JP6978644B2 - 凍結防止剤、凍結防止および凍結保存組成物、その使用ならびに凍結保存方法 - Google Patents

凍結防止剤、凍結防止および凍結保存組成物、その使用ならびに凍結保存方法 Download PDF

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Description

本発明は、抗凍結剤を含む凍結防止剤、凍結防止および凍結保存組成物、その使用ならびに凍結保存方法に関する。
ドナー源から採取された細胞、組織または臓器などの生存能力のある生体サンプルの凍結保存は、科学および医学界において大きな重要性および有用性がある。凍結保存は、一般に、たとえば、氷点下、典型的には77 K(= −196℃、液体窒素の沸点)に冷却することによって細胞および組織などのサンプルを保存する処理過程である。これらの低温では、細胞死を引き起こす生化学反応といったような生物活性は、効果的に停止される。凍結保存技術は、植物および動物の細胞および組織などの帯水または含水物質の長期保存に用いられる。これらの物質を凍結させると、氷結晶形態は、「凍結濃縮」と呼ばれる、水分子によって排除される溶質および汚染物質の濃度ムラをもたらすことが知られている。細胞または組織を保存するためには、典型的に、冷却または解凍処理中に凍結防止溶液を用いて損傷を防止する。凍結保存が有用であるために、保存されたサンプルは、その完全性と生存性を、採取の時点での妥当なレベルに保持すべきである。したがって、サンプルを保存する処理過程は、本質的に、たとえば、細胞または組織構造を、ひどくは損傷または破壊しないのが好ましくあるべきである。
従来の凍結保存技術では、サンプルを採取し、保存液に入れ、次いで、凍結させて保存する。サンプルが使用される場合、解凍され、たとえば、ヒトドナー源から採取された細胞は、正常なヒト体温(すなわち、約37℃)に戻され、次いで、細胞培養培地中に置く。凍結保存プロトコルは、細胞採取、凍結および解凍中に、細胞に多大なストレスおよび傷害を与える。これらのストレスおよび傷害は、不可逆的損傷を細胞にもたらしうる。
デキストランは、ヒト、動物および植物細胞用の凍結防止剤として用いられている(Odavic、R. ら、Experientia 36、1122(1980)、Ashwood-Smith、M.J. ら、Cryobiology 9、441(1972)およびEchlin、P. ら、J. Microsc.(Oxford)110、239(1977))。5% メチルスルホキシドと9% デキストラン70の混合物が、ヒト骨髄単分化能幹細胞の最適凍結防止を提供することが見い出された(Dextran、Handbook from Amersham BioSciences、18-1166-12、Edition AA、page 35)。デキストラン、グリセロールおよびジメチルスルホキシド(DMSO)は、単独または組合わせて、ヒト骨髄細胞の凍結防止について研究されている(Odavic、R. ら、Experientia 36、1122(1980))。凍結傷害に対する有意に良好な保護は、1% DMSOと5% グリセロールまたは9% デキストランよりも、3または5% DMSOと併用した9% デキストラン70、および5または10% DMSO単独によって得られた。デキストラン40は、5% (w/v)デキストラン40中の50% DMSOとの併用で、胎盤/臍帯血の凍結保存用であることが知られている(Proc. Nati. Acad. Sci. USA、Vol. 92、pp.10119-10122、October 1995、Medical Sciences)。
Shu Guoweiらは、Advanced Materials Research、Trans Tech Publications Ltd.、Vol. 328(2012)、pp 454-457に、凍結乾燥中のビフィズス菌の生存におけるフラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、イヌリンおよびキシロオリゴ糖の効果を記載している。Kwan Hwa Parkらは、Database CA、XP 002698458に、すり身のためのフラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖またはガラクトオリゴ糖を含む抗凍結剤を記載している。J. Korean Soc. Food Sci. Nutr.、Vol. 30(3)(2001)、pp 565-568には、牛肉タンパク質におけるフラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖の抗凍結剤の効果が記載されている。
従来の抗凍結剤は、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロールなどのグリコール(少なくとも2つのヒドロキシル基を含有するアルコール)である。エチレングリコールは、通例、自動車の凍結防止剤として用いられ、プロピレングリコールは、アイスクリームにおける氷の生成を減少させるために用いられている。ジメチルスルホキシド(DMSO)は、従来の抗凍結剤ともみなされる。グリセロールおよびDMSOは、液体窒素(-196℃)中で保存される精子および胚における氷形成を減少させるために低温生物学者によって数十年間用いられている。これらの既知の凍結防止剤のうち、DMSOは、最も効果的であるとみなされ、頻繁に採用されるが、生理的に毒性であり、予防措置が取られない限り、細胞とともにレシピエントに輸液されるか、または担当者の取扱いにより、高血圧、吐き気および嘔吐を引き起こすことが知られている。Coxら(Cell Tissue Bank (2012)13:203-215)は、発表された文献の遡及的検討によって、ジメチルスルホキシドとともに凍結保存された幹細胞の移植に伴う数百の副作用(たとえば、吐き気、悪寒、心不整脈、神経症状および呼吸停止)を同定した。さらに、DMSOの毒性は、融解された細胞が培養されるか、またはレシピエントの体内に輸液された後のゲノム変化といったような、細胞生存率および/または機能を低下させる傾向がある。したがって、DMSOの毒性は、どのくらいの時間、取扱い中に細胞がDMSOにさらされてもよいかということに影響を及ぼす。
したがって、DMSOなどの他の抗凍結剤の代替物としての、あるいは凍結中の生物サンプルなどのサンプルを保護するため、またはそれに必要な濃度を、好ましくは非毒性濃度へと低下させるための他の抗凍結剤へのサプリメントとしての、必要な保護効果と低毒性を同時に有する凍結防止剤に対する必要性が依然として存在する。
発明の目的
DMSOなどの他の抗凍結剤の代替物としての、あるいはそれに必要な濃度を、好ましくは非毒性濃度へと低下させるための他の抗凍結剤へのサプリメントとしての、凍結保存中に、凍結保存されたサンプルの等しい機能性を保護することに関して必要な保護効果を有する抗凍結剤を提供することが、本発明の実施態様の目的である。抗凍結剤を取り扱う担当者および生体サンプルにとっての低毒性を有し、そのことによってサンプルが損傷されることなく抗凍結剤に接触しうる時間が長くなる、抗凍結剤を提供することが、本発明の実施態様のさらなる目的であり、サンプルの洗浄の必要性が低くなり、好ましくは、要すれば、サンプルを抗凍結剤から分離する必要なく、採取された場所あるいはレシピエントへサンプルを戻すことが可能になる。哺乳類臓器、哺乳類細胞および哺乳類組織などの臓器、細胞および組織から選ばれるサンプルのための抗凍結剤として有効である抗凍結剤を提供することが、本発明の実施態様のさらなる目的である。臓器、細胞または組織などの移植されるサンプルのための抗凍結剤として有効である抗凍結剤を提供することが、本発明の実施態様のさらなる目的である。たとえば細胞の抗凍結剤として有効であり、該細胞の許容しうる生存能力をもたらす抗凍結剤を提供することが、本発明の実施態様のさらなる目的である。たとえば臓器の抗凍結剤として有効であり、該臓器の許容しうる物理的機能性をもたらす抗凍結剤を提供することが、本発明の実施態様のさらなる目的である。
たとえば組織の抗凍結剤として有効であり、該組織の許容しうる物理的機能性をもたらす抗凍結剤を提供することが、本発明の実施態様のさらなる目的である。
発明の概要
a)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む;またはb)該抗凍結剤が、300〜7,500 Daなどの300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;またはc)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含み、該抗凍結剤が、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる1種以上の抗凍結剤を含む凍結防止剤が、抗凍結剤として非常に有用であることが本発明によって見い出されいる。これまでに用いられたデキストラン40(40,000 Da)およびデキストラン70(70,000 Da)などの高分子量のデキストラン材料と比較して、上述の抗凍結剤を含む凍結防止剤は、分子量が低いために粘度がより小さく、したがって、溶液に予めサンプルを加えて、凍結保存に適した濃度で抗凍結剤とサンプルの両方を含む組成物を得ることを可能にする高濃度で、予め調製することができる。さらに、低分子量の分子は、一般に、高分子量の分子よりも免疫原性が低い。デキストラン1は、デキストランを投与する場合にアナフィラキシー反応のリスクを低下させ、したがって、デキストラン40(40,000 Da)およびデキストラン70(70,000 Da)などの高分子量のデキストランの注射前の予備注射として用いられるハプテンインヒビターとして知られている。デキストラン1は、また、ヒトにおいて非常に低い免疫学的ポテンシャルを有することが、Richterら(Int. Arch. Allergy 43:252-268(1972)およびInt. Arch. Allergy 41:826-844(1971))による研究でも実証されている。さらに、実施例には、本明細書に記載される抗凍結剤を用いる凍結保存が、より高分子量のデキストランを用いるよりも、試験細胞の生存能力として測定される凍結保存後の機能性のよりよい保護を提供することが明らかにされている。
そこで、第一の態様において、本発明は、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる1種以上の抗凍結剤を含む凍結防止剤であって、
a)該凍結防止剤が、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む;または
b)該抗凍結剤が、300〜7,500 Daなどの300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;または
c)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含み、該抗凍結剤が、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;
凍結防止剤に関する。
さらなる態様において、本発明は、850〜1,650 Daなどの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる抗凍結剤を含む凍結防止剤に関する。
さらなる態様において、本発明は、臓器、細胞および組織から選ばれるサンプルを凍結保存するための、本明細書に記載される抗凍結剤の使用に関する。
さらなる態様において、本発明は、臓器、細胞および組織から選ばれる凍結保存されるサンプルを含む、本明細書に記載される凍結防止剤を含む凍結保存組成物に関する。
さらなる態様において、本発明は、臓器、細胞および組織から選ばれる凍結保存されたサンプルをさらに含む、本明細書に記載される凍結防止剤を含む凍結保存された組成物に関する。
さらなる態様において、本発明は、臓器、細胞および組織から選ばれる凍結保存されるべきサンプルを、本明細書に記載される凍結防止剤に接触させて、凍結保存組成物を得、次いで、凍結保存組成物の温度を凍結保存温度まで低下させるステップを含む、サンプルを凍結保存する方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載される凍結保存組成物を凍結保存温度にすることによって、該凍結保存組成物を凍結保存する方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、臓器、細胞および組織から選ばれるサンプルを凍結保存するための本明細書に記載される凍結防止剤の使用に関する。
さらなる態様において、本発明は、移植用サンプルを凍結保存するための本明細書に記載される凍結防止剤の使用に関する。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載される凍結保存組成物の温度を凍結保存温度に低下させることによって、臓器、細胞および組織から選ばれるサンプルを凍結保存するための該凍結保存組成物の使用に関する。
実施例2に記載の、それぞれ、1)10% DMSO、2)8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)および2% DMSO、3)8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)および4)DMEM中での融解後のNHDFの生存、および一代継代後の生存能力を示す。 実施例2に記載の、それぞれ、1)10% DMSO、2)8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)および2% DMSO、3)8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)および4)DMEM中での融解後のNHDFの生存、および一代継代後の生存能力を示す。 実施例3に記載の、それぞれ、1)10% DMSO、2)8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)および2% DMSO、3)8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)および4)DMEM中での融解後のNHDFの生存、および一代継代後の生存能力を示す。 実施例3に記載の、それぞれ、1)10% DMSO、2)8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)および2% DMSO、3)8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)および4)DMEM中での融解後のNHDFの生存を示す。 実施例4に記載の、それぞれ、1)10% DMSO、2)8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)および2% DMSO、3)8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)および2% DMSO、4)8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、5)8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)および6)DMEM中での融解後のNHDFの生存、および一代継代後の生存能力を示す。 