JP2005535352A - 新規なリパーゼおよびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
生地の取り扱い特性および/またはベーク製品の仕上がり特性を改善するために、改善作用特性を有するプロセッシング補助剤の開発が絶え間なく続けられている。プロセッシング補助剤は、本明細書では生地の取り扱い特性および/またはベーク製品の仕上がり特性を改善する化合物と定義される。改善することができる生地の特性には、機械加工性、気体保持能力、低粘着性、弾力性、伸展性、型入れの容易性などが含まれる。改善することができるベーク製品の特性には、パンの体積、パン外皮のクリスピーさ、パンのきめの細かさおよび柔らかさ、風味、相対的鮮度低下および保存期間が含まれる。これらの生地および/またはベーク製品を改善するプロセッシング補助剤は、化学添加物および酵素(ベーキング酵素とも称される)の2つのグループに分類することができる。
酵素は乾燥形(例えば粒状形)または液状形で添加することができる。化学添加物はほとんどの場合粉末形で添加される。さらに、具体的なベーキング用途に応じて調節されるプロセッシング補助組成物は、それぞれ専用の化学添加物および酵素の混合物を含むことができる。
上記に述べた成分およびプロセッシング補助剤から生地を製造することは当業界で周知であり、前記成分およびプロセッシング補助剤を混合する工程、1つまたは2つ以上の型入れ工程並びに発酵工程を含む。
前記のような生地からベーク製品を製造することもまた当業界では周知で、生地の型入れおよび成形、並びに更なる発酵、それに続く所望の温度および焼き時間でのベーキング工程を含む。
前記化学添加物をより天然の生成物に置き換えたいという消費者の要望の結果として、生地および/またはベーク製品改善作用をもついくつかのベーキング酵素が開発され、前記は個々のベーキング用途の条件に対応して全ての可能な組み合わせで用いられる。適切な酵素には、澱粉分解酵素、アラビノキシラン分解および他のヘミセルロース分解酵素、セルロース分解酵素、酸化酵素、脂質性物質分割酵素、タンパク質分解、修飾または架橋酵素が含まれる。
アラビノキシランおよび他のヘミセルロースを分解する酵素は、例えばキシラナーゼ、ペントサナーゼ、ヘミセルラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、グルカナーゼおよびその他である。
セルロース分解酵素は、例えばセルラーゼ、セロビオヒドロラーゼおよびベータグルコシダーゼである。
酸化酵素は、例えばグルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ、ポリフェノールオキシダーゼおよびその他である。
脂質性物質分割酵素は、例えば脂質分解酵素、例えばトリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼ(例えばA1、A2、B、CおよびD)およびガラクトリパーゼである。
タンパク質分解、改変または架橋酵素は、例えばエンド作用性プロテアーゼ(セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、アスパルチルプロテアーゼ、チオールプロテアーゼ)、エキソ作用性ペプチダーゼ(ポリペプチド鎖のN-末端(アミノペプチダーゼ)またはC-末端(カルボキシペプチダーゼ)から1個のアミノ酸、ジペプチド、トリペプチドなどを切り離す)、アスパラギンもしくはグルタミン脱アミド化酵素(例えばデアミダーゼおよびペプチドグルタミナーゼ)、または架橋酵素(例えばトランスグルタミナーゼ)である。
ベーキング酵素は簡便には微生物で製造することができる。微生物性ベーキング酵素は多様な供給源から入手できる。バチルス(Bacillus)種は細菌性酵素の一般的な供給源であり、一方、真菌性酵素は一般的にアスペルギルス種で産生される。
ベーキング酵素は多様なベーク商品で用いることができる。“ベーク商品”という用語は、本明細書ではパン類(例えば薄型パン(tin bread)、パン、フランスパン(丸型およびロール型)、ケーキ、パイ、マフィン、酵母使用ドーナツおよびケーキドーナツなど)を含むと定義される。
上記のプロセスでは、組換えDNA技術で得られるベーキング酵素を使用するのが有利である。そのような組換え酵素は、伝統的な態様で精製されたその対応物に較べて多くの利点を有する。組換え酵素は、低コスト、高収量で生産され、細菌またはウイルスのような夾雑因子を含まず、さらにまた細菌毒素またはその他の酵素活性の混入がない。
本発明の目的は、改善された特性をもつ新規な脂質分解酵素をコードする新規なポリヌクレオチドを提供することである。さらに別の目的は、天然に生産されたまたは遺伝子組換えにより生産された脂質分解酵素を提供することであり、それらを生産する組換え株の提供も同様に本発明の目的である。さらに融合ポリペプチドもまた本発明の一部分であり、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造方法および使用方法も同様である。
さらにまた本発明の目的は、上記の問題の少なくとも1つを解決する新規な脂質分解酵素を提供すること、また、生地および/またはベーク製品で使用された場合には生地の強度増加、生地の弾力性増加、生地の安定性増加、生地の粘着性低下、生地の伸展性改善、生地の機械加工性の改善、ベーク製品の体積増加、ベーク製品の内相構造の改善、ベーク製品の柔らかさの改善、ベーク製品の風味の改善、ベーク製品の抗老化の改善、ベーク製品の着色の改善、ベーク製品の外皮の改善の群から選択される1つまたは2つ以上の特性が改善されるか、または広い基質特異性を有する新規な脂質分解酵素を提供することである。
本発明は新規な脂質分解酵素をコードする新規なポリヌクレオチドを提供する。より具体的には本発明は、好ましくは高度にストリンジェントな条件下で配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択される配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを提供する。結果として、本発明は、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択される配列と40%を超える相同性、例えば約60%、好ましくは65%、より好ましくは70%、さらに好ましくは75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有する核酸を提供する。
より好ましい実施態様では、本発明は、糸状菌(特にアスペルギルス・ニゲルが好ましい)から得ることができる単離ポリヌクレオチドを提供する。
ある実施態様では、本発明は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離ポリヌクレオチドまたは機能的なその等価物を提供する。
さらに別の好ましい実施態様では、本発明は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるポリペプチドの少なくとも1つの機能的ドメインをコードする単離ポリヌクレオチド、またはその機能的等価物を提供する。
さらに別の好ましい実施態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドのコード配列を含むポリヌクレオチドを提供し、好ましいものは、配列番号:2、5、8、11、14、17、20、23、26、29、32、35および38からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列である。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド配列を含むベクター、並びに本発明のDNAの増幅または検出に用いることができるプライマー、プローブおよびフラグメントに関する。
さらに別の好ましい実施態様ではベクターが提供され、前記ベクターでは、本発明のポリヌクレオチド配列が、適切な宿主細胞(例えばアスペルギルス・ニゲルまたはアスペルギルス=オリザ(A. oryzae))での前記コードアミノ酸配列の発現に適した調節配列と機能的に連結されている。本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドおよびベクターを製造する方法を提供する。
本発明はまた、遺伝子組み換えにより作製された、本発明の異種または同種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞に関する。
別の実施態様では、本発明は、本発明の脂質分解酵素の発現が高められているか、または前記脂質分解酵素の活性が高められている組換え宿主細胞を提供する。
本発明のさらに別の特徴では精製ポリペプチドが提供される。本発明のポリペプチドは本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。特に好ましいものは、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるポリペプチドまたはその機能的等価物である。
したがってある特徴では本発明は脂質分解酵素組成物を提供し、前記組成物は配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択される酵素またはその機能的等価物を活性成分として含む。
別の特徴では、本発明はベーク製品の製造方法を提供する。前記では、ベーク製品の製造に使用される生地に配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択される酵素またはその機能的等価物の1つもしくは2つ以上が取り込まれている。
本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質もまた本発明の範囲内に包含される。本発明はまた本発明のポリペプチドの製造方法を提供する。
本発明はまた、本明細書に記載した工業的プロセスのいずれかにおける本発明の脂質分解酵素の使用に関する。
本明細書では、脂質分解酵素は、以下の脂肪分解活性の少なくとも1つ、好ましくは2つまたは3つまたは4つまたは5つ以上を示す酵素と定義される:トリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD、リゾホスホリパーゼおよびガラクトリパーゼ。
ポリヌクレオチド
本発明は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する脂質分解酵素をコードするポリヌクレオチドまたはその機能的等価物を提供する。脂質分解酵素NBE028、NBE029、NBE030、NBE031、NBE032、NBE033、NBE034、NBE036、NBE038、NBE039、NBE043、NBE045およびNBE042をそれぞれコードする7つの遺伝子の配列が、アスペルギルス・ニゲルから得られたゲノムクローンの配列決定によって決定された。本発明は、脂質分解酵素NBE028、NBE029、NBE030、NBE031、NBE032、NBE033、NBE034、NBE036、NBE038、NBE039、NBE043、NBE045およびNBE042をコードする遺伝子を含むポリヌクレオチド配列だけでなくそれらの完全なcDNA配列およびそれらのコード配列も同様に提供する(表1)。したがって、本発明は、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドおよびその機能的等価物に関する。
本発明はまた、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの少なくとも1つの機能的ドメインをコードする単離ポリヌクレオチドに関する。
本明細書において、“遺伝子”および“組換え遺伝子”という用語は、染色体DNAから単離することができる核酸分子(タンパク質、例えばアスペルギルス・ニゲルの脂質分解酵素をコードするオープンリーディングフレームを含む)を指す。遺伝子はコード配列、非コード配列、イントロンおよび調節配列を含むことがある。さらにまた遺伝子は本明細書に定義した単離核酸分子を指す。
さらにまた、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択される核酸配列の全部または一部分を包含する核酸分子は、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択される核酸配列に含まれる配列情報を基にしてデザインした合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離することができる。
さらにまた、本発明のヌクレオチド配列に対応するかまたは前記とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドは、標準的合成技術(例えば自動DNA合成装置)を用いて製造することができる。
