JP7309741B2 - 印刷用原版、及び印刷版の製版方法 - Google Patents

印刷用原版、及び印刷版の製版方法 Download PDF

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Description

本発明は、印刷用原版、印刷用原版積層体、印刷版の製版方法、及び印刷方法に関する。
印刷用原版、例えば、平版印刷版原版は、しばしば、複数枚重ね合わせた積層体として保管、搬送される。この積層体においては、通常、平版印刷版原版の集積ズレ防止、平版印刷版原版同士の接着防止、平版印刷版原版の画像記録層側表面の擦れ傷防止などの目的で、平版印刷版原版の間に合紙が挿入される。しかしながら、合紙の使用は、それ自体、コストアップ、廃棄処理などの問題を含んでおり、また、露光工程の前に取り除く必要があるため、製版工程の負荷、合紙剥離不良トラブル発生のリスクともなる。更に、合紙を取り除く際には、平版印刷版原版の画像記録層側表面が損傷を受けないよう配慮が必要となる。したがって、合紙なしに積層可能な平版印刷版原版の開発が求められている。
合紙なしに積層可能な平版印刷版原版として、特許文献1には、最上層に、親水性ポリマー及びシリカで表面被覆した有機樹脂微粒子を含有する保護層を有するネガ型平版印刷版原版、及び、当該平版印刷版原版を積層した積層体が記載されている。また、特許文献2には、画像形成可能層が、画像形成可能な組成物及び画像形成可能層の重量に基づいて約0.01wt%~10wt%のケイ酸塩コーティングポリマー粒子を含有し、上記ケイ酸塩コーティングポリマー粒子が、約1μm~約20μmの直径を有し、上記画像形成可能要素が、光熱変換材料を含有する画像形成可能要素、及び、当該画像形成可能要素を積層した積層体が記載されている。
日本国特開2008-15503号公報 日本国特表2006-516758号公報
平版印刷版原版(以下、「原版」ともいう。)は、通常、原版製造時の版集積ズレ防止、原版同士の接着防止、集積体から原版を一枚ずつ取り出す製版工程における多重給版の防止、原版製造、集積、輸送、ユーザー製版時、及び、印刷前といった一連の工程におけるコスレ傷防止等のために、原版と原版の間に合紙を挟んで原版を積層している。しかし、ユーザー製版時の合紙剥離不良トラブル防止、製版スピード向上、コストダウンの目的で合紙を含まない態様(「合紙レス」ともいう。)にする場合がある。
合紙レスにする場合には、上記のように表面層(最外層)に樹脂粒子を含有させる手法が採用されることがある。しかし、最外層に樹脂粒子を含有させて、最外層表面に凸部を付与した場合、新たな問題が生じる。例えば、原版製造、集積、輸送時における凸部の脱落、凸部に起因する擦れ傷の発生、凸部に起因する現像遅れ等が発生する。
即ち、平版印刷版原版は、集積体から原版を取り出す工程における多重給版の防止性、原版の最外層表面に付与された凸部の脱落防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する擦れ傷防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する現像遅れ防止性といった特性に優れる必要がある。しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の技術によっては、現像遅れ防止性が劣り、上記特性の全てを満たすことは出来なかった。
本発明が解決しようとする課題は、合紙レスであっても集積体から原版を取り出す工程における多重給版の防止性、原版の最外層表面に付与された凸部の脱落防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する擦れ傷防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する現像遅れ防止性という特性の全てに優れる印刷用原版、並びに、当該印刷用版原版を用いた印刷用原版積層体、印刷版の製版方法、及び印刷方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
[1]
アルミニウム支持体の印刷面側に粒子(但し、高密度ポリエチレン粒子を除く)を含む層を有し、上記粒子の弾性率が0.1GPa以上であり、上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒とした場合に、下記式(1)を満たす印刷用原版であって、
上記印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.3μm以上20μm以下であり、
上記印刷面側に画像記録層を有し、
上記画像記録層が上記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm 以下である印刷用原版。
a≦1,000 (1)
[2]
上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒が、下記式(2)を満たす[1]に記載の印刷用原版。
a≦300 (2)
[3]
上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒、上記印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度をb秒とした場合に、下記式(1)、及び、式(3)を満たす[1]又は[2]に記載の印刷用原版。
a≦1,000 (1)
1/a+1/b≧0.002 (3
[4
上記印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.1μm以上20μm以下である[1]~[]のいずれか1項に記載の印刷用原版。

上記印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaと、上記印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaとの合計値が、0.3μmを超え20μm以下である[1]~[]のいずれか1項に記載の印刷用原版。

上記粒子の弾性率が0.7GPa以上である[1]~[]のいずれか1項に記載の印刷用原版。

上記画像記録層が、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物、及び、高分子化合物を含む[1]~[6]のいずれか1項に記載の印刷用原版。

上記高分子化合物がスチレン、及び/又は、アクリロニトリルを構成単位として含む高分子化合物である[]に記載の印刷用原版
[9
上記印刷面側に保護層を有する[]~[]のいずれか1項に記載の印刷用原版。
10
上記保護層が上記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である[]に記載の印刷用原版。
11
上記保護層の厚さが0.2μm未満である[]又は[10]に記載の印刷用原版。
12
アルミニウム支持体の印刷面側に粒子(但し、高密度ポリエチレン粒子を除く)を含む層を有し、上記粒子の弾性率が0.1GPa以上であり、上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒とした場合に、下記式(1)を満たす印刷用原版であって、
上記印刷面側に非感光性樹脂層を有し、
上記非感光性樹脂層が前記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm 以下である、印刷用原版(但し、アルミニウム支持体上に、感光層、無機層状化合物を含む中間層、フィラーを含む保護層をこの順で積層する、平版印刷版原版を除く)。
[13
上記印刷面側に保護層を有する[12]に記載の印刷用原版。
14
上記保護層が、水溶性ポリマーを含む[13]に記載の印刷用原版。
15
上記水溶性ポリマーが、けん化度50%以上のポリビニルアルコールである[14]に記載の印刷用原版。
16
上記保護層が上記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である[13]~[15]のいずれか1項に記載の印刷用原版。
17
上記保護層の厚さが0.2μm未満である[13]~[16]のいずれか1項に記載の印刷用原版。
18
[1]~[11]のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、並びに、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
19
[1]~[11]のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、及び、pHが2以上12以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
本発明は、上記[1]~[19]に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記<1>~<35>)についても記載している。
<1>
アルミニウム支持体の印刷面側に粒子を含む層を有し、上記粒子の弾性率が0.1GPa以上であり、上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒とした場合に、下記式(1)を満たす印刷用原版。
a≦1,000 (1)
<2>
上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒が、下記式(2)を満たす<1>に記載の印刷用原版。
a≦300 (2)
<3>
上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒、上記印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度をb秒とした場合に、下記式(1)、及び、式(3)を満たす<1>又は<2>に記載の印刷用原版。
a≦1,000 (1)
1/a+1/b≧0.002 (3)
<4>
上記印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.3μm以上20μm以下である<1>~<3>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<5>
上記印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.1μm以上20μm以下である<1>~<4>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<6>
上記印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaと、上記印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaとの合計値が、0.3μmを超え20μm以下である<1>~<5>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<7>
上記粒子の弾性率が0.7GPa以上である<1>~<6>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<8>
上記印刷面側に画像記録層を有する<1>~<7>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<9>
上記画像記録層が、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物、及び、高分子化合物を含む<8>に記載の印刷用原版。
<10>
上記高分子化合物がスチレン、及び/又は、アクリロニトリルを構成単位として含む高分子化合物である<9>に記載の印刷用原版。
<11>
上記重合性化合物を2種類以上含む<9>又は<10>に記載の印刷用原版。
<12>
上記画像記録層が上記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である<8>~<11>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<13>
上記印刷面側に保護層を有する<8>~<12>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<14>
上記保護層が、水溶性ポリマーを含む<13>に記載の印刷用原版。
<15>
上記水溶性ポリマーが、けん化度50%以上のポリビニルアルコールである<14>に記載の印刷用原版。
<16>
上記保護層が上記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である<13>~<15>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<17>
上記保護層の厚さが0.2μm未満である請求項<13>~<16>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<18>
上記印刷面側に非感光性樹脂層を有する<1>~<7>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<19>
上記非感光性樹脂層が上記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である<18>に記載の印刷用原版。
<20>
上記印刷面側に保護層を有する<18>又は<19>に記載の印刷用原版。
<21>
上記保護層が、水溶性ポリマーを含む<20>に記載の印刷用原版。
<22>
上記水溶性ポリマーが、けん化度50%以上のポリビニルアルコールである<21>に記載の印刷用原版。
<23>
上記保護層が上記粒子を含む層であり、上記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である<20>~<22>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<24>
上記保護層の厚さが0.2μm未満である<20>~<23>のいずれか1項に記載の印刷用原版。
<25>
<1>~<24>のいずれか1項に記載の印刷用原版を複数枚積層してなり、上記印刷面側における最外層と、上記印刷面側とは反対側における最外層とを直接接触させて積層させた印刷用原版積層体。
<26>
<8>~<17>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、並びに、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
<27>
<8>~<17>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、及び、pHが2以上12以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
<28>
<8>~<17>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、及び、pHが2以上10以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去する工程を含み、かつ未露光部除去工程の後に水洗工程を含まない印刷版の製版方法。
<29>
<8>~<17>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程、並びに、得られた印刷版により印刷する工程を含む印刷方法。
<30>
<8>~<17>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、pHが2以上12以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程、及び、得られた印刷版により印刷する工程を含む印刷方法。
<31>
<8>~<17>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、pHが2以上10以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去する工程を含み、かつ未露光部除去工程の後に水洗工程を含まない印刷版の製版工程、及び、得られた印刷版により印刷する工程を含む印刷方法。
<32>
<18>~<24>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光せずに、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で非感光性樹脂層を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
<33>
<18>~<24>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光せずに、pHが2以上12以下の現像液を供給して非感光性樹脂層を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
<34>
<18>~<24>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光せずに、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で非感光性樹脂層を除去し印刷版を作製する工程、及び、得られた印刷版により印刷する工程を含む印刷方法。
<35>
<18>~<24>のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光せずに、pHが2以上12以下の現像液を供給して非感光性樹脂層を除去し印刷版を作製する工程、及び、得られた印刷版により印刷する工程を含む印刷方法。
本発明によれば、合紙レスであっても集積体から原版を取り出す工程における多重給版の防止性、原版の最外層表面に付与された凸部の脱落防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する擦れ傷防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する現像遅れ防止性という特性の全てに優れる印刷用原版、並びに、当該印刷用版原版を用いた印刷用原版積層体、印刷版の製版方法、及び印刷方法を提供することができる。
電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。 本発明に好適に使用することができる現像処理装置の一例の構造を示す概略図である。 アルミニウム支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本発明における質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本明細書において、「印刷用原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、印刷用捨て版原版を包含する。また、「印刷版」の用語は、印刷用原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、印刷用捨て版を包含する。印刷用捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。印刷用捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための印刷版である。なお、印刷用捨て版は、水版、ダミー版、ブランク版、空版等と呼ばれることもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔印刷用原版〕
本発明に係る印刷用原版は、アルミニウム支持体(以下、単に「支持体」ともいう。)の印刷面側に粒子を含む層を有し、上記粒子の弾性率が0.1GPa以上であり、上記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒とした場合に、下記式(1)を満たす印刷用原版である。
a≦1,000 (1)
本発明者らが鋭意検討した結果、本発明に係る印刷用原版は、上記構成をとることにより、集積体から原版を取り出す工程における多重給版の防止性、原版の最外層表面に付与された凸部の脱落防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する擦れ傷防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する現像遅れ防止性という特性の全てに優れる印刷用原版を提供できることを見出した。
上記優れた効果が得られる機序は明確ではないが、次のように推定している。本発明に係る印刷用原版は、印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒が式(1)を満たすような最外層表面に付与された凸部によって、集積体を構成した場合、接触する原版間に空気が流入できる隙間が形成されるため、多重給版の防止効果があると考えている。また、含有される粒子は、弾性率が0.1GPa以上と高い弾性率を有するため、積層時等の圧力による粒子の変形が生じ難く、画像記録層(又は、非感光性樹脂層)の圧着面積を小さくすることができる。圧着面積が大きい程現像し難くなるので、圧着面積の小さい本発明に係る印刷用原版は、現像遅れを防止する効果があると考えている。
本発明に係る印刷用原版は、アルミニウム支持体(以下、「支持体」ともいう。)の印刷面側に、粒子を含む層を有し、上記粒子の弾性率が0.1GPa以上である。
ここで、アルミニウム支持体の「印刷面側」とは、印刷時に印刷インキが適用される側を意味する。平版印刷版原版においては、画像記録層を有する側であり、印刷用捨て版原版においては、非感光性樹脂層を有する側である。
また、「印刷面側とは反対側」とは、アルミニウム支持体の印刷面側とは反対側(非印刷面側)であり、印刷時に印刷機の版胴に接する側を意味する。
本発明に係る印刷用原版は、支持体上の印刷面側に下塗り層を有していてもよい。また、支持体の印刷面側とは反対側に、バックコート層を有していてもよい。
本発明に係る印刷用原版は、機上現像に用いられる印刷用原版であってもよいし、現像液による現像に用いられる印刷用原版であってもよい。
本発明に係る印刷用原版は、支持体の印刷面側に、粒子を含む層を有する。
粒子を含む層(以下、粒子含有層ともいう)に含まれる粒子は、有機樹脂粒子及び無機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。
有機樹脂粒子としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリスチレン及びその誘導体、ポリアミド類、ポリイミド類、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、などのポリオレフィン類、ポリエステル類などの合成樹脂からなる粒子、及び、キチン、キトサン、セルロース、架橋澱粉、架橋セルロース等の天然高分子からなる粒子などが好ましく挙げられる。
中でも、合成樹脂粒子は、粒子サイズ制御の容易さや、表面改質により所望の表面特性を制御し易いなどの利点がある。
有機樹脂粒子の製造方法については、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような比較的に硬い樹脂では、破砕法による微粒子化も可能であるが、乳化懸濁重合法により粒子を合成する方法が、粒子径制御の容易性、精度から好ましく採用されている。
有機樹脂粒子の製造方法は、「超微粒子と材料」日本材料科学会編、裳華房、1993年発刊、「微粒子・粉体の作製と応用」川口春馬監修、シーエムシー出版、2005年発刊等に詳細に記載されている。
有機樹脂粒子は市販品としても入手可能であり、例えば、綜研化学(株)製、架橋アクリル樹脂MX-40T、MX-80H3wT、MX-150、MX-180TA、MX-300、MX-500、MX-1000、MX-1500H、MR-2HG、MR-7HG,MR-10HG、MR-3GSN、MR-5GSN、MR-7G、MR-10G、MR-5C、MR-7GC、スチリル樹脂系のSX-350H、SX-500H、積水化成品工業(株)製アクリル樹脂MBX-5、MBX-8、MBX-12MBX-15、MBX-20,MB20X-5、MB30X-5、MB30X-8、MB30X-20、SBX-6、SBX-8、SBX-12、SBX-17、三井化学(株)製ポリオレフィン樹脂、ケミパールW100、W200、W300、W308、W310、W400、W401、W405、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WP100などが挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、カーボンブラック、グラファイト、BaSO、ZnS、MgCO、CaCO、ZnO、CaO、WS、MoS、MgO、SnO、α-Fe、α-FeOOH、SiC、CeO、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイヤモンド、石榴石、ガーネット、珪石、トリボリ、珪藻土、ドロマイトなどが挙げられる。
上記粒子は、親水性表面を有する粒子であることが好ましい。親水性表面を有する粒子は、親水性表面を有する有機樹脂粒子及び親水性表面を有する無機粒子を含む。
親水性表面を有する有機樹脂粒子は、シリカ、アルミナ、チタニア及びジルコニアよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物で被覆された有機樹脂粒子が好ましく、シリカで被覆された有機樹脂粒子が特に好ましい。
親水性表面を有する有機樹脂粒子を構成する有機樹脂は、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂及びメラミン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
以下に、親水性表面を有する有機樹脂粒子について、シリカで被覆された有機樹脂粒子(以下、「シリカ被覆有機樹脂粒子」ともいう。)を例として詳細に説明するが、本発明における親水性表面を有する有機樹脂粒子はこれに限定されるものではない。
シリカ被覆有機樹脂粒子は、有機樹脂からなる粒子をシリカで表面被覆した粒子である。コアを構成する有機樹脂粒子は、空気中の湿分や、温度によって、軟化したり、べとついたりすることがないことが好ましい。
シリカ被覆有機樹脂粒子における有機樹脂粒子を構成する有機樹脂としては、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポシキ系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
シリカ被覆有機樹脂粒子の表面を被覆するシリカ層を形成する材料としては、アルコキシシロキサン系化合物の縮合物などのアルコキシシリル基を有する化合物、特に、シロキサン系材料、具体的には、シリカゾル、コロイダルシリカ、シリカナノ粒子などのシリカ粒子などが好ましく挙げられる。
シリカ被覆有機樹脂粒子の構成は、有機樹脂粒子表面にシリカ粒子が固体成分として付着している構成であっても、アルコキシシロキサン系化合物を縮合反応させて有機樹脂粒子表面にシロキサン系化合物層を形成した構成であってもよい。
シリカは必ずしも有機樹脂粒子表面全域を被覆している必要はなく、少なくとも有機樹脂粒子の全質量に対し、0.5質量%以上の量で表面を被覆していることが好ましい。すなわち、有機樹脂粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在することで、有機粒子表面における、共存する水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)との親和性の向上が達成され、外部応力を受けた場合でも粒子の脱落が抑制され、優れた耐キズ性、合紙なし積層時の剥離容易性を維持することができる。このため、本発明における「シリカ被覆」とは、このように有機樹脂粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在する状態をも包含するものである。
シリカの表面被覆状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)等による形態観察により確認することができる。また、シリカの被覆量は、蛍光X線分析などの元素分析によりSi原子を検知し、そこに存在するシリカの量を算出することで確認することができる。
シリカ被覆有機樹脂粒子の製造方法は特に制限はなく、シリカ粒子あるいはシリカ前駆体化合物を、有機樹脂粒子の原料となるモノマー成分と共存させて有機樹脂粒子形成と同時にシリカ表面被覆層を形成させる方法であってもよく、また、有機樹脂粒子を形成した後、シリカ粒子を物理的に表面に付着させ、その後、固定化する方法であってもよい。
以下に、シリカ被覆有機樹脂粒子の製造方法の1例を挙げる。まず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリル酸などの水溶性高分子やリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機系懸濁剤などから適宜選択される懸濁安定剤を含む水中に、シリカと、原料樹脂(より具体的には、上記有機樹脂を構成する、懸濁重合が可能なモノマー、懸濁架橋が可能なプレポリマー、又は樹脂液などの原料樹脂)とを添加、撹拌、混合して、シリカと原料樹脂とを分散させた懸濁液を調製する。その際、懸濁安定剤の種類、その濃度、撹拌回転数などを調節することにより、目的の粒径を有する懸濁液を形成することができる。次いで、この懸濁液を加温して反応を開始させ、樹脂原料を、懸濁重合又は懸濁架橋させることにより樹脂粒子を生成させる。このとき、共存するシリカが重合或いは架橋反応により硬化する樹脂粒子に、特に、その物性に起因して樹脂粒子表面近傍に、固定化される。その後、懸濁液を固液分離し、洗浄により粒子に付着している懸濁安定剤を除去し、乾燥させる。かくして、シリカが固定化された所望粒径の略球状のシリカ被覆有機樹脂粒子が得られる。
このように、懸濁重合又は懸濁架橋の際に条件を制御して所望の粒径のシリカ被覆有機樹脂粒子を得ることもできるし、このような制御を厳密に行うことなくシリカ被覆有機樹脂粒子を生成した後、メッシュ濾過法などにより所望の大きさのシリカ被覆有機粒子を得ることもできる。
上記方法によりシリカ被覆有機粒子を製造する際の混合物における原料の添加量などについては、例えば、原料樹脂とシリカとの総量が100質量部の場合、まず、分散媒である水200質量部~800質量部に懸濁安定剤0.1質量部~20質量部を添加し、十分に溶解又は分散させ、その液中に、上記100質量部の原料樹脂とシリカとの混合物を投入し、分散粒子が所定の粒度になるように撹拌速度を調整しながら撹拌し、この粒度調整を行った後に液温を30℃~90℃に昇温し、1時間~8時間反応させる態様が好ましく挙げられる。
シリカ被覆有機樹脂粒子の製造方法については、上記した方法はその1例であり、例えば、特開2002-327036号公報、特開2002-173410号公報、特開2004-307837号公報、及び、特開2006-38246号公報などに詳細に記載された方法により得られるシリカ被覆有機樹脂粒子も本発明に好適に使用することができる。
また、シリカ被覆有機樹脂粒子は市販品としても入手可能であり、具体的には、シリカ/アクリル複合粒子としては、根上工業(株)製アートパールG-200透明、アートパールG-400透明、アートパールG-800透明、アートパールGR-400透明、アートパールGR-600透明、アートパールGR-800透明、アートパールJ-7Pが挙げられる。
以上、シリカ被覆有機樹脂粒子を例として、本発明に用いられる有機樹脂粒子について説明したが、アルミナ、チタニア又はジルコニアで被覆された有機樹脂粒子についても、シリカの代りにアルミナ、チタニア又はジルコニアを用いることにより同様に実施することができる。
上記粒子の形状は、真球状形状が好ましいが、平板形状又は投影図が楕円形状となるような、いわゆる紡錘形状であってもよい。
粒子含有層に含まれる粒子は、弾性率が0.1GPa以上の粒子であれば、特に限定されるものではない。
