JP2018200395A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

トナー及びトナーの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018200395A
JP2018200395A JP2017105057A JP2017105057A JP2018200395A JP 2018200395 A JP2018200395 A JP 2018200395A JP 2017105057 A JP2017105057 A JP 2017105057A JP 2017105057 A JP2017105057 A JP 2017105057A JP 2018200395 A JP2018200395 A JP 2018200395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strontium titanate
particles
toner
titanate particles
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017105057A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6896508B2 (ja
JP2018200395A5 (ja
Inventor
貴昭 古井
Takaaki Furui
貴昭 古井
洋二朗 堀田
Yojiro Hotta
洋二朗 堀田
和男 寺内
Kazuo Terauchi
和男 寺内
西川 浩司
Koji Nishikawa
浩司 西川
諒 永田
Ryo Nagata
諒 永田
田中 啓介
Keisuke Tanaka
啓介 田中
佐藤 和之
Kazuyuki Sato
和之 佐藤
祐 吉田
Yu Yoshida
祐 吉田
祐輔 小▲崎▼
Yusuke Ozaki
祐輔 小▲崎▼
藤本 雅己
Masami Fujimoto
雅己 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2017105057A priority Critical patent/JP6896508B2/ja
Publication of JP2018200395A publication Critical patent/JP2018200395A/ja
Publication of JP2018200395A5 publication Critical patent/JP2018200395A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6896508B2 publication Critical patent/JP6896508B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】長期耐久使用においても現像性、かぶりに関して環境安定性に優れたトナーを提供することである。【解決手段】トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在するチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、該チタン酸ストロンチウム粒子は、(i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上80nm以下であり、(ii)メタノール濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が40.0%以上60.0%以下であり、(iii)チタン酸ストロンチウム母粒子の表面に、下記式(1)で表される部分構造aを有する粒子であり、X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される該チタン酸ストロンチウム粒子の表面における該部分構造aの存在割合が、0.110以上0.220以下であることを特徴とするトナー。R1−Si−O3/2式(1)(式(1)中、R1は末端にハメットの置換基定数σm(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である。)【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法の如き画像形成方法に使用されるトナー及びトナーの製造方法に関する。
電子写真画像形成装置には、より一層の高速化、長寿命化、省エネルギー化、小型化が求められており、これらに対応するために、トナーに対しても種々の性能のより一層の向上が求められている。特にトナーに対しては、長寿命化の観点から、より一層の品質安定性の向上が要求されている。
特に、長寿命化においては、長期耐久使用においても、使用環境によらず品質が大きく変化しないことが重要であり、種々の外添剤が提案されている。
例えば、長期耐久使用において、使用環境によらず良好な現像性を維持するために、外添剤の表層に疎水性の表面処理を行うことが多い。表面を疎水性にすることで、使用環境によって水分吸着量が変化することを抑え、使用環境によって帯電性が変わることを防ぐことができる。合わせて、表面処理により帯電性を上げることにより、トナーの帯電の立ち上がり性を良化し、帯電しにくい高温高湿環境下でも現像性を確保することもできる。一方で、帯電の立ち上り性を上げたトナーは過剰に帯電してしまうチャージアップ状態にもなりやすい。その際、帯電性を制御する手段の一つとして、電気抵抗調整剤としての外添剤を使用することで、トナーの帯電性を安定化する方法があった。
トナーの帯電を良好に調整する電気抵抗調整剤としては、中抵抗材料であるチタン酸ストロンチウム粒子が使用されてきた。チタン酸ストロンチウムに上記したように疎水性かつ強帯電性の表面処理を行うことで、環境安定性、帯電の立ち上がり性を確保しつつトナーが摩擦帯電によってチャージアップ状態となることを防ぐことができる。その結果、耐久初期から優れた環境安定性と現像性を発揮することができた。
しかし従来のチタン酸ストロンチウム粒子は、長期耐久使用において、現像機内で繰り返し摺擦を受けることで、トナー粒子から移行する場合があり、長期耐久使用の終盤にトナーの帯電性が変動して、現像性が低下しやすい傾向があった。移行とは、外添剤がトナー粒子から別のトナーや部材へ移動してしまうことを指す。つまり、外添剤が元のトナー粒子上に留まっていないことである。
特許文献1では、トナー粒子に、SrOのモル数とTiOのモル数との比(以下、SrO/TiOモル比とも記載する。)を制御したチタン酸ストロンチウム粒子を外添することで、トナーの環境特性、帯電特性を向上させることが開示されている。
特許文献2では、トナー粒子に、粒径分布を制御したチタン酸ストロンチウム粒子を外添することで、トナーの流動性と耐湿性とを向上させることが開示されている。
特許文献3では、トナー粒子に、シランカップリング剤で表面処理されたチタン酸ストロンチウムを外添することで、トナーの流動性や帯電特性の環境安定性を向上させることが開示されている。
これらの技術によれば、トナーの環境特性、帯電特性、画像流れの抑制に対しては一定の効果が確認される。しかし、いずれも長期耐久使用する場合に関しては、さらなる検討の余地があった。
特開2015−137208号公報 特開2003−277054号公報 特許第3047900号
土田英俊、外3名「重合体の化学構造と静帯電」工業化学雑誌、1966年、第69巻、第10号、p.1978−1983 "A survey of hammett substituent constants and resonance and field parameters" Chemical Reviews 1991年、第91巻、p.165−195 "Linear free energy relations. V. Triboelectric charging of organic solids" Journal of the American Chemical Society 1975年、第97巻、p.3832−3833 宮本克真、外3名「種々の高分子フィルムの摩擦帯電挙動」静電気学会誌、2015年、第39巻、第5号、p.216−220
本発明の目的は、上記問題点を解消したトナーを提供することにある。具体的には、長期耐久使用した場合においても、現像性、かぶりに関して優れた環境安定性をもつトナーを提供することである。
本発明によれば、
トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在するチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、
該チタン酸ストロンチウム粒子は、
(i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上80nm以下であり、
(ii)メタノール濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が40.0%以上60.0%以下であり、
(iii)チタン酸ストロンチウム母粒子の表面に、下記式(1)で表される部分構造aを有する粒子であり、
X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される該チタン酸ストロンチウム粒子の表面における該部分構造aの存在割合が、0.110以上0.220以下であるトナーが提供される。
−Si−O3/2 式(1)
(式(1)中、Rは末端にハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である。)
また、本発明によれば、
トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在するチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーの製造方法であって、
チタン酸ストロンチウム母粒子の表面を、下記式(3)および式(4)で表される化合物で処理してチタン酸ストロンチウム粒子を得る工程、および
該チタン酸ストロンチウム粒子をトナー粒子に外添する工程を有し、
該チタン酸ストロンチウム粒子は、
(i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上80nm以下であり、
(ii)メタノール濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が40.0%以上60.0%以下であり、
(iii)チタン酸ストロンチウム母粒子の表面に、下記式(1)で表される部分構造aを有し、
X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される該チタン酸ストロンチウム粒子の表面における該部分構造aの存在割合が、0.110以上0.220以下であるトナーの製造方法が提供される。
−Si−O3/2 式(1)
(式(1)中、Rは末端にハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である。)
Figure 2018200395
(式(3)中、Rは式(1)中のRと同じ官能基であり、R〜Rはアルキル基である。)
(式(4)中、R、R〜Rはアルキル基である。)
本発明によれば、長期耐久使用した場合においても、現像性、かぶりに関して優れた環境安定性をもつトナーを提供することができる。
前記のように、トナーに対しては、現像性、かぶりを環境に依存せずに良好なレベルで維持するためには、表面処理によって疎水性かつ強帯電性を付与したチタン酸ストロンチウムを外添することが有効である。その理由は、チタン酸ストロンチウム粒子は中抵抗材料であり、トナー粒子に過剰に帯電した電荷を逃がすことにより、トナーの帯電性の制御に効果的であるためと考えられる。また、チタン酸ストロンチウム粒子を表面処理により疎水性かつ強帯電性とすることで良好な環境安定性と帯電の立ち上がり性を得ることができるためと考えられる。その結果、現像性やかぶりに関して優れた環境安定性を発揮することができた。
しかし従来のチタン酸ストロンチウム粒子は、長期耐久使用において、現像機内の摺擦によって、トナー粒子から移行する場合があり、耐久終盤のトナー帯電性が変動して、現像性やかぶりが悪化しやすい傾向があった。
そこで本発明者らは、トナー粒子からのチタン酸ストロンチウム粒子の移行を抑えるために、小粒径化したチタン酸ストロンチウム粒子に表面処理をすることを試みた。小径化することにより、トナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子間の静電付着力を上げることができ、チタン酸ストロンチウム粒子の移行を抑えられると考えた。
実際、チタン酸ストロンチウム粒子を小粒径化することで、長期耐久使用において現像機内で繰り返し摺擦を受けてもチタン酸ストロンチウム粒子の移行は抑えられるようになった。しかし、小粒径化したチタン酸ストロンチウム粒子に、表面処理を行うと、現像性やかぶりが悪化する結果となった。小粒径化したチタン酸ストロンチウム粒子に表面処理を行うと、未処理のチタン酸ストロンチウム粒子がもつチャージアップ抑制機能が失われ、過剰に帯電した電荷を逃がすことができず、電荷量が高くなることがその原因であった。
以上の観点から、帯電の立ち上がり性とチャージアップ抑制機能を両立できる表面処理方法を検討した。結果、小粒径のチタン酸ストロンチウム粒子では、シランカップリング剤を用いて、表層を島状に部分的に表面処理することにより、チャージアップ抑制機能を維持できることが分かった。また、シランカップリング剤に含まれる官能基、およびメタノール濡れ性を制御することで、環境によらず良好な帯電の立ち上がり性を確保できることが分かった。
具体的には、本発明者らは、
トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在するチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、
該チタン酸ストロンチウム粒子は、
(i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上80nm以下であり、
(ii)メタノール濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が40.0%以上60.0%以下であり、
(iii)チタン酸ストロンチウム母粒子の表面に、式(1)で表される部分構造aを有する粒子であり、
X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される該チタン酸ストロンチウム粒子の表面における該部分構造aの存在割合が、0.110以上0.220以下であることを特徴とするトナーを用いることで、
長期耐久使用時においても現像性、かぶり、帯電の立ち上がり性を環境によらず良好なレベルで維持できることを見出した。
−Si−O3/2 式(1)
(式(1)中、Rは末端にハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である。)
前記のようなトナーは以下のような製造方法によって製造することができる。
トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在するチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーの製造方法であって、
チタン酸ストロンチウム母粒子の表面を、下記式(3)および式(4)で表される化合物で処理してチタン酸ストロンチウム粒子を得る工程、および
該チタン酸ストロンチウム粒子をトナー粒子に外添する工程を有する。
外添されるチタン酸ストロンチウム粒子は、
(i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上80nm以下であり、
(ii)メタノール濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が40.0%以上60.0%以下であり、
(iii)チタン酸ストロンチウム母粒子の表面に、下記式(1)で表される部分構造aを有し、
X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される該チタン酸ストロンチウム粒子の表面における該部分構造aの存在割合が、0.110以上0.220以下である。
−Si−O3/2 式(1)
(式(1)中、Rは末端にハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である。)
Figure 2018200395
(式(3)中、Rは式(1)中のRと同じ官能基であり、R〜Rはアルキル基である。)
(式(4)中、R、R〜Rはアルキル基である。)
通常のチタン酸ストロンチウム粒子は、外添剤として一般的に用いられる無機微粒子、たとえば未処理のシリカ粒子と比較して、正に帯電しやすい粒子である。環境安定性とともに、ネガ性のトナー粒子に対して帯電の立ち上がり性を確保するためには、前述したようにチタン酸ストロンチウム粒子に負帯電性かつ疎水性の表面処理を施す必要がある。しかし、長期耐久使用時にトナーからの移行を防ぐ目的で小径化したチタン酸ストロンチウム粒子に、表面処理を行うと、現像性やかぶりが悪化する結果となった。本発明者らは、粒子が小粒径化したことで、比表面積が大きくなり、大粒径にくらべて表面の寄与が高くなるため、これまでチタン酸ストロンチウム粒子を用いてきた際には起きなかった課題が初めて顕在化したと考えた。本発明者らは、そこでチタン酸ストロンチウム粒子の表面処理状態に着目して鋭意検討を行った。その結果、小粒径のチタン酸ストロンチウム粒子では、処理後に形成される表層構造体の帯電性、表層構造体の表層存在割合、及び処理後の濡れ性を同時に制御した。このようにすることで、はじめて、チャージアップ抑制機能と帯電の立ち上がり性を環境によらず両立できることを見出した。
表面処理を行う場合、帯電性は、表層の構造、特に主鎖よりも側鎖の効果が大きく、特に末端の効果が大きいこと、側鎖の官能基が電子求引性であるときは負帯電、電子供与性であるときは正帯電となることが分かっている(非特許文献1参照)。よって、シランカップリング処理でチタン酸ストロンチウムの表層に構造体を形成する場合、側鎖の官能基によってチタン酸ストロンチウム粒子の帯電性を制御できると考えた。官能基の置換基が電子求引性か電子供与性かの指標としてハメット則がある。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応や平衡に及ぼす置換基の影響を示す経験則であり、ハメットの置換基定数σは、置換基の電子供与性および電子求引性の程度を定量化した値といえる(非特許文献2参照)。ハメットの置換基定数σと帯電量の対数に直線関係があることも分かっている。(非特許文献3参照)。上記内容を踏まえ、電子求引性となるσの値が大きい置換基を持つ部分構造をチタン酸ストロンチウム粒子の表層に形成することで、帯電の立ち上がり性が向上すると考えた。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、式(1)で示される部分構造aのRが、末端にハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である場合、帯電の立ち上がり性が向上することを見出した。ハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基としてはCF、C、NCO、CCl、NO、COOHなどが挙げられる。
