JP7052804B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
本発明は上記実情に即して成し遂げられたものであり、本発明の目的は、補給凝集性が低く、印字耐久性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子、並びに、外添剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記外添剤として、少なくとも外添剤A及び外添剤Bを含有し、前記外添剤Aは、帯電性が前記着色樹脂粒子と同極性であり、当該着色樹脂粒子に対する単位表面積あたりの帯電量の比が0.85以上であり、個数平均粒径が5nm~100nmの金属酸化物粒子であって、前記外添剤Bは、帯電性が前記着色樹脂粒子と逆極性であり、個数平均粒径が50nm~1000nmの樹脂粒子であって、前記着色樹脂粒子100質量部に対し、前記外添剤Aの含有量が0.5~6.0質量部、前記外添剤Bの含有量が0.1~2.0質量部であることを特徴とする静電荷像現像用トナーを提供するものである。
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記外添剤Aによるトナー被覆率が、20~100%であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記外添剤Aがチタン酸塩又は酸化アルミニウムであることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記外添剤Bがシリコーン樹脂粒子であることが好ましい。
以下、外添剤、着色樹脂粒子、本発明のトナーの順に詳細について説明する。
(1)外添剤A
本発明のトナーが含有する外添剤Aは、着色樹脂粒子と帯電性が同極性であり、着色樹脂粒子に対する単位表面積あたりの帯電量の比が0.85以上であり、個数平均粒径が5nm~100nmの金属酸化物粒子である。このような金属酸化物粒子を用いることにより、補給凝集性が低く、印字耐久性に優れたトナーを得ることができる。
外添剤Aは、個数平均粒径が10nm~70nmであることが好ましく、12nm~45nmであることがより好ましく、15nm~45nmであることがより更に好ましい。
まず、これら外添剤の個々の粒子について、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)や走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)等により粒径を測定する。このように30個以上の外添剤粒子の粒径を計測し、その平均値を、その粒子の個数平均粒径とする。なお、TEMやSEM等による観察で外添剤の形状が非球状であって、長径及び短径が確認される場合には、まず、個々の外添剤について、長径及び短径を測定する。このように30個以上の外添剤の長径及び短径を計測し、それぞれの平均値を、その外添剤の平均長径又は平均短径とする。算出された平均長径と平均短径の合計値を2で除した値を、その外添剤の個数平均粒径とする。
本発明のトナーにおいて、外添剤Aとして、着色樹脂粒子と帯電性が同極性である金属酸化物粒子を用いることによって、補給凝集性が低く、印字耐久性に優れたトナーを得ることができる理由は定かではないが、着色樹脂粒子と帯電性が同極性でかつ、表面帯電量値が着色樹脂粒子に近い金属酸化物粒子を外添剤として使用することで、連続印字中のストレスにより外添剤がトナーに埋没し、結着樹脂と金属酸化物粒子が複合化しても、トナー帯電量が低下せず印字耐久性に優れたトナーとなる。また、連続印字前後のトナー表面帯電量に大きな変化がないことから、連続印字前後のトナーを混合しても静電凝集が発生せず補給凝集が発生しにくい為であると考えられる。
本発明のトナーにおいて、外添剤Aは着色樹脂粒子と帯電性が同極性であることから、着色樹脂粒子が正帯電性である場合には正帯電性の金属酸化物粒子を用い、着色樹脂粒子が負帯電性である場合には、負帯電性の金属酸化物粒子を用いる。
・外添剤の単位表面積あたりの帯電量(表面帯電量)
キャリア(パウダーテック社製、商品名「N02」)19.98gと、外添剤0.02gを秤量し、容積100mL(内寸底面直径23mm、高さ55mm)のポリエチレン瓶に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、150回転/分の回転数で回転させた後、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名「TB-203」)を用い、窒素ガス2.0kPaの圧力でブロー、9.5kPaの圧力で吸引して、ブローオフ帯電量を測定する。測定は、温度23℃、相対湿度50%で行う。
測定により得られた電荷量(Q値)を用いて下記の計算式1から、単位質量当たりの帯電量(μC/g)を求める。
計算式1:
単位質量当たりの帯電量(μC/g)=測定された電荷量(Q値)[μC]/(キャリア及び外添剤混合物の合計質量[g]×キャリア及び外添剤混合物中の外添剤濃度[質量%])
得られた単位質量当たりの帯電量(μC/g)を用いて下記の計算式2から、単位表面積あたりの帯電量(μC/m2)を求めた。
