JP7220760B2 - 平版印刷版原版、及び、平版印刷版の作製方法 - Google Patents
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Description
平版印刷は、水と油性インキとが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
このような平版印刷版原版は、一般的に、水溶性オーバーコート層を有することにより、平版印刷版表面の親水性が高くなり、インキの着肉性が十分でない場合があった。
また、平版印刷版原版に従来のマット層を形成した場合、現像カスが多く生じてしまい、現像カス抑制性が十分ではないことを本発明者らは見出した。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することである。
<1> 支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が設けられた側の最外層表面の少なくとも一部に疎水部を有し、上記最外層表面における上記疎水部の占有面積率が、20面積%を超え100面積%未満である平版印刷版原版。
<2> 上記最外層表面における上記疎水部の占有面積率が、50面積%以上100面積%未満である<1>に記載の平版印刷版原版。
<3> 上記最外層が、画像記録層である<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版。
<4> 上記画像記録層上に保護層を更に有し、
上記最外層が、上記保護層である<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版。
<5> 上記疎水部が、ポリマーを含む<1>~<4>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<6> 上記疎水部に含まれるポリマーのcLogPが、1以上4未満である<1>~<5>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<7> 上記疎水部が、粒子を含む<1>~<6>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<8> 上記粒子が、水分散性粒子である<7>に記載の平版印刷版原版。
<9> 上記粒子の体積平均粒子径が、0.1μmより小さい<7>又は<8>に記載の平版印刷版原版。
<10> 上記粒子のcLogPが、1以上4未満である<7>~<9>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<11> 上記粒子が、アクリル樹脂粒子、及び、スチレンアクリル樹脂粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子である<7>~<10>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<12> 機上現像用平版印刷版原版である<1>~<11>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<13> <1>~<12>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する工程、並びに、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して非画像部を除去する工程を含む平版印刷版の作製方法。
<14> <1>~<11>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する露光工程と、pHが2以上11以下の現像液を供給して上記未露光部を除去する現像工程と、を含む平版印刷版の作製方法。
また、本発明の他の実施形態によれば、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することができる。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本明細書において、「平版印刷版原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、捨て版原版を包含する。また、「平版印刷版」の用語は、平版印刷版原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、捨て版を包含する。捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。なお、捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための平版印刷版原版である。
以下、本開示を詳細に説明する。
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が設けられた側の最外層表面の少なくとも一部に疎水部を有し、上記最外層表面における上記疎水部の占有面積率が、20面積%を超え100面積%未満である。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、機上現像用平版印刷版原版であることが好ましい。
上記構成による優れた効果の作用機構は明確ではないが、以下のように推定している。
上述したように、従来の平版印刷版原版では、着肉性、及び、現像カス抑制性の少なくともいずれかが十分でなく問題があることを、本発明者らは見出した。
本発明者らが鋭意検討した結果、画像記録層が設けられた側の最外層表面の少なくとも一部に疎水部を有することにより、平版印刷版、特に画像記録層への湿し水の浸透量を減らすことができ、非画像部の画像記録層が湿し水付与時に脱離して現像カスが生じることを抑制でき、また、上記最外層表面における上記疎水部の占有面積率が、20面積%を超え100面積%未満であることにより、非連続的な疎水部であるため、疎水性であるインクをより保持でき、着肉性が向上すると推定される。
本開示に係る平版印刷版原版は、上記画像記録層が設けられた側の最外層表面の少なくとも一部に疎水部を有し、上記最外層表面における上記疎水部の占有面積率が、20面積%を超え100面積%未満である。
本開示における水接触角の測定方法は、協和界面化学(株)製DM-501によって、25℃における最外層上の水滴の接触角(0.2秒後)を測定する。
また、上記疎水部の占有面積率は、着肉性の観点からは、30面積%以上100面積%未満であることが好ましく、50面積%以上100面積%未満であることがより好ましく、60面積%以上99面積%以下であることが更に好ましく、70面積%以上98面積%以下であることが特に好ましい。
更に、上記疎水部が粒子を含む場合、着肉性及び現像カス抑制性の観点からは、20面積%を超え70面積%以下であることが好ましく、20面積%を超え50面積%以下であることがより好ましく、20面積%を超え30面積%以下であることが更に好ましく、20面積%を超え25面積%以下であることが特に好ましい。
更に、上記疎水部が粒子を含まない場合、着肉性及び現像カス抑制性の観点からは、30面積%以上100面積%未満であることが好ましく、50面積%以上99面積%以下であることがより好ましく、70面積%以上98面積%以下であることが更に好ましく、80面積%以上98面積%以下であることが特に好ましい。
アルバック・ファイ社製PHI nano TOFII型飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS)を用い、最外層表面に加速電圧30kVでBiイオンビーム(一次イオン)を照射し、表面から放出される疎水部に相当するイオン(二次イオン)のピークを測定することで、疎水部のマッピングを行い、1μm2あたりに占める疎水部の面積を測定し、疎水部の占有面積率とする。
例えば、アクリル樹脂である場合は、C6H13O-のピークにより測定を行う。
また、上記疎水部は、上記占有面積率の調整容易性、及び、着肉性の観点からは、ポリマーを含むことが好ましく、現像カス抑制性及び現像性(特に、機上現像性)の観点からは、粒子を含むことが好ましく、着肉性、現像カス抑制性及び現像性(特に、機上現像性)の観点から、ポリマー粒子を含むことがより好ましい。
上記ポリマーは、粒子状であっても、不定形であってもよく、特に制限はない。例えば、上記疎水部がポリマー粒子より形成されていてもよいし、最外層表面に疎水部と疎水部のない部分とで海島構造を形成し、その海構造又は島構造がポリマーにより形成されていてもよい。
上記疎水部に用いられるポリマーがポリマー粒子である場合、上記疎水部は、着肉性及び現像カス抑制性の観点から、アクリル樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、及び、メラミン樹脂粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマー粒子を含むことが好ましく、アクリル樹脂粒子、及び、スチレンアクリル樹脂粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子を含むことがより好ましい。
また、上記疎水部に用いられるポリマーが粒子状でない場合、上記疎水部は、着肉性及び現像カス抑制性の観点から、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、及び、ウレタン樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーを含むことが好ましく、アクリル樹脂を含むことがより好ましい。
上記疎水部に用いられるポリマーは、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