粒子含有層に含まれる粒子の弾性率は、現像遅れ防止性の観点から、高い方が望ましい。弾性率は、好ましくは0.7GPa以上、より好ましくは1.25GPa以上である。
粒子含有層に含まれる粒子の弾性率は、微小硬さ試験機(PICODENTOR HM500、(株)フィッシャー・インストルメンツ製)により、平面圧子(50mm×50mm)を荷重:1mN/2secで押し込み測定し、得られた荷重変位曲線を平板と球の下記接触式(ヘルツ式)にフィッティングして算出する。
Figure 0007309741000001
弾性率が0.1GPa以上の粒子としては、上記アートパールG-200透明、アートパールG-400透明、アートパールG-800透明、アートパールGR-400透明、アートパールGR-600透明、アートパールGR-800透明、アートパールJ-7Pの他、アートパールJ-4P、アートパールJ-5P、アートパールJ-6P、アートパールJ-3PY、アートパールJ-4PY、アートパールJ-6PF、アートパールJ-7PY(以上根上工業(株)製)、トスパール120、トスパール130、トスパール145、トスパール2000B(以上モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
粒子含有層に含まれる粒子の平均粒子径は、0.5μm~20μmが好ましい。平均粒子径は、より好ましくは0.5μm~10μm、更に好ましくは0.5μm~7μmである。
粒子含有層に含まれる粒子の平均粒子径は、体積平均粒径であり、体積平均粒径の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布計により行われる。具体的には、例えば、粒度分布測定装置「マイクロトラックMT-3300II」(日機装(株)製)を用いて測定する。
また、本発明において、特に断りのない限り、他の粒子についても、上記測定方法により平均粒子径を測定するものとする。
粒子含有層における粒子の面内密度は、10,000個/mm以下が好ましい。面内密度は、より好ましくは100~5000個/mm、更に好ましくは100~3000個/mmである。
粒子含有層における粒子の面内密度は、印刷用原版の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することによって求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)で印刷用原版の表面を5箇所観察して粒子の個数をカウントし、観察視野面積mm当たりの粒子個数に変換し、その平均値を求めることにより面内密度を算出することができる。
本発明に係る印刷用原版においては、印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒は下記式(1)を満たす。
a≦1,000 (1)
印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒は、好ましくは下記式(2)を満たす。
a≦300 (2)
印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒は、より好ましくは下記式(2a)を満たす。
a≦100 (2a)
最外層表面のBekk平滑度(Bekk秒)の測定は、JIS P8119(1998)に準拠して行うことができる。具体的には、熊谷理機工業(株)製ベック平滑度試験機を用い、標準空気量の1/10、すなわち1mLの空気量で測定する。
本発明に係る印刷用原版においては、印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒、印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度をb秒とした場合に、下記式(1)及び式(3)を満たすことが好ましい。
a≦1,000 (1)
1/a+1/b≧0.002 (3)
Bekk平滑度a秒とBekk平滑度b秒とが、式(1)及び式(3)を満たすことにより、多重給版の防止効果が更に高まる。
印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度b秒は、好ましくは1,000秒以下、より好ましくは300秒以下、更に好ましくは100秒以下である。
印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒の逆数、及び、印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度b秒の逆数の合計値である1/a+1/bの値は、好ましくは0.004以上、より好ましくは0.01以上である。
a、bは小さい方が好ましく、下限値は特に限定されないが、0超が好ましい。
本発明に係る印刷用原版において、印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒が、式(1)を満たすという要件を達成する態様としては、特に制限はないが、例えば、下記態様A1、態様A2、及び態様A3のように印刷面側における最外層が凹凸を有する態様が好ましく挙げられる。
<態様A1>
保護層が、平均粒子径が0.5μm~20μmの粒子を含み、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である態様。
<態様A2>
画像記録層が、平均粒子径が0.5μm~20μmの粒子を含み、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である態様。
<態様A3>
非感光性樹脂層が、平均粒子径が0.5μm~20μmの粒子を含み、上記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である態様。
本発明に係る印刷用原版においては、印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.3μm以上20μm以下であることが好ましい。
印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaが0.3μm以上であると、集積体を構成した場合、接触する原版間に空気が流入できる隙間が形成されるため、多重給版の防止効果が高まる。印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaが20μm以下であると、集積体を構成した場合等で凸部が画像記録層深くまで抑えつけられて画像記録層がダメージを受けてしまい現像遅れが生じるというような問題は発生しない。また、算術平均高さSaが0.3μm以上20μm以下であると、擦れ傷防止性に優れる。
印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaは、より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは0.5~7μmである。
最外層表面の算術平均高さSaの測定は、ISO 25178に記載の方法に準じて行うことができる。具体的には、菱化システム(株)製のマイクロマップMM3200-M100を用いて、同一サンプルから3か所以上選択して測定し、それらの平均値を算術平均高さSaとする。測定範囲は、サンプル表面からランダムに選んだ1cm×1cmの範囲とする。
本発明に係る印刷用原版においては、印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。
印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.1μm以上20μm以下であると、集積体を構成した場合等で印刷面側とは反対側における最外層表面の凸部が画像記録層深くまで抑えつけられて画像記録層がダメージを受けてしまい現像遅れが生じるというような問題は発生しない。
上記印刷面側とは反対側における最外層表面としては、支持体の上記印刷面側とは反対側の表面、又は、バックコート層表面が挙げられる。
印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaは、より好ましくは0.3~20μm、更に好ましくは0.5~10μm、特に好ましくは0.5~7μmである。
本発明に係る印刷用原版においては、印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaと、印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaとの合計値が、0.3μmを超え20μm以下であることが好ましい。
印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaと、印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaとの合計値が、0.3μmを超え20μm以下であると、多重給版の防止効果、現像遅れ防止の防止効果が高まる。
印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaと、印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaとの合計値は、より好ましくは0.4~20μm、更に好ましくは1~20μm、特に好ましくは1~14μmである。
本発明に係る印刷用原版は、支持体の印刷面側とは反対側に最外層(例えば、バックコート層)を有し、最外層中に上記粒子を含有させる又は最外層上に突起物を形成することにより、最外層表面のBekk平滑度b秒や最外層表面の算術平均高さSaを上記所望の範囲に調整することができる。これにより、本発明に係る印刷用原版は、上記特性が更に優れるものとなる。
<支持体>
本発明に係る印刷用原版は、アルミニウム支持体を有する。
本発明に係る印刷用原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。中でも、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましく、粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板がより好ましい。
上記粗面化処理及び陽極酸化処理は、公知の方法により行うことができる。
アルミニウム板には、必要に応じて、特開2001-253181号公報や特開2001-322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さRaが0.10μm~1.2μmであることが好ましい。
また、支持体は、マイクロポアの陽極酸化皮膜表面における平均径が10~100nmであることが好ましい。
アルミニウム支持体は、アルミニウム板と、アルミニウム板上に配置されたアルミニウムの陽極酸化皮膜とを有することが好ましい。
アルミニウム板(アルミニウム支持体)は、寸度的に安定な、アルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。アルミニウム板としては、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板、又は、アルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム若しくは紙が挙げられる。更に、特公昭48-18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートでもよい。
アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、及び、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は合金の全質量に対して10質量%以下である。アルミニウム板18としては、純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは製錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含むものでもよい。
アルミニウム板としては、その組成が限定されるものではなく、公知公用の素材のもの(例えばJIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、及び、JIS A 3005)を適宜利用できる。
また、アルミニウム板の幅は400mm~2,000mm程度、厚みはおよそ0.1mm~0.6mm程度が好ましい。この幅又は厚みは、印刷機の大きさ、印刷版の大きさ、及び、得ることを目的とする印刷物等に応じて適宜変更できる。
(陽極酸化皮膜)
陽極酸化皮膜は、陽極酸化処理によってアルミニウム板の表面に作製される、マイクロポアを有する陽極酸化アルミニウム皮膜を指す。マイクロポアは、アルミニウム板とは反対側の陽極酸化皮膜表面から厚み方向(アルミニウム板側、深さ方向)に沿ってのびる。
上記マイクロポアの陽極酸化皮膜表面における平均径(平均開口径)は、調子再現性、耐刷性及びブラン汚れ性の観点から、7nm~150nmであることが好ましく、10nm~100nmであることがより好ましく、10nm~60nmであることが更に好ましく、15nm~60nmであることが特に好ましく、18nm~40nmであることが最も好ましい。
陽極酸化皮膜中のマイクロポアは、陽極酸化皮膜表面から深さ10nm~1,000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から更に深さ20~2,000nmの位置までのびる小径孔部とから構成されることが好ましい。
以下に、大径孔部及びと小径孔部について詳述する。
-大径孔部-
大径孔部の陽極酸化皮膜表面における平均径(平均開口径)は、調子再現性、耐刷性及びブラン汚れ性の観点から、7nm~150nmであることが好ましく、15nm~150nmであることがより好ましく、15nm~60nmであることが更に好ましく、18nm~40nmであることが特に好ましい。
大径孔部の平均径は、陽極酸化皮膜表面を倍率15万倍の電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)でN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nmの範囲に存在するマイクロポア(大径孔部)の径(直径)を測定し、径の算術平均値として算出される。
なお、大径孔部の形状が円状でない場合は、円相当径を用いる。「円相当径」とは、開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの円の直径である。
大径孔部の底部は、陽極酸化皮膜表面から深さ70nm~1,000nm(以後、深さAとも称する)に位置することが好ましい。つまり、大径孔部は、陽極酸化皮膜表面から深さ方向(厚み方向)に70nm~1,000nmのびる孔部であることが好ましい。中でも、本発明に係る平版印刷版原版の製造方法の効果がより優れる点で、深さAは、90nm~850nmがより好ましく、90nm~800nmが更に好ましく、90nm~600nmが特に好ましい。
なお、上記深さは、陽極酸化皮膜の断面の写真(15万倍)をとり、25個以上の大径孔部の深さを測定し、算術平均値として算出される。
大径孔部の形状は特に限定されず、例えば、略直管状(略円柱状)、及び、深さ方向(厚み方向)に向かって径が小さくなる円錐状が挙げられ、略直管状が好ましい。また、大径孔部の底部の形状は特に限定されず、曲面状(凸状)であっても、平面状であってもよい。
大径孔部の内径は特に制限されないが、開口部の径と同程度の大きさか、又は開口部の径よりも小さいことが好ましい。なお、大径孔部の内径は、開口部の径よりも1nm~10nm程度の差があってもよい。
-小径孔部-
小径孔部は、大径孔部の底部と連通して、連通位置より更に深さ方向(厚み方向)に延びる孔部である。ひとつの小径孔は、通常ひとつの大径孔部と連通するが、2つ以上の小径孔部がひとつの大径孔部の底部と連通していてもよい。
小径孔部の連通位置における平均径は、13nm以下であることが好ましく、11nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。下限は特に制限されないが、5nm以上であることが好ましい。
小径孔部の平均径は、陽極酸化皮膜20表面を倍率15万倍のFE-SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nmの範囲に存在するマイクロポア(小径孔部)の径(直径)を測定し、径の算術平均値を求めることにより算出される。なお、大径孔部の深さが深い場合は、必要に応じて、陽極酸化皮膜上部(大径孔部のある領域)を切削し(例えば、アルゴンガスによって切削)、その後陽極酸化皮膜20表面を上記FE-SEMで観察して、小径孔部の平均径を求めてもよい。
なお、小径孔部の形状が円状でない場合は、円相当径を用いる。「円相当径」とは、開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの円の直径である。
小径孔部の底部は、上記の大径孔部との連通位置(上述した深さAに該当)から更に深さ方向に20nm~2,000nmのびた場所に位置することが好ましい。言い換えると、小径孔部は、上記大径孔部との連通位置から更に深さ方向(厚み方向)にのびる孔部であり、小径孔部の深さは、20nm~2,000nmであることが好ましく、100nm~1,500nmであることがよち好ましく、200nm~1,000nmであることが特に好ましい。
なお、上記深さは、陽極酸化皮膜の断面の写真(5万倍)をとり、25個以上の小径孔部の深さを測定し、算術平均値として算出される。
小径孔部の形状は特に限定されず、略直管状(略円柱状)、及び、深さ方向に向かって径が小さくなる円錐状が挙げられ、略直管状が好ましい。また、小径孔部の底部の形状は特に限定されず、曲面状(凸状)であっても、平面状であってもよい。
小径孔部の内径は特に制限されないが、連通位置における径と同程度の大きさか、又は上記径よりも小さくても大きくてもよい。なお、小径孔部の内径は、通常、開口部の径よりも1nm~10nm程度の差があってもよい。
大径孔部の陽極酸化皮膜表面における平均径と小径孔部の連通位置における平均径の比、(大径孔部の陽極酸化皮膜表面における平均径)/(小径孔部の連通位置における平均径)は、1.1~13であることが好ましく、2.5~6.5であることがより好ましい。
また、大径孔部の深さと小径孔部の深さの比、(大径孔部の深さ)/(小径孔部の深さ)は、0.005~50が好ましく、0.025~40がより好ましい。
本発明に用いられる支持体の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
以下に、支持体の製造方法を例示するが、これらに限定されないことは、言うまでもない。
アルミニウム支持体の製造方法としては、例えば、画像記録層側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体の製造方法としては、以下の工程を順番に実施する製造方法が好ましい。(粗面化処理工程)アルミニウム板に粗面化処理を施す工程(陽極酸化処理工程)粗面化処理されたアルミニウム板を陽極酸化する工程(ポアワイド処理工程)陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させ、陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させる工程
以下、各工程の手順について詳述する。
-粗面化処理工程-
粗面化処理工程は、アルミニウム板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施す工程である。本工程は、後述する陽極酸化処理工程の前に実施されることが好ましいが、アルミニウム板の表面が既に好ましい表面形状を有していれば、特に実施しなくてもよい。
粗面化処理は、電気化学的粗面化処理のみを実施してもよいが、電気化学的粗面化処理と機械的粗面化処理及び/又は化学的粗面化処理とを組み合わせて実施してもよい。
機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせる場合には、機械的粗面化処理の後に、電気化学的粗面化処理を実施するのが好ましい。
電気化学的粗面化処理は、硝酸又は塩酸を主体とする水溶液中で、直流又は交流を用いて行われることが好ましい。
機械的粗面化処理の方法は特に制限されないが、例えば、特公昭50-40047号公報に記載されている方法が挙げられる。
化学的粗面化処理も特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
機械的粗面化処理の後には、以下の化学エッチング処理を実施するのが好ましい。
機械的粗面化処理の後に施される化学エッチング処理は、アルミニウム板の表面の凹凸形状のエッジ部分をなだらかにし、印刷時のインキの引っかかりを防止し、印刷版の耐汚れ性を向上させるとともに、表面に残った研磨材粒子等の不要物を除去するために行われる。
化学エッチング処理としては、酸によるエッチング及びアルカリによるエッチングが挙げられ、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ水溶液を用いる化学エッチング処理(以下、「アルカリエッチング処理」ともいう。)が挙げられる。
アルカリ水溶液に用いられるアルカリ剤は特に制限されないが、例えば、カセイソーダ、カセイカリ、メタケイ酸ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、及び、グルコン酸ソーダが挙げられる。
アルカリ水溶液は、アルミニウムイオンを含んでいてもよい。
アルカリ水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.01質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、また、30質量%以下が好ましい。
アルカリエッチング処理を施した場合、アルカリエッチング処理により生じる生成物を除去するために、低温の酸性水溶液を用いて化学エッチング処理(以下、「デスマット処理」ともいう。)を施すのが好ましい。
酸性水溶液に用いられる酸は特に制限されないが、例えば、硫酸、硝酸、及び、塩酸が挙げられる。また、酸性水溶液の温度は、20℃~80℃が好ましい。
粗面化処理工程としては、A態様又はB態様に示す処理を以下に示す順に実施する方法が好ましい。
-A態様-
(2)アルカリ水溶液を用いた化学エッチング処理(第1アルカリエッチング処理)
(3)酸性水溶液を用いた化学エッチング処理(第1デスマット処理)
(4)硝酸を主体とする水溶液を用いた電気化学的粗面化処理(第1電気化学的粗面化処理)
(5)アルカリ水溶液を用いた化学エッチング処理(第2アルカリエッチング処理)
(6)酸性水溶液を用いた化学エッチング処理(第2デスマット処理)
(7)塩酸を主体とする水溶液中で電気化学的粗面化処理(第2電気化学的粗面化処理)
(8)アルカリ水溶液を用いた化学エッチング処理(第3アルカリエッチング処理)
(9)酸性水溶液を用いた化学エッチング処理(第3デスマット処理)
-B態様-
(10)アルカリ水溶液を用いた化学エッチング処理(第4アルカリエッチング処理)
(11)酸性水溶液を用いた化学エッチング処理(第4デスマット処理)
(12)塩酸を主体とする水溶液を用いた電気化学的粗面化処理(第3電気化学的粗面化処理)
(13)アルカリ水溶液を用いた化学エッチング処理(第5アルカリエッチング処理)
(14)酸性水溶液を用いた化学エッチング処理(第5デスマット処理)
上記A態様の(2)の処理前、又は、B態様の(10)の処理前に、必要に応じて、(1)機械的粗面化処理を実施してもよい。
第1アルカリエッチング処理及び第4アルカリエッチング処理におけるアルミニウム板の溶解量は、0.5g/m~30g/mが好ましく、1.0g/m~20g/mがより好ましい。
A態様における第1電気化学的粗面化処理で用いる硝酸を主体とする水溶液としては、直流又は交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いる水溶液が挙げられる。例えば、1g/L~100g/Lの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、又は、硝酸アンモニウム等を添加して得られる水溶液が挙げられる。
A態様における第2電気化学的粗面化処理及びB態様における第3電気化学的粗面化処理で用いる塩酸を主体とする水溶液としては、直流又は交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いる水溶液が挙げられる。例えば、1g/L~100g/Lの塩酸水溶液に、硫酸を0g/L~30g/L添加して得られる水溶液が挙げられる。なお、この溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、及び、硝酸アンモニウム等の硝酸イオン;塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、及び、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを更に添加してもよい。
電気化学的粗面化処理の交流電源波形は、サイン波、矩形波、台形波、及び、三角波等を用いることができる。周波数は0.1Hz~250Hzが好ましい。
図1は、電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。
図1において、taはアノード反応時間、tcはカソード反応時間、tpは電流が0からピークに達するまでの時間、Iaはアノードサイクル側のピーク時の電流、Icはカソードサイクル側のピーク時の電流である。台形波において、電流が0からピークに達するまでの時間tpは1msec~10msecが好ましい。電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイクルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間taとカソード反応時間tcの比tc/taが1~20、アルミニウム板がアノード時の電気量Qcとアノード時の電気量Qaの比Qc/Qaが0.3~20、アノード反応時間taが5msec~1,000msec、の範囲にあるのが好ましい。電流密度は台形波のピーク値で電流のアノードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに10~200A/dmが好ましい。Ic/Iaは、0.3~20が好ましい。電気化学的な粗面化が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は、25C/dm~1,000C/dmが好ましい。
交流を用いた電気化学的粗面化処理には図2に示す構造の装置を用いることができる。
図2は、交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
図2において、50は主電解槽、51は交流電源、52はラジアルドラムローラ、53a及び53bは主極、54は電解液供給口、55は電解液、56はスリット、57は電解液通路、58は補助陽極、60は補助陽極槽、Wはアルミニウム板である。電解槽を2つ以上用いるときには、電解条件は同じでもよいし、異なっていてもよい。
アルミニウム板Wは主電解槽50中に浸漬して配置されたラジアルドラムローラ52に巻装され、搬送過程で交流電源51に接続する主極53a及び53bにより電解処理される。電解液55は、電解液供給口54からスリット56を通じてラジアルドラムローラ52と主極53a及び53bとの間の電解液通路57に供給される。主電解槽50で処理されたアルミニウム板Wは、次いで、補助陽極槽60で電解処理される。この補助陽極槽60には補助陽極58がアルミニウム板Wと対向配置されており、電解液55が補助陽極58とアルミニウム板Wとの間の空間を流れるように供給される。
第2アルカリエッチング処理におけるアルミニウム板の溶解量は、所定の印刷用原版が製造しやすい点で、1.0g/m以上が好ましく、2.0g/m~10g/mがより好ましい。
第3アルカリエッチング処理及び第4アルカリエッチング処理におけるアルミニウム板の溶解量は、所定の印刷用原版が製造しやすい点で、0.01g/m~0.8g/mが好ましく、0.05g/m~0.3g/mがより好ましい。
酸性水溶液を用いた化学エッチング処理(第1~第5デスマット処理)では、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、又は、これらの2以上の酸を含む混酸を含む酸性水溶液が好適に用いられる。
酸性水溶液の酸の濃度は、0.5質量%~60質量%が好ましい。
-陽極酸化処理工程-
陽極酸化処理工程の手順は、上述したマイクロポアが得られれば特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
陽極酸化処理工程においては、硫酸、リン酸、及び、シュウ酸等の水溶液を電解浴として用いることができる。例えば、硫酸の濃度は、100g/L~300g/Lが挙げられる。
陽極酸化処理の条件は使用される電解液によって適宜設定されるが、例えば、液温5℃~70℃(好ましくは10℃~60℃)、電流密度0.5A/dm~60A/dm(好ましくは5A/dm~60A/dm)、電圧1V~100V(好ましくは5V~50V)、電解時間1秒~100秒(好ましくは5秒~60秒)、及び、皮膜量0.1g/m~5g/m(好ましくは0.2g/m~3g/m)が挙げられる。
-ポアワイド処理-
ポアワイド処理は、上述した陽極酸化処理工程により形成された陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの径(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。
ポアワイド処理は、上述した陽極酸化処理工程により得られたアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させることにより行うことができる。接触させる方法は特に制限されず、例えば、浸せき法及びスプレー法が挙げられる。
支持体には必要に応じて、裏面に、特開平5-45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6-35174号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
以下に、本発明に係る印刷用原版の1つの態様である平版印刷版原版について記載する。
[平版印刷版原版]
本発明に係る平版印刷版原版は、支持体の印刷面側に画像記録層を有する。平版印刷版原版は、必要により、支持体と画像記録層との間に下塗り層、画像記録層の上に保護層を有してもよい。平版印刷版原版における画像記録層あるいは保護層は、上記印刷用原版における粒子を含む層に該当する層である。
<画像記録層>
平版印刷版原版の画像記録層は、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物、及び、高分子化合物を含むことが好ましい。高分子化合物は、画像記録層のバインダーポリマーとして機能してもよいし、粒子形状の高分子化合物として画像記録層中に存在していてもよい。
上記高分子化合物としては、スチレン、及び/又は、アクリロニトリルを構成単位として含む高分子化合物が好ましい。
上記スチレンとしては、スチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、β-メチルスチレン、p-メチル-β-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシ-β-メチルスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
上記アクリロニトリルとしては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
本発明に係る平版印刷版原版における好ましい1つの態様によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する画像記録層(以下、「画像記録層A」ともいう。)である。
