JP3665371B2 - C型肝炎ウイルス感染又はグループ判定のためのエピトープキメラ抗原ペプチド、その製法、及びそれを使用する感染又はグループ判定法 - Google Patents

C型肝炎ウイルス感染又はグループ判定のためのエピトープキメラ抗原ペプチド、その製法、及びそれを使用する感染又はグループ判定法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、C型肝炎ウイルス感染判定又はグループ判定に使用するためのエピトープキメラ抗原ペプチド、その製法、及びそれを使用する感染又はグループ判定法に係る。
【0002】
【従来の技術】
非A非B型肝炎は伝染性の肝炎でありウイルスを媒体として伝播すると考えられている。非A非B型肝炎の伝播経路はいまだ明らかになっていない部分が多いが、輸血、血液製剤により引き起こされる非A非B型肝炎は、B型肝炎のスクリーニング体制が確立された今日、輸血後肝炎として医療上の大きな問題点となっている。
【0003】
1989年非A非B型肝炎に関連したウイルス遺伝子の一部がクローニングされ、C型肝炎ウイルス(HCV)と命名された。ほぼ同時期に本出願人を含む多くの研究グループによりHCV遺伝子が数多く単離され、その構造上の特徴が明らかとなった(Science 244: 359-362(1989)及びScience 244: 362-344(1989))。
【0004】
推定されるHCV遺伝子は約9400塩基からなる+鎖のRNAをゲノムとして持ち、約3000アミノ酸からなる一つながりのポリペプチドをコードしていると考えられている。予想されるアミノ酸配列はフラビウイルスあるいはペスチウイルスと相同性を持ち、これらのウイルスに近縁のウイルスであろうと考えられている。これらのウイルス構造との比較から、HCVゲノムによってコードされるポリペプチドは、1本のポリペプチドとして細胞内において合成された後に、アミノ末端から構造蛋白質であるコア、エンベロープ(E1)、NS1またはE2(NS1/E2)と、非構造蛋白質であるNS2、NS3、NS4、NS5に切断され、それぞれの機能を果たすと考えられている。
【0005】
これらの非構造蛋白質のうちNS3、NS4のアミノ酸配列を比較することによりHCVは少なくとも2種類のグループ(グループI、グループII)に分類可能であることが明らかとなった[Tsukiyama-Kohara et al. Virus Genes (1991) 5: 243-254] 。ひとつはカイロン社により分離されたHCVと核酸、アミノ酸レベルでの相同性の高いグループIと、核酸、アミノ酸レベルでの相同性の低いグループIIとに分類される(本出願人による特開平5−84085号公報)。
【0006】
グループI HCVとグループII HCVとの違いについては未だ明らかになっていない部分が多いが、金井[Kanai et al., Lancet (1992) 339: 1543 ]や吉岡[Yoshioka et al., Hepatology (1992) 16: 293-299]等はグループII感染患者の方がグループI感染患者よりもインターフェロン治療が効果的であることを報告している。このことはグループ判別を効率良く行なうことにより、インターフェロン治療がより効果的に行なえるようになることを示唆している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、詳細な検討により、NS4領域のグループIとII間のアミノ酸配列が最も異なる領域(1676から1760まで)の配列を持つペプチドは、グループI由来の配列を持つものはグループI HCVに感染した患者血清中の抗体と反応し、グループII由来の配列を持つものはグループII HCVに感染した患者血清中の抗体と反応すること、さらにこれらの配列を持つペプチドを組み合わせ、患者血清との反応性を調べることにより、患者が何れのグループに属するHCVに感染しているのかを判別することが可能となることを明らかにしてきた(特願平5−194185号)。
【0008】
しかしながら、多くの血清を検索するなかで、グループ判別が困難な患者血清が、低い比率ではあるが存在することが今回初めて明らかになった。
【0009】
したがって、本発明は、これらの判別困難であった血清でもグループ判別可能になるエピトープキメラ抗原ペプチド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明はまた、このようなエピトープキメラ抗原ペプチドをHCV感染又はグループ判定に使用することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノムRNA又はそのcDNAによってコードされるグループI HCV関連抗原上の異なる2つ以上のエピトープをペプチド性つなぎ目を介して接合して成る、グループI HCV感染を特異的に判別するためのエピトープキメラ抗原ペプチドを提供する。
【0012】
本発明はまた、HCVゲノムRNA又はそのcDNAによってコードされるグループII HCV関連抗原上の異なる2つ以上のエピトープをペプチド性つなぎ目を介して接合して成る、グループII HCV感染を特異的に判別するためのエピトープキメラ抗原ペプチドを提供する。
【0013】
