JP7198941B2 - 車両用物品収納構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用物品収納構造に関する。
車両用小物入れとしての容器ホルダーが知られている(特許文献1参照)。容器ホルダーは、本体の上側に設けられた開口を開閉する蓋体を備えている。本体には、本体の奥壁(外壁)及び側壁の外側に設けられるカバー部材が取り付け可能とされている。蓋体は、開口を開放する際に、カバー部材と奥壁との間に入り込む。
特許第5009217号公報
特許文献1の容器ホルダーは、車両の運転席と助手席との間に位置するセンターコンソールに配置されている。このため、容器ホルダーに対しては、運転席または助手席から容易に利用できる。しかし、車両用小物入れをインストルメントパネルに配置する場合には、運転席または助手席から手を前方へ伸ばす必要があることから、物品の出し入れ作業を行う際に利用しにくい場合がある。
そこで、本発明は、インストルメントパネルに設けた物品収納部に対し、物品の出し入れ作業を容易なものとすることを目的としている。
本発明の一態様に係わる車両用物品収納構造は、インストルメントパネルの下側に設けられる格納部に対し、物品収納部が格納される格納位置と、物品収納部が格納位置から車室後方に引き出される引出位置と、物品収納箱が格納位置と引出位置との間に位置し、且つ、格納位置及び引出位置よりも下方に位置する中間位置との間を移動自在に支持するリンクを備える。
本発明によれば、インストルメントパネルに設けた物品収納部に対し、物品の出し入れ作業が容易になる。
図1は、第1の実施形態の車両用物品収納構造における物品収納箱が格納位置ある状態での車両の室内を示す斜視図である。 図2は、図1に対し、物品収納箱を中間位置としたときの斜視図である。 図3は、図2に対し、物品収納箱を引出位置としたときの斜視図である。 図4は、第1の実施形態の物品収納箱を格納する格納部の斜視図である。 図5は、第1の実施形態の物品収納箱の斜視図である。 図6Aは、第1の実施形態の物品収納箱の格納位置でのリンクの位置を示す側面図である。 図6Bは、第1の実施形態の物品収納箱の中間位置でのリンクの位置を示す側面図である。 図6Cは、第1の実施形態の物品収納箱の引出位置でのリンクの位置を示す側面図である。 図7は、第1の実施形態の物品収納箱が格納部に格納された状態を示す斜視図である。 図8Aは、図6Aに対応する物品収納箱の斜視図である。 図8Bは、図6Bに対応する物品収納箱の斜視図である。 図8Cは、図6Cに対応する物品収納箱の斜視図である。 図9は、スライドテーブルの平面図である。 図10は、図9のX-X断面図である。 図11は、スライドテーブルの分解斜視図である。 図12は、スライドテーブルをガイドするガイド部材の斜視図である。 図13は、第1の実施形態の物品収納箱を図7の格納位置に対し中間位置としたときの斜視図である。 図14は、図13に対しスライドテーブルをテーブル格納位置としたときの斜視図である。 図15は、第1の実施形態の物品収納箱を図13の中間位置に対し引出位置としたときの斜視図である。 図16は、図15に対しスライドテーブルをテーブル格納位置としたときの斜視図である。 図17Aは、第2の実施形態の物品収納箱の格納位置でのリンクの位置を示す側面図である。 図17Bは、第2の実施形態の物品収納箱の中間位置でのリンクの位置を示す側面図である。 図17Cは、第2の実施形態の物品収納箱の引出位置でのリンクの位置を示す側面図である。 図18は、第2の実施形態の物品収納箱を中間位置としたときの斜視図である。 図19は、第2の実施形態の物品収納箱を図18の中間位置に対し引出位置としたときの斜視図である。 図20は、第2の実施形態の物品収納箱が中間位置ある状態での車両の室内を示す斜視図である。 図21は、第2の実施形態の物品収納箱が引出位置ある状態での車両の室内を示す斜視図である。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明で、特に断りがない限り、「前方」または「前側」等の「前」は車両の前方側を、「後方」または「後側」等の「後」は車両の後方側を、それぞれ意味し、左右方向は車幅方向を意味する。
(第1の実施形態)
図1~図3は、本実施形態の車両用物品収納構造を備える車両の室内を示している。車室1内の前方にはインストルメントパネル3を設けている。インストルメントパネル3の車幅方向右側の下部には、ステアリングコラム5を設けている。ステアリングコラム5は、ステアリングホイール7を回転自在に支持する。インストルメントパネル3の後方側の車幅方向中央には、センターコンソール9を配置している。センターコンソール9の前端部9aは、インストルメントパネル3に対して離間しており、センターコンソール9とインストルメントパネル3との間に間隙11を形成している。
インストルメントパネル3は、図示しないウインドシールドパネルの下端から後方に向けてほぼ水平に延びる上面部3aを備える。上面部3aの後方側の端部からは、上側傾斜部3bが後方の斜め下方に延びている。上側傾斜部3bの下端からは、下側傾斜部3cが前方の斜め下方に延びている。
インストルメントパネル3の車幅方向中央の下側傾斜部3cに、物品収納部としての物品収納箱13を配置している。インストルメントパネル3の車幅方向中央の下側傾斜部3cには、物品収納箱13を格納する格納部15を設けてある。格納部15は、下側傾斜部3cを切り欠いた部分に配置してある。格納部15は、図示していないがステアリングメンバに取付具を介して取り付けられる。ステアリングメンバは、車幅方向に延在するものであり、ステアリングコラム5が取り付けられる。
図1は、物品収納箱13を格納部15に格納した状態を「格納位置」として示している。図2は、物品収納箱13を図1の「格納位置」から後方へ向けて引き出す途中の状態を「中間位置」として示している。図3は、物品収納箱13を図2の「中間位置」からさらに後方へ向けて引き出した状態を「引出位置」として示している。物品収納箱13の「中間位置」は、「格納位置」と「引出位置」との間のほぼ中央に相当する。