が末端に持つ置換基のハメットの置換基定数σ(メタ)が0.40以上である場合、帯電の立ち上がり性がより向上した。
さらにはRが末端に持つ置換基がCFである場合、後述する吸着水の侵入により負帯電性が強くなる効果が大きく得られるため、帯電の立ち上がり性がより向上した。
次にこの帯電の立ち上がり性を保ちつつトナーのチャージアップを抑制することを目的とし、トナーの帯電性の制御機能の保持の検討を行った。その結果、チタン酸ストロンチウム粒子の表面における部分構造aの存在割合が0.110以上0.220以下となるようにすることで、帯電の立ち上がり性を保ちつつトナーのチャージアップを抑制できることを見出した。
その理由は完全には明らかになっていないが、式(1)で示される部分構造aは、電子求引性の官能基を持つため、チャージアップした電荷を拡散する機能を抑制していると考えられる。式(1)で示される部分構造aの表層存在割合を0.110以上0.220以下に抑えると、部分構造a以外の部分を経て電荷を拡散し、帯電の立ち上がり性を向上させつつ、帯電性の制御機能が発揮されると考えている。チタン酸ストロンチウム粒子の表面における部分構造aの存在割合は、表面処理方法や処理剤の組み合わせ、チタン酸ストロンチウム粒子の原材料のモル比や製造条件を調整することで制御することができる。
なお、R−Si−O3/2との表記は、下記の破線で示す四角形で囲まれた領域の中の部分構造を表しており、−O3/2は、
下記(a)に示すように、前記領域の外のSi原子と共有する酸素を3つ、又は
下記(b)に示すように、前記領域の外のSi原子と共有する酸素を2つ、チタン酸ストロンチウム母粒子と共有する酸素を1つ
有していることを表している。
Figure 2018200395
(*は、チタン酸ストロンチウム母粒子との結合部を表す。)
本発明に用いられるチタン酸ストロンチウム粒子はメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が、40.0%以上60.0%以下である。以降、メタノール/水混合溶媒に対する濡れ性試験における、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度を疎水化度と記載する。疎水化度が40.0%以上であれば、水分吸着量の環境変動が抑えられ、環境により現像性が変化することを抑えることができる。疎水化度が40.0%より低い場合は、特に高温高湿環境下における帯電の立ち上り性が低下する。ただし、疎水性が高くなりすぎると、低温低湿環境下でも帯電の立ち上がり性が確保できないことが分かった。これは吸着水が表層に侵入することができず、負の帯電性が強くなる効果が得られず、帯電性が低くなることが要因であるが分かった。この吸着水が表層から侵入することにより帯電性を上げる効果を得るために必要な濡れ性は、疎水化度で60.0%以下の場合であった(非特許文献4参照)。チタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度は、チタン酸ストロンチウム粒子の表面処理条件を調整することで制御することができる。
本発明に用いられるチタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径は、10nm以上80nm以下であり、好ましくは10nm以上60nm以下である。個数平均粒径が上記範囲であることで、長期耐久使用時においてもチタン酸ストロンチウム粒子の移行を抑えることができるようになった。チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子は、チタン酸ストロンチウム粒子の原材料のモル比や製造条件を調整することで制御することができる。
本発明に用いられるチタン酸ストロンチウム粒子のSr/Tiモル比は、0.70以上0.90以下であることが好ましい。Sr/Tiモル比が、0.70以上0.90以下であることで、表面処理剤との反応性が高いTiの割合が増え、式(1)に示される部分構造aの存在割合を制御しやすくなる。Sr/Tiモル比は、チタン酸ストロンチウム粒子の原材料のモル比や製造条件を調整することで制御することができる。
チタン酸ストロンチウム粒子としては代表的には、加圧容器を用いる水熱処理ではなく、常圧で反応させる常圧加熱反応法により、ペロブスカイト型チタン酸ストロンチウム粒子が製造される。酸化チタン源としてチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用い、またストロンチウム源として水溶性酸性化合物を用い、その混合液に温度60℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理する方法で製造される。チタン酸ストロンチウム粒子の形状を制御する方法として、乾式で機械的処理を施す方法を採用することもできる。
常圧加熱反応法について説明する。酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いる。硫酸法で得られた、SO含有量が1.0質量%以下のものが好ましく、0.5質量%以下のものがより好ましい。メタチタン酸を塩酸でpHを0.8以上1.5以下に調整して解膠したものを用いることで、粒度分布が良好なチタン酸ストロンチウム系微細粒子を得ることができる。メタチタン酸中のSO含有量が1.0質量%を超えると、解膠が進まない。
ストロンチウム源としては、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウムなどを使用することができる。アルカリ水溶液としては、苛性アルカリを使用することができるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
前記製造方法において、得られるチタン酸ストロンチウム粒子の粒子径に影響を及ぼす因子としては、酸化チタン源とストロンチウム源との混合割合、反応初期の酸化チタン源の濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度及び添加速度などが挙げられる。そして、目的の粒子径および粒度分布のチタン酸ストロンチウム粒子を得るために適宜調整することができる。なお、反応過程に於ける炭酸ストロンチウムの生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応させる等、炭酸ガスの混入を防ぐことが好ましい。
反応時における酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合は、Sr/Tiのモル比で、0.9以上1.4以下が好ましく、1.05以上1.20以下がより好ましい。ストロンチウム源は水への溶解度が高いのに対し酸化チタン源は水への溶解度が低いため、Sr/Tiモル比が1以下の場合、反応生成物はチタン酸ストロンチウムだけでなく未反応の酸化チタンが残存しやすくなる。反応初期の酸化チタン源の濃度としては、TiOとして0.05mol/L以上1.3mol/L以下が好ましく、0.08mol/L以上1.0mol/L以下がより好ましい。
反応初期の酸化チタン源の濃度を高くすることで、チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子径を小さくすることができる。
アルカリ水溶液を添加するときの温度は、高いほど結晶性の良好な生成物が得られるが、100℃以上ではオートクレーブ等の圧力容器が必要であるため、実用的には60℃〜100℃の範囲が好ましい。また、アルカリ水溶液の添加速度は、添加速度が遅いほど大きな粒子径のチタン酸ストロンチウム粒子が得られ、添加速度が速いほど小さな粒子径のチタン酸ストロンチウム粒子が得られる。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対し0.001当量/h以上1.2当量/h以下が好ましく、0.002当量/h以上1.1当量/h以下がより好ましく、得ようとする粒子径に応じて適宜調整することができる。
続いて酸処理について説明する。酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合がSr/Tiのモル比で、1.0を超える場合、反応終了後に残存した未反応のストロンチウム源が空気中の炭酸ガスと反応して、炭酸ストロンチウムなどの不純物を生成してしまうため、粒度分布を低下させる。また、表面に炭酸ストロンチウムなどの不純物が残存すると、疎水性を付与するための有機表面処理をする際に、不純物の影響で有機表面処理剤を均一に被覆することができない。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応のストロンチウム源を取り除くため酸処理を行う。
酸処理では、塩酸を用いてpH2.5以上7.0以下が好ましく、pH4.5以上6.0以下に調整することがより好ましい。酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸等を酸処理に用いることができる。しかし、硫酸を用いると、水の溶解度が低い硫酸ストロンチウムが発生するので好ましくない。
続いて形状制御について説明する。本発明で用いるチタン酸ストロンチウム粒子の形状を得るための方法として、乾式で機械的処理を施すことが挙げられる。