グループI HCV及びグループII HCVには、遺伝子構造が互いに異なる領域が存在することが、本発明者らの研究によって判明してきている(特願平5−194185号)。例えば、NS4領域中アミノ酸番号1676〜1764のアミノ酸配列は、HCVのグループIとグループIIとで大きく相違し、両者の識別を可能にする。このようにHCVグループIとIIの識別を可能にする領域は、NS4領域以外にも存在し、例えばコア領域にも存在することが今回判明した。HCVグループI及びグループIIについては、前述のとおり、カイロン社により分離されたHCV株(C5-1-1 :国際公開番号WO89/04669 号)との核酸、アミノ酸レベルでの相同性の比較によって決定され、相同性のより高い(通常80%以上)HCV株をグループI、相同性のより低い(通常80%未満)HCV株をグループIIと称している。グループII HCV株の中にはカイロン社のグループI HCV株との相同性が約50%と極めて低いものも存在する。したがって、HCVゲノムDNAのヌクレオチド配列上には、NS4領域及びコア領域以外にもHCVグループIとグループIIを識別可能にする他の領域も存在するものと推定される。
【0014】
本発明のHCV関連抗原上のエピトープには、NS4及びコア領域上のエピトープの他に、これら領域以外のHCVグループI及びIIを区別する他の領域のエピトープも包含される。本発明においては、そのようなエピトープがHCVのNS4領域又はコア領域上に存在することが好ましい。エピトープの具体例は、下記の説明から明らかであろう。
【0015】
コア領域のペプチドを用いたグループ判別
上述したように、HCVにはグループIとIIの異なる種類が存在しており、グループIとIIはアミノ酸配列に部分的な相違を有している。両者の配列をHCV遺伝子全体にわたって比較することにより、NS4以外にもグループ特異的に配列が異なる領域がコア領域のアミノ酸番号61から80にあたる領域に存在することが今回判明した。この領域についてグループIとIIを比較した結果を下記に示す。
【0016】
【表1】
Figure 0003665371
上記の領域に於てグループ内でアミノ酸配列は保存されているのに対し、グループ間でアミノ酸配列が異なっている。この領域の配列が抗原性を持ち、グループ判別の抗原として用いることが可能か否かを明らかにするため、それぞれのアミノ酸配列を持つペプチドを作製し、患者血清との反応性を調べた(下記実施例1参照)。
【0017】
その結果、血清との反応性はNS4領域を用いた場合の反応性と比較すると反応する血清数が少ないことから、グループ判別のための主要なエピトープを提供しているとは考えられないが、HCVグループ特異的に反応していることは、PCR法及びNS4領域を用いた判別結果との比較により明らかとなった。さらに詳細に検討すると、NS4領域には反応せず、この領域にのみグループ特異的に反応する患者血清が、グループIの血清に於て少数ながら存在することが明らかになった。
【0018】
コア領域上のグループI又はグループII HCV特異的抗原のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号9又は10に示す。
【0019】
上記の結果、コア領域の配列を持つペプチドを用いた判別方法は、NS4領域を用いたものと比較すると、その検出率に於て大きく劣るものの、少数の患者血清に於て検出可能となることから、NS4領域を用いた判別方法を相補することが期待出来ることを示唆している。
【0020】
NS4領域ペプチドのエピトープ解析
NS4領域のうちグループI HCVに於ては、グループI HCVのポリプロテイン1676から1760に相当するアミノ酸配列を持つC14-1-2 抗原、グループIIHCVに於ては、グループII HCVのポリプロテイン1680から1764に相当するアミノ酸配列を持つC14-2-2 抗原を、抗原として用いることによりグループ判別が可能である(本出願人による特願平5−194185号)。
【0021】
患者血清中に存在する抗体は、これらのグループ特異的抗原へ単独に、もしくは両者に結合する。グループIに対応するC14-1-2 抗原に単独に結合した場合には、患者はグループI HCVに感染しており、グループIIに対応するC14-2-2 抗原に単独に結合した場合には、患者はグループII HCVに感染していることが明白に判定可能である。
【0022】
一方両者に反応する抗体が検出された場合でも、その反応性が異なっていることから、判別可能である。すなわちグループIに感染している場合にはC14-1-2 抗原と強く反応し、これは希釈した血清が各抗原と反応して生じる、ELISA 反応の基質反応産物の与える吸光度を比較することにより判定することができる。しかしながらこのような血清に於ては、血清中に存在するHCVに対する抗体が、グループI及びII抗原両者に、反応の強さは異なるものの非特異的に反応する場合もあり、このような反応を出来るだけ抑えることが望ましい。
【0023】
上記反応を生じせしめる領域を見いだすために、C14-1-2 抗原、C14-2-2 抗原と抗体との反応特異性を調べた。実施例2に具体的な方法を記載したが、C14-1-2 抗原と患者血清中の抗体との反応は、ペプチド1−W、1−X、1−Yを反応に加えることにより阻害され、さらに1−Wで阻害が認められたものについては、1−Wの配列を分断化した配列を持つ1−Wa を加えると反応の阻害が認められた。
【0024】