実施例7に記載の、それぞれ、増殖培地+10% DMSO、増殖培地+5% DMSO、増殖培地+10% DMSO+2% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+10% DMSO+4% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+10% DMSO+8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+5% DMSO+2% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+5% DMSO+4% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+5% DMSO+8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+2% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+4% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、増殖培地+8% イソマルトオリゴ糖1(ISOM)、および抗凍結剤なしの増殖培地中での融解ならびに凍結保存後のPluriPro増殖培地中のヒトiPS細胞の生存を示す。 実施例8に記載の、それぞれ、増殖培地+10% DMSO、増殖培地+5% DMSO、増殖培地+10% DMSO+2% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+10% DMSO+4% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+10% DMSO+8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+5% DMSO+2% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+5% DMSO+4% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+5% DMSO+8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+2% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+4% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、増殖培地+8% 水添イソマルトオリゴ糖1(H-ISOM)、および抗凍結剤なしの増殖培地中での融解ならびに凍結保存後のPluriPro増殖培地中でのヒトiPS細胞の生存を示す。 実施例9に記載の、それぞれ、1)10% DMSO;2)「CRYO」は、8% イソマルトオリゴ糖1(それぞれデキストランMw10.000またはデキストランMw 40.000)を意味し、それぞれ5% DMSOと組合わせる;3)「CRYO」は、8% イソマルトオリゴ糖1(それぞれデキストランMw10.000またはデキストランMw 40.000)を意味し、それぞれ1% DMSOと組合わせる;4)「CRYO」は、8% イソマルトオリゴ糖1(それぞれデキストランMw10.000またはデキストランMw 40.000)を意味する;および5)DMEM;中での融解後、ならびに3日間の増殖後のMSCの生存を示す。 実施例10に記載の、それぞれ、1)10% DMSO、2)2% DMSO、3)8% イソマルトオリゴ糖Mw 1500(ISOM)および2% DMSO、4)8% イソマルトオリゴ糖Mw 1500(ISOM)、および5)DMEM中での融解後のMSCの生存を示す。 実施例11に記載の、DMSO、イソマルトオリゴ糖1または水添イソマルトオリゴ糖1と凍結保存した後のCD34+ 造血肝細胞の生存能力を示す。 実施例12に記載の、DMSO、イソマルトオリゴ糖1または水添イソマルトオリゴ糖1と凍結保存した後の脂肪由来の間質/幹細胞(ASC)の生存能力を示す。
発明の詳細な開示
定義
本明細書で用いる、凍結保存は、冷却速度が従来の凍結保存手順よりも速いガラス化技術などの、サンプルを氷点下の温度に冷却することによって保存する処理過程を意味する。このような低温では、たとえば、細胞死を引き起こす生化学反応といったような生物活性は低下され、たとえば、タンパク質/糖タンパク質またはリポタンパク質の化学構造/機能は保存される。もし抗凍結剤溶液を使用しないならば、保存されるサンプルは、冷却または融解処理過程中の凍結により損傷される可能性がある。
1つの好ましい態様において、凍結保存は、一般に、たとえば、氷点下、典型的には77 K(= −196℃、液体窒素の沸点)に冷却することによって細胞および組織などのサンプルを保存する処理過程を意味する。これらの低温では、細胞死を引き起こす生化学反応といったような生物活性は、効果的に停止される。
本明細書で用いる用語「凍結保存温度」は、-50℃〜-196℃、-80℃〜-196℃、-55℃未満、-60℃未満、-65℃未満、-70℃未満、-75℃未満、-80℃未満、-85℃未満、-90℃未満、-95℃未満、-100℃未満、-105℃未満、-110℃未満、-115℃未満、-120℃未満、-125℃未満、-130℃未満、-135℃未満、-140℃未満、-145℃未満、-150℃未満、-155℃未満、-160℃未満、-165℃未満、-170℃未満、-175℃未満、-180℃未満、-185℃未満、-190℃未満などの氷点下〜-196℃の温度を示す。
本明細書で用いる用語「サンプル」は、臓器、細胞または組織などの凍結保存される任意の種類の材料を意味する。1つの態様において、サンプルは、臓器、細胞、組織および血液から選ばれる。1つの態様において、サンプルは、哺乳類臓器、哺乳類細胞および哺乳類組織などの臓器、細胞および組織から選ばれる。1つの態様において、用語「サンプル」は、その形成および発達の様々な段階におけるヒトの身体を含まない。さらなる態様において、本発明は、移植用サンプルを凍結保存するための本明細書に記載される凍結防止剤の使用に関する。1つの態様において、サンプルは、移植用の哺乳類臓器、哺乳類細胞および哺乳類組織から選ばれる。
本明細書で用いる用語「細胞」は、組織または臓器中のすべての種類の細胞などの体細胞;全能性幹細胞、多能性幹細胞、多能性幹細胞および前駆細胞などのすべての型の幹細胞;卵母細胞;精子;および生殖細胞などの任意の型の細胞を含む。細胞は、単離された形態または細胞含有体液、組織または臓器の形態などの単離されない形態であってもよい。
本明細書で用いる用語「細胞含有体液」は、たとえば、下記に定義する血液、羊水、精液、脳脊髄液、骨髄穿刺液および月経液などの任意の細胞含有体液を含む。
本明細書で用いる用語「血液」は、臍帯血、末梢血および運動性血(mobilized blood)などの液体を含有する血液を含む。
本明細書で用いる用語「組織」は、卵巣組織、精巣組織、臍帯組織、胎盤組織、結合組織、心臓組織、筋肉、軟骨および骨からの組織、内分泌組織および神経組織などの任意の種類の細胞型およびその組合せを含む任意の組織型を含む。
用語「組織」はまた、脂肪組織または歯髄組織を含む。
本明細書で用いる用語「臓器」は、たとえば、肺、肝臓、腎臓、心臓、卵巣および膵臓を含む。用語「臓器」はまた、臍帯を含む。
サンプルに関連して、本明細書で用いる用語「凍結保存後に機能的」は、凍結保存後の臓器、組織または細胞などのサンプルが、凍結保存後に、「許容しうる」および/または「望ましい」機能を保持することを意味する。1つの態様において、凍結保存後のサンプルは、その機能のすべてを保持する。もう1つの態様において、細胞などのサンプルは、所望の機能の少なくとも60%、所望の機能の少なくとも70%、所望の機能の少なくとも80%、所望の機能の少なくとも90%、所望の機能の少なくとも95%、所望の機能の100%などの所望の機能の少なくとも50%を保持する。細胞に関する例として、保存されるべき重要な機能は、細胞の生存能力である。臓器に関するもう1つの例として、保存されるべき重要な機能は、たとえば心臓ではポンプ機能といったような臓器の生理的機能である。組織に関するもう1つの例として、保存されるべき重要な機能は、移植の場合、周囲の組織(皮膚など)と一体化する能力である。
凍結保存後の細胞の生存能力は、実施例に示すように、死細胞からのみ検出可能な測定をもたらす、細胞サンプルをDNA結合色素であるヨウ化プロピジウムとともにインキュベートすることによって死細胞が測定されるヌクレオカウンターシステム(Nucleocounter system)を用いることによって測定されうる。生存能力は、分析される集団における生細胞のパーセンテージとして示される。凍結保存後の細胞サンプルの増殖率は、比色分析であるMTTを用いて分析されうる。
本明細書で用いる用語「バンキング」は、将来的使用のためのサンプルの任意の保管を意味する。
本明細書で用いる用語「臨床的バンキング法」は、ヒトなどの哺乳類の臨床処置に関連するサンプルの任意の保管を意味する。
本明細書で用いる用語「髄バンキング法」は、骨髄穿刺液および関連体液または髄から単離された細胞などの髄サンプルの保管を意味する。
本明細書で用いる用語「歯髄組織バンキング法」は、歯髄組織から単離された細胞などの歯髄組織サンプルの保管を意味する。
本明細書で用いる用語「脂肪組織バンキング法」は、脂肪組織から単離された細胞など脂肪組織サンプルの保管を意味する。本明細書において、用語お「臍帯バンキング法」は、臍帯血、臍帯に関連する組織、または臍帯血もしくは組織から単離された細胞の保管を意味する。
本明細書において、用語「運動性末梢血バンキング法」は、たとえば、血液幹細胞を血液循環内へ放出する作用剤で運動性にされた後の末梢血の保管を意味する。
本明細書で用いる用語「生殖バンキング法」は、精液、卵母細胞、精子、受精卵などの生殖に関連する任意のサンプルの保管を意味する。
原子量単位であるダルトン(記号:Da)は、原子または分子スケールでの質量(原子量)を示すために用いられる標準単位である。その核および電子的基底状態にある炭素12の非結合中性原子の質量の12分の1であると定義される。
本明細書で用いる用語「重量平均分子量」(Mw)は、以下の式:
Figure 0006978644
[式中、giは、分子量Miを有する分子の分率である。Mの可能な値は、pを定義する、個別の値であるラベリングされたMiを有する一組の数を作成する。]
で定義される。
本明細書で用いる用語「数平均分子量」は、以下の式:
Figure 0006978644
[式中、Niは、分子量Miを有する分子の分率であり、giは、分子量Miを有する分子の分率である。Mの可能な値は、pを定義する、個別の値であるラベリングされたMiを有する一組の数を作成する]
で定義される。
本明細書で用いる用語「多分散性(Pd)」は、Mw/Mn=Pdによって計算される。
「デキストラン1」、「デキストラン40」および「デキストラン70」といったように数字を付けて表される、本明細書で用いる用語「デキストラン」は、デキストランの重量平均分子量が、およそX kDAであることを意味する薬局方の略語であるデキストランXで表される。したがって、デキストラン1は、850〜1,150 Daの重量平均分子量を有するデキストランを意味する。イソマルトオリゴ糖1および水添イソマルトオリゴ糖1は、同様に命名される。したがって、イソマルトオリゴ糖1は、デキストラン1についてのEPおよびUSPの研究論文にしたがって、850〜1,150 Daの重量平均分子量を有するイソマルトオリゴ糖を意味する。イソマルトオリゴ糖1は、本願では、ペンタイソマルトースとも称される。水添イソマルトオリゴ糖1は、水添の混合物を意味し、ここで、水添イソマルトオリゴ糖は、デキストラン1についてのEPおよびUSPの研究論文にしたがう。水添イソマルトオリゴ糖1は、本願では、ペンタイソマルトシドとも称される。
本明細書で用いる用語「デキストランベースのイソマルトオリゴ糖」は、850〜1,650 Daなどの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有し、低分子量デキストランの加水分解などによって得られる加水分解されたデキストランから得られるイソマルトオリゴ糖を意味する。
本明細書で用いる用語「抗凍結剤」は、たとえば、適当な溶液中で、凍害からサンプルを保護するために用いられる物質を意味する。抗凍結剤の例は、たとえば、DMSO、ポリオールなどである。
本明細書で用いる用語「滅菌」は、増殖する能力がある細菌、微生物およびその他の生物が存在しないことを意味する。
本明細書で用いる用語「実質的にDMSOを含まない」は、0.01w/w %未満の量のDMSOを意味する。
本明細書で用いる「C1-10アルキル」は、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルなどの直鎖または分枝鎖のC1-10アルキルである。例は、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、イソプロピル、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-ブチル、1-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチルおよび3-メチル-2-ブチルである。
本明細書で用いる「カルボキシC1-10アルキル」は、-C1-10アルキルCOOHを意味する。例は、カルボキシメチル(CM)(-CH2COOH)である。
本明細書で用いる用語「DEAE」は、ジエチルアミノエチルを意味する。
凍結防止剤
本明細書は、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる1種以上の抗凍結剤を含む凍結防止剤であって、
a)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)などの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む;または
b)該抗凍結剤が、300〜7,500 Daなどの300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;または
c)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)などの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含み、該抗凍結剤が、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;
凍結防止剤に関する。
1つの態様において、該抗凍結剤は、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる。
デキストランおよびデキストリン、および/またはその誘導体の分子量は、典型的に、たとえば、ポリエーテルヒドロキシル化ゲルのGPCカラムを用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。キャリブレーションは、デキストランについての欧州薬局方、第7版の記載に従い、デキストランについての欧州薬局方、第7版、第2巻、1816-1817ページに記載の反復数学的方法を用いて行うことができる。
水添イソマルトオリゴ糖などのソマルトオリゴ糖および/またはその誘導体の分子量は、典型的に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。カラムシステムにおける定常期は、高度に架橋した多孔性アガロースビーズに共有結合したデキストランであってもよく、分子量範囲180-3000 Daのオリゴ糖の分解が可能になる。測定は、欧州薬局方、第7版、第1巻、60-61ページに従って行なう。
