて確認した。組換えHlAP融合タンパク質(5μg/μL)5μLと反応緩衝液10μLとを混合した後に、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)−カゼイン基質10μLを加え、37℃で所定時間(1〜8時間)反応させた。0.6mol/Lテトラクロロ酢酸液を加えて反応を中止した後に、8000xgで10分間遠心した。96穴のプレートに遠心後の上清2μLを取り、200μLの測定緩衝液を加えた後に、更に4℃で18〜24時間反応させた。その後、蛍光マイクロリーダ(Thermo Electron社)を用い、584nmの励起光と620nmの放射光にてプロテアーゼ活性を測定した。
結果を図4に示す。その結果、組換えHlAP融合タンパク質は高いプロテアーゼ活性を有していることが示された。また、このプロテアーゼ活性はアスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤であるペプスタチン(1mmol/L)に特異的に阻害された。
《実施例8:天然型アスパラギン酸プロテアーゼの各種器官における発現分布》
主要内部器官における天然型アスパラギン酸プロテアーゼの発現分布について、常法に従って、RT−PCR法によりmRNA発現の分析を、ウェスタンブロッティングによりタンパク質発現の分析を、それぞれ実施した。RT−PCR法によるmRNA発現分析の結果を図5に、ウェスタンブロッティングによりタンパク質発現分析の結果を図6に示す。
図5において、記号Mは分子量マーカーを意味し、記号WTは、一部吸血のフタトゲチマダニの個体(whole tick)由来のRNAの結果であることを意味し、記号MG、SG、及びOVは、それぞれ、前記フタトゲチマダニの中腸組織(midguts)、唾液腺(salivary grands)、及び卵巣(ovaries)由来のRNAの結果であることを意味する。図6において、レーンMは、分子量マーカーであり、レーン1〜4は、それぞれ、中腸組織、唾液腺、卵巣、及び脳(synganglion)由来の各ライセートの結果である。図5及び図6の結果が示すとおり、天然型アスパラギン酸プロテアーゼは、中腸組織及び唾液腺において発現することが確認された。
《実施例9:組換えHlAP融合タンパク質のヘモグロビン分解活性の検討》
実施例4で得られた組換えHlAP融合タンパク質を用いて、アスパラギン酸プロテアーゼのヘモグロビン(Hb)分解活性を検討した。250μg、500μg、又は1mgのヘモグロビン(シグマ)をpH3.5、pH4.0、pH4.5、又はpH5.0の0.1mol/L酢酸ナトリウム緩衝液に溶解後、これにそれぞれ組換えHlAP融合タンパク質1μgを加え、37℃で18時間反応させた後、この反応液を非還元下で15%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)し、クーマシー青で染色した。また、これと同様のヘモグロビン・組換えHlAP融合タンパク質の混合物に、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるペプスタチン(シグマ)100μg、システインプロテアーゼ阻害剤であるロイペプチン(シグマ)100μg、又はシステインプロテアーゼ阻害剤であるE−64(シグマ)10μgを加え、37℃で18時間反応させた後の反応液についても、非還元下で15%SDS−PAGE後、クーマシー青で染色し、ヘモグロビン分解と阻害について確認を行った。
結果を図7に示す。図7において、レーンMは、分子量マーカーであり、レーン1〜6は、表1に示す各条件で反応を実施した場合の結果である。図7において、太い矢印(3本)は、ヘモグロビン4量体(約60kDa)、ヘモグロビン2量体(約32kDa)、及びヘモグロビン単量体(約16kDa)の位置を示し、細い矢印(1本)は、組換えアスパラギン酸プロテアーゼ融合タンパク質の位置を示す。なお、表1において、記号「+」は、反応系に含まれることを意味し、記号「−」は、反応系に含まれることを意味する。また、表1において、記号P、L、及びEは、それぞれ、ペプスタチンA、ロイペプチン、及びE−64を意味する。
図7に示すとおり、ヘモグロビンは、組換えHlAP融合タンパク質により完全に分解された(レーン3)。前記活性は、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるペプスタチンA(レーン4)により阻害されたが、システインプロテアーゼ阻害剤であるロイペプチン(レーン5)又はE−64(レーン6)によっては阻害されなかった。
《表1》
レーン 1 2 3 4 5 6
rHlAP + − + + + +
Hb − + + + + +
阻害剤 − − − P L E
《実施例10:dsRNAによるアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子の発現不活化の効果》