計算式2:
外添剤の表面帯電量[μC/m2]=(単位質量あたりの帯電量[μC/g])×(外添剤の粒径[nm]×109/6)×(外添剤の密度[g/cm3]×106)
キャリア(パウダーテック社製、商品名「N02」)9.5gと、着色樹脂粒子0.5gを秤量し、容積30mL(内寸底面直径17mm、高さ22mm)のガラス瓶に入れ、30分間、150回転/分の回転数で回転させた後、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名「TB-203」)を用い、窒素ガス2.0kPaの圧力でブロー、9.5kPaの圧力で吸引して、ブローオフ帯電量を測定した。測定は、温度23℃、相対湿度50%で行った。
測定により得られた電荷量(Q値)を用いて下記の計算式3から、単位質量当たりの帯電量(μC/g)を求めた。
計算式3:
単位質量当たりの帯電量(μC/g)=測定された電荷量(Q値)[μC]/(キャリア及び着色樹脂粒子混合物の合計質量[g]×キャリア及び着色樹脂粒子混合物中の着色樹脂粒子濃度[質量%])
得られた単位質量当たりの帯電量(μC/g)を用いて下記の計算式4から、単位表面積あたりの帯電量(μC/m2)を求めた。
計算式4:
着色樹脂粒子の表面帯電量[μC/m2]=(単位質量あたりの帯電量[μC/g])×(着色樹脂粒子の粒径[μm]×106/6)×(着色樹脂粒子の密度[g/cm3]×106)
このうち、アミノ基を有する疎水化処理剤としては、アミノ基を有するケイ素化合物が例示できる。
アミノ基を有するケイ素化合物としては、特定のものに制約されることなく種々のものを使用できるが、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、アミノ変性シリコーンオイル、第四級アンモニウム塩型シラン、下記式(1)に示す環状シラザンなどを用いることができる。それらの中でも、正帯電付与能力と流動性との観点から、アミノ基含有シランカップリング剤及び下記式(1)に示す環状シラザンが特に好ましい。このアミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、それらの中でも、帯電性能の環境安定性の向上効果が優れていることから、好ましくはアミノアルキル基を有するカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤は、上記のうち、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。シランカップリング剤の中でも、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)がより好ましい。
シリコーンオイル(アミノ基を有するものを除く。)としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及び変性シリコーンオイル等が挙げられる。
外添剤Bは、着色樹脂粒子と帯電性が逆極性であり、かつ、個数平均粒径が50nm~1000nmである樹脂粒子である。このような樹脂粒子である外添剤Bと上述の外添剤Aとを組み合わせて用いることにより、補給凝集性が低く、印字耐久性に優れたトナーを得ることができる。
本発明のトナーにおいて、外添剤Bは着色樹脂粒子と帯電性が逆極性であることから、着色樹脂粒子が正帯電性である場合には負帯電性の樹脂粒子を用い、着色樹脂粒子が負帯電性である場合には、正帯電性の樹脂粒子を用いる。
本発明において、BS/TSは、外添剤Bとして好適に用いられるシリコーン樹脂粒子の多孔度を表す指標として用いる。BET比表面積(BS)では、理論比表面積(TS)では評価することができない粒子表面の凸凹まで評価できるため、BS/TSが高いほど多孔度が高い粒子、1に近づくほど粒子の多孔度が低い粒子であると評価することができる。
BS/TSが上記範囲より小さいとトナー噴出しが発生しやすくなり、一方、上記範囲より大きいとシリコーン樹脂粒子の作製が困難である場合がある。
すなわち、本発明において好適に用いられるシリコーン樹脂粒子がどのような形状であっても、球形であると仮定して、球の単位質量当たりの比表面積を求める下記理論計算式5を用いて、単位質量当たりの理論比表面積(TS)を求める。
計算式5:理論比表面積 TS(m2/g)=6/(平均密度(g/cm3)×個数平均粒径(nm)×103)
上記平均密度の求め方に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
外添剤Bとして好適に用いられるシリコーン樹脂粒子のBET比表面積(BS)の測定には、公知の方法を用いることができる。シリコーン樹脂粒子のBET比表面積(BS)の測定例としては、BET比表面積測定装置(商品名:Macsorb HM model-1208、マウンテック社製)等を用いて、窒素吸着法(BET法)により測定する方法等が挙げられる。
外添剤Bに好適に用いられるシリコーン樹脂粒子は、その球形度(Sc/Sr)が0.970~1.000であることが好ましく、さらに好ましくは0.985~1.000である。