本発明に係る平版印刷版原版における好ましいもう1つの態様によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及び粒子形状の高分子化合物を含有する画像記録層(以下、「画像記録層B」ともいう。)である。
本発明に係る平版印刷版原版における好ましい更にもう1つの態様によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤及び熱可塑性ポリマー粒子を含有する画像記録層(以下、「画像記録層C」ともいう。)である。
-画像記録層A-
画像記録層Aは、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する。以下、画像記録層Aの構成成分について説明する。
(赤外線吸収剤)
赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述の重合開始剤に電子移動及び/又はエネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nm~1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料が好ましく、染料がより好ましい。
染料としては、特開2014-104631号公報の段落0082~0088に記載のものを使用できる。
顔料の平均粒径は、0.01μm~1μmが好ましく、0.01μm~0.5μmがより好ましい。顔料を分散するには、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)などに記載されている。
赤外線吸収剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.05質量%~30質量%が好ましく、0.1質量%~20質量%がより好ましく、0.2質量%~10質量%が特に好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物である。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。具体的には、特開2014-104631号公報の段落0092~0106に記載のラジカル重合開始剤を使用できる。
重合開始剤の中で、好ましい化合物として、オニウム塩が挙げられる。中でもヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく挙げられる。それぞれの塩の中で好ましい具体的化合物は、特開2014-104631号公報の段落0104~0106に記載の化合物と同じである。
重合開始剤の含有量は、画像記録層の全質量に対して、0.1質量%~50質量%が好ましく、0.5質量%~30質量%がより好ましく、0.8質量%~20質量%が特に好ましい。この範囲でより良好な感度と印刷時の非画像部のより良好な汚れ難さが得られる。
(重合性化合物)
重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する付加重合性化合物であり、好ましくは、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態を有する。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006-508380号公報、特開2002-287344号公報、特開2008-256850号公報、特開2001-342222号公報、特開平9-179296号公報、特開平9-179297号公報、特開平9-179298号公報、特開2004-294935号公報、特開2006-243493号公報、特開2002-275129号公報、特開2003-64130号公報、特開2003-280187号公報、特開平10-333321号公報、を含む参照文献に記載されている。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ビス〔p-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p-(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6-ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6-ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
イソシアネートとヒドロキシ基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48-41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(b)で示されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(Rb4)COOCHCH(Rb5)OH (b)
ただし、Rb4及びRb5は、水素原子又はメチル基を表す。
特開昭51-37193号公報、特公平2-32293号公報、特公平2-16765号公報、特開2003-344997号公報、特開2006-65210号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-49860号公報、特公昭56-17654号公報、特公昭62-39417号公報、特公昭62-39418号公報、特開2000-250211号公報、特開2007-94138号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類や、米国特許第7153632号明細書、特表平8-505958号公報、特開2007-293221号公報、特開2007-293223号公報記載の親水基を有するウレタン化合物類も好適である。
上記の中でも、現像性に関与する親水性と耐刷性に関与する重合能のバランスに優れる点から、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性アクリレート化合物及びウレタン結合又はウレア結合を分子内に有する化合物が特に好ましい。
重合性化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性化合物の構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。
重合性化合物の含有量は、画像記録層の全質量に対して、5質量%~75質量%が好ましく、10質量%~70質量%がより好ましく、15質量%~60質量%が特に好ましい。
(バインダーポリマー)
バインダーポリマーは、主として画像記録層の膜強度を向上させる目的で用いられる。バインダーポリマーは、従来公知のものを使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。中でも、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましい。
好適なバインダーポリマーとしては、特開2008-195018号公報に記載のような、画像部の皮膜強度を向上するための架橋性官能基を主鎖又は側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。架橋性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
架橋性官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、スチリル基などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、架橋性官能基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するアクリルポリマーやポリウレタンとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1~10.0mmol、より好ましくは0.25~7.0mmol、特に好ましくは0.5~5.5mmolである。
また、バインダーポリマーは、親水性基を有することが好ましい。親水性基は画像記録層に機上現像性を付与するのに寄与する。特に、架橋性基と親水性基とを共存させることにより、耐刷性と機上現像性との両立が可能になる。
親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキレンオキシド構造、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホ基、リン酸基等などが挙げられる。中でも、炭素数2又は3のアルキレンオキシド単位を1個~9個有するアルキレンオキシド構造が好ましい。バインダーポリマーに親水性基を付与するには、例えば、親水性基を有するモノマーを共重合することにより行うことできる。
バインダーポリマーには、着肉性を制御するため、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などの親油性の基を導入することもできる。例えば、メタクリル酸アルキルエステなどの親油性基含有モノマーを共重合することにより行うことできる。
バインダーポリマーは、質量平均分子量(Mw)が2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000~300,000であることが更に好ましい。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全質量に対して、3質量%~90質量%が好ましく、5質量%~80質量%がより好ましく、10質量%~70質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーの好ましい例として、ポリオキシアルキレン鎖を側鎖に有する高分子化合物が挙げられる。ポリオキシアルキレン鎖を側鎖に有する高分子化合物(以下、「POA鎖含有高分子化合物」ともいう。)を画像記録層に含有することにより、湿し水の浸透性が促進され、機上現像性が向上する。
POA鎖含有高分子化合物の主鎖を構成する樹脂としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴム等が挙げられ、アクリル樹脂が特に好ましい。
なお、本発明において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている分子鎖を表す。
POA鎖含有高分子化合物は、パーフルオロアルキル基を実質的に含まないものである。「パーフルオロアルキル基を実質的に含まない」とは、高分子化合物中のパーフルオロアルキル基として存在するフッ素原子の質量比が0.5質量%より少ないものであり、含まないものが好ましい。フッ素原子の質量比は元素分析法により測定される。
また、「パーフルオロアルキル基」とは、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換され基である。
ポリオキシアルキレン鎖におけるアルキレンオキサイド(オキシアルキレン)としては炭素原子数が2~6のアルキレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド(オキシエチレン)又はプロピレンオキサイド(オキシプロピレン)がより好ましく、エチレンオキサイドが更に好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖、すなわち、ポリアルキレンオキサイド部位におけるアルキレンオキサイドの繰返し数は2~50が好ましく、4~25がより好ましい。
アルキレンオキサイドの繰り返し数が2以上であれば湿し水の浸透性が十分向上し、また、繰り返し数が50以下であれば摩耗による耐刷性が低下することがなく、好ましい。
ポリアルキレンオキサイド部位については、特開2014-104631号公報の段落0060~0062に記載の構造が好ましい。
POA鎖含有高分子化合物は、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。架橋性を有するPOA鎖含有高分子化合物については、特開2014-104631号公報の段落0063~0072に記載されている。
POA鎖含有高分子化合物を構成する全繰り返し単位に対する、ポリ(アルキレンオキサイド)部位を有する繰り返し単位の比率は、特に限定されないが、好ましくは0.5モル%~80モル%、より好ましくは0.5モル%~50モル%である。POA鎖含有高分子化合物の具体例は、特開2014-104631号公報の段落0075~0076に記載のものが挙げられる。
POA鎖含有高分子化合物は必要に応じて、特開2008-195018号公報に記載のポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子化合物を併用することができる。また、親油的な高分子化合物と親水的な高分子化合物を併用することもできる。
POA鎖含有高分子化合物の画像記録層中での形態は、画像記録層成分のつなぎの機能を果たすバインダーとして存在する以外に、粒子の形状で存在してもよい。粒子形状で存在する場合には、平均粒径は10nm~1,000nmの範囲であることが好ましく、20nm~300nmの範囲であることがより好ましく、30nm~120nmの範囲であることが特に好ましい。
POA鎖含有高分子化合物の含有量は、画像記録層の全質量に対して、好ましくは3質量%~90質量%、より好ましくは5質量%~80質量%である。上記範囲であると、湿し水の浸透性と画像形成性とをより確実に両立させることができる。
バインダーポリマーの他の好ましい例として、6官能以上10官能以下の多官能チオールを核として、この核に対しスルフィド結合により結合したポリマー鎖を有し、当該ポリマー鎖が重合性基を有する高分子化合物(以下、星型高分子化合物ともいう)が挙げられる。星型高分子化合物としては、例えば、特開2012-148555号公報に記載の化合物を好ましく用いることができる。
星型高分子化合物は、特開2008-195018号公報に記載のような画像部の皮膜強度を向上するためのエチレン性不飽和結合等の重合性基を、主鎖又は側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。重合性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
重合性基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、スチリル基などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、(メタ)アクリル基、ビニル基、又は、スチリル基が重合反応性の観点でより好ましく、(メタ)アクリル基が特に好ましい。これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するポリマーとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。これらの基は併用してもよい。
星型高分子化合物中の架橋性基の含有量は、星型高分子化合物1g当たり、好ましくは0.1mmol~10.0mmol、より好ましくは0.25mmol~7.0mmol、特に好ましくは0.5mmol~5.5mmolである。
また、星型高分子化合物は、更に親水性基を有することが好ましい。親水性基は画像記録層に機上現像性を付与するのに寄与する。特に、重合性基と親水性基を共存させることにより、耐刷性と現像性の両立が可能になる。
親水性基としては、-SO、-OH、-CONR(Mは水素原子、金属イオン、アンモニウムイオン、又は、ホスホニウムイオンを表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。RとRは結合して環を形成してもよい。)、-N(R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1~8のアルキル基を表し、Xはカウンターアニオンを表す。)、-(CHCHO)R、及び、-(CO)Rが挙げられる。
上記式中、n及びmはそれぞれ独立に、1~100の整数を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を表す。
ここで、星型高分子化合物が、ポリオキシアルキレン鎖(例えば、-(CHCHO)R、及び、-(CO)R)を側鎖に有している星型高分子化合物である場合、このような星型高分子化合物は、上記ポリオキシアルキレン鎖を側鎖に有する高分子化合物でもある。
これら親水性基の中でも、-CONR、-(CHCHO)R、又は、-(CO)Rが好ましく、-CONR、又は、-(CHCHO)Rがより好ましく、-(CHCHO)Rが特に好ましい。更に-(CHCHO)Rの中でも、nは1~10がより好ましく、1~4が特に好ましい。また、Rは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。これら親水性基は2種以上を併用してもよい。
また、星型高分子化合物は、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基を実質的に持たないことが好ましい。具体的には0.1mmol/gより少ないことが好ましく、0.05mmol/gより少ないことがより好ましく、0.03mmol/g以下であることが特に好ましい。これらの酸基が0.1mmol/gより少ないと現像性がより向上する。
また、星型高分子化合物には、着肉性を制御するため、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などの親油性の基を導入できる。具体的には、メタクリル酸アルキルエステルなどの親油性基含有モノマーを共重合すればよい。
星型高分子化合物の具体例としては、特開2014-104631号公報の段落0153~0157に記載されているものが挙げられる。
星型高分子化合物は、上記の多官能チオール化合物の存在下で、ポリマー鎖を構成する上記モノマーをラジカル重合するなど、公知の方法によって合成することができる。
星型高分子化合物の質量平均分子量は、5,000~500,000が好ましく、10,000~250,000がより好ましく、20,000~150,000が特に好ましい。この範囲において、機上現像性及び耐刷性がより良好になる。
星型高分子化合物は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。また、通常の直鎖型バインダーポリマーと併用してもよい。
星型高分子化合物の含有率は、画像記録層の全質量に対し、5質量%~95質量%が好ましく、10質量%~90質量%以下がより好ましく、15~85質量%以下が特に好ましい。
特に、湿し水の浸透性が促進され、機上現像性が向上することから、特開2012-148555号公報に記載の星型高分子化合物が好ましい。
(その他の成分)
画像記録層Aには、必要に応じて、以下に記載するその他の成分を含有させることができる。
(1)低分子親水性化合物
画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、及び、ベタイン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させることが好ましい。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、特開2007-276454号公報の段落0026~0031、特開2009-154525号公報の段落0020~0047に記載の化合物などが挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
有機硫酸塩としては、特開2007-276454号公報の段落0034~0038に記載の化合物が挙げられる。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1~5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3-ヒドロキシ-4-トリメチルアンモニオブチラート、4-(1-ピリジニオ)ブチラート、1-ヒドロキシエチル-1-イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3-トリメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、3-(1-ピリジニオ)-1-プロパンスルホナートなどが挙げられる。
低分子親水性化合物は、疎水性部分の構造が小さいため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持できる。
低分子親水性化合物の添加量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%~20質量%が好ましく、1質量%~15質量%がより好ましく、2質量%~10質量%が更に好ましい。この範囲で良好な機上現像性及び耐刷性が得られる。
低分子親水性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(2)感脂化剤
画像記録層には、着肉性を向上させるために、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質層状化合物を含有させる場合には、これらの化合物は、無機質層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する作用を有する。
ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーは、特開2014-104631号公報の段落0184~0190に具体的に記載されている。
感脂化剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%~30.0質量%が好ましく、0.1質量%~15.0質量%がより好ましく、1質量%~10質量%が更に好ましい。
(3)その他
画像記録層は、その他の成分として、更に、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機粒子、無機質層状化合物、共増感剤、連鎖移動剤などを含有することができる。具体的には、特開2008-284817号公報の段落0114~0159、特開2006-091479号公報の段落0023~0027、米国特許公開第2008/0311520号明細書の段落0060に記載の化合物及び添加量を好ましく用いることができる。
(画像記録層Aの形成)
画像記録層Aは、例えば、特開2008-195018号公報の段落0142~0143に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に直接又は下塗り層を介して、バーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.3g/m~3.0g/mが好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
-画像記録層B-
画像記録層Bは、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及び粒子形状の高分子化合物を含有する。以下、画像記録層Bの構成成分について説明する。
画像記録層Bにおける赤外線吸収剤、重合開始剤及び重合性化合物に関しては、画像記録層Aにおいて記載した赤外線吸収剤、重合開始剤及び重合性化合物を同様に用いることができる。
(粒子形状の高分子化合物)
粒子形状の高分子化合物は、熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子、重合性基を有するポリマー粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び、ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)よりなる群から選ばれることが好ましい。中でも、重合性基を有するポリマー粒子及びミクロゲルが好ましい。特に好ましい実施形態では、粒子形状の高分子化合物は少なくとも1つのエチレン性不飽和重合性基を含む。このような粒子形状の高分子化合物の存在により、露光部の耐刷性及び未露光部の機上現像性を高める効果が得られる。
また、粒子形状の高分子化合物は、熱可塑性ポリマー粒子であることが好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9-123387号公報、同9-131850号公報、同9-171249号公報、同9-171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の熱可塑性ポリマー粒子が好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、又は、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は0.01μm~3.0μmが好ましい。
熱反応性ポリマー粒子としては、熱反応性基を有するポリマー粒子が挙げられる。熱反応性ポリマー粒子は熱反応による架橋及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
熱反応性基を有するポリマー粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、重合性基であることが好ましく、その例として、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などが好ましく挙げられる。
マイクロカプセルとしては、例えば、特開2001-277740号公報、特開2001-277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の少なくとも一部をマイクロカプセルに内包させたものである。画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有する構成が好ましい態様である。
ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)は、その表面又は内部の少なくとも一方に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができる。特に、ラジカル重合性基をその表面に有する反応性ミクロゲルは、画像形成感度や耐刷性の観点から好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化又はミクロゲル化するには、公知の方法が適用できる。
また、粒子形状の高分子化合物としては、耐刷性、耐汚れ性及び保存安定性の観点から、分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られるものが好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するベンゼン環を複数有している化合物が好ましい。
上記活性水素を有する化合物を有する化合物としては、ポリオール化合物、又は、ポリアミン化合物が好ましく、ポリオール化合物がより好ましく、プロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が更に好ましい。
分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られる樹脂の粒子としては、特開2012-206495号公報の段落0032~0095に記載のポリマー粒子が好ましく挙げられる。
更に、粒子形状の高分子化合物としては、耐刷性及び耐溶剤性の観点から、疎水性主鎖を有し、i)上記疎水性主鎖に直接的に結合されたペンダントシアノ基を有する構成ユニット、及び、ii)親水性ポリアルキレンオキシドセグメントを含むペンダント基を有する構成ユニットの両方を含むことが好ましい。
上記疎水性主鎖としては、アクリル樹脂鎖が好ましく挙げられる。
上記ペンダントシアノ基の例としては、-[CHCH(C≡N)-]又は-[CHC(CH)(C≡N)-]が好ましく挙げられる。
また、上記ペンダントシアノ基を有する構成ユニットは、エチレン系不飽和型モノマー、例えば、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルから、又は、これらの組み合わせから容易に誘導することができる。
また、上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシド構造の繰り返し数は、10~100であることが好ましく、25~75であることがより好ましく、40~50であることが更に好ましい。
疎水性主鎖を有し、i)上記疎水性主鎖に直接的に結合されたペンダントシアノ基を有する構成ユニット、及び、ii)親水性ポリアルキレンオキシドセグメントを含むペンダント基を有する構成ユニットの両方を含む樹脂の粒子としては、特表2008-503365号公報の段落0039~0068に記載のものが好ましく挙げられる。
粒子形状の高分子化合物の平均粒径は、0.01μm~3.0μmが好ましく、0.03μm~2.0μmがより好ましく、0.10μm~1.0μmが更に好ましい。この範囲で良好な解像度と経時安定性が得られる。
粒子形状の高分子化合物の含有量は、画像記録層の全質量に対し、5質量%~90質量%が好ましい。
(その他の成分)
画像記録層Bには、必要に応じて、上記画像記録層Aにおいて記載したその他の成分を含有させることができる。
(画像記録層Bの形成)
画像記録層Bの形成に関しては、上記画像記録層Aの形成の記載を適用することができる。
-画像記録層C-
画像記録層Cは、赤外線吸収剤及び熱可塑性ポリマー粒子を含有する。以下、画像記録層Cの構成成分について説明する。
(赤外線吸収剤)
画像記録層Cに含まれる赤外線吸収剤は、好ましくは波長760nm~1,200nmの範囲に吸収極大を有する染料又は顔料である。染料がより好ましい。
染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45~51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(CMC出版、1990年刊)又は特許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
これらの中で、画像記録層Cに添加するのに特に好ましい染料は、水溶性基を有する赤外線吸収染料である。
以下に赤外線吸収染料の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007309741000002
Figure 0007309741000003
顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の粒径は、0.01μm~1μmが好ましく、0.01μm~0.5μmがより好ましい。顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%~30質量%が好ましく、0.25質量%~25質量%がより好ましく、0.5質量%~20質量%が特に好ましい。上記範囲であると、画像記録層の膜強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
(熱可塑性ポリマー粒子)
熱可塑性ポリマー粒子は、そのガラス転移温度(Tg)が60℃~250℃であることが好ましい。熱可塑性ポリマー粒子のTgは、70℃~140℃がより好ましく、80℃~120℃が更に好ましい。
Tgが60℃以上の熱可塑性ポリマー粒子としては、例えば、1992年1月のReseach Disclosure No.33303、特開平9-123387号公報、同9-131850号公報、同9-171249号公報、同9-171250号公報及び欧州特許出願公開第931647号公報などに記載の熱可塑性ポリマー粒子を好適なものとして挙げることができる。
具体的には、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノマーから構成されるホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物などを例示することができる。好ましいものとして、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、又は、ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられる。
熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、解像度及び経時安定性の観点から、0.005μm~2.0μmであることが好ましい。この値は熱可塑性ポリマー粒子を2種以上混ぜた場合の平均粒径としても適用される。平均粒径は、より好ましくは0.01μm~1.5μm、特に好ましくは0.05μm~1.0μmである。熱可塑性ポリマー粒子を2種以上混ぜた場合の多分散性は、0.2以上であることが好ましい。平均粒径及び多分散性はレーザー光散乱法により算出される。
熱可塑性ポリマー粒子は2種類以上を混合して用いてもよい。具体的には、粒子サイズの異なる少なくとも2種類の使用又はTgの異なる少なくとも2種類の使用が挙げられる。2種類以上を混合使用により、画像部の皮膜硬化性が更に向上し、平版印刷版とした場合に耐刷性が一層向上する。
例えば、熱可塑性ポリマー粒子として粒子サイズが同じものを用いた場合には、熱可塑性ポリマー粒子間にある程度の空隙が存在することになり、画像露光により熱可塑性ポリマー粒子を溶融固化させても皮膜の硬化性が所望のものにならないことがある。これに対して、熱可塑性ポリマー粒子として粒子サイズが異なるものを用いた場合、熱可塑性ポリマー粒子間にある空隙率を低くすることができ、その結果、画像露光後の画像部の皮膜硬化性を向上させることができる。
また、熱可塑性ポリマー粒子としてTgが同じものを用いた場合には、画像露光による画像記録層の温度上昇が不十分なとき、熱可塑性ポリマー粒子が十分に溶融固化せず皮膜の硬化性が所望のものにならないことがある。これに対して、熱可塑性ポリマー粒子としてTgが異なるものを用いた場合、画像露光による画像記録層の温度上昇が不十分なときでも画像部の皮膜硬化性を向上させることができる。
Tgが異なる熱可塑性ポリマー粒子を2種以上混ぜて用いる場合、熱可塑性ポリマー粒子の少なくとも1種類のTgは60℃以上であることが好ましい。この際、Tgの差が10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。また、Tgが60℃以上の熱可塑性ポリマー粒子を、全熱可塑性ポリマー粒子に対して、70質量%以上含有することが好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子は架橋性基を有していてもよい。架橋性基を有する熱可塑性ポリマー粒子を用いることにより、画像露光部に発生する熱によって架橋性基が熱反応してポリマー間に架橋が形成され、画像部の皮膜強度が向上し、耐刷性がより優れたものになる。架橋性基としては化学結合が形成されるならばどのような反応を行う官能基でもよく、例えば、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、付加反応を行うイソシアナート基あるいはそのブロック体及びその反応相手である活性水素原子を有する基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基など)、同じく付加反応を行うエポキシ基及びその反応相手であるアミノ基、カルボキシル基あるいはヒドロキシ基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシ基あるいはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基あるいはヒドロキシ基などを挙げることができる。
架橋性基を有する熱可塑性ポリマー粒子としては、具体的には、アクリロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、酸無水物及びそれらを保護した基などの架橋性基を有するものを挙げることができる。これら架橋性基のポリマーへの導入は、ポリマー粒子の重合時に行ってもよいし、ポリマー粒子の重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
ポリマー粒子の重合時に架橋性基を導入する場合は、架橋性基を有するモノマーを乳化重合あるいは懸濁重合することが好ましい。架橋性基を有するモノマーの具体例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2-イソシアネートエチルメタクリレートあるいはそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2-イソシアネートエチルアクリレートあるいはそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2-アミノエチルメタクリレート、2-アミノエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートなどを挙げることができる。
架橋性基の導入をポリマー粒子の重合後に行う場合に用いる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号に記載されている高分子反応を挙げることができる。
熱可塑性ポリマー粒子は、架橋性基を介してポリマー粒子同士が反応してもよいし、画像記録層に添加された高分子化合物あるいは低分子化合物と反応してもよい。
熱可塑性ポリマー粒子の含有量は、画像記録層の全質量に対し、50質量%~95質量%が好ましく、60質量%~90質量%がより好ましく、70質量%~85質量%が特に好ましい。
(その他の成分)
画像記録層Cは、必要に応じて、更にその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、ポリオキシアルキレン基又はヒドロキシ基を有する界面活性剤が好ましく挙げられる。
ポリオキシアルキレン基(以下、「POA基」とも記載する。)又はヒドロキシ基を有する界面活性剤としては、POA基又はヒドロキシ基を有する界面活性剤を適宜用いることができるが、アニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が好ましい。POA基又はヒドロキシ基を有するアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤の中で、POA基を有するアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が好ましい。
POA基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が好ましく、ポリオキシエチレン基が特に好ましい。
オキシアルキレン基の平均重合度は、2~50が好ましく、2~20がより好ましい。
ヒドロキシ基の数は、1~10が好ましく、2~8がより好ましい。ただし、オキシアルキレン基における末端ヒドロキシ基は、ヒドロキシ基の数には含めない。
POA基を有するアニオン界面活性剤としては、特に限定されず、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルスルホコハク酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルフェノキシポリオキシアルキレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルスルホフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンパーフルオロアルキルエーテル燐酸エステル塩類等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するアニオン界面活性剤としては、特に限定されず、ヒドロキシカルボン酸塩類、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリドリン酸エステル塩類等が挙げられる。
POA基又はヒドロキシ基を有する界面活性剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.05質量%~15質量%が好ましく、0.1質量%~10質量%がより好ましい。
以下に、POA基又はヒドロキシ基を有する界面活性剤の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。下記界面活性剤A-12は、ゾニールFSPの商品名でデュポン社から入手できる。また、下記界面活性剤N-11は、ゾニールFSO 100の商品名でデュポン社から入手できる。なお、A-12におけるm及びnはそれぞれ独立に、1以上の整数を表す。
Figure 0007309741000004
Figure 0007309741000005
画像記録層は、画像記録層の塗布の均一性を確保する目的で、ポリオキシアルキレン基及びヒドロキシ基を有さないアニオン界面活性剤を含有してもよい。
上記アニオン界面活性剤は、上記目的を達成する限り、特に制限されない。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキルナフタレンスルホン酸又はその塩、(ジ)アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル塩が好ましい。
ポリオキシアルキレン基及びヒドロキシ基を有さないアニオン界面活性剤の添加量は、ポリオキシアルキレン基又はヒドロキシ基を有する界面活性剤の全質量に対して、1質量%~50質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましい。
以下に、ポリオキシアルキレン基及びヒドロキシ基を有さないアニオン界面活性剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007309741000006
また、画像記録層の塗布の均一性を確保する目的で、ポリオキシアルキレン基及びヒドロキシ基を有さないノニオン界面活性剤、あるいはフッ素系界面活性剤を用いてもよい。例えば、特開昭62-170950号公報に記載のフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる。
画像記録層は、親水性樹脂を含有することができる。親水性樹脂としては、例えばヒドロキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシ基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、リン酸基などの親水基を有する樹脂が好ましい。
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル-マレイン酸コポリマー類、スチレン-マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、N-メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
親水性樹脂の質量平均分子量は、十分な皮膜強度や耐刷性が得られる観点から、2,000以上が好ましい。
親水性樹脂の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%~50質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましい。
画像記録層は、上記凹凸形成用とは別に、無機粒子を含有してもよい。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられる。無機粒子は、皮膜の強化などの目的で用いることができる。
無機粒子の平均粒径は、5nm~10μmが好ましく、10nm~1μmがより好ましい。この範囲で、熱可塑性ポリマー粒子とも安定に分散され、画像記録層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
無機粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。
無機粒子の含有量は、画像記録層の全質量に対し、1.0質量%~70質量%が好ましく、5.0質量%~50質量%がより好ましい。
画像記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を含有させることができる。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%~50質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましい。
画像記録層において、熱反応性官能基(架橋性基)を有するポリマー粒子を用いる場合は、必要に応じて、熱反応性官能基(架橋性基)の反応を開始又は促進する化合物を添加することができる。熱反応性官能基の反応を開始又は促進する化合物としては、熱によりラジカル又はカチオンを発生するような化合物を挙げることができる。例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩などを含むオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートなどが挙げられる。このような化合物の添加量は、画像記録層の全質量に対し、1質量%~20質量%が好ましく、1質量%~10質量%がより好ましい。この範囲で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
(画像記録層Cの形成)
画像記録層Cは、必要な上記各成分を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に直接又は下塗り層を介して塗布して形成される。溶剤としては、水又は水と有機溶剤との混合溶剤が用いられるが、水と有機溶剤の混合使用が、塗布後の面状を良好にする点で好ましい。有機溶剤の量は、有機溶剤の種類によって異なるので、一概に特定できないが、混合溶剤中5容量%~50容量%が好ましい。ただし、有機溶剤は熱可塑性ポリマー粒子が凝集しない範囲の量で使用する必要がある。画像記録層用塗布液の固形分濃度は、好ましくは1質量%~50質量%である。
塗布液の溶剤として用いられる有機溶剤は、水に可溶な有機溶剤が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1-メトキシ-2-プロパノールなどのアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン溶剤、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル溶剤、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。特に、沸点が120℃以下であって、水に対する溶解度(水100gに対する溶解量)が10g以上の有機溶剤が好ましく、20g以上の有機溶剤がより好ましい。
画像記録層用塗布液の塗布方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.5g/m~5.0g/mが好ましく、0.5g/m~2.0g/mがより好ましい。
以下に、平版印刷版原版の他の構成要素について記載する。
<下塗り層>
本発明に係る平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に、必要に応じ、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず機上現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ作用を有する。
下塗り層に用いる化合物としては、具体的には、特開平10-282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2-304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が挙げられる。好ましいものとして、特開2005-125749号公報及び特開2006-188038号公報に記載のごとき、支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基、及び架橋性基を有する高分子化合物が挙げられる。このような高分子化合物としては、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、及び架橋性基を有するモノマーの共重合体であることが好ましい。より具体的には、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、-PO、-OPO、-CONHSO-、-SONHSO-、-COCHCOCHなどの吸着性基を有するモノマーと、スルホ基などの親水性基を有するモノマーと、更にメタクリル基、アリル基などの重合性の架橋性基を有するモノマーとの共重合体が挙げられる。高分子化合物は、高分子化合物の極性置換基と、対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよい。また、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
下塗り層用高分子化合物中のエチレン性不飽和結合の含有量は、高分子化合物1g当たり、好ましくは0.1~10.0mmol、より好ましくは2.0~5.5mmolである。
下塗り層用高分子化合物は、質量平均分子量が5,000以上であることが好ましく、10,000~300,000であることがより好ましい。
下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時における汚れ防止のため、キレート剤、第2級又は第3級アミン、重合禁止剤、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基とアルミニウム支持体表面と相互作用する基とを有する化合物など(例えば、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6-テトラヒドロキシ-p-キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)を含有することができる。
下塗り層は、公知の方法で塗布される。下塗り層の塗布量は、乾燥後の塗布量で、0.1mg/m~100mg/mが好ましく、1mg/m~30mg/mがより好ましい。
<保護層>
本発明に係る平版印刷版原版は、画像記録層の上に、保護層を有していてもよい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような機能を有する保護層については、特開2014-104631号公報の段落0202~0204に記載のものを使用できる。
保護層は、水溶性ポリマーを含むことが好ましい。保護層に用いられる水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005-250216号公報及び特開2006-259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
水溶性ポリマーの中で、ポリビニルアルコールが好ましく、けん化度が50%以上であるポリビニルアルコールがより好ましい。ポリビニルアルコールのけん化度は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。けん化度の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
けん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法に従い測定することができる。
保護層は、公知の方法で塗布される。保護層は無くてもよく、画像記録層の上に、保護層が設けられる場合、保護層の膜厚は0.2μm未満であることが好ましい。
平版印刷版原版は、各構成層の塗布液を通常の方法に従って塗布、乾燥して各構成層を形成することにより製造することができる。塗布には、ダイコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法など用いられる。
以下に、本発明に係る印刷用原版の他の1つの態様である印刷用捨て版原版について記載する。
印刷用捨て版原版は、平版印刷版原版と同様の製版工程(但し、画像露光は行わない)を経て印刷用捨て版を作製するための原版であり、基本的に感光性を有さない。印刷用捨て版は、印刷業界においてよく知られるように、例えば、カラーの新聞印刷(多色印刷)において一部の紙面を2色又は1色で印刷を行う必要がある場合に、版胴に取り付けて用いられる。
[印刷用捨て版原版]
本発明に係る印刷用捨て版原版は、支持体の印刷面側に非感光性樹脂層を有する。印刷用捨て版原版は、必要により、支持体と非感光性樹脂層との間に下塗り層、非感光性樹脂層の上に親水性層(保護層ともいう)を有していてもよい。印刷用捨て版原版における非感光性樹脂層あるいは親水性層は、上記印刷用原版における粒子を含む層に該当する。
印刷用捨て版原版における非感光性樹脂層は、水溶性バインダーポリマー又は水不溶性且つアルカリ可溶性のバインダーポリマー(以下、「バインダーポリマー」ともいう。)を含むことが好ましい。また、非感光性樹脂層は、350~800nmに吸収極大を有する着色剤、及び、低分子酸性化合物を含有することができる。
印刷用捨て版原版における非感光性樹脂層に含有されるバインダーは、例えば、特開2012-218778号公報の段落番号〔0069〕-〔0074〕に記載されている。
印刷用捨て版原版における非感光性樹脂層及びその形成方法は、例えば、特開2012-218778号公報の段落番号〔0021〕-〔0054〕に記載されている。
印刷用捨て版原版における親水性層は、バインダーを含有する。親水性層の形成は、バインダー、及び、目的に応じて添加される着色剤、水溶性可塑剤、界面活性剤など種々の添加剤を撹拌、混合して調製される親水性層塗布液を、例えば、米国特許第3,458,311号明細書又は特開昭55-49729号公報に記載されている方法を適用して、非感光性層上に塗布することにより形成することができる。
印刷用捨て版原版における親水性層に含有されるバインダーは、例えば、特開2012-218778号公報の段落番号〔0069〕-〔0074〕に記載されている。
〔印刷用原版積層体〕
本発明に係る印刷用原版積層体は、本発明に係る印刷用原版を積層してなる積層体であり、本発明に係る印刷用原版を複数枚積層してなり、上記印刷面側における最外層と、上記印刷面側とは反対側における最外層とを直接接触させて積層させた積層体であることが好ましい。
また、本発明に係る印刷用原版積層体は、本発明に係る印刷用原版を合紙を介さずに複数枚積層してなる積層体であることが好ましい。
積層枚数としては、特に制限はないが、2枚~500枚であることが好ましい。
本発明に係る印刷用原版積層体は、本発明に係る印刷用原版が有する特性の故に、多重給版の防止性、擦れ傷防止性においても優れており、また、集積ズレが生じ難いという特性を有する。
〔印刷版の製版方法、及び、印刷方法)
本発明に係る印刷版の製版方法は、本発明に係る印刷用原版を製版する方法であれば、特に制限はないが、本発明に係る印刷用原版を用いて印刷版を製版する方法であり、本発明に係る印刷用原版を画像露光する工程(「画像露光工程」ともいう。)、並びに、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程(「現像処理工程」ともいう。)を含むことが好ましい。なお、本発明に係る印刷用原版の中で、印刷用捨て版原版は、画像露光工程を経ずに現像処理工程が行われる。現像処理工程では、非感光性樹脂層が除去される。
上記製版方法を、以下「機上現像方式」ともいう。
本発明に係る印刷方法は、本発明に係る印刷用原版を用いて印刷版を製版し、印刷する方法であり、本発明に係る印刷用原版を画像露光する工程(「画像露光工程」ともいう。)、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程(「現像処理工程」ともいう。)、並びに、得られた印刷版により印刷する工程(「印刷工程」ともいう。)を含むことが好ましい。なお、本発明に係る印刷用原版の中で、印刷用捨て版原版は、画像露光工程を経ずに現像処理工程が行われる。
<画像露光工程>
印刷用原版の画像露光は、通常の平版印刷版原版の画像露光操作に準じて行うことができる。
画像露光は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で行われる。光源の波長は700nm~1,400nmが好ましく用いられる。700nm~1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20μ秒以内であるのが好ましく、照射エネルギー量は10mJ/cm~300mJ/cmであることが好ましい。露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。
<現像処理工程>
現像処理は、通常の方法により行うことができる。機上現像の場合、画像露光された印刷用原版に、印刷機上で、湿し水及び印刷インキの少なくともいずれかを供給すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び印刷インキの少なくともいずれかによって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に印刷用原版の表面に供給されるのは、湿し水でもよく印刷インキでもよいが、湿し水を浸透させ機上現像性を促進するために、最初に湿し水を供給することが好ましい。
<印刷工程>
得られた印刷版による印刷は、通常の方法により行うことができる。印刷版に所望の印刷インキ、及び、必要に応じて、湿し水を供給し、印刷を行うことができる。
印刷インキ及び湿し水の供給量は、特に制限はなく、所望の印刷に応じ、適宜設定すればよい。
印刷インキ及び湿し水の印刷版への供給方法は、特に制限はなく、公知の方法により行うことができる。
また、本発明に係る平版印刷版原版は、画像記録層の構成成分であるバインダーポリマー等を適宜選択することにより、現像液を用いる現像処理によっても平版印刷版を作製することができる。
本発明に係る印刷版の製版方法の別の態様は、本発明に係る印刷用原版を画像露光する工程(「画像露光工程」ともいう。)、及び、pHが2以上14以下の現像液を供給して未露光部を除去する現像工程(「現像液現像工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
上記製版方法を、以下「現像液処理方式」ともいう。
本発明に係る印刷方法の別の態様は、本発明に係る印刷用原版を用いて印刷版を製版し、印刷する方法であり、本発明に係る印刷用原版を画像露光する工程(「画像露光工程」ともいう。)、pHが2以上14以下の現像液を供給して未露光部を除去する現像工程(「現像液現像工程」ともいう。)、及び、得られた印刷版により印刷する工程(「印刷工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
<画像露光工程>
現像液処理方式における画像露光工程は、上述の機上現像方式における画像露光工程と同様である。
<現像液現像工程>
現像液を用いる現像処理は、pHが2以上12以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去する工程を含む態様(簡易現像処理ともいう。)を含む。pHが2以上12以下の現像液は、界面活性剤及び水溶性高分子化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有してもよい。
また、pHが2以上10以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去する工程を含み、かつ未露光部除去工程の後に水洗工程を含まない態様も、簡易現像処理の好ましい態様である。
現像液中に、必要に応じて、水溶性高分子化合物を含有させる等の方法により、現像及びガム液処理工程を同時に行うこともできる。
したがって、後水洗工程は特に必要とせず、1液1工程で現像とガム液処理を行ったのち、乾燥工程を行うこともできる。それ故、現像液を用いる現像処理としては、画像露光後の印刷用原版をpHが2以上12以下の現像液により現像処理する工程を含む印刷版の作製方法が好ましい。現像処理の後、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
すなわち、本発明に係る印刷版の作製方法の現像工程においては、1液1工程で現像処理とガム液処理とを行うことが好ましい。
1液1工程で現像とガム液処理を行うとは、現像処理と、ガム液処理とを別々の工程として行うのではなく、1液により、現像処理とガム液処理とを1工程において行うことを意味する。
現像処理は、現像液の供給手段及び擦り部材を備えた自動現像処理機により好適に実施することができる。擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動現像処理機が特に好ましい。
回転ブラシロールは2本以上が好ましい。更に自動現像処理機は現像処理手段の後に、スクイズローラー等の余剰の現像液を除去する手段、温風装置等の乾燥手段を備えていることが好ましい。また、自動現像処理機は現像処理手段の前に、画像露光後の平版印刷版原版を加熱処理するための前加熱手段を備えていてもよい。
このような自動現像処理機での処理は、いわゆる機上現像処理の場合に生ずる画像記録層、非感光性樹脂層、及び、保護層が存在する場合には保護層に由来の現像カスへの対応から開放されるという利点がある。
現像において、手処理の場合、現像処理方法としては、例えば、スポンジ、脱脂綿等に水溶液を含ませ、版面全体を擦りながら処理し、処理終了後に乾燥する方法が好適に挙げられる。浸漬処理の場合は、例えば、印刷用原版を水溶液の入ったバット、深タンク等に約60秒浸して撹拌した後、脱脂綿、スポンジなどで擦りながら乾燥する方法が好適に挙げられる。
現像処理には、構造の簡素化、工程を簡略化した装置が用いられることが好ましい。
例えば、アルカリ現像処理においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いで高pHのアルカリ性現像液により現像を行い、その後、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する。簡易現像処理においては、現像及びガム引きを1液で同時に行うことができる。従って、後水洗工程及びガム処理工程は省略することが可能となり、1液で現像とガム引き(ガム液処理)とを行った後、必要に応じて乾燥工程を行うことが好ましい。
更に、前水洗工程も行うことなく、保護層の除去、現像及びガム引きを1液で同時に行うことが好ましい。また、現像及びガム引きの後に、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
現像処理においては、現像液に1回浸漬する方法であってもよいし、2回以上浸漬する方法であってもよい。中でも、上記現像液に1回又は2回浸漬する方法が好ましい。
浸漬は、現像液が溜まった現像液槽中に露光済みの印刷用原版をくぐらせてもよいし、露光済みの印刷用原版の版面上にスプレーなどから現像液を吹き付けてもよい。
なお、現像液に2回以上浸漬する場合であっても、同じ現像液、又は、現像液と現像処理により画像記録層の成分の溶解又は分散した現像液(疲労液)とを用いて2回以上浸漬する場合は、1液での現像処理(1液処理)という。
現像処理では、擦り部材を用いることが好ましく、画像記録層の非画像部を除去する現像浴には、ブラシ等の擦り部材が設置されることが好ましい。
現像処理は、常法に従って、好ましくは0℃~60℃、より好ましくは15℃~40℃の温度で、例えば、露光処理した印刷用原版を現像液に浸漬してブラシで擦る、又は、外部のタンクに仕込んだ処理液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けてブラシで擦る等により行うことができる。これらの現像処理は、複数回続けて行うこともできる。例えば、外部のタンクに仕込んだ現像液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けてブラシで擦った後に、再度スプレーノズルから現像液を吹き付けてブラシで擦る等により行うことができる。自動現像処理機を用いて現像処理を行う場合、処理量の増大により現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させることが好ましい。
