JP2016126140A - 静電荷像現像用正帯電性トナー - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明によれば、結着樹脂及び着色剤を含む着色樹脂粒子と、外添剤とを含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、前記外添剤が、表面処理された負帯電性シリコーン樹脂粒子であり、前記負帯電性シリコーン樹脂粒子の個数平均粒径が0.3〜3μmであり、かつ吸着水分量が0.20質量%以下であり、前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記負帯電性シリコーン樹脂粒子の含有量が0.05〜2.0質量部であることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナーが得られる。
本発明の正帯電性トナーは、結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子と、外添剤として特定の条件を満たす負帯電性シリコーン樹脂粒子(以下、「シリコーン樹脂粒子」と称することがある。)を特定量含有する。
本発明の正帯電性トナーは、前記着色樹脂粒子の表面に、外添剤として前記シリコーン樹脂粒子を付着添加することにより得られるものであることが好ましい。
以下、本発明に使用される着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子を用いた本発明の正帯電性トナーの製造方法並びに本発明の正帯電性トナーについて、順に説明する。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れた現像剤が得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つ現像剤を得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体及び着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般に現像剤用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)を現像剤粒子に付与させることができることから、正帯電性の帯電制御樹脂が好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜20質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が20質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミテート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもグリセリンエステル化合物が好ましく、また、ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミテート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネートがより好ましく、ヘキサグリセリンオクタベヘネートが特に好ましい。
炭化水素ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂及び着色剤、さらに必要に応じて添加される正帯電性の帯電制御剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなることがある。
測定試料が着色樹脂粒子の場合の平均円形度の測定方法の例を以下に示す。容器中に、予めイオン交換水10mLを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行う。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(例えば、シメックス社製、商品名:FPIA−2100等)を用いて測定する。
円形度は下記計算式1に示す通りであり、平均円形度は、その平均である。
計算式1:(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
上述した(A)重合法又は(B)粉砕法により得られる着色樹脂粒子を、後述するシリコーン樹脂粒子等の外添剤と共に混合攪拌することにより、着色樹脂粒子の表面に、均一かつ好適に付着添加(外添)させることができる。
混合攪拌が可能な装置としては、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、メカノミル(:商品名、岡田精工社製)、及びノビルタ(:商品名、ホソカワミクロン社製)等の高速攪拌機が代表的に挙げられる。
シリコーン樹脂原料は、三次元の網状構造を持ったオルガノポリシロキサンからなる微粒子であるが、特に下記式(1)の構造単位を有するポリオルガノシルセスキオキサンが好ましい。
本発明において疎水性を向上させる表面処理が施された負帯電性のシリコーン樹脂粒子を用いることにより、(A)シリコーン樹脂粒子を着色樹脂粒子の表面に好適に付着添加(外添)させる効果を高め、(B)トナーの流動性を向上させることにより、高温高湿環境下において特に発生しやすい初期のカブリを抑えることができ、(C)さらに、当該シリコーン樹脂粒子が吸湿しにくい結果、負帯電性が長時間持続するため、高温高湿環境下かつ連続印刷時(耐久時)において特に発生しやすいカスレも抑えることができる。
