(詳細な説明)
本明細書に開示するのは、ダニ類害虫を制御する方法であって、該ダニ類害虫の居場所に単離ポリペプチド毒素を適用することを含み、該ポリペプチド毒素が殺ダニ活性を有する、方法である。一実施形態において、ポリペプチド毒素は、Atrax属及びHadronyche属のオーストラリアジョウゴグモの毒等のクモ毒の成分である。特異的なポリペプチド毒素には、オメガ−ACTX−1及びオメガ−ACTX−2のポリペプチドファミリー等のオメガ−ACTXポリペプチド、並びにこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが含まれる。これらのポリペプチド及びそれらをコードするポリヌクレオチドは、単独又はその他の殺ダニポリペプチド又はその遺伝子又はその他の殺ダニ剤と組み合わせて、殺ダニ剤として使用することができる。殺ダニ剤又は殺ダニ剤組成物は、1種類以上のダニ(コナダニ及びマダニ)に毒性を有するものである。殺ダニ活性とは、ダニ類を殺すか麻痺させる、又はその成長又は繁殖を阻害するポリペプチドの能力を指す。LD50は、被験ダニ類の50%を死亡させたオメガ−ACTXポリペプチドの用量である。
一実施形態において、ダニ類に投与されたオメガ−ACTXポリペプチド等のポリペプチド毒素のLD50は、約5000pmol/g未満、約2500pmol/g、約1000pmol/g、約750pmol/g、約500pmol/g未満又は約250pmol/g未満である。
開示した方法で使用するのに好適な毒素は、オメガ−ACTXポリペプチドと総称し、オメガ−ACTX−Hv1a(配列番号1)及びオメガ−ACTX−Hv2a(配列番号2)ポリペプチド並びにそれらのホモログを含む。
本明細書で使用されるオメガ−ACTX−Hv1aポリペプチドは、分子量が約4000Daであり、約36〜約37個のアミノ酸の長さを有し、3つの鎖間ジスルフィド架橋を形成することができるポリペプチドである。オメガ−ACTX−Hv2aポリペプチドは、分子量が約4500Daであり、約41〜約45個のアミノ酸の長さを有し、3つの鎖間ジスルフィド架橋を形成することができるポリペプチドである。一実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aペプチドは、配列番号1との70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上の配列同一性を有し、殺虫及び/又は殺ダニ活性を有する。別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv2aポリペプチドは、配列番号2との70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上の配列同一性を有し、殺虫及び/又は殺ダニ活性を有する。
オメガ−ACTXポリペプチドは、成熟ポリペプチド、プレプロポリペプチド(prepropolypeptide)又はプロポリペプチドの形態をとることができる。理論に拘束されるわけではないが、オメガ−ACTXポリペプチドの生物学的活性型は、成熟ポリペプチドを産生するためのプレプロポリペプチド前駆体の翻訳後のタンパク質分解プロセス(例えば、開裂)によって生成されると考えられている。開裂は、プレプロポリペプチドの特定のアミノ酸配列モチーフを認識するプロテアーゼによって、プレプロポリペプチドをエンド型タンパク質分解することで行われる場合がある。プレプロポリペプチドの「プレ」の部分は、プレプロポリペプチドのシグナルペプチド部分を指す。理論に拘束されるわけではないが、シグナル配列はプレプロポリペプチドのターゲティング、並びにオメガ−ACTXを産生する細胞の小胞体内腔を超えたその転座において役割を担っている。一実施形態において、シグナルペプチド配列は、配列番号3 MNTATGX1IALLVLATVIGCIX2A(式中、X1はV又はFであり、X2はS又はEである)を含む。同様の様式で機能するその他のシグナル配列も使用される場合がある。別の実施形態において、プレプロポリペプチドの「プロ」の部分は、配列番号4 EDTRADLQGGEAAEKVFRR;配列番号5 DFX3GX4FEX5X6X7X8EDAERIFRR(式中、X3はQ又はEであり、X4はG又はSであり、X5はP又はSであり、X6はY又はSであり、X7はE又は不在であり、X8はG、E又はVである);配列番号6 GESHVREDAMGRARR又は成熟オメガ−ACTXポリペプチドの上流に共有結合するその他の配列を指す。理論に拘束されるわけではないが、プロ配列が担う可能性のある役割には、小胞体内腔からの毒素の運び出しの促進、酵素が触媒する成熟毒素配列の酸化的フォールディングの補助、並びにタンパク質分解プロセス及び翻訳後修飾に関与する酵素のシグナル伝達が含まれる。プロ配列内のRRモチーフは、エンド型プロテアーゼの開裂部位であると考えられている。従って、オメガ−ACTXポリペプチドを含む精製ポリペプチドは、更にシグナルペプチド配列(「プレ」配列、プロ配列又はそれらの組み合わせ)を含む場合もある。
約22個の残基からなるシグナル配列(「プレ」配列)、及び約15個の残基からなるプロペプチド配列(「プロ」配列)は、オメガ−ACTXのオーソログで共通して良好に保存されている。一般的には、シグナル配列及び開裂モチーフ内よりも成熟毒素配列内により多くの変異が存在する。
一実施形態においては、雄のオーストラリアジョウゴグモAtrax robustusの毒腺由来のcDNAライブラリーの分析により単離された、オメガ−ACTX−Hv1aの5個のオーソログ(配列番号7、10、13、16及び19)の完全なプレタンパク質配列が含まれる。一実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号7のプレプロペプチドを含む。
配列番号7をコードするポリヌクレオチドは、配列番号8である。
配列番号7に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号9である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号10のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号10をコードするポリヌクレオチドは、配列番号11である。
配列番号10に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号12である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号13のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号13をコードするポリヌクレオチドは、配列番号14である。
配列番号13に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号15である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号16のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号16をコードするポリヌクレオチドは、配列番号17である。
配列番号16をコードするポリヌクレオチドは、配列番号18である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号19のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号19をコードするポリヌクレオチドは、配列番号20である。
配列番号19に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号21である。
又、雌のオーストラリアジョウゴグモAtrax robustusの毒腺由来のcDNAライブラリーの分析により単離されたオメガ−ACTX−Hv1aの1個のオーソログ(配列番号22)の完全なプレタンパク質配列も含まれる。
配列番号22をコードするポリヌクレオチドは、配列番号23である。
配列番号22に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号24である。
又、雌のオーストラリアジョウゴグモHadronyche infensaの毒腺由来のcDNAライブラリーの分析により単離されたオメガ−ACTX−Hv1aの10個のオーソログ(配列番号25、28、31、34、37、40、43、45、49及び52)の完全なプレタンパク質配列も含まれる。
配列番号25をコードするポリヌクレオチドは、配列番号26である。
配列番号25に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号27である。
一実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号28のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号28をコードするポリヌクレオチドは、配列番号29である。
配列番号28に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号30である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号31のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号31をコードするポリヌクレオチドは、配列番号32である。
配列番号31に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号33である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号34のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号34をコードするポリヌクレオチドは、配列番号35である。
