JP3055964B2 - Hcv 抗原活性ポリペプチド、ポリペプチドの製造方法、形質転換された大腸菌、および抗hcv 抗体の検出方法 - Google Patents

Hcv 抗原活性ポリペプチド、ポリペプチドの製造方法、形質転換された大腸菌、および抗hcv 抗体の検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、C型肝炎の病因である
C型肝炎ウイルス(以下HCV と略す場合がある)の抗原
活性を有するポリペプチド、HCV 遺伝子の一部を有する
組換えベクターを含む形質転換微生物、この形質転換微
生物を用いたポリペプチドの製造方法および抗原活性ポ
リペプチドを用いた抗HCV 抗体の検出方法に関する。
【0002】本発明によるポリペプチドは、C型肝炎の
診断上、極めて有用性の高いものである。
【0003】
【従来の技術】C型肝炎はC型肝炎ウイルスによって引
き起こされるものであり、輸血後非A非B型慢性肝炎の
9割以上はHCV 感染により引き起こされる肝炎であると
いわれている。さて、C型肝炎ウイルスの遺伝子の一部
がヨーロッパ特許EP0318216 (1989年公開)、およびヨ
ーロッパ特許EP0388232 (1990年公開)に報告されてい
る。更に、ヨーロッパ特許EP0318216では非構造蛋白質
領域をコードする遺伝子の一部を酵母の発現ベクターに
挿入し、この遺伝子を発現させて、C100と呼ばれる
抗原蛋白質を製造することが報告されている。
【0004】これまでの研究によると、C型肝炎ウイル
スは遺伝子の全長約10kb(約1万ヌクレオチド)のRN
Aウイルスと考えられており、そのうち5'末端の最初か
ら約500 ヌクレオチドが、コア蛋白質領域に相当するも
のと考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】我々は、これまでにC
型肝炎ウイルスのコア蛋白質領域について独自に研究を
進め、HCV コア領域内の特定の遺伝子領域を有する組換
えベクターpKMR3 を作製し、その遺伝子発現に関して鋭
意研究を進めてきた。そしてpKMR3 により、宿主大腸菌
JM109(DE3)を形質転換し、得られた組換え菌JM109(DE3)
[pKMR3 ]を培養し、HCV 抗原活性を有するポリペプチ
ドの生産を誘導することにより、抗原性が強く、特異性
も高く、かつプロテアーゼ耐性の強いポリペプチドを効
率よく得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、配列番号1又
は配列番号2を含むHCV 抗原活性ポリペプチドにある。
更に本発明は、配列番号1又は配列番号2記載のアミノ
酸配列を有する抗原活性ポリペプチドとヒト由来の抗HC
V 抗体とを反応させて得られる複合体を、標識した抗ヒ
トIg抗体を用いて検出する、抗HCV 抗体の検出方法に
ある。
【0007】更に本発明は、C型肝炎ウイルスのコア蛋
白質領域をコードする遺伝子断片を含む組換えベクタ
ー、例えばpKMR3 で形質転換された大腸菌を用いてHCV
抗原活性ポリペプチドを製造する方法において、宿主大
腸菌としてJM109(DE3)を用いるHCV 抗原活性ポリペプチ
ドの製造方法にある。更に本発明は、配列番号3の塩基
配列で示される遺伝子断片を含む組換えベクターで形質
転換した大腸菌JM109(DE3)[pKMR3 ]にある。
【0008】更に本発明は、上記大腸菌JM109(DE3)[pK
MR3 ]を培地に培養し、HCV 抗原活性を有するポリペプ
チドを生産せしめ、培養物から該ポリペプチドを採取す
ることを特徴とするHCV 抗原活性を有するポリペプチド
の製造方法にある。以下、本発明を詳細に説明する。本
発明でいう組換えベクターとしては、組換えベクターpK
MR3 が挙げられるが、これは配列番号3に示す塩基配列
の遺伝子断片がプラスミドベクターpET-3dのNcoI位から
BamHI 部位の間に挿入された組換えベクターである。加
藤、大越、下遠野らは、1989年に日本のC型肝炎ウイル
スとアメリカのC型肝炎ウイルスとの塩基配列の相違を
指摘し、HCV には日本型とアメリカ型が存在することを
報告した Proceedings of the Japan Academy, Vol.65,
Ser.B, No.9, pp.219〜223 (1989). 。配列番号3で示
される遺伝子断片は、この日本型HCV のコア領域の一部
に相当し、配列の1〜482 番がコア領域に対応し、1〜
3番が開始コドンとなる。なお、プラスミドベクターpE
T-3dの詳細はストゥディアらによりメソーズ・ イン・ エ
ンザイモロジー185 巻、60-89 ページ[Methods in Enz
ymol., Vol.185,pp.60-89]に記されている。
【0009】一般に宿主とベクターとの組合せは、遺伝
子発現を安定的に、効率よく行う際にきわめて重要な問
題である。ストゥディアらはメソーズ・ イン・ エンザイ
モロジーの中で、プラスミドベクターpET-3dの宿主に
は、BL21(DE3) が適していると報告している。また大腸
菌JM109(DE3)は、ベクターpGEMEX用の宿主として、プロ
メガ社から市販されているものである。我々は、今回プ
ラスミドベクターpET-3dの誘導体である組換えベクター
pKMR3 作成し、これを用いているがこの組換えベクター