一方C14-2-2 抗原と患者血清中の抗体との反応は、ペプチド2−W、2−X、2−Yを反応に加えることにより阻害され、さらに2−Wで阻害が認められたものについては、2−Wの配列を分断化した配列を持つ2−Wa を加えると反応の阻害が認められた。
【0025】
これらの結果からC14-1-2 抗原上の患者血清の認識配列(エピトープ)は1−Wa (配列番号3)、1−X(配列番号4)、1−Y(配列番号5)にあり、C14-2-2 抗原上の患者血清の認識配列(エピトープ)は2−Wa (配列番号6)、2−X(配列番号7)、2−Y(配列番号8)にあることが判明した。
【0026】
エピトープキメラ抗原の設計
グループI HCV感染判別抗原としては、C14-1-2 抗原が適しており、患者血清中の抗体は1−Wa 、1−X、1−Yペプチドをエピトープとして認識し結合している。一方患者血清のうち少数はC14-1-2 に対する抗体を持っていないが、コア領域に対する抗体を持っている。グループ判別抗原としてはこれらの抗体の何れとも反応するものが望ましい。しかしながら、コア領域とNS4領域はHCV遺伝子上で大きく離れていることから、HCV遺伝子からこれらの配列のみを一つながりのものとして取り出すことは困難である。
【0027】
そこで本発明者等は、HCVのグループ判別を可能にする領域上に存在する互いに異なる2つ以上のエピトープを組み合わせた人工的に構築したエピトープキメラ抗原、例えばC14-1-2 抗原のグルーピング抗原として最適な性質と、それを相補するコア抗原の性質とを兼ね備えたキメラ抗原を構築することにより、HCVグループ判別だけでなくHCV感染判定の確度を高め得ることを見出した。
【0028】
本発明によって可能となったエピトープキメラ抗原は、明らかになったエピトープをただ単純に結合させることによって作製できるものではない。すなわち、単純にエピトープ配列を組み合わせた場合には、エピトープの接合によって生じる配列が、新たなエピトープとなり、非特異反応を生じさせる可能性が生じる。またペプチドが短鎖の場合には立体構造が取れないために、正常な立体構造が形成された場合にはエピトープとして機能する配列が、エピトープとして機能しないことがある。そのため、ペプチドの鎖長を長くすることにより、短鎖ペプチドでは見いだせなかったこのような配列がエピトープとして機能し、目的とする機能以外の働きをする可能性がある。
【0029】
本発明は、このような問題点を解決する方法をも示すものである。
【0030】
エピトープキメラ抗原は以下の手順に従うことにより効率的に設計することができる。始めにエピトープペプチドの性質を調べることが重要である。即ちエピトープはそれに結合する抗体の結合部位(パラトープ)と水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、疎水結合等により非共有的に結合する。結合が成立するためにはエピトープ上のこれらの力が作用する部位と、パラトープ上の作用する部位とが一定の空間配置を取ることが必要である。すなわちエピトープとして機能する配列からなるペプチドが、エピトープとして機能するためには、パラトープに結合できる立体構造を取ることが必要である。一方ペプチドの高次構造は、ペプチドの長さが変わるペプチドにアミノ酸が付加されることにより変化することが予想されることから、エピトープキメラ抗原において、エピトープペプチドを単に付加した場合には抗原性を失う可能性が生じる。そのためエピトープキメラ抗原を設計する際にはこのような構造変化を生じさせない工夫をする必要がある。そのため組み合わせるエピトープペプチドの本来の構造を知る必要がある。
【0031】
エピトープペプチドの構造を知るためには、結晶構造のエックス線回析、核磁気共鳴(NMR )分析により構造が分析できているものであれば、それを用いればよいが、一般にはこのような例は少ないことから、アミノ酸配列からその2次構造予測を行なう方法、例えばChouとFasman等によって開発された計算式[Chou P.Y. & Fasman G. D. (1974) Biochemistry 13: 211-222; Chou P.Y. & Fasman G. D. (1974) Biochemistry 13: 222-245; Chou P.Y. & Fasman G. D. (1978) Ann. Rev. Biochem. 47: 251-276]やRobson等によって開発された計算式[Robson B. & Suzuki E. (1976) J. Mol. Biol. 107: 327-356; Garnier, J., Osguthorpe D. J. & Robson B. (1978) J. Mol. Biol. 120: 97-120] などを利用し解析を行なう。さらにHoppとWoods [Hopp T. P. & Woods K.R. (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 3824-3828] やKyteとDoolittle [Kyte J. & Doolittle R.F. (1982) J. Mol. Biol. 157: 105-132]等によって開発された計算式に従い、蛋白質の疎水−親水プロットを行ないエピトープペプチドが示す性質に関する情報を得ておくことが好ましい。さらにJameson とWolf[Jameson B.A. & Wolf H.