例えば、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)、メカノフュージョン(ホソカワミクロン(株)製)、ハイフレックスグラル((株)アーステクニカ製)等を用いることができる。チタン酸ストロンチウム粒子をこれらの装置で処理することで、チタン酸ストロンチウムの表面処理性を上げることができる。機械的処理でチタン酸ストロンチウム粒子の形状を制御する場合、チタン酸ストロンチウム粒子の微粉が発生する場合がある。微粉を取り除くためには、酸処理を行うことが好ましい。酸処理では、塩酸を用いてpH0.1以上5.0以下に調整することが好ましい。酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸等を酸処理に用いることができる。チタン酸ストロンチウム粒子の形状を制御するための機械的処理は、チタン酸ストロンチウム粒子の表面処理を施す前に実施することが好ましい。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子の表面処理について説明する。本発明で用いるチタン酸ストロンチウムの表面の式(1)で示される部分構造aを得るため、シランカップリング剤による表面被覆を用いることができる。シランカップリング剤として、フルオロアルキルシランカップリング剤、イソシアネートシランカップリング剤などを用いることがきる。シランカップリング剤はRの炭素数が10以下となるものを用いることがより好ましい。処理の方法は、処理する表面処理剤などを溶媒中に溶解、分散させ、その中にチタン酸ストロンチウム粒子を添加し、撹拌しながら溶媒を除去して処理する湿式方法が挙げられる。また、カップリング剤、脂肪酸金属塩とチタン酸ストロンチウム粒子を直接混合して撹拌しながら処理を行う乾式方法などが挙げられる。
式(1)で示される部分構造aの存在割合を得るための方法として、他のシランカップリング剤を組み合わせて処理を施す手法、シリコーンオイル等の疎水化剤で表面被覆を行った後、処理する手法が挙げられる。複数種のシランカップリング剤を混合し撹拌することで、カップリング剤間の結合が進行し、チタン酸ストロンチウム粒子の表層をより島状に処理しやすくなるため、処理の方法としてより好ましい。
組み合わせるシランカップリング剤として、チタン酸ストロンチウムの表面に式(2)に示される部分構造bを得るため、アルキルシランカップリング剤などを利用することがより好ましい。チタン酸ストロンチウムの表面に式(2)に示される部分構造bを得ることで、環境安定性がより向上する。特に好ましくは、Rの炭素数が3以上6以下のアルキル基であるアルキルシランカップリング剤を利用することである。
−Si−O3/2 式(2)
(式(2)中、Rはアルキル基である。)
本発明で用いるチタン酸ストロンチウム粒子の添加量はトナー粒子を100質量部としたとき、0.05質量部以上5.0質量部以下が好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、0.960以上であることが好ましい。0.960以上であると、細線再現性も向上する。より好ましくは0.970以上である。
トナー粒子の製造方法は、特に限定されない。例えば、懸濁重合法・界面重合法・分散重合法のような、親水性媒体中で直接トナーを製造する方法(以下、重合法とも称する)が挙げられる。また、粉砕法を用いてもよく、粉砕法により得られたトナーを熱球形化してもよい。
その中でも、個々の粒子がほぼ球形に揃っていて、帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している、懸濁重合法で製造するトナーが好ましい。
懸濁重合法は、造粒工程と重合工程とを経ることによりトナー粒子を製造する方法である。造粒工程においては、結着樹脂を生成する重合性単量体、着色剤、必要に応じてワックス等の添加剤を有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して、重合性単量体組成物の液滴を製造する。重合工程においては、液滴中の該重合性単量体を重合する。
本発明のトナーは、コア部とシェル部を有するトナー粒子を有するトナーであることが好ましい。コア部の表面にシェル部を有するコアシェル構造をとることにより、コア部がトナー粒子の表面へ滲出することにより生じる帯電不良を防ぐことができる。
本発明のトナー粒子のシェル部を形成させる樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、又はスチレン−メタクリル共重合体などの樹脂により形成されることが好ましいが、ポリエステル樹脂が最も好ましい。
シェル部を形成させる樹脂は結着樹脂100質量部当たり0.01質量部以上20.0質量部以下使用することが好ましく、0.5質量部以上10.0質量部以下使用することがより好ましい。
結着樹脂を生成するために使用できる重合性単量体として好ましいものに、ビニル系重合性単量体を挙げることができる。
具体的には例えば以下のものが挙げられる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル。
トナー粒子はワックスを含有することが好ましい。
ワックス成分としては、例えば以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体。誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物、さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス。
トナー粒子は着色剤を含有する。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、結着樹脂を生成する重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
さらに本発明のトナーは、着色剤として磁性体を含有させ磁性トナーとすることも可能である。磁性体としては、以下のものが挙げられる。マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属又はこれらの金属とアルミニウム、銅、マグネシウム、スズ、亜鉛、ベリリウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物。
上記磁性体は、表面改質された磁性体がより好ましい。重合法により磁性トナーを調製する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。これらの磁性体は個数平均粒径が2.0μm以下のものが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下のものがさらに好ましい。トナー粒子中に含有させる量としては、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し、20質量部以上200質量部以下が好ましく、40質量部以上150質量部以下がより好ましい。
また粉砕法でトナー粒子を製造するための製造方法としては、以下の例が挙げられる。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、着色剤、必要に応じてその他の添加剤等を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、FMミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機(池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、粉砕機で粗粉砕した後、更に、微粉砕機で微粉砕する。粉砕機としては、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルが挙げられる。微粉砕機としては、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機が挙げられる。
その後、必要に応じて下記のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株))、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)。
また、トナー粒子を球形化してもよい。粉砕後に球形化するために使用可能なシステム等としては例えば以下のものが挙げられる。ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株))、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)。
トナー粒子に、チタン酸ストロンチウム粒子や、必要に応じてほかの外添剤を混合することでトナーを得ることができる。トナー粒子に外添する混合機としては、FMミキサー(日本コークス工業(株)製)、スーパーミキサー((株)カワタ製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所製)が挙げられる。
また、外添後に粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業(株)製);レゾナシーブ、ジャイロシフター((株)徳寿工作所);バイブラソニックシステム((株)ダルトン製);ソニクリーン(新東工業(株)製);ターボスクリーナー(フロイント・ターボ(株)製);ミクロシフター(槇野産業(株)製)。
本発明のトナーは、チタン酸ストロンチウム粒子以外の他の外添剤を含んでもよい。特にトナーの流動性や帯電性を向上させるために、流動性向上剤を添加してもよい。流動性向上剤としては、例えば以下のものを用いることができる。
フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。
流動性向上剤は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上30nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができるので好ましい。