配列番号34に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号36である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号37のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号37をコードするポリヌクレオチドは、配列番号38である。
配列番号37に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号39である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号40のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号40をコードするポリヌクレオチドは、配列番号41である。
配列番号40に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号42である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号43のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号43をコードするポリヌクレオチドは、配列番号44である。
配列番号43に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号45である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号46のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号46をコードするポリヌクレオチドは、配列番号47である。
配列番号46に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号48である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号49のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号49をコードするポリヌクレオチドは、配列番号50である。
配列番号49に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号51である。
別の実施形態において、オメガ−ACTX−Hv1aオーソログは、配列番号52のプレプロペプチド配列を含む。
配列番号52をコードするポリヌクレオチドは、配列番号53である。
配列番号52に相当する成熟ポリペプチド毒素は、配列番号54である。
本発明は単離又は精製したオメガ−ACTXポリペプチドを含む。「単離」又は「精製」ポリペプチド又はその断片は、細胞材料又はそこからポリペプチドが由来する細胞又は組織からの他の汚染ポリペプチドを実質的に持たないか、化学的前駆体又は化学的に合成された場合は他の化学物質を実質的に持たない。「細胞材料を実質的に持たない」という用語は、ポリペプチドが、そこから単離又は遺伝子組換えで生成した細胞の細胞構成要素からポリペプチドが分離される、ポリペプチドの調製物を含む。そのため、細胞材料を実質的に持たないポリペプチドは、異種のポリペプチド(本明細書では「汚染ポリペプチド」とも呼ぶ)を約30%、約20%、約10%又は約5%未満(乾燥重量で)を有するポリペプチドの調製物を含む。一実施形態において、調製物は少なくとも約75重量%、より具体的には少なくとも約90重量%、最も具体的には少なくとも約95重量%純粋である。実質的に純粋なオメガ−ACTXポリペプチドは、例えば天然の供給源(昆虫細胞等)からの抽出、オメガ−ACTXポリペプチドをコードする遺伝子組換え核酸の発現又はポリペプチドの化学的合成によって得ることができる。純度は適切な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)解析によって測定することができる。
又、本発明はオメガ−ACTXポリペプチドのホモログを含む。「ホモログ」は、当該技術分野で当該配列と高度に関連する配列を保有するポリヌクレオチド又はポリペプチド配列を示すために使用される包括的用語である。このような関連性は、比較対象の配列間の同一性及び/又は類似性の程度を測定することによって定量化することができる。この包括的用語に含まれるのは、他の動物種のポリヌクレオチド又はポリペプチドの機能的等価物であるポリヌクレオチド又はポリペプチドを意味する「オーソログ」及び、同じ動物種で検討した場合に機能的に類似する配列を意味する「パラログ」である。同じ動物種に存在するパラログ又はその他の動物種のオメガ−ACTX遺伝子のオーソログは、不適切な実験をしない限り、当該技術分野で既知の分子生物学的技術により容易に同定することができる。
本明細書で使用される、2個のアミノ酸配列又は2個の核酸の「相同率」は、Karlin and Altschul (1990)のアルゴリズムを使用して決定される Proc. Natl. Acad. Sci., USA. 87: 2264−2268。このようなアルゴリズムをAltschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403−410のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込む。XBLASTプログラム(スコア=50、語長=3)を実施してBLASTタンパク質を検索し、参照ポリペプチド(例えば配列番号1)に相同のアミノ酸配列を得る。NBLASTプログラム(スコア=100、語長=12)を実施してBLASTヌクレオチドを検索し、核酸分子に相同のヌクレオチド配列を得る。比較を目的としてアライメントのずれを得るには、Altschul, et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25: 3389−3402の記載の通り、Gapped BLASTを使用する。BLAST及びGapped BLASTプログラムを使用する場合は、一般的にはデフォルトのパラメータを使用する(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照)。
関連ポリペプチドを、種々の欠失、置換及びその他の修飾に相同性の程度を割り当てることで、オメガ−ACTXとアライメントさせる。相同性は、全ポリペプチド又はポリヌクレオチドに従って、又は隣接残基のサブセットに従って、決定することができる。同一率は、2つの配列を比較して同一であるアミノ酸又はヌクレオチドの割合である。類似率は、2つの配列を比較して化学的に類似するアミノ酸又はヌクレオチドの割合である。成熟オメガ−ACTX及び相同ポリペプチドは、好ましくは約70%以上、具体的には約75%以上、更に具体的には約80%以上、更に具体的には約85%以上、更に具体的には約90%以上、最も具体的には95%以上同一であるのがよい。配列番号1又は配列番号2を参照ポリペプチドとして使用する。
特定のポリペプチドが、あらかじめ規定された長さの参照ポリペプチドと特定の同一率であるとする場合、同一率は参照ペプチドに対するものである。このため、100個のアミノ酸の長さである参照ポリペプチドに50%同一のポリペプチドは、参照ポリペプチドの50個のアミノ酸部分に完全に同一な50個アミノ酸ポリペプチドであることができる。又、参照ポリペプチドの全長に対して50%同一な100個アミノ酸ポリペプチドであることもできる。無論、他の多くのポリペプチドが同じ基準に合致する。
一次アミノ酸配列の「修飾」には、「欠失」(即ち、1個以上のアミノ酸残基が不在であるポリペプチド)、「追加」(即ち、特定のポリペプチドと比較して1個以上の追加的なアミノ酸残基を有するポリペプチド)、「置換」(即ち、1個以上のアミノ酸残基の置換により生じたポリペプチド)及び「断片」(即ち、特定のポリペプチドの一次配列の部分と同一の一次アミノ酸配列からなるポリペプチド)が含まれる。又、「修飾」には、ポリペプチドの一次、二次又は三次構造の糖化、アミド化(例えばC末端アミド化)、脂質化パターンを変化させる翻訳後イベントの結果変化したポリペプチドが含まれる。N末端及び/又はC末端の修飾が可能である。
オメガ−ACTXのヌクレオチド又はアミノ酸配列の何れかの本明細書における参照は、これらの配列の自然発生の亜型の参照を含む。本明細書では、プレプロポリペプチドでは配列番号7、10、13、16、19、22、25、28、31、34、37、40、43、46、49又は52、成熟ポリペプチドでは配列番号9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51又は54とは異なり、生物学的機能を保持する非自然発生の亜型も含まれる。亜型は、保存的アミノ酸変更、即ち同じく荷電又は非荷電したアミノ酸の変更を有するポリペプチドを含むことができる。遺伝学的にコードされたアミノ酸は、一般的には(1)酸性(アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩);(2)塩基性(リジン、アルギニン、ヒスチジン);(3)非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);及び(4)非荷電極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、シスチン、セリン、スレオニン、チロシン)の4つのファミリーに分類される。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、共に芳香族アミノ酸として分類されることがある。ファミリーの各メンバーは同じファミリーの他のメンバーと類似した物理的及び化学的特性を有するため、ロイシンをイソロイシン又はバリンと、アスパラギン酸塩をグルタミン酸塩と、スレオニンをセリンとの単独の置換又は、構造的に関連したアミノ酸とのアミノ酸の類似した置換は、結果得られる分子の結合特性に大きな影響を与えないと予測することは妥当である。アミノ酸の変更がポリペプチドの機能に影響するかどうかは、オメガ−ACTXポリペプチド誘導体の殺ダニ活性を測定することにより容易に決定することができる。