該抗凍結剤が、電気的に中性である場合、該抗凍結剤の重量平均分子量(Mw)は、GPCによって測定されるのが好ましい。電荷をもつ抗凍結剤の重量平均分子量(Mw)を測定する場合、重量平均分子量(Mw)は、電気的に中性である出発物質、および荷電した抗凍結剤の置換度の分子量に基づいて計算される。非荷電出発物質の各グルコース単位は、1〜3個の置換基で置換されうる。置換基の例としてDEAEを用いて、当業者は、たとえば、ケルダール分析を用いて、たとえば、窒素含量を測定して、最終生成物の分子量を計算することができる。もし、置換基が酸基を含むならば、置換度は、たとえば、滴定により、当業者によって決定されてもよく、その後、最終分子量を計算することができる。
デキストリン、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖はすべて、反復D-グルコース単位を含む。以下にさらに記載するように、デキストランは、主としてα-(1→6)結合D-グルコースからなる中性分枝多糖のファミリーである。デキストリンは、α-(1→4)またはα-(1→6)によって結合したD-グルコース単位のポリマーの混合物である。イソマルトオリゴ糖は、α-D-(1,6)-結合をもつグルコースオリゴマー(典型的には、10 D-グルコース単位よりも少なく、 3-6グルコース単位が適当である)の混合物であり、典型的には、500〜1,650 Da、850〜1,650 Daまたは850 Da〜1150 Daなどの300〜1,650 Daの平均重量分子量を有する。1つの態様において、3グルコース単位未満のイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満である。1つの態様において、9グルコース単位を超えるイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満、10% w/w未満などの20% w/w未満である。さらなる態様において、3グルコース単位未満のイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満であり、9グルコース単位を超えるイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満、10% w/w未満などの20% w/w未満である。重量分率は、たとえば、本明細書の製造例1および2の記載のように、決定されてもよい。
1つの態様において、デキストリン、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖の誘導体は、水添イソマルトオリゴ糖、水添デキストラン、水添デキストリン、酸化イソマルトオリゴ糖、酸化デキストラン、酸化デキストリン、デキストリンのエステル、デキストランのエステル、イソマルトオリゴ糖のエステル、デキストリンのエーテル、デキストランのエーテル、イソマルトオリゴ糖のエーテル、ならびに部分水添/酸化デキストリン、部分水添/酸化デキストランおよび部分水添/酸化イソマルトオリゴ糖、ならびにその誘導体から選ばれる。1つの態様において、イソマルトオリゴ糖の誘導体は、水添イソマルトオリゴ糖、酸化イソマルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖のエステルのエステル、イソマルトオリゴ糖のエーテル、および部分水添/酸化イソマルトオリゴ糖、ならびにその誘導体から選ばれる。
以下は、デキストリン、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖の上述の誘導体のための異なる合成および出発物質の例の概略である(表A):
表A:
Figure 0006978644

* 1つの態様において、合成は、たとえば、US 6,977,249に記載の、部分的に酸化され、水素添加された誘導体を得るための部分的酸化および水素添加であってもよい。
1つの態様において、デキストリンのエーテル、デキストランのエーテルおよびイソマルトオリゴ糖のエーテルのタイプは、官能基Rを有するエーテルから選ばれる。Rは、メチル(-CH3)およびエチル(-C2H5)などのC1-6アルキルなどのC1-10アルキル、カルボキシメチル(-CH2COOH)などのカルボキシC1-10アルキル、2-ヒドロキシエチル(-2H4OH)、2-ヒドロキシプロピル(-CH2CHOHCH3)、2-ヒドロキシアルキル(-CH2CHOH(CH2)nCH3 (ここで、nは、1-10である)、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(-CH2CHOHCH2Cl)、2-ジエチルアミノエチル(-C2H4N(C2H5)2)、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(-CH2CHOHCH2NH2)、3-ジメチルアルキルアンモニウム-2-ヒドロキシプロピル(-CH2CHOHCH2N+(CH3)2R(ここで、Rは、C1-10アルキルである)などのヒドロキシC1-10アルキル、セチルポリエチレングリコール(-CH2CH2O)10C16H33)およびステアリルポリエチレングリコール(-CH2CH2O)10C18H37)から選ばれる。
1つの態様において、該デキストリンのエーテル、デキストランのエーテルおよびイソマルトオリゴ糖のエーテルは、それぞれ、DEAE-デキストリン、DEAE-デキストラン、DEAE-イソマルトオリゴ糖である。1つの態様において、該イソマルトオリゴ糖のエーテルは、DEAE-イソマルトオリゴ糖である。1つの態様において、該デキストリンのエーテル、デキストランのエーテルおよびイソマルトオリゴ糖のエーテルは、それぞれ、カルボキシC1-10アルキル-デキストリン、カルボキシC1-10アルキル-デキストラン、カルボキシC1-10アルキル-イソマルトオリゴ糖である。1つの態様において、該イソマルトオリゴ糖のエーテルは、カルボキシC1-10アルキル-イソマルトオリゴ糖である。
1つの態様において、デキストリンの誘導体、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖は、水添イソマルトオリゴ糖、水添デキストランおよび水添デキストリンから選ばれる。1つの態様において、イソマルトオリゴ糖の誘導体は、水添イソマルトオリゴ糖である。
もう1つの態様において、デキストリンの誘導体、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖は、酸化イソマルトオリゴ糖、酸化デキストランおよび酸化デキストリンから選ばれる。1つの態様において、イソマルトオリゴ糖の誘導体は、酸化イソマルトオリゴ糖である。もう1つの態様において、デキストリンの誘導体、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖は、酸化/水添イソマルトオリゴ糖、酸化/水添デキストランおよび酸化/水添デキストリンから選ばれる。1つの態様において、イソマルトオリゴ糖の誘導体は、酸化/水添イソマルトオリゴ糖である。
もう1つの態様において、デキストリンの誘導体、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖は、DEAE-デキストリン、DEAE-デキストラン、DEAE-イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル-デキストリン、カルボキシC1-10アルキル-デキストラン、カルボキシC1-10アルキル-イソマルトオリゴ糖、デキストリンのエステル、デキストランのエステルおよびイソマルトオリゴ糖のエステルから選ばれる。もう1つの態様において、イソマルトオリゴ糖の誘導体は、DEAE-イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル-イソマルトオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖のエステルから選ばれる。
もう1つの態様において、デキストリンの誘導体、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖は、DEAE-水添デキストリン、DEAE-水添デキストラン、DEAE-水添イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル-水添デキストリン、カルボキシC1-10アルキル-水添デキストラン、カルボキシC1-10アルキル-水添イソマルトオリゴ糖、水添デキストリンのエステル、水添デキストランのエステルおよび水添イソマルトオリゴ糖のエステルなどから選ばれる水添デキストリンの誘導体、水添デキストラン、水添イソマルトオリゴ糖から選ばれる。もう1つの態様において、イソマルトオリゴ糖の誘導体は、DEAE-水添イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル-水添イソマルトオリゴ糖および水添イソマルトオリゴ糖のエステルなどから選ばれる水添イソマルトオリゴ糖の誘導体から選ばれる。もう1つの態様において、デキストリンの誘導体、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖は、DEAE-酸化デキストリン、DEAE-酸化デキストラン、DEAE-酸化イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル-酸化デキストリン、カルボキシC1-10アルキル-酸化デキストラン、カルボキシC1-10アルキル-酸化イソマルトオリゴ糖、酸化デキストリンのエステル、酸化デキストランのエステルおよび酸化イソマルトオリゴ糖のエステルなどから選ばれる酸化デキストリン、酸化デキストランおよび酸化イソマルトオリゴ糖から選ばれる。もう1つの態様において、イソマルトオリゴ糖の誘導体は、DEAE-酸化イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル-酸化イソマルトオリゴ糖および酸化イソマルトオリゴ糖のエステルなどから選ばれる酸化イソマルトオリゴ糖の誘導体から選ばれる。
さらなる態様において、抗凍結剤は、水添イソマルトオリゴ糖、酸化イソマルトオリゴ糖、DEAE-イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル 酸化イソマルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖のエステル、イソマルトオリゴ糖のエーテルまたはカルボキシC1-10アルキルイソマルトオリゴ糖である。
さらなる態様において、抗凍結剤は、カルボキシメチルイソマルトオリゴ糖またはカルボキシエチルイソマルトオリゴ糖である。
1つの態様において、抗凍結剤は、イソマルトオリゴ糖1などのイソマルトオリゴ糖である。もう1つの態様において、抗凍結剤は、水添イソマルトオリゴ糖1などの水添イソマルトオリゴ糖である。
誘導体化のバリエーションによって、様々な置換度を達成することができる。置換度が、各グルコース単位当り1〜3置換の範囲にあるのが適当である。たとえば、DEAE-デキストランの場合、3つのグルコース単位当り、およそ1つの荷電基が好ましい。
1つの態様において、凍結防止剤は、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体である抗凍結剤の1つ以上を含み、ここで、該凍結防止剤は、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)などの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する少なくとも1% w/w の1種以上のイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む。
さらなる態様において、凍結防止剤は、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体である抗凍結剤の1つ以上を含み、ここで、該抗凍結剤は、500〜7,500 Daなどの300〜7,500 Daなどの300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。1つの態様において、該抗凍結剤は、多くとも9000 Da、多くとも8000 Da、多くとも7000 Da、多くとも6000 Da、多くとも5000 Da、多くとも4000 Da、多くとも3000 Da、多くとも2000 Da、多くとも1900 Da、多くとも1800 Da、多くとも1700または多くとも1,650 Daなどの多くとも9500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
さらなる態様において、凍結防止剤は、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体である抗凍結剤の1つ以上を含み、ここで、該凍結防止剤は、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)などの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する少なくとも1% w/w の1種以上のイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含み、ここで、該抗凍結剤は、500〜7,500 Daなどの300〜7,500 Daなどの300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
1つの態様において、電気的に荷電した誘導体は、上述のデキストラン、デキストリンおよびイソマルトオリゴ糖から作成された誘導体などの非荷電出発物質の分子量分布を特徴とする。したがって、1つの態様において、該デキストラン、デキストリンおよび/またはイソマルトオリゴ糖の誘導体は、500〜7,500 Daなどの300〜7,500 Daなどの300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる態様において、該誘導体は、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖の誘導体である。
1つの態様において、デキストラン、デキストリンおよびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、500〜7,500 Daなどの300〜7,500 Daなどの300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
1つの態様において、デキストラン、デキストリンおよびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、1,650〜7,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
1つの態様において、デキストラン、デキストリンおよびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、1,650〜7,500 Daの重量平均分子量(Mw)および≧1および≦5の多分散性を有する。
1つの態様において、デキストラン、デキストリンおよびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、1,650〜3,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