さらには、流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上300m/g以下のものが好ましい。
トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤を総量で、0.01質量部以上3質量部以下使用することが好ましい。
本発明のトナーの各種物性の測定方法について以下に説明する。
チタン酸ストロンチウム粒子が外添されたトナーから、チタン酸ストロンチウム粒子やトナー粒子の物性を測定する場合は、トナーからチタン酸ストロンチウム粒子や他の外添剤を分離して測定することができる。トナーをメタノールに超音波分散させて、トナー粒子からチタン酸ストロンチウム粒子や他の外添剤を外して、24時間静置する。沈降したトナー粒子と上澄み液に分散したチタン酸ストロンチウム粒子や他の外添剤とを分離、回収し、十分に乾燥させることで、トナー粒子を単離することができる。また、上澄み液を遠心分離で処理することで、チタン酸ストロンチウム粒子を単離することができる。
<チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径>
チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡「JEM−2800」(日本電子(株))を用いて行う。チタン酸ストロンチウム粒子が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個のチタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の長径を測定して個数平均粒径を求める。観察倍率は、チタン酸ストロンチウム粒子の大きさによって適宜調整する。
外添剤がチタン酸ストロンチウムであることの確認は、STEM‐EDS(走査型透過電子顕微鏡−エネルギー分散分光)測定により実施する。
測定条件は以下のとおりである。
JEM2800型透過電子顕微鏡:加速電圧200kV
EDS検出器:JED−2300T(日本電子(株)、素子面積100mm)を使用
EDSアナライザー:Noran System7(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を使用。
X線保存レート:10000〜15000cps
デッドタイム:20〜30%になるよう電子線量を調整し、EDS分析(積算回数100回or測定時間5分)を実施。
<チタン酸ストロンチウム粒子の表面における部分構造の同定>
チタン酸ストロンチウム粒子の表面における部分構造の同定は、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)によって行う。下記装置を下記条件にて使用し、チタン酸ストロンチウムの表層のフラグメントピークから部分構造を同定する。
・測定装置:TRIFT−IV(商品名、アルバック・ファイ(株)製)
・一次イオン:Au
・ラスターサイズ:100μm×100μm
・中和電子銃:使用
<チタン酸ストロンチウム粒子の表面における部分構造aの存在割合>
下記装置を下記条件にて使用し、チタン酸ストロンチウム粒子の表面の元素分析を行う。
・測定装置:Quantum2000(商品名、アルバック・ファイ(株)製)
・X線源:モノクロAl Kα
・Xray Setting:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取りだし角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:300μm×200μm
・Pass Energy:58.70eV
・ステップサイズ:0.125eV
・解析ソフト:Maltipak(アルバック・ファイ(株))
測定された各元素のピーク強度から、各元素の表面濃度(原子%)を算出した。
各元素の表面濃度に基づいて、同定したそれぞれの部分構造に各元素を帰属させて、それぞれの部分構造の存在量を特定した。また、チタン酸ストロンチウム原体の存在量はTiの原子濃度とした。上記より、部分構造aの存在割合は、下記式(5)で示される。
部分構造aの存在割合=部分構造aの存在量/(部分構造aの存在量+部分構造bの存在量+その他の構造1の存在量+・・・+Ti原子濃度) 式(5)
<チタン酸ストロンチウム粒子のSr/Tiのモル比>
本発明に用いられるチタン酸ストロンチウム粒子のSrおよびTiの含有量の測定は、蛍光X線分析装置で求めることができる。例えば、波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いる。そして、PANalytical社で推奨する粉末測定専用のカップに専用フィルムを貼ったものにサンプル1gを秤量し、大気圧He雰囲気下においてFP法にてチタン酸ストロンチウム粒子におけるNaからUまでの元素を測定する。その際、検出された元素全てが酸化物であると仮定し、それらの総質量を100%として、ソフトウエアSpectraEvaluation(version 5.0L)にて総質量に対するSrOおよびTiOの含有量(質量%)を酸化物換算値として求める。その後に、定量結果から酸素を除いた、Sr/Ti(質量比)を求めたのちに、各元素の原子量から、Sr/Ti(モル比)に換算する。
<チタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度>
チタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度は、粉体濡れ性試験機「WET−100P」((株)レスカ製)によって測定した。
直径5cmおよび厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に、フッ素樹脂コーティングされた長さ25mmおよび最大胴径8mmの紡錘型回転子を入れた。上記円筒型ガラス容器中にメタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール液70mLを入れた後、チタン酸ストロンチウム粒子0.5gを添加し、粉体濡れ性試験機にセットした。マグネティックスターラーを用いて、回転数3.3回/秒で撹拌しながら、上記粉体濡れ性試験機を通して、メタノールを0.8mL/分の速度で液中に添加した。波長780nmの光で透過率を測定し、透過率が50%に達した時のメタノールの体積百分率(=(メタノールの体積/混合物の体積)×100)により表される値を疎水化度とした。試料の疎水化度に応じて、最初のメタノールと水の体積比率は適宜調整する。
<トナーの平均円形度>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下のとおりである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用いる。水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。標準ラテックス粒子としては、例えば以下のものが挙げられる。
・Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈。
その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。
チタン酸ストロンチウム粒子は以下のようにして作製した。チタン酸ストロンチウム粒子1〜11の物性を表1に示す。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例1>
ステップS101:
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiOとして1.85モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0とし解膠処理を行った。
ステップS102:
脱硫・解膠を行ったメタチタン酸をTiOとして1.88モルを採取し、3Lの反応容器に投入した。
ステップS103:
該解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を2.16モル添加し、SrO/TiOモル比が1.15となるようにした。
ステップS104:
TiO濃度を1.039モル/Lに調整した。
ステップS105:
次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、10モル/L水酸化ナトリウム水溶液440mLを45分間かけて添加した。
ステップS106:
温度95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
ステップS107:
当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え20分間撹拌を続けた。
ステップS108:
得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過・分離後、120℃の大気中で8時間乾燥した。
ステップS109:
続いて乾燥品300gを、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン(株)製 ノビルタNOB−130)に投入した。処理温度30℃、回転式処理ブレード90m/秒で10分間処理を行った。
ステップS110:
さらに乾燥品にpH0.1となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した。
ステップS111:
当該沈殿を含むスラリーを40℃に調整し、塩酸を加えpH2.5に調整した。
ステップS112:
次に、固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持を続けた。
ステップS113:
5モル/L水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた。
ステップS114:
ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子1を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例2>
ステップS104において、TiO濃度を1.083モル/Lに調整した以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子2を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例3>
ステップS104において、TiO濃度を0.988モル/Lに調整した以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子3を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例4>
ステップS104において、TiO濃度を0.943モル/Lに調整した以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子4を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例5>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が1.35となるようにしたこと、
ステップS112において、
「4.6質量%」のイソブチルトリメトキシシランの代わりに
「4.0質量%」の「n-プロピルトリメトキシシラン」を用いたこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子5を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例6>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が1.35となるようにしたこと、
ステップS112において、
「4.6質量%」のイソブチルトリメトキシシランの代わりに
「6.9質量%」のイソブチルトリメトキシシランを用いたこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子6を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例7>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が1.35となるようにしたこと、
ステップS112において、
4.6質量%の「トリフロロプロピルトリメトキシシラン」の代わりに
4.6質量%の「3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン」を用いたこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子7を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例8>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が1.35となるようにしたこと、
ステップS112において、
4.6質量%の「トリフロロプロピルトリメトキシシラン」の代わりに
4.6質量%の「トリメトキシペンタフルオロフェニルシラン」を用いたこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子8を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例9>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が1.35となるようにしたこと、
ステップS111において、
「沈殿を含むスラリーを40℃に調整」する代わりに
「沈殿を含むスラリーに、塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して1.5質量%のシリコーンオイルを添加し、1時間撹拌保持を続け、その後、温度を40℃に調整」したこと、
ステップS112において、
「4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持」する代わりに
「3.0質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを加え、10時間撹拌保持」したこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子9を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例10>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が1.35となるようにしたこと、
ステップS112において、
「4.6質量%」のトリフロロプロピルトリメトキシシランの代わりに
「6.9質量%」のトリフロロプロピルトリメトキシシランを用いたこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子10を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例11>
ステップS109における処理時間を、「10分間」から「15分間」へ変更したこと、
ステップS112において、
「固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持」する代わりに
「固形分に対して4.4質量%のイソブチルトリエトキシシランと4.0質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを3時間撹拌混合した後に添加し、8時間撹拌保持」したこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子11を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例12>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が0.935となるようにしたこと、
ステップS105において、10モル/L水酸化ナトリウム水溶液440mLを
「45分間」かけて添加する代わりに、
「1時間」かけて添加したこと、
ステップS112において、
「4.6質量%」のトリフロロプロピルトリメトキシシランの代わりに
「4.0質量%」のトリフロロプロピルトリメトキシシランを用いたこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子12を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例13>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.54モル添加し、SrO/TiOモル比が1.35となるようにしたこと、
ステップS112において、
「固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持」する代わりに
「固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.0質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを4時間撹拌混合した後に添加し、8時間撹拌保持を続け」たこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子13を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例14>
ステップS107において、pH5.0となるまで塩酸を加えた後に、
「20分間」撹拌を続ける代わりに
「1時間」撹拌を続けたこと、
ステップS108〜109を省略したこと、
ステップS110において、「デカンテーション洗浄」のみを行ったこと、
ステップS112において、固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを
「1時間撹拌混合した後に添加」する代わりに
1時間撹拌混合せずに「添加」したこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子14を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例15>
ステップS103において、塩化ストロンチウム水溶液を2.01モル添加し、SrO/TiOモル比が1.07となるようにしたこと、
ステップS112において、
「4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシラン」の代わりに
「2.3質量%のイソブチルトリメトキシシランと2.3質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシラン」を用いたこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子15を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例16>