ClogP値とは、1-オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法やソフトウェアについては公知の物を用いることができるが、特に断らない限り、本開示ではCambridge soft社のChemBioDraw Ultra 12.0に組み込まれたClogPプログラムを用いることとする。
また、本開示において、ポリマーとは、重量平均分子量が1,000以上の化合物をいう。
また、上記粒子としては、現像カス抑制性の観点から、水分散性粒子であることが好ましい。
無機粒子としては、疎水部を形成可能な粒子であれば、特に制限はないが、シリカ粒子、アルミナ粒子等が挙げられる。
また、無機粒子の場合は、表面が疎水化処理された粒子であることが好ましい。
上記疎水部に用いられる粒子は、1種単独で含有されてもよいし、2種以上を含有されてもよい。
本開示において、粒子の体積平均粒径は、粒子を分取し、レーザー光散乱法により算出される。
例えば、疎水部を形成するポリマー若しくは粒子、又は、その両方を添加し画像記録層形成用組成物により画像記録層を形成し、画像記録層の支持体側とは反対側の表面に疎水部を形成する方法が挙げられる。疎水部を形成する材料は、画像記録層を形成する材料よりも更に疎水性の高いものが多いため、親水性表面を有する支持体又は下塗り層に画像記録層を塗布した場合、画像記録層の支持体側とは反対側の表面及びその近傍に、疎水部を形成する材料が集まりやすく、容易に疎水部を形成することができる。
また、作製した平版印刷版原版の最外層表面に、疎水部を形成するポリマー若しくは粒子、又は、その両方を所望の形状、占有面積率となるように塗布することにより、疎水部を形成する方法も挙げられる。
更に、疎水部を形成するポリマー若しくは粒子、又は、その両方と水溶性ポリマーとを含む疎水部形成用組成物(オーバーコート組成物)を、作製した平版印刷版原版の最外層表面の一部又は全面に塗布することにより、疎水部を形成する方法も挙げられる。
上記水溶性ポリマーは、1種単独で含有されてもよいし、2種以上を含有されてもよい。
本開示における水溶性ポリマーとは、25℃における水100gに対して1g以上溶解する高分子化合物であり、25℃における水100gに対して5g以上溶解する高分子化合物であることが好ましく、25℃における水100gに対して10g以上溶解する高分子化合物であることがより好ましい。
オキシアルキレン基を含む水溶性高分子の具体的な例としては、ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン縮合物ともいう。)等のポリアルキレングリコール;ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル等の、ポリオキシアルキレンモノアルキル又はアリールエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリグリセリン、ポリオキシエチレングリセリン、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルのような、ポリグリセリン又はそのエーテル、ポリオキシエチレンモノエステル、並びに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルエステルが好適に用いられる。
多糖類としては、水溶性を有する限り、特に限定されず、多糖、多糖誘導体及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
本開示におけるセルロース化合物は、水溶性を有する化合物であり、セルロースの一部が変性された化合物であることが好ましい。
セルロース化合物としては、セルロースの水酸基の少なくとも一部が、アルキル基及びヒドロキシアルキル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種により置換された化合物が好ましく挙げられる。
セルロース化合物としては、アルキルセルロース化合物又はヒドロキシアルキルセルロース化合物が好ましく、アルキルセルロース化合物がより好ましく、メチルセルロースが特に好ましい。
ヒドロキシアルキルセルロース化合物としては、ヒドロキシプロピルセルロース、又は、メチルセルロースが好ましく挙げられる。
ただし、水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、現像性及び現像カス抑制性の観点から、1,000~200,000が好ましく、3,000~100,000がより好ましく、5,000~70,000が特に好ましい。上記水溶性高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)により測定することができる。
また、上記疎水部は、界面活性剤等の公知の添加剤を更に含有していてもよい。
本開示に係る平版印刷版原版における上記画像記録層が設けられた側の最外層表面における上記疎水部の平均厚さは、着肉性及び現像カス抑制性の観点から、0.001μm以上1μm以下であることが好ましく、0.005μm以上0.5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上0.2μm以下であることが更に好ましく、0.015μm以上0.1μm以下であることが特に好ましい。
上記疎水部の平均厚さの測定方法は、断面観察にて上記疎水部の厚さを5箇所以上測定し、平均値を算出するものとする。
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体を有する。
本開示に係る平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。
また、本開示に係る平版印刷版原版に用いられる支持体としては、アルミニウム支持体が好ましく、親水化されたアルミニウム支持体がより好ましい。
中でも、陽極酸化処理されたアルミニウム板が更に好ましく、粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に好ましい。
上記粗面化処理及び陽極酸化処理は、公知の方法により行うことができる。
アルミニウム板には、必要に応じて、特開2001-253181号公報や特開2001-322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さRaが0.10μm~1.2μmであることが好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体上に、画像記録層を有する。
また、本開示に係る平版印刷版原版の画像記録層側の最外層が、現像カス抑制性の観点から、画像記録層であることが好ましい。
本開示における画像記録層は、ポジ型の画像記録層であっても、ネガ型の画像記録層であってもよいが、ネガ型の画像記録層であることが好ましい。
また、本開示における画像記録層は、下記第一の態様~第五の態様のいずれかの態様であることが好ましい。
第一の態様:赤外線吸収剤、重合性化合物及び重合開始剤を含有する。
第二の態様:赤外線吸収剤及び熱可塑性ポリマー粒子を含有する。
第三の態様:第一の態様において、ポリマー粒子又はミクロゲルを更に含有する。
第四の態様:第一の態様において、熱可塑性ポリマー粒子を更に含有する。
第五の態様:第四の態様において、ミクロゲルを更に含有する。
上記第一の態様又は第二の態様によれば、得られる平版印刷版の耐刷性に優れた平版印刷版原版が得られる。
上記第三の態様によれば、機上現像性に優れた平版印刷版原版が得られる。
上記第四の態様によれば、更に耐刷性に優れた平版印刷版原版が得られる。
上記第五の態様によれば、更に耐刷性に優れた平版印刷版原版が得られる。
また、ポジ型の画像記録層としては、公知の画像記録層を用いることができる。
上記粒子としては、アクリル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、又は、メラミン樹脂粒子が好ましく、アクリル樹脂粒子が特に好ましい。
画像記録層における上記粒子の含有量は、0.1g/m2~1g/m2が好ましく、0.15g/m2~0.8g/m2がより好ましく、0.2g/m2~0.4g/m2が特に好ましい。
また、画像記録層は、バインダーポリマーを含有することが好ましく、バインダーポリマーとして、アクリル樹脂を含有することが好ましい。
画像記録層における上記バインダーポリマーの含有量は、0.03g/m2~0.5g/m2が好ましく、0.06g/m2~0.5g/m2がより好ましく、0.1g/m2~0.3g/m2が特に好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版における好ましい1つの態様によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する画像記録層(以下、「画像記録層A」ともいう。)である。
本開示に係る平版印刷版原版における好ましいもう1つの態様によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及び粒子形状の高分子化合物を含有する画像記録層(以下、「画像記録層B」ともいう。)である。
本開示に係る平版印刷版原版における好ましい更にもう1つの態様によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤及び熱可塑性ポリマー粒子を含有する画像記録層(以下、「画像記録層C」ともいう。)である。
画像記録層Aは、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及びバインダーポリマーを含有する。以下、画像記録層Aの構成成分について説明する。
赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して、例えば、後述の重合開始剤に電子移動、エネルギー移動、又は、その両方を行う機能を有する。本開示において使用される赤外線吸収剤は、波長760nm~1,200nmに吸収極大を有する染料又は顔料が好ましく、染料がより好ましい。