1つの態様において、デキストラン、デキストリンおよびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、1,650〜3,500 Daの重量平均分子量(Mw)および≧1および≦5の多分散性を有する。
1つの態様において、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
1つの態様において、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、≧1および≦3の多分散性を有する。
さらなる態様において、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる抗凍結剤は、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
さらなる態様において、3グルコース単位未満のイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満である。1つの態様において、9グルコース単位を超えるイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満、10% w/w未満などの20% w/w未満である。さらなる態様において、3グルコース単位未満のイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満であり、9グルコース単位を超えるイソマルトオリゴ糖の重量分率は、15% w/w未満、10% w/w未満などの20% w/w未満である。重量分率は、たとえば、本明細書の製造例1および2の記載のように、決定されてもよい。
1つの態様において、凍結防止剤は、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)などの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、20% w/wなどの少なくとも10% w/w の1種以上のイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む。さらなる態様において、凍結防止剤は、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)などの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上などの少なくとも30% w/wの1種以上のイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む。
デキストランおよびその誘導体
デキストランは、数種の細菌の菌株、主として、たとえば、「Advances in polymer science」、Volume 205、Polysaccharides II、編者 D.Klemm、Springer Verlagに記載のロイコノストックおよびストレプトコッカス株などのグラム陽性、通性嫌気性菌球菌によって形成されうる。医薬用途のためのデキストランは、典型的に、米国および欧州薬局方において規定される特定の細菌株、たとえば、ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc Mesenteroides)NCTC 10817またはB512 Fによって製造されている。菌株NCTC 10817およびB512Fは、英国のナショナル・コレクション・オブ・タイプ・カルチャー(中央公衆衛生研究所)から1971年以来公的に入手可能である。
デキストランは、主として、発酵に用いられる細菌に応じて、様々な割合の結合および分枝をもつ主鎖を有するα-(1→6)結合D-グルコースからなる中性分枝多糖である。デキストラン分子は、式(I)には示されない1つの遊離末端アルデヒド基を含む。デキストランにおけるα-(1→6)結合は、総グルコシド結合の50〜97 %で変化しうる。残りのグルコシド結合は、分枝として結合したα-(1→2)、α-(1→3)およびα-(1→4)結合を表す。式(I)は、2-、3-および4-位 に分枝点をもつデキストランのα-(1→6)-結合グルコース主鎖の部分を示す。上述の菌株B512Fを用いる場合、α-(1→6)結合の比率は、95 %またはそれ以上である。
Figure 0006978644
式(I)
天然のデキストランには、分子量の非常に高い値が見い出される。107〜4x108ダルトンの範囲の値が報告されている。したがって、デキストランを、多くの適用に使用できるようにするために、天然のデキストランを加水分解して低分子量にすることが必要である。当業者に知られており、利用可能である方法はいくつかあるが、加水分解は、塩酸を用い、およそ95℃の温度において、およそpH 1.5にて行われる。加水分解によって、低分子量のデキストランおよびグルコースが生成される。加水分解物は、典型的に、アルコールを用いる沈殿形成、ろ過、および膜ろ過などの他の様々なクロマトグラフィー法などの様々な方法によって精製および分画される。
医薬用途のためのデキストランは、典型的に、米国および欧州薬局方において規定される特定の細菌株、たとえば、ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc Mesenteroides)NCTC 10817またはB512 Fによって製造されている。菌株NCTC 10817およびB512Fは、英国のナショナル・コレクション・オブ・タイプ・カルチャー(中央公衆衛生研究所)から1971年以来公的に入手可能である。
デキストランのうち、ヒトの医薬用途には、デキストラン40およびデキストラン70が特に用いられる。たとえば、デキストラン500およびデキストラン5ならびにそれらの間の分子量などの他の分子サイズは、合成用、細胞の分離用の担体として、ワクチン中の賦形剤として、あるいはヒト角膜jの保存などの様々なその他の適用において、凍結保存の領域外で用いられる。さらに、デキストラン1は、ハプテン阻害を示し、ヒトデキストラン抗体を遮断し、そのことによって、ヒトにおける高分子量デキストランの投与後に時々起こることが知られている潜在的アレルギー反応を予防する、デキストラン1の予備注射として、ヒトにおける特別の用途を有する。デキストラン1、デキストラン40およびデキストラン70は、欧州薬局方、第7版、第2巻、1816-1819ページに詳細に記載されている。
デキストランは、また、水溶性ポリマーを合成するために用いられる優れた原料である。
以下は、デキストランの誘導体の例である:
1)たとえば、pH 8-12などのアルカリ条件下、デキストランとホウ化水素などの還元剤を反応させ、アルデヒド末端基をソルビトールに還元することによって合成されうる水添デキストラン。
2)当業者に公知の方法によって合成されうるデキストランのエーテル。一例は、アルカリ溶液中でのデキストランと(2-クロロエチル)ジエチルアンモニウムクロリドとの反応によって合成されうる2-(ジエチルアミノ)エチルデキストラン(DEAEデキストラン)(反応工程式1に示す)から製造されうる。
Figure 0006978644
反応工程式1:2-(ジエチルアミノ)エチル(A)基および2-[(2-(ジエチルアミノ)エチル]ジエチルアンモニウム]エチル(B)基を含有するDEAEデキストラン
もう1つの例は、反応工程式2に示す、強アルカリ条件下、モノクロロ酢酸(MCA)との反応によって合成されうるカルボキシメチルデキストラン(CMD)などのカルボキシC1-10アルキルデキストランである。
Figure 0006978644
反応工程式2
3)デキストランと酢酸アルデヒドとの反応によって合成されうる酢酸デキストランなどのデキストランのエステル。
Figure 0006978644
反応工程式3
4)酸化デキストランは、たとえば、塩基性水溶液中、次亜塩素酸ナトリウムを用いて合成されうる。
5)部分酸化/水添デキストラン。このタイプの誘導体の製造方法は、たとえば、US 6,977,249に開示され、その開示は、参照することによって本明細書に援用される。一例は、デキストランの分子量を加水分解によって減少させ、その機能性アルデヒド末端基を水素添加によってアルコールに変換する処理過程によって製造されるデキストランから製造されうる;;水素添加は、一部のみであり、炭水化物の総量において計算して多くとも15重量%が還元糖のままであり、該デキストランは、次いで、酸化に付され、該水素添加および酸化が行われて、実質的にすべてのアルコール基およびカルボン酸基に変換されたアルデヒド基を有するデキストランが得られ、該デキストラン生成物は、中間体グリコシル基に機能性アルデヒド基または機能性カルボン酸基を含まない;ここで、水素添加は、水性溶液中、ホウ化水素を用いて行われる;および
ここで、酸化は、塩基性水性溶液中、次亜塩素酸ナトリウムを用いて行われる。
6)さらなる、上記水添および/または酸化デキストランのDEAE-置換、カルボキシC1-10アルキル-置換、エステルおよびエーテルは、上述と同様に、当業者に公知の方法によって製造されうる。
イソマルトオリゴ糖およびその誘導体
イソマルトオリゴ糖は、α-D-(1,6)-結合主鎖をもつグルコースオリゴマーである。1つの態様において、本明細書に記載されるイソマルトオリゴ糖は、デキストランベースであり、低分子量デキストランの加水分解によって作成される。さらなる態様において、本明細書に記載されるイソマルトオリゴ糖は、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)などの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。1つの態様において、本明細書に記載されるイソマルトオリゴ糖は、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する加水分解されたデキストランである。
イソマルトオリゴ糖から出発して、グリシトール/ソルビトールへの還元アルデヒド末端基の変化を特徴とするその誘導体を製造することができる。イソマルトオリゴ糖から水添イソマルトオリゴ糖への変換は、下記反応工程式4に記載するように、アルカリ条件下、たとえばホウ化水素などの還元剤でイソマルトオリゴ糖を処理することによって行うことができる:
Figure 0006978644
反応工程式4
デキストランの誘導体を製造するための上述の処理過程を用い、塩化(2-クロロエチル)ジエチルアンモニウムとの反応によって、イソマルトオリゴ糖の誘導体を製造することもでき、2-(ジエチルアミノデキストラン)エチル(DEAE)イソマルトオリゴ糖が作成されうる。もう1つの選択肢は、カルボキシメチルイソマルトオリゴ糖を合成するために、モノクロロ酢酸(MCA)との反応によって、イソマルトオリゴ糖誘導体を製造することである。当業者にとって、上述のデキストランおよびイソマルトオリゴ糖のように、それぞれ塩化(2-クロロエチル)ジエチルアンモニウムおよびモノクロロ酢酸との反応によって、さらなる水添イソマルトオリゴ糖の誘導体を製造することは容易である。
オリゴ-イソマルトース
出発物質としてのデキストランおよび中間体としてのキストラン1(イソマルトオリゴ糖)に関し、デキストラン分子を決定する分枝側鎖α-(1→2)、α-(1→3)およびα-(1→4)の完全欠如を特徴とするオリゴ-イソマルトースを合成することが可能である。これに関連して、オリゴイソマルトースは、イソマルトオリゴ糖のサブセットであるとみなされる。したがって、1つの態様において、オリゴイソマルトースは、850〜1,650 Da、好ましくは850〜1,150 Daなどの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有し、分枝側鎖α-(1→2)、α-(1→3)およびα-(1→4)が完全に欠如する。イソマルトオリゴ糖のために上述した誘導体の同じ合成を、オリゴイソマルトースを用いて行うことができるのは明白である。
デキストリンおよびその誘導体
デキストリンは、デンプンの加水分解によって製造される低分子量炭水化物の一群である。デキストリンは、様々な長さのグルコース主鎖をもつ分子の混合物からなるデキストランポリマーである。デキストリンを用いる前に、それらは、所望の分子サイズおよび重量分布を得るために、典型的に、たとえば、加水分解または1種以上のアルコール沈殿法を適用することによって、および/または、特定のカットオフ値を有する1種以上の膜を適用する膜処理などの様々なクロマトグラフィー法によって、精製され、分画される。
式(II)に示すように、デキストリンは、α-(1→4)またはα-(1→6)グリコシド結合によって結合したD-グルコース単位のポリマーの混合物である。
Figure 0006978644
式(II)
デキストリンの誘導体は、上述のデキストランおよびイソマルトオリゴ糖と同様に、当業者に公知の方法によって作成されうる。
凍結保存
凍結保存されるサンプルの汚染を回避するために、抗凍結剤が、滅菌されているのが好ましく、凍結保存剤/組成物の他の最適成分もまた滅菌されているのが好ましい。
幾つかの適用において、追加の抗凍結剤とともに、このような追加の抗凍結剤の濃度を、好ましくは非毒性濃度まで減少させるために、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる抗凍結剤を補足するのが有用である。このことは、肝細胞または多機能性幹細胞などの特定の細胞型にとって特に有用である。したがって、さらなる態様において、凍結防止剤は、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、1-アナリン、アルブミン、酢酸アンモニウム、ブタンジオール、硫酸コンドロイチン、クロロホルム、コリン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エリスリトール、エタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、グルコース、グリセロール、α-グリセロリン酸、グリセロールモノアセテート、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロピレングリコール、ピリジンN-オキシド、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、スクロース、トレハロース、トリエチレングリコール、トリメチルアミン酢酸塩、尿素、バリンおよびキシロースから選ばれる、少なくとも1つの追加の抗凍結剤をさらに含む。1つの態様において、該追加の抗凍結剤は、DMSOである。低下された量においてDMSOを追加することの利点は、非常に壊れやすい細胞にとって、追加の保護が得られることである。好ましい態様において、凍結防止剤はDMSOを含まないか、または実質的に含まない。したがって、さらに好ましい態様において、該デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖またはその誘導体は、凍結防止剤中の唯一の抗凍結剤である。DMS0を含まないか、または実質的に含まない凍結防止剤は、サンプルの融解後の洗浄を必要としない。次いで、サンプルを洗浄することなく培養プロセスを迅速に開始するために、融解したサンプルを、培養培地に直接懸濁させてもよく、あるいは、潜在的に実質的な細胞喪失をもたらす洗浄ステップなしで患者に直接用いてもよい。DMS0を含まないか、または実質的に含まない凍結防止剤を用いるう1つの利点は、サンプルを損傷することなく、より長期間抗凍結剤に曝露さることができ、その結果、より効率的な作業工程が可能になることである。
もう1つの態様において、凍結防止剤は、さらに、0.01〜1 mg/mLの量の凍結防止剤などの、少なくとも1つの不凍化タンパク質および/または不凍化タンパク質を含む。不凍化糖タンパク質の例は、単一の長い両親媒性のαヘリックスである、ロングホーンスカルピンに由来するI型AFPである。