シリコーン樹脂原料の負帯電性を維持したまま疎水性を向上させる表面処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂原料に疎水化処理剤を作用させる方法が挙げられる。シリコーン樹脂原料の疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、及びシリコーンオイル等を使用することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のジシラザン;環状シラザン;トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリアセトキシシラン等のアルキルシラン化合物;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物;等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上記の表面処理剤のうち、正帯電性を有するアミノ基を含まない化合物を用いることが好ましい。
また、帯電性を調整するため、正帯電性を有するアミノ基を含む化合物を使用する場合、シリコーン樹脂原料の負帯電性を維持するため、アミノ基を含まない化合物より少量で使用することが好ましい。
これらの疎水化処理剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、疎水化処理剤の使用量は、シリコーン樹脂原料100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましく、10〜30質量部が更に好ましい。
乾式法の具体例としては、シリコーン樹脂原料を高速で攪拌しながら、疎水化処理剤を滴下または噴霧する方法が挙げられる。湿式法の具体例としては、疎水化処理剤を有機溶媒中に溶解させ、当該有機溶媒を攪拌しながらシリコーン樹脂原料を添加する方法等が挙げられる。
原料となるシリコーンポリマー粉末としては、上述したポリメチルシルセスキオキサンの市販品等を使用することができる。
上記式(2)のR2は、アミノ基を持たない構造であることがより好ましい。
シリコーン樹脂粒子は、その形状が球形であることが、トナーの流動性の低下が少ないため好ましい。
D90/D50が1.6より大きいシリコーン樹脂粒子を用いると、着色樹脂粒子に対するシリコーン樹脂粒子の付着が不均一となり、外添効果にばらつきが発生し、感光体フィルミングが発生するおそれがある。また、シリコーン樹脂粒子が脱離しやすくなり、プリンター部材に付着し、縦筋が発生したり、印字耐久性が低下したりするおそれがある。
シリコーン樹脂粒子等の外添剤の個数平均粒径及び粒度分布D90/D50は、例えば、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製:LB−550)等を用いて測定することができる。
シリコーン樹脂粒子の吸着水分量は、例えば、以下の方法により測定できる。まず、水分吸脱着測定装置(例えば、ハイデン社製、商品名:IGAsorp)内に、試料(シリコーン樹脂粒子)を乾燥窒素気流下に1時間放置した後、試料の乾燥質量を測定する。次に、試料を32℃、湿度80%の空気中で1時間放置した後、水分を吸着した試料の質量を測定する。吸着水分量(質量%)は下記式より算出される。
吸着水分量(質量%)={(水分を吸着した試料の質量−乾燥した試料の質量)/乾燥した試料の質量)}×100
無機微粒子Aの個数平均粒径が、5nm未満である場合には、着色樹脂粒子の表面から内部に、当該無機微粒子Aが埋没し易くなり、流動性を正帯電性トナーに十分に付与させることができず、印字性能に悪影響を及ぼすことがある。一方、無機微粒子Aの個数平均粒径が、25nmを超える場合には、着色樹脂粒子の表面に対して、当該無機微粒子Aが占める割合(被覆率)が低下するため、流動性を正帯電性トナーに十分に付与させることができないことがある。
無機微粒子Aの個数平均粒径は、7〜25nmであることがより好ましく、7〜20nmであることが更に好ましい。無機微粒子Aは、正帯電性シリカ微粒子であることが好ましく、フュームドシリカであることがより好ましい。
無機微粒子Aの含有量が0.1質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、流動性が低下したり、保存性や印字耐久性が低下したりすることがある。一方、無機微粒子Aの含有量が2質量部を超える場合、トナー粒子の表面から、当該無機微粒子Aが遊離し易くなり、高温高湿環境下での帯電性が低下してカブリが発生したり、定着性が低下したりすることがある。
無機微粒子Bの個数平均粒径が、30nm未満である場合には、スペーサー効果が低下し、カブリの発生など印字性能に悪影響を及ぼすことがある。一方、無機微粒子Bの個数平均粒径が、200nmを超える場合には、現像剤粒子の表面から、当該無機微粒子が遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼすことがある。