染料としては、特開2014-104631号公報の段落0082~0088に記載のものを使用できる。
顔料の平均粒径は、0.01μm~1μmが好ましく、0.01μm~0.5μmがより好ましい。顔料を分散するには、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)などに記載されている。
赤外線吸収剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.05質量%~30質量%が好ましく、0.1質量%~20質量%がより好ましく、0.2質量%~10質量%が特に好ましい。
重合開始剤は、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物である。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。具体的には、特開2014-104631号公報の段落0092~0106に記載のラジカル重合開始剤を使用できる。
重合開始剤の中で、好ましい化合物として、オニウム塩が挙げられる。中でもヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく挙げられる。それぞれの塩の中で好ましい具体的化合物は、特開2014-104631号公報の段落0104~0106に記載の化合物と同じである。
重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和結合を有する付加重合性化合物であり、好ましくは末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態を有する。具体的には、特開2014-104631号公報の段落0109~0113に記載の重合性化合物を使用できる。
バインダーポリマーは、主として画像記録層の膜強度を向上させる目的で用いられる。バインダーポリマーは、従来公知のものを使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。中でも、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましい。
好適なバインダーポリマーとしては、特開2008-195018号公報に記載のような、画像部の皮膜強度を向上するための架橋性官能基を主鎖又は側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。架橋性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1~10.0mmol、より好ましくは0.25~7.0mmol、特に好ましくは0.5~5.5mmolである。
親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキレンオキシド構造、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホ基、リン酸基等などが挙げられる。中でも、炭素数2又は3のアルキレンオキシド単位を1個~9個有するアルキレンオキシド構造が好ましい。バインダーポリマーに親水性基を付与するには、例えば、親水性基を有するモノマーを共重合することにより行うことできる。
なお、本開示において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている分子鎖を表す。
また、「パーフルオロアルキル基」とは、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換され基である。
ポリオキシアルキレン鎖、すなわち、ポリアルキレンオキサイド部位におけるアルキレンオキサイドの繰返し数は2~50が好ましく、4~25がより好ましい。
アルキレンオキサイドの繰り返し数が2以上であれば湿し水の浸透性が十分向上し、また、繰り返し数が50以下であれば摩耗による耐刷性の低下が抑制され、好ましい。
ポリアルキレンオキサイド部位については、特開2014-104631号公報の段落0060~0062に記載の構造が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、スチリル基などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、(メタ)アクリル基、ビニル基、又は、スチリル基が重合反応性の観点でより好ましく、(メタ)アクリル基が特に好ましい。これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するポリマーとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。これらの基は併用してもよい。
上記式中、n及びmはそれぞれ独立に、1~100の整数を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を表す。
星型高分子化合物の含有量は、画像記録層の全質量に対し、5質量%~95質量%が好ましく、10質量%~90質量%以下がより好ましく、15~85質量%以下が特に好ましい。
特に、湿し水の浸透性が促進され、機上現像性が向上することから、特開2012-148555号公報に記載の星型高分子化合物が好ましい。
画像記録層Aには、必要に応じて、以下に記載するその他の成分を含有させることができる。
画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、及び、ベタイン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させることが好ましい。
有機硫酸塩としては、特開2007-276454号公報の段落0034~0038に記載の化合物が挙げられる。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1~5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3-ヒドロキシ-4-トリメチルアンモニオブチラート、4-(1-ピリジニオ)ブチラート、1-ヒドロキシエチル-1-イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3-トリメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、3-(1-ピリジニオ)-1-プロパンスルホナートなどが挙げられる。
低分子親水性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
画像記録層には、着肉性を向上させるために、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質層状化合物を含有させる場合には、これらの化合物は、無機質層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する作用を有する。
ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーは、特開2014-104631号公報の段落0184~0190に具体的に記載されている。
感脂化剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%~30.0質量%が好ましく、0.1質量%~15.0質量%がより好ましく、1質量%~10質量%が更に好ましい。
画像記録層は、その他の成分として、更に、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機粒子、無機質層状化合物、共増感剤、連鎖移動剤などを含有することができる。具体的には、特開2008-284817号公報の段落0114~0159、特開2006-091479号公報の段落0023~0027、米国特許公開第2008/0311520号明細書の段落0060に記載の化合物及び添加量を好ましく用いることができる。
画像記録層Aは、例えば、特開2008-195018号公報の段落0142~0143に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に直接又は下塗り層を介して、バーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.3g/m2~3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
画像記録層Bは、赤外線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物及び粒子形状の高分子化合物を含有する。以下、画像記録層Bの構成成分について説明する。
粒子形状の高分子化合物は、熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子、重合性基を有するポリマー粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び、ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)よりなる群から選ばれることが好ましい。中でも、重合性基を有するポリマー粒子及びミクロゲルが好ましい。特に好ましい実施形態では、粒子形状の高分子化合物は少なくとも1つのエチレン性不飽和重合性基を含む。このような粒子形状の高分子化合物の存在により、露光部の耐刷性及び未露光部の機上現像性を高める効果が得られる。
また、粒子形状の高分子化合物は、熱可塑性ポリマー粒子であることが好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、又は、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、0.01μm~3.0μmが好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するベンゼン環を複数有している化合物が好ましい。