格納部15は、図4に示すように、車幅方向両側に位置する一対の格納側壁17と、前方側に位置する格納前壁21と、上側に位置する格納上壁23とを備え、下方及び後方が開口している。格納側壁17は、上部に位置してほぼ水平な上端縁17aと、前部に位置して上下方向に延びる鉛直端縁17bと、上端縁17aの後端と鉛直端縁17bの下端とをほぼ湾曲形状につなぐ湾曲端縁17cと、を備えている。湾曲端縁17cは、湾曲端縁前部17c1の後端から上方に向けて屈曲する屈曲部17c2を備え、屈曲部17c2から後方が湾曲端縁後部17c3となっている。
格納前壁21は、車両前後方向から見て左右方向に長い矩形となっている。格納上壁23は、上下方向から見て車両前後方向に長い矩形であり、上壁前部23aが上壁後部23bよりも下方となるように、車両前後方向のほぼ中央に段差23cが形成されている。
物品収納箱13は、図5に示すように、車幅方向両側の一対の箱側壁25と、前方側の箱前壁29と、後方及び下方の箱下壁31とを備えている。物品収納箱13は、左右の箱側壁25と箱前壁29と箱下壁31とに囲まれた領域が、物品を収納する物品収納空間33である。物品収納空間33の上側に物品出入口となる開口部33aが形成されている。
箱側壁25は、箱前壁29に近い側に上端縁から下方に凹む、ほぼV字形状の切欠凹部25uを備える。箱側壁25は、左右方向から見た形状が、切欠凹部25uを備える他は格納側壁17とほぼ同等であり、全体が「格納位置」で格納側壁17の内側に近接して配置される。箱前壁29は、車両前後方向から見た形状が格納前壁21とほぼ同等であり、「格納位置」で格納前壁21に近接して配置される。
箱下壁31は、「格納位置」で格納部15の下方及び後方の開口した部分を覆う湾曲した形状としてある。箱下壁31は、箱側壁25に対し左右方向外側にそれぞれ突出する突出下壁31aを備えている。箱下壁31は、下壁前部31bの後端から上方に向けて屈曲する屈曲部31cを備え、屈曲部31cから後方が下壁後部31dとなっている。
物品収納箱13の「中間位置」を含む「格納位置」と「引出位置」との間の移動は、リンク機構によってなされる。図6A、図6B、図6Cは、それぞれ「格納位置」、「中間位置」、「引出位置」でのリンク機構の動きを示している。図6A、図6B、図6Cは、格納側壁17の位置を二点鎖線で示している。リンク機構は、第1リンク35と第2リンク37と第3リンク39とを備えている。第1リンク35及び第2リンク37は、格納側壁17の内面と箱側壁25の外面との間に位置する。第3リンク39は、箱側壁25の内面側に位置する。三つのリンク35,37,39からなるリンク機構は左右に一対備えている。
図4に示すように、格納側壁17には、第1リンク連結孔17d、第2リンク連結孔17e及び第3リンク連結孔17fを形成してある。第1リンク連結孔17dは、湾曲端縁後部17c3の近傍で屈曲部17c2に近い位置にある。第2リンク連結孔17eは、湾曲端縁前部17c1の近傍で湾曲端縁前部17c1の前後方向のほぼ中央に位置する。第3リンク連結孔17fは、上壁前部23aの近傍の段差23cに近い位置にある。
図4及び図6A、図6B、図6Cには、第1リンク連結孔17d、第2リンク連結孔17e、第3リンク連結孔17fの三つの位置を二点鎖線でつないだ三角形を図示している。第1リンク連結孔17dに、第1リンク35の格納部側の連結部である第1リンク固定側連結軸41を取り付けてある。第2リンク連結孔17eに、第2リンク37の格納部側の連結部である第2リンク固定側連結軸43を取り付けてある。第3リンク連結孔17fに、第3リンク39の格納部側の連結部である第3リンク固定側連結軸45を取り付けてある。このように、三つのリンク35,37,39の格納部15側の三箇所の連結部を結ぶ仮想線は、車幅方向から見て三角形を形成している。
図5に示すように、箱側壁25には、第1リンク連結孔25d、第2リンク連結孔25e、第3リンク連結孔25fを形成してある。第1リンク連結孔25dは、切欠凹部25uの後側の傾斜部25u1近傍の前後方向ほぼ中央に位置している。第2リンク連結孔25eは、箱前壁29の近傍でかつ箱下壁31の近傍に位置している。第3リンク連結孔25fは、切欠凹部25uの前側の鉛直部25u2近傍の上端付近に位置している。
図5及び図6A、図6B、図6Cには、第1リンク連結孔25d、第2リンク連結孔25e、第3リンク連結孔25fの三つの位置を破線でつないだ三角形を図示している。第1リンク連結孔25dに、第1リンク35の物品収納部側の連結部である第1リンク可動側連結軸47を取り付けてある。第2リンク連結孔25eに、第2リンク37の物品収納部側の連結部である第2リンク可動側連結軸49を取り付けてある。第3リンク連結孔25fに、第3リンク39の物品収納部側の連結部である第3リンク可動側連結軸51を取り付けてある。このように、三つのリンク35,37,39の物品収納箱13側の三箇所の連結部を結ぶ仮想線は、車幅方向から見て三角形を形成している。
したがって、図6Aの「格納位置」では、第1リンク可動側連結軸47が第1リンク固定側連結軸41に対し車両前方に位置する。同様にして「格納位置」では、第2リンク可動側連結軸49が第2リンク固定側連結軸43に対し車両前方に位置し、第3リンク可動側連結軸51が第3リンク固定側連結軸45に対し車両前方に位置する。
図6Bの「中間位置」では、第1リンク可動側連結軸47が第1リンク固定側連結軸41に対し下方に位置する。同様にして「中間位置」では、第2リンク可動側連結軸49が第2リンク固定側連結軸43に対し下方に位置し、第3リンク可動側連結軸51が第3リンク固定側連結軸45に対し下方に位置する。
図6Cの「引出位置」では、第1リンク可動側連結軸47が第1リンク固定側連結軸41に対し車両後方に位置する。同様にして「引出位置」では、第2リンク可動側連結軸49が第2リンク固定側連結軸43に対し車両後方に位置し、第3リンク可動側連結軸51が第3リンク固定側連結軸45に対し車両後方に位置する。
第1リンク35、第2リンク37及び第3リンク39の回転による物品収納箱13の移動は、後述する駆動部としての図7に示すモータ53によってなされる。図7は、図6Aの「格納位置」に対応している。モータ53の回転駆動力は、第3リンク固定側連結軸45に伝達される。すなわち、第3リンク固定側連結軸45はトルク入力軸である。したがって、第3リンク39が原動リンクとなり、第1リンク35及び第2リンク37が従動リンクとなる。