外添剤Bとして好適に用いられるシリコーン樹脂粒子の球形度(Sc/Sr)が上記範囲を超える場合には、得られるトナーが細線再現性に劣る。
本発明において球形度とは、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を、粒子の実質投影面積(Sr)で除した値として定義される。
なお、外添剤Bに用いられるシリコーン樹脂粒子の球形度(Sc/Sr)は、電子顕微鏡で撮影されたシリコーン樹脂粒子の写真を、画像処理解析装置により、Sc及びSrを解析し、球形度(Sc/Sr)を算出し、算術平均して求められる値である。
外添剤Bの球形度の測定には、公知の方法を用いることができる。外添剤Bの球形度の測定例としては、外添剤Bの電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置(商品名:ルーゼックスIID、株式会社ニレコ製)により測定する方法により、球形度を測定する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記外添剤A、及び外添剤Bに加えて、外添剤として従来からトナーに使用されているものを更に含有してもよい。このような外添剤としては、前記外添剤Aに該当しない無機微粒子と前記外添剤Bに該当しない有機微粒子とが挙げられ、当該無機微粒子としては、例えば、シリカ、窒化ケイ素、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。当該有機微粒子としては、例えばアクリル粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーンポリマー粒子、テフロン(登録商標)樹脂粒子等が挙げられる。
本発明のトナーを構成する着色樹脂粒子は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤を含有する粒子であり、その他、離型剤を含有していることが好ましく、必要に応じて磁性材料等を含有してもよい。
結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の従来からトナーに広く用いられている樹脂を挙げることができる。
イエロー着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、83、90、93、97、120、138、155、180、181、185及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、アゾ系着色剤、縮合多環系着色剤等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、及び60等が挙げられる。
着色剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1~10質量部である。
帯電制御剤の中でも、帯電制御樹脂を含有させることが好ましい。その理由として、帯電制御樹脂は結着樹脂との相溶性が高く、無色であり高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定したトナーを得ることができるからである。帯電制御樹脂は、正帯電制御樹脂として特開昭63-60458号公報、特開平3-175456号公報、特開平3-243954号公報、特開平11-15192号公報などの記載に準じて製造される4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、負帯電制御樹脂として特開平1-217464号公報、特開平3-15858号公報などの記載に準じて製造されるスルホン酸(塩)基含有共重合体等を用いることができる。上述のように、本発明においては、着色樹脂粒子が正帯電性であることが好ましいことから、正帯電制御樹脂を用いることが好ましい。
これらの共重合体に含有される4級アンモニウム(塩)基又はスルホン酸(塩)基を有する単量体単位量は、好ましくは0.5~15質量%であり、更に好ましくは1~10質量%である。含有量がこの範囲にあると、トナーの帯電量を制御し易く、カブリの発生を少なくすることができる。
帯電制御樹脂のガラス転移温度は、好ましくは40~80℃であり、更に好ましくは45~75℃であり、最も好ましくは45~70℃である。ガラス転移温度が40℃未満であるとトナーの保存性が悪くなり、80℃を超えると定着性が低下する場合がある。
上述した帯電制御剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、通常0.01~30質量部であり、好ましくは0.3~25質量部である。
離型剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、通常、3~20質量部であり、好ましくは5~15質量部である。
通常、このコアシェル型粒子のコア層は前記結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及び離型剤で構成され、シェル層は結着樹脂のみで構成される。
シェル層の割合を上記割合にすることにより、トナーの保存性と低温での定着性を兼備することができる。