現像処理には、従来、PS版(Presensitized Plate)及びCTP(Computer to Plate)用に知られているガムコーター、自動現像処理機も用いることができる。自動現像処理機を用いる場合、例えば、現像槽に仕込んだ現像液、又は、外部のタンクに仕込んだ現像液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けて処理する方式、現像液が満たされた槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方式、実質的に未使用の現像液を一版毎に必要な分だけ供給して処理するいわゆる使い捨て処理方式のいずれの方式も適用できる。いずれの方式においても、ブラシ、モルトンなどによるこすり機構があるものがより好ましい。例えば、市販の自動現像処理機(Clean Out Unit C85/C125、Clean-Out Unit+ C85/120、FCF 85V、FCF 125V、FCF News(Glunz & Jensen社製)、Azura CX85、Azura CX125、Azura CX150(AGFA GRAPHICS社製)を利用することができる。また、レーザー露光部と自動現像処理機部分とが一体に組み込まれた装置を利用することもできる。
現像工程において用いられる現像液の成分等の詳細を以下に説明する。
-pH-
現像液のpHは、2~12が好ましく、5~9がより好ましく、7~9が更に好ましい。現像性及び画像記録層の分散性の観点から言えば、pHの値を高めに設定するほうが有利であるが、印刷性、とりわけ汚れの抑制に関しては、pHの値を低めに設定するほうが有効である。
ここで、pHはpHメーター(型番:HM-31、東亜ディーケーケー(株)製)を用いて25℃で測定される値である。
-界面活性剤-
現像液には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤を含有することができる。
上記現像液は、ブラン汚れ性の観点から、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、上記現像液は、ノニオン性界面活性剤を含むことが好ましく、ノニオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種と、を含むことがより好ましい。
アニオン性界面活性剤として、下記式(I)で表される化合物が好ましく挙げられる。
-Y-X (I)
式(I)中、Rは置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。
アルキル基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基等を好ましく挙げることができる。
シクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3~8の単環型シクロアルキル基であることが好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロオクチル基であることがより好ましい。多環型としては例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基等を好ましく挙げることができる。
アルケニル基としては、例えば、炭素数2~20のアルケニル基であることが好ましく、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を好ましく挙げることができる。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7~12のアラルキル基であることが好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を好ましく挙げることができる。
アリール基としては、例えば、炭素数6~15のアリール基であることが好ましく、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10-ジメトキシアントリル基等を好ましく挙げることができる。
置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミド基、エステル基、アシロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸アニオン基、スルホン酸アニオン基等が挙げられる。
置換基におけるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ステアリルオキシ基、メトキシエトキシ基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の好ましくは炭素数1~40、より好ましくは炭素数1~20のものが挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6~18のものが挙げられる。アシル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2~24のものが挙げられる。アミド基としては、アセトアミド基、プロピオン酸アミド基、ドデカン酸アミド基、パルチミン酸アミド基、ステアリン酸アミド基、安息香酸アミド基、ナフトイック酸アミド基等の炭素数2~24のものが挙げられる。アシロキシ基としては、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基等の炭素数2~20のものが挙げられる。エステル基としては、メチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ヘキシルエステル基、オクチルエステル基、ドデシルエステル基、ステアリルエステル基等の炭素数1~24のものが挙げられる。置換基は、上記置換基の2以上の組み合わせからなるものであってもよい。
は、スルホン酸塩基、硫酸モノエステル塩基、カルボン酸塩基又は燐酸塩基を表す。
は、単結合、-C2n-、-Cn-m2(n-m)OC2m-、-O-(CHCHO)-、-O-(CHCHCHO)-、-CO-NH-、又は、これらの2以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、n≧1及びn≧m≧0を満たす。
式(I)で表される化合物の中で、下記式(I-A)又は式(I-B)で表される化合物が、耐キズ汚れ性の観点から、好ましい。
式(I-A)及び式(I-B)中、RA1~RA10はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、nAは1~3の整数を表し、XA1及びXA2はそれぞれ独立に、スルホン酸塩基、硫酸モノエステル塩基、カルボン酸塩基又は燐酸塩基を表し、YA1及びYA2はそれぞれ独立に、単結合、-CnH2n-、-Cn-m2(n-m)OC2m-、-O-(CHCHO)-、-O-(CHCHCHO)-、-CO-NH-、又は、これらを2以上組み合わせた2価の連結基を表し、n≧1及びn≧m≧0を満たし、RA1~RA5又はRA6~RA10中、及び、YA1又はYA2中の炭素数の総和は3以上である。
上記式(I-A)又は式(I-B)で表される化合物における、RA1~RA5及びY1A、又は、RA6~RA10及びYA2の総炭素数は、25以下であることが好ましく、4~20であることがより好ましい。上述したアルキル基の構造は、直鎖であってもよく、分枝であってもよい。
式(I-A)又は式(I-B)で表される化合物におけるXA1及びXA2は、スルホン酸塩基、又は、カルボン酸塩基であることが好ましい。また、XA1及びXA2における塩構造は、アルカリ金属塩が特に水系溶媒への溶解性が良好であり好ましい。中でも、ナトリウム塩、又は、カリウム塩が特に好ましい。
上記式(I-A)又は式(I-B)で表される化合物としては、特開2007-206348号公報の段落0019~0037の記載を参照することができる。
アニオン性界面活性剤としては、特開2006-65321号公報の段落0023~0028に記載の化合物も好適に用いることができる。
現像液に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルイミダゾールなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。
特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。これらの具体例としては、特開2008-203359号公報の段落0256の式(2)で示される化合物、特開2008-276166号公報の段落0028の式(I)、式(II)、式(VI)で示される化合物、特開2009-47927号公報の段落0022~0029に記載の化合物を挙げることができる。
現像液に用いられる両性イオン系界面活性剤としては、下記式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物が好ましい。
式(1)及び(2)中、R及びR11はそれぞれ独立に、炭素数8~20のアルキル基又は総炭素数8~20の連結基を有するアルキル基を表す。
、R、R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はエチレンオキサイド構造を含有する基を表す。
及びR14はそれぞれ独立に、単結合又はアルキレン基を表す。
また、R、R、R及びRのうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよく、R11、R12、R13及びR14のうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよい。
上記式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解性が低下する。この場合、溶解を助けるアルコール等の有機溶剤を、溶解助剤として水に混合することにより、溶解性は良化するが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない。従って、R~R又はR11~R14の炭素数の総和は好ましくは10~40、より好ましくは12~30である。
又はR11で表される連結基を有するアルキル基は、アルキル基の間に連結基を有する構造を表す。すなわち、連結基が1つの場合は、「-アルキレン基-連結基-アルキル基」で表すことができる。連結基としては、エステル結合、カルボニル結合、アミド結合が挙げられる。連結基は2以上あってもよいが、1つであることが好ましく、アミド結合が特に好ましい。連結基と結合するアルキレン基の総炭素数は1~5であることが好ましい。このアルキレン基は直鎖であっても分岐であってもよいが、直鎖アルキレン基が好ましい。連結基と結合するアルキル基は炭素数が3~19であることが好ましく、直鎖であっても分岐であってもよいが、直鎖アルキルであることが好ましい。
又はR12がアルキル基である場合、炭素数は1~5であることが好ましく、1~3であることが特に好ましい。直鎖、分岐のいずれでもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
又はR13がアルキル基である場合、炭素数は1~5であることが好ましく、1~3であることが特に好ましい。直鎖、分岐のいずれでもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
又はR13で表されるエチレンオキサイド構造を含有する基としては、-R(CHCHO)nRで表される基を挙げることができる。ここで、Rは単結合、酸素原子又は2価の有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、Rは水素原子又は有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、nは1~10の整数を表す。
及びR14がアルキレン基である場合、炭素数は1~5であることが好ましく、1~3であることが特に好ましい。直鎖、分岐のいずれでもよいが、直鎖アルキレン基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物は、アミド結合を有することが好ましく、R又はR11の連結基としてアミド結合を有することがより好ましい。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物の代表的な例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
式(1)又は(2)で表される化合物は公知の方法に従って合成することができる。また、市販されているものを用いることも可能である。市販品として、式(1)で表される化合物は川研ファインケミカル(株)製のソフタゾリンLPB、ソフタゾリンLPB-R、ビスタMAP、竹本油脂(株)製のタケサーフC-157L等が挙げられる。式(2)で表される化合物は川研ファインケミカル(株)製のソフタゾリンLAO、第一工業製薬(株)製のアモーゲンAOL等があげられる。
両性イオン系界面活性剤は現像液中に、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンジグリセリン類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N-ビス-2-ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等が挙げられる。
また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系等の界面活性剤も同様に使用することができる。これら界面活性剤は2種以上併用することもできる。
ノニオン性界面活性剤として特に好ましくは、下記式(N1)で示されるノニオン性芳香族エーテル系界面活性剤が挙げられる。
-Y-O-(AnB-(AmB-H (N1)
式中、Xは置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Yは単結合又は炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、A及びAは互いに異なる基であって、-CHCHO-又は-CHCH(CH)O-のいずれかを表し、nB及びmBはそれぞれ独立に、0~100の整数を表し、ただし、nBとmBとは同時に0ではなく、また、nB及びmBのいずれかが0である場合には、nB及びmBは1ではない。
式中、Xの芳香族基としてフェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1~100の有機基が挙げられる。なお、式中、A及びBがともに存在するとき、ランダムでもブロックの共重合体でもよい。
上記炭素数1~100の有機基の具体例としては、飽和でも不飽和でよく直鎖でも分岐鎖でもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基など、その他に、アルコキシ基、アリーロキシ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、ポリオキシアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖が結合している上記の有機基などが挙げられる。上記アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
また、ノニオン性界面活性剤としては、特開2006-65321号公報の段落0030~0040に記載された化合物も好適に用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルイミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、現像液の全質量に対し、1質量%~25質量%が好ましく、2質量%~20質量%がより好ましく、3質量%~15質量%が更に好ましく、5質量%~10質量%が特に好ましい。上記範囲であると、耐キズ汚れ性により優れ、現像カスの分散性に優れ、また、得られる平版印刷版のインキ着肉性に優れる。
-水溶性高分子化合物-
現像液は、現像液の粘度調整及び得られる平版印刷版の版面の保護の観点から、水溶性高分子化合物を含むことができる。
水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)及びその変性体、プルラン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などの水溶性高分子化合物を含有することができる。
上記大豆多糖類としては、従来知られているものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10mPa・s~100mPa・sの範囲にあるものである。
上記変性澱粉としては、下記式(III)で表される澱粉が好ましい。式(III)で表される澱粉としては、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等のいずれの澱粉も使用できる。これらの澱粉の変性は、酸又は酵素等で1分子当たりグルコース残基数5~30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で行うことができる。
Figure 0007309741000012
式中、エーテル化度(置換度)はグルコース単位当たり0.05~1.2の範囲であり、nは3~30の整数を表し、mは1~3の整数を表す。
水溶性高分子化合物の中でも特に好ましいものとしては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
水溶性高分子化合物は、2種以上を併用することができる。
現像液が水溶性高分子化合物を含む場合、水溶性高分子化合物の含有量は、現像液の全質量に対し、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。上記態様であると、現像液の粘度が適度であり、自動現像処理機のローラー部材に現像カス等が堆積することを抑制することができる。
-その他の添加剤-
本発明に用いられる現像液は、上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。湿潤剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。湿潤剤の含有量は、現像液の全質量に対し、0.1質量%~5質量%であることが好ましい。
防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4-イソチアゾリン-3-オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、第四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、1,1-ジブロモ-1-ニトロ-2-エタノール、1,1-ジブロモ-1-ニトロ-2-プロパノール等が好ましく使用できる。
防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液の全質量に対し、0.01質量%~4質量%の範囲が好ましい。また、種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができる。キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
キレート剤は、処理液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものであることが好ましい。キレート剤の含有量は、現像液の全質量に対し、0.001質量%~1.0質量%であることが好ましい。
消泡剤としては、一般的なシリコーン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)が5以下等の化合物を使用することができる。シリコーン消泡剤が好ましい。
なお、シリコーン系界面活性剤は、消泡剤と見なすものとする。
消泡剤の含有量は、現像液の全質量に対し、0.001質量%~1.0質量%の範囲が好適である。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形で用いることもできる。有機酸の含有量は、現像液の全質量に対し、0.01質量%~0.5質量%が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、“アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロロベンゼン等)、極性溶剤等が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n-アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N-フェニルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、現像液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、現像液における溶剤の濃度は、40質量%未満が好ましい。
無機酸及び無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は、現像液の全質量に対し、0.01質量%~0.5質量%の量が好ましい。
現像液は、必要に応じて、上記各成分を水に溶解又は分散することによって調製される。現像液の固形分濃度は、2質量%~25質量%であることが好ましい。現像液としては、濃縮液を作製しておき、使用時に水で希釈して用いることもできる。
現像液は、水性の現像液であることが好ましい。
現像液は、現像カスの分散性の観点から、アルコール化合物を含有することが好ましい。
アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。中でも、ベンジルアルコールが好ましい。
アルコール化合物の含有量は、現像カスの分散性の観点から、現像液の全質量に対し、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.1質量%~2質量%がより好ましく、0.2質量%~1質量%が特に好ましい。
<印刷工程>
現像液処理方式により得られた印刷版を用いる印刷方法としては、特に限定されず、公知の方法により印刷すればよい。
例えば、印刷版にインク及び必要に応じて湿し水を供給して印刷を行う方法が挙げられる。
本発明に係る印刷方法は、上記工程以外に、公知の他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、例えば、各工程の前に印刷用原版の位置や向き等を確認する検版工程や、現像処理工程の後に、印刷画像を確認する確認工程等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は質量平均分子量(Mw)であり、構成繰り返し単位の比率はモル百分率である。質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
〔実施例1~38及び比較例1~4〕
<支持体1の作製>
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1052)に対し、下記(a)~(f)の処理を施し、支持体1を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度25質量%、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/mであった。
(b)デスマット処理
温度35℃の硫酸水溶液(濃度300g/L)をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(c)電解粗面化処理
1質量%塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電源を用いて、フラットセル型の電解槽を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源の波形は、正弦波を用いた。電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、30A/dmであった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量総和とカソード反応時の電気量総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量総和で480C/dmとした。電解液はポンプを用いて液を循環させることで、電解槽内の撹拌を行った。
(d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電解粗面化処理を施した面のエッチング量は、0.05g/mであった。
(e)デスマット処理
硫酸濃度300g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、液温35℃の水溶液をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(f)陽極酸化処理
アルミニウム板に、22質量%リン酸水溶液を電解液として、液温38℃、電流密度15A/dmの条件にて陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。酸化皮膜量は1.5g/mであった。支持体1の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は30nmであった。
アルミニウム支持体の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は以下の方法で求めた。アルミニウム支持体の印刷面側表面を倍率15万倍のFE-SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nmの範囲に存在するマイクロポアの径(直径)を測定し、平均値を算出した。マイクロポアの形状が円状でない場合は、円相当径を用いた。「円相当径」とは、開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの円の直径である。
<支持体2~4の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金板)に対し、下記(A-a)~(A-g)の処理を施し、支持体2~4を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(A-a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(A-b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度150g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(A-c)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を空けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。
(A-d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は、0.2g/mであった。
(A-e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(A-f)陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度30A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量0.3g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
図3に示す陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、図3中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(-)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。上記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424及びローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、上記ローラ422、424及び428により、山型及び逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
(A-g)ポアワイド処理
陽極酸化処理したアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に、28℃で3秒間(支持体2)、40℃で3秒間(支持体3)、40℃で15秒間(支持体4)浸漬してポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体2、支持体3、支持体4の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は、各々13nm、30nm、100nmであった。
<支持体5の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金版)に対し、下記(B-a)~(B-h)の処理を施し、支持体5を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(B-a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(B-b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度150g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(B-c)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を空けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。
(B-d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は、0.2g/mであった。
(B-e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(B-f)第1段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度30A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量0.3g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(B-g)ポアワイド処理
陽極酸化処理したアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に、40℃で3秒間浸漬し、ポアワイド処理を行った。
(B-h)第2段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度13A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体5の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は30nmであった。
