JP2011190152A - 無定形チタニアゾルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】TiO2濃度5%においてヘイズ値が10%以下である透明な塩基性無定形チタニアゾルが提供される。また、無定形酸化チタン水和物を水の存在下、無定形チタニアゾルが生成するまで、アルキル基の炭素数が5以下のモノ−,ジ−もしくはトリアルキルアミン、またはテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで処理することよりなる前記無定形チタニアゾルの製造法。
【選択図】図1
Description
a)水溶性チタン化合物の水溶液を温度40℃以下に保ちながら塩基を用いてpH8以上に調節し、無定形酸化チタン水和物の沈殿を生成させるステップ、 b)得られた沈殿から、ろ過等の公知の方法で不純物を取り除くステップ、および
c)不純物を取り除いた沈殿を水分散させ、そこへアルキル基の炭素数が5以下のモノ−,ジ−もしくはトリアルキルアミン、またはテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで、分散液が無定形チタニアゾルに解膠されるまで処理するステップよりなる。
水溶性チタン化合物は限定しないが、一例として、硫酸チタニル、四塩化チタンおよびオキシ塩化チタン等がある。中和すべき水溶液中の水溶性チタン化合物の濃度は、TiO2として50〜100g/Lが適当である。ステップa)において用いる塩基については特に限定はなく、アンモニア水,水酸化ナトリウムさらにはアミンでもかまわない。
(R)n−Si−X4−n
式中、Rは互いに同一または異なる有機官能基(好ましくは炭化水素基)、Xは加水分解基であり、nは0〜3、好ましくは1または2である。
本発明の無定形チタニアゾルを配合したコーティング組成物を用い、膜厚1〜3μm、屈折率が1.5〜1.8の塗膜を作成したとき、塗膜は未塗布品と大差ない透明性を示す。また、必要に応じて本コーティング組成物にレオロジーコントロール剤、有機ケイ素化合物等の添加剤を加えてもかまわない。本コーティング組成物を高屈折率光学基材と同じ屈折率に調整し、塗布した高屈折率光学基材は、干渉縞がなく透明性の高い光学基材が得られる。
1Lガラスビーカーに、TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液250mL(TiO2として50g)を取り、イオン交換水で全量を714mLに希釈した。これに10%アンモニア水を滴下し、pH8.5に調節し、30分間静置した。この間液温が40℃以上にならないよう、アンモニア水の滴下速度を調節した。生成した無定形酸化チタン水和物を含む反応液を濾過し、得られたケーキをイオン交換水で良く洗浄した。ケーキを再びガラスビーカーに移し、トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)を加え、さらにイオン交換水で全量を1000mLとした。このスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置し、TiO2濃度5%の透明チタニアゾルを得た。このゾルを50℃で乾燥して得た粉末のX線回折スペクトルチャートを、アナタース形およびルチル形酸化チタンゾルのX線回折スペクトルチャートと比較して図1に示す(測定は、フィリップス社製X´Pert PROを用いた)。見られるように、2θ=25°のアナタース形、および2θ=27°のルチル形の最強ピークが観察されず、得られたチタニアゾルは無定形チタニアゾルであることを示している。
TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液の代りに、TiO2濃度25%のオキシ塩化チタン水溶液200g(TiO2として50g)を用いたことを除いて、実施例1と同じ操作により無定形チタニアゾルを得た。
トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)の代りに、ジイソプロピルアミン50g(TiO2に対して100%)を用いたことを除き、実施例1と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)の代りに、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)に変更したことを除き、実施例1と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
1Lガラスビーカーにイオン交換水327gを入れた。別にテトラプロポキシチタン183g(TiO2として50g)にイソプロパノール73gを加えた稀釈液を用意し、この液をガラスビーカー中のイオン交換水に攪拌しながら15分を要して徐々に滴下し、30分間室温に静置した。その後反応液を濾過して得たケーキをイオン交換水で洗浄した後、別のビーカーに移し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)を加え、さらにイオン交換水で全量を1000mLとした。このスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置したところ、TiO2濃度5%の透明な無定形チタニアゾルが得られた。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、ジイソプロピルアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して四0%)の代りに、t−ブチルアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、25%アンモニア水200g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作を繰り返した。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、結晶形を確認したところ無定形であったが、解膠せず透明なチタニアゾルが得られなかった。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、トリエタノールアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作を繰り返した。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、結晶形を確認したところ無定形であったが、解膠せず透明なチタニアゾルが得られなかった。
TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液250mL(TiO2として50g)をイオン交換水で全量2000mLに希釈した。この溶液を還流冷却器を備えたフラスコに入れ、攪拌しながら3時間100℃で還流し、硫酸チタニルを加水分解した。冷却後反応液を濾過し、洗浄したケーキをビーカーに移し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対し40%)を加え、さらにイオン交換水で全量1000mLに稀釈し、得られたスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置した。TiO2濃度5%の半透明チタニアゾルが得られた。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、得られた粉末をX線回折したところ、アナターゼ形のピークが観察された。
1.透明性(ヘイズ)
実施例および比較例で得たチタニアゾルをそれぞれイオン交換水でTiO2濃度5%に希釈し、光路長10mmの石英セルに入れ、ヘイズメーター(日本電色工業(株)ヘイズメーターNHD−2000)を用いてヘイズ値を測定した。透明性はヘイズ値に反比例する。比較例1および2のゾルについてはヘイズ値以外の項目については測定しなかった。
2.pH
pHメータにて直接測定する。
3.経時安定性
チタニアゾルをガラス容器に入れ、40℃の恒温室に1ヶ月間保管した後の状態を目視により評価した。試験したすべてのゾルは、増粘、ゲル化、凝集などの変化を示さなかった。
1.コーティング組成物の作成(実施例8〜14,比較例4)
実施例1〜7および比較例3のTiO2濃度5%のチタニアゾル30.0g(TiO2として1.5g)を攪拌しながら水系アクリル樹脂(三井化学製アルマテックスK271:不揮発物44%)6.8g(樹脂固形分3.0g)と混合し、さらに30分間攪拌してコーティング組成物を得た。
2.塗膜の作成
上で作成したそれぞれのコーティング組成物を松浪ガラス工業(株)製ミクロスライドガラスプレート(70×55×1.3mm)に500rpmにおいて3秒間スピンコートし、25℃で15分、110℃で60分乾燥して膜厚2μmの塗膜を形成した。
3.コーティング組成物の安定性
作成したコーティング剤をガラス容器に入れ、40℃の恒温室に1ヶ月間保管した後の状態を目視により評価した。
○・・・変化なし。
△・・・若干増粘する。
×・・・ゲル化或いは凝集する。
4.塗膜の透明性
コート剤を温度25℃、湿度40%の環境下でスピンコートする。その塗膜の透明性を目視により評価した。
○・・・塗膜に濁りが認められない。
△・・・若干塗膜が濁っている。
×・・・塗膜が白化している。
5.塗膜の屈折率
塗膜をエリプソメーター((株)溝尻光学研究所DVA−FL3G)で633nmの波長における屈折率を測定した。
Claims (11)
- TiO2濃度5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下である透明な塩基性無定形チタニアゾル。
- TiO2濃度5%におけるヘイズ値が5%以下である請求項1の塩基性無定形チタニアゾル。
- pHが9.0〜13.0の範囲内にある請求項1ないしは2の無定形チタニアゾル。
- アルキル基の炭素数が5以下のモノ−,ジ−もしくはトリアルキルアミン、またはテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを塩基として含んでいる請求項1ないし3のいずれかの無定形チタニアゾル。
- 無定形酸化チタン水和物を水の存在下、無定形チタニアゾルが生成するまで、アルキル基の炭素数が5以下のモノ−,ジ−もしくはトリアルキルアミン、またはテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドよりなる群から選ばれた有機塩基で処理し、TiO2濃度5%においてヘイズ値が10%以下である透明な塩基性無定形チタニアゾルを生成させることを特徴とする無定形チタニアゾルの製造方法。
- 塩基による処理温度が90℃以下であることを特徴とする請求項5の無定形チタニアゾルの製造方法。
- 無定形酸化チタン水和物は、水溶性チタン化合物をアンモニアで加水分解することによって製造される請求項5ないしは6のいずれかの無定形チタニアゾルの製造方法。
- 無定形酸化チタン水和物の生成温度は、50℃以下である請求項5ないし7のいずれかの無定形チタニアゾルの製造方法。
- 無定形酸化チタン水和物は、テトラアルコキシチタンの加水分解によって製造される請求項6ないしは8のいずれかの無定形チタニアゾルの製造方法。
- 透明な塗膜を形成するバインダーと請求項1ないし4いずれかの無定形チタニアゾルを含有してなるコーティング組成物。
- 透明な塗膜を形成するバインダーと請求項1ないし4いずれかの無定形チタニアゾルを含有し、塗膜とした際に屈折率が1.50以上であるコーティング組成物。
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