の宿主として、JM109(DE3)を組み合わせた場合、他の宿
主と比較して、組換え大腸菌が安定に保存でき、更にポ
リペブチドの収量の増加が見られるなど、優れた効果が
得られることを見いだした。
【0010】こうして組換えベクターpKMR3 で宿主大腸
菌JM109(DE3)を形質転換する事により得られた組換え大
腸菌、JM109(DE3)[pKMR3 ]は、通商産業省工業技術院
微生物工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3
号) に微工研菌寄第12177 号(FERM P-12177)として寄
託されている。組換え大腸菌を培養するための培地は、
lacUV5プロモーターの誘導がかからないものであ
ればいずれでもよく、特に限定されず、通常の培地が好
適に利用できる。なおlacUV5プロモーターはグル
コースによる異化代謝産物抑制はおこらないので、培地
中にグルコースは存在しても、しなくても良い。
【0011】組換え大腸菌における日本型HCV コア遺伝
子の発現は、培地にイソプロピルチオガラクトシド(以
下IPTGと略す場合がある)を添加することにより誘
導される。即ち、宿主大腸菌JM109(DE3)の染色体上に
は、lacUV5プロモーターに続いてT7RNAポリ
メラーゼの遺伝子が存在しており、IPTG添加によ
り、まず染色体上のT7RNAポリメラーゼの遺伝子発
現が誘導される。次いで、生産されたT7RNAポリメ
ラーゼが、組換えベクターpKMR3 上のφ10プロモータ
ーを選択的に認識し、φ10プロモーター下流の遺伝子
を多量に転写する。そしてその結果、多量のHCV抗原活
性を有するポリペプチドが生産される。遺伝子発現はI
PTGの添加により誘導されるが、もちろん、組換えと
大腸菌を前培養後、菌体を集菌、洗浄し、別の栄養培地
に移して、IPTGを添加して、遺伝子発現を誘導する
方法も有効である。
【0012】本発明でいうHCV 抗原活性ポリペプチドと
は、優れた抗原活性に必須な、配列番号1に示すアミノ
酸配列を含むポリペプチドであり、そのN末端あるいは
C末端に、余分なアミノ酸が複数個付加したものであっ
てもよい。この配列は、日本型HCV コア蛋白質のN末端
から2番目ないし161 番目までのアミノ酸配列に相当す
るものである。
【0013】また、本発明でいうもう一つのHCV 抗原活
性ポリペプチドとは、配列番号2に示すアミノ酸配列を
含むポリペプチドである。この配列の1番目から160 番
目までは、日本型HCV コア蛋白質のN末端から数えて、
2番目から161 番目までのアミノ酸配列に相当する。ま
た、この配列の161 番目から190 番目までは、ヒト免疫
グロブリン(以下、ヒトIgと略す場合がある)と反応
しない、抗原性のないポリペプチド領域である。
【0014】本発明によるポリペプチドは、例えば組換
えベクターpKMR3 上の日本型HCV コア遺伝子の発現によ
り得られるものである。ここで、組換え大腸菌JM109(DE
3)[pKMR3 ]を培養し、遺伝子発現を誘導させた後にポ
リペプチドを精製すると、開始コドンATGに相当する
メチオニンが切断されたポリペプチドも回収される。そ
してN末端のメチオニンが切断されたポリペプチドは、
メチオニンの付加されたポリペプチドと比較して、プロ
テアーゼ耐性が良好となるなどの、特異的な効果が見ら
れた。HCV 抗原活性を有するポリペプチドを精製する際
には大腸菌由来のプロテアーゼ作用を受けるので、この
効果はきわめて有用である。HCV 抗原活性ポリペプチド
は、適当な担体に結合させて、血液中の抗HCV 抗体の検
出に利用できる。例えば、マイクロウェルプレートのウ
ェル表面に、HCV 抗原活性ポリペプチドを化学的あるい
は物理的に吸着させると、抗原を感作したプレートを作
製できる。該感作プレートには、なお蛋白質吸着部位が
残存しているので、これをブロックする目的で、抗原活
性のない不活性蛋白質を吸着活性部位に吸着させる「ブ
ロッキング」操作を行う。
【0015】抗原活性ポリペプチドをウェル表面に感作
する場合は、蛋白質濃度は好ましくは0.1μg/ml以上が
適当である。感作する場合、界面活性剤であるSDS
を、好ましくは 0.1% 以下の濃度で共存させるか、また
は尿素を共存させても良い。感作の温度と時間は特に限
定されないが、温度は好ましくは1℃以上50℃以下、時
間は30分以上で、好適に進行する。ブロッキング剤は、
カゼイン、スキムミルク、BSA(牛血清アルブミ
ン)、正常山羊血清などの通常のブロッキング剤が特に
制限なく利用できるが、中でもカゼインは好適に利用で
きる。
【0016】血液中の抗HCV 抗体の検出は、以下の手順
で行う。血液を血しょうまたは血清の状態とし、これを
希釈後ないし原液で、抗原を感作したウェルに加える
と、血液中に抗HCV 抗体が存在する場合、ウェル表面の
HCV 抗原活性ポリペプチドと該抗体とが反応し、複合体
を形成する。この時、血液中に抗HCV 抗体がなければ、
複合体は生じない。
【0017】次いで、マイクロウェルを洗浄し、標識し
た抗ヒトIg抗体(以下、二次抗体と呼ぶ場合がある)
を添加すると、複合体の抗HCV 抗体部分(ヒトIg部
分)と、二次抗体とが反応して、新たな複合体を形成す
る。次いでウェルを洗浄すると、新たな複合体が形成さ