(1988) Comput. Applic. in Biosciences 4: 181-186]によって提唱されている計算式に従い,目的とするペプチドの抗原性に関する予測した性質も知っておくことは好ましいことである。さらにJanin 等やEmini 等によって提唱されている表面部位の予測法[Janin J., Wodak S., Levitt M. & Maigret B. (1978) J. Mol. Biol. 125: 357-386; Emini E., Hughes J.V., Perlow D.S., & Boger J. (1965) J. Biol. 55:836-839] 、Karplus 等によって提唱されている蛋白質の可塑性予測法[Karplus P.A. & Schulz G.E. (1985) Naturwiss. 72: 212-213]で得られる情報も抗原性を予想する際に役立つ。
【0032】
ここで上記の各種解析を行なう際に重要なことは、エピトープ解析を行なった条件でのエピトープペプチドの情報を得ておくことである。例えば実施例に示したものでは、C14 抗原という約100 アミノ酸からなる配列と抗体とを反応させる際に、短鎖ペプチドを加えることによる結合阻害によりエピトープ解析を行なったが、この場合にはエピトープは長い配列の中で機能しているものであるから、上記の解析はこの長い配列を元に行なう。
【0033】
エピトープキメラ抗原に於ては、これらの予測法によって得られるエピトープペプチドの予測構造が変化しないように、キメラ抗原ペプチドを設計する必要がある。
【0034】
さらにエピトープキメラ抗原に於ては、エピトープペプチドのつなぎ目が新たなエピトープを提供しないように設計されねばならない。この予測は以下の方法によって成し得る。
【0035】
一つはつなぎ目によって生じるペプチド配列を用いて遺伝子情報、蛋白構造情報バンクを検索し、一致する配列が無いことを確認する。もしくは一致する配列があったとしても抗原性が無いことが確認できれば良い。
【0036】
本発明においては、つなぎ目のペプチド配列が抗原性をもたないか又は抗原性が低いと予測される配列を持つようにアミノ酸を付加、もしくは欠失させることにより設計する。付加すべきアミノ酸としては、例えばイソロイシン、ロイシン、バリン等の疎水的な性質を持つアミノ酸が好ましく、疎水性アミノ酸を付加することによってペプチド性つなぎ目の疎水性が増しエピトープとして機能する可能性を低くすることができる。すなわちエピトープキメラペプチドにおいてエピトープとして機能させるには、分子表面にエピトープが露出していることが肝要であり、疎水的な性質を付加することにより、分子表面に露出させる可能性を低くすることができる。
【0037】
すなわち、本発明のエピトープキメラ抗原ペプチドにおいては、ペプチド性つなぎ目は抗原性をもたないか又は低抗原性であることを特徴とする。
【0038】
上記の方法に従い最適な感染HCVグループ判別抗原として配列番号1に示す配列からなるペプチドGR1EPV5 、配列番号2に示す配列からなるペプチドGR1EPV4 を設計した。
【0039】
エピトープキメラ抗原の作製
本発明のエピトープキメラ抗原は、化学合成法により、又は遺伝子工学的手法を用いて作製することができる。
【0040】
化学合成法の場合、該方法は、HCVゲノムRNA又はそのcDNAによってコードされるグループI又はグループII HCV関連抗原上の異なる2つ以上のエピトープの各々を従来のペプチド合成法を用いて合成する段階、ペプチド性つなぎ目を別個に合成する段階、エピトープとエピトープの間をペプチド性つなぎ目を介して結合する段階を包含する。ペプチド合成法は周知の技術であり、例えば日本生化学会編、生化学実験講座1「タンパク質の化学IV−化学修飾とペプチド合成」(1981年)東京化学同人に記載される種々の手法が使用され得る。長鎖ペプチドの場合には、通常、固相法が用いられる。またアミノ酸の保護及び脱保護の技術もペプチド合成において一般的に使用される。
【0041】
遺伝子工学的手法の場合、該方法は、エピトープキメラ抗原ペプチドをコードするDNA断片を作製する段階、該DNA断片をベクターに組み込んで複製可能な発現ベクターを構築する段階、該発現ベクターを宿主細胞に導入し、ペプチドを発現する形質転換体を得る段階、さらに該形質転換体を培養し発現産物を発現させて発現したペプチドを回収する段階を含む。この製造方法も本発明の一部である。
【0042】
例えば配列番号1及び2に示すアミノ酸配列を有するキメラペプチドをコードするDNA断片は実施例3に示すように作製することが可能である。さらに実施例4に示すように形質転換体を取得し、形質転換体を培養し、該ペプチドを分離、回収することが可能である。
【0043】
遺伝子工学的な手法に於て発現に用いる発現ベクターとしては、実施例に示した大腸菌を宿主とし、大腸菌トリプトファンオペロンの制御化に発現させるベクター以外にも、大腸菌を宿主としては、大腸菌トリプトファンオペロン以外にもTacプロモーター、Trcプロモーター、lacプロモーター、PhoAプロモーター、λプロモーター等を利用したベクターを用いることが可能である。また大腸菌以外にも酵母を宿主とし、解糖系遺伝子、たとえばグリセロアルデヒド−3−燐酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼI、II、ピルビン酸キナーゼ、ホスホグリセリンキナーゼ、トリオースイソメラーゼ等の酵母で慣用に用いられているプロモーターを利用した発現ベクターを用いて発現させることも可能である。さらに昆虫細胞を宿主としバキュロウイルスをベクターとした発現系、哺乳類細胞例えばCHO細胞や、COS細胞 HeLa細胞等を宿主とし、慣用的に用いられる組み込み型発現ベクターやワクチニアウイルスをベクターとした発現系、アデノウイルスや慣用的に用いられるウイルスをベクターとした発現系を利用しても発現可能である。