本実施例では、dsRNA処理によりアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子の発現不活化を行い、その効果を検討した。dsRNAとしては、配列番号3で表される塩基配列(1216塩基)からなるRNAとその相補的塩基配列からなるRNAとからなるdsRNAを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に溶解して使用した。配列番号3で表される塩基配列における21番〜1196番の塩基からなる配列が、フタトゲチマダニ・アスパラギン酸プロテアーゼのコード領域(配列番号1で表される塩基配列における16番〜1191番の塩基からなる配列)に対応する。
前記dsRNA(1.0μg)をフタトゲチマダニの雌成ダニ(各群30匹)の第4脚基節から体腔に注入した後、4日間吸血させ、回収したものをRT−PCR法又はウェスタンブロッティングにより分析した。RT−PCR法によるmRNA発現分析の結果を図8に、ウェスタンブロッティングによりタンパク質発現分析の結果を図9に示す。
図8において、レーンMは、分子量マーカーであり、レーン1及び2は、アクチン検出用プライマーセットを用いた結果であり、レーン3及び4は、アスパラギン酸プロテアーゼ検出用プライマーセットを用いた結果である。また、レーン1及び3は、コントロール群(PBS注入)の結果であり、レーン2及び4は、試験群(dsRNA注入)の結果である。また、図9において、レーンMは、分子量マーカーであり、レーン1は、コントロール群(PBS注入)の結果であり、レーン2は、試験群(dsRNA注入)の結果である。
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はベクターは、例えば、マダニ(特にはフタトゲチマダニ)媒介性感染症の治療又は予防、特にマダニワクチンの用途に適用することができる。
配列番号3の配列で表される塩基配列はdsRNA配列である。
組換えフタトゲチマダニ(Hl)アスパラギン酸プロテアーゼ(AP)融合タンパク質の電気泳動の結果を示す、図面に代わる写真である。 組換えHlAP融合タンパク質免疫血清による天然型アスパラギン酸プロテアーゼの検出試験における電気泳動の結果を示す、図面に代わる写真である。 組換えHlAP融合タンパク質の電気泳動(ウェスタンブロッティング)の結果を示す、図面に代わる写真である。 組換えHlAP融合タンパク質のプロテアーゼ活性測定の結果を示すグラフである。 各種器官における天然型アスパラギン酸プロテアーゼの発現分布を確認するために実施した電気泳動(RT−PCR法)の結果を示す、図面に代わる写真である。 各種器官における天然型アスパラギン酸プロテアーゼの発現分布を確認するために実施した電気泳動(ウェスタンブロッティング)の結果を示す、図面に代わる写真である。 組換えHlAP融合タンパク質のヘモグロビン分解活性を確認するために実施した電気泳動(ウェスタンブロッティング)の結果を示す、図面に代わる写真である。 dsRNA処理によるアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子の発現不活化を確認するために実施した電気泳動(RT−PCR法)の結果を示す、図面に代わる写真である。 dsRNA処理によるアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子の発現不活化を確認するために実施した電気泳動(ウェスタンブロッティング)の結果を示す、図面に代わる写真である。

Claims (7)

  1. (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列からなるポリペプチド;
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド;
    (3)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を示すポリペプチド;又は
    (4)配列番号2で表されるアミノ酸配列における23番〜391番のアミノ酸からなる配列、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、アスパラギン酸プロテアーゼ活性を有するポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  3. 請求項2に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  4. 請求項2に記載のポリヌクレオチド、又は、請求項3に記載のベクターによって形質転換されている形質転換体。
  5. 請求項4に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求項1に記載のポリペプチドを製造する方法。
  6. 請求項1に記載のポリペプチドに対する抗体又はその抗原結合断片。
  7. 請求項1に記載のポリペプチドと試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を分析する工程を含む、前記ポリペプチドのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を修飾する物質のスクリーニング方法。
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