れたウェルのみ、標識された二次抗体が残る。こうして
二次抗体の標識を検出することにより、抗HCV 抗体を検
出できる。
【0018】二次抗体の標識は特に制限なく、通常のR
IAやELISAに使用されている標識が利用できる。
例えば、125-I、14- C、3-Tなどの放射性化合物によ
る標識や、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ
などの酵素による標識、ビオチン標識、FITCなどの
蛍光標識などが利用でき、これらの中から適時選択使用
される。
【0019】標識の検出には、標識方法に応じた適当な
方法が選択される。例えばパーオキシダーゼで標識した
二次抗体の場合、発色剤として、2,2'−アジノ−ビス(3
−エチルベンツ−チアゾリン−スルホネート) [ABT
S]やo-フェニレンジアミン[OPD]などが選択出来
る。
【0020】
【発明の効果】本発明の形質転換大腸菌JM109(DE3)[pK
MR3 ]によりC型肝炎ウイルスの抗体に特異的に反応す
る有用な抗原性を有するポリペプチドを高収率で生産す
ることが出来る。こうして得られたポリペプチドは、保
存安定性が優れている。このポリペプチドはC型肝炎の
診断薬として利用できる。また本発明により得られた有
用な抗原性を有するポリペプチドは、C型肝炎の患者血
清中に存在する抗HCV 抗体の特異的な検出を可能にす
る。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、これら実施例により本発明の技術的範囲が
限定されるものではない。
【0022】
【実施例1】 大腸菌JM109(DE3)[pKMR3 ]の培養と、
HCV 抗原活性ポリペプチドの生産 (1−1)組換え大腸菌JM109(DE3)[pKMR3 ]の作成 遺伝子操作技術、ハイブリダイゼーション法、プラスミ
ド回収法(アルカリ溶菌法)、形質転換法(ルビジウム
法)は、マニアティスらの方法[Molecular Cloning, C
old Spring Harbor Laboratory, New York (1982).]に
従って行った。
【0023】輸血後非A非B患者血清3000mlを19,000rp
mで16時間超遠心し、沈殿を得た。該沈澱物をGITC
溶液100mlに溶解し、該溶解物100ml に対して、100ml
のフェノール−クロロホルム(1:1)を加え、15分間
室温で振盪後、3000rpm 、15分間遠心した。該反応液の
水層を取り出し、Isopropyl Alcohol 100ml を加え、−
20℃に3時間放置した後、3000rpm で15分間遠心し、沈
澱物を得た。
【0024】該沈澱物に対して、GITC溶液10mlを加
えて溶解液とした。該溶解液に対して、10mlにフェノー
ル−クロロホルム(1:1)を加え、10分間室温で振盪
後、3000rpm 、15分間遠心した。該反応液の水層を取り
出し、クロロホルム20mlを加え、5分間振盪した。振盪
後、3000rpm 、5分間遠心し、水層10mlを回収した。こ
の水層10mlに対して、5M NaCl 溶液0.4ml を加えた。
【0025】その後、30mlの氷冷エタノールを添加し、
−20℃で12時間放置した。放置後、3000rpm で15分間遠
心し、沈澱物を得た。該沈澱物を75%エタノールで洗浄
し、乾燥後、蒸留水200 μlに溶解し、RNA溶解液を
得た。なお、GITC溶液の組成は、4M グアニジウム
イソチオシアネート(フルカ(株)製)、25mMクエン酸
ソーダ、0.5 %サルコシル、0.1M メルカプトエタノー
ルである。
【0026】得られたRNA溶液4μlに、逆転写酵素
反応液[250mM Tris・HCl(pH8.3),375mM KCl, 50mMDTT,
15mM MgC12]2μl、塩基配列が(5')AGTTCATCCAGGT
ACAACCGAACCA(3') で示される25塩基のプライマー溶液
1μl (100ng/μl)、4種類のデオキシヌクレオチド
[dATP, dGTP, dCTP, dTTP、各15mM]を各0.5 μlずつ
加えて、9μlの溶液を作った。
【0027】これにミネラルオイルを加えて、70℃、2
分間加熱し、ついで37℃に冷却し、逆転写酵素1μl
(BRL社製品)を加え、37℃で60分反応させた。この
反応液(10μl)に、更にPCR反応液[400mM Tris・
HCl (pH8.8), 100mM硫酸アンモニウム、40mM塩化マグネ
シウム、60mMメルカプトエタノール、0.1% BSA]8.3
μl、4種類のデオキシヌクレオチド[dATP, dGTP, dC
TP, dTTP、各15mM]を各5μlずつ、塩基配列 (5') AG
GCTAGCCAGCTGCCGACCCCTTACCGATTTTGACCAGGGCTGGGGCCCTA
TCAGTTA(3') で示される60塩基のプライマー溶液5μl
(100ng/μl)、塩基配列(5') AGTTCATCCAGGTACAACCGAAC
CA(3')で示される25塩基のプライマー溶液5μl(100ng/
μl)、水0.7 μlを加え、全量49μlの溶液とした。
【0028】この溶液を92℃で5分間処理し、室温に冷
却してTaq ポリメラーゼ1μl(2単位、New England Bi
olabs 社製品)を加えた。以下、アニール(55℃、45
