JPH0246780B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内燃機関のアイドリング回転速度制御
装置、特に吸気管に配置され回転速度を制御する
絞り弁と、絞り弁がアイドリング位置にあるとき
吸入空気量を調節する電磁的に動作される電磁調
節装置と、回転速度の目標値と現在値を比較する
比較回路と、その後段に接続され好ましくはＰ
（比例動作）、Ｉ（積分動作）、Ｄ（微分動作）の特
性を有する制御器とを備えた内燃機関の回転速度
制御装置に関する。

排気ガス規制がきびしくなるに従い、特にアイ
ドリング回転速度を制御することが重要になつて
きている。この場合アイドリング調節量を変化さ
せることはもはや不可能になるので、内燃機関が
長く使用された場合でもその駆動機関にわたつて
確実なアイドリング回転速度が保障されなければ
ならない。

従来アイドリング回転速度を制御するのに絞り
弁に対するバイパス路に電磁調節装置を設け、こ
の調節装置を回転速度及び温度に従つて制御する
方法が知られている。また別な方法としてバイパ
ス路を別に設けるのをやめ、その代わりに特殊な
調節装置を設け、それによりアイドリング時絞り
弁が完全に閉まるのを防止し、所望の開口断面が
得られるようにする方法も考えられている。これ
らの従来の制御装置でかなりの範囲にわたつて良
好な結果が得られるけれども、全ての駆動条件に
わたつて正確な制御を行なうまでには至つていな
い。

例えば、特開昭55−123336号公報には、アイド
リング回転速度の目標値をエンジンの温度、空調
装置のオンオフ、あるいはエンジンを始動してか
らの経過時間に応じて変化させる構成の回転速度
制御方法が開示されており、同方法ではさらに制
限回路を設けてエンジンの回転速度が上限値と下
限値で定まる範囲に制限するようにしている。

また、同様に特開昭54−76722号公報、特開昭
54−98424号公報にもアイドリング回転速度の目
標値をエンジン温度あるいは空調スイツチのオン
オフに関係して変化させる構成のアイドリング回
転速度制御装置が記載されている。

このような従来の装置では、アイドリング回転
速度の目標値をエンジン温度あるいは空調スイツ
チのオンオフに関係して変化させているだけなの
で、例えばエンジンブレーキ時にクラツチを入れ
たりして回転速度が急変した場合、あるいはアイ
ドリング時運転手がアクセルを踏んで回転速度を
上昇させ、その後回転速度が急激に減少したよう
な場合、制御が追いつけずエンジンが停止してし
まうという問題があつた。

従つて本発明はこのような問題点を解決するた
めになされたもので、正確にしかも確実にアイド
リング回転速度を制御することができる内燃機関
のアイドリング回転速度制御装置を提供すること
を目的とする。

本発明では、このような目的を達成するため
に、吸気管に配置された絞り弁を介して回転速度
を制御する内燃機関のアイドリング回転速度制御
装置において、絞り弁がアイドリング位置にある
とき空気が通過する開口断面を調節し吸入空気量
を調節する電磁調節装置２４と、アイドリング回
転速度の目標値（nsoll）を発生する目標値発生
手段２８と、回転速度と前記目標値発生手段によ
つて得られた目標値の偏差に従つて前記電磁調節
装置を駆動し回転速度をアイドリング回転速度の
目標値に制御する制御器１８，１９，２０と、前
記電磁調節装置の開口断面の値を制限する限界制
御器２２とを設け、前記限界制御器によつて開口
断面の最小値（τmin）を制限するとともにその
最小値を回転速度の増加に従つて増加させ、かつ
アイドリング回転速度の目標値を回転速度の現在
値に従つて変化させ、回転速度の現在値がアイド
リング回転速度の目標値より所定量大きくなつた
ときにアイドリング回転速度の目標値を回転速度
の現在値の増加に追従して増大させる構成を採用
した。

