JP6577427B2 - トナー用チタン酸ストロンチウム系微細粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(ただし、Rは炭化水素基、R'はアルコキシ基、nは1〜3の整数、mは1〜3の整数を示し、n+m=4を満たす。)
で表される1乃至2種類のアルコキシシランで被覆処理したトナー用外添剤が提供される。本トナー用外添剤は、トナーの疎水性、環境特性および帯電特性を向上させる。
前記酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いる。好ましくは、硫酸法で得られた、SO3 含有量が1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下のメタチタン酸を塩酸でpHを0.8〜1.5に調整して解膠したものを用いることで、粒度分布が良好なチタン酸ストロンチウム系微細粒子を得ることができる。メタチタン酸中SO3含有量が1.0重量%を超えると解膠が進まない。
本発明の製造方法においては、常圧加熱反応によって得られるチタン酸ストロンチウム系化合物をさらに酸処理する。常圧加熱反応を行って、チタン酸ストロンチウムを合成する際に、酸化チタン源、ストロンチウム源および第3成分Mの混合割合が(Sr+M)/Tiのモル比で1.0を超える場合、反応終了後に残存した未反応のストロンチウム源あるいは第3成分Mが空気中の炭酸ガスと反応して、炭酸ストロンチウムなどの不純物を生成してしまうため、炭酸ストロンチウムなどの粒子が残存すると粒度分布が広くなる。また、表面に炭酸ストロンチウムなどの不純物が残存すると、疎水性を付与するための表面処理をする際に、不純物の影響で有機表面処理剤を均一に被覆することができない。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応のストロンチウム源あるいは第3成分Mを取り除くため酸処理を行う。
チタン酸ストロンチウム系微細粒子の(Sr+M)/Tiモル比、粒子径および円形度等は、種々の方法で測定できるが、本願においては以下の方法で測定した。
島津製作所製蛍光X線分析装置XRF−1700を用いて各元素のカウント値を測定し、Fundamental Parameter法により算出した(JIS K 0119:2008)。
平均一次粒子径は、日本電子製透過型電子顕微鏡JEM−1400plusで撮影した写真から等価円直径により測定される重量基準の50%粒子径であり、四分偏差は透過型電子顕微鏡写真から等価円直径により測定される重量基準の75%粒子径と25%粒子径の差の1/2で表される。
円形度は、粒子を二次元に投影した時の円形度で評価し、(粒子面積と等しい円の周囲長)/(粒子周囲長)である。また、平均円形度は、チタン酸ストロンチウム系微細粒子200個の円形度の平均値である。この円形度は、日本電子製透過型電子顕微鏡JEM−1400plusで撮影した粒子像にて画像解析ソフトImageJを用いることにより測定した。
比表面積は、MICROMETORICS INSTRUMENT CO.製ジェミニ2375を用い、BET法にて測定した。
本願明細書における「疎水化度」は、簡易で再現性のよい試験方法で求めたものであり、2.5重量%毎のメタノールを含む水溶液を試験管に用意しておき、少量の微粒子を投入し、沈降の有無を確認した。疎水化度としては、沈降が無い時の最大メタノール濃度比率の重量%を疎水化度(下限)値とし、粒子が沈降する最小メタノール濃度比率の重量%を疎水化度(上限)値として表示した。なお、疎水性とは疎水化度が少なくとも10%以上のことをいう。
被着率は、試料のカーボン含有量をLECO製CS−230炭素・硫黄分析装置を用いて分析し、当該測定値を有機表面処理剤が理論量被着したときのカーボン含有量で除した値を百分率で表した数値である。
[実施例1]
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行って、洗浄済みケーキを得た。洗浄済みケーキに水を加え、TiO2 として2.13mol/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.4とし、解膠処理を行った。このメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように2.159mol添加し、更に塩化ランタン溶液をSrモル比で10mol%となる0.216mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液553mLを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様にして脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.251mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように1.439mol添加し、更に塩化ランタン溶液をSrモル比で15mol%となる0.216mol添加した後、TiO2 濃度0.626mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液378mLを4時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様にして脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.10となるように2.065mol添加し、更に塩化カルシウムをSrモル比で5mol%となる0.103mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液526mLを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様に脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように2.159mol添加し、更に塩化マグネシウムをSrモル比で10mol%となる0.216mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液553mLを