ステップS107において、pH5.0となるまで塩酸を加えた後に、
「20分間」撹拌を続ける代わりに
「1時間」撹拌を続けたこと、
ステップS108〜109を省略したこと、
ステップS110において、「デカンテーション洗浄」のみを行ったこと、
ステップS112において、
「固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持」する代わりに
「固形分に対して6.9質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.0質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを添加し、10時間撹拌保持」したこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子16を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例17>
ステップS104において、TiO濃度を0.943モル/Lに調整したこと、
ステップS112において、
「固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持」する代わりに
「固形分に対して6.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し、5時間撹拌保持」したこと、
以外は製造例1と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子17を得た。
Figure 2018200395
<トナー粒子の製造例>
四つ口容器中にイオン交換水710質量部と0.1モル/リットルのNaPO水溶液850部を添加し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)を用いて2000回/秒で撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/リットル−CaCl水溶液68質量部を徐々に添加し、分散安定剤を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 124質量部
・n−ブチルアクリレート 36質量部
・銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) 13質量部
・ポリエステル系樹脂(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)共重合体、酸価:10mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg):70℃、重量平均分子量(Mw):10,500) 10質量部
・負荷電性制御剤(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物) 0.8質量部
・フィッシャートロプシュワックス(吸熱メインピーク温度:78℃) 15質量部
上記の材料をアトライタ(日本コークス工業(株)製)を用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。単量体混合物に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート20.0質量部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、撹拌機の回転数を167回/秒に維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内部温度を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら6時間反応させた。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して4時間維持し、その後冷却し、スラリー1を得た。スラリー1を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。更に、ろ別、洗浄、乾燥して重量平均粒径(D4)が6.2μmの重合体粒子(トナー粒子1)を得た。トナー粒子1の円形度は0.980であった。
<実施例1>
得られたトナー粒子1(100質量部)に対して、チタン酸ストロンチウム粒子1(1.5質量部)と、ヒュームドシリカ(BET法で測定した比表面積:200m/g)(1.5質量部)とを下記の条件にて外添混合した。
・FMミキサー(FM10C;日本コークス工業(株)製)
・トナー粒子仕込み量:1.8kg、回転数:60回/秒、外添時間:5分。
その後、目開き200μmのメッシュで篩い、表2に示すように負摩擦帯電性のトナー1を得た。
得られたトナー1を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<評価機>
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタHP Color LaserJet Enterprise M651nを、1色のプロセスカートリッジだけを装着した状態でも作動するように改造して評価を行った。評価紙としては、キヤノンマーケティングジャパン(株)が販売するCS−680(68.0g/m)を用いた。トナーは所定のプロセスカートリッジに充填した。
<環境による現像性>
現像性の評価は、低温低湿(温度10℃、相対湿度14%)、常温常湿環境(温度25℃、相対湿度50%)、高温高湿環境(温度30℃、相対湿度80%)で評価を行った。長期耐久試験を想定して、印字率1%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定した。このモードで、計25,000枚の画出し試験を実施し、1枚目の画像濃度と25,000枚目の画像濃度とを測定した。
画像濃度は、5mm丸のベタ画像を出力して、反射濃度計であるマクベス濃度計(RD−914;マクベス社製;SPIフィルターを装着。)を使用して、反射濃度を測定した。数値が大きい方が現像性が良いことを示す。
<かぶり>
かぶりの評価は、チャージアップの影響を受けやすい低温低湿環境(温度10℃、相対湿度14%)で評価を行った。現像性の評価のために1枚目の画像出力と25,000枚目の画像出力とを行った直後に、べた白を通紙して、白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Dr−Dsをかぶり値とした。白地部反射濃度の測定には、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS (有)東京電色製)を用い、フィルターにはアンバーライトフィルターを用いた。数値が小さいほどかぶりレベルが良いことを示す。
<画像濃度安定性>
画像濃度の安定性は、トナーの帯電立ち上がりにとって厳しい高温高湿環境(温度30℃、相対湿度80%)で評価を行った。現像性の評価で1枚目の画像出力と25,000枚目の画像出力とを行った後、べた画像を印字して、画像の均一性を目視評価した。
A:画像濃度にムラがなく均一である。
B:画像濃度にややムラがある。
C:画像濃度にムラがある。
<トナー2〜11、比較トナー1〜6の製造例>
トナー1の製造例から、チタン酸ストロンチウム粒子の種類を表2に示すように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜11、比較トナー1〜6を得た。
<実施例2〜11、比較例1〜6>
実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2018200395
Figure 2018200395

Claims (6)

  1. トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在するチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、
    該チタン酸ストロンチウム粒子は、
    (i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上80nm以下であり、
    (ii)メタノール濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が40.0%以上60.0%以下であり、
    (iii)チタン酸ストロンチウム母粒子の表面に、下記式(1)で表される部分構造aを有する粒子であり、
    X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される該チタン酸ストロンチウム粒子の表面における該部分構造aの存在割合が、0.110以上0.220以下であることを特徴とするトナー。
    −Si−O3/2 式(1)
    (式(1)中、Rは末端にハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である。)
  2. 該チタン酸ストロンチウム粒子は一次粒子の個数平均粒径が10nm以上60nm以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 該Rが末端に持つ置換基のハメットの置換基定数σ(メタ)が0.40以上である請求項1又は請求項2に記載のトナー。
  4. 該Rが末端に持つ置換基が、CFである請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 該チタン酸ストロンチウム粒子は、さらに下記式(2)で表される部分構造bを有する粒子である請求項1から4のいずれか1項に記載のトナー。
    −Si−O3/2 式(2)