このような構成では、電磁調節装置の開口断面
の値を制限する限界制御器を設け、その限界制御
器によつて開口断面の最小値を制限するようにし
ているので、内燃機関の回転速度を開口断面の最
小値で定まる下限値を下回らないようにすること
ができ、さらに、この最小開口断面を回転速度の
増加に従つて増加させるようにしているので、回
転速度が上昇し、続いて回転速度が急激に減少し
てアイドリング回転速度に移行したとしても、電
磁調節装置の最小開口断面が大きくなつており、
アイドリング回転速度制御をより大きな開口断面
で開始でき、確実なアイドリング回転速度制御が
可能になる。

また、本発明ではアイドリング回転速度の目標
値は、回転速度の増大に追従して増大しているの
で、回転速度がアイドリング回転速度より上昇
し、その後何らかの原因で回転速度が急激に低下
した場合でも、アイドリング回転速度の目標値が
それまでの回転速度の上昇に従つて大きな値とな
つており、アイドリング回転速度をより早い時点
で捕捉でき、確実なアイドリング回転速度制御が
可能になる。

このように、本発明では、回転速度が上昇して
その後何等かの原因で回転速度が急激に減少して
も、アイドリング回転速度の目標値が回転速度の
増大に追従して増大しており、また限界制御器で
制限される電磁調節装置の最小開口断面が回転速
度の増加に従つて大きくなつているので、アイド
リング回転速度制御をより早い時点で開始できる
とともにアイドリング回転速度制御をより大きな
開口断面で開始できるので、確実なアイドリング
回転速度制御が可能になり、内燃機関の停止を防
止することができる。

本発明の実施例によれば、回転速度の目標値と
現在値を比較する比較回路が設けられ、その場合
アイドリング回転速度の目標値を回転速度の現在
値、時間、電源電圧、温度あるいは場合によつて
は他の種々な量に関係させて制御するようにして
いる。その制御は、PID制御器により行なわれ、
その個々の動作特性はそれぞれ所定のものに選ば
れ、好ましくは回転速度の偏差に従つて設定され
る。さらに、限界制御器が設けられ、それにより
調節装置の最大或は最小限界値を動作特性量に従
つて変化させるようにしている。

本発明の制御装置は特に外部点火式の内燃機関
に用いられ、非常に正確な調整を行なうことが可
能になるので広い駆動範囲にわたつて所望の排気
ガス値が得られる。特に本発明では駆動電圧、時
間、回転速度或いは例えばギヤの切換え位置など
の量を関係させて電磁調節装置に入力させる信号
を制御しているので好ましい特性が得られる。さ
らに比例動作特性Ｐ、積分特性Ｉ、微分特性Ｄを
備えた各制御特性を非線形なものにすることによ
つて制御動作を早く行なうことが可能になる。

以下、図面に示す実施例に基づいて、本発明を
詳細に説明する。

本発明の実施例は、特に外部点火式の内燃機関
のアイドリング回転速度制御装置を例にとり図示
されている。第１図において１０は内燃機関を示
し、この内燃機関には回転速度ｎを検出する回転
速度センサ１１、温度θを検出する温度センサ１
２並びに絞り弁の位置αを検出する位置センサ１
３が設けられている。回転速度センサ１１から得
られる回転速度信号は周波数電圧変換器１５に入
力され、続いて回転速度の目標値（nsoll）と現
在値（nist）を比較する比較回路１６に導かれ
る。その後段にそれぞれＰ特性、Ｉ特性及びＤ特
性を有する３つの制御器１８，１９，２０から成
る制御器が設けられる。比較回路１６とＩ制御器
２０間には加え合わせ点２１が設けられ、その加
え合わせ点でＤ制御器１９の出力と比較回路１６
の出力値が加え合わされるとともに、限界制御器
２２からの限界値信号が引き算される。限界制御
器２２は後述するように、電磁調節装置２４の開
口断面の限界値を最大値τmaxと最小値でrminの
間の値に制限する機能を果たす。Ｉ制御器２０並
びにＰ制御器１８の出力はそれぞれ加え合わせ点
２３に導かれる。その出力は電磁動作する調節装
置２４の入力信号となるが、さらに調節装置をク
ロツク制御するために100〜300Hzの周波数を有す
る鋸波発生器２５の出力が比較器２６に入力され
る。調節装置２４の出力は内燃機関に作用し吸入
空気を通過させる開口断面を調節し吸気管の空気
流量を制御し、所望のアイドリング回転速度が得
られるようにする。なお３５はアイドリング回転
速度制御時以外或いは制御時にスタートや推進軸
駆動（例えばエンジンブレーキ）のような動作特
性量に従つて調節装置２４を制御する制御段であ
る。