オメガ−ACTXとする引用は、オメガ−ACTXのポリペプチド誘導体も指す。本明細書で使用する場合、「ポリペプチド誘導体」は、自然発生したオメガ−ATCXと長さが異なり、オメガ−ACTXで認められる同じ一次配列の約15個以上のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。ポリペプチド誘導体は、そのポリペプチド誘導体が殺ダニ活性を有する限り、オメガ−ACTXよりも長くてもよく、オメガ−ACTX(例えば活性断片)よりも短くてもよい。オメガ−ACTXと同じアミノ酸配列を実質的に有するが、オメガ−ACTXポリペプチド誘導体の殺ダニ活性に実質的に影響しない程度の少ないアミノ酸置換を有するポリペプチドは、オメガ−ACTXポリペプチド誘導体の定義に含まれる。
オメガ−ACTXのホモログは幾つかの方法で同定することができる。ある方法では、オメガ−ACTXのオーソログの前駆体をコードする天然のmRNAを、標準的な分子生物学的技術を使用して同定し、このようなオーソログのためのクモ毒腺cDNAライブラリーを選別する。成熟オメガ−ACTXオーソログのアミノ酸配列は、成熟毒素を得ることのできるプロペプチドのエンド型タンパク質分解はその成熟毒素のすぐ前に位置するArg−ArgプロセシングのC末端側で起こる可能性が高いということに留意して、同定したcDNA配列の翻訳によって得ることができる(図2の二番目の矢印を参照)。天然の成熟オメガ−ACTXオーソログはその後、そのクモ毒のクロマトグラフィーによる分画により単離し、その後オメガ−ACTXオーソログcDNA配列から予測される質量のマッチングを有するペプチド毒素を同定して精製する。別の方法では、合成J−アトラコトキシン−Hv1cの産生について以前に報告されているように(Wang et al. (2000) Nature Structural Biology 7, 505−513)、合成成熟毒素をオメガ−ACTX配列の固相ペプチド合成により生成し、その後システインを酸化して天然のジスルフィド異性体を形成する。一実施形態においては、オメガ−ACTXポリペプチドを酸化して、還元され凍結乾燥されたペプチドをグルタチオン酸化還元緩衝剤中でインキュベートすることにより、その天然の三次構造に折り畳む。好適なグルタチオン酸化還元緩衝剤は、200mM 3−[N−モルフォリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)pH7.3、400mM KCl、2mM EDTA、4mM 還元グルタチオン(GSH)及び2mM 酸化グルタチオン(GSSG)を含むが、多数の亜型が当業者には既知である。この反応混合物を、例えば4℃又は室温例えば37℃で一晩インキュベートした後、逆相HPLCを使用して分画し、個々のジスルフィド異性体を分離する。分画を回収し、殺ダニ活性を測定する。別の方法においては、オメガ−ACTXオーソログを化学的に又は遺伝子組換えDNA技術を使用して、オメガ−ACTXオーソログをコードするcDNAから合成する。別の方法において、オメガ−ACTXオーソログは、遺伝子組換えDNA技術を使用して、当該技術分野で既知の手法でオメガ−ACTXをコードする合成遺伝子を構築することによって調製する。
本発明は、例えば、配列番号8、11、14、17、20、23、26、29、32、35、38、41、44、47、50又は53等の単離オメガ−ACTXポリヌクレオチドを含む。「単離ポリヌクレオチド」という用語は、天然資源の核酸に存在する他の核酸分子から分離したポリヌクレオチドを含む。例えば、ゲノムDNAに関して言えば、「単離」という用語はゲノムDNAが自然に伴う染色体から分離したポリヌクレオチドを含む。「単離」ポリヌクレオチドは、その核酸が由来する生体のゲノムDNAの核酸(即ち核酸の5’及び/又は3’末端に位置する配列)の自然に態様に位置する配列を持たない。例えば、種々の実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、その核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子の自然に態様に位置する約5kb未満、約4kb未満、約3kb未満、約2kb未満、約1kb未満、約0.5kb未満又は約0.1kb未満の5’及び/又は3’末端のヌクレオチド配列を含有することができる。更に、cDNA分子等の「単離」ポリヌクレオチドは、他の細胞材料又は、遺伝子組換え技術で産生する場合は細胞培地を実質的に含まず、化学的に合成する場合は化学的前駆体又はその他の化学物質を実質的に含まない。他の細胞材料を含まないというのは、その単離ポリヌクレオチドが約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%、約95%以上又は約99%以上純粋であることを意味する。
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、少なくとも5塩基の長さのヌクレオチドの重合形を指す。ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド又はその何れかのヌクレオチドの修飾型であることができる。修飾は、自然発生の塩基の既知の置換、糖又はヌクレオシド間(骨格)と5−メチルシトシン等の修飾塩基、2’−メトキシ及び2’−フルオロ糖等の修飾糖及びホスホロチオエート及びメチルホスホネート等の修飾骨格との結合を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖を生成するのに関与するDNAのセグメントを意味する。即ち、コード領域の前後の領域(リーダー及びトレイラー)及び個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含む。
ポリヌクレオチドは、DNA分子、cDNA分子、ゲノムDNA分子又はRNA分子であることができる。DNA又はRNA等のポリヌクレオチドは、TがUでもあることができる配列を含む。ポリヌクレオチドは、オメガ−ACTXポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば配列番号8、11、14、17、20、23、26、29、32、35、38、41、44、47、50又は53)に相補的であることができ、ここで相補的とは2個のヌクレオチド間で正確な対合を行う能力を指す。例えば、あるポリヌクレオチドの特定の位置にあるヌクレオチドがDNA又はRNA分子の同じ位置にあるヌクレオチドと水素結合することができる場合、そのポリヌクレオチドとそのDNA又はRNA分子とはその位置において互いに相補的である。そのポリヌクレオチドとそのDNA又はRNA分子は、各分子の十分な数の対応する位置が互いにハイブリダイズすることのできるヌクレオチドで占められ所望のプロセスに作用することができる場合、実質的に互いに相補的である。本明細書で使用する場合、ハイブリダイゼーションは、相補的ヌクレオシド又はヌクレオチド塩基間の水素結合を意味し、これはWatson−Crick型、Hoogsteen型又は逆Hoogsteen型水素結合であることができる。
又、オメガ−ACTXポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば配列番号8、11、14、17、20、23、26、29、32、35、38、41、44、47、50又は53)と実質的に同一なポリヌクレオチド又は配列番号1及び2に実質的に同一なタンパク質をコードするポリヌクレオチドが含まれる。「実質的に同一」とは、参照アミノ酸の配列又は核酸配列に少なくとも約85%、具体的には約90%、より具体的には約95%以上同一な配列を有するポリペプチド又はポリヌクレオチドを意味する。ポリペプチドでは、参照ポリペプチド配列の長さは一般的に少なくとも約16個のアミノ酸、具体的には少なくとも約20個のアミノ酸、より具体的には少なくとも約25個のアミノ酸、最も具体的には少なくとも約35個のアミノ酸である。核酸では、参照核酸配列の長さは一般的に少なくとも約50個のヌクレオチド、具体的には少なくとも約60個のヌクレオチド、より具体的には少なくとも約75個のヌクレオチド及び最も具体的には約110個のヌクレオチドである。
一般的には、あるポリヌクレオチドに相同な配列はハイブリダイゼーションによって確認され、そのハイブリダイゼーションは例えばSambrookら、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd ed. (Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)に記載のようなストリンジェントな条件下で行われるのが望ましい。Sambrook等によって概説されているこのストリンジェントなハイブリダイゼーションを使用して(即ち、核酸断片を2回洗浄し、各洗浄は、室温にて30分間2×塩化ナトリウム及びクエン酸ナトリウム(SCC)及び0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で洗浄した後、50℃で30分間2×SCC及び0.1%SDSで1回洗浄し、その後、室温にて10分間2×SCCで洗浄するのを2回繰り返すことからなる)、多くても約25〜約30%の塩基対のミスマッチ又は約15〜約25%の塩基対のミスマッチ又は約5〜約15%の塩基対のミスマッチを含む相同な配列を同定することができる。
相同なポリペプチドは、例えば従来のポリヌクレオチドの部位特異的突然変異(機能的に重要又は重要でないその分子の残基をルーチンに同定していく一種の方法)、無作為的変異、化学的合成又はそのポリペプチドの化学的又は酵素的開裂により、生成することができる。