凍結防止剤または凍結防止組成物は、サンプルの生存能力を改善するためのさらなる物質を含んでもよい。このような物質の例として、IAP(アポトーシスのインヒビター);rho関連タンパク質キナーゼ(ROCK)シグナル伝達経路のインヒビター;EGF、FGF、PDGF、IGF、EPO、BDNF、TGF、TNF、VEGFなどの増殖因子に言及することができる。さらなる態様において、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ由来の任意の血清成分に言及することができる。凍結防止剤または凍結防止組成物は、増殖培地を含んでもよい。1つの態様において、をβ-カテニン/P300アンタゴニスト、および、たとえばアクチビンとTGFβを連結するID-8などのアクチビン/TGFβリガンド含む増殖培地を用いることができる。たとえばWO 2013/054112に記載のように、このタイプの培地は、多能性幹細胞、特に胚性幹細胞の培養のために特に有用である。もう1つの例は、KnockOut Serum Replacement、GlutaMAX(商標)サプリメントを含むDMEM/F12、FGF、NEAAおよびBMEを含む標準的ノックアウト培地である。もう1つの例は、mTSERTM系である。凍結保存されるサンプルに応じて変わる増殖培地の他の例は、当業者には公知である。
本明細書に開示される凍結防止剤は、凍結乾燥または噴霧乾燥粉末などの粉末の形態であってもよい。
さらなる態様において、該凍結防止剤は、溶液の形態である。したがって、凍結防止剤は、たとえば滅菌水などの溶媒をさらに含んでもよい。1つの態様において、該凍結防止剤は、40%〜65% w/wまたは50%〜60% w/wの該抗凍結剤などの30%〜70% w/w該抗凍結剤を含む。
凍結保存されるべき細胞、組織または臓器などのサンプルはまた、非常に典型的には、冷凍適合性pH緩衝液とともに、少なくとも塩基性塩溶液、エネルギー源(たとえばグルコースなど)および低温にて中性pHを維持することができる緩衝液に含まれうる。高知の材料として、たとえば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)が挙げられる。この材料はまた、凍結保存組成物および/または凍結保存剤の一部として包含されてもよい。
本明細書に開示される1つの態様は、本明細書に記載される凍結防止剤を含む凍結保存組成物であり、該凍結保存組成物は、凍結保存されるべきサンプルをさらに含む。
本明細書に開示されるさらなる態様は、凍結保存されているか、または凍結保存される過程にある凍結防止剤およびサンプルを含む凍結保存された組成物である。本明細書で記載される用語「凍結保存された組成物」は、凍結保存される過程にあるか、またはすでに凍結保存された「凍結保存組成物」のいずれかを意味する。
本明細書に開示されるさらなる態様は、凍結保存されるべきサンプルのための増殖培地または基質を含む凍結保存された組成物である。
1つの態様において、サンプルは、哺乳類などの臓器、細胞および組織から選ばれる 。さらなる態様において、サンプルは、臓器、細胞、血液または組織である。このような凍結保存されるべき細胞の例は、初代細胞、細胞株などのインビトロ培養細胞、ヒト血液細胞などのインビトロ分別細胞、および動物およびヒト由来の受精卵である。さらなる例は、精子細胞、胚性幹細胞、IPS細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、臍帯血幹細胞、肝細胞、神経細胞、心筋細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞および血液細胞である。さらなる態様において、サンプルは、間葉系幹細胞、造血幹細胞、胚性幹細胞、IPS細胞、ケラチン生成細胞、好ましくはCD34陽性血液幹細胞などの造血幹細胞、間葉系幹細胞、胚性幹細胞およびIPS細胞から選ばれる。さらなる態様において、サンプルは、間葉系幹細胞および造血幹細胞から選ばれる。1つの態様において、細胞は、動物またはヒト由来である。臓器の例は、肺、肝臓、腎臓、心臓、卵巣および膵臓である。組織の例は、骨髄、皮膚、卵巣、精巣、血管、結合組織の組織、好ましくは卵巣および結合組織の組織である。さらなる態様において、 血液は、臍帯血および運動性末梢血液、好ましくは臍帯血から選ばれる。さらなる態様において、サンプルは、血液、月経液または羊水などの細胞含有体液である。
凍結防止されるべき特定のサンプルに応じて、抗凍結剤は、典型的に、2〜50 % w/w、4〜45 % w/wまたは6〜20 % w/w、または6〜12 % w/w、あるいは好ましくは6〜10% w/w、またはより好ましくは7〜9% w/wなどの1〜50 % w/wの量で、凍結保存されるべき組成物中に存在する。1つの態様において、抗凍結剤は、多くとも55% w/w、多くとも50% w/w、多くとも45% w/w、多くとも40% w/w、多くとも35% w/wなどの多くとも60% w/wの量で凍結保存されるべき組成物中に存在する。もう1つの態様において、抗凍結剤は、典型的に、少なくとも4% w/w、少なくとも6% w/w、少なくとも6% w/w、少なくとも7% w/wなどの少なくとも2% w/wの量で存在する、
もし凍結防止されるべき組成物が、DMSOなどの追加の抗凍結剤を含むならば、追加の抗凍結剤は、典型的に、1-8% w/wなどの8 % w/w未満、たとえば、5% w/w未満など、1-4% w/w未満などの4 % w/w未満などの量で存在する。
従来の凍結保存技術において、サンプルは、採取され、保存溶液中に懸濁され、次いで冷凍することによって保存される。細胞などのサンプルが使用される場合、それらは解凍され、たとえば、ヒトドナーから採取された細胞は、正常なヒトの体温(すなわち、およそ37℃)に戻され、次いで、細胞培養培地に置かれる。
本発明の凍結保存方法において、凍結保存中、凍結保存温度に低下させる前に本明細書に記載される凍結防止剤と接触させることによって、サンプルは保護される。凍結防止剤と接触させることは、凍結保存温度への降温中に、凍結保存組成物中の抗凍結剤によってサンプルが保護されるように、サンプルを何らかの方法で抗凍結剤と接触させることを意味する。たとえば、細胞は、保護されるべき細胞が加えられるプレートの適当なウエルを充填することによって;または凍結防止剤の溶液に細胞を懸濁させることによるか、もしくはたとえば凍結乾燥形態の凍結防止剤を、すでに緩衝液などの溶液中にある細胞、血液または臓器に加えることによって;または遠心分離後の細胞ペレットを凍結防止剤に再懸濁させて細胞を溶液にすることによって、凍結防止剤と接触させることができる。
1つの態様において、本明細書は、凍結保存されるべきサンプルを、本明細書に定義される凍結防止剤と接触させて、凍結保存組成物を得、次いで、凍結保存組成物の温度を凍結保存温度に低下させるステップを含む、サンプルを凍結保存する方法を開示する。
さらなる態様において、該組成物の温度を凍結保存温度に低下させることによって本明細書に定義される組成物を凍結保存する方法が開示される。
室温から溶液の氷点の下1-2℃への変化速度は、細胞が温度ショック感受性であるならば、最大生存能力における主な効果を有する。
3.5℃〜-5℃の間で、サンプルは、通常、氷の結晶の導入、冷たい探針で培地の表面に接触すること、機械的振動、または氷核形成が起こるまで温度を急速に低下させること、のいずれかによって、凍結するように誘導される。凍結は、発熱過程なので、熱を凍結溶液から追い出さなければならない。これは、低氷点の液体にサンプルを浸漬したままにするか、または実質的なヒートシンクを提供するかのいずれかによって行うことができる。細胞外の培地に氷が形成されるので、より多くの自由水が氷相に結合するようになる。疎水性である細胞膜は、細胞内氷の核形成に対するバリヤーとして働き、したがって、凍結しない細胞は、次第に高張となる溶液に曝露される。細胞外塩濃度は、氷に対する水の隔離の結果として増加する。凍結しない細胞は、細胞内および細胞外液相の浸透圧の不均衡に応答する細胞からの水の輸送により収縮する。次いで、サンプルは、各細胞型に対して最適化されなければならない限定された速度で冷却される。
冷却の最適速度は、水に対する細胞膜の浸透性、細胞の表面:体積比、本明細書に記載される凍結防止剤中の凍結防止添加物のタイプおよび濃度によって決定される。グリセロールまたはDMSO中で凍結された大部分核形成された哺乳類細胞については、最適冷却速度は、通常、約0.3〜10℃/分である。約4℃〜-80℃の間の継続的な冷却が、最も一般的に用いられる。一旦、サンプルがおよそ-80℃に到達すれば、保管のために、液体窒素(-196℃)または液体窒素の蒸気相内にサンプルを直接移動させることができる。凍結保存に用いるためのもう1つの方法は、1000℃〜2000℃/分という非常に速い冷却速度を得ることができるガラス化技術である。この技術を用いると、サンプルを含む凍結保存組成物を含む特殊なガラス化デバイスが、液体窒素に直接置かれる。1つの態様において、凍結保存温度は、0.1-10、0.2-8、0.3-6、0.4-4、0.5-2℃/分などの0.05-15℃/分の速度にて達成される。もう1つの態様において、凍結保存温度は、800-2500、1000-2000、1200-1800℃/分など500-3000の℃/分の速度にて達成される。
液体窒素中での生存細胞保管の期間は、主として、宇宙線バックグラウンドによって引き起こされる遊離ラジカルの生成率に応じてさまざまである。
たとえば、液体窒素に保管された哺乳類胚の半減期は、およそ30,000年であると推定されている。凍結細胞を、短期間であっても、それらの保管温度以上に暖めないようにすることが重要である。断続的な加温は、細胞構造を損ない、全生存能力を低下させうる急速な移動性際結晶(migratory recrystallization)を促進する。
さらなる態様において、サンプルは、凍結保存後に融解される。サンプルの融解の最適速度は、使用した凍結条件および保存されるべき特定のサンプルに応じて変わる。一般に、懸濁液中で凍結される単一細胞ならびに心臓弁などの組織にとっては、急速な加温が望ましい。このような急速加温は、凍結サンプル中の氷結晶の成長を制限し、高生存のための絶対要件であることが多い。多くの組織に関し、この加温は、37-42℃の水浴にてサンプルを振とうすることによって達成されうる。急速加温の理論的根拠は、それが、冷却中に形成された氷結晶の成長を制限することである。
いくつかの組織は、急速加温に対して敏感でありうる。細胞は、氷融解液としての細胞外高張液に曝露され、その浸透圧平衡を維持するために再水和せざるをえないので、このことは、一過性浸透圧ショックによるものである。他のより敏感なサンプルについては、代謝過程は、融解培地中での血清またはその他の高分子量ポリマーを用いる連続的希釈によって、再活性化されうるか、または正常レベルにされうる。
融解手順が完了した後も、細胞は、依然として、段細胞を等張培地に戻すように階的に希釈されなければならないマルチモル(multimolar)濃度の凍結防止剤に曝露される。哺乳類細胞のためには、段階的希釈プロトコルが、典型的に用いられる。サンプルの希釈は、浸透圧ショックおよび抗凍結剤毒性の両方の効果を減少させるように、通常、好ましくは37℃にて行われる。さらなる態様において、該抗凍結剤の濃度は、4〜20 % w/w、5〜15 % w/wまたは6〜12 % w/w、または好ましくは6〜10% w/w、またはより好ましくは7〜9% w/wなどの4〜45 % w/wである。
さらなる態様において、凍結保存組成物中のサンプルの温度は、-50℃〜-196℃、-80℃〜-196℃などの-50℃未満の凍結保存温度に降温される。
1つの態様において、凍結防止剤は、バンキング法において用いられる。1つの態様において、凍結防止剤は、臨床的バンキング法において用いられる。1つの態様において、凍結防止剤は、運動性末梢血バンキング法において用いられる。
1つの態様において、凍結防止剤は、悪性疾患のための幹細胞移植または臓器移植などの臨床的バンキング法において用いられる。1つの態様において、凍結防止剤は、運動性末梢血バンキング法、髄バンキング法または臍帯バンキング法において用いられる。
1つの態様において、凍結防止剤は、髄バンキング法または臍帯バンキング法において用いられる。1つの態様において、凍結防止剤は、脂肪組織バンキング法または歯髄組織バンキング法において用いられる。さらなる態様において、凍結防止剤は、生殖バンキング法において用いられる。
以下にさらなる実施態様を開示する:
1.1種以上のデキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体などの1種以上のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体である抗凍結剤を含む凍結防止剤であって、
a)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/wの1種以上のイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む;および/または
b)該抗凍結剤が、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;
凍結防止剤。
2.デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれるなどのデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる1種以上の抗凍結剤を含む凍結防止剤であって、
a)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む;または
b)該抗凍結剤が、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;または
c)該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含み、該抗凍結剤が、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;
凍結防止剤。
3.該抗凍結剤が、300〜7,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様1-2のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
4.該抗凍結剤が、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる1種以上である、実施態様1-3のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
5.該凍結防止剤が、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む、実施態様1-4のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
6.該イソマルトオリゴ糖およびその誘導体が、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様1-5のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
7.該サンプルが、哺乳類臓器、哺乳類細胞および哺乳類組織などの臓器、細胞および組織から選ばれる、サンプルを凍結保存するための、実施態様1-6のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