上記活性水素を有する化合物を有する化合物としては、ポリオール化合物、又は、ポリアミン化合物が好ましく、ポリオール化合物がより好ましく、プロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が更に好ましい。
分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られる樹脂の粒子としては、特開2012-206495号公報の段落0032~0095に記載のポリマー粒子が好ましく挙げられる。
上記疎水性主鎖としては、アクリル樹脂鎖が好ましく挙げられる。
上記ペンダントシアノ基の例としては、-[CH2CH(C≡N)-]又は-[CH2C(CH3)(C≡N)-]が好ましく挙げられる。
また、上記ペンダントシアノ基を有する構成ユニットは、エチレン系不飽和型モノマー、例えば、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルから、又は、これらの組み合わせから容易に誘導することができる。
また、上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシド構造の繰り返し数は、10~100であることが好ましく、25~75であることがより好ましく、40~50であることが更に好ましい。
疎水性主鎖を有し、i)上記疎水性主鎖に直接的に結合されたペンダントシアノ基を有する構成ユニット、及び、ii)親水性ポリアルキレンオキシドセグメントを含むペンダント基を有する構成ユニットの両方を含む樹脂の粒子としては、特表2008-503365号公報の段落0039~0068に記載のものが好ましく挙げられる。
粒子形状の高分子化合物の含有量は、画像記録層の全質量に対し、5質量%~90質量%が好ましい。
画像記録層Bには、必要に応じて、上記画像記録層Aにおいて記載したその他の成分を含有させることができる。
画像記録層Bの形成に関しては、上記画像記録層Aの形成の記載を適用することができる。
画像記録層Cは、赤外線吸収剤及び熱可塑性ポリマー粒子を含有する。以下、画像記録層Cの構成成分について説明する。
画像記録層Cに含まれる赤外線吸収剤は、好ましくは波長760nm~1,200nmの範囲に吸収極大を有する染料又は顔料である。染料がより好ましい。
染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45~51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(CMC出版、1990年刊)又は特許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
これらの中で、画像記録層Cに添加するのに特に好ましい染料は、水溶性基を有する赤外線吸収染料である。
以下に赤外線吸収染料の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
熱可塑性ポリマー粒子は、そのガラス転移温度(Tg)が60℃~250℃であることが好ましい。熱可塑性ポリマー粒子のTgは、70℃~140℃がより好ましく、80℃~120℃が更に好ましい。
Tgが60℃以上の熱可塑性ポリマー粒子としては、例えば、1992年1月のReseach Disclosure No.33303、特開平9-123387号公報、同9-131850号公報、同9-171249号公報、同9-171250号公報及び欧州特許出願公開第931647号公報などに記載の熱可塑性ポリマー粒子を好適なものとして挙げることができる。
具体的には、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノマーから構成されるホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物などを例示することができる。好ましいものとして、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、又は、ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられる。
本開示において、平均粒径及び多分散性はレーザー光散乱法により算出される。
例えば、熱可塑性ポリマー粒子として粒子サイズが同じものを用いた場合には、熱可塑性ポリマー粒子間にある程度の空隙が存在することになり、画像露光により熱可塑性ポリマー粒子を溶融固化させても皮膜の硬化性が所望のものにならないことがある。これに対して、熱可塑性ポリマー粒子として粒子サイズが異なるものを用いた場合、熱可塑性ポリマー粒子間にある空隙率を低くすることができ、その結果、画像露光後の画像部の皮膜硬化性を向上させることができる。
架橋性基の導入をポリマー粒子の重合後に行う場合に用いる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号に記載されている高分子反応を挙げることができる。
熱可塑性ポリマー粒子は、架橋性基を介してポリマー粒子同士が反応してもよいし、画像記録層に添加された高分子化合物あるいは低分子化合物と反応してもよい。
画像記録層Cは、必要に応じて、更にその他の成分を含有してもよい。
ポリオキシアルキレン基(以下、「POA基」とも記載する。)又はヒドロキシ基を有する界面活性剤としては、POA基又はヒドロキシ基を有する界面活性剤を適宜用いることができるが、アニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が好ましい。POA基又はヒドロキシ基を有するアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤の中で、POA基を有するアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が好ましい。
オキシアルキレン基の平均重合度は、2~50が好ましく、2~20がより好ましい。
ヒドロキシ基の数は、1~10が好ましく、2~8がより好ましい。ただし、オキシアルキレン基における末端ヒドロキシ基は、ヒドロキシ基の数には含めない。
ヒドロキシ基を有するアニオン界面活性剤としては、特に限定されず、ヒドロキシカルボン酸塩類、ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリドリン酸エステル塩類等が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤は、上記目的を達成する限り、特に制限されない。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキルナフタレンスルホン酸又はその塩、(ジ)アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル塩が好ましい。
親水性樹脂の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%~50質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましい。
無機粒子の含有量は、画像記録層の全質量に対し、1.0質量%~70質量%が好ましく、5.0質量%~50質量%がより好ましい。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%~50質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましい。
画像記録層Cは、必要な上記各成分を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に直接又は下塗り層を介して塗布して形成される。溶剤としては、水又は水と有機溶剤との混合溶剤が用いられるが、水と有機溶剤の混合使用が、塗布後の面状を良好にする点で好ましい。有機溶剤の量は、有機溶剤の種類によって異なるので、一概に特定できないが、混合溶剤中5容量%~50容量%が好ましい。ただし、有機溶剤は熱可塑性ポリマー粒子が凝集しない範囲の量で使用する必要がある。画像記録層用塗布液の固形分濃度は、好ましくは1質量%~50質量%である。
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層を有することが好ましい。保護層は、酸素遮断により画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
また、本開示に係る平版印刷版原版の画像記録層側の最外層が、着肉性の観点から、保護層であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005-250216号公報及び特開2006-259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
好ましく用いられる無機層状化合物は雲母化合物である。雲母化合物としては、例えば、式:A(B,C)2-5D4O10(OH,F,O)2〔ただし、Aは、K、Na及びCaよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、B及びCは、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg及びVよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群が挙げられる。
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に、必要に応じ、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず機上現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線(IR)レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ作用を有する。