図6Aの「格納位置」において、第3リンク固定側連結軸45が反時計回りに回転すると、第3リンク39が第3リンク固定側連結軸45を中心として同方向に回転する。これにより、第3リンク可動側連結軸51は、図6Bのように下方に移動する。第3リンク可動側連結軸51の下方への動きに伴って、物品収納箱13は、下方かつ後方へ弧を描くようにして移動して「中間位置」となる。
物品収納箱13が「格納位置」から「中間位置」へ移動する際には、第1リンク35が第1リンク固定側連結軸41を中心として図6A中で反時計回りに回転する。同様にして、第2リンク37が第2リンク固定側連結軸43を中心として図6A中で反時計回りに回転する。第1リンク35及び第2リンク37の反時計回りの回転によって、第1リンク可動側連結軸47及び第2リンク可動側連結軸49が、下方かつ後方へ、物品収納箱13の移動に伴い移動する。
図7に示すモータ53の回転は、変速機55を介してクラッチ機構57に伝達される。クラッチ機構57には、図示しない出力軸を連結し、当該出力軸は図8A、図8B、図8Cにも示す第3リンク固定側連結軸45に連結する。図8A、図8B、図8Cは、図6A、図6B、図6Cにそれぞれ対応している。第3リンク固定側連結軸45は、車幅方向に延びる1本の軸で構成してあり、左右一対の第3リンク39を互いに連結している。
モータ53の回転駆動力は、変速機55、クラッチ機構57、図示しない出力軸を介して第3リンク固定側連結軸45に伝達される。このとき、モータ53の回転駆動力は、1本の第3リンク固定側連結軸45を介して左右一対の第3リンク39にそれぞれ伝達される。このため、左右一対のリンク機構が同期して安定的に回転し、物品収納箱13の移動も円滑になされる。図8Aに示す「格納位置」では、第3リンク固定側連結軸45は図5に示す箱側壁25の切欠凹部25u内に位置する。
図7に示すように、モータ53、変速機55、クラッチ機構57等からなる動力ユニットは、ユニット取付具59によって格納部15に取り付けてある。ユニット取付具59は、左側ブラケット61と、右側ブラケット63と、左側ブラケット61と右側ブラケット63とを連結する連結バー65とを備えている。左側ブラケット61は、モータ53、変速機55及びクラッチ機構57を支持している。連結バー65は、格納部15の上壁前部23aの上に配置される。
格納部15の上壁後部23b上には、モータ53を駆動制御する制御部としてのECU67を取り付けてある。図1に示すように、センターコンソール9の上部には、モータ53を駆動するための操作部としての操作スイッチ69を設けてある。操作スイッチ69の操作信号は、ECU67が取り込み、操作スイッチ69の操作に応じてECU67がモータ53を制御する。操作スイッチ69は、開スイッチ69a及び閉スイッチ69bの二つのスイッチを備えている。
開スイッチ69aは、モータ53を正回転させて、物品収納箱13を「格納位置」から「引出位置」に向けて開方向に移動させるためのスイッチである。開スイッチ69aが押されている間は物品収納箱13が開方向に移動を続け、押される状態が解除されると、モータ53が停止して物品収納箱13の移動が停止する。すなわち、物品収納箱13は、「格納位置」と「引出位置」との間の任意の位置で移動を停止させることができる。「格納位置」と「引出位置」との間の例えば「中間位置」で開スイッチ69aを操作すると、物品収納箱13は開方向に移動する。
閉スイッチ69bは、モータ53を逆回転させて、物品収納箱13を「引出位置」から「格納位置」に向けて閉方向に移動させるためのスイッチである。閉スイッチ69bが押されている間は物品収納箱13が閉方向に移動を続け、押される状態が解除されると、モータ53が停止して物品収納箱13の移動が停止する。すなわち、物品収納箱13は、「引出位置」と「格納位置」との間の任意の位置で移動を停止させることができる。「引出位置」と「格納位置」との間の例えば「中間位置」で閉スイッチ69bを操作すると、物品収納箱13は閉方向に移動する。
物品収納箱13が開方向に移動して「引出位置」となる時点では、図示しない開側リミットスイッチが作動してモータ53が停止する。同様にして、物品収納箱13が閉方向に移動して「格納位置」となる時点では、図示しない閉側リミットスイッチが作動してモータ53が停止する。開側リミットスイッチ及び閉側リミットスイッチの信号は、ECU67が取り込んでモータ53を停止させる。
モータ53の作動中に、例えば物品収納箱13に収納した物品が格納部15に接触してモータ53に過大な負荷が作用したときには、クラッチ機構57が機能してモータ53が空転する。これにより、モータ53が保護される。なお、クラッチ機構57に代えて、ECU67が、モータ53に流れる電流値が過大となったこと検知してモータ53を停止させる制御を行ってもよい。
操作スイッチ69は、車両のイグニッションスイッチがオンでエンジンが稼働している状態、及び、車両走行中に操作することができる。車両走行中は、操作できないようにすることもできる。操作スイッチ69は、イグニッションスイッチがオフで、アクセサリスイッチがオンの状態で操作することができる。
図8A、図8B、図8Cに示すように、左右一対の第3リンク39相互間には、仕切部材としての仕切板71を取り付けている。仕切板71は、図8Aに示すように、車幅方向に長い長方形状の板部71aと、板部71aの周縁から立ち上がる縁部71bとを備えている。仕切板71は、第3リンク固定側連結軸45と第3リンク可動側連結軸51との間に位置する状態で、車幅方向両側の縁部71bを第3リンク39に取り付けてある。
仕切板71は、図8Aの「格納位置」及び図8Cの「引出位置」では板部71aがほぼ水平状態である。仕切板71は、図8Bの「中間位置」では板部71aがほぼ鉛直状態である。仕切板71は、板部71aがほぼ鉛直状態の「中間位置」で、物品収納箱13の車両前方側の上方位置において、車両前方側と車両後方側との間を仕切っている。このとき、仕切板71は、物品収納箱13の箱前壁29の上側に連続するような壁部を形成する。
物品収納箱13は、開口部33aにおいて、車両前後方向にスライド移動するスライドテーブル73を備えている。スライドテーブル73は、図9~図11に示すように、テーブル本体75と、テーブル本体75の上面に取り付けられる滑り止め板77とを備えている。滑り止め板77の表面は、物品が載せられたときに、物品の滑りを抑える表面性状となっている。例えば、滑り止め板77をゴム製とすることで、物品の滑りを抑えることができる。