ある好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:2に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:2の配列は、配列番号:1に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:3に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE028ポリペプチドをコードする配列を含む。
第二の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:5に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:5の配列は、配列番号:4に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:6に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE029ポリペプチドをコードする配列を含む。
第三の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:8に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:8の配列は、配列番号:7に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:9に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE030ポリペプチドをコードする配列を含む。
第四の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:11に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:11の配列は、配列番号:10に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:12に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE031ポリペプチドをコードする配列を含む。
第六の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:17に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:17の配列は、配列番号:16に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:18に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE033ポリペプチドをコードする配列を含む。
第七の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:20に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:20の配列は、配列番号:19に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:21に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE034ポリペプチドをコードする配列を含む。
第八の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:23に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:23の配列は、配列番号:22に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:24に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE034ポリペプチドをコードする配列を含む。
第九の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:26に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:26の配列は、配列番号:25に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:27に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE034ポリペプチドをコードする配列を含む。
第11の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:32に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:32の配列は、配列番号:31に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:33に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE034ポリペプチドをコードする配列を含む。
第12の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:35に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:35の配列は、配列番号:34に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:36に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE034ポリペプチドをコードする配列を含む。
第13の好ましい実施態様では、本発明の単離核酸分子は配列番号:38に示されているヌクレオチド配列を含む。配列番号:38の配列は、配列番号:37に提供されているアスペルギルス・ニゲル遺伝子のコード領域に対応する。このcDNAは、配列番号:39に示されたアスペルギルス・ニゲルのNBE034ポリペプチドをコードする配列を含む。
本発明のある特徴は、本発明のポリペプチドまたはその機能的等価物(例えば生物学的に活性なフラグメントまたはドメイン)をコードする単離核酸分子だけでなく、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用に十分である核酸分子、および核酸分子の増幅または変異誘発のためにPCRプライマーとしての使用に適したそのような核酸分子のフラグメントにも同様に関連する。“単離ポリヌクレオチド”または“単離核酸”とは、由来した生物の天然に存在するゲノム中でこれらが(一方が5'末端側で他方が3'末端側で)直接連結しているコード配列の両方とは直接連結していないDNAまたはRNAである。したがって、ある実施態様では、単離核酸は、前記コード配列と直接連結している5'非コード配列(例えばプロモーター)のいくつかまたは全てを含む。したがって前記用語は、例えばベクター中に、自律的複製プラスミド中に、または原核細胞もしくは真核細胞のゲノムDNA中に取り込まれている組換えDNA、または他の配列から独立して別個に分離した分子(例えばPCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理によって生成されたcDNAまたはゲノムDNAフラグメント)として存在する組換えDNAを含む。前記はまた、細胞性物質、ウイルス性物質または培養液(組換えDNA技術によって産生される場合)、または化学的前駆体もしくは他の化学物質(化学的に合成される場合)を実質的に含まない、追加のポリペプチドをコードするハイブリッド遺伝子の一部分である組換えDNAも含まれる。さらにまた、“単離核酸フラグメント”とは、天然にはフラグメントとして存在せず、さらに天然の状態ではおそらく見出されないような核酸フラグメントである。
本発明の別の実施態様では、本発明の核酸に対してアンチセンスである単離核酸分子が提供される。さらに本発明の範囲内に包含されるものは、本明細書に記載した核酸分子の相補鎖である。
本明細書に提供された配列情報は、誤って特定された塩基も加えねばならないほど厳密なものと解されるべきではない。本明細書に開示した特定の配列は糸状菌(特にアスペルギルス・ニゲル)の完全な遺伝子の単離に容易に用いることができ、前記遺伝子を順次更なる配列分析に付し、それによって容易にシークェンシングエラーを明らかにすることができる。
特に示されていない場合、本明細書においてDNA分子のシーケンシングによって決定された全てのヌクレオチド配列は自動DNA配列決定装置を用いて決定されており、本明細書で決定されたDNA分子によりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、上記のようにして決定されたDNA配列の翻訳によって予測されている。したがって、この自動化アプローチによって決定されるDNA配列についてこの技術分野で知られているように、本明細書で決定されたヌクレオチド配列はいずれもいくらかのエラーを含み得る。自動化によって決定されたヌクレオチド配列は、配列が決定されたDNA分子の実際のヌクレオチド配列に対し典型的には少なくとも約90%同一、より典型的には少なくとも約95%から少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は他のアプローチ(当業界で周知の手動DNAシークェンシング方法を含む)によってより厳密に決定することができる。さらにまた当業界で知られているように、実際の配列と比較して、決定されたヌクレオチド配列におけるただ1つの挿入または欠失はヌクレオチド配列の翻訳においてフレームシフトをもたらし、その結果、決定されたヌクレオチド配列によってコードされる予測アミノ酸配列は、配列決定DNA分子によって実際にコードされるアミノ酸配列とは、そのような挿入または欠失点を起点として完全に相違するであろう。
そのような特定に誤りがある塩基を特定することは当業者には可能で、そのようなエラーの修正の仕方を理解していよう。
本発明の核酸分子は、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択される核酸配列のほんの一部またはフラグメント、例えばプローブまたはプライマーとして用いることができるフラグメント、または本発明のタンパク質の一部分をコードするフラグメントを含み得る。脂質分解酵素遺伝子のクローニングおよびcDNAから決定されたヌクレオチド配列は、他の種由来の脂質分解酵素ホモログと同様に脂質分解酵素の他のファミリーメンバーの特定および/またはクローニングで使用するためにデザインされたプローブおよびプライマーの作製を可能にする。前記プローブ/プライマーは典型的には実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含み、前記は典型的には、好ましくは高度にストリンジェントな条件下で、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択されるヌクレオチド配列またはその機能的等価物の少なくとも約12から15、好ましくは約18から20、好ましくは約22から25、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、65または75またはそれ以上の連続したヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
本明細書で提供されるヌクレオチド配列を基にしたプローブを用い、例えば他の生物で転写物または前記もしくは同族タンパク質をコードするゲノム配列を検出することができる。好ましい実施態様では、前記プローブはさらにそれに結合させた標識団を含むことができる。前記標識団は例えば放射性同位元素、蛍光性化合物、酵素または補酵素であろう。前記のようなプローブはまた、脂質分解酵素タンパク質を発現する細胞を特定することを目的とした診断用テストキットの一部としても用いることができる。
“相同性”または“パーセント同一性”という用語は本明細書では互換的に用いられる。本発明の目的のためには、2つのアミノ酸配列のパーセント同一性、または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は最適な比較のためにアラインメントされねばならない(例えば、第二のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのためにギャップを第一のアミノ酸または核酸配列の配列中に導入することができる)。続いて、対応するアミノ酸またはヌクレオチドの位置に存在するアミノ酸またはヌクレオチドが比較される。第一の配列の1つの位置が第二の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められているとき、前記分子はその位置について同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、それら配列が共有する同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の数/位置の総数(すなわちオーバーラップする位置)x100)。好ましくは2つの配列は同じ長さである。