下塗り層用高分子化合物は、重量平均分子量が5,000以上であることが好ましく、10,000~300,000であることがより好ましい。
また、上記オーバーコート層は、上記粒子及び上記水溶性ポリマーを含む水性塗布液により形成されることが好ましい。
本開示に係る平版印刷版は、本開示に係る平版印刷版原版を製版してなる平版印刷版である。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を用いて平版印刷版を作製する方法であれば、特に制限はないが、本開示に係る平版印刷版原版を用いて平版印刷版を製版し、作製する方法であり、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する工程(「画像露光工程」ともいう。)、並びに、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して非画像部を除去する工程(「現像処理工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
本開示に係る平版印刷方法は、本開示に係る平版印刷版原版を用いて平版印刷版を作製し、印刷する方法であり、本開示に係る平版印刷版原版を用いて平版印刷版を製版し、作製する方法であり、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する工程(「画像露光工程」ともいう。)、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して非画像部を除去する工程(「現像処理工程」ともいう。)、並びに、得られた平版印刷版により印刷する工程(「印刷工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
なお、本開示に係る平版印刷版原版のうち、捨て版原版は、画像露光工程を経ずに現像処理工程が行われる。
平版印刷版原版の画像露光は、通常の平版印刷版原版の画像露光操作に準じて行うことができる。
画像露光は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で行われる。光源の波長は700nm~1,400nmが好ましく用いられる。700nm~1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20μ秒以内であるのが好ましく、照射エネルギー量は10mJ/cm2~300mJ/cm2であることが好ましい。露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。
現像処理は、通常の方法により行うことができる。機上現像の場合、画像露光された平版印刷版原版に、印刷機上で、湿し水及び印刷インキの少なくともいずれかを供給すると、画像記録層の画像部においては、画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、非画像部においては、供給された湿し水及び印刷インキの少なくともいずれかによって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは画像部の画像記録層に着肉して印刷が開始される。ここで、最初に平版印刷版原版の表面に供給されるのは、湿し水でもよく印刷インキでもよいが、湿し水を浸透させ機上現像性を促進するために、最初に湿し水を供給することが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、上記疎水部を有するため、機上現像での湿し水の画像記録層への浸透量を減らすことができることから、水付け時での画像記録層の脱離が発生しにくく、現像カス抑制性に優れるとともに、また、疎水部のインキ親和性が高いため、機上現像における1つの現像方式である、非画像部がインキローラーにくっつくことにより除去されるインキタック現像に好適に用いられる。
得られた平版印刷版による印刷は、通常の方法により行うことができる。平版印刷版に所望の印刷インキ、及び、必要に応じて、湿し水を供給し、印刷を行うことができる。
印刷インキ及び湿し水の供給量は、特に制限はなく、所望の印刷に応じ、適宜設定すればよい。
印刷インキ及び湿し水の平版印刷版への供給方法は、特に制限はなく、公知の方法により行うことができる。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層の構成成分であるバインダーポリマー等を適宜選択することにより、現像液を用いる現像処理によっても平版印刷版を作製することができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する露光工程と、pHが2以上11以下の現像液を供給して上記未露光部を除去する現像工程と、を含むことが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する露光工程と、pHが2以上11以下の現像液を供給して上記未露光部を除去する現像工程と、得られた平版印刷版により印刷する工程とを含むことが好ましい。
また、現像液中に、必要に応じて、水溶性高分子化合物を含有させることにより、現像及びガム液処理工程を同時に行うこともできる。よって後水洗工程は特に必要とせず、1液1工程で現像とガム液処理を行ったのち、後述する乾燥工程を行うことも好ましい。現像処理の後、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
1液1工程で現像とガム液処理を行うとは、現像処理と、ガム液処理とを別々の工程として行うのではなく、現像液に、後述の水溶性高分子化合物を含有させ、現像液という1液により、現像処理とガム液処理とを1工程において行うことを意味している。
回転ブラシロールは2本以上が好ましい。更に自動現像処理機は現像処理手段の後に、スクイズローラー等の余剰の現像液を除去する手段や、温風装置等の乾燥手段を備えていることが好ましい。また、自動現像処理機は現像処理手段の前に、画像露光後の平版印刷版原版を加熱処理するための前加熱手段を備えていてもよい。
このような自動現像処理機での処理は、いわゆる機上現像処理の場合に生ずる保護層/感光層に由来の現像カスへの対応から開放されるという利点がある。
従来の現像処理においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ性現像液により現像を行い、その後、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する。
上述のように、本開示においては、現像及びガム引きを1液で同時に行うことができる。よって、後水洗工程及びガム処理工程は省略することが可能となり、1液で現像とガム引き(ガム液処理)とを行った後、必要に応じて乾燥工程を行うことが好ましい。ガムとしては、ポリマー、より好ましくは水溶性高分子化合物、及び、界面活性剤が挙げられる。
更に、前水洗工程も行うことなく、保護層の除去、現像及びガム引きを1液で同時に行うことが好ましい。また、現像及びガム引きの後に、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
浸漬は、現像液が溜まった現像液槽中に露光済みの平版印刷版原版をくぐらせてもよいし、露光済みの平版印刷版原版の版面上にスプレーなどから現像液を吹き付けてもよい。
なお、本開示において、現像液に2回以上浸漬する場合であっても、同じ現像液、又は、現像液と現像処理により画像記録層の成分の溶解又は分散した現像液(疲労液)とを用いて2回以上浸漬する場合は、1液での現像処理(1液処理)という。
本開示における現像処理は、常法に従って、好ましくは0℃~60℃、より好ましくは15℃~40℃の温度で、例えば、露光処理した平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る、又は、外部のタンクに仕込んだ処理液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けてブラシで擦る等により行うことができる。これらの現像処理は、複数回続けて行うこともできる。例えば、外部のタンクに仕込んだ現像液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けてブラシで擦った後に、再度スプレーノズルから現像液を吹き付けてブラシで擦る等により行うことができる。自動現像機を用いて現像処理を行う場合、処理量の増大により現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させることが好ましい。
本開示に用いられる現像液のpHは、2以上11以下であり、5以上9以下であることが好ましく、7以上9以下であることがより好ましい。現像性や画像記録層の分散性の観点から言えば、pHの値を高めに設定するほうが有利であるが、印刷性、とりわけ汚れの抑制に関しては、pHの値を低めに設定するほうが有効である。
本開示において、pHはpHメーター(型番:HM-31、東亜ディーケーケー(株)製)を用いて25℃で測定される値である。
本開示に用いられる現像液には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤を含有してもよい。
中でも、上記現像液は、ブラン汚れ性の観点から、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、上記現像液は、ノニオン性界面活性剤を含むことが好ましく、ノニオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種と、を含むことがより好ましい。
R1-Y1-X1 (I)
式(I)中、R1は置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。