テーブル本体75の車両後方側の上面には、凹部75aを形成している。凹部75aに対応して滑り止め板77には、嵌合凹部77aを形成している。滑り止め板77は、嵌合凹部77aを凹部75aに嵌合した状態で、例えば接着剤によってテーブル本体75に固定する。嵌合凹部77aに指を引っ掛けることでスライドテーブル73を前後方向に操作する。
テーブル本体75の外周縁には、前方突起77b、後方突起77c及び左右突起77dを形成している。前方突起77b及び左右突起77dは、テーブル本体75の表面に対して垂直な方向(図10中で上方)に向けて突出している。後方突起77cは、テーブル本体75の表面に対して傾斜した状態で、上端が下端よりも前方突起77bから離れる方向に向けて突出している。
図10に示すように、前方突起77bは、後方突起77c及び左右突起77dよりも上方に突出している。後方突起77c及び左右突起77dは、図10中で上方への突出高さがほぼ同等である。後方突起77c及び左右突起77dの図10中での上方への突出高さは、滑り止め板77の板厚とほぼ同等である。このため、滑り止め板77をテーブル本体75に取り付けた状態で、滑り止め板77の上面と後方突起77c及び左右突起77dの上端とがほぼ同一面となる。前方突起77bは滑り止め板77の上面よりも上方に突出する。これにより、スライドテーブル73に載せた物品の前方への移動が前方突起77bにより抑えられる。
テーブル本体75の左右両側部の前端部に、左右一対の前側ガイド突起75bを設け、テーブル本体75の左右両側部の後端部に、左右一対の後側ガイド突起75cを設けている。前側ガイド突起75b及び後側ガイド突起75cは、図12に示す左右一対のガイド部材79にガイドされる。左右一対のガイド部材79は、図8A、図8B、図8Cに示すように、物品収納箱13の箱側壁25の内側に取り付けてある。一対のガイド部材79は左右対称形状である。
ガイド部材79は、車幅方向から見て、車両前後方向に長いほぼ平行四辺形となる後部79aと、後部79aの前方下部に位置する前部79bとを有する。後部79aの互いに対向する内面には、後側ガイド溝79dを形成している。後部79a及び前部79bの互いに対向する内面には、前側ガイド溝79cを形成している。前側ガイド溝79cに前側ガイド突起75bが入り込み、後側ガイド溝79dに後側ガイド突起75cが入り込む。
後側ガイド溝79dは、後部79aの上端縁近傍位置において前後方向に延在している。後側ガイド溝79dは、後部79aの上端縁により近い位置かつ後方側に位置する後側第1ガイド部79d1と、後側第1ガイド部79d1よりも下方かつ前方に位置する後側第2ガイド部79d2とを備えている。後側第1ガイド部79d1及び後側第2ガイド部79d2は、水平な状態で互いに平行であり、後側第3ガイド部79d3によりつながっている。後側第3ガイド部79d3は、前方側が後方側より下方かつ前方側となるよう傾斜している。後側第2ガイド部79d2は、前後方向の長さが後側第1ガイド部79d1よりも充分長く形成されている。
前側ガイド溝79cは、後側第1ガイド部79d1と上下方向の高さ位置が同じでかつ後部79aの前方側に位置する前側第1ガイド部79c1と、前部79bに設けられた前側第2ガイド部79c2とを備えている。前側第1ガイド部79c1と後側第1ガイド部79d1とは、前後方向の長さがほぼ等しい。前側第1ガイド部79c1及び前側第2ガイド部79c2は、水平な状態で互いに平行であり、前側第3ガイド部79c3によりつながっている。前側第3ガイド部79c3は、前方側が後方側より下方かつ前方側となるよう傾斜している。前側第1ガイド部79c1は、後側第2ガイド部79d2の前方側の一部と前後方向で重なっている。前側第3ガイド部79c3は、後部79aの前方側の傾斜部に沿って形成してあり、後側第3ガイド部79d3よりも傾斜がきつくなっている。
図5に示すように、箱側壁25の内面には、下部側が上部側に対し物品収納空間33内に向けて突出するように段部25gを形成している。段部25gの上に、図12に示したガイド部材79が配置される。この配置状態で、ガイド部材79の内面と、段部25gより下側の箱側壁25の内面とがほぼ同一面となる。ガイド部材79は、図5の物品収納箱13に取り付けた状態(図8A、図8B、図8C参照)で、上端部が、前後方向の全長にわたり、物品収納箱13の車幅方向外側の外部に向けて突出する突出載置部79gを備えている。突出載置部79gを箱側壁25の上端縁に載置することで、図8A、図8B、図8Cの取付状態となる。
突出載置部79gは、後部79aの上端縁に位置する後方載置部79g1と、後方載置部79g1の前端から前方の斜め下方に向けて延びる傾斜載置部79g2と、傾斜載置部79g2の前端から前方に延びる前方載置部79g3とを備える。後方載置部79g1は箱側壁25の上端縁に載置する。傾斜載置部79g2は、切欠凹部25uの傾斜部25u1に載置する。前方載置部79g3は、切欠凹部25uの底部25u3に載置する。
段部25gは、ガイド部材79の後部79aの下面がほぼ接触する後方接触部25g1及び、ガイド部材79の前部79bの下面がほぼ接触する前方接触部25g2を備えている。段部25gは、前方接触部25g2の後端から後方の斜め上方に向けて延びる傾斜部25g3を備えている。傾斜部25g3に、前部79bの後側の傾斜面79eの下部がほぼ接触する。ガイド部材79は、箱側壁25の外側から箱側壁25の三つの取付孔25hにボルトを挿入し、当該ボルトをガイド部材79の三箇所のねじ孔79fに締結する。これにより、ガイド部材79が箱側壁25に取り付けられる。
図10、図11に示すように、テーブル本体75の左右両端付近の下部には、下方に向けて突出する板ばね支持部81を形成している。板ばね支持部81は、テーブル本体75の車両前後方向の後側で、後側ガイド突起75cよりも前方に位置している。板ばね支持部81に板ばね83を取り付けてある。板ばね83は、図9、図11に示すように、スライドテーブル73の車幅方向外側に突出しており、スライドテーブル73をガイド部材79に取り付けた状態で、ガイド部材79の内面を弾性的に押し付ける。これにより、スライドテーブル73は、ガイド部材79に対して前後に移動させるときに、適度な摩擦力が発生し、ガタを抑えて円滑な移動ができる。