<支持体6の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金版)に対し、下記(D-a)~(D-l)の処理を施し、支持体6を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(D-a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図5に示す構造の装置を使って、パミスの懸濁液(比重1.1g/cm)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。図5において、1はアルミニウム板、2及び4はローラ状ブラシ(本実施例において、束植ブラシ)、3は研磨スラリー液、5、6、7及び8は支持ローラである。
機械的粗面化処理では、研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は、300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(D-b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、10g/mであった。
(D-c)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の次工程の電気化学的粗面化処理に用いた硝酸の廃液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(D-d)硝酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dmであった。
(D-e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度27質量%及びアルミニウムイオン濃度2.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/mであった。
(D-f)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(D-g)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dmであり、塩酸電解における電気量(C/dm)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dmであった。
(D-h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度60℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/mであった。
(D-i)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)をアルミニウム板にスプレーにて4秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(D-j)陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度30A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.4g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(D-k)ポアワイド処理
陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に3秒間浸漬し、ポアワイド処理を行った。アルミニウム支持体の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は30nmであった。
(D-l)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、アルミニウム板を、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液に50℃で7秒間浸漬してシリケート処理を施した。Siの付着量は8.5mg/mであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
<支持体7の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金版)に対し、下記(F-a)~(F-g)の処理を施し、支持体7を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(F-a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(F-b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度150g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(F-c)電気化学的粗面化処理
塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を空けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。
(F-d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/mであった。
(F-e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けてデスマット処理を行った。
(F-f)第1段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。電解液として150g/Lリン酸水溶液を用い、液温35℃、電流密度4.5A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(F-g)第2段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度13A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体7の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は40nmであった。
<支持体8の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金版)に対し、下記(G-a)~(G-h)の処理を施し、支持体8を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(G-a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(G-b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度150g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(G-c)電気化学的粗面化処理
塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を空けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。
(G-d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/mであった。
(G-e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けてデスマット処理を行った。
(G-f)第1段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。電解液として150g/Lリン酸水溶液を用い、液温35℃、電流密度4.5A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(G-g)ポアワイド処理
陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に4秒間浸漬し、ポアワイド処理を行った。
(G-h)第2段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度13A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体8の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は100nmであった。
<支持体9の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金版)に対し、下記(H-a)~(H-g)の処理を施し、支持体9を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(H-a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(H-b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度150g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(H-c)電気化学的粗面化処理
塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を空けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。
(H-d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/mであった。
(H-e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けてデスマット処理を行った。
(H-f)第1段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。電解液として150g/Lリン酸水溶液を用い、液温35℃、電流密度4.5A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(H-g)第2段階の陽極酸化処理
電解液として150g/Lリン酸水溶液を用い、液温35℃、電流密度4.5A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量1.2g/mの陽極酸化皮膜を形成した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体9の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は40nmであった。
<支持体10の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金版)に対し、下記(I-a)~(I-h)の処理を施し、支持体10を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(I-a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(I-b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度150g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(I-c)電気化学的粗面化処理
塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を空けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。
(I-d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/mであった。
(I-e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けてデスマット処理を行った。
(I-f)第1段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。電解液として150g/Lリン酸水溶液を用い、液温35℃、電流密度4.5A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(I-g)ポアワイド処理
陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に8秒間浸漬し、ポアワイド処理を行った。
(I-h)第2段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。電解液として150g/Lリン酸水溶液を用い、液温35℃、電流密度4.5A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体10の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は148nmであった。
<支持体11の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金板)に対し、下記(A-a)~(A-g)の処理を施し、支持体11を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(A-a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(A-b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度150g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(A-c)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を空けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。
(A-d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は、0.2g/mであった。
(A-e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(A-f)陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度30A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.4g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
図3に示す陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、図3中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(-)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。上記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424及びローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、上記ローラ422、424及び428により、山型及び逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
(A-g)ポアワイド処理
陽極酸化処理したアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に40℃で3秒間浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体11の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は30nmであった。
<支持体12の作製>
厚さ0.3mmの表1に示す組成のアルミニウム合金板に対し、下記(a)~(m)の処理を施し、支持体12を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
Figure 0007309741000013
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
パミスの懸濁液(比重1.1g/cm)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
機械的粗面化処理は、研磨材パミスのメジアン径を30μm、束植ブラシの数を4、束植ブラシの回転数を250rpmとして行った。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。束植ブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛したものである。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。束植ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、10g/mであった。
(c)酸性水溶液中でのデスマット処理
硝酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、次工程の電気化学的粗面化に用いた硝酸電解液を用いた。液温は35℃であった。デスマット液をスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、温度35℃、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dmであった。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/mであった。
(f)酸性水溶液中でのデスマット処理
酸性水溶液として、液温60℃の硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの硫酸水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、液温35℃、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dmであり、塩酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dmであった。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/mであった。
(i)酸性水溶液中でのデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の陽極酸化処理工程で使用する硫酸水溶液(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/Lを含有)をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(j)第1陽極酸化処理
直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表2に示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表2に示す成分を含む水溶液を用いた。表2~表4において、「成分濃度」は、「液成分」欄に記載の各成分の含有濃度(g/L)を表す。
Figure 0007309741000014
(k)第2陽極酸化処理
直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表3に示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表3に示す成分を含む水溶液を用いた。
Figure 0007309741000015
(l)第3陽極酸化処理
直流電解による陽極酸化装置を用いて第3段階の陽極酸化処理を行った。表4に示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表4に示す成分を含む水溶液を用いた。
Figure 0007309741000016
(m)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間ディップしてシリケート処理を施した。その後、スプレーによる水洗を行った。Siの付着量は8.5mg/mであった。
上記で得られたマイクロポアを有する陽極酸化皮膜中の大径孔部の陽極酸化皮膜表面における平均径(表層平均径)、大径孔部の連通位置における平均径(底部平均径)、小径孔部の連通位置における平均径(小径孔部径)、大径孔部及び小径孔部の平均深さ、小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚み(バリア層厚)、小径孔部の密度など表5及び表6に示す。上記小径孔部は、深さが異なる第1の小径孔部及び第2の小径孔部を含み、深い方を第1の小径孔部と称する。
Figure 0007309741000017
Figure 0007309741000018
表6において、バリア層厚として、平均値と最小値とを示す。平均値は、第1の小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚みを50箇所測定し、それらを算術平均したものである。
マイクロポアの平均径(大径孔部及び小径孔部の平均径)は、大径孔部表面及び小径孔部表面を倍率15万倍の電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)でN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nmの範囲に存在するマイクロポア(大径孔部及び小径孔部)の径を測定し、平均した値である。なお、大径孔部の深さが深く、小径孔部の径が測定しづらい場合は、陽極酸化皮膜上部を切削し、その後各種径を求めた。
大径孔部の平均深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面を倍率50万倍のFE-TEMで観察し、得られた画像において、任意のマイクロポアの表面から連通位置までの距離を60個(N=60)測定し、それらを平均した値である。また、小径孔部の平均深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面をFE-SEMで観察し(5万倍)、得られた画像において、任意のマイクロポア25個の深さを測定し、平均した値である。
「連通部密度」は、連通位置における陽極酸化皮膜断面の小径孔部の密度を意味する。「表面積増加倍率」は、下記式(A)に基づいて計算した値を意味する。
式(A)
表面積増加倍率=1+ポア密度×((π×(表層平均径/2+底部平均径/2)×((底部平均径/2-表層平均径/2)+深さA1/2+π×(底部平均径/2)-π×(表層平均径/2)))
小径孔部の「平均深さ(nm)」欄において、第2の小径孔部の平均深さを左側に、第1の小径孔部の平均深さを右側に示す。小径孔部の「連通部密度」欄において、小径孔部の連通部密度と共に、第1の小径孔部の密度をカッコ書き中に示す。
また、第2の小径孔部の底部から第1の小径孔部の底部までに位置する第1の小径孔部の平均径は、12nmであった。
<支持体13の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金板)に対し、下記(J-a)~(J-m)の処理を施し、支持体13を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(J-a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図5に示す構造の装置を使って、パミスの懸濁液(比重1.1g/cm)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
機械的粗面化処理では、研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は、300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(J-b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、10g/mであった。
(J-c)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の次工程の電気化学的粗面化処理に用いた硝酸の廃液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(J-d)硝酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dmであった。
(J-e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度27質量%及びアルミニウムイオン濃度2.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、3.5g/mであった。
(J-f)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(J-g)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dmであり、塩酸電解における電気量(C/dm)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dmであった。
(J-h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度60℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、0.2g/mであった。
(J-i)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)をアルミニウム板にスプレーにて4秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(J-j)第1段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度30A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量0.3g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(J-k)ポアワイド処理
陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に3秒間浸漬し、ポアワイド処理を行った。
(J-l)第2段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度13A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.1g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(J-m)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、アルミニウム板を、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液に50℃で7秒間浸漬してシリケート処理を施した。Siの付着量は8.5mg/mであった。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体13の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は30nmであった。
<支持体14の作製>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はアルミニウムと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1,200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げて、JIS 1050材のアルミニウム板(幅1,030mm)を作製した。
このアルミニウム板に対し、下記(b)~(j)の表面処理を連続的に施し、支持体14を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m溶解した。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行った。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行った。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、塩酸2.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dmであった。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.1g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行った。
(j)陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解液として硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)水溶液を用い、液温38℃、電流密度30A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.7g/mの陽極酸化皮膜を形成した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体14の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は7nmであった。
<支持体15の作製>
厚さ0.19mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金板)を40g/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に60℃で8秒間浸漬することにより脱脂し、脱塩水により2秒間洗浄した。アルミニウム板を、15秒間交流を用いて12g/Lの塩酸及び38g/Lの硫酸アルミニウム(18水和物)を含有する水溶液中で、33℃の温度及び130A/dmの電流密度で電気化学的粗面化処理を行った。脱塩水により2秒間洗浄した後、アルミニウム板を155g/Lの硫酸水溶液により70℃で4秒間エッチングすることによりデスマット処理し、脱塩水により25℃で2秒間洗浄した。アルミニウム板を13秒間155g/Lの硫酸水溶液中で、45℃の温度及び22A/dmの電流密度で陽極酸化処理し、脱塩水で2秒間洗浄した。更に、4g/Lのポリビニルホスホン酸水溶液を用いて40℃で10秒間処理し、脱塩水により20℃で2秒間洗浄し、乾燥して支持体15を作製した。支持体15は、表面粗さRaが0.21μmで、陽極酸化皮膜量は4g/mであった。支持体15の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は7nmであった。
<支持体16の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金板)に対し、下記(K-a)~(K-k)の処理を施し、支持体16を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
(K-a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図5に示す構造の装置を使って、パミスの懸濁液(比重1.1g/cm)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
機械的粗面化処理では、研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は、300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(K-b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、10g/mであった。