秒)、ポリメリゼーション(72℃、2分)、変性(90
℃、1分)を、35回繰り返して、DNAの増幅を行っ
た。なお、本方法で使用したプライマーを、カイロン社
がEP0318216 に発表したHCV の遺伝子の塩基配列番号で
示せば、以下の通りである。まず60塩基のものは、14〜
73番目のセンス鎖に相当し、25塩基のものは 297〜321
番目のアンチセンス鎖に相当する。
【0029】以下、PCR法により増幅した遺伝子産物
のクローニングについて述べる。まず増幅した遺伝子産
物(307塩基対)をアガロースゲル(2%)で電気泳動
し、これから目的の長さのDNAを回収した。ついでこ
れをKlenow fragment 酵素処理し、DNAの末端を平滑
に揃え、更にT4ポリヌクレオチドキナーゼにより、5'
末端をリン酸化した。これをプラスミドベクターpTZ
19RのHincII部位に挿入し、遺伝子のクローン化を行っ
た。ついで、得られたクローンの 307塩基の配列を決定
した。
【0030】決定した塩基配列をもとに、20塩基のオリ
ゴヌクレオチド(5')GGGCTCGGAGTGAAGCAATA(3')[カイロ
ン社がEP0318216 に発表した配列の 171〜 190番目の逆
鎖に相当する]と、24塩基のオリゴヌクレオチド(5')GC
GTCGGAGGTGTGTGGTCCAGTG(3')[カイロン社がEP0318216
に発表した配列の 147〜170 番目のセンス鎖に相当す
る]の2種類を、アプライドバイオシステムズ社製品、
340A型機を用いて合成した。
【0031】cDNA合成はBRL社の合成キットを使
用した。その方法はcDNA合成マニュアル[BRL/
コスモバイオ社 Instruction Manual, Cat. No8267SA]
に従って行った。本実施例の(RNAの調製)の項で、
非A非B患者血清より調製した1本鎖RNA溶液5μl
に、20塩基のオリゴヌクレニチドを5μl(100μM)を加
え、逆転写酵素反応を行い、RNA/DNAの2本鎖と
した。次いで大腸菌DNAポリメラーゼIと、大腸菌R
NA分解酵素Hとを加え、DNA/DNA2本鎖とし
た。
【0032】次に、こうして得られた2本鎖DNAの両
末端にEcoRI リンカーを結合させた。この処理には宝酒
造の酵素を用い、宝酒造の酵素に添付されている反応条
件で反応を行った。まず2本鎖DNA約1μgを用い
て、EcoRI メチラーゼ処理を行い、その後T4DNAリ
ガーゼ反応によりEcoRI リンカーd(GGAATTCC)を結合さ
せた。最後に得られた反応液をEcoRI で切断し、EcoRI
断片を回収した。
【0033】最後にこのEcoRI 断片をλgt11のEcoRI部
位に挿入し、組換えλgt11ファージを作成したが、これ
にはStratagene社のキットGIGAPACKII GOLD を用い、方
法はキットに添付されているマニュアル[Protocol/Ins
truction Manual Cat. #200214, 2002215, 200216, Dec
ember 6, 1989 ]に従った。まずλgt11のEcoRI 部位に
EcoRI 断片を挿入し、これをT4リガーゼにより結合さ
せた。得られた組換えファージDNA溶液を GIGAPACK
II GOLD の In Vitro Packaging Kit を用いて、ファー
ジに戻した。この時のタイターを滴定した所 1.2×106
であった。このタイター値は、独立したクローンの数を
示す。
【0034】ついでプラークハイブリダイゼーションを
行った。まず大腸菌Y1090 をホストとし、直径15cmのプ
レート10枚に、得られた組換えλgt11ファージ5×105
相当を出現させた。得られたプラークを、ニトロセルロ
ースに写し取り、24塩基のオリゴヌクレオチドをプロー
ブとしてハイブリダイゼーションを行った。こうして、
1kb以上の挿入断片をもつクローン8株を選択し、この
中で最も長い断片を持つクローンを1株選び出した。そ
して、このクローンからEcoRI 断片を回収して、1251塩
基からなる遺伝子断片を得た。この断片をSP4断片と
名付けた。
【0035】SP4断片をDdeI制限酵素で切断し、258
塩基からなるDdeI断片を、アガロース電気泳動ゲルより
回収した。回収した断片を[γ−32P]ATPで放射標
識し、これをプローブとして、前出のcDNAライブラ
リーに対してプラークハイブリダイゼーションを行っ
た。こうして、プラークハイブリダイゼーションに対し
て陽性な、新たなクローンを得た。
【0036】次いでこのクローンのファージDNAから
EcoRI 断片を回収し、562 塩基の挿入断片を回収した。
次いで、この断片をプラスミドベクターpTZ19RのEcoRI
部位に挿入し、更に該プラスミドをBspHI とBamHI で切
断し、517 塩基の遺伝子断片を回収した。この断片の塩
基配列を、配列番号3に示す。次いで、プラスミドベク
ターpET-3dをNcoIとBamHI 部位で切断し、この部位に回
収した517 塩基のNcoI〜BamHI 断片を挿入して、組換え
ベクターpKMR3 を得た。組換えベクターpKMR3で、宿種
大腸菌BL21(DE3)を形質転換することにより得
られた、組換え菌HCVKMR3(微工研菌寄第11569号;FERM 、
P-11569 )を、LB+Amp培地[Bacto tryptone 1.