アルキル基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基等を好ましく挙げることができる。
シクロアルキル基としては、単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3~8の単環型シクロアルキル基であることが好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロオクチル基であることがより好ましい。多環型としては例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基等を好ましく挙げることができる。
アルケニル基としては、例えば、炭素数2~20のアルケニル基であることが好ましく、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等を好ましく挙げることができる。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7~12のアラルキル基であることが好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を好ましく挙げることができる。
アリール基としては、例えば、炭素数6~15のアリール基であることが好ましく、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10-ジメトキシアントリル基等を好ましく挙げることができる。
Y1は、単結合、-CnH2n-、-Cn-mH2(n-m)OCmH2m-、-O-(CH2CH2O)n-、-O-(CH2CH2CH2O)n-、-CO-NH-、又は、これらの2以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、n≧1、n≧m≧0である。
式(I-A)又は式(I-B)で表される化合物におけるXA1及びXA2は、スルホン酸塩基、又は、カルボン酸塩基であることが好ましい。また、XA1及びXA2における塩構造は、アルカリ金属塩が特に水系溶媒への溶解性が良好であり、好ましい。中でも、ナトリウム塩、又は、カリウム塩が特に好ましい。
また、上記式(I-A)又は式(I-B)で表される化合物としては、特開2007-206348号公報の段落0019~0037の記載を参酌することができる。
更に、アニオン性界面活性剤としては、特開2006-65321号公報の段落0023~0028に記載された化合物も好適に用いることができる。
R2、R3、R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はエチレンオキサイド基を含有する基を表す。
R4及びR14はそれぞれ独立に、単結合又はアルキレン基を表す。
また、R1、R2、R3及びR4のうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよく、R11、R12、R13及びR14のうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよい。
R3又はR13で表されるエチレンオキサイドを含有する基としては、-Ra(CH2CH2O)nRbで表される基を挙げることができる。ここで、Raは単結合、酸素原子又は2価の有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、Rbは水素原子又は有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、nは1~10の整数を表す。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物は、アミド結合を有することが好ましく、R1又はR11の連結基としてアミド結合を有することがより好ましい。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物の代表的な例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
両性イオン系界面活性剤は現像液中に、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系等の界面活性剤も同様に使用することができる。これら界面活性剤は2種以上併用することもできる。
XN-YN-O-(A1)nB-(A2)mB-H (N1)
式中、XNは置換基を有していてもよい芳香族基を表し、YNは単結合又は炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、A1及びA2は互いに異なる基であって、-CH2CH2O-又は-CH2CH(CH3)O-のいずれかを表し、nB及びmBはそれぞれ独立に、0~100の整数を表し、ただし、nBとmBとは同時に0ではなく、また、nB及びmBのいずれかが0である場合には、nB及びmBは1ではない。
式中、XNの芳香族基としてフェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1~100の有機基が挙げられる。なお、式中、A及びBがともに存在するとき、ランダムでもブロックの共重合体でもよい。
上記炭素数1~100の有機基の具体例としては、飽和でも不飽和でよく直鎖でも分岐鎖でもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基など、その他に、アルコキシ基、アリーロキシ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、ポリオキシアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖が結合している上記の有機基などが挙げられる。上記アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
また、ノニオン性界面活性剤としては、特開2006-65321号公報の段落0030~0040に記載された化合物も好適に用いることができる。
界面活性剤の含有量は、現像液の全質量に対し、1質量%~25質量%が好ましく、2質量%~20質量%がより好ましく、3質量%~15質量%が更に好ましく、5質量%~10質量%が特に好ましい。上記範囲であると、耐キズ汚れ性により優れ、現像カスの分散性に優れ、また、得られる平版印刷版のインキ着肉性に優れる。
本開示に用いられる現像液は、現像液の粘度調整及び得られる平版印刷版の版面の保護の観点から、水溶性高分子を含むことができる。
水溶性高分子としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)及びその変性体、プルラン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などの水溶性高分子化合物を含有することができる。
上記現像液は、水溶性高分子化合物を含まないか、又は、水溶性高分子化合物の含有量は、現像液の全質量に対し、0質量%を超え1質量%以下であることが好ましく、水溶性高分子化合物を含まないか、又は、水溶性高分子化合物の含有量は、現像液の全質量に対し、0質量%を超え0.1質量%以下であることがより好ましく、水溶性高分子化合物を含まないか、又は、水溶性高分子化合物の含有量は、現像液の全質量に対し、0質量%を超え0.05質量%以下であることが更に好ましく、水溶性高分子化合物を含有しないことが特に好ましい。上記態様であると、現像液の粘度が適度であり、自動現像機のローラー部材に現像カス等が堆積することを抑制することができる。
本開示に用いられる現像液は、上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。
防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液の全質量に対し、0.01質量%~4質量%の範囲が好ましい。また、種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
これらキレート剤は、処理液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものであることが好ましい。キレート剤の含有量としては、現像液の全質量に対し、0.001質量%~1.0質量%であることが好ましい。
なお、本開示においては、シリコーン系界面活性剤は、消泡剤と見なすものとする。
消泡剤の含有量は、現像液の全質量に対し、0.001質量%~1.0質量%の範囲が好適である。
また、本開示に用いられる現像液は、水性の現像液であることが好ましい。
アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。中でも、ベンジルアルコールが好ましい。
アルコール化合物の含有量としては、現像カスの分散性の観点から、現像液の全質量に対し、0.01質量%~5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%~2質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%~1質量%以下であることが特に好ましい。
<支持体の作製>
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス-水懸濁液(比重1.1g/cm3)とを用いアルミニウム板表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。アルミニウム板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、アルミニウム板に15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を形成した後、水洗、乾燥して支持体を作製した。陽極酸化皮膜の表層における平均ポア径(表面平均ポア径)は10nmであった。