なお、コアシェル型の着色樹脂粒子を形成するコア粒子はすべての表面がシェル層で覆われている必要はなく、コア粒子の表面の一部がシェル層で覆われていればよい。
コアシェル型粒子のコア粒子径及びシェル層の厚みは、電子顕微鏡により観察できる場合は、その観察写真から無作為に選択した粒子の大きさ及びシェル厚みを直接測ることにより得ることができ、電子顕微鏡でコアとシェルとを観察することが困難な場合は、コア粒子の粒径及びトナー製造時に用いたシェルを形成する単量体の量から算定することができる。
着色樹脂粒子及びトナーの体積平均粒径及び個数平均粒径は、例えば、粒度分布測定機マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)等を用いて測定することができる。
この平均円形度は、転相乳化法、溶解懸濁法及び重合法等を用いて製造することにより、比較的容易に上記範囲とすることができる。
平均円形度(Ca)は、下記計算式6により求められた値である。
上記式においてCiは0.6~400μmの円相当径の粒子群の各粒子について測定された円周長を元に下記計算式7により算出された各粒子の円形度である。
計算式7:円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
上記式において、fiは円形度Ciの粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」を用いて測定することができる。
着色樹脂粒子を製造する方法については特に制限はないが、上述した円形度を得やすいことから重合法が好ましい。
次に、重合法により着色樹脂粒子を製造する方法について詳細に説明する。本発明のトナーを構成する着色樹脂粒子は、結着樹脂の原料である重合性単量体に、着色剤、帯電制御剤及びその他の添加剤を溶解あるいは分散させ、分散安定化剤を含有する水系分散媒中で重合開始剤を添加して重合して、必要に応じて粒子同士を会合させた後、濾過、洗浄、脱水及び乾燥することにより製造することができる。
モノビニル単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル等の(メタ)アクリル系共重合体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる。
モノビニル単量体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用いても良い。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル系単量体との併用などが好適に用いられる。
マクロモノマーは、前記モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも、高いガラス転移温度を有する重合体を与えるものが好ましい。
マクロモノマーの量は、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01~10質量部、好ましくは0.03~5質量部、さらに好ましくは0.05~1質量部である。
コア粒子が分散している水系分散媒体中に、シェルを形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル構造を有するカプセル型着色樹脂粒子を得ることができる。
シェルを形成する具体的な方法としては、コア粒子を得るために行った重合反応の反応系にシェル用重合性単量体を添加して継続的に重合する方法、または別の反応系で得たコア粒子を仕込み、これにシェル用重合性単量体を添加して重合する方法などを挙げることができる。
シェル用重合性単量体は反応系中に一括して添加しても、またはプランジャポンプなどのポンプを使用して連続的もしくは断続的に添加してもよい。
水系分散媒中から着色樹脂粒子を濾過脱水する方法は特に制限されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法などを挙げることができる。これらのうち遠心濾過法が好適である。
本発明のトナーは、2.に記載の着色樹脂粒子、1.(1)に記載の外添剤A、及び1.(2)に記載の外添剤B、また必要に応じてその他の微粒子をヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いて混合することにより得られる。
また、本発明においては、前記外添剤Aによるトナーの被覆率が、20~100%であることが好ましく、30~80%であることがより好ましい。外添剤Aによるトナー被覆率は下記計算式8から求めることができる。
また、本発明においては、前記外添剤Bによるトナーの被覆率が、0.5~20%であることが好ましく、1~15%であることがより好ましく、1.5~10%であることがさらに好ましい。外添剤Bによるトナー被覆率は下記計算式8から求めることができる。
計算式8:
外添剤被覆率(%)=(31/2/2π)×(着色樹脂粒子の密度[g/cm3]/外添剤の密度[g/cm3])×(着色樹脂粒子の粒径[μm]/外添剤の粒径[μm])×(着色樹脂粒子100質量部に対する外添剤の質量比[質量部])