0%, Yeast extract 0.5%, NaCl 0.5%, アンピシリン(Am
p)200μg/ml]200 mlに接種し、37℃, 12時間培養し
た。次いでこの培養物から遠心により菌体を分離し、ア
ルカリ溶菌法により、組換えベクターpKMR3 を調製し
た。
【0037】次に、大腸菌JM109(DE3)[米国プロメガ(P
romega)社より購入]を100ml のLB培地(Bacto tryp
tone 1.0%, Yeast extract 0.5%, Nacl 0.5%)に1%接
種し、37℃、90分培養後、集菌し、ルビジウム法により
菌体を処理してコンピテントセルとし、これを1mlの懸
濁液とした。組換えベクターpKMR3 溶液1μg を、コン
ピテントセル懸濁液100 μlに加え、氷上で30分放置
し、その後42℃にて30秒、熱ショックを与えた。続い
て、このものに1mlのLB培地を加え、37℃にて、1時
間培養した。そして、この培養物1μlをLB+Amp
寒天培地プレート(LB+Amp培地に、寒天を1.5%添
加したもの)に撒き広げた。このプレートを37℃、14時
間培養すると、寒天培地上にコロニーが数百個現れた。
このコロニーは、組換え大腸菌JM109(DE3)[pKMR3]で
ある。
【0038】次に、寒天培地上の単独コロニーを、LB
+Amp培地100ml に接種し、37℃,12時間培養した。
培養液から100μlずつを、滅菌済みのスキムミルクの
入った凍結乾燥チューブに分注し、これらを凍結乾燥し
て形質転換微生物である組換え大腸菌JM109(DE3)[pKMR
3 ]を得た。これを保存菌体とし、その一部は、通商産
業省工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第12
177 号(FERM P-12177)として寄託されている。 (1−2)ポリペプチドの生産 上記乾燥保存菌体を開封し、これを10mlのLB+Amp
培地に接種し、37℃にて一晩培養した。続いてこの培養
物を、100ml のLB+Amp培地に接種し、これを37℃
にて一晩培養した。更にこの培養物を、10LのT1.5 G
+Amp培地(Bacto tryptone 1.5%, Glucose 0.4%, N
aCl 0.5%, アンピシリン 200μg /ml)に接種し、37℃
にて培養して、OD600 が0.7 となった時点で、IPT
Gを最終濃度0.4mM になるように添加し、HCV 抗原活性
を有するポリペプチドの生産を誘導した。更に引続き、
37℃で4時間培養し、ポリペプチドを産生させた。
【0039】培養後、培養液を12000rpm,4℃で連続遠
心し、湿潤重量10gの菌体ペレットを得た。このペレッ
トは−80℃にて凍結保存した。
【0040】
【実施例2】 HCV 抗原活性ポリペプチドの精製 (2−1)ポリペプチドの抽出 実施例1で得た菌体ペレット7gを、氷上で10mM-PiGM 緩
衝液(pH7.0 のリン酸緩衝液に、6M塩酸グアニジン、14
mMβ−メルカプトエタノールを含む)に懸濁した。これ
を超音波破砕機(INSONATOR,KUBOTA)で破砕(180Wにて
30分)した後、13,000rpm にて30分遠心し、上清を得
た。この上清を4℃で一晩放置し、その後再び遠心し、
得られた上清を抽出液とした。 (2−2)ポリペプチドの精製 Sephacryl S-300 superfine (ファルマシア社製) カラ
ムを用い、抽出液を試料とし、20mM-PiG緩衝液(pH 7.0
のリン酸緩衝液に2M塩酸グアニジンを含む)でゲル濾過
カラムによる分離を行った。SDS電気泳動により、目
的のポリペプチド抗原を含む分画を集めた。
【0041】次に、ホスホセルロースP11(Whatman 社
製) カラムを10mM-PiUM 緩衝液(pH 7.0のリン酸緩衝液
に、6M尿素、14mM- βメルカプトエタノールを含む)で
平衡化し、同じ緩衝液に十分に透析したゲル濾過画分を
適用した。このカラムを洗浄後、0Mから0.5MまでのNaCl
の直線濃度勾配で溶出を行った。得られたフラクション
から、SDS電気泳動により、目的のポリペプチド抗原
を含むP11 画分を集めた。
【0042】次いで、ブチルートヨパール(東ソー社
製)カラムを、10mM-PiUA1緩衝液(pH7.0 のリン酸緩衝
液に、6M尿素と1M硫安を含む)で平衡化した。上記ポリ
ペプチド抗原を含む溶出画分を10mM-PiU緩衝液(pH7.0
のリン酸緩衝液に、6M尿素を含む)に透析した後、硫酸
アンモニウム(硫安)を1Mとなるように徐々に加え、こ
の溶液をブチルトヨパールカラムにアプライした。10mM
-PiUA2緩衝液(pH7.0 のリン酸緩衝液に、6M尿素と、0.