2つの配列間の相同性の決定のためにいくつかの異なるコンピュータープログラムが利用可能であることは当業者には知られていよう。例えば、配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。好ましい実施態様では、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、Needleman & Wunschアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:444-453(1970))を用いて決定される。前記アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comで利用できる)に取り入れられている(Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのどちらか、ギャッ重み付けは16、14、12、10、8、6または4、長さ重み付けは1、2、3、4、5または6を使用)。種々のアルゴリズムを用いたとき、これら種々のパラメーターはいずれもわずかに相違する結果をもたらすが、2つの配列の全体的なパーセント同一性は顕著には異ならないことは当業者には理解されよう。
本発明の核酸およびタンパク質配列は、さらに公開データベースの検索を実施するために、例えば他のファミリーメンバーまたは関連配列を特定するために“照会”配列として用いることができる。そのような検索は、Altschulら(J. Mol. Biol. 215:403-10(1990))のBLASTNおよびBLASTXプログラム(バージョン2.0)を用いて実施することができる。BLASTヌクレオチド検索は、BLASTNプログラムによりスコア=100、ワード長=12で実施し、本発明のPLP03核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、BLASTXプログラムによりスコア=50、ワード長=3で実施し、本発明のPLP03タンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較用のギャップ付加アラインメントを得るために、文献(Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402(1997))に記載されたようにギャップ付加BLASTを利用することができる。BLASTおよびギャップ付加BLASTプログラムを利用するときは、対応するプログラム(例えばBLASTXおよびBLASTN)のデフォルトパラメーターを用いることができる(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。
本明細書において、“ハイブリダイズする”という用語は、互いに少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約85%から90%、さらに好ましくは少なくとも約95%相同なヌクレオチド配列が互いにハイブリダイズした状態を維持するハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記述することを意図している。
そのようなハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定的な例は、約45℃で6xの塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中での洗浄、前記に続く50℃、好ましくは55℃、好ましくは60℃、より好ましくは65℃で1xのSSC、0.1%SDS中での1回または2回以上の洗浄である。
高度にストリンジェントな条件には、例えば68℃で5xのSSC/5xのデンハルト溶液/1.0%SDS中でのハイブリダイゼーション、および室温で0.2xのSSC/0.1%SDS中での洗浄が含まれる。あるいは、洗浄は42℃で実施してもよい。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のためにどの条件を適用すべきかは当業者には公知であろう。そのような条件に関する更なる手引きは当業界では例えば以下の文献で容易に入手できる:Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, N.Y.;およびAusubel et al. (eds.), 1995, Current Protocols in Molecular Biology, (John Wiley & Sons, N.Y.)。
もちろんのこと、ポリA配列(例えばmRNAの3'末端ポリ(A)帯)とのみハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはT(もしくはU)残基の相補性ストレッチとのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、本発明の核酸の一部分と特異的にハイブリダイズさせるために用いられるポリヌクレオチドには含まれないであろう。なぜならばそのようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)ストレッチを含む任意の核酸分子またはその相補鎖(例えば実際的には任意の二本鎖cDNAクローン)とハイブリダイズするからである。
典型的なアプローチでは、他の生物(例えば糸状菌、特にアスペルギルスに属する種)から構築されたcDNAライブラリーをスクリーニングすることができる。
例えば、アスペルギルス株をノーザンブロット分析によって相同なポリヌクレオチドについてスクリーニングすることができる。本発明のポリヌクレオチドと相同な転写物が検出されたならば、cDNAライブラリーを適切な株から単離したRNAから当業者に周知の標準的な技術を用いて構築することができる。あるいは、全ゲノムDNAライブラリーを本発明のポリヌクレオチドとハイブリダイズできるプローブを用いてスクリーニングすることができる。
相同な遺伝子配列は、例えば本明細書で開示したヌクレオチド配列を基にして設計した2つの縮退オリゴヌクレオチドプライマープールを用いてPCRを実施することによって単離することができる。
前記反応のための鋳型は、本発明のポリヌクレオチドを発現することが判明しているか、または発現すると予想される株から調製したmRNAの逆転写によって得られるcDNAでもよい。前記PCR生成物をサブクローニングし、配列を決定して前記増幅配列が新規なPLP03核酸配列、またはその機能的等価物の配列を表していることを確認することができる。
続いて前記PCRフラグメントを用い多様な公知の方法により完全長cDNAを単離することができる。例えば、増幅フラグメントを標識して用いバクテリオファージまたはコスミドcDNAライブラリーをスクリーニングしてもよい。あるいは、前記標識フラグメントを用いてゲノムライブラリーをスクリーニングしてもよい。
PCR技術を用いて他の生物から完全長cDNA配列を単離することもできる。例えば、標準的な方法にしたがいRNAを適切な細胞または組織源から単離することができる。第一鎖合成のプライミングために、増幅フラグメントの5' 最末端に特異的なオリゴヌクレオチドを用いてRNAに対して逆転写反応を実施することができる。
得られたRNA/DNAハイブリッドに続いて標準的なターミナルトランスフェラーゼ反応を用いて“テールを付加”し、前記ハイブリッドをRNaseHで消化し、さらに第二鎖合成を例えばポリ-Cプライマーを用いて開始することができる。したがって、前記増幅フラグメントの上流のcDNA配列は容易に単離することができる。有用なクローニング方法の総説には以下を参照されたい:Sambrook et al.上掲書;およびAusubel et al.上掲書。
本発明の別の特徴は、本発明のタンパク質またはその等価物をコードする核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書において、“ベクター”という用語は、連結されている他の核酸を運ぶことができる核酸分子を指す。ベクターの一タイプは“プラスミド”であり、プラスミドとはその中に別のDNAセグメントを連結することができる環状二本鎖DNAをいう。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、前記の場合、別のDNAセグメントは前記ウイルスゲノム中に連結することができる。ある種のベクターは、それらが導入された宿主細胞内で自律的に複製することができる(例えば細菌の複製起点をもつ細菌ベクター、およびエポソーム型哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば非エピソーム型哺乳類ベクター)は宿主細胞への導入に際して前記宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによってホストゲノムと一緒に複製される。さらにまた、ある種のベクターは、それらが機能的に連結される遺伝子の発現を誘導することができる。前記のようなベクターは本明細書では“発現ベクター”と称される。一般的には、組換えDNA技術で有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形態を有する。プラスミドが最も一般的に用いられるベクターの形態であるので、本明細書では“プラスミド”および“ベクター”という用語は互換的に用いることができる。しかしながら本発明には例えばウイルスベクター(例えば複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ付随ウイルス)のようなその他の発現ベクター(同等の機能を果たす)の形態も包含される。
本発明で有用な発現ベクターには染色体性、エピソーム性およびウイルス性ベクターが含まれる。これらは例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント、ウイルス(例えばバキュロウイルス、パポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス)に由来するベクター、およびそれらの組み合わせに由来するベクター、例えばプラスミドおよびバクテリオファージの遺伝エレメント(例えばコスミドおよびファージミド)に由来するものである。
ベクターDNAは通常の形質転換技術またはトランスフェクション技術により原核細胞または真核細胞に導入することができる。本明細書において、“形質転換”および“トランスフェクション”という用語は、外来核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するために技術的に認知された種々の技術を指し、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、トランスダクション、感染、リポフェクション、陽イオン性脂質媒介トランスフェクションまたはエレクトロポレーションを含む。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするために適切な方法は以下の文献で見出すことができる:Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, (1989);Davis et al., Besic Methods in Molecular Biology (1986)およびその他の実験室マニュアル。
原核細胞でのタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質の発現を指令する構成的または誘導性プロモーターを含むベクターを用いてしばしば大腸菌で実施される。融合ベクターは、その中でコードされるタンパク質に、例えば前記組換えタンパク質のアミノ末端に多数のアミノ酸を付加する。そのような融合ベクターは典型的には3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現を増加させる;2)組換えタンパク質の可溶性を高める;および3)アフィニティー精製でリガンドとして機能することによって組換えタンパク質の精製を促進する。融合発現ベクターでは、しばしばタンパク質分解切断部位が融合部と組換えタンパク質の結合部に導入され、融合タンパク質の精製後に組換えタンパク質を融合成分から分離させることができる。そのような酵素およびその同族認識配列には第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが含まれる。