【0044】
さらに遺伝子工学的手法を用いる場合には、キメラ抗原ペプチドを他のペプチドとの融合蛋白質として発現させることも慣用的に用いられる手段である。
【0045】
上記の方法に基づくならば、グループI又はグループ II と同様に、グループIII (Okamoto et al, J. Gen. Virol. 72:2697-2704(1991))に属するHCVゲノムから、グループIII を特異的に区別するエピトープ領域を取り出してエピトープキメラ抗原ペプチドを作製することが可能であり、これを用いることによりグループIII に感染している患者血清のグループ判別を行なうことができる。
【0046】
遺伝子工学的に発現させ回収したグルーピングに好適なキメラ抗原ペプチドを用いてHCV感染患者の血清中のグループI特異的な抗体を検出すると、実施例5に示すごとく、それ以前に用いていた抗原のみでは検出不可能であった患者血清のグループ判定を行なうことが可能となった。
【0047】
したがって、本発明はさらに、エピトープキメラ抗原ペプチドと、HCVに感染したと推定される試料中のグループI又はグループII特異的な抗体との免疫学的反応を行なった後、生成する抗原−抗体複合体の濃度又は存在を測定することを含む、HCVグループ判定方法を提供する。
【0048】
本発明はまた、エピトープキメラ抗原ペプチドと、HCVに感染したと推定される試料中のHCV関連抗体との免疫学的反応を行なった後、生成する抗原−抗体複合体の濃度又は存在を測定することを含む、HCV感染判定方法を提供する。
【0049】
抗原−抗体複合体の濃度又は存在は、エンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、イムノドットブロッティング等の公知の一般的方法を用いて測定することができる。上記判定の精度は、それぞれのグループ抗原に対する抗体価を測定することによりさらに向上する。また田中ら(T.Tanaka ら,Hepatology 19:1347〜1353,1994) により提唱されている判別方法を用いることもできる。
【0050】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0051】
【実施例】
実施例1 コア領域ペプチドを用いたグループ判別
配列番号9及び10の配列を持つペプチドをアプライドバイオシステム社のペプチド合成機(Model:430A)を用いて合成し、逆相クロマトグラフィーにより目的のペプチドを精製した。精製したペプチドが目的の配列であることはアミノ酸シークエンサーの分析により確認した。
【0052】
このペプチドを2.5 μg/mlの濃度となるように8M尿素を含む0.1Mの燐酸緩衝液(pH7.5 )に希釈した。希釈した抗原をヌンク社のマルチモジュールプレートにウェルあたり 100μlのせ、室温に2 時間静置した。抗原希釈液を除いた後、ウェルあたり 100μlのブロッキング液[0.5 %カゼイン、0.15M NaCl、2.5mM EDTA、0.1M燐酸緩衝液(pH7.0 )]を加え室温に2 時間静置し抗原をプレートに固定した。
【0053】
各ウェルに検体希釈液[0.5 %カゼイン、0.5M NaCl 、2.5mM EDTA、0.1M燐酸緩衝液(pH7.0 )]によって11倍に希釈した非A非B型慢性肝炎患者血清 100μlを加え45分静置した。ウェルを0.1% Tween20を含むPBS で洗浄した後、 100μlのホースラディッシュパーオキシダーゼによって標識された抗ヒトIgG 抗体を加え、45分静置した。ウェルを0.1% Tween20を含むPBS で洗浄した後、常法に従い、発色法により酵素活性を計測した。その結果を表2にまとめて示す。また比較のため、C14−1−2及びC14−2−2抗原を用いてグループ判別した結果と、PCR法によりグループ判別した結果を表中に示した。
【0054】
【表2】
Figure 0003665371
表から明らかなように、ほとんどの検体に於てはC14−1−2及びC14−2−2抗原を用いることによりグループ判別が可能であったが、検体番号16のように配列番号9のペプチドを用いることにより始めて血清学的にグループ判別が可能になるものが存在することが判明した。
【0055】
実施例2 C14−1−2抗原のエピトープ解析