8M硫安を含む)でカラム洗浄後、0.8Mから0Mまでの硫安
の直線濃度勾配で溶出を行った。得られたフラクション
から、SDS電気泳動により、目的のポリペプチド抗原
を含む分画を集めて精製ポリペプチド10mgを得た。この
段階で、得られたポリペプチドはSDS-PAGEにて単一バン
ドであった。 (2−3)アミノ酸組成分析 精製ポリペプチド1.0mg を凍結乾燥し、該凍結乾燥物に
対して 6N-HCl を加えて溶解し、105 ℃, 22時間加水分
解した。この加水分解物に対して日立 835型アミノ酸分
析システム(日立製作所株製)を使用して、アミノ酸組
成を分析した。
【0043】アミノ酸組成の分析結果を以下に示すが、
この結果は遺伝子構造から予想されるものと同じであっ
た。以下、アミノ酸の種類、1分子あたりのアミノ酸組
成の実測値(かっこ内は配列から予想される計算値)を
順に示すと、Gly 23(24)、Ala 19(19)、Val 9(8)、Leu
14(15)、Ile 4(4)、Met 2(2)、Phe 2(2)、Pro 21(20)、
Ser 10(11)、Thr 10(10)、Asp 6(6)、Glu 7(7)、Lys 9
(9)、His 2(2)、Arg 27(26)、Tyr 4(4)であった。 (2−4)N末端アミノ酸配列分析 PVDF膜にトランスファーした後、アミドブラック染色を
行い、ポリペプチドのバンドを切り出し、タンパク約0.
5mg 分をN末端分析に供した。N末端領域のアミノ酸配
列決定には、ABI model477A/120Aアミノ酸配列決定シス
テム(ABI 社製)を使用した。こうして決定されたポリ
ペプチドのN末端から5残基までのアミノ酸配列は Se
r、Thr 、Asn 、Pro 、Lys であり、これは遺伝子から
予想される配列の2番目から6番目に相当した。このこ
とから、開始コドンのメチオニンは、精製ポリペプチド
では切断されていることが判明した。
【0044】以上の結果から、得られたポリペプチドは
配列番号2に示すアミノ酸配列をもつポリペプチドであ
ることが確認された。
【0045】
【実施例3】 プロテアーゼ耐性試験 組換え大腸菌JM109(DE3)[pKMR3 ]からは、主成分とし
てN末端にMet のない、配列番号2に示すアミノ酸配列
のポリペプチド(以下、ポリペプチド1と表示する場合
がある)が回収された。また形質転換直後のHCVKMR3 を
使用して、実施例1と同じ方法によりポリペプチドを生
産すると、N末端にMet が付加した配列番号4に示すア
ミノ酸配列のポリペプチド(以下、ポリペプチド2と表
示する場合がある)が主成分として回収された。
【0046】ポリペプチド1とポリペプチド2を、それ
ぞれ1mgずつとり、これらを100mM リン酸緩衝液(pH
7.0)1mlに溶解した。得られたそれぞれの溶液に、そ
れぞれトリプシンを0.1 単位加え、30℃にてインキュベ
ートし、30秒ごとに20μlずつサンプリングし、その経
時変化を追った。サンプリングしたものはSDS電気泳
動し、30秒毎のプロテアーゼによる分解性を検討した。
その結果、ポリペプチド2は11分後に完全に分解し、ポ
リペプチド1は17分後に完全に分解することが判明し
た。この様にポリペプチド1は、プロテアーゼ耐性が優
れていることが判明した。
【0047】
【実施例4】 酵素免疫法(ELISA)による試験 (4−1)抗原感作プレートの作製 実施例2で得られたポリペプチド抗原(ポリペプチド
1)を 0.13Mの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液
(pH7.2 以下 PBSと略す場合がある)で蛋白濃度1μg/m
lになるように希釈した。次に96穴(ウェル)の EIA用
マイクロプレート(ヌンク社製)を用意し、このプレー
トの各ウェルに、希釈抗原を100 μl ずつ分注した。分
注済みプレートを 4℃、24時間インキュベートし、0.05
% Tween80を含む PBS(以下 T-80PBSと略す場合があ
る)で3回洗浄した後、各ウェルに1%カゼインを含む P
BSを300 μl 加え、 4℃、24時間ブロッキングを行っ
た。
【0048】さらにプレートを T-80PBSで3回洗浄し、
凍結乾燥後 4℃に保存した。こうして、ポリペプチド抗
原を感作したプレートを作製した。 (4−2)抗HCV 抗体との反応性 HCV 関連抗体陽性血清を陰性血清で段階希釈した血清希
釈系列を作成した。これらの血清を PBSでさらに10倍希
釈した後、抗原感作プレートの各ウェルに100μl ずつ
加え、1時間、37℃でインキュベーションした後、 T-8
0PBSで3回洗浄し、更に PBSで1000倍希釈したパーオキ
シダーゼ(HRP由来)標識抗ヒトIgG抗体(カッペ
ル社製)を、各ウェルに100 μl ずつ加え、1時間、37
℃でインキュベーションした。このプレートを、 T-80P
BSで3回洗浄し、 0.02Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH8.