Ｐ制御器１８に図示した矢印は、それぞれ入力
信号に従つて増幅量を変化できることを示したも
のである。さらにＩ制御器２０の積分定数はその
上昇方向及び下降方向が回転速度の偏差並びに温
度の関数として任意に設定できるようになつてい
る。

回転速度目標値制御回路２８の出力信号
（nsoll）は比較回路１６に入力される。回転速度
の目標値は、例えば回転速度の瞬間値、温度、時
間、現在の電源電圧及び所望の回転速度目標値に
従つて変化させることができる。さらにまた目標
値をギヤ制御信号に従つて処理し、例えば自動ギ
ヤ変換装置において「Ｎ」の位置から「Ｄ」の位
置に切り換えたとき、回転速度の変動を避けるよ
うにすることもできる。このような種々の入力量
を考慮することができるために、回転速度目標値
制御回路２８は周波数電圧変換器１５の出力
（nist）、温度センサ１２の出力、時間信号発生器
２９の出力並びに電源電圧U_B３０とそれぞれ接
続される。また、ポテンシヨンメータ３１は所望
の目標回転速度を設定するための設定装置であ
る。また３２は目標回転速度を切り換えるスイツ
チであり、その切換えは例えばギヤ切換え状態に
関連させて行なわれる。

第１図に図示した個々の装置及びブロツクは当
業者にはそれぞれ良く知られたものであり、その
多くはすでに市場に販売されているものである。

第２図には第１図に図示したアイドリング回転
制御装置の動作を説明する流れ図が図示されてい
る。この流れ図はスタートを開始すべきか否かを
判断ステツプから開始される。スタート開始時に
は回転速度L_oが最小値nminより小さくなり、ス
タート制御が開始され、その場合調節装置２４は
デユーテイー比がτ₁のパルスによつて駆動され
る。続いて絞り弁スイツチの位置α₀が調べられ
る。このスイツチの位置により絞り弁が開放して
いるとなると、通常の走行駆動となり、調節装置
にはデユーテイー比がτ₂のパルスが印加される。
絞り弁に対してバイパス路が設けられている場合
にはこの通常の走行駆動の間調節装置を中央位置
に制御し、アイドリング駆動に移動した場合、下
方への遊び並びに上方への遊びが与えられるよう
にする。それに対してこのバイパス路はスタート
駆動時には完全に開放して内燃機関が確実に始動
するようにする。

絞り弁スイツチが閉じる場合には、２つの駆動
状態、すなわち推進軸駆動（エンジンブレーキ）
及びアイドリングが考えられる。推進軸駆動の場
合には調節装置２４はデユーテイー比がτ₃の入力
信号を受け、バイパス路をほぼ閉じた状態に制御
し、良好なエンジンブレーキが得られるようにす
る。或いは空気をある程度付加させ良好な燃焼が
維持されるようにする。

回転速度を推進軸駆動からアイドリング駆動に
良好に調節できるように、回転速度が例えば１秒
以上にわたつて推進軸駆動を識別するしきい値よ
り下の値であるか否かが判断される。そのように
なつて初めて本来のアイドリング回転速度制御が
行なわれる。すなわち回転速度の目標値は、温
度、回転速度、時間、電源電圧、所望の回転速度
目標値並びにさらに他のスイツチ位置などの少な
くとも１つの量に従つて決められる。