実施例及び比較例における物性の測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
(1)印字耐久性、耐久中帯電安定性(実機帯電量測定)
印字耐久性試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンターを用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、0%印字濃度(白ベタ印字)で20,000枚まで連続印刷を行った。
500枚毎に、黒ベタ印字(印字濃度100%)を行い、反射式画像濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(商品名:スコッチメンディングテープ810-3-18、住友スリーエム社製)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(商品名:ND-1、日本電色社製)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B-A)をカブリ値とした。この値が小さいほど、カブリが少なく良好であることを示す。
印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が1.0以下の画質を維持できる連続印刷枚数を調べた。また、印刷1枚目でのカブリ値を初期カブリとした。
なお、耐久中帯電安定性は、上記印字耐久性試験において白ベタ印字を10枚及び10,010枚行ったのちに、現像ロール上に付着したトナーの帯電量(μC/g)を求め、10枚及び10,010枚の帯電量を比較することにより評価した。具体的には、10枚目と10,010枚目の測定値の変化率が15%未満の場合は帯電安定性が良好[判定A]、15以上、30%未満の場合は比較的良好[判定B]、30%以上、50%未満の場合はやや悪い[判定C]、50%以上の場合は非常に悪い[判定D]として耐久中の帯電安定性を判断した。
なお、現像ロール上に付着したトナーの帯電量(実機帯電量)(μC/g)は、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名:210HS-2A)を用いて得られた測定値より以下の計算式9から求めた。
計算式9:
実機帯電量(μC/g)=吸引ブローオフで測定された電荷量(Q値)[μC]/現像ロールから吸引されたトナー量[g]
上記と同様にして、プリンターにトナーを入れ、常温常湿(N/N)環境下、24時間放置した後、10枚黒ベタ印字を行い、反射式画像濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて、10枚目の黒ベタ画像の先端から50mmの部分の画像濃度と、後端から50mmの部分の画像濃度を測定した。先端部と後端部の画像濃度の差をべた追従性の指標とした。当該画像濃度の差が小さいほど、べた追従性が良好であることを示す。
上述の印字耐久試験後にトナーカートリッジに残留したトナーを回収し、残留トナーと同量の未使用トナーを混合した。現像装置のトナーカートリッジに、この混合したトナーを充填した後、そのトナーカートリッジを常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で1日放置後、(2)と同様の操作を行い耐久後補給べた追従性を評価した。
上記と同様にして、プリンターにトナーを入れ、常温常湿(N/N)環境下、24時間放置した後、連続印字を行った。
連続印字は常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)、印字濃度5%で100枚印刷する条件により実施した。トナーカートリッジより印刷用紙に噴出したトナーを確認し、以下の評価基準に従い、C以上を合格と評価した。
[評価基準]
A 全く噴出しが発生しない
B 印字枚数3枚までに収束する軽微な噴出し
C 100枚までの印字中に収束しない軽微な噴出し
D 100枚までの印字中に収束しない激しい噴出し
上述の印字耐久試験後にトナーカートリッジに残留したトナーを回収し、残留トナーと同量の未使用トナーを混合した。現像装置のトナーカートリッジに、この混合したトナーを充填した後、そのトナーカートリッジを常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で1日放置し、連続印字を行った。
連続印字は常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)、印字濃度5%で100枚印刷する条件により実施した。トナーカートリッジより印刷用紙に噴出したトナーを確認し、上記評価基準に従い、C以上を合格と評価した。
市販の非磁性一成分現像方式のブリンターの定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、黒ベタ(印字濃度100%)を印字して、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度-定着率の関係を求めて行った。定着率は、黒ベタ(印字濃度100%)の印字領域においてテープ剥離を行い、テープ剥離前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、下記計算式10により算出できる。