(K-c)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の次工程の電気化学的粗面化処理に用いた硝酸の廃液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(K-d)硝酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dmであった。
(K-e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度27質量%及びアルミニウムイオン濃度2.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/mであった。
(K-f)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温30℃の硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(K-g)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は図1に示す波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示す構造のものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dmであり、塩酸電解における電気量(C/dm)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dmであった。
(K-h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度60℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/mであった。
(K-i)酸性水溶液を用いたデスマット処理
酸性水溶液として、液温35℃の陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)をアルミニウム板にスプレーにて4秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(K-j)陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解液として170g/L硫酸水溶液を用い、液温50℃、電流密度30A/dmの条件にて陽極酸化処理を行い、皮膜量2.4g/mの陽極酸化皮膜を形成した。
(K-k)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、アルミニウム板を、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液に50℃で7秒間浸漬してシリケート処理を施した。Siの付着量は8.5mg/mであった。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体16の印刷面側表面におけるマイクロポアの平均径は7nmであった。
<下塗り層1の形成>
支持体上(印刷面側)に、下記組成の下塗り層塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布して、下塗り層1を形成した。
(下塗り層塗布液(1))
・下塗り層用化合物(UC-2)(下記構造) 0.18部
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.05部
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
0.03部
・水 28.0部
Figure 0007309741000019
<下塗り層2の形成>
支持体上(印刷面側)に、下記組成の下塗り層塗布液(2)を乾燥塗布量が26mg/mになるよう塗布して、下塗り層2を形成した。
(下塗り層塗布液(2))
・下塗り層用化合物(2)(下記構造) 0.13部
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.05部
・エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム 0.05部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.03部
・水 61.39部
Figure 0007309741000020
上記下塗り層用化合物(2)における各構成単位の括弧の右下の数値は、質量比を表し、エチレンオキシ単位の括弧の右下の数値は、繰り返し数を表す。
<下塗り層3の形成>
支持体上(印刷面側)に、下記組成の下塗り層塗布液(3)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布して、下塗り層3を形成した。
(下塗り層塗布液(3))
・下塗り層用化合物(2)(下記構造) 0.18部
・エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム 0.10部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.03部
・水 61.39部
Figure 0007309741000021
上記下塗り層用化合物(2)における各構成単位の括弧の右下の数値は、質量比を表し、エチレンオキシ単位の括弧の右下の数値は、繰り返し数を表す。
<下塗り層4の形成>
支持体上(印刷面側)に、下記組成の下塗り層塗布液(4)を乾燥塗布量が0.5mg/mになるよう塗布して、下塗り層4を形成した。
(下塗り層塗布液(4))
・高分子化合物A(下記構造)(質量平均分子量:3万) 0.0049g
・メタノール 55.19g
・1-メトキシ-2-プロパノール 0.0154g
・水 6.1432g
Figure 0007309741000022
<下塗り層5の形成>
支持体上(印刷面側)に、下記組成の下塗り層塗布液(5)を乾燥塗布量が18mg/mになるよう塗布して、下塗り層5を形成した。
<下塗り層用塗布液(5)>
・ポリマーU(下記構造) 0.3質量部
・純水 60.0質量部
・メタノール 939.7質量部
Figure 0007309741000023
<画像記録層1の形成>
支持体上(印刷面側)に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.6μmの画像記録層1を形成した。
(画像記録層塗布液(1))
・重合性化合物1*1 0.15部
・重合性化合物2*2 0.1部
・グラフトコポリマー2*3 0.825部
・Klucel M*4 0.020部
・Irgacure250*5 0.032部
・赤外線吸収剤1(下記構造) 0.02部
・テトラフェニルホウ酸ナトリウム 0.03部
・Byk 336*6 0.015部
・Black-XV*7 0.04部
・n-プロパノール 7.470部
・水 1.868部
*1:UA510H(共栄社化学(株)製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの反応物)
*2:ATM-4E(新中村化学工業(株)製、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
*3:グラフトコポリマー2は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート/スチレン/アクリロニトリル=10:9:81のグラフトコポリマーのポリマー粒子であり、これを、n-プロパノール/水の質量比が80/20である溶媒中に、24質量%含有している分散体である。また、その体積平均粒径は193nmである。
*4:Klucel Mは、Hercules社製から入手可能なヒドロキシプロピルセルロースを意味する。
*5:Irgacure 250は、75%プロピレンカーボネート溶液として、Ciba specialty Chemicals社から入手可能なヨードニウム塩であり、そしてヨードニウム,(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル],-ヘキサフルオロホスフェートを有する。
*6:Byk 336は、25%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液中の、Byk Chemie社から入手可能な改質ジメチルポリシロキサンコポリマーである。
*7:Black-XV(下記化合物、山本化成(株)製)
Figure 0007309741000024
<画像記録層2の形成>
支持体上(印刷面側)に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.6μmの画像記録層2を形成した。
(画像記録層塗布液(2))
・赤外線吸収剤4(下記構造) 0.030部
・重合開始剤I(下記構造) 0.032部
・重合性化合物(1) A-9300(新中村化学(株)製)(下記構造)
0.05部
・重合性化合物(2) A-DPH(新中村化学(株)製)(下記構造)
0.05部
・バインダーポリマー3(下記) 0.825部
・界面活性剤 BYK306(Byk Chemie社製) 0.008部
・1-メトキシ-2-プロパノール 8.609部
・メチルエチルケトン 1.091部
Figure 0007309741000025
Figure 0007309741000026
Figure 0007309741000027
Figure 0007309741000028
(バインダーポリマー3の合成)
三口フラスコに、メチルエチルケトン300gを入れ、窒素気流下、80℃に加熱した。この反応容器に、下記化合物1:50.0g、下記化合物2:50.0g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.7g、メチルエチルケトン100gからなる混合溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、更に7.5時間反応を続けた。その後、AIBN0.3gを加え、更に12時間反応を続けた。反応終了後、室温まで反応液を冷却しバインダーポリマー3を得た。バインダーポリマー3の質量平均分子量は75,000であった。バインダー3中の構成単位の組成比は、質量基準で50:50であった。
Figure 0007309741000029
<画像記録層3の形成>
下塗り層に、下記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ1.1μmの画像記録層3を形成した。
画像記録層塗布液(3)は下記感光液(3)及びミクロゲル液(3)を塗布直前に混合し撹拌することにより得た。
(感光液(3))
・バインダーポリマー(2) 23質量%1-メトキシ-2-プロパノール溶液(下記構造) 0.7510部
・赤外線吸収剤(1)(下記構造) 0.0278部
・ボレート化合物(1)(テトラフェニルホウ酸ナトリウム)
0.009部
・重合開始剤(1)(下記構造) 0.2348部
・重合性化合物(1)(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA-9300 40%2-ブタノン溶液、新中村化学工業(株))製)
0.2875部
・低分子親水性化合物(1)(トリス(2-ヒロドキシエチル)イソシアヌレート)
0.0287部
・低分子親水性化合物(2)(トリメチルグリシン) 0.0147部
・アニオン性界面活性剤1 30質量%水溶液(下記構造) 0.167部
・紫外線吸収剤(1)(TINUVIN405、BASF(株)社製)(下記構造)
0.04部
・フッ素系界面活性剤(1)(下記構造) 0.004部
・2-ブタノン 2.464部
・1-メトキシ-2-プロパノール 5.976部
・メタノール 1.415部
・純水 0.036部
(バインダーポリマー(2)の合成)
三口フラスコに、1-メトキシ-2-プロパノール:78.0gを秤取り、窒素気流下、70℃に加熱した。この反応容器に、ブレンマーPME-100(メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート、日本油脂(株)製):52.1g、メチルメタクリレート:21.8g、メタクリル酸:14.2g、ヘキサキス(3-メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール:2.15g、V-601(2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、和光純薬工業(株)製):0.38g、1-メトキシ-2-プロパノール:54gからなる混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、更に2時間反応を続けた。V-601:0.04g、1-メトキシ-2-プロパノール:4gから成る混合溶液を加え、90℃に昇温して2.5時間反応を続けた。反応終了後、室温まで反応液を冷却した。
上記の反応溶液に1-メトキシ-2-プロパノール:137.2g、4-ヒドロキシテトラメチルピペリジン-N-オキシド:0.24g、グリシジルメタクリレート:26.0g、テトラエチルアンモニウムブロミド:3.0gを加えてよく撹拌した後、90℃にて加熱した。
18時間後、室温(25℃)まで反応溶液を冷却した後、1-メトキシ-2-プロパノール:99.4gを加えて希釈した。
こうして得られたバインダーポリマー(2)は、固形分濃度:23質量%、GPCで測定したポリスチレン換算質量平均分子量は3.5万であった。
Figure 0007309741000030
Figure 0007309741000031
Figure 0007309741000032
Figure 0007309741000033
Figure 0007309741000034
(ミクロゲル液(3))
・ミクロゲル(3) 固形分濃度21.8質量% (下記) 1.979部
・1-メトキシ-2-プロパノール 0.529部
(ミクロゲル(3)の作製)
ミクロゲル(3)の調製法を以下に示す。
<多価イソシアネート化合物(1)の調製>
イソホロンジイソシアネート17.78部(80モル当量)と下記多価フェノール化合物(1)7.35部(20モル当量)との酢酸エチル(25.31部)懸濁溶液に、ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)(ネオスタン U-600、日東化成(株)製)0.043部を加えて撹拌した。発熱が収まった時点で反応温度を50℃に設定し、3時間撹拌して多価イソシアネート化合物(1)の酢酸エチル溶液(50質量%)を得た。
<ミクロゲル(3)の調製>
下記油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を45℃で4時間撹拌後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン-オクチル酸塩(U-CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.20部を加え、室温で30分撹拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を21.8質量%になるように調整し、ミクロゲル(3)の水分散液を得た。動的光散乱式粒径分布測定装置LB-500((株)堀場製作所製)を用いて、光散乱法により体積平均粒径を測定したところ、0.28μmであった。
(油相成分)
(成分1)酢酸エチル 12.0部
(成分2)トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰返し数:90)を付加させた付加体(50質量%酢酸エチル溶液、三井化学(株)製)
3.76部
(成分3)多価イソシアネート化合物(1)(50質量%酢酸エチル溶液として)
15.0部
(成分4)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR-399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液 11.54部
(成分5)スルホン酸塩型界面活性剤(パイオニンA-41-C、竹本油脂(株)製)の10%酢酸エチル溶液 4.42部
(水相成分)
蒸留水 46.87部
<画像記録層4の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(4)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ1.2μmの画像記録層4を形成した。
画像記録層塗布液(4)は下記感光液(4)及びミクロゲル液(4)を塗布直前に混合し撹拌することにより得た。
(感光液(4))
・バインダーポリマー(6) 23質量%1-メトキシ-2-プロパノール溶液(下記構造) 0.3755部
・バインダーポリマー(7) 23質量%1-メトキシ-2-プロパノール溶液(下記構造) 0.3755部
・赤外線吸収剤(1)(下記構造) 0.0278部
・ボレート化合物(1)(テトラフェニルホウ酸ナトリウム)
0.015部
・重合開始剤(1)(下記構造) 0.2348部
・重合性化合物(1)(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA-9300 40% 2-ブタノン溶液、新中村化学工業(株))製)
0.2875部
・低分子親水性化合物(1)(トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
0.0287部
・低分子親水性化合物(2)(トリメチルグリシン) 0.0147部
・アニオン性界面活性剤1 30質量%水溶液(下記構造)0.25部
・紫外線吸収剤(1)(TINUVIN405、BASF(株)社製)(下記構造)
0.04部
・フッ素系界面活性剤(1)(下記構造) 0.004部
・ホスホニウム化合物(1)(下記構造) 0.020部
・2-ブタノン 5.346部
・1-メトキシ-2-プロパノール 3.128部
・メタノール 0.964部
・純水 0.036部
(ミクロゲル液(4))
・ミクロゲル(4)(固形分濃度21.8質量%) 2.243部
・1-メトキシ-2-プロパノール 0.600部
(ミクロゲル(4)の作製)
上記ミクロゲル液に用いたミクロゲル(4)の調製法を以下に示す。
<多価イソシアネート化合物(1)の調製>
イソホロンジイソシアネート17.78部(80モル当量)と下記多価フェノール化合物(1)7.35部(20モル当量)との酢酸エチル(25.31部)懸濁溶液に、ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)(ネオスタン U-600、日東化成(株)製)0.043部を加えて撹拌した。発熱が収まった時点で反応温度を50℃に設定し、3時間撹拌して多価イソシアネート化合物(1)の酢酸エチル溶液(50質量%)を得た。
<ミクロゲル(4)の調製>
下記油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を45℃で4時間撹拌後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン-オクチル酸塩(U-CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.20部を加え、室温で30分撹拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を21.8質量%になるように調整し、ミクロゲル(4)の水分散液を得た。動的光散乱式粒径分布測定装置LB-500((株)堀場製作所製)を用いて、光散乱法により体積平均粒径を測定したところ、0.28μmであった。
(油相成分)
(成分1)酢酸エチル 12.0部
(成分2)トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰返し数:90)を付加させた付加体(50質量%酢酸エチル溶液、三井化学(株)製)
3.76部
(成分3)多価イソシアネート化合物(1)(50質量%酢酸エチル溶液として)
15.0部
(成分4)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR-399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液 11.54部
(成分5)スルホン酸塩型界面活性剤(パイオニンA-41-C、竹本油脂(株)製)の10%酢酸エチル溶液 4.42部
(水相成分)
蒸留水 46.87部
<バインダーポリマー(6)の合成>
三口フラスコに、1-メトキシ-2-プロパノール:78.0gを秤取り、窒素気流下、70℃に加熱した。この反応容器に、ブレンマーPME-100(メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート、日本油脂(株)製):52.1g、メチルメタクリレート:21.8g、メタクリル酸:14.2g、ヘキサキス(3-メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール:2.15g、V-601(2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、和光純薬工業(株)製):0.38g、1-メトキシ-2-プロパノール:54gからなる混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、更に2時間反応を続けた。V-601:0.04g、1-メトキシ-2-プロパノール:4gから成る混合溶液を加え、90℃に昇温して2.5時間反応を続けた。反応終了後、室温まで反応液を冷却した。
上記の反応溶液に1-メトキシ-2-プロパノール:137.2g、4-ヒドロキシテトラメチルピペリジン-N-オキシド:0.24g、グリシジルメタクリレート:26.0g、テトラエチルアンモニウムブロミド:3.0gを加えてよく撹拌した後、90℃にて加熱した。
18時間後、室温(25℃)まで反応溶液を冷却した後、1-メトキシ-2-プロパノール:99.4gを加えて希釈した。
こうして得られたバインダーポリマー(6)は、固形分濃度:23質量%、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量は3.5万であった。
Figure 0007309741000037
<バインダーポリマー(7)の合成>
三口フラスコに、1-メトキシ-2-プロパノール:78.00gを秤取り、窒素気流下、70℃に加熱した。この反応容器に、ブレンマーPME-100(メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート、日本油脂(株)製):52.8g、メチルメタクリレート:2.8g、メタクリル酸:25.0g、ヘキサキス(3-メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール:6.4g、V-601(2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、和光純薬工業(株)製):1.1g、1-メトキシ-2-プロパノール:55gからなる混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、更に2時間反応を続けた。2時間後、V-601:0.11g、1-メトキシ-2-プロパノール:1gから成る混合溶液を加え、90℃に昇温して2.5時間反応を続けた。反応終了後、室温まで反応液を冷却した。
上記の反応溶液に1-メトキシ-2-プロパノール:177.2g、4-ヒドロキシテトラメチルピペリジン-N-オキシド:0.28g、グリシジルメタクリレート:46.0g、テトラブチルアンモニウムブロミド:3.4gを加えてよく撹拌した後、90℃にて加熱した。
18時間後、室温(25℃)まで反応溶液を冷却した後、4-メトキシフェノールを0.06g、1-メトキシ-2-プロパノール:114.5gを加えて希釈した。
こうして得られたバインダーポリマー(7)は、固形分濃度:23質量%、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量は1.5万であった。
Figure 0007309741000038
Figure 0007309741000039
Figure 0007309741000040
<画像記録層5の形成>
画像記録層4の形成における画像記録層塗布液(4)のバインダーポリマー(6)及びバインダーポリマー(7)の量を、それぞれ0.2891部及び0.4574部に変えた以外は、画像記録層4の形成と同様にして、厚さ1.2μmの画像記録層5を形成した。
<画像記録層6の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(6)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ1.1μmの画像記録層6を形成した。
画像記録層塗布液(6)は、下記感光液(6)及びミクロゲル液(6)を塗布直前に混合し撹拌することにより得た。
<感光液(6)>
・バインダーポリマー(2)(下記構造、Mw:50,000、n(エチレンオキサイド(EO)繰り返し単位数):4) 0.480部
・赤外線吸収剤(1)(上記) 0.030部
・ボレート化合物(テトラフェニルホウ酸ナトリウム) 0.014部
・重合開始剤(1)(上記) 0.234部
・重合性化合物(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA-9300、新中村化学工業(株)製)
0.192部
・低分子親水性化合物(1)(トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート)
0.052部
・アニオン界面活性剤1(上記) 0.099部
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)(下記構造) 0.12部
・感脂化剤 アンモニウム基含有ポリマー(下記構造、還元比粘度44ml/g)
0.035部
・感脂化剤 ベンジルジメチルオクチルアンモニウム・PF
0.032部
・着色剤 エチルバイオレット(下記構造) 0.030部
・フッ素系界面活性剤(1)(上記) 0.02部
・2-ブタノン 1.091部
・1-メトキシ-2-プロパノール 8.609部
Figure 0007309741000041
上記バインダーポリマー(2)及びアンモニウム基含有ポリマーの各構成単位の括弧の右下の数字は、モル比を表す。Meはメチル基を表す。
Figure 0007309741000042
Figure 0007309741000043
<ミクロゲル液(6)>
・ミクロゲル(6) 1.580部
・蒸留水 1.455部
(ミクロゲル(6)の調製)
上記ミクロゲル液(6)に用いたミクロゲル(6)の調製法を以下に示す。
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとの付加体(三井化学ポリウレタン(株)製、タケネートD-110N)10部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー・ジャパン(株)製、SR399)5.54部及びパイオニンA-41C(竹本油脂(株)製)0.1部を酢酸エチル17部に溶解した。水相成分としてPVA-205の4質量%水溶液40部を調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25部に添加し、室温(25℃、以下同様)で30分撹拌後、50℃で3時間撹拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、上記ミクロゲル(2)を調製した。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
<画像記録層7の形成>
下記熱可塑性ポリマー粒子、赤外線吸収剤及びポリアクリル酸を含有する画像記録層水系塗布液を調製し、pHを3.6に調整した後、支持体上(印刷面側)に塗布し、50℃で1分間乾燥して画像記録層7を形成した。各成分の乾燥後の塗布量を以下に示す。
・熱可塑性ポリマー粒子 0.7g/m
・赤外線吸収剤 IR-01 1.20×10-4g/m
・ポリアクリル酸 0.09g/m
画像記録層塗布液に用いた熱可塑性ポリマー粒子、赤外線吸収剤IR-01、ポリアクリル酸は以下に示す通りである。
熱可塑性ポリマー粒子:スチレン/アクリロニトリル共重合体(モル比50/50)、Tg:99℃、体積平均粒子径:60nm
赤外線吸収剤IR-01:下記構造の赤外線吸収剤
Figure 0007309741000044
ポリアクリル酸 Mw:250,000
<画像記録層8の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(8)をバー塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間乾燥し、厚さ1μmの画像記録層8を形成した。
(画像記録層塗布液(8))
・メチルエチルケトン 2.887g
・1-メトキシ-2-プロパノール 3.275g
・メタノール 1.176g
・バインダーポリマー1(下記構造) 0.066g
・バインダーポリマー2(下記構造) 0.079g
・バインダーポリマー3(下記構造、メチルエチルケトン30質量%溶液)
0.350g
・バインダーポリマー4(下記構造、メチルエチルケトン/シクロヘキサノン9.5質量%溶液) 0.350g
・重合性化合物(下記構造、1-メトキシ-2-プロパノール85質量%溶液)
0.463g
・赤外線吸収剤(下記構造) 0.024g
・重合開始剤1(下記構造) 0.090g
・重合開始剤2(下記構造) 0.064g
・増感助剤(下記構造) 0.074g
・重合禁止剤(下記構造) 0.001g
・メルカプト化合物(下記構造) 0.023g
・添加剤1(下記構造) 0.025g
・フッ素系界面活性剤 (下記構造) 0.010g
(メガファックF-780-F DIC(株)製、メチルエチルケトン10質量%溶液)
・顔料分散物(下記構造、固形分濃度22.5質量%、メチルエチルケトン31質量%、1-メトキシ-2-プロパノール31質量%、メタノール15.5質量%)
0.490g
Figure 0007309741000045
Figure 0007309741000046
Figure 0007309741000047
Figure 0007309741000048
Figure 0007309741000049
Figure 0007309741000050
Figure 0007309741000051
Figure 0007309741000052
Figure 0007309741000053
Figure 0007309741000054
Figure 0007309741000055
Figure 0007309741000056
Figure 0007309741000057
<非感光性樹脂層1の形成>
下塗り層上に、下記組成の非感光性樹脂層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で60秒間乾燥し、厚さ0.5μmの非感光性樹脂層1を形成した。
(非感光性層塗布液(1))
・バインダーポリマーA(下記) 2.465質量部
・リン酸(85質量%水溶液) 0.08質量部
・スルホフタル酸(50質量%水溶液) 0.017質量部
・トリカルバリル酸 0.017質量部
・着色剤(VPB-Naps(ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩、保土ヶ谷化学(株)製) 0.0014質量部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF-780-F、DIC(株)製、MEKの30質量%溶液) 0.009質量部
・メチルエチルケトン(MEK) 7.93質量部
・メタノール 6.28質量部
・1-メトキシ-2-プロパノール(MFG) 2.01質量部
上記バインダーポリマーAは、下記(1)~(4)の4種類のモノマーの縮合反応物(質量平均分子量:85,000、酸含有量:1.64meq/g)のMFG/MEK=1/1の16質量%溶液である。