8.該サンプルが、移植用である、サンプルを凍結保存するための、実施態様1-7のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
9.該サンプルが、凍結保存後に機能的である、サンプルを凍結保存するための、実施態様1-8のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
10.該サンプルが臓器であり、該臓器が、凍結保存後の該臓器の生理的機能の測定により機能的であると判断され、および/または該サンプルが組織であり、該組織が、このような組織の周囲組織と一体化する能力により機能的であると判断され、および/または該サンプルが細胞であり、細胞が、該凍結保存後の細胞の生存能力により機能的であると判断される、実施態様1-9のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
11.該抗凍結剤が、1,650〜7,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様1-10のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
12.該抗凍結剤が、500〜3,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様1-11のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
13.該抗凍結剤が、1,650〜3,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様1-12のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
14.該抗凍結剤が、多分散性Pdを有し、Pdが≧1および≦5である、実施態様1-13のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
15.該抗凍結剤が、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様1-14のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
16.該抗凍結剤が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様1-15のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
17.該抗凍結剤が、多分散性Pdを有し、Pdが≧1および≦3である、実施態様1-16のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
18.該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも10% w/wの1種以上のイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む、実施態様1-17のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
19.3グルコース単位未満のイソマルトオリゴ糖の重量分率が、15% w/w未満である、実施態様1-18のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
20.9グルコース単位を超えるイソマルトオリゴ糖の重量分率が、20 % w/w未満である、実施態様1-19のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
21.3グルコース単位未満のイソマルトオリゴ糖の重量分率が、15% w/w未満であり、9グルコース単位を超えるイソマルトオリゴ糖の重量分率が、15% w/w未満、10% w/w未満などの20 % w/w未満である、実施態様1-20のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
22.該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも30% w/w、少なくとも40% w/w、少なくとも50% w/w、少なくとも60% w/w、少なくとも70% w/w、少なくとも80% w/w、少なくとも90% w/w、少なくとも95% w/wまたはそれ以上などの1種以上のイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む、実施態様1-21のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
23.該抗凍結剤が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖などのイソマルトオリゴ糖である、実施態様1-22のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
24.該イソマルトオリゴ糖およびその誘導体がデキストランベースである、実施態様1-23のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
25.該誘導体が、水添イソマルトオリゴ糖、水添デキストラン、水添デキストリン、酸化イソマルトオリゴ糖、酸化デキストラン、酸化デキストリン、デキストリンのエステル、デキストランのエステル、イソマルトオリゴ糖のエステル、デキストリンのエーテル、デキストランのエーテル、イソマルトオリゴ糖のエーテル;水添イソマルトオリゴ糖、水添デキストラン、水添デキストリン、酸化イソマルトオリゴ糖、酸化デキストラン、酸化デキストリンなどから選ばれる部分水添/酸化デキストリン、部分水添/酸化デキストランおよび部分水添/酸化イソマルトオリゴ糖およびその誘導体;DEAE-デキストリン、DEAE-デキストラン、DEAE-イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル-デキストリン、カルボキシC1-10アルキル-デキストラン、カルボキシC1-10アルキル-イソマルトオリゴ糖、デキストリンのエステル、デキストランのエステルおよびイソマルトオリゴ糖のエステルおよびその誘導体から選ばれるデキストリン、デキストランおよびイソマルトオリゴ糖の誘導体である、実施態様1-24のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
26.該誘導体が、水添イソマルトオリゴ糖、酸化イソマルトオリゴ糖、DEAE-イソマルトオリゴ糖、カルボキシC1-10アルキル、酸化イソマルトオリゴ糖またはカルボキシC1-10アルキルイソマルトオリゴ糖である、実施態様1-25のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
27.該誘導体が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有する水添イソマルトオリゴ糖などの水添イソマルトオリゴ糖である、実施態様1-26のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
28.該カルボキシC1-10アルキルイソマルトオリゴ糖が、カルボキシメチルイソマルトオリゴ糖またはカルボキシエチルイソマルトオリゴ糖である、実施態様25-27のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
29.アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、1-アナリン、アルブミン、酢酸アンモニウム、ブタンジオール、硫酸コンドロイチン、クロロホルム、コリン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エリスリトール、エタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、グルコース、グリセロール、α-グリセロリン酸、グリセロールモノアセテート、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロピレングリコール、ピリジンN-オキシド、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、スクロース、トレハロース、トリエチレングリコール、トリメチルアミン酢酸塩、尿素、バリンおよびキシロースから選ばれる、少なくとも1つの追加の抗凍結剤をさらに含む、実施態様1-28のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
30.該追加の抗凍結剤が、DMSOである、実施態様1-29のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
31.実質的にDMSOを含まない、実施態様1-30のいずれか1つに記載の凍結防止剤。 32.The agent according to embodiment 31 which is free of DMSO。
33.唯一の抗凍結剤として実施態様1に定義される抗凍結剤を含む、実施態様1-32のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
34.該凍結防止剤が、粉末の形態である、実施態様1-33のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
35.該凍結防止剤が、凍結乾燥または噴霧乾燥粉末の形態である、実施態様1-34のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
36.該凍結防止剤が、溶液の形態である、実施態様1-35のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
37.該凍結防止剤が、40%〜65% w/wまたは50%〜60% w/wの該抗凍結剤などの30%〜70% w/wの該抗凍結剤を含む、実施態様1-36のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
38.該凍結防止剤が、40%〜65% w/wまたは50%〜60% w/wの該追加の抗凍結剤などの30%〜70% w/wの該追加の抗凍結剤を含む、実施態様1-37のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
39.凍結保存されるべきサンプルのための増殖培地または基質をさらに含む、実施態様1-38のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
40.IAP(アポトーシスのインヒビター);rho関連タンパク質キナーゼ(ROCK)シグナル伝達経路のインヒビター;および/またはEGF、FGF、PDGF、IGF、EPO、BDNF、TGF、TNF、VEGFなどの任意の増殖因子に属する任意のタンパク質をさらに含む、実施態様1-39のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
41.ヒト、ウシ、ウマまたはイヌ由来の任意の血清成分をさらに含む、実施態様1-40のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
42.該抗凍結剤が、滅菌されている、実施態様1-41のいずれか1つに記載の凍結防止剤。
43.実施態様1-42に定義される凍結防止剤を含み、凍結保存されるべきサンプルをさらに含む、凍結保存組成物。
44.サンプルが、臓器、単離された細胞などの細胞、またはたとえば血液などの細胞含有体液および組織から選ばれる、実施態様43に記載の凍結保存組成物。
45.サンプルが、移植用の哺乳類臓器、哺乳類細胞および哺乳類組織から選ばれるサンプルなどの哺乳類臓器、哺乳類細胞および哺乳類組織から選ばれる、実施態様44に記載の凍結保存組成物。
46.該サンプルが、間葉系幹細胞、組織特異的前駆細胞、ケラチン生成細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、骨細胞または心筋細胞などの組織または臓器中のすべての種類の組織由来細胞;造血幹細胞、マクロファージ、血小板、赤血球などの血液由来細胞;またはすべてのタイプの多能性細胞、全能性細胞および単能性細胞などの幹細胞;ならびに胚葉細胞などの体細胞から選ばれる細胞である、実施態様43-45のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
47.該サンプルが、ケラチン生成細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞、マクロファージ、およびCD34陽性血液幹細胞などの造血幹細胞から選ばれる細胞である、実施態様43-46のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
48.該サンプルが、卵巣組織、精巣組織、臍帯組織、胎盤組織、結合組織、心臓組織、筋肉、骨および軟骨組織からの組織、内分泌組織および神経組織から選ばれる組織である、実施態様43-45のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
49.該サンプルが、臍帯血、末梢血および運動性末梢血などの血液、羊水、精液、脳脊髄液、月経液および骨髄穿刺液から選ばれる細胞含有体液である
、実施態様43-45のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
50.該サンプルが、肺、心臓、腎臓、肝臓、臍帯および卵巣から選ばれる臓器である、実施態様43-45のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
51.2〜50 % w/wまたは4〜45 % w/wまたは6〜12 % w/w、あるいは好ましくは6〜10% w/w、またはより好ましくは7〜9% w/wなどの1〜50 % w/wの量の該抗凍結剤を含む、実施態様43-45のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
52.該組成物が、1-8%などの8 % w/w未満の量のDMSOを含む、実施態様43-51のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
53.該サンプルが、凍結保存後に機能的である、実施態様43-52のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
54.該組成物が、8 % w/w未満、1-4%などの4 % w/w未満の量のDMSOを含む、実施態様43-53のいずれか1つに記載の凍結保存組成物。
55.凍結保存されるべきサンプルを、実施態様1-42のいずれか1つに定義される凍結防止剤に接触させて、凍結保存組成物を得、次いで、凍結保存組成物の温度を凍結保存温度まで低下させることを含む、サンプルを凍結保存する方法。
56.凍結保存組成物が、実施態様43-54のいずれか1つに定義される、実施態様55に記載の方法。
57.凍結保存組成物の温度を凍結保存温度まで低下させることによる、実施態様43-56のいずれか1つに定義される該組成物を凍結保存する方法。
58.凍結保存温度が、0.1-10、0.2-8、0.3-6、0.4-4、0.5-2℃/分などの0.05-15℃/分の速度にて達成される、実施態様55-57のいずれか1つに記載の方法。