オメガ−ACTX配列をコードするポリヌクレオチドは、このような遺伝子配列に特異的にハイブリダイズすることのできる比較的短いDNA(又はRNA)配列の調製を可能にする。短い核酸配列は、所定の試料における相補的配列の有無を検出するためのプローブとして使用することができるか、オメガ−ACTXポリペプチドをコードするDNA配列のあらかじめ規定されたセグメントを検出、増幅又は変異させるプライマーとして使用することができる。ハイブリダイゼーション試験に使用する核酸配列は、長さが約14個のヌクレオチド以上であって、その断片が十分な長さをもち安定で選択的な二本鎖分子を形成することができるようにすることができる。このような断片は、例えば化学的手段によりその断片を直接合成するか、PCR技術等の核酸複製技術を応用するか、適切な挿入配列及び好適な制限部位を含有する遺伝子組換えプラスミド由来の選択された核酸断片を開裂することによって調製することができる。
オメガ−ACTX及びホモログポリヌクレオチドは、遺伝子組換え発現ベクター又は複数のベクターに挿入することができる。「遺伝子組換え発現ベクター」という用語は、オメガ−AXTX遺伝配列の挿入又は組み入れにより操作されたプラスミド、ウイルス又は当該技術分野で既知のその他の手段を指す。「プラスミド」という用語は一般的に本明細書では、当業者には既知の標準的な呼称の慣例に従って、小文字のpで始まり、大文字及び/又は数字を続けて記す。本明細書で開示するプラスミドは市販されているか、無制限に一般的に公開されているか、既知の公開された手順をルーチンに応用することで入手可能なプラスミドから構築することができる。多くのプラスミド及びその他のクローニング及び発現ベクターは既知であり、容易に入手できるか、当業者は使用に好適なプラスミドを幾つでも容易に構築することができる。これらのベクターは好適な宿主細胞に形質導入して、ポリペプチドの産生のための宿主細胞ベクター系を形成することができる。
オメガ−ACTXポリヌクレオチドには、オメガ−ACTXをコードする核酸分子に操作的に結合した細菌、植物、酵母、昆虫、両生類、又は哺乳動物細胞中の核酸分子の発現に必要な調節要素を更に含む、細菌、植物、酵母、昆虫、両生類又は哺乳動物細胞における発現に適したベクターを挿入することができる。「操作的に結合」は、記載された成分がその意図する方法で機能することを可能にするような関係で並置されることを意味する。コード配列に操作的に結合した発現制御配列は、コード配列の発現が発現制御配列と両立可能な条件下において達成されるように結合する。本明細書で使用される「発現制御配列」という用語は、それが操作的に結合された核酸配列の発現を制御する核酸配列を指す。発現制御配列は、その発現制御配列が核酸配列の転写及び必要に応じて翻訳を調節及び制御する場合には、核酸配列に操作的に結合している。このため、発現制御配列は、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コード遺伝子の前に開始コドン(即ちatg)、イントロンのためのスプライシングシグナル(イントロンが存在する場合)、mRNAの適切な翻訳を可能にする当該遺伝子の正しいリーディングフレームの維持及び終止コドンを含むことができる。「制御配列」という用語は、少なくとも、その存在が発現に影響を与える成分を含むことを意図し、その存在が有益な、例えばリーダー配列及び融合パートナー配列等の追加的な成分も含むことができる。発現制御配列はプロモーターを含むことができる。「プロモーター」とは、転写を命令するのに十分な最小の配列を意味する。又、プロモーター依存の遺伝子発現を細胞特異的、組織特異的に制御可能にするか、外部のシグナル又は物質によって誘導可能にするのに十分なプロモーター要素も含まれる。このような要素は遺伝子の5’又は3’領域に位置することができる。構成プロモーター及び誘導プロモーターの何れもが含まれる。
発現ベクターを、植物を形質転換するのに使用する場合、植物中で発現を駆動する能力を有するプロモーターを選択することができる。植物中で機能するプロモーターは業界内で既知である。組織特異的な植物プロモーターの例は、トウモロコシスクロース合成酵素−1プロモーター、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV 35S)プロモーター、S−E9小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモーター及びトウモロコシ熱ショックタンパク質プロモーターである。
発現ベクター、究極にはポリペプチドコード領域を操作的に結合するプロモーターの選択は、例えばタンパク質の発現の位置及び時期や形質転換する宿主細胞等の所望の機能特性によって直接左右される。一実施形態において、ポリペプチドを発現するのに使用するベクターは、植物細胞で有効な選択マーカーを含む。植物を形質転換するのに使用する形質転換ベクター及びそれらのベクターの作製方法は、例えば米国特許第4,971,908号、4,940,835号、4,769,061号及び4,757,011号に記載されており、これらを本願に引用して援用する。
又、発現系は、毒素遺伝子の発現及び/又は毒素の折り畳みを容易にするシグナルペプチド及びプロポリペプチド配列も含有する。これらは、本明細書に開示する天然のオメガ−ACTXシグナル及びポリペプチド配列又は同じ目的に役立つ他のシグナル及び/又はプロペプチド配列であることができる。
ウイルスに感染しやすい昆虫は、昆虫ウイルスの標的であることができる。昆虫ウイルスの宿主の範囲は、少なくとも部分的には未修飾の野生型ウイルスの天然の宿主範囲によって決定される。昆虫ウイルスは自然発生の昆虫病原体である。これらはDNAウイルス又はRNAウイルスであってよい。多くの昆虫ウイルス及びその宿主の範囲は、宿主特異的であり環境的に安全なウイルスをはじめとして業界内で既知である。好適な昆虫ウイルスは、有害昆虫に対する生物学的制御物質として従来使用されてきたDNAウイルス、例えばバキュロウイルス(ヌクレオポリヘドロウイルス及びグラニュロウイルス)及びエントモポックスウイルスである。例えば、本願に引用して援用する米国特許第4,879,236号に開示されているようなバキュロウイルス発現ベクターを産生することができる。好適なRNAウイルスには、シポウイルスが含まれるがこれに限定されない。
高等植物の遺伝子の発現に有用なベクターは業界内で既知であり、Agrobacterium tumefaciensの腫瘍誘導(Ti)プラスミド及びpCaMVCN形質導入制御ベクター(Amersham Bioscienceより入手可能)に由来するベクターを含む。
発現ベクター又はその他のDNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に既知の技術により実施することができる。「形質転換」とは、新しいDNA(即ち細胞の外在DNA)の組み入れの後、細胞に恒久性又は一過性の遺伝的変化が誘導されることを意味する。その細胞が哺乳動物細胞である場合、恒久性の遺伝的変化は一般的に、細胞のゲノムへのDNAの導入によって達成される。「形質転換細胞」又は「宿主細胞」は、遺伝子組換えDNA技術によって本発明のポリペプチド(即ちオメガ−ACTXポリペプチド)をコードするDNA分子又はその断片が導入された(又はその祖先に導入された)細胞(例えば原核細胞又は真核細胞)を意味する。
宿主が真核細胞である場合、リン酸カルシウム共沈殿等のDNA形質導入方法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソームに包埋したプラスミドの挿入等の機械的手法並びに当該技術分野で既知のその他の方法を使用することができる。宿主が植物細胞である場合、例えばポリエチレングリコールを介するプロトプラストの形質転換、乾燥/阻害を介する(desiccation/inhibition−mediated)DNAの取り込み、炭化ケイ素線維との振盪、DNAコーティング粒子の加速、生殖器への注入及び未成熟胚への注入等の、細胞への他の遺伝子導入方法も使用することができる。
又、真核細胞には、本開示内容のポリペプチドをコードするDNA配列と、単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子等の選択可能な表現型をコードする第二の外来DNA分子とを同時に形質導入することもできる。好適なマーカーには、例えばネオマイシン及びヒグロマイシン等が含まれ、哺乳動物細胞に取り込ませることができる。マーカーへの耐性は、例えばその遺伝子が好適な真核細胞プロモーターを有する場合は、ネオマイシン遺伝子又はヒグロマイシン遺伝子によって付与することができる。別の方法は、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス又はウシパピローマウイルス等の真核細胞ウイルスベクターを使用して、真核細胞に一過性に感染又は形質導入させて当該タンパク質を発現させるものである(Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982)。一実施形態においては、真核細胞宿主を本明細書に記載のような宿主細胞として使用する。真核細胞は酵母細胞(Saccharomyces cerevisiae等)又はヒト細胞を含む哺乳動物細胞であることができる。
発現を命令するのに遺伝子組換えウイルス又はウイルス要素を使用する哺乳動物細胞系は、工学的に操作することができる。例えば、アデノウイルス発現ベクターを使用する場合、外来タンパク質をコードする核酸配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーター及び三分節(tripartite)リーダー配列に結合することができる。このキメラ遺伝子は、その後in vitro又はin vivo遺伝子組換えによって、アデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムを非重要領域に挿入すると、感染した宿主で生存し、オメガ−ACTXポリペプチドを発現することのできる遺伝子組換えウイルスができる。