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様に脱硫処理及び解膠を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように2.159mol添加し、更に塩化スズをSrモル比で10mol%となる0.216mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら80℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液553mLを1時間かけて添加し、その後、80℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様に脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.25となるように2.346mol添加し、更にケイ酸ナトリウムをSrモル比で5mol%となる0.117mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液564mLを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1において、合成反応終了後の反応スラリーを酸処理して得られた沈殿をデカンテーションした後、ろ過による分離の前に、当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、および塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して13.0wt%のn−プロピルトリエトキシシラン(表面処理剤)を添加して20時間撹拌保持を続けた。次いで、水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し、1時間撹拌保持を続けた後、ろ過洗浄を行い得られたケーキを120℃大気中で10時間乾燥し、疎水性微粒子A−1を得た。粒子A−1の(Sr+La)/Tiモル比は0.86、また、疎水化度は45.0%〜47.5%であった。表面処理剤の被着率は90%であった。
実施例1において、合成反応終了後の反応スラリーを酸処理して得られた沈殿をデカンテーションした後、ろ過による分離の前に、当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、および塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して10.0wt%のi−ブチルトリメトキシシラン(表面処理剤)を添加して6時間撹拌保持を続けた後、3.0wt%のトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(表面処理剤)を添加して14時間撹拌保持を続けた。次いで、水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し、1時間撹拌保持を続けた後、ろ過洗浄を行い得られたケーキを120℃大気中で10時間乾燥し、疎水性微粒子A−2を得た。粒子A−2の(Sr+La)/Tiモル比は0.85、また、疎水化度は50.0%〜52.5%であった。表面処理剤の被着率は89%であった。
実施例5において、合成反応終了後の反応スラリーを酸処理して得られた沈殿をデカンテーションした後、ろ過による分離の前に、当該沈殿を含むスラリーを70℃に調整し、固形分に対して7.0wt%のステアリン酸ナトリウム(表面処理剤)を添加して2時間撹拌保持を続けた後、塩酸を加えてpH6.5に調整し、1時間撹拌保持を続けた。次いで、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃大気中で10時間乾燥し、疎水性微粒子E−1を得た。粒子E−1の(Sr+Sn)/Tiモル比は0.81、また、疎水化度は65.0%〜67.5%であった。表面処理剤の被着率は96%であった。
実施例6において、合成反応終了後の反応スラリーを酸処理して得られた沈殿をデカンテーションした後、ろ過による分離の前に、当該沈殿を含むスラリーに塩酸を加えpH6.5に調整した後、固形分に対して0.3wt%のシリコーンオイル(表面処理剤)を添加して1時間撹拌保持を続けた。次いで、ろ過洗浄を行い得られたケーキを120℃大気中で10時間乾燥し、疎水性微粒子F−1を得た。粒子F−1の(Sr+Si)/Tiモル比は0.85であった。また、粒子F−1は疎水化度試験において水に浮遊せず疎水化度は0%であった。表面処理剤の被着率は99%であった。
実施例1において、第3成分(La)を添加せずに、メタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液をTiO2濃度0.939mol/Lに調整した後、撹拌しながら90℃に加温し、10Nの水酸化ナトリウム水溶液444mLを1時間かけて添加し、その後95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。次いで、50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え、1時間撹拌保持を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過による分離後、120℃の大気中で10時間乾燥して粒子Gを得た。粒子Gの電子顕微鏡写真を図2に示す。粒子Gを観察すると、立方体乃至直方体状粒子で、一次粒子径0.02μm〜0.04μmの粒子であった。電子顕微鏡写真を用いて重量基準で算出した平均一次粒子径は0.03μm、四分偏差を平均一次粒子径で割った値は0.14、また、平均円形度は0.78であった。粒子Gの蛍光X線分析によるSr/Tiモル比は0.88であった。粉末X線回折法で測定すると、チタン酸ストロンチウムの回折ピークが確認できた。