細菌での使用に好ましいベクターは、とりわけpQE70、pQE60およびpQE-9(Qiagenより入手できる);pBSベクター、ファージスクリプトベクター、ブルースクリプトベクター、pNH8A、pNH16A、pNH46A(Stratageneから入手できる);およびptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmaciaから入手できる)である。とりわけ好ましい真核細胞ベクターは、PWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pZT1およびpSG(Stratageneから入手できる)、並びにpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmaciaから入手できる)である。その他の適切なベクターは当業者には明白であろう。
本発明で使用される公知の細菌プロモーターには、大腸菌のlacIおよびlacZプロモーター、T3およびT7プロモーター、gptプロモーター、ラムダPR、PLプロモーターおよびtrpプロモーター、HSVのチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、レトロウイルスLTRプロモーター(例えばラウス肉腫ウイルス(“RSV”のプロモーター)、およびメタロチオネインプロモーター(例えばマウスのメタロチオネイン-Iプロモーター)が含まれる。
翻訳されたタンパク質の小胞体腔内、細胞質周囲間隙または細胞外環境への分泌のために適切な分泌シグナルを発現ポリペプチドに取り込ませることができる。前記シグナルは発現ポリペプチドにとって内因性シグナルであっても外因性シグナルであってもよい。
ポリペプチドは改変形態、例えば融合タンパク質として発現させてもよく、分泌シグナルだけでなく付加的な異種性機能領域を含むことができる。したがって例えば、付加的アミノ酸領域、特に電荷をもつアミノ酸をポリペプチドのN-末端に付加して、精製時またはその後の処理および保存時の宿主細胞内での安定性および持続性を改善することができる。
本発明は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列(配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択されるポリヌクレオチドを適切な宿主で発現することによって得ることができるアミノ酸配列)を有するポリペプチドを提供する。さらに、上記ポリペプチドの機能的等価物を含むペプチドまたはポリペプチドもまた本発明に包含される。上記ポリペプチドは包括的に“本発明のポリペプチド”という用語に含まれる。
“ペプチド”および“オリゴペプチド”という用語は(一般的に認識されているように)同義語と考えられ、各用語は、ペプチジル結合によって結合された少なくとも2つのアミノ酸の鎖を表すために文脈に従って互換的に使用することができる。“ポリペプチド”という用語は7以上のアミノ酸残基を含む鎖について本明細書で用いられる。本明細書の全てのオリゴペプチドおよびポリペプチド式または配列は左から右に、さらにアミノ末端からカルボキシ末端の方向で記されている。本明細書で用いられているアミノ酸の一文字コードは当業界では一般的に知られており、以下の文献で見出すことができる:Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)。
“単離”ポリペプチドまたはタンパク質とは、その天然の環境から取り出されたポリペプチドまたはタンパク質を意味する。例えば、宿主細胞で発現された遺伝子組換え製造ポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術(例えば文献(Smith & Johnson, Gene 67:31-40)に記載された一工程精製方法)によって既に実質的に精製されてある天然または組換えポリペプチドのように本発明の目的のために単離されたと考えられる。
本発明のポリペプチドは天然の精製生成物、化学的合成方法の生成物、および組換え技術によって原核ホストまたは真核ホスト(例えば細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳類細胞を含む)から生成された生成物が含まれる。組換え製造技術で用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは糖化されていることも糖化されていないこともある。さらにまた、本発明のポリペプチドは、いくつかの事例では宿主媒介プロセスの結果として最初の修飾メチオニン残基を含むことがある。
本発明の脂質分解酵素は有利にベーキングプロセスで用いることができる。生地に添加されるべき酵素の量は経験的に決定される。酵素の量は使用される粉の量、要求される改善の度合い、パンまたはベーク製品の種類、生地の調製方法、他の成分の割合などに左右されるであろう。
本発明の特徴はまた本発明のポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントでもある。
本発明のポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントには、脂質分解酵素のアミノ酸配列(例えば、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列)と十分に同一であるか、またはこれらに由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれる。これらのフラグメントは完全長タンパク質より少ないアミノ酸を含み、さらに対応する完全長タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を示す。典型的には、生物学的に活性な断片は対応する完全長タンパク質の少なくとも一つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。
本発明のタンパク質の生物学的に活性なフラグメントは、例えばアミノ酸の長さが10、25、50、100またはそれより多いポリペプチドであろう。さらにまた、タンパク質の他の領域が欠失した他の生物学的に活性な部分を組換え技術によって調製し、天然型の本発明のポリペプチドの生物学的活性の1つまたは2つ以上について評価することができる。
本発明の特徴はまた、脂質分解酵素タンパク質の上記生物学的に活性なフラグメントをコードする核酸フラグメントである。
本発明のタンパク質またはその機能的等価物(例えばその生物学的に活性な部分)は脂質分解酵素ではないポリペプチド(例えば異種アミノ酸配列)と機能可能に連結して融合タンパク質を生成することができる。本明細書において、脂質分解酵素の“キメラタンパク質”または“融合タンパク質”は、脂質分解酵素ではないポリペプチドと機能的に連結された脂質分解酵素ポリペプチドを含む。“脂質分解酵素ポリペプチド”は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指し、一方、“脂質分解酵素ではないポリペプチド”は、前記脂質分解酵素とは実質的に相同ではないタンパク質(例えば前記脂質分解酵素とは異なり、同じ生物または別個の生物に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。脂質分解酵素の融合タンパク質内で、前記脂質分解酵素ポリペプチドは脂質分解酵素タンパク質の全体または一部と一致することができる。好ましい実施態様では、脂質分解酵素融合タンパク質は、脂質分解酵素タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性なフラグメントを含む。別の好ましい実施態様では、脂質分解酵素融合タンパク質は脂質分解酵素タンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。前記融合タンパク質内では、“機能的に連結した”という用語は、脂質分解酵素ポリペプチドと非脂質分解酵素ポリペプチドが互いにインフレーム融合していることを示すことを意図している。非脂質分解酵素ポリペプチドは脂質分解酵素ポリペプチドのN-末端またはC-末端に融合させることができる。
別の例では、バキュロウイルスエンベロープタンパク質のgp67分泌配列が異種シグナル配列として用いられる(Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds., John Wiley & Sons, 1992)。その他の真核細胞異種シグナル配列の例にはメリチンおよびヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌配列(Stratagene; La Jolla, California)が含まれる。また別の例では、有用な原核細胞異種シグナル配列はphoA分泌シグナル(Sambrook et al., 上掲書)およびプロテインA分泌シグナル(Pharmacia Biotech; Piscataway, New Jersey)を含む。
“機能的等価物”および“機能的変種”という用語は本明細書では互換的に用いられる。脂質分解酵素をコードするDNAの機能的等価物は、本明細書で定義されたアスペルギルス・ニゲルの脂質分解酵素の特定の機能を示すポリペプチドをコードする単離DNAフラグメントである。本発明の脂質分解酵素ポリペプチドの機能的等価物は、本明細書で定義されたアスペルギルス・ニゲルの脂質分解酵素の少なくとも1つの機能を示すポリペプチドである。したがって機能的等価物はまた生物学的に活性なフラグメントも包含する。
機能的タンパク質またはポリペプチド等価物は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列において1つまたは2つ以上のアミノ酸の単なる保存的置換、または必須でないアミノ酸の置換、挿入または欠失を含むことができる。したがって、必須でないアミノ酸は、生物学的機能を実質的に変更することなく配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列において変更することができる残基である。例えば、本発明の脂質分解酵素タンパク質間で保存されているアミノ酸残基は特に変更しにくいと予想される。さらにまた、本発明の脂質分解酵素タンパク質および他の脂質分解酵素間で保存されているアミノ酸はおそらく変更が容易ではないであろう。
“保存的置換”という用語は、あるアミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換を意味する。これらのファミリーは当業界で公知であり、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えばリジン、アルギニンおよびヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷をもたない極性側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。
例えば表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する手引きは以下の文献で提供される:J.U. Bowie et al., Science 247:1306-1310(1990)。前記文献で、著者らはアミノ酸の変化についての耐性を調べるために2つの主要なアプローチがあることを示している。第一の方法は進化プロセスを拠りどころとする。前記方法では、変異は自然の選別により許容または拒絶される。第二のアプローチは遺伝子工学を用い、クローニングした遺伝子の固有の位置にアミノ酸の変更を導入し、選別またはスクリーニングして機能性を維持する配列を特定する。著者らの報告のとおり、これらの実験によってタンパク質はアミノ酸置換に対して顕著な寛容を示すことが明らかになった。著者らはさらにどの変化がタンパク質のある位置で受容されやすいかを示した。例えば、深く埋め込まれたアミノ酸残基は非極性側鎖を必要とし、一方、表面の側鎖の特徴は一般的にはほとんど保存されない。そのような表現型としてサイレントなその他の置換は上掲書(Bowie et al.)およびその中に引用されている参考文献に記載されている。
“機能的等価物”という用語はまた本明細書で提供されるアスペルギルス・ニゲルの脂質分解酵素のオルソログを包含する。アスペルギルス・ニゲルの脂質分解酵素のオルソログは、他の株または種から単離でき、類似のまたは同一の生物学的活性を保有するタンパク質である。そのようなオルソログは、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列と実質的に相同なアミノ酸配列を含むとして容易に同定することができる。
さらに、その他の脂質分解酵素ファミリーメンバーをコードする核酸(したがって配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択されるヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列を有する)もまた本発明の範囲内に包含される。さらにまた、異なる種の脂質分解酵素タンパク質をコードする核酸(したがって配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択されるヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を有する)も本発明の範囲内に包含される。