長期的には、安定した発現を行う遺伝子組換えポリペプチドの高収率での生成が望ましい。ウイルス由来の複製物を含有する発現ベクターを使用するのではなく、適切な発現制御要素(プロモーター配列、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)によって制御されるオメガ−ACTX融合ポリペプチドをコードするcDNA及び選択マーカーで宿主細胞を形質転換することができる。遺伝子組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に耐性を付与し、細胞が安定的にその染色体にプラスミドを組み入れ、増殖して細胞巣を形成し、それをクローニングして細胞系まで拡大することを可能にする。例えば、外来DNAの導入後、工学的操作をした細胞は栄養の豊富な培地で1〜2日間増殖させ、その後選択的培地に切り替える。単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼを含むがこれらに限定されない多数の選択系を使用することができる。
又、オメガ−ACTXポリペプチドをデザインして、例えばカラムによる捕捉又は抗体の使用によって精製が容易な追加のC末端又はN末端アミノ酸をコードする配列を追加する等、追加的な配列を得ることができる。このようなタグは、例えばニッケルカラム上でのポリペプチドの精製を可能にするヒスチジンに富むタグを含む。このような遺伝子修飾技術及び好適な追加的配列は分子生物学の当該技術分野で既知である。
オメガ−ACTXタンパク質、ポリペプチド又はポリペプチド誘導体は、当該技術分野で既知の方法によって精製することができる。これらの方法は、サイズ排除クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画法、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、結晶化、等電点分画電気泳動、分取ゲル電気泳動及び前記の1つ以上の方法を含む組み合わせを含むが、これらに限定されない。当業者に既知の方法に基づいて精製を実施し、他のポリペプチド及び炭水化物、脂質又は細胞小器官を実質的に有さないオメガ−ACTXを調製することができる。純度は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動等の当該技術分野で既知の手段で評価することができる。
又、性質上それが結合しないポリペプチドに共有結合するオメガ−ACTXポリペプチドを含むオメガ−ACTX融合ポリペプチドが提供される。融合ポリペプチドは種々の検定系で使用するのに有用である。このため、融合ポリペプチドは例えば、オメガ−ACTXの発現を検出し、必要に応じてオメガ−ACTXの発現に対する防御機序を提供するために使用することができる。例えば、オメガ−ACTX融合ポリペプチドは、オメガ−ACTXポリペプチドと相互作用し、その機能に影響を与えるタンパク質を同定するのに使用することができる。この相互作用は、オメガ−ACTXが他のタンパク質を調節する能力に特異性を付与するか、オメガ−ACTXの機能の作用を促進又は抑制することができる。タンパク質親和性クロマトグラフィー等の物理的方法、又は酵母ツーハイブリッド又はファージディスプレイシステム等のタンパク質間相互作用のためのライブラリーに基づく検定をこの目的に使用することができる。このような方法は業界内で既知である。
融合ポリペプチドは、ペプチド結合によって融合した少なくとも2個の異種ポリペプチドセグメントを含む。第一のポリペプチドセグメントは、オメガ−ACTXポリペプチドの隣接アミノ酸の全体又は一部を含むことができる。一部を含む場合、オメガ−ACTXポリペプチドの少なくとも約8個の隣接アミノ酸、具体的には少なくとも約10個、より具体的には約15個、最も具体的には少なくとも約20個の隣接アミノ酸を使用することができる。第一のポリペプチドセグメントは又、全長オメガ−ACTXタンパク質であることもできる。第二のポリペプチドセグメントは、βガラクトシダーゼ等の検出可能な産物を生成する酵素又は当該技術分野で既知のその他の酵素を含むことができる。或いは、第二のポリペプチドセグメントは、緑色蛍光タンパク質、HcRed(Clontech)等の蛍光タンパク質又は当該技術分野で既知のその他の蛍光タンパク質を含むことができる。更に、融合タンパク質は、放射活性マーカー、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ビオチン化マーカー等の検出可能なマーカーで標識することができる。
遺伝子組換え又は共有結合によって2個のポリペプチドセグメントを結合する融合ポリペプチドの作製技術は既知である。遺伝子組換えDNA方法を使用して、例えば、第二のポリペプチドセグメントをコードし、宿主細胞中でDNA構築物を発現するヌクレオチドで適切なリーディングフレーム内のオメガ−ACTXコード配列を含むDNA構築物を作製することによって、オメガ−ACTX融合ポリペプチドを構築することができる。DNA構築物は、タンパク質の産生を容易にする配列(即ち、プロモーター等)に操作的に結合することができる。
融合ポリペプチドに加え、オメガ−ACTXは当該技術分野で既知の方法でin vitroで標識することができる。オメガ−ACTXは、テキサスレッド、ローダミン染料、フルオレセイン等の染料及び当該技術分野で既知のその他の染料と抱合させることができる。抱合用化学物質には、スクシニミジルエステル、イソチオシアネート及びマレイミドが含まれる。抱合可能な染料及び抱合用化学物質に関する詳細な情報は、Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Productsに記載されている。このような融合ポリペプチドは、短いアミノ酸配列に対して生成されたものよりも、特異性及び感受性の高い抗体を産生するのに使用することができる。更に、融合ポリペプチドを使用して、組織培養検定における細胞の生存、増殖及び分化に影響を与える能力を試験することができる。
オメガ−ACTXポリペプチド又は毒素のプレポリペプチド又はプレプロポリペプチド形態を発現するトランスジェニック植物を構築することができる。「トランスジェニック植物」とは、「形質転換植物」細胞、又は植物DNA(核又は葉緑体)が、同種の天然の非トランスジェニック植物に本来存在しない、導入された外在DNA分子を含有するプロトプラストに由来する植物又はその子孫を意味する。
単一の植物のプロトプラスト又は種々の外植体の何れかの植物の発育又は再生は、当該技術分野で既知である。この再生及び成長のプロセスは一般的には、形質転換細胞の選択、及び固着性の小植物段階を介した胚発達の通常の段階を通じたこれら個々の細胞の培養を含む。トランスジェニック胚及び種は同様に再生することができる。結果得られたトランスジェニックの固着性苗条をその後、土壌等の適切な植物成長培地に植えることができる。
再生した植物を自家受粉させて、同型接合トランスジェニック植物を得ることができる。このほか、再生した植物から得られた花粉を、農業学的に重要な近交系の種子植物と交配させることができる。逆に、重要な系の植物の花粉を使用して、再生した植物に受粉することができる。所望のポリペプチドを含有するトランスジェニック植物は、当業者に既知の方法で栽培することができる。
好適なトランスジェニック植物は、オメガ−ACTX遺伝子及びその子孫までの活性を伝播することのできる独立したセグレガントを含む。一実施形態において、トランスジェニック植物はオメガ−ACTX遺伝子の同型接合体であり、その遺伝子を性的交配でその子孫全てに伝播する。トランスジェニック植物の種を畑又は温室で成長させ、結果得られた性的に成熟したトランスジェニック植物を自家受粉して、真の交配植物を生成する。これらの植物からの子孫は真の交配系となり、例えば、好ましくは畑においてある範囲の環境条件下で1つ以上のダニ類に対する殺ダニ能力の増加等によって評価される。トランスジェニック植物は、トウモロコシ、ダイズ、綿、小麦、オート麦、大麦、その他の穀物、野菜、果物、果樹、ベリー類、芝草、観賞植物、潅木及び樹木等であることができる。
スクリーニング目的の突然変異殺ダニポリペプチドのライブラリーは、オメガ−ACTX−Hv1a、オメガ−ACTX−Hv2aの遺伝子又は亜型のin vitroの進化によって得られる。ライブラリーは、全オメガ−ACTX又は亜型遺伝子のerror−prone PCR又は適切な酵素でオメガ−ACTX又は亜型遺伝子を分解した後、全遺伝子配列のerror−prone PCRによる再構築を行うことにより作製することができる。これらのerror−prone PCR手順は、オメガ−ACTX又は亜型の完全なプレプロポリペプチド遺伝子配列にも応用することができる。
次に、変異型オメガ−ACTX又は亜型遺伝子配列のライブラリーを使用して、一連のオメガ−ACTX亜型アンタゴニストを生成することができる。次に、オメガ−ACTX又は選択したその亜型の分子的標的への結合の阻害能力に関してこれらのアンタゴニストをスクリーニングする。例えば、変異遺伝子ライブラリーのファージディスプレイによってスクリーニングを実施し、オメガACTXの分子的標的に強く結合するファージ粒子又はオメガACTX又は選択されたその亜型のオメガACTXの分子的標的への結合を阻害するファージ粒子を選択する。当業者は理解することであるが、変異遺伝子ライブラリーは、オリゴヌクレオチドカセット突然変異又は配位を無作為化した特定のヌクレオチドを使用した合成遺伝子の構築等の他の標準的な分子生物学的方法によって構築することもできる。
又、オメガ−ACTX及びその亜型の三次構造を使用して、オメガ−ACTXの重要な構造的要素、特に突然変異/トランケーション(truncation)/修飾の実験により活性において重要であることが明らかになった領域に類似したペプチド又は非ペプチド化合物の何れかの構造ライブラリーを検索(又は設計)することもできる。その後、これらの化合物の有する、オメガ−ACTX又はその亜型のその分子的標的への結合を阻害する能力を試験することができる。
一実施形態において、精製オメガ−ACTXポリペプチド及び農業学的に許容される担体を含む殺ダニ組成物が提供される。別の実施形態において、殺ダニ組成物は、オメガ−ACTXポリペプチドを発現するウイルスを含む。ウイルスへの感染は、摂取、吸入、昆虫ウイルスとの直接的な接触等の従来の方法を介して達成することができる。