0) 60ml、過酸化水素水5 μl 、ABTS 50mg を含む発色
液を各ウェルに、100 μl ずつ加え、発色させた後、 1
%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液で反応を停止さ
せ、 414nmの吸光度を測定した。この結果を図1に示
す。
【0049】この結果、ポリペプチド1によるELIS
Aでは、血中抗体量を反映した吸光度が測定できること
が判明した。 (4−3)ポリペプチド1による検体測定 一群の健常者(n=300)の血清について、血清希釈液PB
Sで、各血清を十倍希釈し、ついでこれを前記(4−
1)で作製した抗原感作プレートの各ウェルに100 μl
づつ加え、更に前記(4−2)と同じ操作を繰り返すこ
とにより、各血清中に抗体が存在するか否かを、吸光度
で調べた。その結果を対数正規分布処理し、平均値+1.
96SDの値を求めたところ、0.403 であった。そこでこ
の値を、カットオフ値とした。次に一群の慢性非A非B
型肝炎患者血清(n=500)について、血清希釈液PBS
で、各血清を十倍希釈し、ついでこれを各ウェルに100
μlづつ加え、更に前記(4−2)と同じ操作を繰り返
すことにより、各患者血中に抗体が存在するか否かを、
吸光度で調べた。そして吸光度の値がカットオフ値以上
のものは陽性、それ未満の値は陰性とした。
【0050】その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】(4−4)ポリペプチド2による検体測定 ポリペプチド2を用いて前記(4−1)、(4−2)と
全く同じ方法によりELISAキットを作製し、ポリペ
プチド1で試験したものと同じ血清について、吸光度を
測定した。そして、この吸光度の値より、陽性と陰性を
判定した。更に同じ検体について、オーソ社製のHCV 抗
体検出キット(C100抗原)を用いて、市販キットに
添付されたプロトコールに従って検査を行った。判定は
市販品添付のプロトコールに従った。その結果を表1に
示す。
【0053】ポリペプチド1とポリペプチド2の判定は
ほぼ一致しており、ポリペプチド1は、ポリペプチド2
の抗原性を維持していることが判明した。またこれらの
ポリペプチドは、ともにC100抗原よりも陽性率が高
く、有用であることが判明した。
【0054】
【実施例5】 宿主の比較 組換えベクターpKMR3 により、宿主大腸菌BL21(D
E3)を形質転換した組換え大腸菌は、HCVKMR3 であ
る。この組換え大腸菌をLB+Amp培地で培養し、続
いて実施例1と全く同じ方法で、スキムミルク共存下で
凍結乾燥した。続いて、この乾燥保存菌体を開封し、実
施例1と全く同様にして培養し、更に実施例1と全く同
じ方法でIPTGによる誘導を行ったが、この場合には
HCV 抗原活性ポリペプチドの生産が誘導されなかった。
【0055】ところが、形質転換直後のHCVKMR3 では、
実施例1と全く同じ方法により培養、誘導を行うと、正
常にIPTGによる誘導がかかり、HCV 抗原活性を有す
るポリペプチドが生産された。つぎに、IPTGによる
誘導が起こらなかったHCVKMR3 の培養液からアルカリ溶
菌法により組換えベクターpKMR3 を回収し、その塩基配
列を確認した。しかし回収したpKMR3 の塩基配列は、変
化していなかった。また回収したpKMR3 により宿主大腸
菌JM109(DE3)を形質転換すると、得られた形質転換大腸
菌JM109(DE3)[pKMR3 ]は、正常にIPTGによる誘導
がかかり、HCV抗原活性を有するポリペプチドを生産し
た。この結果HCV KMR3は、凍結乾燥保存することによ
り、HCV 抗原活性を有するポリペプチドの生産能が失わ
れることが判明した。したがって、この変異は、組換え
ベクターに起こるものではなく、宿主側に起こるもので
ある。
【0056】また、宿主を大腸菌HB101、W311
0、JM109、JM83、DH1とし、これらをpKMR
3 で形質転換した場合には、全く誘導が起こらなかっ
た。以上の結果から、組換えベクターpKMR3 の宿種とし
て、JM109(DE3)が最適であることが判明した。
【0057】
【実施例6】 組換え大腸菌JM109(DE3)[pKMR3 ]およ
び組換え大腸菌HCVKMR3 によるポリペプチドの生産性 実施例1の(1−1)で作成した組換え大腸菌JM109(DE
3)[pKMR3 ]の乾燥保存菌体を開封し、これを10mlのL
B+Amp培地に接種し、37℃にて一晩培養した。この
培養物を、100ml のT1.5 G+Amp培地に接種し、37
℃にて培養し、OD600 が0.4 となった時点で、IPT
Gを最終濃度0.4mM になるように添加して、HCV 抗原活
性を有するポリペプチドの生産を誘導した。更に引続
き、37℃で培養を続け、1時間毎に培養液をサンプリン
グし、これをSDS電気泳動して、ポリペプチドの生産
性を試験した。
【0058】また、組換えベクターpKMR3 で宿主大腸菌
BL21(DE3)を形質転換した直後の組換え大腸菌
HCVKMR3 を、10mlのLB+Amp培地に接種し、37℃に
て一晩培養した。この培養物を、100ml のT1.5 G+A
mp培地に接種し、37℃にて培養し、OD600 が0.4 と
なった時点で、IPTGを最終濃度0.4mM になるように
添加して、HCV 抗原活性を有するポリペプチドの生産を
誘導した。更に引続き、37℃で培養を続け、1時間毎に
培養液をサンプリングし、これをSDS電気泳動して、
ポリペプチドの生産性を試験した。
【0059】この結果を表2に示す。表中のポリペプチ
ドの生産量は、菌体全蛋白量に対するポリペプチドの生
産量の割合を、SDS電気泳動のバンドの濃度から、計
算したものである。
【0060】
【表2】
【0061】この結果、組換え大腸菌JM109(DE3)[pKMR
3]は、組換え大腸菌HCVKMR3 と比較して、IPTG添