実施例1と同様に脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として0.626mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように0.719mol添加し、更に塩化ランタン溶液をSrモル比で10mol%となる0.072mol添加した後、TiO2 濃度0.313mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、5N水酸化ナトリウム水溶液184mLを18時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様に脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で0.80となるように1.502mol添加し、更に塩化ランタン溶液をSrモル比で10mol%となる0.150mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液459mLを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様に脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように2.159mol添加し、更に塩化ランタン溶液をSrモル比で10mol%となる0.216mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら60℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液553mLを1時間かけて添加し、その後、60℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
実施例1と同様に脱硫処理及び解膠処理を行ったメタチタン酸をTiO2 として1.877mol採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠含水酸化チタンスラリーに、塩化ストロンチウム溶液をTiモル比で1.15となるように2.159mol添加し、更に塩化ランタン溶液をSrモル比で10mol%となる0.216mol添加した後、TiO2 濃度0.939mol/Lに調整した。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液553mLを1時間かけて添加した。その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した後に、酸処理せず、そのまま得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過分離後、120℃の大気中で10時間乾燥して、粒子Kを得た。粒子Kを観察すると、球状および立方体乃至直方体状粒子を含む、一次粒子径0.02μm〜0.04μmの粒子であった。電子顕微鏡写真を用いて重量基準で算出した平均一次粒子径は0.03μm、四分偏差を平均一次粒子径で割った値は0.23、また、平均円形度は0.85であった。粉末Kの蛍光X線分析による(Sr+La)/Tiモル比は1.09であり、粉末X線回折法はチタン酸ストロンチウムの回折ピークが確認できた。
比較例5において、合成反応終了後に洗浄操作が終了したスラリーを50℃に調整し、および塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して10.0wt%のi−ブチルトリメトキシシラン(表面処理剤)を添加して6時間撹拌保持を続けた後、3.0wt%のトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(表面処理剤)を添加して14時間撹拌保持を続けた。次いで、水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し、1時間撹拌保持を続けた後、ろ過洗浄を行い得られたケーキを120℃大気中で10時間乾燥し、疎水性微粒子K−1を得た。粒子K−1の(Sr+La)/Tiモル比は0.91、疎水化度は17.5%〜20.0%であった。表面処理剤の被着率は36%であった。
Claims (7)
- 一般式SrTiO3 で示されるペロブスカイト型チタン酸化合物を主成分とし、La、Mg、Ca、Sn及びSiから選択される第3成分Mを含み、Tiに対する(Sr+M)のモル比:(Sr+M)/Tiが0.70〜0.90の範囲にあり、平均円形度0.80〜1.00の球状を有し、平均一次粒子径が0.02μm〜0.06μm、一次粒子径の四分偏差を平均一次粒子径で割った値が0.20未満であることを特徴とするチタン酸ストロンチウム系微細粒子。
- 請求項1記載のチタン酸ストロンチウム系微細粒子を3.0重量%〜20.0重量%の一般式RnSiR’m(R;炭化水素基、R’;アルコキシ基、n;1〜3の整数、m;1〜3の整数、n+m=4)で表されるアルコキシシランで被覆処理したことを特徴とする、トナー用外添剤。
- 請求項1記載のチタン酸ストロンチウム系微細粒子を5.0重量%〜14.0重量%のステアリン酸ナトリウムで被覆処理したことを特徴とする、トナー用外添剤。
- 請求項1記載のチタン酸ストロンチウム系微細粒子を0.3重量%〜10.0重量%のシリコーンオイルで被覆処理したことを特徴とする、トナー用外添剤。
- 請求項1に記載のチタン酸ストロンチウム系微細粒子又は請求項2乃至4のいずれか1項に記載のトナー用外添剤を含むことを特徴とする電子写真用トナー。
- 常圧加熱反応法により、チタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品と、ストロンチウムを含む水溶性化合物と、La、Mg、Ca、Sn及びSiから選択される第3成分Mの水溶性化合物を混合して、第3成分Mの添加量がストロンチウムに対して2mol%〜15mol%相当となる混合液を調製し、当該混合液にアルカリ水溶液を添加しながら70℃以上100℃以下に加熱して、チタン酸ストロンチウムを主成分とする粒子を合成し、次いで、得られたチタン酸ストロンチウムを主成分とする粒子を酸で処理して、請求項1に記載のチタン酸ストロンチウム系微細粒子を得ることを特徴とする、チタン酸ストロンチウム系微細粒子の製造方法。
- 前記チタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品は、SO3 含有量が1.0重量%以下のメタチタン酸を塩酸でpHを0.8〜1.5に調整して解膠して得る、請求項6に記載の製造方法。
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