殺ダニ組成物は、水性溶液又は懸濁液等の流動性を有する溶液又は懸濁液の形態をとることができる。このような水性溶液又は懸濁液は、適用前に希釈する濃縮ストック溶液として、或いはすぐに適用できる希釈済み溶液として提供される。別の実施形態において、殺ダニ組成物は、水に分散できる顆粒を含む。別の実施形態において、殺ダニ組成物は、顆粒水和剤を含む。更に別の実施形態において、殺ダニ組成物は、水和の粉末、粉剤、ペレット又はコロイド状濃縮物を含む。このような殺ダニ組成物の乾燥形態は、湿潤によって直ちに溶解するか、或いは放出制御、徐放又はその他の時間依存性で溶解するべく調合される。
オメガ−ACTXポリペプチドはin vitroで発現し、実地使用のために単離することができる。このようなポリペプチドは粗細胞ライセート、懸濁液、コロイド等の形態を取ることができるか、精製、精練、緩衝及び/又は更に処理して、活性殺ダニ調合物として調合することができる。
応用方法に関係なく、殺ダニ作用有効量で活性成分の量が適用されるが、これは制御される特異的なダニの種類、治療対象の特異的宿主又は環境、環境条件及び殺ダニ活性組成物の適用の方法、速度及び量等の因子によって異なる。
オメガ−ACTXポリペプチド、ポリヌクレオチド等を含む殺ダニ組成物は、農業学的に許容される担体と調合することができる。好適な農業学的担体は固体又は液体であることができ、業界内で既知である。「農業学的に許容される担体」という用語は、殺虫剤調合技術で通常使用される、例えば不活成分、分散剤、界面活性剤、粘着性付与剤、結合剤等の全ての補助剤を含む。これらは害虫駆除薬を調合する当業者には既知である。調合物は、1つ以上の固体又は液体の補助剤と混合することができ、従来の調合技術を使用して、殺ダニ組成物を好適な補助剤と均一に混合、ブレンド及び/又は粉砕する等、種々の方法によって調製することができる。
殺ダニ組成物は、単独で又は、その他の害虫駆除剤を含むがこれに限定されない他の化合物と共に使用することができる。これらは、界面活性剤、洗浄剤、ポリマー又は徐放剤等のその他の処理剤と共に使用することができる。殺ダニ組成物は、ダニ誘引剤を含むことができる。殺ダニ組成物は、全身投与又は局所投与の何れかの用途のため調合することができる。このような物質はダニ類に直接適用することもできる。
オメガ−ACTXポリペプチドは、ダニ類害虫の制御に関与する方法において特に有用である。ダニを制御する方法は、ダニの居場所に殺ダニ作用のための有効量のオメガ−ACTXポリペプチドを接触させることを含む。オメガ−ACTXポリペプチドは、精製ポリペプチド、場合により発現ベクター内にあるオメガ−ACTXポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、オメガ−ACTXポリペプチドを発現する植物細胞又は細菌細胞及び/又はオメガ−ACTXポリペプチドを発現するトランスジェニック植物の形態をとることができる。接触には、例えばオメガ−ACTXポリペプチドの注入、外的接触又はオメガ−ACTXポリペプチド又はポリヌクレオチド又はオメガ−ACTXポリペプチドを発現するウイルスの摂取が含まれる。
殺ダニ組成物はダニ有害生物の居場所に適用することができる。コナダニ又はマダニの「居場所」は、ダニ有害生物それ自体又はそのなかでコナダニ又はマダニが生息するか、それらの卵が存在する、それを取り巻く大気、それが食べる食物、それが接触する物体又は宿主を含めた環境を指す。殺ダニ適用の強度及び期間は、処置する特定のダニ有害生物及び特定の環境条件に特異的な条件に応じて設定することができる。担体に対する活性成分の構成比は、当然のことながら、その殺ダニ組成物の化学的性状、可溶性及び安定性並びに検討対象となる特定の調合物によって異なる。
マダニ及びコナダニ等の外部寄生虫の攻撃対象は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、バッファロー、スイギュウ、シカ、ウサギ、ニワトリ、七面鳥、鴨、ガチョウ、ダチョウ等の多数の家畜動物である。ウマ及びその他の娯楽のための動物も、毛皮のために育てられるミンクやその他の動物も、実験及び研究に使用されるラット、マウス及びその他の動物も外部寄生虫の攻撃対象である。イヌ及びネコ等のコンパニオン動物は外部寄生虫に攻撃されることが極めて多い対象で、これらの動物はヒトと密接につながっているため、このような寄生が彼らを伴うヒトにおいて問題となる。
殺ダニ剤を家畜及びコンパニオン動物に送達するための通常の方法には、動物の身体に殺ダニ剤を含有する液体をかける等の全身処理、例えば経口剤及び植込み型の徐放製剤等の殺ダニ剤を宿主の血液中で循環させるようにする全身投与、首輪や耳タグ等の通常物理的にその動物に装着されており、殺虫剤を持続的に数週間又は数ヵ月にわたって放出する徐放系、及び、食物や巣作りのための材料等の誘惑を提供する道具に動物が引き付けられ、それによってその動物が殺ダニポリペプチドを噴霧されるかコーティングされる自己投与方法が含まれる。自己投与方法では、動物はその道具に接触するか、何らかの方法でその道具が殺虫剤を放出するようなきっかけを与える。
ヒトも、ダニ類等の多くの外部寄生虫の宿主になる可能性があり、熱帯地域及び衛生状態の不良な地域では、寄生虫感染症は医療の現場でよくみられる問題である。マダニの場合、マダニは寄生虫及びヒト及び/又は動物に伝播するおそれのある他の病原体を運搬する。ヒトが罹患することのあるマダニが媒介する感染症には、ライム病、バベシア病及びヒト顆粒性アナプラズマ病が含まれる。これらとは異なり、疥癬は、顕微鏡によらなければ見えないコナダニのSarcoptes scabeiによる皮膚の感染症である。殺ダニポリペプチドは、例えば内服又は注射によってヒトに投与することができる。
マダニが媒介する疾患の場合、ヒト又は動物の宿主への伝播は、シカやマウス等の野生媒介動物を介して行われることがある。動物上(マウス等のげっ歯類、シカ、リス、家畜及びマダニの生息地に入るヒト等)で幼虫が約1週間生息して成長してから離れ、1週間から8ヵ月後にかけてあらゆる場所で脱皮(抜け殻)する。幼虫はその後、8脚の若虫になる。若虫は動物上で成長し、3〜11日間血を吸い、離れて、約1ヵ月後に脱皮する(時期は種類や環境条件によって異なる)。一度幼虫が脱皮すると、成虫のマダニ(雄又は雌)になる。マダニは草及び植物を這い上がり、その脚を上げて餌動物を「感知」し「探す」。マダニは口を挿入し、その餌動物に取り付き、その血を吸う。摂食中、マダニの唾液が宿主の身体及び血瘤に入ることがある。例えばBorrelia burgdorferiに感染しているマダニは、意図せずこの細菌を宿主に伝播することがある。
マダニのライフサイクルは媒介動物によって左右されるため、ヒト及び動物(家畜及びコンパニオン動物)におけるマダニが媒介する感染症を予防するための一つの方法は、媒介動物の居場所に殺ダニポリペプチドを適用することである。ポリペプチドは、例えば媒介動物、媒介動物の環境又は媒介動物の食物に適用することができる。一実施形態において、殺ダニ組成物は餌組成物の形態で投与される。餌組成物には、摂食刺激物質及び場合により誘引物質が含まれる。誘引物質とは、例えばげっ歯類の動物又はシカを餌に近づけるのに役立つ物質である。摂食刺激物質は、例えばげっ歯類の動物又はシカが、餌を摂食し、摂食し続けるようにさせる。ある物質は、誘引物質としても摂食刺激物質としても機能することができる。誘引物質は食物又は「好奇心をそそるエンハンサー」であることができる。餌組成物は、例えばマダニの群の少ないブラシの中又は住宅に設置することができる。
一実施形態において、殺ダニポリペプチドはダニ類の環境に適用される。ダニ類の生息地を処理するのに好適な適用法には、例えば、ダスティング、散水、浸漬、土壌への注入、種子のコーティング、苗木のコーティング、噴霧、曝気、ミスト化、霧化等が含まれる。これらの適用手順も当業者には既知である。
寄生するコナダニは、例えばヒト及び動物の皮膚に感染する。例えば疥癬は、顕微鏡によらなければ見えないコナダニのSarcoptes scabeiによるヒト皮膚の寄生虫症である。Psoroptes属等のコナダニは、例えばヒツジのような動物に感染し、疥癬を引き起こす。
殺ダニポリペプチドは、植物に寄生する植食性のコナダニ等のダニ類を制御するのに使用することができる。植食性のコナダニは、最も食欲の盛んな穀物の植食性害虫である。植食性のコナダニは、コナダニが摂食または生息する植物の部分に活性化合物を適用することによって制御することができる。殺ダニポリペプチドは、例えば噴霧、霧化、蒸気化、撒布、ダスティング、撒水、噴水、散水、注水及び燻蒸等の当該技術分野で既知の好適な方法で適用することができる。殺ダニポリペプチドの容量は、害虫の種類、使用する担体、適用の方法及び適用のための気候条件(屋内、乾燥、高湿度、風が強い、寒い、暑い、調節された気温等)及び調合剤の種類(エアロゾル、液体又は固体等)のような因子によって異なる。但し、有効用量は当業者によって容易に決定することができる。
一実施形態において、植食性のコナダニは、殺ダニポリペプチドを発現するトランスジェニック植物の使用によって制御することができる。
殺ダニポリペプチドは、一般的には屋内に生息するダニ類を制御することができる。殺ダニポリペプチドを使用して制御することのできるダニ類の、説明目的であって制限のない例には、アメリカハウスダストコナダニ(Dermatophagoides farinae)及びDermatophagoides pternonyssinus等のサシダニ科、Lardoglyphus konoi、カビ又はコプラ又はマグサコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)及びムギコナダニ(Aleuroglyphus ovatus)等のコナダニ科、Glycyphagus privatus、Glycyphagus domesticus、食料コナダニ(Glycyphagus destuctor)等のニクダニ科及びChelacaropsis moorei、Chelacaropsis malaccensis、Cheyletus fortis、Cheyletus eruditus及びChelatomorpha lepidoterorum等のChortoglyphus属Cheyletidae科、Ornithonyssus bacoti、Ornithonyssus sylviarum、Dermanyssus gallinae及びDermanyssus hirundinis等のオオサシダニ科、Haplochthonius simplex、シラミダニ及びヒゼンダニ等が含まれる。