スライドテーブル73は、前側ガイド突起75bが前側第1ガイド部79c1に位置し、後側ガイド突起75cが後側第1ガイド部79d1に位置するときに、例えば図8A、図8B、図8Cに示す状態となる。図8A、図8B、図8Cに示す状態は、スライドテーブル73が最も後方側に位置しており、スライドテーブル73の後方側の端部は物品収納箱13にほぼ接触する。このとき、スライドテーブル73の前方側の端部は、ガイド部材79の後部79aにおける上面の前端部よりも後方側に位置している。
スライドテーブル73の上面は、前側ガイド突起75bが前側第1ガイド部79c1に位置し、後側ガイド突起75cが後側第1ガイド部79d1に位置するときに、後部79aの上端面(後方載置部79g1の上面)とほぼ同一面である。スライドテーブル73を図8A、図8B、図8Cに示す状態から前方へ移動させると、前側ガイド突起75bが前側第1ガイド部79c1を前方へ移動した後、前側第3ガイド部79c3に達する。このとき、後側ガイド突起75cは後側第1ガイド部79d1を前方へ移動した後、後側第3ガイド部79d3に達する。
後側ガイド突起75cが後側第3ガイド部79d3から後側第2ガイド部79d2に達した時点では、前側ガイド突起75bは、前側第3ガイド部79c3の途中にある。この状態から、さらにスライドテーブル73を前方へ移動させると、後側ガイド突起75cは後側第2ガイド部79d2を前方へ水平に移動するが、前側ガイド突起75bは前側第3ガイド部79c3を前側下方に移動する。これにより、スライドテーブル73は、前方側が後方側よりも下方となるよう傾斜する。
前側ガイド突起75bが前側第3ガイド部79c3を前側下方に徐々に移動することで、スライドテーブル73は、上記した傾斜の角度が徐々にきつくなる。前側ガイド突起75bが前側第3ガイド部79c3から前側第2ガイド部79c2に達した時点で、上記した傾斜の角度が最もきつくなる。その後、後側ガイド突起75cが後側第2ガイド部79d2をさらに前方へ移動し、前側ガイド突起75bが前側第2ガイド部79c2を前方側の端部まで移動すると、スライドテーブル73の前方への移動が停止する。
図8A、図8B、図8Cのように、スライドテーブル73を最も後方に移動させた状態を、スライドテーブル73の「テーブル引出位置」とする。スライドテーブル73を最も前方に移動させた状態を、スライドテーブル73の「テーブル格納位置」とする。図13は、「中間位置」において、スライドテーブル73を「テーブル引出位置」とした状態を示し、図14は、「中間位置」において、スライドテーブル73を「テーブル格納位置」とした状態を示す。図15は、「引出位置」において、スライドテーブル73を「テーブル引出位置」とした状態を示し、図16は、「引出位置」において、スライドテーブル73を「テーブル格納位置」とした状態を示す。
図13、図15の「テーブル引出位置」では、車両停止時に、引き出したスライドテーブル73の上にノートパソコンやタブレット端末を置くことができ、娯楽や仕事が行える。引き出したスライドテーブル73の上に飲食物を置くことで、飲食することもできる。図14、図16の「テーブル格納位置」では、物品収納箱13の物品収納空間33に対し、開口部33aから物品の出し入れができる。
図6A、図6B、図6Cに示すように、第1リンク35は、第1リンク固定側連結軸41と第1リンク可動側連結軸47との間の実質的にリンクを構成する部分に対し、車幅方向から見た表面積を大きくしている。第1リンク35の表面積を大きくしている部分は、特に図13及び図14の「中間位置」と、図15及び図16の「引出位置」との間の作動範囲において、箱側壁25の切欠凹部25u周辺の外側を覆うことになる。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態は、物品の出し入れがなされる開口部33aが上側に設けられる物品収納箱13と、インストルメントパネル3の下側に設けられ、物品収納箱13を格納する格納部15とを備える。物品収納箱13が格納部15に格納される格納位置と、物品収納箱13が格納位置から車室後方に引き出される引出位置との間を、第1リンク35、第2リンク37及び第3リンク39が移動自在に支持する。
第1リンク35は、物品収納箱13側の第1リンク可動側連結軸47が、格納部15側の第1リンク固定側連結軸41に対し、「格納位置」で前方に位置し、「引出位置」で後方に位置し、「中間位置」で下方に位置する。第2リンク37は、物品収納箱13側の第2リンク可動側連結軸49が、格納部15側の第2リンク固定側連結軸43に対し、「格納位置」で前方に位置し、「引出位置」で後方に位置し、「中間位置」で下方に位置する。第3リンク39は、物品収納箱13側の第3リンク可動側連結軸51が、格納部15側の第3リンク固定側連結軸45に対し、「格納位置」で前方に位置し、「引出位置」で後方に位置し、「中間位置」で下方に位置する。
これにより、物品収納箱13は、図6Aの「格納位置」から下部後方に位置する図6Bの「中間位置」を経て、「中間位置」よりも上部後方に位置する図6Cの「引出位置」となるように、側面視で下方に弧を描くように回転移動する。このような物品収納箱13の回転移動は、スライドテーブル73が「テーブル引出位置」でも「テーブル格納位置」でも行える。
物品収納箱13は、下方に弧を描くように回転移動するため、例えば物品収納空間33に多量の物品を押し込むようにして収納した場合に、単に前後方向に水平に移動する場合に比較して、物品が格納部15に引っ掛かるのを抑制し、開閉移動が円滑になる。「中間位置」では、図14に示すように、物品収納箱13が「格納位置」及び「引出位置」よりも下方に位置する。このため、スライドテーブル73を「テーブル格納位置」とした状態での物品の出し入れが容易となるうえ、収納した物品が見やすくなる。
本実施形態は、物品収納箱13が「格納位置」と「引出位置」との間を移動するように、第3リンク39を回転駆動させるモータ53と、第3リンク39の任意の回転位置でモータ53の駆動を停止させる開スイッチ69a及び閉スイッチ69bとを備えている。
この場合、開スイッチ69aを押している間は、物品収納箱13が開方向に移動を続け、開スイッチ69aを押す作業を止めると、物品収納箱13が停止する。同様にして閉スイッチ69bを押している間は、物品収納箱13が閉方向に移動を続け、閉スイッチ69bを押す作業を止めると、物品収納箱13が停止する。このため、物品収納箱13を任意の開位置で停止させることができ、操作性が向上する。