59.該抗凍結剤の濃度が、5〜15 % w/wまたは6〜12 % w/w、または好ましくは6〜10% w/w、またはより好ましくは7〜9% w/wなどの4〜20 % w/wである、実施態様55-58のいずれか1つに記載の方法。
60.凍結保存組成物中のサンプルの温度が、-50℃〜-196℃、-80℃〜-196℃などの-50℃未満の温度に降温される、実施態様55-59のいずれか1つに記載の方法。
61.サンプルが、凍結保存後に融解される、実施態様55-60のいずれか1つに記載の方法。
62.該サンプルが、凍結保存後に機能的である、実施態様55-61のいずれか1つに記載の方法。
63.凍結保存されるべきサンプルが、臓器、細胞および組織から選ばれる、実施態様55-62のいずれか1つに記載の方法。
64.臨床的バンキング法における、実施態様55-63のいずれか1つに記載の方法。
65.運動性末梢血バンキング法、髄バンキング法、脂肪組織バンキング法、歯髄組織バンキング法、生殖バンキング法または臍帯バンキング法などのバンキング法における、実施態様55-64のいずれか1つに記載の方法。
66.臓器、細胞および組織から選ばれるサンプルを凍結保存するための、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれるなどの、デキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる1種以上の抗凍結剤を含む凍結防止剤の使用であって、ここで、a)該凍結防止剤は、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含む;またはb)該抗凍結剤は、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する;またはc)該凍結防止剤は、該凍結防止剤中のデキストリン、デキストラン、イソマルトオリゴ糖およびその誘導体の総重量に基づいて、少なくとも1% w/w の1種以上の、300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体を含み、該抗凍結剤が、300〜9,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する。
67.該抗凍結剤が、300〜7,500 Daの重量平均分子量(Mw)を有する、実施態様66に記載の凍結防止剤の使用。
68.臓器、細胞および組織から選ばれるサンプルを凍結保存するための、850〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するなどの300〜1,650 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖およびその誘導体から選ばれる凍結防止剤の使用。
69.臓器、細胞および組織から選ばれるサンプルを凍結保存するための、実施態様1-42のいずれか1つに定義される凍結防止剤の使用。
70.凍結保存されるべきサンプルを、該凍結防止剤に接触させて、凍結保存組成物を得、次いで、凍結保存組成物の温度を凍結保存温度まで低下させることを含む、実施態様66-69のいずれか1つに記載の使用。
71.該凍結保存組成物の温度を凍結保存温度まで低下させることによってサンプルを凍結保存するための、実施態様43-54のいずれか1つに記載の凍結保存組成物の使用。
72.凍結保存温度が、0.1-10、0.2-8、0.3-6、0.4-4、0.5-2℃/分などの0.05-15℃/分の速度にて達成される、実施態様66-71のいずれか1つに記載の使用。
73.該抗凍結剤の濃度が、5〜15 % w/wまたは6〜12 % w/w、または好ましくは6〜10% w/w、またはより好ましくは7〜9% w/wなどの4〜20 % w/wである、実施態様66-72のいずれか1つに記載の使用。
74.凍結保存組成物中のサンプルの温度が、-50℃〜-196℃、-80℃〜-196℃などの-50℃未満の温度に降温される、実施態様66-73のいずれか1つに記載の使用。
75.サンプルが、凍結保存後に融解される、実施態様66-74のいずれか1つに記載の使用。
76.該サンプルが、凍結保存後に機能的である、実施態様66-75のいずれか1つに記載の使用。
77.凍結保存されるべきサンプルが、移植用の臓器、細胞および組織から選ばれる、実施態様66-76のいずれか1つに記載の使用。
78.運動性末梢血バンキング法、髄バンキング法、脂肪組織バンキング法、歯髄組織バンキング法、生殖バンキング法または臍帯バンキング法などのバンキング法における、実施態様66-77のいずれか1つに記載の使用。
79.臨床的バンキング法における、実施態様66-78のいずれか1つに記載の使用。
本明細書において言及されるすべての刊行物は、参照することによって本明細書に援用される。本発明の所望の組成物、方法およびシステムの様々な修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者にとって明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施態様に関連して記載されているが、請求の範囲に記載の本発明が、このような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解すべきである。
製造例1
イソマルトオリゴ糖1の製造
低分子量デキストランの加水分解
カットオフ値<5,000ダルトンを有する膜からの浸透物として採取された3345 kgの加水分解デキストランは、温度95℃、pH 1.5において加水分解される。
加水分解は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いてモニターされ、加水分解されている材料の分子量が、所望の値、すなわち、850〜1,150ダルトンの重量平均分子量に到達したと評価される時に、冷却によって終結される。
加水分解によって、低分子量のイソマルトオリゴ糖が製造されるが、グルコースもまた形成される。冷却および中和後、グルコースおよび非常に低い分子量のオリゴマーの量は、カットオフ値340〜800ダルトンを有する膜処理によって減少する。この処理の後、イソマルトオリゴ糖の含量は、旋光度(αD20〜200)によって、915 kgであると決定され、還元糖の量は、ソモギー試薬の使用によって、22.5%であると決定される。
表1:GPC分析の結果

Figure 0006978644

AUPW:ピーク下面積(Mw)
AUPN:ピーク下面積(Mn)
上記表1から明らかなように、イソマルトオリゴ糖は、1020 DaのMWを有し、Mnは827 Daに等しく、多分散性Pd=1.23である。還元糖は、22.5 %であると測定される。このイソマルトオリゴ糖は、本明細書において、ペンタイソマルトースとも称される。
製造例2
水添イソマルトオリゴ糖1の製造
加水分解および分画後、418 kgのイソマルトオリゴ糖が残った。還元糖は、30.8 %であると測定された。この量を、10 kgの水素化ホウ素ナトリウムで処理し、その結果、最終的イオン交換前に、362 kgの水添イソマルトオリゴ糖を得た。その後、溶液をpH<7.0に中和し、続いて、脱イオン化し、最後に、噴霧乾燥した。最終生成物の還元糖は、0.09 %であると測定された。
表2:GPC分析の結果
Figure 0006978644

AUPW:ピーク下面積(Mw)
AUPN:ピーク下面積(Mn)
上記表2から明らかなように、水添イソマルトオリゴ糖は、968 DaのMWを有し、Mnは780 Daに等しく、多分散性Pd=1.24である。還元糖は、22.5 %であると測定される。この水添イソマルトオリゴ糖は、本明細書において、ペンタイソマルトシドとも称される。
凍結保存剤の製造
以下の実施例において用いた凍結保存剤は、増殖培地(DMEM/F12+10% FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン)中の抗凍結剤(DMSO、製造例1で製造されたペンタイソマルトース(イソマルトオリゴ糖1)または製造例2で製造されたペンタイソマルトシド(水添イソマルトオリゴ糖1)など)を無菌で可溶化して、所望の最終濃度n(たとえば、8% イソマルトオリゴ糖1凍結保存組成物について、8 グラム/100 mlの増殖培地)にし、個々の凍結保存組成物をフィルター滅菌することによって製造される。
正常ヒト皮膚線維芽細胞の凍結保存
標準条件下(37℃、5% CO2および標準増殖培地 [DMEM/F12+10% FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン])、NHDF(第2継代)を、従来のT-フラスコで培養した。集密(70-80%)に達した時点で、細胞集団をフラスコから放出し、遠心分離した(1000 rpm、10分)。0,5x106個の細胞を6つの異なる凍結保存剤(1 ml)に再懸濁させた:1)増殖培地+10% DMSO、2)増殖培地+2% DMSO+8% イソマルトオリゴ糖1、3)増殖培地+2% DMSO+8% 水添イソマルトオリゴ糖1、4)増殖培地+8% イソマルトオリゴ糖1、5)増殖培地+8% 水添イソマルトオリゴ糖1、および6)添加剤を含まない増殖培地(FBSを含まないDMEM/F12)。次いで、イソプロパノールベースの方法を用い、1℃/分の定速で液体N2の温度まで温度を下げて凍結させ、細胞を、標準的制御凍結保存条件下で凍結保存した。1週間後、標準的融解プロトコル(37度の水浴にバイアルを直接浸漬させ、新鮮な37℃ 増殖培地に細胞溶液を滴下する)を用いて細胞を融解した。融解後、次の分析を行った:1)生存能力、ヌクレオカウンター装置(NC200)を使用、および2)初代継代における生存能力、ヌクレオカウンター装置(NC200)を使用。結果を図1および2に示し、表3〜5にまとめる。
唯一の凍結保存剤としてイソマルトオリゴ糖1を用いる場合、10% DMSOを用いる標準的条件と比較して、融解後の生存能力は、わずかに低下する。2% DMSOを、イソマルトオリゴ糖1とともに用いる場合、生存能力に関する差異は、観察されない。初代継代においてイソマルトオリゴ糖単独とともに凍結保存された細胞の生存能力は、10% DMSOを用いる標準的条件と類似する。この実験は、唯一の抗凍結剤としてイソマルトオリゴ糖1を用いる、凍結保存溶液中でNHDFを凍結保存することは、標準的凍結保存条件からの培養物と同程度まで用いることができる培養物をもたらすことを実証する。
正常なヒトケラチン生成細胞(NHEK)の凍結保存
実施例2に記載したものと同じプロトコルを用いて、NHEKを凍結保存した。同じ実験グループで行った。結果を図3および4に示し、表3〜5にまとめる。
NHDFについても明らかなように、結果は、唯一の抗凍結剤としてイソマルトオリゴ糖1を用いて、NHEKが、凍結保存溶液中で凍結保存されうることを明確に実証する。培養物の初代継代における生存能力は、10% DMSOを用いる標準的条件下で凍結保存されたNHEKのレベルと同じである。
正常なヒト間葉系幹細胞(hMSC)の凍結保存
さらに2つの実験グループ(増殖培地+8% イソマルトオリゴ糖1+ 2% トレハロース;および増殖培地+2% トレハロース)を含めて、実施例2に記載したものと同じプロトコルを用いて、hMSCを凍結保存した。上述のヌクレオカウンター技術を用いて、生存能力分析をおこなった。結果を図5に示し、表3〜5にまとめる。
結果は、唯一の抗凍結剤としてイソマルトオリゴ糖1を用いて、hMSCが、凍結保存溶液中で凍結保存されうることを明確に実証する。融解後の生存能力が、10% DMSOを含有する標準的配合物と同じレベルであることが明らかにされる。
表3〜5
T1:融解後の生存
T2:初代継代後の生存
Figure 0006978644
表3
Figure 0006978644
表4
Figure 0006978644
表5
イソマルトオリゴ糖1へのhMSCの曝露
hMSCを、従来のT-フラスコ中、集密まで増殖させた。細胞を放出し、2つの異なる配合物に差異懸濁させた:1)増殖培地+10% DMSO;および2)8% イソマルトオリゴ糖1。各配合物中の細胞の採集濃度は、1x106個/mlであった。実施例2に記載したものと同じ基本プロトコルを用いた。各バイアルからの1 mlを凍結バイアルに加え、3つの異なる時点[1)0分(T0)、10分(T10)および30分(T30)]でヌクレオカウンターを用いて生存能力を分析した。結果を表6にまとめる。

Figure 0006978644
表6
標準的凍結保存条件への曝露が、hMSCの生存能力に著しく影響を及ぼすことが明らかに実証される。唯一の抗凍結剤としてイソマルトオリゴ糖1を含む凍結製剤(cryoformulation)への曝露は、60分間の曝露後、生存能力に有意に影響を及ぼす。これは、イソマルトオリゴ糖1を含む凍結保存組成物中で濃縮凍結保存用の細胞培養物を取り扱うことができ、より柔軟な作業手順を可能にすることを実証する。
hMSCの凍結保存用のイソマルトオリゴ糖560 Da
実施例に記載したものと同じ基本プロトコルを用いて、hMSCを凍結保存し、同じ実験グループを行った。結果は、イソマルトオリゴ糖560 Da中でhMSCを凍結保存することは可能であるが、水添イソマルトオリゴ糖560 Daは、この実験ではイソマルトオリゴ糖560 Daほど有効ではないことを示す。結果を表7にまとめる。

Figure 0006978644
表7
PluriPro増殖培地中のヒトiPS細胞
製造例1に記載したように、この実験に用いるイソマルトオリゴ糖1を製造する。ヒト人工多能性幹細胞、iPSC(12代継代)を、標準的条件下(37度、5% CO2およびPluriPro 増殖培地、Cell Guidance System)、単一細胞として従来のT-フラスコ中で培養した。集密(70-80%)に達した時点で、細胞集団をフラスコから放出し、遠心分離した(1000 rpm、10分)。0,5x106個の細胞を12個の異なる凍結保存溶液(1 ml)に再懸濁させた:増殖培地+10% DMSO、増殖培地+5% DMSO、増殖培地+10% DMSO+2% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+10% DMSO+4% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+10% DMSO+8% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+5% DMSO+2% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+5% DMSO+4% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+5% DMSO+8% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+2% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+4% イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+8% イソマルトオリゴ糖1、および抗凍結剤なしの増殖培地。次いで、細胞を、標準的制御凍結保存条件下で液体N2の温度まで温度を下げて凍結保存した(イソプロパノールベースの方法を用いる)。一週間後、標準的融解プロトコルを用いて細胞を融解した((37度の水浴にバイアルを直接浸漬させ、新鮮な増殖培地に細胞溶液を滴下して移した)。最初の播種を行い、ROCKインヒビターを加えた。融解後、ヌクレオカウンター技術を用い、生存能力分析を行った。結果を図6に示す。