屋内のダニ類害虫の処理において、殺ダニポリペプチドは、例えばチリダニが寄生することが知られているソファー、布張り椅子、ベッド類、枕、ラグ、カーペット等の織布表面に噴霧して適用することができる。ここで焦点はチリダニとそのアレルゲンに当てられているが、これらの方法は、一般のチリ粒子に対しても、それに伴う花粉や動物のフケを含めた他のアレルゲンに対しても等しく有効であることは理解される必要がある。適用は、内蔵式のエアロゾル噴霧器具によってなされることができる。例えばしっかりと枕の全ての側に噴霧し、スプレーが角や間隙にも届くように、噴霧は注意深く行う必要がある。
本発明を下記の非制限の実施例により更に説明する。
(実施例1 オメガ−ACTX−1ファミリーポリペプチドの発見)
雌のHadronyche infensaクモをオーストラリアのクイーンズランド州の都市Toowoombaで採集した。雌のHadronyche versutaクモは、オーストラリア ニューサウスウェールズ ブルーマウンテン地区で入手した。雄及び雌のAtrax robustusクモはオーストラリアのニューサウスウェルズのシドニー郊外で採集した。検体を気密性の収集容器で飼育して、毒腺を抽出した。ジョウゴグモは−20℃まで40〜60分かけて冷却した。毒腺は個々に各検体から切除した。各毒腺の対を抽出緩衝剤に個別に入れた。
毒腺を単離したらすぐに、QuickPrepTM Micro mRNA精製キット(Amersham Biosciences)を使用してポリA+ mRNAを調製した。精製mRNA試料を80%エタノールで洗浄し、Speedvacで乾燥した。cDNA合成キット(Amersham Biosciences)から入手したRNAseを含まない蒸留水10μLを使用して、mRNA試料を再水和した。精製mRNA試料は−20℃で保管した。
その後、MarathonTM cDNA増幅キット(CLONTECH)を使用して、cDNAライブラリーを構築した。適合するmRNAテンプレートから、SuperscriptTM III逆転写酵素(Life Technologies, Inc)及びポリ(dT)アンカープライマー(GGGCAGGT17)(配列番号58)であるEchoclonanch−2プライマーを使用して、一本鎖cDNAを構築した。第二の鎖の合成は、キットの指示通りに実施した。cDNA産物をConcertTM Rapid PCR精製キット(GIBCO)を使用して精製した。二本鎖cDNAを50μLのTris−EDTA緩衝剤(10mM Tris−Cl、1mM EDTA、pH8.0)で溶出した。
次に、MarathonTM cDNA増幅アダプター(CLONTECH)をこの二本鎖cDNAに結合した。ライゲーション反応は16℃で一晩行わせた。一晩のライゲーションの後、試料を1〜20倍希釈のグリコーゲン10μL、pH5.2の3M 酢酸ナトリウム10μL及び100%冷却エタノール100μLを使用して沈殿させた。その後、試料を80%エタノールで洗浄し、10分間乾燥させて、Tris−EDTA緩衝剤200μLに再懸濁させた。
リーダー配列の情報を、5’RACE(cDNA末端の迅速増幅法;Frohmanら、Rapid production of full−length cDNAs from rare transcripts: amplification using a single gene−specific oligonucleotide primer, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 85, 8993−9002, 1988を参照)を使用して入手した。5’RACEは、対応するmRNAの5’配列を増幅することにより、部分的cDNAのクローンを伸長させるのに使用される。5’RACEではこの部分的cDNAのクローン内の配列の小領域のみの知見を使用する。5’RACEは、末端基転移酵素により、ホモポリマーの尾を全てのテンプレートcDNAの5末端に付加された初回の伸長cDNAを使用する。この合成の尾は、標的mRNAの未知の5’配列の上流のプライマー結合部位を提供する。その後、この新しい5’の尾に結合する一般的なセンスプライマー及び既知のcDNA配列に結合する特異的なアンチセンスプライマーを使用して、PCR反応を実施する。重複ポリメラーゼ鎖反応(PCR)プライマーはこの技法のためにデザインされたものである。この重複プライマーを5’共通アダプタープライマー(EchoAP1)と共に使用して、未知のリーダー配列に関する情報を得た。3’RACE用のプライマーを、5’RACEで得られたcDANリーダー配列からデザインした。3’RACEプライマーを共通アダプターオリゴd(T)プライマー(CLONTECH)と共に使用して、オメガ−ACTX−Hv1aと相同なシグナル配列を有する遺伝子産物を生成した。キットに含まれていないプライマーは全て、PROLIGO Ltdが構築した。
5’RACEプライマーは以下の通りである。
(式中、Rはプリン(A/Gの縮退)であり、Yはピリミジン(C/Tの縮退)及びNは完全な縮退(A、G、C又はT)である)
3’RACEプライマーは以下の通りである。
5μLの二本鎖cDNA、27μLのMilli Q水、25mMのMgCl
2、10×PCR緩衝剤、50×dNTP及び5μLのAMPLI
GOLD TAQ
TM Enzyme(Perkin Elmer、AmpliTaq
TM Gold with GeneAmp Kit)を使用して、PCR反応を実施した。PCR反応は、以下のプロトコールを使用して熱サイクラーで実行した。
増幅したcDNA産物を1.5%アガロースゲル上で電気泳動させ、サイズの確認のため臭化エチジウムで染色した。
確認したPCR産物を、GIBCOゲル精製キットを使用してアガロースゲルから抽出し、Pellet Paint(登録商標) Co−Precipitant kit(Novagen)を使用して沈殿させた。沈殿させたら、cDNA末端をキナーゼでリン酸化し、クローニングの準備をした。試料をpSMARTTMベクターとライゲーションし、Lucigen CloneSmart Blunt Cloning kitを使用して、E. cloni細胞(Lucigen)を形質転換した。形質転換に成功したクローンを50μg/mLのアンピシリンを添加したTerrific Broth中で1時間培養し、その後一晩静置して増殖させた。
試料が正確な挿入サイズをしているかどうかを、PCR及びゲル電気泳動で試験した。正確な挿入サイズを含有する試料をDNAシーケンシングに使用した。オメガ−ACTX−Hv1aのプレプロタンパク質をコードする完全cDNA配列(配列番号1)及びその16個のパラログ(配列番号7、10、13、16、19、22、25、28、31、34、37、40、43、46、49又は52)を、多数のクローンをシーケンシングして得た。これらのプレプロタンパク質配列を要約し、図1に並べる。これらのプレプロタンパク質のシグナルペプチド開裂部位を、SignalP programのバージョン3.0(Drylovら、Improved prediction of signal peptides: SignalP 3.0, Journal of Molecular Biology 340, 783−795, 2004;プログラムはウェブからも入手可能 http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)を使用して予測した。成熟毒素は、オーストラリアジョウゴグモが産生するω−ACTX−1毒素における既知のプロペプチド開裂部位と同じく、36〜37位の二塩基性Arg−Arg配列に続くプロペプチドの開裂によって得られることが予測される。これらの2つのエンド型プロテアーゼの開裂部位を図1の矢印で示す。
(実施例2 遺伝子組換えオメガ−ACTX−Hv1aの調製)
遺伝子組換えオメガ−ACTX−Hv1aを、Tedfordら、Functional significance of the beta−hairpin in the insecticidal neurotoxin omega−atracotoxin−Hv1a., J. Biol. Chem. 276: 26568−26576, 2001に記載の通りに調製した。要約すれば、大腸菌BL21細胞をpHWT1で形質転換し、GST:オメガ−ACTX−Hv1a融合タンパク質を過剰産生するようにした。細胞をLB培地、37℃で、OD600が0.6〜0.8になるまで増殖させ、その後150μMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を有する融合タンパク質を誘導した。誘導から3〜4時間後に、遠心分離で細胞を回収し、フレンチプレスを使用して破砕した。この遺伝子組換え融合タンパク質を、GSH−Sepharose(Amersham Biosciences)上での親和性クロマトグラフィーを使用して可溶性細胞分画から精製した後、約24時間ウシトロンビン(Sigma)をカラム上に添加して開裂した。未結合の毒素をTris−緩衝生食水(150mM NaCl、50mM Tris、pH 8.0)を入れたカラムから溶出し、すぐに逆相高速液体クロマトグラフィー(rpHPLC)を使用して精製した。遺伝子組換え毒素及び汚染物質を、12.5〜20%アセトニトリルの直線勾配を使用して20分かけて流量1mL/分−1でVydac C18分析rpHPLCカラム(4.6×250mm、孔径5μm)から溶出した。オメガ−ACTX−Hv1aに相当する単一の大きなピークが溶出され、保持時間は約11分であった。この遺伝子組換え毒素が、天然のタンパク質に比べて2個過剰にN末端残基(Gly−Ser)を有しており、これらはGST融合タンパク質におけるトロンビン開裂部位の痕跡であることに留意されたい。