計算式10:定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(商品名:スコッチメンディングテープ810-3-18、住友スリーエム社製)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。画像濃度は、反射式画像濃度計(商品名:RD914、マクベス社製)を用いて測定した。この定着試験において、定着率が80%を超える定着ロールの最低温度をトナーの最低定着温度とした。
(1)個数平均粒径の算出
外添剤A及び外添剤Bとして使用した粒子について、超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(商品名:SU9000、日立ハイテクノロジー社製)を用いて、SEM画像を撮影し、その画像の中から粒子を30個無作為に選定した。選定した各粒子について粒子径を測定した後、30個の粒子における個数平均粒径を算出した。
キャリア(パウダーテック社製、商品名「N02」)19.98gと、外添剤A又は外添剤B0.02gを秤量し、容積100mL(内寸底面直径23mm、高さ55mm)のポリエチレン瓶に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、150回転/分の回転数で回転させた後、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名「TB-203」)を用い、窒素ガス2.0kPaの圧力でブロー、9.5kPaの圧力で吸引して、ブローオフ帯電量を測定した。測定は、温度23℃、相対湿度50%で行った。
得られた電荷量(Q値)を用いて上記の計算式1、2から、単位表面積当たりの帯電量(μC/m2)を求めた。
(1)個数平均粒径の算出
着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dp、及び粒径分布Dv/Dpは粒度分布測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、トナーサンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤として界面活性剤水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウェル)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、トナーを湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行った。
キャリア(パウダーテック社製、商品名「N02」)9.5gと、着色樹脂粒子0.5gを秤量し、容積30mL(内寸底面直径17mm、高さ22mm)のガラス瓶に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、150回転/分の回転数で回転させた後、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名「TB-203」)を用い、窒素ガス2.0kPaの圧力でブロー、9.5kPaの圧力で吸引して、ブローオフ帯電量を測定した。測定は、温度23℃、相対湿度50%で行った。
得られた電荷量(Q値)を用いて上記の計算式3、4から、単位表面積当たりの帯電量(μC/m2)を求めた。
(1)外添剤Aによるトナー被覆率の算出
外添剤Aによるトナーの被覆率は上記計算式8から求めた。
[製造例1]
200mLナスフラスコに、水60.0g、及び触媒として酢酸0.01gを仕込み、30℃で攪拌した。ここにメチルトリメトキシシラン70.0gを加えて1時間撹拌して、原料溶液を得た。
200mLナスフラスコに、水60.0g、及び触媒として酢酸0.01gを仕込み、30℃で攪拌した。ここにメチルトリメトキシシラン70.0gを加えて1時間撹拌して、原料溶液を得た。
[実施例1]
重合性単量体としてスチレン78部及びn-ブチルアクリレート22部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(商品名:#25B、三菱化学社製)5部を、インライン型乳化分散機(商品名:マイルダー、大平洋機工株式会社製)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(4級アンモニウム基含有スチレンアクリル樹脂)1.0部、離型剤として脂肪酸エステルワックス(ベヘニルベヘネート)5.0部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(商品名:AA6、東亜合成化学工業社製)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、及び分子量調整剤としてt-ドデシルメルカプタン1.6部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