結果は、凍結保存された細胞の生存能力は、DMSOを加える場合よりも有意に低いが、ヒトiPS細胞が、唯一の抗凍結剤としてイソマルトオリゴ糖1を用いて凍結保存されうることを実証する。
PluriPro増殖培地中のヒトiPS細胞
製造例1に記載したように、この実験に用いる水添イソマルトオリゴ糖1を製造する。ヒト人工多能性幹細胞、iPSC(12代継代)を、標準的条件下(37度、5% CO2およびPluriPro 増殖培地、Cell Guidance System)、単一細胞として従来のT-フラスコ中で培養した。集密(70-80%)に達した時点で、細胞集団をフラスコから放出し、遠心分離した(1000 rpm、10分)。0,5x106個の細胞を12個の異なる凍結保存溶液(1 ml)に再懸濁させた:増殖培地+10% DMSO、増殖培地+5% DMSO、増殖培地+10% DMSO+2% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+10% DMSO+4% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+10% DMSO+8% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+5% DMSO+2% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+5% DMSO+4% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+5% DMSO+8% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+2% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+4% 水添イソマルトオリゴ糖1、増殖培地+8% 水添イソマルトオリゴ糖1、および抗凍結剤なしの増殖培地。次いで、細胞を、標準的制御凍結保存条件下で液体N2の温度まで温度を下げて凍結保存した(イソプロパノールベースの方法を用いる)。一週間後、標準的融解プロトコルを用いて細胞を融解した((37度の水浴にバイアルを直接浸漬させ、新鮮な増殖培地に細胞溶液を滴下して移した)。最初の播種を行い、ROCKインヒビターを加えた。融解後、ヌクレオカウンター技術を用い、生存能力分析を行った。結果を図7に示す。
結果は、凍結保存された細胞の生存能力は、DMSOを加える場合よりも有意に低いが、ヒトiPS細胞が、唯一の抗凍結剤として水添イソマルトオリゴ糖1を用いて凍結保存されうることを実証する。DMSOなしで凍結保存されたサンプルにおいて、使用したイソマルトオリゴ糖1の濃度の関数として、生存能力を改善する傾向が観察された。
異なる分子量をもつ抗凍結剤中での正常なヒト間葉系幹細胞(hMSC)の凍結保存
実施例2と同じプロトコルを用いて、以下の実験グループにおいて、hMSCを凍結保存した:増殖培地+10% DMSO、8% イソマルトオリゴ糖1、平均Mw 10.000のデキストランまたは平均Mw 40.000のデキストラン+5% DMSO、8% イソマルトオリゴ糖1、平均Mw10.000のデキストランまたは平均Mw 40.000のデキストラン+1% DMSO、8% イソマルトオリゴ糖1、平均Mw10.000のデキストランまたは平均Mw 40.000のデキストランおよび増殖培地。上述のヌクレオカウンター技術を用いて、生存能力分析を行った。融解後、標準的条件下で3日間、MSCを培養し、インビトロ分析における比色分である、細胞集団中のミトコンドリア活性を測定するMTTアッセイを用いることによって、増殖速度を分析した。
結果を図8に示す。
結果は、hMSCを、唯一の抗凍結剤として、イソマルトオリゴ糖1、平均Mw 10.000のデキストランまたは平均Mw 40.000のデキストランを用いる凍結保存溶液中で凍結保存することができること明確に実証する。融解後の直接生存能力分析におけるMnの間に、有意な差異は観察されなかった。しかしながら、3日後の増殖速度の分析は、8% イソマルトオリゴ糖1(平均Mw 1000)中で凍結保存されたhMSCは、8% 平均Mw 10.000および平均Mw 40.000のデキストランと比較してより活発に増殖することを実証した。
平均Mw 1500 Mwを有するイソマルトオリゴ糖中での正常なヒト間葉系幹細胞(hMSC)の凍結保存
実施例2と同じプロトコルを用いて、以下の実験グループにおいて、hMSCを凍結保存した:増殖培地+10% DMSO、増殖培地+2% DMSO、平均Mw 1500 Mwを有する8% イソマルトオリゴ糖+2% DMSO、平均Mw 1500 Mwを有する8% イソマルトオリゴ糖および増殖培地。上述のヌクレオカウンター技術を用いて、生存能力分析を行った。融解後、標準的条件下で3日間、MSCを培養し、インビトロ分析における比色分である、細胞集団中のミトコンドリア活性を測定するMTTアッセイを用いることによって、増殖速度を分析した。結果を図9に示す。
結果は、hMSCを、唯一の抗凍結剤として、平均Mw 1500を有するイソマルトオリゴ糖を用いる凍結保存溶液中で凍結保存することができること明確に実証する。
DMSO、イソマルトオリゴ糖1または水添イソマルトオリゴ糖1とともに凍結保存した後の CD34+ 造血幹細胞の生存能力
運動性末梢血細胞を、白血球除去輸血によって採取し、10% DMSOまたは異なる濃度のイソマルトオリゴ糖1(isom)または水添イソマルトオリゴ糖1(h-isom)を含む凍結防止培地中で凍結させた。速度制御フリーザー(Kryo 560-16、Planer; 開始温度4℃、-1℃/分で0℃まで低下、-2℃/分で-45℃まで低下、および-5℃/分で-100℃まで低下)を用いてサンプルを凍結させ、-150℃にした。37℃の水浴中でサンプルを融解させた。フローサイトメトリーを適用して、CD45+、CD34+ 造血幹細胞の生存能力を評価した。蛍光DNA結合化合物である7-アミノアクチノマイシン D(7-AAD)を、生/死マーカーとして用いた。7AADを排除できる細胞を、生存可能であると仮定した。結果を、図10に示す:イソマルトオリゴ糖1(薄いグレーのバー)、水添イソマルトオリゴ糖1(濃いグレーのバー)およびDMSO(黒いバー)。それぞれ二回ずつ測定された、3つの別々の実験からのデータを示す。エラーバーは、標準偏差を示す。
h-isomおよびisomの両方が、標準的10% DMSOと同程度まで、凍結保存後のCD34+ 造血細胞の生存能力をサポートする。h-isomおよびisomの両方において、より高い濃度でより高い防止効果が得られるという傾向が、実証される。4%の濃度は、6%、8%、10%および12%の濃度よりも、より低い有意な防止効果(60%未満)を与える。10%および12%の濃度は、10% DMSOと同様の防止効果を有する。この研究では、h-isomおよびisomの凍結防止効果の間には、有意な差異は観察されなかった。
DMSO、イソマルトオリゴ糖1または水添イソマルトオリゴ糖1とともに凍結保存した後の脂肪由来間質/幹細胞(ASC)の生存能力
Vibrasat装置(Moeller Medical GmbH & Co。KG、Fulda、Germany)を用いて腹部や太腿の内側の美容脂肪吸引によって得られた脂肪組織から、ASCを採取した。間質血管画分からのASCを、ダルベッコ変法イーグル培地、1% ペニシリン-ストレプトマイシン、1% GlutaMAXおよび10%のプールされたヒト血小板溶解物からなる培養培地にエクスビボで増殖させた。10% DMSOまたは様々な濃度のイソマルトオリゴ糖1(isom)もしくは水添イソマルトオリゴ糖1(h-isom)を含有する凍結保護培地中で細胞を凍結させた。速度制御フリーザーを用いて、(Kryo 560-16、Planer; 開始温度4℃、-1℃/分で0℃まで低下、-2℃/分で-45℃まで低下、および-5℃/分で-100℃まで低下)を用いてサンプルを凍結させ、-150℃にした。37℃の水浴中でサンプルを融解させた。表現型(CD73、CD90、CD105に対して陽性ならびにCD14、CD20、CD45およびCD34に対して陰性)の特性評価のためにフローサイトメトリーを適用して、ASCの生存能力を評価した。蛍光DNA結合化合物である7-アミノアクチノマイシン D(7-AAD)を、生/死マーカーとして用いた。7AADを排除できる細胞を、生存可能であると仮定した。結果を、図11に示す:イソマルトオリゴ糖1(薄いグレーのバー)、水添イソマルトオリゴ糖1(濃いグレーのバー)およびDMSO(黒いバー)。二回ずつ測定された、1つの実験からのデータを示す。エラーバーは、標準偏差を示す。DMSOの結果は予測よりも低い。
抗凍結剤としてのh-isomおよびisomの両方が、10% DMSOと同程度まで、ASCの生存能力をサポートする。低濃度である4%を除いて、高濃度が、約70%を超える生存能力をもたらす。12%の濃度は、より低い濃度と比較して、有意に高い生存能力(80%〜90% )をもたらす。この研究では、h-isomおよびisomの凍結防止効果の間には、4%グループを除いて、有意な差異は観察されなかった。
マウスの卵巣を除去した後、以下の凍結保存溶液に卵巣を移すまで、10 mg/ml HSA、ペニシリン/ストレプトマイシンを補足し、37℃に維持したマッコイ培地に卵巣を移す:1)標準条件(ヒト卵巣組織の凍結保存と同様に、PBS、1.5 mol/L エチレングリコール、0.1 mol/L スクロース、10 mg/ml HSA)または2) PBS、10 % (w/v)イソマルトオリゴ糖1。
卵巣を氷上で30分間平衡化し、次いで、プログラム可能な凍結フリーザー(cryofreezer)(Planner Cryo 10 プログラム可能フリーザー、UK)に移し、次の勾配でサンプルを-140℃に冷却する(開始温度:-1℃;-9℃まで-2℃/分;5分間維持;播種;-40℃まで-0.3℃/分、-140℃まで-10℃/分;次いで、液体窒素に直接入れる)。融解:37℃の湯中、室温;イソマルトオリゴ糖1(20 % (w/v))を含む培地中で10分間 、次いで、固定培地へ直接。組織プレパラートにおいて、両方の卵巣は、発生の異なる段階にある生存卵胞を示す。
上記実施例13に記載したとおり、ただし以下の凍結保存溶液中で、マウスの卵巣を処理する:1)標準的条件(ヒト卵巣組織の凍結保存と同様に、PBS、1.5 mol/L エチレングリコール、0.1 mol/L スクロース、10 mg/ml HSA);または2)PBS、1,5 mol/L エチレングリコール、10 mg/ml HSA、10 % (w/v)水添イソマルトオリゴ糖1;または3)PBS、10 mg/ml HSA、10 % (w/v)水添イソマルトオリゴ糖1。組織プレパラートにおいて、すべての卵巣は、発生の異なる段階にある生存卵胞を示す。

Claims (16)

  1. 凍結保存されるべきサンプルを、抗凍結剤を含む凍結防止剤に接触させて、凍結保存組成物を得、次いで、凍結保存組成物の温度を凍結保存温度まで低下させることを含む、サンプルを凍結保存する方法であって、
    該抗凍結剤が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖および850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有する水添イソマルトオリゴ糖の1種以上であり、
    該凍結防止剤が、実質的にジメチルスルホキシド(DMSO)を含まず、「実質的にDMSOを含まない」が、0.01w/w %未満の量のDMSOを意味し、
    サンプルが、間葉系幹細胞および造血幹細胞からなる群から選択される、
    方法。
  2. サンプルを凍結保存するための、抗凍結剤を含む凍結防止剤の使用であって、
    該抗凍結剤が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖および850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有する水添イソマルトオリゴ糖の1種以上であり、
    該凍結防止剤が、実質的にジメチルスルホキシド(DMSO)を含まず、「実質的にDMSOを含まない」が、0.01w/w %未満の量のDMSOを意味し、
    サンプルが、間葉系幹細胞および造血幹細胞からなる群から選択される、
    凍結防止剤の使用。
  3. 抗凍結剤を含む凍結防止剤を含み、凍結保存されるべきサンプルをさらに含む、凍結保存組成物であって、
    該抗凍結剤が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖および850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有する水添イソマルトオリゴ糖の1種以上であり、
    該凍結防止剤が、実質的にジメチルスルホキシド(DMSO)を含まず、「実質的にDMSOを含まない」が、0.01w/w %未満の量のDMSOを意味し、
    サンプルが、間葉系幹細胞および造血幹細胞からなる群から選択される、
    凍結保存組成物。
  4. 1〜50 % w/wの量の該抗凍結剤を含む、請求項3に記載の凍結保存組成物。
  5. 造血幹細胞が、末梢血由来造血幹細胞である、請求項1に記載の方法。
  6. 末梢血由来造血幹細胞が、CD34陽性血液幹細胞である、請求項5に記載の方法。
  7. 細胞が、凍結保存後に機能的である、請求項1、5および6のいずれか1つに記載の方法。
  8. 該細胞の生存能力が保存される、請求項7に記載の方法。
  9. 該抗凍結剤が、≧1および≦5の多分散性を有する、請求項1および5〜8のいずれか1つに記載の方法。
  10. 該抗凍結剤が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有するイソマルトオリゴ糖である、請求項1および5〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. 該抗凍結剤が、850〜1,150 Daの重量平均分子量(Mw)を有する水添イソマルトオリゴ糖である、請求項1および5〜10のいずれか1つに記載の方法。
  12. 3グルコース単位未満のイソマルトオリゴ糖の重量分率が、15% w/w未満であり、および/または、9グルコース単位を超えるイソマルトオリゴ糖の重量分率が、20% w/w未満である、請求項1および5〜11のいずれか1つに記載の方法。
  13. 該イソマルトオリゴ糖または水添イソマルトオリゴ糖が、デキストランベースである、請求項1および5〜12のいずれか1つに記載の方法。
  14. 該凍結防止剤が、粉末の形態または溶液の形態である、請求項1および5〜13のいずれか1つに記載の方法。
  15. 該凍結防止剤が、30%〜70% w/wの該抗凍結剤を含む、請求項1および5〜14のいずれか1つに記載の方法。
  16. 該凍結防止剤が、アガロース、アルギン酸塩、アルブミン、硫酸コンドロイチン、コリン、エリスリトール、グルコース、α-グリセロリン酸、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メチルアセトアミド、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、プロリン、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、スクロース、トレハロース、トリメチルアミン酢酸塩、尿素、バリンおよびキシロースから選ばれる、少なくとも1つの追加の抗凍結剤を含む、請求項1および5〜15のいずれか1つに記載の方法。
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