(1)4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート 37.5モル%
(2)ヘキサメチレンジイソシアネート 12.5モル%
(3)2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 32.5モル%
(4)テトラエチレングリコール 17.5モル%
<非感光性樹脂層2の形成>
下塗り層に、下記の非感光性樹脂層塗布液(2)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ1μmの非感光性樹脂層2を形成した。
非感光性樹脂層塗布液(2)は、上記画像記録層塗布液(3)における感光液(3)から、赤外線吸収剤(1)、重合開始剤(1)、ボレート化合物(1)及び紫外線吸収剤(1)を除く以外は同様にして調製した。
<保護層1の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.18μmの保護層1を形成した。
(保護層塗布液(1))
・ポリビニルアルコール(ポバールPVA105、けん化度:98~99mol%)(株)クラレ製) 1.00質量部
・ポリエチレングリコール(PEG4000、東京化成(株)製)
0.39質量部
・界面活性剤(ラピゾール A-80(下記)、日油(株)製)
0.01質量部
・水 全体が10質量部となる量
Figure 0007309741000058
<保護層2の形成>
画像記録層又は非感光性樹脂層上に、下記組成の保護層塗布液(2)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.18μmの保護層2を形成した。
(保護層塗布液(2))
・無機層状化合物分散液(1)(下記)3.2質量%水溶液 2.219g
・親水性ポリマー(1)(下記構造、Mw:30,000)20質量%溶液(メタノール64質量%、水16質量%) 0.3254g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、CKS50、スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液
0.2465g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA-405、けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.0179g
・界面活性剤(ラピゾールA-80(上記)、日油(株)製)80質量%水溶液
0.0143g
・シリカ粒子(スノーテックスMP-1040、日産化学工業(株)製)40質量%水溶液 0.0372g
・イオン交換水 4.699g
Figure 0007309741000059
(無機層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6部に合成雲母ソマシフME-100(コープケミカル(株)製)6.4部を添加し、ホモジナイザーを用いて体積平均粒子径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散して無機層状化合物分散液(1)を調製した。分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
<保護層3の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(3)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.18μmの保護層3を形成した。
(保護層塗布液(3))
・無機層状化合物分散液(1)(上記) 2.290部
・ポリビニルアルコール(CKS50、日本合成化学工業(株)製、スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液
1.083部
・界面活性剤(ラピゾールA-80(上記)、日油(株)製)80質量%水溶液
0.015部
・リン酸(85質量%水溶液) 0.032部
・リン酸水素二アンモニウム 0.044部
・純水 4.517部
<保護層4の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(4)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.18μmの保護層4を形成した。
(保護層用塗布液(4))
・無機層状化合物分散液(1)(上記) 2.212部
・ポリビニルアルコール(ゴーセランL-3266、日本合成化学工業(株)製、スルホン酸変性、けん化度85モル%)6質量%水溶液
1.440部
・界面活性剤(パイオニンA-32-B(下記構造)、竹本油脂(株)製)40質量%水溶液)
0.014部
・界面活性剤(サーフィノール465(下記構造)、日信化学(株)製)
0.006部
・リン酸(85質量%水溶液) 0.023部
Figure 0007309741000060
<保護層5の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(5)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.18μmの保護層5を形成した。
(保護層塗布液(5))
・無機質層状化合物分散液(1)(上記) 1.5部
・親水性ポリマー(2)(固形分)(下記構造、Mw:3万) 0.55部
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液
0.10部
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA-405、けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03部
・界面活性剤(ラピゾールA-80(上記)日油(株)製)80質量%水溶液
0.011部
・イオン交換水 6.0部
Figure 0007309741000061
<保護層6の形成>
非感光性樹脂層上に、下記組成の保護層塗布液(6)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ0.18μmの保護層6を形成した。
(保護層塗布液(6))
・合成雲母(ソマシフME-100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)
94質量部
・ポリビニルアルコール(CKS-50:ケン化度:99モル%、重合度:300、日本合成化学工業(株)製) 58質量部
・カルボキシメチルセルロース(セロゲンPR、第一工業製薬(株)製)
24質量部
・界面活性剤-1(プルロニックP-84、BASF社製) 2.5質量部
・界面活性剤-2(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
5質量部
・純水 1,364質量部
上記プルロニックP-84は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド ブロック共重合体であり、エマレックス710は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルである。
<粒子含有層の形成>
表Aに記載の粒子を、表Aに記載の粒子含有層に相当する上記画像記録層、非感光性樹脂層及び保護層のいずれかの塗布液に、表Aに記載の面内密度となるように添加量を調整して添加して調製した塗布液を、上記のように塗布、乾燥して粒子含有層を形成した。
<バックコート層1の形成>
支持体の印刷面側とは反対側に、下記組成のバックコート層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で30秒間乾燥して、厚さ1.0μmバックコート層1を形成した。
(バックコート層塗布液(1))
・ポリ(メタクリル酸メチル)(Mw:120,000、シグマアルドリッチ社製)
10.0質量部
・フッ素系界面活性剤(1)(上記) 0.05質量部
・メチルエチルケトン 90.0質量部
・アートパールJ-5P(根上工業(株)製) 0.13質量部
<バックコート層2の形成>
支持体の印刷面側とは反対側に、下記組成のバックコート層塗布液(2)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥して、厚さ0.3μmのバックコート層2を形成した。
(バックコート層塗布液(2)の調製)
・テトラエチルシリケート(金属酸化物) 50質量部
・水 20質量部
・メタノール 15質量部
・リン酸 0.05質量部
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、下記の混合液を加えることによりバックコート層塗布液(2)を調製した。
・ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(Mw:2000) 4質量部
・ジメチルフタレート 5質量部
・フッ素系界面活性剤(N-ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/ポリオキシエチレンアクリレート共重合体(Mw:20000)
0.7質量部
・メタノール 800質量部
<印刷用原版の作製>
上記支持体、下塗り層、画像記録層、非感光性樹脂層、保護層、バックコート層を表Aに記載のように組み合わせて、印刷用原版を作製した。
即ち、上記支持体、下塗り層、画像記録層、保護層を表Aに記載のように組み合わせて実施例1~35及び実施例38の平版印刷版原版、実施例36~37の印刷用捨て版原版、並びに比較例1~4の平版印刷版原版を作製した。実施例38の平版印刷版原版においては、印刷面側とは反対側にバックコート層1を設けた。比較例4の平版印刷版原版においては、印刷面側とは反対側にバックコート層2を設けた。
実施例1~35の平版印刷版原版、実施例36~37の印刷用捨て版原版、並びに比較例1~3の平版印刷版原版において、印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度は1200秒、算術平均高さSaは0.1μmであった。実施例38の平版印刷版原版において、印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度は80秒、算術平均高さSaは2.1μmであった。比較例4の平版印刷版原版において、印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度は1240秒、算術平均高さSaは0.1μmであった。
Figure 0007309741000062
Figure 0007309741000063
表Aにおいて、粒子の種類の欄に記載の粒子は以下の通りである。
粒子1:アートパールJ-4P(平均粒子径:1.9μm)
粒子2:アートパールJ-5P(平均粒子径:3.2μm)
粒子3:アートパールJ-6P(平均粒子径:5.3μm)
粒子4:アートパールJ-3PY(平均粒子径:1.2μm)
粒子5:アートパールJ-4PY(平均粒子径:2.2μm)
粒子6:アートパールJ-6PF(平均粒子径:4μm)
粒子7:アートパールJ-7PY(平均粒子径:6μm)
粒子8:トスパール120(平均粒子径:2μm)
粒子9:トスパール130(平均粒子径:3μm)
粒子10:トスパール145(平均粒子径:4.5μm)
粒子11:トスパール2000B(平均粒子径:6μm)
粒子12:アートパールC-800透明(平均粒子径:6μm)
得られた印刷用原版について、以下の評価を行った。評価結果を表Bに示す。
<現像遅れ防止性>
(1)機上現像用印刷用原版(実施例1~32、38及び比較例1~4の平版印刷版原版並びに実施例37の印刷用捨て版原版)
印刷用原版の印刷面側の表面と、印刷面側とは反対側の表面とを直接接触させ計50枚積層させた後、35kgf/cmの圧力で8日間圧着した。この操作を行った印刷用原版の中で、平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter3244にセットし、解像度2,400dpi、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cmの条件で画像露光した。画像露光後の平版印刷版原版及び画像露光を行わなかった印刷用捨て版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとしてインクテック(株)製ソイビーKKST-S(紅)、湿し水としてサカタインクス(株)製エコセブンN-1を用い、新聞用紙に100,000枚/時のスピードで印刷した。画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像枚数として計測し、以下の基準で現像遅れ防止性を評価した。5~3が許容範囲である。
5:圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+3枚以下の機上現像枚数
4:圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+4枚以上で圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+5枚以下の機上現像枚数
3:圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+6枚以上で圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+10枚以下の機上現像枚数
2:圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+11枚以上で圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+15枚以下の機上現像枚数
1:圧着操作を行っていない印刷用原版の機上現像枚数+16枚以上の機上現像枚数
(2)現像液による現像用印刷用原版(実施例33の平版印刷版原版)
印刷用原版の印刷面側の表面と、印刷面側とは反対側の表面とを直接接触させ計50枚積層させた後、35kgf/cmの圧力で8日間圧着した。この操作を行った印刷用原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T-6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm(回毎分)、レーザー出力70%、解像度2,400dpi(dot per inch)の条件で露光した。露光画像には、ベタ画像及び50%網点チャートを含むようにした。
次いで、下記組成の現像液1を用い、図4に示す構造の自動現像処理機を用いて現像処理を実施し、印刷版を得た。
図4に示す現像処理装置は、回転ブラシロール111を2本有する自動現像処理機である。回転ブラシロール111としては、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ7mm)を植え込んだ外径55mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分120回転(ブラシの先端の周速0.94m/s)させた。
露光済みの印刷用原版130の搬送は、回転ブラシロール111とこれと対向する搬送ガイド板114の間に印刷用原版130が通過するように、二対の搬送ロール113の間を図示した搬送方向に、給版台118から排版台119まで、搬送ガイド板114の上を搬送速度60cm/minで行った。
3カ所のスプレーパイプ115には、管路116によりフィルター117を通して、現像液タンク120に貯留された現像液を、循環ポンプ121により供給して、各スプレーパイプ115から版面にシャワーリングして供給した。なお、処理液タンク120の容量は、20リットルであり、現像液は循環使用した。現像処理機から排出された印刷版は、水洗することなく乾燥機122により乾燥した。
<現像液1>
・下記界面活性剤-1(花王(株)製:ペレックスNBL) 7.43g
・下記界面活性剤-2(日本乳化剤(株)製:ニューコールB13)
1.45g
・下記界面活性剤-3(Air Products社製:サーフィノール2502)
0.4g
・ベンジルアルコール 0.6g
・グルコン酸ナトリウム 2.77g
・リン酸一水素二ナトリウム 0.3g
・炭酸水素ナトリウム 0.22g
・消泡剤(Bluester Silicones社製:SILCOLAPSE432)
0.005g
・水 86.83g
(pH:8.5)
Figure 0007309741000064
得られた印刷版の5cm×5cmを倍率25倍のルーペで観察し、残膜の個数をカウントして、以下の基準で現像遅れ防止性を評価した。5~3が許容範囲である。
5:残膜の個数が0個
4:残膜の個数が1~2個
3:残膜の個数が3~10個
2:残膜の個数が11~50個
1:残膜の個数が51個以上
(3)現像液による現像用印刷用原版(実施例34の平版印刷版原版)
印刷用原版の印刷面側の表面と、印刷面側とは反対側の表面とを直接接触させ計50枚積層させた後、35kgf/cmの圧力で8日間圧着した。この操作を行った印刷用原版を、上記(2)現像液による現像用印刷用原版と同様にして画像露光、現像処理を行い印刷版を得た。但し、現像液は下記の現像液2を用いた。得られた印刷版について、上記(2)現像液による現像用印刷用原版と同様にして現像遅れ防止性を評価した。
<現像液2>
・界面活性剤-4(Dow Chemical社製:DOWFAX3B2)(下記)
0.7質量部
・エチレングリコール 0.7質量部
・デキストリン(アミコールNo1、日澱化學(株)製) 3.9質量部
・リン酸二水素一カリウム 2.7質量部
・水酸化カリウム 0.7質量部
・消泡剤(Bluester Silicones社製:SILCOLAPSE432)
0.005質量部
・水 91.30質量部
(pH:7.0)
Figure 0007309741000065

(4)現像液による現像用印刷用原版(実施例35の平版印刷版原版及び実施例36の印刷用捨て版原版)
印刷用原版の印刷面側の表面と、印刷面側とは反対側の表面とを直接接触させ計50枚積層させた後、35kgf/cmの圧力で8日間圧着した。この操作を行った実施例35の平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter3244にセットし、解像度2,400dpi、出力5W、外面ドラム回転数185rpm、版面エネルギー65mJ/cmの条件で画像露光した。実施例36の印刷用捨て版原版は画像露光を行わなかった。
次いで、富士フイルム(株)製自動現像機LP-1310NewsIIを用いて搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。現像液は富士フイルム(株)製HN-Dの1:4水希釈液、現像補充液はFCT-421の1:1.4水希釈液、フィニッシャーは富士フイルム(株)製HN-GVの1:1水希釈液をそれぞれ用いた。得られた印刷版について、上記(2)現像液による現像用印刷用原版と同様にして現像遅れ防止性を評価した。
<多重給版の防止性>
印刷用原版を同じ向きで合紙を用いず100枚集積した積層体を、NECエンジニアリング(株)製のCTPプレートセッター「AMZIsetter」にセットし、積層体の最上部から版を1枚ずつ取りだす操作を100回連続で行った。その際の版さばき性を下記の基準で評価した。多重給版の防止性としては5~3が許容範囲である。
5:版上昇時に次版が持ち上がらない現象が100%である。
4:版上昇時に次版が持ち上がり、すぐに落ちない現象が全体の1%以下である。
3:版上昇時に次版が持ち上がり、1度目のさばき動作で剥がれない現象が全体の1%以下である。
2:版上昇時に次版が持ち上がり、1度目のさばき動作で剥がれない現象が全体の1%を超え5%以下である。
1:版上昇時に次版が持ち上がり、1度目のさばき動作で剥がれない現象が全体の5%を超える。
<凸部の脱落防止性>
印刷用原版を25℃60%RHの環境下で2時間調湿後、2.5cm×2.5cmに打ち抜き、新東科学(株)製の連続加重式引掻強度試験機TYPE-18に取り付け、打ち抜いていない印刷用原版の印刷面側の表面上に、打ち抜いた印刷用原版の印刷面側とは反対側の表面が接触するようにセットし、0gf~1,500gfの加重で印刷用原版の数箇所を擦った。擦った印刷面側の表面を目視及び走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、印刷面側の最外層表面の凸部の脱落レベルを以下の基準で評価した。5~3が許容範囲である。
5:まったく脱落がない。
4:凸部100個中、脱落が1個以上5個未満
3:凸部100個中、脱落が5個以上10個未満
2:凸部100個中、脱落が10個以上50個未満
1:凸部100個中、脱落が50個以上
<擦れ傷防止性>
(1)機上現像用印刷用原版
印刷用原版を25℃60%RHの環境下で2時間調湿後、2.5cm×2.5cmに打ち抜き、新東科学(株)製の連続加重式引掻強度試験機TYPE-18に取り付け、打ち抜いていない印刷用原版の印刷面側の表面上に、打ち抜いた印刷用原版の印刷面側とは反対側の表面が接触するようにセットし、0gf~1,500gfの加重で印刷用原版の数箇所に擦れ傷をつけた。擦れ傷をつけた印刷用原版の中で、平版印刷用原版をCreo社製Trendsetter3244にセットし、解像度2,400dpi、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cmの条件で画像露光した。画像露光後の平版印刷版原版及び画像露光を行わなかった印刷用捨て版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとしてインクテック(株)製ソイビーKKST-S(紅)、湿し水としてサカタインクス(株)製エコセブンN-1を用い、新聞用紙に100,000枚/時のスピードで印刷した。印刷過程において、1,000枚目の印刷物をサンプリングし、擦れ傷に起因するキズ汚れの程度を目視及び6倍率のルーペで観察し、擦れ傷防止性を以下の基準で評価した。5~3が許容範囲である。
5:6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れがない。
4:目視では確認はできないが、6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れが1か所ある。
3:目視では確認はできないが、6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れが数か所ある。
2:複数個所に目視で確認可能なキズ汚れがある。
1:全面に目視で確認可能なキズ汚れがある。
(2)現像液による現像用印刷用原版
印刷用原版を25℃60%RHの環境下で2時間調湿後、2.5cm×2.5cmに打ち抜き、新東科学(株)製の連続加重式引掻強度試験機TYPE-18に取り付け、打ち抜いていない印刷用原版の印刷面側の表面上に、打ち抜いた印刷用原版の印刷面側とは反対側の表面が接触するようにセットし、0gf~1,500gfの加重で印刷用原版の数箇所に擦れ傷をつけた。擦れ傷をつけた印刷用原版の中で、平版印刷用原版をCreo社製Trendsetter3244にセットし、解像度2,400dpi、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cmの条件で画像露光した。画像露光後の平版印刷版原版及び画像露光を行わなかった印刷用捨て版原版を、上記現像遅れ防止性の評価において現像液による現像用印刷用原版について記載した方法に従って現像処理し、印刷版を得た。
得られた印刷版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとしてインクテック(株)製ソイビーKKST-S(紅)、湿し水としてサカタインクス(株)製エコセブンN-1を用い、新聞用紙に100,000枚/時のスピードで印刷した。印刷過程において、1,000枚目の印刷物をサンプリングし、擦れ傷に起因するキズ汚れの程度を目視及び6倍率のルーペで観察し、擦れ傷防止性を以下の基準で評価した。5~3が許容範囲である。
5:6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れがない。
4:目視では確認はできないが、6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れが1か所ある。
3:目視では確認はできないが、6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れが数か所ある。
2:複数個所に目視で確認可能なキズ汚れがある。
1:全面に目視で確認可能なキズ汚れがある。
Figure 0007309741000066
表Bに記載の結果から、本発明に係る印刷用原版は、合紙レスであっても多重給版の防止性、凸部の脱落防止性、擦れ傷防止性、及び、現像遅れ防止性という特性の全てにおいて優れていることが明らかである。これに対して、比較用の平版印刷版原版は上記特性の1つ以上において劣った結果しか得られないことがわかる。また、多重給版の防止と現像遅れ防止を両立することができないことがわかる。
特に、本発明に係る機上現像用印刷用原版においては、優れた多重給版の防止性、凸部の脱落防止性、及び、擦れ傷防止性を維持しつつ、機上現像の遅れを有効に防止することができる。
合紙レスであっても集積体から原版を取り出す工程における多重給版の防止性、原版の最外層表面に付与された凸部の脱落防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する擦れ傷防止性、原版の最外層表面に付与された凸部に起因する現像遅れ防止性という特性の全てに優れる印刷用原版、並びに、当該印刷用版原版を用いた印刷用原版積層体、印刷版の製版方法、及び印刷方法を提供することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2018年9月28日出願の日本特許出願(特願2018-185922)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
50 主電解槽
51 交流電源
52 ラジアルドラムローラ
53a、53b 主極
54 電解液供給口
55 電解液
56 スリット
57 電解液通路
58 補助陽極
60 補助陽極槽
W アルミニウム板
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422,428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源
111 回転ブラシロール
113 搬送ロール
114 搬送ガイド板
115 スプレーパイプ
116 管路
117 フィルター
118 給版台
119 排版台
120 現像液タンク
121 循環ポンプ
122 乾燥機
130 印刷用原版
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ

Claims (19)

  1. アルミニウム支持体の印刷面側に粒子(但し、高密度ポリエチレン粒子を除く)を含む層を有し、前記粒子の弾性率が0.1GPa以上であり、前記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒とした場合に、下記式(1)を満たす印刷用原版であって、
    前記印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.3μm以上20μm以下であり、
    前記印刷面側に画像記録層を有し、
    前記画像記録層が前記粒子を含む層であり、前記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、前記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である印刷用原版。
    a≦1,000 (1)
  2. 前記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度a秒が、下記式(2)を満たす請求項1に記載の印刷用原版。
    a≦300 (2)
  3. 前記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒、前記印刷面側とは反対側における最外層表面のBekk平滑度をb秒とした場合に、下記式(1)、及び、式(3)を満たす請求項1又は2に記載の印刷用原版。
    a≦1,000 (1)
    1/a+1/b≧0.002 (3)
  4. 前記印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaが、0.1μm以上20μm以下である請求項1~のいずれか1項に記載の印刷用原版。
  5. 前記印刷面側における最外層表面の算術平均高さSaと、前記印刷面側とは反対側における最外層表面の算術平均高さSaとの合計値が、0.3μmを超え20μm以下である請求項1~のいずれか1項に記載の印刷用原版。
  6. 前記粒子の弾性率が0.7GPa以上である請求項1~のいずれか1項に記載の印刷用原版。
  7. 前記画像記録層が、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物、及び、高分子化合物を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の印刷用原版。
  8. 前記高分子化合物がスチレン、及び/又は、アクリロニトリルを構成単位として含む高分子化合物である請求項に記載の印刷用原版。
  9. 前記印刷面側に保護層を有する請求項のいずれか1項に記載の印刷用原版。
  10. 前記保護層が前記粒子を含む層であり、前記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、前記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である請求項に記載の印刷用原版。
  11. 前記保護層の厚さが0.2μm未満である請求項又は10に記載の印刷用原版。
  12. アルミニウム支持体の印刷面側に粒子(但し、高密度ポリエチレン粒子を除く)を含む層を有し、前記粒子の弾性率が0.1GPa以上であり、前記印刷面側における最外層表面のBekk平滑度をa秒とした場合に、下記式(1)を満たす印刷用原版であって、
    前記印刷面側に非感光性樹脂層を有し、
    前記非感光性樹脂層が前記粒子を含む層であり、前記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、前記粒子の面内密度が10,000個/mm 以下である、印刷用原版(但し、アルミニウム支持体上に、感光層、無機層状化合物を含む中間層、フィラーを含む保護層をこの順で積層する、平版印刷版原版を除く)。
    a≦1,000 (1)
  13. 前記印刷面側に保護層を有する請求項12に記載の印刷用原版。
  14. 前記保護層が、水溶性ポリマーを含む請求項13に記載の印刷用原版。
  15. 前記水溶性ポリマーが、けん化度50%以上のポリビニルアルコールである請求項14に記載の印刷用原版。
  16. 前記保護層が前記粒子を含む層であり、前記粒子の平均粒子径が0.5μm以上20μm以下であり、前記粒子の面内密度が10,000個/mm以下である請求項1315のいずれか1項に記載の印刷用原版。
  17. 前記保護層の厚さが0.2μm未満である請求項1316のいずれか1項に記載の印刷用原版。
  18. 請求項11のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、並びに、印刷インキ及び湿し水の少なくともいずれかを供給して印刷機上で画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
  19. 請求項11のいずれか1項に記載の印刷用原版を画像露光する工程、及び、pHが2以上12以下の現像液を供給して画像記録層の未露光部を除去し印刷版を作製する工程を含む印刷版の製版方法。
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