第３図〜第６図にはそれぞれ所望の特性が図示
されている。

第３図には、目標回転速度が現在の回転速度に
関係する状態が図示されている。例えば点線で示
す目標値（nsoll）は実線で示す現在の回転速度
（nist）が運転手のアクセルペダルの操作により、
例えば１分間当たり約100回転以上増加した場合
に増大される。このような処置をとることにより
制御器はt₂の時点ではなくすでにt₁の時点で応答
するので、大きくなつた目標値を定常の値に戻す
操作が遅れるような場合、回転速度を定常値に戻
すのを容易にすることができる。このようにして
わずかな変動を防止することができ乗り心地を向
上することができる。なお、この場合、第３図に
図示したようにアイドリング回転速度の目標値
（nsoll）を回転速度の現在値（nist）より少し遅
延させて変化させるようにするのが好ましい。

第４図には時間に関係した回転速度の目標値の
値の変化の様子が図示されている。具体的には、
スタート直後には所定の時間にわたつて回転速度
の目標値を上昇させるのが好ましい。その理由は
λ制御を行なう自動車の場合、λセンサ（酸素セ
ンサ）を早く駆動温度に到達させるようにしなけ
ればならず、これは通常回転速度を大きくするこ
とによつて可能になるからである。所定の時間に
わたつて一定である領域が続き、その後スタート
後約20秒たつて通常の定常値に戻されることがわ
かる。

回転速度の目標値を電源電圧に従つて変化させ
る目的は、特に、例えば電気的負荷が接続されて
電源電圧が減少したとき電源に対するバランスを
向上させるためである。

さらに回転速度の目標値を、例えばスイツチ３
２を介してギヤ位置に関係させて他の値に切り換
えるようにしており、それによつてエンジンの回
転を静かなものにさせることができる。同様なこ
とが、例えばクーラーを接続したときにも当ては
まる。このようなとき内燃機関の負荷の変動が発
生し、このような場合アイドリング回転速度の目
標値を変化させることによりそれを補償すること
ができる。

運転手によつて回転速度がアイドリング回転の
目標値よりも大きくなつた場合には、制御器は調
節装置に作用し、吸入空気量が通過する電磁調節
装置の開口断面が限界制御器２２において定めら
れた最小開口断面になるように制御する。この場
合、この最小開口断面を良好なダイナミツク特性
が得られるように、すなわち定常のアイドリング
回転速度に良好に制御されるようにエンジンの回
転速度並びにエンジンの温度に従つて定めるよう
にすることができる（そのため、第１図に図示し
たように限界制御器２２には、電圧周波数変換器
１５を介してエンジンの回転速度の信号が、ま
た、温度センサ１２を介してエンジンの温度信号
が入力される）。その例が第５ａ図及び第５ｂ図
に図示されている。第５ａ図よりアイドリング回
転速度の目標値（nsoll）より大きな所定の回転
速度領域では最小開口断面（τmin）が上昇し、
他の場合では一定の値となつていることが理解で
きる。このように調節装置２４に調節される開口
断面の最小値が回転速度によつて大きくなること
により次のような効果が得られる。すなわち、回
転速度が急激に減少しても続くアイドリング回転
速度への移行を好ましいものにすることができ
る。というのは、最小開口断面が大きくなり、ア
イドリング回転速度制御をより大きな開口断面
で、すなわち、より多い吸入空気量で開始でき、
内燃機関の停止を防止できるからである。同様に
この最小開口断面の温度が低くなると増加しスタ
ート後の走行特性を改良させるようにしている。