本実施形態は、第1リンク35、第2リンク37及び第3リンク39の三つのリンクが設けられている。三つのリンクの格納部15側の三箇所の第1リンク固定側連結軸41、第2リンク固定側連結軸43及び第3リンク固定側連結軸45は、車幅方向から見て三角形の頂点に位置するように配置されている。三つのリンクの物品収納箱13側の三箇所の第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51は、車幅方向から見て三角形の頂点に位置するように配置されている。
この場合、物品収納箱13は、自重により原動リンクである第3リンク39の第3リンク可動側連結軸51を中心に、図6A中で時計回り方向に回動しようとするモーメントが生じる。従動リンクである第2リンク37の第2リンク可動側連結軸49は、第3リンク可動側連結軸51に物品収納箱13を介して連結している。このため、第3リンク可動側連結軸51を中心とするモーメントMが、第2リンク可動側連結軸49に発生する。モーメントMは、第2リンク可動側連結軸49と第3リンク可動側連結軸51とを結ぶ直線にほぼ直交する前方側に作用する。
このとき、図6Aの「格納位置」では、第2リンク可動側連結軸49に発生するモーメントMが第2リンク37の長手方向に沿ったものとなる。このため、第2リンク可動側連結軸49にモーメントMが発生していても、モーメントMは第2リンク37に発生する反力Pによって相殺される。その結果、リンク機構は、「格納位置」において物品収納箱13の姿勢を維持するように作用する。図6Cの「引出位置」では、図6Aの「格納位置」と同じ方向のモーメントMが発生し、モーメントMは第2リンク37に発生する反力Pによって相殺される。このため、リンク機構は、「引出位置」においても物品収納箱13の姿勢を維持するように作用する。
一方、図6Bの「中間位置」では、第2リンク可動側連結軸49に発生するモーメントMが第2リンク37の長手方向とほぼ直交する方向に作用する。この場合、第2リンク37は、モーメントMに対する反力を発生できないため、ここままではリンク機構は、物品収納箱13の姿勢を維持するように作用しない。しかし、「中間位置」においては、他の従動リンクである第1リンク35が物品収納箱13の姿勢を維持するように作用する。
すなわち、第1リンク35の第1リンク可動側連結軸47が、第3リンク可動側連結軸51に物品収納箱13を介して連結している。このため、第3リンク可動側連結軸51を中心とするモーメントMが、第1リンク可動側連結軸47に発生する。このとき、図6Bの第1リンク可動側連結軸47に発生するモーメントMは、第1リンク35の長手方向(第1リンク固定側連結軸41と第1リンク可動側連結軸47とを結ぶ方向)に完全に沿ったものとはなっていない。しかし、モーメントMの反力Pの分力が第1リンク35の長手方向に沿って作用している。
このため、第1リンク可動側連結軸47にモーメントMが発生していても、モーメントMは、上記反力Pの第1リンク35の長手方向に沿った分力の成分によって相殺される。その結果、リンク機構は、「中間位置」において物品収納箱13の姿勢を維持するように作用する。なお、第2リンク可動側連結軸49に発生するモーメントMに対する反力Pを発生できない場合は、第1リンク可動側連結軸47に発生する反力Pを、第1リンク35の長手方向(第1リンク固定側連結軸41と第1リンク可動側連結軸47とを結ぶ方向)に沿ったものとすることが望ましい。
物品収納箱13が「格納位置」と「中間位置」との間及び、「中間位置」と「引出位置」との間にあるときには、第1リンク35と第2リンク37との少なくともいずれか一方が、モーメント方向と反対方向に反力を発生させる。したがって、本実施形態の物品収納箱13は、「格納位置」と「引出位置」との間のどの位置にあっても、リンク機構が物品収納箱13の姿勢を維持するように作用する。
本実施形態の第3リンク39は、第3リンク固定側連結軸45と第3リンク可動側連結軸51との間に、「中間位置」で、物品収納箱13の車両前方側の上方位置において、車両前方側と車両後方側との間を仕切る仕切板71が設けられている。この場合、仕切板71は、図8Bに示すように、物品収納箱13の箱前壁29の上側に連続するような壁部を形成する。このため「中間位置」において、物品収納箱13に収納した物品が前方へ落下するのを抑制できる。
本実施形態は、物品収納箱13の開口部33aには、車両前後方向に移動自在なスライドテーブル73が設けられている。スライドテーブル73を図2、図3のように「テーブル引出位置」とすることで、引き出したスライドテーブル73の上にノートパソコンやタブレット端末を置くことができ、車両停止時に娯楽や仕事が行える。引き出したスライドテーブル73の上に飲食物を置くことで、飲食することもできる。図14、図16の「テーブル格納位置」では、物品収納箱13の物品収納空間33に対し、開口部33aから物品の出し入れができる。
本実施形態のスライドテーブル73の表面は、物品の滑り止めがなされる表面性状に形成された滑り止め板77を有している。このため、スライドテーブル73の上に載せた物品の移動を抑えることができる。
本実施形態は、物品収納箱13が「格納位置」と「引出位置」との間を移動するように、第3リンク39を回転駆動させるモータ53と、車両のイグニッションスイッチがオフで、アクセサリスイッチがオンの状態でモータ53を制御するECU67とを備える。この場合、エンジン始動前あるいはエンジンを停止させた後においても、アクセサリスイッチをオンとした状態で、物品収納箱13の開閉を行うことができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態の車両用物品収納構造を説明する。第2の実施形態の車両用物品収納構造が第1の実施形態の車両用物品収納構造と相違する点は、主として、物品収納箱13の移動を行うリンク機構の構造である。第1の実施形態と共通する説明は省略し、以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