(実施例3 天然のオメガ−ACTX−Hv2aの精製)
Wangら、Discovery and structure of a potent and highly specific blocker of insect calcium channels, J. Biol. Chem. 276, 40806−40812, 2001に記載されている通りに、オーストラリアジョウゴグモ Hadronyche versutaの毒から天然のオメガ−ACTX−Hv2aを精製する。要約すれば、凍結乾燥した粗毒を、Vydac C18分析逆相高圧液体クロマトグラフィー(rpHPLC)カラムを使用して分画する。この初回の分画で得られた半純粋のオメガ−ACTX−Hv2aを同じカラム上で、30〜48%アセトニトリルの直線勾配を使用して、約35分かけて流量約1mL/分で更に精製する。約98%を超える均質性が得られるまで精製したら、ペプチドを凍結乾燥して使用するまで20℃で保管する。
(実施例4 遺伝子組換えオメガACTX−Hv1aは注入によりマダニに対する致死性を有する)
遺伝子組換えオメガACTX−Hv1aの殺ダニ活性を、毒素を直接アメリカアムブリオマ(Amblyomma americanum)(クモ形綱:ダニ目:マダニ科)に注入することにより、定量的に測定した。マダニは、実験室で交配した病原体を持たないAmblyomma americanumのコロニーから入手し、コネチカット大学健康センター免疫学科で27±1℃、相対湿度75%で飼育した。A. americanumは、米国においてヒトの人畜共通性感染症の病原体の重要なベクターである。ヒトのエールヒア症(Ehrlichia chaffeensis及びE. ewingii)、南部のマダニに起因するライム病に似た臨床的症状を有する発疹病(Borrelia lonestari)の原因物質を伝播する役割を果たす。又、ツラレミア(Francisella tularensis)及びロッキー山紅斑熱(Rickettsia rickettsii)の原因物質のベクターとしても働く。
マダニ1g当たり毒素200〜1200ピコモルの用量を注入することにより、用量反応曲線を構築した。毒素の分子量は約4200ダルトンであるため、これはマダニ1g当たり約0.8〜5μgの毒素に相当する。この毒素を昆虫生理食塩水(200mM NaCl、3.1mM KCl、5.4mM CaCl2、5.0mM MgCl2、2mM NaHCO3及び0.1mM NaH2PO4、pH7.2)に溶解して、注入に必要な各用量がストック溶液の2μLを超えないような十分な濃度のストック溶液を得た。マダニは注入のため、一時的に4℃で固定した。注入後、各マダニを個々に27℃の加湿したチャンバー内のバイアルで飼育した。毒素の各用量に対して6〜8匹のマダニのコホート集団に注入を行い、対照の6〜8匹のマダニのコホート集団には賦形剤(昆虫生理食塩水)のみを注入した。注入は、Hamiltonマイクロシリンジ(Hamilton Co.[米国ネバダ州レノ])を使用して実施した。48時間後の死亡をスコア化した。症状の重症度及び発症は、投与用量及び投与経路によってさまざまであったが、高用量では数分以内に重度の作用が認められた。最も著明な表現型作用は、8本全ての脚が閉ループを形成する丸まりを呈することであった。これにより移動は極めて困難になったが、低用量の毒素を注入されたマダニはそれでも極めて緩徐に曲がった脚で歩くことができた。又、おそらくは全般的な脚の衰弱及び上に記載の「丸まり」表現型のため、立ち直り反射が消失した。高用量の毒素(>1000 pmol/g)では、注入されたマダニの外被は黒くなり、瀕死のマダニは静止位で麻痺した。毒素のこの不動化(麻痺)作用は非可逆性であった。
図2は、この方法を使用したオメガ−ACTX−Hv1aで得られた用量反応曲線を示す。各点は、別の日に実施した3回の独立した測定による値の平均値を示す。LD50値(即ち、注入から48時間後にマダニの50%を殺すオメガ−ACTX−Hv1aの用量)を、以下の公式をログ用量反応曲線に当てはめることによって算出した:
y=(a−b)/[1+(x/LD50)n]
式中、yは注入から48時間後の試料集団における死亡率であり、xはpmolg−1で表す毒素の用量であり、nは変動する勾配因子であり、aは最大の反応、bは最小の反応である。算出されたLD50値は、447±3pmolg−1であった。
(実施例5 遺伝子組換えオメガACTX−Hv1aは摂取によりマダニに対する致死性を有する)
遺伝子組換えオメガACTX−Hv1aの経口殺ダニ活性を、アメリカアムブリオマ(Amblyomma americanum)にマダニ1g当たり毒素400〜1400ピコモルの用量で、毒素を摂取させることにより、定量的に測定した。この毒素の分子量は約4200ダルトンであるため、これはマダニ1g当たり約1.7〜6μgに相当する。摂取実験では、毒素をRoswell Park Memorial Institute(RPMI)−1640培地に溶解し、マダニに5μL毛細管(WR Scientific, West Chester, PA)を使用してこの溶液を2〜3mμL摂取させた。RPMI培地は以下を含む。
毛細管を磨いて、表面を面取りし、マダニの口部を含む鋏角及び口円錐に挿入する。摂取実験中にマダニが脱水しないように注意を払う。6〜8匹のマダニのコホート集団に毒素の各用量を摂取させ、対照の6〜8匹のマダニのコホート集団には賦形剤(RPMI−1640)のみを摂取させた。48時間後の死亡をスコア化したが、高用量では数分以内に症状が認められ、マダニは迅速に麻痺した。最も稀な中毒症状は、脚が閉ループを形成する丸まりを呈することであった。又、立ち直り反射も消失した。対照のマダニはRPMI−1640の摂取によって影響を受けなかった。
図3は、オメガ−ACTX−Hv1aのA. americanumへの摂取により得られた用量反応曲線を示す。各点は、別の日に実施した3回の独立した測定による値の平均値を示す。LD50値(即ち、注入から48時間後にマダニの50%を殺すオメガ−ACTX−Hv1aの用量)を、以下の公式をログ用量反応曲線に当てはめることによって算出した:
y=(a−b)/[1+(x/LD50)n]
(式中、yは注入から48時間後の検体集団における死亡率であり、xはpmolg−1で表す毒素の用量であり、nは変動する勾配因子であり、aは最大の反応、bは最小の反応である)。毒素の経口送達による算出されたLD50値は716±23pmolg−1であり、毒素の直接注入で得られたLD50の2倍未満であった(図3)。
毒素を添加したRPMI培地を摂取させたマダニは、毒素を有さないRPMI培地を摂取させた対照マダニでは認められない独特の行動を示した。毒素を添加したRPMI培地を摂取させたマダニは、培地の入った毛細管を追い払おうとし、対照マダニ(平均4〜6μL)に比べて60分間の摂取時間で少量の液体しか消費しなかった(平均2〜3μL)。更に、被験コホート集団は、対照マダニ(25〜30分)に比べて、この少量の容量のRPMI培地を飲むのに著明に長い時間がかかった(50〜60分)。このため、オメガ−ACTX−Hv1aの経口摂取による算出されたLD50値は、ほぼ確実に過大な値であり、これによって、この経路を介して送達された毒素は、マダニに注入された場合に比べて殆ど等位であることが示唆される。更に、これらの結果は、オメガ−ACTX−Hv1aがマダニに対して極めて毒性が高いのに加えて、有効な摂食阻害剤であることを示している。
(実施例6 天然のオメガ−ACTX−Hv2aは注入によりマダニに対して致死性を有する)
天然のオメガ−ACTX−Hv2aの殺ダニ活性を、5匹の血を吸っていない雄及び5匹の血を吸っていない雌のA. americanumからなるコホート集団に毒素の単回用量(6nmol/g、約25μg/g)を直接注入することによって測定した。毒素は昆虫生理食塩水に溶解して、注入容量が2μL未満で済むような十分な濃度のストック溶液を得た。5匹のマダニのコホート集団には、賦形剤(昆虫生理食塩水)のみを注入した。マダニは注入のため、一時的に4℃で固定した。注入後、各マダニを個々に27℃の加湿したチャンバー内のバイアルで飼育した。毒素を注入したマダニでは数分以内に症状が認められ、マダニは迅速に非可逆的に麻痺した。最も稀な中毒症状は、脚が閉ループを形成する丸まりを呈することであった。又、立ち直り反射も消失した。48時間後には雄及び雌のマダニ集団の両方で死亡率は100%であった。これとは逆に、対照マダニは昆虫生理食塩水の注入によって影響を受けなかった。
本明細書に示すように、マダニ等のダニ類害虫は殺ダニポリペプチドを使用することによって有効に制御することができる。ポリペプチドは、殺虫活性を有することが明らかにされているオメガ−ACTX−1及びオメガ−ACTX−2ファミリーを含むことができる。昆虫とマダニは緊密に関連していないことから、ポリペプチドの殺ダニ活性は予期されなかった。
本明細書で使用する「第一」、「第二」等の用語は、何らかの順序、量又は重要性を示すものではなく、ある要素と別の要素を区別するために使用され、「a」及び「an」という冠詞は量の制限を意味するのではなく、少なくとも1つの引用項目が存在することを示すものである。本明細書に開示する全ての範囲は、包括的なものであり、組み合わせることができる。
以上において本発明を好ましい実施形態を引用して説明してきたたが、本発明の適用範囲から逸脱することなく、種々の変更を加えて、等価物をその要素と置き換える場合があることを、当業者は理解するであろう。更に、本発明の本質的な適用範囲から逸脱することなく、本発明の教示内容に特定の状況又は材料を適応させるために多くの改変を加える場合がある。このため、本発明は、本発明を実施するにあたって検討した最良の様式として開示される特定の実施形態によって限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲内の全ての実施形態を包含するものとして意図される。
言及した特許、特許出願及びその他の参考文献は全て、全体が参考として本明細書で援用される。