精製したC14−1−2ペプチドを2.5 μg/mlの濃度となるように8M尿素を含む0.1Mの燐酸緩衝液(pH7.5 )に希釈した。希釈した抗原をヌンク社のマルチモジュールプレートにウェルあたり 200μlのせ、室温に2 時間静置した。抗原希釈液を除いた後、ウェルあたり 200μlのブロッキング液[0.5 %カゼイン、0.15M NaCl、2.5mM EDTA、0.1M燐酸緩衝液(pH7.0 )]を加え室温に2 時間静置した。このように抗原をプレートに固定した。検体20μl と化学合成したペプチド(0.1 mg/ml)20μl を等量混和し、室温1時間静置した。これに検体希釈液を 200μl 加えた後にペプチドを固定したプレートに加えた。30℃1時間反応させた後、洗浄を行ない、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG (マウスモノクローナル抗体)を加え30℃1時間反応させた。洗浄した後、o−フェニレンジアミン溶液を加え、30℃1時間反応させた後1M硫酸溶液を加えることにより反応を停止させ、比色計で 492nmの発色を測定した。
【0056】
結果を表3に示す。表3に示した検体は全てHCVグループIに属すことはtrpE・C14−1−2(特願平5−194185号)との反応性より明らかであり、グループIの配列を持つペプチドを加えることによりtrpE・C14−1−2との反応が阻害されていることが明らかである。これらの結果からC14−1−2抗原に於て患者血清中の抗体は阻害のかかったペプチドにエピトープが存在していることが明らかになった。
【0057】
【表3】
Figure 0003665371
実施例3 エピトープキメラ抗原ペプチドをコードする遺伝子の作製
[HCVグループ判定に適したエピトープキメラ抗原遺伝子の構築]
以下のDNAをDNA合成機(ABI:Model394A,Millipore:Model8700)を用いて合成した。
【0058】
EP1:GCGAATTCGCCTCACACCTCCCTTACATC;
EP2R:GGGTACCTACCACGGGAGCAGCAGCTC;
CORE−F:AGGTACCCCTAAAGCTCGTCGTCCGGAAGGTCGTGCT;
CORE−R:TCCCHHHTTGAGCCCAAGCACGACCTTCCGGACG;
V4XYZ:AGACCCGGGTACCACGGGAGCAGCAGC;
EP5:ACCCGGGAGTGTGGTCATTGTGGGTAGG;および
EP6:GAGGATCCTTATCAATCGAACTCCCGGTAGAGGACTTC。
【0059】
EP1とEP2R及びV4XYZはグループIのHCV cDNAからペプチドX、Y、Z領域をコードする配列を取り出すためのプライマーである。EP5とEP6はグループIのHCV cDNAからペプチドV、Wa領域をコードする配列を取り出すためのプライマーである。
【0060】
これらのプライマーを用いてPCR法により配列を取り出した。反応は1ngのHCV cDNA(C6−79)(本出願人らによる特願平5−193104号)、100 pmolプライマー(EP1とEP2RまたはEP1とV4XYZまたはEP5とEP6)を加え、10mM Tris−HCl(pH8.3)、2.5mM MgCl2 、0.01%ゼラチン、0.2mM dNTP、2.5U Taq DNA Polymeraseとなるよう 100μlの反応液を調製し、ミネラルオイルを重層して94℃、30秒、55℃、1分、72℃、2分の条件で25サイクル反応を行なわせた。またCORE−FとCORE−Rをそれぞれ2μg加え、10mM Tris−HCl(pH8.3)、2.5mM MgCl2 、0.01%ゼラチン、0.2mM dNTP、2.5U Taq DNA Polymeraseとなるよう 100μlの反応液を調製し、ミネラルオイルを重層して94℃、30秒、50℃、1分、72℃、2分の条件で15サイクル反応を行なわせた。反応液の一部をアガロース電気泳動し、EP1とEP2Rの組み合わせでは約 140bpの、EP1とV4XYZの組み合わせでは約 150bpの、CORE−FとCORE−Rの組み合せでは約50bpの断片、EP5とEP6の組み合せでは約 100bpの断片を分離した。分離したDNA断片をアガロース切片からMermaid Kit(Bio101社)を用いメーカーの推奨する方法に従いTE溶液中に回収した。回収したDNA断片を25ngのpGEM−Tベクターと共に20μlの反応液[50mM Tris−HCl(pH7.5),10mM MgCl2 ,1mM ATP,10mM DTT,T4 DNAリガ−ゼ]中で16℃、1時間反応させた。反応液の一部を用い大腸菌XL1−Blue(Stratagen社)をHanahanの方法[ DNA cloning: A practical approach (ed. D. M. Glover), vol. 1, p109-, IRC press, (1885)] に従って形質転換した。アンピシリン耐性のコロニーを選択し、形質転換体のDNA をミニプレパレーション法により調製し、制限酵素で切断することにより両断片が環状化しているプラスミドを持つ形質転換体を選択した。
【0061】