陽極酸化皮膜の表層におけるポア径の測定は、超高分解能型SEM((株)日立製作所製S-900)を使用し、12Vという比較的低加速電圧で、導電性を付与する蒸着処理等を施すこと無しに、表面を15万倍の倍率で観察し、50個のポアを無作為抽出して平均値を求める方法で行った。標準偏差は平均値の±10%以下であった。
上記支持体上に、下記組成の下塗り液(1)を乾燥塗布量が20mg/m2になるよう塗布し、100℃30秒間オーブンで乾燥し、下塗り層を有する支持体を作製した。
下塗り層上に、下記画像記録層塗布液をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥して乾燥塗布量1.1g/m2の画像記録層を形成し、平版印刷版原版を得た。
なお、実施例22~26、29及び32、並びに、比較例1及び比較例3においては、更にその後、画像記録層上に、下記組成のオーバーコート層塗布液を塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥して乾燥塗布量0.1g/m2のオーバーコート層(疎水部を含む)を形成し、平版印刷版原版を得た。
・下記の下塗り化合物1:0.18部
・メタノール:55.24部
・蒸留水:6.15部
<<モノマーM-1の精製>>
ライトエステル P-1M(2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、共栄社化学(株)製)420部、ジエチレングリコールジブチルエーテル1,050部及び蒸留水1,050部を分液ロートに加え、激しく撹拌した後静置した。上層を廃棄した後、ジエチレングリコールジブチルエーテル1,050部を加え、激しく撹拌した後静置した。上層を廃棄してモノマーM-1の水溶液(固形分換算10.5質量%)を1,300部得た。
三口フラスコに、蒸留水を53.73部、以下に示すモノマーM-2を3.66部加え、窒素雰囲気下で55℃に昇温した。次に、以下に示す滴下液1を2時間掛けて滴下し、30分撹拌した後、VA-046B(和光純薬工業(株)製)0.386部を加え、80℃に昇温し、1.5時間撹拌した。反応液を室温(25℃)に戻した後、30質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを8.0に調整したのち、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(4-OH-TEMPO)を0.005部加えた。以上の操作により、下塗り化合物1の水溶液を180部得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリエチレングリコール換算値とした重量平均分子量(Mw)は17万であった。
・上記モノマーM-1水溶液:87.59部
・上記モノマーM-2:14.63部
・VA-046B(2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート、和光純薬工業(株)製):0.386部
・蒸留水:20.95部
・重合性化合物1*1:0.15部
・重合性化合物2*2:0.1部
・グラフトコポリマー2*3:0.825部
・Klucel M*4:0.020部
・Irgacure250*5:0.032部
・赤外線吸収剤1(下記構造):0.02部
・テトラフェニルホウ酸ナトリウム:0.03部
・Byk 336*7:0.015部
・Black-XV*8:0.04部
・n-プロパノール:7.470部
・水:1.868部
・表1~表4に記載の疎水部の粒子又はポリマー:表1~表4に記載の量
*1:UA510H(共栄社化学(株)製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの反応物)
*2:ATM-4E(新中村化学工業(株)製、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
*3:グラフトコポリマー2は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート/スチレン/アクリロニトリル=10:9:81のグラフトコポリマーのポリマー粒子であり、これを、n-プロパノール/水の質量比が80/20である溶媒中に、24質量%含有している分散体である。また、その体積平均粒径は193nmである。
*4:Klucel Mは、Hercules社製から入手可能なヒドロキシプロピルセルロースを意味する。
*5:Irgacure 250は、75%プロピレンカーボネート溶液として、Ciba specialty Chemicals社から入手可能なヨードニウム塩であり、そしてヨードニウム,(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル],-ヘキサフルオロホスフェートを有する。
*7:Byk 336は、25%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液中の、Byk Chemie社から入手可能な改質ジメチルポリシロキサンコポリマーである。
*8:Black-XV(下記化合物、山本化成(株)製)
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕:0.240部
・赤外線吸収剤(2)〔下記構造〕:0.030部
・重合開始剤(1)〔下記構造〕:0.162部
・重合性化合物(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA-9300、新中村化学工業(株)製):0.192部
・トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート:0.062部
・ベンジル-ジメチル-オクチルアンモニウム・PF6塩:0.018部
・アンモニウム基含有ポリマー〔下記符号(15)の構造〕:0.010部
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕:0.008部
・メチルエチルケトン:1.091部
・1-メトキシ-2-プロパノール:8.609部
・ミクロゲル液(1):5.065部
・表1~表4に記載の疎水部の粒子又はポリマー:表1~表4に記載の量
上記ミクロゲル液(1)の調製に用いたミクロゲル(1)の調製法を以下に示す。
イソホロンジイソシアネート17.78部と下記多価フェノール化合物(1)7.35部との酢酸エチル(25.31部)懸濁溶液に、ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)(ネオスタン U-600、日東化成(株)製)0.043部を加えて撹拌した。発熱が収まった時点で反応温度を50℃に設定し、3時間撹拌して多価イソシアネート化合物(1)の酢酸エチル溶液(50質量%)を得た。
下記油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpm(回転/分)で10分間乳化した。得られた乳化物を45℃で4時間撹拌後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン-オクチル酸塩(U-CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.20部を加え、室温で30分撹拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を20質量%になるように調整し、ミクロゲル(1)の水分散液が得られた。光散乱法により平均粒径を測定したところ、0.28μmであった。
(成分1)酢酸エチル:12.0部
(成分2)トリメチロールプロパン(6モル当量)とキシレンジイソシアネート(18モル当量)とを付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル当量、オキシエチレン単位の繰返し数:90)を付加させた付加体(50質量%酢酸エチル溶液、三井化学(株)製):3.76部
(成分3)多価イソシアネート化合物(1)(50質量%酢酸エチル溶液として):15.0部
(成分4)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR-399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液:11.54部
(成分5)スルホン酸塩型界面活性剤(パイオニンA-41-C、竹本油脂(株)製)の10%酢酸エチル溶液:4.42部
蒸留水:46.87部
・赤外線吸収剤(2)〔上記構造〕:0.030部
・Irgacure250:0.032部
・重合性化合物(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA-9300、新中村化学工業(株)製):0.092部
・SR-399(サートマー社製):0.100部
・グラフトコポリマー3*1:0.825部
・BYK306(Byk Chemie社):0.008部
・1-メトキシ-2-プロパノール:8.609部
・メチルエチルケトン:1.091部
・表1~表4に記載の疎水部の粒子又はポリマー:表1~表4に記載の量
*3:グラフトコポリマー3は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート/スチレン/アクリロニトリル=10:70:20のグラフトコポリマーであり、これを、n-プロパノール/水の質量比が80/20である溶媒中に、24質量%含有している分散体である。
*5:Irgacure 250は、75%プロピレンカーボネート溶液として、Ciba specialty Chemicals社から入手可能なヨードニウム塩であり、そしてヨードニウム,(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル],-ヘキサフルオロホスフェートを有する。
・表2~表4に記載の水溶性ポリマー:表2~表4に記載の量
・表2~表4に記載の疎水性ポリマー:表2~表4に記載の量