無機微粒子Bの個数平均粒径は、35〜100nmであることがより好ましく、40〜80nmであることが更に好ましい。無機微粒子Bはシリカ微粒子であることが好ましく、疎水化処理されているとより好ましい。
円形度の定義及び平均円形度の測定方法は、上述した通りである。
ゾルゲル法により得られる球形のシリカ微粒子の比重については、湿式法であり且つ焼成することなしに作製するため、蒸気相酸化法に比べて低く制御することができる。また、疎水化処理工程での疎水化処理剤種、あるいは処理量を制御することにより更に調整することが可能である。その粒径については、ゾルゲル法の加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の質量比、反応温度、攪拌速度、供給速度により自由に制御できる。単分散、球形形状も本手法にて作製することにより達成可能となる。
具体的には、テトラメトキシシランを水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、攪拌を行う。次に、反応により作製されたシリカゾル懸濁液を遠心分離し、湿潤シリカゲルとアルコール、アンモニア水とに分離する。次に、湿潤シリカゲルに溶剤を加えて再度シリカゾルの状態にした後、疎水化処理剤を加えてシリカ表面の疎水化を行う。疎水化処理剤としては一般的なシラン化合物を用いることができる。次に、この疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥、シーブすることにより狙いの単分散シリカを得ることができる。また、このように得られたシリカを再度疎水化処理しても構わない。上記シラン化合物は、水溶性であるものが使用できる。このようなシラン化合物としては、化学構造式RaSiX4−a(式中、aは0〜3の整数であり、Rは水素原子、アルキル基及びアルケニル基等の有機基を表し、Xは塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す。)で表される化合物を使用することができ、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。このシラン化合物からなる疎水化処理剤のうち特に好ましいものは、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等である。
無機微粒子Bの含有量が0.1質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、印字性能に悪影響を及ぼすことがある。一方、無機微粒子Bの含有量が2質量部を超える場合、トナー粒子の表面から、当該無機微粒子Bが遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼすことがある。
上記工程を経て得られる本発明の正帯電性トナーは、外添剤が、表面処理された負帯電性シリコーン樹脂粒子であり、当該負帯電性シリコーン樹脂粒子の個数平均粒径が0.3〜3μmであり、かつ吸着水分量が0.20質量%以下であり、着色樹脂粒子100質量部に対して、負帯電性シリコーン樹脂粒子の含有量が0.05〜2.0質量部であることにより、印字耐久性に優れ、縦筋の発生がない優れたものとなる。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[製造例1]
シリコーン樹脂原料としてのシリコーンポリマー粉末(商品名:MSP−SN05、日興リカ社製、平均粒径:0.5μm)に、アルコールで希釈したヘキサメチルジシラザン(信越化学社製、商品名:SZ−31)をシリコーンポリマーに対して8質量%となるように滴下し、強く攪拌しながら70℃、30分間加熱し、次いで、90℃でアルコールを除去し、更に90℃で4時間、強く攪拌しながら加熱処理を行うことにより、疎水性を向上させる表面処理が施されたシリコーン樹脂粒子Aを得た。得られたシリコーン樹脂粒子Aの個数平均粒径は0.5μmであり、粒度分布D90/D50は1.33であり、吸着水分量は0.11質量%であった。
シリコーン樹脂原料としてのシリコーンポリマー粉末(商品名:MSP−SN08、日興リカ社製、平均粒径:0.8μm)に、アルコールで希釈したヘキサメチルジシラザン(信越化学社製、商品名:SZ−31)をシリコーンポリマーに対して7質量%となるように滴下し、強く攪拌しながら70℃、30分間加熱し、次いで、90℃でアルコールを除去し、更に90℃で4時間、強く攪拌しながら加熱処理を行うことにより、疎水性を向上させる表面処理が施されたシリコーン樹脂粒子Bを得た。得られたシリコーン樹脂粒子Bの個数平均粒径は0.8μmであり、粒度分布D90/D50は1.33であり、吸着水分量は0.12質量%であった。
シリコーン樹脂原料としてのシリコーンポリマー粉末(商品名:MSP−120NR、日興リカ社製、平均粒径:1.8μm)に、アルコールで希釈したヘキサメチルジシラザン(信越化学社製、商品名:SZ−31)をシリコーンポリマーに対して3質量%となるように滴下し、強く攪拌しながら70℃、30分間加熱し、次いで、90℃でアルコールを除去し、更に90℃で4時間、強く攪拌しながら加熱処理を行うことにより、疎水性を向上させる表面処理が施されたシリコーン樹脂粒子Cを得た。得られたシリコーン樹脂粒子Cの個数平均粒径は1.8μmであり、粒度分布D90/D50は1.33であり、吸着水分量は0.09質量%であった。