図17A、図17B、図17Cでは、格納部15の格納側壁17の位置が二点鎖線で示されている。第2の実施形態では、格納側壁17の車両前方側の領域を中心に、上端縁17aから湾曲端縁17cまでの長さが拡張されており、格納側壁17は、第1の実施形態と比べて下方に向かって延長されている。
図17A、図17B、図17Cは、それぞれ「格納位置」、「中間位置」、「引出位置」での、第2の実施形態のリンク機構の動きを示している。第2の実施形態のリンク機構は、第1の実施形態と同様、物品収納箱13を、格納位置と、引出位置と、中間位置との間で移動自在に支持する。第2の実施形態のリンク機構は、第1リンク35と、第2リンク37と、第3リンク39とを備えている。
三つのリンク35,37,39の一端側は、それぞれリンク35,37,39の格納部15側の連結軸に相当する。三つのリンク35,37,39の他端側は、それぞれリンク35,37,39の物品収納箱13側の連結軸に相当する。
第1リンク35は、格納部15側の連結軸と物品収納箱13側の連結軸とを結んだ軸間方向に沿って長手となる長円形状を有している。第1リンク35と同様、第2リンク37及び第3リンク39も、格納部15側の連結軸と物品収納箱13側の連結軸とを結んだ軸間方向に沿って長手となる長円形状を有している。
第1リンク35の格納部15側の連結部は、第1リンク固定側連結軸41であり、第2リンク37の格納部15側の連結部は、第2リンク固定側連結軸43である。第3リンク39の格納部15側の連結部は、第3リンク固定側連結軸45である。第1リンク固定側連結軸41、第2リンク固定側連結軸43及び第3リンク固定側連結軸45を結ぶ仮想線(二点鎖線)は、車幅方向から見て三角形を形成している。そして、第1リンク固定側連結軸41、第2リンク固定側連結軸43及び第3リンク固定側連結軸45は、仮想線で結ばれる三角形が格納部15の上部に位置するように、格納部15に取り付けられている。
第1リンク35の物品収納箱13側の連結部は、第1リンク可動側連結軸47であり、第2リンク37の物品収納箱13側の連結部は、第2リンク可動側連結軸49である。第3リンク39の物品収納箱13側の連結部は、第3リンク可動側連結軸51である。第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51を結ぶ仮想線(破線)は、車幅方向から見て三角形を形成している。第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51は、仮想線で結ばれる三角形が物品収納箱13の上部に位置するように、物品収納箱13に取り付けられている。
図17Aの「格納位置」では、第1リンク可動側連結軸47が第1リンク固定側連結軸41に対し車両前方に位置する。同様にして「格納位置」では、第2リンク可動側連結軸49が第2リンク固定側連結軸43に対し車両前方に位置し、第3リンク可動側連結軸51が第3リンク固定側連結軸45に対し車両前方に位置する。
図17Bの「中間位置」では、第1リンク可動側連結軸47が第1リンク固定側連結軸41に対し下方に位置する。同様にして「中間位置」では、第2リンク可動側連結軸49が第2リンク固定側連結軸43に対し下方に位置し、第3リンク可動側連結軸51が第3リンク固定側連結軸45に対し下方に位置する。
図17Cの「引出位置」では、第1リンク可動側連結軸47が第1リンク固定側連結軸41に対し車両後方に位置する。同様にして「引出位置」では、第2リンク可動側連結軸49が第2リンク固定側連結軸43に対し車両後方に位置し、第3リンク可動側連結軸51が第3リンク固定側連結軸45に対し車両後方に位置する。
このような構成のリンク機構において、第1リンク35、第2リンク37及び第3リンク39の回転による物品収納箱13の移動は、第3リンク39が原動リンクとなり、第1リンク35及び第2リンク37が従動リンクとなる。そして、物品収納箱13は、図17Aの「格納位置」から下部後方に位置する図17Bの「中間位置」を経て、「中間位置」よりも上部後方に位置する図17Cの「引出位置」となるように、側面視で下方に弧を描くように回転移動する。
物品収納箱13の回転移動に合わせて、第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51も、側面視で下方に弧を描くように回転移動する。例えば、図17B及び図18の「中間位置」では、第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51は最も下方に位置する。また、図17C及び図19の「引出位置」では、第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51は車両後方に位置する。
本実施形態では、格納側壁17のうち、三つのリンク35,37,39の可動領域に相当する車両前方側の領域は、下方に向かって延長されている。また、三つのリンク35,37,39は、それぞれ軸間方向に沿って長手となる長円形状を有している。加えて、三つのリンク35,37,39は、格納部15及び物品収納箱13の上部に位置するように、格納部15及び物品収納箱13に取り付けられている。
このような構造を採用することで、図17B及び図18の「中間位置」では、第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51は、格納側壁17の湾曲端縁17cよりも上側に位置する。また、図17C及び図19の「引出位置」では、第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51は、格納側壁17の湾曲端縁17cよりも上側に位置する。
また、「中間位置」及び「引出位置」の場合に限らず、物品収納箱13が「格納位置」から「中間位置」を経て「引出位置」になるまでの間、第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51は、格納側壁17の湾曲端縁17cよりも上側に位置する。したがって、物品収納箱13が「格納位置」から「中間位置」を経て「引出位置」になるまでの間、第1リンク可動側連結軸47、第2リンク可動側連結軸49及び第3リンク可動側連結軸51、並びに三つのリンク35,37,39は、車幅方向から見ると、格納側壁17によって隠された状態となる。