    (式(2)中、Rはアルキル基である。)
  6. トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在するチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーの製造方法であって、
    チタン酸ストロンチウム母粒子の表面を、下記式(3)および下記式(4)で表される化合物で処理してチタン酸ストロンチウム粒子を得る工程、および
    該チタン酸ストロンチウム粒子をトナー粒子に外添する工程を有し、
    該チタン酸ストロンチウム粒子は、
    (i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上80nm以下であり、
    (ii)メタノール濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が40.0%以上60.0%以下であり、
    (iii)チタン酸ストロンチウム母粒子の表面に、下記式(1)で表される部分構造aを有し、
    X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される該チタン酸ストロンチウム粒子の表面における該部分構造aの存在割合が、0.110以上0.220以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
    −Si−O3/2 式(1)
    (式(1)中、Rは末端にハメットの置換基定数σ(メタ)が0.25以上である置換基を持つ官能基である。)
    Figure 2018200395
    (式(3)中、Rは式(1)中のRと同じ官能基であり、R〜Rはアルキル基である。)
    (式(4)中、R、R〜Rはアルキル基である。)

JP2017105057A 2017-05-26 2017-05-26 トナーの製造方法 Active JP6896508B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017105057A JP6896508B2 (ja) 2017-05-26 2017-05-26 トナーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017105057A JP6896508B2 (ja) 2017-05-26 2017-05-26 トナーの製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018200395A true JP2018200395A (ja) 2018-12-20
JP2018200395A5 JP2018200395A5 (ja) 2020-07-16
JP6896508B2 JP6896508B2 (ja) 2021-06-30

Family

ID=64668107

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017105057A Active JP6896508B2 (ja) 2017-05-26 2017-05-26 トナーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6896508B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11181841B2 (en) 2019-09-20 2021-11-23 Fujifilm Business Innovation Corp. Toner for electrostatic image development, electrostatic image developer, and toner cartridge

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005107427A (ja) * 2003-10-02 2005-04-21 Canon Inc トナー
JP2006195156A (ja) * 2005-01-13 2006-07-27 Canon Inc トナー及び画像形成方法
JP2009086652A (ja) * 2007-09-12 2009-04-23 Ricoh Co Ltd 外添剤、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法
JP2011527765A (ja) * 2008-07-09 2011-11-04 キャボット コーポレイション 処理された金属酸化物粒子およびトナー組成物
JP2012123288A (ja) * 2010-12-10 2012-06-28 Canon Inc トナー
JP2015137208A (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 チタン工業株式会社 トナー用チタン酸ストロンチウム系微細粒子及びその製造方法
JP2018020919A (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 チタン工業株式会社 トナー用チタン酸ストロンチウム系微細粒子およびその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005107427A (ja) * 2003-10-02 2005-04-21 Canon Inc トナー
JP2006195156A (ja) * 2005-01-13 2006-07-27 Canon Inc トナー及び画像形成方法
JP2009086652A (ja) * 2007-09-12 2009-04-23 Ricoh Co Ltd 外添剤、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法
JP2011527765A (ja) * 2008-07-09 2011-11-04 キャボット コーポレイション 処理された金属酸化物粒子およびトナー組成物
JP2012123288A (ja) * 2010-12-10 2012-06-28 Canon Inc トナー
JP2015137208A (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 チタン工業株式会社 トナー用チタン酸ストロンチウム系微細粒子及びその製造方法
JP2018020919A (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 チタン工業株式会社 トナー用チタン酸ストロンチウム系微細粒子およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11181841B2 (en) 2019-09-20 2021-11-23 Fujifilm Business Innovation Corp. Toner for electrostatic image development, electrostatic image developer, and toner cartridge

Also Published As

Publication number Publication date
JP6896508B2 (ja) 2021-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108508717B (zh) 调色剂
CN108508719B (zh) 调色剂
US10747136B2 (en) Toner
CN110083025B (zh) 调色剂
JP4998596B2 (ja) トナーの製造方法
JP5230297B2 (ja) トナー
JP6914862B2 (ja) トナー
JP5998128B2 (ja) 静電荷像現像剤
JP7023721B2 (ja) トナー
JP7195744B2 (ja) トナー
JP7052804B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP4107299B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
KR20140102085A (ko) 전자사진용 토너
JP6896508B2 (ja) トナーの製造方法
JP5200619B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP7046703B2 (ja) トナー
JP7118680B2 (ja) トナー
JP2011215310A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2019138987A (ja) 静電潜像現像用二成分現像剤
JP2014074905A (ja) トナーおよびトナーの製造方法
KR20150082950A (ko) 정전 잠상 현상용 토너
JP7175648B2 (ja) トナー
JP2020076790A (ja) トナー
JP2019168632A (ja) トナー
JP2019191450A (ja) トナー

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200521

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210609

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6896508

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D03