(1)個数平均粒径及び粒度分布D90/D50
サンプルをビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mLを加えてイオン交換水に分散させた。動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製:LB−550)を用いて、上記により得られた分散液について測定を行い、個数平均粒径及び粒度分布D90/D50を算出した。なお、粒度分布D90/D50は上述した通りの物性値である。
吸着水分量の測定には、水分吸脱着測定装置(ハイデン社製、商品名:IGAsorp)を用いた。まず、当該装置内に、試料(シリコーン樹脂粒子)を乾燥窒素気流下に1時間放置した後、試料の乾燥質量を測定する。次に、試料を32℃、湿度80%の空気中で1時間放置した後、水分を吸着した試料の質量を測定した。吸着水分量(質量%)は下記式より算出した。
吸着水分量(質量%)={(水分を吸着した試料の質量−乾燥した試料の質量)/乾燥した試料の質量)}×100
[実施例1]
重合性単量体としてスチレン81部とn−ブチルアクリレート19部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)5部を、インライン型乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル樹脂)1部、離型剤として脂肪酸エステルワックス(ヘキサグリセリンオクタベヘネート)5部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.6部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
実施例1において、外添剤の種類及び添加量を表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜11、及び比較例1〜3のトナーを得た。
なお、表1中、「粒子b2」とは、疎水化処理された正帯電性シリカ微粒子b2(キャボット社製、商品名:EP−C321、個数平均粒径:70nm)を意味する。また、表2中、「シリコーンポリマーA」とは、シリコーンポリマー粉末(日興リカ社製、商品名:MSP−SN05、個数平均粒径:0.5μm、粒度分布D90/D50:1.3、吸着水分量:0.24質量%)を意味し、また、「シリコーンポリマーB」とは、シリコーンパウダー(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:トスパール105、個数平均粒径:0.5μm、粒度分布Dv90/Dv50:1.8、吸着水分量:0.30質量%)を意味する。
上記実施例1〜11、及び比較例1〜3の着色樹脂粒子及び正帯電性トナーについて特性を調べた。詳細は以下の通りである。
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mLを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、20W(Watt)の超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
容器中に、予めイオン交換水10mLを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式1:(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(ブラザー工業社製、商品名:MFC−9840−CDW)に上記で得られた正帯電性トナーを充填した後、印字用紙をセットし、温度23℃、湿度50%の環境(NN環境)下で一昼夜放置した後、同じNN環境下で、白べた印字(印字濃度0%)を一枚行い、その白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像ローラ上に担持されたトナーを、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名:210HS−2A)を用いて吸引してトナーの帯電量を測定し、トナーの単位質量当たりの初期帯電量Q/M(μC/g)に換算して求めた。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−3040CN)を用いた。現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、高温高湿(H/H)環境下(温度:37℃、湿度:80%)に24時間放置した。放置後、印刷速度を半分に落とし、白べた印字を一枚行い、カブリがないかを目視で確認した。その後、白色度計(日本電色社製)を用いて白べた印字物の紙面上の白色度を測定した。
{(印字前の白度)−(白べた印字物の白度)}=カブリ濃度
とし、カブリ濃度を算出した。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(ブラザー工業社製、商品名:MFC−9840−CDW)に上記で得られた正帯電性トナーを充填した後、印字用紙をセットし、高温高湿(H/H)環境下(温度:35℃、湿度:80%)で一昼夜放置した後、同じ高温高湿(H/H)環境下で、1%印字濃度で16,000枚まで連続印刷を行った。