上記重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が、ほぼ100%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド)(商品名:VA-086、和光純薬社製、水溶性)0.3部を添加し、90℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。
外添剤の種類及び/又は添加量を表1及び表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に、実施例2~8及び比較例1~5のトナーを作製した。
表1に実施例のトナー及び表2に比較例のトナーの特性及び評価結果着色樹脂粒子の特性、並びに外添剤の特性を示す。なお、以下の記載において、「表面帯電量」とは「単位表面積あたりの帯電量」を示す。
しかし、噴出しの評価結果がDと悪く印字耐久性の評価枚数が5000枚と少なかった。また、補給後べた追従性が0.6と高く、耐久後補給噴出しの評価結果もDと悪かった。
したがって、外添剤Aとして、チタン酸ストロンチウムを用いた場合であっても、外添剤Aが単独で用いられたトナーは、噴出し、印字耐久性、補給後べた追従性、及び、耐久後補給噴出しに劣ることが分かる。
したがって、外添剤Bとして、シリコーン樹脂粒子Aを用いた場合であっても、外添剤Bが単独で用いられたトナーは、印字耐久性、耐久中帯電安定性、噴出し、補給後べた追従性、噴出し、及び、耐久後補給噴出しが劣ることが分かる。
しかし、印字耐久性の評価枚数が1,1000枚と少なく、耐久中帯電安定性の評価結果もDと悪かった。また、補給後べた追従性が0.7と高く、耐久後補給噴出しの評価結果もDと悪かった。
したがって、外添剤Aとして着色樹脂粒子に対する単位表面積あたりの帯電量の比が0.31のシリカ粒子用い、外添剤Bとして、個数平均粒径が90nmであるシリコーン樹脂粒子Aを用いたトナーは、印字耐久性、耐久中帯電安定性、補給後べた追従性、及び、耐久後補給噴出しに劣ることが分かる。
しかし、印字耐久性の評価枚数が1,5000枚と少なく、ベタ追従性が0.6と高く、耐久中帯電安定性の評価結果もDと悪かった。また、補給後べた追従性が1.0と高く、耐久後補給噴出しの評価結果もDと悪かった。
したがって、外添剤Aとして着色樹脂粒子に対する単位表面積あたりの帯電量の比が0.73のシリカ粒子用い、外添剤Bとして、個数平均粒径が90nmであるシリコーン樹脂粒子Aを用いたトナーは、印字耐久性、ベタ追従性、耐久中帯電安定性、補給後べた追従性、耐久後補給噴出しに劣ることが分かる。
したがって、着色樹脂粒子に対する単位表面積あたりの帯電量の比が-0.25、即ち帯電性が着色樹脂粒子と逆極性であるシリカ粒子を用い、外添剤Bとして個数平均粒径が90nmであるシリコーン樹脂粒子Aを用いたトナーは、印字耐久性、耐久中帯電安定性、噴出し、補給後べた追従性、噴出し、及び、耐久後補給噴出しが劣ることが分かる。
実施例1~実施例8のトナーは、最低定着温度が155℃以下と低く、印字枚数3枚までに収束する軽微な噴出ししか確認されず、印字耐久性の各評価枚数が20,000以上と多く、さらにべた追従性の値が0.3以下と小さかった。
また、補給後においても、補給後べた追従性が0.4以下と低く、耐久後補給噴出しの評価も100枚までの印字中に収束しない軽微な噴出ししか確認されなかった。
Claims (5)
- 結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を含む着色樹脂粒子、並びに、外添剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記外添剤として、少なくとも外添剤A及び外添剤Bを含有し、
前記外添剤Aは、帯電性が前記着色樹脂粒子と同極性であり、当該着色樹脂粒子に対する単位表面積あたりの帯電量の比が0.85以上であり、個数平均粒径が5nm~100nmの金属酸化物粒子であって、
前記外添剤Bは、帯電性が前記着色樹脂粒子と逆極性であり、個数平均粒径が50nm~1000nmの樹脂粒子であって、
前記着色樹脂粒子100質量部に対し、前記外添剤Aの含有量が0.5~6.0質量部、前記外添剤Bの含有量が0.1~2.0質量部であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記着色樹脂粒子が正帯電性であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記外添剤Aによるトナー被覆率が、20~100%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記外添剤Aがチタン酸塩又は酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記外添剤Bがシリコーン樹脂粒子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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