加後の遺伝子発現誘導時間と共に生産量が伸び、高い生
産能力を有することが明らかとなった。
【0062】
【配列表】1.配列番号1 (1)配列の長さ: 160 (2)配列の型:アミノ酸 (3)トポロジー:直鎖状 (4)配列の種類:タンパク質 (5)起源 生物名:HCV (C型肝炎ウイルス) (6)配列 2.配列番号2 (1)配列の長さ: 190 (2)配列の型:アミノ酸 (3)トポロジー:直鎖状 (4)配列の種類:タンパク質 (5)起源 生物名:HCV (C型肝炎ウイルス) (6)配列 3.配列番号3 (1)配列の長さ: 517 (2)配列の型:核酸 (3)鎖の数:二本鎖 (4)トポロジー:直鎖状 (5)配列の種類:cDNA to genomic RNA (6)起源 生物名:C型肝炎ウイルス (7)配列の特徴: 特徴を表す記号: peptide 存在位置: 1-517 特徴を決定した方法:E (8)配列 (NcoI) ATGAGCACAAATCCTAAACCTCAAAGAAAA 30 ACCAAACGTAACACCAACCGCCGCCCACAG 60 GACGTTAAGTTCCCGGGCGGTGGTCAGATC 90 GTTGGTGGAGTTTACCTGTTGCCGCGCAGG 120 GGCCCCAGGTTGGGTGTGCGCGCGACTAGG 150 AAGACTTCCGAGCGGTCGCAACCTCGTGGA 180 AGGCGACAACCTATCCCCAAGGCTCGCCGG 210 CCCGAGGGTAGGACCTGGGCTCAGCCCGGG 240 TACCCTTGGCCCCTCTATGGCAACGAGGGT 270 ATGGGGTGGGCAGGATGGCTCCTGTCACCC 300 CGTGGCTCTCGGCCTAGTTGGGGCCCCACA 330 GACCCCCGGCGTAGGTCGCGTAATTTGGGT 360 AAGGTCATCGATACCCTTACATGCGGCTTC 390 GCCGACCTCATGGGGTACATTCCGCTTGTC 420 GGCGCCCCCCTAGGGGGCGCTGCCAGGGCC 450 CTGGCACATGGTGTCCGGGTTCTGGAGGAC 480 GGTGCTCACTGGAATTCGAGCTCGGTACCC 510 GGGGATC 517(BamHI) 4.配列番号4 (1)配列の長さ: 191 (2)配列の型:アミノ酸 (3)トポロジー:直鎖状 (4)配列の種類:タンパク質 (5)起源 生物名: HCV(C型肝炎ウイルス) (6)配列
【図面の簡単な説明】
【図1】陽性血清の希釈検量線を酵素免疫法で測定した
結果をグラフで示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/569 G01N 33/569 L 33/576 33/576 Z //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 岡田 昌人 山口県徳山市御影町1番1号 徳山曹達 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−124963(JP,A) 特開 平4−144686(JP,A) Nucleic Acids Res earch,Vol.18,No.15, (Aug.11 1990),p.4626 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C07K 14/00 - 16/46 C12N 1/00 - 1/38 C12P 21/00 - 21/08 G01N 33/50 - 33/98 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N末端側のアミノ酸配列が配列番号1の
    アミノ酸配列であるHCV抗原活性ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 N末端側のアミノ酸配列が配列番号2の
    アミノ酸配列であるHCV抗原活性ポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の抗原活性ポ
    リペプチドとヒト由来の抗HCV抗体とを反応させて得ら
    れる複合体を、標識した抗ヒトIg抗体を用いて検出す
    ることを特徴とする抗HCV抗体の検出方法。
  4. 【請求項4】 C型肝炎ウイルスのコア蛋白質領域をコ
    ードする遺伝子断片を含む組換えベクターで形質転換さ
    れた大腸菌を用いて請求項1又は請求項2記載のHCV抗
    原活性ポリペプチドを製造する方法において、宿主大腸
    菌としてJM109(DE3)を用いることを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載のHCV抗原活性ポリペプチドの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 C型肝炎ウイルスのコア蛋白質領域をコ
    ードする遺伝子断片を含む組換えベクターがpKMR3であ
    ることを特徴とする請求項4記載のHCV抗原活性ポリペ
    プチドの製造方法。
  6. 【請求項6】 配列番号3の塩基配列で示される遺伝子
    断片を含む組換えベクターを含有する形質転換大腸菌JM
    109(DE3)[pKMR3]。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の大腸菌JM109(DE3)[pKMR
    3]を培地に培養し、HCV抗原活性を有するポリペプチド
    を生産せしめ、培養物から該ポリペプチドを採取するこ
    とを特徴とするHCV抗原活性を有するポリペプチドの製
    造方法。
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