EP1とEP2Rとを用いて生じた断片のクローニングされているプラスミドDNAをKpnIとEcoRIで切断し、電気泳動を行なうことにより約140bpの断片を分離し、Mermaid Kit(Bio101社)を用いメーカーの推奨する方法に従いTE溶液中に回収した。またCORE−FとCORE−Rの組み合わせで生じた断片のクローニングされているプラスミドDNAをKpnIとSmaIで切断し、電気泳動を行なうことにより約60bpの断片を分離し、Mermaid Kit(Bio101社)を用いメーカーの推奨する方法に従いTE溶液中に回収した。回収した断片とEcoRIとSmaIで切断したpT7T319U(ファルマシア社)とT4 DNAリガーゼを用いて連結反応させ、反応液の一部を用い、大腸菌SURE(Stratagen社)を形質転換した。アンピシリン耐性のコロニーを選択し、形質転換体のDNAをミニプレパレーション法により調製し、制限酵素で切断することにより両断片が結合環状化しているプラスミドを持つ形質転換体を選択した。得られたプラスミドをSmaIとBamHIで切断し、EP5とEP6で生じた断片のクローニングされているプラスミドDNAをBamHIとSmaIで切断し、電気泳動を行なうことにより 100bpの断片を分離し、Mermaid Kit(Bio101社)を用い回収した断片と、T4 DNAリガーゼを用いて連結反応させた。反応液の一部を用い、大腸菌XL1−Blue(Stratagen社)を形質転換した。アンピシリン耐性のコロニーを選択し、形質転換体のDNA をミニプレパレーション法により調製し、制限酵素で切断することにより両断片が結合環状化しているプラスミドを持つ形質転換体を選択した。このようにしてGR1EPV5遺伝子断片を持つプラスミドを構築した。
【0062】
構築したプラスミド1 μg をEcoRI 、BamHI で切断した(50mM Tris-HCl [pH7.5], 7mM MgCl2 , 100mM NaCl, 10 units EcoRI, 10 units BamHI/反応液量10μl で37℃1時間反応)後、この反応液をアガロース電気泳動にかけ約 250bpの断片を分離した。分離した断片をMermaid Kit(Bio101社)を用い回収した。一方pTrpTrpE 1μg をEcoRI 、BamHI で切断した(50mM Tris-HCl [pH7.5], 7mM MgCl2 , 100mM NaCl, 10 units EcoRI, 10 units BamHI/反応液量10μl で37℃1時間反応)後、この反応液をアガロースにかけ約3Kbpの断片を分離した。分離した断片をガラスパウダー法により回収した。回収した両断片をT4 DNAリガーゼを用いて連結反応させた。反応液の一部を用い、大腸菌XL1−Blue(Stratagen社)を形質転換した。アンピシリン耐性のコロニーを選択し、形質転換体のDNA をミニプレパレーション法により調製し、制限酵素で切断することにより両断片が結合環状化しているプラスミドを持つ形質転換体を選択した。このようにしてGR1EPV5遺伝子発現プラスミド、pTrpGR1EPV5を構築した。このプラスミドを大腸菌に移入後、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに平成6年7月7日付で寄託し、受託番号FERM P−14422を得た。
【0063】
EP1とV4XYZの組み合わせで生じた断片の挿入されているプラスミドをEcoRIとSmaIで切断し生じる約 150bpの断片を、電気泳動により分離し、Mermaid Kit(Bio101社)を用いメーカーの推奨する方法に従いTE溶液中に回収した。回収した断片とEcoRIとSmaIで切断したpTrpGR1EPV5とT4 DNAリガーゼを用いて連結反応させ、反応液の一部を用い、大腸菌XL1−Blue(Stratagen社)を形質転換した。その結果GR1EPV4遺伝子発現プラスミド、pTrpGR1EPV4を構築した。このプラスミドを大腸菌に移入後、同センターに平成6年7月7日付で寄託し、受託番号FERM P−14421を得た。
【0064】
実施例4 エピトープキメラ抗原の発現と精製
pTrpGR1EPV4またはpTrpGR1EPV5で形質転換された大腸菌を 100μg/mlアンピシリンを含むLB培地で37℃一夜培養した。これを1%濃度で 100μg/mlアンピシリンを含むM9−CAに接種し37℃一夜培養した。培養終了後遠心により菌体を集め、50mlのLysis 液[50mM Tris-HCl (pH8.5), 30mM NaCl, 5mM EDTA ]に再懸濁し、1ml のリゾチーム液(10mg/ml Lysozyme)を加え、37℃において1時間処理した。この懸濁液を超音波処理(150W、90秒で2回)にかけることにより細胞を破壊した。15000rpmで、4℃において30分間遠心し不溶性分画を回収した。不溶性分画を50mlのNP40を1%含むA溶液[50mM Tris-HCl (pH8.5) ]に再懸濁しホモジナイズ(1500rpm で5ストローク)した。懸濁液を15000rpmで、4℃において30分間遠心し不溶性分画を回収した。不溶性分画を50mlの2M尿素を含むA溶液に再懸濁しホモジナイズ(1500rpm で5ストローク)した。懸濁液を15000rpmで、4℃において30分間遠心し不溶性分画を回収した。不溶性分画を50mlの6M 尿素を含むA溶液に再懸濁しホモジナイズ(1500rpm で5ストローク)した。懸濁液を15000rpmで、4℃において30分間遠心し可溶性分画を回収した。
【0065】
6M尿素を含む溶液で可溶化した抗原溶液から、SセファーロースHPカラム(ファルマシア社)を用いたイオン交換法とSuperdex75pg(ファルマシア社)を用いたゲル濾過法によりエピトープキメラ抗原ペプチドGR1EPV4(配列番号2のアミノ酸配列を含む)及びGR1EPV5(配列番号1のアミノ酸配列を含む)を精製した。
【0066】
実施例5 エピトープキメラ抗原ペプチドと患者血清との反応