本発明のポリヌクレオチドの変種(例えば天然の対立遺伝子座変種)およびホモログに対応する核酸分子は、本明細書に開示した核酸に対するそれらの相同性を基にして、本明細書で開示するcDNAまたは適切なそのフラグメントをハイブリダイゼーションプローブとして用いて、標準的なハイブリダイゼーション技術にしたがって、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で単離することができる。
本発明の別の特徴では、改良された脂質分解酵素が提供される。改良された脂質分解酵素は少なくとも一つの生物学的活性が改良されたタンパク質である。そのようなタンパク質は、脂質分解酵素配列の全体または一部分に変異を、例えば飽和突然変異誘発によってランダムに導入することにより得ることができる。得られた変異体を組換え発現させ、生物学的活性についてスクリーニングすることができる。例えば、脂質分解酵素の酵素活性を測定する標準的なアッセイは従来技術によって提供され、したがって改良タンパク質を容易に選別できる。
好ましい実施態様では、脂質分解酵素は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。別の実施態様では、脂質分解酵素は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列と実質的に相同であり、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を保持し、天然の変動または上記に述べたような突然変異誘発のためにアミノ酸配列に相違を有する。
さらに好ましい実施態様では、脂質分解酵素は、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択される核酸と好ましくは高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる単離核酸フラグメントによってコードされるアミノ酸配列を有する。
したがって、本脂質分解酵素は、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上相同であるアミノ酸配列を含み、さらに配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるポリペプチドの少なくとも1つの機能的活性を保持するタンパク質である。
さらにまた、本発明のポリペプチドのコード配列のフラグメントライブラリーを用いて、変種のスクリーニングのためのポリペプチドの多様化集団を作製することができる。例えば、注目するコード配列の二本鎖PCRフラグメントを、各分子にほぼ1回だけニックが生成される条件でヌクレアーゼで処理し、前記二本鎖DNAを変性させ、前記DNAを再生させて二本鎖DNAを形成させ(種々のニックをもつ生成物に由来するセンス/アンチセンス対を含むことができる)、再生されたデュープレックスからS1ヌクレアーゼの処理により一本鎖部分を除去し、得られたフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結することによってコード配列フラグメントライブラリーを作製することができる。この方法によって、注目するタンパク質の種々のサイズを有するN-末端フラグメントおよび内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを派生させることができる。
ある与えられた集団内に、脂質分解酵素のアミノ酸配列における変化を生じさせるDNA配列多型性が存在し得ることは当業者には明白であろう。そのような遺伝的多型性は、異なる集団に由来する細胞にもまたは天然の対立遺伝子座変異のために1つの集団内の細胞にも存在し得る。対立遺伝子座変種もまた機能的等価物を含み得る。
本発明の核酸は、それらが機能的または非機能的ポリペプチドをコードするか否かにかかわらず、ハイブリダイゼーションプローブまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして用いることができる。脂質分解酵素活性を有するポリペプチドをコードしない本発明の核酸分子の使用にはとりわけ以下が含まれる:(1)脂質分解酵素タンパク質(またはその対立遺伝子座変種)をコードする遺伝子をcDNAライブラリー(例えばアスペルギルス・ニゲル以外の生物に由来する)から単離すること;(2)以下の文献に記載されたように、脂質分解酵素の正確な染色体分布を提供するために中期染色体スプレッドに対するin situハイブリダイゼーション(例えばFISH)(Verma et al., Human Chromosomes: a Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, New York (1988));(3)特定の組織および/または細胞における脂質分解酵素のmRNA発現を検出するためのノザンブロット分析;および(4)与えられた生物学的サンプル(例えば組織)中の脂質分解酵素プローブとハイブリダイズすることができる核酸の有無を調べるために診断用ツールとして用いることができるプローブおよびプライマー。
ある実施態様では、本発明の核酸は、配列番号:1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群から選択される核酸配列またはその相補物と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上相同である。
別の好ましい実施態様では、本発明のポリペプチドは、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上相同である。
別の実施態様では、本発明の特徴は、細胞、例えば本発明に包含される核酸を含む形質転換宿主細胞または組換え宿主細胞である。“形質転換細胞”または“組換え細胞”は、その中に(またはそれより以前の代の細胞の中に)本発明の核酸が組換えDNA技術の手段によって導入された細胞である。原核細胞および真核細胞の両細胞、例えば細菌、真菌、酵母などが含まれ、特に好ましいものは糸状菌、特にアスペルギルス・ニゲルに由来する細胞である。
特定の所望される態様で挿入配列の発現を調節するか、または遺伝子生成物を修飾およびプロセッシングする宿主細胞を選択することができる。タンパク質生成物のそのような修飾(例えば糖化)およびプロセッシング(例えば切断)はタンパク質の最適な機能を助成する。
種々の宿主細胞は、タンパク質および遺伝子生成物の翻訳後プロセッシングおよび修飾のための特徴的で固有の機構を有する。分子生物学分野および/または微生物学分野の業者にとって周知の適切な細胞系列または宿主細胞系を選択し、発現される外来タンパク質の所望の正確な修飾およびプロセッシングを担保することができる。この目的のために、一次転写物の適切なプロセッシング、遺伝子生成物の糖化およびリン酸化のための細胞機構を保有する真核細胞宿主を用いることができる。そのような宿主細胞は当業界で公知である。
宿主細胞にはまた哺乳類細胞株(例えばCHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、WI38)および脈絡叢細胞株が含まれるが、これらに限定されない。
所望の場合には、本発明のポリペプチドは安定的にトランスフェクションされた細胞株によって製造することができる。哺乳類細胞の安定なトランスフェクションに適した多数のベクターを公的に入手することが可能で、そのような細胞株の構築方法もまた文献に公開されている(例えばAusubel et al. 上掲書)。
本発明のさらに別の特徴は、本発明の脂質分解酵素と特異的に結合する抗体、例えばモノクローナルまたはポリクローナル抗体である。
本明細書で用いられるように、“抗体”(Ab)または“モノクローナル抗体”(MAb)は完全な分子だけでなく脂質分解酵素タンパク質と特異的に結合することができる抗体フラグメント(例えばFabおよびF(ab')2フラグメント)も含むことを意図する。FabおよびF(ab')2フラグメントは完全な抗体のFc部分を欠き、循環系からより迅速に除かれ、完全な抗体より非特異的な組織結合が少ないであろう(Wahl et al., J. Nucl. Med. 24:316-325 (1983))。したがって、これらのフラグメントが好ましい。
本発明の抗体は多様な方法のいずれを用いても調製できる。例えば、脂質分解酵素タンパク質またはその抗原性を有するフラグメントを発現している細胞を動物に投与し、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘発する。好ましい方法では、脂質分解酵素タンパク質調製物を作製し、天然の夾雑物質を実質的に含まないように精製する。続いてそのような調製物を動物に導入してより高い特異性を有するポリクローナル抗血清を作製する。
特に種々のホスト動物を注目するポリペプチドの注射によって免疫することができる。適切なホスト動物の例にはウサギ、マウス、モルモットおよびラットが含まれる。ホストの種に応じて種々のアジュバントを用いて免疫反応を高めることができる。前記アジュバントにはフロイントのアジュバント(完全および不完全アジュバント)、アジュバントミネラルゲル(例えば水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えばリゾレクチン)、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、BCG(カルメット-ゲラン杆菌)およびコリネバクテリウム=パルブム(Corynebacterium parvum)が含まれる。ポリクローナル抗体は免疫動物の血清から得られる不均質抗体分子集団である。
いったん生成されたら、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質またはその機能的等価物の特異的認識について免疫アッセイ(例えばウェスタンブロット)または免疫沈澱分析で標準的技術(例えば上掲書(Ausubel et al.)に記載されたようなもの)を用いて検査される。本発明のタンパク質またはその機能的等価物と特異的に結合する抗体は本発明で有用である。例えば、そのような抗体を免疫アッセイで用いて、アスペルギルスの病原性または非病原性株で(例えばアスペルギルスの抽出物で)本発明のタンパク質を検出することができる。
好ましくは、本発明の抗体は、抗原性があるように思われる(例えば高頻度の荷電残基のような基準による)本発明のタンパク質のフラグメントを用いて製造される。例えばそのようなフラグメントは標準的なPCR技術によって作製し、続いてpGEX発現ベクターでクローニングすることができる(Ausubel et al. 上掲書)。続いて融合タンパク質を大腸菌で発現させ、上掲書(Ausubel et al.)に記載されたようにグルタチオンアガロースアフィニティーマトリックスを用いて精製することができる。所望の場合は、いくつかの(例えば2つまたは3つの)融合を各タンパク質について作製し、各融合物を少なくとも2匹のウサギに注射することができる。抗血清は一連の注射(典型的には少なくとも3回のブースターを含む)によって作製することができる。典型的には前記抗血清は、本発明のタンパク質またはその機能的等価物を免疫沈澱させる能力についてチェックされる。一方、無関係のタンパク質は前記免疫反応の特異性についてのコントロールとして使用することができる。
さらにまた、抗体ディスプレーライブラリーの作製およびスクリーニングで特に使用しやすい方法および試薬の例は例えば以下の文献で見出すことができる:米国特許5,223,409;PCT公開公報WO92/18619;PCT公開公報WO91/17271;PCT公開公報WO92/20791;PCT公開公報WO92/15679;PCT公開公報WO93/01288;PCT公開公報WO92/01047;PCT公開公報WO92/09690;PCT公開公報WO90/02809;Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372; Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281; Griffiths et al. (1993) EMBO J. 12:725-734。
本発明のタンパク質またはその機能的等価物と特異的に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を用いて、例えば本発明のタンパク質またはその機能的等価物をコードする遺伝子の発現を例えば別のアスペルギルス株で検出することができる。例えば、本発明のタンパク質は、アスペルギルス細胞または抽出物の慣用される免疫アッセイで容易に検出することができる。適切なアッセイの例にはウェスタンブロッティング、ELISA、放射免疫アッセイなどが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
“特異的に結合する”とは、抗体が特定の抗原(例えば本発明のタンパク質)を認識しこれと結合するが、サンプル中の他の無関係の分子は実質的に認識せずこれと結合しないことを意味する。