500枚毎に、黒ベタ印字(印字濃度100%)を行い、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:ND−1)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値(%)とした。この値が小さいほど、カブリが少なく良好であることを示す。
印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が2.5%以下の画質を維持できる連続印刷枚数を調べた。さらに、目視にて縦筋の有無及び黒べた印字カスレの有無を確認し、縦筋が発生した時点における連続印刷枚数、及び黒べた印字カスレが生じた時点における連続印刷枚数をそれぞれ調べた。
なお、表1及び表2中、「16,000<」とあるのは、16,000枚の時点においても、印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が2.5%以下の画質を維持できたことを示す。また、表1及び表2中に「−」とあるのは、16,000枚又は印字耐久性試験での連続印刷が終了した時点でも縦筋又は黒べた印字カスレが発生していないことを示す。
以下、表1及び表2を参照しながら、正帯電性トナーについて検討する。
比較例2の正帯電性トナーは、HH初期カブリの値が3.9と高く、HH耐久カスレの評価枚数が5,000枚と少なく、印字耐久性の評価枚数が11,000枚と少ない。これらの結果から、負帯電性シリコーン樹脂粒子を外添剤に使用しないトナーは、高温高湿環境下においてカブリが生じやすくかつ印字耐久性に劣ることが分かる。
シリコーンポリマーAが使用された比較例1の正帯電性トナーは、HH初期カブリが2.2と高く、HH耐久カスレの評価枚数が8,000枚と少ない。これらの結果から、疎水性を向上させる表面処理が施されておらず、かつ吸着水分量が0.20質量%を超えるシリコーンポリマーAが使用されたトナーは、高温高湿環境下において、カブリが生じやすくかつ印字耐久性に劣ることが分かる。
シリコーンポリマーBが使用された比較例3の正帯電性トナーは、HH初期カブリの値が4.5と高く、高温高湿環境下で8,000枚の時点において縦筋が発生し、HH耐久カスレの評価枚数が3,000枚と少なく、印字耐久性の評価枚数が12,000枚と少ない。これらの結果から、疎水性を向上させる表面処理が施されておらず、かつ吸着水分量が上記シリコーンポリマーAよりも高いシリコーンポリマーBが使用されたトナーは、高温高湿環境下において、カブリがより生じやすくかつ印字耐久性により劣ることが分かる。
実施例1〜11のトナーは、HH初期カブリの値が1.6以下と低く、高温高湿環境下で縦筋が発生する連続印刷枚数が9,000枚以上か、又は評価枚数の範囲内で縦筋が発生しておらず、HH耐久カスレの評価枚数が10,000枚以上であり、印字耐久性の評価枚数が13,000枚以上と多い。
したがって、外添剤として、本発明に規定する条件を満たす負帯電性シリコーン樹脂粒子を特定量含有する本発明のトナーは、特に高温高湿環境下において印字耐久性に優れ、縦筋の発生がないことが分かる。
Claims (6)
- 結着樹脂及び着色剤を含む着色樹脂粒子と、外添剤とを含有する静電荷像現像用正帯電性トナーにおいて、
前記外添剤が、表面処理された負帯電性シリコーン樹脂粒子であり、
前記負帯電性シリコーン樹脂粒子の個数平均粒径が0.3〜3μmであり、かつ吸着水分量が0.20質量%以下であり、
前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記負帯電性シリコーン樹脂粒子の含有量が0.05〜2.0質量部であることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナー。 - 前記負帯電性シリコーン樹脂粒子の粒度分布D90/D50が1.6以下であることを特徴とする、請求項1に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 前記外添剤が、更に個数平均粒径が5〜25nmである正帯電性無機微粒子Aを含有し、且つ、
前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記正帯電性無機微粒子Aの含有量が0.1〜2質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。 - 前記外添剤が、更に個数平均粒径が30〜200nmである無機微粒子Bを含有し、且つ、
前記着色樹脂粒子100質量部に対して、前記無機微粒子Bの含有量が0.1〜2質量部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。 - 前記無機微粒子Bが、平均円形度が0.96以上の球形状粒子であることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 前記無機微粒子Bが、ゾルゲル法により、水中又は水溶液中で作製された無機微粒子であることを特徴とする請求項4又は5に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
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