・界面活性剤(ラピゾールA-80、日油(株)製):0.01質量部
・水:全体が10質量部となる量
<機上現像性>
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T-6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm、レーザー出力70%、解像度2,400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity-2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とスペースカラーフュージョンG黄インキ(DICグラフィックス(株)製)とを用い、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10,000枚の印刷速度で、特菱アート(三菱製紙(株)製、連量:76.5kg)紙に印刷を500枚行った。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。枚数が少ないほど、機上現像性に優れる。
評価1:100枚以上
評価2:70枚以上100未満
評価3:50枚以上70枚未満
評価4:30枚以上50枚未満
評価5:30枚未満
同じ平版印刷版原版を用いて上記機上現像性の評価を3回繰り返し、印刷機中の水付けローラーに付着した現像カスをセロハンテープに転写させ、OKトップコート紙+(王子製紙(株)製)に貼り付け、色濃度計X-Rite(X-Rite社製)でシアン色濃度D(C)を計測した。シアン色濃度D(C)の値が大きいほど、現像カス抑制性に優れる。
評価1:D(C)が0.1未満
評価2:D(C)が0.1以上0.3未満
評価3:D(C)が0.3以上0.5未満
評価4:D(C)が0.5以上1.0未満
評価5:D(C)が1.0以上
上記機上現像性の評価における露光と同様の露光条件により露光した(露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。)平版印刷版を、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity-2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues-G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して印刷を開始し、毎時10,000枚の印刷速度で、特菱アート(三菱製紙(株)製、連量:76.5kg)紙に印刷を100枚行った。
ベタ画像部におけるインキ濃度を、マクベス濃度計(X-rite社製、exact)を用いて測定し、1.0以上となるまでに要した印刷用紙の枚数をインキ着肉性(印刷初期インキ着肉性)の指標として計測した。枚数が少ないほど、平版印刷版は着肉性に優れるといえる。
評価1:100枚以上
評価2:40枚以上100未満
評価3:20枚以上40枚未満
評価4:10枚以上20枚未満
評価5:10枚未満
表1~表4における疎水部の物性(接触角及び占有面積率)及び粒子の物性(平均粒子径、clogP)等は、上述した方法により測定した。
また、上述した以外の表1~表4に記載の各化合物の詳細を、以下に示す。
FS-102:アクリル樹脂粒子(スチレンアクリル樹脂粒子)、体積平均粒子径80nm、clogP=1.67、日本ペイント(株)製
エポスターMX020W:アクリル樹脂粒子、体積平均粒子径20nm、clogP=1.67、(株)日本触媒製
エポスターMX030W:アクリル樹脂粒子、体積平均粒子径40nm、clogP=1.67、(株)日本触媒製
エポスターMX050W:アクリル樹脂粒子、体積平均粒子径50nm、clogP=1.67、(株)日本触媒製
エポスターMX100W:アクリル樹脂粒子、体積平均粒子径150nm、clogP=1.67、(株)日本触媒製
WBR-2101:ウレタン樹脂粒子、体積平均粒子径50nm、clogP=0.42、大成ファインケミカル(株)製
エポスターSS:メラミン樹脂粒子、体積平均粒子径100nm、clogP=-0.31、(株)日本触媒製
BYK350:アクリル樹脂、疎水性ポリマー、clogP=3.67、ビッグケミー社製
60SH-4000:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水溶性ポリマー、信越化学工業(株)製
ルビスコール K-17:ポリビニルピロリドン、水溶性ポリマー、BASF社製
また、本開示に係る平版印刷版原版は、機上現像性にも優れることが分かる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (25)
- 支持体上に画像記録層を有し、
前記画像記録層が設けられた側の最外層表面の少なくとも一部に疎水部を有し、
前記疎水部が、粒子状でないアクリル樹脂、アクリル樹脂粒子、又は、スチレンアクリル樹脂粒子を含み、
前記最外層表面における前記疎水部の占有面積率が、20面積%を超え100面積%未満であり、
前記最外層表面の25℃における水接触角が65°以上である
平版印刷版原版。 - 前記最外層表面の25℃における水接触角が65°以上100°以下である請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記最外層表面における前記疎水部の占有面積率が、50面積%以上100面積%未満である請求項1又は請求項2に記載の平版印刷版原版。
- 前記最外層が、画像記録層である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記画像記録層上に保護層を更に有し、
前記最外層が、前記保護層である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。 - 前記疎水部が、前記粒子状でないアクリル樹脂を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記疎水部に含まれる前記粒子状でないアクリル樹脂のcLogPが、1以上4未満である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記疎水部が、アクリル樹脂粒子、又は、スチレンアクリル樹脂粒子を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記アクリル樹脂粒子、又は、スチレンアクリル樹脂粒子が、水分散性粒子である請求項8に記載の平版印刷版原版。
- 前記アクリル樹脂粒子、又は、スチレンアクリル樹脂粒子の体積平均粒径が、0.2μmより小さい請求項8又は請求項9に記載の平版印刷版原版。
- 前記アクリル樹脂粒子、又は、スチレンアクリル樹脂粒子の体積平均粒子径が、0.1μmより小さい請求項10に記載の平版印刷版原版。
- 前記粒子のcLogPが、1以上4未満である請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 支持体上に画像記録層を有し、
前記画像記録層が設けられた側の最外層表面の少なくとも一部に疎水部を有し、
前記最外層が、画像記録層であり、
前記最外層表面に前記疎水部と前記疎水部のない部分とで海島構造を形成しており、
前記最外層表面における前記疎水部の占有面積率が、20面積%を超え100面積%未満であり、
前記最外層表面の25℃における水接触角が65°以上である
平版印刷版原版。 - 前記最外層表面の25℃における水接触角が65°以上100°以下である請求項13に記載の平版印刷版原版。
- 前記最外層表面における前記疎水部の占有面積率が、50面積%以上100面積%未満である請求項13又は請求項14に記載の平版印刷版原版。
- 前記疎水部が、ポリマーを含む請求項13~請求項15のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記疎水部に含まれるポリマーのcLogPが、1以上4未満である請求項13~請求項16のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記疎水部が、粒子を含む請求項13~請求項17のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記粒子が、水分散性粒子である請求項18に記載の平版印刷版原版。
- 前記粒子の体積平均粒子径が、0.1μmより小さい請求項18又は請求項19に記載の平版印刷版原版。
- 前記粒子のcLogPが、1以上4未満である請求項18~請求項20のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記粒子が、アクリル樹脂粒子、及び、スチレンアクリル樹脂粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子である請求項18~請求項21のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 機上現像用平版印刷版原版である請求項1~請求項22のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 請求項1~請求項23のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する工程、並びに、印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方を供給して非画像部を除去する工程を含む平版印刷版の作製方法。
- 請求項1~請求項22のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する露光工程と、pHが2以上11以下の現像液を供給して前記未露光部を除去する現像工程と、を含む平版印刷版の作製方法。
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