本発明のポリペプチドに対する抗体(例えばモノクローナル抗体)を用いて、標準的技術(例えばアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈澱)によって前記ポリペプチドを単離することができる。さらにまた、そのような抗体を用いて、前記タンパク質を検出し(例えば細胞溶解物または細胞上清)、前記ポリペプチドの豊富さおよびパターンを評価することができる。前記抗体をまた診断に用い、臨床検査の一部として(例えば与えられた治療計画の有効性を決定するために)またはアスペルギルス症の診断で細胞または組織内のタンパク質レベルをモニターすることができる。
検出は、前記抗体を検出可能な物質に結合させることによって容易にすることができる。検出可能な物質の例には種々の酵素、補欠分子族、蛍光性物質、化学発光物質、生物発光物質および放射性物質が含まれる。適切な酵素の例にはセイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ、適切な蛍光性物質の例にはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが含まれ、化学発光物質の例にはルミノールが含まれる。生物発光物質の例にはルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれ、適切な放射性物質の例には125I、131I、35Sまたは3Hが含まれる。
抗原性ペプチドに包含される好ましいエピトープはタンパク質の表面に存在する領域、例えば親水性領域である。本発明のタンパク質の疎水性プロットを用いて親水性領域を特定することができる。
本発明のタンパク質の抗原性ペプチドは、配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも7つ(好ましくは10、15、20または30)の連続するアミノ酸残基を含み、さらに前記タンパク質のエピトープを包含し、それによって前記ペプチドに対して生じた抗体は前記タンパク質と特異的な免疫複合体を形成する。
前記抗原性ペプチドに包含される好ましいエピトープは、前記タンパク質の表面に存在する本発明のタンパク質の領域、例えば親水性領域、疎水性領域、アルファ領域、ベータ領域、コイル領域、ターン領域および可撓性領域である。
生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドの定量的または定性的測定は技術的に公知の任意の方法を用いて実施できる。抗体を用いる技術は、生物学的サンプルで特定のポリペプチドレベルのアッセイする上で特別な利点を提供する。
これらでは、特異的認識が一次抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル抗体)によって提供されるが、二次検出系では蛍光、酵素またはその他を結合させた二次抗体を利用することができる。結果として免疫複合体が得られる。
したがって、本発明はある生物がアスペルギルスに感染しているか否かを診断する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:
−アスペルギルスの感染が疑われる生物から生物学的サンプルを単離し、
−前記生物学的サンプルを本発明の抗体と反応させ、
−免疫複合体が形成されるか否かを決定する。
さらにまた、ウェスタンブロットまたはドット/スロットアッセイでタンパク質を遊離させるために、例えば尿素および中性変性剤を用いて組織を抽出してもよい。この技術はまた体液にも適用することができる。
上記の技術は本質的に“一段階”または“二段階”アッセイとして実施できる。“一段階”アッセイでは本発明のタンパク質を固定抗体に接触させ、さらに洗浄することなく前記混合物を標識抗体と接触させることを含む。“二段階”アッセイでは、前記混合物と標識抗体とを接触させる前に洗浄することを含む。適切な場合には他の通常的な方法もまた用いることができる。前記アッセイ系の1つの成分を支持体に固定し、それによって系の他の成分と前記成分との接触およびサンプルからの容易な除去を可能にすることが通常は所望される。
酵素の他に適切な他の標識には、放射性同位元素、例えばヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)およびテクネチウム(99mTc)、並びに蛍光標識、例えばフルオレセインおよびローダミン、並びにビオチンが含まれる。
検査化合物の本発明のタンパク質との特異的結合は、例えば支持体(例えば96ウェルのポリスチレンマイクロタイタープレート)への本発明のタンパク質の可逆的または不可逆的固定によってin vitroで検出することができる。ポリペプチドおよび他の小分子の固定化方法は当業界では周知である。例えば、溶液中の本発明のタンパク質を各ウェルに(典型的には1−100μLの容積で0.05から1mg/mLの濃度で)添加し、さらにマイクロタイタープレートを室温から37℃で0.1から36時間インキュベートすることによってプレートを本発明のタンパク質で被覆することができる。プレートに結合していないタンパク質は、過剰な溶液を振盪させ、続いて前記プレートを水または緩衝液で(1回または繰り返し)洗浄することによってプレートから除去できる。典型的には、タンパク質は水または緩衝液に含まれる。続いて結合させたタンパク質を含まない緩衝液でプレートを洗浄する。プレート上の空いているタンパク質結合部位をブロックするために、結合させたタンパク質と無関係のタンパク質でプレートをブロックする。例えば、トリス塩酸中で2mg/mLの濃度の300μLのウシ血清アルブミン(BSA)が適切である。適切な支持体には特定の架橋化学反応を含む支持体が含まれる(例えばプラスチック基板(例えばポリスチレン、スチレン)またはポリプロピレン基板(例えばCorning Costar Corp., Canbridge, MA))。所望の場合は、ビーズ化粒子(例えばビーズ化アガロースまたはビーズ化セファロース)を支持体として用いてもよい。
別の特徴では、本発明は本発明のポリペプチドのエピトープ保持部分を含むペプチドまたはポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分のエピトープは、本発明のポリペプチドの免疫原性または抗原性エピトープである。“免疫原性エピトープ”とは、あるタンパク質全体が免疫原であるとき抗体反応を誘引する前記タンパク質の部分と定義される。これらの免疫原性エピトープは、前記分子上のいくつかの座位に限定されると考えられる。他方、抗体が結合することができるタンパク質の領域は“抗原性エピトープ”と定義される。タンパク質の免疫原性エピトープの数は抗原性エピトープの数より少ない。例えば以下の文献を参照されたい:H.M. Geysen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998-4002 (1984)。
抗原性エピトープを保持する(すなわち抗体が結合できるタンパク質分子の一領域を含む)ペプチドまたはポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一部分を模倣した比較的短い合成ペプチドが、前記部分的に模倣したタンパク質と反応する抗血清を簡単に誘引することができるということは当業界では周知である。例えば以下を参照されたい:J.G. Sutcliffe et al., Science 219:660-666 (1984)。タンパク質と反応する抗血清を生じさせ得るペプチドはそのタンパク質一次配列でしばしば代表され、一組の単純な化学的規則の特徴を示し、インタクトなタンパク質の免疫支配領域(すなわち免疫原性エピトープ)にもアミノもしくはカルボキシル末端にも限定されない。きわめて疎水性であり6残基以下であるペプチドは前記模倣タンパク質と結合する抗体の誘導に一般的には有効ではなく、より長い可溶性ペプチド(特にプロリン残基を含むもの)は通常有効である。(Sutcliffe et al. 上掲書, 661)。例えばこれらの手引きに従ってデザインした、インフルエンザウイルスのヘマグルチニンHAlポリペプチド鎖配列の75%をカバーする8から39残基を含む20個のペプチドのうち18が、HAlタンパク質または完全なウイルスと反応する抗体を誘発し、さらにMuLVポリメラーゼ由来の12個のペプチドでは12個が、狂犬病糖タンパク質由来の18個のペプチドでは18個がそれぞれのタンパク質を沈殿させる抗体を誘導した。
上記の手引きにしたがってデザインした本発明の抗原性エピトープ保持ペプチドおよびポリペプチドは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内に含まれる好ましくは少なくとも7つ、より好ましくは少なくとも9つ、もっとも好ましくは約15から約30アミノ酸を含む。しかしながら、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のより大きな部分を含むペプチドまたはポリペプチド(約30から約50アミノ酸を含むか、または本発明のポリペプチドの全アミノ酸配列までの任意の長さのアミノ酸を含む)もまた本発明のエピトープ保持ペプチドまたはポリペプチドと考えられ、模倣タンパク質と反応する抗体の誘発にもまた有用である。好ましくは、エピトープ保持ペプチドのアミノ酸配列は、水性溶媒での実質的な可溶性を提供するために選択され(すなわち、前記配列は比較的親水性の残基を含み、高度に疎水性の配列は好ましくは回避される)、さらにプロリン残基を含む配列が特に好ましい。
エピトープ保持ペプチドはまた公知の化学合成方法を用いて合成してもよい。例えば、Houghtenは、多数のペプチドを表す簡単な方法、例えば、HAlポリペプチドセグメントの単一アミノ酸変種を表す、10から20mgの13残基をもつ248個の種々のペプチドを4週間未満で合成する方法を記載した(R.A. Houghten, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:5131-5135 (1985))。この“同時マルチペプチド合成(SMPS)”方法はさらに米国特許4,631,211(Houghten et al. (1986))でさらに開示されている。この方法では、種々のペプチドの固相合成のために個々の樹脂が別々の溶媒浸透性パケットに含まれ、固相法に必要な多数の同一反復工程を最適に使用することができる。
完全に手動的方法で500−1000またはそれ以上の合成が同時に実施できる(Houghten et al., 上掲書の5134ページ)。
本発明のエピトープ保持ペプチドおよびポリペプチドを用いて、当業界で周知の方法にしたがい抗体を誘発することができる。例えば以下の文献を参照されたい:Sutcliffe et al., 上掲書;Wilson et al., 上掲書;M. Chow et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:910-914;およびF.J. Bittle et al., J. Gen. Virol. 66:2347-2354 (1985)。
一般的には動物は遊離ペプチドで免疫することができるが、抗ペプチド抗体力価は例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または破傷風毒素のような巨大分子担体にペプチドを結合させることによってブーストすることができる。例えば、リンカー(例えばマレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS))を用いてシステイン含有ペプチドを担体に結合させることができるが、他の担体ペプチドはより一般的な連結剤(例えばグルタールアルデヒド)を用いて担体に結合させることができる。
本発明の免疫原性エピトープ保持ペプチド(すなわち、タンパク質全体が免疫原であるとき抗体反応を誘引するタンパク質部分)は、当業界で公知の方法にしたがって同定される。例えば上掲書(Geysen et al. (1984))は、酵素連結免疫吸着アッセイで反応するために十分な純度を有する、何百ものペプチドの固相上での迅速な同時合成方法を開示している。続いて、支持体から前記合成ペプチドを取り出すことなく、前記ペプチドと抗体の相互反応は容易に検出される。このようにして、所望のタンパク質の免疫原性エピトープ保持ペプチドは当業者により日常的に特定できる。例えば、Geysenらは、口蹄疫ウイルスのコートタンパク質の免疫学的に重要なエピトープについて、前記タンパク質の完全な213個のアミノ酸配列をカバーする可能な208個のヘキサペプチド全てを含むオーバーラップセットを合成することによって7アミノ酸という分解能で位置を決定した。続いて、前記エピトープ内の各位置で20個のアミノ酸の全てが順次置換された完全なペプチド交換セットを合成し、抗体との反応に対して特異性を付与する個々のアミノ酸を決定した。したがって、本発明のエピトープ保持ペプチドのペプチド類似体はこの方法によって日常的に作製することができる。米国特許4,708,781(Geyson, (1987))では所望のタンパク質の免疫原性エピトープを保持するペプチドを特定するこの方法がさらに記載されている。