最大の開口断面は温度が低い場合にのみ用いら
れる。従つて第６ａ図から理解されるように温度
に関係させて制限される。それにより回転速度の
過渡振動を改良させることができる。これはまた
最大開口断面を回転速度が上昇した場合に制限す
ることによつても減少させることができる。この
状態が第６ｂ図に図示されている。第６図におい
てそれぞれ縦軸にはデユーテイー比τmaxが図示
されており、このデユーテイー比はそれぞれ開口
断面と直接関係するものである。

上述したような方法により内燃機関のアイドリ
ングを正確にしかも確実に制御することができ
る。特にアイドリング時排気ガスをきれいなもの
にするようにすることができるという利点が得ら
れる。さらに燃料消費をぎりぎりの値まで減少さ
せることができる。というのは、アイドリング回
転速度の変動を制御しているので負荷の変動があ
つた場合でも内燃機関が止まらないようにするた
めの安全量をそれほど大きくとらなくてもすむよ
うになるからである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の制御装置の概略構成を示した
ブロツク図、第２図は第１図の装置の動作を説明
するフローチヤート図、第３図は目標回転速度と
現在回転速度の関係を示した特性図、第４図は目
標回転速度が時間に関係させて変化する状態を示
した特性図、第５ａ図及び第５ｂ図並びに第６ａ
図、第６ｂ図はそれぞれ回転速度並びに温度に関
係させてアイドリング時の空気量の最小及び最大
値の限界値を変化させるようにしたことを説明す
る特性図である。 １０……内燃機関、１１……回転速度センサ、
１２……温度センサ、１３……アクセルペダル位
置センサ、１５……周波数電圧変換器、１６……
比較回路、１８……Ｐ制御器、１９……Ｄ制御
器、２０……Ｉ制御器、２２……限界制御器、２
４……電磁調節装置、２５……鋸波発生器、２９
……時間信号発生器、３０……電源電圧、３１…
…ポテンシヨメータ、３２，３３……目標値スイ
ツチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 吸気管に配置された絞り弁を介し回転速度を
   制御する内燃機関のアイドリング回転速度制御装
   置において、 絞り弁がアイドリング位置にあるとき空気が通
   過する開口断面を調節し吸入空気量を調節する電
   磁調節装置２４と、 アイドリング回転速度の目標値（nsoll）を発
   生する目標値発生手段２８と、 回転速度と前記目標値発生手段によつて得られ
   た目標値の偏差に従つて前記電磁調節装置を駆動
   し回転速度をアイドリング回転速度の目標値に制
   御する制御器１８，１９，２０と、 前記電磁調節装置の開口断面の値を制限する限
   界制御器２２とを設け、 前記限界制御器によつて開口断面の最小値
   （rmin）を制限するとともにその最小値を回転速
   度の増加に従つて増加させ、かつ アイドリング回転速度の目標値を回転速度の現
   在値に従つて変化させ、回転速度の現在値がアイ
   ドリング回転速度の目標値より所定量大きくなつ
   たときにアイドリング回転速度の目標値を回転速
   度の現在値の増加に追従して増大させることを特
   徴とする内燃機関のアイドリング回転速度制御装
   置。 ２ 前記限界制御器によつて開口断面の最大値
   （τmax）を制限し、その最大開口断面を回転速
   度の増加に従つて減少させるようにした特許請求
   の範囲第１項に記載の内燃機関のアイドリング回
   転速度制御装置。 ３ 前記限界制御器によつて制限される開口断面
   の最小及び最大値を温度が低くなるに従つて大き
   くするようにした特許請求の範囲第２項に記載の
   内燃機関のアイドリング回転速度制御装置。 ４ 前記回転速度の目標値をスタート後定常目標
   値よりも高い値に設定しその後時間の経過に従つ
   て減少させるようにした特許請求の範囲第１項に
   記載の内燃機関のアイドリング回転速度制御装
   置。 ５ 前記回転速度の目標値を約20秒間定常目標値
   よりも高い値に設定するようにした特許請求の範
   囲第４項に記載の内燃機関のアイドリング回転速
   度制御装置。