このように本実施形態によれば、三つのリンク35,37,39の移動位置に係わらず、三つのリンク35,37,39の物品収納箱13側の三箇所の連結部、並びに三つのリンク35,37,39が、格納側壁17によって覆われた状態となっている。このため、図20及び図21に示すように、物品収納箱13が「中間位置」及び「引出位置」のように任意の位置にあったとしても、三つのリンク35,37,39が車室内に露出することを抑制することができる。これにより、車室内に存在する物体等が、三つのリンク35,37,39に対して挟み込まれるという事態を抑制することができる。
なお、三つのリンク35,37,39を格納側壁17によって隠すための構造は、(1)格納側壁17を下方へ延出させる、(2)三つのリンク35,37,39の物品収納箱13側の三箇所の連結部の位置を調整する、(3)三つのリンク35,37,39のアームの長さ(軸間距離)及び形状を調整する、などの手法のうちいずれか一つの手法又は複数の手法を組み合わせて実現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。
例えば、本実施形態は、物品収納箱13を開閉させる際に、モータ53を用いた電動式としているが、手動で開閉させるようにしてもよい。手動式で開閉させる際には、物品収納箱13を手で掴むことができるように、箱下壁31に凹部や取っ手を設ければよい。手動式では、物品収納箱13を「格納位置」及び「引出位置」において、モータ53に代わって保持させる機構が必要となる。この場合、ロック、アンロックができるラッチロック機構を設けることで、物品収納箱13を「格納位置」及び「引出位置」でロック固定することができる。「中間位置」では、物品収納箱13の自重によって「中間位置」を維持することができる。
3 インストルメントパネル
13 物品収納箱(物品収納部)
15 格納部
33a 物品収納箱の開口部(物品出入口)
35 第1リンク
37 第2リンク
39 第3リンク
41 第1リンク固定側連結軸(格納部側の連結部)
43 第2リンク固定側連結軸(格納部側の連結部)
45 第3リンク固定側連結軸(格納部側の連結部)
47 第1リンク可動側連結軸(物品収納部側の連結部)
49 第2リンク可動側連結軸(物品収納部側の連結部)
51 第3リンク可動側連結軸(物品収納部側の連結部)
53 モータ(駆動部)
67 ECU(制御部)
69 操作スイッチ(操作部)
71 仕切板(仕切部材)
73 スライドテーブル

Claims (10)

  1. 物品の出し入れがなされる物品出入口が上側に設けられる物品収納部と、
    インストルメントパネルの下側に設けられ、前記物品収納部を格納する格納部と、
    前記物品収納部が前記格納部に格納される格納位置と、前記物品収納部が前記格納位置から車室後方に引き出される引出位置と、前記物品収納部が前記格納位置と前記引出位置との間に位置し、且つ、前記格納位置及び前記引出位置よりも下方に位置する中間位置との間を移動自在に支持するリンクと、を備え
    前記リンクは、前記物品収納部側の連結部と、前記格納部側の連結部とを有し、
    前記物品収納部側の連結部と前記格納部側の連結部との間に、前記中間位置で、前記物品収納部の車両前方側の上方位置において、車両前方側と車両後方側との間を仕切る仕切部材が設けられていることを特徴とする車両用物品収納構造。
  2. 前記物品収納部が前記格納位置と前記引出位置との間を移動するように、前記リンクを回転駆動させる駆動部と、前記リンクの任意の回転位置で前記駆動部の駆動を停止させる操作部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用物品収納構造。
  3. 前記物品収納部の物品出入口には、車両前後方向に移動自在なスライドテーブルが設けられていることを特徴とする請求項1又はに記載の車両用物品収納構造。
  4. 前記スライドテーブルの表面は、物品の滑り止めがなされる表面性状となっていることを特徴とする請求項に記載の車両用物品収納構造。
  5. 前記物品収納部が前記格納位置と前記引出位置との間を移動するように、前記リンクを回転駆動させる駆動部と、車両のイグニッションスイッチがオフで、アクセサリスイッチがオンの状態で前記駆動部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする請求項記載の車両用物品収納構造。
  6. 前記リンクは三つ設けられ、
    前記三つのリンクの前記格納部側の三箇所の連結部を結ぶ仮想線が車幅方向から見て三角形を形成し、且つ、前記三つのリンクの前記物品収納部側の三箇所の連結部を結ぶ仮想線が車幅方向から見て三角形を形成するように配置されていることを特徴とする請求項1、2、及び5いずれか一項記載の車両用物品収納構造。
  7. 前記仕切部材が設けられるリンクは、前記三つのリンクのうちの最も上方に配置されるリンクであることを特徴とする請求項記載の車両用物品収納構造。
  8. 前記格納部は、車幅方向に位置する一対の格納側壁を有し、
    前記物品収納部は、前記一対の格納側壁の間に位置し、
    前記中間位置及び前記引出位置において、前記リンクにおける前記物品収納部側の連結部が、車幅方向から見て前記格納側壁によって隠されることを特徴とする請求項1、2、及び5いずれか一項記載の車両用物品収納構造。
  9. 前記リンクは、前記物品収納部の上部に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用物品収納構造。
  10. 前記リンクは複数設けられ、
    それぞれの前記リンクにおける前記物品収納部側の連結部が、当該リンクにおける前記格納部側の連結部に対し、前記格納位置で車両前方に位置し、前記引出位置で車両後方に位置し、前記中間位置で下方に位置し、
    複数の前記リンクのうちのいずれか一つのリンクには、前記物品収納部側の連結部と前記格納部側の連結部との間に、前記仕切部材が設けられていることを特徴とする請求項1、2、及び5いずれか一項記載の車両用物品収納構造。
JP2021551679A 2019-10-11 2020-10-07 車両用物品収納構造 Active JP7198941B2 (ja)

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