本発明はまた本発明の脂質分解酵素の選択された多数の工業的プロセスでの使用に関する。これらプロセスで得られた長年の経験にもかかわらず、本発明の脂質分解酵素は従来用いられている酵素よりも多数の顕著な利点を特徴とする。個々の用途に応じてこれらの利点には、生産コストの削減、基質に対するより高い特異性、抗原性の減少、望ましくない副活性の減少、適切な微生物で製造したときの収量の増加、より適切なpHおよび温度範囲、最終生成物の良好な味および食品グレードおよび、コーシャであることのような特徴が含まれる。
本発明はまた生地またはベーク製品の製造方法に関し、前記方法は、有効量の本発明の脂質分解酵素(生地または生地から得られるベーク製品の1つまたは2つ以上の特性を前記ポリペプチドを含まない生地またはベーク製品と比較して改善する)を生地に取り込ませることを含む。
“生地に取り込ませる”という語句は、本発明の脂質分解酵素を生地、生地を製造する任意の成分、および/または生地を製造する生地成分の任意の混合物に添加することと定義される。換言すれば、本発明の脂質分解酵素は生地製造の任意の工程で添加することができ、さらに1つ、2つまたは3つ以上の工程で添加することができる。本発明の脂質分解酵素は、当業界で周知の方法を用いて、こねてベークする生地の成分に添加してベーク製品を製造できる。例えば以下の文献を参照されたい:米国特許4,567,046、EP-A-426,211、JP-A-60-78529、JP-A-62-111629、およびJP-A-63-258528。
“特性の改善”という用語は、生地および/または前記生地から得られる製品(特にベーク製品)の任意の特性であって、本発明の脂質分解酵素の作用によって本発明の脂質分解酵素が取り込まれていない生地または製品と比較して改善される特性と定義される。前記改善特性には、生地の強度の増加、生地の弾力性の増加、生地の安定性の増加、生地の粘着性の減少、生地の伸展性の改善、ベーク製品の風味の改善、ベーク製品の抗老化の改善が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
前記特性の改善は、本発明のポリペプチドが添加および添加されていない生地および/またはベーク製品を本発明の方法にしたがい比較することによって下記実施例に記載したように決定することができる。官能性品質(organoleptic qualities)はベーキング工業で確立された方法を用いて評価することができる。前記方法には例えば訓練を受けた一群の味覚判定者の利用が含まれるであろう。
“生地の強度の増加”という用語は、本明細書では一般的により弾力性をもつ生地および/または型入れおよび成形によりいっそうの労力を必要とする生地の特性と定義される。
“生地の弾力性の増加”という用語は本明細書では、一定の張力を受けた後でその本来の形状を取り戻そうとする傾向がより強い生地の特性と定義される。
“生地の安定性の増加”という用語は本明細書では、力学的攻撃の影響を受けにくい、したがってその形状および体積をより良好に維持する生地の特性と定義される。
“生地の伸展性の改善”という用語は本明細書では、破壊されることなく強い張力または引き伸ばしに付すことができる生地の特性と定義される。
“生地の機械加工性の改善”という用語は本明細書では、一般的に粘着性が少なくおよび/またはより堅くおよび/またはより弾力性が強い生地の特性と定義される。
“ベーク製品の体積の増加”という用語は、典型的には伝統的なアブラナ種子置換方法(rapeseed displacement method)によって決定されるパン塊の比容積(体積/重量)として判定される。
“ベーク製品の内相構造の改善”という用語は本明細書では、内相のセル壁がより繊細および/またはより薄いベーク製品および/またはパン内のセルがより均一/均質に分布したベーク製品の特性と定義され、習熟したテストベーカーによって経験的に判定される。
“ベーク製品の柔らかさの改善”という用語は“硬さ”の反対であり、より容易に圧縮されるベーク製品の特性と定義され、習熟したテストベーカーによって経験的に判定されるか、または当業界で公知のテクスチャー分析装置(例えばTAXT2)を用いて測定される。
“ベーク製品の風味の改善”は訓練された検査員の審査会によって判定される。
“ベーク製品の抗老化の改善”という用語は本明細書では、保存中の品質パラメーター(例えば柔らかさおよび/または弾力性)の劣化速度が遅いベーク製品の特性と定義される。
“生地”という用語は、本明細書ではこねたりまたは練ったりするために十分に堅い、穀粉と他の成分の混合物と定義される。前記生地は新しいものでも、凍結されたものでものでも、前熟成されたもの(pre-bared)でも、または予備加熱されたものでもよい。凍結生地の調製は文献に記載されている(Kulp and Lorenz, “Frozen and Refrigerated Doughs and Batters”)。
“ベーク製品”という用語は本明細書では生地から製造される任意の製品(柔らかいまたはパリパリ(crisp)タイプの両方の製品)と定義される。本発明によって有利に製造できるベーク製品の例は、(白色、ライトまたはダークタイプに関係なく)典型的には塊型パン(loaf)またはロール型のパン(特に白パン、全粒パンまたはライムギパン)、バケット型のフランスパン、パスタ、ピタパン、トルティーヤ、タコス、ケーキ類、パンケーキ、ビスケット、クッキー、パイ皮、饅頭、および薄いビスケット(crisp bread)などである。
本発明の脂質分解酵素はまた、EP-A-0619947、EP-A-0659344およびWO02/49441に開示されたような酵母含有組成物に取り込ませることができる。
穀粉のプレミックスに混合するためには、本発明のポリペプチドは乾燥生成物の形(例えばノンダスト顆粒)であることが有利であるが、一方、液体と一緒に混合するためには有利には液体形を有する。
好ましい実施態様では、この追加の酵素はアミラーゼ、例えばアルファ-アミラーゼ(酵母によって醗酵可能な糖を提供し、老化の遅延に有用)またはベータ-アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、特にエキソペプチダーゼ(風味増強に有用)、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ(生地または生地成分中に存在する脂質の改変に、したがって生地を柔らかくするために有用)、ホスホリパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、特にペントサナーゼ(例えばキシラナーゼ、生地の伸展性を高めるペントサンの部分的加水分解に有用)、プロテアーゼ(グルテンを弱めるために、特に強力粉を用いたときに有用)、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、例えばWO95/00636に開示されたタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ(生地の粘稠性の改善に有用)、ラッカーゼ、またはオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、アルドースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、リポキシゲナーゼまたはL-アミノ酸オキシダーゼ(生地の粘稠性の改善に有用)であろう。
本発明の方法にしたがって1つまたは2つ以上のまた別の追加の酵素が添加されるとき、これらの活性は本発明のポリペプチドと別々にまたは一緒に、場合によってパン改善組成物および/または生地改善組成物として添加してもよい。他の酵素活性は上記に記載した酵素のいずれでもよく、確立されたベーキング方法にしたがってその量を決定できる。
本発明はまた、本発明の方法によって製造される生地またはベーク製品にも関する。
本発明はさらに、生地および/または生地から製造されるベーク製品のためのプレミックス(例えば穀粉組成物の形態を有する)に関する(この場合前記プレミックスは本発明のポリペプチドを含む)。“プレミックス”という用語は本明細書ではその通常の意味であると解されるべきで、すなわちベーキング用物質の混合物と定義され、一般的には穀粉を含み、工業的な製パンプラント/施設だけでなく小売のベーカリーでも使用することができる。前記プレミックスは、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含むパン改善組成物および/または生地改善組成物を適切な担体、例えば穀粉、澱粉、糖または塩と混合することによって製造できる。前記プレミックスは他の生地改善添加物および/またはパン改善添加物(例えば上記に述べた酵素を含む任意の添加物)を含むことができる。
本発明はさらに本発明のポリペプチドを含む顆粒または凝集粉末の形状を有するベーキング添加物に関する。本ベーキング添加物は、好ましくは粒子サイズ分布が狭く、粒子の95%(重量%)以上が25から500μmの範囲内である。
生地およびパンの製造で、本発明は上記で定義したプロセッシング補助剤、例えば酸化剤(例えばアスコルビン酸)、還元剤(例えばL-システイン)、オキシドレダクターゼ(例えばグルコースオキシダーゼ)のような化学的プロセッシング補助剤および/または他の酵素、例えば多糖類改変酵素(例えばα-アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ブランチングエンチームなど)および/またはタンパク質改変酵素(エンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、ブランチング酵素など)と併用して用いることができる。
本明細書で提供されるヌクレオチド配列によってコードされる脂質分解酵素を、前記DNA配列を含む発現プラスミドを構築し、A.ニゲルを前記プラスミドで形質転換し、さらにこのアスペルギルス・ニゲル株を下記の態様で増殖させることによって得た。
アスペルギルス・ニゲル株の新しい胞子(106−107)を20mLのCSL培養液(100mLフラスコ、反らせ板付き)に接種し、170rpmで37℃、20から24時間増殖させた。5-10mLのCSL予備培養を100mLのCSM培養液(500mLフラスコ、バッフル付き)に接種した後、前記株を170rpmで34℃、3-5日間発酵させた。
50mLのグライナー管で遠心(5000rpm、30分)により細胞を含まない上清を採集した。前記上清をGF/Aワットマンガラスマイクロファイバーフィルター(直径150mm)で予備ろ過して大きな粒子を除去し、(必要な場合には)4NのKOHでpH5に調整し、吸引しながら0.2μmのボトルトップフィルターで滅菌ろ過して真菌由来物質を除去した。上清を4℃(または-20℃)で保存した。
CSL培養液は以下から成る(リットル当たりの量):100gのトウモロコシ抽出固形物(Corn Steep Solids; Roquette)、1gのNaH2PO4 *H2O、0.5gのMgSO4 *7H2O、10gのグルコース*H2Oおよび0.25gのバシルドン(Basildon)(泡立ち防止剤) 。
前記成分を脱イオン水に溶解し、pHをNaOHまたはH2SO4でpH5.8に調整し、バッフルおよびフォームボールを備えた100mLフラスコに20mLの発酵ブロスを満たし、120℃で20分滅菌した。その後で室温に冷却後、5000IU/mLのペニシリンおよび5mg/mLのストレプロマイシンを含む溶液200μLを各フラスコに添加した。
CSM培養液は以下から成る(リットル当たりの量):150gのマルトース*H2O、60gのソイトン(Soytone)(ペプトン)、1gのNaH2PO4 *H2O、15gのMgSO4 *7H2O、0.08gのトゥイーン80、0.02gのバシルドン(Basildon)(泡立ち防止剤)、20gのMES、1gのL-アルギニン。前記成分を脱イオン水に溶解し、pHをNaOHまたはH2SO4でpH6.2に調整し、バッフルおよびフォームボールを備えた500mLフラスコに100mLの発酵ブロスを満たし、120℃で20分滅菌した。その後室温に冷却後、5000IU/mLのペニシリンおよび5mg/mLのストレプロマイシンを含む溶液1mLを各フラスコに添加した。
工程1−限外ろ過物の調製
実施例1で得られた培養上清を限外ろ過し、酵素活性測定およびベーキングテストに干渉する可能性がある低分子夾雑物を除去する。10kDaカットオフフィルターを取り付けたミリポアラブスケールTFFシステムで30mLの上清を限外ろ過した。
それらの着色に応じてサンプルを40mL容積の100mM冷リン酸緩衝液(pH6.0、0.5mMのCaCl2を含む)で3−5回洗浄した。酵素溶液の最終容積は30mLであった。前記をさらに“限外ろ過物”と称する。
工程2−A280およびHPSECによる脂質分解酵素の濃度の測定
前記限外ろ過物中の脂質分解酵素の濃度は、脂質分解酵素に起因する280nmの吸光(A280)および算出した本脂質分解酵素の分子吸光係数から計算した。A280の測定はUvikonXLセコマン(Secoman)分光光度計(Beun de Ronde, Abcoude, オランダ)で実施した。