エピトープキメラ抗原ペプチドを2.5 μg/mlの濃度となるように8M尿素を含む0.1Mの燐酸緩衝液(pH7.5 )に希釈した。希釈した抗原をヌンク社のマルチモジュールプレートにウェルあたり 100μlのせ、室温で2 時間静置した。抗原希釈液を除いた後、ウェルあたり 100μlのブロッキング液[0.5 %カゼイン、0.15M NaCl、2.5mM EDTA、0.1M燐酸緩衝液(pH7.0 )]を加え室温で2 時間静置し抗原をプレートに固定した。
【0067】
各ウェルに検体希釈液[0.5 %カゼイン、0.5M NaCl 、2.5mM EDTA、0.1M燐酸緩衝液(pH7.0 )]によって11倍に希釈した非A非B型慢性肝炎患者血清 100μlを加え45分静置した。ウェルを0.1% Tween20を含むPBS で洗浄した後、 100μlのホースラディッシュパーオキシダーゼによって標識された抗ヒトIgG 抗体を加え、45分静置した。ウェルを0.1% Tween20を含むPBS で洗浄した後、常法に従い、発色法により酵素活性を計測した。その結果を表4にまとめて示す。また比較のため、C14−1−2及びC14−2−2抗原を用いてグループ判別した結果と、PCR法によりグループ判別した結果を表中に示した。
【0068】
【表4】
Figure 0003665371
C14−1−2と同じエピトープを持つGR1EPV4抗原ペプチドは、ほとんどC14−1−2と同じ反応性を示した。しかしながらグループII HCV感染患者血清でC14−1−2に比較的強い反応を示した血清22、25について反応が弱くなっており、余分なエピトープを除くことにより判別が容易になっていることは明らかである。
【0069】
コア領域のグループ判別エピトープを含むGR1EPV5抗原では、GR1EPV4同様血清22、25での判別が容易になっているのに加え、さらに血清番号7、16において反応性が向上しており、この抗原を用いることにより、感染しているHCVのグループ判別が容易になったことは明らかである。
【0070】
【発明の効果】
従来グループ判別が困難であった血清等の検体であっても、本発明のエピトープキメラ抗原によってその判別が可能となり、HCVのグルーピング判別だけでなくHCV感染判定にも精度良く使用することができる。本発明に従えば、抗原抗体反応を利用した方法に於て常に問題となる抗原抗体間の非特異反応の軽減、抗原抗体間の特異反応の反応性向上を図ることができ、抗原抗体反応を利用した免疫学的診断方法に適用するためのペプチド抗原の機能向上を達成できる。
【0071】
【配列表】
Figure 0003665371
Figure 0003665371
Figure 0003665371
Figure 0003665371
Figure 0003665371

Claims (7)

  1. C型肝炎ウイルス感染のグループ判別に用いるエピトープキメラ抗原ペプチドであって、該ペプチドは、配列番号3、4並びに5に示されるアミノ酸配列に存在するC型肝炎ウイルスNS4抗原のエピトープを構成するアミノ酸配列がペプチドリンカーを介して連結された配列からなり、かつ該抗原上のエピトープの配置が、配列番号4、配列番号5、配列番号3に示されるアミノ酸配列に存在するエピトープの順にキメラ抗原ペプチドのN末端側から配置されている、エピトープキメラ抗原ペプチド。
  2. 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のエピトープキメラ抗原ペプチド。
  3. 配列番号9に示されるアミノ酸配列に存在するC型肝炎ウイルスコア抗原エピトープを構成するアミノ酸配列が付加された、抗原上のエピトープの配置が配列番号4、配列番号5、配列番号9、配列番号3に示されるアミノ酸配列に存在するエピトープの順にキメラ抗原ペプチドのN末端側から配置されている、請求項1に記載のエピトープキメラ抗原ペプチド。
  4. 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、請求項3に記載のエピトープキメラ抗原ペプチド。
  5. C型肝炎ウイルス感染のグループ判別に用いるエピトープキメラ抗原ペプチドであって、該ペプチドは、配列番号6、7、8及び10に示されるアミノ酸配列に存在するC型肝炎ウイルスNS4抗原のエピトープを構成するアミノ酸配列がペプチドリンカーを介して連結された配列からなり、かつ該抗原上のエピトープの配置が、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号6に示されるアミノ酸配列に存在するエピトープの順にキメラ抗原ペプチドのN末端側から配置されているエピトープキメラ抗原ペプチド。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載のエピトープキメラ抗原ペプチド及び請求項5に記載のエピトープキメラ抗原ペプチドと検体試料とを接触させて特異的抗体免疫反応を行わせ、生成する抗原抗体複合体の濃度又は存在を測定することを含む、C型肝炎ウイルスグループの判定法。
  7. 請求項1〜5の何れか一項に記載のエピトープキメラ抗原ペプチドと試料検体とを接触させて特異的免疫反応を行わせ、生成する抗原抗体複合体の濃度又は存在を測定することを含む、C型肝炎ウイルス感染の判定法。
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