酵素の分子吸光係数は酵素分子当たりのチロシン、トリプトファンおよびシステイン残基数から計算できる(S.C. Gill and P.H. von Hippel, Anal. Biochem. 182:319-326 (1989))。これらアミノ酸の分子吸光係数はそれぞれ1280、5690、120M-1.cm-1である。本発明の脂質分解酵素中のチロシン、トリプトファンおよびシステインの数は配列番号:3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群から選択されるタンパク質配列から推定することができる。本発明の脂質分解酵素の計算で得られた吸光係数は下記表2に要約されている。
本発明の脂質分解酵素に起因する限外ろ過物におけるA280は、クロマトグラフィーの図のそれぞれの脂質分解酵素ピークのピーク表面と280nmでの吸収のピークの総表面の割合から得られた。続いて各脂質分解酵素について、限外ろ過物のA280に上記の比を乗じ、さらに算出した吸光係数(1mg/mL溶液−表2のもっとも右の欄)で割ることによって限外ろ過物中の脂質分解酵素濃度を算出した。
実施例1で得られた細胞を含まない上清を、表3に要約したようにリパーゼ、ホスホリパーゼおよびガラクトリパーゼアッセイに付した。
表3:実施例1で調製した無細胞上清の脂質分解酵素活性
0=ブランクと異ならない;+/++/+++=ブランクより高い
ホスホリパーゼAは基質として1,2-ジチオジオクタノイル-ホスファチジルコリンを用いることにより分光光度計で決定した。ホスホリパーゼAは、1位(PLA1)または2位(PLA2)でスルフィド結合を加水分解しそれによって4チオ-オクタン酸を遊離させ、前記4チオ-オクタン酸は続いて4,4-ジチオジピリジンの反応で4-チオピリドンを生成する。後者は、334nmで吸収を示す4-メルカプトピリジンと互変異平衡にある。前記反応は、0.1Mの酢酸緩衝液(pH4.0)(0.2%トリトン-X100、0.65mMの基質および0.2mMのDTDPを含む)で37℃で実施される。ホスホリパーゼA(PLA)の1単位は、上記の反応条件で1分間に1マイクロモルの4チオ-オクタン酸を遊離させる酵素の量と定義される。
リゾホスホリパーゼ活性は基質としてリゾホスファチジルコリンを用いることにより31P-NMR分光法で決定した。リゾホスホリパーゼはエステル結合を加水分解し、それによって脂肪酸をグリセロール部分から遊離させる。前述のようにして生成されたグリセロホスホコリンをNMRを用いて定量する。反応は、50mMの酢酸緩衝液(pH4.5)(さらに1mg/mLのリゾホスファチジルコリンおよび5mMのCaCl2を含む)で55℃、30分間実施される。リゾホスホリパーゼ(LPC)1単位は、上記の反応条件で1分間に1マイクロモルの4グリセロホスホコリンを生成する酵素の量と定義される。
ガラクトリパーゼ活性は、文献(Hirayama and Matsuda (1972) Agric. Biol. Chem. 36:1831)に記載された方法にしたがい、基質としてジガラクトシルジグリセリドを用いることによりH-NMR分光法で決定した。ガラクトリパーゼは脂肪酸とグリセロール骨格との間のエステル結合を加水分解しそれによって一方または両方の脂肪酸を遊離させる。反応は、50mMの酢酸緩衝液(pH4.5)(さらに4mMのCaCl2、0.2%のトリトンX-100および1mg/mLのジガラクトシルジグリセリド(Lipid Products)を含む)で30℃、30分間実施される。ガラクトリパーゼ1単位は、上記の反応条件で1分間に1マイクロモルの脂肪酸を生成する酵素の量と定義される。
表4に示した活性の他にグルコアミラーゼの弱い活性もまた存在していたが、その活性はこれらの酵素が実施例4に記載するベーキング実験で干渉しない程度の低い量であった。
200gの小麦粉(80/20の割合のKolibri(登録商標)/Ibis(登録商標))、1.4gの乾燥製パン酵母(Fermipan(登録商標))、4gの塩、3gの砂糖、10mgのアスコルビン酸、116gの水および2gの脂肪を混合することによって得られた150グラムの生地からパップローフを焼いた。6分15秒間ピンミキサーで混合した後、前記生地を150gの生地片に分割し、45分間30℃で醗酵(proof;プルーフ)させ、パンチしてさらに25分醗酵させ、型に入れ加温した(panned)。醗酵は相対湿度90−100%で実施した。30℃で70分の最終醗酵の後、生地を225℃で20分ベークした。
本ベーキング実験における種々の脂質分解酵素の多様な作用を、同じ量の真菌アミラーゼ(限外ろ過物の用量(前記限外ろ過物の真菌アミラーゼ活性については表4を参照されたい)に基づいて別に添加される)を含むコントロールと比較した。これは脂質分解酵素とともに添加された真菌アミラーゼの量は他のパラメーターには影響しないがパンの体積には特に影響を及ぼすので必要なことであった。コントロール量の真菌アミラーゼを添加されたパンの体積を100%とした。
生地の粘着性および伸展性は有資格のパン焼き職人が表5に示した基準を用いて判定した。測定は対象毎に2つのパンの平均とした。
これらのテストの後で、生地片を丸め、最初の醗酵を30℃で45分実施し、さらにその後生地をパンチし、型に入れ加温し、30℃で75分醗酵させた。醗酵中の相対湿度は85%に設定した。
続いて醗酵した生地の安定性を、気泡の存在、破れた側部外皮および不規則に湾曲した外皮の表面によって判定した。生地片を225℃で20分ベークした。パンの体積はBVM-3方法で決定した。表では、同じ生地からベークした2つのパンの平均が表示されている。
内相構造は有資格のパン焼き職人が表5に示した基準を用いて判定した。3日間前記のパンをポリエチレンの袋に室温で保存し、パンの堅さをスティーブンス(Stevens)テクチャー分析装置を用いて測定した。各パンの中心部から得た2cmの厚さの2切れの薄切りを、1.5インチの直径、圧縮の深さ5mm(25%)および圧縮速度0.5mm/秒のプローブを用いてテクスチャー分析装置によって分析した。表では2つの測定値の平均が示されている。
外皮の着色は有資格のパン焼き職人が表5に示した基準にしたがって判定した。リファレンスとしてダッチチンブレッド(Dutch tin bread)の標準的レシピーを用いた。
内相の着色は有資格のパン焼き職人が表5に示した基準にしたがって判定した。対照の内相の着色を標準(3)として判定した。陽性対照として、対照と同じ組成+0.5%大豆粉を含む2つの生地から得たパンを使用した。醗酵およびベークの方法は大豆粉を含まない対照と同じである。陽性対照を“優”と判定した。
パンの突出最上部はベーキング皿に対する最上部の垂れ下がりによって判定した。最上部の端が低ければ低いほど判定は低下する。垂れ下がりが少ないほど判定は良好である。
パンの老化はパンの薄切りの内相の固さを感触で調べることによって判定した。薄切りにする前に、パンはプラスチックの袋に室温で4日間保存した。薄切りのパンの内相が柔らかければ柔らかいほど、判定は良好である。
本発明の脂質分解酵素のベーキング性能を“バタール”と称されるフランスパンタイプで調べた。標準的なベーキング方法でのバタールの製造は、約20℃の小麦粉3000g、圧縮酵母70g、塩60g、68ppmのアスコルビン酸、30ppmのベークザイム(Bakezyme(登録商標))HS2000(真菌のヘミセルラーゼ)、7ppmのベークザイム(登録商標)P500(真菌のα-アミラーゼ)および1680mLの水(8−10℃)をらせんミキサー(Diosna: スピード1で2分;スピード2で100Whインプット)で混合することにより実施した。生地の温度は27℃とした。生地の機械加工性はパン職人の手で調べた。32℃および90%RHの醗酵キャビネットで生地に15分間バルク醗酵させた。その後、生地を350gの6片に分割し、丸めてさらに32℃、90%RHで15分間醗酵させた。終了後、生地片を型に入れ成形し、32℃および90%RHで最終醗酵を90分行った。完全に醗酵した生地を生地片の縦方向に切れ目を入れ、オーブンで240℃30分最初に蒸気を添加しながらベークした。室温に冷ました後、パンの体積をBVM法(実施例4参照)で決定した。
室温に冷ました後パンのブレーク(break)、シュレッド(shred)および形状を有資格のパン焼き職人が表7に示したスコアを用いて直接判定した。閉じた箱に16時間(一晩)室温で保存後、内相の品質を有資格のパン焼き職人が判定した。パンの数値(表8)は1つの対象物から得られた。
Claims (24)
- 配列番号1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群より選ばれるポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能な単離ポリヌクレオチド。
- 配列番号1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群より選ばれるポリヌクレオチドに高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な単離ポリヌクレオチド。
- 糸状菌から得ることのできる請求項1または2記載の単離ポリヌクレオチド。
- アスペルギルス・ニゲルから得ることの出来る請求項3記載の単離ポリヌクレオチド。
- 配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドまたはその機能的等価物。
- 配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも一つの機能的ドメインをコードする単離ポリヌクレオチドまたはその等価物。
- 配列番号1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群より選ばれるポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
- 配列番号1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37および38からなる群より選ばれる単離ポリヌクレオチド。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のポリヌクレオチド配列を含むベクター。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のポリヌクレオチド配列が、適切な宿主細胞中で前記ポリヌクレオチド配列を発現させるために適切な制御配列に機能的に連結されている、請求項9記載のベクター。
- 適切な宿主が糸状菌である請求項10記載のベクター。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のポリヌクレオチドまたは請求項9〜11のいずれか1項記載のベクターを製造する方法であって、前記ポリヌクレオチドまたは前記ベクターで形質転換された宿主細胞を培養する工程、および、前記ポリヌクレオチドまたは前記ベクターを前記宿主細胞から単離する工程を含む、前記方法。
- 配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36および39からなる群より選ばれる配列を有する単離脂質分解酵素またはその機能的等価物。
- アルペルギルス・ニゲルから得ることの出来る請求項13記載の単離脂質分解酵素。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のポリヌクレオチドまたは請求項9〜11のいずれか1項記載のベクターを適切な宿主、例えばアスペルギルス・ニゲルで発現させることによって得ることのできる単離脂質分解酵素。
- 請求項13〜15のいずれか1項記載の脂質分解酵素の機能的ドメインを含む組換え脂質分解酵素。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のポリヌクレオチドまたは請求項9〜11のいずれか1項記載のベクターで適切な宿主細胞を形質転換する工程、前記細胞を前記ポリヌクレオチドの発現が可能な条件下で培養する工程、および、場合により前記細胞又は培地からコードされたポリペプチドを精製する工程を含む、請求項13〜16記載の脂質分解酵素を製造する方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のポリヌクレオチドまたは請求項9〜11のいずれか1項記載のベクターを含む組換え宿主細胞。
- 請求項13〜16のいずれか1項記載の脂質分解酵素を発現する組換え宿主。
- 請求項13〜16のいずれか1項記載の脂質分解酵素と反応する精製抗体。
- 請求項13〜16のいずれか1項記載の脂質分解酵素を含む融合タンパク質。
- 請求項13〜16のいずれか1項記載の脂質分解酵素を添加することを含む、生地の製造方法。
- 請求項22記載の方法によって調製される生地からベーク製品を製造する方法。
- 生地および/またはそれからのベーク製品を調製するための請求項13〜16のいずれか1項記載の脂質分解酵素の使用。
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